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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】コンバイン
(51)【国際特許分類】
   A01D 41/12 20060101AFI20221220BHJP
   A01F 12/60 20060101ALI20221220BHJP
   F01N 3/022 20060101ALI20221220BHJP
   F01N 3/035 20060101ALI20221220BHJP
   F01N 3/08 20060101ALI20221220BHJP
   F01N 3/24 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
A01D41/12 H ZAB
A01F12/60
F01N3/022 Z
F01N3/035 E
F01N3/08 B
F01N3/24 E
F01N3/24 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019184957
(22)【出願日】2019-10-08
(62)【分割の表示】P 2015067565の分割
【原出願日】2015-03-27
(65)【公開番号】P2020072660
(43)【公開日】2020-05-14
【審査請求日】2019-10-08
【審判番号】
【審判請求日】2021-07-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000006781
【氏名又は名称】ヤンマーパワーテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134751
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 隆一
(72)【発明者】
【氏名】梶原 康一
(72)【発明者】
【氏名】國松 翔太
【合議体】
【審判長】前川 慎喜
【審判官】桐山 愛世
【審判官】住田 秀弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-177913(JP,A)
【文献】国際公開第2015/019501(WO,A1)
【文献】特開2011-147397(JP,A)
【文献】特開2014-190329(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D41/00-41/06
B60K13/04
F01N3/00-3/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行機体に搭載した動力源であるエンジンと、
該エンジンの排気ガス中の粒子状物質を除去する第1ケース、及び前記エンジンの排気ガス中の窒素酸化物質を除去する第2ケースで構成される排気ガス浄化装置と、
前記エンジンを内設させるエンジンルームと、
穀物を脱穀する脱穀装置と、
前記エンジンルームの後方にあり且つ前記脱穀装置で脱穀した穀物を搬入する穀物タンクとを備えたコンバインにおいて、
前記穀物タンクには、前記エンジンルーム及び前記脱穀装置と対向するコーナー部に凹部を設けており、前記穀物タンクの凹部に前記第1ケース及び前記第2ケースが配置されており、前記凹部の上側は、前記第1ケース及び前記第2ケースの上方に位置するように張り出している、
コンバイン。
【請求項2】
前記第1ケース及び前記第2ケースは、それぞれの長手方向が前記走行機体の進行方向前後に沿うように配置されている、
請求項1に記載したコンバイン。
【請求項3】
前記第1ケース及び前記第2ケースを一体で固定する固定部材を有している、
請求項1又は2に記載したコンバイン。
【請求項4】
前記固定部材は前記脱穀装置に固定されている、
請求項3に記載したコンバイン。
【請求項5】
前記凹部は前記エンジンルームと対向する面に開口を有しており、前記固定部材の前方側は前記エンジンルームを形成するフレームに固定されている、
