(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】リモコン装置、開閉制御システム及び開閉制御方法
(51)【国際特許分類】
E05F 15/77 20150101AFI20221220BHJP
H04Q 9/00 20060101ALI20221220BHJP
E06B 9/68 20060101ALI20221220BHJP
E05B 19/00 20060101ALI20221220BHJP
E05B 49/00 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
E05F15/77
H04Q9/00 301C
E06B9/68 A
E05B19/00 J
E05B49/00 J
(21)【出願番号】P 2019004409
(22)【出願日】2019-01-15
【審査請求日】2021-12-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114166
【氏名又は名称】高橋 浩三
(72)【発明者】
【氏名】大館 一樹
(72)【発明者】
【氏名】和気 亮二
【審査官】野尻 悠平
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-344055(JP,A)
【文献】特開2016-050409(JP,A)
【文献】特開2018-178461(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0282496(US,A1)
【文献】特開2016-220015(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 15/77
H04Q 9/00
E06B 9/68
E05B 19/00
E05B 49/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の構造物の開口部に設けられる開閉体手段の動作に関する制御信号を、リモコン装置固有の識別情報と共に無線方式にて前記開閉体手段のリモコン送受信機に送信するリモコン装置において、
前記リモコン送受信機から送信される信号を受信する受信手段を備え、前記リモコン送受信機から送信されて来た毎回値の変化する認証キーを前記受信手段で受信し、リモコン装置の操作子の操作に応じて、前記認証キー又は新たに生成された認証キーと共に前記識別情報を含む制御信号を送信することを特徴とするリモコン装置。
【請求項2】
請求項1に記載のリモコン装置において、前記認証キーは、前記リモコン装置からの要求に応じて前記リモコン送受信機によって前記リモコン装置に送信され、前記認証キーを受信した前記リモコン装置は、前記認証キー又は新たに生成された認証キーと共に前記制御信号を送信することを特徴とするリモコン装置。
【請求項3】
請求項2に記載のリモコン装置において、前記認証キーは、前記リモコン装置から受信した前記制御信号に対応する動作を前記開閉体手段が終了した時点で、前記リモコン送受信機から前記リモコン装置に送信され、前記認証キーを受信した前記リモコン装置は、次回以降は前記認証キーを要求することなく、前記認証キー又は新たに生成された認証キーと共に前記制御信号を送信することを特徴とするリモコン装置。
【請求項4】
請求項1に記載のリモコン装置において、前記リモコン送受信機から送信されて来た通信要求の信号を前記受信手段で受信した前記リモコン装置は、前記認証キーを要求する信号を前記リモコン送受信機に送信し、前記リモコン装置からの前記認証キーの要求に応じて前記リモコン送受信機から送信された前記認証キーを受信し、受信した前記認証キー又は新たに生成された認証キーと共に前記制御信号を送信することを特徴とするリモコン装置。
【請求項5】
建物の構造物の開口部に設けられる開閉体手段の開閉停の各動作に関する制御信号を、固有の識別情報と共に無線方式にて前記開閉体手段の送受信機に送信すると共に前記送受信機からの信号を受信する通信装置を備えた開閉制御システムにおいて、
前記通信装置は前記送受信機から送信されて来た毎回値の変化する認証キーを受信し、受信した前記認証キー又は新たに生成された認証キーと共に前記識別情報を含む制御信号を送信することを特徴とする開閉制御システム。
【請求項6】
請求項5に記載の開閉制御システムにおいて、前記認証キーは、前記通信装置からの要求に応じて前記送受信機によって前記通信装置に送信され、前記認証キーを受信した前記通信装置は、前記認証キー又は新たに生成された認証キーと共に前記制御信号を送信することを特徴とする開閉制御システム。
【請求項7】
請求項6に記載の開閉制御システムにおいて、前記認証キーは、前記通信装置から受信した前記制御信号に対応する動作を前記開閉体手段が終了した時点で、前記送受信機から前記通信装置に送信され、前記認証キーを受信した前記通信装置は、次回以降は前記認証キーを要求することなく、前記認証キー又は新たに生成された認証キーと共に前記制御信号を送信することを特徴とする開閉制御システム。
【請求項8】
請求項5に記載の開閉制御システムにおいて、前記送受信機から送信されて来た通信要求の信号を受信した前記通信装置は、前記認証キーを要求する信号を前記送受信機に送信し、前記通信装置からの前記認証キーの要求に応じて前記送受信機から送信された前記認証キーを受信し、受信した前記認証キー又は新たに生成された認証キーと共に前記制御信号を送信することを特徴とする開閉制御システム。
【請求項9】
通信装置を用いて、
建物の構造物の開口部に設けられる開閉体手段の開閉停の各動作に関する制御信号を、固有の識別情報と共に無線方式にて前記開閉体手段の送受信機に送信することによって前記開閉体手段の開閉動作を制御する開閉制御方法において、
前記通信装置は前記送受信機から送信されて来た毎回値の変化する認証キーを受信し、受信した前記認証キー又は新たに生成された認証キーと共に前記識別情報を含む制御信号を送信することを特徴とする開閉制御方法。
【請求項10】
請求項9に記載の開閉制御方法において、前記認証キーは、前記通信装置からの要求に応じて前記送受信機によって前記通信装置に送信され、前記認証キーを受信した前記通信装置は、前記認証キー又は新たに生成された認証キーと共に前記制御信号を送信することを特徴とする開閉制御方法。
【請求項11】
請求項10に記載の開閉制御方法において、前記認証キーは、前記通信装置から受信した前記制御信号に対応する動作を前記開閉体手段が終了した時点で、前記送受信機から前記通信装置に送信され、前記認証キーを受信した前記通信装置は、次回以降は前記認証キーを要求することなく、前記認証キー又は新たに生成された認証キーと共に前記制御信号を送信することを特徴とする開閉制御方法。
