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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】車両用電動機
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/18 20060101AFI20221220BHJP
【FI】
H02K1/18 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018214209
(22)【出願日】2018-11-14
(65)【公開番号】P2020088875
(43)【公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-06-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】100085361
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 治幸
(74)【代理人】
【識別番号】100147669
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 光治郎
(72)【発明者】
【氏名】竹野 元貴
(72)【発明者】
【氏名】山岸 義忠
(72)【発明者】
【氏名】北川 勝秀
(72)【発明者】
【氏名】森 正樹
(72)【発明者】
【氏名】竹内 健登
【審査官】三澤 哲也
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-023405(JP,A)
【文献】特開2008-271680(JP,A)
【文献】国際公開第2006/090484(WO,A1)
【文献】特開2016-158389(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104321955(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周壁を有する有底円筒状のケースカバーと、外周壁を有する有底円筒状のケースと、複数の電磁鋼板が積層された筒状のステータコアと、前記ステータコアの内側に収容されて回転中心線周りに回転するロータとを有する車両用電動機であって、
前記ステータコアは、前記ケース側の端部が前記ケースの底部に固定され、
前記ケースカバーおよびケースは、前記ケースカバーの内周面と前記ケースの内周面とが同心になるように嵌合する嵌合位置決め装置によって位置決めされるとともに、前記ケースカバーの合わせ面と前記ケースの合わせ面とが面接触した状態で固定され、
前記ケースカバーは、前記ステータコアの外周面のうち前記ケースカバー側に位置するケースカバー側外周面に向かって前記ケースカバーの内周面から突き出すステータコア傾斜抑制部を備え
前記ケースカバーの合わせ面と前記ケースの合わせ面とが面接触した状態において、前記ステータコアと前記ステータコア傾斜抑制部とが前記回転中心線に垂直な方向に重なる部分の前記回転中心線に平行な方向の距離は、前記嵌合位置決め装置の嵌合距離よりも短い
ことを特徴とする車両用電動機。
【請求項2】
前記ケースは、前記ステータコアのケース側外周面に向かって前記ケースの内周面から突き出すステータコア位置決め部を備えている
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用電動機。
【請求項3】
前記ステータコア傾斜抑制部と前記ステータコアのケースカバー側外周面との間の前記回転中心線に垂直な方向の距離は、前記ステータコアのケースカバー側内周面と前記ロータのケースカバー側外周面との間の前記回転中心線に垂直な方向の距離より短い
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用電動機。
【請求項4】
前記ステータコア傾斜抑制部と前記ステータコアのケースカバー側外周面との間の前記回転中心線に垂直な方向の距離は、前記ケースカバーの内周面と前記ステータコアのケースカバー側外周面との間の前記回転中心線に垂直な方向の距離、および、前記ケースの内周面と前記ステータコアのケース側外周面との間の前記回転中心線に垂直な方向の距離よりも短い
ことを特徴とする請求項1からの何れか1に記載の車両用電動機。
【請求項5】
前記面接触した状態での前記ケースカバーおよび前記ケースの合わせ面は、前記回転中心線に垂直な方向において前記ステータコアと重なる位置にある
ことを特徴とする請求項1からの何れか1に記載の車両用電動機。
【請求項6】
前記ステータコア傾斜抑制部は、前記ケースカバーの内周面から前記ステータコアのケースカバー側外周面に向かって一体に突設された前記ケースカバーの凸部である
ことを特徴とする請求項1からの何れか1に記載の車両用電動機。
【請求項7】
前記ステータコアは、複数本の通しボルトにより前記回転中心線に平行な方向に貫通されて前記ケースの底部に締結されている
ことを特徴とする請求項1からの何れか1に記載の車両用電動機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用電動機に関し、特にステータコアの支持構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
