(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】端子圧着装置
(51)【国際特許分類】
H01R 43/048 20060101AFI20221220BHJP
H01B 13/00 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
H01R43/048 Z
H01B13/00 521
(21)【出願番号】P 2018246661
(22)【出願日】2018-12-28
【審査請求日】2021-10-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000002358
【氏名又は名称】新明和工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121500
【氏名又は名称】後藤 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【氏名又は名称】山根 広昭
(72)【発明者】
【氏名】久野 勝
(72)【発明者】
【氏名】寺倉 厚広
【審査官】松永 謙一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第1996/024179(WO,A1)
【文献】国際公開第2008/087938(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 43/027-43/28
H01B 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端子を支持するアンビルと、
前記アンビルの上方に配置されたクリンパと、
前記クリンパが連結されかつ昇降する昇降部を有するプレス機構と、
前記プレス機構の前記昇降部の昇降に合わせて昇降する押し下げ部材と、
電線を把持するクランプと、
前記電線の端部が前記アンビルと前記クリンパとの間の位置に搬送されるよう前記クランプを移動させるクランプ移動機構と、を備え、
前記押し下げ部材および前記クランプのうち一方は第1接触部を有し、他方は前記第1接触部に接触する第2接触部を有し、
前記第1接触部は、前記第2接触部に対して転がる転がり部または前記第2接触部に対して摺動する摺動部からなり、
前記プレス機構は、前記クランプ移動機構による前記クランプの移動が終了する前に前記昇降部の下降を開始するように構成されている
、端子圧着装置。
【請求項2】
端子を支持するアンビルと、
前記アンビルの上方に配置されたクリンパと、
前記クリンパが連結されかつ昇降する昇降部を有するプレス機構と、
前記プレス機構の前記昇降部の昇降に合わせて昇降する押し下げ部材と、
電線を把持するクランプと、
前記電線の端部が前記アンビルと前記クリンパとの間の位置に搬送されるよう前記クランプを移動させるクランプ移動機構と、を備え、
前記押し下げ部材および前記クランプのうち一方は第1接触部を有し、他方は前記第1接触部に接触する第2接触部を有し、
前記第1接触部は、前記第2接触部に対して転がる転がり部または前記第2接触部に対して摺動する摺動部からなり、
前記プレス機構は、前記クランプ移動機構による前記クランプの移動が終了する前に前記第1接触部と前記第2接触部とが接触するように構成されている
、端子圧着装置。
【請求項3】
端子を支持するアンビルと、
前記アンビルの上方に配置されたクリンパと、
前記クリンパが連結されかつ昇降する昇降部を有するプレス機構と、
前記プレス機構の前記昇降部の昇降に合わせて昇降する押し下げ部材と、
電線を把持するクランプと、
前記電線の端部が前記アンビルと前記クリンパとの間の位置に搬送されるよう前記クランプを移動させるクランプ移動機構と、を備え、
前記押し下げ部材および前記クランプのうち一方は第1接触部を有し、他方は前記第1接触部に接触する第2接触部を有し、
前記第1接触部は、前記第2接触部に対して転がる転がり部または前記第2接触部に対して摺動する摺動部からなり、
前記クランプ移動機構は、前記クランプを前記電線の長手方向に移動させるように構成され、
前記プレス機構は、前記クランプの前記電線の長手方向の移動が終了する前に前記昇降部の下降を開始するよう構成されている
、端子圧着装置。
【請求項4】
端子を支持するアンビルと、
前記アンビルの上方に配置されたクリンパと、
前記クリンパが連結されかつ昇降する昇降部を有するプレス機構と、
前記プレス機構の前記昇降部の昇降に合わせて昇降する押し下げ部材と、
電線を把持するクランプと、
前記電線の端部が前記アンビルと前記クリンパとの間の位置に搬送されるよう前記クランプを移動させるクランプ移動機構と、を備え、
前記押し下げ部材および前記クランプのうち一方は第1接触部を有し、他方は前記第1接触部に接触する第2接触部を有し、
前記第1接触部は、前記第2接触部に対して転がる転がり部または前記第2接触部に対して摺動する摺動部からなり、
前記クランプ移動機構は、前記クランプを前記電線の長手方向と交差する方向に移動させた後、前記電線の長手方向に移動させるように構成され、
