(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】機械式駐車装置とその制御方法
(51)【国際特許分類】
E04H 6/18 20060101AFI20221220BHJP
【FI】
E04H6/18 606B
(21)【出願番号】P 2018237180
(22)【出願日】2018-12-19
【審査請求日】2021-10-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000198363
【氏名又は名称】IHI運搬機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097515
【氏名又は名称】堀田 実
(74)【代理人】
【識別番号】100136700
【氏名又は名称】野村 俊博
(72)【発明者】
【氏名】山田 圭介
【審査官】須永 聡
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-207671(JP,A)
【文献】特開2014-109102(JP,A)
【文献】特開2014-109167(JP,A)
【文献】特開2008-095324(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 6/00-6/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を載せるパレットを昇降路に沿って昇降可能なリフト台と、
入出庫レベルと該入出庫レベルより下方の格納レベルとの間で前記リフト台を昇降駆動するリフト駆動装置と、を備え、
前記リフト駆動装置は、前記リフト台の四隅を吊り下げて昇降する4本の紐部材と、
前記入出庫レベルより下方に設置され、4本の前記紐部材を同期して昇降駆動する昇降駆動装置と、を有し、
前記リフト台は、前記車両が前記入出庫レベルに位置するときに前記入出庫レベルより下方に位置し、前記紐部材の一端が固定された下部支持フレームを有し、
前記昇降駆動装置は、前記入出庫レベルより下方に位置し、前記昇降路の長辺方向外側の両側に設置された1対の第1固定架台と、
前記第1固定架台に設けられ、前記昇降路の四隅に位置し、水平軸を中心に回転駆動され、前記紐部材を昇降駆動する4つの紐部材駆動輪と、
前記紐部材駆動輪を同期して回転駆動する同期駆動装置と、を有し、
前記紐部材の他端は、前記紐部材駆動輪より長辺方向外側で前記第1固定架台に固定されており、
前記昇降駆動装置は、前記他端と前記紐部材駆動輪との間に位置し、水平軸を中心に自由回転する紐部材案内輪を介して吊下げられた、カウンターウェイトを有する、機械式駐車装置。
【請求項2】
前記昇降路の四隅に設けられ前記入出庫レベルに近傍の上端から最下端の前記格納レベルの下方まで鉛直に延び、前記リフト台の昇降を案内する4本のガイドレールを備える、請求項1に記載の機械式駐車装置。
【請求項3】
前記リフト台は、前記下部支持フレームの長辺方向の両側に設置され、前記車両が前記入出庫レベルに位置するときに前記入出庫レベルより下方に位置する1対の上部支持フレームと、
前記上部支持フレームにそれぞれ設けられた上部横行駆動装置と、を有し、
前記上部横行駆動装置は、前記入出庫レベルに位置する前記パレットの前記長辺方向の両端を支持し、前記パレットをその短辺方向に水平移動させる複数の駆動ローラを有する、請求項1に記載の機械式駐車装置。
【請求項4】
前記リフト台は、前記パレットの支持位置と前記パレットの前記長辺方向の両端より外側の退避位置との間で前記上部横行駆動装置を水平移動させるスライド駆動装置と、
前記上部横行駆動装置より下方に位置し、前記パレットの前記長辺方向の両端を支持し、前記パレットをその短辺方向に水平移動させる複数の駆動ローラを有する下部横行駆動装置と、
前記下部支持フレームの中央部に設置され、前記上部横行駆動装置を前記退避位置に水平移動した状態で、前記下部横行駆動装置に支持される高さと前記上部横行駆動装置で支持される高さとの間で前記パレットを昇降するパレット昇降装置と、を有する、請求項3に記載の機械式駐車装置。
