(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】燃料電池システム
(51)【国際特許分類】
H01M 8/04 20160101AFI20221220BHJP
H01M 8/04014 20160101ALI20221220BHJP
F24H 1/00 20220101ALI20221220BHJP
F24H 9/16 20220101ALI20221220BHJP
F24H 1/18 20220101ALI20221220BHJP
F24H 1/12 20220101ALI20221220BHJP
H01M 8/12 20160101ALN20221220BHJP
【FI】
H01M8/04 J
H01M8/04 Z
H01M8/04014
F24H1/00 631A
F24H9/16 B
F24H1/18 D
F24H9/16 D
F24H1/12 B
H01M8/12 101
(21)【出願番号】P 2019045542
(22)【出願日】2019-03-13
【審査請求日】2021-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安藤 大樹
【審査官】大内 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-80858(JP,A)
【文献】特開2018-195453(JP,A)
【文献】特開2011-70981(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/00-8/2495
F24H 1/00,1/12,1/18,9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料ガスと改質水が供給され、燃料ガスを改質しつつ発電を行う燃料電池と、
湯を加圧状態で蓄える貯湯タンクと、
前記燃料電池からの排気と、前記貯湯タンクからの湯との間で熱交換が行われる排気熱交換部と、
前記排気熱交換部での熱交換により前記排気中の水蒸気を凝縮して得られた水を改質水として貯留する改質水タンクと、
前記貯湯タンクが所定内圧以上になると開放される圧抜き弁と、
前記圧抜き弁から排出される水及び前記改質水タンクからの余剰水を排水する混合排水部と、
前記貯湯タンクの湯を前記排気熱交換部との間で循環させる熱回収循環路と、
を備え、
前記圧抜き弁は前記熱回収循環路に設けられている、
燃料電池システム。
【請求項2】
前記貯湯タンクからの湯を加熱するバックアップ熱源機と、
前記バックアップ熱源機の外部に配置され、前記バックアップ熱源機から排出される排水、及び、前記混合排水部からの水を流入させて排出する排水設備と、
を備えた請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項3】
燃料ガスと改質水が供給され、燃料ガスを改質しつつ発電を行う燃料電池と、
湯を加圧状態で蓄える貯湯タンクと、
前記燃料電池からの排気と、前記貯湯タンクからの湯との間で熱交換が行われる排気熱交換部と、
前記排気熱交換部での熱交換により前記排気中の水蒸気を凝縮して得られた水を改質水として貯留する改質水タンクと、
前記貯湯タンクが所定内圧以上になると開放される圧抜き弁と、
前記圧抜き弁から排出される水及び前記改質水タンクからの余剰水を排水する混合排水部と、
前記貯湯タンクからの湯を加熱するバックアップ熱源機と、
前
記バックアップ熱源機の外部に配置され、前記バックアップ熱源機から排出される排水、及び、前記混合排水部からの水を流入させて排出する排水設備と、
を備え、
前記圧抜き弁は、前記貯湯タンクから前記バックアップ熱源機へ向かう送出路に設けられている、
燃料電池システム。
【請求項4】
前記燃料電池及び前記改質水タンクが内部に配置された燃料電池ユニット筐体を備え、 前記圧抜き弁は、前記燃料電池ユニット筐体内に配置されている、請求項1~
請求項3のいずれか1項に記載の燃料電池システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力と湯の供給が可能な燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