【請求項12】
請求項9に記載の開閉制御方法において、前記送受信機から送信されて来た通信要求の信号を受信した前記通信装置は、前記認証キーを要求する信号を前記送受信機に送信し、前記通信装置からの前記認証キーの要求に応じて前記送受信機から送信された前記認証キーを受信し、受信した前記認証キー又は新たに生成された認証キーと共に前記制御信号を送信することを特徴とする開閉制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家屋、ビル、工場、倉庫などの建物を含む構造物躯体の窓や出入口などの開口部に設置される開閉体装置を制御するリモコン装置、開閉制御システム及び開閉制御方法に係り、特に開閉体装置の動作に関する制御信号を無線方式で送信するように構成されたリモコン装置、開閉制御システム及び開閉制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ビル、工場、倉庫などの建物を含む構造物躯体の開口部に設置されるシャッターやドアなどの開閉体装置には、その開閉停の各動作を電動で行う電動シャッターや電動ドアが使用されることが多い。このように電動で開閉停の各動作を行う開閉体装置には、開閉停の3種類のスイッチ(操作子)を備えた有線式又は無線式の3点式又は1点式の専用スイッチなどからの制御信号に応じて所定の開閉動作を実行する。携帯型の無線式の専用スイッチの場合、複数の人がそれぞれ操作する必要のある開閉体装置、例えば、ガレージシャッター装置などについては、複数の無線式の専用スイッチが登録可能となっている。
【0003】
また、特許文献1には、専用スイッチである操作子手段が子機制御手段及び親機制御手段にそれぞれ接続された際に、操作子手段に割り当てられている操作子ID(操作子手段固有の識別情報)を、子機制御手段及び親機制御手段側で読み取って記憶しておき、記憶された操作子IDを通信回線確立の鍵として、親機制御手段と子機制御手段との間の無線の通信回線の接続を確立(ペアリング)するようにしたものが提案されている。特許文献1に記載の発明は、持ち運びに便利な小型の操作子手段の識別情報(操作子ID)をシステム構築の鍵として利用することによって、システム構築のための作業スペースも不要となり、設置現場における施工時に簡易に集中通信装置などの親機制御手段に子機制御手段を適宜設定することができるという優れた効果を奏するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
開閉体装置には、無線式の送信機を内蔵したリモコン送信装置を用いて、開閉動作を制御できるように構成されたものが多く提案されている。例えば、ガレージシャッター装置においては、ユーザが車両から降りることなくシャッターの開閉を実行できることが便利であることから、無線式のリモコン送信装置が幅広く適用されている。
このような無線式のリモコン送信装置の場合、ガレージシャッター装置近傍の壁面やその収納ボックス内に、受信アンテナが取り付けられており、リモコン送信装置からの電波をこのリモコン送受信機で受信するように構成されている。また、特許文献1に記載の開閉制御システムでは、親制御手段からの電波をガレージシャッター装置内に設けられた子機制御手段(リモコン送受信機)で受信している。
【0006】
このリモコン送受信機は、受信アンテナが受信して変換した電気信号(例えば、ASK変調信号やFSK変調信号など)を受信部によって復調し、リモコン送信装置又は親機制御手段の送信機が送信した原送信信号(復調信号)を受信制御部に与える。リモコン送受信機の受信制御部は、原送信信号を解読し、その信号に挿入されている識別情報(操作子ID)に基づいて原送信信号の送信元であるリモコン送信装置及び親機制御手段がリモコン送受信機に対して動作指示を発することができるものであるか否かを認証する。その後、原送信信号に挿入されている指示内容に基づいて、シャッター装置の開動作、閉動作又は停止動作を指示する制御信号に基づいてシャッター装置を駆動する。これにより、ユーザの意図したシャッターの開閉停の各動作が実行される。
【0007】
このようにリモコン送信装置及び親機制御手段からリモコン送受信機への信号の送信を無線方式にて行う場合、リモコン送信装置の操作子IDを識別情報としてリモコン送受信機に予め登録しておくことが必要である。開閉体装置は、この識別情報(操作子ID)に基づいて、そのリモコン送信装置及び親機制御手段が動作指示を発することができるものであるか否かの認証を行っている。
【0008】
リモコン送信装置及び親機制御手段は、制御信号を送信する際に必ず対応するリモコン送信装置の識別情報(操作子ID)を送信しているので、開閉体装置に内蔵されているリモコン送受信機とは別にリモコン送受信機を準備して、リモコン送信装置及び親機制御手段が制御信号を送信した際にその送信信号を受信することによって、その送信信号に挿入されている識別情報(操作子ID)を含む制御信号そのものを複製されてしまうおそれがある。このように、識別情報を含む制御信号が他の機器で複製されると、それを継続して使用することができる。従って、開閉体装置並びにリモコン送信装置及び親機制御手段の所有者とは全く関係の無い第三者が別のリモコン送受信機及び送信機を利用して、制御信号を複製し、開閉体装置の開動作を制御することができるようになるおそれがある。このような制御信号の複製対策として、特定のパターンでコードを変化させるローリングコードを使用することも考えられるが、この場合、空送信してしまうと、実際に開閉体装置を操作する時に操作ができないおそれがあり、また、操作可能となるまでに数回のリモコン操作を行う必要があリ、操作に手間や時間がかかるおそれがある。
【0009】
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものであり、開閉体装置の制御信号を無線方式で送信する際に制御信号の複製を防止することのできるリモコン装置、開閉制御システム及び開閉制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るリモコン装置の第1の特徴は、開閉体手段の動作に関する制御信号を、リモコン装置固有の識別情報と共に無線方式にて前記開閉体手段のリモコン送受信機に送信するリモコン装置において、前記リモコン送受信機から送信される信号を受信する受信手段を備え、前記リモコン送受信機から送信されて来た毎回値の変化する認証キーを前記受信手段で受信し、リモコン装置の操作子の操作に応じて、前記認証キー又は新たに生成された認証キーと共に前記識別情報を含む制御信号を送信することにある。
