(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】通知システム、通知方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G08B 27/00 20060101AFI20221220BHJP
G08B 21/02 20060101ALI20221220BHJP
G08B 25/00 20060101ALI20221220BHJP
H04M 1/00 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
G08B27/00 A ZIT
G08B21/02
G08B25/00 510M
H04M1/00 R
(21)【出願番号】P 2017020481
(22)【出願日】2017-02-07
【審査請求日】2020-01-16
【審判番号】
【審判請求日】2021-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】橋詰 和子
【合議体】
【審判長】角田 慎治
【審判官】赤穂 美香
【審判官】土居 仁士
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-288657(JP,A)
【文献】特開2008-269063(JP,A)
【文献】特開2006-180387(JP,A)
【文献】特開平06-162364(JP,A)
【文献】特開2015-187893(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62C2/00-99/00
G06Q10/00-10/10
30/00-30/08
50/00-50/20
50/26-99/00
G08B1/00-9/20
17/00
19/00-31/00
G08G1/00-99/00
H04M1/00
1/24-3/00
3/16-3/20
3/38-3/58
7/00-7/16
11/00-11/10
99/00
H04N7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通知エリアに関する情報
および前記通知エリアに在圏する通信端末の位置情報を取得する通信手段と、
前記通知エリア
に関する前記情報を解析して問題事象を検知し、前記問題事象に関連付けて設定された少なくとも二つの誘導情報のいずれかを
、前記問題事象の検知前に取得した前記通知エリアに在圏する
前記通信端末
の前記位置情報と、前記誘導情報に含まれる誘導先の許容量と、に応じて、前記通信端末に割り当てる検知手段と、
前記検知手段によって前記通信端末に割り当てられた前記誘導情報を前記通信端末に送信する通知手段と
、を備え、
前記検知手段は、行動検知技術を用いて前記問題事象を検知するものであり、
前記行動検知技術は、前記通知エリアの情報に含まれる動画映像における特徴を抽出して、当該抽出された特徴を学習して記録しておき、当該記録された特徴と現状の前記動画映像における特徴とを比較して解析することにより、通常時の前記動画映像における特徴と現状の前記動画映像における特徴との違いを前記問題事象として抽出するものである
ことを特徴とする通知システム。
【請求項2】
前記検知手段は、
前記問題事象の周囲に問題事象領域を設定し、前記問題事象領域の位置に対応させて前記誘導情報を前記通信端末に割り当てる請求項1に記載の通知システム。
【請求項3】
前記通信手段は、
前記通知エリアに在圏する前記通信端末の識別情報と
前記通信端末の前記位置情報とを関連付けて取得し、
前記検知手段は、
前記問題事象領域に位置する前記通信端末の前記位置情報と前記問題事象とを関連付ける前記請求項2に記載の通知システム。
【請求項4】
前記通信手段と前記検知手段と前記通知手段とを含む異常検知装置と、
前記異常検知装置と接続され、前記通知エリアに在圏する前記通信端末と通信し合う基地局と、
前記異常検知装置と接続され、前記誘導情報を格納するストレージとを備える請求項1乃至3のいずれか一項に記載の通知システム。
【請求項5】
前記ストレージは、
前記問題事象ごとに複数の前記誘導情報が設定された誘導情報テーブルを格納する請求項4に記載の通知システム。
【請求項6】
前記異常検知装置は、
前記誘導情報に基づいた画像情報を前記通信端末ごとに生成し、生成した前記画像情報を前記通信端末に関連付けて前記基地局に送信し、
前記基地局は、
前記通信端末ごとに生成された前記画像情報を前記通信端末ごとに送信する請求項4または5に記載の通知システム。
【請求項7】
前記通知エリアの情報を収集し、収集した前記通知エリアの情報を前記基地局に送信する情報収集装置を備える請求項4乃至6のいずれか一項に記載の通知システム。
【請求項8】
前記通信端末は、車両に対応する端末を含み、
前記問題事象は、渋滞の発生を含む
ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の通知システム。
【請求項9】
通知エリアに関する情報
および前記通知エリアに在圏する通信端末の位置情報を取得し、
前記通知エリア
に関する前記情報を解析して問題事象を検知し、
前記問題事象に関連付けて設定された少なくとも二つの誘導情報のいずれかを
、前記問題事象の検知前に取得した前記通知エリアに在圏する通信端末
の位置情報と、前記誘導情報に含まれる誘導先の許容量と、に応じて、前記通信端末に割り当て、
前記通信端末に割り当てられた前記誘導情報を前記通信端末に送信する通知方法であって、
前記問題事象の検知に行動検知技術が用いられるものであり、
前記行動検知技術は、前記通知エリアの情報に含まれる動画映像における特徴を抽出して、当該抽出された特徴を学習して記録しておき、当該記録された特徴と現状の前記動画映像における特徴とを比較して解析することにより、通常時の前記動画映像における特徴と現状の前記動画映像における特徴との違いを前記問題事象として抽出するものである
ことを特徴とする通信方法。
【請求項10】
通知エリアに関する情報
および前記通知エリアに在圏する通信端末の位置情報を取得する処理と、
