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特許7197358臨床業務フローを最適化するための予測モデル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】臨床業務フローを最適化するための予測モデル
(51)【国際特許分類】
   G16H 30/20 20180101AFI20221220BHJP
   G06Q 10/06 20120101ALI20221220BHJP
   G16H 40/60 20180101ALI20221220BHJP
【FI】
G16H30/20
G06Q10/06 324
G16H40/60
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2018537854
(86)(22)【出願日】2017-01-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-03-28
(86)【国際出願番号】 EP2017051433
(87)【国際公開番号】W WO2017129564
(87)【国際公開日】2017-08-03
【審査請求日】2020-01-06
(31)【優先権主張番号】16152878.1
(32)【優先日】2016-01-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【弁理士】
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(74)【代理人】
【識別番号】100145654
【弁理士】
【氏名又は名称】矢ヶ部 喜行
(72)【発明者】
【氏名】アムトール トマス エリック
(72)【発明者】
【氏名】セネガス ジュリアン
(72)【発明者】
【氏名】ステール トマス ヘイコ
(72)【発明者】
【氏名】ハンシス エベルハルト セバスティアン
【審査官】久宗 義明
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-059251(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0199478(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0010445(US,A1)
【文献】特開2005-085200(JP,A)
【文献】特開2012-063919(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0087342(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0129165(US,A1)
【文献】丸谷 美織,土橋 宜典,山本 強,「画像閲覧履歴の学習による医用画像の重要度評価とその応用に関する研究」,電子情報通信学会技術研究報告ITS2010-29-ITS2010-69 ,ITS社団法人電子情報通信学会,2011年02月14日,110巻,420号,PP. 41~45
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
臨床業務フローを最適化するための予測モデルを生成するためのシステムの作動方法であって、前記システムは、入力インタフェース及びプロセッサを有し、前記臨床業務フローは、患者検査の間の1つ以上の医療画像の取得に帰着するものであり、前記方法は、
前記入力インタフェースにより、前記臨床業務フローを示す業務フローメタデータを取得するステップであって、前記業務フローメタデータを取得するステップは、前記臨床業務フローを遂行する際に用いられる医療装置又は医療システムのシステムログを取得するステップを有する、ステップと、
前記プロセッサにより、前記1つ以上の医療画像を閲覧するために医師により用いられる画像ビューアのビューアログを取得するステップであって、前記ビューアログは、前記画像ビューアを利用する医師により実行された1つ以上の閲覧動作を示す、ステップと、
前記プロセッサにより、医師が臨床診断に到達するための1つ以上の医療画像の診断価値を推定するステップであって、前記診断価値は、前記医療画像が診断に適しているかを示し、前記推定するステップは、前記1つ以上の閲覧動作を、注意メトリックを用いて前記診断価値にマッピングするステップを有し、前記注意メトリックは、前記閲覧動作により表される医師の異なる閲覧挙動をどのように異なる診断価値に相関付けるかについての仮定のセットを実施化する、ステップと、
を有し、以上のステップは、種々の臨床業務フローに対して実行され、前記プロセッサにより、複数の診断価値が取得され、前記入力インタフェースにより、それぞれの複数の業務フローメタデータが取得され、前記方法は更に、
前記プロセッサにより、前記複数の診断価値及び前記複数の業務フローメタデータに機械学習手法を適用して、予測モデルを生成するステップであって、前記予測モデルは、特定の臨床業務フローにより取得された医療画像の診断価値を、前記特定の臨床業務フローの業務フローメタデータに基づいて予測するものである、ステップ
を有する、方法。
【請求項2】
前記システムログは、前記1つ以上の医療画像の取得に用いられた撮像装置のものである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記注意メトリックは、特定の閲覧動作の出現又は出現の回数、前記1つ以上の閲覧動作の時間的な順序、特定の医療画像の閲覧継続時間、及び前記特定の医療画像の閲覧頻度、のうちの少なくとも1つに基づいて、前記1つ以上の閲覧動作を、前記診断価値にマッピングする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記1つ以上の閲覧動作は、ズーム動作、コントラスト調節、明るさ調節、他の医療画像への切り換え、医療画像の削除、及び医療画像における解剖学的構造の抽出のうち少なくとも1つを有する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記入力インタフェースにより、前記診断価値に関するユーザ入力を得るため医師に質問するステップを更に有し、前記診断価値の推定は更に、前記ユーザ入力に基づく、