有底円筒状のケースと、ケースのカバーと、電磁鋼板が積層された筒状のステータコアと、ロータとを有する車両用電動機が知られている。例えば、特許文献1の段落0030、段落0040、および、図8には、ケース(220)と、カバー(230)と、板状の磁性体を積層することにより形成されたステータコア(141)と、ロータ(130)とを有するハイブリッド車両用の電動機(回転電機)において、ステータコアは締結部材(143)によりケースに締結されて片持支持されていることが記載され、また、ケースには、ステータコアとの隙間が相対的に小さい小口径部分(A部)と相対的に大きい大口径部分(B部)とが、設けられていることが記載されている。なお、特許文献1の段落0034から段落0036および図12には、ステータコア(141)の振動のケース(220)への伝達を防ぐため、ステータコアの傾斜角度(θ)が最大となった場合にもステータコアとケースの大口径部分が接触しないように大口径部分の内径を規定する、すなわち、大口径部分の内径を大きくすることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-228725号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のような車両用電動機においては、ステータコアの傾斜をケース側で抑制しているため、ステータコアの傾斜が過大となるおそれがあるという問題があった。
【0005】
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、ステータコアの過大な傾斜を抑制することが可能な車両用電動機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1発明の要旨とするところは、外周壁を有する有底円筒状のケースカバーと、外周壁を有する有底円筒状のケースと、複数の電磁鋼板が積層された筒状のステータコアと、前記ステータコアの内側に収容されて回転中心線周りに回転するロータとを有する車両用電動機であって、前記ステータコアは、前記ケース側の端部が前記ケースの底部に固定され、前記ケースカバーおよびケースは、前記ケースカバーの内周面と前記ケースの内周面とが同心になるように嵌合する嵌合位置決め装置によって位置決めされるとともに、前記ケースカバーの合わせ面と前記ケースの合わせ面とが面接触した状態で固定され、前記ケースカバーは、前記ステータコアの外周面のうち前記ケースカバー側に位置するケースカバー側外周面に向かって前記ケースカバーの内周面から突き出すステータコア傾斜抑制部を備え、前記ケースカバーの合わせ面と前記ケースの合わせ面とが面接触した状態において、前記ステータコアと前記ステータコア傾斜抑制部とが前記回転中心線に垂直な方向に重なる部分の前記回転中心線に平行な方向の距離は、前記嵌合位置決め装置の嵌合距離よりも短いことにある。
【0007】
また、第2発明の要旨とするところは、第1発明に記載の車両用電動機において、前記ケースは、前記ステータコアのケース側外周面に向かって前記ケースの内周面から突き出すステータコア位置決め部を備えていることにある。
【0009】
また、第発明の要旨とするところは、第1発明又は第2発明に記載の車両用電動機において、前記ステータコア傾斜抑制部と前記ステータコアのケースカバー側外周面との間の前記回転中心線に垂直な方向の距離は、前記ステータコアのケースカバー側内周面と前記ロータのケースカバー側外周面との間の前記回転中心線に垂直な方向の距離より短いことにある。
【0010】
また、第発明の要旨とするところは、第1発明から第発明の何れか1に記載の車両用電動機において、前記ステータコア傾斜抑制部と前記ステータコアのケースカバー側外周面との間の前記回転中心線に垂直な方向の距離は、前記ケースカバーの内周面と前記ステータコアのケースカバー側外周面との間の前記回転中心線に垂直な方向の距離、および、前記ケースの内周面と前記ステータコアのケース側外周面との間の前記回転中心線に垂直な方向の距離よりも短いことにある。
【0011】
また、第発明の要旨とするところは、第1発明から第発明の何れか1に記載の車両用電動機において、前記面接触した状態での前記ケースカバーおよび前記ケースの合わせ面は、前記回転中心線に垂直な方向において前記ステータコアと重なる位置にあることにある。
【0012】
また、第発明の要旨とするところは、第1発明から第発明の何れか1に記載の車両用電動機において、前記ステータコア傾斜抑制部は、前記ケースカバーの内周面から前記ステータコアのケースカバー側外周面に向かって一体に突設された前記ケースカバーの凸部であることにある。
【0013】
また、第発明の要旨とするところは、第1発明から第発明の何れか1に記載の車両用電動機において、前記ステータコアは、複数本の通しボルトにより前記回転中心線に平行な方向に貫通されて前記ケースの底部に締結されていることにある。
【発明の効果】
【0014】