前記通知エリア
に関する前記情報を解析して問題事象を検知する処理と、
前記問題事象に関連付けて設定された少なくとも二つの誘導情報のいずれかを
、前記問題事象の検知前に取得した前記通知エリアに在圏する通信端末
の位置情報と、前記誘導情報に含まれる誘導先の許容量と、に応じて、前記通信端末に割り当てる処理と、
前記通信端末に割り当てられた前記誘導情報を前記通信端末に送信する処理とをコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記問題事象を検知する処理は、行動検知技術を用いるものであり、
前記行動検知技術は、前記通知エリアの情報に含まれる動画映像における特徴を抽出して、当該抽出された特徴を学習して記録しておき、当該記録された特徴と現状の前記動画映像における特徴とを比較して解析することにより、通常時の前記動画映像における特徴と現状の前記動画映像における特徴との違いを前記問題事象として抽出するものである
ことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定エリア内にいる利用者を誘導するための誘導情報を通信端末に通知する通知システム、通知方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
不特定多数の人々が集まる公共施設や商業施設などの特定エリア内で火災やテロなどの異常事態が発生した際には、一部の人が異常に気が付いたとしても、異常に対応できなかった人々が巻き込まれてしまうケースがある。例えば、初詣や花火などのイベント会場で異常事態が発生すると、慌てた人々が将棋倒しになって事故が起こる可能性もある。そのため、特定エリア内において異常事態が発生したことを逸早く検知して、検知された異常事態を特定エリアにいる人々に迅速に通知し、適切な行動を促すことが求められる。
【0003】
特許文献1には、特定エリア内に不審者が侵入した際に、その特定エリア内の利用者を安全に誘導する誘導システムについて開示されている。特許文献1のシステムは、人物を検知する複数の検知部と、利用者に所持される携帯端末と、誘導装置とから構成される。
【0004】
特許文献1の誘導装置は、予め記憶した空間マップと検知部の出力とを用いて人物の位置を検出し、その人物が不審者か利用者かを判定する。特許文献1の誘導装置は、不審者位置から所定範囲の方向に放射状に投光した光が建物構造によって遮られるまでの到達範囲を視野モデルとして求め、その視野モデルを用いて利用者位置から出入口までに至る経路を評価する。そして、特許文献1の誘導装置は、不審者から最も見つかり難い経路を誘導経路として利用者の携帯端末に送信する。
【0005】
特許文献2には、学校等での不測の事態発生の防止や迅速な対処を可能とする防災システムについて開示されている。特許文献2のシステムは、携帯無線端末と、校内ネットワークと、校内ネットワークを介して携帯無線端末と通信するセンタ通信装置と、校内ネットワークと携帯無線端末とを接続するアクセスポイントとを備える。
【0006】
特許文献2の携帯端末は、以下に示す三つの機能のうち、少なくとも一つの機能を有する。第1機能は、携帯無線端末の所持者が管割するメンバーの出欠状況を登録して確認する機能である。第2機能は、携帯無線端末がアクセス可能なアクセスポイントの位置情報をキーとして異常事態発生時の避難経路を検索して取得する機能である。第3機能は、発生した異常内容に応じた緊急通報をアクセス可能なアクセスポイントの位置情報とともに簡単操作でセンタ通信装置へ送信する機能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2015-14864号公報
【文献】特開2006-85250号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1のシステムによれば、不審者に見つかり難い誘導経路を利用者に提供することにより、不審者に見つからないように利用者が移動しやすくなる。しかし、特許文献1のシステムには、利用者が必ずしも安全には移動できるとは限らないという問題点があった。なぜならば、特許文献1のシステムは、誘導経路の長さや誘導先の状態を考慮していないため、誘導経路や誘導先に利用者が殺到した場合に利用者が円滑には移動できない可能性があるためである。
【0009】
特許文献2のシステムによれば、異常の発生をその内容を含めてセンタ通信装置に迅速に通報し、携帯無線端末を用いた点呼や避難誘導などを正確且つ迅速に行うことができる。しかし、特許文献2のシステムには、無線携帯端末の利用者の位置に応じた適切な情報を提供できないという問題点があった、なぜならば、特許文献2のシステムでは、無線携帯端末の位置情報を正確に把握できないためである。
【0010】
本発明の目的は、上述した課題を解決し、通知エリア内で問題事象が発生した際に、通知エリアに在圏する通信端末の利用者に対して適切な誘導情報を通知できる通知システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様の通知システムは、通知エリアに関する情報を取得する通信手段と、通知エリアの情報を解析して問題事象を検知し、問題事象に関連付けて設定された少なくとも二つの誘導情報のいずれかを通知エリアに在圏する通信端末に割り当てる検知手段と、検知手段によって通信端末に割り当てられた誘導情報を通信端末に送信する通知手段とを備える。
【0012】
本発明の一態様の通知方法においては、通知エリアに関する情報を取得し、通知エリアの情報を解析して問題事象を検知し、問題事象に関連付けて設定された少なくとも二つの誘導情報のいずれかを通知エリアに在圏する通信端末に割り当て、通信端末に割り当てられた誘導情報を通信端末に送信する。
【0013】
