(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】決済システム、端末、サーバ及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 20/32 20120101AFI20221220BHJP
G06Q 30/06 20120101ALI20221220BHJP
【FI】
G06Q20/32 300
G06Q30/06 340
(21)【出願番号】P 2019159856
(22)【出願日】2019-09-02
【審査請求日】2022-04-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000001432
【氏名又は名称】グローリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【氏名又は名称】尾形 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100166981
【氏名又は名称】砂田 岳彦
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼▲濱▼ 智久
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 もなみ
(72)【発明者】
【氏名】辻川 陽
(72)【発明者】
【氏名】福井 淳
【審査官】梅岡 信幸
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/130574(WO,A1)
【文献】特開2005-352791(JP,A)
【文献】特開2020-170472(JP,A)
【文献】特開2021-026453(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者の購入により発生した第一の決済情報を識別子として表示する店舗側の端末と、
前記識別子を読み取った利用者の端末から第二の決済情報を受信するサーバと
を有し、
前記サーバは、前記店舗側の端末から受信した前記第一の決済情報と、前記利用者の端末から受信した前記第二の決済情報とを突合し、突合の結果に基づいて決済の進行を制御する、もしくは、
前記店舗側の端末は、前記サーバから受信した前記第二の決済情報と前記第一の決済情報とを突合して、突合の結果に応じた情報を当該サーバに送信し、当該サーバは、当該店舗側の端末から受信した当該情報に基づいて決済の進行を制御する、
ことを特徴とする決済システム。
【請求項2】
前記店舗側の端末における前記突合の結果が不一致の場合、
前記店舗側の端末は、
決済の中止を要求する中止情報を前記サーバに送信するとともに、
前記識別子の再読み取りを促すメッセージを表示し、さらに当該識別子を再表示する、
ことを特徴とする請求項1に記載の決済システム。
【請求項3】
前記サーバにおける前記突合の結果が不一致の場合、
前記サーバは、
決済を中止するとともに、前記店舗側の端末に対して前記識別子の再読み取りを要求する再読み取り情報を送信し、
前記店舗側の端末は、
前記再読み取り情報を受信すると、前記識別子の再読み取りを促すメッセージを表示するとともに、当該識別子を再表示する、
ことを特徴とする請求項1に記載の決済システム。
【請求項4】
前記突合の結果が一致の場合、前記サーバは、前記利用者の端末から受信した前記第二の決済情報を第三の決済情報として決済センタに送信し、
前記突合の結果が不一致の場合、前記サーバは、前記第三の決済情報の前記決済センタへの送信を中止する、
ことを特徴とする請求項1に記載の決済システム。
【請求項5】
サーバと通信可能に接続された店舗側の端末であって、
前記店舗側の端末は、
利用者の購入により発生した第一の決済情報を識別子として表示し、
前記識別子の表示の後に、当該識別子を読み取った利用者の端末が前記サーバに送信した第二の決済情報を当該サーバから受信し、
前記第一の決済情報と前記第二の決済情報とを突合し、突合の結果が不一致の場合、決済の中止を要求する中止情報を前記サーバに送信する、
ことを特徴とする店舗側の端末。
【請求項6】
店舗側の端末と通信可能に接続されたサーバであって、
前記サーバは、
利用者の購入により前記店舗側の端末で発生した第一の決済情報を受信し、
前記第一の決済情報に対応する識別子を読み取った利用者の端末から第二の決済情報を受信し、
前記第一の決済情報と前記第二の決済情報とを突合し、突合の結果が不一致の場合、決済を中止するとともに、前記店舗側の端末に対して前記識別子の再読み取りを要求する再読み取り情報を送信する
ことを特徴とするサーバ。
【請求項7】
サーバと通信可能に接続された店舗側の端末において実行されるプログラムであって、
利用者の購入により発生した第一の決済情報を識別子として表示する機能と、
前記識別子の表示の後に、当該識別子を読み取った利用者の端末が前記サーバに送信した第二の決済情報を当該サーバから受信する機能と、
前記第一の決済情報と前記第二の決済情報とを突合し、突合の結果が不一致の場合、決済の中止を要求する中止情報を前記サーバに送信する機能と
を実行させるプログラム。
【請求項8】
店舗側の端末と通信可能に接続されたサーバにおいて実行されるプログラムであって、
利用者の購入により前記店舗側の端末で発生した第一の決済情報を受信する機能と、
前記第一の決済情報に対応する識別子を読み取った利用者の端末から第二の決済情報を受信する機能と、
前記第一の決済情報と前記第二の決済情報とを突合し、突合の結果が不一致の場合、決済を中止するとともに、前記店舗側の端末に対して前記識別子の再読み取りを要求する再読み取り情報を送信する機能と
を実行させるプログラム。
【請求項9】
利用者の購入により店舗側の端末で発生した第一の決済情報に対応する第一の識別子を当該店舗側の端末から読み取る利用者の端末において実行されるプログラムであって、
読み取った前記第一の識別子に利用者の情報を追加した第二の決済情報を、決済処理を実行するサーバに送信する機能と、
前記第二の決済情報に基づく決済処理の完了の通知として、当該第二の決済情報に対応する取引の内容を特定する情報を前記サーバから受信する機能と、
前記サーバから受信した前記情報を第二の識別子として利用者の端末に表示する機能と
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、決済システム、端末、サーバ及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、二次元コード(例えばQRコード(登録商標))を利用した決済システムが実用化されている。
決済システムの1つに、MPM(=Merchant Presented Mode)方式がある。この方式の場合、店舗側の情報端末に商品の購入代金やその振り込み先などの情報が二次元コードで表示される。一方、電子決済サービスの利用者は、表示された二次元コードを自身の情報端末で撮影し、撮像された二次元コードの情報を決済事業者が運用するサーバに送出する。決済事業者が運用するサーバは、受信した情報により、利用者本人による商品の購入であることを確認し、決済処理を実行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、MPM方式では、情報端末による二次元コードの読み取りミスや情報端末にインストールされている不正なアプリケーションにより、正しい金額とは異なる金額で決済される可能性がある。すなわち、決済の安全性が確保できない可能性がある。
【0005】
本発明は、二次元コードを利用した決済における決済情報の一致性を決済の確定前に確認することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、利用者の購入により発生した第一の決済情報を識別子として表示する店舗側の端末と、前記識別子を読み取った利用者の端末から第二の決済情報を受信するサーバとを有し、前記サーバは、前記店舗側の端末から受信した前記第一の決済情報と、前記利用者の端末から受信した前記第二の決済情報とを突合し、突合の結果に基づいて決済の進行を制御する、もしくは、前記店舗側の端末は、前記サーバから受信した前記第二の決済情報と前記第一の決済情報とを突合して、突合の結果に応じた情報を当該サーバに送信し、当該サーバは、当該店舗側の端末から受信した当該情報に基づいて決済の進行を制御する、ことを特徴とする決済システムである。
請求項2に記載の発明は、前記店舗側の端末における前記突合の結果が不一致の場合、前記店舗側の端末は、決済の中止を要求する中止情報を前記サーバに送信するとともに、前記識別子の再読み取りを促すメッセージを表示し、さらに当該識別子を再表示する、ことを特徴とする請求項1に記載の決済システムである。