前記第1発明によれば、外周壁を有する有底円筒状のケースカバーと、外周壁を有する有底円筒状のケースと、複数の電磁鋼板が積層された筒状のステータコアと、前記ステータコアの内側に収容されて回転中心線周りに回転するロータとを有する車両用電動機であって、前記ステータコアは、前記ケース側の端部が前記ケースの底部に固定され、前記ケースカバーおよびケースは、前記ケースカバーの内周面と前記ケースの内周面とが同心になるように嵌合する嵌合位置決め装置によって位置決めされるとともに、前記ケースカバーの合わせ面と前記ケースの合わせ面とが面接触した状態で固定され、前記ケースカバーは、前記ステータコアの外周面のうち前記ケースカバー側に位置するケースカバー側外周面に向かって前記ケースカバーの内周面から突き出すステータコア傾斜抑制部を備え、前記ケースカバーの合わせ面と前記ケースの合わせ面とが面接触した状態において、前記ステータコアと前記ステータコア傾斜抑制部とが前記回転中心線に垂直な方向に重なる部分の前記回転中心線に平行な方向の距離は、前記嵌合位置決め装置の嵌合距離よりも短い。このようにすれば、ステータコアのカバー側外周面の回転中心線に垂直な方向の移動がステータコア傾斜抑制部によって制限されるので、ステータコアの過大な傾斜を抑制することが可能である。また、前記ステータコアが固定された前記ケースに前記カバーを組み付ける時に、前記ステータコアと前記ステータコア傾斜抑制部とが接触する前に前記嵌合位置決め装置による位置決めが始まる。したがって、組付け時の前記ステータコアと前記ステータコア傾斜抑制部との接触が防止されるので、組付けが容易となる。
【0015】
また、前記第2発明によれば、前記ケースは、前記ステータコアのケース側外周面に向かって前記ケースの内周面から突き出すステータコア位置決め部を備えている。このようにすれば、前記ステータコアを前記ケースに組付ける時に、ステータコアのケース側の端部のケースに対する位置決めを容易に行う事ができる。
【0017】
また、前記第発明によれば、前記ステータコア傾斜抑制部と前記ステータコアのケースカバー側外周面との間の前記回転中心線に垂直な方向の距離は、前記ステータコアのケースカバー側内周面と前記ロータのケースカバー側外周面との間の前記回転中心線に垂直な方向の距離より短い。このようにすれば、前記ステータコアと前記ロータとの干渉の可能性を低減できる。
【0018】
また、前記第発明によれば、前記ステータコア傾斜抑制部と前記ステータコアのケースカバー側外周面との間の前記回転中心線に垂直な方向の距離は、前記ケースカバーの内周面と前記ステータコアのケースカバー側外周面との間の前記回転中心線に垂直な方向の距離、および、前記ケースの内周面と前記ステータコアのケース側外周面との間の前記回転中心線に垂直な方向の距離よりも短い。このようにすれば、ステータコアのカバー側外周面の回転中心線に垂直な方向の移動がステータコア傾斜抑制部によって制限されるので、ステータコアの過大な傾斜を抑制することが可能である。
【0019】
また、前記第発明によれば、前記面接触した状態での前記ケースカバーおよび前記ケースの合わせ面は、前記回転中心線に垂直な方向において前記ステータコアと重なる位置にある。このようにすれば、前記カバーおよびケースの前記回転中心線に平行な方向の寸法を抑制できるので組付けが容易となる。
【0020】
また、前記第発明によれば、前記ステータコア傾斜抑制部は、前記ケースカバーの内周面から前記ステータコアのケースカバー側外周面に向かって一体に突設された前記ケースカバーの凸部である。このようにすれば、ステータコアのカバー側外周面の回転中心線に垂直な方向の移動がステータコア傾斜抑制部によって制限されるので、ステータコアの過大な傾斜を抑制することが可能である。
【0021】
また、前記第発明によれば、前記ステータコアは、複数本の通しボルトにより前記回転中心線に平行な方向に貫通されて前記ケースの底部に締結されている。このようにすれば、ステータコアが傾斜した時に前記複数本の通しボルトでも支持されるため、カバー側のステータコアの過大な傾斜を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明が適用される車両用電動機を示す模式図であり、車両用電動機のロータの回転中心線CLを含む縦断面図である。
図2図1の車両用電動機のステータコアが傾斜した様子を示す模式図である。
図3図2のIII-III視断面を示す横断面図である。
図4図1の車両用電動機のケースにカバーを組み付けるための位置決めの様子を示す図である。
図5図4の車両用電動機のケースにカバーが組み付けられた様子を示す図である。
図6】本発明の別の実施例の車両用電動機を説明する図であり、図1に対応する図である。
図7】本発明のさらに別の実施例の車両用電動機を説明する図であり、図1に対応する図である。
図8】ステータコア傾斜抑制部の無い比較例の車両用電動機の断面図を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施例を、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の実施例において、図は説明のために適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比および形状等は必ずしも正確に描かれていない。
【実施例1】
【0024】