本発明の一態様のプログラムは、通知エリアに関する情報を取得する処理と、通知エリアの情報を解析して問題事象を検知する処理と、問題事象に関連付けて設定された少なくとも二つの誘導情報のいずれかを通知エリアに在圏する通信端末に割り当てる処理と、通信端末に割り当てられた誘導情報を通信端末に送信する処理とをコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、通知エリア内で問題事象が発生した際に、通知エリアに在圏する通信端末の利用者に対して適切な誘導情報を通知できる通知システムを提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る通知システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態に係る通知システムの通信対象である通信端末および情報取得装置が通知エリア内に位置する様子を示す概念図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態に係る通知システムの異常検知装置の構成を示すブロック図である。
【
図4】本発明の第1の実施形態に係る通知システムの誘導情報ストレージの構成を示すブロック図である。
【
図5】本発明の第1の実施形態に係る通知システムの誘導情報ストレージに格納される誘導情報テーブルの一例を示す概念図である。
【
図6】本発明の第1の実施形態に係る通知システムの異常検知装置の動作について説明するためのフローチャートである。
【
図7】本発明の第1の実施形態に係る通知システムの誘導情報ストレージの動作について説明するためのフローチャートである。
【
図8】本発明の第1の実施形態に係る通知システムによって通信端末に送信される誘導先について説明するための概念図である。
【
図9】本発明の第1の実施形態に係る通知システムによって通信端末に送信される誘導先について説明するための概念図である。
【
図10】本発明の第1の実施形態に係る通知システムによって通信端末に送信される誘導先について説明するための概念図である。
【
図11】本発明の第1の実施形態に係る通知システムによって通信端末に送信される誘導先について説明するための概念図である。
【
図12】本発明の第1の実施形態に係る通知システムの適用例について説明するためのフローチャートである。
【
図13】本発明の第1の実施形態に係る通知システムの適用例について説明するためのフローチャートである。
【
図14】本発明の第2の実施形態に係る通知システムの異常検知装置の構成を示すブロック図である。
【
図15】本発明の第2の実施形態に係る通知システムが生成する画像情報を通信端末の画面に表示させる一例を示す概念図である。
【
図16】本発明の第3の実施形態に係る通知システムの通信対象である通信端末および情報取得装置が通知エリア内に位置する様子を示す概念図である。
【
図17】本発明の各実施形態に係る通知システムの異常検知装置を実現するハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。ただし、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい限定がされているが、発明の範囲を以下に限定するものではない。なお、以下の実施形態の説明に用いる全図においては、特に理由がない限り、同様箇所には同一符号を付す。また、以下の実施形態において、同様の構成・動作に関しては繰り返しの説明を省略する場合がある。
【0017】
(第1の実施形態)
(構成)
まず、本発明の第1の実施形態に係る通知システムの構成と、その通知システムの通信対象である通信端末が位置する通知エリアの概要について、図面を参照しながら説明する。
【0018】
図1は、本実施形態に係る通知システム1の構成を示すブロック図である。
図2は、通知システム1の通信対象である通信端末40および情報取得装置50が通知エリア100内に配置されている様子を示す概念図である。
【0019】
図1のように、本実施形態に係る通知システム1は、基地局10、異常検知装置20、ストレージ30を備える。
図2のように、通知システム1は、少なくとも一つの通信端末40と無線通信によって接続される。また、通知システム1は、少なくとも一つの情報取得装置50と接続される。
【0020】
基地局10は、通知エリア100内の通信端末40と無線通信する無線局である。また、基地局10は、少なくとも一つの情報取得装置50と通信可能に接続される。基地局10は、情報取得装置50と無線通信してもよいし、有線通信してもよい。例えば、基地局10は、フェムトセルや、無線LAN(Local Area Network)のアクセスポイントなどによって実現される。基地局10は、図示しない基地局制御装置によって制御される。
【0021】
基地局10は、通信端末40の識別情報と位置情報とをその通信端末40から取得する。また、基地局10は、情報取得装置50から通知エリア100内の情報を取得する。基地局10は、通信端末40の識別情報および位置情報と、通知エリア100内の情報とを異常検知装置20に送信する。
【0022】
また、基地局10は、異常検知装置20によって通知エリア100内における異常(以下、問題事象)が検知された際に、各通信端末40に送信する誘導情報を異常検知装置20から取得する。基地局10は、異常検知装置20から取得した誘導情報を個々の通信端末40に送信する。
【0023】
誘導情報とは、通知エリア100内で検知された問題事象に対応させて、個々の通信端末40の利用者をどの誘導先に誘導すればよいのかを示す情報である。例えば、誘導情報は、通信端末40の位置情報に基づいて、異常が発生した位置(以下、問題事象領域)から通信端末40が遠ざかるように誘導する情報を含む。本実施形態において、誘導情報は、ある問題事象が発生した際に個々の通信端末40が異なった誘導先に分散して誘導されるように、単一の問題事象に関して複数の誘導先を含む。なお、誘導情報は、個々の通信端末40のうちいくつかが同じ誘導先に誘導されるように設定されてもよい。また、誘導先に到達するまでの経路を誘導情報に含めてもよい。
【0024】
