(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】表面を消毒するためのシステム
(51)【国際特許分類】
A61L 2/10 20060101AFI20221220BHJP
G02B 5/02 20060101ALI20221220BHJP
B01J 19/12 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
A61L2/10
G02B5/02 C
B01J19/12 C
(21)【出願番号】P 2018552057
(86)(22)【出願日】2017-04-07
(86)【国際出願番号】 KR2017003809
(87)【国際公開番号】W WO2017176083
(87)【国際公開日】2017-10-12
【審査請求日】2020-03-13
(32)【優先日】2016-04-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-05-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-04-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506029004
【氏名又は名称】ソウル バイオシス カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SEOUL VIOSYS CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】65-16,Sandan-ro 163 Beon-gil,Danwon-gu,Ansan-si,Gyeonggi-do,Republic of Korea
(73)【特許権者】
【識別番号】507186469
【氏名又は名称】センサー エレクトロニック テクノロジー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ドブリンスキ,アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】シュール,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ラキオス,エマニュエル
【審査官】岡田 三恵
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2003/0170151(US,A1)
【文献】特表平11-512000(JP,A)
【文献】特開平07-287227(JP,A)
【文献】特開2008-111029(JP,A)
【文献】特開2004-243303(JP,A)
【文献】国際公開第2015/020041(WO,A1)
【文献】特開平02-191461(JP,A)
【文献】特開平09-285425(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0085927(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0158882(US,A1)
【文献】特開昭53-038325(JP,A)
【文献】実開平01-067603(JP,U)
【文献】特表2003-536100(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 2/10
G02B 5/02
B01J 19/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
反射鏡、および一組の紫外線源を備える照射装置、
前記照射装置に隣接する反射表面、ならびに
前記照射装置と前記反射表面の間に位置する一組のレンズを有し、
前記一組の紫外線源は、前記反射鏡へ指向する紫外線を生成するように構成され、
前記一組の
レンズは、前記反射表面の少なくとも50%へ紫外線ビームを指向するように構成され、
前記反射表面は、前記紫外線の少なくとも30%を拡散的に反射する、表面を消毒するためのシステム。
【請求項2】
前記反射鏡はパラボラ反射体である、請求項1のシステム。
【請求項3】
前記一組のレンズは、第1のレンズと第2のレンズを備える、請求項1のシステム。
【請求項4】
前記一組のレンズの少なくとも一部はフレネルレンズを含む、請求項1のシステム。
【請求項5】
前記第2のレンズは、前記第1のレンズに対して可動である、請求項3のシステム。
【請求項6】
前記一組の紫外線源は、拡散導波路構造によって結合される、請求項1のシステム。
【請求項7】
前記拡散導波路構造は、表面に複数の凹凸素子を有する、請求項6のシステム。
【請求項8】
前記拡散的に反射した前記紫外線は対象物表面へ指向され、前記対象物表面上の少なくとも20%において均一である、請求項1のシステム。
【請求項9】
前記一組の
レンズは全内部反射レンズを含む、請求項1のシステム。
【請求項10】
前記反射表面と対象物表面にメッシュをさらに備え、前記メッシュは二酸化チタンを含む、請求項1のシステム。
【請求項11】
レールシステムをさらに含み、前記レールシステムは前記照射装置を対象物表面に対して動かすように構成される、請求項1のシステム。
【請求項12】
反射鏡、および一組の紫外線源を備える照射装置、
前記照射装置に隣接する反射表面、ならびに
前記照射装置と前記反射表面の間に位置する一組のレンズを有し、
前記一組の紫外線源は、前記反射鏡へ指向する紫外線を生成するように構成され、
前記一組の
レンズは、前記反射表面の少なくとも50%へ紫外線ビームを指向するように構成され、
前記反射表面は、前記紫外線をランバシアン分布の40%以内に拡散的に反射する、表面を消毒するためのシステム。
【請求項13】
前記一組のレンズは、第1のレンズと第2のレンズを備える、請求項12のシステム。
【請求項14】
前記一組のレンズの少なくとも一部はフレネルレンズを含む、請求項12のシステム。
【請求項15】
前記第2のレンズは、前記第1のレンズに対して可動である、請求項13のシステム。
【請求項16】
前記一組の紫外線源は、拡散導波路構造によって結合される、請求項12のシステム。
【請求項17】
前記拡散的に反射した前記紫外線は対象物表面へ指向され、前記対象物表面上の少なくとも20%において均一である、請求項12のシステム。
【請求項18】
前記一組の