図1は、本発明の一実施例である車両用電動機(以下、電動機という)10を示す模式図であり、ロータ18の回転中心線CLを含む縦断面図である。電動機10は、ケースカバー(以下、カバーという)14と、ケース16と、ロータ18と、コイル19(図2を参照)が巻回されたステータコア20とを有する。カバー14は有底円筒状であって外周壁14dと底部14eとを有し、カバー14の底部14eに設けられたベアリング嵌合穴22には、ベアリング24が嵌合されている。また、ケース16は有底円筒状であって外周壁16dと底部16eとを有し、ケース16の底部16eに設けられたベアリング嵌合穴26には、ベアリング28が嵌合されている。このように構成された電動機10は、例えば、交流同期電動機であって、コイル19に供給された3相交流電流によって回転磁場が形成されると、永久磁石が内蔵されたロータ18がその回転磁場に従って回転駆動される。なお、図中の径方向は、回転中心線CLに垂直な方向であり、図中の軸方向は、回転中心線CLに平行な方向である。
【0025】
ケース16の内側には、酸化被膜によって相互に電気的に絶縁された複数の電磁鋼板30(図2を参照)が積層された筒状のステータコア20がケース16と径方向の隙間、すなわち、回転中心線CLと垂直な方向の隙間を隔てた状態で収容されている。ステータコア20のケース16側の端部20dは、複数本の通しボルト34により軸方向、すなわち、電動機10の回転中心線CLに平行な方向に貫通されてケース16に締結されることによりケース16の底部16eに固定されている。ロータ18は、ベアリング24およびベアリング28を介し、ロータ18の回転軸18bが回転中心線CL周りに回転可能にカバー14およびケース16によって支持されている。なお、ステータコア20のカバー14側の端部20cは、カバー14およびケース16のどちらにも固定されていない。このため、ステータコア20は、ケース16側の端部20dだけがケース16の底部16eに固定されて片側だけで支持、すなわち、片持支持されている。
【0026】
図2は、電動機10のステータコア20が傾斜した様子を示す模式図である。また、図3図2の模式的なIII-III視断面図である。なお、図2および図3において、複数本の通しボルト34は省略されている。カバー14には、カバー14の内周面14bからステータコア20のカバー14側に位置するカバー側外周面20aに向かって突設されたカバー14の凸部であるステータコア傾斜抑制部14aが形成されている。また、ケース16には、ケース16の内周面16bからステータコア20のケース16側に位置するケース側外周面20bに向かって突設されたケース16の凸部であるステータコア位置決め部16aが形成されている。ステータコア位置決め部16aは、ステータコア20が複数本の通しボルト34によりケース16に締結される前に、ステータコア20のケース16側の端部20dと、ケース16の底部16eとを位置決めするための凸部である。図3に示すように、ステータコア傾斜抑制部14aは、カバー14の内側に回転中心線CLを中心とした円周C1上に周方向の等間隔で4つ設けられている。ステータコア位置決め部16aについても同様である。
【0027】
図2に示すように、ステータコア20が過大に傾斜した場合には、ステータコア20のカバー側外周面20aがカバー14に設けられたステータコア傾斜抑制部14aに接触する。このため、ステータコア20のカバー側外周面20aの回転中心線CLに垂直な方向の移動が制限されるので、ステータコア20の傾斜を妨げることができる。また、ステータコア位置決め部16aを、ステータコア20が傾斜した時にステータコア20の端部20dと接触するように設けることにより、ステータコア傾斜抑制部14aに加えてステータコア位置決め部16aでもステータコア20の傾斜を妨げることが可能である。
【0028】
図1に戻って、ステータコア20が傾斜していない時のカバー14に設けられたステータコア傾斜抑制部14aとステータコア20のカバー側外周面20aとの間の回転中心線CLに垂直な方向の距離L1は、カバー14の内周面14bとステータコア20のカバー側外周面20aとの間の回転中心線CLに垂直な方向の距離L2およびケース16の内周面16bとステータコア20のケース側外周面20bとの間の回転中心線CLに垂直な方向の距離L3よりも短く設定されている。
【0029】
また、図1および図2に示すように、ステータコア20が傾斜していない時のステータコア傾斜抑制部14aとステータコア20のカバー側外周面20aとの間の距離L1は、ステータコア20が傾斜していない時のステータコア20のカバー側内周面20eとロータ18のカバー側外周面18aとの間の距離L4より短く設定されている。
【0030】
