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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】端子台、三連端子台、及び車載機器
(51)【国際特許分類】
   H01R 9/22 20060101AFI20221220BHJP
   H01R 13/52 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
H01R9/22
H01R13/52 301A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018198984
(22)【出願日】2018-10-23
(65)【公開番号】P2020068077
(43)【公開日】2020-04-30
【審査請求日】2021-09-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100075959
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 保
(72)【発明者】
【氏名】井坂 直貴
(72)【発明者】
【氏名】田中 銀河
【審査官】藤島 孝太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-069261(JP,A)
【文献】特開2007-066592(JP,A)
【文献】特開2006-302769(JP,A)
【文献】特開2010-211933(JP,A)
【文献】特開2001-052803(JP,A)
【文献】実開昭53-098389(JP,U)
【文献】特開2012-160355(JP,A)
【文献】国際公開第2012/039254(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 9/00
9/15- 9/28
H01R 13/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端側にボルト挿通孔を有するL字形状のL字バスバーと、前記ボルト挿通孔に挿通される電気接続用のボルトと、該ボルトが前記ボルト挿通孔に挿通された状態で前記L字バスバーが組み付けられるハウジングとを備え、
該ハウジングは、前記L字バスバーの他端側が貫通する部分、且つ、前記他端側を係止するための部分として形成される貫通係止部を有し、
さらに、前記ハウジングは、前記貫通係止部に連続する部分、且つ、前記L字バスバーの中間における略直角の曲げ部との間に位置する部分、且つ、必要に応じて前記L字バスバーに組み付けられる環状部材を収容するための凹状の部分として形成される凹状収容部を有し、
該凹状収容部及び前記必要に応じて組み付けられる前記環状部材は、共にロック部が存在しない形状に形成され、且つ、前記環状部材は、前記凹状収容部及び前記曲げ部にて挟み込まれて保持され
前記凹状収容部の凹底には前記貫通係止部が開口し、
前記凹状収容部は、凹内周面の中間に前記凹底と反対側を向いた段差面を有する段差が形成された段付き形状を有し、前記段差より前記凹底側の部分には前記環状部材としてのOリングが収容され、前記段差より前記凹底と反対側の部分は前記環状部材としてのホルダーの収容部分とされ、前記ホルダーは前記段差と前記曲げ部とで挟み込まれて保持される
ことを特徴とする端子台。
【請求項2】
請求項1に記載の端子台において、
前記ハウジングは、一対のバスバー回転止め部を有し、該一対のバスバー回転止め部は、前記L字バスバーにおける前記ボルト挿通孔に近い平行で真っ直ぐな一対のバスバー側部に合わせて配置形成される
ことを特徴とする端子台。
【請求項3】
請求項2に記載の端子台が三つ連なる状態に形成される
ことを特徴とする三連端子台。
【請求項4】
機器本体と、該機器本体を収容する機器ボックスと、該機器ボックスの壁に取り付けられる請求項1又は2に記載の端子台、又は、請求項3に記載の三連端子台と、前記端子台又は前記三連端子台を介して前記機器本体に電気的に接続されるワイヤハーネスとを備えて車両に搭載される
ことを特徴とする車載機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、L字バスバーとボルトとハウジングとを備えて構成される端子台に関する。また、端子台が三つ連なる状態の三連端子台に関する。さらに、端子台又は三連端子台を備えて構成される車載機器に関する。
【背景技術】
【0002】
