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特許7197330アミン開始ポリオール含有硬化剤からの高除去速度ケミカルメカニカルポリッシングパッド
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】アミン開始ポリオール含有硬化剤からの高除去速度ケミカルメカニカルポリッシングパッド
(51)【国際特許分類】
   B24B 37/24 20120101AFI20221220BHJP
   C08G 18/50 20060101ALI20221220BHJP
   C08G 18/32 20060101ALI20221220BHJP
   C08G 18/10 20060101ALI20221220BHJP
   C08G 18/38 20060101ALI20221220BHJP
   C08G 18/76 20060101ALI20221220BHJP
   C08G 18/79 20060101ALI20221220BHJP
   C08G 18/75 20060101ALI20221220BHJP
   C08G 18/48 20060101ALI20221220BHJP
   C08G 18/00 20060101ALI20221220BHJP
   C08G 18/65 20060101ALI20221220BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20221220BHJP
   C08J 5/14 20060101ALI20221220BHJP
   C08J 9/32 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
B24B37/24 C
C08G18/50 021
C08G18/32 037
C08G18/10
C08G18/32 071
C08G18/38 014
C08G18/32 012
C08G18/76
C08G18/79 010
C08G18/75
C08G18/48
C08G18/48 033
C08G18/48 004
C08G18/00 J
C08G18/65 023
C08G18/38 057
B24B37/24 A
H01L21/304 622F
C08J5/14 CFF
C08J9/32
【請求項の数】 3
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018208992
(22)【出願日】2018-11-06
(65)【公開番号】P2019098512
(43)【公開日】2019-06-24
【審査請求日】2021-10-22
(31)【優先権主張番号】15/828,601
(32)【優先日】2017-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504089426
【氏名又は名称】ローム アンド ハース エレクトロニック マテリアルズ シーエムピー ホウルディングス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】バイニャン・チャン
(72)【発明者】
【氏名】カンチャーラ-アルン・ケイ・レディ
(72)【発明者】
【氏名】ジョージ・シー・ジェイコブ
(72)【発明者】
【氏名】マーティー・ダブリュ・ディグルート
【審査官】大光 太朗
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-052079(JP,A)
【文献】特開2017-052077(JP,A)
【文献】特開2015-211224(JP,A)
【文献】特表2005-517060(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 37/24
C08G 18/50
C08G 18/32
C08G 18/10
C08G 18/38
C08G 18/76
C08G 18/79
C08G 18/75
C08G 18/48
C08G 18/00
C08G 18/65
H01L 21/304
C08J 5/14
C08J 9/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性基板、光学基板及び半導体基板の少なくとも1つから選択される基板を研磨するための、ケミカルメカニカル(CMP)研磨パッドであって、(i)15~30重量%のアミン開始ポリオール(平均少なくとも個以上5個未満のヒドロキシル基及び150~400の数平均分子量を有する)及び70~85重量%の芳香族ジアミンの硬化剤と、(ii)ポリイソシアナートプレポリマー(600~5,000の数平均分子量を有し、そして6.5~11重量%の範囲の未反応イソシアナート含量を有する)とを含む反応混合物のポリウレタン反応生成物である、基板を研磨するのに適合させた研磨層を含む、CMP研磨パッド。
【請求項2】
反応混合物中の(i)硬化剤として15重量%以上20重量%未満のアミン開始ポリオール(平均4個のヒドロキシル基及び150~400の数平均分子量を有する)及び80超~85重量%の芳香族ジアミンを含む、請求項1に記載のCMP研磨パッド。
【請求項3】
反応混合物中に(ii)ポリイソシアナートプレポリマー(600~5,000の数平均分子量を有し、そして8~9.5重量%の範囲の未反応イソシアナート含量を有する)を含み、
研磨層が、50~80℃にtanデルタピーク温度を有しており、tanデルタピーク温度で0.2~0.8のtanデルタ値を有しており、そして5~45の30℃で測定されたねじり貯蔵弾性率(G’)対90℃で測定されたねじり貯蔵弾性率(G’)の比を有する、請求項1に記載のCMP研磨パッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケミカルメカニカルポリッシングパッド並びにその製造方法及び使用方法に関する。更に詳しくは、本発明は、15~30重量%のアミン開始ポリオール(平均3~5個未満、又は好ましくは4個のヒドロキシル基及び150~400の数平均分子量を有する)及び70~85重量%の芳香族ジアミンの硬化剤と、ポリイソシアナートプレポリマー(600~5,000の分子量及び6.5~11%の範囲の量の未反応イソシアナート含量を有する)とを含む反応混合物のポリウレタン反応生成物の研磨層又は上部研磨表面を含むケミカルメカニカルポリッシングパッド(CMP研磨パッド)に関する。
【背景技術】
【0002】
任意の半導体の製造において、数回のケミカルメカニカルポリッシング(CMP)プロセスが必要とされ得る。各CMPプロセスにおいて、砥粒含有研磨スラリー又は砥粒不含反応性液体のような、研磨溶液と組合せた研磨パッドは、半導体基板を平坦化するか、又は平面性を維持するように、過剰な材料を除去する。半導体における複数の層の積み重ねは、集積回路を形成するように結び付く。このような半導体デバイスの製造は、動作速度が速く、漏れ電流が少なく、そして消費電力が低いデバイスの要求により、ますます複雑になっている。デバイスアーキテクチャの観点から、これはフィーチャ形状の微細化及びメタライゼーションレベル又は層の数の増加に翻訳できる。このようなますます厳しさを増すデバイス設計要件は、パターン密度及びデバイスの複雑さの対応する増大と共により小さな配線間隔の採用を推進しており;更に、個々のチップサイズは縮小している。更には、節約するために、半導体製造業者は、より多くのより小さいチップを含有するより大きなウェーハに向っている。これらの傾向は、研磨パッド及び研磨溶液のようなCMP消耗品の需要増、並びにCMP研磨の結果としてのチップ収量向上の必要性をもたらしている。
【0003】
層の均一性の向上と相まって除去速度が向上した研磨パッドが継続的に必要とされている。特に、基板工程(front end of the line)(FEOL)、層間絶縁膜(ILD)研磨及び金属研磨を含む、複数の研磨用途に適した研磨パッドに対する要望がある。
【0004】