前記プレス機構は、前記クランプの前記電線の長手方向と交差する方向の移動が終了する前に前記昇降部の下降を開始するように構成されている
、端子圧着装置。
【請求項5】
前記第1接触部はローラからなっている、請求項1~
4のいずれか一つに記載の端子圧着装置。
【請求項6】
前記第1接触部はボールからなっている、請求項1~
4のいずれか一つに記載の端子圧着装置。
【請求項7】
前記第2接触部は、前記第1接触部と接触する水平面を有している、請求項
5または
6に記載の端子圧着装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電線の端部に端子を圧着する端子圧着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に開示されているように、電線を把持するクランプと、アンビルおよびクリンパを有するアプリケータと、クリンパをアンビルに向けて押しつけるプレス機構とを備えた端子圧着装置が知られている。この端子圧着装置では、まず、端子がアンビル上に搬送されると共に、クランプが電線を搬送し、電線の端部をクリンパとアンビルとの間に位置づける。次に、プレス機構がクリンパをアンビルに向けて押しつける。これにより、電線および端子がクリンパとアンビルとの間に挟まれ、互いに圧着される。
【0003】
ところで、クランプが電線の端部をクリンパとアンビルとの間に搬送したときに、電線はアンビル上の端子よりも上方の位置にある。そのため、クリンパおよびアンビルによって電線と端子とを圧着する前に、電線を端子と同じ高さまで下降させる必要がある。
【0004】
上記端子圧着装置では、圧着前に電線を下降させるために、電線を把持するクランプを下方に押し下げる押し棒がプレス機構に取り付けられている。プレス機構が駆動されると、押し棒がクランプを下方に押し下げ、電線は端子と同じ高さまで下降する。その後、クリンパがアンビルに押しつけられ、電線と端子とが圧着される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2008/087938号(
図17)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記端子圧着装置では、クランプの移動中に押し棒がクランプと接触しないよう、プレス機構はクランプの移動が終了してから動き始めるように構成されている。すなわち、電線の端部がクリンパとアンビルとの間に搬送されてから、プレス動作を開始することとしている。そのため、端子圧着処理のタクトタイムを短縮することに関して、一定の限界があった。また、端子圧着後、クリンパの上昇が終了してから、クランプの逆方向への移動を開始することとしている。そのため、端子圧着後の処理に関しても、時間を短縮することに関して一定の限界があった。
【0007】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、電線を把持するクランプを端子圧着前に下降させる端子圧着装置において、端子圧着処理またはその後の処理のタクトタイムを短縮することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る端子圧着装置は、端子を支持するアンビルと、前記アンビルの上方に配置されたクリンパと、前記クリンパが連結されかつ昇降する昇降部を有するプレス機構と、前記プレス機構の前記昇降部の昇降に合わせて昇降する押し下げ部材と、電線を把持するクランプと、前記電線の端部が前記アンビルと前記クリンパとの間の位置に搬送されるよう前記クランプを移動させるクランプ移動機構と、を備えている。前記押し下げ部材および前記クランプのうち一方は第1接触部を有し、他方は前記第1接触部に接触する第2接触部を有している。前記第1接触部は、前記第2接触部に対して転がる転がり部または前記第2接触部に対して摺動する摺動部からなっている。
【0009】
上記端子圧着装置によれば、プレス機構が昇降部を下降させると、押し下げ部材およびクリンパが下降する。そして、第1接触部と第2接触部とが接触し、クランプが押し下げ部材により押し下げられる。その後、昇降部が更に下降すると、クリンパが電線および端子をアンビルに向けて押しつけ、電線と端子とが圧着される。上記端子圧着装置では、第1接触部は転がり部または摺動部からなっているので、クランプの移動中に第1接触部と第2接触部とが接触しても、第1接触部は第2接触部に対して転がるか、あるいは、摺動する。そのため、クランプの移動が妨げられることはない。よって、クランプの移動が終了する前に押し下げ部材がクランプを押し下げ始めても問題がない。また、端子圧着後、押し下げ部材がクランプと接触している間であっても、クランプを逆方向に移動させることができる。よって、端子圧着処理またはその後の処理のタクトタイムを短縮することが可能となる。
【0010】
本発明の好ましい一態様によれば、前記プレス機構は、前記クランプ移動機構による前記クランプの移動が終了する前に前記昇降部の下降を開始するように構成されている。
【0011】
