(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】浴室及びその施工方法
(51)【国際特許分類】
E04H 1/12 20060101AFI20221220BHJP
【FI】
E04H1/12 301
(21)【出願番号】P 2017252881
(22)【出願日】2017-12-28
【審査請求日】2020-11-26
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】夏目 昌寿
【審査官】兼丸 弘道
(56)【参考文献】
【文献】実開昭53-025761(JP,U)
【文献】実開昭59-142381(JP,U)
【文献】特開平06-158939(JP,A)
【文献】特開2007-211524(JP,A)
【文献】特開2015-187369(JP,A)
【文献】実開昭58-114197(JP,U)
【文献】特開平01-210586(JP,A)
【文献】特開平01-210587(JP,A)
【文献】実開昭63-136194(JP,U)
【文献】実開平05-072292(JP,U)
【文献】特開2001-207658(JP,A)
【文献】特開昭63-132615(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 1/12
A47K 3/02,3/04-3/07,4/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向に長い浴槽と、
前記浴槽の周縁に設けられ、
前記浴槽の縁から立ち上がるように形成された立壁部を有する壁載置部と、
前記立壁部の浴槽側の面に取り付けられたスペーサと、
前記浴槽の長手方向の縁に支持されて、枠を有する窓と、
を備え、
前記窓の前記枠のうち下枠の前記浴槽側に形成された垂下片の付当て部が、前記スペーサに対して前記浴槽側から当接し、
前記スペーサが前記縁の上面側に配置されていることを特徴とする浴室。
【請求項2】
前記窓は、前記浴槽の長手方向の全幅にわたって前記縁に支持されていることを特徴とする請求項1に記載の浴室。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の浴室の施工方法であって、
左右両側の各々に索状物が縦方向に巻きつけられた前記窓を準備する窓準備工程と、
前記窓準備工程において巻き付けられた前記索状物を把持して、前記窓を前記浴槽の長手方向の縁に載置する窓載置工程を備えていることを特徴とする浴室の施工方法。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の浴室の施工方法であって、
前記浴室の内側から前記窓を前記浴槽の長手方向の縁に載置する窓載置工程を備えており、
前記窓載置工程において、前記浴槽の長手方向の一対の縁に掛け渡した枕木の上に前記窓を載置することを特徴とする浴室の施工方法。
【請求項5】
前記浴室の4隅に上下方向に延びる4本のコーナーポストと、
隣り合う前記コーナーポストの上端部を互いに連結する複数の天井つなぎ部材と、
をさらに備えた請求項1又は2に記載の浴室の施工方法であって、
前記窓載置工程の前に、前記窓が隣接しない前記コーナーポストの少なくとも一方の前記コーナーポストを挟んで2つの壁部材を前記コーナーポストに取り付ける壁部材取り付け工程を備えていることを特徴とする請求項3又は4に記載の浴室の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は浴室及びその施工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
非特許文献1に開示された組み立て式の浴室において、浴室の壁面の一部がガラス窓である構成の場合、ガラス窓は通常の壁面より重量が重いため、作業者の手で把持して取り扱うより、吸盤等で構成された治具を用いて取り扱うこと場合が多い。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】"パナソニック取付位置説明書バスルーム[本体編]"、P.79-81、[online]、[平成29年12月12日検索]、インターネット〈https://www2.panasonic.biz/ideacontout/2017/12/08/2017120800220004.PDF〉
