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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】運転支援装置、プログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/09 20060101AFI20221220BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20221220BHJP
   G01C 21/26 20060101ALI20221220BHJP
   B60W 40/06 20120101ALI20221220BHJP
【FI】
G08G1/09 V
G08G1/16 D
G01C21/26 A
B60W40/06
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018138985
(22)【出願日】2018-07-25
(65)【公開番号】P2020017034
(43)【公開日】2020-01-30
【審査請求日】2021-07-13
(73)【特許権者】
【識別番号】597151563
【氏名又は名称】株式会社ゼンリン
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100181618
【弁理士】
【氏名又は名称】宮脇 良平
(74)【代理人】
【識別番号】100162259
【弁理士】
【氏名又は名称】末富 孝典
(74)【代理人】
【識別番号】100146916
【弁理士】
【氏名又は名称】廣石 雅紀
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】加藤 洋祐
(72)【発明者】
【氏名】細川 浩平
【審査官】増子 真
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-230561(JP,A)
【文献】国際公開第2010/082302(WO,A1)
【文献】特開2017-016279(JP,A)
【文献】特開2010-238037(JP,A)
【文献】特開2017-058774(JP,A)
【文献】特開2006-273231(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 99/00
G01C 21/00 - 21/36
G01C 23/00 - 25/00
B60W 10/00 - 10/30
B60W 30/00 - 60/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一つの交差点にある複数の信号機の灯火状態の遷移サイクルを定める複数種類の遷移サイクルデータを含む複数の灯火パターンデータと、前記複数の灯火パターンデータが前記交差点に適用される期間をそれぞれ定める適用期間データと、を保持するデータベースを参照し、現在が前記適用期間データにより定められた期間のいずれに該当するかに基づいて、前記複数の灯火パターンデータのいずれが現在の灯火パターンデータであるかを決定するパターン決定部と、
前記交差点の前記複数の信号機のうち少なくとも一つの信号機の現在の灯火状態と、前記交差点の前記現在の灯火パターンデータとに基づいて、前記交差点への車両の進入可能タイミングを推定するタイミング推定部と、
前記進入可能タイミングに基づいて前記車両の運転支援を実行する運転支援部と、
を備え
前記灯火パターンデータは、
前記交差点に設定される、それぞれ仮想的な複数の交差点内レーンであって、それぞれ前記交差点に進入するレーンと前記交差点を退出するレーンとを接続するように設定される複数の交差点内レーンのうち、通行可能な通行可能レーンを前記灯火状態ごとに示す通行可能レーンデータと、
前記交差点に複数の前記通行可能レーンが生じる前記灯火状態について、それら複数の前記通行可能レーン同士の交差の有無を示すレーン関係データと、
を更に含み、
前記タイミング推定部は、前記交差点に設定される前記複数の交差点内レーンのうち、前記車両が進入を予定する進入予定レーンが前記通行可能レーンとなる前記灯火状態の開始タイミングを、前記現在の灯火状態と、前記現在の灯火パターンデータの前記遷移サイクルデータ及び前記通行可能レーンデータとに基づいて推定し、
前記運転支援部は、前記現在の灯火パターンデータの前記レーン関係データに基づいて、他の前記通行可能レーンと交差しない前記進入予定レーンにおける走行速度に比較して、他の前記通行可能レーンと交差する前記進入予定レーンにおける走行速度を遅くするように、前記進入予定レーンを通過するまでの前記車両の目標速度パターンを設定する、運転支援装置。
【請求項2】
コンピュータを、
一つの交差点にある複数の信号機の灯火状態の遷移サイクルを定める複数種類の遷移サイクルデータを含む複数の灯火パターンデータと、前記複数の灯火パターンデータが前記交差点に適用される期間をそれぞれ定める適用期間データと、を保持するデータベースを参照し、現在が前記適用期間データにより定められる期間のいずれに該当するかに基づいて、前記複数の灯火パターンデータのいずれが現在の灯火パターンデータであるかを決定するパターン決定部、
前記交差点の前記複数の信号機のうち少なくとも一つの信号機の現在の灯火状態と、前記交差点の前記現在の灯火パターンデータとに基づいて、前記交差点への車両の進入可能タイミングを推定するタイミング推定部、
前記進入可能タイミングに基づいて前記車両の運転支援を実行する運転支援部、
として機能させ、
前記灯火パターンデータは、
前記交差点に設定される、それぞれ仮想的な複数の交差点内レーンであって、それぞれ前記交差点に進入するレーンと前記交差点を退出するレーンとを接続するように設定される複数の交差点内レーンのうち、通行可能な通行可能レーンを前記灯火状態ごとに示す通行可能レーンデータと、
前記交差点に複数の前記通行可能レーンが生じる前記灯火状態について、それら複数の前記通行可能レーン同士の交差の有無を示すレーン関係データと、
を更に含み、
前記タイミング推定部は、前記交差点に設定される前記複数の交差点内レーンのうち、前記車両が進入を予定する進入予定レーンが前記通行可能レーンとなる前記灯火状態の開始タイミングを、前記現在の灯火状態と、前記現在の灯火パターンデータの前記遷移サイクルデータ及び前記通行可能レーンデータとに基づいて推定し、
前記運転支援部は、前記現在の灯火パターンデータの前記レーン関係データに基づいて、他の前記通行可能レーンと交差しない前記進入予定レーンにおける走行速度に比較して、他の前記通行可能レーンと交差する前記進入予定レーンにおける走行速度を遅くするように、前記進入予定レーンを通過するまでの前記車両の目標速度パターンを設定する、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、処理装置、プログラム及び/又はデータに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、移動体の進行方向前方に位置する第1の信号機と灯色の変化が連動する第2の信号機の灯色に基づいて規定される第1の信号機の灯色の変化の期間に関する期間データが記憶されている記憶部と、第2の信号機における現在の灯色の情報である第2の灯色情報を取得する取得部と、期間データ及び第2の灯色情報を用いて、第2の灯色情報が取得されてから第1の信号機の灯色が特定の灯色に変化するまでの期間を予測する予測部と、予測部の推定結果に基づいて、移動体の運転支援のための制御を行う制御部と、を備える運転支援装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-16279号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、交差点への車両の進入可能タイミングに合わせた運転支援の実現に有効な運転支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