(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】作動アーム駆動装置
(51)【国際特許分類】
E05F 1/12 20060101AFI20221220BHJP
E05F 1/14 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
E05F1/12
E05F1/14 A
(21)【出願番号】P 2018544895
(86)(22)【出願日】2017-02-23
(86)【国際出願番号】 AT2017060043
(87)【国際公開番号】W WO2017143377
(87)【国際公開日】2017-08-31
【審査請求日】2018-10-22
【審判番号】
【審判請求日】2020-11-30
(32)【優先日】2016-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(73)【特許権者】
【識別番号】597140501
【氏名又は名称】ユリウス ブルーム ゲー・エム・ベー・ハー
【氏名又は名称原語表記】Julius Blum GmbH
【住所又は居所原語表記】Industriestrasse 1, 6973 Hoechst, Austria
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】フィリプ シュルーゲ
【合議体】
【審判長】居島 一仁
【審判官】有家 秀郎
【審判官】土屋 真理子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/135005(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/164894(WO,A1)
【文献】特表2015-508851(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/361705(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F1/10-1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に家具(3)のフラップ(4)を駆動するための、旋回可能に支持された少なくとも1つの作動アーム(2)用の作動アーム駆動装置(1)であって、旋回可能に支持された主レバー(6)と、伝達レバー(14)を介して力導入箇所(x1,x2)において前記主レバー(6)に当該作動アーム駆動装置(1)の開放運動および/または閉鎖運動を促進する力を加えることができる蓄力器(11)と、前記主レバー(6)における前記力導入箇所(x1,x2)を調節するための調節装置(15)とを備えた、作動アーム駆動装置(1)において、
前記力導入箇所(x1,x2)における前記主レバー(6)への力の導入が、前記蓄力器(11)からレバー(13,14)を介して力が加えられる力導入エレメント(16)を介して行われ、前記調節装置(15)は、前記力導入エレメント(16)を、前記主レバー(6)に形成された接触輪郭(17)に沿って移動させるように形成されており、
前記調節装置(15)の第1の調節位置において、前記力導入エレメント(16)は、前記接触輪郭(17)に沿った第1の力導入箇所(x1)に位置し、
前記調節装置(15)の第2の調節位置において、前記力導入エレメント(16)は、前記接触輪郭(17)に沿った、前記第1の力導入箇所(x1)よりも前記主レバー(6)の旋回軸線(S1)に近付いた第2の力導入箇所(x2)に位置し、
前記主レバー(6)の、当該作動アーム駆動装置(1)の前記開放位置に対応する旋回位置で、
前記力導入エレメント(16)が、
前記接触輪郭(17)に沿って、前記第1の力導入箇所(x1)と前記第2の力導入箇所(x2)との間で、前記蓄力器(11)から前記主レバー(6)に作用する力の、前記伝達レバー(14)に沿って延びる作用線に対してほぼ垂直方向に移動可能である、ことを特徴とする、作動アーム駆動装置(1)。
【請求項2】
前記接触輪郭(17)は、湾曲して形成されている、請求項1記載の作動アーム駆動装置(1)。
【請求項3】
前記接触輪郭(17)の曲率が一定である、請求項2記載の作動アーム駆動装置(1)。
【請求項4】
前記接触輪郭(17)は、凹面状に湾曲している、請求項2または3記載の作動アーム駆動装置(1)。
【請求項5】
前記調節装置(15)のそれぞれの調節位置における、前記主レバー(6)の、当該作動アーム駆動装置(1)の前記開放位置に対応する旋回位置において、前記蓄力器(11)から前記主レバー(6)に作用する力の前記作用線は、前記接触輪郭(17)との間に鋭角を成している、請求項1から4までのいずれか1項記載の作動アーム駆動装置(1)。
【請求項6】
前記主レバー(6)は、異形成形された横断面を有しており、かつ前記接触輪郭(17)は、異形材の端面(18)に形成されている、請求項1から5までのいずれか1項記載の作動アーム駆動装置(1)。