上記態様によれば、クランプの移動が終了する前にプレス機構の昇降部の下降が開始されるので、クランプの移動が終了してから端子が圧着されるまでの時間を短縮することができる。したがって、端子圧着処理のタクトタイムを短縮することが可能となる。
【0012】
本発明の好ましい一態様によれば、前記プレス機構は、前記クランプの移動が終了する前に前記第1接触部と前記第2接触部とが接触するように構成されている。
【0013】
上記態様によれば、クランプの移動が終了してから第1接触部と第2接触部とが接触する場合よりも、端子圧着処理のタクトタイムを短縮することが可能となる。
【0014】
本発明の好ましい一態様によれば、前記第1接触部はローラからなっている。
【0015】
上記態様によれば、クランプの移動中に第1接触部と第2接触部とが接触したとしても、ローラが転がることにより、第1接触部は第2接触部に対して、クランプの移動方向に沿った方向に円滑に移動することができる。よって、クランプの移動中に押し下げ部材がクランプを押し下げたとしても、クランプの移動を阻害することはない。したがって、端子圧着処理を円滑に行いつつ、タクトタイムを短縮することができる。
【0016】
本発明の好ましい一態様によれば、前記第1接触部はボールからなっている。
【0017】
上記態様によれば、クランプの移動中に第1接触部と第2接触部とが接触したとしても、ボールが転がることにより、第1接触部は第2接触部に対して、クランプの移動に合わせて円滑に移動することができる。また、ボールは任意の方向に回転可能であるので、第1接触部は第2接触部に対して、多方向に移動することができる。そのため、押し下げ部材がクランプを押し下げ始めた後であっても、クランプは多段階の移動を行うことができる。よって、クランプの移動の比較的早い段階から、押し下げ部材によりクランプを押し下げることができる。したがって、端子圧着処理を円滑に行いつつ、タクトタイムを更に短縮することができる。
【0018】
本発明の好ましい一態様によれば、前記第2接触部は、前記第1接触部と接触する水平面を有している。
【0019】
上記態様によれば、第1接触部と第2接触部とが接触した後、プレス機構の昇降部の昇降量とクランプの昇降量とが等しくなる。そのため、クリンパの昇降とクランプの昇降とを同期させやすい。したがって、端子圧着処理をより良好に行うことができる。
【0020】
なお、プレス機構の昇降部の昇降が開始されるときのクランプの移動方向は特に限定されない。例えば、前記クランプ移動機構は、前記クランプを前記電線の長手方向に移動させるように構成され、前記プレス機構は、前記クランプの前記電線の長手方向の移動が終了する前に前記昇降部の下降を開始するよう構成されていてもよい。
【0021】
また、前記クランプ移動機構は、前記クランプを前記電線の長手方向と交差する方向に移動させた後、前記電線の長手方向に移動させるように構成され、前記プレス機構は、前記クランプの前記電線の長手方向と交差する方向の移動が終了する前に前記昇降部の下降を開始するように構成されていてもよい。
【0022】
これにより、クランプの移動の比較的早い段階から、押し下げ部材によりクランプを押し下げることができる。したがって、端子圧着処理のタクトタイムを更に短縮することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、端子圧着前にクランプを下降させる端子圧着装置において、端子圧着処理またはその後の処理のタクトタイムを短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】電線処理装置の構成を模式的に表す平面図である。
【
図5】クランプが開いているときのクランプの主要部の正面図である。
【
図6】クランプが閉じているときのクランプの主要部の正面図である。
【
図7】クランプおよび圧着機の側方から見た部分断面図である。
【
図8】クランプの移動態様を表す模式的な平面図である。
【
図9】クランプが直進移動を始めるときのクランプおよび圧着機の模式的な側面図である。
【
図10】プレス機構がプレス動作を始めるときのクランプおよび圧着機の模式的な側面図である。
【
図11】押し下げ部材がクランプに接触したときのクランプおよび圧着機の模式的な側面図である。
【
図12】クランプが直進移動を終了したときのクランプおよび圧着機の模式的な側面図である。
【
図13】端子が圧着されたときのクランプおよび圧着機の模式的な側面図である。
【
図14】本発明の一実施形態に係る端子圧着処理のタイムチャートである。
【
図15】従来の端子圧着処理のタイムチャートである。
【
図16】本発明の他の実施形態に係る端子圧着処理のタイムチャートである。
【
図17】他の実施形態に係る押し下げ部材の部分側面図である。
【
図18】他の実施形態に係る押し下げ部材およびクランプの部分側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る電線処理装置1の構成を模式的に表す平面図である。以下の説明では、特に断らない限り、
図1の右側、左側をそれぞれ前側、後側とする。