レンズは全内部反射レンズを含む、請求項12のシステム。
【請求項19】
反射鏡、および一組の紫外線源をそれぞれ備える一組の照射装置、
前記一組の照射装置の間に位置する反射表面、ならびに
各照射装置と前記反射表面の間に位置する一組のレンズを備え、
前記一組の紫外線源は、前記反射鏡へ指向する紫外線を生成するように構成され、
前記一組の
レンズは、前記反射表面の少なくとも50%へ紫外線ビームを指向するように構成され、
前記反射表面は、前記紫外線をランバシアン分布の40%以内に拡散的に反射する、表面を消毒するためのシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は全般的に紫外線に関連し、より具体的には、紫外線を利用する表面の消毒に関連する。
【背景技術】
【0002】
液晶装置(LCDs)に汎用されるバックライト照明では、光拡散器が用いられることが広く知られている。可視光に対する拡散器の設計基準は、紫外(UV)線のそれとは大きく異なる。これは主に、UVに透明な材料は、可視光のための対応する材料と比較して製造が困難であるという事実に関連している。さらに、UV材料の透明性は、多くの場合、可視光に対する材料の透明性と比較して劣っている。また、UVに透明な材料は、可視光に対して透明な材料よりも高価である。
【0003】
近年、バックライト可視光照明の設計に対して様々な改善が提案されている。例えば、コリメート多層光学フィルム(CMOF)により、統合された光学フィルムを備えるLCDバックライトの光を高い費用効果で制御することができる。これらのフィルムにより、LCDバックライト照明に光拡散能を付与することができる。CMOFは、二重輝度向上フィルム(DBEF)、反射偏光子、高反射(ESR)フィルムなどの現在流通している表示フィルムを作製するために利用される多層光学フィルム技術に基づいている。CMOFは、3M(登録商標)で開発された新しいバックライト構造に利用されており、Air Guideという商標の下で販売されている。CMOF技術は、ナノレイヤー光学と超低屈折率ナノ発泡体という二つのタイプのナノテクノロジーを組み合わせるものである。CMOFフィルムは直接LCDパネルに取り付けられ、流通している発光ダイオード(LED)のバックライトの設計で用いられる幾つかの独立したフィルムに置き換わるものである。この新しい設計では、浮遊性のフィルムや固体の光導波路を持たない空洞が利用される。Air Guide設計においては、LCDパネルと高反射性フィルムの間の空洞内の空気を介して光が広がる。
【0004】
従来の他の光拡散導波設計では、LEDライトは拡散器の一辺に置かれる。拡散器は、微細形状を有するシート、反射/光導波シート、拡散シート、および光学プリズムや他の拡散シートといった幾つかのレイヤーで構成される。このような設計を成功させるには、良好な光反射/透明材料を採用する必要があり、紫外線照射においてこれを実現することは困難なことである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明では、均一なUV照射のために、散乱表面を利用する別の設計が検討される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の幾つかの態様は、紫外線拡散照射装置を提供する。この照射装置は、反射鏡、および反射鏡の焦点付近に位置する一組の紫外線源を含む。一組の紫外線源からの紫外線は、照射装置に隣接する反射表面へ指向される。反射表面は、少なくとも紫外線の30%を拡散的に反射し、拡散する紫外線は少なくともランバシアン分布の40%以内である。紫外線を反射表面の少なくとも50%に指向させるため、一組の光学素子を照射装置と反射表面の間に設けることができる。
【0007】
本発明の第1の態様は、システムを提供する。このシステムは、反射鏡、および反射鏡の焦点付近に位置する一組の紫外線源を有する照射装置、照射装置に隣接する反射表面、ならびに照射装置と反射面の間に位置する一組の光学素子を備える。一組の紫外線源は、反射鏡へ指向される紫外線を生成するように構成される。一組の光学素子は、紫外線ビームを反射表面の少なくとも50%の方向に指向するように構成される。反射表面は、紫外光の少なくとも30%を拡散的に反射する。
【0008】
本発明の第2の態様は、システムを提供する。このシステムは、反射鏡、および反射鏡の焦点付近に位置する一組の紫外線源を有する照射装置、照射装置に隣接する反射表面、ならびに照射装置と反射面の間に位置する一組の光学素子を備える。一組の紫外線源は、反射鏡へ指向される紫外線を生成するように構成される。一組の光学素子は、紫外線ビームを反射表面の少なくとも50%の方向に指向するように構成される。反射表面は、紫外線をランバシアン分布の少なくとも40%以内に拡散的に反射する。
【0009】
本発明の第3の態様は、システムを提供する。このシステムは、反射鏡、および反射鏡の焦点付近に位置する一組の紫外線源をそれぞれ備える一組の照射装置、一組の照射装置の間に位置する反射表面、ならびに各照射装置と反射表面の間に位置する一組の光学素子を備える。一組の紫外線源は、反射鏡へ指向する紫外線を生成するように構成され、一組の光学素子は、反射表面の少なくとも50%へ紫外線ビームを指向するように構成され、反射表面は、紫外線をランバシアン分布の40%以内に拡散的に反射する。
【0010】
本発明の例示的態様は、ここで記述される一つ以上の課題、および/または議論されない他の問題の一つ以上を解決することを意図する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本記述の特徴は、本発明の種々の態様を示す添付図面と併せ、本発明の種々の対応に関する以下の詳細説明からより容易に理解されるであろう。
【0012】
【
図1D】一実施形態に係る照射装置の試作模型を示す。
【
図6A】実施形態に係る照射装置を備える例示的装置を示す。
【
図6B】実施形態に係る照射装置を備える例示的装置を示す。
【
図9A】一実施形態に係る照射装置内の二つのレンズの例示的概略図を示す。
【
図9B】一実施形態に係る照射装置内の二つのレンズの例示的概略図を示す。
【
図10】照射装置内の二つのレンズの概略図を示す。
【
図19】一実施形態に係る照射装置のための例示的電気接続部を示す。
【
図20A】一実施形態に係る例示的照射装置を示す。
【
図21A】一実施形態に係る例示的照射装置を利用する携帯装置を示す。
【