【請求項7】
前記力導入エレメント(16)は、少なくとも部分的に、円筒周面とは異なる輪郭を有している、請求項2から6までのいずれか1項記載の作動アーム駆動装置(1)。
【請求項8】
前記輪郭は、その曲率が、前記接触輪郭(17)の曲率に相当している、請求項7記載の作動アーム駆動装置(1)。
【請求項9】
前記力導入エレメント(16)は、
異形成形された横方向ピンとして、または
ローラとして、または
キャリッジとして
形成されている、請求項1から8までのいずれか1項記載の作動アーム駆動装置(1)。
【請求項10】
前記調節装置(15)は、セルフロック式に形成されている、請求項1から9までのいずれか1項記載の作動アーム駆動装置(1)。
【請求項11】
前記調節装置(15)は、該調節装置(15)の調節運動を前記力導入エレメント(16)の並進運動に変換する伝達装置(19)を有している、請求項1から10までのいずれか1項記載の作動アーム駆動装置(1)。
【請求項12】
前記伝達装置(19)は、前記主レバー(6)に回転可能に支持されたねじ付きスピンドル(20)によって形成されており、前記ねじ付きスピンドル(20)は、該ねじ付きスピンドルに係合する溝滑子(21)を備えており、該溝滑子(21)は、前記力導入エレメント(16)に結合されている、請求項11記載の作動アーム駆動装置(1)。
【請求項13】
前記溝滑子(21)は、前記主レバー(6)に形成されたガイド軌道(22)において、移動可能に支持されており、かつ中間部材(23)を介して前記力導入エレメント(16)に枢着結合されている、請求項12記載の作動アーム駆動装置(1)。
【請求項14】
前記ガイド軌道(22)はほぼ直線的に延びる、請求項13記載の作動アーム駆動装置(1)。
【請求項15】
前記主レバー(6)の、前記閉鎖位置に対応する位置において、前記蓄力器(11)から前記主レバー(6)に作用する力の前記作用線は、前記主レバー(6)の
前記旋回軸線(S1)との関係で、前記主レバー(6)が前記閉鎖位置へと押されるように延びている、請求項1から14までのいずれか1項記載の作動アーム駆動装置(1)。
【請求項16】
前記蓄力器(11)は、少なくとも1つのばね(12)を有している、請求項1から15までのいずれか1項記載の作動アーム駆動装置(1)。
【請求項17】
前記ばね(12)は、ハウジング(5)の取付け状態において寝かされて取り付けられている、請求項16記載の作動アーム駆動装置(1)。
【請求項18】
家具本体(30)と、請求項1から17までのいずれか1項記載の作動アーム駆動装置(1)と、少なくとも1つのフラップ(4)とを備えた家具(3)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念部に記載の特徴を備えた、旋回可能に支持された少なくとも1つの作動アーム用の作動アーム駆動装置、および少なくとも1つのこのような作動アーム駆動装置を備えた家具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術では、家具の家具フラップの開放運動および閉鎖運動を促進する複数の作動アーム駆動装置が公知である。通常、作動アーム駆動装置から家具フラップに加えられる力が調節可能であるようになっている。このような調節可能性は、例えば、作動アームの駆動されるレバーへの、作動アーム駆動装置の蓄力器から生じる力の作用点の調節によって得ることができる。
【0003】
従来技術において公知の汎用の作動アーム駆動装置における欠点としては、力導入の調節のために使用者が使わねばならない力、調節の小さな移動領域、選択された調節とこの調節に基づいて生じる力との間接的な関係、および作動アームの旋回時における作動アーム駆動装置の、調節に関連する部分に対する、不都合な荷重による望ましくない騒音発生がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、上述した欠点が発生しない作動アーム駆動装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、請求項1に記載の特徴を備えた作動アーム駆動装置、およびこのような作動アーム駆動装置を備えた家具によって解決される。本発明の好適な実施形態は、従属請求項に定義されている。
【0006】
