(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】バッテリーセルフォーメーションおよびサイクリング手順の自律的スクリーニングおよび最適化
(51)【国際特許分類】
G01R 31/396 20190101AFI20221220BHJP
G01R 31/367 20190101ALI20221220BHJP
H01M 10/058 20100101ALI20221220BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
G01R31/396
G01R31/367
H01M10/058
H01M10/48 P
H01M10/48 301
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018195851
(22)【出願日】2018-10-17
【審査請求日】2021-10-14
(32)【優先日】2017-10-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503115205
【氏名又は名称】ザ ボード オブ トラスティーズ オブ ザ レランド スタンフォード ジュニア ユニバーシティー
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】特許業務法人 大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ステファノ・エルモン
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム・シー・チュエ
(72)【発明者】
【氏名】アディーチャ・グロヴァー
(72)【発明者】
【氏名】トドル・ミヘイロフ・マルコフ
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス・パーキンズ
(72)【発明者】
【氏名】ピーター・エム・アティア
【審査官】菅藤 政明
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102012214113(DE,A1)
【文献】特開2008-268082(JP,A)
【文献】特表2014-519680(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/36-31/396
H01M 10/48
H01M 10/058
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリーセルフォーメーションおよびサイクリングプロトコルの多次元パラメータ空間を精査する方法であって、
(a)最適化されている対象の複数のバッテリーセルに対するパラメータ空間を定義するステップと、
(b)ハイパーパラメータを指定するステップであって、前記ハイパーパラメータは、リソースハイパーパラメータ、パラメータ空間ハイパーパラメータ、およびアルゴリズムハイパーパラメータを含む、該ステップと、
(c)ポリシーの繰り返しを含む、充電のポリシーのサブセットを選択するステップと、
(d)正確さのために必要なサイクル数が達成されるまで、バッテリーサイクリング機器を使用して、前記ポリシーの前記サブセットをテストするステップと、
(e)少なくとも1つの次のテストを実行するための推奨を得るために最適実験計画法(OED)アルゴリズムを採用するステップと、
(f)前記サブセットをテストするステップ(d)以降のステップを繰り返すことによって推奨テストを実行するステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記パラメータ空間は、各サイクルステップ当たりの、サイクル数、サイクル時間、充電状態(SOC)範囲、ならびに最小および最大電流、電圧、抵抗および温度、または温度に関する境界を含むことを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、
前記パラメータ空間は、指定された時間内に一連の定義された充電状態(SOC)範囲内でサイクリングまたは充電速度のフォーメーションを最適化するための多段階パラメータ空間を含み、
前記一連の定義されたSOC範囲は、互いに重ならない連続したパーセンテージの範囲の組であることを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、
前記リソースハイパーパラメータは、複数の利用可能なテストチャネル、および複数のバッチを含むことを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、
前記パラメータ空間ハイパーパラメータは、前記ポリシーの全てわたる寿命の平均および標準偏差、ならびに複数回テストされた単一の前記ポリシーの標準偏差を含むことを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、