一側面に係る運転支援装置は、一つの交差点にある複数の信号機の灯火状態の遷移サイクルを定める複数種類の遷移サイクルデータを含む複数の灯火パターンデータと、複数の灯火パターンデータが交差点に適用される期間をそれぞれ定める適用期間データと、を保持するデータベースを参照し、現在が適用期間データにより定められた期間のいずれに該当するかに基づいて、複数の灯火パターンデータのいずれが現在の灯火パターンデータであるかを決定するパターン決定部と、交差点の複数の信号機のうち少なくとも一つの信号機の現在の灯火状態と、交差点の現在の灯火パターンデータとに基づいて、交差点への車両の進入可能タイミングを推定するタイミング推定部と、進入可能タイミングに基づいて車両の運転支援を実行する運転支援部と、を備え、灯火パターンデータは、交差点に設定される、それぞれ仮想的な複数の交差点内レーンであって、それぞれ交差点に進入するレーンと交差点を退出するレーンとを接続するように設定される複数の交差点内レーンのうち、通行可能な通行可能レーンを灯火状態ごとに示す通行可能レーンデータと、交差点に複数の通行可能レーンが生じる灯火状態について、それら複数の通行可能レーン同士の交差の有無を示すレーン関係データと、を更に含み、タイミング推定部は、交差点に設定される複数の交差点内レーンのうち、車両が進入を予定する進入予定レーンが通行可能レーンとなる灯火状態の開始タイミングを、現在の灯火状態と、現在の灯火パターンデータの遷移サイクルデータ及び通行可能レーンデータとに基づいて推定し、運転支援部は、現在の灯火パターンデータのレーン関係データに基づいて、他の通行可能レーンと交差しない進入予定レーンにおける走行速度に比較して、他の通行可能レーンと交差する進入予定レーンにおける走行速度を遅くするように、進入予定レーンを通過するまでの車両の目標速度パターンを設定する
【0009】
本開示の他の側面に係るプログラムは、コンピュータを、一つの交差点にある複数の信号機の灯火状態の遷移サイクルを定める複数種類の遷移サイクルデータを含む複数の灯火パターンデータと、複数の灯火パターンデータが交差点に適用される期間をそれぞれ定める適用期間データと、を保持するデータベースを参照し、現在が適用期間データにより定められる期間のいずれに該当するかに基づいて、複数の灯火パターンデータのいずれが現在の灯火パターンデータであるかを決定するパターン決定部、交差点の複数の信号機のうち少なくとも一つの信号機の現在の灯火状態と、交差点の現在の灯火パターンデータとに基づいて、交差点への車両の進入可能タイミングを推定するタイミング推定部、進入可能タイミングに基づいて車両の運転支援を実行する運転支援部、として機能させ、灯火パターンデータは、交差点に設定される、それぞれ仮想的な複数の交差点内レーンであって、それぞれ交差点に進入するレーンと交差点を退出するレーンとを接続するように設定される複数の交差点内レーンのうち、通行可能な通行可能レーンを灯火状態ごとに示す通行可能レーンデータと、交差点に複数の通行可能レーンが生じる灯火状態について、それら複数の通行可能レーン同士の交差の有無を示すレーン関係データと、を更に含み、タイミング推定部は、交差点に設定される複数の交差点内レーンのうち、車両が進入を予定する進入予定レーンが通行可能レーンとなる灯火状態の開始タイミングを、現在の灯火状態と、現在の灯火パターンデータの遷移サイクルデータ及び通行可能レーンデータとに基づいて推定し、運転支援部は、現在の灯火パターンデータのレーン関係データに基づいて、他の通行可能レーンと交差しない進入予定レーンにおける走行速度に比較して、他の通行可能レーンと交差する進入予定レーンにおける走行速度を遅くするように、進入予定レーンを通過するまでの車両の目標速度パターンを設定する
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】運転支援システムの構成を示す模式図である。
図2】地図データの内容を示す模式図である。
図3】車線区間データの内容を例示するテーブルである。
図4】属性情報の内容を例示するテーブルである。
図5】交差点を例示する模式図である。
図6】灯火パターンデータを例示するテーブルである。
図7】他の灯火パターンデータの内容を例示するテーブルである。
図8】交差点の適用期間データを例示するテーブルである。
図9】他の交差点を例示する模式図である。
図10】灯火パターンデータの内容を例示するテーブルである。
図11】更に他の交差点を例示する模式図である。
図12】灯火パターンデータの内容を例示するテーブルである。
図13】通行可能レーンを例示する模式図である。
図14】更に他の交差点を例示する模式図である。
図15】他の灯火パターンデータの内容を例示するテーブルである。
図16】通行可能レーンを例示する模式図である。
図17】運転支援装置及びサーバのハードウェア構成図である。
図18】交差点における運転支援手順を例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0015】
〔運転支援システム〕
図1に示す運転支援システム1は、車両2(例えば自動車)の運転支援の一例として、車両2の自動運転を実行するシステムである。運転支援システム1は、車両2に搭載される運転支援装置100と、ネットワーク回線を介して運転支援装置100に接続されるサーバ200とを備える。
【0016】
例えばサーバ200は、地図データベース211(データベース)を有する。地図データベース211は、運転支援用の地図データ220を記憶している。図2に示すように、地図データ220は、論理ネットワークデータ230と、レーンネットワークデータ240とを含む。
【0017】
論理ネットワークデータ230は、目的地までの経路探索に用いられる情報である。論理ネットワークデータ230は、所定の地点に対応付けられた複数のノード231と、ノード231同士を結ぶリンク232とにより構成された情報であり、一連のノード231及びリンク232により示される経路が道路3に対応している。以下の説明においては、論理ネットワークレベルでの経路(一連のノード231及びリンク232により示される経路)を「論理経路」という。
【0018】
レーンネットワークデータ240は、道路網における移動体の通行経路を複数の車線区間(以下、「レーン」という。)のネットワークで示したデータである。例えばレーンネットワークデータ240は、論理経路を道路の車線レベルに細分化した情報であり、道路の車線のデータを含む。例えばレーンネットワークデータ240は、車線のデータとして、各車線3a,3bに沿って連なる複数のレーンのデータ(以下、「レーンデータ250」という。)と、レーンデータ250ごとに定められた属性情報260とを含む。レーンネットワークデータ240は、論理ネットワークデータ230に対応付けられている。
【0019】
レーンネットワークデータ240は、交差点に対応するレーンデータ250も含む。交差点は、例えば論理ネットワークデータ230において三以上のリンク232が交わるノード231である(以下、「交差点ノード233」という。)。交差点ノード233には、交差点への進入元の(進入直前の)車線区間と、交差点からの退出先の(退出直後の)車線区間との組み合わせに応じた複数のレーンデータ250が対応付けられる。
【0020】
図3に例示するように、レーンデータ250は、レーンID、座標点列、進入側レーンID、退出側レーンID、及びレーン長さ等を含む。レーンIDは、車線区間に固有のIDである。座標点列は、車線区間を構成する点の座標データを順に並べたデータ列であり、車線に沿ったラインを示す。進入側レーンIDは、車線区間の始点に連なる他の車線区間のIDである。退出側レーンIDは、車線区間の終点に連なる他の車線区間のIDである。レーン長さは、車線区間の始点から終点までの長さである。
【0021】
