(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】制御装置、及び、制御部の動作方法
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20221220BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
G08G1/16 C
G08G1/09 H
G08G1/16 F
(21)【出願番号】P 2019062254
(22)【出願日】2019-03-28
【審査請求日】2021-09-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(72)【発明者】
【氏名】リ ヒャンヒ
(72)【発明者】
【氏名】小川 貴之
【審査官】白石 剛史
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-191583(JP,A)
【文献】特開2014-102770(JP,A)
【文献】特開2017-211700(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0054946(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/16
G08G 1/09
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室内に設置された
第1表示装置に
周辺車両の画像を表示させた状態で、運転者
の視線を検知し、前記第1表示装置に表示された前記周辺車両に前記視線が向けられている第1状態か、向けられていない第2状態かの判定を行う制御部を備える制御装置であって、
前記制御部は、
前記判定で前記第2状態であると判定すると、
自車両の左右外側にあって、当該自車両の後側方を走行する車両から視認可能な位置に設置された第2表示装置に、
前記第2状態であることを表す表示を行わせる
制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、さらに
前記第1状態であると判定すると、
前記第2表示装置に前記第1状態であることを表す表示を行わせる
請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記第2表示装置が行う表示は、顔画像の表示であり、前記第1状態と前記第2状態とで異なる前記顔画像を表示させる
請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記自車両の左右外側に、前記第2表示装置とともに撮像装置とを備える
請求項1~3のいずれか1つに記載の制御装置。
【請求項5】
前記撮像装置は、前記自車両と前記周辺車両との距離を判別
し、
前記制御部は、前記距離が所定距離以内となる
と、前記第2表示装置に危険である旨
の表示を行わせる
請求項4に記載の制御装置。
【請求項6】
車室内に設置された第1表示装置に周辺車両の画像を表示させた状態で、運転者の視線を検知し、前記第1表示装置に表示された前記周辺車両に前記視線が向けられている第1状態か、向けられていない第2状態かの判定を行ない、
前記判定で前記第2状態であると判定すると、
自車両の左右外側にあって、当該自車両の後側方を走行する車両から視認可能な位置に設置された第2表示装置に、
前記第2状態であることを表す表示を行わせる
制御部の動作方法。
【請求項7】
前記制御部は、さらに
前記第1状態であると判定すると、
前記第2表示装置に前記第1状態であることを表す表示を行わせる
請求項6に記載の動作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自車両の周辺へ通知を行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、先行車両の後側方を走行する車両の運転者は、先行車両のサイドミラーに先行車両の運転者が映じているのを確認し、自らの車両が先行車両の運転者に認識されていると判断していた。一方、先行車両のサイドミラーに先行車両の運転者が映じているのを確認できない場合、先行車両の運転者が自らの存在を認識していないと判断し、急な車線変更等に備え、安全な走行を行うことができた。特に、車体の小さい二輪車において、走行中にこのような確認手法を試みていた(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、鏡面を備えたサイドミラーが電子的なカメラに代替されると、後側方の車両の運転者は、サイドミラーに先行車両の運転者が映じているのを確認できない。この場合、サイドミラーによる確認手法を試みていた運転者は、安全な走行ができない恐れがあった。