IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 倉敷紡績株式会社の特許一覧

特許7197348窓用化粧枠取付構造および窓用化粧枠取付方法
<>
  • 特許-窓用化粧枠取付構造および窓用化粧枠取付方法 図1
  • 特許-窓用化粧枠取付構造および窓用化粧枠取付方法 図2
  • 特許-窓用化粧枠取付構造および窓用化粧枠取付方法 図3
  • 特許-窓用化粧枠取付構造および窓用化粧枠取付方法 図4
  • 特許-窓用化粧枠取付構造および窓用化粧枠取付方法 図5
  • 特許-窓用化粧枠取付構造および窓用化粧枠取付方法 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】窓用化粧枠取付構造および窓用化粧枠取付方法
(51)【国際特許分類】
   E06B 1/62 20060101AFI20221220BHJP
   E06B 1/56 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
E06B1/62 B
E06B1/56 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018240662
(22)【出願日】2018-12-25
(65)【公開番号】P2020101030
(43)【公開日】2020-07-02
【審査請求日】2021-11-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000001096
【氏名又は名称】倉敷紡績株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】細谷 公隆
(72)【発明者】
【氏名】三澤 真
(72)【発明者】
【氏名】長田 慎也
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-317271(JP,A)
【文献】特開昭59-31383(JP,A)
【文献】特開2018-109309(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 1/00- 1/70
E04G 23/00-23/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
住宅の窓の周囲に設けられる窓用化粧枠取付構造であって、
前記窓の周囲に配置された前記住宅の柱又は梁等の構造物と、
前記窓の周囲を取り囲むように所定の間隔を隔て、前記構造物の室外側に配置された胴縁と、
前記窓の周囲を取り囲むように前記胴縁の室外側に配置される外壁パネルと、
前記外壁パネルの一部を覆い、前記窓の周囲に配置される窓用化粧枠と、を備え、
前記外壁パネルの前記窓側の外壁パネル端部の位置は、前記窓の窓端部から隙間を生じさせるように所定距離離れて位置し、
前記隙間には、スペーサが配置され、
前記窓用化粧枠は、前記スペーサを覆うとともに、前記外壁パネル端部を含むように前記外壁パネルの一部を覆い、
前記窓用化粧枠の前記窓側の窓用化粧枠端部と、前記窓端部との間には、シール部材が配置されている、窓用化粧枠取付構造。
【請求項2】
前記スペーサの前記窓側の端部の少なくとも一部は、前記シール部材と接している、請求項に記載の窓用化粧枠取付構造。
【請求項3】
前記窓用化粧枠の裏面は、前記外壁パネルおよび前記スペーサの室外側表面の段差を吸収する段差部を含む、請求項1または請求項2に記載の窓用化粧枠取付構造。
【請求項4】
住宅の窓の周囲に窓用化粧枠を取り付けるための窓用化粧枠取付方法であって、
前記住宅は、
前記窓の周囲に配置された前記住宅の柱又は梁等の構造物と、
前記窓の周囲を取り囲むように所定の間隔を隔て、前記構造物の室外側に配置された胴縁と、
前記窓の周囲を取り囲むように前記胴縁の室外側に配置される外壁パネルと、を含み、
前記外壁パネルの前記窓側の外壁パネル端部の位置が、前記窓の窓端部から隙間を生じさせるように所定距離離れて位置するように、前記外壁パネルの一部を取り除く工程と、
前記隙間に、スペーサを配置し、前記スペーサを前記構造物に固定する工程と、
前記スペーサを覆うとともに、前記外壁パネル端部を含むように前記外壁パネルの一部を覆うように前記窓用化粧枠を前記スペーサに固定する工程と、
