(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】チューブ接合装置
(51)【国際特許分類】
A61M 39/18 20060101AFI20221220BHJP
A61M 1/28 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
A61M39/18
A61M1/28 120
(21)【出願番号】P 2019011625
(22)【出願日】2019-01-25
【審査請求日】2021-09-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】出水 俊
(72)【発明者】
【氏名】國分 友隆
【審査官】鈴木 洋昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-22227(JP,A)
【文献】国際公開第2018/168918(WO,A1)
【文献】特開2004-89315(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 39/18
A61M 1/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1チューブの端部と第2チューブの端部を溶断した後、前記第1チューブの溶断した端部と前記第2チューブの溶断した端部を入替えて接合するチューブ接合装置であって、
前記第1チューブと前記第2チューブを挿入可能な溝部を設けた保持部と、
前記溝部に対して開閉可能に構成され、開いた際に前記溝部を外部に露出し、かつ閉じた際に前記溝部を外部から隔離する蓋部と、
前記溝部に挿入された前記第1チューブ及び前記第2チューブを検出する検出部と、
前記蓋部を閉じた際に前記溝部に挿入された前記第1チューブ及び前記第2チューブを、前記第1チューブ及び前記第2チューブの前記溝部に対する挿入方向と交差する方向に押付ける押付部と、を有し、
前記蓋部は、前記蓋部を閉じた際に前記溝部に挿入された前記第1チューブ及び前記第2チューブの少なくとも一方の前記挿入方向への変位を規制する規制部を備え
、
前記規制部は、前記蓋部の内側面から前記溝部に向けて突出する第1突部と、前記第1突部よりも前記蓋部から突出する第2突部と、を備え、
前記押付部は、前記蓋部を閉じた際に前記第1チューブ及び前記第2チューブの一方を他方に向けて移動させ、
前記第2突部は、前記他方のチューブを挿入する前記溝部よりも先に前記一方のチューブを挿入する前記溝部を包囲するチューブ接合装置。
【請求項2】
前記溝部を設けた台座を設置可能な筐体をさらに有し、
前記溝部は、前記筐体を載置する載置面に対して前記第1チューブ及び前記第2チューブを傾斜して配置し、
前記規制部は、前記第1チューブ及び前記第2チューブのうちの前記蓋部の開閉軸に近い側のチューブの前記変位を規制する請求項1に記載のチューブ接合装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チューブ接合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂製のチューブ同士等をつなぎ合わせる技術として、各樹脂製のチューブの端部を溶断し、溶断した端部同士を相互に押付けて加圧接合する接合方法が従来から知られている。このような技術は、様々な産業分野において広く用いられており、その一例として、腹膜透析方法等の医療技術への応用が試みられている。
【0003】
腹膜透析方法は、患者の腹腔内に埋込んだチューブ(カテーテル)を使用して所定の透析液を体内に入れた後、腹膜を介して透析液内へ移行させた水や老廃物を体外へ取除く方法である。
【0004】
接合対象となる一方のチューブは患者の腹腔内に埋込まれるため、接合作業時には各チューブが汚染されることのないように作業には細心の注意を払わなければならない。特許文献1には、チューブ接合装置の蓋部を開けて2本のチューブを所定の位置に設置し、蓋部を閉じた状態でボタンを押すと、2本のチューブが溶断され、その後、溶断した端部が入替えられた上で加圧接合を行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のチューブ接合装置ではチューブが保持部にセットされたことを検出する検出部とチューブ溶断の際に2本のチューブを押付ける押付部とが設けられている。検出部は保持部に設けられた溝部にチューブが挿入されることによってチューブのセット状態を検出する。特許文献1のチューブ接合装置ではチューブが溝部に挿入されることでチューブの検出を行う検出方向(溝部への挿入方向)と押付部が2本のチューブを押付ける押付方向とが共に鉛直方向で一致している。ただし、チューブを溝部にセットする際の操作性等の観点からチューブ接合装置によってはチューブの溝部への挿入方向と押付部の押付方向とが一致しないものも存在する。このように、チューブの挿入方向(検出方向)と押付方向とが異なる場合、押付部によってチューブ挿入後に一方のチューブが溝部から位置ずれすると、検出部はチューブが保持部にセットされているにも関わらず誤ってセットされていないと判断してしまう虞がある。
【0007】