機器ボックスの壁に取り付けられて、この壁の内側と外側との電気的な接続に用いられる端子台としては、下記特許文献1に開示されたものが知られる。端子台は、バスバーと、このバスバーが水密に組み付けられるハウジングと、機器ボックスの壁に密着して防水をするための防水部品(Oリング)とを備えて構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-5601号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来例の端子台は、防水構造ありきのものになっている。すなわち、バスバーとハウジングとを水密にしたり、防水部品を含んだりする構造の端子台になっている。そのため、上記のような防水構造を必要としない使用形態の要望がある場合、従来例の端子台をそのまま使用すると不要な構成部品が含まれてコスト高になってしまうという問題点を有する。
【0005】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたもので、防水構造の有無の要望に応じて構成部材の切り替えが可能な端子台を提供することを課題とする。また、端子台が三つ連なる状態の三連端子台や、端子台又は三連端子台を備えて構成される車載機器を提供することも課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためになされた請求項1に記載の本発明の端子台は、一端側にボルト挿通孔を有するL字形状のL字バスバーと、前記ボルト挿通孔に挿通される電気接続用のボルトと、該ボルトが前記ボルト挿通孔に挿通された状態で前記L字バスバーが組み付けられるハウジングとを備え、該ハウジングは、前記L字バスバーの他端側が貫通する部分、且つ、前記他端側を係止するための部分として形成される貫通係止部を有し、さらに、前記ハウジングは、前記貫通係止部に連続する部分、且つ、前記L字バスバーの中間における略直角の曲げ部との間に位置する部分、且つ、必要に応じて前記L字バスバーに組み付けられる環状部材を収容するための凹状の部分として形成される凹状収容部を有し、該凹状収容部及び前記必要に応じて組み付けられる前記環状部材は、共にロック部が存在しない形状に形成され、且つ、前記環状部材は、前記凹状収容部及び前記曲げ部にて挟み込まれて保持され、前記凹状収容部の凹底には前記貫通係止部が開口し、前記凹状収容部は、凹内周面の中間に前記凹底と反対側を向いた段差面を有する段差が形成された段付き形状を有し、前記段差より前記凹底側の部分には前記環状部材としてのOリングが収容され、前記段差より前記凹底と反対側の部分は前記環状部材としてのホルダーの収容部分とされ、前記ホルダーは前記段差と前記曲げ部とで挟み込まれて保持されることを特徴とする。
【0007】
このような請求項1の特徴を有する本発明によれば、防水構造が必要であるとの要望に対し、例えば防水部品であるOリングと、このOリングを押さえ付けるためのホルダーとをそれぞれL字バスバーに装着し、そして、Oリングとホルダーとをハウジングの凹状収容部に収容するような状態でL字バスバーをハウジングに組み付けすれば、L字バスバーとハウジングとの間に防水構造を持たせることができる。逆に、防水構造が不要であるとの要望に対しては、OリングやホルダーをL字バスバーに装着せずにハウジングに組み付けすればよい。従って、防水構造の有無の要望に応じて構成部材の切り替えが可能な構造の端子台にすることができる。
【0008】
請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載の端子台において、前記ハウジングは、一対のバスバー回転止め部を有し、該一対のバスバー回転止め部は、前記L字バスバーにおける前記ボルト挿通孔に近い平行で真っ直ぐな一対のバスバー側部に合わせて配置形成されることを特徴とする。
【0009】
このような請求項2の特徴を有する本発明によれば、請求項1の効果に加え、部品点数の削減に寄与することができるという効果や、ハウジングに付加価値を持たせることができるという効果も奏するようになる。具体的には、L字バスバーのボルト挿通孔に挿通されたボルトを用いて電気的な接続を行う場合、L字バスバーにはナットの締め付けにより回転方向に力が掛かるようになるため、L字バスバーに対する回転止めが必要になるが、本発明では、回転止め専用の部材を新設しなくともその機能をハウジングに持たせることができる。
【0010】
尚、実施例の欄の説明及び図面で分かるようになるが、本発明では回転止め専用の部材を新設する必要がないことから、比較的幅の狭い端子台にすることができる。これにより、以下の請求項3の三連端子台も幅の狭いコンパクトなものにすることができる。
【0011】