請求項3又は4に記載したコンバイン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圃場に植立した穀稈を刈取って穀粒を収集するコンバイン、又は飼料用穀稈を刈取って飼料として収集する飼料コンバイン等のコンバインに係り、より詳しくは、ディーゼルエンジン等の排気ガス中に含まれた粒子状物質(すす、パティキュレート)、または排気ガス中に含まれた窒素酸化物質(NOx)等を除去する排気ガス浄化装置が備えられたコンバインに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、ディーゼルエンジンの排気経路中に、排気ガス浄化装置(排気ガス後処理装置)として、ディーゼルパティキュレートフィルタを内設したケース(以下、DPFケースという)と、尿素選択還元型触媒を内設したケース(以下、SCRケースという)を設け、DPFケースとSCRケースに排気ガスを導入して、ディーゼルエンジンから排出された排気ガスを浄化処理する技術が知られている(例えば特許文献1~3参照)。また、従来、コンバインは、圃場の未刈り穀稈を刈刃装置によって切断し、穀稈搬送装置によって脱穀装置にその刈取り穀稈を搬送して脱穀し、穀物タンクに穀粒を収集する構造であって、走行機体にエンジンが搭載され、そのエンジン上面側にDPFケースが横向き姿勢に配置され、エンジンからDPFケースに向けて排気ガスを排出するように構成していた。(例えば、特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-74420号公報
【文献】特開2012-21505号公報
【文献】特開2012-177233号公報
【文献】特開2010-209813号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記従来技術は、エンジンルームに、エンジンと排気ガス浄化装置(DPFケース)を近接させて設置する構造では、エンジン取付け部の周辺に排気ガス浄化装置(SCRケース)の設置スペースを確保する必要があり、エンジンルーム容積または排気ガス浄化装置(DPFケースまたはSCRケース)容積が制限される等の問題がある。また、エンジンルーム外側に排気ガス浄化装置(DPFケースまたはSCRケース)を支持させる構造では、DPFケースにSCRケースを接続させる尿素混合管、または排気ガス浄化装置などの取付け位置が制限され、排気ガス浄化装置の取付け構造を簡略化できない等の問題がある。なお、貨物自動車のように、エンジンから離れた位置の走行機体に排気ガス浄化装置(DPFケースまたはSCRケース)を設置する構造では、排気ガス浄化装置の設置スペースを容易に確保できるが、排気ガス浄化装置内の排気ガス温度が所定温度以下に低下し易い不具合がある。
【0005】
そこで、本願発明は、これらの現状を検討して改善を施したコンバインを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本願発明は、走行機体に搭載した動力源であるエンジンと、該エンジンの排気ガス中の粒子状物質を除去する第1ケース、及び前記エンジンの排気ガス中の窒素酸化物質を除去する第2ケースで構成される排気ガス浄化装置と、前記エンジンを内設させるエンジンルームと、穀物を脱穀する脱穀装置と、前記エンジンルームの後方にあり且つ前記脱穀装置で脱穀した穀物を搬入する穀物タンクとを備えたコンバインにおいて、前記穀物タンクには、前記エンジンルーム及び前記脱穀装置と対向するコーナー部に凹部を設けており、前記穀物タンクの凹部に前記第1ケース及び前記第2ケースが配置されており、前記凹部の上側は、前記第1ケース及び前記第2ケースの上方に位置するように張り出しているというものである。
【0007】
上記コンバインにおいて、前記第1ケース及び前記第2ケースは、それぞれの長手方向が前記走行機体の進行方向前後に沿うように配置されているものであっても構わない。
【0008】
上記コンバインにおいて、前記第1ケース及び前記第2ケースを一体で固定する固定部材を有していてもよい。また、前記固定部材は前記脱穀装置に固定されるものであってもよい。
【0009】
上記コンバインにおいて、前記凹部は前記エンジンルームと対向する面に開口を有しており、前記固定部材の前方側は前記エンジンルームを形成するフレームに固定されるものであっても構わない。
