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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】表示用データバッファ
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/414 20060101AFI20221220BHJP
   G05B 19/4063 20060101ALI20221220BHJP
   G05B 19/18 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
G05B19/414 R
G05B19/4063 L
G05B19/18 W
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019018986
(22)【出願日】2019-02-05
(65)【公開番号】P2019175437
(43)【公開日】2019-10-10
【審査請求日】2021-12-09
(31)【優先権主張番号】P 2018062440
(32)【優先日】2018-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】沖田 洋志
【審査官】増山 慎也
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-188505(JP,A)
【文献】特開2012-123057(JP,A)
【文献】特開2014-059607(JP,A)
【文献】特開2005-250543(JP,A)
【文献】特開2009-217713(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/414
G05B 19/4063
G05B 19/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械の情報である1又は複数の機械情報を、複数の表示機器のための表示用データとして記憶する表示用データバッファであって、
前記機械情報を前記表示用データとして記憶する記憶部と、
前記機械から前記機械情報を取得し、取得した前記機械情報を前記記憶部に記憶させると共に、前記表示機器からの読み取り要求に応じて、前記記憶部に記憶された前記機械情報のうちの前記読み取り要求に対応する機械情報を前記表示用データとして前記表示機器に提供する制御部と、
を備え、
前記記憶部は、前記機械情報ごとに、読み取り履歴を表す読取履歴情報であって、前記読み取り要求を行った表示機器を表す機器情報を含む前記読取履歴情報を更に記憶し、
前記制御部は、前記表示機器からの今回の読み取り要求に応じて、前記今回の読み取り要求に対応する対応の機械情報ごとに、
(a)前記記憶部に記憶された前記読取履歴情報を参照して、
(a1)読み取り履歴があり、かつ、読み取り履歴における前記機器情報が表す表示機器が、今回の読み取り要求を行う表示機器と同一である場合、前記機械から前記対応の機械情報を取得して、前記記憶部の機械情報を更新し、
(a2)読み取り履歴があり、かつ、読み取り履歴における前記機器情報が表す表示機器が、今回の読み取り要求を行う表示機器と異なる場合、前記機械から前記対応の機械情報を取得せず、前記記憶部の機械情報を更新せず、
(b)今回の読み取り要求を行う表示機器を表す機器情報を追加するように、前記読取履歴情報を更新し、
前記制御部は、前記対応の機械情報ごとに、
前記(a1)の場合、全ての前記機器情報を削除した後に、前記(b)を行う、
表示用データバッファ。
【請求項2】
前記制御部は、前記対応の機械情報ごとに、
前記表示機器からの読み取り要求が所定時間ない場合、前記機械から前記対応の機械情報を取得して、前記記憶部の機械情報を更新し、
前記(b)において、全ての前記機器情報を削除した後に、少なくとも何れか1つの表示機器を表す機器情報を追加するように、前記読取履歴情報を更新する、
請求項に記載の表示用データバッファ。
【請求項3】
前記制御部は、ハードウェアで構成される、請求項1または2に記載の表示用データバッファ。
【請求項4】
前記制御部は、ソフトウェアがプログラムされた演算プロセッサで構成される、請求項1または2に記載の表示用データバッファ。
【請求項5】
前記機械は、数値制御装置を含み、
前記表示用データバッファは、前記数値制御装置の外部に設けられる、請求項1~のいずれか1項に記載の表示用データバッファ。
【請求項6】
前記機械は、数値制御装置を含み、
前記表示用データバッファは、前記数値制御装置に内蔵される、請求項1~のいずれか1項に記載の表示用データバッファ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示機器のための表示用データを記憶する表示用データバッファに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば工作機械は、加工情報、プログラム、PMC(PLC)のI/O情報、工具情報、及び/又は、異常通知のためのアラーム等を表示する表示機器を備える。加工情報とは、工具及び/又はワークの座標、及び、ワークの処理量等の情報であり、工具情報とは、工具の種類及び摩耗等の情報である。
このような工作機械の表示機器に表示される機器情報が、工作機械から離れた場所に設置された表示機器でも表示できるように、ネットワークを介して複数の表示機器が工作機械に接続されることがある(例えば、特許文献1及び2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平11-161322号公報