前記窓用化粧枠の前記窓側の窓用化粧枠端部と、前記窓端部との間に、シール部材を配置する工程と、
を備える、窓用化粧枠取付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窓用化粧枠取付構造および窓用化粧枠取付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅等の木造建物の外観の見栄えを向上させるため、玄関周りの壁に化粧枠を取り付ける構造が、特開2009-243112号公報(特許文献1)、特開平6-167170号公報(特許文献2)に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-243112号公報
【文献】特開平6-167170号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、住宅等のリフォームにおいて、玄関周り、窓周りの化粧枠を後付により取付ることで、住宅等のデザイン性を向上させることが検討されている。上記のように特許文献1および特許文献2は、玄関周り対する化粧枠の取付であって、容易に窓周りに対する化粧枠の取付構造および取付方法を開発する必要があった。
【0005】
この発明の目的は、上記課題を解決するためになされたものであり、容易に窓周りへの化粧枠の取付を可能とする、窓用化粧枠取付構造および窓用化粧枠取付方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この窓用化粧枠取付構造においては、住宅の窓の周囲に設けられる窓用化粧枠取付構造であって、上記窓の周囲に配置された上記住宅の柱又は梁等の構造物と、上記窓の周囲を取り囲むように所定の間隔を隔て、上記構造物の室外側に配置された胴縁と、上記窓の周囲を取り囲むように上記胴縁の室外側に配置される外壁パネルと、上記外壁パネルの一部を覆い、上記窓の周囲に配置される窓用化粧枠と、を備える。上記外壁パネルの上記窓側の外壁パネル端部の位置は、上記窓の窓端部から隙間を生じさせるように所定距離離れて位置し、上記隙間には、スペーサが配置され、上記窓用化粧枠は、上記スペーサを覆うとともに、上記外壁パネル端部を含むように上記外壁パネルの一部を覆う。
【0007】
他の形態においては、上記窓用化粧枠の上記窓側の窓用化粧枠端部と、上記窓端部との間には、シール部材が配置されている。
【0008】
他の形態においては、上記スペーサの上記窓側の端部の少なくとも一部は、上記シール部材と接している。
【0009】
他の形態においては、上記窓用化粧枠の裏面は、上記外壁パネルおよび上記スペーサの室外側表面の段差を吸収する段差部を含む。
【0010】
この窓用化粧枠取付方法においては、住宅の窓の周囲に窓用化粧枠を取り付けるための窓用化粧枠取付方法であって、上記住宅は、上記窓の周囲に配置された上記住宅の柱又は梁等の構造物と、上記窓の周囲を取り囲むように所定の間隔を隔て、上記構造物の室外側に配置された胴縁と、上記窓の周囲を取り囲むように上記胴縁の室外側に配置される外壁パネルと、を含む。上記外壁パネルの上記窓側の外壁パネル端部の位置が、上記窓の窓端部から隙間を生じさせるように所定距離離れて位置するように、上記外壁パネルの一部を取り除く工程と、上記隙間に、スペーサを配置し、上記スペーサを上記構造物に固定する工程と、上記スペーサを覆うとともに、上記外壁パネル端部を含むように上記外壁パネルの一部を覆うように上記窓用化粧枠を上記スペーサに固定する工程と、を備える。
【発明の効果】
【0011】
この窓用化粧枠取付構造および窓用化粧枠取付方法によれば、容易に窓周りへの化粧枠の取付を可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】木造住宅の窓に継化粧枠を取付概念を示す模式図である。
図2】本実施の形態の窓用化粧枠を取付の後の正面図である。
図3図2中のIIIで囲まれた領域の部分拡大図である。
図4】本実施の形態の窓用化粧枠を取付ための前準備を示す、図2中のV線矢視に対応する断面図である。
図5】本実施の形態の窓用化粧枠取付構造を示す、図2中のV線矢視断面図である。