図4に例示するように、属性情報260は、レーンID、車線幅、総レーン数、レーン番号、左側レーンID、右側レーンID、車線変更情報を含む。レーンIDは、当該属性情報の対象となる車線区間のIDである。車線幅は、車線の幅員を示す数値である。総レーン数は、同一の道路内において同一方向へ向かう車線の総数である。レーン番号は、車線区間が左側又は右側から何番目の車線に属するかを示す値である。左側レーンIDは、車線区間の左側に位置する他の車線区間のIDである。右側レーンIDは、車線区間の右側に位置する他の車線区間のIDである。車線変更情報は、左側及び右側のそれぞれへの車線変更の可否を示す。
【0022】
地図データ220は、交差点ごとに定められた交差点データ300を更に含む。交差点データ300は、灯火パターンデータと、適用期間データとを含む。灯火パターンデータは、一つの交差点にある複数の信号機の灯火状態の遷移サイクルを定める遷移サイクルデータを含む。「複数の信号機の灯火状態」は、同じタイミングにおける個々の信号機の灯火状態の組み合わせを意味する。複数の信号機の灯火状態は、一定の遷移を周期的に繰り返す。「遷移サイクル」は、一周期あたりの遷移のパターンを意味する。
【0023】
適用期間データは、灯火パターンデータが交差点に適用される期間を定める。同一の交差点に複数種類の灯火パターンデータが設けられる場合もある。この場合、適用期間データは、複数種類の灯火パターンデータが当該交差点に適用される期間をそれぞれ定める。それぞれの期間は、例えば月日、曜日、及び時間帯の少なくともいずれかにより特定される。以下、交差点データ300の具体例を示す。
【0024】
図5は、交差点を例示する模式図である。図5に示す交差点C1は、所謂T字型の交差点であり、三本の道路R1,R2,R3が交差点C1で交わっている。道路R1,R2は、同じ進路に沿っている。道路R3は、道路R1,R2の進路に交差する進路に沿っている。このため、道路R1から交差点C1に進入する移動体(例えば車両)を基準にすると、道路R2へ向かうことが直進であり、道路R3に向かうことが右折である。
【0025】
道路R1は、交差点C1に進入する移動体用のレーンL11,L12と、交差点C1から退出する移動体用のレーンL13とを含む。レーンL11は道路R2へ向かうための直進用レーンであり、レーンL12は道路R3へ向かうための右折用レーンである。道路R2は、交差点C1に進入する移動体用のレーンL21と、交差点C1から退出する移動体用のレーンL22とを含む。道路R3は、交差点C1に進入する移動体用のレーンL31と、交差点C2から退出する移動体用のレーンL32とを含む。
【0026】
交差点C1には、複数のレーンL1,L2,L3,L4,L5,L6が対応している。以下、交差点に対応するレーンを「交差点内レーン」として他のレーンと区別する。交差点に対応するレーンとは、当該交差点を通過するためのレーンを意味する。例えば交差点内レーンL1は、レーンL11とレーンL22との間に介在している。交差点内レーンL2は、レーンL12とレーンL32との間に介在している。交差点内レーンL3は、レーンL21とレーンL13との間に介在している。交差点内レーンL4は、レーンL21とレーンL32との間に介在している。交差点内レーンL5は、レーンL31とレーンL13との間に介在している。交差点内レーンL6は、レーンL31とレーンL22との間に介在している。
【0027】
交差点C1には、複数(例えば三つ)の信号機A1,A2,A3が設けられている。信号機A1は、赤、青、黄の三色のいずれか一つを灯火させることによって、レーンL11,L12から交差点C1への進入可否を示す。信号機A2は、赤、青、黄の三色のいずれか一つを灯火させることによって、レーンL21から交差点C1への進入可否を示す。信号機A3は、赤、青、黄の三色のいずれか一つを灯火させることによって、レーンL31から交差点C1への進入可否を示す。
【0028】
図6及び図7は、交差点C1の2種類の灯火パターンデータ310A,310Bをそれぞれ例示するテーブルである。例えば灯火パターンデータ310A,310Bのそれぞれは、灯火状態データ311と、遷移サイクルデータ312と、通行可能レーンデータ313と、レーン関係データ314とを含む。
【0029】
灯火状態データ311は、信号機A1,A2,A3の灯火状態の遷移サイクルを構成する複数の灯火状態を定めるデータである。遷移サイクルデータ312は、一周期の遷移サイクルにおける灯火状態の遷移タイミングを定めるデータである。例えば遷移サイクルデータ312は、複数の灯火状態の順番315と、それぞれの灯火状態の継続時間316とを含む。
【0030】
通行可能レーンデータ313は、交差点C1に対応する複数の交差点内レーンL1,L2,L3,L4,L5,L6のうち通行可能なレーンを灯火状態ごとに示す。レーン関係データ314は,交差点C1に複数の通行可能なレーンが生じる灯火状態について、当該複数の通行可能なレーン同士の交差の有無を示す。ここでの「交差」は、退出先のレーンが一致することも含む。
【0031】
図6に示す灯火パターンデータ310Aの灯火状態データ311は、八種類の灯火状態を含んでおり、これらの実行順序が遷移サイクルデータ312の順番315により定められている。
【0032】
一番目の灯火状態(以下、「第一灯火状態」という。)では、信号機A1,A2が青であり、信号機A3が赤である。通行可能レーンデータ313は、第一灯火状態において交差点内レーンL1,L2,L3,L4が通行可能なレーンとなることを示している。レーン関係データ314は、第一灯火状態において交差点内レーンL2,L3の間、及び交差点内レーンL2,L4の間に、通行可能なレーン同士の交差があることを示している。
【0033】
二番目の灯火状態(以下、「第二灯火状態」という。)では、信号機A1が青であり、信号機A2が黄であり、信号機A3が赤である。通行可能レーンデータ313は、第二灯火状態において、第一灯火状態と同様に交差点内レーンL1,L2,L3,L4が通行可能なレーンとなることを示している。レーン関係データ314は、第二灯火状態において、第一灯火状態と同様に交差点内レーンL2,L3の間、及び交差点内レーンL2,L4の間に、通行可能なレーン同士の交差があることを示している。
【0034】
三番目の灯火状態(以下、「第三灯火状態」という。)では、信号機A1が青であり、信号機A2,A3が赤である。通行可能レーンデータ313は、第三灯火状態において交差点内レーンL1,L2が通行可能なレーンとなることを示している。レーン関係データ314は、第三灯火状態において通行可能なレーン同士の交差はないことを示している。
【0035】
四番目の灯火状態(以下、「第四灯火状態」という。)では、信号機A1が黄であり、信号機A2,A3が赤である。通行可能レーンデータ313は、第四灯火状態において、第三灯火状態と同様に交差点内レーンL1,L2が通行可能なレーンとなることを示している。レーン関係データ314は、第四灯火状態において、第三灯火状態と同様に通行可能なレーン同士の交差はないことを示している。
【0036】
五番目の灯火状態(以下、「第五灯火状態」という。)では、信号機A1,A2,A3が赤である。通行可能レーンデータ313は、第五灯火状態において通行可能なレーンはないことを示している。レーン関係データ314は、第五灯火状態において通行可能なレーン同士の交差はないことを示している。
【0037】
六番目の灯火状態(以下、「第六灯火状態」という。)では、信号機A1,A2が赤であり、信号機A3が青である。通行可能レーンデータ313は、第六灯火状態において交差点内レーンL5,L6が通行可能なレーンとなることを示している。レーン関係データ314は、第六灯火状態において通行可能なレーン同士の交差はないことを示している。
【0038】
七番目の灯火状態(以下、「第七灯火状態」という。)では、信号機A1,A2が赤であり、信号機A3が黄である。通行可能レーンデータ313は、第七灯火状態において、第六灯火状態と同様に交差点内レーンL5,L6が通行可能なレーンとなることを示している。レーン関係データ314は、第七灯火状態において、第六灯火状態と同様に通行可能なレーン同士の交差はないことを示している。
【0039】