住宅等に用いる従来の燃料電池システムとして以下のものが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の燃料電池システムでは、発電時に発生した熱を回収するために、貯湯タンクの湯を循環させて熱交換器で熱交換を行っている。当該貯湯タンクや循環路には、圧力逃がし弁が設けられており、所定圧力を超えた場合に圧力を逃がしている。圧力逃がし弁の開放時には排水が生じるため、この排水を処理するための設備が必要となるが、特許文献1には、排水処理についての記載はない。
【0005】
本発明は、上記事実を考慮して、圧抜きにより生じる排水構造を簡略化することが可能な燃料電池システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の燃料電池システムは、燃料ガスと改質水が供給され、燃料ガスを改質しつつ発電を行う燃料電池と、湯を加圧状態で蓄える貯湯タンクと、前記燃料電池からの排気と、前記貯湯タンクからの湯との間で熱交換が行われる排気熱交換部と、前記排気熱交換部での熱交換により前記排気中の水蒸気を凝縮して得られた水を改質水として貯留する改質水タンクと、前記貯湯タンクが所定内圧以上になると開放される圧抜き弁と、前記圧抜き弁から排出される水及び前記改質水タンクからの余剰水を排水する混合排水部と、を備えている。
【0007】
請求項1に記載の燃料電池システムでは、燃料ガスと改質水とを燃料電池に供給することで、燃料電池で発電が行われる。一方、貯湯タンクには湯が加圧状態で貯留されており、熱交換部では燃料電池からの排気と貯湯タンクからの湯との間で熱交換が行われる。燃料電池からの排気は、熱交換部で冷却されると、燃料電池の排気中の水蒸気が凝縮され、改質水として改質水タンクに貯留される。貯湯タンクが所定内圧以上になると開放される圧抜き弁を開放した時に排出された水は、改質水タンクからの余剰水と共に混合排水部から排水される。
【0008】
請求項1に記載の燃料電池システムによれば、圧抜き弁を開放した時に排出された水と、改質水タンクからの余剰水とが、混合排水部から排水されるので、別々に排水部を設ける場合と比較して、排水構造を簡略化することができる。
【0009】
請求項2に記載の燃料電池システムは、前記貯湯タンクからの湯を加熱するバックアップ熱源機と、前記バックアップ熱源機の外部に配置され、前記バックアップ熱源機から排出される排水、及び、前記混合排水部からの水を流入させて排出する排水設備と、を備えている。
【0010】
請求項2に記載の燃料電池システムによれば、バックアップ熱源機により、貯湯タンクにおける蓄熱量が不足した場合にも、所定温度での給湯を行うことができる。そして、排水設備は、バックアップ熱源機から排出される排水と、混合排水部からの水を流入させて排出する。このように、排水設備によって、排水処理をまとめて行うことにより、排水設備を簡略化することができ、設置時の排水設備に関わる現場工事も簡素化することができる。
【0011】
請求項3に記載の燃料電池システムは、前記圧抜き弁は、前記貯湯タンクから前記バックアップ熱源機へ向かう送出路に設けられている。
【0012】
請求項3に記載の燃料電池システムによれば、圧抜き弁を、貯湯タンクからバックアップ熱源機へ向かう送出路に設けているので、貯湯タンクに圧抜き弁を設ける場合と比較して、簡易に圧抜きを行うことができる。
【0013】
請求項1に記載の燃料電池システムは、前記貯湯タンクの湯を前記排気熱交換部との間で循環させる熱回収循環路を有し、前記圧抜き弁は前記熱回収循環路に設けられている。
【0014】
請求項1に記載の燃料電池システムによれば、圧抜き弁を、熱回収循環路に設けているので、貯湯タンクに圧抜き弁を設ける場合と比較して、簡易に圧抜きを行うことができる。
【0015】
請求項4に記載の燃料電池システムは、前記燃料電池及び前記改質水タンクが内部に配置された燃料電池ユニット筐体を備え、前記圧抜き弁は、前記燃料電池ユニット筐体内に配置されている。
【0016】
請求項4に記載の燃料電池システムによれば、改質水タンクの配置された燃料電池ユニット筐体内に圧抜き弁が配置されているので、混合排水部への配管構造を簡易にすることができる。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように、本発明の燃料電池システムによれば、排水設備を簡略化できる、という優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施形態に係る燃料電池システムの構成を示す構成図である。
【