これは、リモコン装置の操作子の操作に応じて送信される制御信号を送信する際に、開閉体手段のリモコン送受信機から事前に送信される認証キーを受信し、受信した前記認証キー又は新たに生成された認証キーと共に識別情報を含む制御信号を送信するようにしたものである。認証キーは、1回限り有効な使い捨てのワンタイムパスワードを利用する。ワンタイムパスワードの生成には、チャレンジレスポンス方式を利用することが好ましい。チャレンジレスポンス方式は、リモコン送受信機(認証サーバ)から送られてくる認証キーとリモコン装置(クライアント)が持っているパスワードを組み合わせて演算した値を新たに生成された認証キーとして、リモコン送受信機(認証サーバ)に返すことで認証を行う方式である。この方式に従えば、識別情報を含む制御信号が複製されることを有効に防止することができる。この場合は、少なくともリモコン装置が開操作子の操作に応じて開動作に関する制御信号を送信する場合に、認証キーの送受信を実行し、閉動作又は停動作に関する制御信号を送信する場合には、認証キーの送受信を省略してもよい。なお、受信した認証キーをそのまま識別情報を含む制御信号と共に送信してもよい。
【0011】
本発明に係るリモコン装置の第2の特徴は、前記第1の特徴に記載のリモコン装置において、前記認証キーは、前記リモコン装置からの要求に応じて前記リモコン送受信機によって前記リモコン装置に送信され、前記認証キーを受信した前記リモコン装置は、前記認証キー又は新たに生成された認証キーと共に前記制御信号を送信することにある。
これは、リモコン装置からの要求に応じてリモコン送受信機が認証キーを生成して、生成した認証キーをリモコン装置に送信し、認証キーを受信したリモコン装置は前記認証キー又は新たに生成された認証キーと共に制御信号を送信するようにしたものである。すなわち、リモコン装置は、制御信号を送信する度に認証キーを要求し、それを受信して送信するという処理を実行する。これによって、識別情報を含む制御信号が複製されることを有効に防止することができる。
【0012】
本発明に係るリモコン装置の第3の特徴は、前記第2の特徴に記載のリモコン装置において、前記認証キーは、前記リモコン装置から受信した前記制御信号に対応する動作を前記開閉体手段が終了した時点で、前記リモコン送受信機から前記リモコン装置に送信され、前記認証キーを受信した前記リモコン装置は、次回以降は前記認証キーを要求することなく、前記認証キー又は新たに生成された認証キーと共に前記制御信号を送信することにある。
これは、制御信号に対応した動作を開閉体装置が終了した時点で次回以降使用される認証キーをリモコン送受信機が送信するようにしたものである。これによって、次回以降は認証キーの要求をしなくてもよく、動作終了時に送信されて来た認証キー又は新たに生成された認証キーと共に制御信号を送信することによって、認証キーの要求及び受信という処理を省略することができ、認証キーのやりとりを行うことなく制御信号を早く送信することができる。これによって、識別情報を含む制御信号が複製されることを有効に防止することができる。
【0013】
本発明に係るリモコン装置の第4の特徴は、前記第1の特徴に記載のリモコン装置において、前記リモコン送受信機から送信されて来た通信要求の信号を前記受信手段で受信した前記リモコン装置は、前記認証キーを要求する信号を前記リモコン送受信機に送信し、前記リモコン装置からの前記認証キーの要求に応じて前記リモコン送受信機から送信された前記認証キーを受信し、受信した前記認証キー又は新たに生成された認証キーと共に前記制御信号を送信することにある。
これは、リモコン装置が車載用自動開閉リモコン装置で構成されている場合に関するものであり、従来の車載用自動開閉リモコン装置は、車載された状態で常時識別情報を含む制御信号を送信し続けているが、この発明では、リモコン送受信機が常時通信要求の信号を送信するようにして、車載用自動開閉リモコン装置は常時制御信号を送信しないようにした。そして、リモコン送受信機から通信要求の信号を受信した車載用自動開閉リモコン装置は、認証キーをリモコン送受信機に要求し、認証キーを受信することによって、認証キー又は新たに生成された認証キーと共に制御信号をリモコン送受信機に送信し、開閉体手段の開動作を実行するようにしたものである。これによって、識別情報を含む制御信号が複製されることを有効に防止することができる。
【0014】
本発明に係る開閉制御システムの第1の特徴は、開閉体手段の開閉停の各動作に関する制御信号を、固有の識別情報と共に無線方式にて前記開閉体手段の送受信機に送信すると共に前記送受信機からの信号を受信する通信装置を備えた開閉制御システムにおいて、前記通信装置は前記送受信機から送信されて来た毎回値の変化する認証キーを受信し、受信した前記認証キー又は新たに生成された認証キーと共に前記識別情報を含む制御信号を送信することにある。
これは、特許文献1に記載の開閉制御システムのように、子機制御手段の送受信機に親機制御手段の通信装置が、開閉体手段の開閉停の各動作に関する制御信号を、固有の識別情報と共に無線方式にて送信する際、通信装置は送受信機から送信されて来た毎回値の変化する認証キーを受信し、受信した認証キー又は新たに生成された認証キーと共に識別情報を含む制御信号を送信するようにしたものである。これによって、識別情報を含む制御信号が複製されることを有効に防止することができる。認証キーは、1回限り有効な使い捨てのワンタイムパスワードを利用する。ワンタイムパスワードの生成には、上述のチャレンジレスポンス方式を利用することが好ましい。この方式に従えば、識別情報を含む制御信号が複製されることを有効に防止することができる。この場合は、少なくとも通信装置が開動作に関する制御信号を送信する場合に、認証キーの送受信を実行し、閉動作又は停動作に関する制御信号を送信する場合には、認証キーの送受信を省略してもよい。
【0015】
本発明に係る開閉制御システムの第2の特徴は、前記第1の特徴に記載の開閉制御システムにおいて、前記認証キーは、前記通信装置からの要求に応じて前記送受信機によって前記通信装置に送信され、前記認証キーを受信した前記通信装置は、前記認証キー又は新たに生成された認証キーと共に前記制御信号を送信することにある。
これは、通信装置からの要求に応じて送受信機が認証キーを生成して、生成した認証キーを通信装置に送信し、認証キーを受信した通信装置は認証キー又は新たに生成された認証キーと共に制御信号を送信するようにしたものである。すなわち、通信装置は、制御信号を送信する度に認証キーを要求し、それを受信して送信するという処理を実行する。これによって、識別情報を含む制御信号が複製されることを有効に防止することができる。