【請求項5】
車両を載せるパレットを昇降路に沿って昇降可能なリフト台と、
入出庫レベルと該入出庫レベルより下方の格納レベルとの間で前記リフト台を昇降駆動するリフト駆動装置と、を備え、
前記リフト駆動装置は、前記リフト台の四隅を吊り下げて昇降する4本の紐部材と、
前記入出庫レベルより下方に設置され、4本の前記紐部材を同期して昇降駆動する昇降駆動装置と、を有し、
前記リフト台は、前記車両が前記入出庫レベルに位置するときに前記入出庫レベルより下方に位置し、前記紐部材の一端が固定された下部支持フレームを有する、
機械式駐車装置の制御方法であって、連続入庫時において、
(A)上部横行駆動装置と下部横行駆動装置により上下のパレットをそれぞれ支持した状態で、前記入出庫レベルで上側のパレット上に前記車両を入庫させ、
(B)前記リフト台を下方の格納レベルまで下降させて、前記車両が載るパレットを前記リフト台の外側に横行させ、
(C)前記リフト台を前記入出庫レベルまで上昇させ、並行して、前記上部横行駆動装置を退避位置に退避させた状態で、パレット支持台の上昇により前記下部横行駆動装置に支持される空パレットを前記上部横行駆動装置のレベルまで上昇させ、次いで、前記上部横行駆動装置を支持位置に復帰する、機械式駐車装置の制御方法。
【請求項6】
車両を載せるパレットを昇降路に沿って昇降可能なリフト台と、
入出庫レベルと該入出庫レベルより下方の格納レベルとの間で前記リフト台を昇降駆動するリフト駆動装置と、を備え、
前記リフト駆動装置は、前記リフト台の四隅を吊り下げて昇降する4本の紐部材と、
前記入出庫レベルより下方に設置され、4本の前記紐部材を同期して昇降駆動する昇降駆動装置と、を有し、
前記リフト台は、前記車両が前記入出庫レベルに位置するときに前記入出庫レベルより下方に位置し、前記紐部材の一端が固定された下部支持フレームを有する、
機械式駐車装置の制御方法であって、連続出庫時において、
(A)上部横行駆動装置と下部横行駆動装置によりパレットを支持しない状態で、前記リフト台を下方の格納レベルまで下降させて、前記車両が載るパレットを前記リフト台の外側から前記上部横行駆動装置の上に横行させ、
(B)前記リフト台を前記入出庫レベルまで上昇させ、前記入出庫レベルで上側のパレットから前記車両を出庫させ、
(C)前記リフト台を下方の格納レベルまで再下降させ、並行して、パレット支持台の上昇により空パレットを支持し、次いで前記上部横行駆動装置を退避位置に退避させた状態で、前記パレット支持台に支持された前記空パレットを前記下部横行駆動装置のレベルまで下降させ、次いで、前記上部横行駆動装置を支持位置に復帰する、機械式駐車装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リフトを有する機械式駐車装置とその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
「リフト」とは、車両が載るパレットを入出庫レベルと格納レベルとの間で昇降させる昇降装置である。リフトを有しパレット上に車両を載せて作動する機械式駐車装置として、例えば、平面往復方式、平面循環方式、等が知られている。
【0003】
従来の平面往復方式及び平面循環方式の機械式駐車装置は、入出庫レベルにバースを有する。「バース」とは、リフトとは別個に入出庫レベルに設けられた入出庫空間であり、バース内に車両の入出庫位置を有し、バース内で人が乗り降りする。
【0004】
例えば、バースを有する従来の機械式駐車装置は、好ましくは地下式駐車装置に適用され、地下空間に複数層に設置された格納棚と、格納棚に沿って水平に移動する移動台車と、地上と地下との間を昇降するリフトとを備える。
入庫時において車両を、バース内のパレット上に入庫させ、車両の載るパレット(以下、実車パレット)をリフト上に載せ替え、リフトにより実車パレットを地下空間まで下降させる。次いで、地下空間において実車パレットを移動台車上に載せ替え、移動台車が空の格納棚に隣接する位置まで水平移動し、格納棚内に実車パレットを水平移動して格納する。またこの逆の動作で車両を載せた実車パレットを地上まで移動してバースから車両を出庫させるようになっている。