図21B】一実施形態に係る例示的照射装置を利用する携帯装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図面は寸法を決めるものでは無い。図面は、単に発明の典型的な態様を描いたものであり、発明の範囲を制限するものと認識するべきではない。図面では、類似する符号は図面間で類似する要素を表す。
【0014】
上述したように、本発明の幾つかの態様は、紫外拡散照射装置を提供する。照射装置は、反射鏡、および反射鏡の焦点付近に位置する一組の紫外線源を含む。一組の紫外線源からの紫外線は、照射装置に隣接する反射表面に指向される。反射表面は、紫外線の少なくとも30%を拡散的に反射し、拡散する紫外線はランバシアン分布の少なくとも40%以内である。紫外線を反射表面の少なくとも50%へ指向させるため、照射装置と反射表面の間に一組の光学素子を配置してもよい。
【0015】
ここで用いられるように、特筆しない限り、「一組」という語は一つ、あるいはそれ以上(すなわち、少なくとも一つ)を意味し、「いかなる解決法」というフレーズは、現在知られている、あるいは今後開発され得るいかなる解決法を意味する。特筆しない限り、各数値は近似された数値であり、ここに含まれるそれぞれの数値範囲は、範囲を規定する両数値末端を含むとことが理解されるであろう。ここで用いられるように、特筆しない限り、「約」という語は、記載された数値の±10%以内の数値を含み、「実質的に」という語は、記載された数値の±5%以内の数値を含む。特筆しない限り、小さい数値が大きい数値の±25%以内である場合、これら二つの数値は「類似する」とする。
【0016】
さらに、ここで用いられるように、紫外線/光とは、約10ナノメートル(nm)から約400nmの範囲の波長を有する電磁波を意味し、紫外-C(UV-C)とは、約100nmから約280nmの範囲の波長を有する電磁波を意味し、紫外-B(UV-B)とは、約280から約315ナノメートルの範囲の波長を有する電磁波を意味し、紫外-A(UV-A)とは、約315から約400ナノメートルの範囲の波長を有する電磁波を意味する。さらにここで用いられるように、材料/構造が特定波長の紫外光に対して少なくとも三十パーセントの紫外反射係数を有する場合、この材料/構造は特定波長の紫外光に対して反射性を示すと認識され、材料/構造が少なくとも七十パーセントの紫外反射係数を有する場合には、高反射性を示すと認識される。さらに、層の界面に対して直角に照射される特定波長を有する紫外光の少なくとも十パーセントが材料/構造を透過する場合、この材料/構造は紫外光に対して透明であると認識され、少なくとも三十パーセントが透過する場合には高い透明性を有すると認識され、少なくとも八十パーセントが透過する場合には実質的に透明であると認識される。実施形態においては、目的とする放射光波長は、駆動中の光電装置の活性層によって出射される、あるいは検知される放射光波長(例えば、ピーク波長の±5ナノメートル)に対応する。
【0017】
図面を参照すると、
図1Aは、一つの実施形態に係る例示的照射装置10を示す。照射装置10は細長いランプとして示されているが、これは単に例示目的に過ぎず、照射装置10は任意の形状を有してもよいことが理解されるであろう。照射装置10は一組の紫外線源12A-12Eを含み、それぞれは照射装置10上の任意の場所に位置することができる。照射装置10はさらに一組のセンサ14、16を備える。一組の紫外線源12A-12Eは、一つ以上の紫外線エミッターの任意の組み合わせを含んでもよい。紫外線エミッターの例としては、高強度紫外ランプ(例えば高強度水銀ランプ)、放電ランプ、紫外LED、超高輝度LED、および/またはレーザダイオードなどが挙げられるが、これらに限られない。一つの実施形態では、一組の紫外線源12A-12Eは、III族窒化物系材料(例えば、0≦x,y≦1、x+y≦1を満たすAl
xIn
yGa
1-X-YN、および/またはこの合金)から選択される材料の一つ以上の層で製造される一組のLEDを含むことができる。さらに、一組の紫外線源12A-12Eは、出射光を特定の場所/領域へ、特定の方向に、特定のパターンなどで指向させる、および/または供給する一つ以上の他の構成要素(例えば、導波路構造、紫外線エミッターを再配置する、および/または再指向する構成要素など)を含んでもよい。例示的な導波路構造としては、導波路、開口端を有する複数の紫外ファイバー、拡散器、光導波層、および/または光拡散層などが挙げられるが、これらに限られない。
【0018】
図1A、および残りの図に描かれた他の実施形態において示される紫外線源12A-12Eの数は例示的なものに過ぎないことが理解されるであろう。当業者であれば、一つ以上の任意の数の紫外線源が照射装置10内に設置可能であることが理解されよう。
【0019】
紫外線源12A-12Eはそれぞれ同一、あるいは異なる波長で動作することができる。例えば、一つ以上の紫外線源12A-12Eは約280ナノメートル(nm)のピークエミッションを有することができ、残りの紫外線源12A-12Eが約295nmのピークエミッションを有することができる。
【0020】
図1Bは、
図1Aに示された一実施形態に係る照射装置10などの照射装置のための例示的な電気的システム18を示す。電気的システム18は、紫外線の複数の特性を調整するため、制御された電源を一組の紫外線源12A-12Eへ供給するように構成される。例えば、一組の紫外線源12A-12Eのそれぞれの波長、強度、デューティーサイクル、および/または持続期間などを独立して調整してもよい。図示しないが、照射装置10は、表面、および/またはその表面上に位置する対象物をモニターするための一組のセンサ(例えば、蛍光、温度、および/または湿度など)や可視カメラ14、16を含んでもよいことが理解されるであろう。電気的システム18は、標準的な交流電源を直流電源へ変換可能な電気変換装置を備えてもよい。
図1Bに示すように、電気的システム18はさらに、手動で電源を落として電気的ショックからユーザを保護するための安全インターロック、一組の紫外線源12A-12Eのそれぞれの電源、時間、および/またはデューティーサイクルなどを調整するためのコントローラ(
図1A)、および各紫外線源12A-12Eの目標要求に従って一組の紫外線源12A-12Eに電源を供給するためにコントローラによって制御されるLEDドライバを備えてもよい。
図1Cは、
図1Bに示されたシステム18の例示的な電気的ダイアグラムを示す。
