IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社東海理化電機製作所の特許一覧 ▶ トヨタ自動車株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-認証装置、認証方法及び認証システム 図1
  • 特許-認証装置、認証方法及び認証システム 図2
  • 特許-認証装置、認証方法及び認証システム 図3
  • 特許-認証装置、認証方法及び認証システム 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】認証装置、認証方法及び認証システム
(51)【国際特許分類】
   B60R 25/24 20130101AFI20221220BHJP
   B60R 25/25 20130101ALI20221220BHJP
【FI】
B60R25/24
B60R25/25
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018165271
(22)【出願日】2018-09-04
(65)【公開番号】P2020037325
(43)【公開日】2020-03-12
【審査請求日】2021-05-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】弁理士法人平田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大橋 洋介
(72)【発明者】
【氏名】大脇 里仁
(72)【発明者】
【氏名】安藤 喬彦
(72)【発明者】
【氏名】太田 恭久
(72)【発明者】
【氏名】後藤 雄哉
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼田 直幸
(72)【発明者】
【氏名】小川 大輔
【審査官】瀬戸 康平
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-190380(JP,A)
【文献】特開2006-336420(JP,A)
【文献】特開2006-016791(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 25/24
B60R 25/25
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前回の認証が成立した第1の登録者と、前記前回の認証の次に行われた他の認証装置による認証が成立した第2の登録者と、を組み合わせて一方が一番目となり他方が二番目なるように認証順位を設定し、設定した前記認証順位の順番に従って前記他の認証装置の認証に続く認証を行う認証部を備えた認証装置。
【請求項2】
前記他の認証装置は、車両に搭載され、前記車両に近づくユーザが携帯する携帯機と通信を行って生体情報以外を用いた認証を行い、
前記認証部は、前記車両のスタートスイッチ装置を操作するユーザの生体情報を読み取り、読み取った前記ユーザの生体情報と予め登録された登録生体情報とを前記認証順位の順番に従って比較して生体情報を用いた認証を行う、
請求項1に記載の認証装置。
【請求項3】
前記認証部は、前記携帯機のID情報に基づいて前記第1の登録者及び前記第2の登録者を含む複数の登録者を識別する識別情報と、読み取られた前記ユーザの生体情報と比較されるテンプレートと、を関連付けた登録生体情報を有する、
請求項2に記載の認証装置。
【請求項4】
前記認証部は、前記他の認証装置における認証が成立した場合、前記認証順位を設定し、設定した前記認証順位の順番に従って前記他の認証装置の認証に続く認証を行う、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の認証装置。
【請求項5】
前回の認証が成立した第1の登録者と、前記前回の認証の次に行われた他の認証装置による認証が成立した第2の登録者と、を組み合わせて一方が一番目となり他方が二番目なるように認証順位を設定し、設定した前記認証順位の順番に従って前記他の認証装置の認証に続く認証を行う、
認証方法。
【請求項6】
第2の登録者が登録者であるか否かの認証を行う他の認証装置と、
前回の認証が成立した第1の登録者と、前記前回の認証の次に行われた前記他の認証装置による認証が成立した前記第2の登録者と、を組み合わせて一方が一番目となり他方が二番目なるように認証順位を設定し、設定した前記認証順位の順番に従って前記他の認証装置の認証に続く認証を行う認証部を有する認証装置と、