かかるバース付き機械式駐車装置は、例えば特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2014-109100号公報
【文献】特開2008-95324号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、バースを有する従来の機械式駐車装置(平面往復方式及び平面循環方式)は、入出庫レベルにリフトとは別個にバースを必要とするため、入出庫レベルの占有スペースが大きくなり、建物の利便性が低下する。
【0007】
一方、バースなしで、リフト上に車両(自動車)が直接乗り入れる機械式駐車装置として、例えば特許文献2の水平循環式駐車装置が開示されている。
特許文献2では、昇降路の短辺方向外側の片側に、昇降路の長辺方向に前後2本の支柱が立設され、支柱の上下端に設けられたスプロケットに無端状チェーンを掛け渡し、無端状チェーンを上下方向に走行させて、ガイドローラで案内しながらリフトを昇降する。
【0008】
しかし、この構成のリフトは、昇降路の短辺方向外側の片側でガイドローラにより片持ち支持されるため、ガイドローラが支柱に作用する荷重が大きく、この荷重によりリフト昇降時に発生する騒音が大きい。
そのため、収容台数の少ない水平循環式駐車装置に比べて収容台数の多い機械式駐車装置(平面往復方式及び平面循環方式)に適用するには、リフトの昇降速度を遅くする必要が生じる。
【0009】
一方、収容台数の多い機械式駐車装置(平面往復方式及び平面循環方式)では、昇降路の四隅外側で、リフトを4本の紐部材(ワイヤロープ、チェーン、等)により吊下げて昇降するため、リフトの昇降速度を速くすることができる。
しかし、この構成のリフトは、昇降路の長辺方向外側の両側に紐部材を昇降する駆動装置を設ける必要があり、駆動装置が設置されるリフト上部が入出庫レベルよりも上方に突出するため、バースなしではリフト上に車両が直接乗り入れることができなかった。
【0010】
また、収容台数の多い機械式駐車装置でバースを省略すると、入庫の場合、先行車両が入出庫レベルでリフト上に入庫した後に次の車両が入庫するためには、先行車両の格納完了後に、空パレットを格納棚から入出庫レベルまで搬送する必要がある。そのため連続入庫の際に待ち時間が長くなる。
連続出庫の場合も同様に、先行車両の出庫後の空パレットを入出庫レベルから格納棚に格納してから次の実車パレットを格納棚から入出庫レベルに搬送する必要がある。そのため連続出庫の際も待ち時間が長くなる。
【0011】
本発明は上述した問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の第1の目的は、バースなしでリフト上に車両(自動車)が直接乗り入れることができ、高速昇降時に発生する騒音が小さい機械式駐車装置とその制御方法を提供することにある。
また、本発明の第2の目的は、連続入庫又は連続出庫において、待ち時間を短縮することができる機械式駐車装置とその制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によれば、車両を載せるパレットを昇降路に沿って昇降可能なリフト台と、
入出庫レベルと該入出庫レベルより下方の格納レベルとの間で前記リフト台を昇降駆動するリフト駆動装置と、を備え、
前記リフト駆動装置は、前記リフト台の四隅を吊り下げて昇降する4本の紐部材と、
前記入出庫レベルより下方に設置され、4本の前記紐部材を同期して昇降駆動する昇降駆動装置と、を有し、
前記リフト台は、前記車両が前記入出庫レベルに位置するときに前記入出庫レベルより下方に位置し、前記紐部材の一端が固定された下部支持フレームを有し、
前記昇降駆動装置は、前記入出庫レベルより下方に位置し、前記昇降路の長辺方向外側の両側に設置された1対の第1固定架台と、