請求項3に記載の発明は、前記サーバにおける前記突合の結果が不一致の場合、前記サーバは、決済を中止するとともに、前記店舗側の端末に対して前記識別子の再読み取りを要求する再読み取り情報を送信し、前記店舗側の端末は、前記再読み取り情報を受信すると、前記識別子の再読み取りを促すメッセージを表示するとともに、当該識別子を再表示する、ことを特徴とする請求項1に記載の決済システムである。
請求項4に記載の発明は、前記突合の結果が一致の場合、前記サーバは、前記利用者の端末から受信した前記第二の決済情報を第三の決済情報として決済センタに送信し、前記突合の結果が不一致の場合、前記サーバは、前記第三の決済情報の前記決済センタへの送信を中止する、ことを特徴とする請求項1に記載の決済システムである。
請求項5に記載の発明は、サーバと通信可能に接続された店舗側の端末であって、前記店舗側の端末は、利用者の購入により発生した第一の決済情報を識別子として表示し、前記識別子の表示の後に、当該識別子を読み取った利用者の端末が前記サーバに送信した第二の決済情報を当該サーバから受信し、前記第一の決済情報と前記第二の決済情報とを突合し、突合の結果が不一致の場合、決済の中止を要求する中止情報を前記サーバに送信する、ことを特徴とする店舗側の端末である。
請求項6に記載の発明は、店舗側の端末と通信可能に接続されたサーバであって、前記サーバは、利用者の購入により前記店舗側の端末で発生した第一の決済情報を受信し、前記第一の決済情報に対応する識別子を読み取った利用者の端末から第二の決済情報を受信し、前記第一の決済情報と前記第二の決済情報とを突合し、突合の結果が不一致の場合、決済を中止するとともに、前記店舗側の端末に対して前記識別子の再読み取りを要求する再読み取り情報を送信することを特徴とするサーバである。
請求項7に記載の発明は、サーバと通信可能に接続された店舗側の端末において実行されるプログラムであって、利用者の購入により発生した第一の決済情報を識別子として表示する機能と、前記識別子の表示の後に、当該識別子を読み取った利用者の端末が前記サーバに送信した第二の決済情報を当該サーバから受信する機能と、前記第一の決済情報と前記第二の決済情報とを突合し、突合の結果が不一致の場合、決済の中止を要求する中止情報を前記サーバに送信する機能とを実行させるプログラムである。
請求項8に記載の発明は、店舗側の端末と通信可能に接続されたサーバにおいて実行されるプログラムであって、利用者の購入により前記店舗側の端末で発生した第一の決済情報を受信する機能と、前記第一の決済情報に対応する識別子を読み取った利用者の端末から第二の決済情報を受信する機能と、前記第一の決済情報と前記第二の決済情報とを突合し、突合の結果が不一致の場合、決済を中止するとともに、前記店舗側の端末に対して前記識別子の再読み取りを要求する再読み取り情報を送信する機能とを実行させるプログラムである。
請求項9に記載の発明は、利用者の購入により店舗側の端末で発生した第一の決済情報に対応する第一の識別子を当該店舗側の端末から読み取る利用者の端末において実行されるプログラムであって、読み取った前記第一の識別子に利用者の情報を追加した第二の決済情報を、決済処理を実行するサーバに送信する機能と、前記第二の決済情報に基づく決済処理の完了の通知として、当該第二の決済情報に対応する取引の内容を特定する情報を前記サーバから受信する機能と、前記サーバから受信した前記情報を第二の識別子として利用者の端末に表示する機能とを実行させるプログラムである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、二次元コードを利用した決済における決済情報の一致性を決済の確定前に確認できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1で使用する電子決済システムの概略構成を例示する図である。
【
図2】実施の形態1で使用するPOS端末の構成を説明するブロック図の一例を示す図である。
【
図3】実施の形態1で使用する決済中継サーバの構成を説明するブロック図の一例を示す図である。
【
図4】実施の形態1で説明する電子決済システム上で実行される決済処理の概要を説明する図である。
【
図5】決済用のQRコードの読み取りを促すメッセージの表示例を示す図である。
【
図6】決済用のQRコードの再読み取りを促すメッセージの表示例を示す図である。
【
図7】実施の形態2で使用する電子決済システムの概略構成を例示する図である。
【
図8】実施の形態2で使用するPOS端末の構成を説明するブロック図の一例を示す図である。
【
図9】実施の形態2で使用する決済中継サーバの構成を説明するブロック図の一例を示す図である。
【
図10】実施の形態2で説明する電子決済システム上で実行される決済処理の概要を説明する図である。
【
図11】実施の形態3で使用する電子決済システムの概略構成を例示する図である。
【
図12】実施の形態3で使用するスマートフォンの構成を説明するブロック図の一例を示す図である。
【
図13】実施の形態3で説明する電子決済システム上で実行される決済処理の概要を説明する図である。
【
図14】実施の形態4で使用する電子決済システムの概略構成を例示する図である。
【
図15】実施の形態4で使用するPOS端末の構成を説明するブロック図の一例を示す図である。
【
図16】実施の形態4で説明する電子決済システム上で実行される決済処理の一例を概略的に説明する図である。
【
図17】実施の形態4で説明する電子決済システム上で実行される決済処理の他の一例を概略的に説明する図である。
【
図18】実施の形態5で使用する電子決済システムの概略構成を例示する図である。
【
図19】実施の形態5で使用するPOS端末の構成を説明するブロック図の一例を示す図である。
【
図20】実施の形態5で使用する決済中継サーバの構成を説明するブロック図の一例を示す図である。
【
図21】実施の形態5で説明する電子決済システム上で実行される決済処理の概要を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、実施の形態について詳細に説明する。
<実施の形態1>
図1は、実施の形態1で使用する電子決済システム1の概略構成を例示する図である。
電子決済システム1は、店舗内に設置される決済端末(以下「POS端末10」ともいう)と、店舗内で物品を購入した電子決済サービスの利用者が決済に使用する情報端末(以下「スマートフォン20」ともいう)と、店舗と決済事業者との間で決済情報を中継する情報処理センタ(以下「決済中継サーバ30」ともいう)と、決済事業者が運用する決済センタ(以下「決済事業者サーバ40」ともいう)とを有している。
【0010】
図1には、決済事業者サーバ40を1つだけ表しているが複数でもよい。その場合、決済中継サーバ30は、POS端末10と複数の決済事業者サーバ40との間の決済情報のやり取りを中継する。
ここでのPOS端末10は決済端末の一例であり、スマートフォン20は情報端末の一例である。また、決済中継サーバ30は、情報処理センタの一例であり、決済事業者サーバ40は、決済センタの一例である。
【0011】
本実施の形態では、顧客が物品又はサービスの対価に当たる決済金額を、POS端末10又はPOS端末10に接続された不図示の端末に表示されるQRコードの読み取りを通じて支払う場合を想定する。POS端末10は、店舗側の端末の一例である。
本実施の形態では、対価の支払いを伴う取引を総称して「購入」と表現する。従って、単に購入と総称する場合、いわゆる物品の購入に限らず、サービスの利用も含まれる。
また、購入の対価としてPOS端末10が顧客に請求する決済金額を含む決済情報を、第一の決済情報という。第一の決済情報には、加盟店を識別する情報や取引の内容に関する情報が含まれる。加盟店を識別する情報には、例えば加盟店コードがある。また、取引の内容に関する情報には、例えば取引の日時、決済金額、取引の番号が含まれる。取引の内容に関する情報は、取引毎に一意である。
【0012】
本実施の形態におけるPOS端末10は、顧客に請求する決済金額を決済用のQRコードとして表示する。
図1では、POS端末10に表示された決済用のQRコードをスマートフォン20で読み取る様子を表している。
図1では、スマートフォン20で撮像されたQRコードが表示面に表示されている。決済用のQRコードは、第一の決済情報に対応する識別子の一例である。
本実施の形態におけるPOS端末10とスマートフォン20は、それぞれネットワーク50経由で決済中継サーバ30に接続されている。本実施の形態の場合、POS端末10とスマートフォン20の直接通信は想定しない。
決済用のQRコードを読み取ったスマートフォン20は、決済用のQRコードから読み取られた決済金額に利用者の情報を追加し、第二の決済情報として決済中継サーバ30に送信する。ここでのスマートフォン20は、利用者の端末の一例である。
【0013】