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記システムにより、前記患者検査に関連する放射線レポートにアクセスするステップを更に有し、前記診断価値の推定は更に、自然言語処理手法を用いて前記放射線レポートを解析して、前記放射線レポートにおけるテキスト記述から前記診断価値についての情報を抽出することを有する、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記予測モデルにより、前記医療画像の高い診断価値に帰着する、特定の臨床業務フローの調節を特定するため、前記プロセッサにより、前記予測モデルを解析するステップを更に有する、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一項に記載の方法をプロセッサシステムに実行させるための命令を表す非持続型又は持続型のデータを有する、コンピュータ読み取り可能な媒体。
【請求項9】
特定の臨床業務フローにより取得された医療画像の診断価値を前記特定の臨床業務フローの業務フローメタデータに基づいて予測する予測モデルを表す非持続型又は持続型のデータを有する、コンピュータ読み取り可能な媒体。
【請求項10】
前記予測モデルにより、前記臨床業務フローの間に取得された前記医療画像の高い診断価値に帰着する、臨床業務フローの調節を特定するための、請求項9に記載の予測モデルの使用。
【請求項11】
臨床業務フローを最適化するための予測モデルを生成するためのシステムであって、前記臨床業務フローは、患者検査の間の1つ以上の医療画像の取得に帰着するものであり、前記システムは、
前記臨床業務フローを示す業務フローメタデータを取得するよう構成された入力インタフェースであって、前記業務フローメタデータの取得は、前記臨床業務フローを遂行する際に用いられる医療装置又は医療システムのシステムログの取得を有する、入力インタフェースと、
命令のセットを表す命令データを有するメモリと、
前記入力インタフェース及び前記メモリと通信し、前記命令のセットを実行するよう構成された、プロセッサと、
を有し、前記命令のセットは、前記プロセッサにより実行されたときに、前記プロセッサに、
前記1つ以上の医療画像を閲覧するために医師により用いられる画像ビューアのビューアログであって、前記画像ビューアを利用する医師により実行された1つ以上の閲覧動作を示す、前記ビューアログを取得させ、
医師が臨床診断に到達するための1つ以上の医療画像の診断価値を推定させ
るものであり、前記診断価値は、前記医療画像が診断に適しているかを示し、前記推定は、前記1つ以上の閲覧動作を、注意メトリックを用いて前記診断価値にマッピングすることを有し、前記注意メトリックは、前記閲覧動作により表される医師の異なる閲覧挙動をどのように異なる診断価値に相関付けるかについての仮定のセットを実施化するものであり、
前記命令のセットは、前記プロセッサにより実行されたときに、前記プロセッサに、異なる臨床業務フローに対して複数の診断価値を推定させ、前記入力インタフェースは、それぞれの複数の業務フローメタデータを取得するよう構成され、
前記命令のセットは、前記プロセッサにより実行されたときに、前記プロセッサに、前記複数の診断価値及び前記複数の業務フローメタデータに機械学習手法を適用して、予測モデルを生成させ、前記予測モデルは、特定の臨床業務フローにより取得された医療画像の診断価値を、前記特定の臨床業務フローの業務フローメタデータに基づいて予測するものである、システム。
【請求項12】
請求項11に記載のシステムを有するワークステーション又は撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、臨床業務フローを最適化するための予測モデルを生成するためのシステム及び方法に関する。本発明は更に、該システムを有するワークステーション及び撮像装置に関する。本発明は更に、該方法をプロセッサシステムに実行させるための命令を有するコンピュータ読み取り可能な媒体に関する。本発明は更に、該予測モデルを有するコンピュータ読み取り可能な媒体、及び臨床業務フローを最適化するための予測モデルの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
放射線の分野においては、患者及び検査業務フロー(以下合わせて「臨床ワークフロー」と呼ぶ)を最適化することは一般に、コスト及びケアの質に対して大きな影響を及ぼす。斯かる業務フローの最適化は、効率に関するものであり得るし、また業務フローの診断価値(diagnostic value)に関するものであり得る。データ解析は、病院管理においてますます重要な役割を果たしており、斯かる業務フローの最適化を実行する際に用いられ得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、臨床業務フローを最適化しようと試みる際に生じる主な困難のひとつは、適切なパフォーマンスインジケータを定義すること、及びその値を測定及び評価することである。例えば、磁気共鳴映像法(MRI)シーケンス、パラメータ及びコイルの特定の組み合わせ、特定の患者の群、及び/又は医療スタッフの特定の挙動が、患者検査の間に得られる医療画像の診断価値に正又は負に相関し得る。これら相関を見出すことは、得られた多くの医療画像を評価すること、及びこれらの医療画像が得られた条件を示す情報に対して診断価値を設定することを含む。このことは、臨床の実務において日常的に行われるには、過度の労力を必要とする。
【0004】
臨床業務フローを最適化することを容易化し、それにより斯かる最適化のために必要とされる労力を低減する、システム又は方法を得ることが有利となり得る。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の以下の態様は、臨床業務フローの所与の業務フローメタデータについて、特定の臨床業務フローにより得られた医療画像の診断価値を予測する予測モデルを生成することを含む。該生成された予測モデルは、得られた医療画像の診断価値を改善するため、特定の臨床業務フローの1つ以上の調節を特定するために用いられ得る。予測モデルを生成するため、レビューの間の医師の注意の推定の基づいて、医療画像の診断価値が推定され、特定の医療画像の取得に帰着する臨床業務フローを示す業務フローのメタデータに対して設定される。
