(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】切り粉検出方法及び切り粉検出装置
(51)【国際特許分類】
B23Q 17/00 20060101AFI20221220BHJP
B23Q 7/04 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
B23Q17/00 A
B23Q7/04 J
(21)【出願番号】P 2018233925
(22)【出願日】2018-12-13
【審査請求日】2021-10-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000196705
【氏名又は名称】西部電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136180
【氏名又は名称】羽立 章二
(72)【発明者】
【氏名】野村 潤
(72)【発明者】
【氏名】井上 広士
(72)【発明者】
【氏名】原口 勲
【審査官】増山 慎也
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-243843(JP,A)
【文献】実開昭51-002265(JP,U)
【文献】実開昭61-056506(JP,U)
【文献】特開2007-283461(JP,A)
【文献】特開2012-139757(JP,A)
【文献】実開平05-031884(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 17/00
B23Q 7/04
G01B 5/00、20
G01B 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークに切り粉が付着しているか否かを判定する切り粉検出方法であって、
複数の爪部が、前記ワークの外面
の被接触面に対して、それぞれ、
外側から近づいて接触する爪部移動ステップと、
測長部が、
接触後の前記爪部の間の距離を測定する測定ステップと、
判定部が、前記測長部が測定した前記距離を用いて、前記ワークに切り粉が付着しているか否かを判定する判定ステップを含
み、
前記被接触面は、切削加工がなされたものであって、前記ワークを固定する部分よりも下側に位置し、
前記複数の爪部は、前記切削加工によって下側が大きな形状が生じている部分に対して接触し、
前記各爪部の先端は、前記被接触面とは逆の凹凸をもつ、切り粉検出方法。
【請求項2】
前記切り粉は、切り粉巻きであり、
前記判定部は、前記ワークの前記被接触面に切り粉巻きが付着しているか否かを判定する、請求項1記載の切り粉検出方法。
【請求項3】
第1加工部により切削加工された
前記ワークが反転移載部によって反転移載された後にローダー用チャックに存在する状態で前記爪部が前記ワークに接触して前記ワークに切り粉が付着しているか否かを判定し、切り粉が付着していないと判定されたならば第2加工部による切削加工が行われる、請求項1又は2に記載の切り粉検出方法。
【請求項4】
ワークに切り粉が付着しているか否かを判定する切り粉検出装置であって、
複数の爪部と、測長部と、判定部を備え、
前記複数の爪部は、前記ワークの外面
の被接触面に対して、それぞれ
、外側から近づいて接触し、
前記測長部は、
接触後の前記爪部の間の距離を測定し、
前記判定部は、前記測長部が測定した前記距離を用いて、前記ワークに切り粉が付着しているか否かを判定
し、
前記被接触面は、切削加工がなされたものであって、前記ワークを固定する部分よりも下側に位置し、
前記複数の爪部は、前記切削加工によって下側が大きな形状が生じている部分に対して接触し、
前記各爪部の先端は、前記被接触面とは逆の凹凸をもつ、切り粉検出装置。
【請求項5】
前記切り粉は、切り粉巻きであり、
前記判定部は、前記ワークの前記被接触面に切り粉巻きが付着しているか否かを判定する、請求項4記載の切り粉検出装置。
【請求項6】
第1加工部により切削加工された
前記ワークが反転移載部によって反転移載された後にローダー用チャックに存在する状態で前記爪部が前記ワークに接触して前記ワークに切り粉が付着しているか否かを判定し、切り粉が付着していないと判定されたならば第2加工部による切削加工が行われる、請求項4又は5に記載の切り粉検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切り粉検出方法及び切り粉検出装置に関し、特に、ワークに切り粉が付着しているか否かを判定する切り粉検出方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