異常検知装置20は、通信端末40の識別情報および位置情報と、通知エリア100内の情報とを基地局10から取得する。異常検知装置20は、基地局10から取得した通知エリア100内の情報を解析し、通知エリア100内における問題事象を検知する。例えば、異常検知装置20は、通知エリア100内における画像情報や音声情報などの情報を取得し、その情報を用いて問題事象を検知する。例えば、異常検知装置20は、通知エリア100内において取得される情報から検知される不審者や危険物などを問題事象として検知する。
【0025】
例えば、異常検知装置20は、通知エリア100内における画像情報によって問題事象を検出する場合、高度映像解析行動検知技術を用いる。高度映像解析行動検知技術とは、静止画や動画などの映像情報を解析して人や動物、物の形や動きの特徴を抽出し、通常時とは異なる特徴を自動で解析する技術である。
【0026】
行動検知技術には、一般的な画像処理による検知技術と比較して以下のような特長がある。第1に、行動検知技術では、対象となる動画映像(以下、対象映像)から特徴を抽出し、抽出した特徴を学習して記録しておく。第2に、行動検知技術では、記録された特徴と現状の対象映像の特徴とを比較して解析することによって、通常時の対象映像の特徴と、現状の対象映像の特徴との違いを問題事象として抽出する。
【0027】
例えば、異常検知装置20は、動物や人、物の形だけではなく、それらの動きを解析することによって、対象映像における通常時との違いを問題事象として検知する。そして、異常検知装置20は、問題事象を検出すると、その問題事象の発生をトリガーとして、映像記録やアラーム通知を行う。例えば、異常検知装置20は、通常時の特徴と対象映像の特徴とを比較し、比較した特徴の類似度や相違を数値で表示する。
【0028】
本実施形態の手法では、特徴の変化を抽出することによって異常を検知するため、画像そのものを比較するような一般的案手法と比較して演算量が少なくて済む。そのため、本実施形態の手法を実現するソフトウェアは、組込み用のCPU(Central Processing Unit)でもリアルタイムで動作する。また、本実施形態の手法は、使用用途に応じて、ハードウェアやソフトウェア、システムなどといった多様な提供形態を用いて実現できる。
【0029】
本実施形態では、異常検知装置20による行動検知技術と、通信端末40へのアラーム発信機能とを組み合わせることによって、個々の通信端末40に問題事象の発生を通知する。また本実施形態では、問題事象の発生をトリガーとして、個々の通信端末40の位置情報に応じた誘導先を個々の通信端末40に通知する。特に、本実施形態では、個々の通信端末40ができるだけ異なった誘導先に分散して誘導されるための誘導情報が適用される。
【0030】
異常検知装置20は、通知エリア100内における問題事象を検知すると、検知した問題事象に対応する誘導情報をストレージ30から取得する。異常検知装置20は、通知エリア100内における問題事象を検知すると、通知エリア100内に在圏する個々の通信端末40に対して問題事象が発生したことを通知するとともに、誘導先に関する情報(以下、誘導情報)を通信端末40ごとに通知する。
【0031】
ストレージ30は、通信端末40を利用する利用者に対して送信する誘導情報を格納するストレージである。例えば、ストレージ30は、通知エリアや問題発生場所(問題事象領域とも呼ぶ)、問題事象、誘導先、誘導先への経路などに関する情報を含む誘導情報をテーブル化した誘導情報テーブルを格納する。誘導情報テーブルは、複数の誘導情報を含み、単一の問題事象に関して少なくとも二つの誘導先に関する情報を含む。
【0032】
通信端末40は、利用者が通知システム1を利用するために用いる無線端末である。通信端末40は、自身の位置情報を取得する機能を有し、自身の識別情報および位置情報を通知システム1に送信する。例えば、通信端末40は、フェムトセルや、無線LAN(Local Area Network)のアクセスポイントなどの基地局と通信し合う無線端末として実現される。
【0033】
通信端末40は、自身の位置情報を取得する機能を有する。例えば、通信端末40は、GPS(Global Positioning System)機能を用いて自身の位置情報を須得する。また、通信端末40は、通知エリア100内において通知システム1によって提供される誘導情報を受信する。通信端末40は、一般的なスマートフォンやタブレット、携帯電話などの移動可能な無線端末によって実現される。
【0034】
情報取得装置50は、通知エリア100内の情報を取得する。例えば、情報取得装置50は、通知エリア100内の動画像を撮影するカメラによって実現される。また、例えば、情報取得装置50は、通知エリア100内における物体の移動を検知するセンサによって実現される。また、例えば、情報取得装置50は、音声情報を取得するマイクによって実現される。情報取得装置50は、通知エリア100内の情報を得ることさえできれば、通知エリア100内に配置されてもよいし、通知エリア100外に配置されてもよい。
【0035】
以上が、本実施形態の通知システムの構成と、その通知システムの通信対象である通信端末が位置する通知エリアの概要についての説明である。続いて、通知システム1の構成要素について詳細に説明する。
【0036】
〔異常検知装置〕
図3は、異常検知装置20の構成を示すブロック図である。異常検知装置20は、通信手段21、問題事象検知手段22、誘導先通知手段23を有する。
【0037】
通信手段21は、基地局10およびストレージ30に接続され、通信端末40の識別情報および位置情報と、通知エリア100に関する情報とを基地局10から取得する。また、通信手段21は、問題事象検知手段22が問題事象を検知した際に受信する問題事象検知手段22からの信号(以下、送信指示信号)に応じて、ストレージ30からその問題事象に関する誘導情報を取得する。
【0038】
通信手段21は、通信端末40の識別情報および位置情報と、通知エリア100の情報とを問題事象検知手段22に出力する。また、通信手段21は、問題事象の発生に伴って取得した誘導情報を問題事象検知手段22に出力する。
【0039】
問題事象検知手段22(検知手段とも呼ぶ)は、通信端末40の識別情報および位置情報と、通知エリア100の情報とを通信手段21から取得する。問題事象検知手段22は、取得した通知エリア100の情報を分析して、通知エリア100において発生した問題事象を検知する。
