(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】防災システム
(51)【国際特許分類】
G08B 17/00 20060101AFI20221220BHJP
G01R 31/50 20200101ALI20221220BHJP
G01R 31/52 20200101ALI20221220BHJP
G01R 31/56 20200101ALI20221220BHJP
G01R 31/58 20200101ALI20221220BHJP
G08B 29/06 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
G08B17/00 D
G01R31/50
G01R31/52
G01R31/56
G01R31/58
G08B29/06
(21)【出願番号】P 2018184624
(22)【出願日】2018-09-28
【審査請求日】2021-06-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】弁理士法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長澤 正浩
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 正樹
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸口 隆文
【審査官】田畑 利幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-049487(JP,A)
【文献】特開平06-004783(JP,A)
【文献】特開2010-193041(JP,A)
【文献】特開2010-210552(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B 17/00-17/12
G08B 19/00-31/00
G01R 31/50-31/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の信号線において測定対象となる信号線を切り替える切替手段と、
前記切替手段により測定対象となった信号線を通る信号を予め定められた周期でサンプリングして少なくとも前記信号の電流値または電圧値を測定する手段であって、
前記切替手段により測定する信号線を切り替える制御を行った時点から、設定された
時間が経過したタイミングで前記サンプリングを開始する測定手段と、
前記測定手段の測定結果を記録する記録手段と、
前記タイミングを設定する設定手段と
を備える防災システム。
【請求項2】
複数の信号線において測定対象となる信号線を切り替える切替手段と、
前記切替手段により測定対象となった信号線を通る信号を予め定められた周期でサンプリングして少なくとも前記信号の電流値または電圧値を測定する手段であって、設定されたタイミングで前記サンプリングを開始する測定手段と、
前記測定手段の測定結果を記録する記録手段と、
前記タイミングを設定する設定手段とを備え、
前記設定手段は、前記タイミングを、第1のタイミングから第2のタイミングに遅らせる
防災システム。
【請求項3】
複数の信号線において測定対象となる信号線を切り替える切替手段と、
前記切替手段により測定対象となった信号線を通る信号を予め定められた周期でサンプリングして少なくとも前記信号の電流値または電圧値を測定する手段であって、設定されたタイミングで前記サンプリングを開始する測定手段と、
前記測定手段の測定結果を記録する記録手段と、
前記タイミングを設定する設定手段とを備え、
前記設定手段は、前記記録手段に記録された測定結果に応じて前記タイミングを設定する
防災システム。
【請求項4】
複数の信号線において測定対象となる信号線を切り替える切替手段と、
前記切替手段により測定対象となった信号線を通る信号を予め定められた周期でサンプリングして少なくとも前記信号の電流値または電圧値を測定する測定手段と、
前記切替手段により測定する信号線を切り替える制御を行った時点から、設定された時間が経過したタイミングで前記測定手段の測定結果の記録を開始する記録手段と、
前記タイミングを設定する設定手段と
を備える防災システム。
【請求項5】
複数の信号線において測定対象となる信号線を切り替える切替手段と、
前記切替手段により測定対象となった信号線を通る信号を予め定められた周期でサンプリングして少なくとも前記信号の電流値または電圧値を測定する測定手段と、
