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特許7197398作業機械を較正するためのシステム、方法、及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】作業機械を較正するためのシステム、方法、及び装置
(51)【国際特許分類】
   E02F 3/85 20060101AFI20221220BHJP
   E02F 9/20 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
E02F3/85 D
E02F9/20 N
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2019027645
(22)【出願日】2019-02-19
(65)【公開番号】P2020133235
(43)【公開日】2020-08-31
【審査請求日】2022-01-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】原田 純仁
(72)【発明者】
【氏名】高山 健太郎
【審査官】湯本 照基
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/173920(WO,A1)
【文献】特開2019-019537(JP,A)
【文献】特開2019-019538(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 3/85
E02F 9/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体と、前記車体に取り付けられた作業機とを含む作業機械を外部の計測機器を用いて較正するためのシステムであって、
前記車体の姿勢を示す姿勢データを出力する姿勢センサと、
前記車体に取り付けられた位置センサと、
車体座標系における前記位置センサの位置を示す機械データを記憶している記憶装置と、
前記外部の計測機器が測定した外部座標系における前記作業機械における前記作業機械の車幅方向に互いに離れた少なくとも2つの所定の計測点の位置と、前記外部の計測機器が測定した前記外部座標系における前記位置センサの位置とを含む較正データの入力を受け付ける入力装置と、
前記少なくとも2つの計測点に基づいて、前記車体座標系と前記外部座標系との方位のズレを算出し、前記姿勢データと、前記車体座標系と前記外部座標系との方位のズレと、前記外部の計測機器が測定した前記位置センサの位置とに基づいて、前記車体座標系における前記位置センサの位置を示す前記機械データを較正するプロセッサと、
を備えるシステム。
【請求項2】
前記プロセッサは、前記較正データから算出した前記位置センサの位置と、前記機械データが示す前記位置センサの位置との差に基づいて、前記機械データを較正する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記姿勢データは、前記車体のロール角を含む、
請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記姿勢データは、前記車体のピッチ角を含む、
請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記少なくとも2つの計測点は、前記作業機に含まれる、
請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記作業機は刃先を含み、
前記少なくとも2つの計測点は、前記刃先において前記作業機械の車幅方向に互いに離れた少なくとも2つの点を含む、
請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記少なくとも2つの点は、前記刃先の左右の端部よりも車幅方向における内方に位置する、
請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記少なくとも2つの計測点は、前記車体に含まれる、
請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記位置センサは、衛星からの測位信号の受信機とアンテナとを含み、
前記位置センサの位置は、前記アンテナの位置である、
請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
車体と、前記車体に取り付けられた作業機と、履帯と、履帯を駆動するスプロケットとを含む作業機械を外部の計測機器を用いて較正するためのシステムであって、
前記車体の姿勢を示す姿勢データを出力する姿勢センサと、
前記車体に取り付けられた位置センサと、
車体座標系における前記位置センサの位置を示す機械データを記憶している記憶装置と、
前記外部の計測機器が測定した前記作業機械における所定の計測点の位置と、前記外部の計測機器が測定した前記位置センサの位置とを含む較正データの入力を受け付ける入力装置と、