図1の上側、下側をそれぞれ左側、右側とする。ただし、以下の説明における各方向は説明の便宜上定めた方向に過ぎず、本発明を何ら限定するものではない。
【0026】
電線処理装置1は、伸線機25と、電線5を送り出す送給装置20と、電線クランプ装置30F,30Rと、カッター装置10と、圧着機13F,13Rと、制御装置9とを備えている。
図2に示すように、電線5はいわゆる被覆電線であり、導体からなる芯線5aと、芯線5aの周囲を覆う絶縁体からなる被覆材5bとを含んでいる。
【0027】
伸線機25は、電線5の巻き癖を除去し、電線5を真っ直ぐに矯正する装置である。伸線機25は、千鳥状に配置された複数のローラを有している。
【0028】
送給装置20は、図示しないモータによって駆動される駆動ローラ21aと、従動ローラ21bと、駆動ローラ21aおよび従動ローラ21bに巻かれた搬送ベルト22とを、左右に一対備えている。駆動ローラ21aが搬送ベルト22を走行させることにより、左右の搬送ベルト22に挟まれた電線5が前方に送り出される。ただし、送給装置20は電線5を送り出すことができる装置であれば足り、その具体的構成は何ら限定されるものではない。
【0029】
電線クランプ装置30F,30Rは、電線5の把持と、電線5の長手方向に沿った移動と、鉛直線30cF,30cR周りの旋回とが可能な装置である。電線クランプ装置30F,30Rには、公知の各種のクランプ装置を利用することができる。ここでは、電線クランプ装置30Fは、電線5を把持するクランプ31Fと、クランプ31Fを電線5の長手方向に移動させる直進アクチュエータ32Fと、クランプ31Fを鉛直線30cF周りに旋回させる旋回アクチュエータ33Fとを備えている。電線クランプ装置30Rは、電線5を把持するクランプ31Rと、クランプ31Rを電線5の長手方向に移動させる直進アクチュエータ32Rと、クランプ31Rを鉛直線30cR周りに旋回させる旋回アクチュエータ33Rとを備えている。
【0030】
クランプ31F,31Rは、電線5を把持する機構である。本実施形態では、クランプ31F,31Rは、送給装置20が電線5を送り出すときには電線5の把持を解除し、電線5の長手方向に沿った移動を案内する。詳細は後述するが、クランプ31F,31Rは、電線5が長手方向に移動した後、電線5の切断および被覆材5bの剥ぎ取りの際に電線5を把持する。また、クランプ31F,31Rは、電線5の端部を圧着機13F,13Rに向けて搬送する際、および、電線5の端部に端子7を圧着する際にも電線5を把持する。
【0031】
直進アクチュエータ32F,32Rは、それぞれクランプ31F,31Rを電線5の長手方向に沿って移動させることができれば足り、旋回アクチュエータ33F,33Rは、それぞれクランプ31F,31Rを鉛直線30c周りに旋回させることができれば足り、それらの具体的構成は何ら限定されない。直進アクチュエータ32F,32Rおよび旋回アクチュエータ33F,33Rは、例えば、エアシリンダまたはサーボモータなどにより構成することができる。
【0032】
カッター装置10は、電線5の切断および被覆材5bの剥ぎ取りを行う装置である。カッター装置10には、公知の各種のカッター装置を用いることができる。ここでは、カッター装置10は、上下一対のカッター刃40と、カッター刃40の後方に配置された上下一対のストリップ刃41と、カッター刃40の前方に配置された上下一対のストリップ刃42とを有している。図示は省略するが、カッター装置10は、それぞれ上下一対のカッター刃40、ストリップ刃41、ストリップ刃42を互いに接近および離反させるアクチュエータを備えている。
【0033】
圧着機13F,13Rは、電線5の端部に端子7を圧着する装置である。前述したように、クランプ31F,31Rは、鉛直線30cF,30cR周りに旋回可能に構成されている。圧着機13Fは、クランプ31Fに把持された電線5の端部に端子7を圧着するように構成されている。圧着機13Rは、クランプ31Rに把持された電線5の端部に端子7を圧着するように構成されている。
【0034】
図示は省略するが、電線処理装置1は、両端に端子7が圧着された電線5を回収するトレイを備えている。後述するように電線処理装置1は、電線5の切断、被覆材5bの剥ぎ取り、および端子7の圧着を連続的に繰り返し行い、端子付き電線5を連続的に製造する。上記トレイには、このように連続的に製造される複数の端子付き電線5が収容される。
【0035】
制御装置9は、伸線機25、送給装置20、電線クランプ装置30F,30R、カッター装置10、および圧着機13F,13Rと通信可能に接続されており、これらの機器を制御する。制御装置9は、コンピュータにより構成されている。制御装置9は、電線処理装置1の専用のコンピュータであってもよく、パーソナルコンピュータ等の汎用のコンピュータであってもよい。制御装置9のハードウェア構成は何ら限定されない。
【0036】
以上が電線処理装置1の全体構成である。次に、電線クランプ装置30Rおよび圧着機13Rの詳細な構成について説明する。なお、本実施形態では、電線クランプ装置30Rと、圧着機13Rと、それらを制御する制御装置9により、端子圧着装置が構成されている。