図6】既存木造住宅の窓周りの構造を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に基づいた実施の形態の窓用化粧枠取付構造および窓用化粧枠取付方法について、以下、図面を参照しながら説明する。以下に説明する実施の形態において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本発明の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。同一の部品、相当部品に対しては、同一の参照番号を付し、重複する説明は繰り返さない場合がある。実施の形態における構成を適宜組み合わせて用いることは当初から予定されていることである。また「周囲を取り囲む」とは、必ずしも全周ではなく、一部が囲まれていればよい。図においては、実際の寸法比率では記載しておらず、構造の理解を容易にするために、一部比率を異ならせて記載している。以下、本明細書の説明において、窓ガラスおよび窓サッシを総称して単に窓と称する。
【0014】
最初に、図6を参照して、既設の木造住宅の窓周りの構造について説明する。図6は、既存木造住宅の窓周りの構造を示す縦断面図である。以下、本明細書の説明において、窓ガラスおよび窓サッシを総称して単に窓200と称する。以下に示す窓周りの構造は一例であって、この構造に限定されるものではない。
【0015】
木造住宅において、窓200の近傍には、縦方向には柱または間柱、横方向には窓台または梁が設けられている。木造住宅の柱、梁等を、単に構造物10と称する。窓200は、木ねじB2等を用いて構造物10に固定されている。窓200の室内側には、室内窓枠400が設けられ、室内窓枠400と構造物10との間に生じる隙間には、スペーサ410,420が配置されている。構造物10の室外側には、構造用合板、防火パネル等の室外側パネル130が配置されている。
【0016】
構造物10は、室内側パネル20と室外側パネル130との間に挟まれ、室内側パネル20と室外側パネル130との間の空間には、グラスウールやポリウレタンフォーム等の断熱材30等が配置されている。
【0017】
室外側パネル130の室外側には、所定の間隔を隔て、木材等からなる胴縁120が配置され、さらに、胴縁120の室外側には、木造住宅の外壁となる外壁パネル110が配置されている。胴縁120は、室外側パネルと外壁パネルの間に通気空間を生じさせる役割を有する。
【0018】
外壁パネル110の窓200側の外壁パネル端部110tと窓端部200tとの間には、シール材として、シーリング保持部材230およびシーリング部材240が配置されている。
【0019】
次に、図1から5を参照して、既設の木造住宅の窓に窓用化粧枠を取り付ける場合について説明する。図1は、木造住宅の窓に継化粧枠を取付概念を示す模式図、図2は、本実施の形態の窓用化粧枠を取付の後の正面図、図3は、図2中のIIIで囲まれた領域の部分拡大図、図4は、本実施の形態の窓用化粧枠を取付ための前準備を示す、図2中のV線矢視に対応する断面図、図5は、本実施の形態の窓用化粧枠取付構造を示す、図2中のV線矢視断面図である。
【0020】
図1および図2を参照して、木造住宅の窓200の周囲に窓用化粧枠100を取り付ける。窓用化粧枠100は、4分割され、それぞれ端部において、窓用化粧枠100が相互に突き合わせられるように、長手方向端部100cは、45度の角度にカットされている。
【0021】
図2を参照して、4つの窓用化粧枠100は、木ねじB1等により固定される。窓用化粧枠100は、窯業材、樹脂材等が用いられるが、防火性および施工性を考えた場合、厚み7~30mm、比重0.8~1.9程度のセメント系押出成形体が最も好ましい。木ねじB1は、意匠上、目立たないように、窓用化粧枠100と同系色の塗装が施されているとよい。
【0022】
図3を参照して、角部において窓用化粧枠100の突き当たり部には、隙間を目立たなくするために、裏面側(室内側)にバックアップ材300を配置することが好ましい。別途、目自材等を施すようにしてもよい。
【0023】
図4を参照して、既存住宅において、外壁パネル110の窓200側の外壁パネル端部110tの位置が、窓200の窓端部200tから隙間Sを生じさせるように所定距離W離れて位置するように、外壁パネル110の一部110aを取り除く。なお、外壁パネルの本実施形態では厚み14mmであるが、厚みは通常7~25mm程度である。また、所定距離Wは、通常30~200mm程度である。
【0024】
