(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】ノイズ検出装置及びノイズ検出方法
(51)【国際特許分類】
H03K 5/08 20060101AFI20221220BHJP
H03K 5/153 20060101ALI20221220BHJP
G01R 29/26 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
H03K5/08 H
H03K5/153 A
G01R29/26 D
(21)【出願番号】P 2018180794
(22)【出願日】2018-09-26
【審査請求日】2021-07-13
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100191134
【氏名又は名称】千馬 隆之
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180448
【氏名又は名称】関口 亨祐
(72)【発明者】
【氏名】林 慎一郎
【審査官】馬場 慎
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-052120(JP,A)
【文献】特開2010-147372(JP,A)
【文献】特表2008-538863(JP,A)
【文献】特開平06-138161(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03K 5/00 ー 5/02
H03K 5/08 ー 5/1254
H03K 5/15 ー 5/26
G01R 29/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直列に接続された第1抵抗及び第2抵抗を有し、前記第1抵抗の一端が接地され、且つ、前記第2抵抗の一端が電源に接続された第1直列接続体を含み、電源電圧を分圧する第1分圧回路と、
直列に接続された第3抵抗及び第4抵抗を有し、前記第3抵抗の一端が接地され、且つ、前記第4抵抗の一端が前記電源に接続された第2直列接続体を含み、前記電源電圧を分圧する第2分圧回路と、
前記第1分圧回路の分圧点の電位である第1電位と、前記第2分圧回路の分圧点の電位である第2電位とを比較するコンパレータと、
前記コンパレータの出力に基づいて、前記電源電圧に電圧値が所定値以上のノイズが重畳されたか否かを判定する判定部と、
を備え、
前記電源電圧に前記ノイズが重畳されていないときに前記第1電位が前記第2電位より高くなるように前記第1抵抗、前記第2抵抗、前記第3抵抗及び前記第4抵抗の抵抗値が設定され、
前記電源電圧に前記ノイズが重畳されていないときと重畳されているときとの間で前記コンパレータの出力が反転するように
、前記第3抵抗の抵抗値は、前記第1抵抗の抵抗値より大きく設定される、ノイズ検出装置。
【請求項2】
請求項
1に記載のノイズ検出装置であって、
前記第1電位と前記第2電位との電位差は、第1所定値以下である、ノイズ検出装置。
【請求項3】
直列に接続された第1抵抗及び第2抵抗を有し、前記第1抵抗の一端が接地され、且つ、前記第2抵抗の一端が電源に接続された第1直列接続体を含み、電源電圧を分圧する第1分圧回路と、
直列に接続された第3抵抗及び第4抵抗を有し、前記第3抵抗の一端が接地され、且つ、前記第4抵抗の一端が前記電源に接続された第2直列接続体を含み、前記電源電圧を分圧する第2分圧回路と、
前記第1分圧回路の分圧点の電位である第1電位と、前記第2分圧回路の分圧点の電位である第2電位とを比較するコンパレータと、
前記コンパレータの出力に基づいて、前記電源電圧に電圧値が所定値以上のノイズが重畳されたか否かを判定する判定部と、
を備え、
前記電源電圧に前記ノイズが重畳されていないときに前記第1電位が前記第2電位より低くなるように前記第1抵抗、前記第2抵抗、前記第3抵抗及び前記第4抵抗の抵抗値が設定され、
前記電源電圧に前記ノイズが重畳されていないときと重畳されているときとの間で前記コンパレータの出力が反転するように、前記第3抵抗の抵抗値は、前記第1抵抗の抵抗値より小さく設定される、ノイズ検出装置。
【請求項4】
請求項
1~3のいずれか1項に記載のノイズ検出装置であって、
前記第1抵抗の抵抗値及び前記第3抵抗の抵抗値のうち小さい方に対する大きい方の比率は、第2所定値以上である、ノイズ検出装置。
【請求項5】
請求項
1~3のいずれか1項に記載のノイズ検出装置であって、
前記第1抵抗、前記第2抵抗、前記第3抵抗及び前記第4抵抗の少なくとも1つは、可変抵抗であり、
前記可変抵抗の抵抗値を変更する抵抗値変更部を更に備える、ノイズ検出装置。
【請求項6】
請求項
5に記載のノイズ検出装置であって、
前記第1抵抗及び前記第3抵抗の少なくとも一方は、可変抵抗であり、
前記第1抵抗及び第3抵抗の抵抗比毎の前記ノイズの電圧値がテーブルとして保存された記憶部と、
前記判定部で前記電源電圧に前記ノイズが重畳されたと判定されたときの前記抵抗比と、前記テーブルとから、該ノイズの電圧値を取得する取得部と、
を更に備える、ノイズ検出装置。
【請求項7】
直列に接続された第1抵抗及び第2抵抗を有し、前記第1抵抗の一端が接地され、且つ、前記第2抵抗の一端が電源に接続された第1直列接続体を含み、電源電圧を分圧する第1分圧回路の
、分圧点の電位である第1電位と、
直列に接続された第3抵抗及び第4抵抗を有し、前記第3抵抗の一端が接地され、且つ、前記第4抵抗の一端が前記電源に接続された第2直列接続体を含み、前記電源電圧を分圧する第2分圧回路の
、分圧点の電位である第2電位とを比較する第1比較ステップと、
前記第1比較ステップでの比較結果に基づいて、前記電源電圧に電圧値が所定値以上のノイズが重畳されたか否かを判定する第1判定ステップと、
を含み、