前記アルゴリズムハイパーパラメータは、前記パラメータ空間内の隣接する前記ポリシー間の類似度、探索対利用のバランスを制御するための探索定数、および1ラウンド当たりの利用定数の減衰定数を含むことを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法であって、
前記ハイパーパラメータを指定するステップの前に、前記バッテリーセルに対する予備データであるバッテリーセルの予備のセットを収集するステップをさらに含み、
前記バッテリーセルの予備のセットは、早期予測モデルを開発し、前記パラメータ空間にわたる平均、標準偏差、および寿命の範囲を定量化し、名目上同一のサイクリング条件でサイクリングされた名目上同一のセルに対する固有のセル間のばらつきを定量化するためのデータを生成するように構成されることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法であって、
多相最適実験計画法(多相OED)の実施をさらに含み、
前記多相OEDは、第1ラウンドおよび第2ラウンドの閉ループテストを含み、前記第1ラウンドは、低ライフタイムポリシーグループまたは高ライフタイムポリシーグループへのポリシーの予備分類を実行することを含み、定量的予測は不要であり、前記第2ラウンドは、前記ステップ(a)~(f)を実施することを含むことを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法であって、
動的早期予測の実施をさらに含み、
前記動的早期予測は、より多くのデータが収集されて、予測に対する信頼度が高くなった場合、前記収集されたセルの予備のセットのサイズに関する条件が緩和されることを含むことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2017年10月17日に出願された米国仮特許出願第62/573561号を基礎とする優先権を主張し、この出願の内容は参照により本明細書に組み入れられる。
【0002】
本発明はバッテリーの最適化に関する。本発明は、特にバッテリーセルフォーメーションおよびサイクリングプロトコルの多次元パラメータ空間をスクリーニングし、その中で最適化する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
今日のバッテリーの最適化は、重要なタスクとして、テストパラメータが任意に選択されている最適化されていない実証的テストを含むものによって実施されることが多い。検証が十分ではない物理化学モデルが使用されてきたが、そのようなモデルはこれらのプロセスを最適化するのに十分ではない。限定的なデータ分析の実施が試みられてきたが、その場合には重要な洞察を捨てる「要約」データのみが使用されている。
【0004】
バッテリープロトコルの最適化は、リチウムイオンバッテリーの開発と展開における主要なボトルネックである。これらのプロトコルは、高速充電(多段階の高速充電プロトコルでは、短い充電時間でより長いサイクル寿命が得られる)と、サイクル寿命や安全性を高めつつ、複雑なフォーメーションプロトコルでフォーメーション時間を短縮できるフォーメーションサイクル(通常は工場でセルを組み立てた直後に実施)と、フレキシブルな電力消費要求をもつ応用形態に対して最大寿命まで最適化できる使用条件とを含み得る。
【0005】
これらの最適化における一般的な課題は、高い次元数と高い製造ばらつきである。
これらの大きなパラメータ空間を精査するために、現在2つのアプローチ、すなわちモデル最適化とグリッドサーチが行われている。バッテリー劣化のモデルを最適化することは、そのコスト(物理的なコストではなく計算上のコスト)が低い点で魅力的なアプローチであるが、現在のバッテリーモデルは、製造上のばらつきだけでなく関連する劣化モードの全てを捕捉するには複雑さおよび正確さが不十分である。グリッドサーチ、すなわちこれらの設定について複数回実験的にテストすることは精度が高くなるが、時間、テスト装置およびセルに関して高コストである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】Hoffman et al."On correlation and budget constraints in model-based bandit optimization with application to automatic machine learning"
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
当分野の上記のニーズに対応するために、バッテリーセルフォーメーションおよびサイクリングプロトコルの多次元パラメータ空間を精査する方法であって、最適化されている対象の複数のバッテリーセルに対するパラメータ空間を定義するステップと、ハイパーパラメータを指定するステップであって、前記ハイパーパラメータは、リソースハイパーパラメータ、パラメータ空間ハイパーパラメータ、およびアルゴリズムハイパーパラメータを含む、該ステップと、ポリシーの繰り返しを含む、充電のポリシーのサブセットを選択するステップと、正確さのために必要なサイクル数が達成されるまで、バッテリーサイクリング機器を使用して、前記ポリシーの前記サブセットをテストするステップと、少なくとも1つの次のテストを実行するための推奨を得るために最適実験計画法(OED)アルゴリズムを採用するステップと、前記サブセットをテストする上記のステップを繰り返すことによって推奨テストを実行するステップとを含むことを特徴とする方法が提供される。