【発明の効果】
【0010】
本願発明によれば、穀物タンクには、エンジンルーム及び脱穀装置と対向するコーナー部に凹部を設けており、穀物タンクの凹部に第1ケース及び第2ケースが配置されており、凹部の上側は、第1ケース及び第2ケースの上方に位置するように張り出しているから、穀物タンクと脱穀装置との間に排気ガス浄化装置を位置させ、高温になる排気ガス浄化装置に作業者が接触するのを防止できる。排気ガスの浄化に必要な高温環境下に前記排気ガス浄化装置を配置し、前記排気ガス浄化装置において高い浄化効果を維持できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態を示す6条刈りコンバインの左側面図である。
図2】同平面図である。
図3】同右側面図である。
図4】エンジンルーム内の構成を示す正面斜視図である。
図5】エンジン周辺部品と穀物タンク及び脱穀機との位置関係を示す斜視図である。
図6】エンジン及び排気ガス浄化装置を示す外観斜視図である。
図7】排気ガス浄化装置取付け部の背面斜視図である。
図8】脱穀装置の一部を示す右側面図である。
図9】尿素水供給説明図である。
図10】第1の実施形態となるコンバインにおける走行機体上の部品配置を示す斜視図である。
図11】同コンバインの後方斜視図である。
図12】同コンバインの平面図である。
図13】第2の実施形態となるコンバインの平面図である。
図14】同コンバインの後方斜視図である。
図15】同コンバインにおける尿素水タンクの正面図である。
図16】同コンバインの右側面図である。
図17】第3の実施形態となるコンバインにおける各部品の配置を示す斜視図である。
図18】同コンバインの脱穀装置の内部を示す左側面図である。
図19】第4の実施形態となるコンバインにおける走行機体上の部品配置を示す斜視図である。
図20】同コンバインの後方斜視図である。
図21】同コンバインにおける尿素水タンクの変形例を示す図である。
図22】第5の実施形態となるコンバインにおける走行機体上の部品配置を示す斜視図である。
図23】同コンバインの燃料タンクと尿素水タンクの正面図(コンバインの左側面図)である。
図24】同コンバインの燃料タンクと尿素水タンクの第1変形例を示す正面図(コンバインの左側面図)である。
図25図24に示す燃料タンクと尿素水タンクの構成を示す側面図である。
図26図24に示す燃料タンクと尿素水タンクを分離させたときの構成を示す側面図である。
図27】同コンバインの燃料タンクと尿素水タンクの第2変形例を示す正面図(コンバインの左側面図)である。
図28図27に示す燃料タンクと尿素水タンクの構成を示す側面図である。
図29図27に示す尿素水タンクにおいて尿素水を満水にしたときの状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<第1の実施形態>
以下に、本発明を具体化した第1の実施形態を図1図12に基づいて説明する。図1図3を参照して、ディーゼルエンジンが搭載された実施形態のコンバインの全体構造について説明する。なお、以下の説明では、走行機体1の前進方向に向かって左側を単に左側と称し、同じく前進方向に向かって右側を単に右側と称する。図1図3に示す如く、走行部としての左右一対の走行クローラ2にて支持された走行機体1を備える。走行機体1の前部には、穀稈を刈取りながら取込む6条刈り用の刈取装置3が、単動式の昇降用油圧シリンダ4によって刈取回動支点軸4a回りに昇降調節可能に装着される。走行機体1には、フィードチェン6を有する脱穀装置5と、該脱穀装置5から取出された穀粒を貯留する穀物タンク(グレンタンク)7とが横並び状に搭載される。なお、脱穀装置5が走行機体1の左側に、穀物タンク7が走行機体1の右側に配置される。
【0013】
また、走行機体1の後部に縦取出しコンベヤ8aを介して旋回可能な穀物排出コンベヤ8が設けられ、穀物タンク7の内部の穀粒が、穀物排出コンベヤ8の籾投げ口9からトラックの荷台またはコンテナ等に排出されるように構成している。刈取装置3の右側方で、穀物タンク7の前側方には、運転キャビン10が設けられている。運転キャビン10の前面下部にキャビン回動支点軸10aを設け、キャビン回動支点軸10aを介して走行機体1に運転キャビン10の前面下部を回動可能に軸支し、機外前側方に向けて運転キャビン10を移動可能に設置し、キャビン回動支点軸10a回りに運転キャビン10を前方側に回動させるように構成している。