図2】燃料電池モジュールの構成を示す構成図である。
【
図3】本発明の実施形態の変形例に係る燃料電池システムの構成を示す構成図である。
【
図4】本発明の実施形態の他の変形例に係る燃料電池システムの構成を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態に係る燃料電池システム10を
図1、及び
図2を参照しつつ説明する。
【0020】
図1に示すように、本実施形態の燃料電池システム10は、 この燃料電池システム10は、
図1に示したように、燃料電池ユニット12と、タンクユニット13と、バックアップ熱源機の一例である給湯器ユニット14との3ユニットで構成されている。燃料電池ユニット12は、燃料ガス及び水を用いて発電を行い、タンクユニット13は、燃料電池ユニット12で用いる伝熱媒体を蓄える。給湯器ユニット14は、燃料電池ユニット12から供給される湯を目的の温度まで加熱して供給する。なお、燃料電池ユニット12、タンクユニット13、給湯器ユニット14は、各々、燃料電池ユニット筐体12A、タンクユニット筐体13A、給湯器ユニット筐体14Aを有し、内部に各機器が配置されている。
【0021】
燃料電池ユニット筐体12A、タンクユニット筐体13A、給湯器ユニット筐体14Aはそれぞれ独立しており、各ユニット12、13、14は、それぞれ別体で構成されている。
【0022】
燃料電池システム10の燃料電池ユニット12は、発電を行う燃料電池の一例である燃料電池モジュール20を備えている。燃料電池モジュール20は、ガス供給路21を介して、ガス継手22に接続されており、ガス継手の22には、ガス供給管24が接続されている。
【0023】
ガス供給管24は、ガス本管に接続されており、ガス供給管24には、炭化水素原料の一例であるメタンを主成分とする都市ガスが供給される。ガス供給路21には、脱硫部26が設けられており、都市ガスに含まれた硫黄分や硫黄化合物が脱硫部26で除去されて燃料電池モジュール20に供給される。
【0024】
また、燃料電池モジュール20は、供給ポンプ28を有する改質水流入路30を介して改質水タンク32に接続されており、燃料電池モジュール20には、改質水タンク32に貯留された改質水が供給ポンプ28で供給される。この燃料電池モジュール20は、都市ガスと改質水とを改質反応させて水素を生成する水素生成部(改質器)を備えている(図示省略)。
【0025】
燃料電池モジュール20は、
図2に示すように、筐体201の内部に、改質触媒202、バーナ204、及び燃料電池スタック206を主要な構成として備えている。
【0026】
改質触媒202は、ガス供給路21と接続されている。この改質触媒202には、脱硫部26にて硫黄化合物が吸着除去された都市ガスがガス供給路21を通じて供給される。この改質触媒202は、供給された都市ガス(原料ガス)を、改質水流入路30を通じて供給された改質水(凝縮水)を利用して水蒸気改質する。
【0027】
バーナ204には、後述するスタック排ガス管210が接続されている。このバーナ204は、スタック排ガス管210を通じて供給されたバーナガス(未反応の水素ガスを含むスタック排ガス)を燃焼し、改質触媒202を加熱する。そして、この改質触媒202では、脱硫部26から供給された都市ガス(原料ガス)から、水素ガスを含む燃料ガスが生成される。この燃料ガスは、燃料ガス管212を通じて後述する燃料電池スタック206の燃料極206Aに供給される。
【0028】
燃料電池スタック206は、固体酸化物形の燃料電池スタックであり、積層された複数の燃料電池セル211(
図2では1つのみ図示)を有している。各燃料電池セル211は、電解質層206Cと、この電解質層206Cの表裏面にそれぞれ積層された燃料極206A及び空気極206Bとを有している。
【0029】
空気極206B(カソード極)には、空気ブロワ212が設けられた酸化ガス管214を通じて酸化ガス(筐体16の外部の空気)が供給される。この空気極206Bでは、下記式(1)で示されるように、酸化ガス中の酸素と電子とが反応して酸素イオンが生成される。この酸素イオンは、電解質層206Cを通って燃料極206Aに到達する。
【0030】
(空気極反応)
1/2O2+2e- →O2- ・・・(1)
【0031】