前記第1固定架台に設けられ、前記昇降路の四隅に位置し、水平軸を中心に回転駆動され、前記紐部材を昇降駆動する4つの紐部材駆動輪と、
前記紐部材駆動輪を同期して回転駆動する同期駆動装置と、を有し、
前記紐部材の他端は、前記紐部材駆動輪より長辺方向外側で前記第1固定架台に固定されており、
前記昇降駆動装置は、前記他端と前記紐部材駆動輪との間に位置し、水平軸を中心に自由回転する紐部材案内輪を介して吊下げられた、カウンターウェイトを有する、機械式駐車装置が提供される。
【0013】
また、本発明によれば、車両を載せるパレットを昇降路に沿って昇降可能なリフト台と、
入出庫レベルと該入出庫レベルより下方の格納レベルとの間で前記リフト台を昇降駆動するリフト駆動装置と、を備え、
前記リフト駆動装置は、前記リフト台の四隅を吊り下げて昇降する4本の紐部材と、
前記入出庫レベルより下方に設置され、4本の前記紐部材を同期して昇降駆動する昇降駆動装置と、を有し、
前記リフト台は、前記車両が前記入出庫レベルに位置するときに前記入出庫レベルより下方に位置し、前記紐部材の一端が固定された下部支持フレームを有する、機械式駐車装置の制御方法であって、連続入庫時において、
(A)上部横行駆動装置と下部横行駆動装置により上下のパレットをそれぞれ支持した状態で、前記入出庫レベルで上側のパレット上に前記車両を入庫させ、
(B)前記リフト台を下方の格納レベルまで下降させて、前記車両が載るパレットを前記リフト台の外側に横行させ、
(C)前記リフト台を前記入出庫レベルまで上昇させ、並行して、前記上部横行駆動装置を退避位置に退避させた状態で、パレット支持台の上昇により前記下部横行駆動装置に支持される空パレットを前記上部横行駆動装置のレベルまで上昇させ、次いで、前記上部横行駆動装置を支持位置に復帰する、機械式駐車装置の制御方法が提供される。
【0014】
さらに本発明によれば、車両を載せるパレットを昇降路に沿って昇降可能なリフト台と、
入出庫レベルと該入出庫レベルより下方の格納レベルとの間で前記リフト台を昇降駆動するリフト駆動装置と、を備え、
前記リフト駆動装置は、前記リフト台の四隅を吊り下げて昇降する4本の紐部材と、
前記入出庫レベルより下方に設置され、4本の前記紐部材を同期して昇降駆動する昇降駆動装置と、を有し、
前記リフト台は、前記車両が前記入出庫レベルに位置するときに前記入出庫レベルより下方に位置し、前記紐部材の一端が固定された下部支持フレームを有する、機械式駐車装置の制御方法であって、連続出庫時において、
(A)上部横行駆動装置と下部横行駆動装置によりパレットを支持しない状態で、前記リフト台を下方の格納レベルまで下降させて、前記車両が載るパレットを前記リフト台の外側から前記上部横行駆動装置の上に横行させ、
(B)前記リフト台を前記入出庫レベルまで上昇させ、前記入出庫レベルで上側のパレットから前記車両を出庫させ、
(C)前記リフト台を下方の格納レベルまで再下降させ、並行して、パレット支持台の上昇により空パレットを支持し、次いで前記上部横行駆動装置を退避位置に退避させた状態で、前記パレット支持台に支持された前記空パレットを前記下部横行駆動装置のレベルまで下降させ、次いで、前記上部横行駆動装置を支持位置に復帰する、機械式駐車装置の制御方法が提供される。
【発明の効果】
【0015】
本発明の構成によれば、リフト駆動装置が、リフト台の四隅を吊り下げて昇降する4本の紐部材と、4本の紐部材を同期して昇降駆動する昇降駆動装置と、を有するので、高速昇降時に発生する騒音が小さい。
【0016】
また、昇降駆動装置は、入出庫レベルより下方に設置されており、リフト台は、車両が入出庫レベルに位置するときに入出庫レベルより下方に位置し、紐部材の一端が固定された下部支持フレームを有する。これにより、昇降駆動装置が設置されるリフト上部が入出庫レベルよりも上部に突出することなく、バースなしでリフト上(リフト台の上)に車両(自動車)が直接乗り入れることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明による機械式駐車装置の模式的斜視図である。
【