設定されたタイミングで前記測定手段の測定結果の記録を開始する記録手段と、
前記タイミングを設定する設定手段とを備え
、
前記設定手段は、前記測定手段で測定された測定結果に応じて前記タイミングを設定する
防災システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防災システムに関する。
【背景技術】
【0002】
防災受信盤と端末機器で構成されるトンネル防災システムにおいては、手動通報装置、消火栓起動装置、ダクト温度検知器等の端末機器は、防災受信盤に信号回線で接続される。この信号回線がどのような状態にあるかを調べる発明として、例えば特許文献1に開示されたトンネル防災システムがある。このトンネル防災システムは、複数の信号回線から一の信号回線を順次選択し、選択した信号回線を制御部のAD変換ポートに接続する。制御部は、接続された信号回線からAD変換ポートに入力される信号をサンプリングすることにより、信号回線に流れる電流を測定して記録する。測定結果は、例えば、特許文献2に開示されているトンネル防災システムのように、防災受信盤が備えるメインモニタ装置やサブモニタ装置で表示することにより、ユーザが信号回線の絶縁の劣化等、信号回線がどのような状態にあるのかを把握することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-34489号公報
【文献】特開2018-45541号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数の信号回線から一の信号回線を選択してAD変換ポートに接続する場合、入力ポートに接続する信号回線は、例えばリレー回路により切り替えられる。リレー回路においては、チャタリングが発生し、AD変換ポートに接続する信号回線が完全に切り替わらない期間がある。この期間においてサンプリングを開始してしまうと、信号を正確に測定できないこととなる。
【0005】
本発明は、測定する信号線を切り替えた後で安定した信号の測定結果を記録できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明に係る防災システムは、複数の信号線において測定対象となる信号線を切り替える切替手段と、前記切替手段により測定対象となった信号線を通る信号を予め定められた周期でサンプリングして少なくとも前記信号の電流値または電圧値を測定する手段であって、設定されたタイミングで前記サンプリングを開始する測定手段と、前記測定手段の測定結果を記録する記録手段と、前記タイミングを設定する設定手段とを備える。
【0007】
(2)本発明に係る防災システムは、(1)に記載の構成において、前記設定手段は、前記タイミングを、第1のタイミングから第2のタイミングに遅らせることを特徴とする。
【0008】
(3)また、本発明に係る防災システムは、(1)または(2)の構成において、前記設定手段は、前記記録手段に記録された測定結果に応じて前記タイミングを設定することを特徴とする。
【0009】
(4)また、本発明に係る防災システムは、(1)乃至(3)のいずれか一の構成において、自システムは、防災受信盤であり、前記測定手段は、トンネル内に設置される複数の端末機器に接続されている信号線を流れる電流の値を測定することを特徴とする。
【0010】
(5)また、本発明に係る防災システムは、複数の信号線において測定対象となる信号線を切り替える切替手段と、前記切替手段により測定対象となった信号線を通る信号を予め定められた周期でサンプリングして少なくとも前記信号の電流値または電圧値を測定する測定手段と、設定されたタイミングで前記測定手段の測定結果の記録を開始する記録手段と、前記タイミングを設定する設定手段とを備える。
【発明の効果】
【0011】
上記の(1)の構成によれば、測定する信号線を切り替えた後で安定した信号の測定結果を記録することができる。
上記の(2)の構成によれば、経年変化により信号線の切り替えが遅くなっても、測定する信号線を切り替えた後で安定した信号の測定結果を記録することができる。
上記の(3)の構成によれば、サンプリングの開始のタイミングを最適化することができる。
上記の(4)の構成によれば、トンネル内に設置される端末機器と防災受信盤とを接続する複数の信号線について、測定する信号線を切り替えた後で安定した信号の測定結果を記録することができる。