Sakuraiらの米国特許第7,217,179 B2号は、イソシアナート末端ウレタンプレポリマーAと鎖延長剤Bとの混合物の反応から作られたポリウレタン又はポリウレタン尿素からなる研磨層を有するCMP研磨パッドを含むポリウレタン研磨パッドを開示している。鎖延長剤Bは、2個以上の活性水素基を有しており、その50~100重量%は300以下の数平均分子量を有し、そして50~0重量%は300より大きい数平均分子量を有しており;更に、鎖延長剤Bは、20~100重量%の3個以上の活性水素含有基を有する鎖延長剤と、80~0重量%の分子中に2個の活性水素含有基を有する鎖延長剤とからなる。研磨層は加熱により減衰し、研磨層の30℃での貯蔵弾性率対60℃での貯蔵弾性率の比は2~15であり、そして前記研磨層の30℃での貯蔵弾性率対90℃での貯蔵弾性率の比は4~20である。SakuraiのCMP研磨パッドは、硬質及び軟質のポリマーマトリックス相分離が不完全であり、パッド硬度の望ましくない低下を抱える。更に、SakuraiのCMP研磨パッドは、CMP研磨によるスクラッチの数が受け容れがたいほど多くなるのを回避するために、水溶性粒子を含む。
【0005】
本発明者らは、多数の様々な基板にわたって良好な基板均一性及び除去速度結果を提供する、有効なケミカルメカニカルポリッシングパッドを提供するという課題を解決しようとした。
【0006】
発明の記述
1.本発明による、(i)15~30重量%、又は好ましくは15~23重量%、又は更に好ましくは15~20重量%未満のアミン開始ポリオール(平均3~5個未満、又は好ましくは4個のヒドロキシル基及び150~400、又は好ましくは210~350の数平均分子量を有する)及び70~85重量%、又は好ましくは77~85重量%、又は更に好ましくは80超~85重量%の芳香族ジアミンの硬化剤と、(ii)ポリイソシアナートプレポリマー(600~5,000、又は好ましくは800~3,000の数平均分子量を有し、そして6.5~11%、又は好ましくは8~9.5重量%の範囲の量の未反応イソシアナート含量を有する)とを含む反応混合物のポリウレタン反応生成物の研磨層又は上部研磨表面を含むケミカルメカニカルポリッシングパッド(CMP研磨パッド)。
2.研磨層が、50~80℃にtanデルタ(tan-delta)ピークを有しており、更に、5~45の30℃で測定されたねじり貯蔵弾性率(G’)対90℃で測定されたねじり貯蔵弾性率(G’)の比を有しており、そして好ましくは更に、0.2~0.8、又は好ましくは0.3~0.7のtanデルタピーク温度でのtanデルタ値を有する、上記第1項に記載の本発明のCMP研磨パッド。
3.反応混合物のゲル化時間が、2~15分、又は好ましくは2~8分の範囲であり、そして反応混合物の(i)硬化剤において、芳香族ジアミンが、4,4’-メチレンビス(3-クロロ-2,6-ジエチルアニリン)(MCDEA);4,4’-メチレン-ビス-o-クロロアニリン(MbOCA);ジエチルトルエンジアミン類(3,5-ジエチルトルエン-2,4-ジアミン、3,5-ジエチレントル-2,6-ジアミン又はこれらの混合物など);tert-ブチルトルエンジアミン類(5-tert-ブチル-2,4-又は3-tert-ブチル-2,6-トルエンジアミンなど);クロロトルエンジアミン類;ジメチルチオトルエンジアミン類(DMTDA);1,2-ビス(2-アミノフェニルチオ)エタン;トリメチレングリコールジ-p-アミノベンゾアート;tert-アミルトルエンジアミン類(5-tert-アミル-2,4-及び3-tert-アミル-2,6-トルエンジアミンなど);テトラメチレンオキシドジ-p-アミノベンゾアート;(ポリ)プロピレンオキシドジ-p-アミノベンゾアート類;クロロジアミノベンゾアート類;メチレンジアニリン類(4,4’-メチレン-ビス-アニリンなど);イソホロンジアミン;1,2-ジアミノシクロヘキサン;ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン;4,4’-ジアミノジフェニルスルホン;m-フェニレンジアミン;キシレンジアミン類;1,3-ビス(アミノメチルシクロヘキサン);及びこれらの混合物、好ましくは4,4’-メチレン-ビス-o-クロロアニリンから選択される、上記第1又は2項のいずれかに記載の本発明のCMP研磨パッド。
4.反応混合物の(i)硬化剤において、アミン開始ポリオールが、エチレンジアミン又はアミノエチルエタノールアミン(AEEA)開始ポリオール(これらのいずれかとアルキレンオキシドとの反応生成物など)である、上記第1、2又は3項のいずれかに記載の本発明のCMP研磨パッド。
5.反応混合物の(ii)ポリイソシアナートプレポリマーが、芳香族ジイソシアナート[トルエンジイソシアナート(TDI);メチレンジフェニルジイソシアナート(MDI);ナフタレンジイソシアナート(NDI);パラフェニルジイソシアナート(PPDI);又はo-トルイジンジイソシアナート(TODI)から選択される芳香族ジイソシアナートなど]、変性ジフェニルメタンジイソシアナート(カルボジイミド変性ジフェニルメタンジイソシアナート;アロファナート変性ジフェニルメタンジイソシアナート;ビウレット変性ジフェニルメタンジイソシアナートなど);ジイソシアナート由来の芳香族イソシアヌラート(MDIのイソシアヌラートなど);芳香族ジイソシアナート及び任意の脂環式ジイソシアナート類の総重量に基づいて50重量%以下、又は好ましくは25重量%以下の脂環式ジイソシアナート(4,4’-メチレンビス(シクロヘキサンイソシアナート)(H12-MDI)など)と混合された芳香族ジイソシアナート類;あるいは芳香族ジイソシアナート類の混合物(TDIとこれらの芳香族ジイソシアナート類の総重量に基づいて20重量%以下のMDIとの混合物など)から;並びにポリプロピレングリコール(PPG)、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG)、ポリエチレングリコール、又はこれらの混合物から選択されるポリオールから形成される、上記第1、2、3又は4項のいずれかに記載の本発明のCMP研磨パッド。
6.本発明の反応混合物が、反応混合物の総重量に基づいて、「実質的に無水」である、上記第1、2、3、4又は5項のいずれかに記載の本発明のCMP研磨パッド。
7.CMP研磨パッドにおける研磨層が、0.4~1.2g/cm、又は好ましくは0.6~1.0g/cmの密度を有する、上記第1、2、3、4、5又は6項のいずれかに記載の本発明のCMP研磨パッド。
8.反応混合物において、(i)硬化剤中のアミン(NH)基とヒドロキシル(OH)基の総モル数の合計対(ii)ポリイソシアナートプレポリマー中の未反応イソシアナート(NCO)基の総モル数の化学量論比が、0.75:1~1.25:1、又は好ましくは0.85:1~1.15:1の範囲である、上記第1、2、3、4、5、6又は7項のいずれかに記載の本発明のCMP研磨パッド。
9.CMP研磨パッドの研磨層が、30~80、又は好ましくは40~70のASTM D2240-15 (2015)によるショアD硬度を有する、上記第1、2、3、4、5、6、7又は8項のいずれかに記載の本発明のCMP研磨パッド。
10.研磨パッド又は研磨層が、微量要素を含有せず、そして反応混合物が、界面活性剤(シロキシ基含有非イオン性ポリエーテルポリオール、そのアルコキシエーテル、ポリシロキサン-ポリエーテルポリオールブロックコポリマー、又はそのアルコキシエーテルなど)を更に含む、上記第1、2、3、4、5、6、7、8又は9項のいずれかに記載の本発明のCMP研磨パッド。
11.研磨パッドの研磨層が、封入気泡、中空コアポリマー材料(ポリマーミクロスフェアなど)、液体充填中空コアポリマー材料(流体充填ポリマーミクロスフェアなど)、及び充填剤(窒化ホウ素など)から選択される微量要素、好ましくは膨張流体充填ポリマーミクロスフェアを更に含む、上記第1、6、7、8、9又は10項のいずれかに記載の本発明のCMP研磨パッド。
12.別の態様において、本発明は、基板を研磨するのに適合させた研磨層を有するケミカルメカニカル(CMP)研磨パッドを製造する方法であって、CMP研磨層の外径で雌の成形型を提供すること;上記第1又は5項のいずれかに記載の反応混合物中の記載の(ii)ポリイソシアナートプレポリマーの1種以上のイソシアナート成分を、周囲温度~65℃、又は好ましくは45~65℃の温度で提供して、イソシアナート成分の総重量に基づいて0.0~5.0重量%、又は好ましくは0.4~4重量%の1種以上の微量要素を含有する混合物を形成すること(ここで、含まれるならば微量要素及びポリイソシアナートプレポリマーは、一緒に混合される);別の成分として、(ii)15~30重量%、又は好ましくは15~23重量%、又は更に好ましくは15~20重量%未満のアミン開始ポリオール(平均3~5個未満、又は好ましくは4個のヒドロキシル基及び150~400の数平均分子量を有する)及び70~85重量%、又は好ましくは77~85重量%、又は更に好ましくは80超~85重量%の芳香族ジアミンの硬化剤を提供すること;好ましくは成形型を60~100℃、又は好ましくは65~95℃に予熱すること;反応混合物を成形型に充填し、反応混合物を80~120℃の温度で4~24時間、又は好ましくは6~16時間加熱硬化させて、注型ポリウレタンを形成すること;並びに注型ポリウレタンから研磨層を形成することを含む、方法を提供する。