【0014】
運転キャビン10内には、操縦ハンドル11と、運転座席12と、主変速レバー15と、副変速レバー16と、脱穀クラッチを入り切り操作する脱穀クラッチレバー17と、刈取クラッチを入り切り操作する刈取クラッチレバー18とを配置している。運転座席12の下方の走行機体1には、動力源としてのディーゼルエンジン14が配置されている。なお、運転キャビン10には、オペレータが搭乗するステップと、操縦ハンドル11を設けたハンドルコラムと、前記各レバー15,16,17,18を設けたレバーコラム等が配置されている。
【0015】
図1に示す如く、走行機体1の下面側に左右のトラックフレーム21を配置している。トラックフレーム21には、走行クローラ2にエンジン14の動力を伝える駆動スプロケット22と、走行クローラ2のテンションを維持するテンションローラ23と、走行クローラ2の接地側を接地状態に保持する複数のトラックローラ24と、走行クローラ2の非接地側を保持する中間ローラ25とを設けている。駆動スプロケット22によって走行クローラ2の前側を支持し、テンションローラ23によって走行クローラ2の後側を支持し、トラックローラ24によって走行クローラ2の接地側を支持し、中間ローラ25によって走行クローラ2の非接地側を支持する。
【0016】
図1及び図2に示す如く、エンジン14に供給する燃料を貯蔵する燃料タンク31を、走行機体1の左側後部に配置し、脱穀装置5左側の機外側方から燃料タンク31内にディーゼル燃料を補充可能に構成している。すなわち、燃料タンク31は、走行機体1上であって、脱穀装置5後部の排藁カッタ65下方となる位置に設置されており、給油口32(図8参照)を脱穀装置5左側に延設させて、機外側方より給油可能としている。
【0017】
図1及び図2に示す如く、刈取装置3の刈取回動支点軸4aに連結した刈取フレーム51には、圃場に植立した未刈り穀稈の株元を切断するバリカン式の刈刃装置52が設けられている。刈取フレーム51の前方には、圃場に植立した未刈り穀稈を引起す6条分の穀稈引起装置53が配置されている。穀稈引起装置53とフィードチェン6の前端部(送り始端側)との間には、刈刃装置52によって刈取られた刈取り穀稈を搬送する穀稈搬送装置54が配置される。なお、穀稈引起装置53の下部前方には、未刈り穀稈を分草する6条分の分草体55が突設されている。圃場内を移動しながら、刈取装置3によって圃場に植立した未刈り穀稈を連続的に刈取るように構成している。
【0018】
次に、図1及び図2を参照して、脱穀装置5の構造を説明する。図1及び図2に示す如く、脱穀装置5には、穀稈脱穀用の扱胴56と、扱胴56の下方に落下する脱粒物を選別する揺動選別盤57及び唐箕ファン58と、扱胴56の後部から取出される脱穀排出物を再処理する処理胴59と、揺動選別盤57の後部の排塵を排出する排塵ファン60を備えている。なお、刈取装置3から穀稈搬送装置54によって搬送された穀稈は、フィードチェン6に受継がれて、脱穀装置5に搬入されて扱胴56にて脱穀される。
【0019】
図1に示す如く、揺動選別盤57の下方側には、揺動選別盤57にて選別された穀粒(一番物)を取出す一番コンベヤ61と、枝梗付き穀粒等の二番物を取出す二番コンベヤ62とが設けられている。揺動選別盤57は、扱胴56の下方に張設された受網67から漏下した脱穀物が、フィードパン68及びチャフシーブ69によって揺動選別(比重選別)されるように構成している。揺動選別盤57から落下した穀粒は、その穀粒中の粉塵が唐箕ファン58からの選別風によって除去され、一番コンベヤ61に落下する。一番コンベヤ61から取出された穀粒は、揚穀コンベヤ63を介して穀物タンク7に搬入され、穀物タンク7に収集される。
【0020】
また、図1に示す如く、揺動選別盤57は、揺動選別によってチャフシーブ69から枝梗付き穀粒等の二番物を二番コンベヤ62に落下させるように構成している。チャフシーブ69の下方に落下する二番物を風選する選別ファン71を備える。チャフシーブ69から落下した二番物は、その穀粒中の粉塵及び藁屑が選別ファン71からの選別風によって除去され、二番コンベヤ62に落下する。二番コンベヤ62の終端部は、還元コンベヤ66を介して、フィードパン68の上面側に連通接続され、二番物を揺動選別盤67の上面側に戻して再選別するように構成している。