前記電源電圧に前記ノイズが重畳されていないときに前記第1電位が前記第2電位より高くなるように前記第1抵抗、前記第2抵抗、前記第3抵抗及び前記第4抵抗の抵抗値が設定され、
前記電源電圧に前記ノイズが重畳されていないときと重畳されているときとの間で前記第1比較ステップでの比較結果の出力が反転するように
、前記第3抵抗の抵抗値は、前記第1抵抗の抵抗値より大きく設定される、ノイズ検出方法。
【請求項8】
請求項
7に記載のノイズ検出方法であって、
前記第1電位と前記第2電位との電位差は、第1所定値以下である、ノイズ検出方法。
【請求項9】
請求項
7又は8に記載のノイズ検出方法であって、
前記第1抵抗の抵抗値に対する前記第3抵抗の抵抗値の比率は、第2所定値以上である、ノイズ検出方法。
【請求項10】
請求項
7~9のいずれか1項に記載のノイズ検出方法であって、
前記第1抵抗及び前記第3抵抗の少なくとも一方は、可変抵抗であり、
前記第1判定ステップで前記電源電圧に前記ノイズが重畳されたと判定されたときの前記第1抵抗及び前記第3抵抗の抵抗比と、前記第1抵抗及び第3抵抗の抵抗比毎の前記ノイズの電圧値を表すテーブルとから、前記ノイズの電圧値を取得する取得ステップを更に含む、ノイズ検出方法。
【請求項11】
請求項
7~9のいずれか1項に記載のノイズ検出方法であって、
前記第1抵抗及び前記第3抵抗の少なくとも一方は、可変抵抗であり、
前記第1判定ステップで前記電源電圧に前記ノイズが重畳されていないと判定されたときに、前記可変抵抗の抵抗値を変更して前記所定値を変更する抵抗値変更ステップと、
前記抵抗値変更ステップの後に、前記第1電位と前記第2電位とを比較する第2比較ステップと、
前記第2比較ステップでの比較結果に基づいて、前記電源電圧に変更後の前記所定値以上の電圧値のノイズが重畳されたか否かを判定する第2判定ステップと、
を更に含む、ノイズ検出方法。
【請求項12】
請求項
11に記載のノイズ検出方法であって、
前記抵抗値変更ステップでは、前記第1抵抗の抵抗値に対する前記第3抵抗の抵抗値の比が大きくなるように前記可変抵抗の抵抗値を変更する、ノイズ検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重畳されたノイズを検出するノイズ検出装置及びノイズ検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、所定のインピーダンスを有する抵抗素子と周波数に応じてインピーダンスが変化するインピーダンス素子とが配線間において直列接続されてなるノイズ検出部と、該ノイズ検出部が接続された配線を通る信号にノイズが重畳しているか否かを判定するノイズ判定部と、を備える電子回路装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の電子回路装置では、周波数が所定の周波数範囲にあるノイズが信号に重畳されたときにインピーダンス素子のインピーダンスが変化するため、該ノイズを検出することができる。このため、周波数が上記周波数範囲外となるような突発的なノイズを検出できない問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、突発的なノイズでも検出できるノイズ検出装置及びノイズ検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様は、電源電圧を分圧する第1分圧回路と、前記電源電圧を分圧する第2分圧回路と、前記第1分圧回路の分圧点の電位である第1電位と、前記第2分圧回路の分圧点の電位である第2電位とを比較するコンパレータと、前記コンパレータの出力に基づいて、前記電源電圧に電圧値が所定値以上のノイズが重畳されたか否かを判定する判定部と、を備え、前記第1分圧回路の分圧比及び前記第2分圧回路の分圧比は、前記電源電圧に前記ノイズが重畳されていないときと重畳されているときとの間で前記コンパレータの出力が反転するように設定される、ノイズ検出装置である。
【0007】
本発明の第2の態様は、電源電圧を分圧する第1分圧回路の分圧点の電位である第1電位と、前記電源電圧を分圧する第2分圧回路の分圧点の電位である第2電位とを比較する第1比較ステップと、前記第1比較ステップでの比較結果に基づいて、前記電源電圧に電圧値が所定値以上のノイズが重畳されたか否かを判定する第1判定ステップと、を含み、前記第1分圧回路の分圧比及び前記第2分圧回路の分圧比は、前記電源電圧に前記ノイズが重畳されていないときと重畳されているときとの間で前記第1比較ステップでの比較結果の出力が反転するように設定される、ノイズ検出方法である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、突発的なノイズでも検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施の形態に係るノイズ検出装置の構成を示す図である。
【
図2】ADコンバータでは突発的に入力される外来ノイズを検出できないことを説明するための図である。
【
図3】
図3A~
図3Cは、ノイズ検出装置によるノイズ検出の原理を説明するための図である。
【
図4】ノイズ検出装置の動作例1を示すフローチャートである。
【
図5】変形例3のノイズ検出装置の構成を示す図である。
【
図6】ノイズレベル/抵抗比テーブルの構成例を示す図である。
【
図7】変形例3のノイズ検出装置の動作を示すフローチャートである。
【
図8】変形例4のノイズ検出装置の構成を示す図である。
【
図9】
図9A及び
図9Bは、変形例4のノイズ検出装置によるノイズ検出の原理を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係るノイズ検出装置及びノイズ検出方法について、好適な実施の形態を掲げ、添付の図面を参照しながら以下、詳細に説明する。