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、非特許文献1に開示された浴室は、ガラス窓の下側にガラス窓を載置するためのパネルが必要である。
また、この浴室は、吸盤等で構成された治具を使わないと、ガラス窓が不用意に倒れた場合に、とっさの対応ができず、ガラス窓が破損してしまうおそれがある。しかし、吸盤等で構成された治具は、ガラス窓のガラスに吸着してガラス窓を保持するものであるため、ガラスを囲む枠がガラスに対してずれてしまうおそれがあり、ガラス窓の取り付けが難しい。
【0005】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、容易に組み立てることができる浴室、及び容易に組み立てることができる浴室の施工方法を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1発明の浴室は、一方向に長い浴槽と、
前記浴槽の長手方向の縁に支持されて、枠を有する窓と、
を備えていることを特徴とする。
【0007】
第1発明の浴室は、浴槽の長手方向の縁が枠を有する窓を支持する構造であり、窓の設置が簡単である。
【0008】
第2発明の浴室の施工方法は、一方向に長い浴槽と、前記浴槽の長手方向の縁に支持されて、枠を有する窓とを備えた浴室の施工方法であって、索状物が縦方向に巻きつけられた窓を準備する窓準備工程と、前記索状物を把持して、前記窓を前記浴槽の長手方向の縁に載置する窓載置工程を備えていることを特徴とする。
【0009】
第2発明の浴室の施工方法は、窓を施工する作業者が索状物を把持することによって、窓の運搬や設置が容易である。
【0010】
第3発明の浴室の施工方法は、一方向に長い浴槽と、前記浴槽の長手方向の縁に支持されて、枠を有する窓とを備えた浴室の施工方法であって、浴室の内側から前記窓を前記浴槽の長手方向の縁に載置する窓載置工程を備えていることを特徴とする。
【0011】
第3発明の浴室の施工方法は、浴室の内側から窓を浴槽の長手方向の縁に載置するため、浴室の外側の状況に影響されることなく浴室を施工することができる。
【0012】
したがって、本発明の浴室は容易に組み立てることができ、本発明の浴室の施工方法は容易に浴室を組み立てることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施例1に係る浴室であって、浴槽、洗い場、柱部材、及び天井つなぎ部材を組み付けた状態を示す斜視図である。
【
図2】実施例1に係る浴室であって、一方の洗い場側コーナーポストに2つの壁部材を取り付けた状態を示す斜視図である。
【
図3】実施例1に係る浴室であって、浴槽の上側に養生部材、及び一対の枕木を配置した状態を示す斜視図である。
【
図4】実施例1に係る浴室であって、2つの浴槽側コーナーポストの間に窓を設置する様子を示す斜視図である。
【
図5】実施例1に係る浴室の浴槽のフランジ部に窓を載置する状態を示す断面図である。
【
図6】(A)は実施例1に係る浴室であって、設置された窓からPPバンドを切断して取り外す様子を示す斜視図であり、(B)はPPバンドを切断する様子を示す側面図であり、(C)は窓を持ち上げてPPバンドを抜き取る様子を示す側面図である。
【
図7】実施例1に係る浴室であって、設置された窓を2つの浴槽側コーナーポストに取り付けられた窓枠固定アングルに仮固定する様子を示す斜視図である。
【
図8】実施例1に係る浴室であって、窓及び全ての壁部材を取り付けた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明における好ましい実施の形態を説明する。
【0015】
第1発明の窓は、浴槽の長手方向の全幅にわたって縁に支持され得る。この場合、この浴室は浴槽の長手方向の縁の全幅にわたって窓で構成することができるため、大きな窓の設置が簡単である。
【0016】
第2発明又は第3発明の浴室の施工方法は、浴室の4隅に上下方向に延びる4本のコーナーポストと、隣り合うコーナーポストの上端部を互いに連結する複数の天井つなぎ部材とを備えた浴室において、窓載置工程の前に、窓が隣接しないコーナーポストの少なくとも一方のコーナーポストを挟んで2つの壁部材をコーナーポストに取り付ける壁部材取り付け工程を備え得る。この場合、2つの壁部材が取り付けられたコーナーポストは2つの壁部材によって倒れ難くすることができる。また、複数の天井つなぎ部材によって各コーナーポストが連結しているため、壁部材が取り付けられていないコーナーポストも倒れ難くすることができる。これにより、壁部材取り付け工程の後に窓載置工程を実行しても、窓の重さによって各コーナーポストが倒れることを抑えることができる。