13.反応混合物が、有機溶媒を含まず、かつ実質的に無水であるか、又は好ましくは無水である、上記第12項に記載の本発明のケミカルメカニカルポリッシングパッドを製造する方法。
14.研磨層の形成が、注型ポリウレタンをスカイビングするか又は薄切りして、所望の厚さを有する複数の研磨層を形成することを含む、上記第12又は13項のいずれかに記載の本発明のケミカルメカニカルポリッシングパッドを製造する方法。
15.研磨層の形成が、注型ポリウレタン又は研磨層の上部表面を機械加工するか、研削するか又は荒仕上げをして、そこに溝を形成することを含む、上記第12、13又は14項のいずれかに記載の本発明のケミカルメカニカルポリッシングパッドを製造する方法。
16.研磨層の形成が、85~165℃、又は95~125℃の温度で2~30時間、又は好ましくは4~20時間のような時間、研磨層を後硬化することを更に含む、上記第12、13、14又は15項のいずれかに記載の本発明のケミカルメカニカルポリッシングパッドを製造する方法。
17.研磨層の形成が、ポリマー含浸不織シート又はポリマーシートのようなサブパッド層を、研磨層が研磨パッドの上部を形成するように、研磨層の底部側上に積み重ねることを更に含む、上記第12~16項のいずれかに記載の本発明のCMP研磨パッドを製造する方法。
本発明のCMP研磨パッドを製造する方法により、芳香族ジアミン及びアミン開始ポリオールを含む(i)硬化剤、並びに芳香族ジイソシアナート及びポリオールを含む(ii)ポリイソシアナートプレポリマーは、それぞれ、本発明の第1の態様の(i)硬化剤、及び本発明の第1の態様の(ii)ポリイソシアナートプレポリマーのいずれかから、又はこれらのいずれかを製造するために使用される材料のいずれかから選択することができる。
18.更に別の態様において、本発明は、基板を研磨する方法であって、磁性基板、光学基板及び半導体基板の少なくとも1つから選択される基板を提供すること;上記第1~11項のいずれかに記載のケミカルメカニカル(CMP)研磨パッドを提供すること;基板の表面を研磨するためにCMP研磨パッドの研磨層の研磨表面と基板との間に動的接触を作り出すこと;及び砥粒コンディショナーで研磨パッドの研磨表面のコンディショニングをすることを含む方法を提供する。
【0007】
特に断りない限り、温度及び圧力の条件は、周囲温度及び標準気圧である。記載される全ての範囲は、両端値を含み、そして組合せ可能である。
【0008】
特に断りない限り、括弧を含む任意の用語は、括弧が存在しないかのように用語全体、及び括弧がない用語、並びに各選択肢の組合せを選択的に指す。よって「(ポリ)イソシアナート」という用語は、イソシアナート、ポリイソシアナート、又はこれらの混合物のことをいう。
【0009】
本明細書に使用されるとき、特に断りない限り、配合物は固形分重量%として表される。
【0010】
全ての範囲は、両端値を含み、そして組合せ可能である。例えば、「50~3000cP、又は100cP以上の範囲」という用語は、50~100cP、50~3000cP及び100~3000cPのそれぞれを含む。
【0011】
本明細書に使用されるとき、「アミン開始ポリオール」という用語は、エチレンジアミン又はアミノエチルエタノールアミン(AEEA)のようなアミンから、エチレンオキシド又はプロピレンオキシドのようなアルキレンオキシドとのこれらの反応などにより開始された、第3級アミン基を有するポリオールのことをいう。
【0012】
本明細書に使用されるとき、「ASTM」という用語は、ASTM International, West Conshohocken, PAの刊行物のことをいう。
【0013】
本明細書に使用されるとき、E’又は「引張貯蔵弾性率」、E”又は「引張損失弾性率」、及びE”/E’(これは「tanデルタ」又は「Tan D」に相当する)という用語は、研磨層又はパッド標本が、6mm幅及び36mm長で切断され、動的粘弾性測定(DMA)に付された試験の結果のことをいう。ASTM D5026-15 (2015), “Standard Plastics: Dynamic Mechanical Properties: In Tension.”として公表された方法により、Rheometric Scientific(商標)TMRSA3 歪み制御レオメータ(TA Instruments, New Castle, DE)を使用した。ギャップ間隔は30mmであり、各試料は矩形であり、そして約6.0mm幅を有していた。機器分析パラメータは、予圧50g、振動数1Hz、振幅30μm及び0℃から120℃までの5℃/分の温度傾斜設定に設定した。
【0014】
本明細書に使用されるとき、G’又は「ねじり貯蔵弾性率」、G”又は「ねじり損失弾性率」、及びG”/G’(これは「tanデルタ」又は「Tan D」に相当する)という用語は、研磨層又はパッド標本が、6mm幅及び36mm長で切断され、動的粘弾性測定(DMA)に付された試験の結果のことをいう。ASTM D5279-13 (2013), “Standard Test Method for Plastics: Dynamic Mechanical Properties: In Torsion.”として公表された方法により、ARES(商標)G2ねじりレオメータ又はRheometric Scientific(商標)RDA3(TA Instruments)を使用した。ギャップ間隔は20mmであった。機器分析パラメータは、予圧100g、歪み0.2%、振動速度10rad/秒に設定し、温度傾斜速度を-100℃から150℃まで3℃/分に設定した。
【0015】
本明細書に使用されるとき、「ゲル化時間」という用語は、所与の反応混合物を、例えば、1000rpmに設定されたVM-2500ボルテックスラボミキサー(StateMix Ltd., Winnipeg, Canada)中で約50℃で30秒間混合し、タイマーをゼロに設定してタイマーをオンに切り替え、混合物をアルミニウムカップに注ぎ入れ、65℃に設定したゲルタイマーのホットポット(Gardco Hot Pot(商標)ゲルタイマー, Paul N. Gardner Company, Inc., Pompano Beach, FL)にカップを入れ、反応混合物をワイヤースターラーで20RPMで撹拌して、ワイヤスターラーが試料中で動きを止めるときのゲル化時間を記録することによって得られる結果を意味する。
【0016】
本明細書に使用されるとき、特に断りない限り、「数平均分子量」又は「Mn」及び「重量平均分子量」又は「Mw」という用語は、アイソクラティックポンプ、オートサンプラー(注入量(50μl))並びに50、100、500及び次に1000Åの連続した孔径の一連の4個のPL-Gel(商標)(7mm×30cm×5μm)カラム(それぞれポリスチレンジビニルベンゼン(PS/DVB)ゲルが充填されている)を備えたAgilent 1100 高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)(Agilent, Santa Clara, CA)を用いて室温でゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により、標準物質としてポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールのポリオール混合物(THF中1.5重量%)から較正された基準に対して測定された値を意味する。ポリイソシアナートプレポリマーでは、イソシアナート試料のイソシアナート官能基(N=C=O)を、乾燥メタノール/THF溶液からのメタノールを用いて非反応性カルバミン酸メチル類に変換した。
【0017】
本明細書に使用されるとき、「ポリイソシアナート」という用語は、ブロックされたイソシアナート基を含む、3個以上のイソシアナート基を有する任意のイソシアナート基含有分子を意味する。
【0018】