【0040】
問題事象検知手段22は、通知エリア100における問題事象を検知すると、その問題事象に関する誘導情報をストレージ30から取得するための送信指示信号を通信手段21に送信する。問題事象検知手段22は、取得した誘導情報を個々の通信端末40に割り当てる。例えば、問題事象検知手段22は、個々の通信端末40の識別情報と誘導情報とを対にして組み合わせた情報を生成する。
【0041】
問題事象検知手段22は、個々の通信端末40に割り当てた誘導情報を誘導先通知手段23に出力する。例えば、問題事象検知手段22は、個々の通信端末40の識別情報と、個々の通信端末40に割り当てた誘導情報との組み合わせに関する情報を誘導先通知手段23に出力する。
【0042】
誘導先通知手段23(通知手段とも呼ぶ)は、個々の通信端末40に割り当てられた誘導情報を問題事象検知手段22から取得する。誘導先通知手段23は、個々の通信端末40に割り当てられた誘導情報を基地局10に送信する。
【0043】
以上が、異常検知装置20の構成に関する説明である。
【0044】
〔ストレージ〕
図4は、ストレージ30の構成を示すブロック図である。ストレージ30は、通信手段31、誘導情報ストレージ32を有する。
【0045】
通信手段31は、通知エリア100で発生しうる問題事象に対応する誘導情報を図示しない上位システムなどから事前に受信し、受信した誘導情報を誘導情報ストレージ32に格納しておく。
【0046】
通信手段31は、問題事象が発生した際に、異常検知装置20から送信指示信号を受信する。通信手段31は、受信した送信指示信号に応じて、発生した問題事象に対応する誘導情報を誘導情報ストレージ32から取得し、取得した誘導情報を異常検知装置20に送信する。
【0047】
誘導情報ストレージ32は、通知エリア100で発生しうる問題事象に対応する誘導情報を通信手段31から取得して格納する記憶装置である。例えば、誘導情報ストレージ32には、通知エリア100に関して、問題発生場所および問題事象ごとに、複数パターンの誘導先を格納しておく。また、誘導情報ストレージ32には、誘導先への経路を格納しておいてもよい。
【0048】
以上が、ストレージ30に関する説明である。
【0049】
〔誘導情報テーブル〕
ここで、ストレージ30に格納される誘導情報の一形態である誘導情報テーブルについて一例を挙げて説明する。
図5は、ストレージ30に格納される誘導情報テーブル320の一例である。
【0050】
誘導情報テーブル320は、通知エリア100に関して、問題発生場所および問題事象ごとに、複数パターンの誘導先を含むテーブルである。
図5の誘導情報テーブル320は、通知エリア、問題発生場所、問題事象、誘導先、誘導先への経路に関する情報を含む。誘導情報テーブル320では、誘導先と、誘導先への経路とが誘導情報に相当する。なお、誘導情報テーブル320は、通知エリア、問題発生場所、問題事象、誘導先、誘導先への経路以外の情報を含んでいてもよい。
【0051】
例えば、誘導情報テーブル320によると、4階の南側トイレで火災が発生した場合、「1階」、「待機」および「屋上」が誘導先として抽出される。また、誘導情報テーブル320によると、「北側階段から降りる」、「待機」、「北側階段から上がる」という三つの経路が誘導先への経路として抽出される。
【0052】
例えば、誘導情報テーブル320によると、4階の南側トイレでテロが発生した場合、「1階」および「待機」が誘導先として抽出される。また、誘導情報テーブル320によると、「北側階段から降りる」と「待機」という二つの経路が誘導情報テーブル320から誘導先への経路として抽出される。
【0053】
以上が、誘導情報テーブル320に関する説明である。なお、誘導情報テーブル320は、ストレージ30に格納される誘導情報の一例であって、本実施形態の誘導情報を限定するわけではない。
【0054】
(動作)
次に、本実施形態の通知システム1の動作について図面を参照しながら説明する。
図6は、通知システム1の異常検知装置20の動作について説明するためのフローチャートである。
図7は、通知システム1のストレージ30の動作について説明するためのフローチャートである。
【0055】
〔異常検知装置〕
まず、
図5のフローチャートを用いて異常検知装置20の動作について説明する。
【0056】
図5において、まず、異常検知装置20は、各通信端末40の識別情報および位置情報と、通知エリア100に関する情報を基地局10から取得する(ステップS11)。
【0057】
異常検知装置20は、通知エリア100に関する情報を検証する(ステップS12)。例えば、異常検知装置20は、高度映像解析行動検知技術を用いて問題事象を検知する。
【0058】
異常検知装置20は、通知エリア100に問題事象を検知した場合(ステップS13でYes)、誘導情報を送信することを指示する送信指示信号をストレージ30に送信する(ステップS14)。すなわち、異常検知装置20は、問題発生場所をキーとして、ストレージ30に誘導情報を問い合わせる。一方、異常検知装置20が通知エリア100に異常を検知していない場合(ステップS13でNo)、ステップS11に戻って、各通信端末40の識別情報および位置情報と、通知エリア100に関する情報を基地局10から取得する。
【0059】
異常検知装置20は、送信指示信号に応じて送信された誘導情報を取得する(ステップS15)。
【0060】
異常検知装置20は、取得した誘導情報をそれぞれの通信端末40に関連付けて基地局10へ送信する(ステップS16)。
【0061】
以上が、
図5を用いた異常検知装置20の動作に関する説明である。
【0062】
〔誘導情報ストレージ〕
次に、
図6のフローチャートを用いてストレージ30の動作について説明する。
【0063】
図6において、まず、ストレージ30は、通知エリア100で発生しうる問題事象に対応する誘導情報を外部から取得して格納しておく(ステップS21)。
【0064】