【0017】
次に、本発明の浴室、及び浴室の施工方法を具体化した実施例1について、図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明では、便宜上、鉛直方向を上下方向とする。
【0018】
<実施例1>
実施例1の浴室1は、
図1、2、8に示すように、浴槽10、洗い場床20、柱部材40、4つの天井つなぎ部材45、壁部材30、及び窓70等の部材を組み立てることにより形成されるユニットである。浴槽10は、浴槽本体11、縁であるフランジ部12、及び前垂れ部13を有している。浴槽本体11は上面が開放された箱状に形成されており一方向に長く形成されている。以降、浴槽本体11が一方向に長く形成される方向を長手方向という。また、長手方向に対して水平方向に直交する方向を短手方向という。フランジ部12は、浴槽本体11の上端から浴槽本体11の周縁に広がるように形成されている。前垂れ部13は、フランジ部12の洗い場床20側の端から垂下している。前垂れ部13の下端は、洗い場床20の床本体21の浴槽10側の端部の上面側に連結する。これら浴槽本体11、フランジ部12、及び前垂れ部13は一体成形されている。
【0019】
洗い場床20は浴槽10に隣接して配置される。洗い場床20は、床本体21と、床本体21の浴槽10寄りの位置に設けられた排水部22とを有している。
【0020】
また、浴槽10、及び洗い場床20には壁載置部50が設けられている。壁載置部50は、浴室1の周縁に形成され、柱部材40、壁部材30、及び窓70等が載置される。具体的には、壁載置部50は、浴槽10の洗い場床20に隣接する側以外の周囲に位置するフランジ部12、及び洗い場床20の浴槽10と隣接する側以外の縁部に設けられている。壁載置部50の上面には柱部材40の下端、壁部材30及び窓70等の下端が当接する。また、壁載置部50には壁載置部50の外縁から立壁部60が立ち上がって形成されている。立壁部60は壁載置部50の外縁のほぼ全周に渡って、浴室1の四方を囲うように形成されている。ただし、浴室1内の出入りのためのドアが配置される部分には立壁部60は存在しない。立壁部60はいわゆる水返しである。
【0021】
柱部材40は浴室1の躯体を構成するものである。柱部材40は、コーナーポストである2つの浴槽側コーナーポスト40A、コーナーポストである2つの洗い場側コーナーポスト40B、2つの浴槽側平面ポスト40C、及び1つの洗い場側平面ポスト40Dを有している。2つの浴槽側コーナーポスト40Aは、
図1~3、8に示すように、浴槽10の洗い場床20から離隔する側の長手方向のフランジ部12の両端部に位置する壁載置部50の上側に立設される。2つの洗い場側コーナーポスト40Bは、洗い場床20の浴槽10から離隔する側の縁部の両端部に位置する壁載置部50の上側に立設される。これら浴槽側コーナーポスト40A、及び洗い場側コーナーポスト40Bは鋼板に折り曲げ加工を施す等して形成されている。また、各浴槽側コーナーポスト40Aは自身が延びる方向に沿って形成されたスリット状の開口41を有する断面ほぼC字状に形成されている(
図10参照。)。つまり、浴室1は4隅に上下方向に延びる2つの浴槽側コーナーポスト40A、2つの洗い場側コーナーポスト40Bを備えている。
【0022】
2つの浴槽側平面ポスト40C、及び1つの洗い場側平面ポスト40Dは、鋼板に折り曲げ加工を施すなどして形成されている。洗い場側平面ポスト40Dは、洗い場床20の浴槽10から離隔する側の縁部の中央部の壁載置部50の上側に立設される。各浴槽側平面ポスト40Cは、浴槽10の短手方向の各フランジ部12の壁載置部50の洗い場床20に隣接する側の端部の上側に立設される。
【0023】
4つの天井つなぎ部材45は、金属製で一方向に延びて形成されている。各天井つなぎ部材45は、一方向に延びる方向を横方向に向けて、上方からの平面視において浴室1の四辺の縁部に沿う方向にして、両端部を隣り合う浴槽側コーナーポスト40A、及び洗い場側コーナーポスト40Bの上端のそれぞれに連結している。また、浴室1の洗い場床20の浴槽10から離隔する側、浴槽10の短手方向の各フランジ部12に沿う方向に向けられて配置された天井つなぎ部材45の中央部には浴槽側平面ポスト40C、及び洗い場側平面ポスト40Dの上端がそれぞれ連結されている。つまり、浴室1は隣り合う2つの浴槽側コーナーポスト40A、2つの洗い場側コーナーポスト40Bの上端部を互いに連結する複数の天井つなぎ部材45を備えている。