そこで本発明は、チューブの検出方向と押付方向とが異なる場合において押付部によってチューブが変位することによる検出部の適切でない検出を抑制可能なチューブ接合装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成する本発明に係るチューブ接合装置は、第1チューブの端部と第2チューブの端部を溶断した後、前記第1チューブの溶断した端部と前記第2チューブの溶断した端部を入替えて接合するチューブ接合装置であって、前記第1チューブと前記第2チューブを挿入可能な溝部を設けた保持部と、前記溝部に対して開閉可能に構成され、開いた際に前記溝部を外部に露出し、かつ閉じた際に前記溝部を外部から隔離する蓋部と、前記溝部に挿入された前記第1チューブ及び前記第2チューブを検出する検出部と、前記蓋部を閉じた際に前記溝部に挿入された前記第1チューブ及び前記第2チューブを、前記第1チューブ及び前記第2チューブの前記溝部に対する挿入方向と交差する方向に押付ける押付部と、を有し、前記蓋部は、前記蓋部を閉じた際に前記溝部に挿入された前記第1チューブ及び前記第2チューブの少なくとも一方の前記挿入方向への変位を規制する規制部を備える。前記規制部は、前記蓋部の内側面から前記溝部に向けて突出する第1突部と、前記第1突部よりも前記蓋部から突出する第2突部と、を備え、前記押付部は、前記蓋部を閉じた際に前記第1チューブ及び前記第2チューブの一方を他方に向けて移動させ、前記第2突部は、前記他方のチューブを挿入する前記溝部よりも先に前記一方のチューブを挿入する前記溝部を包囲する。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るチューブ接合装置によれば、規制部が蓋部を閉じた際に溝部に挿入された第1チューブ及び第2チューブの少なくとも一方の挿入方向への変位を規制する。そのため、チューブの検出方向と押付方向とが異なる場合において押付部によってチューブが変位することによる検出部の適切でない検出を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態に係るチューブ接合装置において蓋部を開いた状態を示す概略斜視図である。
【
図2】チューブ接合装置の蓋部が閉じた状態を示す概略斜視図である。
【
図3】チューブ接合装置の蓋部を閉じた状態において、筐体内に配置される構成部品の配置例を示す概略斜視図である。
【
図4】チューブ接合装置の蓋部を開いた状態を示す概略平面図である。
【
図5】
図4に示すチューブ接合装置に第1チューブ及び第2チューブを配置した状態を示す概略平面図である。
【
図6】チューブ接合装置を構成するクランプ部を示す斜視図である。
【
図7】チューブ接合装置を構成する規制部を示す斜視図である。
【
図12】保持部を構成する溝部へのチューブの挿入を検出する検出部の説明に供する図であり、溝部にチューブをセットする前の状態を示す断面図である。
【
図13】保持部を構成する溝部へのチューブの挿入を検出する検出部の説明に供する図であり、溝部にチューブをセットした状態を示す断面図である。
【
図14】
図5の14-14線に沿う断面図であって、蓋部が開いた状態のチューブ接合装置を示す図である。
【
図15】
図5の14-14線に沿う断面図であって、蓋部が閉じた状態のチューブ接合装置を示す図である。
【
図16】チューブ接合装置の制御系統を示すブロック図である。
【
図17】チューブ接合装置によって、溶断-接合される第1チューブ及び第2チューブを模式的に示す図である。
【
図18】チューブ接合装置による溶断-位置交換作業の各工程を模式的に示す図である。
【
図19】チューブ接合装置による溶断-位置交換作業の各工程を模式的に示す図である。
【
図20】チューブ接合装置による溶断-位置交換作業の各工程を模式的に示す図である。
【
図21】チューブ接合装置による溶断-位置交換作業の各工程を模式的に示す図である。
【
図22】チューブ接合装置による接合-取外し作業の各工程を模式的に示す図である。
【
図23】チューブ接合装置による接合-取外し作業の各工程を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付した図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
図1~15は、本発明の一実施形態に係るチューブ接合装置1の全体構成の説明に供する図である。
図16は、チューブ接合装置1の制御系統の説明に供する図である。
図17は、チューブ接合装置1によって接合されるチューブT1、T2の説明に供する図である。
図18~
図23は、チューブ接合装置1の使用例の説明に供する図である。本明細書においてチューブT1は第1チューブに相当し、チューブT2は第2チューブに相当する。また、以下においてチューブ接合装置1における前後方向を前後方向X、左右方向を左右方向Y、高さ方向を高さ方向Zとする。
【0012】
本実施形態におけるチューブ接合装置1は、
図17に示すように腹膜の透析液バッグT11側のチューブT1の端部及び腹膜透析を行う患者(使用者M)の腹膜カテーテルT26側のチューブT2の端部を溶断して接合する医療装置として構成している。
【0013】
チューブ接合セットSは、
図1に示すように、チューブT1、T2を溶断-接合可能なチューブ接合装置1と、溶断に用いられる複数枚のウェハーWFを備えるカセットWCと、を有している。チューブT1、T2の溶断作業では、
図18~20に示すように、並置されているチューブT1、T2を互いに押付けて潰した状態で、チューブT1、T2は加熱したウェハーWFによって溶断される。その後、
図21、22に示すように、溶断したチューブT1の片側とチューブT2の片側との位置が入替えられ、チューブT1、T2が加圧して接合される。詳細は後述する。
【0014】
チューブ接合装置1は、