【0008】
本発明の一態様によれば、前記パラメータ空間は、各サイクルステップ当たりの、サイクル数、サイクル時間、充電状態(SOC)範囲、ならびに最小および最大電流、電圧、抵抗および温度、または温度に関する境界を含む。
【0009】
本発明の他の態様において、前記パラメータ空間は、指定された時間内に前記SOCの一連の定義された範囲内でサイクリングまたは充電速度のフォーメーションを最適化するための多段階パラメータ空間を含み、前記ステップの各々は、各前記SOC範囲の割合を制御し、各前記SOC範囲は他の前記SOC範囲から独立しており、最終的な前記SOC範囲は、前記最終的なSOC範囲の前の全ての前記SOC範囲の合計である。
【0010】
本発明のさらなる態様において、前記リソースハイパーパラメータは、複数の利用可能なテストチャネル、および複数のバッチを含む。
【0011】
本発明の一態様において、前記パラメータ空間ハイパーパラメータは、前記ポリシーの全てわたる寿命の平均および標準偏差、ならびに複数回テストされた単一の前記ポリシーの標準偏差を含む。
【0012】
本発明のさらに別の態様において、前記アルゴリズムハイパーパラメータは、前記パラメータ空間内の隣接する前記ポリシー間の類似度、探索対利用のバランスを制御するための探索定数、および1ラウンド当たりの利用定数の減衰定数を含む。
【0013】
本発明の一態様において、前記バッテリーセルの予備のセットは、早期予測モデルを開発し、前記パラメータ空間にわたる平均、標準偏差、および寿命の範囲を定量化し、名目上同一のサイクリング条件でサイクリングされた名目上同一のセルに対する固有のセル間のばらつきを定量化するためのデータを生成するように構成される。
【0014】
一態様では、多相最適実験計画法(多相OED)の実施をさらに含み、前記多相OEDは、第1ラウンドおよび第2ラウンドの閉ループテストを含み、前記第1ラウンドは、低ライフタイムポリシーグループまたは高ライフタイムポリシーグループへのポリシーの予備分類を実行することを含み、定量的予測は不要である。
【0015】
他の態様では、動的早期予測の実施をさらに含み、前記動的早期予測は、より多くのデータが収集されて、予測に対する信頼度が高くなった場合、前記収集されたセルの予備のセットのサイズに関する条件が緩和されることを含む。
【0016】
他の態様によれば、テストポリシーラウンドのなかのポリシーごとのマルチセルサンプリングの実施をさらに含み、前記マルチセルサンプリングは、前記テストポリシーラウンド内の1つ以上の関心のあるセルに対して実施される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態による、自律閉ループテスト手順の概略図である。
【
図2】実施形態を用いて実現されるアルゴリズムの流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
リチウムイオンバッテリーの製品化までの時間は、電気化学的プロトコルには実質的なテストと最適化が必要なため、長くなる。本発明は、最終的にはコストを削減する、市場投入までの時間を短縮する方法を提供する。一態様では、本発明は、適応的最適実験計画法(OED)を使用してバッテリープロセスの最適化をより速める。一実施形態によれば、本発明は、最適バッテリー手順を迅速にみいだすための「適応的」最適実験計画法アルゴリズムを組み込んだ、バッテリー最適化を達成するための閉ループテストを含む。この適応的OEDアルゴリズムは、初期のサイクリングデータを用いたバッテリー寿命の予測、ならびに関連する予測の信頼区間を組み入れて、現在のテストを続けるか停止するかを決定する。テストが停止の場合には、次にテストするポリシーが決定される。使用時には、バッテリーはポテンショスタットでサイクリング(再充電)され、各セルの寿命は最初のサイクル結果から推定され、予測に十分な確信がある場合は適応的OEDアルゴリズムが現在のテストをいつ停止するかをインテリジェントに決定し、次にテストするポリシーが自動的にポテンショスタットに送信される。
【0019】
応用形態には、最適化を必要とするあらゆるバッテリー製造ステップまたは使用例が含まれる。最適化するプロセスの例としては、急速充電、フォーメーションサイクリング、および劣化状態監視等が挙げられる。
【0020】
本発明は、完全にデータ駆動型であり、それによってこれらの不都合点を回避する最適化手法を提供する。一態様では、適応的最適実験計画法(適応的OED)を使用したバッテリープロセスの自動最適化のための方法は、バッテリー開発時間を最大2桁まで加速する。本発明の方法は、開発コストと開発時間を数値で数桁分削減する。さらに、本発明は、最適実験計画における早期予測およびサブサンプリングのインテリジェントな使用を含む。
【0021】