【0006】
本発明の第1の態様は、請求項1に定義された方法を提供する。
【0007】
本発明の更なる態様は、請求項11に定義されたシステムを提供する。
【0008】
本発明の更なる態様は、以上のいずれかの請求項に記載の方法をプロセッサシステムに実行させるための命令を表す非持続型又は持続型データを有する、コンピュータ読み取り可能な媒体を提供する。
【0009】
本発明の更なる態様は、特定の業務フローの業務フローメタデータに基づいて該特定の業務フローにより得られた医療画像の診断価値を予測する予測モデルを表す非持続型又は持続型データを有する、コンピュータ読み取り可能な媒体を提供する。
【0010】
本発明の更なる態様は、臨床業務フローの調節を特定する予測モデルの使用を提供し、該予測モデルにより、臨床業務フローの間に得られる医療画像の、より高い診断価値に帰着する。
【0011】
以上の手段は、機械学習手法を用いて、1つ以上の臨床画像の推定される診断価値を、該1つ以上の医療画像の取得を確立する臨床業務フローを示す臨床業務フローメタデータに相関させることを含む。ここで「示す(indicative of)」とは、実行されるべき、実行される、又は実行された臨床業務フローの少なくとも一部を示す業務フローメタデータを示す。限定するものではない例は、例えばMRIのような利用された撮像モダリティ、利用されたMRIシーケンス、利用されたMRIパラメータ及びコイル等を示す業務フローメタデータである。他の限定するものではない例は、撮像された身体領域を示す業務フローメタデータである。
【0012】
当該相関は、種々の患者検査について実行され、それにより、種々の臨床業務フローについて、(i)推定される診断価値と(ii)業務フローメタデータとの対により構成される機械学習手法のための入力に帰着する。事実上、推定される診断価値は、機械学習手法における「回答ベクトル」としてみなされることができ、業務フローメタデータは「入力ベクトル」とみなされることができる。
【0013】
診断価値は、画像ビューアを用いて医師により実行された閲覧動作から推定され得る。ここで「画像ビューア(viewer)」なる語は、例えばワークステーション上で動作するソフトウェアアプリケーションのような、医療画像を閲覧するために用いられるソフトウェア及び/又はハードウェアを示す。典型的には、斯かる閲覧動作は、特定の医療画像に医師が払っている注意を示すものであり、従って医師の「注意値」を表し得る。従って、画像ビューアの閲覧ログは、1つ以上の医療画像の診断価値を推定するために解析され得る。この目的のため、閲覧動作により表される医師の種々の閲覧挙動が種々の診断価値とどのように相関するかについての仮定のセットを実施化する、注意メトリックが利用される。例えば、該注意メトリックは、特定のタイプの閲覧動作を高い診断価値にマッピングし、他の閲覧動作を低い診断価値にマッピングしても良い。ここで、診断価値は、診断のための医療画像の価値の定量化を表すものであっても良く、例えば0.0(医療診断のために不適切な医療画像を示す)から1.0(医療診断のために非常に適した医療画像を示す)までのスカラーとして表現されても良い。診断価値は、他のいずれの適切な態様で表現されても良い。
【0014】
機械学習手法は、出力として予測モデルを提供する。該予測モデルは、医療画像の取得に関連する臨床業務フローの所与の業務フローメタデータに対して、医療画像の診断価値を予測することを可能とする、機械構文解析可能なデータにより構成される。実際には、該予測モデルは、例えば入力として関連する業務フローメタデータを用いて医療画像の診断価値を「ルックアップする(look-up)」ための、ルックアップテーブルとして用いられ得るが、ルックアップテーブルとして構築される必要はない。
【0015】
以上の手段は、業務フローメタデータが一般に臨床環境において既に利用可能であり、診断価値が自動的に又は少なくとも半自動的に推定されるとすると、特定の臨床業務フローが低減された労力で最適化されることを予測モデルが可能とするという効果を持つ。そのため、医師のようなユーザが、業務フローのパラメータと取得された医療画像の診断品質との間に相関を手動で見出す必要がない。有利にも、該最適化は、臨床実務を大きく妨げることなく、日常の臨床実務において実行されることができる。
【0016】
診断モデルにおいて「ルックアップ」のために後続して用いられるもの以外の機械学習のために、異なるタイプの業務フローメタデータが用いられ得ることに留意されたい。
【0017】
業務フローメタデータの取得は、臨床業務フローの遂行において用いられる医療装置又は医療システムのシステムログを得ることを有しても良い。システムログは、臨床業務フローの間に得られた1つ以上の医療画像の診断価値と良く相関する関連情報を含むことが見出されている。しかしながら、生成された予測モデルを用いる後続する「ルックアップ」は、異なるタイプの業務フローメタデータを用いて実行されても良い。例えば、業務フローメタデータは、実際の臨床業務フローの間に、例えばシステムログの形で収集されたものとは異なる、仮説に基づく臨床業務フローについて生成されていても良い。このことは、臨床業務フローが依然として、実際に遂行される前に変更されることを可能とする。
【0018】
システムログは、1つ以上の医療画像の取得において用いられる撮像装置のものであっても良い。撮像装置のシステムログは、結果の医療画像の診断価値を好適に予測するものであることが見出されている。撮像装置の例は、MRIスキャナ又はコンピュータ断層撮影(CT)スキャナである。
【0019】
任意に、注意メトリックは、特定の閲覧動作の出現又は出現の回数、1回以上の閲覧動作の時間的順序、特定の医療画像の閲覧継続時間、及び特定の医療画像の閲覧頻度のうち少なくとも1つに基づいて、1つ以上の閲覧動作を診断価値にマッピングする。特定の閲覧動作の出現又は出現の回数は、特定の診断価値に関連する注意値を示すか又は直接に表し得る。例えば、医療画像における領域の抽出の出現は、該医療画像における医師の特定の関心を示し得るものであり、従って比較的高い診断価値を示し得る。同様に、複数の発散明るさ及び/又はコントラスト調節は、取得された医療画像が対象の特定の領域の好適なビューを提供しておらず、従って診断価値が最適ではないことを示し得る。他の例は、医療画像の長い閲覧継続時間、又は複数回の反復する閲覧が、該医療画像における医師の高い関心を示し得ることである。