課題は、本発明によれば、力導入箇所における主レバーへの力の導入が、蓄力器から、好ましくはレバーを介して力が加えられる力導入エレメントを介して行われ、調節装置は、力導入エレメントを、主レバーに形成された接触輪郭に沿って移動させるように形成されていることによって解決される。主レバーとは、作動アームの、蓄力器から生じる力が作用するレバーであると理解することができる。力導入箇所とは、主レバーへの力の導入が行われる点、線または面であると理解することができる。また、力導入エレメントとは、主レバーに接触していて主レバーに蓄力器から生じる力を導入する1つの部材または複数の部材から成るグループであると理解することができる。上述した接触のために、主レバーは、主レバーに形成された接触輪郭を有している。調節装置は、主レバーにおける力導入箇所を調節するために力導入エレメントを接触輪郭に沿って移動させるように形成されている。接触輪郭に沿った力導入エレメントの移動によって、旋回可能に支持された主レバーの旋回軸線に対する力導入箇所の間隔を変化させることができ、これによって作動アーム駆動装置の駆動力を調節することができる。主レバーに形成された接触輪郭に接触している力導入エレメントによる、主レバーへの力の導入によって、力導入箇所の直接的な力伝達および容易な調節可能性を達成することができる。
【0007】
好ましくは、作動アーム駆動装置の開放位置と閉鎖位置との間での主レバーのそれぞれの旋回位置において、かつ調節装置のそれぞれの調節位置において、力が加えられる力導入エレメントが、接触輪郭に沿って同じ方向に押されるようになっていてよい。作動アーム駆動装置の旋回位置とは、作動アームの位置または作動アームの主レバーの位置であると理解することができる。調節装置の調節位置とは、主レバーに形成された接触輪郭に沿った力導入エレメントの位置であると理解することができる。力導入エレメントが主レバーのそれぞれの旋回位置において接触輪郭に沿って同じ方向に押されることによって、作動アーム駆動装置の負荷交番のない開放運動および/または閉鎖運動を達成することができる。力導入エレメントに接触輪郭の方向に力を加える、蓄力器から生じる力の成分(接線方向力)は、これによって、作動アーム駆動装置の開放位置と閉鎖位置との間での主レバーのそれぞれの位置において、等しく方向付けられている、または等しく方向調整されている。
【0008】
また好ましくは、接触輪郭は、湾曲して形成されていてよい。接触輪郭の湾曲した構成によって、力導入エレメントの特に好適な移動可能性、およびこれに関連した、作動アーム駆動装置の調節可能性を得ることができる。特に、接触輪郭の湾曲した構成によって、力導入エレメントが、主レバーのそれぞれの旋回位置においてかつ調節装置のそれぞれの調節位置において、接触輪郭に沿って同じ方向に押されるという特性と関連して、調節装置の比較的大きな移動領域を得ることができる。また、接触輪郭の湾曲した構成によって、調節装置の調節位置(接触輪郭に沿った力導入エレメントの位置)と作動アーム駆動装置の調節位置(フラップに作用する力)との間の特に直接的な関係が得られる。
【0009】
好ましくは、接触輪郭の曲率が一定であってよい。一定の曲率を有する接触輪郭は、方法技術的に簡単に製造することができ、かつ調節装置の調節位置と作動アーム駆動装置の調節位置との間の特に好適な関係を可能にすることができる。
【0010】
また好ましくは、接触輪郭は、凹面状に湾曲していてよい。接触輪郭が、力導入エレメントへと傾けられて凹面状に湾曲していると、特に、力導入エレメントが接触輪郭に沿って常に同じ方向に押されるという特性と相俟って、調節装置の大きな移動領域を可能にすることができる。
【0011】
調節装置のそれぞれの調節位置における、主レバーの、作動アーム駆動装置の開放位置に対応する旋回位置において、蓄力器から主レバーに作用する力の作用線は、接触輪郭との間に鋭角を成していてよい。作動アーム駆動装置の開放位置は、家具の、作動アーム駆動装置によって駆動されるフラップが、開放された位置にある、主レバーの旋回位置に相当することができる。それに沿って蓄力器から生じる力が主レバーに作用する作用線が、調節装置のそれぞれの調節位置において、つまり接触輪郭に沿った力導入エレメントのそれぞれの位置において、接触輪郭との間に鋭角を成すことによって、調節装置の好適な調節可能性、および拡大された移動領域を達成することができる。特に、力導入エレメントは、調節装置の全移動領域にわたって等しい方向付けで力を加えることができる。これによって特に、作動アーム駆動装置の開放位置において、負荷交番を回避することができ、かつ調節装置の、負荷交番のない調節を可能にすることができる。
【0012】
また好ましくは、主レバーは、異形成形された横断面を有しており、かつ接触輪郭は、異形材の端面に形成されていてよい。主レバーの、横断面において異形成形された構成、例えばU字形の異形材の形態による構成によって、作動アーム駆動装置の好適に安定した構成を得ることができる。異形材の端面に接触輪郭を形成することによって、作動アーム駆動装置を方法技術的に容易に製造することができる。またこれによって、主レバーに作用する力を、複数の箇所にまたは比較的大きな面に分配することができる。
【0013】
さらに好ましくは、力導入エレメントは、少なくとも部分的に、円筒周面とは異なる輪郭を有しており、この輪郭は、好ましくはその曲率が、接触輪郭の曲率に相当していてよい。円筒周面とは異なる輪郭によって、接触輪郭における力導入エレメントの力導入箇所を、線接触または面接触として構成することができる。力導入エレメントの湾曲が接触輪郭の湾曲に相当していると、力導入エレメントと接触輪郭との間における接触の特に好適な形態を得ることができる。