図1Dは、
図1Aに示される照射装置10の例示的な試作模型を示す。一つの実施形態では、センサ14は蛍光センサや赤外センサであってもよく、さらに/または可視カメラを備えてもよい。一つの実施形態では、センサ16はUV-A源、深青光源、あるいは可視光源を備えてもよい。照射装置10は、照射の目的を達成するために二次照射を分析し、紫外線源のパワーを調整可能なデータプロセスユニットを備えてもよいことが理解されるであろう。照射の目的は、要求される放射強度、目標波長における一組の放射ドーズ、および/またはバクテリアやウイルス、および/またはカビなどの生物学的ダイナミクスの制御であってよい。
【0021】
図2A、
図2Bは、実施形態に係る例示的紫外線源12A、12Bを示す。
図2Aでは、紫外線源12Aは紫外LEDエミッター20、および紫外LEDエミッター20の発光表面に直接結合した光学素子22を含む。紫外線源12Aはまた、紫外線26に目的とする強度分布を付与するように形作られた反射鏡24を含んでもよい。一つの実施形態では、反射鏡24はパラボナ反射体でもよい。他の実施形態では、反射鏡24はコニカル反射体でもよい。紫外線源12Aの構成要素を取り巻くシリンダー状の筐体28の外側に紫外線26を導くため、反射鏡24は、高度に研磨されたアルミニウム、および/またはポリテトラフルオロエチレン(Teflon(登録商標)などのPTFE)などのフルオロポリマーなど、任意の反射材料で形成することができる。シリンダー状の筐体28は紫外線に対して透明であり、フルオロポリマー、および/または二酸化ケイ素(SiO
2)などの紫外線に透明な材料で形成される。一つの実施形態では、シリンダー状の筐体28の一部のみが紫外線に対して透明でもよい。例えば、シリンダー状の筐体28は、紫外線と透過する窓を有する紫外線を反射する筐体28を含んでもよい。筐体28は、アルミニウム、および/またはフルオロポリマーなどの反射材料を含んでもよく、一方、紫外光に透明な窓はフルオロポリマー、二酸化ケイ素(SiO
2)、サファイア、フッ化カルシウム(CaF
2)、および/またはフッ化マグネシウム(MgF
2)などの紫外光に透明な材料を含むことができる。レンズ素子30を反射鏡24の発光端に設け、紫外線源12Aから射出される紫外線26をさらに指向するために用いてもよい。
【0022】
一つの実施形態では、
図2B中の紫外線源12Bに示すように、紫外線26を導くために全内部反射(TIR)レンズ32を用いてもよい。TIRレンズ32は、反射鏡と比較するとロスが小さいので、紫外線源12Bの全体設計にとって有利となりうる。ただし、いずれの実施形態においても、レンズ30、32は、二酸化ケイ素(SiO
2)、サファイア、フッ化カルシウム(CaF
2)、フッ化マグネシウム(MgF
2)、および/または陽極酸化アルミニウム(AAO)などの紫外光に透明な材料によって形成することができる。一つの実施形態では、TIRレンズ32は、紫外線に透明なフルオロポリマーを含んでもよい。例えば、TIRレンズ32は、紫外線に対して少なくとも50%透明なフルオロポリマーを含有することができる。一つの実施形態では、紫外線源12A内のレンズ30の幾つかの部分、および/または紫外線源12B内のレンズ32はフレネルレンズを含んでもよい。例えば、レンズ30、32の窪んだ部分をフレネルレンズで置き換えてもよい。以下の表(表1)は、LEDダイの表面から特定の距離における紫外線源の典型的な強度を示す。例えば、紫外線源は、約10cmの距離において、約6-10マイクロワット/cm
2で動作することができる。
【0023】
【0024】
ここで
図3Aを参照すると、一つの実施形態に係る例示的な照射装置40が示される。照射装置40は放物線状部材41、および放物線状部材41の焦点付近に位置する一組の紫外線源42を含むことができる。この焦点内における一組の紫外線源42の位置の精密性は、放射される光の方向に影響を及ぼす可能性がある。一組の紫外線源42の精密な位置は、照射装置40から離隔する対象表面における強度分布に従って調整することができる。放物線状部材41は放物線状の二次元断面を有するシリンダーを含むことができる。
図3Bは、放物線状部材41、および焦点に位置する一組の紫外線源42を含む照射装置40の側面図を示す。一つの実施形態では、一組の紫外線源42は、拡散導波路44に結合されていてもよい。
図3Cに示すように、拡散導波路44は、一組の紫外線源42からの紫外線48を拡散表面の外側にリークすることで射出するように構成することができる。
【0025】
拡散導波路44は、SiO2、フルオロポリマー、CaF2、および/またはMgFなどの紫外線に透明な材料で形成することができる。一つの実施形態では、拡散導波路44は、導波路44を介して均一な紫外線を放射するように構成される複数の凹凸要素を表面に含んでもよい。複数の凹凸要素44は、SiO2、サファイア、CaF2、MgF2、および/またはAAOなどの紫外光に透明な材料のマイクロクリスタル、あるいはマイクロドメインであってよい。一つの実施形態では、拡散導波路44は、水などの液体で充填された窪みを含んでもよい。この水は、照射光を散乱するように構成される拡散領域を含むことができる。一つの実施形態では、少なくとも一つのセンサ46(例えば紫外LEDセンサ)が拡散導波路44に結合されていてもよい。放物線状部材41は、研磨されたアルミニウムなどの高反射材料で形成される。一つの実施形態では、放物線状部材41は、紫外線に対し、鏡のような高い反射率を有する。ここで、高いとは、鏡のような、少なくとも70%の反射率を意味する。
【0026】
ここで
図4Aを参照すると、
図3Aに示される照射装置40などの照射装置を含む、一実施形態に係る例示的システム50が示されている。ただし、システム50は、ここで述べられる照射装置の任意の実施形態を含むことができることが理解されるであろう。いずれにせよ、
図3Aを通して議論したように、紫外線52の平行にされたビームを形成するため、照射装置40は放物線状部材41、および放物線状部材41の焦点、あるいはその付近に位置する一組の紫外線源42を含む。平行にされた紫外線52のビームは、完全に平行ではなく、平行の程度は照射装置40の目的とする用途に依存することが理解されるであろう。一つの実施形態では、照射装置40は、平行にされた紫外線52のビームが反射表面54に当たり、少なくとも反射表面の54%をカバーするよう、平行にされた紫外線52のビームを導くように構成される。これは、照射装置40の特性(例えば、紫外線52がどのように放物線状部材41から反射するか)を調整する、および/または照射装置40の方向/角度を変えることで達成されることが理解されるであろう。一つの実施形態では、平行にされた紫外線52のビームは、反射表面54に対して実質的に接線となる。反射表面54は、ポリテトラフルオロエチレン(Teflon(登録商標)などのPTFE)などのフルオロポリマー、表面が粗いアルミニウム、表面が粗いサファイア、表面が粗いSiO