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑み、サイドミラーが電子的なカメラに代替された場合であっても、運転者の視線を的確に検出し、周辺の車両に適切に注意喚起を行う技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の一態様に係る制御装置は、車室内に設置された第1表示装置に周辺車両の画像を表示させた状態で、運転者の視線を検知し、前記第1表示装置に表示された前記周辺車両に前記視線が向けられている第1状態か、向けられていない第2状態かの判定を行う制御部を備える制御装置であって、前記制御部は、前記判定で前記第2状態であると判定すると、自車両の左右外側にあって、当該自車両の後側方を走行する車両から視認可能な位置に設置された第2表示装置に、前記第2状態であることを表す表示を行わせる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、サイドミラーが電子的なカメラに代替された場合であっても、運転者の視線を的確に検出し、周辺の車両に適切に注意喚起を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、第1の実施の形態に係る通知装置の概要を示す図である。
【
図2】
図2は、第1の実施の形態に係る通知装置の構成を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、第1の実施の形態に係る通知装置の処理工程を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、第2の実施の形態に係る通知装置の構成を示すブロック図である。
【
図10】
図10は、第2の実施の形態に係る通知装置の処理工程を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。
【0019】
<1.第1の実施の形態>
<1-1.概要>
図1は、通知システム100の概要を示す図である。通知システム100は、通知装置1、カメラレンズCLとインジケータ26,27を備えた左右のサイドカメラ21,22、車両内の左右に設置されたディスプレイ23,24、及び車両VEの運転者(図示せず)の視線を検知する車室内カメラ25を備える。
【0020】
通知装置1は、運転者の視線を検知し、運転者が右サイドカメラ21で撮影されて右ディスプレイに表示された画像における周辺車両VEaを確認していないと判断すると、運転者は周辺車両VEaを確認していない旨を示す表示を右インジケータに表示する。
【0021】
これにより、周辺車両VEaの運転者は、先行する車両VEの運転者が自身の存在を認識していと判断し、急な車線変更等に備え、安全な走行を行うことができる。
【0022】
<1-2.構成>
図2は、通知システム100に備わる通知装置1のブロック図である。
【0023】
通知装置1は、車両VEに搭載され、制御部11及び記憶部12を備える。また、通知装置1は、右サイドカメラ21、左サイドカメラ22、右ディスプレイ23、左ディスプレイ24、車室内カメラ25、右インジケータ26、及び左インジケータ27と接続される。
【0024】
制御部11は、CPU、RAM、及びROMを備えたマイクロコンピュータである。制御部11は、通知装置1が備える他の構成と接続され、装置全体を制御する。制御部11の備える各機能は後述する。
【0025】
記憶部12は、データを記憶するメモリである。例えば、EEPROM(Electrical Erasable Programmable Read-Only memory)や、フラッシュメモリ、磁気ディスクを備えたハードディスクドライブ等の不揮発性の記憶媒体である。また、記憶部12は、通知データ12a及びプログラム12bを記憶している。
【0026】
通知データ12aは、運転者の状況STと、車両VEの周辺を走行する車両VEaに対して通知すべき画像DPとを含むデータである。
【0027】
図3は、運転者の状況STと通知すべき画像DPとの例である。運転者の状況STは、運転者がディスプレイ23,24を参照してディスプレイ23,24に表示された車両VEaを確認したか否かを示すデータである。例えば、「運転者が未確認」及び「運転者が確認済み」を示すデータである。
【0028】
画像DPは、車両VEの周辺を走行する車両VEaに対して通知すべき画像であって、左右のインジケータ26,27に表示する画像データである。
【0029】
例えば、状況STのうち「運転者が未確認」に対応する画像DPは、運転者が目を閉じている顔画像DPaである。運転者が目を閉じている顔画像DPaは、例えば、オレンジ色で表示される。これにより、運転者が目を閉じている顔画像DPaを参照する車両VEaの運転者に対し、注意を与えることができるからである。
【0030】
また、状況STのうち「運転者が確認済み」に対応する画像DPは、運転者が目を見開いている顔画像DPbである。運転者が目を見開いている顔画像DPbは、例えば、緑色又は青色で表示される。これにより、運転者が目を見開いている顔画像DPbを参照する車両VEaの運転者に対して、安心感を与えることができるからである。
【0031】
再度