【0021】
一方、図1及び図2に示す如く、フィードチェン6の後端側(送り終端側)には、排藁チェン64と排藁カッタ65が配置されている。フィードチェン6の後端側から排藁チェン64に受継がれた排藁(穀粒が脱粒された稈)は、長い状態で走行機体1の後方に排出されるか、又は脱穀装置5の後部に設けられた排藁カッタ65にて適宜長さに短く切断されたのち、走行機体1の後方下方に排出されるように構成している。
【0022】
図4及び図5に示す如く、穀物タンク7は、前面左側を切り欠いた形状による浄化装置設置用凹部7aと、上面左側に前後方向の溝形状による穀物排出コンベヤ設置用凹部7bと、左側面中央に上下方向に沿って段差を設けた形状による揚穀コンベヤ設置用凹部7cとを備えている。穀物タンク7前面の浄化装置設置用凹部7aには、エンジンルーム97後方に空間が設けられ、排気ガス浄化装置74が配置される。穀物タンク7上面の穀物排出コンベヤ設置用凹部7bには、コンベヤ支持体に先端を収容した穀物排出コンベヤ8が穀物排出コンベヤ設置用凹部7bに沿って収容される。更に、穀物タンク7左側面の揚穀コンベヤ設置用凹部7cには、揚穀コンベヤ63が揚穀コンベヤ設置用凹部7cに沿って固定されており、揚穀コンベヤ設置用凹部7c上部に設けた受け口で連結される。
【0023】
図3図10及び図11に示す如く、穀粒排出コンベヤ8は、縦取出しコンベヤ(縦送りコンベヤ)8aの上端側に回動可能に支持されており、穀粒排出コンベヤ8の送り終端側に籾投げ口9を設けている。穀物タンク7の底部に横送りコンベヤ8bを前後向きに配置するとともに、横送りコンベヤ8bの後端に縦取出しコンベヤ8aの下端(基端)側を連結している。また、穀物タンク7底部に機外側底板7aと機内側底板(図示省略)を設け、横送りコンベヤ8bに向けて機外側底板7aと機内側底板を傾斜させ、穀物タンク7内部の穀粒を横送りコンベヤ8b方向に流下させる。横送りコンベヤ8bは、穀物タンク7の底部前後に沿って延設されており、穀物タンク7の底板に沿って流下する穀粒を後方の縦取出しコンベヤ8aに搬送する。
【0024】
縦取出しコンベヤ8aは、穀物タンク7後端面より突出させた横送りコンベヤ8b後端と連結して、穀物タンク7後端面に沿って、穀物タンク7上方に向けて延設されている。縦取出しコンベヤ8aは、下端(基端)側を横送りコンベヤ8bと連結する一方、上方部分を穀物タンク7後端面に固定することで、穀物タンク7後方で立設している。更に、縦取出しコンベヤ8a下端を走行機体1上に支持させて、縦取出しコンベヤ8a軸心線回りに穀物タンク7を機外側に向けて横移動可能とし、脱穀装置5右側面とエンジンルーム97後面を開放可能に構成している。また、穀物タンク7後方に、縦取出しコンベヤ8aの周囲を覆う後方カバー30を着脱可能に設けており、穀物タンク7の機外側底板7a外側面に底部カバー体165を着脱可能に設けている。
【0025】
次に、図4図7を参照して、排気ガス浄化装置74としての第1ケース75(ディーゼルパティキュレートフィルタ、DPF)及び第2ケース229(選択触媒還元、SCR)と、ディーゼルエンジン14とについて説明する。ディーゼルエンジン14の排気ガス中の粒子状物質を除去するディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)としての第1ケース75と、ディーゼルエンジン1の排気ガス中の窒素酸化物質を除去する尿素選択触媒還元(SCR)システムとしての第2ケース229を備える。図5に示すように、第1ケース75には、酸化触媒79と、スートフィルタ80が内設されている。図7に示すように、第2ケース229には、尿素選択触媒還元用のSCR触媒232と、酸化触媒233が内設されている。
【0026】