追加のデータプローブを組み込み等のいくつかの変形形態が可能であり、例としては、電気化学インピーダンス分光法(EIS)および歪みモニタリング、他の条件の最適化(例えば膨潤による体積変化の最小化など)、および自動セルスイッチングのための統合ロボットによる完全閉ループテスト等が挙げられる。
【0022】
本発明は、バッテリープロトコルの多次元パラメータ空間を効率的に精査するためにOEDを採用する。ここで、効率は時間とリソース(テスト装置とセル)の観点から低コストと定義される。このプロセスは半自律的に実行される。つまり、アルゴリズムが設計された後は、人間の入力が必要なのはセルのロードやアンロードなどの手動タスクのみである。パラメータ空間は離散的でも連続的でもよい。
【0023】
ここで、多段階バッテリープロトコルを最適化する一般的方法が提供されるアルゴリズムについて述べる。このアルゴリズムは、限られたバジェット、具体的には(ただし、これに限定されない)バッテリー状況を考慮して、入力パラメータにわたって目的関数を最大化する。例えば、1つの目的として、最大寿命値(目的関数)となるように、複数の電流ステップ(入力パラメータ)を含む充電ポリシー(充電方針)を見いだすことが挙げられる。目的関数は、充電時間や寿命など、複数の目的の加重合成を含み得る。
【0024】
非特許文献1には、3つのユニークなデザイン態様を有する目的関数の固定バジェット最適化のためのベイジアンアルゴリズムが詳述されており、非特許文献の内容全体は、引用により全内容を本明細書の内容の一部とする。第1に、入力パラメータ間の相関関係により、それらを直接テストすることなく類似の入力の挙動を推論することが可能となり、それによって必要とされるテストの数を減らすことができる。換言すれば、テストされていないポリシーのパフォーマンスからテストされていない充電ポリシーのパフォーマンスが推測される。第2に、固定バジェットの設定により、必要とされるテストの総数が限定される(現実の世界で実際にテストを実施する際の限度である)。第3に、アルゴリズムは、パラメータ空間の探索と利用とをインテリジェントにバランスさせる。探索は、パラメータ空間の以前には精査されていない領域についてより多く学ぶことを意味し、一方、利用は、パラメータ空間の有望な領域についてより多くを学ぶことを意味する。
【0025】
本発明は、非特許文献1の内容を、バッテリー最適化について適用するとともに、さらに新規なアイデアを取り入れて、この実装を可能としている。具体的には、本発明は、最適化時間をさらに短縮するためのバッテリー寿命の早期予測を含む、2つの新規な特徴を非特許文献1のホフマンアルゴリズムに組み込んでいる。ここでは、寿命が3000サイクルの典型的なバッテリーに対して、最初の100サイクルを使用すると、追加のサンプリング誤差を犠牲にして(すなわち予測信頼度を低下させて)もテスト時間を30分の1に短縮する正確な早期予測アルゴリズムが提供される。第2に、実験はバッチで行われると考えられる。現実の実施上の問題(セルのロード/アンロードプロセス、データ管理、データ品質の問題など)に加えて、バッテリーテスト機器は複数のテストを並行して実行するように設計されていることが多いため、バッテリーサイクルは通常、多数のテスト「チャネル」間で並行して実行される。通常複数のバッチが必要なので、この設定は本質的に「並行-連続」モードで実行される。
図1は、この「閉ループ」プロセスの概略図を示す。まず、バッテリーのサブセットをテストする。このデータは早期予測アルゴリズムに入力され、このアルゴリズムがさらに寿命に対する予測を生成する。次に、これらの予測は最適実験計画法のアルゴリズムに入力される。これにより、次にテストするポリシーに関する推奨事項が作成される。このプロセスは、バジェットが使い果たされるか、結果が満足できるものになると完了する。
【0026】
ここで、
図2の流れ図に示すアルゴリズムの実施について述べる。一実施形態では、パラメータ空間の知識データを事前にもたないと仮定され、他の実施形態では、早期予測アルゴリズムが予備データとともに提供される。コンピュータ用の非一時的記憶媒体を使用して、アルゴリズムは最初にパラメータ空間を定義し、ここでパラメータ空間設計は充電ステップ数、充電時間、充電状態(SOC)範囲、ならびにステップあたりの最小および最大電流の限界値を含む。例示的な一実施形態では、10分で0%SOCから80%SOCへの急速充電を最適化するための4段階パラメータ空間が提供される。各ステップは20%SOCの範囲を制御する、すなわちC1は0%から20%SOCの範囲、C2は20%から40%SOCの範囲を制御する。この構成では、3つのパラメーター(C1、C2、およびC3)は独立しているが、C4はC1、C2、およびC3の組み合わせから特定されることになる。
【0027】
次のステップはパラメータ空間を離散化することである。一実施形態では、パラメータ空間は、6C未満のパラメータ値については0.4Cの間隔でサンプリングされ、1Cを超えるパラメータ値については1Cの間隔でサンプリングされる。この例のパラメータ空間には合計224の充電ポリシーがある。
【0028】