を備えた認証システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、認証装置、認証方法及び認証システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術として、携帯機から識別情報を受信することにより、携帯機の認証を行う携帯機認証手段と、運転者に固有の運転者識別情報を取得し、予め登録された運転者識別情報と比較して予め登録された登録運転者であるかの認証を行う運転者認証手段と、登録運転者が設定する情報である設定情報の入力を受け付ける情報入力手段と、運転者認証手段による認証か、又は登録運転者が入力した設定情報に基づく認証のいずれかを選択し、選択された認証による認証結果と携帯機認証手段の認証結果とに基づいて、車両の発車の制御を行う認証制御手段と、を備える車両盗難防止装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-208554号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような従来の車両盗難防止装置の中には、例えば、携帯機に登録された登録者ではない者が使用した場合、認証順位のため、認証時間が増える可能性がある。
【0005】
従って本発明の目的は、認証に掛かる時間を抑制することができる認証装置、認証方法及び認証システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、前回の認証が成立した第1の登録者と、他の認証装置において認証が成立した第2の登録者と、を組み合わせて一番目と二番目になるように認証順位を設定して認証を行う認証部を備えた認証装置を提供する。
【0007】
本発明の他の一態様は、前回の認証が成立した第1の登録者と、他の認証装置において認証が成立した第2の登録者と、を組み合わせて一番目と二番目になるように認証順位を設定して認証を行う、認証方法を提供する。
【0008】
本発明の他の一態様は、第2の登録者が登録者であるか否かの認証を行う他の認証装置と、前回の認証が成立した第1の登録者と、他の認証装置において認証が成立した第2の登録者と、を組み合わせて一番目と二番目になるように認証順位を設定して認証を行う認証部を有する認証装置と、を備えた認証システムを提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、認証に掛かる時間を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1(a)は、実施の形態に係る認証装置の一例を示すブロック図であり、図1(b)は、認証装置が含まれる認証システムの一例を示すブロック図である。
図2図2(a)は、実施の形態に係る認証装置の一例を示す概略図であり、図2(b)は、生体情報センサが読み取る生体情報の一例を示す概略図である。
図3図3(a)及び図3(b)は、実施の形態に係る認証装置が生成する認証順位情報の生成の一例を説明するための概略図であり、図3(c)は、認証順位情報の変形例の一例を示す概略図である。
図4図4は、実施の形態に係る認証装置及び認証システムの動作の一例を説明するためのタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施の形態の要約)
実施の形態に係る認証装置は、前回の認証が成立した第1の登録者と、他の認証装置において認証が成立した第2の登録者と、を組み合わせて一番目と二番目になるように認証順位を設定して認証を行う認証部を備えて概略構成されている。
【0012】
この認証装置は、前回の認証が成立した第1の登録者と、他の認証装置によって認証された第2の登録者と、を認証順位の一番目と二番目にするので、この構成を採用しない場合と比べて、認証順位の一番目と二番目において認証が成立する確率が高く、認証に掛かる時間を抑制することができる。
【0013】
また他の実施の形態に係る認証方法は、前回の認証が成立した第1の登録者と、他の認証装置において認証が成立した第2の登録者と、を組み合わせて一番目と二番目になるように認証順位を設定して認証を行う、ことを含んでいる。
【0014】