前記較正データと前記姿勢データとに基づいて、前記機械データを較正するプロセッサと、
を備え、
前記計測点は、前記スプロケットに含まれる、
システム。
【請求項11】
車体と、前記車体に取り付けられた作業機と、前記車体の姿勢を示す姿勢データを出力する姿勢センサと、前記車体に取り付けられた位置センサと、を含む作業機械を外部の計測機器を用いて較正するためにプロセッサによって実行される方法であって、
前記姿勢データを取得することと、
前記外部の計測機器が測定した外部座標系における前記作業機械における前記作業機械の車幅方向に互いに離れた少なくとも2つの所定の計測点の位置と、前記外部の計測機器が測定した前記外部座標系における前記位置センサの位置とを含む較正データを取得することと、
前記少なくとも2つの計測点に基づいて、前記作業機械における車体座標系と前記外部座標系との方位のズレを算出することと、
前記姿勢データと、前記車体座標系と前記外部座標系との方位のズレと、前記外部の計測機器が測定した前記位置センサの位置とに基づいて、前記車体座標系における前記位置センサの位置を示す機械データを較正すること、
を備える方法。
【請求項12】
前記機械データを較正することは、前記較正データから算出した前記位置センサの位置と、前記機械データが示す前記位置センサの位置との差に基づいて、前記機械データを較正することを含む、
請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記姿勢データは、前記車体のロール角を含む、
請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記姿勢データは、前記車体のピッチ角を含む、
請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記少なくとも2つの計測点は、前記作業機に含まれる、
請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記作業機は刃先を含み、
前記少なくとも2つの計測点は、前記刃先において前記作業機械の車幅方向に互いに離れた少なくとも2つの点を含む、
請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記少なくとも2つの点は、前記刃先の左右の端部よりも車幅方向における内方に位置する、
請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記少なくとも2つの計測点は、前記車体に含まれる、
請求項11に記載の方法。
【請求項19】
車体と、前記車体に取り付けられた作業機と、前記車体の姿勢を示す姿勢データを出力する姿勢センサと、前記車体に取り付けられた位置センサと、履帯と、履帯を駆動するスプロケットとを含む作業機械を外部の計測機器を用いて較正するためにプロセッサによって実行される方法であって、
前記姿勢データを取得することと、
前記外部の計測機器が測定した前記作業機械における所定の計測点の位置と、前記外部の計測機器が測定した前記位置センサの位置とを含む較正データを取得することと、
前記較正データと前記姿勢データとに基づいて、車体座標系における前記位置センサの位置を示す機械データを較正すること、
を備え、
前記計測点は、前記スプロケットに含まれる、
方法。
【請求項20】
車体と、前記車体に取り付けられた作業機と、前記車体の姿勢を示す姿勢データを出力する姿勢センサと、前記車体に取り付けられた位置センサと、を含む作業機械を外部の計測機器を用いて較正するための装置であって、
前記外部の計測機器が測定した外部座標系における前記作業機械における前記作業機械の車幅方向に互いに離れた少なくとも2つの所定の計測点の位置と、前記外部の計測機器が測定した前記外部座標系における前記位置センサの位置とを含む較正データの入力を受け付ける入力装置と、
前記少なくとも2つの計測点に基づいて、前記作業機械における車体座標系と前記外部座標系との方位のズレを算出し、前記姿勢データと、前記車体座標系と前記外部座標系との方位のズレと、前記外部の計測機器が測定した前記位置センサの位置とに基づいて、前記車体座標系における前記位置センサの位置を示す機械データを較正するプロセッサと、
を備える装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、作業機械を較正するためのシステム、方法、及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ブルドーザ等の作業機械において、作業機械の位置を検出する技術が利用されている。例えば、特許文献1では、作業機械は、車体と、作業機と、位置センサと、記憶装置と、コントローラとを備えている。作業機は、車体に取り付けられている。位置センサは、車体の位置を検出する。記憶装置は、機械データを記憶している。機械データは、車体座標系における位置センサの位置を示す。コントローラは、位置センサによって取得された位置データと機械データとに基づいて、作業機の位置を算出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-021348号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