【0011】
〔実施の形態〕
(全体構成)
図1は、ノイズ検出装置10の構成の一例を示す図である。ノイズ検出装置10は、電気回路の電源26の電源電圧Vccに重畳されたノイズを検出する。このノイズは、該電気回路の誤動作の要因となるため、検出する必要性が極めて高い。上記電気回路としては、例えばエンコーダ等の電気機器の信号処理回路が挙げられる。
【0012】
ところで、電気回路の電源26を用いて生成された電圧信号に重畳するノイズをADコンバータにより検出する場合、恒常的に一定量重畳するホワイトノイズであれば検出が可能である(
図2参照)。しかし、ADコンバータでは、その動作タイミングから外れたタイミングで突発的に電圧信号に重畳されるノイズ(例えば外来ノイズ)を検出することはできない(
図2参照)。
【0013】
そこで、発明者は、このようなADコンバータでは検出することができないノイズ(例えば外来ノイズ)をも検出可能なノイズ検出装置10を開発した。
【0014】
ノイズ検出装置10は、
図1に示されるように、第1分圧回路11、第2分圧回路13、コンパレータ16、ノイズ重畳有無判定部(判定部)18、通知部19及び抵抗値変更部20を備える。
【0015】
第1分圧回路11は、電源電圧Vccを分圧する回路であり、第1直列接続体12を含む。
【0016】
第2分圧回路13は、電源電圧Vccを分圧する回路であり、第2直列接続体14を含む。
【0017】
第1直列接続体12は、直列に接続された第1抵抗22及び第2抵抗24を含む。第1抵抗22の一端は、グラウンドに接続され(接地され)ている。第2抵抗24の一端は、電源26に接続されている。第1直列接続体12では、第1抵抗22の他端と第2抵抗24の他端とが接続されている。第1直列接続体12における第1抵抗22の他端と前記第2抵抗24の他端との間の任意の点が第1分圧回路11の分圧点(以下では「第1分圧点PP1」とも呼ぶ)である。
【0018】
第2直列接続体14は、直列に接続された第3抵抗28及び第4抵抗30を含む。第3抵抗28の一端は、グラウンドに接続され(接地され)ている。第4抵抗30の一端は、電源26に接続されている。第2直列接続体14では、第3抵抗28の他端と第4抵抗30の他端とが接続されている。第2直列接続体14における第3抵抗28の他端と前記第4抵抗30の他端との間の任意の点が第2分圧回路13の分圧点(以下では「第2分圧点PP2」とも呼ぶ)である。
【0019】
ここでは、第1抵抗22及び第3抵抗28は、いずれも電子可変抵抗(可変抵抗)である。第2抵抗24及び第4抵抗30は、いずれも固定抵抗である。電子可変抵抗は「電子ボリューム」とも呼ばれる。
【0020】
コンパレータ16の第1入力端子IT1(ここでは-入力端子)は、第1分圧点PP1に接続されている。コンパレータ16の第2入力端子IT2(ここでは+入力端子)は、第2分圧点PP2に接続されている。コンパレータ16は、第1分圧点PP1の電位(第1入力端子IT1の電位)である第1電位Vin-と、第2分圧点PP2の電位(第2入力端子IT2の電位)である第2電位Vin+とを比較し、その比較結果である二値信号(ハイレベル信号又はローレベル信号)をノイズ重畳有無判定部18に送る。
【0021】
電源26がオフのときは、第1分圧点PP1及び第2分圧点PP2の電位は0である。
【0022】
電源26がオンになると、第1直列接続体12の両端に電源電圧Vccが印加され、第1抵抗22及び第2抵抗24に電流が流れる。このとき、第1分圧点PP1の電位、すなわち第1入力端子IT1の電位は、第1抵抗22の他端の電位及び第2抵抗24の他端の電位に等しい。
【0023】
電源26がオンになると、第2直列接続体14の両端に電源電圧Vccが印加され、第3抵抗28及び第4抵抗30に電流が流れる。このとき、第2分圧点PP2の電位、すなわち第2入力端子IT2の電位は、第3抵抗28の他端の電位及び第4抵抗30の他端の電位に等しい。
【0024】
ここで、第1分圧回路11の分圧比(第1抵抗22の抵抗値R1と第2抵抗24の抵抗値R2の比)、及び、第2分圧回路13の分圧比(第3抵抗28の抵抗値R3と第4抵抗30の抵抗値R4の比)は、電源電圧Vccに電圧値が所定値以上のノイズ(以下では「検出対象ノイズ」とも呼ぶ)が重畳されていないときと重畳されているときとの間でコンパレータ16の出力が反転するように設定される。検出対象ノイズの電圧値の下限値である上記所定値は、第1抵抗22の抵抗値R1と第3抵抗28の抵抗値R3の比である抵抗比Rr(R1/R3)で決まる。このため、抵抗比Rrを変更することにより、検出対象ノイズの電圧値の下限値である上記所定値を変えることができる。
【0025】
ノイズ重畳有無判定部18は、コンパレータ16の出力に基づいて、電源電圧Vccに検出対象ノイズが重畳されたか否かを判定する。具体的には、ノイズ重畳有無判定部18は、コンパレータ16の出力が反転したときに電源電圧Vccに検出対象ノイズが重畳されたと判定し、その判定結果を通知部19に出力する。
【0026】
通知部19は、ノイズ重畳有無判定部18から、電源電圧Vccに検出対象ノイズが重畳されたことを示す判定結果が入力されたときに、該判定結果を上記電気機器のオペレータに通知する。具体的には、通知部19は、電源電圧Vccに検出対象ノイズが重畳されたことを、例えば不図示のディスプレイ、ランプ等を用いて視覚情報として、又は例えば不図示のスピーカ等を用いて聴覚情報としてオペレータに通知する。オペレータは、この通知を受けて、電源電圧Vccに検出対象ノイズが重畳されるのを抑制する措置をとることができる。
【0027】
抵抗値変更部20は、第1抵抗22及び第3抵抗28の少なくとも一方の抵抗値を変更する。具体的には、抵抗値変更部20は、第1抵抗22及び第3抵抗28の抵抗値の比が変わるように第1抵抗22及び第3抵抗28の少なくとも一方の抵抗値を変更する。