この認証方法は、前回の認証が成立した第1の登録者と、他の認証装置によって認証された第2の登録者と、を認証順位の一番目と二番目にするので、この構成を採用しない場合と比べて、認証順位の一番目と二番目において認証が成立する確率が高く、認証に掛かる時間を抑制することができる。
【0015】
さらに他の実施の形態に係る認証システムは、第2の登録者が登録者であるか否かの認証を行う他の認証装置と、前回の認証が成立した第1の登録者と、他の認証装置において認証が成立した第2の登録者と、を組み合わせて一番目と二番目になるように認証順位を設定して認証を行う認証部を有する認証装置と、を備えて概略構成されている。
【0016】
この認証システムは、前回の認証が成立した第1の登録者と、他の認証装置によって認証された第2の登録者と、を認証順位の一番目と二番目にするので、この構成を採用しない場合と比べて、認証順位の一番目と二番目において認証が成立する確率が高く、認証に掛かる時間を抑制することができる。
【0017】
[実施の形態]
(認証装置1の概要)
以下では、実施の形態の認証装置1の一例について各図を参照しながら説明する。なお図1(a)及び図1(b)では、主な信号や情報の流れを矢印で示している。
【0018】
認証装置1は、生体情報を用いた認証、又は生体情報以外を用いた認証を行う。本実施の形態の認証装置1は、一例として、図1(a)及び図2(a)に示すように、生体情報の認証に基づいて車両の駆動装置の始動及び停止、電源の遷移を指示するスタートスイッチ装置として構成されている。このスタートスイッチ装置としての認証装置1は、例えば、図2(a)に示すように、円筒形の本体10と、操作ボタン11と、を備えている。この操作ボタン11は、本体10の開口102に挿入され、操作面110になされたプッシュ操作によって本体10側に移動するように構成されている。
【0019】
また認証装置1は、例えば、図1(a)に示すように、生体情報センサ12と、スイッチ部13と、認証部としての制御部14と、を備えて概略構成されている。なお認証装置1は、スタートスイッチ装置に限定されず、ログイン、ロック解除や決済などを生体認証で行う装置であっても良い。
【0020】
この制御部14は、例えば、図3(a)~図3(c)に示すように、前回の認証が成立した第1の登録者(登録者D)と、他の認証装置において認証が成立した第2の登録者(登録者B)と、を組み合わせて一番目と二番目になるように認証順位を設定して認証を行うように概略構成されている。
【0021】
この第1の認証装置23は、車両に搭載され、車両に近づくユーザが携帯する携帯機22と通信を行って認証を行うように構成されている。また制御部14は、車両のスタートスイッチ装置を操作するユーザの生体情報122を読み取り、生体情報122と予め登録された登録生体情報15とを比較して認証(生体認証)を行うように構成されている。
【0022】
また認証装置1は、例えば、図1(b)に示す認証システム2の一部を構成している。
【0023】
この認証システム2は、例えば、図1(b)に示すように、第2の登録者が登録者であるか否かの認証を行う第1の認証装置23と、上述の制御部14を備えた認証装置1と、を備えて概略構成されている。
【0024】
なお本実施の形態の認証システム2は、例えば、図1(b)に示すように、車両制御部20が第2の登録者を識別する識別情報Sを生成して出力するように構成されているがこれに限定されない。変形例としての認証システム2は、第2の登録者が登録者であるか否かの認証を行う認証装置と、認証装置において認証が成立した第2の登録者を識別する識別情報Sを出力する識別装置と、上述の制御部14を備えた認証装置1と、を備えて概略構成されても良い。この識別装置は、例えば、携帯機22の登録者の情報(ID情報S)を取得してこの登録者を識別する識別情報Sを生成するように構成されている。
【0025】
(生体情報センサ12の構成)
生体情報センサ12は、例えば、登録者の生体情報122を読み取って制御部14に出力するように構成されている。この生体情報センサ12は、一例として、操作ボタン11に搭載されている。なお生体情報センサ12は、一例として、スタートスイッチ装置以外に搭載されて顔画像、虹彩などの生体情報を用いた認証を行うように構成されても良い。
【0026】
生体情報センサ12が指紋を読み取る場合は、例えば、光学式、静電容量式、電界強度測定式、感圧式及び感熱式などの指紋パターンを読み取るように構成されたセンサを用いて行われる。
【0027】