図7】連続入庫時の機械式駐車装置の制御方法を示す説明図である。
【
図8】連続出庫時の機械式駐車装置の制御方法を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0019】
図1は、本発明による機械式駐車装置100の模式的斜視図である。
【0020】
この図において、機械式駐車装置100は、入庫リフト50Aのリフト台10の上に車両1が直接乗り入れ、リフト台10が下降して所定の格納レベルに停止し、走行台車4に車両1を移載し、走行台車4が水平に走行して所定の格納棚5の前で停止し、格納棚5に車両1を移載して格納する。
出庫時には、この逆に格納棚5から所定の車両1を走行台車4の上に移載し、水平に走行し、出庫リフト50Bのリフト台10が上昇してリフト台10から車を直接出庫する。
【0021】
この例において、機械式駐車装置100は、平面往復方式であるが、平面循環方式の機械式駐車装置であってもよく、その他の機械式駐車装置であってもよい。
また、入庫リフト50Aと出庫リフト50Bは共通の1台であってもよい。以下、入庫リフト50Aと出庫リフト50Bを区別が必要な場合を除き、単に「リフト50」と呼ぶ。
【0022】
図2は、リフト50の側面図である。この図において、FLは入出庫レベル、B1,B2,B3は、最下端から順に1段、2段、3段の格納レベルを示している。
以下、区別が必要な場合を除き格納レベルB1,B2,B3を単に「格納レベルB」と呼ぶ。入出庫レベルFL及び格納レベルBは、車両1の車輪が載る走行高さである。
【0023】
図2において、リフト50は、リフト台10とリフト駆動装置20を備える。
リフト台10は、車両1を載せるパレット2を昇降路3に沿って昇降可能に構成されている。この構造の詳細は後述する。
【0024】
リフト駆動装置20は、入出庫レベルFLと入出庫レベルより下方の格納レベルBとの間でリフト台10を昇降駆動する。入出庫レベルFLは、車両1が乗り込む高さ、例えば建物の1階フロアである。格納レベルBは、この例では、3段(B1,B2,B3)が設けられている。
【0025】
図2において、リフト駆動装置20は、4本の紐部材21と昇降駆動装置22を有する。
4本の紐部材21は、例えばチェーン又はワイヤロープであり、リフト台10の四隅を吊り下げて昇降する。
昇降駆動装置22は、入出庫レベルFLより下方に設置され、4本の紐部材21を同期して昇降駆動する。
【0026】
この図において、リフト台10は、車両1が入出庫レベルFLに位置するときに入出庫レベルFLより下方に位置し、かつ紐部材21の一端21aが固定された下部支持フレーム12を有する。
【0027】
図2において、昇降駆動装置22は、1対の第1固定架台24Aと4つの紐部材駆動輪26を有する。
【0028】
1対の第1固定架台24Aは、入出庫レベルFLより下方に位置し、昇降路3の長辺方向外側(短辺の外側)の両側に設置されている。以下、昇降路3及びパレット2の長辺方向を単に「長辺方向」と呼ぶ。
1対の第1固定架台24Aは、昇降路3の外側で図示しない連結部材により互いに連結されていることが好ましい。
【0029】
4つの紐部材駆動輪26は、例えばスプロケット又はプーリーであり、第1固定架台24Aの上部に設けられ、昇降路3の四隅に位置し、水平軸を中心に回転駆動され、紐部材21を昇降駆動する。
【0030】
図2において、紐部材21の他端21bは、紐部材駆動輪26より長辺方向外側で第1固定架台24Aの上部に固定されている。
また昇降駆動装置22は、紐部材21の他端21bと紐部材駆動輪26との間に位置し、水平軸を中心に自由回転する紐部材案内輪27を介して吊下げられたカウンターウェイト28を有する。
この構成により、リフト台10の重量をカウンターウェイト28でバランスさせて、紐部材駆動輪26の必要駆動力を低減することができる。
なお、紐部材案内輪27を省略し、カウンターウェイト28を紐部材21の他端21bに直接固定してもよい。
【0031】
図3は、リフト50の平面図である。