機械データは、車体の構成部品の公差の影響を受ける。従って、上記のような位置センサによる位置の検出精度には、作業機械の個体によって、バラツキが生じ易い。また、作業機械の構成部品の摩耗によって、位置の検出精度が低下する場合がある。
【0005】
トータルステーションなどの外部の計測機器を用いて機械データを較正することで、作業機の位置の精度を向上させることができる。しかし、その場合、計測点が多数となることで、較正作業が煩雑になってしまう。
【0006】
本開示の目的は、作業機械の較正作業を簡略化することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の態様は、作業機械を外部の計測機器を用いて較正するためのシステムである。作業機械は、車体と、車体に取り付けられた作業機とを含む。当該システムは、姿勢センサと、位置センサと、記憶装置と、入力装置と、プロセッサとを備える。姿勢センサは、車体の姿勢を示す姿勢データを出力する。位置センサは、車体に取り付けられる。記憶装置は、機械データを記憶している。機械データは、車体座標系における位置センサの位置を示す。入力装置は、較正データの入力を受け付ける。較正データは、外部の計測機器が測定した作業機械における所定の計測点の位置と、外部の計測機器が測定した位置センサの位置とを含む。プロセッサは、較正データと姿勢データとに基づいて、機械データを較正する。
【0008】
第2の態様は、作業機械を外部の計測機器を用いて較正するためにプロセッサによって実行される方法である。作業機械は、車体と、作業機と、姿勢センサと、位置センサとを含む。作業機は、車体に取り付けられる。姿勢センサは、車体の姿勢を示す姿勢データを出力する。位置センサは、車体に取り付けられる。当該方法は、以下の処理を含む。第1の処理は、姿勢データを取得することである。第2の処理は、較正データを取得することである。較正データは、外部の計測機器が測定した作業機械における所定の計測点の位置と、外部の計測機器が測定した位置センサの位置とを含む。第3の処理は、較正データと姿勢データとに基づいて、機械データを較正することである。機械データは、車体座標系における位置センサの位置を示す。
【0009】
第3の態様は、作業機械を外部の計測機器を用いて較正するための装置である。作業機械は、車体と、作業機と、姿勢センサと、位置センサとを含む。作業機は、車体に取り付けられる。姿勢センサは、車体の姿勢を示す姿勢データを出力する。位置センサは、車体に取り付けられる。当該装置は、入力装置とプロセッサとを備える。入力装置は、較正データの入力を受け付ける。較正データは、外部の計測機器が測定した作業機械における所定の計測点の位置と、外部の計測機器が測定した位置センサの位置とを含む。プロセッサは、較正データと姿勢データとに基づいて、機械データを較正する。機械データは、車体座標系における位置センサの位置を示す。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、較正データと姿勢データとに基づいて、機械データが較正される。姿勢データは、姿勢センサによって取得される。そのため、車体の姿勢を検出するための計測点の数を削減することができる。それにより、作業機械の較正作業を簡略化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係る作業機械を示す側面図である。
図2】作業機械の制御システムの構成を示すブロック図である。
図3】作業機械を模式的に示す側面図である。
図4】作業機械のピッチ角及びロール角を示す図である。
図5】現況地形データを示す側面断面図である。
図6】作業機械の較正処理を示すフローチャートである。
図7】計測点の位置を示す作業機械の正面図である。
図8】計測点の位置を示す作業機械の上面図である。
図9】制御システムの構成の第1変形例を示すブロック図である。
図10】制御システムの構成の第2変形例を示すブロック図である。
図11】計測点の第1変形例を示す図である。
図12】計測点の第2変形例を示す図である。
図13】計測点の第3変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施形態に係る作業機械について、図面を参照しながら説明する。図1は、実施形態に係る作業機械1を示す側面図である。本実施形態に係る作業機械1は、ブルドーザである。作業機械1は、車体11と、走行装置12と、作業機13とを備えている。
【0013】
車体11は、運転室14とエンジン室15とを有する。運転室14には、図示しない運転席が配置されている。エンジン室15は、運転室14の前方に配置されている。走行装置12は、車体11の下部に取り付けられている。走行装置12は、左右の履帯16a,16bを含む。なお、図1では、左側の履帯16aのみが図示されている。履帯16a,16bが回転することによって、作業機械1が走行する。