【0016】
本発明に係る開閉制御システムの第3の特徴は、前記第2の特徴に記載の開閉制御システムにおいて、前記認証キーは、前記通信装置から受信した前記制御信号に対応する動作を前記開閉体手段が終了した時点で、前記送受信機から前記通信装置に送信され、前記認証キーを受信した前記通信装置は、次回以降は前記認証キーを要求することなく、前記認証キー又は新たに生成された認証キーと共に前記制御信号を送信することにある。
これは、通信装置が、制御信号を送信する際に認証キーを要求し、それを受信して送信した場合、制御信号に対応した動作を開閉体装置が終了した時点で次回以降使用される認証キーを送受信機が送信するようにしたものである。これによって、次回以降は認証キーの要求をしなくてもよく、動作終了時に送信されて来た認証キー又は新たに生成された認証キーと共に制御信号を送信することによって、認証キーの要求及び受信という処理を省略することができ、認証キーのやりとりを行うことなく制御信号を早く送信することができる。これによって、識別情報を含む制御信号が複製されることを有効に防止することができる。
【0017】
本発明に係る開閉制御システムの第4の特徴は、前記第1の特徴に記載の開閉制御システムにおいて、前記送受信機から送信されて来た通信要求の信号を受信した前記通信装置は、前記認証キーを要求する信号を前記送受信機に送信し、前記通信装置からの前記認証キーの要求に応じて前記送受信機から送信された前記認証キーを受信し、受信した前記認証キー又は新たに生成された認証キーと共に前記制御信号を送信することにある。
これは、通信装置が車載用自動開閉リモコン装置で構成されている場合に関するものであり、従来の車載用自動開閉リモコン装置で構成される通信装置は、車載された状態で常時識別情報を含む制御信号を送信し続けているが、この発明では、開閉体手段の送受信機が常時通信要求の信号を送信するようにして、通信装置は常時制御信号を送信しないようにした。そして、開閉体手段の送受信機から通信要求の信号を受信した通信装置は、認証キーを開閉体手段の送受信機に要求し、認証キーを受信することによって、認証キー又は新たに生成された認証キーと共に制御信号を開閉体手段の送受信機に送信し、開閉体手段の開動作を実行するようにしたものである。これによって、識別情報を含む制御信号が複製されることを有効に防止することができる。
【0018】
本発明に係る開閉制御方法の第1の特徴は、通信装置を用いて、開閉体手段の開閉停の各動作に関する制御信号を、固有の識別情報と共に無線方式にて前記開閉体手段の送受信機に送信することによって前記開閉体手段の開閉動作を制御する開閉制御方法において、前記通信装置は前記送受信機から送信されて来た毎回値の変化する認証キーを受信し、受信した前記認証キー又は新たに生成された認証キーと共に前記識別情報を含む制御信号を送信することにある。
これは、前記開閉制御システムの第1の特徴に対応した開閉制御方法の発明である。
【0019】
本発明に係る開閉制御方法の第2の特徴は、前記第1の特徴に記載の開閉制御方法において、前記認証キーは、前記通信装置からの要求に応じて前記送受信機によって前記通信装置に送信され、前記認証キーを受信した前記通信装置は、前記認証キー又は新たに生成された認証キーと共に前記制御信号を送信することにある。
これは、前記開閉制御システムの第2の特徴に対応した開閉制御方法の発明である。
【0020】
本発明に係る開閉制御方法の第3の特徴は、前記第2の特徴に記載の開閉制御方法において、前記認証キーは、前記通信装置から受信した前記制御信号に対応する動作を前記開閉体手段が終了した時点で、前記送受信機から前記通信装置に送信され、前記認証キーを受信した前記通信装置は、次回以降は前記認証キーを要求することなく、前記認証キー又は新たに生成された認証キーと共に前記制御信号を送信することにある。
これは、前記開閉制御システムの第3の特徴に対応した開閉制御方法の発明である。
【0021】
本発明に係る開閉制御方法の第4の特徴は、前記第1の特徴に記載の開閉制御方法において、前記送受信機から送信されて来た通信要求の信号を受信した前記通信装置は、前記認証キーを要求する信号を前記送受信機に送信し、前記通信装置からの前記認証キーの要求に応じて前記送受信機から送信された前記認証キーを受信し、受信した前記認証キー又は新たに生成された認証キーと共に前記制御信号を送信することにある。
これは、前記開閉制御システムの第4の特徴に対応した開閉制御方法の発明である。
【発明の効果】
【0022】
本発明のリモコン装置、開閉制御システム及び開閉制御方法によれば、開閉体装置の制御信号を無線方式で送信する際に制御信号の複製を防止することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の開閉体装置を備えたシャッター装置の外観を示す図である。
【
図2】
図1の開閉体装置を正面から見た一部透視図である。
【
図3】本発明に係る開閉体装置の制御システムの概略を示す図である。
【
図4】リモコン装置及びリモコン送受信機が実行する送受信処理の一例を示すフローチャート図である。
【
図5】
図4のリモコン装置及びリモコン送受信機が実行する送受信処理の別の一例を示すフローチャート図である。
【
図6】
図4のステップS47又は
図5のステップS58の処理の詳細を示すフローチャート図である。
【
図7】自動開閉モードに設定された車載用自動開閉リモコン装置及びリモコン送受信機が実行する送受信処理の一例を示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下添付図面に従って本発明に係るリモコン装置、開閉制御システム及び開閉制御方法の好ましい実施の形態について説明する。この実施の形態では開閉制御システムによって制御される開閉体装置として、上方が開放方向で下方が閉鎖方向である上下に開閉制御されるシャッター装置を例に説明する。
【0025】
図1は、本発明の開閉体装置を備えたシャッター装置の外観を示す図である。
図2は、
図1の開閉体装置を正面から見た一部透視図である。
図3は、本発明に係る開閉体装置の制御システムの概略を示す図である。通常、シャッター装置は、建物や車庫などの構造物の開口部に設けられるものであり、基本的にシャッターケース1、シャッターカーテン2、ガイドレール3,4、リモコン装置5及び光電センサ6,7から構成される。
【0026】