【0020】
任意に、1つ以上の閲覧動作は、ズーム動作、コントラスト調節、明るさ調節、他の医療画像への切り換え、医療画像の削除、及び医療画像における解剖学的構造の抽出のうち少なくとも1つを有する。斯かる閲覧動作は、医師の注意を示すものと考えられ、従って1つ以上の医療画像の診断価値を示すものであると考えられる。
【0021】
任意に、該方法は更に、診断価値に関するユーザ入力を得るため医師に質問することを有し、診断価値の推定は更に、該ユーザ入力に基づく。閲覧動作に基づいて診断価値を推定することに加えて、医師は、例えば画像ビューアのグラフィカルユーザインタフェースにおけるダイアログボックスを用いて、診断価値について直接に質問されても良い。医師の入力は次いで、閲覧動作に基づく推定を補完するために用いられても良く、又はことによると推定された診断価値を置き換えるために用いられても良い。例えば医師がユーザ入力を提供することを控えている場合、又は医師により提供される粗いユーザ入力を洗練する目的において、診断価値の直接の質問ではない推定は依然として有意なものとなり得ることに留意されたい。
【0022】
任意に、該方法は更に、患者検査に関連する放射線レポートにアクセスすることを有し、診断価値の推定は更に、該放射線レポートの解析に基づく。放射線レポートは一般に、医療画像の臨床重要性について報告するものであるため、1つ以上の医療画像の診断価値を示すものであり得る。例えば、放射線レポートが診断及び/又は臨床所見を含まない場合、このことは医療画像の低い診断価値又は診断価値が無いことを示し得る。閲覧動作に加えて放射線レポートを考慮に入れることにより、診断価値がより信頼性高く推定されることができる。
【0023】
任意に、該方法は更に、自然言語処理手法を用いて放射線レポートを解析することを有する。本分野においてそれ自体が知られている自然言語処理手法を用いることにより、医師により生成された放射線レポートが、例えば機械解析可能な形式で生成される必要なく、直接に解析されることができる。
【0024】
任意に、該方法は更に、予測モデルにより、医療画像の高い診断価値に帰着する、特定の臨床業務フローの調節を特定するため、予測モデルを解析することを有する。予測モデルが生成されている場合、該予測モデルは、臨床業務フローを最適化するために用いられ得る。例えば、該予測モデルは、臨床業務フローの幾つかの変形により取得された医療画像の診断価値を予測するために用いられても良い。この目的のため、臨床業務フローの幾つかの変形を示す、業務フローメタデータが生成されても良い。このとき、予測モデルによる最適な診断価値を導出する変形が実際に実行されるために選択され、デフォルトの臨床業務フローとして選択される等しても良い。予測モデルの種々の他のユーザも、同様に想到可能である。例えば、医師又はその他のユーザ自身が可視化を用いて最適化を特定することを可能とし得る予測モデルに基づいて、可視化が生成されても良い。
【0025】
上述した実施例、実装及び/又は本発明の任意の態様の2つ以上が、有用と考えられるいずれの態様で組み合わせられても良いことは、当業者には理解されるであろう。
【0026】
該方法の説明された変更及び変形に対応する、該システム、撮像装置、ワークステーション及び/又は請求されるコンピュータ読み取り可能な媒体のいずれかの変更及び変形が、本明細書に基づいて当業者により実行されることができる。
【0027】
当業者は、該方法が、限定するものではないが、標準的なX線撮像、コンピュータ断層撮影(CT)、磁気共鳴撮像(MRI)、陽電子放出断層撮影(PET)、単光子放出コンピュータ断層撮影(SPECT)及び核医学(NM)のような、種々の画像取得モダリティにより取得された、例えば2次元(2D)、3次元(3D)又は4次元(4D)画像に適用され得ることを、理解するであろう。
【0028】
本発明のこれらの及び他の態様は、添付図面を参照しながら、以下の説明において例として記載される実施例を更に参照しながら、説明され明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】出力を放射線医に対して可視化し、放射線医からのユーザ入力を受けるよう構成された、任意のユーザインタフェースサブシステムを有するシステムを備えた、予測モデルを生成するためのシステムの実施例を示す。
図2】撮像装置、PACSサーバ及び画像ビューアと通信する、予測モデルを生成するためのシステムの他の実施例を示す。
図3】撮像装置のシステムログから導出された情報、即ち身体部分毎のスキャン反復の回数の可視化を示す。
図4】撮像装置のシステムログから導出された情報、即ち検査タイムラインの可視化を示す。
図5】ユーザフィードバックダイアログボックスを有するユーザインタフェースを備えた、医療画像を閲覧するため放射線医により用いられる画像ビューアのユーザインタフェースを示す。
図6】予測モデルを生成するための方法を示す。
図7】該方法をプロセッサシステムに実行させるための命令を有するコンピュータ読み取り可能な媒体を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図面は単に図式的なものであり、定縮尺で描かれていないことは留意されるべきである。図面において、既に説明された要素に対応する要素は、同一の参照番号を持ち得る。
【0031】
図1は、予測モデルを生成するためのシステムの第1の実施例を示す。該予測モデルは、患者検査の間に1つ以上の医療画像の取得に帰着する臨床業務フローを最適化するために用いられ得る。
【0032】
システム100は、臨床業務フローを示す業務フローメタデータ022にアクセスするためのメタデータ入力インタフェース120を有するものとして示されている。図2乃至4を参照しながら以下に更に説明されるように、斯かる業務フローメタデータ022は、種々の形態をとり得るものであり、種々のデータ源から取得され得る。図1の例においては、メタデータ入力インタフェース120は、業務フローメタデータ022を有する外部に位置するメタデータ記憶部020に接続されて示されている。代替としては、業務フローメタデータ022は、システム100の内部データ記憶部からアクセスされても良い。一般に、メタデータ入力インタフェース120は、ローカルエリアネットワーク又は例えばインターネットのようなワイドエリアネットワークへのネットワークインタフェース、内部又は外部データ記憶部への記憶部インタフェース、等のような、種々の形態をとり得る。ローカルエリアネットワークの例は、病院又はその他の臨床現場内のネットワークである。