ストレージ30は、異常検知装置20から送信指示信号を受信する(ステップS22でYes)と、送信指示信号に対応する誘導情報を異常検知装置20に送信する。一方、ストレージ30が異常検知装置20から送信指示信号を受信していない場合(ステップS22でNo)、ストレージ30は所定期間待機する。なお、ストレージ30が異常検知装置20から送信指示信号を受信していない場合(ステップS22でNo)、ステップS21に戻って外部から誘導情報を取得するようにしてもよい。
【0065】
以上が、
図6を用いた異常検知装置20の動作に関する説明である。
【0066】
以上のように、本実施形態の通知システム1によれば、通知エリア内で問題事象が発生した際に、通知エリアに在圏する通信端末に対して適切な誘導先を通知できる。
【0067】
(適用例)
ここで、本実施形態の通知システム1について適用例を挙げて具体的に説明する。
【0068】
図8~
図11は、通知エリア100の内部にいる利用者が所持する通信端末40-1~nを誘導先110-1~nに導く例を示す概念図である(n:自然数)。なお、
図8~
図11において、通信端末40-1~nのそれぞれを区別しないときは、通信端末40と記載する。同様に、誘導先110-1~nのそれぞれを区別しないときは、誘導先110と記載する。
【0069】
図8のように、通知システム1は、情報取得装置50から受信した情報を用いて不審者401を検出すると、不審者401の周囲に問題事象領域400を設定する。このとき、通知システム1は、個々の通信端末40に対して誘導情報を送信する。すなわち、通知システム1は、不審者401の周囲の問題事象領域400に通信端末40が入り込まないよう誘導先110に向けて通信端末40を導く誘導情報を送信する。例えば、異常検知装置20は、それぞれの通信端末40の誘導先への経路が問題事象領域400に入り込まない誘導条件を通信端末40に割り当てる。
図8の例では、各通信端末40は、互いに異なる誘導先110に分散して導かれる。
【0070】
図9は、情報取得装置50から受信した情報を用いて検出された不審者を、不審者が所持する通信端末40-Sによって識別する例である。例えば、通知システム1は、不審者を検出すると、その不審者の周囲に設定した問題事象領域400に位置する通信端末40を不審者が所持する通信端末40-Sであるとみなす。そして、通知システム1は、通信端末40-Sの識別情報に関連付けて問題事象領域400を再設定する。通信端末40-Sの識別情報と問題事象領域400とが関連付けられれば、不審者が移動する場合に、情報取得装置50から受信した情報ではなく、通信端末40-Sの位置情報を用いて不審者の位置を特定できる。
【0071】
図10は、通知エリア100の内部で不審者401が移動する際の誘導例に関する概念図である。
図10の例では、不審者401が矢印の方向(
図10の右向き)に移動する。不審者401の移動に伴って、その不審者401の周囲に設定される問題事象領域400も移動する。異常検知装置20は、問題事象領域400が通信端末40に接近するか否かを位置情報から見積もり、接近状況に応じた誘導情報を通信端末40に割り当てる。異常検知装置20は、問題事象領域400が通信端末40に接近している場合は、その通信端末40に対して、近くの誘導先110に迅速に導くための緊急情報を通知する。
【0072】
例えば、通知システム1は、不審者401との距離が小さくなる傾向にある通信端末40-3、nに対しては、不審者401から緊急に遠ざけるために、それぞれの誘導先110-3、nに急いで避難するように通知する。例えば、通知システム1は、不審者401との距離が小さくなる傾向にある通信端末40-1~nに対して、不審者401が近づいてくることを警告する。
図10においては、不審者401が近づいてくる通信端末40-3、nから誘導先110-3、nへと向かう矢印の太さを、不審者401が近づいてこない通信端末40-2を誘導先110-2に導く矢印よりも太くして表現している。
【0073】
また、
図10においては、不審者401との距離が大きくなる傾向にある通信端末40-1、4に対しては、その場に待機することを指示し、現状の通信端末40-1、4の位置に誘導先110-1、4を設定する。
図10のような誘導方法では、全ての通信端末40を誘導先110に導くわけではないので、通信端末40を所持する利用者が通知エリア100の出入口に殺到して2次被害が発生することを低減できる。
【0074】
図11は、不審者401を捕らえる利用者が所持する通信端末40-2を、不審者401の周囲の問題事象領域400に導く例である。
図11の場合、通知システム1は、通信端末40-2の誘導先を問題事象領域400に設定する。
図11の例では、通信端末40-2には、問題事象領域400に誘導先が設定される誘導情報が通知される。
【0075】
図8~
図11の例では、通知システム1は、不審者401の周囲に設定される問題事象領域400を避けるための誘導先110を含む誘導情報を通信端末40に送信する。通信端末40の利用者は、通信端末40に通知された誘導情報に従って誘導先110に分散誘導される。
【0076】
ここで、本実施形態の通知システムを人や車両の移動に適用する例について説明する。
【0077】
図12は、通知エリア100の内部の道路を左から右に向けて通行する利用者を、問題事象領域400を避けるように目的地200に誘導する例を示す概念図である。
図12の例では、地震等の災害によって問題事象領域400が通行できない状態となっているものとする。なお、通知エリア100の外では、図示しない別の通知システム1によって通信端末40を誘導してもよいし、通信端末40を誘導しないようにしてもよい。
【0078】
通知システム1は、問題事象領域400を避けるために、誘導先110-1に誘導するための誘導情報を通信端末40-1に通知する。また、通知システム1は、問題事象領域400を避けるために、誘導先110-2に誘導するための誘導情報を通信端末40-2に通知する。すなわち、通知システム1は、通信端末40-1と通信端末40-2とを異なる誘導先110を経て目的地200に導く誘導経路を各通信端末40に通知する。
【0079】