上記の(5)の構成によれば、測定する信号線を切り替えた後で安定した信号の測定結果を記録することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明に係る防災システム1の構成を説明する図。
【
図3】測定回路202a、測定回路202c、測定回路202dの詳細を示した図。
【
図4】GOT104が表示するGUI画面の一例を示した図。
【
図5】GOT104が表示するGUI画面の一例を示した図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[実施形態]
(全体構成)
図1は、防災システム1の概要を示した図である。防災システム1は、トンネル内で発生する火災の拡大を防ぐためのシステムである。
図1においては、自動車専用道路で上り線のトンネル2aと下り線のトンネル2bを有するトンネルに係る防災システム1の概要を示している。
【0014】
トンネル2aとトンネル2bの壁面には、トンネルの延伸方向に沿って予め定められた間隔で火災検知器32が設置されている。火災検知器32は、トンネルの上流側と下流側を監視して火災による炎を検知する。火災による炎が火災検知器32により検知されると、火災信号が流れる。
【0015】
トンネル2aとトンネル2bには、トンネルの延伸方向に沿って換気や排気のためのダクトが設けられており、ダクト内においては、予め定められた間隔で温度検知器31が設置されている。温度検知器31は、接点手段として機能するスイッチを備えており、火災によりダクト内の温度が上昇すると、このスイッチがオンとなり、温度検知信号が流れる。
【0016】
また、トンネル2aとトンネル2bの監視員通路の壁面には、監視員通路の延伸方向に沿って、予め定められた間隔で消火栓装置33と手動通報装置34が設置されている。
【0017】
消火栓装置33は、初期消火用の放水設備であり、ノズル付きホースが接続された消火栓と消火器を扉内に収納している。火災時には消火栓扉を開いてノズル付きホースを引き出し、消火栓弁開閉レバーを開操作すると、消火栓へ給水を行うための消火栓起動スイッチがオンとなり、起動信号が流れる。起動信号が流れると、消火栓に給水を行う消火ポンプが起動し、ホースのノズルから消火用水が放水される。
【0018】
また、消火栓装置33には、消防隊が使用する給水栓と、給水栓へ給水を行う消火ポンプを起動する給水栓起動スイッチが設けられている。消防隊の操作により給水栓起動スイッチがオンとなると、起動信号が流れる。起動信号が流れると、消火ポンプが起動し、給水栓へ給水が行われる。なお、給水栓は必須の構成ではないため、消火栓装置33は、給水栓を備えていない構成であってもよい。
【0019】
なお、消火栓起動スイッチと給水栓起動スイッチは、共に同じ消火ポンプ起動して起動信号を出力するスイッチであることから、以下、消火栓起動スイッチおよび給水栓起動スイッチを起動スイッチと称する場合がある。
【0020】
手動通報装置34は、火災を知らせるための装置であり、押しボタンが操作されてスイッチがオンとなると、火災通報信号が流れる。なお、押しボタン式である手動通報装置は、トンネル2aとトンネル2bの壁面に設けられた非常電話機にも設置されている。
【0021】
手動通報装置34、消火栓装置33および温度検知器31は、本発明に係る端末機器の一例である。
【0022】
防災受信盤10は、トンネル内の異常を検知する機能を有し、火災の発生を報知し、他の設備と連動してトンネル内の火災の拡大を防ぐ設備である。防災受信盤10は、トンネルの通信機械室に設置されている。防災受信盤10は、P型のシステムであり、温度検知器31に接続されている信号線11a、火災検知器32に接続されている信号線11b、手動通報装置34に接続されている信号線11d、および起動スイッチに接続されている信号線11cが接続されている。
【0023】
温度検知器31に接続する信号線11aは、トンネル内を分割した複数の区画毎に設けられており、複数の信号線11aの各々は、対応する区画に設置されている温度検知器31に接続されている。火災検知器32に接続する信号線11bは、トンネル内を分割した複数の区画毎に設けられており、複数の信号線11bの各々は、対応する区画に設置されている火災検知器32に接続されている。手動通報装置34に接続する信号線11dは、トンネル内を分割した複数の区画毎に設けられており、複数の信号線11dの各々は、対応する区画に設置されている手動通報装置34に接続されている。起動スイッチに接続する信号線11cは、トンネル内を分割した複数の区画毎に設けられており、複数の信号線11cの各々は、対応する区画に設置されている起動スイッチに接続されている。