ガイドレール3,4は、シャッターカーテン2の両端部に接するように建物の開口部の両端側に設けられ、まぐさ部から床面まで掛け渡された断面形状がコの字型の案内溝を有する金属製部材で構成されている。シャッターカーテン2は、このガイドレール3,4の各案内溝に沿って上昇下降し、開口部の開閉動作を行う。シャッターケース1内には、巻取シャフト11が回動可能に設けられており、これにシャッターカーテン2が巻き取られたり巻き戻されたりする。また、シャッターケース1内には、モータ13が設けられており、このモータ13の回転駆動力で巻取シャフト11が回転し、シャッターカーテン2の開閉動作が制御されるようになっている。
【0027】
図2に示すように、シャッターケース1内には、巻取シャフト11、チェーン12、モータ13、位置検出装置14、シャッター開閉機制御装置15が設けられている。巻取シャフト11は、シャッターケース1内に回動可能に設けられ、シャッターカーテン2を巻き取ったり巻き戻したりする。チェーン12は、モータ13の回転軸に設けられた主動スプロケットと巻取シャフト11の回転軸に設けられた従動スプロケットとを連結している。従って、モータ13の回転駆動力はチェーン12を介して巻取シャフト11側に伝達され、モータ13が回転すると、チェーン12を介して巻取シャフト11が回転し、シャッターカーテン2の開閉動作が制御されるようになっている。
【0028】
モータ13には、その回転位置すなわちシャッターカーテン2の開閉位置と開閉状態を検出するための位置検出装置14が設けられている。この位置検出装置14は、パルス発生型のロータリーエンコーダ等で構成される。モータ13の回転に応じたパルス信号がシャッター開閉機制御装置15に出力されるので、モータ13の回転位置やシャッターカーテン2の閉鎖側先端部の開口部における位置や動作状態などはこのパルスの発生状況に基づいてシャッター開閉機制御装置15が演算にて求めることになる。
【0029】
シャッター開閉機制御装置15は、マイクロコンピュータ構成になっており、図示していない電源ラインを介して電力が供給されている。シャッター開閉機制御装置15は、リモコン装置5上の各操作スイッチの操作状態に対応した制御信号をリモコン送受信機で受信し、その制御信号に基づいてモータ13の回転を制御する。
【0030】
リモコン送受信機21は、リモコン装置5との間で所定の周波数帯(例えば、426又は429[MHz])で接続される。このとき、リモコン装置5はリモコン送受信機21との間で双方向の通信を行い、通信接続の度に毎回値の変化するワンタイムパスワードとなる認証キー(例えば6桁の数字)を介して通信状態が確立されるようになっている。
【0031】
すなわち、従来のリモコン装置は、送信だけを行うものであり、リモコン送受信機21はリモコン装置から送信されてきた操作子IDに基づいて通信状態を確立していた。一方、この実施の形態に係るリモコン装置5は、リモコン送受信機21との間で、双方向通信を実行する通信装置を具備しており、通信接続の度に毎回値の変化するワンタイムパスワードとなる認証キーに基づいてその通信状態が確立されるようになっている。この認証キーは、1回限り有効な使い捨てのワンタイムパスワードを利用する。ワンタイムパスワードの生成には、チャレンジレスポンス方式を利用する。ワンタイムパスワードの生成には、チャレンジレスポンス方式を利用することが好ましい。チャレンジレスポンス方式は、リモコン送受信機21から送られてくる認証キーとリモコン装置5が持っているパスワードを組み合わせて演算した値を新たに生成された認証キーとして、リモコン送受信機21に返すことで認証を行う方式である。
【0032】
従って、リモコン装置5は、開放用の開スイッチ5a、停止用の停スイッチ5b、閉鎖用の閉スイッチ5cを有しているので、それぞれの開閉停の各スイッチ5a~5cの操作状態に対応した開閉停の各動作に関する制御信号と共に上述の認証キーを同時にシャッター開閉機制御装置15のリモコン送受信機21に出力する。シャッター開閉機制御装置15は、この認証キーを含む制御信号を受信することによって、リモコン装置5からの制御信号に基づいた動作を実行する。
【0033】
光電センサ6,7は、人や自動車等の通過状態、及び物体等の存在を確認するために使用される障害物感知装置であり、開口部の下側左右両端に設けられている。なお、図では、開口部の前後のいずれか一方の所定箇所に設けられているが、前後両方及び/又は開口部上方に設けるようにしてもよい。光電センサ6は、角柱状の投光器支持部材によって構成され、その反対側に同じ形状の受光器支持部材によって構成される光電センサ7が対となるように設けられている。これらの光電センサ6,7は、シャッターカーテン2の座板の長手方向寸法又は開口部の横幅寸法に相当する距離だけ互いに離間して配置されている。
【0034】
光電センサ6には、例えば赤外線等の光を自ら発光する発光素子からなる投光器6aが支持されている。一方、光電センサ7には、光を自ら受光感知する受光素子からなる受光器7aが支持されている。光電センサ6の投光器6aおよび光電センサ7の受光器7aは、互いに向かい合って配置され、開口部の下側位置で座板に沿って走る物体感知用の光線の光路8を形成している。光電センサ6,7が光路8内で人や物体(自動車)を感知した場合には、光電センサアンプ6b,7bのスイッチング機構によって、その感知信号がシャッター開閉機制御装置15に送信される。
図1において、光路8は、光電センサ6,7の物体感知領域を模式的に示している。
【0035】
図4は、リモコン装置及びリモコン送受信機が実行する送受信処理の一例を示すフローチャート図である。従来のリモコン装置は、送信だけを行うものであったが、この実施の形態に係るリモコン装置5は、リモコン送受信機21との間で双方向通信を実行する通信装置を内蔵しており、通信接続の度に毎回値の変更されるワンタイムパスワードとなる認証キー(例えば6桁の数字)の送受信を行って、通信状態を確立している。
図4では、リモコン装置5の実施する処理を右側に示し、リモコン送受信機21の実施する処理を左側にそれぞれ示す。
【0036】
ステップS41では、リモコン装置5は、開閉停の各スイッチ5a~5cの操作に応じて、認証キーを要求するための制御信号を通信回線1a経由にて、リモコン送受信機21に送信する。
ステップS42では、リモコン送受信機21は、通信回線1a経由にて受信したリモコン装置5からの制御信号に含まれる識別情報(操作子ID)がリモコン送受信機21に登録済のIDと一致するか否かの判定を行い、一致する(yes)場合は次のステップS43に進み、一致しない場合は直ちにリターンする。
【0037】
ステップS43では、リモコン送受信機21は、ワンタイムパスワードである認証キーを生成し、それを通信回線1b経由にしてリモコン装置5に送信する。このワンタイムパスワードは約10~30秒以内に無効となるものなので、この認証キーを受信したリモコン装置5はこの所定の時間内に認証キーと共に制御信号を送信しなければならない。