また、第1ケース75は、入口側ケース76と、出口側ケース77を有している。入口側ケース76の内部に、二酸化窒素(NO2)を生成する白金等のディーゼル酸化触媒79を配置している。入口側ケース76と出口側ケース77の内部に、捕集した粒子状物質(PM)を比較的低温で連続的に酸化除去するハニカム構造のスートフィルタ80を配置している。入口側ケース76及び出口側ケース77内で排気ガスの移動方向に直列に配置したディーゼル酸化触媒79とスートフィルタ80によって、ディーゼルエンジン14の排気ガス中の粒子状物質(PM)の除去に加え、排気ガス中の一酸化炭素(CO)や炭化水素(HC)を低減する。一方、第2ケース229内で排気ガスの移動方向に直列にSCR触媒232と酸化触媒233を配置している。第2ケース229内のSCR触媒232と酸化触媒233にて窒素酸化物質(NOx)を低減するように構成している。
【0027】
さらに、図4図7に示す如く、第1ケース75と第2ケース229は、機体前後方向に長く延びた長尺円筒形状に構成している。第1ケース75の筒形状両側(排気ガス移動方向一端側と同他端側)には、排気ガスを取入れるDPF入口管81と、排気ガスを排出するDPF出口管82を設けている。同様に、第2ケース29の両側(排気ガス移動方向一端側と同他端側)には、排気ガスを取入れるSCR入口管236と、排気ガスを排出するSCR出口管237を設けている。
【0028】
また、図4図7に示す如く、ディーゼルエンジン14の排気ガス出口(排気マニホールド117)に、ディーゼルエンジン14に空気を強制的に送り込む過給機118を配置している。過給機118の排気ガス出口側に排気連結管119を介してDPF入口管81を連通させ、ディーゼルエンジン14の排気ガスを第1ケース75内に導入する。DPF出口管82にSCR入口管236を接続させる尿素混合管239を連結し、第1ケース75から尿素混合管239を介して第2ケース229内に排気ガスを導入するように構成している。加えて、過給機118の排気ガス出口側と排気連結管119は、折曲げ及び伸縮可能な蛇腹状連結パイプ98にて接続され、過給機118側のエンジン14振動が排気連結管119側に伝達されないように構成している。
【0029】
一方、DPF出口管82と、尿素混合管239の尿素水噴射部240は、パイプフランジにて着脱可能にボルト締結している。入口側ケース76と出口側ケース77は、複数組の厚板状中間フランジ体84のボルト締結にて着脱可能に連結し、出口側ケース77を分離してスートフィルタ80の分解メンテナンスを実行可能に構成している。また、SCR出口管237にテールパイプ83を連結して、機体上側方に向けてテールパイプ83の排気ガス出口を開設するものであり、ディーゼルエンジン14(各気筒)の排気ガスは、過給機118から第1ケース75内に導入され、第1ケース75から尿素混合管239に移動し、後述する尿素水タンク174内の尿素水が排気ガスに混合されてから、その排気ガスが第2ケース229内に導入され、テールパイプ83から機外に放出されるように構成している。
【0030】
上記の構成により、ディーゼルエンジン14の排気ガス中に含まれた粒子状物質(PM)は、第1ケース75内のスートフィルタ80に捕集されて、二酸化窒素(NO2)によって連続的に酸化除去される。ディーゼルエンジン14の排気ガス中の粒状物質(PM)の除去に加え、ディーゼルエンジン14の排気ガス中の一酸化炭素(CO)や炭化水素(HC)の含有量が低減される。次いで、尿素混合管239の内部で、ディーゼルエンジン14からの排気ガスに、尿素水噴射部240の尿素水噴射ノズル体から尿素水が噴射され、加水分解にて生成されたアンモニアが混合された第2ケース229内の排気ガスは、尿素選択触媒還元用のSCR触媒232、酸化触媒233にて窒素酸化物質(NOx)の含有量が低減される。第1ケース75と第2ケース229にてディーゼルエンジン14の排気ガスが浄化されて、テールパイプ83から機外に放出される。
【0031】
次いで、図4及び図6に示す如く、穀物タンク7前方の走行機体1上に機体フレームとしてのエンジンルームフレーム91を立設し、エンジンルームフレーム91にてエンジンルーム97を形成している。走行機体1上面側にディーゼルエンジン14を載置し、エンジンルーム97内部にディーゼルエンジン14を内設する。また、エンジンルーム97内部のうちディーゼルエンジン14側方に水冷用ラジエータ(図示省略)及び冷却ファン115などの冷却部品を内設する。冷却ファン115にてラジエータ(図示省略)などの冷却部品に向けてコンバイン機体の右側外方から外気を取込む一方、脱穀装置5側に向けてディーゼルエンジン14の暖気を排出させるように構成している。