【0024】
壁部材30は、鋼板製の表面パネルの裏面に石膏ボードを貼り合わせて形成されている。壁部材30は、表面パネルを浴室1の内側に向けて浴槽10及び洗い場床20の周縁部に立設され、各浴槽側コーナーポスト40A、各洗い場側コーナーポスト40B、各浴槽側平面ポスト40C、及び洗い場側平面ポスト40Dに連結される。壁部材30は、浴槽10及び洗い場床20を囲うように複数配置される。
【0025】
窓70は、
図9に示すように、外形が四角形状をなしたガラス板75が金属製の枠76に嵌め込まれている。枠76は左枠71、右枠72、上枠73、及び下枠74を具備している。窓70はFIX窓である。
【0026】
左枠71及び右枠72の形状は互いに鏡面対象である。このため、右枠72の形状については左枠71の形状の説明に代えて割愛する。
左枠71及び右枠72は、
図10に示すように、第1枠本体71A、第1額縁固定片71B、第1ガラス支持片71C、及び第2ガラス支持片71Dを具備している。第1枠本体71Aは、ガラス板75に直交する方向に延びる第1長辺71Nと、第1長辺71Nの一端に連続して第1長辺71Nに直交する方向に延びる第1短辺71Pと、第1短辺71Pの先端から第1短辺71Pに連続して第1長辺71Nに平行に第1長辺71Nに対向して延びる第2長辺71Qと、第2長辺71Qの先端から第2長辺71Qに連続して第1短辺71Pに平行に第1短辺71Pに対向して延びる第2短辺71Rと、第2短辺71Rの先端と第1長辺71Nの他端とを繋ぎ、第1枠本体71Aの内側に向けて窪んだ凹部71Mとを具備している。これら第1長辺71N、第1短辺71P、第2長辺71Q、第2短辺71R、及び凹部71Mが
図10における手前奥方向に延びている。第1額縁固定片71Bは第1短辺71Pと第2長辺71Qとの境界部から第2長辺71Qに対して平行に延びており
図10における手前奥方向に延びている。
【0027】
第1ガラス支持片71C、及び第2ガラス支持片71Dは互いに平行をなしており、互いの間に所定の寸法を設けて第2長辺71Qの表面に形成されており、
図10における手前奥方向に延びている。第1ガラス支持片71C、及び第2ガラス支持片71Dは第2長辺71Qの表面に対して直交する方向に、第1長辺71Nから離れる方向に延びている。第1ガラス支持片71Cは第2長辺71Qと第2短辺71Rとの境界部の近傍に位置している。第2ガラス支持片71Dは第1ガラス支持片71Cよりも第1額縁固定片71Bに近い位置である。第1ガラス支持片71C、及び第2ガラス支持片71Dには互いに近づく方向に突出する突出部71Eが設けられている。また、第1ガラス支持片71C、及び第2ガラス支持片71Dの間には、
図10における手前奥方向に延びており、断面形状がほぼL字状をなした係止部材71Sが配置されている。具体的には、係止部材71Sの一方の辺が、第1ガラス支持片71C、及び第2ガラス支持片71Dの突出部71Eに係止している。また、第1ガラス支持片71Cの別の突出部71Eには
図10における手前奥方向に延びる緩衝部材71Fが取り付けられている。また、係止部材71Sの他方の辺の先端部には、
図10における手前奥方向に延びる緩衝部材71Gが配置されている。ガラス板75の縁部は緩衝部材71F,71Gの間に挟みこまれている。
【0028】
左枠71及び右枠72には、
図9に示すように、2つの仮固定ねじ挿入孔71H、4つの本固定ねじ挿入孔71J、及び5つの額縁固定ねじ挿入孔71Kが形成されている。各仮固定ねじ挿入孔71Hは、第1枠本体71Aの上端部及び下端部に形成されている。各仮固定ねじ挿入孔71Hは第1枠本体71Aの第1長辺71N及び第2長辺71Qを貫通して形成されている(
図10参照。)。各本固定ねじ挿入孔71Jは、第1枠本体71Aの第1長辺71N及び第2長辺71Qを貫通して、互いの間の寸法が同じになるように一列に並んで形成されている(
図9、10参照。)。各額縁固定ねじ挿入孔71Kは、第1額縁固定片71Bに貫通して互いの間の寸法が同じになるように一列に並んで形成されている(
図9、10参照。)。また、第1枠本体71Aの第1長辺71N及び第2長辺71Qの一端部にはほぼ凸字状に切りかかれて形成された窪み部71Lが設けられている(
図11参照。)。
【0029】
上枠73は、