【0014】
作業機13は、車体11に取り付けられている。作業機13は、リフトフレーム17と、ブレード18と、リフトシリンダ19とを含む。リフトフレーム17は、軸線Ax1を中心として、上下に動作可能に車体11に取り付けられている。軸線Ax1は、車幅方向に延びている。リフトフレーム17は、ブレード18を支持している。
【0015】
ブレード18は、車体11の前方に配置されている。ブレード18は、リフトフレーム17の動作に伴って上下に移動する。リフトフレーム17は、走行装置12に取り付けられてもよい。リフトシリンダ19は、車体11とリフトフレーム17とに連結されている。リフトシリンダ19が伸縮することによって、リフトフレーム17は、軸線Ax1を中心として上下に動作する。
【0016】
図2は、作業機械1の制御システム3の構成を示すブロック図である。本実施形態では、制御システム3は、作業機械1に搭載されている。図2に示すように、作業機械1は、エンジン22と、油圧ポンプ23と、動力伝達装置24とを備えている。
【0017】
油圧ポンプ23は、エンジン22によって駆動され、作動油を吐出する。油圧ポンプ23から吐出された作動油は、リフトシリンダ19に供給される。なお、図2では、1つの油圧ポンプ23が図示されているが、複数の油圧ポンプが設けられてもよい。
【0018】
動力伝達装置24は、エンジン22の駆動力を走行装置12に伝達する。動力伝達装置24は、例えば、HST(Hydro Static Transmission)であってもよい。或いは、動力伝達装置24は、例えば、トルクコンバーター、或いは複数の変速ギアを有するトランスミッションであってもよい。
【0019】
制御システム3は、入力装置25と、コントローラ26と、制御弁27とを備える。入力装置25は、運転室14に配置されている。入力装置25は、オペレータによる操作を受け付け、操作に応じた操作信号を出力する。入力装置25は、コントローラ26に操作信号を出力する。入力装置25は、走行装置12と作業機13とを操作するための操作レバー、ペダル、或いはスイッチ等の操作子を含む。入力装置25は、タッチパネルを含んでもよい。入力装置25の操作に応じて、作業機械1の前進及び後進などの走行が制御される。入力装置25の操作に応じて、作業機13の上昇及び下降などの動作が制御される。
【0020】
コントローラ26は、取得したデータに基づいて作業機械1を制御するようにプログラムされている。コントローラ26は、記憶装置28とプロセッサ29とを含む。記憶装置28は、ROMなどの不揮発性メモリと、RAMなどの揮発性メモリとを含む。記憶装置28は、ハードディスク、或いはSSD(Solid State Drive)などの補助記憶装置を含んでもよい。記憶装置28は、非一時的な(non-transitory)コンピュータで読み取り可能な記録媒体の一例である。記憶装置28は、作業機械1を制御するためのコンピュータ指令及びデータを記憶している。
【0021】
プロセッサ29は、例えばCPU(central processing unit)である。プロセッサ29は、プログラムに従って、作業機械1を制御するための処理を実行する。コントローラ26は、走行装置12、或いは動力伝達装置24を制御することで、作業機械1を走行させる。コントローラ26は、制御弁27を制御することで、ブレード18を上下に移動させる。
【0022】
制御弁27は、比例制御弁であり、コントローラ26からの指令信号によって制御される。制御弁27は、リフトシリンダ19などの油圧アクチュエータと、油圧ポンプ23との間に配置される。制御弁27は、油圧ポンプ23からリフトシリンダ19に供給される作動油の流量を制御する。コントローラ26は、ブレード18が動作するように、制御弁27への指令信号を生成する。これにより、リフトシリンダ19が制御される。なお、制御弁27は、圧力比例制御弁であってもよい。或いは、制御弁27は、電磁比例制御弁であってもよい。
【0023】
制御システム3は、作業機センサ34を含む。作業機センサ34は、作業機位置データを取得する。作業機位置データは、車体11に対する作業機13の位置を示す。作業機位置データは、リフト角θliftを含む。作業機センサ34は、図3に示すように、ブレード18のリフト角θliftを検出する。例えば、作業機センサ34は、リフトシリンダ19のストローク長さを検出する。コントローラ26は、リフトシリンダ19のストローク長さから、ブレード18のリフト角θliftを算出する。或いは、作業機センサ34は、ブレード18の軸線Ax1周りの回転角度を直接検出するセンサであってもよい。
【0024】
図2に示すように、制御システム3は、姿勢センサ32と位置センサ33とを含む。姿勢センサ32は、車体11の姿勢を示す姿勢データを出力する。姿勢センサ32は、例えばIMU(慣性計測装置:Inertial Measurement Unit)を含む。姿勢データは、ピッチ角θpitchと、ロール角θrollとを含む。図4Aに示すように、ピッチ角θpitchは、水平に対する車体11の前後方向の角度である。図4Bに示すように、ロール角θrollは、水平に対する車体11の車幅方向の角度である。姿勢センサ32は、姿勢データをコントローラ26に出力する。