図1を参照して概説すれば、チューブ接合装置1の各部を収納する筐体10と、溶断に際してチューブT1、T2の押潰しと、溶断後のチューブT1の片側とチューブT2の片側の入替えを行うクランプ部20と、を有する。チューブ接合装置1は、
図16に示すように溶断-接合の際にチューブT1、T2をクランプ部20によって挟込んだ状態にロックするインターロック30と、
図3に示すように筐体10に挿入されたカセットWCを収納する収納部40と、を有する。
【0015】
チューブ接合装置1は、
図16に示すようにウェハーWFを加熱して溶断位置へ送り出す送り部50と、電源のOn-OFFの切替えの指示等を受付可能な操作部60と、使用者Mに必要な情報を報知する報知部70と、を備える。チューブ接合装置1は、各部に電力を供給可能な供給部80と、各部の動作を統括的に制御する制御部90と、を有する。
【0016】
なお、
図4及び5に示すように、チューブT1、T2が延在する左右方向Yにおいて、チューブT1、T2の溶断位置X0を境界として、溶断後に位置が入替わる側を「入替側X1」、その反対側を「固定側X2」と称する。以下、詳述する。
【0017】
筐体10は、
図1、2に示すように、略六面体の上側面にあたる上部分11と、上部分11の下方に配置され略六面体の上側面以外の側面を構成する下部分12と、を組合わせたケースによって構成している。上部分11は、後方から前方に向かって傾斜するように形成している。
【0018】
上部分11は、
図4に示すように傾斜面11g、11hと凹部11jと、凸部11kと、を備える。傾斜面11g、11hは、上部分11において後端側の方が前端側よりも高くなるように傾斜している。傾斜面11hは、凹部11jを挟んで傾斜面11gよりも前端側に配置されている。傾斜面11g、11hは、略同一面となるように構成しているが、これに限定されない。
【0019】
凹部11jは、
図4に示すように傾斜面11g、11hに隣接して設けられる。凹部11jは、傾斜面11gと傾斜面11hとを直線的に接続した仮想上の面よりも高さ方向Zにおいて凹むように形成している。凹部11jには、
図5に示すようにチューブT1のコネクタT12やチューブT2の一部を配置することができる。
【0020】
凸部11kは、凹部11jよりも高さ方向Zにおいて突出して設けられる。凸部11kには、
図5に示すようにチューブT1の一部を配置することができる。
図4等に示すように上部分11の上面の前端側には接合の進捗状況を表示する表示部71が設けられている。また、上部分11の前方側にはクランプ部20にセットされるチューブT1、T2の配置を指示するイラスト等を付すことができる。これにより、チューブT1、T2の配置位置を取違えることなく、適正な位置に各チューブT1、T2をセットすることができる。
【0021】
上部分11の後端側には、
図4等に示すように後述する報知部70の備える表示部72が設けられている。また、上部分11の上面には、
図1に示すように、クランプ部20を嵌込み可能な孔11rが設けられている。また、上部分11の側面には、カセットWCを挿入するための挿入孔11cと、筐体10内に挿入されたカセットWCを取出すためのスイッチ11dと、が設けられている。カセットWCを挿入孔11cから挿入した状態で、使用者Mが指でスイッチ11dを押込めば、カセットWCは、挿入孔11cを通じて筐体10の外部に取出すことができる。また、上部分11には、
図3に示すように、筐体10の周囲の環境温度を計測可能なセンサ11eが内蔵されている。センサ11eの計測した環境温度に応じて、ウェハーWFがチューブT1、T2を加熱する加熱時間を調整することができる。
【0022】
下部分12は、
図14に示すように、平坦な底面12aと、下部分12においてテーブル等の載置場所と当接する脚部12bと、を備える。
【0023】
クランプ部20は、チューブT1、T2を並置した状態で保持し、溶断に際してチューブT1、T2を互いに押付け、溶断後にチューブT1の片側とチューブT2の片側との位置を入替え、チューブT1、T2の一方を左右方向Yにおいて他方に押付ける。
【0024】
クランプ部20は、
図6に示すように、筐体10の底面12aに固定される上部分11から突出している台座21と、台座21に対して相対的に接近-離反することによって開閉可能に構成された蓋部22と、を備える。クランプ部20は、台座21に設けられるとともに、チューブT1、T2を保持する保持部23と、チューブT1、T2がセットされているか否かを検出可能なセンサ24と、を備える。クランプ部20は、
図6、16に示すように蓋部22が台座21に相対的に接近する動作に伴ってチューブT1、T2を互いに押付けて潰す押付部25と、蓋部22の開閉を検出するセンサ26と、を備える。
【0025】
台座21は、筐体10に設置可能に構成している。台座21には後述する溝部231a、231b、232a、232bを含む保持部23を設けている。台座21は、
図5及び
図6に示すようにチューブT1、T2の固定側X2に設けられる第1台座211と、チューブT1、T2の入替側X1に設けられる第2台座212と、を備えている。第1台座211と第2台座212との間には、チューブT1、T2の延在方向に沿って隙間21aが設けられている。隙間21aは、使用前のウェハーWFが溶断位置に移動する際や、使用済みのウェハーWFを筐体10の外部に送り出す際等に、ウェハーWFが通過するため等に設けられる。
【0026】
また、第1台座211及び第2台座212のそれぞれには、後述する蓋部22の係合爪225と係合して(引っ掛かって)固定するための被係合部213が設けられている。
【0027】