切削加工用工作機械における自動化運転において、ワーク(加工対象)への切り粉巻きは、次工程加工の精度や連続運転稼働率に影響する。そのため、特許文献1乃至4にあるように、種々の方法で、確認や対策が行われている。
【0003】
特許文献1には、ワークの密着度を流体で確認しつつ加工を行うことにより、着座面に対するワークの着座不良を防止することが記載されている。特許文献2には、主軸を回転させたときの相対的な位置関係の変化(取付物の振れ)を検出することが記載されている。特許文献3には、清掃後のワークに対して画像処理により切り粉を検出することが記載されている。特許文献4には、リングセンサに接触する切り粉を検出することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-098525号公報
【文献】特開2007-260885号公報
【文献】特開2017-013182号公報
【文献】特開2006-212737号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2は、加工を行うときに切り粉を検出するものである。ワークを主軸チャックに取り付けた状態を必要とし、かつ、端面部の切り粉を対象にする。特に、ワークとチャックのクリアランスが小さい場合には、ワークをチャックに取り付けることがキズなどの原因となる。
【0006】
さらに、特許文献3は、切削油や切り粉などがある環境で、切り粉を検出できるとは限らない。また、特許文献4は、シャフト状のワークのみを対象とする。さらに、特許文献3及び特許文献4は、加工後に、清掃して切り粉巻きを検出するものである。
【0007】
よって、本発明は、加工前(ワークを主軸チャックに取り付ける前)に、切り粉を検出することが可能な切り粉検出方法等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明の第1の観点は、ワークに切り粉が付着しているか否かを判定する切り粉検出方法であって、複数の爪部が、前記ワークの外面及び内面の少なくとも一方の一部又は全部に対して、それぞれ、異なる向きに移動して接触する爪部移動ステップと、測長部が、移動後の前記爪部の間の距離を測定する測定ステップと、判定部が、前記測長部が測定した前記距離を用いて、前記ワークに切り粉が付着しているか否かを判定する判定ステップを含む。
【0009】
本願発明の第2の観点は、第1の観点の切り粉検出方法であって、前記各爪部は、接触部を備え、前記接触部は、前記ワークの外面及び内面の少なくとも一方の一部又は全部である被接触面とは逆の凹凸をもち、前記爪部移動ステップにおいて、前記各爪部の接触部が、対応する形状の前記ワークの前記被接触面に向かって移動する。
【0010】
本願発明の第3の観点は、第1又は第2の観点の切り粉検出方法であって、前記判定ステップにおいて、前記判定部は、前記爪部が近づいてワークに接触する場合には、前記距離が、基準距離よりも遠いならば、切り粉が付着していると判定し、前記距離が、基準距離よりも近いならば、切り粉が付着していないと判定し、前記爪部が離れてワークに接触する場合には、前記距離が、基準距離よりも近いならば、切り粉が付着していると判定し、前記距離が、基準距離よりも遠いならば、切り粉が付着していないと判定する。
【0011】
本願発明の第4の観点は、第3の観点の切り粉検出方法であって、前記各爪部が接触する被接触面は、切削加工がなされたものであり、前記基準距離は、前記ワークを加工する加工用工作機械の加工精度を用いて定められる。
【0012】
本願発明の第5の観点は、第1から第4のいずれかの観点の切り粉検出方法であって、前記ワークが、前記ワークを移動させるためにローダーチャックに存在する状態で、前記ワークに切り粉が付着しているか否かを判定する。
【0013】
本願発明の第6の観点は、ワークに切り粉が付着しているか否かを判定する切り粉検出装置であって、複数の爪部と、測長部と、判定部を備え、前記複数の爪部は、前記ワークの外面及び内面の少なくとも一方に対して、それぞれ異なる向きに移動して接触し、前記測長部は、移動後の前記爪部の間の距離を測定し、判定部は、前記測長部が測定した前記距離を用いて、前記ワークに切り粉が付着しているか否かを判定する。
【発明の効果】
【0014】