【0025】
位置センサ33は、例えば図3に示すように、GPS(Global Positioning System)などのGNSS(Global Navigation Satellite System)の受信機41と、アンテナ42とを含む。受信機41とアンテナ42とは、車体11に搭載されている。アンテナ42は、車体11の外面に取り付けられている。例えば、アンテナ42は、運転室14の上面に取り付けられている。ただし、アンテナ42は、車体11の他の部分に取り付けられてもよい。
【0026】
位置センサ33は、衛星から測位信号を受信し、測位信号により車体位置データを取得する。車体位置データは、グローバル座標系における車体11の位置を示す。グローバル座標は、地理座標系における位置を示す。詳細には、位置センサ33は、グローバル座標系におけるアンテナ42の位置を、車体位置データとして取得する。位置センサ33は、車体位置データをコントローラ26に出力する。コントローラ26は、車体位置データにより、作業機械1の進行方向と車速とを得る。
【0027】
コントローラ26は、作業機位置データと、車体位置データと、姿勢データとから、作業機13の刃先位置PBを演算する。詳細には、コントローラ26は、車体位置データに基づいて、グローバル座標におけるアンテナ42の位置を算出する。コントローラ26は、作業機位置データと機械データに基づいて、車体座標系における刃先位置PBを算出する。車体座標は、車体11を基準とする座標系を示す。
【0028】
機械データは、記憶装置28に記憶されている。機械データは、車体11に対する作業機13の位置を示す。機械データは、作業機械1に含まれる複数の構成要素の位置及び寸法を含む。例えば、機械データは、車体11における所定の基準点に対するアンテナ42の位置を含む。機械データは、所定の基準点に対する軸線Ax1の位置を含む。機械データは、リフトフレーム17の寸法、及び、ブレード18の寸法を含む。
【0029】
コントローラ26は、グローバル座標系における車体11の位置と、車体座標系における刃先位置PBと、姿勢データとに基づいて、グローバル座標系における刃先位置PBを算出する。コントローラ26は、グローバル座標系における刃先位置PBを刃先位置データとして取得する。なお、位置センサ33はブレード18に取り付けられてもよい。その場合、グローバル座標系における刃先位置PBは、位置センサ33によって直接的に取得されてもよい。
【0030】
コントローラ26は、現況地形データを取得する。現況地形データは、作業現場の現況地形を示す。現況地形データは、現況地形の三次元測量図を示す。図5は、現況地形50の側面断面図である。図5において、縦軸は、地形の高度を示しており、横軸は、作業機械1の進行方向における現在位置からの距離を示している。
【0031】
図5に示すように、現況地形データは、現況地形50上の複数の地点Pn(nは整数)の位置を示す。現況地形データは、現況地形50上の複数の地点Pnのグローバル座標を示す。現況地形データは、複数の地点Pnにおける高度Znを示す。複数の地点Pnは、所定間隔ごとに配置されている。所定間隔は、例えば1mである。しかし、所定間隔は、1mと異なる距離であってもよい。
【0032】
コントローラ26は、作業機械1の自動制御を行う。なお、作業機械1の自動制御は、オペレータによる手動操作と合わせて行われる半自動制御であってもよい。或いは、作業機械1の自動制御は、オペレータによる手動操作無しで行われる完全自動制御であってもよい。コントローラ26は、刃先位置データに基づいて、作業機13を自動的に制御する。
【0033】
例えば、図5に示すように、コントローラ26は、作業機13の目標軌道70を決定する。目標軌道70の少なくとも一部は、現況地形50の下方に位置する。コントローラ26は、目標軌道70に従って、作業機13を動作させる。
【0034】
詳細には、コントローラ26は、目標軌道70に従ってブレード18の刃先位置PBが移動するように、作業機13への指令信号を生成する。コントローラ26は、指令信号を制御弁27に出力する。それにより、作業機13が目標軌道70に従って動作する。作業機械1は、前進しながら、作業機13を目標軌道70に従って動作させる。それにより、現況地形50が、作業機13によって掘削される。
【0035】
或いは、目標軌道70は、現況地形50よりも上方に位置してもよい。その場合、作業機械は、現況地形50上に土を盛る作業を行うことができる。
【0036】
次に、機械データを較正するための処理について説明する。コントローラは、外部の計測機器100が測定した較正データを用いて、機械データを較正する。詳細には、コントローラは、車体座標系におけるアンテナ42の位置を較正する。図6は、車体座標系におけるアンテナ42の位置を較正するための処理を示すフローチャートである。