【文献】特開2001-268106号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、複数の表示機器が工作機械の数値制御装置に読み取り要求を行うと、数値制御装置内のバスの占有率が増大し、数値制御装置内の通信トラフィックが増大する。その結果、通信速度の低下により表示画面の更新速度が低下したり、数値制御装置の処理性能が低下したりする虞がある。
この点に関し、工作機械と複数の表示機器との間に、複数の表示機器のための表示用データを記憶する表示用データバッファを設けることが考えられる。
【0005】
本発明は、工作機械の数値制御装置の通信トラフィックの増大を低減する表示用データバッファを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1) 本発明に係る表示用データバッファ(例えば、後述の表示用データバッファ10)は、機械(例えば、後述の工作機械20)の情報である1又は複数の機械情報を、複数の表示機器(例えば、後述の表示機器30A,30B,30C)のための表示用データとして記憶する表示用データバッファ(例えば、後述の表示用データバッファ10)であって、前記機械情報を前記表示用データとして記憶する記憶部(例えば、後述の記憶部11)と、前記機械から前記機械情報を取得し、取得した前記機械情報を前記記憶部に記憶させると共に、前記表示機器からの読み取り要求に応じて、前記記憶部に記憶された前記機械情報のうちの前記読み取り要求に対応する機械情報を前記表示用データとして前記表示機器に提供する制御部(例えば、後述の制御部12)とを備え、前記記憶部は、前記機械情報ごとに、読み取り履歴を表す読取履歴情報であって、前記読み取り要求を行った表示機器を表す機器情報を含む前記読取履歴情報を更に記憶し、前記制御部は、前記表示機器からの今回の読み取り要求に応じて、前記今回の読み取り要求に対応する対応の機械情報ごとに、
(a)前記記憶部に記憶された前記読取履歴情報を参照して、
(a1)読み取り履歴があり、かつ、読み取り履歴における前記機器情報が表す表示機器が、今回の読み取り要求を行う表示機器と同一である場合、前記機械から前記対応の機械情報を取得して、前記記憶部の機械情報を更新し、
(a2)読み取り履歴があり、かつ、読み取り履歴における前記機器情報が表す表示機器が、今回の読み取り要求を行う表示機器と異なる場合、前記機械から前記対応の機械情報を取得せず、前記記憶部の機械情報を更新せず、
(b)今回の読み取り要求を行う表示機器を表す機器情報を追加するように、前記読取履歴情報を更新する。
【0007】
(2) (1)に記載の表示用データバッファにおいて、前記制御部は、前記対応の機械情報ごとに、前記(a1)の場合、全ての前記機器情報を削除した後に、前記(b)を行ってもよい。
【0008】
(3) (1)又は(2)に記載の表示用データバッファにおいて、前記制御部は、前記対応の機械情報ごとに、
前記表示機器からの読み取り要求が所定時間ない場合、前記機械から前記対応の機械情報を取得して、前記記憶部の機械情報を更新してもよく、
前記(b)において、全ての前記機器情報を削除した後に、少なくとも何れか1つの表示機器を表す機器情報を追加するように、前記読取履歴情報を更新してもよい。
【0009】
(4) (1)から(3)のいずれかに記載の表示用データバッファにおいて、前記制御部は、ハードウェアで構成されてもよい。
【0010】
(5) (1)から(3)のいずれかに記載の表示用データバッファにおいて、前記制御部は、ソフトウェアがプログラムされた演算プロセッサで構成されてもよい。
【0011】
(6) (1)から(5)のいずれかに記載の表示用データバッファにおいて、前記機械は、数値制御装置を含んでもよく、前記表示用データバッファは、前記数値制御装置の外部に設けられてもよい。
【0012】
(7) (1)から(5)のいずれかに記載の表示用データバッファにおいて、前記機械は、数値制御装置を含んでもよく、前記表示用データバッファは、前記数値制御装置に内蔵されてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、工作機械の数値制御装置の通信トラフィックの増大を低減する表示用データバッファを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本実施形態に係る表示用データバッファを備える加工システムを示す図である。
図2】本実施形態に係る表示用データバッファの動作を示すフローチャートである。
図3】本実施形態に係る表示用データバッファの動作の具体的一例を示すタイミングチャートである。
図4A】本実施形態に係る表示用データバッファに記憶された機械情報及び読取履歴情報の一例を示す模式図である。
図4B】本実施形態に係る表示用データバッファに記憶された機械情報及び読取履歴情報の一例を示す模式図である。
図4C】本実施形態に係る表示用データバッファに記憶された機械情報及び読取履歴情報の一例を示す模式図である。
図4D】本実施形態に係る表示用データバッファに記憶された機械情報及び読取履歴情報の一例を示す模式図である。
図4E】本実施形態に係る表示用データバッファに記憶された機械情報及び読取履歴情報の一例を示す模式図である。
図4F】本実施形態に係る表示用データバッファに記憶された機械情報及び読取履歴情報の一例を示す模式図である。