【0033】
プロセッサ160は、システム100の動作の間、医師による1つ以上の医療画像の閲覧を特徴付ける注意値を決定し、医師が臨床診断に到達するための1つ以上の医療画像の診断価値を推定するよう構成される。これに関して、以下、例えば放射線医である医師が参照される点に留意されたい。説明される動作は、例えば種々の患者検査を含む種々の臨床業務フローについて、プロセッサにより実行され、これにより複数の診断価値を取得する。メタデータ入力インタフェース120は、例えばそれぞれが対応する臨床業務フローを示す、それぞれの複数の業務フローメタデータを取得するよう構成される。プロセッサ160は更に、システム100の動作の間、複数の診断価値及び複数の業務フローメタデータに機械学習手法を適用して予測モデルを生成するよう構成され、該予測モデルは、特定の臨床業務フローの業務フローメタデータに基づいて、該特定の臨床業務フローにより取得される医療画像の診断価値の予測するものである。
【0034】
業務フローメタデータの例が、図2乃至4を参照しながら更に議論され、注意値の決定及び該注意値を用いた診断価値の推定は、図5を参照しながら更に議論される。特に、注意値として、画像ビューアを利用する放射線医により実行される1つ以上の閲覧動作を示す、画像ビューアのビューアログが取得されても良い。他に言及がない限り、注意値は、閲覧動作により直接表されても良い。そのため、注意値を決定するためのいずれの参照も、画像ビューアのビューアログから閲覧動作を決定するものとして理解され得る。
【0035】
しかしながら一般的には、予測モデルは以下のように生成されても良い。業務フローメタデータは、多次元特徴ベクトルを形成するために用いられ得る。当該ベクトルは、該システムにより推定されるそれぞれの診断価値と関連しても良い。限定するものではない例は、診断価値が、0と1との間の実数であっても良いというものである。特徴ベクトルが同じ又は同様の診断価値と関連する領域へと、特徴ベクトルの特徴空間をセグメント化するため、機械学習手法が利用されても良い。予測モデルを生成するために利用され得る機械学習手法は、限定するものではないが、サポートベクトルマシン(SVM)、決定木/フォレスト、ニューラルネットワーク/ディープラーニング、k近傍法(kNN)等を含む。予測モデルは、これら領域及び各領域内の診断価値を示すものとして生成され得る。
【0036】
予測モデルが生成されると、該予測モデルは、特定の業務フローの特徴ベクトルが収まる領域を決定することにより、特定の臨床業務フローの最も尤もらしい診断価値を予測するために用いられ得る。該予測モデルはまた、取得された医療画像の診断価値を及び改善する特定の臨床業務フローの調節を特定するために用いられ得る。例えば、高い診断価値に関連する更なる特徴ベクトルが特定されても良い。双方の特徴ベクトル間の差は、為されるべき調節を表し得る。特定の業務フローのメタデータの特徴ベクトルに類似する更なる特徴ベクトルを選択することにより、調節の数及び/又は量が最小化されることができる。特徴ベクトル間の類似度は、例えば距離の尺度のような、それ自体が知られた態様で定量化され得る。次いで、放射線医又はその他のユーザに調節が提案されても良い。業務フローの調節の例は、限定するものではないが、より好適なMRシーケンス、MRシーケンスの時間的な順序変更、特定のMRコイルの利用、改善された患者とのコミュニケーション(患者がよりリラックスするよう患者と対話する)等を含む。
【0037】
図1を更に参照すると、システム100は更に、レポート記憶部040に接続されたレポートデータ入力インタフェース140を有するよう示されている。そのため、図1のシステム100は、1つ以上の放射線レポート042にアクセスすることが可能である。システム100の当該任意の態様は、図5を参照しながら更に説明される。
【0038】
図1のシステム100は更に、ディスプレイ060における表示のために表示データ062を生成するためのディスプレイ出力部182と、ユーザにより操作されるユーザ入力装置080により供給されるユーザ入力データ082を受信するための入力装置入力部184と、を有するユーザインタフェースサブシステム180を有するよう示されている。ユーザ入力装置080は、限定するものではないが、コンピュータマウス080、タッチスクリーン、キーボード等を含む、種々の形態をとり得る。ユーザ入力インタフェース180は、ユーザ入力装置080のタイプに対応するタイプのものであっても良く、即ちユーザ装置インタフェースに対応するものであっても良い。また、ディスプレイ出力部182及びユーザ装置入力部184は、プロセッサ160とユーザインタフェースサブシステム180との間のデータ通信162に基づいて、ユーザがシステム100とインタラクトすることを可能とする。例えば、システム100は、ディスプレイ060上に、予測モデル又は予測モデルの視覚的な表現を表示しても良い。これに加えて、又は代替として、システム100は、予測モデルを用いて特定された臨床業務フローに対する1つ以上の調節を可視化しても良い。ユーザインタフェースサブシステム180はまた、図5を参照しながら更に説明されるように、診断価値について放射線医に質問するために用いられても良い。
【0039】
一般的に、システム100は、ワークステーション又は撮像装置のような単一の装置又は機器として、又は斯かる単一の装置又は機器のなかに、実施化されても良い。該ワークステーションは、例えば放射線医が1つ以上の医療画像を閲覧することを可能とするソフトウェアアプリケーションを実行させるよう構成されることにより、画像ビューアとして合わせて構成されても良い。該装置又は機器は、適切なソフトウェアを実行する1つ以上のマイクロプロセッサを有しても良い。該ソフトウェアは、例えばRAMのような揮発性メモリ又はフラッシュのような不揮発性メモリといった、対応するメモリにダウンロード及び/又は保存されたものであっても良い。代替としては、該システムのユニットは、例えばフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)のような、プログラム可能なロジックの形で該装置又は機器に実装されても良い。一般的に、該システムの各ユニットは、回路の形で実装されても良い。システム100はまた、例えば種々の装置又は機器を含む、分散された態様で実装されても良い。例えば、該分散は、クライアント-サーバモデルに従ったものであっても良い。