蓋部22は、溝部231a、231b、232a、232bに対して開閉可能に構成される。蓋部22は、第1台座211に対して回動可能に設けられた第1アーム221と、第2台座212に対して回動可能に設けられた第2アーム222と、を備える。蓋部22は、第1アーム221及び第2アーム222を覆うカバー223と、第1アーム221及び第2アーム222に対して回動可能に設けられるとともに使用者Mが把持可能な把持部224と、を備えている。蓋部22は、さらに
図15に示すように係合爪225と、開閉軸226と、
図11等に示すように規制部227と、を備えている。
【0028】
第1アーム221及び第2アーム222は、回動可能に構成している。
【0029】
カバー223は、第1アーム221及び第2アーム222を一体的に覆う。このため、
図2に示すように、蓋部22を閉じた状態では、カバー223は、第1台座211、第2台座212及びその間の溶断-接合が行われる領域、即ち溝部231a、231b、232a、232bを設けた保持部23を包囲可能に外部から隔離する。反対に、蓋部22を開いた状態では保持部23を外部に露出する。カバー223は、
図6に示すようにカバー223の根元側に設けられる第1部材223aと、第1部材223aよりも開閉軸226に対して先端側に設けられ、蓋部22の開状態で第1部材223aの内部に収容可能な第2部材223bと、を備える。第2部材223bは、第1部材223aに対してスライド移動可能に構成している。
【0030】
なお、蓋部22の閉状態で第1台座211、第2台座212、及び溶断-接合が行われる領域を覆うことができれば、カバー223の構成は上記に限定されず、カバーは一の部材から構成してもよい。
【0031】
把持部224は、
図6、14等に示すように、カバー223の先端部に回動可能に設けられ、使用者Mの手指によって把持又は当接可能に構成している。把持部224は、台座21の被係合部213に係合可能な係合爪225を隣接して設けている。このため、
図14、15に示すように、第1アーム221、第2アーム222及びカバー223を筐体10側に接近させた後に、把持部224を第1アーム221及び第2アーム222に対して回転させれば、係合爪225が被係合部213に係合する。これにより、クランプ部20が各チューブT1、T2を挟込んだ状態を好適に維持することができる。
【0032】
係合爪225は、カバー223に対して回動可能に設けられ、台座21の被係合部213と係合可能に構成している。係合爪225は、
図6、7に示すように左右方向Yにおいて把持部224に2箇所並べて設けている。係合爪225は、本実施形態において湾曲した形状に形成している。また、2箇所の係合爪225は、本実施形態において
図6に示すように異なる形状に形成している。ただし、上記に限定されず、係合爪が複数の場合、複数の係合爪は同じ形状に構成してもよい。
【0033】
開閉軸226は、
図15に示すように蓋部22のカバー223を台座21に対して回動可能に支持する。開閉軸226は、台座21の後端付近及びカバー223の根元側に設けている。開閉軸226は、左右方向Yに平行に構成している。
【0034】
規制部227は、蓋部22を閉じた際に溝部231a、231b、232a、232bに挿入されたチューブT1、T2の少なくとも一方の挿入方向に相当する方向D2への変位を規制する。規制部227は、
図7~11に示すように蓋部22の内側面221a、222aから溝部231a、231b、232a、232bに向けて突出する第1突部228と、第1突部228よりも蓋部22から突出する第2突部229と、を備える。
【0035】
第1突部228は、
図7に示す蓋部22の内側面221a、222bにおいて第2突部229よりも開閉軸226に接近して設けられる。第1突部228は、側面視した際に略矩形状に形成し、第2突部229は側面視した際に角を丸めた略三角形状に形成している。ただし、蓋部22を閉じる際に押し潰されるチューブT1、T2の方向D2への位置ずれを抑制できれば、具体的な形状はこれに限定されない。規制部227は、蓋部22を閉じる動作によって開閉軸226に近い側のチューブT1の変位を特に規制する。チューブT1は、後述する押付部25によって、
図15に示すように蓋部22を閉じた際にチューブT2に向けて移動し、チューブT2に押付けられる。規制部227を構成する第2突部229は、
図7~11に示すようにチューブT2を挿入する溝部231bよりも先にチューブT1を挿入する溝部231aを包囲する。
【0036】
保持部23は、
図5及び
図6に示すように、各チューブT1、T2の固定側X2を固定した状態で挿入可能な第1保持部231と、各チューブT1、T2の入替側X1を可動できる状態で挿入可能な第2保持部232と、を備える。保持部23は、第2保持部232が各チューブT1、T2を挿入した状態から挿入を解除した解除状態へ切替え可能な解除部233と、第2保持部232を解除状態から挿入状態へ切替え可能な復元部234と、を備える。
【0037】
第1保持部231は、第1台座211の上面に固定されている。第1保持部231は、
図6に示すようにチューブT1を嵌込むように挿入可能な凹状の溝部231aと、チューブT2を嵌込むように挿入可能な凹状の溝部231bと、を備えている。
【0038】
溝部231a、231bは、
図14に示すように、筐体10の載置面FSに対して角度θ傾いた方向(斜め方向)に並ぶように設けられている。このため、チューブT1、T2は、蓋部22を開いた際に保持部23において載置面FSに対して傾斜して並んだ状態で第1保持部231に挿入される。なお、チューブT1、T2の並ぶ方向D1の奥側に配置される溝部231aは、溝部231bよりも筐体10の高さ方向Zにおいて高い位置に配置されている。