一方、燃料極206Aでは、下記式(2)及び式(3)で示されるように、電解質層206Cを通ってきた酸素イオンが燃料ガス中の水素及び一酸化炭素と反応し、水(水蒸気)及び二酸化炭素と、電子が生成される。燃料極206Aで生成された電子は、外部回路を通って空気極206Bに到達する。そして、このようにして電子が燃料極206Aから空気極206Bに移動することにより、各燃料電池セル211において発電される。また、各燃料電池セル211は、発電時に上記反応に伴って発熱する。
【0032】
(燃料極反応)
H2+O2- →H2O+2e- ・・・(2)
CO+O2- →CO2+2e- ・・・(3)
【0033】
燃料電池スタック206に接続されたスタック排ガス管210の上流側は、燃料極排ガス管208A及び空気極排ガス管208Bに分岐されており、この燃料極排ガス管208A及び空気極排ガス管208Bは、燃料極206A及び空気極206Bにそれぞれ接続されている。燃料極206Aから排出された燃料極排ガスと、空気極206Bから排出された空気極排ガスとは、燃料極排ガス管208A及び空気極排ガス管208Bを通じて排出されると共に、スタック排ガス管210内にて混合されてスタック排ガスとされる。このスタック排ガスは、燃料極排ガスに含まれる未反応の水素ガスを含んでおり、上述の通り、バーナ204にバーナガスとして供給される。なお、このバーナ204に、バーナ排ガスを排気熱交換部36へ排出する排出路34が接続されている。
【0034】
排気熱交換部36には改質水タンク32が接続されている。燃料電池モジュール20からの燃焼排ガスは、排気熱交換部36で冷却され、燃焼排ガス中の水蒸気が凝縮される。これにより、燃焼排ガスは、水とガスとに分けられ、水は改質水タンク32へ送られて改質水として再利用される。また、ガスは、排気口15より排気される。
【0035】
改質水タンク32の側部には、混合タンク33が設けられている。混合タンク33には、改質水タンク32からの余剰水が流入する(オーバーフロー)。また、混合タンク33には、後述する圧抜き弁35から排出される水を導く圧抜き水路41が接続されている。圧抜き水路41から混合タンク33へ、圧抜き弁35から排出される水が流入する。
【0036】
混合タンク33には、排水ポンプ100を有した排水路102が接続されており、排水路102は、排水継手102aに接続された排水管104を介して、後述する排水受け120に接続されている。排水受け120に流入した排水は、下水等に排出することができる。
【0037】
排水ポンプ100は、混合タンク33の水が所定量以上になった際に作動し、混合タンク33内の水を、排水管104を介して、給湯器ユニット14の下方に設けられた排水設備としての排水受け128へ送出する。
【0038】
燃料電池モジュール20からの電力は、インバーター回路38によって交流に変換された後、接続端子40aに接続された供給線92aを介して外部へ供給される。
【0039】
排気熱交換部36には、伝熱媒体50を排気熱交換部36と貯湯タンク48との間で循環させる熱回収循環路42が接続されている。排気熱交換部36と貯湯タンク48とを接続する熱回収循環路42の一方の流路である第一流路42aには、熱回収ポンプ44及びラジエータ46が設けられている。この第一流路42aのラジエータ46より上流側は、継手42b、42d及び配管42cを介して貯湯タンク48に接続されている。貯湯タンク48には、湯50が貯留されている。
【0040】
この第一流路42aは、貯湯タンク48の下部に接続されており、貯湯タンク48の下部に貯留した湯50が優先的に排気熱交換部36へ送られる。貯湯タンク48から熱回収循環路42の第一流路42aに供給された湯50は、ラジエータ46で冷却された後、熱回収ポンプ44によって排気熱交換部36へ送られる。なお、ラジエータ46は、供給される湯50が高温の際など必要に応じてファンモータが作動する。
【0041】
貯湯タンク48から第一流路42aを介して排気熱交換部36へ送られた湯50は、熱回収循環路42の他方の流路である第二流路42eを介して貯湯タンク48に戻される。第二流路42eは、継手42f、42h及び配管42gを介して貯湯タンク48の上部に接続されている。燃料電池モジュール20からの燃焼排ガスの熱は、排気熱交換部36によって湯50へ伝達され、この熱で加熱された湯50は、貯湯タンク48の上部に戻される。
【0042】
第二流路42eには、圧抜き弁35が設けられている。圧抜き弁35は、第二流路42eの圧力が所定の値以上になった場合に開放される弁体で形成されている。圧抜き弁35により第二流路42eの圧力を逃がし、貯湯タンク48及び熱回収循環路42の内圧が所定内圧P0以上になることが防止されている。