2/アルミニウムミラー、フッ素化されたエチレン-プロピレン共重合体(EFEP)、エチレン テトラフルオロエチレン(ETFE)、および/または膨張ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)膜(例えば、GORE(登録商法)、DRP(登録商標)Diffuse Reflector Material)などの高拡散反射材料で形成することができる。一つの実施形態では、反射表面54は紫外線52の少なくとも30%を反射する。さらに特定の実施形態では、反射表面54は紫外線52の少なくとも50%を反射する。反射表面54は、均一の拡散反射56を与えるように構成される。均一な拡散反射56は、ランバシアン分布の少なくとも40%以内である。
【0027】
反射表面54から均一な拡散反射56を与えるため、紫外線52の平行にされたビームの位置と方向を変化させてもよいことが理解されよう。ただし、システムは、紫外線を制御、導く別の光学素子をさらに含んでもよい。例えば、
図4Bは一実施形態に係る例示的システム60を示す。システム60では、平行にされた紫外線62のビームを反射表面64に導くため、一組のレンズ66を用いることができる。一つのレンズ66のみが示されているが、システム60は任意の数のレンズを含んでもよいことが理解されるであろう。一つの実施形態では、任意の、あるいは全てのレンズを取り除き、システム60が動作可能な状態を維持可能であることが理解される。一組のレンズ66の各レンズは、平行にされた紫外線62のビームの直径と同等の焦点距離を有する。一つの実施形態では、反射表面64を出た拡散反射56(
図4A)は、反射表面64から距離H1離れて位置する対象表面68の少なくとも20%上で均一である。一つの実施形態では、照射装置は、高さHと幅Lを有することができ、照射装置の全体の体積が小さくなるよう設計することができる。一つの実施形態では、非常に広い物理的スペースをとらずに広い面積を照射するように設計された照射装置のために、HはLよりも小さく、最大で照射装置のLの10%としてもよい。一つの実施形態では、より均一な拡散反射56を得るために、反射表面64と対象表面68間の距離H1を既知のパラメータとして用い、反射表面64の拡散特性、および/または反射特性を横方向に変化させてもよい(
図4A)。拡散反射56の均一性を改善するため、システム60の他の態様を変化させてもよい。他の態様は、平行にされた紫外線62のビームの方向(例えば、照射装置40の方向を変えることにより)、システム60内のレンズ66などの光学素子の位置、または/あるいは向きなどを含むが、これに限られない。一つの実施形態では、平行にされた紫外線62のビームが反射表面64の位置のみに指向されるよう、照射装置40の向きを変えることで拡散反射56が変化できるようにしてもよい。
【0028】
図4Cは、第1の照射装置40Aと第2の照射装置40Bを含む、一実施形態に係る例示的システム70を示す。
図3Aに示す照射装置40と同様、照射装置40A、40Bの各々は、平行にされた紫外線46のビームを生成するため、放物線状部材41、および放物線状部材41の焦点内、あるいはその付近に位置する紫外線源42を含む。各照射装置40A、40Bはまた、紫外線72をさらに平行化して反射表面74の方向に指向するように構成される一組のレンズ76A-Cを含む。反射表面74は、
図4A、4Bで示す反射表面54、64と類似しても良く、ポリテトラフルオロエチレン(Teflon(登録商標)などのPTFE)などのフルオロポリマー、表面が粗いアルミニウム、フッ素化されたエチレン-プロピレン共重合体(EFEP)、エチレン テトラフルオロエチレン(ETFE)、および/または膨張ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)膜(例えば、GORE(登録商法)、DRP(登録商標)Diffuse Reflector Material)などの高拡散反射材料で形成することができる。反射表面74は、紫外線72の少なくとも50%を反射することができる。この実施形態では、照射装置40A,40Bの角度を変える代わりに反射表面74を実質的にV字形状にすることで、各表示装置40A、40bからの平行にされた紫外線72のビームを反射表面74へ指向することができる。各照射装置の紫外線を拡散的に反射するため、システムは二つを超える照射装置を含むことができ、反射表面はさらに面/表面を含んでもよいことが理解される。
【0029】
図5Aは、一実施形態に係る、反射表面84を有する例示的照射装置80の立体図を示し、
図5Bは、一実施形態に係る照射装置80を含む例示的システム90を示す。照射装置80は、
図3Aに示す拡散導波路44と同様に、拡散導波路83に結合可能な一組の紫外線源82を含む。
図5Aでは紫外線源82が三つのみ示されているが、照射装置80は任意の数の紫外線源を有してもよいことが理解されるであろう。ここで
図5A、5Bを参照すると、一つの実施形態では、一組の紫外線源82は、平行にされた紫外線92のビームを一組の紫外線源82から反射表面84に対して生成して拡散反射94を与えるように構成される細長いTIRレンズ86に隣接するように設けることができる。一つの実施形態では、システム90はまた、拡散散乱を促進し、紫外線を再利用するように構成されるメッシュ96を含んでもよい。メッシュ96は、紫外線を反射する材料で形成することができ、アルミニウム、および/またはPFTE(例えばTeflon(登録商標))などを含むことができる。メッシュ96部分の間隔、およびメッシュ96の構造は、照射装置80によって覆われる面積の少なくとも50%以内で対象表面上に均一な放射を形成するように選択される。ここで、均一性とは、放射強度の最大値と最小値の差が50%を超えないことを意味する。一つの実施形態では、メッシュ96は、紫外線に晒した際に外部環境の消毒を改善すること、および/または外部環境に存在する不快な臭いを除去することを促進することなどが可能な二酸化チタン(TiO