ここで、窓200側の外壁パネル端部110tの位置と、胴縁120の窓200側の端面位置120tとが略面一であるとよい。
【0025】
図5を参照して、隙間Sに、主スペーサ210および調整用スペーサ220を配置し、主スペーサ210および調整用スペーサ220を接着材等を用いて予め構造物10に固定する。主スペーサは11~30mm程度の厚みであるが、調整用スペーサ220は、主スペーサ210に比較して薄いものが用いられ、例えば5~10mm程度の厚みのものが用いられる。調整用スペーサ220を複数枚用いることで、容易に隙間Sを埋める厚さを主スペーサ210および調整用スペーサ220を用いて設定することができる。なお、調整用スペーサ220は室外側パネル130の端材を用いるのが好ましい。図5においては、外壁パネル110の表面と主スペーサ210の表面は、約3mmの段差dが生じている。この段差dを吸収するため、窓用化粧枠100の裏面100rは、段差部100dを含む。
【0026】
次に、主スペーサ210および調整用スペーサ220を覆うとともに、外壁パネル端部110tを含むように外壁パネル110の一部を覆うように窓用化粧枠100を、胴縁120、主スペーサ210および調整用スペーサ220に木ねじB1等を用いて固定する。本実施の形態においては、裏面側に3mmの段差部100dを有する比重1.0程度のセメント系押出成形体である。厚みは段差部100dが有る部分では20mm、段差部100dが無い部分においては17mmである。なお、窓方向に向けた長さは150mmである。段差部100dが上記外壁パネル110の表面と主スペーサ210の表面の段差を吸収し、窓用化粧枠100は、平坦性を維持した状態で固定される。
【0027】
窓用化粧枠100の外壁パネル110の重なり長さOLは、おおよそ、外壁パネル端部110tから窓端部200tまでの所定距離Wの1/2程度または30~100mm程度が好ましい。本実施の形態においては窓用化粧枠の長さ150mmのうち、重なり長さOLは55mm程度となる。これにより、窓用化粧枠100を安定的に、胴縁120、主スペーサ210および調整用スペーサ220に固定することができる。
【0028】
窓用化粧枠端部100tと、窓端部200tとの間には、シール材としてシーリング保持部材230およびシーリング部材240が配置されている。主スペーサ210の窓200側の端部210tの少なくとも一部部分(図中tで示す領域)が、シーリング保持部材230および/またはシーリング部材240と接しているとよい。窓用化粧枠100の窓200とは反対側には、外壁パネル110に面する位置に凹部100pが設けられている。この凹部100pにシーリング部材250が配置されている。これにより、窓用化粧枠端部100tと、窓端部200tとの間に生じる隙間からの雨水・風等の侵入を阻止することができる。
【0029】
以上の構成を有する窓用化粧枠取付構造および窓用化粧枠取付方法によれば、従来の構造に大きな変更を加えることなく、外壁パネル110の一部110aを取り除くことのみで、窓用化粧枠100を構造物10に固定することが可能となる。これにより、容易に窓周りへの化粧枠の取付を可能とする一方、窓用化粧枠100を強固に構造物10側に固定することができる。
【0030】
なお、上記実施の形態では、既存住宅の窓の周囲に窓用化粧枠100を取付る場合を説明しているが、既存住宅だけでなく新築住宅であっても、上述の窓用化粧枠取付構造を採用してもよい。また、上記実施の形態では、木造の住宅を想定しているが、木造に限定されることなく、同等の構造を有する住宅に適用することも可能である。
【0031】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0032】
10 構造物、20 室内側パネル、100 窓用化粧枠、100c 長手方向端部、100d 段差部、100t 窓用化粧枠端部、100p 凹部、100r 裏面、110 外壁パネル、110a 一部、110t 外壁パネル端部、120 胴縁、120t 端面位置、130 室外側パネル、200 窓、200t 窓端部、210 主スペーサ、210t 端部、220 調整用スペーサ、230 シーリング保持部材、240 シーリング部材、300 バックアップ材、400 室内窓枠、410,420 スペーサ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6