【0024】
また、防災システム1は、消火ポンプの制御と、ダクトを冷却するダクト冷却ポンプの制御を行うポンプ制御盤21を備える。
【0025】
(防災受信盤10の構成)
防災受信盤10は、制御部101、伝送部102、通信部103、GOT104、操作部105、警報部106、ポンプ制御部107、表示部108、および記憶部109を備える。
【0026】
制御部101は、所謂PLC(Programmable Logic Controller)であり、CPUおよびメモリを有するCPUユニット、電源ユニット、AD変換機能を有する入力ポートを含む各種の入力ポートおよび出力ポートを備えた入出力ユニットを備える。
【0027】
伝送部102は、信号線11a、信号線11b、信号線11cおよび信号線11dに接続されている。伝送部102は、温度検知信号、火災信号、起動信号、および火災通報信号を制御部101へ供給する。
【0028】
GOT(Graphic Operation Terminal)104は、タッチパネルを備えた入出力装置である。GOT104は、制御部101と協働して各種のGUI画面を表示し、GUI画面に対して行われた操作を受け付ける。GOT104は、信号線11a、信号線11cおよび信号線11dを流れる電流の測定結果の表示や、電流の測定に係る設定画面の表示などを行う。また、GOT104は、USB端子を備えており、USB端子に接続されたUSBメモリに対して各種データを出力する。
【0029】
通信部103は、通信ネットワーク3を介して外部の上位設備である遠隔制御設備30と通信を行うための通信インターフェースとして機能する。操作部105は、防災受信盤10を操作するための各種スイッチやボタンを有する。警報部106は、スピーカ、主音響装置、警報表示灯を有し、火災発生時に警報を発する。ポンプ制御部107は、ポンプ制御盤21を制御し、消火ポンプやダクト冷却ポンプの制御を行う。表示部108は、液晶ディスプレイ装置を有し、火災の発生の警報表示や、信号線11a、信号線11cおよび信号線11dを流れる電流の異常表示などを行う。記憶部109は、例えば、メモリカードなどの不揮発性メモリであり、伝送部102に接続されている信号線に流れる電流の測定結果を記憶する。なお、制御部101は、PLCに限定されるものではなく、CPU、メモリ、入出力ユニットを備えたマイクロコンピュータまたはパーソナルコンピュータであってもよい。また、本実施形態においては、表示部108と操作部105とがメイン表示操作部を構成し、GOT104がサブ表示操作部を構成し、別々の構成となっているが、一体の構成であってもよい。
【0030】
(伝送部102の構成)
図2は、伝送部102の構成を示したブロック図である。トンネル内を分割した複数の区画5の各々には、区画5に配置されている温度検知器31、消火栓装置33、手動通報装置34が含まれる。伝送部102は、トンネル内を分割した複数の区画5毎に入出力ユニット200を備えている。
【0031】
入出力ユニット200は、信号受信部201a、信号受信部201cおよび信号受信部201dを有する。信号受信部201aは、対応する区画5に含まれる温度検知器31に信号線11aで接続されている。信号受信部201cは、対応する区画5に含まれる消火栓装置33に信号線11cで接続されている。信号受信部201dは、対応する区画5に含まれる手動通報装置34に信号線11dで接続されている。
【0032】
また、入出力ユニット200は、測定回路202a、測定回路202cおよび測定回路202dを有する。測定回路202aは、信号線11aに流れる電流を測定するための回路である。測定回路202cは、信号線11cに流れる電流を測定するための回路である。測定回路202dは、信号線11dに流れる電流を測定するための回路である。
【0033】
図3は、測定回路202a、測定回路202cおよび測定回路202dの詳細を示した図である。信号線11a、信号線11cおよび信号線11dは、具体的には、信号ラインLとコモンラインCで構成されている。信号ラインLは抵抗R2を介して電源電圧Vcに接続されてプルアップされて直流信号が流れており、コモンラインCはグランドに接続されている。
【0034】
信号ラインLとコモンラインCからなる信号線11aには、温度検知器31に設けられているスイッチSWaおよび終端抵抗R1が並列に接続されており、通常状態でスイッチSWaは図示したようにオフとなっている。
【0035】