2)などのフォトクリスタル膜を含むことができる。UVA線(例えば、約390nm未満の波長)は効率よく典型的なフォトクリスタル(TiO
2)に吸収されるため、UVAフォトクリスタルを選択してUVAを照射してもよい。UVA紫外線源は、可視LED技術における方法を用いて生成することができ、本分野で知られているように、UVA装置は、信頼性、強度、および効率の面で極めて有利である。
【0030】
図6A、6Bは、幾つかの実施形態に係る照射装置を含む例示的装置を示す。
図6Aは引き出し100を示し、引き出し100は、引き出し100の内部を消毒するように構成される(
図4Bに示すような)システム60を含む。
図6Bは、キャッシュレジスター102を示し、キャッシュレジスター102は、キャッシュレジスター102の内部を消毒するように構成されるシステム60を含む。両実施形態において、システム60内の照射装置は小さな高さ(例えば
図4BにおけるH)と大きい長さ(例えば
図4BにおけるL)を有することができる。
図6A、6Bに示されるシステム60は単に例示的なものであり、装置100、102は、ここに記載されるシステムの任意の実施形態を含んでもよいことが理解されよう。
【0031】
一つの実施形態では、一つの照射装置内における光学素子の互いの向きを変更することができる。例えば、
図7は一実施形態に係る例示的システム120を示す。照射装置40は
図3Aに示す照射装置と類似し、放物線状部材41、および放物線状部材41の焦点に位置する一組の紫外線源42を備える。ただし、システム120は、照射装置40からの紫外線122を一組のレンズ126A、126Bの方向に反射するための角度に位置する反射表面124を含む。二つのレンズ126A、126Bのみが示されているが、システム120は任意の数のレンズを含んでもよいことが理解されよう。一組のレンズ126A、126Bは、距離D1離れており、第2のレンズ126Bは対象表面130から距離D2離れている。一組のレンズ126A、126Bは、サファイア、SiO
2、フルオロポリマー、フッ化カルシウム(CaF
2)、フッ化マグネシウム(MgF
2)、および/または陽極酸化アルミニウム(AAO)などの紫外線に透明な材料で形成することができる。
【0032】
一組のレンズ126A、126Bがフルオロポリマーで形成される場合、一組のレンズ120A、120Bは、インプリンティングによって製造されるフレネルレンズであってもよい。フレネルレンズ126の一例を
図8に示す。このフレネルレンズ126は一つの方向に輪郭が形成されている。
【0033】
図7を参照すると、距離D1、D2は、第1のレンズ126Aと対象表面130に対する第2のレンズ126Bの位置を動かすことで変えることができる。一つの実施形態では、第2のレンズ126Bは、ノブ134を用いて動かすことができる。ただし、ノブ134は典型的な目的のために過ぎず、第2のレンズ126Bは任意の方法で動かすことができることが理解されるであろう。一組のレンズ126A、126Bからの反射紫外線128を用いて対象表面130と対象表面130上に位置する一組のアイテム132を消毒する、および/または保護するため、システム120は、対象表面130(例えば、棚)に備え付けられるように設計することができる。ノブ134を調整することで、反射紫外線128は対象表面130にわたって均一にすることができる。一つの実施形態では、ノブ134を調整することで少なくとも1mmの分解能を得ることができる。一つの実施形態では、目標強度のばらつきは、対象表面130上で50%を超えない。一つの実施形態では、植物を保護するため、システム120を約280nmから約310nmの間の波長で動作することができ、消毒目的のため、システム120を約210nmから約280nmの間の波長で動作することができる。
【0034】
図9A、9Bは、一実施形態に係る
図7の二つの例示的レンズ126A、126Bを示す。両レンズ126A,126Bの総焦点距離は、式:1/f=1/f
1+1/f
2-d/(f
1f
2)によって与えられ、ここでfは両レンズの総焦点距離、f
1は第1のレンズ126Aの焦点距離、f
2は第2のレンズ126Bの焦点距離、dは二つのレンズ126A,126B間の距離である。f
1=f
2かつd=2f
1の場合には、二つのレンズを出る光は平行となり、一方d=f
1の場合には二つのレンズ構造は、一つのレンズとして同一の焦点を有することが明らかである。このことから、f
1~1cmとf
1が小さいときには、二つのレンズ構造は高い焦点感度を与えることになる。
図10を参照すると、一実施形態に係る二つの例示的レンズの例示的な概略図が示されている。紫外線源と対象表面間の距離をSとおく(例えば、Sは1/2メートルとすることができる)。ビームrの半径は極めて小さい(1cmのオーダー)。通常、角度θは約20度から約60度の間で変化することができる。すべてのケースにおいて、R/L=tanθであり、tanθ~0.2から2であり、L~{R/0.2からR/2}である。したがって、通常、L~Rである。焦点距離fは(少なくとも単一のレンズでθ=45度の場合)rと同等であるので、S~Lである。(同一の焦点距離を有する)第2のレンズを第1のレンズの焦点に置くことで、第2のレンズの効果がなくなる:1/f=1/f
1+1/f
1-f
1/(f
1f
1)=1/f
1を考慮せよ。したがって、第2のレンズは全く効果を発揮せず、さらに焦点を合わせることが要求されない。第2のレンズを距離2f
1に置くことで、平行なビームが生成される:1/f=1/f
1+1/f
1-2f
1/(f
1f
1)=0。したがって、レンズを第1のレンズの焦点へ移動することにより、完全に焦点がぼけた状態から完全に焦点が合った状態へ変化する。十分に小さい焦点距離(例えば、f~r~1/cm)を有するレンズを選択することで、第2のレンズの動きを少し動かすだけで、強度の大きな焦点合わせ効果を得ることができる。単一のレンズを使用した場合、このような焦点合わせ感度を得ることができず、正しい焦点合わせを得るためにはLのオーダーでレンズを動かす必要がある。十分に小さい焦点距離(例えばf~1cm)のレンズを選択することが重要である。
【0035】
他の実施形態の拡散導波路は、放物線状部材の焦点距離の近傍に位置することができることが理解されるであろう。