図5】本実施形態の変形例に係る表示用データバッファの動作を示すフローチャートである。
図6】本実施形態の変形例に係る表示用データバッファを備える加工システムを示す図である。
図7】実施形態の変形例に係る表示用データバッファを備える加工システムを示す図である。
図8】クラウドサーバ、フォグコンピュータ、エッジコンピュータを含む3段槽構造のシステムの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付の図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。
【0016】
(加工システム)
図1は、本実施形態に係る表示用データバッファを備える加工システムを示す図である。図1に示す加工システム1は、表示用データバッファ10と、機械としての工作機械20と、3つの表示機器30A,30B,30Cとを備える。表示用データバッファ10と表示機器30A,30B,30Cとは、LAN(例えば、イーサネット)、WAN等の有線又は無線のネットワーク3を介して接続される。なお、表示用データバッファ10と工作機械20とは、上述したLAN、WAN等の有線又は無線のネットワークを介して接続されてもよいし、Bluetooth、Wi-Fi等の近距離通信で接続されてもよい。
【0017】
工作機械20は、数値制御装置(CNC)21と、機械部22とを備える。工作機械20では、数値制御装置21の制御により、機械部22が工具を用いてワークの加工を行う。表示部23は、機械部22の一部を構成している。
機械部22における表示部23には、工作機械20の情報(以下、「機械情報」ともいう。)として、加工情報、プログラム、PMC(Programmable Machine Controller)のI/O情報、工具情報、及び/又は、異常通知のためのアラーム等が表示される。加工情報とは、工具及び/又はワークの座標、及び、ワークの処理量等の情報であり、工具情報とは、工具の種類及び摩耗等の情報である。
数値制御装置21は、表示用データバッファ10からの要求に応じて、これらの加工情報、プログラム、I/O情報、工具情報、及び、アラーム等の機械情報を、表示用データバッファ10に提供する。
【0018】
表示用データバッファ10は、工作機械20の数値制御装置21からこれらの機械情報を取得し、取得した機械情報を、表示機器30A,30B,30Cのための表示用データとして記憶する。表示用データバッファ10の詳細については後述する。
【0019】
表示機器30A,30B,30Cは、ネットワーク3を介して表示用データバッファ10に、機器情報(表示用データ)の読み取り要求を行う。また、表示機器30A,30B,30Cは、表示用データバッファ10から機器情報(表示用データ)を取得して表示する。
【0020】
例えば、作業者が工場内にて工作機械20から離れても、工作機械20の表示部23と同様の機械情報を監視することができるように、工場内に表示機器が複数設置されることがある。また、複数の機械情報を並べて表示させるために、表示機器が複数配置されることがある。
表示機器30Aは、このような表示機器であって、工場内に配置され、工作機械20の表示部23と同様の機械情報を表示する表示機器である。
【0021】
また、作業者が事務所に戻っても自デスクのPCで機械情報を監視することができるようになっていることがある。表示機器30Bは、作業者の自デスクのPCである。
また、作業者が出張先等の遠隔地でも携帯端末で機械情報を監視することができるようになっていることがある。表示機器30Cは、携帯型PC、タブレット、スマートフォン等の携帯端末である。
【0022】
(表示用データバッファの構成)
次に、図1と共に図4A図4Fを参照して、表示用データバッファ10の構成について説明する。図4A図4Fは、本実施形態に係る表示用データバッファに記憶された機械情報及び読取履歴情報の一例を示す模式図である。なお、図4A図4Fでは、機械情報と読取履歴情報とが関連付けられて示されているが、これに制限されない。機械情報と読取履歴情報とは関連付けられていなくてもよい。
表示用データバッファ10は、記憶部11と制御部12とを備える。
【0023】
記憶部11は、図4A図4Fに示すように、上述した加工情報、プログラム、I/O情報、工具情報、及び、アラーム等の機械情報を表示用データとして記憶する。また、記憶部11は、機械情報ごとに、読み取り履歴を表す読取履歴情報を記憶する。読取履歴情報は、読み取り要求を行った表示機器(30A,30B又は30C)を表す機器情報(A,B又はC)を含む。なお、図4Aから図4Fへの機械情報及び読取履歴情報の変化については、後述の表示用データバッファ10の動作の具体的一例において詳細に説明する。
記憶部11は、例えばEEPROM等の書き換え可能なメモリである。
【0024】
制御部12は、数値制御装置21から機械情報を取得し、取得した機械情報を記憶部11に記憶させる。また、制御部12は、表示機器(30A,30B又は30C)からの読み取り要求に応じて、記憶部11に記憶された機械情報のうちの読み取り要求に対応する機械情報を表示用データとして、表示機器(30A,30B又は30C)に提供する。制御部12の具体的機能については、後述の表示用データバッファ10の動作において詳細に説明する。
【0025】
制御部12は、例えば、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の演算プロセッサで構成される。制御装置の各種機能は、例えば記憶部に格納された所定のソフトウェア(プログラム)を実行することで実現される。制御装置の各種機能は、ハードウェアとソフトウェアとの協働で実現されてもよいし、ハードウェア(電子回路)のみで実現されてもよい。