信号ラインLとコモンラインCからなる信号線11cには、消火栓装置33に設けられている起動スイッチSWcおよび終端抵抗R1が並列に接続されており、通常状態で起動スイッチSWcは図示したようにオフとなっている。
【0036】
信号ラインLとコモンラインCからなる信号線11dには、手動通報装置34に設けられているスイッチSWdおよび終端抵抗R1が並列に接続されており、通常状態でスイッチSWdは図示したようにオフとなっている。
【0037】
スイッチSWaがオフしている通常状態では、信号ラインLとコモンラインCの間の電圧は電源電圧Vcとなっており、この電圧が信号受信部201aに入力されている。スイッチSWaのいずれかが温度上昇によりオンとなると、信号ラインLとコモンラインCの間の電圧が低下する。信号受信部201aは、信号ラインLとコモンラインCの間の電圧が予め定められた電圧より低下した場合、温度検知信号を制御部101へ出力する。
【0038】
また、起動スイッチがオフしている通常状態では、信号ラインLとコモンラインCの間の電圧は電源電圧Vcとなっており、この電圧が信号受信部201cに入力されている。起動スイッチSWcのいずれかがオンとなると、信号ラインLとコモンラインCの間の電圧が低下する。信号受信部201cは、信号ラインLとコモンラインCの間の電圧が予め定められた電圧より低下した場合、起動信号を制御部101へ出力する。
【0039】
スイッチSWdがオフしている通常状態では、信号ラインLとコモンラインCの間の電圧は電源電圧Vcとなっており、この電圧が信号受信部201dに入力されている。押しボタンが操作されてスイッチSWdのいずれかがオンとなると、信号ラインLとコモンラインCの間の電圧が低下する。信号受信部201dは、信号ラインLとコモンラインCの間の電圧が予め定められた電圧より低下した場合、火災通報信号を制御部101へ出力する。
【0040】
測定回路202a、測定回路202cおよび測定回路202dは、信号ラインLとコモンラインCとの間の電圧を検出するための回路であり、信号ラインLに接続する信号ラインLaを有する。なお、測定回路202a、測定回路202cおよび測定回路202dは、図示した回路に限定されるものではなく、信号ラインLにおいて信号ラインLaが接続されている点とコモンラインCとの間の電圧を信号ラインLに流れる電流の増加に応じて変化させる回路であればよい。
【0041】
選択部210は、接続される複数の信号ラインLa毎にリレー回路を備えている。選択部210においては、制御部101からの制御信号によりリレー回路が動作し、複数の信号ラインLaのうちの一つがリレー回路により制御部101のAD変換ポートに接続される。選択部210は、本発明に係る切替手段の一例である。
【0042】
(制御部101の構成)
制御部101においては、CPUがプログラムを実行することにより、本発明に係る電流測定部1001、設定部1002、監視部1004、GUI部1005を実現する。
【0043】
監視部1004は、伝送部102から供給される信号に応じて各部を制御する。監視部1004は、例えば、手動通報装置34の操作による火災通報信号を受信した場合、警報部106を制御して主音響装置を鳴動させ、表示部108を制御して火災表示と手動通報区画表示を行う。また、監視部1004は、火災通報信号を受信した場合、ポンプ制御部107でポンプ制御盤21を制御して消火ポンプを起動する。
【0044】
また、監視部1004は、ダクト内温度が上昇したことにより温度検知信号を受信した場合、ポンプ制御部107でポンプ制御盤21を制御して冷却ポンプを起動し、ダクト内に設置されているヘッドから散水してダクト内を冷却する制御を行う。
【0045】
電流測定部1001は、信号線11a、信号線11cおよび信号線11dに流れる電流の電流値を測定し、測定結果を記憶部109に記録する。具体的には、電流測定部1001は、信号ラインLaとグランド間の電圧VaをAD変換ポートで測定することにより、信号ラインLに流れる電流の電流値Iを、例えば、I=(Vc-Va)/R2の式で算出する。電流測定部1001は、本発明に係る測定手段の一例である。
【0046】
電流測定部1001は、一日の予め定められた時刻になると、選択部210を制御し、選択部210に接続されている信号ラインLaを順次AD変換ポートへ接続する。電流測定部1001は、接続された信号ラインLa毎に電圧を測定し、接続された信号ラインLaに流れる電流の電流値Iを、測定した電圧から算出し、算出した電流値を記憶部109に記録する。
【0047】