本実施の形態における決済中継サーバ30は、POS端末10から受信する第一の決済情報とスマートフォン20から受信する第二の決済情報とを突合し、突合の結果に基づいて決済の進行を制御する。具体的には、第一の決済情報で示されている決済金額と第二の決済情報で示される情報とが一致する場合には、第二の決済情報を決済事業者サーバ40に送信して決済処理を完了させるのに対し、第一の決済情報で示されている決済金額と第二の決済情報で示される情報とが一致しない場合には、決済事業者サーバ40への第二の決済情報の送信を中止し、決済用のQRコードの再読み込みをPOS端末10に要求する。詳細については後述する。
ここでの決済中継サーバ30は、スマートフォン20から第二の決済情報を受け取るサーバの一例である。本実施の形態の場合、POS端末10と決済中継サーバ30は、決済システムを構成する。
なお、決済中継サーバ30と決済事業者サーバ40とは、不図示のネットワークや専用線経由で通信可能に接続されている。
【0014】
(POS端末10の構成)
図2は、実施の形態1で使用するPOS端末10の構成を説明するブロック図の一例を示す図である。
実施の形態1で用いるPOS端末10は、端末全体の動作を制御する制御部11と、データ等の記憶に用いられる記憶部12と、操作の受付や操作画面の表示等に使用される操作表示部13と、紙幣処理部14と、硬貨処理部15と、決済の明細であるレシートを出力するレシート出力部16と、第一の決済情報に対応する決済用QRコードを生成する決済用QRコード生成部17と、外部装置との通信に用いられる通信部18とを備えている。
【0015】
制御部11は、CPU(=Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)、ROM(=Read Only Memory)、RAM(=Random Access Memory)等で構成される。
制御部11のROMには、CPUやMPUにより実行される基本プログラム(オペレーションシステム)や各種の設定等が記憶されている。CPUやMPUは、RAMを作業エリアに使用し、ROMや記憶部12から読み出したアプリケーションプログラムを実行する。CPUやMPUがプログラムを実行することにより、以下に説明する機能が実現される。
【0016】
例えば制御部11は、利用者に請求する決済金額や取引を特定する情報を含む第一の決済情報を決済中継サーバ30に送信する機能、同決済金額に対応する決済用のQRコードを操作表示部13等に表示させる機能、決済用のQRコードの表示とともにその読み取りを促すメッセージを操作表示部13に表示させる機能、決済中継サーバ30から再読み取り情報を受信した場合に決済用のQRコードを操作表示部13に再表示させる機能、決済用のQRコードの再表示とともにその読み取りを促すメッセージを操作表示部13に再表示させる機能等を、プログラムの実行を通じて実行する。なお、決済用QRコード生成部17も、プログラムの実行を通じて実現される機能の一例である。
【0017】
記憶部12は、半導体メモリやHDD(=Hard Disk Drive)等の記憶装置で構成される。本実施の形態の場合、記憶部12には、POS端末10から読み取った第一の決済情報が記憶されている。
操作表示部13は、POS端末10を操作するスタッフの操作画面や利用者に提示される画面を表示するディスプレイで構成される。操作表示部13には、例えば液晶ディスプレイや有機EL(=Electro Luminescence)ディスプレイが用いられる。なお、操作画面の表示に用いるディスプレイと、決済用のQRコードの表示に用いられるディスプレイとは、それぞれ別に用意されてもよい。なお、操作表示部13には、スタッフが情報の入力に使用するボタン、スイッチ、タッチパネル等が設けられる。
【0018】
紙幣処理部14は、投入された紙幣に対する真贋判定、紙幣の保管、紙幣の返却などの処理を実行する装置ユニットである。
硬貨処理部15は、投入された硬貨に対する真贋判定、硬貨の保管、おつり硬貨の払出しなどの処理を実行する装置ユニットである。
レシート出力部16は、前述したように決済の明細であるレシートの出力に用いられるが、決済用のQRコードを印字したレシートの出力に用いることも可能である。
決済用QRコード生成部17は、制御部21で実行される機能の一部であり、第一の決済情報に対応するQRコードを生成する。本実施の形態の場合、生成された決済用のQRコードは操作表示部13に表示される。
通信部18は、通信インターフェース(通信I/F)であり、ネットワーク50経由で決済中継サーバ30との通信を実現する。
【0019】
(決済中継サーバ30の構成)
図3は、実施の形態1で使用する決済中継サーバ30の構成を説明するブロック図の一例を示す図である。
実施の形態1で用いる決済中継サーバ30は、装置全体を制御する制御部31と、データ等の記憶に用いられる記憶部32と、POS端末10から通知される第一の決済情報を受信する第一決済情報受信部33と、スマートフォン20から通知される第二の決済情報を受信する第二決済情報受信部34と、第一の決済情報に含まれる決済金額と第二の決済情報に含まれる決済金額とを突合する突合処理部35と、突合の結果に応じて決済処理の進行を管理する決済進行管理部36と、外部装置との通信に用いられる通信部37とを備えている。
【0020】
ここでの制御部31も、CPUやMPU、ROM、RAM等で構成される。
制御部31のROMには、CPUやMPUにより実行される基本プログラムや各種の設定等が記憶されている。CPUやMPUは、RAMを作業エリアに使用し、ROMや記憶部32から読み出したアプリケーションプログラムを実行する。CPUやMPUがプログラムを実行することにより、以下に説明する機能が実現される。
【0021】
例えば制御部31は、POS端末10から受信した第一の決済情報の決済金額とスマートフォン20から受信した第二の決済情報の決済金額が一致する場合には受信した第二の決済情報を決済事業者サーバ40に送信する機能、第一の決済情報の決済金額と第二の決済情報の決済金額が一致しない場合には第二の決済情報の決済事業者サーバ40への送信を中止するとともに決済用QRコードの再読み取りをPOS端末10に要求する機能等を、プログラムの実行を通じて実行する。
なお、第一決済情報受信部33、第二決済情報受信部34、突合処理部35、決済進行管理部36に対応する機能も、アプリケーションプログラムの実行を通じて実現される。
【0022】
記憶部32は、半導体メモリやHDD等の記憶装置で構成される。本実施の形態の場合、記憶部32には、POS端末10(
図1参照)から通知された決済情報である第一の決済情報と、スマートフォン20(
図1参照)から通知された決済情報である第二の決済情報とが記憶されている。これらの決済情報は、突合処理部35による突合処理で使用される。なお、第一の決済情報と第二の決済情報とが対応関係にあることは、各決済情報に付属する情報により確認が可能である。例えば店舗を識別する情報、POS端末10を識別する情報、読み取りの時刻等が使用される。
【0023】
第一決済情報受信部33は、POS端末10から新たな決済情報が通知されるたび、受信した決済情報を記憶部32に保存する処理を実行する。
一方の第二決済情報受信部34は、利用者の端末であるスマートフォン20(
図1参照)から新たな決済情報が通知されるたび、受信した決済情報を記憶部32に保存する処理を実行する。
突合処理部35は、同じ取引に紐付けられている第一の決済情報と第二の決済情報とを突き合わせ、2つの決済情報に含まれる決済金額が一致するか否かを突合の結果として出力する。
【0024】
決済進行管理部36は、突合の結果に基づいて、中継する決済処理の進行を管理する。具体的には、突合の結果が決済金額の一致を表す場合、決済進行管理部36は、利用者の端末であるスマートフォン20(
図1参照)から受信した第二の決済情報を決済事業者サーバ40に送信する。
一方、突合の結果が決済金額の不一致を表す場合、決済進行管理部36は、利用者の端末であるスマートフォン20(
図1参照)から受信した第二の決済情報を決済事業者サーバ40に送信せず、決済用のQRコードの再読み取りをPOS端末10に要求する。
通信部37は、通信インターフェース(通信I/F)であり、ネットワーク50経由でPOS端末10及びスマートフォン20と通信する。また、通信部37は、決済事業者サーバ40とも通信する。
【0025】
(決済処理の流れ)
図4は、実施の形態1で説明する電子決済システム1上で実行される決済処理の概要を説明する図である。なお、図中のSはステップの意味である。
一連の処理は、店舗内に設置されているPOS端末10に購入された物品等の金額が入力され、決済金額が確定することで開始される(ステップ1)。
決済金額は、例えば合計ボタンが操作されることで確定する。前述したように、ここでの決済金額は第一の決済情報に含まれる。POS端末10は、確定した決済金額を含む第一の決済情報を、決済中継サーバ30に通知する。
【0026】