図8は、ステータコア傾斜抑制部が無いカバー314を備えた比較例の電動機310において、ステータコア20が傾斜した様子を示した図である。図8に示すように、電動機310のステータコア20は、ケース314の底部に複数本の通しボルト34により直接固定されているが、カバー314には直接固定されていない。このため、例えば、ステータコア20をケース316に複数本の通しボルト34で締結する際に、締結や組付け時の力、積層された電磁鋼板の厚みのばらつきなどにより一定方向へステータコア20の傾斜が起こる可能性がある。特に、電動機310をその回転中心線CLを水平方向にしておく場合、すなわち電動機310を横置きにした場合には、ケース316側だけでステータコア20が支持される片持支持状態となるため、ステータコア20の傾斜が起こる可能性がある。また、車両の走行中に受ける振動や衝撃などの外力により振動し電動機310が揺れた場合や電磁気力が大きい場合などにステータコア20がたわむことにより、ステータコア20の傾斜が起こる可能性がある。例えば、これらの傾斜が組み合わさった場合、ステータコア20の過大な傾斜が発生し、特にカバー314側においてステータコア20のカバー側内周面がロータ18のカバー側外周面に接近し、ステータコア20と電動機310のロータ18とが接近しすぎる、或いは、干渉するなどの恐れがあった。なお、ステータコア20の過大な傾斜は、ステータコア20が回転中心線CL方向に長い場合、ステータコア20の径が小さい場合、ケースの内側に設けられたステータコア位置決め部の回転中心線CL方向の長さが短い場合等において発生しやすいと考えられる。
【0031】
しかし、本実施例では、図1および図2に示すように、ステータコア20が傾斜していない時のステータコア傾斜抑制部14aとステータコア20のカバー側外周面20aとの間の距離L1は、ステータコア20が傾斜していない時のステータコア20のカバー側内周面20eとロータ18のカバー側外周面18aとの間の距離L4より短く設定されている。このため、ステータコア20とロータ18とが接触する前に、ステータコア傾斜抑制部14aとステータコア20のカバー側外周面20aとが接触するため、ステータコア20の過大な傾斜によりステータコア20とロータ18とが干渉する可能性を低減できる。
【0032】
図4は電動機10のケース16にカバー14をケース16に組み付けるための位置決めの様子を示す図であり、図5は位置決め後の電動機10のケース16にカバー14が組み付けられた状態を示す図である。図4に示すように、カバー14の外周壁14dの先端面には合わせ面14cが設けられ、ケース16の外周壁16dの先端面には合わせ面16cが設けられている。これらの合わせ面14cおよび合わせ面16cは、径方向、すなわち、回転中心線CLに垂直な方向においてステータコア20と重なる位置で互いに面接触するように、それぞれカバー14およびケース16に設けられている。
【0033】
カバー14の合わせ面14cには、カバー14をケース16に位置決めするための複数個の位置決め穴40aが設けられている。ケース16の合わせ面16cには、複数個の位置決め穴40bが回転中心線CLに平行な方向に突設されており、位置決めピン40cが嵌め入れられている。
【0034】
図4に示すように、位置決めピン40cと位置決め穴40aとが嵌合されることにより、カバー14とケース16とがカバー14の内周面14bとケース16の内周面16bとが同心になるように位置決めされる。この時、本実施例おいて内周面14bと内周面16bとが同心となった時の内周面14bおよび内周面16bの中心線は、回転中心線CLと同一である。本実施例では、カバーの位置決め穴40a、ケース16の位置決め穴40b、および、位置決めピン40cが、嵌合位置決め装置40として機能している。
【0035】
ケース16にカバー14を組み付けるにあたり、図4に示すように、まず、電動機10のステータコア20がステータコア位置決め部16aに沿ってケースの端部16eに位置決めされ、複数本の通しボルト34によりケース16に締結されて固定される。その後、ロータ18の回転軸18bがケース16のベアリング嵌合穴26に嵌合されたベアリング28の内径側を通り、ロータ18がケース16に固定されたステータコア20の内側に収容される。次に、ケース16にカバー14が組み付けられるが、この時、ロータ18の回転軸18bがカバー14のベアリング嵌合穴22に嵌合されたベアリング24の内径側を通された後、上記嵌合位置決め装置40によりカバー14がケース16に位置決めされる。その後、図5に示すようにカバー14の合わせ面14cがケース16の合わせ面16cと面接触する状態に組み合わされて、図示しないボルトの締結等によりカバー14とケース16とが互いに固定される。
【0036】
嵌合位置決め装置40は、図5に示すように回転中心線CLに平行な方向の嵌合距離D1を有している。嵌合距離D1は、ケース16にカバー14を組み付ける際の位置決めピン40cの側面とカバー14の位置決め穴40aの内周面とが接触して嵌合が開始される位置から、ケース16とカバー14とが合わせ面16cと合わせ面14cとで面接触して組み合わさることにより位置決めピン40cと位置決め穴40aとの嵌合が終了した状態における位置までのカバー14の移動距離である。なお、位置決めピン40cの前記側面は面取り部分を含まず、位置決め穴40aの前記内周面は面取り部分を含まない。よって、嵌合距離D1は、図5に示すように位置決めピン40cの面取り部分やカバー14の位置決め穴40aの面取り部分がそれぞれの相手と接触する時の距離を除いた距離である。
【0037】
ステータコア傾斜抑制部14aは、カバー14の内周面14bからステータコア20のカバー側外周面20aに向かって突設されている。このため、ケース16にカバー14を組み付ける際に、組付けの誤差や寸法のばらつきによりステータコア20のカバー側外周面20aとステータコア傾斜抑制部14aとの接触が起こりやすくなっている。この接触の可能性を低減するため、カバー14とケース16とが互いの合わせ面14c、16cで組み合わさった状態での、ステータコア20とステータコア傾斜抑制部14aとが重なる部分の回転中心線CLに平行な方向の距離Dsは、嵌合距離D1よりも短く設定されている。