【0037】
なお、車体座標系における刃先位置PBを算出するための機械データについては、既に較正済みであるものとする。また、車体座標系における姿勢センサ32の取付位置、及び、取付方位も、較正済みであるものとする。これらのデータの較正については、既知の較正方法によって行われてもよい。
【0038】
図6に示すように、ステップS101では、コントローラ26は、較正データを取得する。較正データは、入力装置25を介してコントローラ26に入力される。例えば、オペレータが、較正データを示す数値を、入力装置25に入力してもよい。
【0039】
較正データは、作業機械1における所定の複数の計測点A1-A4の位置を示す。図7は、複数の計測点A1-A4を示す作業機械1の正面図である。図8は、複数の計測点A1-A4を示す作業機械1の上面図である。複数の計測点A1-A4の位置は、外部の計測機器100によって測定される。外部の計測機器100は、例えばトータルステーションである。ただし、外部の計測機器100は、トータルステーション以外の測量装置であってもよい。
【0040】
計測点A1-A4の位置は、作業機械1の外部を基準とする外部座標で示される。外部座標は、外部の計測機器100を基準とする座標であってもよい。或いは、外部座標は、上述したグローバル座標であってもよい。
【0041】
なお、図7及び図8において、X1- Y1- Z1は、車体座標系を示している。X2- Y2- Z2は、外部座標系を示している。図7に示すように、複数の計測点A1-A4は、第1計測点A1と、第2計測点A2と、第3計測点A3と、第4計測点A4とを含む。第1計測点A1と第2計測点A2とは、作業機13に含まれる。第3計測点A3と第4計測点A4とは、位置センサ33に含まれる。
【0042】
詳細には、第1計測点A1と第2計測点A2とは、ブレード18の刃先上の2点であって、作業機械1の車幅方向に互いに離れている。第1計測点A1と第2計測点A2とは、刃先の左右の端部よりも車幅方向における内方に位置する。図7に示すように、ブレード18の刃先は、左板部91と、右板部92と、中央板部93とを含む。左板部91は、中央板部93の左方に位置している。右板部92は、中央板部93の右方に位置している。第1計測点A1は、左板部91と中央板部93との境界線上に位置している。第2計測点A2は、右板部92と中央板部93との境界線上に位置している。
【0043】
第3計測点A3と第4計測点A4とは、アンテナ42を車体に取り付けるためのブラケット43上の点である。ブラケット43は、多角形状を有している。アンテナ42は、ブラケット43の中心に位置している。第3計測点A3と第4計測点A4とは、ブラケット43の角に位置している。コントローラ26は、第3計測点A3と第4計測点A4とから、外部座標系におけるアンテナ42の位置を算出する。
【0044】
ステップS102では、コントローラ26は、姿勢データを取得する。上述したように、コントローラ26は、姿勢センサ32から、車体11のピッチ角θpitchとロール角θrollとを取得する。
【0045】
ステップS103では、コントローラ26は、車体座標と外部座標との傾斜のズレを算出する。コントローラ26は、姿勢センサ32から取得した車体11のピッチ角θpitchとロール角θrollとから、車体座標と外部座標との間のピッチ角θpitch方向の軸のズレと、ロール角θroll方向の軸のズレとを算出する。
【0046】
ステップS104では、コントローラ26は、車体座標と外部座標との方位のズレを算出する。コントローラ26は、第1計測点A1と第2計測点A2とから、車体座標と外部座標との方位のズレを算出する。
【0047】
ステップS105では、コントローラ26は、作業機位置データを取得する。コントローラ26は、作業機センサ34によって、車体座標系における第1計測点A1と第2計測点A2の作業機位置データを取得する。
【0048】
ステップS106では、コントローラ26は、機械データを較正する。コントローラ26は、車体座標と外部座標との傾斜のズレと、方位のズレと、作業機位置データとから、外部座標系におけるアンテナ42の位置を、車体座標系におけるアンテナ42の位置に換算する。コントローラ26は、換算されたアンテナ42の位置と、機械データにおけるアンテナ42の位置との差を補正値として記憶装置28に記録する。
【0049】
以上説明した、本実施形態に係る作業機械1の制御システム3では、較正データと姿勢データとに基づいて、機械データが較正される。姿勢データは、姿勢センサ32によって取得される。そのため、車体11の姿勢を検出するための計測点の数を削減することができる。それにより、作業機械1の較正作業を簡略化することができる。
【0050】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0051】
作業機械1は、ブルドーザに限らず、ホイールローダ、モータグレーダ、油圧ショベル等の他の車両であってもよい。作業機械1は、電動モータで駆動される車両であってもよい。その場合、エンジン22及びエンジン室15は省略されてもよい。