また、電流測定部1001は、全ての信号ラインLに流れる電流の測定を指示する操作がGOT104において行われた場合には、選択部210を制御して信号ラインLaを順次AD変換ポートへ接続する。電流測定部1001は、接続された信号ラインLa毎に電圧を測定し、接続された信号ラインLaに流れる電流の電流値を測定した電圧から算出し、算出した電流値を記憶部109に記録する。
【0048】
また、電流測定部1001は、電流値を測定する信号ラインLがGOT104において選択され、選択された信号ラインLに流れる電流の測定を指示する操作がGOT104において行われた場合には、選択された信号ラインLに接続されている信号ラインLaをAD変換ポートに接続する。電流測定部1001は、接続された信号ラインLaの電圧を測定し、接続された信号ラインLaに流れる電流の電流値を測定した電圧から算出し、算出した電流値を記憶部109に記録する。
【0049】
電流測定部1001は、電圧Vaの測定の際には、選択部210を制御した後、設定部1002で設定されたタイミングとなると、信号ラインLaとグランド間の電圧Vaのサンプリングを開始する。電流測定部1001は、電圧Vaのサンプリングを開始してから予め定められた時間が経過するとサンプリングを終了する。電流測定部1001は、サンプリング毎に得た電圧Va毎に電流値Iを算出し、算出した電流値Iの平均値を記憶部109に記録する。電流測定部1001は、本発明に係る記録手段の一例でもある。
【0050】
信号ラインLに流れる電流が増加すると、信号ラインLとコモンラインCとの間の電圧Vaが流れる電流の増加に比例して増加する。例えば、信号線11aの絶縁が劣化すると、絶縁抵抗が低下し、信号線11aを流れる電流が増加するため、信号ラインLとコモンラインCとの間の電圧Vaが増加する。電圧Vaが変化すると、前述の式で得られる電流値Iが変化するため、電流測定部1001が信号ラインLに流れる電流を測定し、記憶部109に記憶された電流値Iの変化を監視することにより、信号線の絶縁低下を判定することができる。
【0051】
設定部1002は、電流測定部1001がサンプリングを開始するタイミングを設定する。設定部1002が設定したタイミングは、記憶部109に記憶される。設定部1002は、本発明に係る設定手段の一例である。
【0052】
GUI部1005は、GOT104に対して行われた操作や操作部105で行われた操作に応じてGOT104で各種画面を表示する。例えば、GUI部1005は、測定した電流値の測定結果を表示する操作が行われた場合、記憶部109に記憶されている測定結果を、GOT104で表示する。また、GUI部1005は、電流測定部1001がサンプリングを開始するタイミングを設定する画面を表示する。
【0053】
(実施形態の動作例)
次に、電流測定部1001がサンプリングを開始するタイミングを設定するときの動作例について説明する。
【0054】
図4は、電流測定部1001が行うサンプリングの周期、サンプリングの開始タイミング、電流の測定時間(サンプリングを行う時間)を表示する画面の一例を示した図である。
図4の画面は、GOT104で表示される。
【0055】
図4に例示した画面は、電流測定部1001がサンプリングを行うときの周期と、サンプリングを行う時間を表示し、サンプリングを行うときの周期を設定するためのボタンB2と、サンプリングを行う時間を設定するためのボタンB1を有する。また、
図4に例示した画面は、AD変換ポートに接続される信号ラインLaを切り替える制御を行った後に電流測定部1001がサンプリングを開始するタイミングを表示し、サンプリングを開始するタイミングを設定するためのボタンB3を有する。電流測定部1001がサンプリングを開始するタイミングは、記憶部109に記憶されている。
【0056】
図4に示されているように、サンプリング開始のタイミングが0.2秒である場合、電流測定部1001は、一の信号ラインLaを選択する制御を選択部210に対して行った時点から0.2秒が経過したタイミングでサンプリングを開始する。サンプリングの周期とサンプリングを行う時間については、
図4に示されているように、サンプリング周期が0.02秒であり、測定時間が10秒である場合、電流測定部1001は、サンプリングを開始してから0.02秒の周期で10秒間の間、サンプリングを行う。
【0057】
ユーザは、サンプリングの開始タイミングを変更する場合、ボタンB3を押す操作を行う。
図5は、ボタンB3を押す操作が行われたときにGOT104に表示される画面の一例を示した図である。
【0058】