【0040】
図2は、予測モデルを生成するためのシステムの第2の実施例102を示す。ここでは、特定の臨床業務フローを示す業務フローメタデータを取得する識別子102の種々の選択肢が示されている。第1の例は、システム102が、例えば病院情報システム(HIS)のもののようなネットワークを介して、撮像装置200からシステムログ202を受信し得ることである。システムログ202は、業務フロー情報、及び特定の臨床業務フローの間にどの医療画像204が撮像装置200により取得されたかについての情報を有しても良い。第2の例は、画像保存及び通信システム(PACS)サーバ210が、取得された医療画像204の医療画像メタデータ212をシステム102に供給し得ることである。医療画像メタデータ212は、臨床業務フローを示唆することが見出されている。医療画像メタデータ212は、1つ以上の医療画像204自体に伴われていても良い。図2に更に示されるものは、放射線医が医療画像204を閲覧することを可能とするための画像ビューア220である。画像ビューア220は、例えばネットワークを介して、PACSサーバ210から医療画像204を受信し、ビューアログ222及びユーザフィードバックデータ224を該システムに供給するよう示されている。いずれのタイプのデータも、医療画像204の診断価値を(好適に)推定するために用いられることができ、図5を参照しながら以下に更に説明される。画像ビューア220の例は、放射線医のワークステーションであることは留意されたい。
【0041】
システム102は、機械学習手法における入力として取得された(メタ)データの全体又は選択されたものを用いて、1つ以上の医療画像204の推定される診断価値を、臨床業務フローについて既知の情報、及び患者情報のようなその他の情報と相関付けても良い。このことは、好適な/不適な診断価値と相関する、患者検査のパラメータを含む臨床業務フローパラメータが、臨床業務フローを改善するために特定され次いで可視化又は利用されることを可能とし得る。
【0042】
図3は、撮像装置のシステムログから導出される情報の可視化、即ち身体部分毎のスキャン反復の回数を表す棒グラフ300を示す。特に、図3は、例えばMRIスキャナのような、或る特定の撮像装置について、横軸302に沿っては、種々の検査される身体部分についての検査毎のスキャン反復の平均数を示し、縦軸に沿っては、種々の検査される身体部分を示す。スキャン反復の回数は、臨床業務フローを示唆するものであり、取得された画像の診断価値と相関し得ることは、理解されるであろう。例えば、腹部が繰り返しスキャンされたという事実は、画像が取得されたときに、患者が動いたことにより又は呼吸を適切に止めることができなかったために引き起こされる画像の品質の問題に関連し得る。当該情報を画像の推定される診断価値に相関付けることにより、生成される予測モデルは例えば、どの患者が特に興奮するか及び大きく動く傾向があるかを示唆し得る。また該予測モデルは例えば、スキャンが不必要に反復されており、業務フローは幾つかの場合においてスキャンを反復しないことにより改善され得ることを示唆し得る。
【0043】
図4は、撮像装置のシステムログから導出される情報の他の視覚化、即ち検査タイムライン310を示す。特に、図4は、例えばシステムログから得られるもののような、撮像装置のログファイル情報から再構築された検査タイムライン310を示す。ここで、縦軸312は、時間軸に対応する。異なる強度及びパターンは、異なるイベントを示す。斯かるログファイル情報により示されるイベントの例は、患者台の動きの発生、診断スキャン、検査スキャン、及び/又は実行している自動参照スキャンであっても良い。図4の例においては、網掛けはスキャンが中止されたことを示す(ここでは中止されたスキャンは30秒の中断の後に反復された)。最も薄い領域は、アイドル時間を表す。検査タイムライン310において現れる詳細なイベントは特に重要なものではないが、順序や継続時間等を含み得るこれらのイベントは臨床業務フローを示すものであり、取得された画像の診断価値に相関し得ることは理解されるであろう。例えば、特定のスキャンが中止されたという事実は、患者が神経質になって多く動いたことに関連し得る。それ故、斯かるイベントは、当該検査の幾つかの他のスキャンについても、画像の品質が平均よりも低いことを示唆し得る。他の例としては、中止されたスキャンに続く患者台の動きは、検査の最初において患者が正しく配置されておらず、従って再配置の前にとられた全ての画像が限られた診断価値しかないものであることを示唆し得る。
【0044】
図5は、医療画像410を閲覧するために放射線医により利用される画像ビューアのユーザインタフェース400を示す。斯かる画像閲覧機能は、例えば図1に示されたユーザインタフェースサブシステムを有するシステムにより、又は例えば放射線医のワークステーションのような画像ビューアに統合されたシステムにより、予測モデル自体を生成するシステムにより提供されても良い。代替としては、画像ビューアは、システムとは別個に提供されても良いが、以下の追加的な機能を提供するように修正されても良い。
【0045】
即ち、放射線医が、ユーザインタフェース400を用いて1つ以上の医療画像410を閲覧すること、及びユーザインタフェース400におけるアイコン420により表された種々の閲覧動作を選択すること、が可能であることに加え、ユーザインタフェース400が、現在表示されている医療画像310の診断価値についてのフィードバックを放射線医が能動的に提供することを可能とする、画面上のユーザフィードバックダイアログボックス430を確立しても良い。例えば、放射線医は、画面上のボタンを用いて、「非常に良い」、「良い」、「悪い」及び「非常に悪い」を選択する選択肢を持っても良い。本例においては、放射線医は、信号の脱落412を有する医療画像410のビューにおいて、「悪い」を選択し得る。斯かるユーザフィードバックは、注意値に基づいて診断価値の推定を置き換える又は補強するために、該システムにより用いられても良い。後者の例は、ユーザフィードバックが利用可能なところで用いられることができ、他方で診断価値が該システムにより推定されることができることである。他の例は、放射線医により示される診断価値が、注意値に基づく診断価値の推定により改善されるか、又は該推定を改善するために用いられ得ることである。診断価値について放射線医に質問することの代わりに、放射線医は画像の品質について質問されても良いことに留意されたい。画像の品質は、画像の撮影の間の問題を明らかにするものであり得、診断の品質についての、従って取得された医療画像の診断価値についての、好適な指標となり得る。例えばノイズ、信号の脱落又は画像再構築のアーティファクトによって引き起こされた悪い画像の品質は、多くの状況において、画像の低い診断価値に導くこととなる。しかしながら、画像が関心のある領域をカバーしていない場合や、又は画像のコントラストが臨床的な質問に答えるのに適したものとならないよう選択された場合もあるため、優れた画像品質が常に高い診断価値を意味するとは限らない。