操作指や手の平の静脈を読み取る場合は、例えば、照射した近赤外線の反射に基づいて静脈パターンを読み取るように構成されたセンサを用いて行われる。
【0028】
顔画像を取得する場合は、例えば、撮像された対象に複数の計測点を設け、この計測点の深度に基づいて対象の凹凸形状を読み取るように構成されたセンサを用いて行われる。
【0029】
虹彩を読み取る場合は、例えば、赤外線を照射して撮像した画像を画像処理して虹彩を読み取るように構成されたセンサを用いて行われる。
【0030】
本実施の形態の生体情報センサ12は、一例として、静電容量方式のセンサである。そして生体情報センサ12は、例えば、図2(a)に示すように、操作ボタン11の操作面110に露出する読取面120に接触した操作指9から読み取った指紋パターンを静電容量情報Sとして出力するように構成されている。
【0031】
なお読取面120は、操作面110に露出せず、操作面110の下方に配置されても良い。また読取面120は、例えば、矩形に限定されず、円形や楕円形であっても良い。
【0032】
生体情報センサ12は、例えば、読取面120の下方に、格子状に行と列に並ぶ複数の検出電極を備えている。この複数の検出電極は、一例として、数万から数十万個形成されると共に、数μmから数十μmの間隔で配置されている。
【0033】
生体情報センサ12は、例えば、列を変えながら行に並ぶ検出電極の静電容量を読み出し、続いて行を変えて検出電極の静電容量を読み出すことを繰り返して全ての検出電極を走査するように構成されている。この走査の周期は、一例として、100ms程度である。
【0034】
生体情報センサ12は、例えば、走査して読み出した複数の静電容量に基づいて形成される静電容量情報Sを制御部14に出力する。この静電容量情報Sは、例えば、1周期分の静電容量に基づいて形成される。
【0035】
具体的には、生体情報センサ12は、例えば、予め設けられたしきい値以上の静電容量を「1」、しきい値より低い静電容量を「0」の二値に分けると共に、検出電極の位置と関連付けて静電容量情報Sを生成する。
【0036】
図2(b)に示す読取画像121は、一例として、静電容量情報Sに基づいて上述の「1」の検出電極の位置を黒、「0」の検出電極の位置を白として得られるものである。なお図中の丸は、後述する特徴点6の一部を示すために付したものである。
【0037】
静電容量が高い位置は、指紋の山の位置であって検出電極までの距離が近いので、静電容量が高くなる。そして低い位置は、指紋の谷の位置であって検出電極までの距離が遠く、静電容量が低くなる。従って静電容量の高い位置を黒、低い位置を白とすると、一例として、図2(b)に示すような読取画像121が得られる。この読取画像121において黒で示した画像は、読み取られた生体情報122である。
【0038】
(スイッチ部13の構成)
スイッチ部13は、一例として、操作ボタン11の操作面110とは反対側となる端部と接触するラバードームスイッチとして概略構成されている。このラバードームスイッチは、例えば、弾性力を生成すると共に可動接点を有するラバードームと、ラバードームが配置され、可動接点と対向する固定接点を有するスイッチ基板と、を備えている。
【0039】
そしてプッシュ操作によって操作ボタン11が押し込まれると、ラバードームが変形して可動接点が固定接点と導通し、スイッチ部13がオンしたことを示すスイッチ信号Sが制御部14に出力される。そして操作ボタン11は、プッシュ操作が終了すると、ラバードームの弾性力によって初期の位置に復帰するように構成されている。
【0040】
(制御部14の構成)
制御部14は、例えば、記憶されたプログラムに従って、取得したデータに演算、加工などを行うCPU(Central Processing Unit)、半導体メモリであるRAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)などから構成されるマイクロコンピュータである。このROMには、例えば、制御部14が動作するためのプログラムが格納されている。RAMは、例えば、登録生体情報15、認証しきい値16及び認証順位情報17を格納すると共に、一時的に演算結果などを格納する記憶領域として用いられる。また制御部14は、その内部にクロック信号を生成する手段を有し、このクロック信号に基づいて動作を行う。後述する認証方法は、一例として、このマイクロコンピュータが実行するプログラムとして提供されても良い。
【0041】