【0039】
また、溝部231a、231bは、第1保持部231の上面側において、斜め方向D1と略直交する方向(
図13の方向D2参照)に沿って凹状に窪むように設けられている。溝部231a、231bは、側面視した際の断面がチューブT1、T2を挿入できるように長方形の一辺を取り除き、角部を曲面に形成したような形状として構成している。このため、チューブT1、T2は、チューブT1、T2の並ぶ方向D1と直交する方向D2から挿入するようにセットされる。これにより、使用者Mは、蓋部22を開いた状態において各チューブT1、T2を容易にセットすることができる。
【0040】
第2保持部232は、
図6に示すように左右方向Yに略平行な回転軸232cを回転中心として第2台座212の側面に回動可能に取付けられている。第2保持部232は、蓋部22を開いた際に第1保持部231と同じ高さ及び傾きに配置された溝部232a、232bを備える。溝部232a、232bは、蓋部22を開いた際に第1保持部231とともにチューブT1、T2を挿入できるように構成している。第2保持部232は、蓋部22を閉じた状態において回転軸232cを回転中心として高さ方向Zにおける下方に変位し、溝部232a、232bがチューブT1、T2から離間した状態となる。
【0041】
解除部233は、
図6に示すように蓋部22を開いた状態において第2保持部232の基部から第2アーム222の平坦面(
図6の高さ方向Z)に向かって突出する突起を備えている。
【0042】
解除部233の突起は、蓋部22が筐体10に相対的に接近する動作に伴って、蓋部22に設けられた第2アーム222の平坦面に当接する。解除部233の突起は、蓋部22が筐体10に相対的に接近する動作に伴って、第2保持部232をチューブT1、T2の挿入位置から解除位置に退避させるように構成している。本明細書において解除状態とは、蓋部22が閉じた状態においてチューブT1、T2が第2保持部232の溝部232a、232bに挿入されていない状態を意味する。
【0043】
復元部234は、
図6において破線にて示すように、蓋部22の第2アーム222が筐体10に相対的に離反する動作と連動して第2保持部232を押上げ可能なカムを備えている。復元部234は、第2保持部232と当接可能に構成している。
【0044】
復元部234のカムは、筐体10の左右方向Yからの矢視において略扇形の外形形状を備えている。復元部234のカムは、第2アーム222の回動部付近に固定されている。このため、復元部234のカムは、第2アーム222の回動に連動して回動する。このように、第2保持部232は、解除部233と復元部234によって保持位置と解除位置との間で移動可能に構成している。
【0045】
さらに本実施形態では、解除部233は、後述する押付部25がチューブT1、T2を挟込んだ後に、第2保持部232をチューブT1、T2の挿入位置から解除位置へ退避させる。このため、押付部25は、チューブT1、T2の入替側X1が第2保持部232によって適切な位置に挿入されている状態で、チューブT1、T2を挟込むことができる。
【0046】
センサ24は、溝部231a、231bに挿入されたチューブT1、T2を検出する。センサ24は、
図12に示すように溝部231a、231bに設けられ、溝部231a、231bからの突出及び陥没が可能に構成されたピン241と、ピン241の根元部分に設けられた磁石242と、ホール素子243と、を備える。ピン241は弾性部材244によって、
図12、13に示すように溝部231a、231bの底部からチューブT1、T2を挿入する方向D2に突出及び陥没を可能に構成している。ピン241は、チューブT1、T2が溝部231a、231bの底部から突出及び陥没を可能に構成している。ピン241は、チューブT1、T2が溝部231a、231bに挿入されることによって突出位置から陥没位置に位置を変える。磁石242は、ピン241の溝部231a、231bからの突出又は陥没に合わせて移動する一方で、ホール素子243は溝部231a、231bの底部において磁石242に隣接して配置している。センサ24は、ホール素子243が検出する磁石242の磁力の大きさがピン241の位置に応じて変化することによって、チューブT1、T2が溝部231a、231bに挿入されたか否かを検出する。ただし、溝部231a、231bにチューブT1、T2が挿入されたことを検出できれば、具体的な構成は上記に限定されない。センサ24は、本明細書において検出部に相当する。
【0047】
押付部25は、蓋部22を閉じた際に溝部231a、231b、232a、232bに挿入されたチューブT1、T2を、チューブT1、T2の挿入方向に相当する方向D2と交差する方向D1に押付ける。ここで、「チューブT1、T2の挿入方向」は、本明細書においてセンサ24によるチューブT1、T2の検出方向と一致する。また、センサ24による検出方向とチューブT1、T2の挿入方向が一致する場合とは、両者の方向が左右方向Yを回転軸とした際に角度にしてプラスマイナス2、3度の範囲内でずれている場合をも含む。また、「溝部231a、231b、232a、232bに対する挿入方向と交差する方向」について、チューブT1、T2の押付方向に相当する方向D2は本実施形態においてチューブT1、T2の検出方向に相当する方向D1と直交するように構成している。ただし、チューブT1、T2の押付方向と検出方向は必ずしも直交していなくてもよい。押付部25は、