八番目の灯火状態(以下、「第八灯火状態」という。)では、信号機A1,A2,A3が赤である。通行可能レーンデータ313は、第八灯火状態において通行可能なレーンはないことを示している。レーン関係データ314は、第八灯火状態において通行可能なレーン同士の交差はないことを示している。
【0040】
図7に示す灯火パターンデータ310Bの灯火状態データ311は、六種類の灯火状態を含んでおり、これらの実行順序が遷移サイクルデータ312の順番315により定められている。第一灯火状態では、信号機A1,A2が青であり、信号機A3が赤である。通行可能レーンデータ313は、第一灯火状態において交差点内レーンL1,L2,L3,L4が通行可能なレーンとなることを示している。レーン関係データ314は、第一灯火状態において交差点内レーンL2,L3の間、及び交差点内レーンL2,L4の間に、通行可能なレーン同士の交差があることを示している。
【0041】
第二灯火状態では、信号機A1,A2が黄であり、信号機A3が赤である。通行可能レーンデータ313は、第二灯火状態において、第一灯火状態と同様に交差点内レーンL1,L2,L3,L4が通行可能なレーンとなることを示している。レーン関係データ314は、第二灯火状態において、第一灯火状態と同様に交差点内レーンL2,L3の間、及び交差点内レーンL2,L4の間に、通行可能なレーン同士の交差があることを示している。
【0042】
第三灯火状態では、信号機A1,A2,A3が赤である。通行可能レーンデータ313は、第三灯火状態において通行可能なレーンはないことを示している。レーン関係データ314は、第三灯火状態において通行可能なレーン同士の交差はないことを示している。
【0043】
第四灯火状態では、信号機A1,A2が赤であり、信号機A3が青である。通行可能レーンデータ313は、第四灯火状態において交差点内レーンL5,L6が通行可能なレーンとなることを示している。レーン関係データ314は、第四灯火状態において通行可能なレーン同士の交差はないことを示している。
【0044】
第五灯火状態では、信号機A1,A2が赤であり、信号機A3が黄である。通行可能レーンデータ313は、第五灯火状態において、第四灯火状態と同様に交差点内レーンL5,L6が通行可能なレーンとなることを示している。レーン関係データ314は、第五灯火状態において、第四灯火状態と同様に通行可能なレーン同士の交差はないことを示している。
【0045】
第六灯火状態では、信号機A1,A2,A3が赤である。通行可能レーンデータ313は、第六灯火状態において通行可能なレーンはないことを示している。レーン関係データ314は、第六灯火状態において通行可能なレーン同士の交差はないことを示している。
【0046】
ここで、図7の灯火パターンデータ310は、灯火状態の切り替えが感応式の制御で行われる場合を例示している。具体的には、第一灯火状態の継続時間が遷移サイクルデータ312の継続時間316において無限大に設定されている。これは、第一灯火状態から第二灯火状態への切り替えを経過時間に応じて行うことをせずに、感応式の制御で行うことを示している。感応式の制御の具体例としては、レーンL31から交差点C1に向かう移動体が検知された時、又は検知された時から一定時間が経過した時に第一灯火状態を第二灯火状態に切り替える制御が挙げられる。
【0047】
図8に示す適用期間データ320は、上記二種類の灯火パターンデータ310A,310Bが交差点C1に適用される期間をそれぞれ定める。例えば適用期間データ320は、制御方式データ221と、サイクル時間データ222と、有効曜日データ223と、有効開始時間データ224と、有効終了時間データ225とを含む。
【0048】
制御方式データ221は、灯火パターンデータ310A,310Bのそれぞれの制御方式を示す。制御方式データ221は、灯火パターンデータ310Aの制御方式が定周期式であり、灯火パターンデータ310Bの制御方式が感応式であることを示している。
【0049】
サイクル時間データ222は、灯火パターンデータ310A,310Bの一周期あたりの時間を示す。感応式の灯火パターンデータ310Bの時間は、感応式の制御により上記第一灯火状態から第二灯火状態に切り替わった後に、第一灯火状態に復帰するまでの時間である。
【0050】
有効曜日データ223は、灯火パターンデータ310A,310Bを有効とする曜日を定める。有効開始時間データ224は、灯火パターンデータ310A,310Bを有効とする時間帯の開始時刻を定める。有効終了時間データ225は、灯火パターンデータ310A,310Bを有効とする時間帯の終了時刻を定める。
【0051】
図8において、灯火パターンデータ310Aを有効とする曜日と灯火パターンデータ310Bを有効とする曜日とは一致しており、灯火パターンデータ310Aを有効とする時間帯と灯火パターンデータ310Bを有効とする時間帯とが異なっている。
【0052】
図9は、他の交差点を例示する模式図である。図9に示す交差点C2は、図5で示した交差点C1の信号機A3に、左折矢印灯A3Lを追加した交差点である。
【0053】
図10は、交差点C2の1種類の灯火パターンデータ310Cを例示するテーブルである。例えば灯火パターンデータ310Cも、上記灯火パターンデータ310A,310Bと同様に、灯火状態データ311と、遷移サイクルデータ312と、通行可能レーンデータ313と、レーン関係データ314とを含む。灯火パターンデータ310Cの灯火状態データ311は、八種類の灯火状態を含んでおり、これらの実行順序が遷移サイクルデータ312の順番315により定められている。
【0054】
第一灯火状態では、信号機A1,A2が青であり、信号機A3が赤であり、左折矢印灯A3LがOFF(消灯)である。通行可能レーンデータ313は、第一灯火状態において交差点内レーンL1,L2,L3,L4が通行可能なレーンとなることを示している。レーン関係データ314は、第一灯火状態において交差点内レーンL2,L3の間、及び交差点内レーンL2,L4の間に、通行可能なレーン同士の交差があることを示している。
【0055】
第二灯火状態では、信号機A1が青であり、信号機A2が黄であり、信号機A3が赤であり、左折矢印灯A3LがOFFである。通行可能レーンデータ313は、第二灯火状態において、第一灯火状態と同様に交差点内レーンL1,L2,L3,L4が通行可能なレーンとなることを示している。レーン関係データ314は、第二灯火状態において、第一灯火状態と同様に交差点内レーンL2,L3の間、及び交差点内レーンL2,L4の間に、通行可能なレーン同士の交差があることを示している。
【0056】
第三灯火状態では、信号機A1が青であり、信号機A2,A3が赤であり、左折矢印灯A3LがONである。通行可能レーンデータ313は、第三灯火状態において交差点内レーンL1,L2,L5が通行可能なレーンとなることを示している。レーン関係データ314は、第三灯火状態において通行可能なレーン同士の交差はないことを示している。
【0057】
第四灯火状態では、信号機A1が黄であり、信号機A2,A3が赤であり、左折矢印灯A3LがONである。通行可能レーンデータ313は、第四灯火状態において、第三灯火状態と同様に交差点内レーンL1,L2,L5が通行可能なレーンとなることを示している。レーン関係データ314は、第四灯火状態において、第三灯火状態と同様に通行可能なレーン同士の交差はないことを示している。
【0058】
第五灯火状態では、信号機A1,A2,A3が赤であり、左折矢印灯A3LがOFFである。通行可能レーンデータ313は、第五灯火状態において通行可能なレーンはないことを示している。レーン関係データ314は、第五灯火状態において通行可能なレーン同士の交差はないことを示している。
【0059】
第六灯火状態では、信号機A1,A2が赤であり、信号機A3が青であり、左折矢印灯A3LがOFFである。通行可能レーンデータ313は、第六灯火状態において交差点内レーンL5,L6が通行可能なレーンとなることを示している。レーン関係データ314は、第六灯火状態において通行可能なレーン同士の交差はないことを示している。