本願発明の各観点によれば、複数の爪部を利用して切り粉巻きを検出するための装置を、加工部とは別に、専用に取り付けたり、搬送用チャックを利用したりして実現することができる。そのため、加工前(ワークをチャックに取り付ける前)に切り粉を確認でき、加工処理と同時進行に確認する工程とすることができる。さらに、切り粉巻きなどを確認するときに、ワーク形状や大きさ、切り粉のサイズなどの影響を受けにくい。さらに、切り粉が巻きやすい場所を狙って検出することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本願発明の実施の形態に係る加工用工作機械の(a)構成の一例を示すブロック図と、(b)動作の一例を示すフロー図である。
【
図2】
図1(b)のステップST3、ST4、ST5及びST6の処理を具体的に説明するための図である。
【
図3】(a)、(b)及び(c)は、それぞれ、
図1(a)における第1加工ローダー部、第2加工ローダー部、及び、全体の具体的な構成の一例を示し、(d)は、切り粉噛み検知部が内面を測定する場合の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本願発明の実施例について述べる。なお、本願発明の実施の形態は、以下の実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0017】
図1は、本願発明の実施の形態に係る加工用工作機械の(a)構成の一例を示すブロック図と、(b)動作の一例を示すフロー図である。
【0018】
図1の加工用工作機械1は、加工前ワーク供給部2が供給するワーク3を切削加工し、加工後のワーク3を加工ワーク保管部5に保管する。
図1は、2頭の場合であるが、本願発明は、加工前に、ワーク3に付着する切り粉を検出するものであり、1頭でもよく、3頭など、さらに多い頭数でもよい。
【0019】
図1(a)を参照して、加工用工作機械1は、第1加工部11と、第1加工ローダー部13と、反転移載部15と、第2加工ローダー部17と、切り粉噛み検知部18(本願請求項の「切り粉検出装置」の一例)と、第2加工部19と、NG回収部21とを備える。第1加工部11は、第1主軸チャック31を備える。第2加工部19は、第2主軸チャック39を備える。
【0020】
第1加工ローダー部13は、第1加工ローダー用チャック32と、第1加工アンローダー用チャック33を備える。第2加工ローダー部17は、第2加工ローダー用チャック35(本願請求項の「ローダー用チャック」の一例)と第2加工アンローダー用チャック37を備える。第2加工部19は、第2主軸チャック39を備える。各チャックは、ワーク3を固定する工具である。
【0021】
切り粉噛み検知部18は、第1爪部41及び第2爪部43(第1爪部及び第2爪部が、本願発明の「複数の爪部」の一例)と、測長部45(本願発明の「測長部」の一例)と、判定部47(本願発明の「判定部」の一例)を備える。
【0022】
図1(b)を参照して、第1加工ローダー部13は、加工前ワーク供給部2のワーク3(加工前のワーク3)を、第1加工ローダー用チャック32に固定して移動し、第1加工部11の第1主軸チャック31に固定する(ステップST1)。第1加工部11は、第1主軸チャック31に固定されたワーク3に対して切削加工を行う(ステップST2)。第1加工ローダー部13は、第1加工アンローダー用チャック33により第1切削加工されたワーク3を固定し、第1主軸チャック31は、ワーク3を解放する。
【0023】
第1加工ローダー部13は、ワーク3を、反転移載部15に移動し、第1加工アンローダー用チャック33はワーク3を解放する。反転移載部15は、ワーク3を反転移載する(ステップST3)。第2加工ローダー部17は、反転移載後のワーク3を、第2加工ローダー用チャック35により固定して移動する(ステップST4)。第2加工ローダー用チャック35に固定されたワーク3は、反転移載されたものである。そのため、第2加工ローダー用チャック35は、第1切削加工された面を外側にして、ワーク3を固定している。
【0024】
切り粉噛み検知部18は、第2加工ローダー用チャック35に固定されたワーク3の第1切削加工された加工面(本願発明の「被接触面」の一例)に対して、第1爪部41及び第2爪部43を、それぞれ、反対方向から、ワーク3やその切り粉巻きなどに接触するまで移動する(ステップST5)。測長部45は、第1爪部41と第2爪部43との間の距離を測定する(ステップST6)。
【0025】
判定部47は、測長部45が測定した距離と基準距離とを用いて、切り粉が存在するか否かを判定する(ステップST7)。例えば、第1爪部41と第2爪部43がワーク3の外側から近づいてワーク3に接触する場合には、測定した距離が基準距離よりも遠い(測定した距離が基準距離よりも大きい)ならば切り粉が付着していると判定し、測定した距離が基準距離よりも近い(測定した距離が基準距離よりも小さい)ならば切り粉が付着していないと判定する。例えば、第1爪部41と第2爪部43がワーク3の内側から遠のいてワーク3に接触する場合には、測定した距離が基準距離よりも近いならば切り粉が付着していると判定し、測定した距離が基準距離よりも遠いならば切り粉が付着していないと判定する。