図11は、一実施形態に係る例示的導波路200を示す。導波路200は一組の紫外線源202A、202B、反射層220、伝播領域240、および複数の高拡散領域250A-Cを備える。伝播領域240は、SiO
2、Al
2O
3、CaF
2、および/またはMgF
2などの紫外線に対して透明な材料を含むことができる。導波路200の伝播特性と拡散特性は不均一でも良いことが理解されるであろう。一つの実施形態では、導波路200は一組のミラー素子を含んでもよい。例えば、導波路200は、一つの層内に放物線状部材を含んでもよい。二つの紫外線源202A、202B間の距離Lは、伝播領域240内における減衰距離よりも小さくなるように選択される。ここで減衰距離とは、光の強度が60%減少するときの紫外線源202A、202Bからの距離である。
【0036】
図12は、一実施形態に係る例示的導波路構造300を示す。導波路構造300は紫外線源312に結合され、複数の層322A-322Gを備える。幾つかの層(例えば層322A、322C、322E、322G)は、所望の透明性レベルを与えるために透明材料で形成され、十分に薄く、一方、他の層(例えば層322B、322D、322F)は透明な液体で充填される。導波路構造300はまた、発光表面314を有しており、これを介して拡散光320が射出される。導波路構造300はさらに、複数の層のうちの少なくとも一つと結合された拡散素子318、318Cを備える。拡散素子318、318Cは、それぞれ光320をランバシアン分布の四十パーセント内に拡散することができる。拡散素子318A、218Cは、照射される表面に対応する対象距離において拡散光320に求められる均一性に基づいて配置することができる。本実施形態の態様は、2015年9月14日に出願された米国特許出願14/853,0175号、2014年9月5日に出願された米国特許9,550,004号と関連し、これらはいずれも参照することにより組み込まれる。
【0037】
図13は、一実施形態に係る例示的導波路層400を示す。導波路層400の態様は、2017年3月28日に出願された米国特許出願15/472,198号に関連し、これは参照することにより組み込まれる。導波路層400は、差し込み可能な一組の紫外線源402A-402Cを備える。差し込み可能な一組の紫外線源402A-402Cは、紫外線源402A-402Cが故障した場合、これらを交換するための簡便な実施形態を与える。一つの実施形態では、対象用途によって異なる紫外線源402A-402Cを差し込むため、ソケットを搭載してもよい。例えば、異なる波長や強度の紫外線源を、これらの駆動のために十分な電流を供給することができる制御電源システムを有するソケットに差し込むことができるようにしてもよい。
【0038】
図14は、一実施形態に係る例示的システム500を示す。この実施形態では、システム500は対象表面540に対して縦に配置される。システム500は照射装置502(例えば、放物線状部材510、および放物線状部材510の焦点付近に位置する一組の紫外線源512)を含む。システム500はまた、一組の紫外線源512と対象表面540の間に一組のレンズ514A、514Bを備えてもよい。
図7に示す照射装置と同様、対象表面540上に指向された紫外線を変化させるための一組のレンズ514A、514Bの位置を調整することができる。一つの実施形態では、一組のレンズ514A、514Bは円状レンズであり、対象表面540は円形の表面である。本実施形態では、第2のレンズ514Bは必要でないことが理解されるであろう。
【0039】
図15は、一実施形態に係る照射装置640を含む例示的システム600を示す。照射装置640は、ここで述べられるいずれの照射装置であってもよい。すなわち、照射装置640は、ここで述べられるように、任意の数の光源、レンズ、ミラー、および/または反射表面などを備えることができる。一つの実施形態では、照射装置640はフルオロポリマーで形成されるレンズを含むことができる。他の実施形態では、照射装置640はフレネルレンズを含んでもよい。照射装置640は、照射装置640を任意の方向に動かすことを可能にするレールシステム620に取り付けられる。システム600は複数のアイテム662を含む棚660を含む。照射装置640を棚660上で任意の方向に可動とすることで、照射装置640は、棚660内で特定の領域、および/またはアイテムを対象とすることができる。
【0040】
図16は、一実施形態に係る、紫外線システム800を含む例示的システムを示す。コンピューターシステム820は、収納装置852の収納エリア854へ紫外線813を指向させるために紫外線源812を制御するよう構成される。一組のアイテム856は収納装置852内に置かれる。紫外線源812は、ここで述べられる照射装置(例えば、
図3Aの照射装置40)の態様を備えることができる。フィードバックコンポーネント814は、ある期間にわたる収納エリア854、および/またはアイテム856の一組の現状況をモニターするため用いられるデータを取得するように構成される。図示されるように、フィードバックコンポーネント814は複数の検知装置816を含み、これらの各々は、コンピューターシステム820が一組の現状況をモニターするために用いるデータを取得することができる。
【0041】
紫外線813の特性を、収納エリア854、および/またはアイテム856に基づいて収納エリア854内で調整するため、フィードバックコンポーネント814は、データをコンピューターシステム820へ提供するように構成される。フィートバックコンポーネント814は、収納エリア854、および/または一組のアイテム856内の変化を検出する可視カメラ、化学センサ、機械的センサ、赤外(IR)センサ、可視センサ、および/またはUVセンサを利用する。一つの実施形態では、ロジックユニット817は一組の検知装置816からデータを受け取り、コンピューターシステム820で処理されるよう、収納エリア854、および/または収納エリア854内に位置するアイテム856の一組の状況に対応するデータを提供する。より特定の実施形態では、コンピューターシステム820は、フィードバックコンポーネント814による使用のため、その時点で選択される操作設定850に対応する情報を提供することができる。例えば、ロジックユニット817は、その時に選択された操作設定に従い、一つ以上の検知装置816の操作を調節すること、および/または検知装置816内の特定の組を動作することなどが可能である。フィードバックコンポーネント814から受け取ったデータへの応答において、その時に選択された操作設定850に従い、コンピューターシステム820は、紫外線源812によって生成した紫外線813の一つ以上の特性を自動的に調節、制御することができる。紫外線813の特性は、方向、強度、パターン、スペクトルパワー、および/または持続時間などを含む。