図12の例では、問題事象領域400が目的地200への途上にある状況でその目的地200に到達するためにいくつかの経路がある場合、通知システム1は、問題事象領域400を避ける経路を通信端末40に通知する。
【0080】
例えば、通知システム1は、誘導先110-1と誘導先110-2とに分散させて利用者を誘導するために、通信端末40の数に応じて、通信端末40の誘導先を割り振る。例えば、通信端末40が10台の場合、通知システム1は、5台に誘導先110-1を通知し、別の5台に誘導先110-2を通知する。また、通知システム1は、誘導先の許容量に応じて、通信端末40の誘導先を割り振ってもよい。例えば、誘導先110-1と比べて誘導先110-2が狭い場合、通知システム1は、7台の通信端末40に誘導先110-1を通知し、3台の通信端末40に誘導先110-2を通知するようにしてもよい。
【0081】
図13は、通知エリア100の内部の道路を左から右に向けて通行する自動車を、問題事象領域400を避けるように誘導する例を示す概念図である。
図13の例では、上から2番目の道路の問題事象領域400で渋滞が発生して通行できない状態となっているものとする。なお、
図13の例では、通知エリア100の外では、図示しない別の通知システム1によって通信端末40を搭載する自動車を誘導するものとする。
【0082】
図13の例では、通知システム1は、問題事象領域400を避けて、通信端末40-1が搭載される自動車を誘導先110-1に導く。また、通知システム1は、問題事象領域400を避けて、通信端末40-2が搭載される自動車を誘導先110-2に導く。
図13の例でも、通信端末40-1と通信端末40-2とは異なる誘導先110に向けて誘導される。
【0083】
例えば、本実施形態では、フェムトセルや、無線LANのアクセスポイントなどの基地局と、誘導情報ストレージとを高度映像解析行動検知システムに設置しておく。そして、通常とは異なる状況が検知された際に、本実施形態の通知システムは、誘導情報ストレージに格納された誘導情報を通信端末に送信する。例えば、本実施形態の通知システムは、基地局に在圏している通信端末に、設備の見取り図や問題事象、問題事象の発生個所、自分の現在地、分散した避難先、分散した避難先へのルートなどの誘導情報を通知する。
【0084】
例えば、本実施形態の通知システムは、高度映像解析行動検知システムからの異常状態発例えば、オリンピックや万国博覧会などのような国際的なイベントでは、会場となる特定エリア内に異なる言語を話す人々が混在することになる。生情報に基づいて、特定エリア内の通信端末へアラートするとともに、分散した避難場所を通信端末に向けて一斉に配信する。すなわち、本実施形態によれば、利用者の言語に合わせた誘導情報を通信端末に通知することによって、言語の異なる各利用者をスムーズに避難誘導することが可能となる。
【0085】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態に係る通知システムについて図面を参照しながら説明する。
図14は、本実施形態に係る通知システムが備える異常検知装置20-2の構成を示すブロック図である。本実施形態に係る通知システムの基地局10およびストレージ30は、第1の実施形態の通知システム1と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0086】
図14のように、異常検知装置20-2は、通信手段21、問題事象検知手段22および誘導先通知手段23に加えて、画像生成手段24を有する。通信手段21、問題事象検知手段22および誘導先通知手段23の機能は、第1の実施形態と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0087】
問題事象検知手段22は、個々の通信端末40に割り当てた誘導情報を画像生成手段24に出力する。
【0088】
画像生成手段24は、個々の通信端末40に割り当てた誘導情報を問題事象検知手段22から取得する。画像生成手段24は、取得した誘導情報に基づいて画像情報を生成する。例えば、画像生成手段24は、通信端末40や誘導先110を通知エリア100の地図や見取り図に配置した画像を通信端末40の画面に生成するための画像情報を生成する。画像生成手段24は、生成した画像情報を誘導先通知手段23に出力する。
【0089】
誘導先通知手段23は、画像生成手段24から取得した画像情報を基地局10に出力する。
【0090】
図15は、通信端末40の画面41に画像情報42を表示する一例を示す概念図である。
図15の画像情報42は、
図13における通知エリア100を反時計回りに90度回転させた状態を示す。
図15の例は、画面41の中央下部に表示された車両を左上の誘導先110に誘導することを示す。
図15のように、画像情報42をナビゲーションシステムや携帯端末の画面41に画像として表示させれば、利用者は誘導先110までの経路を視覚的に把握できる。
【0091】
以上のように、本実施形態によれば、誘導情報に基づいて生成した画像を通信端末の画面に表示させるため、通信端末の利用者に誘導先までの経路を視覚的に示すことができる。
【0092】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態に係る通知システムについて図面を参照しながら説明する。
図16は、本実施形態の通知システム2の構成を示す概念図である。本実施形態の通知システム2は、情報取得装置50が取得する通知エリア100の内部の情報を収集する情報収集装置60を備える。本実施形態の通知システム2は、第1の実施形態の通知システム1を含む。
【0093】
情報収集装置60は、複数の情報取得装置50に有線または無線によって接続され、少なくとも一つの情報収集装置50が取得した通知エリア100の内部の情報を収集する。情報収集装置60は、収集した情報を通知システム1に向けて送信する。情報収集装置60は、複数の情報取得装置50を集中管理する管理装置やデータロガーなどによって実現される。
【0094】
以上のように、本実施形態によれば、通知エリアの情報を情報収集装置によって一括して処理できるため、通知システム側の処理能力を下げることができる。また、本実施形態によれば、通知システムが通知エリアの情報を取得するための通信頻度を減らすことができる。