図2を参照し、本発明の実施の形態について続けて説明する。プログラム12bは、制御部11により読み出され、制御部11が通知装置1を制御するために実行されるファームウェアである。
【0032】
右サイドカメラ21及び左サイドカメラ22は、車両VEの外側の左右に各々配置され、車両VEの後側方を撮影する撮像装置である。右サイドカメラ21及び左サイドカメラ22は、従来、鏡面を備えたサイドミラーに代替して車両VEに備えられたカメラである。両カメラ21,22は、車両VEの左右の後側方の様子を各々撮影し、画像データを制御部11に送信する。また、両カメラ21,22は、自車両のボディー部に設置される。
【0033】
右ディスプレイ23及び左ディスプレイ24は、車両VEの車室内の左右に各々配置され、画像を表示する表示装置である。例えば、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ、有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイである。
【0034】
車室内カメラ25は、車両VEの運転者の眼に向けられたカメラである。車室内カメラ25は、運転者の眼に関する画像データを制御部11に送信する。
【0035】
右インジケータ26及び左インジケータ27は、右サイドカメラ21及び左サイドカメラ22に各々配置され、画像を表示する表示画面である。両インジケータ26,27は、画像の表示や光の照射により、車両VEの後側方を走行する車両VEaに車両VEの運転者の状況を提示する。すなわち、車両VEの運転者が車両VEの後側方を走行する車両VEaを確認したか否かを提示する。
【0036】
通知手段となる両インジケータ26,27は、自車両のボディー部に設置された撮影手段となる両サイドカメラ21,22の近傍に設置される。これにより、周辺車両に対して明確に通知を行うことができる。
【0037】
次に、前述の制御部11が備える各機能を説明する。制御部11は、取得部11a、認識部11b、表示部11c、検出部11d、及び通知部11eを備える。
【0038】
取得部11aは、右サイドカメラ21及び左サイドカメラ22から車両VEの左右の後側方の様子を示す画像データを取得する。
【0039】
認識部11bは、取得部11aが取得した車両VEの左右の後側方の様子を示す画像データに含まれる周辺車両VEaを認識する。認識部11bは、いわゆるパターンマッチングの手法等を用い、周辺車両VEaとその他の構造物等を判別することができる。
【0040】
表示部11cは、取得部11aが取得した車両VEの左右の後側方の様子を示す画像データを右ディスプレイ23及び左ディスプレイ24に各々表示させる。
【0041】
検出部11dは、車室内カメラ25から送信された車両VEの運転者の眼に関する画像データに基づき、運転者の視線が右ディスプレイ23又は左ディスプレイ24に含まれる周辺車両VEaに向けられ、運転者が周辺車両VEaを確認したか否かを検出する。検出部11dは、運転者の瞳の眼球における位置を判別することにより、運転者が周辺車両VEaを確認したか否かを検出することができる。
【0042】
通知部11eは、運転者が周辺車両VEaを確認したか否かに基づき、通知データ12aを参照し、運転者が目を閉じている顔画像DPa又は運転者が目を見開いている顔画像DPbのいずれかを右インジケータ26又は左インジケータ27のいずれかに表示する。
【0043】
例えば、通知部11eは、認識部11bが車両VEの右後方に周辺車両VEaを認識し、検出部11dが運転者の周辺車両VEaへの確認を検出しない場合、右インジケータ26に運転者が目を閉じている顔画像DPaを表示する(本実施の形態における第1の通知)。
【0044】
図4は、通知部11eが、右サイドカメラ21の右インジケータ26に運転者が目を閉じている顔画像DPaを表示した例である。車両VEの右後方に周辺車両VEa(二輪車)が走行している場合に運転者が目を閉じている顔画像DPaを表示するので、周辺車両VEaの運転者は、自身が先行車両の運転者に確認されていないことを認識できる。これにより、周辺車両VEaの運転者の安全性を向上できる。
【0045】
また、例えば、通知部11eは、認識部11bが車両VEの右後方に周辺車両VEaを認識し、検出部11dが運転者の周辺車両VEaへの確認を検出した場合、右インジケータ26に運転者が目を見開いている顔画像DPbを表示する(本実施の形態における第2の通知)。
【0046】
図5は、通知部11eが、右サイドカメラ21の右インジケータ26に運転者が目を見開いている顔画像DPbを表示した例である。車両VEの右後方に周辺車両VEa(二輪車)が走行している場合に運転者が目を見開いている顔画像DPbを表示するので、周辺車両VEaの運転者は、自身が先行車両の運転者に確認されていることを認識できる。これにより、周辺車両VEaの運転者の安心感を向上できる。
【0047】
<1-3.工程>
次に、通知装置1の処理工程を説明する。図6は、通知装置1の処理工程を示すフローチャートである。本処理は、所定周期で繰り返し実行される。
【0048】
まず、右サイドカメラ21及び左サイドカメラ22が、車両VEの周辺、すなわち左右後側方を撮影する(ステップS01)。