図11に示すように、第2枠本体73A、第2額縁固定片73B、第3ガラス支持片73C、及び第4ガラス支持片73Dを具備している。第2枠本体73Aは、ガラス板75に平行に延びる第1辺73Eと、第1辺73Eの一端に設けられた第2枠本体73Aの内側に向けて窪んだ凹部73Kを介して第1辺73Eに直交する方向に延びた第2辺73Fと、第1辺73Eの他端に設けられた第2枠本体73Aの内側に向けて窪んだ凹部73Lを介して第2辺73Fに対して平行に延びた第3辺73Gとで構成されている。これら第1辺73E、凹部73K、第2辺73F、凹部73L、及び第3辺73Gが
図11における手前奥方向に延びている。
【0030】
第2額縁固定片73Bは、第3辺73Gの先端に連続して、第3辺73Gに平行に第1辺73Eから離れる方向に延び、
図11における手前奥方向に延びている。第3ガラス支持片73Cは第1辺73Eと凹部73Lとの境界部から、第1辺73Eに対して平行に延び、
図11における手前奥方向に延びている。第4ガラス支持片73Dは凹部73Lと第3辺73Gとの境界部から、第3ガラス支持片73Cに対して平行に延び、
図11における手前奥方向に延びており、第3ガラス支持片73Cとの間に所定の寸法を設けている。第3ガラス支持片73C、及び第4ガラス支持片73Dのそれぞれの先端部には互いに近づく方向に突出する突出部73Hが設けられている。第3ガラス支持片73Cの突出部73Hには
図11における手前奥方向に延びる緩衝部材71Fが取り付けられている。また、第4ガラス支持片73Dの突出部73Hには71Gが配置されている。これら緩衝部材71F,71Gの間にはガラス板75の縁部が挟みこまれている。また、第2額縁固定片73Bには8つの額縁固定ねじ挿入孔73Jが互いの間の寸法が同じになるように一列に並んで貫通して形成されている(
図9参照。)。第2枠本体73Aの両端のそれぞれは左枠71及び右枠72の第1枠本体71Aの第2長辺71Qの他端部に連結している。また、第2額縁固定片73Bの両端のそれぞれは左枠71及び右枠72の第1額縁固定片71Bの他端に隣接している。
【0031】
下枠74は、
図11に示すように、第3枠本体74A、第3額縁固定片74B、第5ガラス支持片74C、及び垂下片74Dを具備している。第3枠本体74Aはガラス板75に平行に延びる第4辺74Eと、第4辺74Eの一端に第3枠本体74Aの内側に向けて窪んで隣り合う凹部74S,74Tを介して第4辺74Eに対して垂直に延びた第5辺74Fと、第4辺74Eの他端に連続し、第4辺74Eに対して垂直に延びた第6辺74Gと、第6辺74Gの先端に第3枠本体74Aの内側に向けて窪んだ凹部74Uを介して第6辺74Gに対して垂直で、第4辺74Eに対向して延びる第7辺74Hと、第5辺74F及び第7辺74Hに対して所定の角度をなし、第5辺74Fの先端と第7辺74Hの先端とを繋ぐ第8辺74Vとで構成されている。これら第4辺74E、凹部74S,74T、第5辺74F、第6辺74G、凹部74U、第7辺74H、及び第8辺74Vが、
図11における手前奥方向に延びている。第3額縁固定片74Bは、凹部74Uと第7辺74Hの境界部から第7辺74Hに平行に延びる額縁固定垂下片74Jと、額縁固定垂下片74Jの先端から額縁固定垂下片74Jに対して直交する方向であって、第4辺74Eから離れる方向に延びる額縁固定片本体74Kで構成されている。第3額縁固定片74Bは、額縁固定垂下片74J、及び額縁固定片本体74Kが
図11における手前奥方向に延びている。
【0032】
第5ガラス支持片74Cは、凹部74Tの近傍の凹部74Sの表面から第5辺74Fに平行に、第4辺74Eに近づく方向に延びる基部片74Lと、基部片74Lの先端から基部片74Lに対して直交する方向で、第5辺74Fに近づく方向に延びるガラス支持片本体74Mで構成されている。第5ガラス支持片74Cは、基部片74L、及びガラス支持片本体74Mが
図11における手前奥方向に延びている。また、ガラス支持片本体74Mの先端部、及び第5ガラス支持片74Cに対向する凹部74Tの表面の第5辺74Fとの境界部の近傍のそれぞれには互いに近づく方向に突出する突出部74Nが設けられている。ガラス支持片本体74Mの突出部74Nには、
図11における手前奥方向に延びる緩衝部材71Fが取り付けられている。また、凹部74Tの突出部74Nには、
図11における手前奥方向に延びる緩衝部材71Gが配置されている。これら緩衝部材71F,71Gの間にはガラス板75の縁部が挟みこまれている。
【0033】