この図において、昇降駆動装置22は、さらに、4つの紐部材駆動輪26(スプロケット又はプーリー)を同期して回転駆動する同期駆動装置30を有する。
【0032】
この例で、同期駆動装置30は、昇降路3の長辺の一方に沿って外側に立設された単一の第2固定架台24Bと、電動機31、減速機32、ブレーキ33、1対の第1駆動軸34、1対の方向変換歯車35、及び、1対の第2駆動軸36を有する。
なお、第1固定架台24Aと第2固定架台24Bを連結してもよい。
【0033】
1対の第1固定架台24Aに設けられたそれぞれ2つの紐部材駆動輪26(スプロケット又はプーリー)は、2本の第2駆動軸36にそれぞれ同軸に固定されている。また第2駆動軸36は、それぞれ第1固定架台24Aに固定された軸受けにより、昇降路3の短辺方向の水平軸を中心に回転可能に構成されている。以下、昇降路3及びパレット2の短辺方向を単に「短辺方向」と呼ぶ。
【0034】
電動機31は、減速機32を介して昇降路3の長辺方向に水平に延びる2本の第1駆動軸34を同期して回転駆動する。ブレーキ33は、減速機32を介して第1駆動軸34の回転を制動する。
2つの方向変換歯車35は、それぞれ第1駆動軸34と第2駆動軸36を歯車を介して連結し、1対の第1駆動軸34の回転を1対の第2駆動軸36に同期して伝達する。
この構成により、4つの紐部材駆動輪26を同期して回転駆動することができる。
【0035】
図3において、リフト50は、4本のガイドレール38を備える。
4本のガイドレール38は、昇降路3の四隅に設けられ入出庫レベルFLに近傍の上端から最下端の格納レベルBの下方まで鉛直に延び、リフト台10(細線で示す)の昇降を案内する。
ガイドレール38は、例えば鉛直に延びる型鋼(例えばH型鋼)である。
【0036】
図3において、リフト台10は、下部支持フレーム12の四隅に設けられガイドレール38と係合するガイドローラ11を有する。
この構成により、ガイドローラ11とガイドレール38との係合により、昇降路3の平面視中央部にリフト台10を昇降可能に位置決めすることができる。
【0037】
図4は、リフト台10の側面図である。
この図において、リフト台10は、さらに、1対の上部支持フレーム14と上部横行駆動装置40Aを有する。
1対の上部支持フレーム14は、下部支持フレーム12の長辺方向の両側に設置され、車両1が入出庫レベルFLに位置するときに入出庫レベルFLより下方に位置する。
【0038】
図5は、リフト台10の平面図である。
図4と
図5において、上部横行駆動装置40Aは、上部支持フレーム14にそれぞれ設けられている。
また上部横行駆動装置40Aは、入出庫レベルFLに位置するパレット2の長辺方向の両端を支持し、パレット2をその短辺方向に水平移動させる複数の駆動ローラ42を有する。
【0039】
図6は、上部横行駆動装置40Aの部分拡大図である。この図において、(A)は、
図5の右側の上部横行駆動装置40Aの部分拡大図であり、(B)は(A)のB-B矢視図である。
【0040】
図6において、1対の上部横行フレーム16が、上部支持フレーム14に設けられ、昇降路3の短辺方向に水平に延びる。複数(この図で5つ)の駆動ローラ42の中心軸42aは、上部横行フレーム16に軸心を中心に回転可能に取り付けられている。
また複数の駆動ローラ42の中心軸42aには、それぞれ複数のスプロケット43が固定され、スプロケット43と歯合するチェーン44により、複数の駆動ローラ42が同期して回転するようになっている。
さらに、スプロケット43の1つを回転駆動するローラ駆動モータ45を備える。
この構成により、複数の駆動ローラ42を同期して回転駆動することができる。
【0041】
上述した本発明の実施形態によれば、リフト駆動装置20が、リフト台10の四隅を吊り下げて昇降する4本の紐部材21と、4本の紐部材21を同期して昇降駆動する昇降駆動装置22と、を有するので、高速昇降時に発生する騒音が小さい。
【0042】