電流測定部1001は、ボタンB3を押す操作が行われると、例えば、選択部210を制御して予め定められた信号ラインLaをAD変換ポートに接続すると共に、設定されている周期で信号ラインLaの電圧Vaのサンプリングを開始する。即ち、ボタンB3を押す操作が行われた場合、設定されている開始タイミングまで待つことなく、電圧Vaのサンプリングを開始する。電流測定部1001は、測定結果から算出した電流値Iをメモリに記憶する。電流測定部1001は、サンプリングを終えると、
図5に示すように、測定した電流値Iのグラフを表示する。
【0059】
ユーザは、リレー回路が動作してからAD変換ポートに接続する信号ラインLaが切り替わり、AD変換ポートに入力される信号が安定するまでの時間を表示されたグラフから特定する。例えば、
図5に例示したグラフが表示された場合、ユーザは、電流値Iが安定した時点より後の時点をサンプリングの開始タイミングとする。
【0060】
ユーザは、
図5に示しされたテンキーを操作することにより、電流測定部1001がサンプリングを開始するタイミングを設定する。サンプリングを開始するタイミングをテンキーで設定した後、決定のボタンが操作されると、設定部1002は、設定されたタイミングを記憶部109に記録する。例えば、サンプリングの開始タイミングがユーザにより0.3秒に設定された場合、設定部1002は、設定された0.3秒をサンプリングの開始タイミングとして記憶部109に記録する。
【0061】
サンプリング開始のタイミングが0.3秒に設定された場合、電流測定部1001は、電流値Iの測定を行う際には、一の信号ラインLaを選択する制御を選択部210に対して行った時点から0.3秒が経過したタイミングでサンプリングを開始する。なお、開始タイミングは、表示されているタイミングより遅いタイミングだけではなく、表示されているタイミングより早いタイミングに設定することもできる。
【0062】
本実施形態によれば、電流測定部1001がサンプリングを開始するタイミングを変更できる。サンプリングを開始するタイミングを、測定する信号線を切り替えた後で信号が安定するタイミングに設定することにより、リレー回路を制御してチャタリングが発生しているときの信号を測定することがなく、安定した信号を測定して測定結果を記録することができる。
【0063】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、他の様々な形態で実施可能である。例えば、上述の実施形態を以下のように変形して本発明を実施してもよい。なお、上述した実施形態および以下の変形例は、各々を組み合わせてもよい。
【0064】
上述した実施形態においては、電流測定部1001がサンプリングを開始するタイミングをユーザが設定する構成となっているが、本発明においては、サンプリングの開始タイミングを設定部1002が行う構成であってもよい。
【0065】
設定部1002がサンプリングの開始タイミングを設定する構成の場合、開始タイミング設定用のサンプリングを実施し、その測定結果から、電流値Iが安定した時点をサンプリングの開始タイミングに設定する。例えば、時間の経過に応じてメモリに順番に記録された電流値Iを順次選択し、選択した電流値Iに対して時間軸上で予め定められた範囲内の測定結果の値(上記選択した電流値Iを測定したサンプリングとそれ以降の所定期間内のサンプリングにおける測定結果の値)が予め定められた範囲内となった場合、選択した電流値Iを測定したタイミングを、サンプリングの開始タイミングに設定し、設定したタイミングを記憶部109に記録するようにしてもよい。この構成によれば、ユーザの手を煩わせることなく、開始タイミングを早く設定することや遅く設定することが可能であり、自動的に開始タイミングを設定することができる。
【0066】
また、例えば、設定部1002は、メモリに記録された電流値Iを順次選択し、選択した電流値Iと記憶部109に記録されている電流値Iの平均値との差分を算出する。設定部1002は、算出した差分が予め定められた閾値以下となった場合、選択した電流値Iを測定したタイミングを、サンプリングの開始タイミングに設定し、設定したタイミングを記憶部109に記録するようにしてもよい。この構成でも、ユーザの手を煩わせることなく、自動的に開始タイミングを設定することができる。
【0067】
また、設定部1002が自動でサンプリングの開始タイミングを設定可能な構成の場合、予め定められたときに開始タイミングの自動設定を行うようにしてもよい。例えば、設定部1002は、予め定められた時刻となると、開始タイミングの設定の動作を行い、自動的に開始タイミングを設定してもよい。