次に、POS端末10は、操作表示部13(
図2参照)に読み取りを促すメッセージを表示する(ステップ2)と共に、決済用のQRコードを表示する(ステップ3)。決済用のQRコードには、第一の決済情報が含まれる。なお、メッセージの表示と決済用のQRコードの表示の実行の順序は逆でも良いし、同じ画面を用いて同時に表示してもよい。
図5は、決済用のQRコードの読み取りを促すメッセージの表示例を示す図である。
図5の場合、「QRコードを読み取り決済してください」との文が表示されている。
【0027】
図4の説明に戻る。
メッセージが表示されると、電子決済サービスの利用者は、決済用のアプリケーションプログラムが起動されたスマートフォン20を用い、操作表示部13(
図2参照)に表示されている決済用のQRコードを読み取る(ステップ4)。
スマートフォン20は、読み取った決済用のQRコードをデコードし、デコードされた情報に決済を求める自身の情報を付加した情報を、第二の決済情報として決済中継サーバ30に通知する。第二の決済情報は、スマートフォン20にインストールされているアプリケーションプログラムが生成する。
決済中継サーバ30は、同じ取引に紐付けられている第一の決済情報と第二の決済情報とが受信されると、突合処理を実行する(ステップ5)。突合処理では、第一の決済情報に含まれる決済金額と、第二の決済情報に含まれる決済金額とが突き合わされる。
2つの決済金額が一致する場合(ステップ6で肯定結果の場合)、決済中継サーバ30は、決済事業者サーバ40に第二の決済情報を通知する。
【0028】
第二の決済情報の通知を受け付けた決済事業者サーバ40は、第二の決済情報から決済の対象である利用者の情報を取り出し、対象とする利用者についての決済処理を実行する(ステップ7)。具体的には、決済事業者サーバ40は、対象とする利用者の口座から第二の決済情報で通知された決済金額を減算するとともに店舗側の口座に入金し、取引の成立を決済中継サーバ30に返す。取引の成立を示す通知は、決済中継サーバ30を通じて、スマートフォン20に通知される。なお、取引の成立を示す通知がPOS端末10に通知されてもよい。
これに対し、2つの決済金額が一致しない場合(ステップ6で否定結果の場合)、決済中継サーバ30は、第二の決済情報を決済事業者サーバ40に通知せず、POS端末10に対して決済用のQRコードの再読み取りを要求する再読み取り情報を送信する(ステップ8)。
前述したように、2つの決済金額の不一致は、決済用のQRコードに読み取りミスがあった場合やスマートフォン20にインストールされている悪意のアプリケーションプログラムによって決済金額が改ざんされた場合に起こり得る。
【0029】
決済用のQRコードの再読み取りが要求されたPOS端末10は、操作表示部13(
図2参照)に再読み取りを促すメッセージを再表示する(ステップ9)と共に、決済用のQRコードを再表示する(ステップ10)。この場合も、メッセージの再表示と決済用のQRコードの再表示の実行の順番は入れ替わっても良いし、同じ画面に一度に表示してもよい。
図6は、決済用のQRコードの再読み取りを促すメッセージの表示例を示す図である。
図6の場合、「もう一度QRコードを読み取り決済してください」との文が表示される。
操作表示部23の表示を確認した利用者は、自身のスマートフォン20を用いて決済用のQRコードを読み取り直すことになる。
これ以降の処理は、ステップ4以降の繰り返しとなる。すなわち、再度の読み取りにより通知された第二の決済情報に含まれる決済金額と先に通知されている第一の決済情報に含まれる決済金額とが一致するまで決済処理は成立せず、QRコードの読み取り作業が繰り返される。
【0030】
本実施の形態の場合、第一の決済情報と第二の決済情報の突き合わせで決済金額が一致しない間、何度でも、決済用のQRコードの再表示と読み取りとが繰り返される。もっとも、繰り返しの回数に上限を設け、上限の回数に達した場合には、決済用のQRコードの読み取りによる決済を行えない旨を操作表示部23に表示させてもよい。この場合には、現金や他の決済手段を用いて決済を完了することになる。なお、繰り返しの回数が上限に達したか否かの判断は、POS端末10が実行してもよいし、決済中継サーバ30が実行してもよい。
このように本実施の形態の場合には、決済中継サーバ30の介在により、第一の決済情報に含まれる決済金額と第二の決済情報に含まれる決済金額が一致しない不正な決済処理の進行を中止させることが可能になる。
なお、実施の形態1の説明では、顧客が対価の決済に使用する情報端末の一例として、スマートフォン20を例示しているが、タブレット型のコンピュータ端末やウェアラブル端末でも可能である。
【0031】
また、実施の形態1の説明では、二次元コードの一例であるQRコードの読み取りにより決済を行う場合について説明しているが、1次元コードの一例であるバーコードの読み取りによる決済を排除しない。
また、実施の形態1の説明では、POS端末10と複数の決済事業者サーバ40との間でやり取りされる決済情報を中継する決済中継サーバ30を設けているが、POS端末10と決済事業者サーバ40とが一対一に接続される場合には、決済中継サーバ30を設けない電子決済システム1の構成も考えられる。
【0032】
この場合には、前述した決済中継サーバ30で実行されている突合機能を決済事業者サーバ40に設ければよい。この場合には、第一の決済情報に含まれる決済金額と第二の決済情報に含まれる決済金額とが一致するとき決済処理を実行し、第一の決済情報に含まれる決済金額と第二の決済情報に含まれる決済金額とが一致しないとき決済処理を中止して決済用のQRコードの再読み取りをPOS端末10に要求すればよい。決済中継サーバ30を設けない場合には、決済事業者サーバ40がスマートフォン20から第二の決済情報を受け取るサーバの一例となり、POS端末10と決済事業者サーバ40が決済システムを構成する。
【0033】
<実施の形態2>
続いて、実施の形態2について説明する。
図7は、実施の形態2で使用する電子決済システム1Aの概略構成を例示する図である。
図7には、
図1との対応部分に対応する符号を付して示している。
図7に示すように、実施の形態2で説明する電子決済システム1Aの構成は、実施の形態1と同様である。すなわち、実施の形態2の場合も、店舗内に設置されるPOS端末10Aと、店舗内で物品を購入した電子決済サービスの利用者が対価の決済に使用するスマートフォン20と、店舗と決済事業者との間で決済情報を中継する決済中継サーバ30Aと、決済事業者が運用する決済事業者サーバ40とを有している。
実施の形態1の場合には、突合処理を決済中継サーバ30で実行しているが、本実施の形態では、同処理をPOS端末10AにインストールされているPOS連動型のアプリケーションプログラム(以下「OCXドライバ」ともいう)を使用して突合処理を実行する。
【0034】
(POS端末10Aの構成)
図8は、実施の形態2で使用するPOS端末10Aの構成を説明するブロック図の一例を示す図である。
図8には、
図2との対応部分に対応する符号を付して示している。
実施の形態2で用いるPOS端末10Aは、端末の全体を制御する制御部11Aと、データ等の記憶に用いられる記憶部12と、操作の受付や操作画面の表示等に使用される操作表示部13と、紙幣処理部14と、硬貨処理部15と、決済の明細であるレシートを出力するレシート出力部16と、第一の決済情報に対応する決済用のQRコードを生成する決済用QRコード生成部17と、外部装置との通信に用いられる通信部18と、POS端末10Aで発生した決済金額と決済中継サーバ30から通知された決済金額とを突合する突合処理部19とを備えている。
【0035】
本実施の形態における制御部11Aの場合、突合処理部19の機能がアプリケーションプログラムの実行を通じて実行される点で、実施の形態1における制御部11と相違する。
本実施の形態の場合、記憶部12には、POS端末10で発生された決済情報である第一の決済情報と決済中継サーバ30から通知された決済情報である第二の決済情報とが記憶される点で実施の形態1の場合と異なっている。具体的には、決済用のQRコードを読み取った利用者が操作するスマートフォン20から決済中継サーバ30に通知された第二の決済情報が記憶部12に記憶されている点で、実施の形態1と相違する。
【0036】
突合処理部19は、実施の形態1における突合処理部35(
図3参照)と同じく、同じ取引に紐付けられている第一の決済情報に含まれる決済金額と第二の決済情報に含まれる決済金額とを突き合わせ、2つの決済金額が一致するか否かを突合の結果として出力する。ここでの突合処理部19の機能は、前述したように、OCX(=OLE Custom Control)ドライバの機能として実行される。なお、OLEは、Object Linking and Embeddingの略称である。