図6に示すように固定側押付部25aと、可動側押付部25bと、を備える。
【0048】
固定側押付部25aは、
図14、15に示すようにチューブT1、T2の固定側X2において蓋部22を閉じた際にチューブT1、T2の並ぶ方向D1にチューブT1、T2を接近させ、互いに当接したチューブT1、T2に押圧力を付与する。固定側押付部25aは、
図6及び
図20に示すように第1アーム221に設けられる蓋側押付部251と、第1台座211に設けられる筐体側押付部252と、を備える。
【0049】
可動側押付部25bは、
図15に示すようにチューブT1、T2の入替側X1において蓋部22を閉じた際に固定側押付部25aと同様にチューブT1、T2の並ぶ方向D1にチューブT1、T2を接近させ、互いに当接したチューブT1、T2を押圧する。方向D1は、本実施形態においてチューブT1、T2を押付ける方向に相当する。可動側押付部25bは、
図6及び
図20に示すように第2アーム222に設けられる蓋側押付部253と、第2台座212に設けられる筐体側押付部254と、を備える。蓋側押付部253は、蓋部22に回転可能に設けられ、筐体側押付部254は筐体10に回転可能に設けられる。蓋側押付部253及び筐体側押付部254は蓋部22を閉じた際にチューブT1、T2に押圧力を付与できるように構成している。
【0050】
また、可動側押付部25bは、モータやギヤ等の構成(図示省略)によって、
図21に示すように、溶断されたチューブT1、T2の可動側の端部を固定側に対して入替える。また、可動側押付部25bは、固定側に対して端部を入替えた可動側のチューブT1、T2を左右方向Yにおいて固定側のチューブT1、T2に押付ける。可動側押付部25bは、回転可能に構成されたカム(図示省略)と、左右方向Yにおいて当該カムに当接可能な当接部材(図示省略)と、を備える。可動側押付部25bは、カムにおいて当接部材との左右方向Yにおける接触位置がカムの回転に応じて異なることによって、入替側X1のチューブT1、T2の端部を固定側X2のチューブT1、T2の端部に押付け可能に構成している。
【0051】
センサ26は、台座21に対して蓋部22が閉じたことを検出する。センサ26は、台座21に対して蓋部22が閉じたことを検出してチューブ接合動作を開始できれば、具体的な構成は特に限定されない。一例として、本実施形態では、被係合部213の付近にリミットスイッチ等のセンサを設け、係合爪225が被係合部213に係合した際に上記センサが押込まれることによって、蓋部22が閉じたことを検出している。
【0052】
インターロック30は、溶断-接合の際に、クランプ部20がチューブT1、T2を挟込んだ状態にロックする機能を備えている。インターロック30は、本実施形態において
図15に示すように電磁駆動式のソレノイドのロッド31により構成している。
【0053】
収納部40は、
図3に示す箇所に位置しており、筐体10に挿入されたカセットWCを収納する機能、及びカセットWC内のウェハーWFの残量を検出する機能を備えている。収納部40は、挿入孔11cから挿入されたカセットWCが装着される装着部と、カセットWC内のウェハーWFの残量を検出可能なウェハーセンサと、を備えている(図示省略)。ウェハーセンサは、例えば、公知のフォトセンサによって構成することができる。
【0054】
送り部50は、
図3に示す箇所に位置しており、ウェハーWFを溶断位置まで送り出し、溶断に際してウェハーWFを加熱し、使用後のウェハーWFを冷却し、使用後のウェハーWFを筐体10の外部へ送り出す。
【0055】
送り部50は、ウェハーWFを収納部40内のカセットWCから溶断位置まで送り出し可能に構成している。送り部50は、使用後のウェハーWFを第1台座211と第2台座121の間の隙間21aを介して筐体10の外部へ送り出し可能な駆動部を備える。送り部50は、溶断に際してウェハーWFを加熱可能なヒータと、使用済みのウェハーWFを冷却可能なファンと、を備えている(図示省略)。
【0056】
操作部60は、使用者Mからチューブ接合装置1への指示を受付ける。操作部60は、チューブ接合装置1の電源のON/OFFを切替えるスイッチ等を含む。操作部60は、本実施形態において
図2に示すように筐体10の上部分11の後端側に設けているが、具体的な位置はこれに限定されない。
【0057】
報知部70は、使用者Mに必要な情報を報知する。報知部70は、
図1、3に示すように、使用者Mに必要な情報を表示する表示部71、72と、音声によって使用者Mに必要な情報を報知するスピーカ73と、を備えている。
【0058】
供給部80は、チューブ接合装置1の各部に電力を供給する機能を備えている。供給部80は、
図1に示すように、各部に電力を供給可能なバッテリ81と、バッテリ81を充電するための充電器82と、を備えている。
【0059】
制御部90は、チューブ接合装置1の各部を統括的に制御する。制御部90は、マイクロコンピュータなどのCPUと、CPUにより実行される装置全体の制御プログラムや各種データを記憶するROMと、ワークエリアとして測定データや各種データを一時的に記憶するRAMとを備えている。
【0060】
制御部90は、
図16に示すように、供給部80に電気的に接続されており、供給部80から電力供給を受けている。また、制御部90は、操作部60に電気的に接続されており、使用者Mからの指示に応じて各部の動作を制御可能に構成している。また、制御部90は、報知部70に電気的に接続されており、使用者Mに必要な情報を報知可能に構成している。
【0061】