【0043】
タンクユニット13の貯湯タンク48の下部には、流入側分岐点60aを有する流入路60が接続されている。流入路60は、入側管継手62に接続されている。入側管継手62は、例えば水道管の給水管64に接続されており、流入路60には、上水が供給される。
【0044】
流入側分岐点60aから燃料電池ユニット12へ、バイパス路74が分岐されている。バイパス路74は、継手74a、継手74bを介して、後述する混合弁72と接続されている。
【0045】
貯湯タンク48に貯留された上水は、貯湯タンク48の上部に接続された上水供給路400を介して、燃料電池ユニット12内の後述する混合弁72へ送出される。上水供給路400は、継手400a、配管400b、継手400cを介して、燃料電池ユニット12へ通流されている。上水供給路400を通流する上水は、混合弁72、出側継手76、及び出湯管78を介して、給湯器ユニット14に供給される。
【0046】
混合弁72は、バイパス路74からの上水と貯湯タンク48からの上水とを混合する弁であり、例えば流出温が予め定められた設定温度となるように、流入路60からの上水と貯湯タンク48からの上水との混合比を調整する。
【0047】
上水供給路400の混合弁72より下流側は、出側継手76に接続されており、出側継手76は、出湯管78を介して、給湯器ユニット14の入水継手80に接続されている。
【0048】
燃料電池ユニット12には、各ポンプ28、44、56、100やインバーター回路38の作動を制御する制御部110が設けられている(制御部110と各ポンプ28、44、56、100との接続線は省略)。
【0049】
本実施形態の給湯器ユニット14は、燃料電池ユニット12から供給された湯を更に加熱して排出可能とした潜熱回収型の熱源機である。潜熱回収型の熱源機は、バーナ150の排気中の水蒸気を水(凝縮水)にすることにより、排気中の潜熱を回収して、熱効率を向上させたタイプの熱源機である。
図1に示すように、給湯器ユニット14の内部には、二次熱交換器154B、一次熱交換器154A、燃料電池ユニット12からの湯を二次熱交換器154B、一次熱交換器154Aに供給する入水路152、一次熱交換器154Aを加熱する加熱装置としてのバーナ150、バーナ150に燃料ガスを供給するガス供給管24、一次熱交換器154Aを通った湯を排出する給湯路158、配管152の途中に接続されたバイパス路160と給湯路158とに接続された混合弁156、混合弁156から湯を排出する給湯管86、排出される湯の温度を計測する温度センサ(不図示)、制御装置164等が設けられている。制御装置164は、混合弁156、バーナ150へ送る燃料ガスの流量調整弁(図示せず)等の電装部品を制御する。
なお、
図1において、燃料電池ユニット12と給湯器ユニット14とを接近させて記載されているが、実際の住宅においては、燃料電池ユニット12と給湯器ユニット14とはある程度離されている場合がある。
【0050】
給湯器ユニット14のガス継手82には、ガス供給管24が接続されており、給湯器ユニット14のバーナ150には、ガス供給管24からの都市ガスが供給される。また、給湯器ユニット14の給湯継手84には、給湯管86が接続されており、給湯管86は、湯が利用される給湯箇所へ配索されている。給湯器ユニット14に接続された排水管88は、排水受け120に接続されている。排水管88には、給湯器ユニット14において凝縮により発生した水が流入し、当該凝縮水が排水受け120へ導かれる。
【0051】
給湯器ユニット14の入水継手80には、入水路152が接続されており、入水路152は、二次熱交換器154Bに接続されている。二次熱交換器154Bは、一次熱交換器154Aと接続され、一次熱交換器154Aは、混合弁156を有する給湯路158を介して給湯継手84に接続されており、混合弁156は、バイパス路160を介して入水路152の入水側分岐点152aに接続されている。混合弁156は、入水路152からの湯と一次熱交換器154Aからの湯とを混合する弁であり、入水路152からの湯と一次熱交換器154Aからの湯との混合比を調整する。
【0052】
この給湯器ユニット14の制御装置164は、マイコン等を備え、マイコンは、バーナ150での燃焼量を調整して一次熱交換器154Aでの上水の加熱量を制御するとともに、混合弁156の開度を制御する(制御装置164とバーナ150や混合弁156等との接続線は省略)。これにより、制御装置164のマイコンは、給湯管86からの給湯温度が図示しないリモコンで設定された設定温度となるように制御する。