突合処理部19は、2つの決済金額が一致する場合、決済処理の進行が可能であることを示す推進許可情報を決済中継サーバ30Aに通知し、2つの決済金額が一致しない場合、決済処理の中止を示す中止情報を決済中継サーバ30Aに通知する。
【0037】
(決済中継サーバ30Aの構成)
図9は、実施の形態2で使用する決済中継サーバ30Aの構成を説明するブロック図の一例を示す図である。
図9には、
図3との対応部分に対応する符号を付して示している。
実施の形態2で用いる決済中継サーバ30Aは、装置全体を制御する制御部31Aと、データ等の記憶に用いられる記憶部32と、スマートフォン20から通知される第二の決済情報を受信する第二決済情報受信部34と、突合の結果に応じて決済処理の進行を管理する決済進行管理部36と、外部装置との通信に用いられる通信部37と、受信した第二の決済情報をPOS端末10に通知する第二決済情報通知部38とを備えている。
【0038】
本実施の形態の場合、決済中継サーバ30Aは、突合処理を実行しないので、POS端末10Aから第一の決済情報を受信する機能が設けられていない。このため、記憶部32にも、第一の決済情報は記憶されていない。
第二決済情報通知部38は、第二決済情報受信部34がスマートフォン20から受信した第二の決済情報を、対応するPOS端末10に転送する。ここで、第二決済情報通知部38は、第二の決済情報に含まれるPOS端末10を識別する情報などに基づいて対応するPOS端末10を宛先として第二の決済情報を送信する。
【0039】
(決済処理の流れ)
図10は、実施の形態2で説明する電子決済システム1A上で実行される決済処理の概要を説明する図である。
図10には、
図4との対応部分に対応する符号を付して示している。なお、図中のSはステップの意味である。
実施の形態2の場合も、一連の処理は、店舗内に設置されているPOS端末10Aに購入された物品等の金額が入力され、決済金額が確定することで開始される(ステップ1)。この時点で、決済金額を含む第一の決済情報が発生される。
実施の形態1の場合とは異なり、第一の決済情報は、決済中継サーバ30Aには通知されない。
【0040】
次に、POS端末10は、操作表示部13(
図8参照)に読み取りを促すメッセージを表示する(ステップ2)と共に、決済用のQRコードを表示する(ステップ3)。本実施の形態の場合も、メッセージの表示と決済用のQRコードの表示の実行の順序は逆でも良いし、同じ画面を用いて同時に表示してもよい。
メッセージが表示されると、利用者は、決済用のアプリケーションプログラムが起動されたスマートフォン20を用い、操作表示部13に表示されている決済用のQRコードを読み取る(ステップ4)。
スマートフォン20は、読み取った決済用のQRコードをデコードし、デコードされた情報に決済を求める自身の情報を付加した情報を、第二の決済情報として決済中継サーバ30Aに通知する。第二の決済情報は、スマートフォン20にインストールされているアプリケーションプログラムが生成する。
ここまでの処理は、決済中継サーバ30Aに対する第一の決済情報の通知が存在しないことを除き、実施の形態1と共通である。
【0041】
実施の形態2の場合、決済中継サーバ30Aは、第二の決済情報を受信すると、送信元のスマートフォン20が決済用のQRコードを読み取ったPOS端末10Aを特定し、特定されたPOS端末10Aを宛先として第二の決済情報を通知する(ステップ11)。POS端末10Aを特定する機能は、第二決済情報受信部34(
図9参照)の機能の一部として実行してもよいし、第二決済情報通知部38(
図9参照)の機能として実行してもよい。また、これらの機能部とは別に制御部31A(
図9参照)の機能として実行してもよい。
POS端末10Aは、決済中継サーバ30Aから第二の決済情報を受信すると、同じ取引に紐付けられている第一の決済情報と第二の決済情報の間で決済金額の突合処理を実行する(ステップ12)。すなわち、第一の決済情報に含まれる決済金額と、第二の決済情報に含まれる決済金額との突き合わせが実行される。
2つの決済金額が一致する場合(ステップ13で肯定結果の場合)、POS端末10Aは、決済中継サーバ30Aに決済の進行が可能であることを示す推進許可情報を通知する(ステップ14)。この推進許可情報には、決済の進行が許可される第二の決済情報を特定する情報が含まれている。
【0042】
この場合、第二の決済情報の通知を受け付けた決済中継サーバ30Aは、決済進行管理部36(
図9参照)によって推進許可情報の受信を確認し、決済事業者サーバ40に対して、決済処理の進行が許可された第二の決済情報を通知する。
通知を受けた決済事業者サーバ40は、第二の決済情報から決済の対象である利用者の情報を取り出し、対象とする利用者についての決済処理を実行する(ステップ15)。具体的には、決済事業者サーバ40は、対象とする利用者の口座から第二の決済情報で通知された決済金額を減算するとともに店舗側の口座に入金し、取引の成立を決済中継サーバ30Aに返す。取引の成立を示す通知は、決済中継サーバ30Aを通じて、スマートフォン20に通知される。実施の形態2の場合も、取引の成立を示す通知は、POS端末10Aに通知されてもよい。
これに対し、2つの決済金額が一致しない場合(ステップ13で否定結果の場合)、POS端末10Aは、決済中継サーバ30Aに対し、決済処理の進行の中止を示す中止情報を通知する(ステップ16)。この中止情報にも、決済の進行を中止する第二の決済情報を特定する情報が含まれている。
【0043】
この場合、中止情報を受信した決済中継サーバ30Aは、決済進行管理部36(
図9参照)によって中止情報の受信を確認し、決済事業者サーバ40に対する第二の決済情報の通知を中止する(ステップ17)。
一方、中止情報を決済中継サーバ30Aに通知したPOS端末10Aは、突合処理部19の処理の一部として、操作表示部13(
図8参照)に再読み取りを促すメッセージを再表示する(ステップ18)と共に、決済用のQRコードを再表示する(ステップ19)。この場合も、メッセージの再表示と決済用のQRコードの再表示の実行の順番は入れ替わっても良いし、同じ画面を同時に表示してもよい。
操作表示部13の表示を確認した利用者は、自身のスマートフォン20を用いて決済用のQRコードを読み取り直すことになる。
これ以降の処理は、ステップ4以降の繰り返しとなる。すなわち、再度の読み取りにより通知された第二の決済情報に含まれる決済金額と自端末で発生した第一の決済情報に含まれる決済金額とが一致するまで決済処理は成立せず、QRコードの読み取り作業が繰り返される。
【0044】
本実施の形態の場合も、第一の決済情報と第二の決済情報の突き合わせで決済金額が一致しない間、何度でも、決済用のQRコードの再表示と読み取りとが繰り返されるが、繰り返しの回数に上限を設け、上限の回数に達した場合には、決済用のQRコードの読み取りによる決済を行えない旨を操作表示部23に表示させてもよい。
このように本実施の形態の場合には、POS端末10Aの介在により、第一の決済情報の金額と第二の決済情報の金額が一致しない不正な決済処理の進行を中止させることが可能になる。
【0045】
なお、実施の形態2の説明でも、POS端末10Aと複数の決済事業者サーバ40との間でやり取りされる決済情報を中継する決済中継サーバ30Aを設けているが、POS端末10Aと決済事業者サーバ40とが一対一に接続される場合には、決済中継サーバ30Aを設けない電子決済システム1の構成も考えられる。
この場合には、前述した決済中継サーバ30Aで実行されている第二の決済情報の通知機能を決済事業者サーバ40に設ければよい。この構成を採用する場合、決済事業者サーバ40は、POS端末10Aから推進許可情報が受信された場合に決済処理を実行する設定とする。すなわち、POS端末10Aから推進許可情報が受信されるまで、スマートフォン20から受信した第二の決済情報の決済処理を中止する仕組みを採用する。なお、POS端末10Aから中止情報が受信された場合には、決済処理の中止を継続する。
決済中継サーバ30Aを設けない場合には、決済事業者サーバ40がスマートフォン20から第二の決済情報を受け取るサーバの一例となり、POS端末10Aと決済事業者サーバ40が決済システムを構成する。
【0046】
<実施の形態3>
続いて、実施の形態3について説明する。
前述の実施の形態1では、POS端末10(
図1参照)がネットワーク50(
図1参照)に接続されている場合を想定しているが、コスト等の理由で、POS端末10がネットワーク50に接続されない場合も考えられる。
この状態で電子決済システムを利用するには、店舗側は、電子決済サービスの利用者が保有するスマートフォン20(
図1参照)に表示される決済結果を確認する必要がある。しかし、利用者が提示するスマートフォン20の画面の確認だけでは、決済の結果を確実に確認することは困難である。
以下では、この技術上の課題を解決することを目的とした電子決済システムの一例を説明する。
【0047】
図11は、実施の形態3で使用する電子決済システム1Bの概略構成を例示する図である。