【0026】
(表示用データバッファの動作)
次に、図2及び図4A図4Fを参照して、本実施形態に係る表示用データバッファ10の動作について説明する。図2は、本実施形態に係る表示用データバッファの動作を示すフローチャートである。
まず、表示用データバッファ10における制御部12は、表示機器(30A,30B又は30C)から機械情報(表示用データ)の読み取り要求があるか否かを判定する(S1)。
【0027】
表示機器(30A,30B又は30C)から読み取り要求がある場合(S1においてYES)、制御部12は、記憶部11に記憶された読取履歴情報(例えば、図4A図4F)を参照して、今回の読み取り要求に対応する対応の機械情報ごとに、読み取り履歴があるか否かを判定する(S2)。具体的には、制御部12は、読取履歴情報における機器情報(A,B又はC)があるか否かを判定する。
【0028】
読み取り履歴がない場合(S2においてNO)、記憶部11には、対応の機械情報が記憶されていない。この場合、制御部12は、対応の機械情報を、工作機械20における数値制御装置21から取得し、取得した対応の機械情報を記憶部11に記憶させる(S3)。
このとき、制御部12は、今回の読み取り要求を行う表示機器(30A,30B又は30C)を表す機器情報(A,B又はC)を追加するように、読取履歴情報を更新する(S4)。
【0029】
このように、制御部12は、表示機器(30A,30B又は30C)からの今回の読み取り要求に応じて(S1においてYES)、今回の読み取り要求に対応する対応の機械情報ごとに、
(a)記憶部11に記憶された読取履歴情報を参照して、
(a3)読み取り履歴がない場合(S2においてNO)、工作機械20の数値制御装置21から対応の機械情報を取得して、記憶部11の機械情報を更新し(S3)、
(b)今回の読み取り要求を行う表示機器(30A,30B又は30C)を表す機器情報(A,B又はC)を追加するように、読取履歴情報を更新する(S4)。
そして、制御部12は、表示機器(30A,30B又は30C)からの今回の読み取り要求に応じて、更新された対応の機械情報を表示用データとして表示機器(30A,30B又は30C)に提供し(S5)、動作を終了する。
【0030】
ステップS2において、読み取り履歴がある場合(S2においてYES)、記憶部11には、対応の機械情報が記憶されている。この場合、制御部12は、読み取り履歴、すなわち読取履歴情報における機器情報(A,B又はC)が表す表示機器(30A,30B又は30C)が、今回の読み取り要求を行う表示機器(30A,30B又は30C)と同一であるか否かを判定する(S6)。すなわち、制御部12は、今回の読み取り要求を行う表示機器(30A,30B又は30C)が、以前にも読み取り要求を行っているか否かを判定する。
【0031】
読取履歴情報における機器情報(A,B又はC)が表す表示機器(30A,30B又は30C)が、今回の読み取り要求を行う表示機器(30A,30B又は30C)と同一である場合(S6においてYES)、表示機器(30A,30B又は30C)に、記憶部11に記憶された機械情報が提供されると、前回と同じ機械情報が供給されてしまう。
そこで、制御部12は、読取履歴情報における対応の機械情報の全ての機器情報(A,B又はC)を削除(クリア)する(S7)。
このとき、上述同様に、制御部12は、対応の機械情報を、工作機械20における数値制御装置21から取得し、取得した機械情報を記憶部11に記憶させて、記憶部11の機械情報を更新する(S3)。
その後、制御部12は、今回の読み取り要求を行う表示機器(30A,30B又は30C)を表す機器情報(A,B又はC)を追加するように、読取履歴情報を更新する(S4)。
【0032】
このように、制御部12は、表示機器(30A,30B又は30C)からの今回の読み取り要求に応じて(S1においてYES)、今回の読み取り要求に対応する対応の機械情報ごとに、
(a)記憶部11に記憶された読取履歴情報を参照して、
(a1)読み取り履歴があり、かつ、読み取り履歴における機器情報(A,B又はC)が表す表示機器(30A,30B又は30C)が、今回の読み取り要求を行う表示機器(30A,30B又は30C)と同一である場合(S2においてYES、かつ、S6においてYES)、工作機械20の数値制御装置21から対応の機械情報を取得して、記憶部11の機械情報を更新し(S3)、
(b)全ての機器情報(A,B又はC)を削除した後に(S7)、今回の読み取り要求を行う表示機器(30A,30B又は30C)を表す機器情報(A,B又はC)を追加するように、読取履歴情報を更新する(S4)。
そして、制御部12は、表示機器(30A,30B又は30C)からの今回の読み取り要求に応じて、更新された対応の機械情報を表示用データとして表示機器(30A,30B又は30C)に提供し(S5)、動作を終了する。
【0033】
ステップS6において、読取履歴情報における機器情報(A,B又はC)が表す表示機器(30A,30B又は30C)が、今回の読み取り要求を行う表示機器(30A,30B又は30C)と異なる場合(ステップS6においてNO)、今回の読み取り要求を行う表示機器(30A,30B又は30C)には、記憶部11に記憶された機械情報がまだ提供されていない。
この場合、制御部12は、対応の機械情報を、工作機械20における数値制御装置21から取得せず、記憶部11の機械情報を更新しない。