登録生体情報15は、例えば、登録者名と、テンプレートと、を関連付けた情報である。この登録者名とは、例えば、登録生体情報15を登録した登録者を識別するものである。テンプレートとは、例えば、生体情報センサ12が読み取った生体情報122の特徴点6から構成される。なお登録生体情報15は、ユーザが登録した指の生体情報122ごとに生成される。この特徴点6は、生体情報122に対する隆線の抽出処理などによって抽出されるものである。
【0042】
具体的には、特徴点6とは、例えば、図2(b)に示すように、中心点、分岐点、端点及び三角州などであるがこれに限定されない。中心点とは、指紋の中心となる点である。分岐点とは、指紋の隆線が分岐している点である。端点とは、隆線が切れている点である。三角州とは、三方向から隆線が集まった点である。
【0043】
制御部14は、例えば、読み取られたユーザの生体情報122の特徴点6と、登録生体情報15のテンプレートと、を比較し、特徴点6の位置、特徴点6間の距離などに基づいて類似度を算出する。そして制御部14は、類似度が認証しきい値16以上であった場合、ユーザが登録者である、つまり生体認証が成立したことを示す生体認証情報Sを出力する。
【0044】
認証しきい値16は、一例として、特徴点6の位置、特徴点6間の距離などの比較対象の類似度の80%として定義される。つまり制御部14は、例えば、生体認証に使用する比較対象の数が80個である場合、64個以上の比較対象が一致すれば、ユーザが登録者であると判定する。
【0045】
制御部14は、例えば、認証が成立した場合、認証が成立したことを示す生体認証情報Sを車両制御部20に出力する。車両制御部20は、車両LAN21を介して生体認証情報Sが入力すると、認証成立に応じた制御を対象の電子機器に行う。本実施の形態では、一例として、生体認証情報Sに基づいて駆動装置の始動や電源遷移を行う。
【0046】
なお生体認証は、例えば、特徴点6の類似度を用いた認証方法に限定されず、パターンマッチングなどの認証方法であっても良い。
【0047】
認証順位情報17は、例えば、図3(a)~図3(c)に示すように、生体認証の順位に関する情報である。制御部14は、この生体認証の順位に従って生体認証を行う。以下では、まず前回の認証が成立した第1の登録者(登録者D)が二番目であり、第1の認証装置23において認証が成立した第2の登録者(登録者B)が一番目となるように認証順位を定める場合について説明する。
【0048】
制御部14は、例えば、図3(a)に示すように、前回の生体認証においてユーザが登録者Dであった場合、登録者Dの登録生体情報15が最上位になるように認証順位を変更する。図3(a)に示す認証順位情報17は、例えば、登録者D、登録者A、登録者C、登録者B、登録者Eの順番で登録者が並べられている。
【0049】
次に制御部14は、例えば、図3(b)に示すように、さらに第1の認証装置23による認証が成立した場合、携帯機22の登録者Bが最上位になるように認証順位を変更する。図3(b)に示す認証順位情報17は、例えば、登録者B、登録者D、登録者A、登録者C、登録者Eの順番で登録者が並べられている。
【0050】
従ってユーザが車両に乗り込んで操作ボタン11を操作する際、認証装置1は、例えば、図3(b)に示す認証順位情報17の認証順位に従って生体認証を行う。
【0051】
続いて前回の認証が成立した第1の登録者(登録者D)が一番目であり、第1の認証装置23において認証が成立した第2の登録者(登録者B)が二番目となるように認証順位を定める場合について説明する。
【0052】
制御部14は、例えば、図3(a)に示すように、前回の生体認証においてユーザが登録者Dであった場合、登録者Dの登録生体情報15が最上位になるように認証順位を変更する。
【0053】
次に制御部14は、例えば、図3(c)に示すように、さらに第1の認証装置23による認証が成立した場合、携帯機22の登録者Bが二番目になるように認証順位を変更する。図3(c)に示す認証順位情報17は、例えば、登録者D、登録者B、登録者A、登録者C、登録者Eの順番で登録者が並べられている。
【0054】
この認証順位では、例えば、一番目と二番目に携帯機22の登録者と前回の生体認証が成立した登録者とが位置する。従って認証順位の一番目と二番目において認証が成立する確率が高いので、登録者Dが登録者Bの携帯機を携帯して乗車した場合、順番が後となって生体認証が成立するまでの時間が掛かるのを抑制することができる。
【0055】