【0049】
取得部11aが左右のカメラ21,22から画像データを取得すると、表示部11cが、左右のディスプレイ23,24に左右後側方を示す周辺画像を各々表示する(ステップS02)。
【0050】
表示部11cが周辺画像を表示すると、認識部11bが、取得部11aの取得した画像データに含まれる周辺車両VEaを認識し(ステップS03)、画像データに周辺車両VEaが含まれるか否か判断する(ステップS04)。
【0051】
認識部11bが、画像データに周辺車両VEaが含まれないと判断すると(ステップS04でNo)、処理は終了する。車両VEの周辺に周辺車両VEaがいない場合には、もはや通知すべき対象が存在しないからである。
【0052】
一方、認識部11bが画像データに周辺車両VEaが含まれると判断すると(ステップS04でYes)、検出部11dが、運転者の視線を検出し(ステップS05)、運転者が左右ディスプレイ23,24のいずれかに含まれる周辺車両VEaを確認したか否か判定する(ステップS06)。
【0053】
検出部11dが運転者は周辺車両VEaを確認していないと判定すると(ステップS06でNo)、通知部11eは、運転者が周辺車両VEaを確認していない旨を示す「目を閉じている顔画像DPa」を右インジケータ26に表示する(ステップS07)(第1の通知)。通知部11eが顔画像DPa表示すると、処理は終了する。
【0054】
一方、検出部11dが運転者は周辺車両VEaを確認したと判定すると(ステップS06でYes)、通知部11eは、運転者が周辺車両VEaを確認した旨を示す「目を見開いている顔画像DPb」を右インジケータ26に表示する(ステップS08)(第2の通知)。通知部11eが顔画像DPb表示すると、処理は終了する。
【0055】
このように、運転者が撮像画像に含まれる周辺車両VEaを確認していない場合に、周辺車両VEaに対して未確認の旨の通知(第1の通知)を行うので、周辺車両VEaに対して注意を促すことができ、安全性を向上できる。
【0056】
また、運転者が周辺車両VEaを確認している場合に、周辺車両VEaに対して確認済みの旨の通知(第2の通知)を行うので、周辺車両VEaの運転者の安心感を向上できる。
【0057】
<2.第2の実施の形態>
<2-1.概要>
上記第1の実施の形態では、周辺車両VEaの運転者に対して未確認及び確認済みの旨の通知を行った。これに対し、第2の実施の形態は、周辺車両VEaが車両VEに接近している場合には、さらに周辺車両VEaの運転者に対して接近により危険である旨の通知を行う。
【0058】
これにより、周辺車両VEaに対して未確認の旨の通知を行って周辺車両VEaの運転者に注意を促すだけでなく、周辺車両VEaが車両VEに接近している場合にはさらに周辺車両VEaの運転者に対して接近により危険である旨の通知を行うので、さらに安全性を向上できる。
【0059】
また、周辺車両VEaに対して確認済みの旨の通知を行って周辺車両VEaの運転者に安心感を与えても、周辺車両VEaが車両VEに接近している場合にはさらに周辺車両VEaの運転者に対して接近により危険である旨の通知を行うので、無用な安心感を抑制することができる。
【0060】
このような危険である旨の通知により、周辺車両VEaの運転者は、接近している車両VEの急な車線変更等に備えることができるので、車両VEの周辺車両VEaに対する危険性を低減できる。
【0061】
なお、第2の実施の形態は、第1の実施の形態と同様の構成及び処理を含む。このため、以下、第1の実施の形態との相違点を中心に説明する。また、第1の実施の形態と同様の構成及び処理については、同様の符号を用いて説明する。
【0062】
<2-2.構成>
図7は、第2の実施の形態に係る通知装置1のブロック図である。通知装置1は、レーダ28と接続され、判別部11fをさらに備えている。通知データ12aは、状況STと画像DPとをさらに備える。
【0063】
レーダ28は、車両VEに備えられ、周辺車両VEとの距離を検知するセンサである。例えば、ミリ波レーダや赤外線センサ、超音波センサである。レーダ28は、周辺車両VEとの距離を検知し、通知装置1へ距離データを送信する。
【0064】
レーダ28が、車両VEと周辺車両VEとの距離を検知することで、車両VEの周辺車両VEに対する危険性を判別できる。
【0065】
判別部11fは、レーダ28から送信された距離データを受信し、周辺車両VEが車両VEに対して接触の恐れのある危険な位置か否かを判別する。すなわち、判別部11fは、周辺車両VEが車両VEに対して接触の恐れのあるほど接近していれば危険と判別し、接触の恐れがなければ危険でないと判別する。なお、判別の基準となるデータは、予め記憶部12に備えておけばよい。また、判別の基準となるデータは、車両VE及び周辺車両VEaの速度に応じて可変としてもよい。
【0066】
通知データ12aは、運転者の状況STと通知すべき画像DPとをさらに備える。
図8は、通知データ12aが、周辺車両VEが車両VEに接近しており、周辺車両VEの走行位置が危険となる状況STに対し、危険を示す画像DPcを備えた例である。