本明細書に使用されるとき、「ポリイソシアナートプレポリマー」という用語は、過剰のジイソシアナート又はポリイソシアナートと、2個以上の活性水素基を含有する活性水素含有化合物(ジアミン類、ジオール類、トリオール類、及びポリオール類など)との反応生成物である任意のイソシアナート基含有分子を意味する。
【0019】
本明細書に使用されるとき、「ポリウレタン」という用語は、二官能基又は多官能基イソシアナート類からの重合生成物、例えば、ポリエーテル尿素、ポリイソシアヌラート類、ポリウレタン類、ポリ尿素、ポリウレタン尿素、これらのコポリマー及びこれらの混合物のことをいう。
【0020】
本明細書に使用されるとき、「反応混合物」という用語は、微量要素のような任意の非反応性添加物、又は窒化ホウ素のような弾性率若しくは曲げ剛性を強化するための添加物、又はポリ(メタクリル酸)のようなポリマーポリ酸若しくはこれらの塩を含む。
【0021】
本明細書に使用されるとき、「除去速度」という用語は、Å/分で表される除去速度のことをいう。
【0022】
本明細書に使用されるとき、「ショアD硬度」という用語は、ASTM D2240-15 (2015), “Standard Test Method for Rubber Property, Durometer Hardness”により測定される、所与の材料の硬度である。硬度は、Dプローブを取り付けたRex Hybrid硬度試験機(Rex Gauge Company, Inc., Buffalo Grove, IL)で測定された。各硬度測定のために6個の試料を積み重ねて混ぜ;そして各試験パッドを試験前に23℃で5日間50パーセント相対湿度に置き、硬度試験の再現性を改善するためのASTM D2240-15 (2015)に略述される方法を用いてコンディショニングした。本発明において、研磨層又はパッドのポリウレタン反応生成物のショアD硬度は、ショアD硬度を下げるための任意の添加物を含むその反応物のショアD硬度を含む。
【0023】
本明細書に使用されるとき、反応混合物の「化学量論」という用語は、反応混合物の(i)硬化剤成分中の(未反応OH+未反応NH基)のモル当量対反応混合物の(ii)ポリイソシアナートプレポリマー成分中の未反応NCO基の比のことをいう。
【0024】
本明細書に使用されるとき、「SG」又は「比重」という用語は、本発明の研磨パッド又は層の矩形切り抜きの重量/体積比のことをいう。
【0025】
本明細書に使用されるとき、「固形分」という用語は、本発明のポリウレタン反応生成物に残存する任意の材料のことをいう;よって、固形分は、硬化により揮発しない、反応性で不揮発性の添加物を含む。固形分は、水、アンモニア及び揮発性溶媒を除外する。
【0026】
本明細書に使用されるとき、特に断りない限り、「実質的に無水」という用語は、所与の組成物に水を加えていないこと、及び組成物に入る材料に水を加えていないことを意味する。「実質的に無水」である反応混合物は、50~2000ppm、又は好ましくは50~1000ppmの範囲で原料中に存在する水を含むことができるか、あるいは縮合反応で形成される反応水、又は反応混合物が使用される環境湿度からの蒸気を含むことができる。
【0027】
本明細書に使用されるとき、「使用条件」という用語は、人が基板のCMP研磨を行うか、又はCMP研磨パッドの表面で研磨が起こる、温度及び圧力を意味する。
【0028】
本明細書に使用されるとき、特に断りない限り、「粘度」という用語は、100μmギャップで50mm平行板形状の0.1~100rad/秒の振動せん断速度の掃引に設定されたレオメータを用いて測定されるとき、所与の温度でニート形態(100%)の所与の材料の粘度のことをいう。
【0029】
本明細書に使用されるとき、特に断りない限り、「重量% NCO」という用語は、所与のポリイソシアナートプレポリマー組成物中の未反応又は遊離イソシアナート基の量のことをいう。
【0030】
本明細書に使用されるとき、「重量%」という用語は、重量パーセントを表す。
【0031】
本発明により、ケミカルメカニカル(CMP)研磨パッドは、(i)15~30重量%のアミン開始ポリオール(平均3~5個未満、又は好ましくは4個のヒドロキシル基及び150~400の数平均分子量を有する)及び70~85重量%のポリアミン、好ましくは芳香族ジアミンの硬化剤と、(ii)ポリイソシアナートプレポリマー(600~5,000の数平均分子量を有し、そして6.5~11%の範囲の未反応イソシアナート含量を有する)との反応混合物の反応生成物を含む上部研磨表面を有する。CMP研磨層は、50℃と80℃の間にtanデルタピーク(剪断動的粘弾性測定(DMA)、ASTM D5279-13 (2013)によりG”/G’として測定される)を有し、そして5:1~45:1の範囲に30℃で測定されたねじり貯蔵弾性率対90℃で測定されたそれの比を有しており、このためこのパッドは、除去速度の対応する低下なしの種々の基板の研磨から、より低い不均一性を提供する。
【0032】
本発明のCMP研磨層は、研磨使用温度状況で高減衰成分を維持する。低温での貯蔵弾性率対所与の高温で測定された貯蔵弾性率の比は、「減衰成分」と称されることが可能である。適切な高減衰成分は、減衰が高すぎて、基板から材料を除去するために使用するのに過剰に柔軟になることなく、パッド面積を増大させて所与の基板と接触できるようにする。ケミカルメカニカルプラナリゼーション(CMP)プロセスに使用される従来のCMP研磨パッドは、研磨温度付近で0.2未満のtanデルタ値を有する。したがって、本発明のCMP研磨パッドは、タングステン及び銅のような、より柔軟な基板を研磨するのに有効であり;そして更に本CMP研磨パッドは、絶縁体酸化物又は層間絶縁膜(ILD)研磨の利用法を見い出す。更に、本発明のCMP研磨層は、50℃以上、又は好ましくは55℃以上の温度で高tanデルタピークを示す。tanデルタは、引張貯蔵弾性率(E’)対引張損失弾性率(E”)の比又はねじり貯蔵弾性率(G’)対ねじり損失弾性率(G”)の比として定義される。更には、tanデルタピーク温度で、本発明のCMP研磨パッドのtanデルタ値は、0.2~0.8、又は好ましくは0.3~0.7の範囲である。50℃以上の高いtanデルタピーク温度は、広範囲の平坦化効率及び研磨均一性を達成するのに不可欠である。高いピーク温度でtanデルタ値が高くなると、研磨の動的変形中に熱として放散されるエネルギーが貯蔵エネルギーよりも多くなり、このため、基板上のスクラッチ欠陥を増大させることなく、より高いダウンフォースでもっと硬い基板を研磨できるようになる。詳しくは、本発明のCMP研磨パッドは、複数の研磨用途において、即ち、様々な基板で、除去速度の向上を証明した。更には、本発明のCMP研磨パッドは、高い基板除去速度及び研磨性能を維持しながら、研磨中に複数の基板で不均一性を低下させることができる。
【0033】
本発明のケミカルメカニカルポリッシングパッドは、多孔性ポリウレタン又は均質なポリウレタン中の微量要素の均質な分散である、研磨層を含む。
【0034】
ポリウレタンポリマー材料又は反応生成物は、一方では、好ましくはトルエンジイソシアナートのような芳香族ジイソシアナートと、ポリオール[ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)及びポリエチレングリコール(PEG)、又は親水性基であるエチレンオキシド反復単位を有するPPGなど]とのポリイソシアナートプレポリマー反応生成物から、そして他方では、(i)15~30重量%のアミン開始ポリオール(平均3~5個未満、又は好ましくは4個のヒドロキシル基及び150~400の数平均分子量を有する)及び70~85重量%のポリアミン、好ましくは芳香族ジアミンの硬化剤から、好ましくは形成される。
【0035】
典型的には、反応混合物は、部分的に1種以上の芳香族ジアミン又はこれらの脂肪族ジアミン(ヘキサメチルアミンジアミン又はシクロヘキシレンジアミンなど)との混合物を含む(i)硬化剤を含有する。適切な芳香族ジアミンの例は、4,4’-メチレン-ビス-o-クロロアニリン(MbOCA);ジメチルチオトルエンジアミン;トリメチレングリコールジ-p-アミノベンゾアート;ポリテトラメチレンオキシドジ-p-アミノベンゾアート;ポリテトラメチレンオキシドモノ-p-アミノベンゾアート;ポリプロピレンオキシドジ-p-アミノベンゾアート;ポリプロピレンオキシドモノ-p-アミノベンゾアート;1,2-ビス(2-アミノフェニルチオ)エタン;4,4’-メチレン-ビス-アニリン;ジエチルトルエンジアミンのようなジアルキル-トルエンジアミン類;5-tert-ブチル-2,4-及び3-tert-ブチル-2,6-トルエンジアミン;5-tert-アミル-2,4-及び3-tert-アミル-2,6-トルエンジアミン並びにクロロトルエンジアミン、好ましくは4,4’-メチレン-ビス-o-クロロアニリンを含む。本発明のジアミン硬化剤は、3,5-ジエチルトルエン-2,4-ジアミンと3,5-ジエチルトルエン-2,6-ジアミンとの混合物であることができる。