【0014】
好ましくは、力導入エレメントは、異形成形された横方向ピンとして、かつ/またはローラとして、かつ/またはキャリッジとして形成されていてよい。横方向ピンとは、蓄力器から生じる力の作用線に対してほぼ横方向に延びるピン、またはほぼ棒形状の部材であると理解することができる。キャリッジとは、面で接触している移動可能な部材であると理解することができる。横方向ピンの異形成形もまた同様に、接触輪郭における面状の接触が得られるように構成されていてよい。
【0015】
さらに好ましくは、調節装置は、セルフロック式に形成されていてよい。これによって、作動アーム駆動装置の操作中に調節装置において行われる調節を、別の固定手段なしに維持することが可能である。
【0016】
さらに好ましくは、調節装置は、この調節装置の調節運動を力導入エレメントの並進運動に変換する伝達装置を有していてよい。これにより、伝達装置によって、接触輪郭に沿った力導入エレメントの位置を、調節装置の調節運動によって移動させることができる。伝達装置は、例えば回転運動を並進運動に変換することができる。
【0017】
好ましくは、伝達装置は、主レバーに回転可能に支持されたねじ付きスピンドルによって形成されており、ねじ付きスピンドルは、このねじ付きスピンドルに係合する溝滑子を備えており、溝滑子は、力導入エレメントに結合されている。これにより、主レバーに回転可能に支持されたねじ付きスピンドルの操作によって、力導入エレメントを溝滑子と一緒に移動させることができる。
【0018】
さらに好ましくは、溝滑子は、好ましくはほぼ直線的に延びる、主レバーに形成されたガイド軌道内に移動可能に支持されており、かつ中間部材を介して力導入エレメントに枢着結合されていてよい。溝滑子は、主レバーに形成されたガイド軌道内に回動不能にかつ移動可能に支持されており、かつ中間部材を介して力導入エレメントに枢着結合されていてよい。中間部材は、引張り力または押圧力を伝達することができる。これによって、回転可能に支持されたねじ付きスピンドルの操作時に、溝滑子は力導入エレメントと一緒に、主レバーに形成されたガイド軌道に沿って移動することができる。力導入エレメントおよび/または溝滑子は、それぞれ旋回可能にまたは回転可能に、中間部材に接してまたは中間部材内に支持されていてよく、これによって力導入エレメントと溝滑子との間に枢着結合部が形成される。
【0019】
さらに好ましくは、主レバーの、作動アーム駆動装置の開放位置に対応する旋回位置において、接触輪郭に沿った力導入エレメントの移動が、蓄力器から主レバーに作用する力の作用線に対してほぼ横方向に行われるようになっていてよい。接触輪郭に沿った力導入エレメントの位置の移動が、蓄力器から生じる力の作用線に対してほぼ横方向に行われることによって、調節装置の調節位置(接触輪郭に沿った力導入エレメントの位置)と作動アーム駆動装置の調節(駆動される家具部分に対する力)との間の特に直接的な関係を達成することができる。
【0020】
さらに好ましくは、主レバーの、閉鎖位置に対応する位置において、蓄力器から主レバーに作用する力の作用線は、主レバーの旋回軸線との関係において、主レバーが閉鎖位置へと押されるように延びていてよい。これによって、作動アーム駆動装置によって駆動される家具部分を、閉鎖位置においてアクティブにかつ開放位置においてアクティブに保持することができる。例えば、主レバーの、閉鎖位置に対応する位置において、蓄力器から生じる力の作用線は、作動アーム駆動装置の取付け状態において主レバーの旋回軸線の上に延びており、かつこのようにして主レバーに力を加えてこの主レバーを閉鎖位置に押すことができる。閉鎖位置からの主レバーの外方旋回時に、蓄力器から主レバーに作用する力の作用線は、例えば作動アーム駆動装置の取付け状態において主レバーの回転軸線の下に延びており(死点機構)、かつ作動アーム駆動装置の開放運動を蓄力器によって促進することができる。開放位置が得られた場合に、主レバーをさらにアクティブに開放位置に押すことができる。
【0021】
さらに好ましくは、蓄力器は、少なくとも1つの、好ましくはハウジングの取付け状態において寝かされて取り付けられた、ばねを有していてよい。例えば圧縮ばねであるばねを備えた蓄力器の構成によって、蓄力器の容易に製造可能でありかつ耐用寿命の長い構成を得ることができる。作動アーム駆動装置のハウジングの取付け状態において寝かされて取り付けられた、つまりほぼ水平に延びるばねにおいて、特に好適に、作動アーム駆動装置のスペースおよび空間を節減する構成を得ることができる。主レバーまたは力導入エレメントへのばねの力の伝達は、変向レバーおよびこの変向レバーに枢着結合された伝達レバーを介して行うことができる。
【0022】
上述した作動アーム駆動装置のような少なくとも1つの作動アーム駆動装置を備えた家具に対しても保護が求められる。家具は、内部に少なくとも1つの作動アーム駆動装置が取付け可能な家具本体と、少なくとも1つの作動アーム駆動装置によって駆動することができる少なくとも1つの家具フラップを有することができる。