【0060】
第七灯火状態では、信号機A1,A2が赤であり、信号機A3が黄であり、左折矢印灯A3LがOFFである。通行可能レーンデータ313は、第七灯火状態において、第六灯火状態と同様に交差点内レーンL5,L6が通行可能なレーンとなることを示している。レーン関係データ314は、第七灯火状態において、第六灯火状態と同様に通行可能なレーン同士の交差はないことを示している。
【0061】
第八灯火状態では、信号機A1,A2,A3が赤であり、左折矢印灯A3LがOFFである。通行可能レーンデータ313は、第八灯火状態において通行可能なレーンはないことを示している。レーン関係データ314は、第八灯火状態において通行可能なレーン同士の交差はないことを示している。
【0062】
図11は、更に他の交差点を例示する模式図である。図11に示す交差点C3は、図5で示した交差点C1に、横断歩道Z1,Z2,Z3と、信号機A4,A5,A6とを追加したものである。
【0063】
横断歩道Z1は道路R1を横断するための歩道であり、横断歩道Z2は道路R2を横断するための歩道であり、横断歩道Z3は道路R3を横断するための歩道である。信号機A4は横断歩道Z1の横断可否を示す歩行者用の信号機であり、信号機A5は横断歩道Z2の横断可否を示す歩行者用の信号機であり、信号機A6は横断歩道Z3の横断可否を示す歩行者用の信号機である。また、交差点C3では、信号機A1に右折矢印灯A1Rが設けられている。
【0064】
交差点C3には、上記交差点内レーンL1,L2,L3,L4,L5,L6に加え、交差点内レーンPL1,PL2,PL3が対応している。交差点内レーンPL1は横断歩道Z1に沿って道路R1を横断するレーンであり、交差点内レーンPL2は横断歩道Z2に沿って道路R2を横断するレーンであり、交差点内レーンPL2は横断歩道Z3に沿って道路R3を横断するレーンである。
【0065】
図12は、交差点C3の1種類の灯火パターンデータ310Dを例示するテーブルである。例えば灯火パターンデータ310Dも、上記灯火パターンデータ310A,310B,310Cと同様に、灯火状態データ311と、遷移サイクルデータ312と、通行可能レーンデータ313と、レーン関係データ314とを含む。なお、灯火パターンデータ310Dの説明においては、簡略化のために、黄色が灯火した信号機を含む灯火状態、及び全レーンが通行不可となる灯火状態を省略する。実際の灯火パターンデータ310Dは、黄色が灯火した信号機を含む灯火状態、及び全レーンが通行不可となる灯火状態も含む。灯火パターンデータ310Dの灯火状態データ311は、三種類の灯火状態を含んでおり、これらの実行順序が遷移サイクルデータ312の順番315により定められている。
【0066】
第一灯火状態では、信号機A1が青であり、右折矢印灯A1RがOFFであり、信号機A2が青であり、信号機A3,A4,A5が赤であり、信号機A6が青である。通行可能レーンデータ313は、第一灯火状態において交差点内レーンL1,L2,L3,L4,PL3が通行可能なレーンとなることを示している。レーン関係データ314は、第一灯火状態において交差点内レーンL2,L3の間、交差点内レーンL2,L4の間、交差点内レーンL2,PL3の間、及び交差点内レーンL4,PL3の間に、通行可能なレーン同士の交差があることを示している(図13の(a)参照)。
【0067】
第二灯火状態では、信号機A1が赤であり、右折矢印灯A1RがONであり、信号機A2,A3,A4,A5,A6が赤である。通行可能レーンデータ313は、第二灯火状態において、交差点内レーンL2が通行可能なレーンとなることを示している。レーン関係データ314は、第二灯火状態において通行可能なレーン同士の交差はないことを示している(図13の(b)参照)。
【0068】
第三灯火状態では、信号機A1が赤であり、右折矢印灯A1RがOFFであり、信号機A2が赤であり、信号機A3,A4,A5が青であり、信号機A6が赤である。通行可能レーンデータ313は、第三灯火状態において交差点内レーンL5,L6,PL1,PL2が通行可能なレーンとなることを示している。レーン関係データ314は、第三灯火状態において交差点内レーンL5,PL1の間、交差点内レーンL6,PL2の間に通行可能なレーン同士の交差があることを示している(図13の(c)参照)。
【0069】
図14は、更に他の交差点を例示する模式図である。図14に示す交差点C4は、図11で示した交差点C3の信号機A1に直進矢印灯A1Sを付加し、信号機A2に直進矢印灯A2S及び左折矢印灯A2Lを付加し、信号機A3に左折矢印灯A3L及び右折矢印灯A3Rを付加した交差点である。
【0070】
図15は、交差点C4の1種類の灯火パターンデータ310Eを例示するテーブルである。例えば灯火パターンデータ310Eも、上記灯火パターンデータ310A,310B,310C,310Dと同様に、灯火状態データ311と、遷移サイクルデータ312と、通行可能レーンデータ313と、レーン関係データ314とを含む。なお、灯火パターンデータ310Eの説明においても、簡略化のために、黄色が灯火した信号機を含む灯火状態、及び全レーンが通行不可となる灯火状態を省略する。実際の灯火パターンデータ310Eは、黄色が灯火した信号機を含む灯火状態、及び全レーンが通行不可となる灯火状態も含む。灯火パターンデータ310Eの灯火状態データ311は、三種類の灯火状態を含んでおり、これらの実行順序が遷移サイクルデータ312の順番315により定められている。
【0071】
第一灯火状態では、信号機A1,A2,A3が赤であり、直進矢印灯A1S,A2SがONであり、左折矢印灯A2L及び右折矢印灯A1R,A3RがOFFであり、信号機A4,A5が赤であり、信号機A6が青である。通行可能レーンデータ313は、第一灯火状態において交差点内レーンL1,L3,PL3が通行可能なレーンとなることを示している。レーン関係データ314は、第一灯火状態において通行可能なレーン同士の交差はないことを示している(図16の(a)参照)。
【0072】
第二灯火状態では、信号機A1,A2,A3が赤であり、直進矢印灯A1S,A2S及び左折矢印灯A3LがOFFであり、左折矢印灯A2L及び右折矢印灯A3RがONであり、信号機A4が青であり、信号機A5,A6が赤である。通行可能レーンデータ313は、第二灯火状態において、交差点内レーンL4,L6,PL1が通行可能なレーンとなることを示している。レーン関係データ314は、第二灯火状態において通行可能なレーン同士の交差はないことを示している(図16の(b)参照)。
【0073】
第三灯火状態では、信号機A1,A2,A3が赤であり、直進矢印灯A1S,A2S及び左折矢印灯A2LがOFFであり、右折矢印灯A1R及び左折矢印灯A3LがONであり、信号機A4,A6が赤であり、信号機A5が青である。通行可能レーンデータ313は、第三灯火状態において交差点内レーンL2,L5,PL2が通行可能なレーンとなることを示している。レーン関係データ314は、第三灯火状態において通行可能なレーン同士の交差はないことを示している(図16の(c)参照)。
【0074】
図1に戻り、車両2は、ユーザインタフェース21と、GPS受信機22と、車載カメラ23と、レーダ24と、アクセルアクチュエータ25と、ブレーキアクチュエータ26と、ステアリングアクチュエータ27と、運転支援装置100とを有する。
【0075】
ユーザインタフェース21は、入力部及び表示部を含む(不図示)。入力部は、例えばキーパッド等であり、ユーザによる情報入力を取得する。表示部は、例えば液晶モニタ等であり、ユーザへの情報を表示する。なお、所謂タッチパネルのように、入力部及び表示部は一体化されていてもよい。
【0076】
GPS受信機22は、GPS(Global Positioning System)用の衛星信号を受信する。車載カメラ23は、車両2の周辺の画像情報を取得する。レーダ24は、車両2の周辺の物体の情報を取得する。アクセルアクチュエータ25は、例えば電動モータ等を動力源として、車両2のアクセルの開度を調節する。ブレーキアクチュエータ26は、例えば電動モータ等を動力源として、車両2のブレーキの作動状態を調節する。ステアリングアクチュエータ27は、例えば電動モータ等を動力源として、車両2の舵角を調節する。