【0028】
ノイズ重畳有無判定部18及び抵抗値変更部20は、例えばCPU(Central Processing Unit)、FPGA(Field Programmable gate array)等によって、実現される。
【0029】
(ノイズ検出の原理)
以下にノイズ検出装置10によるノイズ検出の原理について
図3A~
図3Cを参照して説明する。
【0030】
ここで、電源電圧Vccにノイズが重畳されたとき、第1入力端子IT1の電位である第1電位Vin-に対するノイズの重畳量は第1抵抗22の抵抗値R1に依存し、第2入力端子IT2の電位である第2電位Vin+に対するノイズの重畳量は第3抵抗28の抵抗値R3に依存する。詳述すると、第1電位Vin-に重畳されるノイズの重畳量は、第1抵抗22の抵抗値R1が大きいほど大きくなる。第2電位Vin+に重畳されるノイズの重畳量は、第3抵抗28の抵抗値R3が大きいほど大きくなる。
【0031】
(比較例1)
図3Aは、ノイズ検出装置10が検出対象ノイズを検出できない例(比較例1)を説明するための図である。比較例1では、ノイズ検出装置10は、電源26の電源電圧Vccが5V、第1抵抗22の抵抗値R1が1kΩ、第2抵抗24の抵抗値R2が100kΩ、第3抵抗28の抵抗値R3が9kΩ、第4抵抗30の抵抗値R4が10kΩに設定されている。比較例1では、
図3Aに示されるように、検出対象ノイズが重畳されていないときは、第1電位Vin-は0.05V、第2電位Vin+は2.37V(>Vin-)となる。このとき、コンパレータ16の出力は、基本的にハイレベルとなる。ノイズ検出装置10では、第1電位Vin-に対するノイズの重畳量(抵抗値R1に依存)は、第2電位Vin+に対するノイズの重畳量(抵抗値R3に依存)に比べて格段に小さく、且つ、第2電位Vin+は第1電位Vin-に比べて格段に大きい(ここでは2.32V)。このため、ノイズ検出装置10では、比較例1において、電源電圧Vccに検出対象ノイズが重畳されたときでも、第1電位Vin-と第2電位Vin+の逆転は起こらず、コンパレータ16の出力は、ハイレベルのままとなる(反転しない)。つまり、比較例1では、ノイズ検出装置10は、電源電圧Vccに検出対象ノイズが重畳されても、該検出対象ノイズを検出することができない。
【0032】
(比較例2)
図3Bは、ノイズ検出装置10が検出対象ノイズを検出できない例(比較例2)を説明するための図である。比較例2では、ノイズ検出装置10は、電源26の電源電圧Vccが5V、第1抵抗22の抵抗値R1が5kΩ、第2抵抗24の抵抗値R2が100kΩ、第3抵抗28の抵抗値R3が5kΩ、第4抵抗30の抵抗値R4が10kΩに設定されている。比較例2では、
図3Bに示されるように、検出対象ノイズが重畳されていないときは、第1電位Vin-は0.24V、第2電位Vin+は1.67V(>Vin-)となる。このとき、コンパレータ16の出力は、基本的にハイレベルとなる。ノイズ検出装置10では、第2電位Vin+に対するノイズの重畳量(抵抗値R3に依存)と第1電位Vin-に対するノイズの重畳量(抵抗値R1に依存)は略同一であるが、第2電位Vin+は第1電位Vin-に比べて十分に大きい(ここでは1.43V)。このため、ノイズ検出装置10では、比較例2において、電源電圧Vccに検出対象ノイズが重畳されたときでも、第1電位Vin-と第2電位Vin+の逆転は起こらず、コンパレータ16の出力はハイレベルのままとなる(反転しない)。つまり、比較例2では、ノイズ検出装置10は、電源電圧Vccに検出対象ノイズが重畳されても、該検出対象ノイズを検出することができない。
【0033】
(実施例)
図3Cは、ノイズ検出装置10が検出対象ノイズを検出できる例(実施例)を説明するための図である。実施例では、ノイズ検出装置10は、電源26の電源電圧Vccが5V、第1抵抗22の抵抗値R1が9kΩ、第2抵抗24の抵抗値R2が100kΩ、第3抵抗28の抵抗値R3が1kΩ、第4抵抗30の抵抗値R4が10kΩに設定されている。実施例では、
図3Cに示されるように、検出対象ノイズが重畳されていないときは、第1電位Vin-は0.41V、第2電位Vin+は0.45V(>Vin-)となる。このとき、コンパレータ16の出力は、基本的にハイレベルとなる。ノイズ検出装置10では、第2電位Vin+が第1電位Vin-に比べて僅かに大きい(ここでは0.04V(第1所定値))が、第1電位Vin-に対するノイズの重畳量(抵抗値R1に依存)が第2電位Vin+に対するノイズの重畳量(抵抗値R3に依存)に比べて格段に大きい(R1/R3=9(第2所定値))。このため、ノイズ検出装置10では、実施例において、検出対象ノイズが重畳されたときに、第1電位Vin-と第2電位Vin+の逆転が起き、逆転している間、コンパレータ16の出力はローレベルとなる(反転する)。つまり、実施例では、ノイズ検出装置10は、電源電圧Vccに検出対象ノイズが重畳されたときに、該検出対象ノイズを検出することができる。実施例では、第1分圧回路11の分圧比(第1抵抗22の抵抗値R1と第2抵抗24の抵抗値R2の比)は、9:100である。実施例では、第2分圧回路13の分圧比(第3抵抗28の抵抗値R3と第4抵抗30の抵抗値R4の比)は、1:10である。
【0034】
以上の説明から分かるように、ノイズ検出装置10は、検出対象ノイズが重畳されていないときに、第1電位Vin-<第2電位Vin+であって、R1>R3のときに、検出対象ノイズが重畳されたことを検出可能である。そして、ノイズ検出装置10では、第1電位Vin-<第2電位Vin+の場合に、第1電位Vin-と第2電位Vin+の電位差が小さいほど、R1がR3よりも大きいほど、第1電位Vin-と第2電位Vin+の逆転が起こりやすく、ノイズの検出漏れを抑制でき、且つ、小さいノイズでも検出しやすくなる。