【0026】
基準距離は、ワーク3に対して第1切削加工が設計どおりになされ、かつ、切り粉巻きなどが無い状態を想定して、加工精度を加味して決定する。すなわち、第1爪部41と第2爪部43との間の距離が、切り粉巻きが存在しない場合には基準距離未満となり、切り粉巻きが存在する場合には基準距離以上となるように決定する。
【0027】
判定部47が、基準距離未満と判定した場合には、第2加工ローダー部17は、ワーク3を、第2加工部19に移動して第2主軸チャックに固定する。第2主軸チャック39がワーク3を固定して、第2加工ローダー用チャック35はワーク3を解放し、第2加工部19は、第2切削加工を行う(ステップST8)。第2加工ローダー部17は、第2加工アンローダー用チャック37により第2切削加工されたワーク3を固定し、第2主軸チャック39は、ワーク3を解放する。第2加工ローダー部17は、第2加工部19から加工後のワーク3を取り出し、加工ワーク保管部5に移動する(ステップST9)。
【0028】
判定部47が基準距離以上と判定した場合には、第2加工ローダー部17は、ワーク3をNG回収部21に移動する(ステップST10)。
【0029】
図2を参照して、
図1(b)のステップST3、ST4、ST5及びST6の処理を具体的に説明する。
【0030】
図2(a)を参照して、ワーク3は、反転移載部15により反転移載された状態である。第1切削加工された部分は、図の下側である。
図2(b)を参照して、第2加工ローダー用チャック35は、第1切削加工された部分を外側にして、ワーク3を固定する。
【0031】
図2(c)を参照して、第1爪部41は、第1爪部基部51と、第1爪部接触部53と、第1爪部変位特定部55を備える。第2爪部43は、第2爪部基部57と、第2爪部接触部59と、第2爪部変位特定部61を備える。第1爪部41と第2爪部43とは、ワーク3を基準に反対側に、ワーク3から離れて位置する。
図2(c)では、第1爪部41はワーク3の左側に位置し、第2爪部43はワーク3の右側に位置する。第1爪部接触部53及び第2爪部接触部59の先端は、ワーク3の第1切削加工された面の一部である被接触面とは逆の凹凸をもつ。この実施例では、ワーク3において、球状加工の部分と円錐台状加工の部分とによる、くびれ(すなわち、下側が大きな形状の部分)が生じている部分において、切り粉巻きが存在する可能性が高いとして、この部分の面に対して接触することとし、この部分の凹凸とは逆の凹凸を持つとする。なお、被接触面の凹凸と、第1爪部接触部53及び第2爪部接触部59の先端の凹凸とは、切り粉巻き63が検出できる範囲で、対応すればよい。例えば、切り粉巻き63が検出できるのであれば、球状加工の部分についても、接触部は、最も上部に接し、それよりも下の部分については、円錐台状のものであってもよい。また、他の部分に接触するようにしてもよく、例えば、加工面全体に接触するものであってもよい。
【0032】
図2(d)を参照して、切り粉噛み検知部18は、第1爪部41を、図の右へ、ワーク3やその切り粉巻きなどに接触するまで移動する。同様に、第2爪部43を、図の左へ、ワーク3やその切り粉巻きなどに接触するまで移動する。
図2(d)は、切り粉巻きが存在しない場合であり、この場合、第1爪部接触部53及び第2爪部接触部59が、共に、ワーク3に接触して、第1爪部変位特定部55及び第2爪部変位特定部61は、最も近くなる。測長部45は、第1爪部変位特定部55の先端(最も右側の部分)と第2爪部変位特定部61の先端(最も左側の部分)との間の距離を測定する。基準距離は、
図2(d)の場合には、測定した距離が基準距離未満となるようにする。
【0033】
図2(e)及び
図2(f)を参照して、切り粉巻き63が存在する場合について説明する。
図2(e)を参照して、第1爪部41及び第2爪部43は、ともに、切り粉巻き63よりも離れた位置にある。切り粉噛み検知部18は、第1爪部41を図の右へ、第2爪部43を図の左へ、移動する。
図2(f)にあるように、切り粉巻き63が存在する場合には、第1爪部接触部53と第2爪部接触部59の少なくとも一方が、切り粉巻き63に接触して、第1爪部変位特定部55及び第2爪部変位特定部61は、