【0038】
図4には、カバー14とケース16とが、合わせ面14cと合わせ面16cとで組み合わさる前の状態であって、ステータコア20とステータコア傾斜抑制部14aとが重なる部分の回転中心線CLに平行な方向の距離が0の状態が示されている。この時、位置決めピン40cの側面とカバー14の位置決め穴40aの側面とは、D1-Dsの距離だけ既に重なっている。よって、図4の状態では既に位置決めが行われているので、ステータコア20のカバー側外周面20aとステータコア傾斜抑制部14aとが接触する可能性が低くなる。
【0039】
上述のように本実施例によれば、外周壁14dを有する有底円筒状のカバー14と、外周壁16dを有する有底円筒状のケース16と、複数の電磁鋼板30が積層された筒状のステータコア20と、ステータコア20の内側に収容されて回転中心線CL周りに回転するロータ18とを有する電動機10であって、ステータコア20は、ケース16側の端部20dがケース16の底部16eに固定され、カバー14およびケース16は、カバー14の内周面14bとケース16の内周面16bとが同心になるように嵌合する嵌合位置決め装置40によって位置決めされるとともに、カバー14の合わせ面14cとケース16の合わせ面16cとが面接触した状態で固定され、カバー14は、ステータコア20の外周面のうちカバー14側に位置するカバー側外周面20aに向かってカバー14の内周面14bから突き出すステータコア傾斜抑制部14aを備えている。このようにすれば、ステータコア20のカバー側外周面20aの回転中心線CLに垂直な方向の移動がステータコア傾斜抑制部14aによって制限されるので、ステータコア20の過大な傾斜を抑制することが可能である。
【0040】
また、上述のように本実施例によれば、ケース16は、ステータコア20のケース側外周面20bに向かってケース16の内周面16bから突き出すステータコア位置決め部16aを備えている。このようにすれば、ステータコア20をケース16に組付ける時に、ステータコア20のケース16側の端部20dのケース16に対する位置決めを容易に行う事ができる。
【0041】
また、上述のように本実施例によれば、カバー14の合わせ面14cとケース16の合わせ面16cとが面接触した状態において、ステータコア20とステータコア傾斜抑制部14aとが回転中心線CLに垂直な方向に重なる部分の回転中心線CLに平行な方向の距離L4は、嵌合位置決め装置40の嵌合距離D1よりも短い。このようにすれば、ステータコア20が固定されたケース16にカバー14を組み付ける時に、ステータコア20とステータコア傾斜抑制部14aとが接触する前に嵌合位置決め装置40による位置決めが行われる。したがって、組付け時のステータコア20とステータコア傾斜抑制部14aとの接触が防止されるので、組付けが容易となる。
【0042】
また、上述のように本実施例によれば、ステータコア傾斜抑制部14aとステータコア20のカバー側外周面20aとの間の回転中心線CLに垂直な方向の距離L1は、ステータコア20のカバー側内周面20eとロータ18のカバー側外周面18aとの間の回転中心線CLと垂直な方向の距離L4より短い。このようにすれば、ステータコア20とロータ18との干渉の可能性を低減できる。
【0043】
また、上述のように本実施例によれば、ステータコア傾斜抑制部14aとステータコア20のカバー側外周面20aとの間の回転中心線CLに垂直な方向の距離L1は、カバー14の内周面14bとステータコア20のカバー側外周面20aとの間の回転中心線CLに垂直な方向の距離L2、および、ケース16の内周面16bとステータコア20のケース側外周面20bとの間の回転中心線CLに垂直な方向の距離L3よりも短い。このようにすれば、ステータコア20のカバー側外周面20aの回転中心線CLに垂直な方向の移動がステータコア傾斜抑制部14aによって制限されるので、ステータコア20の過大な傾斜を抑制することが可能である。
【0044】
また、上述のように本実施例によれば、前記面接触した状態でのカバー14の合わせ面14cおよびケース16の合わせ面16cは、回転中心線CLに垂直な方向においてステータコア20と重なる位置にある。このようにすれば、カバー14およびケース16の回転中心線CLに平行な方向の寸法を抑制できるので組付けが容易となる。
【0045】
また、上述のように本実施例によれば、ステータコア傾斜抑制部14aは、カバー14の内周面14bからステータコア20のカバー側外周面20aに向かって一体に突設されたカバー14の凸部である。このようにすれば、ステータコア20のカバー側外周面20aの回転中心線CLに垂直な方向の移動がステータコア傾斜抑制部14aによって制限されるので、ステータコア20の過大な傾斜を抑制することが可能である。
【0046】
また、上述のように本実施例によれば、ステータコア20は、複数本の通しボルト34により回転中心線CLに平行な方向に貫通されてケース16の底部14eに締結されている。このようにすれば、ステータコア20が傾斜した時に複数本の通しボルト34でも支持されるため、ステータコア20の過大な傾斜を抑制できる。
【実施例2】
【0047】