また、上記課題を解決するためになされた請求項3に記載の本発明の三連端子台は、請求項2に記載の端子台が三つ連なる状態に形成されることを特徴とする。
【0012】
このような請求項3の特徴を有する本発明によれば、請求項2に記載の端子台の上記効果が得られることから、より良いものを提供することができる。
【0013】
また、上記課題を解決するためになされた請求項4に記載の本発明の車載機器は、機器本体と、該機器本体を収容する機器ボックスと、該機器ボックスの壁に取り付けられる請求項1又は2に記載の端子台、又は、請求項3に記載の三連端子台と、前記端子台又は前記三連端子台を介して前記機器本体に電気的に接続されるワイヤハーネスとを備えて車両に搭載されることを特徴とする。
【0014】
このような請求項4の特徴を有する本発明によれば、構成に端子台又は三連端子台を含むことから、より良い車載機器を提供することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の端子台によれば、防水構造の有無の要望に応じて構成部材の切り替えをすることができるという効果を奏する。従って、端子台がコスト高にならないという効果を奏する。また、本発明の三連端子台や車載機器によれば、上記端子台を含むことから、より良いものを提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の端子台を含む三連端子台の一実施形態を示す図であり、(a)は上方から見た三連端子台の斜視図、(b)は下方から見た三連端子台(防水構造有り)の斜視図、(c)は下方から見た三連端子台(防水構造無し)の斜視図である。
図2】三連端子台の図であり、(a)は図1(b)の三連端子台の分解斜視図、(b)は図1(c)に示す三連端子台の分解斜視図である。
図3】三連端子台における端子台の図であり、(a)は図1(b)に示す端子台の平面図、(b)は図1(c)の端子台の平面図である。
図4図3のA-A線断面図である。
図5図3のB-B線断面図である。
図6】ハウジングの平面図である。
図7図6のC-C線断面図である。
図8】L字バスバーの図であり、(a)は平面図、(b)はD-D線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
車両に搭載される車載機器は、機器ボックスと、端子台が三つ連なる状態に形成された三連端子台と、この三連端子台を介して機器本体に電気的に接続されるワイヤハーネスとを備えて構成される。三連端子台における端子台は、一端側にボルト挿通孔を有するL字形状のL字バスバーと、ボルト挿通孔に挿通される電気接続用のボルトと、このボルトがボルト挿通孔に挿通された状態でL字バスバーが組み付けられるハウジングとを備えて構成される。
【0018】
ハウジングは、L字バスバーの他端側が貫通する部分、且つ、他端側を係止するための部分として形成される貫通係止部と、この貫通係止部に連続する部分、且つ、L字バスバーの中間における略直角の曲げ部との間に位置する部分、且つ、必要に応じてL字バスバーに組み付けられる環状部材を収容するための凹状の部分として形成される凹状収容部とを有する。
【0019】
凹状収容部及び必要に応じて組み付けられる環状部材は、共にロック部が存在しない形状に形成され、且つ、環状部材は、凹状収容部及び曲げ部にて挟み込まれて保持される。
【0020】
ハウジングは、一対のバスバー回転止め部を有する。この一対のバスバー回転止め部は、L字バスバーにおけるボルト挿通孔に近い平行で真っ直ぐな一対のバスバー側部に合わせて配置形成される。
【実施例
【0021】
以下、図面を参照しながら実施例を説明する。図1は本発明の端子台を含む三連端子台の一実施形態を示す斜視図である。また、図2は三連端子台の分解斜視図、図3は三連端子台における端子台の平面図、図4図3のA-A線断面図、図5図3のB-B線断面図、図6はハウジングの平面図、図7図6のC-C線断面図、図8はL字バスバーの図である。
【0022】
<三連端子台1について>
図1において、三連端子台1は、自動車に搭載される車載機器の、金属製の機器ボックスの壁Wに取り付けられる。三連端子台1は、入力及び出力用として三つの端子台2~4が一体化したものである。三連端子台1は、防水構造の有無の要望に応じて構成部材の切り替えをすることができるようなものになっている。ここで三連端子台1に関し、防水構造有りのものを三連端子台1a、防水構造無しのものを三連端子台1b、これらを総称する場合を三連端子台1と定義すると、図1(b)及び図2(a)に示す防水構造有りの三連端子台1aは、三連ハウジング5と、三つのボルト6と、L字バスバー7~9と、壁用Oリング10と、バスバー用Oリング11~13と、ホルダー14~16とを備えて構成される。一方、図1(c)及び図2(b)に示す防水構造無しの三連端子台1bは、三連ハウジング5と、三つのボルト6と、L字バスバー7~9とを備えて構成される。