【0053】
(作用、効果)
次に、本実施形態の燃料電池システム10の動作について説明する。
【0054】
第1実施形態に係る燃料電池システム10では、改質触媒72から燃料ガスが燃料電池スタック206の燃料極206Aに供給されると共に、空気ブロワ212が作動して酸化ガス管214から酸化ガスとしての空気が燃料電池スタック206の空気極206Bに供給されると、この燃料電池スタック206において燃料ガス及び酸化ガスが反応し発電する。
【0055】
この発電に伴い燃料電池スタック206からは、未反応の水素ガスを含むスタック排ガスが排出され、このスタック排ガスは、バーナガスとしてバーナ204にて燃焼され、このバーナ204からは、バーナ排ガスが排出される。このバーナ排ガスは、水蒸気を含んでおり、排出路34を通じて排気熱交換部36に供給される。
【0056】
この排気熱交換部36では、バーナ排ガスと貯湯タンク48から供給された湯との間で熱交換がなされ、湯が加熱されると共にバーナ排ガスに含まれる水蒸気が凝縮される。排気熱交換部36で生成された凝縮水(蒸留水)は、改質水として改質水タンク32に回収される。改質水タンク32に回収された改質水は、改質水流入路30を通じて改質触媒72に供給され、この改質触媒72にて水蒸気改質用の水蒸気として利用される。なお、水分の除去されたバーナ排ガスは、排気口15より外部に排出される。改質水タンク32に貯留された改質水の量が所定量を超えた場合には、隣接する混合タンク33へオーバーフローにより余剰水として流出する。
【0057】
熱回収ポンプ44を作動させることで、熱回収循環路42は、貯湯タンク48と排気熱交換部36との間で湯を循環させるため、貯湯タンク48内の下側の湯は第一流路42a介して排気熱交換部36へ供給され、排気熱交換部36で加熱された後、貯湯タンク48の上側に戻り、これによって貯湯タンク48内の湯の温度が上側から下側に向けて徐々に上昇する。
【0058】
ここで、本実施形態の燃料電池システム10では、貯湯タンク48及び熱回収循環路42は、閉鎖回路を構成しており、貯湯タンク48及び熱回収循環路42には、所定の圧力が作用している。この圧力が所定の値以上になった場合には、圧抜き弁35が開放される。したがって、貯湯タンク48及び熱回収循環路42内の圧力上昇を防止することができる。
【0059】
圧抜き弁35が開放された圧抜きされた時に圧抜き弁35から排出された水は、圧抜き水路41を通って混合タンク33へ流入する。そして、混合タンク33に貯留された水の量が所定量を超えた場合には、排水ポンプ100が駆動され、排水路102を通って余剰水として、排水受け120に流入する。排水受け120には、排水路102と排水管88からの水が集められ、下水等へ排水される。
【0060】
このように、改質水の余剰水、圧抜き弁35から排出される水、及び、給湯器ユニット14内の凝縮水をまとめて処理することができるので、別々に排水路を設ける場合と比較して、排水処理を簡略化することができ、設置時の排水受けに関わる現場工事も簡素化することができる。
【0061】
なお、本実施形態では、圧抜き弁35を第二流路42eに設けたが、圧抜き弁35は、
図3に示されるように、第一流路42aに設けてもよいし、
図4に示されるように、上水供給路400に設けてもよい。
【0062】
また、本実施形態では、燃料電池ユニット12とタンクユニット13を別体としたが、燃料電池ユニット12内に貯湯タンク48を配置して、燃料電池ユニット12とタンクユニット13を一体化してもよい。
【0063】
[その他の実施形態]
以上、本発明の一例について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
【0064】
また、上記実施形態では、燃料電池スタック206に供給する燃料ガスに都市ガスを用いた例を示したが、燃料ガスとしてプロパンガス等、都市ガス以外の可燃性ガスを用いることもできる。
【符号の説明】
【0065】
10 燃料電池システム
12A 燃料電池ユニット筐体
14 給湯器ユニット(バックアップ熱源機)
20 燃料電池モジュール(燃料電池)
32 改質水タンク
33 混合タンク(混合排水部)
35 圧抜き弁
36 排気熱交換部
42 熱回収循環路
48 貯湯タンク
120 排水受け(排水設備)
400 上水供給路(送出路)