以下では、主に、第1の登録者が二番目で、第2の登録者が一番目となる認証順位について説明する。
【0056】
(認証システム2の構成)
認証システム2は、例えば、図1(b)に示すように、さらに、車両制御部20と、車両LAN(Local Area Network)21と、を備えている。
【0057】
認証システム2の車両制御部20は、例えば、CPU、RAM及びROMなどから構成されるマイクロコンピュータである。このROMには、例えば、認証システム2が動作するためのプログラムが格納されている。またRAMには、登録者を識別する登録者設定情報200が記憶されている。
【0058】
車両制御部20は、例えば、車両に搭載された電子機器や車両LAN21を介した通信などを制御する。この車両LAN21は、一例として、CAN(Controller Area Network)及びLIN(Local Interconnect Network)などの規格を用いた相互の通信を可能とするものである。
【0059】
この車両LAN21には、例えば、認証装置1、第1の認証装置23、第2の認証装置24及び車載装置25が電磁気的に接続されている。なお車両LAN21には、さらに複数の認証装置や車載装置が接続されても良い。
【0060】
携帯機22は、例えば、車両に登録された電子キーやスマートフォンなどである。本実施の形態では、車両に対して複数の携帯機22を登録可能であるものとする。そして携帯機22は、例えば、登録者のID情報Sを有している。
【0061】
携帯機22は、一例として、第1の認証装置23と無線通信を行い、ID情報Sを送信する。第1の認証装置23は、受信したID情報Sと記憶する登録情報230とを比較して携帯機22が車両に登録されているか否かを判定する。
【0062】
第1の認証装置23は、認証が成立すると、携帯機22の登録者の情報を含む認証情報Sを生成して車両LAN21を介して車両制御部20に出力する。車両制御部20は、認証情報Sと登録者設定情報200とに基づいて登録者を識別する識別情報Sを出力する。
【0063】
この識別情報Sは、例えば、認証装置1、第2の認証装置24や車載装置25に出力される。認証装置1及び第2の認証装置24は、この識別情報Sに基づいて識別された登録者の認証順位を最上位とする。
【0064】
車載装置25は、例えば、この識別情報Sに基づいて識別された登録者が設定した設定を実行する。車載装置25がシート装置である場合、例えば、識別情報Sにより識別された登録者が設定したシートの位置、角度などになるように調整する。また車載装置25が空調装置である場合、例えば、登録者が設定した設定温度や風量などになるように調整する。
【0065】
第2の認証装置24は、例えば、CPU、RAM及びROMなどから構成されるマイクロコンピュータである制御部を備えている。後述する認証方法は、一例として、このマイクロコンピュータが実行するプログラムとして提供されても良い。
【0066】
第2の認証装置24は、例えば、生体認証以外の認証を行う。この生体認証以外の認証とは、例えば、筆圧、認証パターン、住所、パスワード、鍵、スマートフォンなどによる認証である。この第2の認証装置24は、例えば、認証が成立した場合、認証が成立したことを示す認証情報Sを車両制御部20に出力する。車両制御部20は、車両LAN21を介して認証情報Sが入力すると、認証成立に応じた制御を対象の電子機器に行う。
【0067】
以下に本実施の形態の認証装置1及び認証システム2の認証順位の更新に関する動作の一例を図4のタイミングチャートに従って説明する。
【0068】
(動作)
認証装置1は、前回の生体認証が成立した登録者を認証順位の最上位とするように、認証順位を更新する(Step1)。この更新は、ユーザが車両に乗車して生体認証が成立した後に行われる。この後、ユーザは、降車しているものとする。
【0069】
次にユーザが車両に乗り込むため、携帯機22を携帯して車両に近づくと、第1の認証装置23と携帯機22との通信が行われ、認証が開始される(Step2)。
【0070】
具体的には、第1の認証装置23は、車両に近づいた、つまり通信圏内に入った携帯機22と無線通信を行い、携帯機22から取得したID情報Sと登録情報230とに基づいて携帯機22が登録されているか確認する。第1の認証装置23は、認証が成立すると(Step3)、認証された登録者の情報(認証情報S)を、車両LAN21を介して車両制御部20に送信する。
【0071】