図11には、
図1との対応部分に対応する符号を付して示している。
図11に示すように、実施の形態3で説明する電子決済システム1Bを構成する要素は、実施の形態1と同様である。すなわち、実施の形態3の場合も、店舗内に設置されるPOS端末10Bと、店舗内で物品を購入した電子決済サービスの利用者が対価の決済に使用するスマートフォン20Aと、店舗と決済事業者との間で決済情報を中継する決済中継サーバ30Bと、決済事業者が運用する決済事業者サーバ40とを有している。
【0048】
ただし、実施の形態3におけるPOS端末10Bは、ネットワーク50に接続されていない。また、POS端末10Bには、QRコードリーダー101が通信可能に接続されている。QRコードリーダ101は、スマートフォン20Aに表示される決済結果通知用のQRコードの読み取りに使用される。本実施の形態の場合、QRコードリーダ101で読み取られたQRコードはデコードされ、POS端末10Bに取り込まれる。
【0049】
(スマートフォン20Aの構成)
図12は、実施の形態3で使用するスマートフォン20Aの構成を説明するブロック図の一例を示す図である。
実施の形態3で用いるスマートフォン20Aは、端末の全体を制御する制御部21と、データ等の記憶に用いられる記憶部22と、操作の受付や操作画面の表示等に使用される操作表示部23と、POS端末10Bに表示されたQRコードの読み取りに用いられるQRコードリーダ24と、決済処理の結果を通知する決済結果通知用QRコードを生成する決済結果通知用QRコード生成部25と、外部装置との通信に用いられる通信部26とを備えている。
制御部21は、CPUやMPU、ROM、RAM等で構成される。制御部21のROMには、CPUやMPUにより実行されるファームウェアや各種の設定等が記憶されている。CPUやMPUは、RAMを作業エリアに使用し、ROMや記憶部22から読み出したアプリケーションプログラムを実行する。CPUやMPUがプログラムを実行することにより、以下に説明する機能が実現される。
【0050】
例えば制御部21は、QRコードリーダ24から読み取った第一の決済情報を記憶部22に保存する機能、読み取った第一の決済情報に利用者の情報を付加して第二の決済情報を生成し、記憶部22に保存する機能、生成された第二の決済情報を決済中継サーバ30Bに通知する機能、決済結果通知用QRコード生成部25と連携して決済結果の通知用のQRコードを生成する機能等を、プログラムの実行を通じて実行する。
記憶部22は、半導体メモリ等の記憶装置で構成される。本実施の形態の場合、記憶部22には、POS端末10Bから読み取った第一の決済情報、決済中継サーバ30Bに通知される第二の決済情報、決済中継サーバ30Bから受信した決済結果が含まれる。
【0051】
操作表示部23は、操作画面を表示する液晶ディスプレイや有機ELディスプレイが用いられる。なお、ディスプレイの表面にはタッチセンサが取り付けられており、ディスプレイと共にタッチパネルを構成する。この他、操作表示部23には、物理的なボタンやスイッチが設けられることもある。
QRコードリーダ24は、不図示の撮像カメラで撮像された決済用のQRコードの画像を処理するアプリケーションプログラムの実行を通じて実現される。本実施の形態では、QRコードリーダ24を第一の決済情報に対応するQRコードの読み取りに使用する。
決済結果通知用QRコード生成部25は、操作表示部23に表示するQRコードの生成に使用される機能部である。決済結果通知用QRコード生成部25は、アプリケーションプログラムの実行を通じて実現される。本実施の形態の場合、決済結果通知用QRコード生成部25は、決済中継サーバ30Bから受信した決済の結果と取引の内容に関する情報を示すQRコードを生成する。取引の内容に関する情報には、取引番号、取引の金額等が含まれる。決済結果通知用QRコード生成部25で生成されたQRコードは操作表示部23に表示される。
【0052】
(決済処理の流れ)
図13は、実施の形態3で説明する電子決済システム1B上で実行される決済処理の概要を説明する図である。
図13には、
図4との対応部分に対応する符号を付して示している。なお、図中のSはステップの意味である。
実施の形態3の場合も、一連の処理は、店舗内に設置されているPOS端末10Bに購入された物品等の金額が入力され、決済金額が確定することで開始される(ステップ1)。この時点で、決済金額を含む第一の決済情報が発生される。
【0053】
次に、POS端末10は、操作表示部13(
図2参照)に読み取りを促すメッセージを表示する(ステップ2)と共に、決済用のQRコードを表示する(ステップ3)。決済用のQRコードには、第一の決済情報が含まれる。本実施の形態の場合も、メッセージの表示と決済用のQRコードの表示の実行の順序は逆でも良いし、同じ画面を用いて同時に表示してもよい。
メッセージが表示されると、電子決済サービスの利用者は、決済用のアプリケーションプログラムが起動されたスマートフォン20Aを用い、操作表示部13に表示されている決済用のQRコードを読み取る(ステップ4)。
スマートフォン20Aは、読み取った決済用のQRコードをデコードし、デコードされた情報に決済を求める自身の情報を付加した情報を、第二の決済情報として決済中継サーバ30Bに通知する。第二の決済情報は、スマートフォン20Aにインストールされているアプリケーションプログラムが生成する。
【0054】
決済中継サーバ30Bは、受信した第二の決済情報を対応する決済事業者サーバ40に通知する。
決済事業者サーバ40は、第二の決済情報から決済の対象である利用者の情報を取り出し、対象とする利用者についての決済処理を実行する(ステップ21)。具体的には、決済事業者サーバ40は、対象とする利用者の口座から第二の決済情報で通知された決済金額を減算するとともに店舗側の口座に入金し、取引の成立を決済中継サーバ30Bに返す。
取引の成立の通知は、決済中継サーバ30Bにより、取引に用いられたスマートフォン20Aに通知される。
本実施の形態におけるスマートフォン20Aは、取引の成立の通知を受信すると、成立した取引の結果の通知に用いるQRコードを生成し(ステップ22)、操作表示部23(
図12参照)に表示する(ステップ23)。
【0055】
決済結果通知用のQRコードが表示されると、店舗側のスタッフは、QRコードリーダ101(
図11参照)を使用して、スマートフォン20Aに表示されている決済結果通知用のQRコードをPOS端末10Bに読み取る(ステップ24)。
続いて、POS端末10Bは、読み取った決済結果及び取引に関する情報を、POS端末10Bの操作表示部13(
図2参照)に表示する。
図13の例では、決済結果通知用のQRコードから読み取った情報を表示した時点で処理を終了しているが、読み取った決済金額等の情報がPOS端末10Bに取り込まれるようにしてもよい。
【0056】
また、POS端末10Bには、決済された金額と第一の決済情報の金額とを突合する機能を追加してもよい。なお、突合の結果を店舗側のスタッフ等に通知する機能を更に追加してもよい。
このように本実施の形態の場合には、利用者が操作するスマートフォン20Aを活用して電子決済システム1Bを実現することができる。また、スマートフォン20Aが受け取る決済の結果をスマートフォン20Aに表示されるQRコードを通じてPOS端末10Bに取り込み、取り込んだ内容をPOS端末10Bに表示させることにより、決済の結果の確認をスマートフォン20Aの表示画面を用いて行う場合に比して、成立した取引の内容の確認がより確実に行えるようになる。
【0057】
実施の形態3の場合には、決済中継サーバ30Bから通知される決済の結果をスマートフォン20Aに表示される決済結果通知用のQRコードを用いてPOS端末10Bに受け渡ししているが、近距離無線通信規格の一例であるFeliCa(登録商標)その他を利用して行ってもよい。既にFeliCaに対応するリーダライタがPOS端末10Bに接続されている場合には、QRコードリーダ101を新たに設置せずに済む。
また、実施の形態3では、決済中継サーバ30Bを使用しているが、決済中継サーバ30Bを用いないシステム構成も可能である。
【0058】
<実施の形態4>
続いて、実施の形態4について説明する。
前述の実施の形態では、基本的にQRコードを用いた電子決済を想定しているが、本実施の形態では、クレジットカードを活用した決済について説明する。
現在、クレジットカードによる決済に対応するPOS端末には、決済金額が予め定めた金額以下の場合に本人認証をスキップできる機能が用意されている。なお、POS端末は、クレジットカードを発行しているカード会社毎に設定されている金額に基づいて、PIN(=Personal Identification Number)レス又はサインレスの決済が可能か否かを判断する。なお、PINコードは、セキュリティコードの一種である。