【0023】
次に、本発明のさらなる詳細および利点を、図面に示された実施形態を参照しながら図面の記載について詳説する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図2a】作動アーム駆動装置の1つの位置で、家具を切断して示す側面図である。
【
図2b】作動アーム駆動装置の別の位置で、家具を切断して示す側面図である。
【
図2c】作動アーム駆動装置のさらに別の位置で、家具を切断して示す側面図である。
【
図2d】作動アーム駆動装置のさらに別の位置で、家具を切断して示す側面図である。
【
図4a】1つの旋回位置における作動アーム駆動装置を示す側面図である。
【
図4b】別の旋回位置における作動アーム駆動装置を示す側面図である。
【
図4c】さらに別の旋回位置における作動アーム駆動装置を示す側面図である。
【
図5a】作動アーム駆動装置を切断して示す側面図である。
【
図5b】
図5aに示された作動アーム駆動装置を示す詳細図である。
【
図6】作動アーム駆動装置の2つのレバーを示す側面図である。
【
図8】第1の調節位置における作動アーム駆動装置を備えた家具を示す側面図である。
【
図8a】第1の調節位置における作動アーム駆動装置を備えた家具を示す詳細図である。
【
図9】第2の調節位置における作動アーム駆動装置を備えた家具を示す側面図である。
【
図9a】第2の調節位置における作動アーム駆動装置を備えた家具を示す詳細図である。
【
図10】1つの調節位置における作動アーム駆動装置を備えた家具を示す別の側面図である。
【
図10a】別の調節位置における作動アーム駆動装置を備えた家具を示す別の詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1aには、家具本体30を備えた家具3が示されており、家具本体30の内室内には本体カバー31の下に、2つの作動アーム駆動装置1が取り付けられている。作動アーム駆動装置1の作動アーム2には、可動のフラップ4が固定されており、これによってフラップ4は、作動アーム駆動装置1を用いて家具本体30に旋回可能に支持されている。作動アーム駆動装置1は、ハウジングカバー55を備えたハウジング5を介して家具本体30に固定されている。
【0026】
図1bには、
図1aに示した家具3が切断されて斜視図で示されており、作動アーム駆動装置1は、ハウジング5のハウジングカバー55なしに示されている。既に述べたように、フラップ4は、作動アーム駆動装置1の作動アーム2に固定されている。
【0027】
図2a~
図2dには、旋回可能に支持されたフラップ4を備えた家具3の開放運動の経過、または逆の順序で閉鎖運動の経過が示されている。
図2aには、作動アーム駆動装置1の閉鎖位置が示されており、この閉鎖位置において家具本体30は、フラップ4によって閉鎖される。
図2aの実施形態に示されているように、作動アーム駆動装置1は、互いに枢着結合された複数のレバーを備えた、旋回可能に支持された作動アーム2を有しており、ここでは、ハウジング5に旋回可能に支持された主レバー6の部分、この主レバー6に旋回可能に支持された中間レバー7の部分、およびフラップ4固定するために形成された保持レバー10の一部を見ることができる。作動アーム駆動装置1の図示された閉鎖位置では、主レバー6および主レバー6に枢着結合された中間レバー7、ならびに保持レバー10は、ハウジング5の長辺52から突出している。作動アーム駆動装置1のハウジング5の、フラップ4の内側に向けられた端面51は、図示の実施形態の閉鎖位置では、作動アーム2の突出しているレバーから自由であり、かつ家具本体30と略面一に終わっている。
【0028】
図2bには、部分的に開放されたフラップ4を備えた家具3が示されている。作動アーム駆動装置1の、フラップ4を保持する作動アーム2は、閉鎖位置から部分的に外方旋回している。作動アーム2の、開放位置の方向に旋回したこの位置では、作動アーム2の、互いに枢着結合されたレバーは、ハウジング5の長辺52から部分的に、かつハウジング5の端面51から部分的に突出している。主レバー6の他に、互いに内外に入れ子式に配置された中間レバー7,8および両中間レバー7,8に旋回可能に支持された保持レバー10が見える。
【0029】
図2cには、開放位置の方向にさらに旋回した家具フラップ4を備えた家具3が示されている。フラップ4を保持する作動アーム2は、開放位置の方向にさらに旋回しているので、主レバー6および互いに内外に入れ子式に配置された中間レバー7,8ならびに保持レバー10の他に、ハウジング5に旋回可能に支持されたガイドレバー9も見える。これらのレバーによって、図示のように、入れ子式の7ジョイント機構(Siebengelenk-Kinematik)が形成されている。作動アーム2のこの旋回位置では、ハウジング5の長辺52は、突出するレバーが既にない状態であり、これによって使用者は、家具3の内室へのアクセスを明らかに容易に行うことができる。したがって、作動アーム2を形成するレバーは、作動アーム駆動装置1の、開放位置に近いこの旋回位置では、単にハウジング5の端面51からより大きく突出しているだけである。