【0077】
運転支援装置100は、車両2の運転支援を実行する。当該運転支援は、少なくとも、一つの交差点にある複数の信号機の灯火状態の遷移サイクルを定める複数種類の遷移サイクルデータ312をそれぞれ含む複数の灯火パターンデータ310と、複数の灯火パターンデータ310が交差点に適用される期間をそれぞれ定める複数の適用期間データ320と、を保持する地図データベース211を参照し、現在が複数の適用期間データ320のいずれに該当するかに基づいて、複数の灯火パターンデータ310のいずれが現在の灯火パターンデータ310であるかを決定することと、交差点の複数の信号機のうち少なくとも一つの信号機の現在の灯火状態と、当該交差点の現在の灯火パターンデータ310とに基づいて、当該交差点への車両2の進入可能タイミングを推定することと、進入可能タイミングに基づいて車両2の運転支援を実行することと、を含む。
【0078】
例えば運転支援装置100は、機能上の構成(以下、「機能モジュール」という。)として、目的地情報取得部111と、位置情報取得部112と、周辺情報取得部113と、地図情報取得部114と、地図データ保持部115と、経路探索部116と、走行車線設定部117と、灯火状態判定部123と、パターン決定部121と、タイミング推定部122と、走行制御部118とを有する。
【0079】
目的地情報取得部111は、ユーザインタフェース21への入力に基づいて車両2の目的地の情報を取得する。位置情報取得部112は、GPS受信機22から車両2の現在位置情報を取得する。周辺情報取得部113は、車載カメラ23及びレーダ24からの情報に基づいて、車両2の周辺の移動体(例えば車両又は人)の走行状態に関する情報を取得する。走行状態に関する情報は、例えば移動体の現在位置及び速度の情報を含む。
【0080】
地図情報取得部114は、車両2の走行予定範囲の地図データ220を地図データベース211から取得する。例えば地図情報取得部114は、車両2の現在位置と、目的地の位置とを含む所定範囲の地図データ220を地図データベース211から取得する。地図データ保持部115は、地図情報取得部114により取得された地図データ220を保持する。経路探索部116は、地図データ保持部115に記憶された論理ネットワークデータ230と、目的地情報取得部111により取得された目的地の位置情報と、位置情報取得部112により取得された現在位置の情報とに基づいて、現在位置から目的地までの車両2の走行予定経路を導出する。走行車線設定部117は、経路探索部116により設定された走行予定経路に沿った走行を可能とするように、車両2を走行させるレーンを設定する。
【0081】
灯火状態判定部123は、車載カメラ23からの情報に基づいて、次の交差点(車両2が次に進入する交差点)に設置された少なくとも一つの信号機の灯火状態を判定する。例えば、車両2が図5のレーンL11を走行している場合に、灯火状態判定部123は、少なくとも交差点C1の信号機A1の灯火状態を判定する。
【0082】
パターン決定部121は、次の交差点の交差点データ300が複数の灯火パターンデータ310を含んでいる場合に、現在が適用期間データ320により定められる期間のいずれに該当するかに基づいて、複数の灯火パターンデータ310のいずれが現在の灯火パターンデータ310であるかを決定する。
【0083】
例えば、車両2が図5のレーンL11を走行しており、現在時刻が16時である場合に、パターン決定部121は、現在が図8の適用期間データ320により定められた灯火パターンデータ310Aの期間に該当すると判定し、灯火パターンデータ310Aが現在の灯火パターンデータであると判定する。
【0084】
タイミング推定部122は、灯火状態判定部123が判定した信号機の現在の灯火状態と、パターン決定部121が決定した現在の灯火パターンデータとに基づいて、次の交差点への車両2の進入可能タイミングを推定する。例えばタイミング推定部122は、次の交差点に対応する複数のレーンのうち、車両2が進入を予定する進入予定レーンが通行可能となる灯火状態の開始タイミングを、上記現在の灯火状態と、上記現在の灯火パターンデータ310の遷移サイクルデータ312及び通行可能レーンデータ313とに基づいて予測する。
【0085】
タイミング推定部122は、進入予定レーンが通行可能となる灯火状態の終了タイミングを更に推定することで、進入予定レーンが通行可能な期間を進入可能タイミングとして推定してもよい。タイミング推定部122は、信号機の現在の灯火状態の判定結果を灯火状態判定部123から繰り返し取得することで、当該信号機の灯火状態の変化を検出し、その変化のタイミングと、上記現在の灯火パターンデータとに基づいて進入可能タイミングを予測してもよい。
【0086】
車両2が図5の交差点内レーンL1への進入を予定しており、現在の灯火パターンデータが図6の灯火パターンデータ310Aである場合、タイミング推定部122は少なくとも信号機A1の変化を検出する。例えば、信号機A1が青から黄に変化したことを検出した場合、タイミング推定部122は、灯火パターンデータ310Aに基づいて第四灯火状態が開始したことを認識する。更にタイミング推定部122は、第四灯火状態、第五灯火状態、第六灯火状態、第七灯火状態及び第八灯火状態の継続時間316を合計することで、交差点内レーンL1への進入可能タイミング(すなわち第一灯火状態の開始タイミング)が68秒後であると推定する。
【0087】
車両2が図5の交差点内レーンL2への進入を予定しており、現在の灯火パターンデータが図6の灯火パターンデータ310Aである場合も、タイミング推定部122は少なくとも信号機A1の変化を検出する。例えば、信号機A1が青から黄に変化したことを検出した場合、タイミング推定部122は、灯火パターンデータ310Aに基づいて第四灯火状態が開始したことを認識する。更にタイミング推定部122は、第四灯火状態、第五灯火状態、第六灯火状態、第七灯火状態及び第八灯火状態の継続時間316を合計することで、交差点内レーンL2への進入可能タイミング(すなわち第一灯火状態の開始タイミング)が68秒後であると推定する。
【0088】
なお、灯火パターンデータ310Aの第一灯火状態においては、交差点内レーンL2が交差点内レーンL3,L4と交差しているので、交差点内レーンL3,L4の移動体が障害となって交差点内レーンL2を通過できない可能性がある。そこでタイミング推定部122は、第四灯火状態、第五灯火状態、第六灯火状態、第七灯火状態、第八灯火状態、第一灯火状態及び第二灯火状態の継続時間316を合計することで、交差点内レーンL2への進入可能タイミング(すなわち第三灯火状態の開始タイミング)が251秒後であると推定してもよい。
【0089】
走行制御部118(運転支援部)は、位置情報取得部112により取得された現在位置情報と、周辺情報取得部113により取得された周辺車両の走行状態に関する情報とに基づいて周辺車両との衝突を回避しつつ、走行車線設定部117により設定されたレーンに沿って車両2を走行させるようにアクセルアクチュエータ25、ブレーキアクチュエータ26及びステアリングアクチュエータ27を制御する。
【0090】
また、走行制御部118は、タイミング推定部122による進入可能タイミングの推定結果に基づいて車両2の運転支援を実行する。例えば走行制御部118は、タイミング推定部122による進入可能タイミングの推定結果に基づいて、車両2の目標速度パターンを設定し、当該目標速度パターンに従った速度で車両2を走行させるようにアクセルアクチュエータ25、ブレーキアクチュエータ26及びステアリングアクチュエータ27を制御する。
【0091】
例えば、走行制御部118は、次の交差点への進入可能タイミングがタイミング推定部122により推定された場合に、当該タイミングにて当該交差点の進入予定レーンに車両2を進入させることを条件として、進入予定レーンを通過するまでの車両2の目標速度パターンを設定する。この際、走行制御部118は、進入予定レーンを通過するまでの車両2の加減速が最小になるように目標速度パターンを設定してもよい。