このとき、上述同様に、制御部12は、今回の読み取り要求を行う表示機器(30A,30B又は30C)を表す機器情報(A,B又はC)を追加するように、読取履歴情報を更新する(S4)。
【0034】
このように、制御部12は、表示機器(30A,30B又は30C)からの今回の読み取り要求に応じて(S1においてYES)、今回の読み取り要求に対応する対応の機械情報ごとに、
(a)記憶部11に記憶された読取履歴情報を参照して、
(a2)読み取り履歴があり、かつ、読み取り履歴における機器情報(A,B又はC)が表す表示機器(30A,30B又は30C)が、今回の読み取り要求を行う表示機器(30A,30B又は30C)と異なる場合(S2においてYES、かつ、S6においてNO)、工作機械20の数値制御装置21から対応の機械情報を取得せず、記憶部11の機械情報を更新せず、
(b)今回の読み取り要求を行う表示機器(30A,30B又は30C)を表す機器情報(A,B又はC)を追加するように、読取履歴情報を更新する(S4)。
そして、制御部12は、表示機器(30A,30B又は30C)からの今回の読み取り要求に応じて、更新されていない対応の機械情報を表示用データとして表示機器(30A,30B又は30C)に提供し(S5)、動作を終了する。
これにより、工作機械20の数値制御装置21内の通信トラフィックの増大を低減することができる。
【0035】
なお、ステップS1において、表示機器(30A,30B又は30C)から読み取り要求がない場合(S1においてNO)、制御部12は動作を終了する。
制御部12は、上述したステップS1~S7の動作を、例えば所定時間間隔(又は不定時間間隔)で繰り返し行ってもよい。
【0036】
(表示用データバッファの動作の具体的一例)
次に、図3及び図4A図4Fを参照して、本実施形態に係る表示用データバッファ10の動作の具体的一例について説明する。図3は、本実施形態に係る表示用データバッファの動作の具体的一例を示すタイミングチャートである。
まず、図3に示すように、時刻t1において、表示用データバッファ10における制御部12は、表示機器30Aから、加工情報、I/O情報及び工具情報(機械情報)の読み取り要求を受ける(図2のS1においてYES)。
このとき、記憶部11には、機械情報(表示用データ)も読取履歴情報も記憶されていない(図2のS2においてNO)。この場合、制御部12は、工作機械20の数値制御装置21から、加工情報(t1)、I/O情報(t1)及び工具情報(t1)(対応の機械情報)を取得し、図4Aに示すように、取得したこれらの機械情報を記憶部11に記憶させる(図2のS3)。
このとき、制御部12は、図4Aに示すように、加工情報、I/O情報及び工具情報(対応の機械情報)について、今回の読み取り要求を行う表示機器30Aを表す機器情報Aを追加するように、読取履歴情報を更新する(図2のS4)。
そして、制御部12は、記憶部11の加工情報(t1)、I/O情報(t1)及び工具情報(t1)を表示機器30Aに提供する(図2のS5)。
【0037】
次に、図3に示すように、時刻t2において、制御部12は、表示機器30Bから、加工情報、プログラム及び工具情報(機械情報)の読み取り要求を受ける(図2のS1においてYES)。
プログラムについては、図4Aに示すように、記憶部11に、機械情報(表示用データ)も読取履歴情報(読み取り履歴)も記憶されていない(図2のS2においてNO)。この場合、制御部12は、工作機械20の数値制御装置21から、プログラム(t2)(対応の機械情報)を取得し、図4Bに示すように、取得したプログラム(t2)を記憶部11に記憶させる(図2のS3)。
このとき、制御部12は、図4Bに示すように、プログラムについて、今回の読み取り要求を行う表示機器30Bを表す機器情報Bを追加するように、読取履歴情報を更新する(図2のS4)。
【0038】
一方、加工情報及び工具情報については、図4Aに示すように、記憶部11に、機械情報(表示用データ)及び読取履歴情報(読み取り履歴)が記憶されており、読取履歴情報(読み取り履歴)における機器情報Aが表す表示機器30Aが、今回の読み取り要求を行う表示機器30Bと異なる(図2のS2においてYES、かつ、S6においてNO)。この場合、制御部12は、工作機械20の数値制御装置21から加工情報及び工具情報(対応の機械情報)を取得せず、図4Bに示すように、記憶部11の加工情報及び工具情報を更新しない。
このとき、制御部12は、図4Bに示すように、加工情報及び工具情報(対応の機械情報)について、今回の読み取り要求を行う表示機器30Bを表す機器情報Bを追加するように、読取履歴情報を更新する(図2のS4)。
そして、制御部12は、記憶部11の加工情報(t1)、プログラム(t2)及び工具情報(t1)を表示機器30Bに提供する(図2のS5)。
【0039】
次に、図3に示すように、時刻t3において、制御部12は、表示機器30Cから、加工情報及びアラームの機械情報について読み取り要求を受ける(図2のS1においてYES)。
アラームについては、図4Bに示すように、記憶部11に、機械情報(表示用データ)も読取履歴情報(読み取り履歴)も記憶されていない(図2のS2においてNO)。この場合、制御部12は、工作機械20の数値制御装置21から、アラーム(t3)(対応の機械情報)を取得し、図4Cに示すように、取得したアラーム(t3)を記憶部11に記憶させる(図2のS3)。
このとき、制御部12は、図4Cに示すように、アラームについて、今回の読み取り要求を行う表示機器30Cを表す機器情報Cを追加するように、読取履歴情報を更新する(図2のS4)。