【0023】
三連端子台1では、三連ハウジング5と、三つのボルト6と、L字バスバー7~9とが共通の構成部材になっている。防水構造有りの三連端子台1aでは、壁用Oリング10と、バスバー用Oリング11~13と、ホルダー14~16とが更に必要になり、防水構造無しの三連端子台1bでは、不要になることから含まれない。防水構造無しの三連端子台1bでは、壁用Oリング10と、バスバー用Oリング11~13と、ホルダー14~16とが含まれないことから、低コストでの提供ができることになる。
【0024】
尚、図1(b)及び(c)に関し、これらを一見しただけでは分かり難いが、壁用Oリング10が有るか無いかの違いである。
【0025】
本実施例においては、三つの端子台2~4を一体化したものに基づき説明をするが、これに限らず、例えば端子台2を単独で用いるようなものを採用してもよいものとする。
【0026】
<三連ハウジング5について>
図1及び図2において、三連ハウジング5は、樹脂成形品であって、三つの端子台2~4における各ハウジング17が一体化したものに形成される。このような三連ハウジング5には、壁Wに取り付けるための固定脚部18が複数形成される。固定脚部18における引用符号19は金属製のカラーを示す。複数の固定脚部18と同一平面になる三連ハウジング5の底20には、壁用Oリング10の組み付け先になるOリング収容溝21が形成される。Oリング収容溝21は、壁用Oリング10の断面形状に合わせた形状に、且つ、三つの後述する壁挿通部23を囲むような形状に形成される。
【0027】
尚、本実施例の各ハウジング17は、サイズが異なる形状に形成される。そのため異なる引用符号を付すべきであるが、サイズを考慮しなければ基本形状自体は三つとも同じであるので、ここでは同じ符号を付して説明を簡略化するものとする。
【0028】
<三つの端子台2~4について>
図1及び図2において、三つの端子台2~4は、サイズを考慮しなければ基本形状自体、三つとも同じになっている。そのため三つの代表として端子台2を挙げて以下に説明をするものとする。端子台2に関し、防水構造有りのものを端子台2a、防水構造無しのものを端子台2b、これらを総称する場合を端子台2と定義するものとする。
【0029】
<防水構造有りの端子台2aについて>
図2(a)、図3(a)、及び図4において、端子台2aは、ハウジング17と、ボルト6と、L字バスバー7と、壁用Oリング10と、バスバー用Oリング11と、ホルダー14とを備えて構成される。端子台2aは、機器ボックスの壁W(図1参照)の内側に水分が浸入しないようにするため、防水部品としての壁用Oリング10と、バスバー用Oリング11と、ホルダー14とを備えて構成される。バスバー用Oリング11とホルダー14は、特許請求の範囲に記載された「環状部材」に相当するものとする。
【0030】
<ハウジング17について>
図3(a)、図4図6、及び図7において、ハウジング17は、これを外側から見ると、ハウジング本体22と、ハウジング本体22に連続する壁挿通部23とを有する図示形状に形成される。ハウジング17は、これ自身が壁W(図1参照)に取り付けられると、ハウジング本体22が壁Wの外側に配置される。また、ハウジング17は、これ自身が壁Wに取り付けられると、壁挿通部23が壁Wを貫通して、壁挿通部23の先端側が壁Wの内側に配置される。尚、壁Wに対するハウジング17の固定は、図示しないボルトが用いられる。ボルトは、固定脚部18に挿通された状態で壁Wにねじ込まれる。
【0031】
図6及び図7において、ハウジング本体22は、三つの連続した壁からなり且つ平面視コ字状の隔壁24を有する。隔壁24は、三方を囲うような形状に形成される。隔壁24の内側には、ボルト保持部25と、凹状収容部26と、一対のバスバー回転止め部27とが形成される。これらの部分は、ハウジング本体22に形成される。一方、壁挿通部23には、ハウジング本体22の凹状収容部26に連続する貫通係止部28が形成される。
【0032】
<ボルト保持部25及びボルト6について>
図4図6、及び図7において、ボルト保持部25は、ボルト6の頭部29を保持する凹状の部分に形成される。尚、ボルト6は、頭部29に連続する軸部30を有する。ボルト保持部25は、頭部29が回転しないように、頭部29の全周を囲うような形状に形成される。ボルト保持部25の開口面は、頭部29を保持した状態で、頭部29における軸部30が連続する面と同一面に配置される。ボルト保持部25の開口面及び軸部30が連続する面は、L字バスバー7の一端側の後述する第一接続部33を受ける座面となるように形成される。ボルト6は、ボルト保持部25に頭部29が保持されると、軸部30がL字バスバー7(図4参照)の組み付け方向(挿通方向)に沿ってのびるような状態になる。