【0042】
複数の操作設定850は、消毒操作設定、保存寿命維持操作設定、およびエチレン分解操作設定を含んでもよい。各操作設定50は、紫外線の目標強度、目標ピーク波長、目標パターンの特定の組み合わせを含む。保存寿命維持操作設定では、約285nmと約305nmの間の紫外波長を要求してもよい。一つの実施形態では、保存寿命維持操作設定の目標波長は、約290nmのピークエミッションを有する、比較的低強度の実質的に連続的な放射である。例えば、例示的な強度範囲は、約0.1ミリワット/m2と約1000ミリワット/m2の間であってよい。一つの実施形態では、保存寿命維持操作設定における紫外線の強度は、約400マイクロワット/cm2であってよい。より特定の例示的実施形態では、紫外LEDは、数(例えば1-3)マイクロワット/cm2の強度を有する紫外線をアルミニウムチューブなどの紫外線を逃さない筐体内において約7日間指向させてもよい。
【0043】
消毒操作設定では、紫外波長範囲(例えば、約10nmから約400nm)における紫外波長の任意の組と高い強度レベルを要求してもよい。一つの実施形態では、強度範囲は、約1ミリワット/m2と約10ワット/m2の間であってもよい。より特定の実施形態では、消毒操作設定の紫外波長と強度レベルは、それぞれ約250nmから約290nmの間、約20マイクロワット/cm2以上とすることができ、紫外光は約20分照射することができる。この場合、消毒操作設定のための紫外線のドーズ量は、約24ミリジュール/cm2とすることができる。ただし、これは例示に過ぎず、ドーズ量は少なくとも16ミリジュールcm2とすることが可能であることが理解されるであろう。エチレン分解操作設定では、約285nmから約305nmの紫外波長範囲を利用することができる。一つの実施形態では、強度範囲は、約1ミリワット/m2と約1000ワット/m2の間にすることができる。
【0044】
フィートバックコンポーネントのさらなる実施態様は、2013年8月28日に出願された米国特許9,034,271号と関連し、これは参照としてここに組み込まれる。
【0045】
いずれの実施形態においても、幾つかの紫外線源は同一の照射装置内に含まれてよく、制御システムは各紫外線源を独立に操作することが可能であることが理解されるであろう。さらに、システムは、外部環境のオゾンレベルをモニターするよう構成されるオゾンセンサ、外部環境の湿度レベルをモニターするよう構成される湿度センサ、温度センサ、および/または化学センサ(例えばCO2センサ)などのセンサを任意の数で含んでもよい。また、システムは、(例えば環境制御コンポーネント818を用いて)外部環境の特性を制御してもよい。例えば、システムは、ここで述べられた任意の実施形態に係る照射装置を有する保存コンテナを備えることで保存コンテナを消毒してもよく、保存コンテナは、保存コンテナ内の臭いを制御するため、薬品(例えば重曹など)を組み込みための手段を備えてもよい。
【0046】
外部環境の温度、空気圧、エチレンの存在などの外部環境ファクター、および他のファクターがシステムの操作に影響を及ぼす可能性があることがさらに理解されるであろう。一つの実施形態では、システムは、室温(例えば、華氏約70度の温度)、華氏約32-40度の冷蔵庫温度、あるいは32-70Fの間の範囲の温度において製品の保護を延長するよう設計されてもよい。すべてのケースにおいて、システムは、約285nmから300nmの範囲の製品保護線、約270nmから約280nmの放射ピークを有する滅菌UVC線、およびフォトクリスタル(例えばTiO2)を用いる殺菌のためのUVA線を含む、約250nmから約380nmの広い範囲のUV線を採用することができる。また、エチレンの分解のために種々の波長におけるUV線を利用することができる。さらに、外部環境のオゾンレベルの検出のため、UV線と検知装置816による検知を利用することができる。
【0047】
図17は、一実施形態に係る例示的照射装置900を示す。照射装置900は、四角形の領域910を均一に照射するよう構成することができる。一つの実施形態では、各照射装置900は、A
o=W
o*L
oの面積を照射するように設計され、ここでW
oとL
oはそれぞれ照射装置900の幅と長さである。任意面積Aでは、照射装置の数は、N=A/A
0を評価することで計算される。あるいは、棚がW
1*L
1のサイズであれば、照射装置の数は、W
1/W
0*L
1/L
0によって見積もることができる。四角形の領域910は、照射装置900によって適切に照射される。棚920は、全体を照射するために、複数の領域900のように再分割することができる。ここで述べられる照射装置の実施形態は、蛍光管に類似していてもよいことが理解されるであろう。
図18は、蛍光管に似せて構成される例示的照射装置1000を示す。
図19は、照射装置1000の例示的な電気接続部1010を示す。したがって、照射装置1000は、類似する接続部1010を有する蛍光管と交換可能である。
図20Aは接続部1010(例えば、T2、T4、T5、T8、T9、T10、T12、T17、PG17)を有する蛍光管の接続部と類似する接続部を有するように設計された、例示的照射装置1000を示す。例えば、接続部1010はT8接続部である。一つの実施形態では、照射装置1000の外面は拡散UVに透明なフルオロポリマーである。一実施形態に係る例示的照射装置1000を
図20Bに示す。照射装置1000は、外部表面に導波路素子と粒子状の透明な拡散材料を含むことができる。
図21A、21Bは、複数の携帯容器を示し、これらはそれぞれ、ここで述べられた照射装置を一つ、あるいは複数有する。例えば、
図21Aは、少なくとも一つの照射装置1000を備え、積み重ね可能なかごを示し、
図21Bは少なくとも一つの照射装置1000を備える収納コンテナを示す。
【0048】
本発明の種々の態様に関する上記の記載は、説明と記述を目的として示されたものであり、網羅的であることを意図したものでは無く、あるいは開示された形態に発明を忠実に制限するものでは無く、多くの変更や変形が可能であることは明らかである。当業者にとって自明なこのような変更や変形は、添付される請求の範囲に規定されるとおり、本発明の趣旨に含まれる。