【0038】
ステップS44では、リモコン装置5は、リモコン送受信機21から認証キーを受信したか否かの判定を行い、受信した(yes)場合は次のステップS45に進み、受信していない場合はこの受信確認の処理を繰り返し実行する。
ステップS45では、リモコン装置5は、正規の識別情報(操作子ID)及び認証キーと共に操作スイッチに対応した制御信号(操作信号)を通信回線1c経由にてリモコン送受信機21に送信する。リモコン装置5は、通信回線1b経由にて受信した認証キーとリモコン装置5が予め持っているパスワードを組み合わせて演算した値を新たに生成された認証キーとして送信する。すなわち、リモコン装置5は、ワンタイムパスワードの認証キーをチャレンジレスポンス方式にて生成する。
【0039】
ステップS46では、リモコン送受信機21は、通信回線1c経由にて受信したリモコン装置5からの制御信号に含まれる識別情報(操作子ID)及び認証キーがリモコン送受信機21に登録済のID及びステップS43で生成した認証キーと一致するか否かの判定を行い、一致する(yes)場合は次のステップS47に進み、一致しない場合は直ちにリターンする。ここで、認証キーの一致とは、チャレンジレスポンス方式にてリモコン装置5で生成された認証キーが正しいものであることを言う。リモコン装置5が予め持っているパスワードが異なる場合には、認証キーは不一致となり、通信は確立されないこととなる。
【0040】
ステップS47では、リモコン送受信機21は、受信した操作信号に対応した開閉停の各動作の処理を実行する。
ステップS48では、開閉停の各動作の処理が終了したか否かの判定を行い、終了した(yes)場合はステップS49に進み、終了していない(no)場合はステップS47にリターンし、操作信号に対応した処理を継続する。
ステップS49では、リモコン送受信機21は、操作信号に対応した処理が終了したことを示す操作終了信号を通信回線1d経由にて、リモコン装置5に送信する。
【0041】
図4の処理では、リモコン装置5の開閉停の各スイッチ5a~5cが操作された場合に、その操作状態に対応した開閉停の各動作に関する制御信号がリモコン送受信機21に送信された場合に、ワンタイムパスワードとなる認証キーを生成し、送信するという処理を実行しているが、リモコン装置5の停スイッチ5b及び閉スイッチ5cが操作された場合には、認証キーを生成することなく、操作子IDが一致していると判定した場合には、その操作状態に対応した停動作又は閉動作に関する処理をそのまま実行するようにしてもよい。すなわち、
図4の一連の処理は、リモコン装置5の開スイッチ5aが操作された場合にのみ実行するようにしてもよい。
【0042】
図5は、
図4のリモコン装置及びリモコン送受信機が実行する送受信処理の別の一例を示すフローチャート図である。
図4の実施の形態では、通信回線1a経由にて受信した制御信号に含まれる識別情報(操作子ID)が一致していれば、リモコン送受信機21から認証キーを受信することができる。従って、リモコン送受信機21とは関係の無い、別なリモコン送受信機を準備して、リモコン装置5が制御信号を送信した際にその送信信号を受信し、その送信信号に挿入されている識別情報(操作子ID)及びリモコン装置5が予め持っているパスワードを複製することができれば、開閉体装置の制御と無関係の不審者等が開閉体装置を不正に制御されてしまうおそれがある。
【0043】
そこで、
図5の実施の形態では、仮に操作子ID等を複製されたとしても、認証キーを使用した双方向通信を不審者等が実行できないようにしている。すなわち、
図5の実施の形態では、操作信号に対応した処理が終了したことを示す操作終了信号と共に次回の通信時に使用される認証キーを予めリモコン装置5に送信し、次回はこの認証キー及び識別情報(操作子ID)を送信することによって、リモコン送受信機21との間で双方向通信を確立するようにした。以下、
図5のフローチャートの詳細を説明する。
【0044】
ステップS50では、リモコン装置5は、登録スイッチがオン状態か否かの判定を行い、オン状態(yes)の場合は次のステップS51に進み、そうでない(no)場合はステップS56にジャンプする。この登録スイッチは、リモコン装置5の例えば、側面などの表面に設けられており、認証キーを初期設定する際に操作され、それ以外の通常動作時にはオフ状態となっているものである。
【0045】
一方、ステップS51では、リモコン送受信機21は、ディップスイッチDSWKが「1」であるか否かの判定を行い、「1」(yes)の場合は次のステップS52に進み、そうでない(no)場合はステップS55にジャンプする。このディップスイッチDSWKは、最初にリモコン装置5に認証キーを初期設定する際に「1」に設定され、それ以外の通常動作時には「0」に設定されるものである。
従って、リモコン装置5が認証キーを記憶していない場合には、リモコン装置5の登録スイッチをオン状態に設定し、さらにリモコン送受信機21のディップスイッチDSWKを「1」に設定して、リモコン装置5への認証キーの初期設定を実行する必要がある。すなわち、初期設定されていないリモコン装置5はリモコン送受信機21に接続することはできないようになっている。
【0046】
ステップS52では、リモコン装置5は、開閉停の各スイッチ5a~5cのいずれかの操作に応じて、認証キーを要求するための制御信号を通信回線2a経由にて、リモコン送受信機21に送信する。
ステップS53では、リモコン送受信機21は、通信回線2a経由にて受信したリモコン装置5からの制御信号に含まれる識別情報(操作子ID)がリモコン送受信機21に登録済のIDと一致するか否かの判定を行い、一致する(yes)場合は次のステップS54に進み、一致しない場合は直ちにリターンする。
【0047】
ステップS54では、リモコン送受信機21は、次回以降利用される認証キーを生成し、それを通信回線2b経由にしてリモコン装置5に送信する。この認証キーは次回以降にリモコン装置5が操作子IDを含む操作信号と共に送信するものであり、この認証キーと共に操作子IDを含む操作信号を受信したリモコン送受信機21は操作信号に対応した所定の動作を実行する。
【0048】
ステップS55では、リモコン装置5は、リモコン送受信機21から認証キーを受信したか否かの判定を行い、受信した(yes)場合は次のステップS56に進み、受信していない場合はこの受信確認の処理を繰り返し実行する。この認証キーを受信できなかった場合には、そのリモコン装置5は、リモコン送受信機21に接続することはできない。
【0049】