【0040】
一方、加工情報については、図4Bに示すように、記憶部11に、機械情報(表示用データ)及び読取履歴情報(読み取り履歴)が記憶されており、読取履歴情報(読み取り履歴)における機器情報A,Bが表す表示機器30A,30Bが、今回の読み取り要求を行う表示機器30Cと異なる(図2のS2においてYES、かつ、S6においてNO)。この場合、制御部12は、工作機械20の数値制御装置21から加工情報(対応の機械情報)を取得せず、図4Cに示すように、記憶部11の加工情報を更新しない。
このとき、制御部12は、図4Cに示すように、加工情報について、今回の読み取り要求を行う表示機器30Cを表す機器情報Cを追加するように、読取履歴情報を更新する(図2のS4)。
そして、制御部12は、記憶部11の加工情報(t1)及びアラーム(t3)を表示機器30Cに提供する(図2のS5)。
【0041】
次に、図3に示すように、時刻t4において、制御部12は、表示機器30Aから、加工情報、I/O情報及び工具情報(機械情報)の読み取り要求を受ける(図2のS1においてYES)。
加工情報、I/O情報及び工具情報については、図4Cに示すように、記憶部11に、機械情報(表示用データ)及び読取履歴情報(読み取り履歴)が記憶されており、読取履歴情報(読み取り履歴)における機器情報Aが表す表示機器30Aが、今回の読み取り要求を行う表示機器30Aと同一である(図2のS2においてYES、かつ、S6においてYES)。
この場合、制御部12は、工作機械20の数値制御装置21から、加工情報(t4)、I/O情報(t4)及び工具情報(t4)(対応の機械情報)を取得し、図4Dに示すように、取得したこれらの機械情報を記憶部11に記憶させる(図2のS3)。
このとき、制御部12は、図4D(左側)に示すように、加工情報、I/O情報及び工具情報についての全ての機器情報を削除(クリア)する(図2のS7)。そして、制御部12は、図4D(右側)に示すように、加工情報、I/O情報及び工具情報(対応の機械情報)について、今回の読み取り要求を行う表示機器30Aを表す機器情報Aを追加するように、読取履歴情報を更新する(図2のS4)。
【0042】
次に、図3に示すように、時刻t5において、制御部12は、表示機器30Bから、加工情報、プログラム及び工具情報(機械情報)の読み取り要求を受ける(図2のS1においてYES)。
プログラムについては、図4Dに示すように、記憶部11に、機械情報(表示用データ)及び読取履歴情報(読み取り履歴)が記憶されており、読取履歴情報(読み取り履歴)における機器情報Bが表す表示機器30Bが、今回の読み取り要求を行う表示機器30Bと同一である(図2のS2においてYES、かつ、S6においてYES)。
この場合、制御部12は、工作機械20の数値制御装置21から、プログラム(t5)(対応の機械情報)を取得し、図4Eに示すように、取得したプログラム(t5)を記憶部11に記憶させる(図2のS3)。
このとき、制御部12は、図4E(左側)に示すように、プログラムについての全ての機器情報を削除(クリア)する(図2のS7)。そして、制御部12は、図4E(右側)に示すように、プログラム(対応の機械情報)について、今回の読み取り要求を行う表示機器30Bを表す機器情報Bを追加するように、読取履歴情報を更新する(図2のS4)。
【0043】
一方、加工情報及び工具情報については、図4Dに示すように、記憶部11に、機械情報(表示用データ)及び読取履歴情報(読み取り履歴)が記憶されており、読取履歴情報(読み取り履歴)における機器情報Aが表す表示機器30Aが、今回の読み取り要求を行う表示機器30Bと異なる(図2のS2においてYES、かつ、S6においてNO)。
この場合、制御部12は、工作機械20の数値制御装置21から加工情報及び工具情報(対応の機械情報)を取得せず、図4Eに示すように、記憶部11の加工情報及び工具情報を更新しない。
このとき、制御部12は、図4E(右図)に示すように、加工情報及び工具情報(対応の機械情報)について、今回の読み取り要求を行う表示機器30Bを表す機器情報Bを追加するように、読取履歴情報を更新する(図2のS4)。
そして、制御部12は、記憶部11の加工情報(t4)、プログラム(t5)及び工具情報(t4)を表示機器30Bに提供する(図2のS5)。
【0044】
次に、図3に示すように、時刻t6において、制御部12は、表示機器30Cから、加工情報及びアラーム(機械情報)の読み取り要求を受ける。
アラームについては、図4Eに示すように、記憶部11に、機械情報(表示用データ)及び読取履歴情報(読み取り履歴)が記憶されており、読取履歴情報(読み取り履歴)における機器情報Cが表す表示機器30Cが、今回の読み取り要求を行う表示機器30Cと同一である(図2のS2においてYES、かつ、S6においてYES)。
この場合、制御部12は、工作機械20の数値制御装置21から、アラーム(t6)(対応の機械情報)を取得し、図4Fに示すように、取得したアラーム(t6)を記憶部11に記憶させる(図2のS3)。
このとき、制御部12は、図4F(左側)に示すように、アラームについての全ての機器情報を削除(クリア)する(図2のS7)。そして、制御部12は、図4F(右側)に示すように、プログラム(対応の機械情報)について、今回の読み取り要求を行う表示機器30Cを表す機器情報Cを追加するように、読取履歴情報を更新する(図2のS4)。
【0045】
一方、加工情報については、図4Eに示すように、記憶部11に、機械情報(表示用データ)及び読取履歴情報(読み取り履歴)が記憶されており、読取履歴情報(読み取り履歴)における機器情報A,Bが表す表示機器30A,30Bが、今回の読み取り要求を行う表示機器30Cと異なる(図2のS2においてYES、かつ、S6においてNO)。