【0037】
図3は電線クランプ装置30Rの右側面図、
図4は電線クランプ装置30Rの正面図である。
図3に示すように、電線クランプ装置30Rは、電線5の長手方向に沿って移動可能(
図3の矢印A参照)かつ鉛直線30cR周りに旋回可能(
図3の矢印B参照)なベースプレート33と、ベースプレート33に取り付けられたベースアーム34と、ベースアーム34に支持されたクランプ31Rとを備えている。
【0038】
クランプ31Rは、クランプアクチュエータの一例であるエアシリンダ38と、エアシリンダ38に固定されたクランプベース27と、左右一対のクランプ爪36(
図5および
図6参照)と、エアシリンダ38とクランプ爪36とを連結するリンク機構37とを有している。
図3に示すように、ベースアーム34には、上下に延びるガイドレール28が固定されている。クランプベース27には、ガイドレール28に摺動可能に係合したスライダ26が固定されている。スライダ26がガイドレール28に対して摺動することにより、クランプ31Rはベースアーム34に対して上下移動可能となっている。
【0039】
電線クランプ装置30Rは、クランプ31Rを上向きに引っ張るばね29を備えている。ばね29の上端部29aはベースアーム34に取り付けられ、下端部29bはクランプベース27に取り付けられている。これにより、クランプベース27は、ばね29により上方に引っ張られている。クランプベース27は、ベースアーム34に対して、所定の基準位置よりも上方に行かないように規制されている。そのため、クランプベース27は、外部から下向きの力が加わらない限り、ばね29により基準位置に保持されている。
【0040】
図5および
図6はクランプ31Rの主要部の正面図であり、
図5はクランプ爪36が開いている状態、
図6はクランプ爪36が閉じている状態を表している。エアシリンダ38は、シリンダ38Aとロッド38Bとを有している。シリンダ38Aは、クランプベース27に取り付けられている(
図3参照)。ロッド38Bはシリンダ38Aから下方に延びるように構成されており、ロッド38Bの下端部にリンク機構37が取り付けられている。
【0041】
リンク機構37は、ロッド38Bの下端部に固定されたリンクベース37Aと、リンクベース37Aに回動可能に連結された左右一対のリンクアーム37Bと、クランプ爪36が取り付けられた左右一対のクランプアーム37Cとを有している。リンクアーム37Bとクランプアーム37Cとは、回動可能に連結されている。また、左右のクランプアーム37Cは、互いに回動可能に連結されている。リンク機構37は、ロッド38Bが縮むと両クランプ爪36が開き(
図5参照)、ロッド38Bが伸びると両クランプ爪36が閉じるように(
図6参照)、ロッド38Bと両クランプ爪36とを連結している。すなわち、両クランプ爪36は、ロッド38Bが上昇すると互いに離反し、電線5の把持を解除する。逆に、両クランプ爪36は、ロッド38Bが下降すると互いに接近し、電線5を把持する。制御装置9は、エアシリンダ38を駆動することにより、電線5の把持およびその解除を行う。
【0042】
シリンダ38Aの上部には、プレート39が設けられている。本実施形態では
図3に示すように、プレート39の一部はシリンダ38Aよりも後方(
図3の左方)に延びている。プレート39は、平面視においてシリンダ38Aと重なる重なり部39bと、シリンダ38Aと重ならない延長部39aとを有している。プレート39の上面39sは斜面または曲面であってもよいが、ここでは、水平な平面(水平面)からなっている。
【0043】
次に、圧着機13Rについて説明する。
図7は、クランプ31Rおよび圧着機13Rの側方から見た部分断面図である。
図7に示すように、圧着機13Rは、ベースプレート51と、ホルダ52と、アンビル53と、クリンパ56と、ホルダ52に昇降可能に支持されたラム55と、プレス機構58と、押し下げ部材60とを備えている。
【0044】
アンビル53は、端子圧着の際に端子7を支持する台座である。図示は省略するが、端子7は、電線5の芯線5a(
図2参照)に圧着されるワイヤバレルと、電線5の被覆材5bに圧着されるインシュレーションバレルとを有している。本実施形態では、アンビル53は、主に端子7のワイヤバレルを支持する部分53Aと、主にインシュレーションバレルを支持する部分53Bとを有している。ただし、本実施形態に係るアンビル53の構成は一例に過ぎず、アンビル53の具体的構成は何ら限定されない。
【0045】
クリンパ56は、アンビル53との間に電線5および端子7を挟み込むことにより、電線5に端子7を圧着する部材である。クリンパ56はボルト57により、ラム55に固定されている。本実施形態では、クリンパ56は、主に端子7のワイヤバレルを電線5の芯線5aに圧着する部分56Aと、主にインシュレーションバレルを電線5の被覆材5bに圧着する部分56Bとを有している。ただし、本実施形態に係るクリンパ56の構成は一例に過ぎず、クリンパ56の具体的構成は何ら限定されない。
【0046】