垂下片74Dは、第4辺74Eと第6辺74Gの境界部から第4辺74Eに平行に延びる垂下片本体74Pと、垂下片本体74Pの先端から垂下片本体74Pに直交する方向で第7辺74Hに近づく方向に延びる垂下小片74Qとで構成されている。また、垂下小片74Qの先端部には、第6辺74Gに近づく方向に突出した付当て部74Wが設けられている。垂下片74Dは、垂下片本体74P、垂下小片74Q、及び付当て部74Wが
図11における手前奥方向に延びている。また、第3額縁固定片74Bには8つの額縁固定ねじ挿入孔74Rが互いの間の寸法が同じになるように一列に並んで貫通して形成されている(
図9参照。)。下枠74の両端のそれぞれは左枠71及び右枠72の第1枠本体71Aの第2長辺71Qの一端部に連結している。また、下枠74の第3額縁固定片74Bの両端のそれぞれは左枠71及び右枠72の第1額縁固定片71Bの一端に隣接している。なお、左枠71及び右枠72の窪み部71Lは下枠74の第6辺74G、凹部74U、垂下片74D、及び第3額縁固定片74Bで囲まれた空間に連通している。
こうして形成された窓70は浴槽10の洗い場床20から離隔する側のフランジ部12に位置する壁載置部50の上側に立設され、左枠71及び右枠72が各浴槽側コーナーポスト40Aのそれぞれに連結される。つまり、浴室1は枠76を有した窓70を浴槽10の長手方向のフランジ部12で支持している。
【0034】
次に、浴室1の施工方法について説明する。
【0035】
先ず、
図1に示すように、浴槽10及び洗い場床20を所定の場所に設置する。そして、2つの浴槽側コーナーポスト40A、2つの洗い場側コーナーポスト40B、2つの浴槽側平面ポスト40C、及び1つの洗い場側平面ポスト40Dを上下方向に向けて所定の位置に配置する。そして、2つの浴槽側コーナーポスト40A、2つの洗い場側コーナーポスト40B、2つの浴槽側平面ポスト40C、及び1つの洗い場側平面ポスト40Dのそれぞれの下端を壁載置部50の上面に当接させる。そして、2つの浴槽側コーナーポスト40A、2つの洗い場側コーナーポスト40B、2つの浴槽側平面ポスト40C、及び1つの洗い場側平面ポスト40Dを壁載置部50の立壁部60に連結する。なお、2つの浴槽側コーナーポスト40Aのそれぞれには、
図10に示すように、L字状の断面形状をなした窓枠固定アングル43の一方の辺43Aが各浴槽側コーナーポスト40Aの浴槽10に対して反対側の面に当接されて各浴槽側コーナーポスト40AにねじS1を用いてねじ留めされている(
図10参照。)。また、各窓枠固定アングル43の他方の辺43Bは一方の辺43Aに直交する方向で浴槽10から離れる方向に延びている。また、各窓枠固定アングル43の他方の辺43Bは各浴槽側コーナーポスト40Aが互いに対向する面に面一になるように配置されている。
次に、2つの浴槽側コーナーポスト40A、2つの洗い場側コーナーポスト40B、2つの浴槽側平面ポスト40C、及び1つの洗い場側平面ポスト40Dの上端部を複数の天井つなぎ部材45で互いに連結する。
【0036】
次に、壁部材取り付け工程を実行する。具体的には、
図2に示すように、洗い場側コーナーポスト40Bの少なくとも一方に、この洗い場側コーナーポスト40Bを2枚の壁部材30で挟んで取り付ける。各壁部材30の下端は洗い場床20側の壁載置部50の上面に当接するように配置する。こうして洗い場側コーナーポスト40Bの少なくとも一方に2枚の壁部材30を取り付けることによって、1本の洗い場側コーナーポスト40Bだけでなく、全ての柱部材40を傾き難くすることができる。つまり、壁部材取り付け工程は、後述する窓載置工程の前に窓70が隣接しない洗い場側コーナーポスト40Bの少なくとも一方の洗い場側コーナーポスト40Bを挟んで2つの壁部材30を洗い場側コーナーポスト40Bに取り付ける。また、2枚の壁部材30は浴槽側コーナーポスト40Aから所定の距離離れているため、後述する窓載置工程で窓70を取り扱う際に、窓70と2枚の壁部材30とが接触して窓70又は2枚の壁部材30に傷が付く機会を減らすことができる。
【0037】
そして、
図3に示すように、浴槽10の上面全体を覆うように養生部材Cを配置する。具体的には、養生部材Cは長方形状をなし中央部に長孔が設けられたダンボール紙で形成されており、この養生部材Cを浴槽10のフランジ部12の上面を覆うように配置する。そして、一対の枕木Wを養生部材Cの上面であって、浴槽10の一対の長手方向のフランジ部12に掛け渡す。枕木Wは例えば発泡樹脂や木材等で形成されている。そして、浴槽10の洗い場床20から離隔する側に位置する壁載置部50の立壁部60の浴室1の内側の面に合成樹脂製の平板状のスペーサ14を2枚取り付ける。これらスペーサ14は、