【0068】
上述した実施形態においては、ボタンB3を押す操作が行われた場合、予め定められた信号ラインLaを選択し、選択した信号ラインLaの信号の測定結果に応じて、各信号ラインLaのサンプリングの開始タイミングを設定しているが、複数の信号ラインLa毎にサンプリングの開始タイミングを設定してもよい。この構成によれば、信号ラインLaをAD変換ポートに接続するリレー回路毎に信号が安定するまでのタイミングが違っていても、接続された各信号ラインLaについて、安定した信号を測定して測定結果を記録することができる。また、自動で開始タイミングを設定する構成においても、複数の信号ラインLa毎にサンプリングの開始タイミングを設定してもよい。
【0069】
上述した実施形態においては、電流測定部1001は、選択部210においてリレー回路が制御された後、設定された開始タイミングでサンプリングを開始しているが、本発明においては、選択部210を制御したタイミングからサンプリングを開始してもよい。この構成の場合、電流測定部1001は、設定された開始タイミング以降にメモリに記録された電流値Iの平均値を記憶部109に記録するようにしてもよい。この構成の場合、AD変換ポートに入力される信号が安定した後の測定結果を用いて算出された平均値が記録されるため、安定した信号の測定結果を記録することができる。この測定結果の記録を開始するタイミングは、ユーザが手動で設定する構成としてもよいし、制御部101(設定部1002)が自動で設定する構成としてもよい。自動設定の方法は、例えば前記した開始タイミング設定用のサンプリングと同様のサンプリングを実施し、その測定結果から、電流値Iが安定した時点を、測定結果の記録を開始するタイミングとする。
【0070】
上述した実施形態においては、信号ラインLaを選択する制御を選択部210に対して行った時点から、記憶部109に記憶されているタイミングとなると、サンプリングを開始しているが、サンプリングを開始するタイミングは、実施形態のタイミングに限定されるものではない。本発明においては、電流測定部1001は、サンプリングの開始のタイミングを記憶部109に記憶することなく、選択部210を制御したタイミングからサンプリングを開始してもよい。この構成の場合、電流測定部1001は、サンプリングで測定した電圧Vaから算出した電流値Iが安定した時点から、記憶部109に記憶されている測定時間の間、サンプリングを行う。例えば、電流測定部1001は、サンプリングによりメモリに順番に記録されていく電流値Iを参照し、最新のサンプリングで算出した電流値Iに対して時間軸上で過去に向かって予め定められた範囲内の測定結果の値(最新の電流値Iを測定したサンプリングとそれ以前の所定期間内のサンプリングにおける電流値I)が予め定められた範囲内となった場合、最新のサンプリングの時点から設定されている測定時間の間、サンプリングを行い、電流値Iの平均値を算出して記憶部109に記録してもよい。この構成によれば、サンプリングの開始のタイミングを記憶部109に記憶させる必要がなく、信号線毎に、信号が安定してから測定を行うことができる。
【0071】
上述した実施形態においては、トンネル内に設置されている端末機器と防災受信盤10とを接続する信号線について、流れる電流を防災受信盤10で測定しているが、例えば、ビルなどの建築物に設置される火災受信機と熱や煙を感知する感知器や発信機とを接続する信号線に流れる電流について、火災受信機で測定してもよい。
【0072】
上述した実施形態においては、電圧Vaを測定し、電圧Vaから算出した電流値Iを記憶部109に記録しているが、本発明においては、AD変換ポートで測定した電圧Vaの平均値を記憶部109に記録する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0073】
1…防災システム、2a、2b…トンネル、3…通信ネットワーク、5…区画、10…防災受信盤、11a、11b、11c、11d…信号線、21…ポンプ制御盤、30…遠隔制御設備、31…温度検知器、32…火災検知器、33…消火栓装置、34…手動通報装置、101…制御部、102…伝送部、103…通信部、104…GOT、105…操作部、106…警報部、107…ポンプ制御部、108…表示部、109…記憶部、200…入出力ユニット、201a、201c、201d…信号受信部、202a、202c、202d…測定回路、210…選択部、1001…電流測定部、1002…設定部、1004…監視部、1005…GUI部。