プレス機構58は、昇降部としてのシャフト58Aと、シャフト58Aを昇降させるアクチュエータ(図示せず)とを有している。シャフト58Aにはクリンパ56が連結されている。詳しくは、シャフト58Aの下端部にラム55が固定され、クリンパ56はラム55を介してシャフト58Aに間接的に連結されている。なお、本明細書では特に断らない限り、連結とは、直接連結されている場合と、他の部材を介して間接的に連結されている場合との両方が含まれる。上記アクチュエータはシャフト58Aを昇降させる駆動装置であれば足り、その種類は何ら限定されない。ここでは、上記アクチュエータは、サーボモータによって構成されている。上記アクチュエータがシャフト58Aを下降させるとラム55が下降し、ラム55に固定されたクリンパ56がアンビル53に向かって移動する。
【0047】
押し下げ部材60は、クリンパ56の下降に合わせてクランプ31Rを押し下げる部材である。クリンパ56が下降を開始するときには、電線5の端部はアンビル53上の端子7から浮いた状態にある。しかし、クランプ31Rを押し下げることにより、クリンパ56が電線5の端部に端子7を圧着する前または圧着する瞬間に、電線5の端部を端子7に載せることができる。そのため、電線5の端部に端子7を良好に圧着することができる。
【0048】
本実施形態では、押し下げ部材60はプレス機構58のシャフト58Aに連結されている。押し下げ部材60は、シャフト58Aに固定されたアーム61と、アーム61に設けられたローラ62とを有している。シャフト58Aと共に押し下げ部材60が下降すると、ローラ62がクランプ31Rのプレート39の上面39sに接触し、クランプ31Rを押し下げる。本実施形態では、ローラ62、プレート39は、それぞれ本発明に係る「第1接触部」、「第2接触部」に対応する。ローラ62は、プレート39の上面39s上を回転可能に構成されている。本実施形態では、ローラ62は、プレート39に対して、電線5の長手方向に移動可能に構成されている。
【0049】
前述したように、電線クランプ装置30Rは、クランプ31Rを旋回させる旋回アクチュエータ33Rと、クランプ31Rを電線5の長手方向に沿って移動させる直進アクチュエータ32Rとを備えている(
図1参照)。これら旋回アクチュエータ33Rおよび直進アクチュエータ32Rは、電線5の端部がアンビル53とクリンパ56との間の位置に搬送されるようクランプ31Rを移動させるクランプ移動機構35を構成している。なお、端子7には、いわゆるオープンバレル型やクローズドバレル型などの複数種類の端子が存在する。端子7の種類ごとに、クランプ31Rの移動方法が若干異なっていてもよい。クランプ31Rは、各種の端子7に適用可能に構成されている。すなわち、クランプ移動機構35は、クランプ31Rを端子7の種類に応じて移動させるように構成されている。
【0050】
次に、電線処理装置1の動作について説明する。まず、送給装置20が電線5をカッター装置10に向けて送り出し、両クランプ31F,31Rが電線5を把持する。次に、カッター装置10が駆動し、カッター刃40が電線5を切断する。次に、ストリップ刃41が後側の電線5の前端部の被覆材5bを切り込み、クランプ31Fが電線5を後方(
図1の左方)に引っ張る。また、ストリッパ刃42が前側の電線5の後端部の被覆材5bを切り込み、クランプ31Rが電線5を前方(
図1の右方)に引っ張る。これにより、後側の電線5の前端部の被覆材5bが剥ぎ取られると共に、前側の電線5の後端部の被覆材5bが剥ぎ取られる。次に、クランプ31Fが左側に旋回し、後側の電線5の前端部を圧着機13Fに向けて搬送し、圧着機13Fが後側の電線5の前端部に端子7を圧着する。また、クランプ31Rが右側に旋回し、前側の電線5の後端部を圧着機13Rに向けて搬送し、圧着機13Rが前側の電線5の後端部に端子7を圧着する。なお、圧着機13Rによる端子圧着動作の詳細については後述する。次に、クランプ31Fは後側の電線5を把持したままカッター装置10に対向する初期位置(
図1に示す位置)に戻り、当該電線5の把持を解除する。クランプ31Rは、前側の電線5の把持を解除した後、カッター装置10に対向する初期位置(
図1に示す位置)に戻る。なお、端子付き電線5は、クランプ31Rによる把持が解除されると、落下してトレイ(図示せず)に回収される。以上が1サイクルの動作である。電線処理装置1は、上記サイクルを繰り返すことにより、端子付き電線5を連続的に製作する。
【0051】
次に、圧着機13Rによる端子圧着動作の詳細について説明する。以下の端子圧着動作の説明では、クランプ31Rから見て、圧着機13Rに近づく方を前方と言い、圧着機13Rから遠ざかる方を後方と言うこととする。
【0052】
図8に示すように、クランプ31Rは、まず、前述の初期位置(
図8に仮想線で示す位置)から、電線5の端部が圧着機13Rの方を向くまで旋回する(矢印M1参照)。次に、クランプ31Rは、電線5の端部が圧着機13Rのアンビル53上に位置するまで、電線5の長手方向に沿って直進する(矢印M2参照)。このように、本実施形態では、クランプ31Rは、旋回移動および直進移動の二段階の移動を行う。
【0053】
図9~
図13は、クランプ31Rおよび圧着機13Rの動作を説明するための模式図である。