【0092】
走行制御部118は、他の通行可能なレーンと交差しない進入予定レーンにおける走行速度に比較して、他の通行可能なレーンと交差する進入予定レーンにおける走行速度を遅くするように、車両2の目標速度パターンを設定してもよい。例えば、走行制御部118は、図6の灯火パターンデータ310Aの第一灯火状態で交差点内レーンL2と交差する交差点内レーンL3における走行速度を、他のレーンと交差しない交差点内レーンL1における走行速度に比較して遅くするように目標速度パターンを設定する。
【0093】
走行制御部118は、他の通行可能なレーンにおける他の移動体(例えば車両又は人)の走行状態に基づいて、当該レーンと交差する進入予定レーンを通過するまでの車両2の目標速度パターンを変更してもよい。例えば走行制御部118は、図6の灯火パターンデータ310Aの第一灯火状態において交差点内レーンL3を通過するまでの目標速度パターンを設定した場合に、交差点内レーンL2を走行する車両との衝突を回避するように当該目標速度パターンを変更する。
【0094】
上述した運転支援装置100は、一つ又は複数のコンピュータにより構成される。例えば運転支援装置100は、図17に示す回路190を有する。回路190は、一つ又は複数のプロセッサ191と、メモリ192と、ストレージ193と、通信ポート194と、入出力ポート195とを有する。ストレージ193は、例えばハードディスク等、コンピュータによって読み取り可能な記録媒体を有する。
【0095】
ストレージ193は、一つの交差点にある複数の信号機の灯火状態の遷移サイクルを定める複数種類の遷移サイクルデータ312をそれぞれ含む複数の灯火パターンデータ310と、複数の灯火パターンデータ310が交差点に適用される期間をそれぞれ定める複数の適用期間データ320と、を地図データベース211から取得することを、現在が適用期間データ320により定められる期間のいずれに該当するかに基づいて、複数の灯火パターンデータ310のいずれが現在の灯火パターンデータ310であるかを決定する処理を実行する装置に実行させるためのプログラムを記憶している。
【0096】
例えばストレージ193は、上述した各機能モジュールを構成するためのプログラムの記憶領域と、上述した地図データ保持部115に割り当てられる記憶領域とを含む。記録媒体は、不揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク及び光ディスク等の取り出し可能な媒体であってもよい。メモリ192は、ストレージ193からロードしたプログラム及びプロセッサ191による演算結果を一時的に記憶する。プロセッサ191は、メモリ192と協働して上記プログラムを実行することで、上述した各機能モジュールを構成する。通信ポート194は、無線の通信方式によりネットワーク回線NWに接続されており、プロセッサ191からの指令に従い、ネットワーク回線NWを介してサーバ200との間でデータ通信を行う。入出力ポート195は、プロセッサ191からの指令に従って、ユーザインタフェース21、GPS受信機22、車載カメラ23、レーダ24、アクセルアクチュエータ25、ブレーキアクチュエータ26、及びステアリングアクチュエータ27との間で電気信号の入出力を行う。
【0097】
サーバ200は、一つ又は複数のコンピュータにより構成される。例えばサーバ200は、図17に示す回路290を有する。回路290は、一つ又は複数のプロセッサ291と、メモリ292と、ストレージ293と、通信ポート294とを有する。ストレージ293は、例えばハードディスク等、コンピュータによって読み取り可能な記録媒体を有する。ストレージ293は、上述した各機能モジュールを構成するためのプログラムの記憶領域と、上述した地図データベース211に割り当てられる記憶領域とを含む。記録媒体は、不揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク及び光ディスク等の取り出し可能な媒体であってもよい。メモリ292は、ストレージ293からロードしたプログラム及びプロセッサ291による演算結果を一時的に記憶する。プロセッサ291は、メモリ292と協働して上記プログラムを実行することで、上述した各機能モジュールを構成する。通信ポート294は、有線又は無線の通信方式によりネットワーク回線NWに接続されており、プロセッサ291からの指令に従い、ネットワーク回線NWを介して運転支援装置100の通信ポート194との間でデータ通信を行う。
【0098】
〔運転支援手順〕
続いて、運転支援方法の一例として、車両2が交差点を通過する際に運転支援装置100が実行する運転支援手順を例示する。この手順は、一つの交差点にある複数の信号機の灯火状態の遷移サイクルを定める複数種類の遷移サイクルデータ312をそれぞれ含む複数の灯火パターンデータ310と、複数の灯火パターンデータ310が交差点に適用される期間をそれぞれ定める複数の適用期間データ320と、を保持する地図データベース211を参照し、現在が複数の適用期間データ320のいずれに該当するかに基づいて、複数の灯火パターンデータ310のいずれが現在の灯火パターンデータ310であるかを決定することと、交差点の複数の信号機のうち少なくとも一つの信号機の現在の灯火状態と、当該交差点の現在の灯火パターンデータ310とに基づいて、当該交差点への車両2の進入可能タイミングを推定することと、進入可能タイミングに基づいて車両2の運転支援を実行することと、を含む。
【0099】
図18は、交差点に進入予定の車両2が当該交差点を退出するまでの間に運転支援装置100が実行する運転支援手順を示すフローチャートである。図18に示すように、運転支援装置100はステップS01,S02,S03,S04,S05を実行する。ステップS01では、走行車線設定部117が、経路探索部116により設定された走行予定経路に沿った走行を可能とするように、車両2を走行させるレーンを設定する。これにより、次の交差点の進入予定レーンも設定される。ステップS02では、パターン決定部121が、現在が適用期間データ320により定められる期間のいずれに該当するかを判定する。ステップS03では、パターン決定部121が、ステップS02において、現在該当していると判定された期間に対応する灯火パターンデータ310が現在の灯火パターンデータ310であると決定する。ステップS04では、タイミング推定部122が、次の交差点に設置された少なくとも一つの信号機(以下、「監視対象信号機」という。)の灯火状態の判定結果を灯火状態判定部123から取得する。ステップS05では、タイミング推定部122が、監視対象信号機の灯火状態に変化が生じたか否かを確認する。
【0100】
ステップS05において監視対象信号機の灯火状態に変化が生じていない場合、運転支援装置100は処理をステップS04に戻す。以後、監視対象信号機の灯火状態に変化が生じるまで、監視対象信号機の灯火状態の判定が繰り返される。
【0101】
ステップS05において監視対象信号機の灯火状態に変化が生じている場合、運転支援装置100はステップS06,S07を実行する。ステップS06では、タイミング推定部122が監視対象信号機の灯火状態の変化を検出し、その変化のタイミングと、上記現在の灯火パターンデータとに基づいて次の交差点への進入可能タイミングを推定する。ステップS07では、走行制御部118が、次の交差点の進入予定レーンと他の通行可能なレーンとの交差がないかを確認する。ステップS07において次の交差点の進入予定レーンと他の通行可能なレーンとの交差がない場合、運転支援装置100はステップS08を実行する。ステップS08では、走行制御部118が、進入予定レーンにおける走行速度を予め設定された第一速度に設定する。
【0102】
ステップS07において次の交差点の進入予定レーンと他の通行可能なレーンとの交差がある場合、運転支援装置100はステップS09を実行する。ステップS09では、走行制御部118が、進入予定レーンにおける走行速度を予め設定された第二速度に設定する。第二速度は第一速度よりも低速である。