【0030】
図2dには、完全に開放されたフラップ4を備えた家具3が示されている。作動アーム駆動装置1の作動アーム2は、作動アーム2を形成するレバーがハウジング5の端面51から突出していることによって特徴付けられる開放位置にある。作動アーム駆動装置1の閉鎖位置とは異なり、ハウジング5の、端面51に直接接続している長辺52は、作動アーム駆動装置1の開放位置では、突出しているレバーのない状態である。
【0031】
図3には、ハウジングカバーが取り外された状態で、作動アーム駆動装置1が斜視図で示されている。作動アーム駆動装置1の向きは、先行する図面において示された家具3内の取付け位置にほぼ相当している。作動アーム駆動装置1のハウジング5内には蓄力器11が収容されており、この蓄力器11は、寝かされて取り付けられた、略水平に延びるばね12と、ばね12に枢着結合されていてかつハウジング5に旋回可能に支持された変向レバー13と、変向レバー13に旋回可能に結合された伝達レバー14とを備えている。また、作動アーム駆動装置1は、閉鎖運動時に作動アーム2の旋回運動を緩衝するための緩衝装置24を有している。
図3に示す実施形態では、作動アーム2は、作動アーム駆動装置1の第1の旋回軸線S1を中心にして旋回可能にハウジング5に支持された主レバー6と、主レバー6に旋回可能に支持された2つの中間レバー7,8と、第2の中間レバー8にかつ第2の旋回軸線S2を中心にしてハウジング5に旋回可能に支持されたガイドレバー9と、中間レバー7,8に旋回可能に支持された保持レバー10とから形成されている。ガイドレバー9は、第1のレバー91と、第1のレバー91に結合された第2のレバー92と、ここでは見えない第3のレバー93とから形成されている。主レバー6および第1の中間レバー7は、略U字形の異形材に対応する異形成形された横断面を有しており、かつ互いに内外に入れ子式に配置されている。さらに、第1の中間レバー7と第2の中間レバー8とが、互いに内外に入れ子式に配置されており、これはまた第2の中間レバー8とガイドレバー9とにも該当する。全体として、主レバー6、中間レバー7,8およびガイドレバー9の入れ子式の配置形態によって、作動アーム2の特に安定した構成を、特に小さな所要空間で得ることできる。主レバー6には、蓄力器11から力導入エレメント16を介して力が加えられる。力導入エレメント16は、蓄力器11の伝達レバー14と、主レバー6に旋回可能に取り付けられた調節装置15とに旋回可能に結合されている。力導入エレメント16の力導入箇所x1は、主レバーにおいて旋回軸線S1の下に配置されており、これによって蓄力器11から主レバー6にトルクが効果的に作用し、これによって作動アーム2は、外的な作用なしに、開放位置の方向に旋回する。
【0032】
図4aには、ハウジングカバーが取り外された状態で、作動アーム駆動装置1が側面図で示されている。作動アーム駆動装置1の作動アーム2は、図示のように閉鎖位置にあり、このとき作動アーム2がアクティブに閉鎖位置に押されるように、蓄力器11から伝達レバー14を介して作動アーム2の主レバー6に力が作用する。したがって、蓄力器11から生じる力の作用線は、主レバー6の旋回軸線S1との関係で(旋回軸線S1の上で)、主レバー6が、調節装置15を用いて主レバー6に結合された力導入エレメント16を介して閉鎖位置にアクティブに旋回しかつ閉鎖位置に保持されるように、伝達レバー14に沿って延びている。調節装置15は、主レバー6に回転可能に支持されたねじ付きスピンドル20(これについては
図5aも参照)と、ねじ付きスピンドル20および主レバー6において略直線的に形成されたガイド軌道22内に移動可能に支持された溝滑子21と、溝滑子21および力導入エレメント16に枢着結合された中間部材23とを備えた形態で形成されている。ねじ付きスピンドル20、溝滑子21および中間部材23は、少なくとも部分的に、異形成形された主レバー6の内部領域に配置されている。力導入エレメント16を接触させるために、主レバー6の端面18には接触輪郭17が形成されており、調節装置15は、力導入エレメント16が接触輪郭17に沿って移動するように形成されている。
【0033】
図4bには、部分的に閉鎖位置から外に旋回した作動アーム2を備えた作動アーム駆動装置1が示されている。
図4aとの比較によって、作動アーム2の、7ジョイント機構を形成するレバーの入れ子式構造を認識することができる。作動アーム2のこの旋回位置では、主レバー6に作用する力の、蓄力器11の伝達レバー14に沿って延びる作用線は、主レバー6の旋回軸線S1との関係で(旋回軸線S1の下で)、作動アーム2がさらに開放位置の方向に押されるように延びている。作動アーム2の旋回運動に対しておいて2つの中間レバー7,8がほぼ隙間なしに横方向にオーバラップしていることも、明瞭に認識することができる。