【0036】
本発明の反応混合物は、(ii)ポリイソシアナートプレポリマー(600~5,000の分子量を有し、そして6.5~11重量%の範囲の量の未反応イソシアナート含量を有する)を更に含む。
【0037】
イソシアナート末端プレポリマーは、600~5000の数平均分子量を有しており;約1:2のモル比のジオールとジイソシアナートとの混合物から形成される、このようなプレポリマーの分子量は、その遊離イソシアナート含量(% NCO)に反比例し、ポリイソシアナートプレポリマーが正しい% NCOを有することを保証する。
【0038】
本発明の反応混合物の(ii)ポリイソシアナートプレポリマーは、芳香族ジイソシアナートのようなジイソシアナート、例えば、トルエンジイソシアナートと、ポリマージオール[ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリエチレングリコール(PEG)、エチレンオキシド反復単位を有するPPG、又はポリテトラメチレンエーテルグリコールのポリオールブレンド及びポリプロピレングリコールブレンドなど]とのプレポリマー反応生成物として形成される。
【0039】
本発明のポリイソシアナートプレポリマーを製造するのに有用な適切な芳香族ジイソシアナートは、メチレンジフェニルジイソシアナート(MDI);トルエンジイソシアナート(TDI);ナフタレンジイソシアナート(NDI);パラフェニレンジイソシアナート(PPDI);又はo-トルイジンジイソシアナート(TODI);変性ジフェニルメタンジイソシアナート(カルボジイミド変性ジフェニルメタンジイソシアナート;アロファナート変性ジフェニルメタンジイソシアナート;ビウレット変性ジフェニルメタンジイソシアナートなど);ジイソシアナート由来の芳香族イソシアヌラート(MDIのイソシアヌラートなど);芳香族及び任意の脂環式ジイソシアナート類の総重量に基づいて50重量%以下、又は好ましくは25重量%以下の脂環式ジイソシアナート(4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアナート)など)と混合された芳香族ジイソシアナート類(H12-MDI);あるいはTDIと芳香族ジイソシアナート類の総重量に基づいて20重量%以下のMDIとの混合物から選択される任意のものを含む。好ましくは、芳香族ジイソシアナートは、トルエンジイソシアナート(TDI)、TDIと芳香族ジイソシアナート類の総重量に基づいて20重量%以下のMDIとの混合物を含む。
【0040】
芳香族ジイソシアナート又は芳香族及び脂環式ジイソシアナートは、ポリオールブレンドと部分的に反応して、最終ポリマーマトリックスを生成する前にポリイソシアナートプレポリマーを形成する。
【0041】
ポリイソシアナートプレポリマーは更に、メチレンジフェニルジイソシアナート(MDI)、又はジオール若しくはポリエーテル延長MDIと組合せることができるか、あるいはポリイソシアナートプレポリマーは更に、芳香族ジイソシアナート、ポリオール及びMDI又は延長MDIの反応生成物であってもよく、ここで、MDIは、ポリイソシアナートプレポリマーを製造するために利用される芳香族ジイソシアナートの総重量に基づいて、0.05~20重量%、又は例えば、15重量%以下、又は例えば、0.1~12重量%の量で存在する。
【0042】
ポリイソシアナートプレポリマーは更に、メチレンビスシクロヘキシルジイソシアナート(H12-MDI)、又はジオール若しくはポリエーテル延長H12-MDIと組合せることができるか、あるいはポリイソシアナートプレポリマーは更に、芳香族ジイソシアナート、ポリオール及びH12-MDI又は延長H12-MDIの生成物であってもよく、ここで、H12-MDIは、ポリイソシアナートプレポリマーを製造するために利用される芳香族及び脂環式ジイソシアナートの総重量に基づいて、0~60重量%、又は例えば、50重量%以下、又は例えば、0~25重量%の量で存在する。この組合せはまた、ポリイソシアナートプレポリマーを製造するために利用される芳香族ジイソシアナートの総重量に基づいて、0~20重量%、又は例えば、15重量%以下、又は例えば、0~12重量%のMDIと組合せるか、又は反応させることができる。
【0043】
明確にするために、ジオール又はポリエーテル延長MDI又はH12-MDIの場合のMDI又はH12-MDIの重量は、延長MDI又はH12-MDI中のMDI又はH12-MDI自体の重量分率と見なされる。
【0044】
好ましくは、本発明の(ii)ポリイソシアナートプレポリマーのジイソシアナート成分は、50重量%未満の脂肪族イソシアナート、そして更に好ましくは25重量%未満の脂肪族イソシアナートを含有する。最も好ましくは、この混合物は、不純物レベルの脂肪族イソシアナートのみを含有する。
【0045】
ポリオールとジイソシアナート又はポリイソシアナートとの反応性を高めてポリイソシアナートプレポリマーを製造するには、触媒を使用することができる。適切な触媒は、例えば、オレイン酸、アゼライン酸、ジブチルスズジラウレート、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)、Dabco TMRのような第3級アミン触媒、及び上記の混合物を含む。
【0046】
本発明のポリイソシアナートプレポリマーを製造する際に使用に適したポリオールは、PTMEG、PPG、又はこれらの混合物を含むことができ、また、ポリエステルポリオール類及び他のポリエーテルポリオール類(本発明の数平均分子量を有するイソシアナート末端ポリイソシアナートプレポリマーを提供する分子量を有するポリエチレン-コ-プロピレングリコール類など)を含むことができる。
【0047】
PTMEG含有ポリオールの利用可能な例は以下のとおりである:Invista, Wichita, KS 製の Terathane(商標)2900、2000、1800、1400、1000、650及び250;Lyondell Chemicals, Limerick, PA 製の Polymeg(商標)2900、2000、1000、650;BASF Corporation, Florham Park, NJ 製の PolyTHF(商標)650、1000、2000。PPG含有ポリオールの利用可能な例は以下のとおりである:Covestro, Pittsburgh, PA 製の Arcol(商標)PPG-425、725、1000、1025、2000、2025、3025及び4000;Dow, Midland, MI 製の Voranol(商標)1010L、2000L、及びP400;Covestro製のそれぞれ Desmophen(商標)1110BD 又は Acclaim(商標) Polyol 12200、8200、6300、4200、2200。
【0048】
適切な市販のPTMEG含有イソシアナート末端ウレタンプレポリマーの例は、PET-80A、PET-85A、PET-90A、PET-93A、PET-95A、PET-60D、PET-70D、又はPET- 75DのようなImuthane(商標)プレポリマー(COIM USA, Inc., West Deptford, NJから利用可能);例えば、LF 800A、LF 900A、LF 910A、LF 930A、LF 931A、LF 939A、LF 950A、LF 952A、LF 600D、LF 601D、LF 650D、LF 667、LF 700D、LF750D、LF751D、LF752D、LF753D又はL325のようなAdiprene(商標)プレポリマー(Chemtura, Philadelphia, PA);70APLF、80APLF、85APLF、90APLF、95APLF、60DPLF、70APLF、又は75APLFのようなAndur(商標)プレポリマー(Anderson Development Company, Adrian, MI)を含む。
【0049】