【0103】
ステップS08又はステップS09を実行した後、運転支援装置100はステップS11を実行する。ステップS11では、走行制御部118が、次の交差点の進入予定レーンを通過するまでの車両2の目標速度パターンを設定する。例えば、走行制御部118は、ステップS06において推定された進入可能タイミングにて当該交差点の進入予定レーンに車両2を進入させることを条件として、進入予定レーンを通過するまでの車両2の目標速度パターンを設定する。この際に、走行制御部118は、進入予定レーンにおける走行速度がステップS08において設定された第一速度又はステップS09において設定された第二速度となるように目標速度パターンを設定する。走行制御部118は、進入予定レーンを通過するまでの車両2の加減速が最小になるように目標速度パターンを設定してもよい。
【0104】
次に、運転支援装置100はステップS12,S13を実行する。ステップS12では、走行制御部118が、周辺の移動体の走行状態に関する情報を周辺情報取得部113から取得する。これにより、交差点の進入予定レーンと交差する他の通行可能なレーンにおける他の移動体の走行状態に関する情報も取得される。ステップS13では、走行制御部118が、ステップS12において取得した情報に基づいて、進入予定レーンを走行する際に車両2が他の移動体と衝突し得るか否かを確認する。
【0105】
ステップS13において車両2が他の移動体と衝突し得ると判定した場合、運転支援装置100はステップS14を実行する。ステップS14では、走行制御部118が、車両2と他の移動体との衝突を回避するように目標速度パターンを変更する。
【0106】
次に、運転支援装置100はステップS15を実行する。ステップS13において車両2が他の移動体と衝突し得ないと判定したい場合、運転支援装置100はステップS14を実行せずにステップS15を実行する。ステップS15では、走行制御部118が、車両2が交差点を通過したか否かを確認する。
【0107】
ステップS15において車両2が交差点を通過していない場合、運転支援装置100は処理をステップS12に戻す。以後、交差点を通過するまで、他の移動体との衝突を回避するように目標速度パターンを調節することが繰り返される。ステップS15において車両2が交差点を通過している場合、運転支援装置100は処理を完了する。以上で運転支援手順が完了する。
【0108】
〔本実施形態の効果〕
以上に説明したように、運転支援装置100は、一つの交差点にある複数の信号機の灯火状態の遷移サイクルを定める複数種類の遷移サイクルデータ312をそれぞれ含む複数の灯火パターンデータ310と、複数の灯火パターンデータ310が交差点に適用される期間をそれぞれ定める適用期間データ320と、を保持する地図データベース211を参照し、現在が適用期間データ320により定められた期間のいずれに該当するかに基づいて、複数の灯火パターンデータ310のいずれが現在の灯火パターンデータ310であるかを決定するパターン決定部121と、交差点の複数の信号機のうち少なくとも一つの信号機の現在の灯火状態と、当該交差点の現在の灯火パターンデータ310とに基づいて、当該交差点への車両2の進入可能タイミングを推定するタイミング推定部122と、進入可能タイミングに基づいて車両2の運転支援を実行する走行制御部118と、を備える。
【0109】
この運転支援装置100によれば、曜日及び時間帯等によって複数の信号機の遷移サイクルが変化する場合であっても、遷移サイクルの変化に対応して交差点への車両2の進入可能タイミングを適切に予測し、その推定結果に基づいて運転支援を実行することができる。従って、交差点への車両2の進入可能タイミングに合わせた運転支援の実現に有効である。
【0110】
地図データベース211は、道路網における移動体の通行経路を複数のレーンのネットワークで示したレーンネットワークデータ240を更に保持し、灯火パターンデータ310は、交差点に対応する複数のレーンのうち通行可能なレーンを灯火状態ごとに示す通行可能レーンデータ313を更に含み、タイミング推定部122は、交差点内に位置する複数のレーンのうち、車両2が進入を予定する進入予定レーンが通行可能となる灯火状態の開始タイミングを、現在の灯火状態と、現在の灯火パターンデータ310の遷移サイクルデータ312及び通行可能レーンデータ313とに基づいて推定してもよい。
【0111】
交差点の構造が複雑化すると、進入予定レーンに進入するために、どの灯火状態を待機すべきかの判定が難しくなり、その交差点への進入可能タイミングの予測も難しくなる場合がある。これに対し、上記構成によれば、灯火パターンデータ310において、交差点内の通行可能なレーンが灯火状態ごとに予め定められる。このため、交差点の構造が複雑化した場合であっても、交差点への進入可能タイミングを容易に予測することができる。従って、交差点への車両2の進入可能タイミングに合わせた運転支援の実現に更に有効である。
【0112】
灯火パターンデータ310は、交差点に複数の通行可能なレーンが生じる灯火状態について、当該複数の通行可能なレーン同士の交差の有無を示すレーン関係データ314を更に含み、走行制御部118は、他の通行可能なレーンと交差しない進入予定レーンにおける走行速度に比較して、他の通行可能なレーンと交差する進入予定レーンにおける走行速度を遅くするように、進入予定レーンを通過するまでの車両の目標速度パターンを設定してもよい。この場合、他の通行可能なレーンと交差しない進入予定レーンにおける走行速度に比較して、他の通行可能なレーンと交差する進入予定レーンにおける走行速度を遅くする細やかな運転支援の実現に有効である。
【0113】
走行制御部118は、他の通行可能なレーンにおける他の移動体の走行状態に基づいて、当該レーンと交差する進入予定レーンを通過するまでの車両の目標速度パターンを変更してもよい。この場合、他の通行可能なレーンと交差する進入予定レーンにおける走行速度を、当該他の通行可能なレーンにおける他の移動体の走行状態に基づいて変更するより細やかな運転支援の実現に有効である。
【0114】
以上、実施形態について説明したが、本発明は必ずしも上述した形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
【0115】
運転支援装置100は、必ずしもアクセルアクチュエータ25、ブレーキアクチュエータ26及びステアリングアクチュエータ27等を制御して車両2の自動運転を遂行するものでなくてもよい。例えば走行制御部118は、アクセルアクチュエータ25、ブレーキアクチュエータ26及びステアリングアクチュエータ27の制御に代えて、次の交差点への進入可能タイミング等をユーザインタフェース21により運転者に報知するものであってもよい。
【0116】
以上の実施形態の全部又は一部に記載された態様は、車線変更に係る適切な運転支援の実現に有効な運転支援装置の提供、処理速度の向上、処理精度の向上、使い勝手の向上、データを利用した機能の向上又は適切な機能の提供その他の機能向上又は適切な機能の提供、データ及び/又はプログラムの容量の削減、装置及び/又はシステムの小型化等の適切なデータ、プログラム、記録媒体、装置及び/又はシステムの提供、並びにデータ、プログラム、装置又はシステムの制作・製造コストの削減、制作・製造の容易化、制作・製造時間の短縮等のデータ、プログラム、記録媒体、装置及び/又はシステムの制作・製造の適切化のいずれか一つの課題を解決する。
【符号の説明】
【0117】
2…車両、100…運転支援装置、118…走行制御部(運転支援部)、121…パターン決定部、122…タイミング推定部、211…地図データベース(データベース)、240…レーンネットワークデータ、310…灯火パターンデータ、312…遷移サイクルデータ、313…通行可能レーンデータ、314…レーン関係データ、320…適用期間データ。
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