図4cには、開放位置にある作動アーム2を備えた作動アーム駆動装置1が示されている。作動アーム2を形成するレバーは、作動アーム駆動装置1のハウジング5の端面51から突出している。図示のように、調節装置は、力導入エレメント16が接触輪郭17において第1の力導入箇所x1に位置決めされている調節位置にある。この調節位置において、主レバー6の旋回軸線S1と第1の力導入箇所x1との間の間隔(半径方向)は、最大の大きさであり、これによって蓄力器11から大きな力が作動アーム2に作用する。さらに、旋回軸線S1の方向には、調節装置15の別の調節位置が配置されており、この調節位置において、概略的に示された力導入エレメントは、第2の力導入箇所x2に位置している(これに対しては
図9aも参照)。主レバー6の接触輪郭17における力導入エレメント16の力導入箇所の移動は、作動アーム駆動装置の開放位置で、伝達レバー14に沿って延びる力の作用線に対して略横方向に行われる。作動アーム駆動装置1によって駆動されるフラップ4を備えた家具3と共に、作動アーム駆動装置1を
図7dに示すように使用する場合には、これには、調節装置15の調節が、フラップ4に作用する力に直接対応する(作動アーム2に対する、フラップ4の重量によって加えられる力の補償)という利点がある。
【0034】
図5aには、作動アーム2の、
図4cに示した旋回位置のような旋回位置における作動アーム駆動装置1が、切断されて側面図で示されている。この
図5aには、ハウジング5内に収容された蓄力器11の他に、端面18のうちの1つの端面に形成された接触輪郭17を備えた主レバー6が示されている。同様に、この断面図には、調節装置15の個別部材が示されている。特に、これは、主レバー6に形成された支持箇所28に回転可能に支持されたねじ付きスピンドル20およびねじ付きスピンドル20に支持された溝滑子21、ならびに溝滑子21および力導入エレメント16に旋回可能に結合された中間部材23である。ねじ付きスピンドル20の回転時に、回動不能に支持された溝滑子21は、スピンドルに沿って、主レバー6の、ここでは見えないガイド軌道22上を移動することができ、このとき、溝滑子21に旋回可能に結合された中間部材23、および力導入エレメント16が一緒に移動し、かつ蓄力器11の伝達レバー14によって力が加えられ、これによって力導入エレメント16は接触輪郭17の他の箇所に位置するようになる。
【0035】
作動アーム2のそれぞれの旋回位置における効果的なカモフラージュおよび挟込み防止を保証するために、覆い29が設けられており、この覆い29は、ハウジング5または作動アーム2自体において旋回時に生じる開口を覆う。
【0036】
さらに
図5aには、ガイドレバー9の第2のレバー92と、ガイドレバー9の軸ピン27の間に取り付けられ誤差補償のために働く第3のレバー93とが示されている。これについては、以下でさらに詳しく述べる。
【0037】
図5bには、作動アーム駆動装置1の、
図5aに示した断面図が詳細に示されている。
図5bには、特に調節装置15の部分と、ガイドレバー9のレバーのうちの2つのレバーとが示されている。すなわち、ガイドレバー9のうち、旋回軸線S1を形成するハウジング側の軸ピン27と、第2の中間レバー8を旋回可能に支持するように働く別の軸ピン27とを備えた第2のレバー92が示されている。波形形状を有する第3のレバー93は、一方の端部に軸孔25を有しており、この軸孔25によって第3のレバー93は、別の軸ピン27に受け止められている。第3のレバー93は、他方の端部に凹部26を有しており、この凹部26を用いて第3のレバー93は、旋回軸線S1を形成する軸ピン27に旋回またはクリップ結合(aufklipsen)されている。ハウジング5またはレバーの支持箇所における、軸ピン27の、場合によっては製造誤差に基づいて存在する半径方向遊びが補償されるように、ばね弾性的に変形したレバー93によって軸ピン27が離反方向に拡開されるようになっていてよい。
【0038】
図6には、第1のレバー91と第3のレバー93とが示されている。また、第1のレバー91と第2のレバー92の形状が同一に形成されている場合には、第1のレバー91の説明は、第2のレバー92の説明にも対応することができる。第1のレバー91は、2つの軸孔25を有しており、両軸孔25の中心は、第1の基準間隔d1を有している。第1のレバー91の(または第2のレバー92の)旋回可能な支持を保証できるようにするために、軸孔25は、その中に収容されるように設けられた軸ピン27(ここには図示せず)よりも僅かに大きな孔直径を有することができる。湾曲した波形形状を有する第3のレバー93は、本実施形態では同様に2つの軸孔25を有しているが、両軸孔25の中心は、第1の基準間隔d1とは異なる第2の基準間隔d2を有している。ガイドレバー9が、第1のレバー91と、第2のレバー92と、好ましくは第1のレバー91と第2のレバー92との間に配置された第3のレバー93とから成っている場合、第3のレバー93には、第1の基準間隔d1に対する伸張または圧縮によって予荷重が加えられ、その結果、第3のレバー93は、取り付けられた状態でその予荷重を維持する。これによって、個々のレバーから成るガイドレバー9を安定させることができる。