図5、11に示すように、下端を壁載置部50の上面に当接させる。これらスペーサ14の上端は立壁部60の上端とほぼ面一である。これらスペーサ14は窓70の上下方向における傾き等を垂直になるように調整したり、窓70を浴槽10の長手方向のフランジ部12に載置する際、窓70が浴室1の外側に過剰に食み出すことを抑えたりするものである。
【0038】
次に、予め帯状の索状物であるPPバンド77が4本巻きつけられた窓70を準備する窓準備工程を実行する。窓70には、
図4に示すように、予め帯状の索状物であるPPバンド77が4本巻きつけられている。これらPPバンド77は、枠76にガラス板75を取り付ける工程を実行する工場で窓70に巻きつけられ、この工場で窓70とともに外側から見えない状態で梱包され出荷される。そして、これらPPバンド77は、窓70を浴槽10のフランジ部12の所定の位置に載置するまで窓70に巻きつけられている。これらPPバンド77は、左枠71及び右枠72に沿うように、窓70の上枠73と下枠74とにクッションM等を介して巻きつけられている。また、これらPPバンド77は、左枠71及び右枠72の近傍に2本ずつが配置されている。こうすることによって、作業者がPPバンド77を把持した際にPPバンド77の張力によって窓70の上枠73、及び下枠74が変形することを抑えることができる。なお、PPバンド77は窓70を設置した後に取り外されるものである。つまり、窓70には、施工完了前に、左枠71及び右枠72に沿うように縦方向にPPバンド77が巻きつけられている。
【0039】
そして、窓載置工程を実行する。先ず、作業者は、
図4に示すように、窓70に巻きつけられたPPバンド77を把持して、窓70の下枠74を下側にし、上枠73を上側にして枕木Wの上に窓70を載置する。また、このとき、左枠71及び右枠72の第1額縁固定片71B、上枠73の第2額縁固定片73B、及び下枠74の第3額縁固定片74Bが浴槽10の洗い場床20から離隔する側に向いている。そして、作業者は窓70に巻きつけられたPPバンド77を把持しつつ、浴室1の内側から窓70を浴槽10の壁載置部50に向けて枕木Wの上を移動させる。そして、窓70の窪み部71Lを浴槽10の長手方向のフランジ部12の壁載置部50の立壁部60に係合して、浴室1の内側から窓70を浴槽10の長手方向のフランジ部12に載置する(
図5参照。)。このとき、下枠74の垂下片74Dの付当て部74Wが立壁部60に貼り付けられたスペーサ14の浴槽本体11側の面に当接した状態である(
図11参照。)。また、窓70は、左枠71及び右枠72のそれぞれが、各浴槽側コーナーポスト40Aのそれぞれに隣接した状態である(
図4、10参照。)。つまり、窓70は、浴槽10の長手方向の全幅にわたってフランジ部12に支持されている。また、このとき、PPバンド77は窓70の下枠74の垂下小片74Qと壁載置部50との間に挟まった状態である(
図6(B)参照。)。そして枕木Wを取り外す。
【0040】
次に、PPバンド77を取り外す。
具体的には、
図6(A)~(C)に示すように、窓70を挟んで浴室1の内側と浴室1の外側とに作業者を配置する。そして、浴室1の内側の作業者がPPバンド77を把持した状態で、浴室1の外側の作業者がPPバンド77を切断する。そして、浴室1の内側の作業者が切断されたPPバンド77を取り外す。このとき、浴室1の外側の作業者は、窓70の下枠74の第3額縁固定片74Bに手を掛けて窓70を僅かに持ち上げることによって、窓70の下枠74の垂下小片74Qと壁載置部50との間からPPバンド77を良好に抜き取ることができる(
図6(C)参照。)。こうして、窓載置工程を終了する。
【0041】
次に、窓70の左枠71及び右枠72の仮固定ねじ挿入孔71HにねじS2を挿通し、各窓枠固定アングル43にねじ留めをして各窓枠固定アングル43に対して窓70を仮固定する(
図7、10、11参照。)。
そして、各浴槽側コーナーポスト40A、各洗い場側コーナーポスト40B、及び各浴槽側平面ポスト40C、及び洗い場側平面ポスト40Dに残りの壁部材30やドア枠(図示せず)等を取り付ける(
図8参照。)。そして、壁部材30、ドア枠、及び窓70の上下方向における傾き等を調整した後、仮固定ねじ挿入孔71Hに挿通して仮固定したねじS2を本締めし、さらに、窓70の左枠71及び右枠72の本固定ねじ挿入孔71JにねじS3を挿通し、各窓枠固定アングル43にねじ留めして本固定する(
図10、11参照。)。
【0042】