図2(d)よりも離れた状態になる。測長部45は、第1爪部変位特定部55の先端(最も右側の部分)と第2爪部変位特定部61の先端(最も左側の部分)との間の距離を測定する。基準距離は、
図2(f)の場合には、測定した距離が基準距離以上となるようにする。
【0034】
このように、切り粉巻き63が存在する場合には、第1爪部41と第2爪部43が離れた状態になることを利用して、切り粉巻き63が存在するか否かを判定することができる。ワーク3における切り粉巻き63などは、加工用工作機械1における自動化運転において、次工程加工の精度や連続運転稼働率に影響を与える。本願発明によれば、爪部の間の距離を測定するというシンプルな処理によって、この切り粉を検出し、切り粉があれば加工ラインから自動的に外して次工程には投入しないために、自動化運転の性能を向上させることができる。
【0035】
図3の(a)及び(b)は、それぞれ、
図1(a)における第1加工ローダー部13、及び、第2加工ローダー部17の具体的な構成の一例を示す。
【0036】
図3(a)を参照して、第1加工ローダー部13は、第1加工ローダー用チャック32と第1加工アンローダー用チャック33を備える。第1加工ローダー用チャック32は、加工前のワーク3を第1主軸チャック31に取り付けるためのものである。第1加工アンローダー用チャック33は、加工後のワーク3を第1主軸チャック31から取り出すためのものである。
【0037】
図3(b)を参照して、第2加工ローダー部17は、第2加工ローダー用チャック35と第2加工アンローダー用チャック37を備える。第2加工ローダー用チャック35は、加工前のワーク3を第2主軸チャック39に取り付けるためのものである。第2加工アンローダー用チャック37は、加工後のワーク3を第2主軸チャック39から取り出すためのものである。
【0038】
図3(c)は、それぞれ、
図1(a)の全体の具体的な構成の一例を示す。従来の加工装置を利用して実現することができる。
【0039】
図3(d)は、切り粉噛み検知部18が内面を測定する場合の一例を示す図である。第1爪部接触部71及び第2爪部接触部73は、ワーク3の内面の形状に合わせたものである。切り粉噛み検知部18は、第1爪部41及び第2爪部43がワーク3の内側にある状態で、第1爪部41を図の左へ、ワーク3やその切り粉巻きなどに接触するまで移動する。同様に、第2爪部43を、図の右へ、ワーク3やその切り粉巻きなどに接触するまで移動する。
【0040】
このように、
図2にあるように爪部がワークの外側から近づいて外面に接触することにより切り粉を検出してもよく、
図3(d)にあるように爪部がワークの内側から広がって内面に接触することにより切り粉を検出してもよい。
【0041】
なお、測長部45は、例えば、非接触の渦電流式センサを利用して精密な測定を行うことにより、現時点では、ほとんどの切り粉巻きを検出することができている。爪への組み込みが可能であれば、他の種類の測長センサを利用してもよい。
【0042】
さらに、本願発明は、第2加工ローダー用チャック35に固定されたワーク3に対して行うことができるため、切り粉噛み検知部18を第2加工ローダー部17に搭載するようにしてもよい。さらに、第2加工ローダー用チャック35を切り粉噛み検知部18として、第1爪部41及び第2爪部43で固定して移動することも可能である。すなわち、切り粉噛み検知部18は、専用に取り付けてもよく、搬送用チャックとして実現してもよい。
【0043】
さらに、第1爪部41と第2爪部43の爪形状を変更することで、種々のワーク(形状・場所・大きさ)に対応することもでき、また、確認位置を変更することも容易である。爪は、親子爪形式で、子爪の交換で容易に段替えをすることもできる。さらに、加工用工作機械1において、必要に応じて、加工前後で、ワーク3や各チャックなどへのエアブローやクーラントなどで清掃を行うことで、さらに連続運転稼働率を上げることができる。
【符号の説明】
【0044】
1 加工用工作機械、2 加工前ワーク供給部、3 ワーク、5 加工ワーク保管部、11 第1加工部、13 第1加工ローダー部、15 反転移載部、17 第2加工ローダー部、18 切り粉噛み検知部、19 第2加工部、21 NG回収部、31 第1主軸チャック、32 第1加工ローダー用チャック、33 第1加工アンローダー用チャック、35 第2加工ローダー用チャック、37 第2加工アンローダー用チャック、39 第2主軸チャック、41 第1爪部、43 第2爪部、45 測長部、47 判定部、51 第1爪部基部、53,71 第1爪部接触部、55 第1爪部変位特定部、57 第2爪部基部、59,73 第2爪部変位特定部、61 第2爪部変位特定部、63 切り粉巻き