【0052】
コントローラ26は、互いに別体の複数のコントローラを有してもよい。上述した処理は、複数のコントローラ26に分散して実行されてもよい。
【0053】
作業機械1は、遠隔操縦可能な車両であってもよい。その場合、制御システム3の一部は、作業機械1の外部に配置されてもよい。例えば、図9に示すように、コントローラ26は、リモートコントローラ261と車載コントローラ262とを含んでもよい。リモートコントローラ261は、作業機械1の外部に配置されてもよい。例えば、リモートコントローラ261は、作業機械1の外部の管理センタに配置されてもよい。車載コントローラ262は、作業機械1に搭載されてもよい。リモートコントローラ261と車載コントローラ262とは、通信装置38,39を介して無線により通信可能であってもよい。
【0054】
上述した機械データを較正するための処理は、リモートコントローラ261によって実行されてもよい。或いは、機械データを較正するための処理は、車載コントローラ262によって実行されてもよい。或いは、機械データを較正するための処理の一部がリモートコントローラ261によって実行され、残りの処理が車載コントローラ262によって実行されてもよい。
【0055】
入力装置25は、作業機械1の外部に配置されてもよい。入力装置25が作業機械1から省略されてもよい。その場合、運転室は、作業機械1から省略されてもよい。
【0056】
図10に示すように、外部の装置からのデータを受け付ける他の入力装置37によって、較正データが取得されてもよい。入力装置37は、外部の計測機器100が計測した較正データを無線によって受信してもよい。或いは、入力装置37は、記録媒体の読み取り装置であってもよい。コントローラ26は、外部の計測機器100が計測した較正データを、記録媒体を介して受け付けてもよい。
【0057】
位置センサ33は、受信機41及びアンテナ42に限らず、他のタイプのセンサであってもよい。例えば、位置センサ33は、Lidarなどの測距装置であってもよい。或いは、位置センサ33は、ステレオカメラであってもよい。或いは、位置センサ33は、IMU(Inertial Measurement Unit)であってもよい。コントローラ26は、上記の較正方法と同様の手法によって、車体座標系におけるこれらのセンサの位置を較正してもよい。
【0058】
上記の実施形態では、第1計測点A1と第2計測点A2とは、作業機13に含まれている。しかし、第1計測点A1と第2計測点A2とは、車体11に含まれてもよい。例えば、図11に示すように、作業機械1の走行装置12は、履帯16a,16bを駆動するためのスプロケット45a,45bを含む。
【0059】
第1計測点A1と第2計測点A2とは、それぞれ左右のスプロケット45a,45bに含まれてもよい。例えば、第1計測点A1は、左スプロケット45aの中心であってもよい。第2計測点A2は、右スプロケット45bの中心であってもよい。或いは、車体11においてスプロケット45a,45b以外の部分の位置が、第1計測点A1及び第2計測点A2として計測されてもよい。
【0060】
上記の実施形態では、位置センサ33以外の計測点の数は、2つである。しかし、位置センサ33以外の計測点の数は、2つに限らず、2つより少なくてもよく、或いは2つより多くてもよい。
【0061】
上記の実施形態では、アンテナ42の位置を取得するために、2つの計測点A3,A4が外部の計測機器100によって計測されている。しかし、アンテナ42の位置を取得するための計測点の数は、2つに限らない。アンテナ42の位置を取得するための計測点の数は、2つより少なくてもよく、或いは2つより多くてもよい。例えば、図12に示すように、1つの計測点A3が直接的に外部の計測機器100によって計測されてもよい。計測点A5は、アンテナ42の中心の位置を示してもよい。
【0062】
上記の実施形態では、位置センサ33の数は1つである。しかし、位置センサの数は、2つ、或いは2つより多くてもよい。例えば、図13に示すように、作業機械1は、第1位置センサ33aと第2位置センサ33bとを備えてもよい。その場合、位置センサ33a,33bごとに上記の実施形態と同様の方法にて、較正が行われてもよい。なお、図13において、計測点A3,A4は、第1位置センサ33aのアンテナ42aにおける計測点である。計測点A5,A6は、第2位置センサ33bのアンテナ42bにおける計測点である。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本開示によれば、作業機械による作業の効率を向上させることができる。
【符号の説明】
【0064】
1 作業機械
13 作業機
16a 履帯
25 入力装置
28 記憶装置
29 プロセッサ
32 姿勢センサ
33 位置センサ
41 受信機
42 アンテナ
45a スプロケット
図1
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