次に、本発明の他の実施例を説明する。なお、以下の説明において、実施例相互に共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0048】
図6は、本発明の別の実施例を説明する図であり、図1に対応する図である。本実施例の電動機110のカバー114は有底円筒状であって、カバー114の合わせ面114cの内側から図6の下方に突き出す円筒状の嵌合凸部である外周壁114dと、底部114eとを有する。また、カバー114には、カバー114の内周面114bからステータコア20のカバー側外周面20aに向かって突設されたカバー114の凸部であるステータコア傾斜抑制部114aが形成されている。ケース116は有底円筒状であって外周壁116dと底部116eとを有し、ケース116の外周壁116dには、外周壁116dの先端面に設けられた合わせ面116cから図6の下方に向かって掘り下げられた凹部140aが設けられている。
【0049】
カバー114をケース116に組付ける際には、外周壁114dの側面と凹部140aの内周面とが接触することにより、内周面114bとケース116の内周面116bとが同心になるように位置決めされる。その後、合わせ面114cと合わせ面116cとが面接触した状態で、図示しないボルトの締結等によりカバー114とケース116とが互いに固定される。本実施例において、カバー114の外周壁114dとケース116の凹部140aとは、嵌合位置決め装置140として機能するものであり、図6に示すように回転中心線CLに平行な方向の嵌合距離D2を有する。
【0050】
嵌合距離D2は、ケース116にカバー114を組み付ける際の外周壁114dの側面と凹部140aの内周面とが接触して嵌合が開始される位置から、カバー114とケース116とが合わせ面114cと合わせ面116cとで面接触して組み合わさることにより外周壁114dと凹部140aとの嵌合が終了した状態における位置までのカバー114の移動距離である。なお、外周壁114dの前記側面は面取り部分を含まず、凹部140aの内周面は面取り部分を含まない。
【0051】
図6に示すように、カバー114とケース116とが互いの合わせ面114c、116cで面接触し組み合わさった状態での、ステータコア20とステータコア傾斜抑制部114aとが重なる部分の回転中心線CLに平行な方向の距離Dsは、嵌合距離D2よりも短く設定されている。本実施例においても、前述の実施例1のステータコア位置決め部16aに関連する効果、および、面接触した状態でのカバー14およびケース16の合わせ面14c、16cが回転中心線CLに垂直な方向においてステータコア20と重なる位置にあることによる効果を除き、実施例1と同様の効果が得られる。
【0052】
なお、本実施例のケース116に対し、実施例1と同様に、ケース116の内周面116bからステータコア20のケース側外周面20bに向かって突設された複数個のステータコア位置決め部が追加されてもよい。
【0053】
また、本実施例では、面接触した状態でのカバー114の合わせ面114cおよびケース116の合わせ面116cは、回転中心線CLに垂直な方向においてステータコア20と重なっておらずケース116側にずれているが、前記面接触した状態でのカバー114の合わせ面114cおよびケース116の合わせ面116cが回転中心線CLに垂直な方向においてステータコア20と重なる位置となる形状であってもよい。
【実施例3】
【0054】
図7は、本発明のさらに別の実施例を説明する図であり、図1に対応する図である。本実施例の電動機210において、カバー214は有底円筒状であって外周壁214dと底部214eとを有し、ケース216は有底円筒状であって外周壁216dと底部216eとを有している。カバー214には、カバー214の内周面214bからステータコア20のカバー側外周面20aに向かって突設されたカバー214の凸部であるステータコア傾斜抑制部214aが形成されている。また、ケース216には、ケース216の内周面216bからステータコア20のカバー側外周面20aに向かって突設されたケース216の凸部である複数個のステータコア位置決め部216aが形成されている。
【0055】
本実施例では、ロータ18に圧入されたカバー214側のベアリング24と、カバー214のベアリング嵌合穴222とが、嵌合位置決め装置240として機能する。具体的には、ケース216のベアリング嵌合穴226にロータ18に圧入されたベアリング28が嵌め入れられることで、ケース216とロータ18とが回転中心線CLに垂直な方向において互いに位置決めされる。次にロータ18に圧入されたカバー214側のベアリング24の側面とカバー214のベアリング嵌合穴222の内周面とが接触しつつカバー214が組み付けられることにより、ロータ18とカバー214とが回転中心線CLに垂直な方向において互いに位置決めされる。したがって、カバー214とケース216はロータ18を介して、有底円筒状であるカバー214の内周面214bと有底円筒状であるケース216の内周面216bとが同心になるよう互いに位置決めされる。そして、位置決めされた合わせ面214cと合わせ面216cとが面接触した状態で、図示しないボルトの締結等によりカバー214とケース216とが互いに固定される。
【0056】