【0035】
そこで、ノイズ検出装置10では、電源電圧Vccに検出対象ノイズが重畳されていないときに第2電位Vin+が第1電位Vin-より高くなるように第1抵抗22、第2抵抗24、第3抵抗28及び第4抵抗30の抵抗値が設定され、第1抵抗22の抵抗値R1は、第3抵抗28の抵抗値R3より大きく設定される。
【0036】
また、ノイズ検出装置10では、第3抵抗28の抵抗値R3に対する第1抵抗22の抵抗値R1の比である抵抗比Rr(R1/R3)は、第2所定値(例えば9)以上に設定される。
【0037】
また、ノイズ検出装置10では、第1電位Vin-と第2電位Vin+との電位差は、第1所定値(例えば0.04V)以下に設定される。
【0038】
なお、実施例では、第1抵抗22の抵抗値R1より第2抵抗24の抵抗値R2が格段に大きく、且つ、第3抵抗28の抵抗値R3より第4抵抗30の抵抗値R4が格段に大きい。すなわち、第1電位Vin-は実質的に抵抗値R2で決まり、第2電位Vin+は実質的に抵抗値R4で決まる。そこで、第1電位Vin-<第2電位Vin+とするために、R2>R4とすることが好ましい。
【0039】
一方、実施例では、第1電位Vin-に対するノイズの重畳量は、実質的に抵抗値R1で決まり、第2電位Vin+に対するノイズの重畳量は、実質的に抵抗値R3で決まる。そこで、R1>R3とすることにより、電源電圧Vccに検出対象ノイズが重畳されているときと重畳されていないときとの間でコンパレータ16の出力を反転させることができる。
【0040】
(動作例1)
以下に、ノイズ検出装置10の動作例1を、
図4を参照して説明する。ここでは、ノイズ検出装置10が、第1電位Vin-<第2電位Vin+(コンパレータ16の出力が基本的にハイレベル)、且つ、R1>R3に設定される場合を例にとって説明する。抵抗値R1~R4は、実施例と同じ値に設定されている。ノイズ検出装置10の動作例1は、電源26がオンになったときに開始される。電源26のオン/オフは、上記電気機器のオペレータによるスイッチ操作で行われる。
【0041】
最初のステップS1では、コンパレータ16は、第1分圧点PP1の電位(第1電位Vin-)と第2分圧点PP2(第2電位Vin+)の電位とを比較し、その比較結果としての二値化信号(ハイレベル信号又はローレベル信号)をノイズ重畳有無判定部18に出力する。
【0042】
次のステップS2では、ノイズ重畳有無判定部18は、電源電圧Vccに検出対象ノイズが重畳されたか否かを判断する。具体的には、ノイズ重畳有無判定部18は、コンパレータ16からの出力信号(基本的にはハイレベル信号)を監視する。そして、ノイズ重畳有無判定部18は、コンパレータ16からローレベル信号が入力されたときに(コンパレータ16の出力がハイレベルからローレベルに反転したときに)、電源電圧Vccに検出対象ノイズが重畳されたと判断する。ノイズ重畳有無判定部18は、コンパレータ16からの出力信号がハイレベルのまま一定のときに、電源電圧Vccに検出対象ノイズが重畳されていないと判断する。ステップS2での判断が肯定されるとステップS3に移行し、否定されるとステップS1に戻る。
【0043】
ステップS3では、通知部19は、電源電圧Vccに検出対象ノイズが重畳されたことを上記電気機器のオペレータに通知する。ステップS3が実行されると、フローは終了する。
【0044】
つまり、動作例1(
図4のフロー)は、ノイズ重畳有無判定部18が電源電圧Vccにノイズが重畳されたと判定するまで(ステップS2での判断が肯定されるまで)、又はオペレータが電源26をオフにするまで繰り返し行われる。
【0045】
[変形例]
上記実施の形態で説明したノイズ検出装置10の構成及び動作は、適宜変更可能である。
【0046】
(変形例1)
ノイズ検出装置10の動作例1では、抵抗比Rr(R1/R3)が一定の値に設定されているが、ノイズ検出装置10の変形例1の動作例である動作例2のように、抵抗比Rrを変更しても良い。具体的には、動作例2では、
図4に示される動作例1に対して、ステップS2でNOのときに、抵抗比Rrを変更するステップであるステップS4が追加される。ステップS4では、抵抗値変更部20は、第1抵抗22及び第3抵抗28の少なくとも一方の抵抗値を調整して、第3抵抗28の抵抗値R3に対する第1抵抗22の抵抗値R1の比Rr(R1/R3)を変更する。抵抗値変更部20は、電圧値がより小さいノイズを検出しやすくするために、抵抗比Rr(R1/R3)を上げることが好ましい。これにより、検出対象ノイズの電圧値の下限値である所定値を下げることができる。すなわち、検出対象ノイズの電圧値の範囲をより低電圧側まで広げることができ、より小さなノイズも検出可能となる。ステップS4が実行されると、ステップS1に戻る。ステップS4が複数回行われるときの各回での抵抗比Rrの上げ幅は、同じであっても良いし、異なっていても良い。なお、ステップS4を経由するループの回数を制限するために、変更可能な抵抗比Rrの上限値を、適当な値に設定しておくことが好ましい。
【0047】
(変形例2)
上記実施形態では、第1抵抗22及び第3抵抗28を電子可変抵抗としているが、第1抵抗22及び第3抵抗28の一方を電子可変抵抗とし、他方を固定抵抗としても良い。この場合でも、電子可変抵抗の抵抗値を変えることにより、抵抗比Rr(R1/R3)を変更することができる。
【0048】
(変形例3)
図5に示される変形例3のノイズ検出装置10Aは、検出対象ノイズのノイズレベルNLと抵抗比Rr(R1/R3)との対応関係を表すノイズレベル/抵抗比テーブル50を記憶する記憶部34(例えばメモリ、ハードディスク等)を有している。さらに、ノイズ検出装置10Aは、記憶部34に保存されたノイズレベル/抵抗比テーブル50を用いて、電源電圧Vccに重畳された検出対象ノイズの電圧値であるノイズレベルNLを取得するノイズレベル取得部(取得部)36を有する。