市販のPPG含有イソシアナート末端ウレタンプレポリマーの例は、LFG 963A、LFG 964A、LFG 740DのようなAdiprene(商標)プレポリマー(Chemtura);7000 AP、8000 AP、6500 DP、9500 APLF、7501、又はDPLFのようなAndur(商標)プレポリマー(Anderson Development Company, Adrian, MI)を含む。このTDI範囲内のポリマーを生成することができる適切なPTMEG含有プレポリマーの特定の例は、Chemturaにより製造されるAdiprene(商標)プレポリマーLF750Dである。適切なPPG系プレポリマーの例は、Adiprene(商標)プレポリマーLFG740D及びLFG963Aを含む。
【0050】
本発明のケミカルメカニカルポリッシングパッドの研磨層の形成に使用されるポリイソシアナートプレポリマーは、6.5~11%、又は好ましくは8~9.5重量%の範囲の未反応又は遊離イソシアナート(NCO)含量を有する。
【0051】
好ましくは、本発明のポリイソシアナートプレポリマーは、0.1重量%未満の遊離芳香族ジイソシアナート及び脂環式ジイソシアナートモノマーのそれぞれを有し、そして従来のプレポリマーよりももっと一貫したプレポリマー分子量分布を有する、低遊離イソシアナートプレポリマーである。プレポリマー分子量の一貫性が向上し、そして遊離イソシアナートモノマー含量が低い、「低遊離」プレポリマーは、より規則的なポリマー構造の達成を容易にし、そして研磨パッドの一貫性の向上に寄与する。
【0052】
得られるパッドの形態が安定で容易に再現性があることを保証するために、例えば、酸化防止剤などの添加物や水などの不純物を一貫した製造のために制御することがしばしば重要である。例えば、水は、イソシアナートと反応して気体の二酸化炭素を生成するため、水濃度は、ポリマーマトリックス中に細孔を形成する二酸化炭素気泡の濃度に影響を及ぼす可能性がある。偶発的な水とのイソシアナート反応はまた、ポリアミンとの反応に利用可能なイソシアナートを減少させるので、架橋のレベル(過剰のイソシアナート基が存在する場合)及び得られるポリマーの分子量と共に、OH又はNH対NCO基のモル比を変化させる。
【0053】
本発明の反応混合物において、反応混合物中の全アミン(NH)基及び全ヒドロキシル(OH)基の合計対反応混合物中の未反応イソシアナート(NCO)基の合計の化学量論比は、0.75:1~1.25:1、又は好ましくは0.85:1~1.15:1の範囲である。
【0054】
本発明の反応混合物は、有機溶媒を添加していない。
【0055】
均質性は、一貫した研磨パッド性能を達成する上で重要であり、特に単一注型を利用して複数の研磨パッドを製造する場合に重要である。したがって、本発明の反応混合物は、得られるパッド形態が安定で容易に再現性があるように選択される。例えば、一貫した製造のためには、酸化防止剤などの添加物や水などの不純物を制御することがしばしば重要である。水はイソシアナートと反応して、気体の二酸化炭素及び一般にウレタンと比較して弱い反応生成物を形成するため、水濃度は、ポリマーマトリックス中に細孔を形成する二酸化炭素気泡の濃度に、更にはポリウレタン反応生成物の全体的な一貫性に影響を及ぼす可能性がある。偶発的な水とのイソシアナート反応はまた、鎖延長剤との反応に利用可能なイソシアナートを減少させて、架橋のレベル(過剰のイソシアナート基が存在する場合)と共に化学量論を変化させ、そして得られるポリマーの分子量を低下させる傾向がある。
【0056】
均質性及び良好な成形結果を保証し、成形型を完全に満たすために、本発明の反応混合物は、充分に分散され、反応温度及び圧力条件下で15分以下、又は好ましくは10分以下のゲル化時間を有するべきである。このようなゲル化時間は、反応混合物が、成形型内に流入することを可能にするが、中空コアポリマーミクロスフェア又は細孔のような微量要素を生じさせるか、又は研磨パッドに分離を引き起こすほど長い時間ではない。その一方で、ゲル化時間が短すぎると、材料がゲル化する前に成形型を完全に満たすことが困難になり得、あるいは極端な場合には、研磨パッドに反りや割れが生じ得る。一般に、本発明の反応混合物は、2~15分、又は好ましくは2~8分のゲル化時間を有する。
【0057】
本発明の研磨層を製造する方法によれば、本方法は、その融点~65℃(45~65℃など)の温度の本発明のポリイソシアナートプレポリマーを提供すること、ポリイソシアナートプレポリマー、硬化剤、及び必要に応じて、微量要素材料を一成分として、そして硬化剤をもう一成分として反応混合物を形成すること、成形型を40~100℃、又は好ましくは60~100℃、又は更に好ましくは65~95℃に予熱すること、成形型に反応混合物を充填すること、並びに反応混合物を80~120℃の温度で4~24時間、又は好ましくは6~16時間、加熱硬化させて成形ポリウレタン反応生成物を形成することを含む。
【0058】
本発明の研磨層を形成する方法は、成形ポリウレタン反応生成物をスカイビングするか又は薄切りにして、0.5~10mm、又は好ましくは1~3mmの厚さを有する層を形成することを含む。
【0059】
本発明のケミカルメカニカルポリッシングパッドは、ポリウレタン反応生成物の研磨層のみ又はサブパッド若しくはサブ層上に積み重ねられた研磨層を含むことができる。本発明の研磨パッド、又は積み重ねられたパッドの場合には、研磨パッドの研磨層は、多孔性、及び非多孔性の両方又は空白の形態において有用である。多孔性であるか非多孔性であるかにかかわらず、完成した研磨パッド又は研磨層(積み重ねられたパッドでは)は、0.4~1.2g/cm、又は好ましくは0.6~1.0g/cmの密度を有する。ガス溶解、発泡剤、機械的発泡及び中空ミクロスフェアの導入を介して多孔性を付加することが可能である。研磨パッドの密度は、ASTMD 1622-08 (2008)により測定されるものである。密度は、1~2%以内で比重と密接に相関する。
【0060】
本発明の研磨層の細孔は、典型的には2~50μmの平均直径を有する。最も好ましくは、細孔は、球形の中空ポリマー粒子から生じる。好ましくは、中空ポリマー粒子は、2~40μmの重量平均直径を有する。本明細書の目的には、重量平均直径は、注型前の中空ポリマー粒子の直径を表し;そして粒子は、球形であっても又は非球形であってもよい。最も好ましくは、中空ポリマー粒子は、10~40μmの重量平均直径を有する。
【0061】
本発明のケミカルメカニカルポリッシングパッドの研磨層は、場合により、好ましくは研磨層全体に均一に分散された微量要素を更に含む。このような微量要素、特に中空球は、注型中に膨張することがある。微量要素は、封入気泡、中空コアポリマー材料(ポリマーミクロスフェアなど)、液体充填中空コアポリマー材料(流体充填ポリマーミクロスフェアなど)、水溶性材料、不溶性相材料(例えば、鉱油)、及び窒化ホウ素のような研磨充填剤から選択される。好ましくは、微量要素は、研磨層全体に均一に分布した封入気泡及び中空コアポリマー材料から選択される。微量要素は、100μm未満(好ましくは、5~50μm)の重量平均直径を有する。更に好ましくは、複数の微量要素は、ポリアクリロニトリル又はポリアクリロニトリルコポリマー(例えば、Akzo Nobel, Amsterdam, Netherlands製のExpancel(商標)ビーズ)のいずれかのシェル壁を有するポリマーミクロスフェアを含む。
【0062】
本発明により、微量要素は、反応混合物及び微量要素の総固形分重量に基づいて、0~5重量%、又は好ましくは0.4~4.0重量%で研磨層に取り込まれる。微量要素のこのような量は、大体66体積%以下、好ましくは6~66体積%の多孔度、又は好ましくは10~50体積%を表す。
【0063】
本発明のケミカルメカニカルポリッシングパッドの研磨層は、ASTM D2240-15 (2015)により測定されるとき30~80のショアD硬度、又は好ましくは微量要素を含有する研磨層若しくはパッドについて40~70を示す。
【0064】
好ましくは、本発明のケミカルメカニカルポリッシングパッドの研磨層は、ASTM D412-06a (2006)により測定されるとき50~450%、又は好ましくは125~425%(更になお好ましくは150~350%;最も好ましくは250~350%)の破断伸びを示す。
【0065】
好ましくは、本発明のケミカルメカニカルポリッシングパッドに使用される研磨層は、500~3750ミクロン(20~150mil)、又は更に好ましくは750~3150ミクロン(30~125mil)、又は更になお好ましくは1000~3000ミクロン(40~120mil)、又は最も好ましくは1250~2500ミクロン(50~100mil)の平均厚さを有する。