さらなるステップは、壊れるまでサイクリングされたセルの予備的な「バッチ」(データ)を収集することを含む。このバッチは、パラメータ空間全体からポリシーをサンプリングし、少なくとも1つのポリシーを複数回の反復を含む必要がある。このバッチは、いくつかの目的(早期予測モデルを開発するためのデータの生成、パラメータ空間上の平均、標準偏差、サイクル寿命の範囲の定量化、および名目上同一のサイクリング条件でサイクリングされた名目上同一のセルについての固有のセル間のばらつきの定量化を含む)のために役立つ。
【0029】
ここから、ハイパーパラメータが指定され、ハイパーパラメータは、リソースハイパーパラメータ、パラメータスペースハイパーパラメータ、およびアルゴリズムハイパーパラメータを含む3つのカテゴリに分類される。リソースハイパーパラメータは、(a)利用可能なテストチャネルの数、および(b)バッチの数(利用可能なテスト時間またはセルの数によって制限される)を含む。パラメータ空間ハイパーパラメータは、すべてのポリシーにおける寿命の(a)平均および(b)標準偏差、ならびに(c)複数回テストされた単一のポリシーの標準偏差を含む。これらは上記ステップの予備的なバッチから推定することができる。アルゴリズムハイパーパラメータには、(a)ガンマ、(b)初期ベータ、および(c)イプシロンが含まれる。ガンマは、パラメータ空間内の隣接するポリシー間の類似度を制御する。ベータは探索定数を表し、探索と利用のバランスを制御します。イプシロンは、1ラウンドあたりのベータの減衰定数を表し、実験が進むにつれて、イプシロンはより強力な利用に向かってシフトする(βt=β0εtで与えられ、ここでβtはラウンドtでの探索定数を表す)。これら3つのハイパーパラメータは、予備的なバッチで得られた寿命の範囲に基づいてシミュレータを作成し、シミュレータですべてのハイパーパラメータの組み合わせをテストし、最良の性能(すなわち、最も守備一貫して真の寿命が得るもの)を有するハイパーパラメータの組み合わせを選択することによって推定できる。
【0030】
本発明はさらに、置換することなく、充電ポリシーのランダムなサブセットを選択することを含む。このサブセットのサイズは、利用可能なテストチャネルの数によって決まる。これが閉ループテストの最初のラウンドである。
【0031】
次に、この選択されたサブセットは、早期予測に必要なサイクル数が達成されるまでこれらのポリシーをテストするために使用される。一実施形態では、早期予測アルゴリズムは、予測を返すまでに100サイクルを必要とする。
【0032】
次に実験データを早期予測アルゴリズムに入力して予測を得る。早期予測方法の詳細はここでは記さない。
【0033】
次に、予測がOEDアルゴリズムに入力され、次に実行されるテストの推奨事項が取得される。近隣のポリシーと探索対利用の決定との間のベイズ相関は、非特許文献1に詳述されている。
【0034】
次に、推奨テストが実行され、ここでは、早期予測に必要なサイクル数が達成されるまで上記のプロセスが繰り返され、繰り返しプロセスには、ポリシーをテストすること、データを早期予測アルゴリズムに入力すること、予測をOEDアルゴリズムに入力することが含まれる。
【0035】
最後のステップは、推奨ポリシーを検証することであり、この検証には、壊れるまでこれらのポリシーを使用して複数のセルをテストすることによって、OEDからの推奨が満足されることを確認することが含まれる。
【0036】
このOEDアルゴリズムには、多相OED、動的早期予測、および同じラウンド内のポリシーごとのマルチセルサンプリングなど、さまざまなバリエーションが考えられる。ここで、多相OEDは2ラウンドの閉ループテストを考慮するOEDと定義される。第1段階は、ポリシーを低ライフタイムグループまたは高ライフタイムグループに予備分類することである。定量的予測は必要とされないので、この予測アルゴリズムは最小のサイクル(すなわち5)だけ使用すればすみ、より多くの時間が節約される。第2段階は上記のように進行する。動的早期予測は、より多くのデータが収集されるにつれて、早期予測アルゴリズムの精度が向上する予測と定義される。早期予測の信頼度があるしきい値を超えた場合、「バッチ」設定は緩和され、予測の信頼度が高ければ、セルを早期に終了させることができ、さらに時間を節約できる。最後に、同じラウンド内のポリシーごとのマルチセルサンプリングが現在の設定で実装されており、この場合、ラウンドあたりのポリシーごとに最大1つのセルがテストされる。このアルゴリズムは、同じラウンド内で有望なポイントを繰り返しテストするように修正することができる。
【0037】
以上、本発明をいくつかの例示的な実施形態にしたがって説明してきたが、これらの実施形態は発明の範囲を限定するものでなく、あらゆる点で例示的なものとして意図されている。したがって、本発明は、実施形態の細部について種々の変更が可能であり、それらは当業者であれば本明細書に含まれる説明から想到することが可能であろう。例えば、一実施形態は連続的なOEDを使用し、別の実施形態は早期予測なしにOEDを使用する。そのような変形実施形態はすべて、特許請求の範囲の請求項の記載内容およびそれらの法的な均等物として定義される本発明の範囲および精神の範囲内にあると見なされる。