【0049】
上述のように、ノイズ検出装置10は、第1電位Vin-<第2電位Vin+の場合に、抵抗比Rr(R1/R3)が大きいほど、より小さなノイズを検出することができる。つまり、ノイズレベルNLと抵抗比Rrとの間には、1対1の対応関係がある。
【0050】
図6には、一例として、10個の抵抗比Rrk(1≦k≦10、kが小さいほど抵抗比が大きい)と10個のノイズレベルNLk(1≦k≦10、kが小さいほど、ノイズレベルが小さい)との対応関係を表すノイズレベル/抵抗比テーブル50が示されている。ノイズレベル/抵抗比テーブル50では、抵抗比Rrk(k=1~10)とノイズレベルNLk(k=1~10)は、kが同じ数字のもの同士が対応している。
【0051】
以下に、変形例3のノイズ検出装置10Aの動作について
図7を参照して説明する。ここでは、ノイズ検出装置10Aが、第1電位Vin-<第2電位Vin+(コンパレータ16の出力が基本的にハイレベル)、且つ、R1>R3に設定される場合を例にとって説明する。ノイズ検出装置10Aの動作に先立って、第1抵抗22と第3抵抗28の抵抗比Rr(R1/R3)が、例えば10個の抵抗比Rrk(1≦k≦10、kが小さいほど抵抗比が大きい)のうち最小の抵抗比Rr10に初期設定されている。ノイズ検出装置10Aの動作は、電源26がオンになったときに開始される。電源26のオン/オフは、上記電気機器のオペレータによるスイッチ操作で行われる。
【0052】
次のステップS32では、コンパレータ16は、第1分圧点PP1の電位(第1電位Vin-)と第2分圧点PP2の電位(第2電位Vin+)を比較し、その比較結果としての二値化信号(ハイレベル信号又はローレベル信号)をノイズ重畳有無判定部18に出力する。
【0053】
次のステップS33では、ノイズ重畳有無判定部18は、電源電圧Vccに検出対象ノイズが重畳されたか否かを判断する。具体的には、ノイズ重畳有無判定部18は、コンパレータ16からの出力信号(基本的にはハイレベル信号)を監視する。そして、ノイズ重畳有無判定部18は、コンパレータ16からローレベル信号を受信したときに(コンパレータ16の出力がハイレベルからローレベルに反転したときに)、電源電圧Vccに検出対象ノイズが重畳されたと判断する。ステップS33での判断が肯定されるとステップS34に移行し、否定されるとステップS36に移行する。
【0054】
ステップS34では、ノイズレベル取得部36は、第1抵抗22と第3抵抗28の抵抗比Rrk(R1/R3)に基づいて、ノイズレベルNLkを取得する。具体的には、ノイズレベル取得部36は、記憶部34のノイズレベル/抵抗比テーブル50(
図6参照)を参照して、抵抗比Rrkに対応するノイズレベルNLkを取得する。
【0055】
次のステップS35では、通知部19は、電源電圧Vccにノイズが重畳されたこと及び取得したノイズレベルNLkを上記電気機器のオペレータに通知する。具体的には、通知部19は、ノイズが重畳されたこと及び取得したノイズレベルNLkを、例えば不図示のディスプレイ、ランプ等を用いて視覚情報として、又は例えば不図示のスピーカ等を用いて聴覚情報としてオペレータに通知する。オペレータは、この通知を受けて、例えばノイズレベルNLkが上記電気機器の正常な動作に影響を与える程度の大きさである場合に電源電圧Vccにノイズが重畳されるのを抑制する措置をとることができる。ステップS35が実行されると、フローは終了する。
【0056】
ステップS36では、抵抗値変更部20は、抵抗比Rrk(R1/R3)を上げる。具体的には、抵抗値変更部20は、第1抵抗22及び第3抵抗28の少なくとも一方の抵抗値を調整して、第1抵抗22及び第3抵抗28の抵抗比Rrkを上げる。詳述すると、抵抗値変更部20は、抵抗比Rrkを抵抗比Rr(k-1)に変更する(抵抗比Rkを一段上げる)。ステップS36が実行されると、ステップS32に戻る。
【0057】
つまり、ノイズ検出装置10Aの動作(
図7のフロー)は、検出対象ノイズが重畳され該検出対象ノイズのノイズレベルNLkが取得されるまで(ステップS33でYESとなり、ステップS34が実行されるまで)、又は抵抗比Rrkが最大の値Rr1に変更後検出対象ノイズが取得されなくなるときまで、又はオペレータによって電源26がオフにされるまで繰り返し行われる。
【0058】
(変形例4)
図8に示される変形例4のノイズ検出装置10Bのように、第1抵抗22、第2抵抗24、第3抵抗28及び第4抵抗30のすべてを、電子可変抵抗(電子ボリューム)としても良い。ノイズ検出装置10Bでは、抵抗値変更部20は、第1抵抗22、第2抵抗24、第3抵抗28及び第4抵抗30の抵抗値を適宜変更する。以下に、ノイズ検出装置10Bによるノイズ検出の原理について
図9A及び
図9Bを参照して説明する。
【0059】
図9Aは、ノイズ検出装置10Bが検出対象ノイズを検出できない例を説明するための図である。この例では、ノイズ検出装置10Bは、電源26の電源電圧Vccが5V、第1抵抗22の抵抗値R1が4.1kΩ、第2抵抗24の抵抗値R2が4kΩ、第3抵抗28の抵抗値R3が5.9kΩ、第4抵抗30の抵抗値R4が6kΩに設定されている。このとき、第1電位Vin-は2.53V、第2電位Vin+は2.48V(<Vin-)となる(
図9A参照)。このとき、コンパレータ16の出力は、基本的にローレベルとなる。ノイズ検出装置10では、第2電位Vin+と第1電位Vin-の差が小さい(ここでは0.05V)が、第2電位Vin+に対するノイズの重畳量(抵抗値R3に依存)は第1電位Vin-に対するノイズの重畳量(抵抗値R1に依存)に比べて僅かに大きい程度である。このため、ノイズ検出装置10Bでは、この例において、検出対象ノイズが重畳されたときでも、第1電位Vin-と第2電位Vin+の逆転は起こらず、コンパレータ16の出力は、ローレベルのままとなる(反転しない)。