図14は、端子圧着処理のタイムチャートである。
図14に示すように、本実施形態に係る端子圧着処理では、クランプ31Rは時刻T1~T2において旋回移動を行い、時刻T2~T5において直進移動を行う。
図9は、クランプ31Rが直進移動を始めるとき(T=T2)のクランプ31Rおよび圧着機13Rを表している。
【0054】
図10に示すように、クランプ31Rが直進移動を開始してから所定時間が経過した時(T=T3)に、プレス機構58はプレス動作を開始する。すなわち、本実施形態では、クランプ31Rが直進移動を終了する前に、プレス機構58のプレス動作を開始する。詳しくは、クランプ31Rの移動中にプレス機構58のアクチュエータの駆動が開始され、シャフト58Aが下降し始める。このシャフト58Aの下降に伴い、クリンパ56および押し下げ部材60が下降する。
【0055】
図11に示すように、押し下げ部材60が下降すると、押し下げ部材60のローラ62がクランプ31Rのプレート39に接触する。ここでは、押し下げ部材60がプレート39に接触する時をT=T4とする。
【0056】
押し下げ部材60のローラ62がプレート39に接触すると、クランプ31Rは押し下げ部材60によって押し下げられる。ここで、クランプ31Rは直進移動中であるが、押し下げ部材60のローラ62は回転可能である。そのため、押し下げ部材60がクランプ31Rに接触しても、クランプ31Rの直進移動が妨げられることはない。
図12に示すように、クランプ31Rは、直進移動を続けると共に、押し下げ部材60によって押し下げられる。そして、T=T5において、電線5の端部がアンビル53上の所定位置に到達し、クランプ31Rは直進移動を終了する。
【0057】
プレス機構58のシャフト58Aは引き続き下降する。これにより、押し下げ部材60がクランプ31Rを更に押し下げると共に、クリンパ56がアンビル53に向かって更に移動する。そして、
図13に示すように、T=T6において、クリンパ56が電線5の端部および端子7をアンビル53に向かって押しつけ、電線5の端部に端子7が圧着される。以上が本実施形態に係る端子圧着処理の詳細である。
【0058】
本実施形態によれば、押し下げ部材60のクランプ31Rに対する接触部は、回転可能なローラ62により構成されている。そのため、クランプ31Rの移動中に押し下げ部材60がクランプ31Rに接触したとしても、クランプ31Rの移動が阻害されることはない。よって、クランプ31Rの移動が終了する前に押し下げ部材60がクランプ31Rを押し下げ始めても問題はない。そこで本実施形態では、
図14に示すように、クランプ31Rの移動が終了する時刻T5よりも前の時刻T3において、プレス機構58のプレス動作を開始することとした。なお、
図15は、クランプの移動が終了してからプレス機構のプレス動作を開始する従来技術のタイムチャートである。
図14および
図15を見比べると分かるように、本実施形態によれば、クランプ31Rの移動が終了してから端子7が圧着されるまでの時間を短縮することができるので、本実施形態のタクトタイムST1は従来技術のタクトタイムST2よりも短くなっている。このように、本実施形態によれば、端子圧着処理のタクトタイムを短縮することが可能となる。
【0059】
前述したように、端子圧着処理が終了した後、クランプ31Rは初期位置に戻る。本実施形態ではクランプ31Rは、後方に直進移動した後、旋回移動を行う。本実施形態では、押し下げ部材60がクランプ31Rに接触していても、クランプ31Rの移動が阻害されることはない。そのため、端子圧着後、押し下げ部材60が上昇しているときであっても、クランプ31Rを移動させることができる。そこで、端子圧着後プレスの上昇終了前に、クランプ31Rの移動を開始してもよい。すなわち、端子圧着後、プレス機構58のシャフト58Aが上昇を開始してから終了する前に、クランプ31Rの移動を開始してもよい。これにより、端子圧着処理の後の処理を迅速に進めることができ、電線処理装置1の全体の処理のタクトタイムを短縮することができる。
【0060】
なお、本実施形態では、クランプ31Rの移動が終了する時(T=T5)よりも前に、押し下げ部材60がクランプ31Rに接触し、クランプ31Rを押し下げ始めていた(T=T4)。しかし、
図16に示すように、クランプ31Rの移動が終了する時よりも前にプレス機構58のプレス動作を開始しつつ、押し下げ部材60がクランプ31Rに接触し始めるタイミングは、クランプ31Rの移動が終了した後であってもよい。このような場合であっても、タクトタイムST3は、従来技術のタクトタイムST2(
図15参照)よりも短くなる。よって、従来技術に比べて、端子圧着処理のタクトタイムを短縮することができる。
【0061】
ただし、本実施形態によれば、クランプ31Rの移動が終了する時よりも前に押し下げ部材60がクランプ31Rを押し下げ始めるので、端子圧着処理のタクトタイムをより一層短縮することが可能となる。
【0062】