また、昇降駆動装置22は、入出庫レベルFLより下方に設置されており、リフト台10は、車両1が入出庫レベルFLに位置するときに入出庫レベルFLより下方に位置し、紐部材21の一端1aが固定された下部支持フレーム12を有する。これにより、昇降駆動装置22が設置されるリフト上部が入出庫レベルFLよりも上部に突出することなく、バースなしでリフト上(リフト台10の上)に車両1(自動車)が直接乗り入れることができる。
【0043】
図4において、リフト台10は、さらに、下部横行駆動装置40Bを有する。
下部横行駆動装置40Bは、上部横行駆動装置40Aより下方に位置し、パレット2の長辺方向の両端を支持し、パレット2をその短辺方向に水平移動させる複数の駆動ローラ42を有する。
下部横行駆動装置40Bの構造は、上部横行駆動装置40Aと同様である。
【0044】
なお、上部横行駆動装置40Aと下部横行駆動装置40Bの高低差は小さく、下部横行駆動装置40Bは、車両1が載らない空パレット2aを支持して水平移動できるが、車両1が載るパレット2(実車パレット2b)は水平移動できないように設定されている。
これに対し、上部横行駆動装置40Aは、空パレット2aと実車パレット2bのどちらでも水平移動できるようになっている。
【0045】
図4と
図5において、リフト台10は、さらに、スライド駆動装置46とパレット昇降装置48を備える。
【0046】
図6において、スライド駆動装置46は、直線ガイド46aとスライドモータ46bを有し、パレット2の支持位置とパレット2の長辺方向の両端より外側の退避位置との間で上部横行駆動装置40Aを水平移動させるようになっている。
退避位置では、上部横行駆動装置40Aと干渉することなく、その間でパレット2を昇降させることができる。
【0047】
図4において、パレット昇降装置48は、パレット支持台48a、4本のボールねじ48b、及び、4つのボールナット48cを備える。
パレット支持台48aは、空パレット2aを支持する。4本のボールねじ48bは、パレット支持台48aに上端が回転可能に固定され鉛直下方に延びる。4つのボールナット48cは、ボールねじ48bと螺合し、図示しない駆動装置により同期して回転駆動される。
【0048】
パレット昇降装置48は、下部支持フレーム12の中央部に設置され、4つのボールナット48cの同期回転により、ボールねじ48bを介してパレット支持台48aの水平を保持したままパレット支持台48aを昇降させる。
この構成により、上部横行駆動装置40Aを退避位置に退避させた状態で、下部横行駆動装置40Bに支持される高さと上部横行駆動装置40Aで支持される高さとの間で空パレット2aを昇降させることができる。
【0049】
上述したスライド駆動装置46とパレット昇降装置48により、上部横行駆動装置40Aによる支持位置と下部横行駆動装置40Bによる支持位置との間でパレット2を上昇又は下降させることができる。
この方法の詳細は後述する。
【0050】
図7は、連続入庫時の機械式駐車装置100の制御方法を示す説明図である。
本発明の方法では、連続入庫時において、以下の(1)(2)(3)を順に実行する。
【0051】
(1)最初に上部横行駆動装置40Aと下部横行駆動装置40Bにより上下のパレット2をそれぞれ支持した状態で、入出庫レベルFLで上側のパレット上に車両1を入庫させる。下側のパレット2は空パレット2aである。
(2)次いで、リフト台10を下方の格納レベルB(この例ではB1)まで下降させて、車両1が載るパレット2をリフト台10の外側(例えば走行台車4の上)に横行させる。
(3)次に、リフト台10を入出庫レベルFLまで上昇させる。またこの上昇と並行して、上部横行駆動装置40Aを退避位置に退避させた状態で、パレット支持台48aの上昇により、下部横行駆動装置40Bに支持される空パレット2aを上部横行駆動装置40Aのレベルまで上昇させ、次いで、上部横行駆動装置40Aを支持位置に復帰する。
上部横行駆動装置40Aの上昇レベルは、上部横行駆動装置40Aによるパレット2の支持レベルより少し上であることが好ましい。また、上部横行駆動装置40Aの支持位置への復帰後に、パレット支持台48aを下降位置まで下降させる。