【0039】
図7a~
図7dには、
図2a~
図2dと同様に、開放順序または逆の順序で、作動アーム駆動装置1によって駆動されるフラップ4を備えた家具3の閉鎖動作が示されており、作動アーム駆動装置1は、ハウジングカバー55なしに示されている。
【0040】
図8および
図8aには、ほぼ完全に開放されたフラップ4を備えた家具3が側面図および詳細図で示されている。
図8aの範囲Aから分かるように、作動アーム駆動装置1の調節装置15は、第1の調節位置にあり、この第1の調節位置において、力を蓄力器11から主レバー6に導入する力導入エレメント16は、主レバー6に形成された接触輪郭17に沿って第1の力導入箇所x1にある。ねじ付きスピンドルによってガイド軌道22内を移動可能な溝滑子21は、調節装置15のこの第1の調節位置では、図示のように、ガイド軌道22の、接触輪郭17から離れた第1の端部に位置しており、これにより、力導入エレメント16との溝滑子21の、中間部材23を用いて生じる結合によって、力導入エレメント16は、接触輪郭17において、旋回軸線S1から離された力導入箇所x1に位置している。
【0041】
図9および
図9aには、ほぼ完全に開放されたフラップ4を備えた家具3が側面図および詳細図で示されており、
図9aの範囲Aに示すように、作動アーム駆動装置1の調節装置15は、第2の調節位置にある。ねじ付きスピンドル20に支持された溝滑子21は、この第2の調節位置において、ガイド軌道22の、接触輪郭17に向いた第2の端部に位置しており、これにより、力導入エレメント16との溝滑子21の、中間部材23を介して生じる結合によって、力導入エレメント16は、接触輪郭17に沿って、旋回軸線S1に近付いた第2の力導入箇所x2に位置している。第1の調節位置(
図8および
図8a参照)とは異なり、調節装置15のこの第2の調節位置では、主レバー6に加わるトルクは最小であり、したがって、この調節位置は、小さな自重を有するフラップ4の重量を補償するのに適している。
【0042】
図8、
図8a、
図9および
図9aにおいて明瞭に認識できるように、接触輪郭17は、凹面状に湾曲した形状を有しており、この形状は、蓄力器11からの力の、伝達レバー14に沿って延びる作用線に対して、略横方向に、かつこの作用線に対して傾いて延びている。接触輪郭17の湾曲した構成によって、一方では、調節装置15の移動時に、かつこれに関連した、蓄力器11から主レバー6に作用する力の移動時に、蓄力器11のばね12のばね予荷重が、伝達レバー14の、調節装置15の移動に関連した旋回によって、ほぼ変化しないままになることを達成することができる。これによって、閉鎖位置と開放位置との間の作動アーム駆動装置1のそれぞれの旋回位置において、力導入エレメント16が接触輪郭17に沿って常に等しい方向に押されることも達成することができ、これによって、作動アーム駆動装置1の操作時に望ましくない負荷交番を回避することができる。作動アーム駆動装置の、先行する図面に示した実施形態では、これは特に、力導入エレメント16が接触輪郭17に沿って、開放位置と閉鎖位置との間の作動アーム駆動装置1のそれぞれの旋回位置において、ほぼ常に旋回軸線S1の方向に押されることを意味しており、これによって、調節装置には常に引張り力が加わる。仮に力導入エレメント16が接触輪郭17に沿って押される方向が反転すると、特に調節装置15の負荷の方向変化(負荷交番)が発生することになり、これによって、作動アーム駆動装置1の望ましくない不安定性が生じ、かつ場合によっては、作動アーム駆動装置1の、反転遊びによって生じる騒音が発生することになる。
【0043】
図10および
図10aには、開放位置にあるフラップ4を備えた家具3が側面図および詳細図で示されており、
図10aの範囲Aには、蓄力器11から主レバー6に作用する力の、伝達レバー14に沿って延びる作用線が示されている。調節装置15の第1の調節位置では、力導入エレメント16は、第1の力導入箇所x1において接触輪郭17に沿って位置している。接線t1は、第1の力導入箇所x1における接触輪郭17の傾斜を示す。仮に接触輪郭17が直線的に形成されていると、力導入エレメント16は、調節装置15の移動時に接線t1に沿って移動することになる。これによって、第2の力導入箇所x2においては、第2の力導入箇所x2に向かって延びる作用線と、接触輪郭に対する接線との間に、鈍角の(90°よりも大きな)角度βが生じることになる。これに対して、接触輪郭17が湾曲されて形成されると、特に力の作用線に対して凹面状に湾曲されると、力導入箇所x2への力の作用線と、接触輪郭17の、接線t2によって示した傾斜との間に形成される角度αを、鋭角(90°よりも小さな角度)にすることができる。