また、制御部90は、センサ24、26と、収納部40のウェハーセンサと、インターロック30と、センサ11eと、に電気的に接続されている。制御部90は、センサ24によってチューブT1、T2のセットを検出し、センサ26によって蓋部22の閉状態を検出し、ウェハーセンサによってウェハーWFがカセットWCに一以上ある場合にウェハーWFによる溶断作業を開始する制御を行う。なお、ウェハーWFによる溶断作業の開始は上記条件を充たす場合に限定されず、使用者がボタンを押下すること等によって溶断作業を開始してもよい。
【0062】
制御部90は、センサ24からチューブT1、T2が適正にセットされていない情報を得た場合、報知部70を介してその旨を報知させる。また、制御部90は、センサ26によって蓋部22が適切に閉じられていない情報を得た場合、報知部70にその旨を報知させる。制御部90は、カセットWCに使用可能なウェハーWFが収容されていない場合、報知部70にその旨を報知させる。制御部90は、インターロック30によって溶断-接合中に蓋部22を閉じた状態を維持させる。また、制御部90は、センサ11eが計測した筐体10の環境温度に基づいて、溶断の際のウェハーWFによるチューブT1、T2の加熱時間を調整する。
【0063】
また、制御部90は、収納部40及び送り部50に電気的に接続されており、これらの動作を制御可能に構成している。また、制御部90は、可動側押付部25bのモータ(図示省略)に電気的に接続されており、可動側押付部25bの位置交換作業を制御する。
【0064】
カセットWCは、
図1に示すように、複数枚のウェハーWFを収納している。カセットWCは、チューブ接合装置1の挿入孔11cを介して出入れされる。使用されたウェハーWFは、
図4に示すように、第1台座211と第2台座212の間の隙間21aから筐体10の外部へ取出される。チューブT1は、本実施形態では腹膜の透析液バッグT11側のチューブによって構成している(
図17参照)。具体的には、チューブT1の先端部には所定のコネクタT12を取付けている。チューブT1の反対側は、分岐管T13を介して、透析液バッグT11の透析液チューブT14に接続している。さらにチューブT1は、分岐管T13を介して、排液用バッグT15の排液チューブT16に接続している。
【0065】
チューブT2は、腹膜透析をする際に使用される使用者Mの腹膜カテーテルT26側のチューブによって構成している。具体的には、チューブT2は、延長チューブT21と保護チューブT22を備えている。延長チューブT21は、連結管T23、シリコーンチューブT24、カテーテルジョイントT25を介して、腹膜カテーテルT26に接続している。腹膜カテーテルT26は、その一方の端部側が使用者Mの腹腔内に挿入されている。なお、チューブT1、T2は、本実施形態では、塩化ビニル製のチューブによって構成している。ただし、チューブT1、T2の材質は、溶断及び加圧により相互に接合可能なものであればよく、その限りにおいて限定されない。例えば、チューブT1、T2の材質がそれぞれ異なるものであってもよい。
【0066】
次に、チューブ接合セットSの使用例について説明する。まず、使用者Mは、チューブ接合装置1を使用するに際し、カセットWCをチューブ接合装置1の挿入孔11cに挿入する。次に、使用者Mは、操作部60のボタンを押して、チューブ接合装置1の電源をONにする。
【0067】
次に、使用者Mは、
図1に示すように、チューブ接合装置1の蓋部22を開いた状態にする。次に、使用者Mは、
図14、15、18、19に示すように、チューブT1、T2を保持部23の溝部231a、231b、232a、232bに挿入してセットする。次に、使用者Mは、蓋部22のカバー223を台座21に接近させ、係合爪225を被係合部213に係合させる操作を行う。これにより、蓋部22は閉じた状態となる。蓋部22が閉じられたことにより、チューブT1、T2の溶断部位の外周部分はカバー223によって覆われ、外部から隔離された状態となる。これにより、溶断-接合作業を無菌状態で実施することが可能となる。
【0068】
次に、制御部90は、送り部50にウェハーカセットWCからウェハーWFを取り出させ、溶断準備位置(
図20のウェハーWFが破線で示されている位置)に送り出させる。制御部90は、カセットWCにおける溶断に使用可能なウェハーWFの残存、保持部23へのチューブセット、及び蓋部22の閉状態の条件が充たされた際に、溶断作業の制御を開始する。
【0069】
まず、制御部90は、インターロック30を作動させ、蓋部22を閉じた状態にロックさせる。押付部25によってチューブT1、T2を押付ける際に蓋部22の規制部227によって溝部231a、231b、232a、232bに挿入されたチューブT1、T2の方向D2への変位が規制される。
【0070】
そして、溶断準備位置のウェハーWFを、内蔵したヒーターによって加熱させる。そして、送り部50によって加熱したウェハーWFを溶断位置(
図20のウェハーWFが実線で示されている位置)まで移動させ、
図20に示すように溶断を行わせる。
【0071】
次に、制御部90は、
図21に示すように可動側押付部25bによってチューブT1の入替側X1とチューブT2の入替側X1の位置を入替えさせる。その後、制御部90は、
図22に示すように、可動側押付部25bによって入替えたチューブT1、T2の固定側と可動側を押付けて、加圧接合を行わせる。
【0072】
次に、制御部90はインターロック30のロックを解除させる。次に、使用者Mは、蓋部22を開く作業を行い、
図23に示すように各チューブT1、T2をチューブ接合装置1から取外す。
【0073】