【0067】
危険を示す画像DPcは、例えば、三角形状の中央にエクスクラメーションマークを配置した画像である。三角形状は車両の緊急時に掲示される三角表示板を想起させ、エクスクラメーションマークは運転者の注意を十分に引くことができる。ただし、「接近危険」との文字表示を行ってもよい。この場合は、直接的に周辺車両VEaの運転者に危険を示すことができる。また、危険を示す画像DPcは、例えば、赤色で表示される。危険である旨を感得しやすい色だからである。
【0068】
例えば、通知部11eは、認識部11bが車両VEの右後方に周辺車両VEaを認識し、判別部11fが周辺車両VEが車両VEに対して接触の恐れのある危険な位置であると判別した場合、右インジケータ26に危険を示す画像DPcを表示する(本実施の形態における第3の通知)。
【0069】
図9は、通知部11eが、右サイドカメラ21の右インジケータ26に危険を示す画像DPcを表示した例である。車両VEの右後方に周辺車両VEa(二輪車)が走行している場合に危険を示す画像DPcを表示するので、周辺車両VEaの運転者は、自身が先行車両に接近しており危険な位置を走行していることを認識できる。これにより、周辺車両VEaの運転者は、接近している車両VEの急な車線変更等に備えることができるので、車両VEの周辺車両VEaに対する危険性を低減できる。
【0070】
<2-3.工程>
図10は、第2の実施の形態に係る通知装置1の処理工程を示すフローチャートである。第2の実施の形態に係る処理工程は、第1の実施の形態に係る処理工程を含む。したがって、第1の実施の形態に係る処理工程との相違点を中心に説明する。
【0071】
通知部11eが周辺車両VEaに対して未確認の旨の通知を行うと(ステップS07)、判別部11fが、レーダ28から送信された距離データに基づき、周辺車両VEaが車両VEaに対して危険となる位置か否か判別する(ステップS09)。
【0072】
判別部11fが、危険となる位置でないと判別すると(ステップS09でNo)、処理は終了する。
【0073】
一方、判別部11fが危険となる位置であると判別すると(ステップS09でYes)、通知部11eが、周辺車両VEaが危険な位置を走行している旨を示す「危険を示す画像DPc」を周辺車両VEaが走行する側の左右いずれかのインジケータ26,27に表示する(ステップS10)(第3の通知)。
【0074】
通知部11eが、危険を示す画像DPcを表示すると、処理は終了する。
【0075】
なお、通知部11eが周辺車両VEaに対して確認済みの旨の通知を行った場合(ステップS08)は、判別部11fは、周辺車両VEaが車両VEaに対して危険となる位置か否かの判別を行わない(ステップS09の実行なし)。車両VEaの運転者が周辺車両VEaを確認している場合は、車両VEaの急な進路変更等の恐れが低いからである。また、運転者が周辺車両VEaを確認した旨を示す「運転者が目を見開いている顔画像DPb」をインジケータ26,27のいずれかに表示することを継続した方が、周辺車両VEaの運転者にとって安心感をより得られるからである。
【0076】
このように、自車両と周辺車両との距離が所定距離以内となる場合に、周辺車両に対して危険である旨の通知(第3の通知)を行うので、周辺車両に対する危険性を低減できる。
【0077】
<4.変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は上記実施の形態に限定されることはない。様々な変形が可能である。以下、変形例を説明する。なお、上記及び以下の実施の形態は、適宜組み合わせ可能である。
【0078】
上記実施の形態では、右サイドカメラ21及び左サイドカメラ22で撮影した画像を右ディスプレイ23及び左ディスプレイ24に表示するとした。しかし、撮影した画像をディスプレイと兼用するルームミラーに表示してもよい。この場合、ルームミラーの表示領域を2つ又は3つに区切ることができる。
【0079】
また、上記実施の形態では、右サイドカメラ21及び左サイドカメラ22で車両VEの周辺を撮影するとした。しかし、車両VEの後方に設置されたリアカメラでもよい。
【0080】
また、上記実施の形態では、車両VEと周辺車両VEaとの距離をレーダ28により判別した。しかし、車両VEと周辺車両VEaとの距離を画像認識で判別してもよい。この場合、レーダ28を備えることを省略できる。
【0081】
また、上記実施の形態では、通知装置1は自動車に搭載されると説明した。しかし、通知装置1は、オートバイや鉄道等の移動体に搭載されてもよい。
【0082】
また、上記実施の形態では、各機能はプログラムに従ったソフトウェアとして実現されると説明した。しかし、ソフトウェアでなくともよい。電気的なハードウェア回路として実現されてもよい。
【符号の説明】
【0083】
1 通知装置
21 右サイドカメラ
22 左サイドカメラ
23 右ディスプレイ
24 左ディスプレイ
25 車室内カメラ
26 右インジケータ
27 左インジケータ
28 レーダ
100 通知システム
VE 車両