一方で、PINレス又はサインレスの運用のニーズは、売り場によって異なる。例えばある売り場では、PINレス又はサインレスにより決済が可能な金額を、カード会社とは別に設定したいニーズがある。また、PINレス又はサインレスによる決済を許可するか否かを売り場毎に設定したい場合がある。しかし、これらのニーズへの対応をPOS端末だけで実現することはできない。
【0059】
図14は、実施の形態4で使用する電子決済システム1Cの概略構成を例示する図である。
図14には、
図1との対応部分に対応する符号を付して示している。
図14に示すように、実施の形態4で説明する電子決済システム1Cの構成は、実施の形態1と類似する。ただし、実施の形態4の場合には、カード決済を前提とするため、サービスの利用者が所持するスマートフォン20(
図1参照)は不要である。
このため、電子決済システム1Cは、店舗内に設置されるPOS端末10Cと、店舗と決済事業者との間で決済情報を中継する決済中継サーバ30Cと、決済事業者が運用する決済事業者サーバ40とを有している。
なお、POS端末10Cには、クレジットカードの読み取りに使用するカードリーダー111が接続されている。POS端末10Cは、クレジットカードから読み取った利用者の情報に決済する金額の情報等を付加して決済中継サーバ30Cに送信する。
【0060】
(POS端末10Cの構成)
図15は、実施の形態4で使用するPOS端末10Cの構成を説明するブロック図の一例を示す図である。
実施の形態4で用いるPOS端末10Cは、端末の全体を制御する制御部11Bと、データ等の記憶に用いられる記憶部12と、操作の受付や操作画面の表示等に使用される操作表示部13と、紙幣処理部14と、硬貨処理部15と、決済の明細であるレシートを出力するレシート出力部16と、決済中継サーバ30Cとの通信を通じて決済を実行する決済処理部120と、ミドルウェアとしてのOCX部121と、カード情報の読み取り等を実行するPOSアプリ部122と、外部装置との通信に用いられる通信部18とを備えている。
【0061】
本実施の形態における制御部11Bも、CPUやMPU、ROM、RAM等で構成される。
制御部11BのROMには、CPUやMPUにより実行される基本プログラム(オペレーションシステム)や各種の設定等が記憶されている。CPUやMPUは、RAMを作業エリアに使用し、ROMや記憶部12から読み出したアプリケーションプログラムを実行する。CPUやMPUがプログラムを実行することにより、以下に説明する機能が実現される。
【0062】
例えば制御部11Bは、利用者に請求する決済金額や取引を特定する情報にクレジットカードから読み取った情報を関連付けて決済中継サーバ30Cを通じて決済処理を実行する決済処理部120の機能と、決済処理部120とPOSアプリ部122との通信に介在するOCX部121の機能と、クレジットカード払いによる決済を管理するPOSアプリ部122の機能等を、プログラムの実行を通じて実行する。
記憶部12は、半導体メモリやHDD等の記憶装置で構成される。本実施の形態の場合、記憶部12には、カード会社用のDLL(=Dynamic Link Library)テーブルとダミー会社用のDLLテーブルが記憶されている。ここで、カード会社用DLLテーブルは、提携するクレジットカード別に用意される。従って、複数のクレジットカードの利用が可能なPOS端末10Cには複数のカード会社用DLLテーブルが記憶される。ダミー会社用DLLテーブルは、決済する金額が、仮にカード会社別に定められているPINレス決済等が可能な金額以内の場合でも、例外的に個人認証を必要とする決済を可能にするために用いられるライブラリである。カード会社用DLLテーブルもダミー会社用DLLテーブルも事前に用意される。
【0063】
操作表示部13は、POS端末10Cを操作するスタッフの操作画面や利用者に提示される画面を表示するディスプレイで構成される。操作表示部13には、例えば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイが用いられる。操作表示部13には、スタッフが情報の入力に使用するボタン、スイッチ、タッチセンサ等が設けられる。
紙幣処理部14は、投入された紙幣に対する真贋判定、紙幣の保管、紙幣の返却などの処理を実行する装置ユニットである。
硬貨処理部15は、投入された硬貨に対する真贋判定、硬貨の保管、おつり硬貨の払出しなどの処理を実行する装置ユニットである。
レシート出力部16は、決済用のQRコードを印字したレシートの出力に用いることも可能である。
通信部18は、通信インターフェースであり、ネットワーク50経由で決済中継サーバ30Cとの通信を実現する。
【0064】
(決済処理の流れ1)
図16は、実施の形態4で説明する電子決済システム1C上で実行される決済処理の一例を概略的に説明する図である。なお、図中のSはステップの意味である。なお、
図16では、決済中継サーバ30Cと決済事業者サーバ40(
図14参照)との通信は省略している。
一連の処理は、店舗内に設置されているPOS端末10CにおいてPOSアプリ部122に対する操作を通じて開始される。具体的には、クレジット決済取引が開始される(ステップ31)。
取引開始は、POSアプリ部122からOCX部121を通じて決済処理部120に通知される。
通知を受けた決済処理部120は、クレジットカードの読み取りの待機を開始する(ステップ32)。
【0065】
決済処理部120がカードリーダー111を通じてクレジット情報の読み取りを確認すると、OCX部121を通じて決済中継サーバ30Cに対してカード情報の問い合わせが実行される。この応答として、決済中継サーバ30CからOCX部121には、支払い方法が通知される。
次に、OCX部121は、POSアプリ部122に支払い方法を確認する。POSアプリ部122は、一括での支払いか、一括以外の支払いかを応答する。
応答を受信したOCX部121は、カード会社を指定して決済処理部120に与える(ステップ33)。
図16の場合、一括での支払いの場合、OCX部121は、本来のカード会社を指定する。一方、一括以外での支払いの場合、OCX部121は、ダミーのカード会社を指定する。
【0066】
通知を受けた決済処理部120は、指定された会社用のDLLテーブルを読み出す(ステップ34)。
例えば一括での支払いの場合、決済処理部120は、指定された会社が予め定める金額以内の場合にはPINレスでの支払いをOCX部121に応答する。なお、決済する金額が指定された会社が予め定める金額を超える場合にはPINありでの支払いをOCX部121に応答する。応答された情報は、OCX部121からPOSアプリ部122に通知され、その後、決済中継サーバ30Cに通知される。
一方、分割での支払いの場合、決済処理部120は、ダミー会社用のDLLテーブルを読み出す。ダミー会社用のDLLテーブルが読み出された場合、金額に関係なくPINありの決済が求められる。すなわち、本来のカード会社ではPINなしで済む金額の場合にも、PINありの決済であることがOCX部121に応答される。
この仕組みの採用により、カード会社の定める金額とは関係なく、一括支払いは本人認証を省略できるが、一括払い以外は本人認証を要求することができる。
【0067】
(決済処理の流れ2)
続いて、決算処理の別の流れを説明する。
図17は、実施の形態4で説明する電子決済システム1C上で実行される決済処理の他の一例を概略的に説明する図である。なお、図中のSはステップの意味である。なお、
図17には、
図16との対応部分に対応する符号を付して示している。
図17に示す処理の場合も、決済中継サーバ30CからOCX部121への応答までは同じである。
ただし、
図17の場合には、OCX部121がPOSアプリ部122に対して売り場を確認する。POSアプリ部122は、店舗側のスタッフが入力した売り場の情報を応答する。
応答を受信したOCX部121は、売り場に応じたカード会社を指定して決済処理部120に与える(ステップ41)。
図17の場合、POSアプリ部122からの応答が食品売り場の場合、OCX部121は、本来のカード会社を指定する。一方、POSアプリ部122からの応答が食品売り場以外であった場合、OCX部121は、ダミーのカード会社を指定する。
【0068】
通知を受けた決済処理部120は、指定された会社用のDLLテーブルを読み出す(ステップ34)。
例えば食品売り場の場合、決済処理部120は、指定された会社が予め定める金額以内の場合にはPINレスでの支払いをOCX部121に応答する。なお、決済する金額が指定された会社が予め定める金額を超える場合にはPINありでの支払いをOCX部121に応答する。
図17の例は、予め定める金額が1万円の場合を表している。応答された情報は、OCX部121からPOSアプリ部122に通知され、その後、決済中継サーバ30Cに通知される。