ステップS56では、リモコン装置5は、正規の識別情報(操作子ID)及び認証キーと共に操作スイッチに対応した制御信号(操作信号)を通信回線2c経由にてリモコン送受信機21に送信する。リモコン装置5は、通信回線2b経由にて受信した認証キーとリモコン装置5が予め持っているパスワードを組み合わせて演算した値を新たに生成された認証キーとして送信する。すなわち、リモコン装置5は、ワンタイムパスワードの認証キーをチャレンジレスポンス方式にて生成する。
【0050】
ステップS57では、リモコン送受信機21は、通信回線2c経由にて受信したリモコン装置5からの制御信号に含まれる識別情報(操作子ID)及び認証キーがリモコン送受信機21に登録済の操作子ID及び認証キーと一致するか否かの判定を行い、一致する(yes)場合は次のステップS58に進み、一致しない場合は直ちにリターンする。ここで、認証キーの一致とは、チャレンジレスポンス方式にてリモコン装置5で生成された認証キーが正しいものであることを言う。リモコン装置5が予め持っているパスワードが異なる場合には、認証キーは不一致となり、通信は確立されないこととなる。
【0051】
ステップS58では、リモコン送受信機21は、受信した操作信号に対応した開閉停の各動作の処理を実行する。
ステップS59では、開閉停の各動作の処理が終了したか否かの判定を行い、終了した(yes)場合はステップS5Aに進み、終了していない(no)場合はステップS58にリターンし、操作信号に対応した処理を継続する。
ステップS5Aでは、リモコン送受信機21は、操作信号に対応した処理が終了したことを示す操作終了信号と共に次回の認証キーを通信回線2d経由にて、リモコン装置5に送信する。
【0052】
ステップS5Bでは、リモコン装置5は、通信回線2d経由にて受信した認証キーを記録しておき、次回のステップS56の処理のときに、正規の識別情報(操作子ID)及び認証キーと共に操作スイッチに対応した制御信号(操作信号)を通信回線2c経由にてリモコン送受信機21に送信する。これによって、次回以降は、操作信号に対応した処理が終了した時点で発行される認証キー及び新たに生成された認証キーに基づいて双方向通信が確立されるようになるので、操作子ID等を複製されたとしても認証キーを取得することができないので、開閉体装置の制御と無関係の不審者等が開閉体装置を不正に制御することはできなくなる。
【0053】
ステップS5Cでは、リモコン送受信機21は、ステップS58の操作信号に対応した処理の履歴を逐次記録する。この履歴を見ることによって、リモコン装置5がいつどのような操作を行ったかを確認することができ、不正なリモコン装置を利用した開閉操作を発見することが可能となる。
【0054】
上述の実施の形態では、ステップS51~ステップS55で認証キーを初期設定する場合について説明したが、この初期設定処理の中でチャレンジレスポンス方式にて使用されるパスワードをリモコン送受信機21及びリモコン装置5の両方で設定又は変更できるようにしてもよい。また、通信接続が確立したときに、自動で定期的にリモコン送受信機21及びリモコン装置5の両方のパスワードを変更できるようにしてもよい。
【0055】
図6は、
図4のステップS47又は
図5のステップS58の処理の詳細を示すフローチャート図である。すなわち、
図6は、リモコン装置5から送信されて来た各制御信号に含まれる識別情報(操作子ID)及び認証キーがリモコン送受信機21に登録済の操作子ID及び認証キーと一致した場合に、シャッター開閉機制御装置がその制御信号に基づいて実行する処理の一例を示すフローチャート図であり、開閉停の各動作に関する制御信号を受信したシャッター開閉機制御装置15が実行する処理を示す。
【0056】
ステップS61では、リモコン送受信機21が受信した信号が停スイッチ5bの操作に対応した停止信号か否かの判定を行い、停止信号受信(yes)の場合は次のステップS62に進み、停止信号以外(no)の場合はステップS64に進む。
ステップS62では、現在のシャッターカーテン2の動作が開閉動作中か否(停止中)かの判定を行い、開閉動作中(yes)の場合は次のステップS63に進み、停止中(no)の場合はリターンする。
ステップS63では、シャッターカーテンが開閉動作中なので、その動作を停止してリターンする。なお、ここでは、シャッターカーテン2の開動作中における移動を正方向移動とし、閉動作中における移動を逆方向移動とする。
【0057】
ステップS64では、リモコン送受信機21が受信した信号が開スイッチ5aの操作に対応した開信号の受信か否かの判定を行い、開信号受信(yes)の場合は次のステップS65に進み、開信号以外(no)の場合はステップS68に進む。
ステップS65では、現在のシャッターカーテン2の動作が閉動作中か否(開動作中又は停止中)かの判定を行い、閉動作中(yes)の場合は次のステップS66に進み、開動作中又は停止中(no)の場合はステップS67に進む。
【0058】
ステップS66では、ステップS65で閉動作中と判定されたので、その閉動作を停止し、閉動作停止後に開動作を開始し、リターンする。
ステップS67では、ステップS65で開動作中と判定されたので、そのまま開動作を継続し、停止中の場合は開動作を開始し、リターンする。
【0059】
ステップS68では、リモコン送受信機21が受信した信号が閉スイッチ5cの操作に対応した閉信号の受信か否かの判定を行い、閉信号(yes)の場合は次のステップS69に進み、閉信号以外(no)の場合はリターンする。
ステップS69では、光電センサ6,7によって人や物体(自動車)の感知状態か否かの判定を行い、感知状態(yes)の場合はステップS65に進み、感知状態でない(no)場合はステップS6Aに進む。
【0060】
ステップS6Aでは、現在のシャッターカーテン2の動作が開動作中か否(閉動作中又は停止中)かの判定を行い、開動作中(yes)の場合はステップS6Cに進み、閉動作中又は停止中(no)の場合はステップS6Bに進む。
ステップS6Bでは、閉動作中の場合は、そのまま閉動作を継続し、停止中の場合は閉動作を開始し、リターンする。
ステップS6Cでは、開動作中なので、開動作を停止し、開動作停止後に閉動作を開始し、リターンする。
【0061】
上述の実施の形態では、リモコン装置5が3点式スイッチの場合について説明したが、1点式リモコン装置などの場合も同様に制御信号をリモコン送受信機に送信する際に、予め取得した認証キーを含む制御信号を送信するようにすればよい。
【0062】