この場合、制御部12は、工作機械20の数値制御装置21から加工情報(対応の機械情報)を取得せず、図4Fに示すように、記憶部11の加工情報を更新しない。
このとき、制御部12は、図4F(右図)に示すように、加工情報(対応の機械情報)について、今回の読み取り要求を行う表示機器30Cを表す機器情報Cを追加するように、読取履歴情報を更新する(図2のS4)。
そして、制御部12は、記憶部11の加工情報(t4)及びアラーム(t6)を表示機器30Cに提供する(図2のS5)。
【0046】
以上説明したように、本実施形態の表示用データバッファ10によれば、記憶部11は、工作機械20の加工情報、プログラム、I/O情報、工具情報及びアラーム等の機械情報を表示用データとして記憶する。更に、記憶部11は、これらの機械情報ごとに、読み取り履歴を表す読取履歴情報(例えば図4A図4F)であって、読み取り要求を行った表示機器(30A,30B又は30C)を表す機器情報(A、B又はC)を含む読取履歴情報を記憶する。
制御部12は、表示機器(30A,30B又は30C)からの今回の読み取り要求に応じて(図2のS1におけるYES)、今回の読み取り要求に対応する対応の機械情報ごとに、
(a)記憶部11に記憶された読取履歴情報を参照して、
(a1)読み取り履歴があり、かつ、読み取り履歴における機器情報が表す表示機器が、今回の読み取り要求を行う表示機器と同一である場合(図2のS2においてYES、かつ、S6においてYES)、工作機械20から対応の機械情報を取得して、記憶部11の機械情報を更新し(図2のS3)、
(a2)読み取り履歴があり、かつ、読み取り履歴における機器情報が表す表示機器が、今回の読み取り要求を行う表示機器と異なる場合(図2のS2においてYES、かつ、S6においてNO)、工作機械20から対応の機械情報を取得せず、記憶部11の機械情報を更新せず、
(b)今回の読み取り要求を行う表示機器を表す機器情報を追加するように、読取履歴情報を更新する(図2のS4)。
これにより、表示用データバッファ10は、表示機器(30A,30B又は30C)の1回目の読み取り要求に対して、工作機械20の数値制御装置21から機械情報を取得せず、自身が記憶する機械情報を提供する。そのため、工作機械20の数値制御装置21の通信トラフィックの増大を低減することができる。
一方、表示機器(30A,30B又は30C)の2回目の読み取り要求に対しては、表示用データバッファ10は、工作機械20の数値制御装置21から機械情報を取得し、自身が記憶する機械情報を更新してから提供する。そのため、工作機械20の数値制御装置21の通信トラフィックの増大を低減しつつ、表示機器(30A,30B又は30C)に同一の情報を2回提供することを防止できる。
【0047】
また、本実施形態の表示用データバッファ10によれば、制御部12は、対応の機械情報ごとに、
(a1)読み取り履歴があり、かつ、読み取り履歴における機器情報が表す表示機器が、今回の読み取り要求を行う表示機器と同一である場合(図2のS2においてYES、かつS6においてYES)、
(b)全ての機器情報を削除した後に(図2においてS7)、今回の読み取り要求を行う表示機器を表す機器情報を追加するように、読取履歴情報を更新(クリア)する(図2のS4)。
これにより、上述した工作機械20の数値制御装置21の通信トラフィックの低減効果を再び得ることができる。
【0048】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、種々の変更及び変形が可能である。例えば、上述した実施形態において、表示用データバッファ10は、記憶部11に記憶された加工情報、プログラム、I/O情報、工具情報、及び、アラーム等の機械情報を、前回の更新時点から所定時間経過した場合にも更新してもよい。これによれば、表示機器30A,30B,30Cから読み取り要求がない場合であっても、表示用データバッファ10は、比較的に新しい機械情報を記憶することができる。
【0049】
図5は、本実施形態の変形例に係る表示用データバッファの動作を示すフローチャートである。図5に示す変形例のフローチャートは、図2に示す本実施形態のフローチャートにおいて更にステップS8を含む。
図5に示すように、表示用データバッファ10における制御部12は、対応の機械情報ごとに、表示機器からの読み取り要求がない状態が、前回の更新時点から所定時間経過したか否かを判断する(S8)。所定時間は、機械情報ごとに異なる時間が設定されてもよい。表示機器からの読み取り要求が所定時間ない場合(S8においてYES)、制御部12は、読取履歴情報における対応の機械情報の全ての機器情報(A,B又はC)を削除(クリア)する(S7)。
このとき、上述同様に、制御部12は、対応の機械情報を、工作機械20における数値制御装置21から取得し、取得した機械情報を記憶部11に記憶させて、記憶部11の機械情報を更新する(S3)。
また、制御部12は、少なくとも何れか1つの表示機器(30A,30B又は30C)を表す機器情報(A,B又はC)を追加するように、読取履歴情報を更新する(S4)。
なお、表示機器からの読み取り要求はないため、ステップS5はスキップされればよい。ステップS8において、表示機器(30A,30B又は30C)からの読み取り要求が所定時間内にあった場合(S8においてNO)、制御部12は動作を終了する。
【0050】