【0046】
画像ビューアは、必要であれば、画像ビューアを利用している放射線医により実行された1つ以上の閲覧動作を示すビューアログを利用可能とするよう更に修正されても良い。従って、注意値は、該ビューアログの解析に基づいて決定されても良い。この目的のため、画像ビューアは、限定するものではないが、各医療画像の閲覧時間及び閲覧頻度を含む、特定の情報を測定しても良い。更に、限定するものではないが、ズーム、画像コントラスト及び明るさの調節、特定の医療画像間の頻繁な変更(交互の切り換え)、医療画像の削除、医療画像における解剖学的構造の手動の抽出を含む、放射線医により選択される閲覧動作がログ記録されても良い。
【0047】
注意値は、ログ記録された閲覧動作から決定されても良い。代替としては、ログ記録された閲覧動作が既に、注意値を表すものと考慮されていても良い。例えば、長い閲覧継続時間は高い注意値を示し得るものであり、医療画像の削除は低い注意値を示すものであり得る。従って、診断価値は、ビューアログにおける情報に基づいて直接に推定されても良い。例えば、放射線医の閲覧挙動についての仮定のセットを実施化し、診断動作の出現、出現の回数、時間的な順序等を診断価値に相関付ける、注意メトリックが用いられても良い。具体例のひとつは、明るさ及びコントラストの頻繁な調節が、画像のコントラストが最適ではなく、従って診断価値が比較的低いことを示し得る、というものであり得る。他の具体例は、非常に短い時間しか閲覧されていない医療画像、又は放射線医により削除された医療画像は、診断価値が比較的低いこと、及び対応するスキャンが臨床業務フローの最適化されたバージョンにおいて省略され得ること、を示し得る、というものである。
【0048】
一般的に、患者検査に関連する放射線レポートが存在し得る。テキストの記述から画像の診断価値についての情報を抽出するため、例えば自然言語処理(NLP)又は同様のツールを用いて、放射線レポートの解析に基づいて診断価値が推定されても良い。
【0049】
請求される本発明は、放射線医以外の臨床医による医療画像の閲覧に適用され得ることは、理解されるであろう。そのため、適切な場合には、「放射線医」なる語は「臨床医」に置き換えられても良い。
【0050】
図6は、図1乃至5を参照しながら説明されたシステムの動作に対応し得る、予測モデルを生成するための方法500を示す。
【0051】
方法500は、「業務フローメタデータの取得」と題された動作において、臨床業務フローを示す業務フローメタデータを取得するステップ510を有する。方法500は更に、「注意値の取得」と題された動作において、少なくとも一部が放射線医による1つ以上の医療画像の閲覧を特徴付ける、注意値を取得するステップ520を有する。方法500は更に、「診断価値の推定」と題された動作において、放射線医が臨床診断に到達するための1つ以上の医療画像の診断価値を推定するステップ530を有し、ここで該推定するステップは、注意値と、異なる注意値を異なる診断価値にマッピングする注意メトリックと、に基づいて実行される。以上のステップは、異なる臨床業務フローに対して実行されても良く、繰り返されるステップを示す破線の矢印により図6に示されるように、複数の診断価値及びそれぞれの複数の業務フローメタデータを取得しても良い。方法500は更に、「機械学習手法の適用」と題された動作において、複数の診断価値及び複数の業務フローメタデータに機械学習手法を適用し、予測モデルを生成するステップ540を有し、ここで該予測モデルは、特定の臨床業務フローの業務フローメタデータに基づいて特定の臨床業務フローにより取得される医療画像の診断価値を予測するものである。
【0052】
以上の動作は、適宜例えば入/出力関係により必須とされる特定の順序に依存して、例えば連続的に、同時に、又はこれらの組み合わせといった、いずれの適切な順序で実行されても良い。例えば、業務フローメタデータは診断価値の推定の前又は後に得られても良く、複数の診断価値が並行して推定されても良い、等する。
【0053】
方法500は、コンピュータ実装された方法として、専用のハードウェアとして、又はこの両方の組み合わせとして、実装されても良い。図7にも示されているように、例えば実行可能なコードのような、コンピュータのための命令が、例えば一連の機械読み取り可能な物理的なマーク580の形で、及び/又は例えば磁気的又は光学的な特性又は値のような異なる電気的な特性又は値を持つ一連の要素として、コンピュータ読み取り可能な媒体570に保存されても良い。実行可能なコードは、非持続的又は持続的な態様で保存されても良い。コンピュータ読み取り可能な媒体の例は、メモリ装置、光記憶装置、集積回路、サーバ、オンラインソフトウェア、等を含む。図7は、光ディスク570を示す。
【0054】
代替としては、図7のコンピュータ読み取り可能な媒体は、該システム及び方法により生成された予測モデルを表す非持続型又は持続型のデータを有しても良く、このとき該データは、例えば一連の機械読み取り可能な物理的なマーク例えば一連の機械読み取り可能な物理的なマークの形で、及び/又は例えば磁気的又は光学的な特性又は値のような異なる電気的な特性又は値を持つ一連の要素として、非持続型又は持続型の態様で保存される。
【0055】