【0060】
図9Bは、ノイズ検出装置10Bが検出対象ノイズを検出できる例を説明するための図である。この例では、ノイズ検出装置10Bは、電源26の電源電圧Vccが5V、第1抵抗22の抵抗値R1が2kΩ、第2抵抗24の抵抗値R2が2.1kΩ、第3抵抗28の抵抗値R3が8kΩ、第4抵抗30の抵抗値R4が6kΩに設定されている。このとき、第1電位Vin-は2.52V、第2電位Vin+は2.44V(<Vin-)となる(
図9B参照)。このとき、コンパレータ16の出力は、基本的にローレベルとなる。ノイズ検出装置10では、第2電位Vin+が第1電位Vin-に比べて僅かに大きく(ここでは0.08V(第1所定値))、且つ、第2電位Vin+に対するノイズの重畳量(抵抗値R3に依存)が第1電位Vin-に対するノイズの重畳量(抵抗値R1に依存)に比べて格段に大きい(抵抗比Rr=R3/R1=4(第2所定値))。このため、ノイズ検出装置10Bでは、この例において、検出対象ノイズが重畳されたときに、第1電位Vin-と第2電位Vin+の逆転が起き、逆転している間、コンパレータ16の出力はハイレベルとなる(反転する)。この例では、第1分圧回路11の分圧比(第1抵抗22の抵抗値R1と第2抵抗24の抵抗値R2の比)は、2:2.1である。第2分圧回路13の分圧比(第3抵抗28の抵抗値R3と第4抵抗30の抵抗値R4の比)は、4:3である。
【0061】
(変形例5)
第1抵抗22及び第3抵抗28を固定抵抗とし、第2抵抗24及び第4抵抗30を電子可変抵抗(電子ボリューム)としても良い。また、第1抵抗22及び第3抵抗28を固定抵抗とし、第2抵抗24及び第4抵抗30の一方を電子可変抵抗とし、他方を固定抵抗としても良い。
【0062】
(変形例6)
第1抵抗22、第2抵抗24、第3抵抗28及び第4抵抗30のすべてを固定抵抗としても良い。この場合、抵抗値変更部20は、不要となる。
【0063】
(変形例7)
上記実施形態及び各変形例では、第1入力端子IT1が-入力端子とされ、且つ、第2入力端子IT2が+入力端子とされているが、第1入力端子IT1を+入力端子とし、且つ、第2入力端子IT2を-入力端子としても良い。
【0064】
(変形例8)
上記実施形態及び各変形例では、第1分圧点PP1が第1入力端子IT1に接続され、且つ、第2分圧点PP2が第2入力端子IT2に接続されているが、第1分圧点PP1が第2入力端子IT2に接続され、且つ、第2分圧点PP2が第1入力端子IT1に接続されても良い。
【0065】
(変形例9)
変形例1~8を矛盾しない範囲内で任意に組み合わせても良い。
【0066】
[実施の形態及び変形例1~9から把握しうる発明]
[第1の発明]
第1の発明は、電源電圧(Vcc)を分圧する第1分圧回路(11)と、電源電圧(Vcc)を分圧する第2分圧回路(13)と、第1分圧回路(11)の分圧点(PP1)の電位である第1電位(Vin-)と、第2分圧回路(13)の分圧点(PP2)の電位である第2電位(Vin+)とを比較するコンパレータ(16)と、コンパレータ(16)の出力に基づいて、電源電圧(Vcc)に電圧値が所定値以上のノイズ(検出対象ノイズ)が重畳されたか否かを判定する判定部(18)と、を備え、第1分圧回路(11)の分圧比及び第2分圧回路(13)の分圧比は、電源電圧(Vcc)にノイズが重畳されていないときと重畳されているときとの間でコンパレータ(16)の出力が反転するように設定される、ノイズ検出装置(10、10A、10B)である。
【0067】
これにより、電源電圧(Vcc)に検出対象ノイズが重畳されると、コンパレータ(16)の出力が反転する。この反転によって、判定部(18)は、電源電圧(Vcc)に検出対象ノイズが重畳されていると判定できる。すなわち、第1の発明によれば、突発的なノイズでも検出できる。
【0068】
第1電位(Vin-)と第2電位(Vin+)との電位差は、第1所定値以下であっても良い。これにより、検出対象ノイズをより検出しやすくすることができる。
【0069】
第1分圧回路(11)は、直列に接続された第1抵抗(22)及び第2抵抗(24)を有し、第1抵抗(22)の一端が接地され、且つ、第2抵抗(24)の一端が電源(26)に接続された第1直列接続体(12)を含み、第2分圧回路(13)は、直列に接続された第3抵抗(28)及び第4抵抗(30)を有し、第3抵抗(28)の一端が接地され、且つ、第4抵抗(30)の一端が電源(26)に接続された第2直列接続体(14)を含んでも良い。これにより、簡素な回路構成により、検出対象ノイズを検出できる。
【0070】
電源電圧(Vcc)に検出対象ノイズが重畳されていないときに第1電位(Vin-)が第2電位(Vin+)より高くなるように第1抵抗(22)、第2抵抗(24)、第3抵抗(28)及び第4抵抗(30)の抵抗値が設定され、第3抵抗(28)の抵抗値(R3)は、第1抵抗(22)の抵抗値(R1)より大きく設定されても良い。これにより、検出対象ノイズをより検出しやすくすることができる。
【0071】
電源電圧(Vcc)に検出対象ノイズが重畳されていないときに第1電位(Vin-)が第2電位(Vin+)より低くなるように第1抵抗(22)、第2抵抗(24)、第3抵抗(28)及び第4抵抗(30)の抵抗値が設定され、第3抵抗(28)の抵抗値(R3)は、第1抵抗(22)の抵抗値(R1)より小さく設定されても良い。これにより、検出対象ノイズをより検出しやすくすることができる。
【0072】
第1抵抗(22)の抵抗値(R1)及び第3抵抗(28)の抵抗値(R3)のうち小さい方に対する大きい方の比率は、第2所定値以上であっても良い。これにより、検出対象ノイズをより検出しやすくすることができる。
【0073】