【0066】
本発明のケミカルメカニカルポリッシングパッドは、場合により研磨層と連結された少なくとも1つの追加層を更に含む。好ましくは、ケミカルメカニカルポリッシングパッドは、場合により研磨層に接着された圧縮可能なサブパッド又はベース層を更に含む。圧縮可能なベース層は、好ましくは研磨中の基板の表面に対する研磨層の適合性を向上させる。
【0067】
本発明のケミカルメカニカルポリッシングパッドの研磨層は、基板を研磨するように適合させた研磨表面を有する。好ましくは、研磨表面は、穿孔及び溝の少なくとも1つから選択されるマクロテクスチャーを有する。穿孔は、研磨表面から研磨層の厚さの一部又は全部に延長してよい。
【0068】
好ましくは、溝は、研磨中のケミカルメカニカルポリッシングパッドの回転により、少なくとも1つの溝が研磨中の基板の表面を掃引するように、研磨表面上に配置される。
【0069】
好ましくは、研磨表面は、湾曲溝、直線溝、穿孔及びこれらの組合せからなる群より選択される少なくとも1つの溝を含む、マクロテクスチャーを有する。
【0070】
好ましくは、本発明のケミカルメカニカルポリッシングパッドの研磨層は、基板を研磨するように適合させた研磨表面を有しており、ここで、研磨表面は、そこに形成された溝パターンを含むマクロテクスチャーを有する。好ましくは、溝パターンは複数の溝を含む。更に好ましくは、溝パターンは、同心円溝(円形でも螺旋状でもよい)、湾曲溝、斜交平行溝(例えば、パッド表面にわたってX-Y格子として配置される)、他の規則的デザイン(例えば、六角形、三角形)、タイヤ溝型パターン、不規則なデザイン(例えば、フラクタルパターン)、及びこれらの組合せからなる群より選択される1つのような、溝デザインから選択される。更に好ましくは、溝デザインは、ランダム溝、同心円溝、らせん溝、斜交平行溝、X-Y格子溝、六角溝、三角溝、フラクタル溝及びこれらの組合せからなる群より選択される。最も好ましくは、研磨表面には、らせん溝パターンが形成されている。溝の輪郭は、好ましくは、直線の側壁を有する矩形から選択されるか、又は溝の断面が、「V」字形、「U」字形、鋸歯、及びこれらの組合せであってもよい。
【0071】
本発明のケミカルメカニカルポリッシングパッドを製造する方法は、成形型を提供すること;本発明の反応混合物を成形型に注入すること;及びこの組合せを成形型内で反応させて硬化塊を形成すること(ここで、研磨層は、硬化塊から得られる)を含んでもよい。
【0072】
好ましくは、硬化塊をスカイビングして、単一の硬化塊から複数の研磨層を得る。場合により、本方法は、硬化塊を加熱して、スカイビング操作を促進することを更に含む。好ましくは、スカイビング操作の間、赤外線加熱灯を用いて硬化塊を加熱し、そしてこの操作で、硬化塊をスカイビングして複数の研磨層にする。
【0073】
本発明の研磨パッドを製造する方法により、スラリー流量を促進し、かつパッド-ウェーハ界面から研磨くずを除去するために、その研磨表面に切り込まれた溝パターンを有するケミカルメカニカルポリッシングパッドを提供することができる。このような溝は、旋盤を用いるか、又はCNCフライス盤によるかのいずれかによって、研磨パッドの研磨表面に切り込まれてよい。
【0074】
本発明の研磨パッドを使用する方法により、CMP研磨パッドの研磨表面をコンディショニングすることができる。パッド表面の「コンディショニング」又は「ドレッシング」は、安定した研磨性能のために一貫した研磨表面を維持するのに決定的に重要である。時間の経過とともに、研磨パッドの研磨表面が摩耗し、研磨表面のマイクロテクスチャーを滑らかにする、即ち、「グレイジング」と呼ばれる現象である。研磨パッドのコンディショニングは、典型的には、コンディショニングディスクを用いて研磨表面を機械的に研磨することによって達成される。コンディショニングディスクは、典型的には嵌め込まれたダイヤモンドポイントからなる、粗いコンディショニング表面を有する。コンディショニングプロセスは、パッド表面に微細な溝を切り、パッド材料の研磨及び溝切りの両方を行って研磨テクスチャーを取り戻す。
【0075】
研磨パッドをコンディショニングすることは、研磨が一時停止しているCMPプロセスの間欠的な中断中(「エクスサイツ(ex situ)」)か、又はCMPプロセスが進行中(「インサイチュ(in situ)」)のいずれかに、コンディショニングディスクを研磨表面と接触させることを含む。典型的には、コンディショニングディスクは、研磨パッドの回転軸に対して距離が変化する位置で回転し、そして研磨パッドが回転すると環状コンディショニング領域を掃引する。
【0076】
好ましくは、本発明の基板を研磨する方法は、磁性基板、光学基板及び半導体基板(好ましくは、半導体ウェーハのような半導体基板)の少なくとも1つから選択される基板を提供すること;本発明によるケミカルメカニカルポリッシングパッドを提供すること;研磨層の研磨表面と基板との間に動的接触を作り出して、基板の表面を研磨すること;並びに砥粒コンディショナーで研磨表面のコンディショニングをすることを含む。
【実施例
【0077】
本発明は、今や以下の非限定的実施例において詳細に記述されよう:
特に断りない限り、全ての温度は室温(21~23℃)であり、全ての圧力は、大気圧(≒760mmHg又は101kPa)である。
以下の略語が実施例に現れる:
PO:プロピレンオキシド/グリコール;EO:エチレンオキシド/グリコール;PTMEG:ポリ(THF)又はポリテトラメチレングリコール;PPG:ポリ(プロピレングリコール);BDO:ブタンジオール(1,3又は1,4位置異性体);DEG:ジエチレングリコール;及びPP:ポリイソシアナートプレポリマー;%NU:%不均一性;RR:除去速度。
以下に開示される他の原料にかかわらず、以下の原料を実施例に使用した:
PP1:PTMEG及びTDIからの低遊離TDI(最大<0.5%)プレポリマー(8.75~9.05重量% NCO、Mn=760Da;Mw=870Da、Chemtura, Philadelphia, PA);
PP2:PTMEGと、5~15重量%の追加H12MDIを含むTDIとからのTDI末端液体ウレタンプレポリマー(8.95~9.25重量% NCO、Mn=990Da;Mw=1250Da、Chemtura);
PP3:PTMEGと、10.35~10.65重量% NCOをターゲットとする追加H12-MDIを含むH12-MDIからのH12-MDI末端液体ウレタンプレポリマー(PTMEG MW=2000;プレポリマー Mn 2500~3000);
PP4:PP1と、PPG及びTDIからのAdiprene(商標)LFG 963Aポリイソシアナートプレポリマーとの1/1混合物からの低遊離TDI(最大<0.5%)プレポリマー(5.55~5.85重量% NCO、Mn=1600Da;Mw=2870Da、Chemtura, Philadelphia, PA);
ポリオール1:≒280の数平均分子量M及び4個のヒドロキシル官能基を持つ脂肪族アミン開始ポリエーテルポリオール(The Dow Chemical Company, Midland, MI (Dow));
ポリオール2:≒450の数平均分子量M及び3個のヒドロキシル官能基を持つグリセロール開始ポリエーテルポリオール(Dow);
MbOCA:4,4’-メチレン-ビス(2-クロロアニリン);
MCDEA:4,4’-メチレンビス(3-クロロ-2,6-ジエチルアニリン);
DETDA:3,5-ジエチルトルエン-2,4-ジアミンと3,5-ジエチルトルエン-2,6-ジアミンの混合物(ETHACURE(商標)100硬化剤、Albemarle Corporation, Charlotte NC);
DMTDA:ジメチルチオトルエンジアミン(ETHACURE(商標)300硬化剤、Albemarle Corporation);
ビーズ1:40μmの公称直径及び42g/lの真密度を持つ流体充填ポリマーミクロスフェア(Akzo Nobel, Arnhem, NL);及び
ビーズ2:20μmの公称直径及び70g/lの真密度を持つ流体充填ポリマーミクロスフェア(Akzo Nobel);
パッド1:105%のNH対NCO化学量論比でMbOCAにより硬化したPP1プレポリマー;0.96のSG及び64のショアD硬度;ビーズ2の添加によって形成された多孔性並びにSP2150(商標)通気性ポリウレタンサブパッド(Dow Electronic Materials, Newark, DE)から製造されたCMP研磨パッド;並びに