また、上述した実施形態では、表示用データバッファ10を工作機械20の数値制御装置21とネットワーク3との間に配置する形態を例示した。しかし、本発明の特徴はこれに限定されず、例えば図6に示すように、工作機械20の数値制御装置21とネットワーク3とを接続した状態で、表示用データバッファ10をネットワーク3に接続してもよい。この場合、例えば通信データのヘッダにより、表示機器30A,30B,30Cからの機器情報の読み取り要求は表示用データバッファ10のみにより認識されるようにすればよい。
また、表示用データバッファ10は、上述したように工作機械20の数値制御装置21の外部に設けられてもよいし、数値制御装置21の内部に設けられてもよい。なお、上述したように数値制御装置21の外部に設けられる表示用データバッファ10によれば、既存の工作機械にも対応可能である。
【0051】
また、上述した実施形態では、3つの表示機器30A,30B,30Cに対応する表示用データバッファ10を例示した。しかし、本発明の特徴はこれに限定されず、2つ以上の表示機器に対応する表示用データバッファに適用可能である。
【0052】
また、上述した実施形態では、5つの機械情報(加工情報、プログラム、I/O情報、工具情報及びアラーム)を記憶する表示用データバッファ10を例示した。しかし、本発明の特徴はこれに限定されず、1つ以上の機器情報を記憶する表示用データバッファに適用可能である。
【0053】
また、上述した実施形態では、1つの工作機械の情報を記憶する表示用データバッファ10を例示した。しかし、本発明は、これに限定されず、複数の工作機械の情報を記憶する表示用データバッファに適用可能である。
図7は、実施形態の変形例に係る表示用データバッファを備える加工システムを示す図である。図7に示す変形例の加工システム1は、図6の加工システム1と比べて3つの工作機械20を備える点で、図6の加工システム1とは異なる。3つの工作機械20と表示用データバッファ10とは、ネットワーク3を介して接続される。この場合、表示用データバッファ10は、工作機械20を識別するためのユニークなID(機械識別情報)を用いればよい。
【0054】
具体的には、各工作機械20における機械部22には、IDが設定されており、機械部22における表示部23には、上述した機械情報と共に、IDも表示される。また、各工作機械20における数値制御装置21は、上述した機械情報と共に、IDも表示用データバッファ10に提供する。
表示用データバッファ10は、数値制御装置21から取得した上述の機械情報(表示用データ)及び読取履歴情報(例えば、図4A図4F参照)を、工作機械のIDごとに、すなわち工作機械20ごとに記憶(管理)する。また、表示用データバッファ10は、表示機器(30A,30B又は30C)からのID指定及び読み取り要求に応じて、指定されたIDに対応する機械情報のうちの読み取り要求に対応する機械情報を、表示用データとして、表示機器(30A,30B又は30C)に提供する。
表示機器30A,30B,30Cは、情報が必要な機械のIDを指定して、表示用データバッファ10に機器情報(表示用データ)の読み取り要求を行う。また、表示機器30A,30B,30Cは、表示用データバッファ10から、指定したID及び読み取り要求に対応する機器情報(表示用データ)を取得して表示する。
【0055】
これによれば、1つの表示用データバッファ10によって複数の工作機械20の機器情報(表示用データ)を取得することができ、用意する表示用データバッファ10の数量を削減することができる。
【0056】
以下では、図7に示す表示用データバッファ10が、クラウドサーバやホストコンピュータ、フォグコンピュータ、エッジコンピュータ(数値制御装置)を含む複数の装置と有線/無線のネットワークを介して相互に接続した実施形態について説明する。図8に例示されるように、複数の装置のそれぞれがネットワークに接続された状態でクラウドサーバ6等を含む層、フォグコンピュータ7等を含む層、エッジコンピュータ8(セル9に含まれる数値制御装置)等を含む層の、3つの階層に論理的に分けて構成されているシステムを想定する。このようなシステムに於いて、表示用データバッファ10は、クラウドサーバ6、フォグコンピュータ7、エッジコンピュータ8のいずれの上にも実装することが可能であり、それぞれの複数の装置との間でネットワークを介して相互に機器情報(表示用データ)を共有したり、フォグコンピュータ7やクラウドサーバ6に収集して大規模な管理を行ったりすることができる。図8に例示されるシステムにおいて、セル9は各地の工場にそれぞれ複数設けられ、それぞれのセル9を所定の単位(工場単位、同じ製造業者の複数の工場単位等)で上位層のフォグコンピュータ7が管理する。そして、これらフォグコンピュータ7が収集、解析したデータを、更に上位層のクラウドサーバ6で収集、解析等を行い、その結果として得られた情報を各々のエッジコンピュータの制御等に活用することができる。
【0057】
また、上述した実施形態では、工作機械の情報を記憶する表示用データバッファ10を例示した。しかし、本発明の特徴はこれに限定されず、産業機械、産業ロボット等の機械の情報を記憶する表示用データバッファに適用可能である。
【符号の説明】
【0058】
1 加工システム
3 ネットワーク
10 表示用データバッファ
11 記憶部
12 制御部
20 工作機械(機械)
21 数値制御装置
22 機械部
23 表示部
30A,30B,30C 表示機器
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図5
図6
図7
図8