第1抵抗(22)、第2抵抗(24)、第3抵抗(28)及び第4抵抗(30)の少なくとも1つは、可変抵抗であり、該可変抵抗の抵抗値を変更する抵抗値変更部(20)を更に備えていても良い。これにより、第1電位(Vin-)、第2電位(Vin+)、第1抵抗(22)の抵抗値(R1)、第2抵抗値(24)の抵抗値(R2)、第3抵抗(28)の抵抗値(R3)、第4抵抗(30)の抵抗値(R4)の設定の自由度を向上できる。
【0074】
第1抵抗(22)及び第3抵抗(28)の少なくとも一方は、可変抵抗であり、第1抵抗(22)及び第3抵抗(28)の抵抗比(Rr)毎のノイズの電圧値がテーブル(50)として保存された記憶部(34)と、判定部(18)で電源電圧(Vcc)に検出対象ノイズが重畳されたと判定されたときの抵抗比(Rr)と、テーブル(50)とから、該検出対象ノイズの電圧値(NL)を取得する取得部(36)と、を更に備えていても良い。これにより、電源電圧(Vcc)に重畳された検出対象ノイズの電圧値(NL)を取得することができる。このとき、オペレータは、取得された検出対象ノイズの電圧値(NL)に応じて、電源電圧(Vcc)にノイズが重畳されるのを抑制する対策をとる必要があるか否かを決定することができる。
【0075】
[第2の発明]
第2の発明は、電源電圧(Vcc)を分圧する第1分圧回路(11)の分圧点(PP1)の電位である第1電位(Vin-)と、電源電圧(Vcc)を分圧する第2分圧回路(13)の分圧点(PP2)の電位である第2電位(Vin+)とを比較する第1比較ステップと、第1比較ステップでの比較結果に基づいて、電源電圧(Vcc)に電圧値が所定値以上のノイズ(検出対象ノイズ)が重畳されたか否かを判定する第1判定ステップと、を含み、第1分圧回路(11)の分圧比及び第2分圧回路(13)の分圧比は、電源電圧(Vcc)にノイズが重畳されていないときと重畳されているときとの間でコンパレータ(16)の出力が反転するように設定される、ノイズ検出方法である。
【0076】
これにより、電源電圧(Vcc)に検出対象ノイズが重畳されると、コンパレータ(16)の出力が反転する。この反転によって、判定部(18)は、電源電圧(Vcc)に検出対象ノイズが重畳されていると判定できる。すなわち、第2発明によれば、突発的なノイズでも検出できる。
【0077】
第1電位(Vin-)と第2電位(Vin+)との電位差は、第1所定値以下であっても良い。これにより、検出対象ノイズをより検出しやすくすることができる。
【0078】
第1分圧回路(11)は、直列に接続された第1抵抗(22)及び第2抵抗(24)を有し、第1抵抗(22)の一端が接地され、且つ、第2抵抗(24)の一端が電源(26)に接続された第1直列接続体(12)を含み、第2分圧回路(13)は、直列に接続された第3抵抗(28)及び第4抵抗(30)を有し、第3抵抗(28)の一端が接地され、且つ、第4抵抗(30)の一端が電源(26)に接続された第2直列接続体(14)を含み、電源電圧(Vcc)に検出対象ノイズが重畳されていないときに第1電位(Vin-)が第2電位(Vin+)より高くなるように第1抵抗(22)、第2抵抗(24)、第3抵抗(28)及び第4抵抗(30)の抵抗値が設定され、第3抵抗(28)の抵抗値(R3)は、第1抵抗(22)の抵抗値(R1)より大きく設定されても良い。これにより、検出対象ノイズをより検出しやすくすることができる。
【0079】
第1抵抗(22)の抵抗値(R1)に対する第3抵抗(28)の抵抗値(R3)の比率は、第2所定値以上であっても良い。これにより、検出対象ノイズをより検出しやすくすることができる。
【0080】
第1抵抗(22)及び第3抵抗(28)の少なくとも一方は、可変抵抗であり、第2の発明のノイズ検出方法は、第1判定ステップで電源電圧(Vcc)に検出対象ノイズが重畳されたと判定されたときの第1抵抗(22)及び第3抵抗(28)の抵抗比(Rr)と、第1抵抗(22)及び第3抵抗(28)の抵抗比(Rr)毎のノイズの電圧値(NL)を表すテーブル(50)とから、ノイズの電圧値(NL)を取得する取得ステップを更に含んでも良い。これにより、電源電圧(Vcc)に重畳された検出対象ノイズの電圧値(NL)を取得することができる。このとき、オペレータは、取得された検出対象ノイズの電圧値(NL)に応じて、電源電圧(Vcc)にノイズが重畳されるのを抑制する対策をとる必要があるか否かを決定することができる。
【0081】
第2の発明のノイズ検出方法は、第1抵抗(22)及び第3抵抗(28)の少なくとも一方は、可変抵抗であり、第1判定ステップで電源電圧(Vcc)にノイズが重畳されていないと判定されたときに、可変抵抗の抵抗値を変更して所定値(検出対象ノイズの電圧値の下限値)を変更する抵抗値変更ステップと、抵抗値変更ステップの後に、第1電位(Vin-)と第2電位(Vin+)とを比較する第2比較ステップと、第2比較ステップでの比較結果に基づいて、電源電圧(Vcc)に変更後の所定値以上の電圧値のノイズが重畳されたか否かを判定する第2判定ステップと、を更に含んでいても良い。これにより、変更後の所定値以上の電圧値のノイズを検出することができる。すなわち、ノイズの検出漏れを抑制できる。
【0082】
抵抗値変更ステップでは、第1抵抗(22)の抵抗値(R1)に対する第3抵抗(28)の抵抗値(R3)の比が大きくなるように可変抵抗の抵抗値を変更しても良い。これにより、検出対象ノイズをより検出しやすくなる。
【符号の説明】
【0083】
10、10A、10B…ノイズ検出装置 12…第1直列接続体
14…第2直列接続体 16…コンパレータ
18…ノイズ重畳有無判定部(判定部) 20…抵抗値変更部
22…第1抵抗 24…第2抵抗
26…電源 28…第3抵抗
30…第4抵抗 34…記憶部
36…ノイズレベル取得部(取得部) IT1…第1入力端子
IT2…第2入力端子 PP1…第1分圧点
PP2…第2分圧点 Vin-…第1電位
Vin+…第2電位