図7に示すように嵌合位置決め装置240も、回転中心線CLに平行な方向の嵌合距離D3を有する。嵌合距離D3は、ケース216にカバー214を組み付ける際のベアリング嵌合穴222の内周面とベアリング24の側面とが接触して嵌合が開始される位置から、カバー214とケース216とが合わせ面214cと合わせ面216cとで面接触して組み合わさることによりベアリング嵌合穴222とベアリング24との嵌合が終了した状態における位置までのカバー214の移動距離である。なお、ベアリング嵌合穴222の前記内周面は面取り部分を含まず、ベアリング24の前記側面は面取り部分を含まない。
【0057】
図7に示すように、カバー214の合わせ面214cとケース216の合わせ面216cとが面接触した状態での、ステータコア20とステータコア傾斜抑制部214aとが重なる部分の回転中心線CLに平行な方向の距離Dsは、嵌合距離D3よりも短く形成されている。本実施例においても、前述の実施例1と同様の効果が得られる。
【0058】
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
【0059】
例えば、前述の実施例1から3において、複数個のステータコア傾斜抑制部14a、114a、214aは、カバー14、114、214の内側に回転中心線CLを中心とした円周C1上に周方向の等間隔で4つ設けられていたが(図3参照)、例えば2つや5つでもよく、また、1つの環状の凸部であっても良い。また、等間隔でなくともよい。ステータコア位置決め部16a、216aについても同様である。
【0060】
また、前述の実施例1から3では、ステータコア傾斜抑制部14a、114a、214aはカバー14、114、214の内周面14b、114b、214bからステータコア20のカバー側外周面20aに向かって突設されていたが、例えば、ステータコア傾斜抑制部は、カバー14、114、214に取り付けることにより備えられる別の部品、例えば内周面14b、114b、214bに取り付けられ、ステータコア20のカバー側外周面20aに向かって突き出すネジなどであってもよい。ステータコア位置決め部についても同様である。
【0061】
また、前述の実施例1から3において、嵌合位置決め装置40、140、240として位置決めピン40c、ケース116の凹部140a、ベアリング24等が使用されたが、カバー14、114、214とケース16、116、216とを締結する際に位置決めボルトを使用し、その位置決めボルトを嵌合位置決め装置として機能させてもよい。
【0062】
また、前述の実施例1から3において、ステータコア20は、複数本の通しボルト34により回転中心線CLに平行な方向に貫通されてケース16、116、216の底部16e、116e、216eに締結されて片持支持されている。しかし、複数本の通しボルト34を使用せず、例えば圧入等によりステータコア20のケース16、116、216側の端部20dがケース16の底部16e、116e、216eに固定されていてもよい。また、図1および図4から図7では、通しボルト34は2本示されていたがこれに限らない。また、前述の電動機10、110、210は同期電動機、誘導電動機などであってもよい。
【0063】
また、前述の実施例1では、カバー14に備えられた位置決め穴40aとケース16に備えられた位置決めピン40cが嵌合位置決め装置40として用いられていたが、位置決めピンがカバー14に備えられて、ケースに備えられた位置決め穴40bに挿通されるものであってもよい。また、例えば、カバー14の外周壁14dの先端面とケース16の外周壁16dの先端面との一方に備えられた嵌合突起と、他方に備えられて前記嵌合突起が嵌め入れられる嵌合穴とが嵌合位置決め装置として機能するものであってもよく、その嵌合距離を前記嵌合突起の付き出し距離としてもよい。
【0064】
また、前述の実施例1では、嵌合距離D1は位置決めピン40cの面取り部分やカバー14の位置決め穴40aの面取り部分がそれぞれの相手と接触する時の距離を除くものであったが、組付け時のステータコア20のカバー側外周面20aとステータコア傾斜抑制部14aとの接触が防止できるのであれば、前記面取り部分がそれぞれの相手と接触する時の距離を除かない距離Dmを嵌合距離として使用してもよい。嵌合距離D2および嵌合距離D3についても同様である。
【0065】
尚、上述したのはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
【符号の説明】
【0066】
10、110、210:電動機(車両用電動機)
14、114、214:カバー(ケースカバー)
14a、114a、214a:ステータコア傾斜抑制部
14b、114b、214b:内周面
14c、114c、214c:合わせ面
14d、114d、214d:外周壁
16、116、216:ケース
16a、216a:ステータコア位置決め部
16b、116b、216b:内周面
16c、116c、216c:合わせ面
16d、116d、216d:外周壁
16e、116e、216e:底部
18:ロータ
20:ステータコア
20a:カバー側外周面(ケースカバー側外周面)
20b:ケース側外周面
20d:ケース側の端部
34:複数本の通しボルト
40、140、240:嵌合位置決め装置
CL:回転中心線
D1、D2、D3、Dm:嵌合距離
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8