【0033】
<凹状収容部26について>
図4図6、及び図7において、凹状収容部26は、三つの連続した壁からなる隔壁24のうち、真ん中の壁と、ボルト保持部25との間に配置形成される。凹状収容部26は、凹状の部分として形成される。また、凹状収容部26は、壁挿通部23の貫通係止部28と、L字バスバー7の後述する曲げ部35との間に位置する部分として形成される。凹状収容部26は、この凹底に貫通係止部28が開口するように形成される。凹状収容部26は、バスバー用Oリング11の平面視の形状に合わせて凹むような形状に形成される。また、凹状収容部26は、ホルダー14の形状に合わせて凹むような形状にも形成される。凹状収容部26は、この凹内周面の中間に僅かな段差31が生じるような段付き形状に形成される。段差31よりも貫通係止部28側の部分は、バスバー用Oリング11が押し込まれて水密になる大きさの凹みに形成される。段差31よりも上側の部分は、ホルダー14の収容部分であって、ロック部の存在しない形状に形成される。尚、ロック部の存在しない形状を採用するのは、構造を簡素化して小型な部分にするためである。また、ホルダー14を用いない場合に(防水構造が不要な場合に)、ロック部自体が不要になるからである。図4からも分かるように、ロック部の存在しない形状であっても、段差31とL字バスバー7の曲げ部35とで挟み込んでホルダー14を保持することができる構造が採用されている。
【0034】
<一対のバスバー回転止め部27について>
図3(a)及び図6において、一対のバスバー回転止め部27は、三つの連続した壁からなる隔壁24のうち、端子台並び方向にある一対の壁の内側に配置形成される。また、一対のバスバー回転止め部27は、上記一対の壁とボルト保持部25との間に配置形成される。別な言い方をすれば、一対のバスバー回転止め部27は、L字バスバー7における後述するボルト挿通孔37に近い平行で真っ直ぐな一対のバスバー側部38に合わせて配置形成される。一対のバスバー回転止め部27は、ボルト6を用いて電気的な接続を行う際に、図示しないナットの締め付けにてL字バスバー7が回ってしまわないようにするための部分として形成される。一対のバスバー回転止め部27は、一対の壁の内面を内側に突出させるような部分に形成される。
【0035】
尚、一対のバスバー回転止め部27と同じ機能の部分をホルダー14に連成することも可能であるが、この場合、回転止め付きホルダーが三連端子台1の必須の構成部材になってしまうことから、本発明では採用しないものとする(防水構造無しのものでも回転止め付きホルダーの削減ができなくなってしまうというデメリットがある)。回転止め付きホルダーを採用しないことにより、図6に示す寸法Wを狭くすることが可能になり、その結果、三連端子台1は幅方向に小型化されたものになる。
【0036】
<貫通係止部28について>
図4図6、及び図7において、貫通係止部28は、壁挿通部23におけるL字バスバー7の後述する他端側が貫通する部分、且つ、他端側を係止するための部分として形成される。貫通係止部28の上記貫通する部分は、L字バスバー7の他端側の断面形状に合わせた貫通孔(符号省略)となるように形成される。貫通係止部28の上記係止するための部分は、ハウジング側ロック部32があるように形成される。ハウジング側ロック部32は、可撓性を有するアーム形状の部分であって、先端近傍に係止突起が形成される。ハウジング側ロック部32は、L字バスバー7の後述するバスバー側ロック部39を引っ掛けて係止することができるように形成される。
【0037】
<L字バスバー7について>
図2図3図4、及び図8において、L字バスバー7は、導電性を有する比較的厚肉な金属板をプレス加工することにより形成される。L字バスバー7は、壁W(図1参照)の内側と外側との電気的な接続に必要な部材として備えられる。L字バスバー7は、外側との電気的な接続のための第一接続部33と、内側の電気的な接続のための第二接続部34と、これらの間に位置し且つ一端に略直角の曲げ部35が形成されたバスバー中間36(中間)とを有して、図示のL字形状に形成される。尚、上記略直角とは、曲げによる曲面が生じているため「略」を付けるものとする。例えば、第一接続部33及び第二接続部34の位置関係で見れば、直角になるものとする。L字バスバー7は、一端側に第一接続部33が配置形成され、他端側には第二接続部34が配置形成される。また、曲げ部35は、第一接続部33との連続部分に配置形成される。