一方、他の売り場の場合、決済処理部120は、ダミー会社用のDLLテーブルを読み出す。ダミー会社用のDLLテーブルが読み出された場合、金額に関係なくPINありの決済が求められる。すなわち、本来のカード会社ではPINなしで済む金額の場合にも、食品売り場以外ではPINありの決済が必要であることがOCX部121に応答される。
この仕組みの採用により、カード会社の定める金額とは関係なく、売り場に応じた本人認証の変更を実現することができる。
【0069】
<実施の形態5>
続いて、実施の形態5について説明する。
本実施の形態では、再度、QRコードを用いた電子決済について説明する。
実施の形態1においては、店舗側のPOS端末10(
図1参照)が発行するQRコードを読み取るスマートフォン20(
図1参照)が決済中継サーバ30に送信する場合に、POS端末10の決済情報とスマートフォン20経由の決済情報の突合を決済中継サーバ30で行っているが、本実施の形態では、決済情報の突合を店舗側の従業員やスマートフォン20の利用者の目視により実現する手法を提供する。
【0070】
図18は、実施の形態5で使用する電子決済システム1Dの概略構成を例示する図である。
図18には、
図1との対応部分に対応する符号を付して示している。
図18に示すように、実施の形態5で説明する電子決済システム1Dの構成は、実施の形態1と同様である。すなわち、実施の形態5の場合も、店舗内に設置されるPOS端末10Dと、店舗内で物品を購入した電子決済サービスの利用者が対価の決済に使用するスマートフォン20と、店舗と決済事業者との間で決済情報を中継する決済中継サーバ30Dと、決済事業者が運用する決済事業者サーバ40とを有している。
【0071】
(POS端末10Dの構成)
図19は、実施の形態5で使用するPOS端末10Dの構成を説明するブロック図の一例を示す図である。
図19には、
図2との対応部分に対応する符号を付して示している。
実施の形態5で用いるPOS端末10Dは、端末の全体を制御する制御部11Dと、データ等の記憶に用いられる記憶部12と、操作の受付や操作画面の表示等に使用される操作表示部13と、紙幣処理部14と、硬貨処理部15と、決済の明細であるレシートを出力するレシート出力部16と、第一の決済情報に対応する決済用のQRコードを生成する決済用QRコード生成部17と、決済中継サーバ30Dから決済結果成功情報が受信されるまでのタイムアウト時間を管理するタイムアウト管理部17Aと、決済中継サーバ30Dとの通信の結果を操作表示部13に表示する取引結果表示制御部17Bと、外部装置との通信に用いられる通信部18とを備えている。
【0072】
本実施の形態で使用するPOS端末10Dは、タイムアウト管理部17Aと取引結果表示制御部17Bが設けられる点で、実施の形態1と相違する。
なお、タイムアウト管理部17Aと取引結果表示制御部17Bは、POS端末10DにインストールされているPOS連動型のアプリケーションプログラム(以下「OCXドライバ」という)の実行を通じて実現される。
OCXドライバは、制御部11Dで実行される他のアプリケーションプログラム(以下「POSアプリ」という)が発行するPOS決済APIを通じてQR決済情報を受け取ると、取引情報ログを生成して記憶部12に記憶する。なお、QR決済情報には、QRコードを通じて決済する金額(以下「決済金額」という)と対応する伝票番号が含まれる。
本実施の形態におけるタイムアウト管理部17Aは、取引情報ログが生成されると、タイマーを始動し、予め定めた時間内に、決済中継サーバ30Dから決済結果成功情報が受信されるか否かを管理する。
取引結果表示制御部17Bは、決済結果成功情報が受信された場合には受信された決済結果成功情報などを操作表示部13に表示する一方、決済結果成功情報の受信がないままタイムアウトが検知された場合には取引情報ログを操作表示部13に表示する。
【0073】
(決済中継サーバ30Dの構成)
図20は、実施の形態5で使用する決済中継サーバ30Dの構成を説明するブロック図の一例を示す図である。
図20には、
図3との対応部分に対応する符号を付して示している。
実施の形態5で用いる決済中継サーバ30Dは、装置全体を制御する制御部31Dと、データ等の記憶に用いられる記憶部32と、スマートフォン20(
図18参照)から受信したQR決済情報に基づく決済処理の進行を管理する決済進行管理部36Aと、外部装置との通信に用いられる通信部37とを備えている。
本実施の形態における決済進行管理部36Aは、取引の成立が確定した場合、決済結果成功情報とQR決済情報(以下「決済結果成功情報等」という)を、POS端末10Dとスマートフォン20の両方に送信する。
【0074】
(決済処理の流れ)
図21は、実施の形態5で説明する電子決済システム1D上で実行される決済処理の概要を説明する図である。
図21には、
図4との対応部分に対応する符号を付して示している。なお、図中のSはステップの意味である。
実施の形態5の場合も、一連の処理は、店舗内に設置されているPOS端末10Dに購入された物品等の金額が確定している。
決済金額が確定すると、POS端末10Dは、POS決済APIを発行する(ステップ41)。
次に、POS端末10Dは、取引情報ログを生成する(ステップ42)と共に、タイマーを始動する(ステップ43)。ここでのタイマーは、決済中継サーバ30Dからの決済結果成功情報が受信されるまでのタイムアウトの管理に使用される。
【0075】
次に、POS端末10Dは、操作表示部13(
図19参照)に読み取りを促すメッセージを表示する(ステップ2)と共に、決済用のQRコードを表示する(ステップ3)。本実施の形態の場合も、メッセージの表示と決済用のQRコードの表示の実行の順序は逆でも良いし、同じ画面を用いて同時に表示してもよい。
メッセージが表示されると、利用者は、決済用のアプリケーションプログラムが起動されたスマートフォン20を用い、操作表示部13に表示されている決済用のQRコードを読み取る(ステップ4)。
スマートフォン20は、読み取った決済用のQRコードをデコードし、デコードされた情報に決済を求める自身の情報を付加したQR決済情報を、決済中継サーバ30Dに通知する。QR決済情報には伝票番号も含まれている。
本実施の形態の場合、決済中継サーバ30Dは、取引の成立を確認すると(ステップ44)、決済結果成功情報とQR決済情報を含む決済結果成功情報等をスマートフォン20とPOS端末10Dに通知する。
【0076】
スマートフォン20では、受信した決済結果成功情報等を表示する(ステップ45)。 一方、POS端末10Dは、タイムアウトしたか否かを判定し(ステップ46)、タイムアウトしていない場合(すなわち否定結果の場合)、決済結果情報等を受信したか否かを判定する(ステップ47)。ステップ47で否定結果が得られた場合、POS端末10Dは、ステップ46に戻り、判定を繰り返す。
なお、ステップ47で肯定結果が得られた場合、POS端末10Dは、決済結果成功情報等を表示する(ステップ48)。この場合、POS端末10Dを操作する従業員等は、決済の成立を確認する。
ところで、決済結果成功情報を受信する前にタイムアウトする場合がある。すなわち、ステップ46で肯定結果が得られる場合である。この場合は、POS端末10Dと決済中継サーバ30Dとの通信処理にエラーが生じた場合に生じる。
【0077】
この場合、POS端末10Dを操作する作業者は、結成の成立を操作表示部13上で確認することはできない。
しかし、本実施の形態の場合、その代替手段が用意されている。具体的には、POS端末10Dは、操作表示部13に取引情報ログの内容を表示する(ステップ49)。
この場合、店舗側の従業員や取引の相手側である利用者等は、POS端末10D側で表示された伝票番号と、スマートフォン20側で表示された伝票番号が一致するか否かを目視により確認できる。すなわち、スマートフォン20に表示された決済結果成功情報が今回の取引と一致するか否かを確認できる。
2つの伝票番号が一致すれば、取引の成立が確認される。一方、2つの伝票番号が一致しなければ、取引の不成立が確認される。このため、店舗側は、決済の成立が不明なままの取引を回避でき、不正な取引に伴う損失を免れることができる。また、購入者である利用者においても、取引の成立をその場で確認でき、安心することができる。
なお、QRコードを用いた取引の取り消しや返品処理が可能な場合には、前述した仕組みを、取引の取り消しや返品取引にも活用できる。また、取引に関する決済処理だけでなく、QRコードを介在させる情報のやり取りにも活用できる。
【符号の説明】
【0078】
1、1A、1B、1C、1D…電子決済システム、10、10A、10B、10C、10D…POS端末、17…決済用QRコード生成部、19、29、35…突合処理部、20、20A…スマートフォン、25…決済結果通知用QRコード生成部、30、30A、30B、30C、30D…決済中継サーバ、33…第一決済情報受信部、34…第二決済情報受信部、36…決済進行管理部、38…第二決済情報通知部、40…決済事業者サーバ、120…決済処理部、121…OCX部、122…POXアプリ部