次に車両制御部20は、車両のドアをアンロックすると共に、入力した認証情報Sに基づいて登録者を識別して識別情報Sを生成し、認証装置1、第2の認証装置24などに出力する(Step4)。
【0072】
認証装置1の制御部14は、入力した識別情報Sに基づいて識別された、第1の認証装置23により認証が成立した登録者の認証順位を最上位とするように認証順位を更新する(Step5)。そして制御部14は、認証順位を更新した認証順位情報17に基づいて生体認証を行う。なお制御部14は、前回の生体認証が成立した登録者を一番目とし、携帯機22の登録者を二番目とする認証順位としても良い。
【0073】
また第2の認証装置24は、入力した識別情報Sに基づいて識別された登録者の認証順位を最上位とするように認証順位を更新する(Step6)。そして第2の認証装置24は、更新した認証順位に基づいて生体認証を行う。なお第2の認証装置24は、前回自身が認証して成立した登録者を一番目とし、携帯機22の登録者を二番目とする認証順位としても良い。
【0074】
(実施の形態の効果)
本実施の形態に係る認証装置1は、認証に掛かる時間を抑制することができる。具体的には、認証装置1は、前回の認証が成立した第1の登録者と、第1の認証装置23によって認証された第2の登録者と、を組み合わせて認証順位の一番目と二番目にするので、この構成を採用しない場合と比べて、認証順位の一番目と二番目において認証が成立する確率が高く、認証に掛かる時間を抑制することができる。
【0075】
認証装置1は、生体認証を行うように構成されているので、生体認証以外の認証と比べて、認証に時間が掛かる傾向がある。しかし認証装置1は、前回の認証が成立した第1の登録者と、第1の認証装置23によって認証された第2の登録者と、を組み合わせて認証順位の一番目と二番目として認証が成立する確率を高めているので、この構成を採用しない場合と比べて、生体認証に掛かる時間を抑制することができる。
【0076】
認証システム2は、複数の認証装置の認証順位を上述のように設定させることができるので、第1の認証装置23による認証後に複数回認証が必要な場合などに効果的に認証時間の短縮を行うことができる。
【0077】
認証装置1及び認証システム2は、第1の認証装置23による認証が、携帯機22が車両の外にある間に行われ、車両に乗り込んで次の認証を行うまでに認証順位を設定することができるので、この構成を採用しない場合と比べて、効果的に認証時間の短縮を行うことができる。
【0078】
なお他の実施の形態としての認証方法は、前回の認証が成立した第1の登録者と、他の認証装置において認証が成立した第2の登録者と、を組み合わせて一番目と二番目になるように認証順位を設定して認証を行う、ことを含んでいる。
【0079】
この認証方法は、例えば、コンピュータが実行するプログラム、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)及びFPGA(Field Programmable Gate Array)などによって実現されても良い。
【0080】
以上述べた少なくとも1つの実施の形態によれば、認証に掛かる時間を抑制することが可能となる。
【0081】
本発明のいくつかの実施の形態を説明したが、これらの実施の形態は、一例に過ぎず、特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。これら新規な実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。また、これら実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない。さらに、これら実施の形態は、発明の範囲及び要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0082】
1…認証装置、2…認証システム、6…特徴点、9…操作指、10…本体、11…操作ボタン、12…生体情報センサ、13…スイッチ部、14…制御部、15…登録生体情報、16…認証しきい値、17…認証順位情報、20…車両制御部、21…車両LAN、22…携帯機、23…第1の認証装置、24…第2の認証装置、25…車載装置、102…開口、110…操作面、120…読取面、121…読取画像、122…生体情報、200…登録者設定情報、230…登録情報、S…静電容量情報、S…スイッチ信号、S…生体認証情報、S…識別情報、S…ID情報、S…認証情報、S…認証情報
図1
図2
図3
図4