本出願の要約によれば、臨床業務フローの最適化に用いるための予測モデルを生成するためのシステム及び方法が提供されることは、理解されるであろう。該予測モデルは、以下のように生成され得る。臨床業務フローを示す、業務フローメタデータが取得される。臨床業務フローの間に取得された1つ以上の医療画像の放射線医の閲覧を特徴付ける、注意値が得られる。次いで、1つ以上の医療画像の診断価値が、注意値に基づいて推定される。以上のステップが、種々の臨床業務フローについて実行される。次いで、その結果の複数の診断価値及び複数の業務フローメタデータに機械学習手法が適用され、予測モデルを生成する。該生成された予測モデルは、特定の臨床業務フローの所与の業務フローメタデータに対して特定の臨床業務フローにより取得される医療画像の診断価値を予測するものである。有利にも、該予測モデルは、取得された画像の診断価値を増大させるよう臨床業務フローを修正するために用いられ得る。
【0056】
限定するものではないと示されたか否かにかかわらず、例、実施例又は任意の特徴は、請求される本発明を限定するものとして理解されるべきではない。
【0057】
本発明は、コンピュータプログラム、特に本発明を実行するように構成された、担体上又は担体中のコンピュータプログラムにも拡張されることは、理解されるであろう。該プログラムは、ソースコード、オブジェクトコード、部分的にコンパイルされた形態のようなコード中間ソース及びオブジェクトコード、又は本発明による方法の実装における使用に適した他のいずれかの形態であっても良い。斯かるプログラムは、多くの異なる構造的な設計を持ち得ることも理解されるであろう。例えば、本発明による方法又はシステムの機能を実装するプログラムコードは、1つ以上のサブルーチンに分割されても良い。これらサブルーチンに機能を分散させる多くの種々の方法が、当業者には明らかであろう。これらサブルーチンは、1つの実行可能ファイルに合わせて保存され、内蔵型プログラムを形成しても良い。斯かる実行可能ファイルは、例えばプロセッサ命令及び/又はインタプリタ命令(例えばJava(登録商標)インタプリタ命令)のような、コンピュータ実行可能な命令を有しても良い。代替として、これらサブルーチンの1つ以上又は全てが、少なくとも1つの外部のライブラリファイルに保存され、例えば実行時に、静的又は動的にメインプログラムとリンクされても良い。メインプログラムは、これらサブルーチンの少なくとも1つに対する少なくとも1つの呼び出しを含む。また、これらサブルーチンは、互いに対する関数呼び出しを有しても良い。コンピュータプログラムに関連する実施例は、開示された方法の少なくとも1つの処理ステップの各々に対応するコンピュータ実行可能な命令を有する。これら命令はサブルーチンに分割されても良く、及び/又は静的又は動的にリンクされ得る1つ以上のファイルに保存されても良い。コンピュータプログラムに関連する他の実施例は、開示されたシステム及び/又はコンピュータプログラムの少なくとも1つの手段の各々に対応するコンピュータ実行可能な命令を有する。これら命令はサブルーチンに分割されても良く、及び/又は静的又は動的にリンクされ得る1つ以上のファイルに保存されても良い。
【0058】
コンピュータプログラムの担体は、該プログラムを担持することが可能ないずれのエンティティ又は装置であっても良い。該担体は、例えばCD-ROM若しくは半導体ROMといったROMのような記憶媒体、又は例えばハードディスクのような磁気記録媒体を含んでも良い。更に、該担体は、電気若しくは光ケーブル、無線、又はその他の手段を介して搬送され得る、電気又は光信号のような、送信可能な媒体であっても良い。該プログラムが斯かる信号において実施化される場合には、該担体は斯かるケーブル又はその他の装置若しくは手段により構成されても良い。代替として、該担体は、関連する方法を実行するように又は関連する方法の実行における使用のために構成された、該プログラムが組み込まれた集積回路であっても良い。
【0059】
上述の実施例は本発明を限定するものではなく説明するものであって、当業者は添付する請求項の範囲から逸脱することなく多くの代替実施例を設計することが可能であろうことは留意されるべきである。請求項において、括弧に挟まれたいずれの参照記号も、請求の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。動詞「有する(comprise)」及びその語形変化の使用は、請求項に記載されたもの以外の要素又はステップの存在を除外するものではない。要素に先行する冠詞「1つの(a又はan)」は、複数の斯かる要素の存在を除外するものではない。本発明は、幾つかの別個の要素を有するハードウェアによって、及び適切にプログラムされたコンピュータによって実装されても良い。幾つかの手段を列記した装置請求項において、これら手段の幾つかは同一のハードウェアのアイテムによって実施化されても良い。特定の手段が相互に異なる従属請求項に列挙されているという単なる事実は、これら手段の組み合わせが有利に利用されることができないことを示すものではない。
【符号の説明】
【0060】
020 メタデータ記憶部
022 業務フローメタデータ
040 レポート記憶部
042 放射線レポートを表すデータ
060 ディスプレイ
062 ディスプレイデータ
080 ユーザ入力装置
082 ユーザ入力データ
100、102 予測モデルを生成するためのシステム
120 メタデータ入力インタフェース
140 レポートデータ入力インタフェース
160 プロセッサ
180 ユーザインタフェースサブシステム
182 ディスプレイ出力部
184 ユーザ装置入力部
200 撮像装置
202 撮像装置のシステムログ
204 医療画像
210 PACSサーバ
212 医療画像メタデータ
220 画像ビューア
222 画像ビューアのビューアログ
224 ユーザフィードバックデータ
300 システムログの可視化(スキャン反復の棒グラフ)
302 回数軸
310 システムログの可視化(検査タイムライン)
312 時間軸
400 画像ビューアのユーザインタフェース
410 医療画像
412 信号脱落領域
420 閲覧動作を表すアイコン
430 ユーザフィードバックダイアログボックス
500 予測モデルを生成するための方法
510 業務フローメタデータの取得
520 注意値の取得
530 診断価値の推定
540 機械学習手法の適用
570 コンピュータ読み取り可能な媒体
580 持続性データ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7