そして、居室側の額縁Fが設置された後、窓70の左枠71、右枠72、上枠73、及び下枠74に設けられた額縁固定ねじ挿入孔71K,73J,74RにねじS4を挿通し、居室側の額縁Fにねじ留めする(
図10、11参照。)。そして、天井つなぎ部材45の上側に天井部材T(
図11参照)を取り付け、ドア枠にドア(図示せず)を取り付けて浴室1を形成する。そして、左枠71及び右枠72の第1枠本体71Aの凹部71M、下枠74の垂下片74Dと浴槽10の長手方向のフランジ部12との間、及び上枠73の第2枠本体73Aの凹部73Kに浴室1の内側からシール部材Pを充填して防水処理を施す(
図10、11参照。)。
【0043】
このように、浴室1は、浴槽10の長手方向のフランジ部12が枠76を有する窓70を支持する構造であり、窓70の設置が簡単である。また、浴室1の施工方法は、窓70を施工する作業者がPPバンド77を把持することによって、窓70の運搬や設置を容易にすることができる。また、浴室1の施工方法は、浴室1の内側から窓70を浴槽10の長手方向のフランジ部12に載置するため、浴室1の外側の状況に影響されることなく浴室1を施工することができる。
【0044】
また、浴室1の施工方法は、窓70を施工する作業者がPPバンド77を把持することによって、窓70の運搬や設置が容易である。
【0045】
また、浴室1の施工方法は、浴室1の内側から窓70を浴槽10の長手方向のフランジ部12に載置するため、浴室1の外側の状況に影響されることなく浴室1を施工することができる。
【0046】
したがって、本発明の浴室1は容易に組み立てることができ、本発明の浴室1の施工方法は容易に浴室1を組み立てることができる。
【0047】
また、窓70は、浴槽10の長手方向の全幅にわたってフランジ部12に支持されている。このため、浴室1は浴槽10の長手方向のフランジ部12の全幅にわたって窓70で構成することができるため、大きな窓70の設置が簡単である。
【0048】
また、浴室1の施工方法は、浴室1の4隅に上下方向に延びる2本の浴槽側コーナーポスト40A、2本の洗い場側コーナーポスト40Bと、各浴槽側コーナーポスト40A、各洗い場側コーナーポスト40Bの上端部を互いに連結する4つの天井つなぎ部材45とを備えており、窓載置工程の前に、窓70が隣接しない洗い場側コーナーポスト40Bの少なくとも一方の洗い場側コーナーポスト40Bを挟んで2つの壁部材30を洗い場側コーナーポスト40Bに取り付ける壁部材取り付け工程を備えている。このため、2つの壁部材30が取り付けられた洗い場側コーナーポスト40Bは2つの壁部材30によって倒れ難くすることができる。また、複数の天井つなぎ部材45によって各浴槽側コーナーポスト40A、各洗い場側コーナーポスト40Bが連結しているため、壁部材30が取り付けられていない各浴槽側コーナーポスト40A、各洗い場側コーナーポスト40Bも倒れ難くすることができる。これにより、壁部材取り付け工程の後に窓載置工程を実行しても、窓70の重さによって各浴槽側コーナーポスト40A、各洗い場側コーナーポスト40Bが倒れることを抑えることができる。
【0049】
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、例えば次のような実施例も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)実施例1では、PPバンドが4本巻きつけられているが、PPバンドが4本より少なくてもよく、4本より多くてもよい。
(2)実施例1では、浴槽の洗い場床から離隔する側に位置する壁載置部の立壁部の浴室側の面に合成樹脂製の平板状のスペーサを2枚取り付けて、垂下片の垂下小片の先端をスペーサの表面に当接させているが、スペーサを取り付けずに、垂下小片の先端を壁載置部の立壁部に当接させてもよい。
(3)実施例1では、壁載置部(立壁部)が浴槽や洗い場床と別体で設けられているが、壁載置部(立壁部)を浴槽や洗い場床のそれぞれに一体的に形成してもよい。
(4)実施例1では、浴槽のフランジ部の上面に壁載置部を設けて窓をフランジ部の上面に対して段差を設けフランジ部の上面より高い位置に載置しているが、浴槽のフランジ部の上面に対して段差を設けずに窓をフランジ部の上面に載置してもよい。
【符号の説明】
【0050】
10…浴槽
12…フランジ部(縁)
40A…浴槽側コーナーポスト(コーナーポスト)
40B…洗い場側コーナーポスト(コーナーポスト)
45…天井つなぎ部材
70…窓
76…枠
77…PPバンド(帯状の索状物)