最近では、車両のUSB又は電源ソケットに差し込まれることによって、車両用開閉体装置(ガレージシャッター装置)の動作を制御することができる車載用自動開閉リモコン装置が存在する。この車載用自動開閉リモコン装置は、無線式の送信機を内蔵しており、ランダムなタイミングでリモコン装置5と同様の制御信号を常時送信し続け、それを受信したガレージシャッター装置が開閉動作を制御するように構成されている。従って、ユーザは車両から降りることなく、開閉スイッチ等を操作することなく、ガレージシャッター装置の開閉を制御できるので、非常に便利である。
【0063】
一方、この車載用自動開閉リモコン装置は、車両のUSB又は電源ソケットに差し込まれている間、常に操作子IDを含んだ制御信号を送信し続けているので、操作子IDを含む制御信号を複製されてしまうおそれがある。そこで、車載用自動開閉リモコン装置についても上述の実施の形態と同様に受信機能を設け、ガレージシャッター装置内のリモコン送受信機21から定期的に車載用自動開閉リモコン装置に対して通信要求の信号を送信し、車載用自動開閉リモコン装置がリモコン送受信機21からの信号を受信した時点で、リモコン送受信機21から車載用自動開閉リモコン装置に対して認証キーを送信するようにした。
【0064】
図7は、自動開閉モードに設定された車載用自動開閉リモコン装置及びリモコン送受信機が実行する送受信処理の一例を示すフローチャート図である。
ステップS70では、ガレージシャッター装置内のリモコン送受信機21が定期的に車載用自動開閉リモコン装置に対して通信回線3aを介して通信の要求を送信している。
ステップS71では、リモコン送受信機21からの通信要求を受信したか否かの判定を行い、受信した(yes)場合は次のステップS72に進み、受信していない(no)場合はリターンする。
【0065】
ステップS72では、車載用自動開閉リモコン装置は、リモコン送受信機21からの通信要求を受信したので、認証キーを要求するための制御信号を通信回線3b経由にて、リモコン送受信機21に送信する。
ステップS73では、リモコン送受信機21は、通信回線3b経由にて受信した車載用自動開閉リモコン装置からの制御信号に含まれる識別情報(操作子ID)がリモコン送受信機21に登録済のIDと一致するか否かの判定を行い、一致する(yes)場合は次のステップS74に進み、一致しない場合は直ちにリターンする。
【0066】
ステップS74では、リモコン送受信機21は、ワンタイムパスワードである認証キーを生成し、それを通信回線3c経由にして車載用自動開閉リモコン装置に送信する。このワンタイムパスワードは約10~30秒以内に無効となるものなので、この認証キーを受信した車載用自動開閉リモコン装置はこの所定の時間内に認証キーと共に制御信号を送信しなければならない。
【0067】
ステップS75では、車載用自動開閉リモコン装置は、リモコン送受信機21から認証キーを受信したか否かの判定を行い、受信した(yes)場合は次のステップS76に進み、受信していない場合はこの受信確認の処理を繰り返し実行する。
ステップS76では、車載用自動開閉リモコン装置は、正規の識別情報(操作子ID)及び認証キーと共に開操作に対応した制御信号(操作信号)を通信回線3d経由にてリモコン送受信機21に送信する。車載用自動開閉リモコン装置は、通信回線3c経由にて受信した認証キーと車載用自動開閉リモコン装置が予め持っているパスワードを組み合わせて演算した値を新たに生成された認証キーとして送信する。すなわち、車載用自動開閉リモコン装置は、ワンタイムパスワードの認証キーをチャレンジレスポンス方式にて生成する。
【0068】
ステップS77では、リモコン送受信機21は、通信回線3d経由にて受信した車載用自動開閉リモコン装置からの制御信号に含まれる識別情報(操作子ID)及び認証キーがリモコン送受信機21に登録済のID及びステップS74で生成した認証キーと一致するか否かの判定を行い、一致する(yes)場合は次のステップS78に進み、一致しない場合は直ちにリターンする。ここで、認証キーの一致とは、チャレンジレスポンス方式にて車載用自動開閉リモコン装置で生成された認証キーが正しいものであることを言う。車載用自動開閉リモコン装置が予め持っているパスワードが異なる場合には、認証キーは不一致となり、通信は確立されないこととなる。
【0069】
ステップS78では、リモコン送受信機21は、受信した開操作信号に対応した開動作の処理を実行する。
ステップS79では、開動作の処理が終了したか否かの判定を行い、終了した(yes)場合はステップS80に進み、終了していない(no)場合はステップS78にリターンし、開操作信号に対応した処理を継続する。
ステップS80では、リモコン送受信機21は、開操作信号に対応した処理が終了したことを示す操作終了信号を通信回線3e経由にして車載用自動開閉リモコン装置に送信する。
【0070】
図7の送受信処理は、車載用自動開閉リモコン装置が自動開閉モードに設定されている場合の一例を示すものである。リモコン送受信機21が通信の要求を行っても、車載用自動開閉リモコン装置から応答が無い場合は、車載用自動開閉リモコン装置がオフ状態にあるか、リモコン送受信機21からの電波の届かない場所に移動している状態にあるかのいずれかに該当するので、この場合は、ガレージシャッター装置の閉動作を実行する。なお、車載用自動開閉リモコン装置が通常の開閉停スイッチによる操作モードに設定されている場合には、
図4又は
図5の送受信処理が実行されることとなる。
【0071】
上述の実施の形態では、ワンタイムパスワードの生成・共有方法として、チャレンジレスポンス方式について説明したが、携帯電話のSMSを用いる方式、時刻同期方式、マトリクス認証などを用いてもよい。
また、認証キーを送信する場合、1又は複数の認証キーを送信してもよいし、複数送信した場合は、その中の最初のものを使用したり、特定の順番のものを使用したり、ランダムに使用したりしてもよい。
上述の実施の形態では、上下昇降方式で繰り出されるシャッターカーテンを例に説明したが、シャッター状の開閉部材が横引き方式で繰り出されたり、あるいは水平方式で繰り出されたりするものであっても同様に適用することができる。また、開閉体装置としては、例えば、シャッター装置、オーバーヘッドドア、窓シャッター装置、ブラインド装置、ロールスクリーン装置、垂れ幕装置、引戸装置、移動間仕切装置、オーニング装置、防水板装置などにも適用可能である。
【符号の説明】
【0072】
1…シャッターケース
11…巻取シャフト
12…チェーン
13…モータ
14…位置検出装置
15…シャッター開閉機制御装置
2…シャッターカーテン
21…リモコン送受信機
3,4…ガイドレール
5…リモコン装置
5a…開スイッチ
5b…停スイッチ
5c…閉スイッチ
6,7…光電センサ
6a…投光器
7a…受光器
6b,7b…光電センサアンプ
8…光路