本実施形態では、クランプ31Rの押し下げ部材60に対する接触部は、水平面からなる上面39sを有するプレート39により構成されている。そのため、押し下げ部材60のローラ62とプレート39の上面39sとが接触した後、プレス機構58のシャフト58Aの昇降量とクランプ31Rの昇降量とが等しくなる。そのため、クリンパ56の昇降とクランプ31Rの昇降とを同期させやすい。したがって、端子圧着処理をより良好に行うことができる。
【0063】
前記実施形態では、押し下げ部材60のクランプ31Rに対する接触部は、回転可能なローラ62により構成されている。ローラ62は、クランプ31Rに対して転がる転がり部の一例であるが、転がり部はローラ62に限定されない。転がり部は、例えば
図17に示すように、任意の方向に回転可能なボール(球体)64であってもよい。
【0064】
前記実施形態では、転がり部は押し下げ部材60に備えられているが、転がり部はクランプ31Rに備えられていてもよい。例えば、ローラ62がクランプ31Rに備えられ、プレート39が押し下げ部材60に備えられていてもよい。このような場合であっても、前述の効果を得ることができる。
【0065】
また、押し下げ部材60の接触部およびクランプ31Rの接触部の両方が転がり部により構成されていてもよい。
【0066】
押し下げ部材60およびクランプ31Rは、押し下げ部材60がクランプ31Rの移動を阻害せずにクランプ31Rを押し下げるように構成されていればよく、必ずしも、押し下げ部材60の接触部およびクランプ31Rの接触部のうち少なくとも一方が転がり部でなくてもよい。例えば、押し下げ部材60およびクランプ31Rは、クランプ31Rの移動を阻害しないように互いに摺動可能な摺動部を有していてもよい。例えば、
図18に示すように、押し下げ部材60がアーム61に固定された第1の摺動板66を有し、クランプ31Rのシリンダ38Aの上部に、第1の摺動板66に対して摺動する第2の摺動板68が設けられていてもよい。
【0067】
前記実施形態では、クランプ31Rの旋回移動が終了した後、プレス機構58のプレス動作を開始することとしている。しかし、クランプ31Rの旋回移動が終了する前に、プレス機構58のプレス動作を開始することとしてもよい。これにより、プレス動作をより早く始めることができるので、端子圧着処理のタクトタイムを更に短縮することができる。
【0068】
また、前記実施形態では、押し下げ部材60は、クランプ31Rが旋回移動した後、アンビル53に向かって直進移動している時に、クランプ31Rと接触するように構成されている。しかし、押し下げ部材60は、クランプ31Rが旋回移動している時にクランプ31Rと接触し始めるように構成されていてもよい。例えば、押し下げ部材60の接触部を前述のボール64または摺動部により構成することとすれば、押し下げ部材60はクランプ31Rを押し下げながら、クランプ31Rに対して多方向に移動することができる。よって、クランプ31Rは、押し下げ部材60によって押し下げられると同時に、押し下げ部材60に妨げられることなく旋回および直進することができる。クランプ31Rが旋回移動している時に押し下げ部材60がクランプ31Rに接触し始めるほどプレス動作の開始を早めることとすれば、端子圧着処理のタクトタイムをより一層短縮することが可能となる。
【0069】
前記実施形態では、クランプ移動機構35は、クランプ31Rを旋回させてから、圧着機13Rに向けて直進させるように構成されている。ここで、クランプ31Rの旋回移動は、クランプ31Rの電線5の長手方向と交差する方向への移動の一例である。しかし、クランプ31Rの電線5の長手方向と交差する方向への移動は、旋回移動に限定されない。例えば、クランプ31Rの電線5の長手方向と交差する方向への移動は、電線5の長手方向と直交する方向への直進移動であってもよい。例えば、クランプ31Rは、左方または右方(
図1参照)に直進移動するように構成されていてもよい。クランプ移動機構35は、クランプ31Rを電線5の長手方向と直交する方向に直進させてから、アンビル53に向けて直進させるように構成されていてもよい。
【0070】
前記実施形態では、押し下げ部材60はプレス機構58の昇降部58Aに連結されている。しかし、押し下げ部材60は、プレス機構58の昇降部58Aの昇降に合わせて昇降するように構成されていればよく、必ずしも昇降部58Aに直接的または間接的に連結されている必要はない。例えば、押し下げ部材60は、プレス機構58のアクチュエータとは別のアクチュエータによって昇降されるように構成されていてもよい。
【0071】
なお、前記実施形態では、カッター装置10よりも前方(
図1の右方)のクランプ31Rおよび圧着機13Rによる端子圧着処理について説明したが、カッター装置10よりも後方(
図1の左方)のクランプ31Fおよび圧着機13Fにおいても、前述と同様の端子圧着処理を行うことができる。
【符号の説明】
【0072】
5 電線
7 端子
13R クランプ
35 クランプ移動機構
39 プレート(第2接触部)
39s 上面(水平面)
53 アンビル
56 クリンパ
58 プレス機構
58A シャフト(昇降部)
60 押し下げ部材
62 ローラ(第1接触部)
64 ボール(第1接触部)
66 第1の摺動板(摺動部)