上部横行駆動装置40Aの支持位置への復帰により、入出庫レベルFLにおいて、上側のパレット上に車両1を再度入庫させることができる。
【0052】
上述した方法により、走行台車4に車両1を移載した後、格納棚5に車両1を移載し、空パレット2aを走行台車4が搬送してリフト50まで戻るまでの待ち時間を実質的に無くし、連続入庫時の円滑性を高めることができる。
なおリフト台10に空パレット2aが無くなった後、次の入庫前に空パレット2aの補充が必要になる。しかし、2台の入庫の間に、使用していない格納レベルB(例えばB2,B3)で空パレット2aをリフト50まで搬送することができるので、この場合の待ち時間も大幅に短縮できる。
【0053】
図8は、連続出庫時の機械式駐車装置100の制御方法を示す説明図である。
本発明の方法では、連続出庫時において、以下の(1)(2)(3)を順に実行する。
【0054】
(1)最初にリフト台10がパレット2を支持しない状態で、リフト台10を下方の格納レベルB(この例ではB1)まで下降させて、車両1が載るパレット2をリフト台10の外側(例えば走行台車4の上)から上部横行駆動装置40Aの上に横行させる。
(2)次いで、リフト台10を入出庫レベルFLまで上昇させ、入出庫レベルFLで上側のパレット2から車両1を出庫させる。このとき、空パレット2aが上部横行駆動装置40Aに残る。
(3)次に、リフト台10を下方の格納レベルBまで再下降させる。この再下降と並行して、パレット支持台48aの上昇により空パレット2aを支持し、次いで上部横行駆動装置40Aを退避位置に退避させた状態で、パレット支持台48aに支持された空パレット2aを下部横行駆動装置40Bのレベルまで下降させ、空パレット2aを下部横行駆動装置40Bで支持する。次いで、上部横行駆動装置40Aを支持位置に復帰させ、かつパレット支持台48aを下降位置まで下降させる。
上部横行駆動装置40Aの支持位置への復帰により、上部横行駆動装置40Aはパレット2を支持しない状態であり、車両1が載るパレット2をリフト台10の外側(例えば走行台車4)から上部横行駆動装置40Aの上に再度横行させることができる。
【0055】
上述した方法により、入出庫レベルFLで上側のパレット2から車両1を出庫させた後、上部横行駆動装置40Aに残る空パレット2aを走行台車4を介して格納棚5に格納し、他の格納棚5から実パレット2bを走行台車4が搬送してリフト50まで戻るまでの待ち時間を実質的に無くし、連続出庫時の円滑性を高めることができる。
なおリフト台10の上下に空パレット2aがある場合、次の出庫前に空パレット2aを格納棚5に移載する必要がある。しかし、2台の出庫の間に、使用していない格納レベルB(例えばB2,B3)でリフト台10の上下の空パレット2aを格納棚5まで並行して搬送することができるので、この場合の待ち時間も大幅に短縮できる。
【0056】
なお本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0057】
B,B1,B2,B3 格納レベル、FL 入出庫レベル、
1 車両、2 パレット、2a 空パレット、2b 実車パレット、
3 昇降路、4 走行台車、5 格納棚、10 リフト台、
11 ガイドローラ、12 下部支持フレーム、14 上部支持フレーム、
20 リフト駆動装置、21 紐部材(チェーン又はワイヤロープ)、
21a 一端、21b 他端、22 昇降駆動装置、24A 第1固定架台、
24B 第2固定架台、26 紐部材駆動輪(スプロケット又はプーリー)、
30 同期駆動装置、31 電動機、32 減速機、33 ブレーキ、
34 第1駆動軸、35 方向変換歯車、36 第2駆動軸、
40A 上部横行駆動装置、40B 下部横行駆動装置、42 駆動ローラ、
42a 中心軸、43 スプロケット、44 チェーン、45 ローラ駆動モータ、
46 スライド駆動装置、46a 直線ガイド、46b スライドモータ、
48 パレット昇降装置、48a パレット支持台、48b ボールねじ、
48c ボールナット、50 リフト、50A 入庫リフト、50B 出庫リフト、
100 機械式駐車装置