【0095】
(ハードウェア構成)
ここで、本実施形態に係る通知システムの演算処理や制御処理を実行するハードウェア構成について、
図17のコンピュータ90を一例として挙げて説明する。なお、
図17のコンピュータ90は、各実施形態の通知システムを実現するための構成例であって、本発明の範囲を限定するものではない。また、本実施形態に係る通知システムは、
図17に図示した構成の全てを備えていなくてもよいし、
図17に図示していない構成が追加されていてもよい。
【0096】
図17のように、コンピュータ90は、プロセッサ91、主記憶装置92、補助記憶装置93、入出力インターフェース95および通信インターフェース96を備える。
図17においては、インターフェースをI/F(Interface)と略して表記している。プロセッサ91、主記憶装置92、補助記憶装置93、入出力インターフェース95および通信インターフェース96は、バス99を介して互いにデータ通信可能に接続される。また、プロセッサ91、主記憶装置92、補助記憶装置93および入出力インターフェース95は、通信インターフェース96を介して、インターネットやイントラネットなどのネットワークに接続される。
【0097】
プロセッサ91は、補助記憶装置93等に格納されたプログラムを主記憶装置92に展開し、展開されたプログラムを実行する。本発明の各実施形態においては、コンピュータ90にインストールされたソフトウェアプログラムを用いる構成とすればよい。プロセッサ91は、本実施形態に係る通知システムの処理系統による演算処理や制御処理を実行する。
【0098】
主記憶装置92は、プログラムが展開される領域を有する。主記憶装置92は、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)などの揮発性メモリや、MRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)などの不揮発性メモリによって実現できる。
【0099】
補助記憶装置93は、種々のデータを記憶する。補助記憶装置93は、ハードディスクやフラッシュメモリなどのローカルディスクによって構成される。なお、種々のデータを主記憶装置92に記憶させる構成とし、補助記憶装置93を省略してもよい。
【0100】
入出力インターフェース95は、コンピュータ90と周辺機器との接続規格に基づいて、コンピュータ90と周辺機器とを接続する。通信インターフェース96は、規格や仕様に基づいて、インターネットやイントラネットなどのネットワークに接続する。入出力インターフェース95および通信インターフェース96は、外部機器と接続するインターフェースとして共通化してもよい。
【0101】
必要に応じて、キーボードやマウス、タッチパネルなどの入力機器をコンピュータ90に接続できるように構成してもよい。それらの入力機器は、情報や設定の入力に使用される。なお、タッチパネルを入力機器として用いる場合は、表示機器の表示画面が入力機器のインターフェースを兼ねる構成とすればよい。プロセッサ91と入力機器との間のデータ通信は、入出力インターフェース95に仲介させる。また、コンピュータ90には、画像情報を表示するための表示機器を備え付けてもよい。表示機器は、入出力インターフェース95を介してコンピュータ90に接続する。
【0102】
通信インターフェース96は、ネットワークを通じて、外部のシステムや装置に接続される。通信インターフェース96に無線通信する機能を持たせ、種々のデータを無線通信で送受信するように構成してもよい。
【0103】
また、必要に応じて、コンピュータ90にリーダライタを備え付けてもよい。リーダライタは、バス99に接続される。リーダライタは、プロセッサ91と図示しない記録媒体(プログラム記録媒体)との間で、記録媒体からのデータ・プログラムの読み出し、コンピュータ90の処理結果の記録媒体への書き込みなどを仲介する。記録媒体は、例えばUSB(Universal Serial Bus)メモリやSD(Secure Digital)カードなどの半導体記録媒体などで実現できる。また、記録媒体は、フレキシブルディスクなどの磁気記録媒体、CD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)などの光学記録媒体やその他の記録媒体によっても実現できる。
【0104】
以上が、本発明の各実施形態に係る通知システムを可能とするためのハードウェア構成の一例である。なお、
図17のコンピュータ90は、本発明の各実施形態に係る通知システムを可能とするためのハードウェア構成の一例であって、本発明の範囲を限定するものではない。
【0105】
本発明の各実施形態に係る通知システムを構成する要素の少なくともいずれかは、
図17のコンピュータ90によって実現される。例えば、本発明の各実施形態に係る通知システムを構成する要素は、
図17のコンピュータ90において動作するソフトウェアによって実現できる。また、本発明の各実施形態に係る通知システムを構成する要素は、各構成要素の機能を有する回路によって実現してもよい。
【0106】
また、本発明の各実施形態に係る通知システムに関する処理をコンピュータに実行させるプログラムも本発明の範囲に含まれる。本発明の各実施形態に係るプログラムは、通信端末装置や基地局装置、基地局制御装置、基地局の上位装置、上記端末装置のオペレーティングシステムやアプリケーション等によって実現される。さらに、本発明の各実施形態に係るプログラムを記録したプログラム記録媒体も本発明の範囲に含まれる。
【0107】
以上、実施形態を参照して本発明を説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0108】
1 通知システム
10 基地局
20 異常検知装置
21 通信手段
22 問題事象検知手段
23 誘導先通知手段
24 画像生成手段
30 ストレージ
31 通信手段
32 ストレージ
40 通信端末
50 情報取得装置
60 情報収集装置