【0038】
第一接続部33には、円形のボルト挿通孔37が貫通形成される。このボルト挿通孔37に近い平行で真っ直ぐな部分は、一対のバスバー側部38として形成される。第一接続部33は、L字バスバー7のハウジング17に対する組み付けにより、ボルト保持部25及びボルト6の上記座面に載置されるようになる。一方、第二接続部34は、上記組み付けにより壁挿通部23から突出するような状態になる。また、バスバー中間36は、壁挿通部23の貫通係止部28に挿通・係止された状態になる。バスバー中間36には、ハウジング側ロック部32に引っ掛かり係止されるバスバー側ロック部39が形成される。バスバー側ロック部39は、矩形に貫通する部分に形成される。尚、バスバー中間36における引用符号40は、バスバー用Oリング11の取り付け先となるOリング装着部を示す。また、このOリング装着部40と曲げ部35の間の引用符号41は、ホルダー14の取り付け先となるホルダー装着部を示す。
【0039】
<バスバー用Oリング11及びホルダー14について>
図2及び図4において、バスバー用Oリング11及びホルダー14は、上記の如く、特許請求の範囲に記載された「環状部材」に相当するものであって、L字バスバー7のOリング装着部40及びホルダー装着部41に対し装着可能な環状となる形状に形成される。バスバー用Oリング11は、公知のOリングが採用される。バスバー用Oリング11は、L字バスバー7とハウジング17との間の防水を図るための部品として備えられる。バスバー用Oリング11は、L字バスバー7のハウジング17に対する組み付けにより、凹状収容部26に水密に収容される。ホルダー14は、バスバー用Oリング11が凹状収容部26に水密に収容され続けられるよう、上から押さえ付けるための部材であって、ロック部の存在しない簡素な形状に形成される。
【0040】
<防水構造無しの端子台2bについて>
図2(b)、図3(b)、及び図5において、端子台2bは、ハウジング17と、ボルト6と、L字バスバー7とを備えて構成される。端子台2bは、上述の端子台2aと異なり、防水部品が不要なものに構成される。すなわち、端子台2bは、防水構造を必要としない使用形態の要望に、最低の部品点数で応えられるようなものになっている。
【0041】
<三連端子台1及び端子台2の効果について>
以上、図1ないし図8を参照しながら説明してきたように、本発明の一実施形態である端子台2を有する三連端子台1によれば、防水構造が必要であるとの要望に対し、例えば防水部品であるバスバー用Oリング11と、このバスバー用Oリング11を押さえ付けるためのホルダー14とをそれぞれL字バスバー7に装着し、そして、バスバー用Oリング11とホルダー14とをハウジング17の凹状収容部26に収容するような状態でL字バスバー7をハウジング17に組み付けすれば、L字バスバー7とハウジング17との間に防水構造を持たせることができる。逆に、防水構造が不要であるとの要望に対しては、バスバー用Oリング11やホルダー14をL字バスバー7に装着せずにハウジング17に組み付けすればよい。従って、防水構造の有無の要望に応じて構成部材の切り替えが可能な構造の三連端子台1及び端子台2にすることができる。
【0042】
この他、図示しない車載機器によれば、構成に端子台2を有する三連端子台1を含むことから、より良い車載機器を提供することができる。
【0043】
本発明は本発明の主旨を変えない範囲で種々変更実施可能なことは勿論である。
【符号の説明】
【0044】
W…壁、 1…三連端子台、 1a…防水構造有りの三連端子台、 1b…防水構造無しの三連端子台、 2~4…端子台、 2a…防水構造有りの端子台、 2b…防水構造無しの端子台、 5…三連ハウジング、 6…ボルト、 7~9…L字バスバー、 10…壁用Oリング、 11~13…バスバー用Oリング(環状部材)、 14~16…ホルダー(環状部材)、 17…ハウジング、 18…固定脚部、 19…カラー、 20…底、 21…Oリング収容溝、 22…ハウジング本体、 23…壁挿通部、 24…隔壁、 25…ボルト保持部、 26…凹状収容部、 27…バスバー回転止め部、 28…貫通係止部、 29…頭部、 30…軸部、 31…段差、 32…ハウジング側ロック部、 33…第一接続部、 34…第二接続部、 35…曲げ部、 36…バスバー中間(中間)、 37…ボルト挿通孔、 38…バスバー側部、 39…バスバー側ロック部、 40…Oリング装着部、 41…ホルダー装着部


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8