スラリー1:2重量% 正荷電コロイダルシリカ粒子(製造業者の推奨により較正されたMalvern Zetasizer装置(Malvern Instruments, Malvern, UK)を用いてDynamic Light Scattering(DLS)によって測定されたとき、25~100nm z-平均粒径)及び第4級アンモニウム化合物からpH4~5で製造された研磨スラリー。
【0078】
CMP研磨パッドは、以下の表1に示す反応混合物から製造された。各反応混合物は細孔形成剤としてのビーズ2を含み、0.87g/cmのブレンド前密度を利用してCMP研磨層へと形成された。次に、得られたCMP研磨層からケミカルメカニカルポリッシングパッドを作製した。次に、これらのCMP研磨層を直径20”(508mm)に仕上げ、機械で溝を付けて1010の溝パターン(120mil/3.05mmピッチ、30mil/0.76mm深さ、20mil/0.51mm幅)を提供した。次に、研磨層を発泡体サブパッド層(SP2150サブパッド、Rohm and Haas Electronic Materials CMP Inc.)に積層した。得られたパッドを、両面感圧接着フィルムを用いて、示された研磨機の研磨プラテンに取り付けた。
【0079】
【表1】
【0080】
試験方法:以下の方法を利用して研磨パッドを試験した。
研磨評価:スラリー1(2重量%砥粒を含む酸性コロイダルシリカスラリー)、CSL9044C(商標)バルク銅スラリー(1.5重量%コロイダルシリカ砥粒及び1重量% Hを含む、使用時pH約7)(Fujifilm Planar Solutions, Japan)、及びW2000(商標)バルクタングステンスラリー(2重量%フュームドシリカ砥粒及び2重量%Hを含む、使用時pH2~2.5)(Cabot Microelectronics, Aurora, IL)を含む、複数のCMP研磨スラリーを評価した。各スラリーを使用して、以下の基板を2種の異なるダウンフォースで研磨した:
スラリー1(酸化物研磨):3psi(20.7kPa)及び5psi(34.5kPa)でTEOS及びSiNシートウェーハ(Novellus Systems, San Jose, CA);
CSL9044C(銅研磨):1.5psi(10.3kPa)及び3psi(20.7kPa)でCuウェーハ;
W2000(タングステン研磨):2psi(13.8kPa)及び4psi(27.6kPa)でW、TEOS、及びSiNシートウェーハ。
研磨に先立ち、CMP研磨パッドの慣らし運転及びコンディショニングのためにコンディショニングディスクAM02BSL8031C1-PM(AK-45(商標)ディスク、Saesol Diamond Ind. Co., Ltd, Gyeonggi-do, Korea)を使用した。各新しいパッドは、30分間、7lbf(31N)のダウンフォースで慣らし運転し、スラリー交換の前に5分間の追加の慣らし運転を行った。研磨において、全ての研磨実験に用いた条件は、Mirra(商標)CMP研磨プラットフォーム(Applied Materials, Santa Clara, CA)を使用して200mL/分の研磨媒体流量で、93rpmのプラテン速度;87rpmのキャリア速度を含むものとした。研磨中、酸化物及び銅の研磨には7lbf(31N)での100%インサイチュコンディショニングを使用し、そしてタングステン研磨には7lbf(31N)での24sエクスサイツコンディショニングを使用した。10枚のダミーウェーハを研磨した後、3枚のウェーハを研磨し、それらについて研磨除去速度及び他の研磨の証拠を測定した。
除去速度は、3mmの端を除いて49点のらせん状走査を利用するFX200計測ツール(KLA-Tencor, Milpitas, CA)を用いて、研磨の前後に膜厚を測定することによって決定された。除去速度(RR)における研磨結果を以下の表2、3及び4に示す。正規化された結果は、比較結果を100%又は1のいずれか適用可能な方に設定する。
%不均一性(%NU):%NUは、研磨後の最終膜厚の範囲を算出することによって求められた。%NUにおける研磨結果を以下の表3及び4に示す。
選択比:選択比とは、1つの基板材料対もう1つの基板材料のRR比のことをいう。
【0081】
【表2】
【0082】
スラリー1での酸化物研磨結果:実施例2及び3の本発明のCMP研磨パッドは、3psi(20.7kPa)及び5psi(34.5kPa)研磨ダウンフォースの両方で比較例1の対照パッドよりも高いTEOS RRを実現させた。更に、本発明のCMP研磨パッドは、酸化物対窒化物の研磨選択比の実質的な上昇を可能にした。
【0083】
【表3】
【0084】
CSL9044cスラリーでの銅研磨結果:実施例2及び3の本発明のCMP研磨パッドは、1.5psi(10.3kPa)及び3psi(20.7kPa)研磨ダウンフォースの両方で比較例1の対照パッドよりも高いCu RRを実現させた。
【0085】
【表4】
【0086】
W2000スラリーでのタングステン研磨結果:実施例2及び3の本発明のCMP研磨パッドは、2psi(13.8kPa)及び4psi(27.6kPa)研磨ダウンフォースの両方で比較例1の対照パッドよりも高いW RRを実現させた。実施例2及び3の2種の本発明のCMP研磨パッドは、比較例1のパッドと比較すると、ウェーハ収量に決定的に重要なタングステン研磨における%NUを劇的に向上させた。
【0087】
CMP研磨パッドは、特にパッドの凹凸部では、研磨中の基板と摺動すると研磨中に温まる。研磨による温度上昇は、CMP研磨層材料の粘弾性特性と同様に、スラリー組成、研磨ダウンフォース、及び研磨パッドと基板との間の相対速度を含む研磨条件の関数である。貯蔵弾性率(E’又はG’)、損失弾性率(E”又はG”)、及びその比又はtanデルタ(E”/E’又はG”/G’)によって示される、粘弾性特性は、研磨性能に強い影響を与える。Vishwanathanらの米国特許第6,860,802B1号は、例えば、E’(30℃)~E’(90℃)が1~4.6であるCMP研磨パッドを開示しており、貯蔵エネルギーが、ディッシングの現象に寄与することを開示しているが;しかし、Vishwanathanに開示されたCMP研磨層は、硬化剤中にアミン開始ポリオールを欠き、銅研磨用にのみ研磨結果を与えた。
【0088】
比較例1並びに本発明の実施例2及び3のCMP研磨パッドの粘弾性特性を、以下の表6Aに、引張貯蔵弾性率及びtanデルタ(E”/E’)として示し、そして以下の表6Bに、ねじり貯蔵弾性率及びtanデルタ(G”/G’)として示す。本発明のCMP研磨パッド(実施例2及び3)は、引張及びねじり両方の動的変形の下で、対照パッド(比較例1)よりも高いtanデルタピーク値及びはるかに高い弾性率比(E’(25℃)/E”(80℃)、E’(30℃)/E’(90℃)、及びG’(30℃)/G’(90℃))を有する。
【0089】
更に多くのCMP研磨パッドを、上記の実施例1、2及び3に開示された方法で製造した。反応混合物を以下の表5に示す。比較例4、5、6及び7の反応混合物の各々は、ミクロスフェア又はビーズなしに形成された。表5の比較例8及び9並びに本発明の実施例10~11の反応混合物の各々は、0.87g/cmのブレンド前密度を有するポリイソシアナートプレポリマー成分中にビーズ2を含んでいた。実施例14及び15のCMP研磨パッドは、ミクロスフェア又はビーズなしに形成され、それ以外は実施例3及び12とそれぞれ同一であった。
【0090】
【表5】
【0091】
上記の表5に示されるとおり、本発明によれば、種々のポリオール及び硬化剤から、様々なポリイソシアナートプレポリマーから、そしてミクロスフェア又はビーズの有り無しで、多数のCMP研磨パッドを形成することができる。
以下の表6Aに示されるとおり、ミクロスフェア又はビーズを含有する本発明のCMP研磨パッドは、5~45の範囲の30℃での引張貯蔵弾性率(E’)対90℃での引張貯蔵弾性率の比を有する。
【0092】
【表6】
【0093】
以下の表6Bに示されるとおり、本発明のCMP研磨パッドは、5~45の範囲の30℃でのねじり貯蔵弾性率(G’)対90℃でのねじり貯蔵弾性率の比、50~80℃のtanデルタピーク温度、及び0.2~0.8のピーク温度でのtanデルタピーク値を有する。
【0094】
【表7】