以上説明したように、本実施形態に係るチューブ接合装置1はチューブT1、T2の端部を溶断した後、チューブT1の溶断した端部とチューブT2の溶断した端部とを入替えて接合する。チューブ接合装置1は、保持部23と、蓋部22と、センサ24と、押付部25と、を有する。保持部23は、チューブT1、T2を挿入可能な溝部231a、231b、232a、232bを設けている。蓋部22は、溝部231a、231b、232a、232bに対して開閉可能に構成され、開いた際に溝部231a、231b、232a、232bを外部に露出する。蓋部22は、閉じた際に溝部231a、231b、232a、232bを外部から隔離する。センサ24は、溝部231a、231b、232a、232bに挿入されたチューブT1、T2を検出する。押付部25は、蓋部22を閉じた際に溝部231a、231b、232a、232bに挿入されたチューブT1、T2を、チューブT1、T2の溝部231a、231b、232a、232bに対する挿入方向と交差する方向D1に押付ける。蓋部22は、蓋部22を閉じた際に溝部231a、231b、232a、232bに挿入されたチューブT1、T2の少なくとも一方の挿入方向に相当する方向D2への変位を規制する規制部227を備える。
【0074】
規制部227は、チューブT1、T2の方向D2への変位を規制することによって、チューブT1、T2が押付部25によって方向D2においてセンサ24から離間するように変位することを抑制する。これにより、チューブT1、T2が溝部231a、231bにセットされているにも関わらず誤ってセットされていないとセンサ24によって検出されることを抑制できる。
【0075】
また、チューブ接合装置1は、溝部231a、231b、232a、232bを設けた台座21を設置可能な筐体10を有する。溝部231a、231b、232a、232bは、筐体10を載置する載置面FSに対してチューブT1、T2を傾斜して配置する。規制部227は、チューブT1、T2における溝部231a、231b、232a、232bの開閉軸226に近い側のチューブT1、T2の変位を規制するように構成している。これにより、規制部227によってチューブT1、T2の中でも変位しやすいチューブT1の位置ずれを効率的に抑制することができる。
【0076】
また、規制部227は、蓋部22の内側面221a、222aから溝部231a、231b、232a、232bに向けて突出する第1突部228と、第1突部228よりも蓋部22から突出する第2突部229と、を備える。これにより、チューブT1、T2の少なくとも一方の変位を抑制し、センサ24による誤検出を抑制することができる。
【0077】
また、押付部25は、蓋部22を閉じた際にチューブT1、T2の一方を他方に向けて移動させる。第2突部229は、チューブT1、T2において上記他方のチューブに相当するチューブT2よりも先に一方のチューブに相当するチューブT1を包囲するように構成している。チューブT1は押付部25によって移動させられ、センサ24による誤検出は押付部25によっていずれかのチューブの位置が変わることによって生じうる。これに対して、上記のように規制部227が移動するチューブT1をチューブT2より先に包囲することによって、チューブT1の変位を優先的に抑制し、センサ24による誤検出を効果的に抑制することができる。
【0078】
なお、本発明は上述した実施形態にのみ限定されず、特許請求の範囲において種々の変更が可能である。上記では溝部231a、231b、232a、232bがチューブT1、T2を載置面FSに対して傾斜して並べて配置すると説明した。ただし、溝部は水平方向に並べる場合等のようにチューブT1、T2を傾斜して並べて配置しない場合も本発明の一実施形態に含まれる。また、規制部227は第1突部228と第2突部229を備えると説明したが、押付部25によるチューブT1、T2の変位を抑制できれば、規制部は第1突部及び第2突部のいずれか一方のみ備えている場合も本発明の一実施形態に含まれる。また、溝部231a、231b、232a、232bは、側面視した際の形状が長方形の一辺を取り除き、角部を曲面に形成したと説明したが、これに限定されない。上記以外にもチューブT1、T2を挿入できれば、側面視した際の溝部の形状においてチューブT1、T2の挿入方向に沿う辺は長方形のように挿入方向と平行でなくてもよいし、長方形のように同じ長さでなくてもよく、また直線でなくてもよい。さらに、溝部を側面視した際の形状における角部は曲面以外にも例えば面取り形状等で形成してもよい。
【0079】
また、本願発明は、腹膜透析のみならず、例えば輸血に用いる血液製剤等を収容する容器(バッグ)に接続されたチューブと他のチューブとを無菌的に接合する装置にも用いることができる。この場合、チューブ及びバッグ内の血液成分(製剤)等の無菌性を保持することができる。
【0080】
また、本願発明は、採取・培養した各種細胞を含む細胞培養液を収容する容器(バッグ)に接続されたチューブと他のチューブとを無菌的に接合する装置にも用いることができる。この場合も、チューブ接合時にチューブ及びバッグ内の細胞培養液の無菌性・安全性を保持することができる。
【符号の説明】
【0081】
1 チューブ接合装置、
10 筐体、
21 台座、
22 蓋部、
221a、222a 内側面、
226 開閉軸、
227 規制部、
228 第1突部、
229 第2突部、
23 保持部、
231a、231b、232a、232b 溝部、
24 センサ(検出部)、
25 押付部、
FS 載置面、
D1 (2本のチューブを押付ける)方向、
D2 (チューブの挿入)方向、
T1 (第1)チューブ、
T2 (第2)チューブ。