【0032】
また、ディーゼルエンジン14と冷却部品の右側と背面側と上面側がエンジンルームフレーム91にて囲まれ、ディーゼルエンジン14の冷却ファン115にて、エンジンルームフレーム91の右側外方からエンジンルーム97内部に冷却用外気を取込む一方、ディーゼルエンジン14と冷却部品を冷却した後の暖気が、エンジンルームフレーム91(エンジンルーム97)に隣接した作業部としての脱穀装置5右側に向けて排出されるように構成している。
【0033】
エンジンルームフレーム91は、左の角パイプ状支柱体92と、右の逆U字形状支柱体93と、左右の支柱体92,93に両端側を一体的に固定させた角パイプ状横フレーム94を有する。角パイプ状横フレーム94は、一端が角パイプ状支柱体92上端と連結する一方、他端を逆U字形状支柱体93上方に固定した角パイプ状フレーム93aと連結して、固定されている。
【0034】
また、運転キャビン10の底面後部に設けるゴム製の圧接脚体(図示省略)を、横フレーム94の左右の受け台96上面に上方側から当接させて、横フレーム94の各受け台96に運転キャビン10の後部を上下方向に接離可能に支持している。運転キャビン10底面側とエンジンルームフレーム91にて形成されるエンジンルーム97の内部にディーゼルエンジン14を設置している。なお、図4に示す如く、左支柱体92の上端側にコンベヤ支持体90を設け、コンベヤ支持体90を介して穀物排出コンベヤ8を収納位置に支持させる。
【0035】
さらに、ディーゼルエンジン14に外気を供給するエアクリーナ123と、エアクリーナ123に外気を取込むプリクリーナ124を備える。エンジンルーム97の上面のうち、排気ガス浄化装置74右側方にエアクリーナ123を配置すると共に、穀物タンク7前方右側であってエンジンルーム94上方にプリクリーナ124を配置し、プリクリーナ124に給気管125を介してエアクリーナ123を接続させている。プリクリーナ124からエアクリーナ123を介してディーゼルエンジン14の過給機118のコンプレッサケース118aに燃焼用空気を取込むように構成している。エアクリーナ123は、エンジンルームフレーム91の横フレーム94の後面右側で固定されることで、排気ガス浄化装置74の前方右側に位置している。
【0036】
図4図6等に示す如く、過給機118は、ディーゼルエンジン14の上方前側に設置されており、その右側にブロアホイルを内蔵したコンプレッサケース118aを設ける一方、左側にタービンホイルを内蔵したタービンケース118bを設けている。そして、コンプレッサ118a右端に設けた吸気取入れ側が、給気管120を介してエアクリーナ123の吸気排出側と連通する。一方、タービンケース118b左端に設置される排気出口管99が、折曲可能な蛇腹状排気導入管98を介して、後処理装置である排気ガス浄化装置74の排気ガス入口(DPF入口管81)に接続させた排気連結管119と連結する。
【0037】
図3図6に示す如く、第1ケース75及び第2ケース229を備える排気ガス浄化装置74と、エアクリーナ123及びプリクリーナ124とは、エンジンルームフレーム91背面でエンジン14に対して左右に振り分けて配置されている。すなわち、エンジン14前面の過給機118に対して、右側のコンプレッサケース118a側に吸気系となるエアクリーナ123及びプリクリーナ124を配置する一方、左側のタービンケース119b側に排気系となる排気ガス浄化装置74を配置している。従って、過給機118を備えるエンジン14の吸気経路及び排気経路を左右に振り分けて配置するため、吸気経路及び排気経路を短経路で構成できるとともに、高温の排気ガスが通過する排気経路に対して吸気経路を離間させて配置できる。
【0038】
次に、図4図7を参照して、排気ガス浄化装置74の取付け構造及び支持構造について説明する。排気ガス浄化装置74は、第1ケース(DPF)75と第2ケース(SCR)229をケース固定体231にて並列状に連結してユニット構成している。ケース固定体231上において、第1ケース75を複数の締結バンド85で着脱可能に固定するとともに、第2ケース229を複数の締結バンド230で着脱可能に固定する。すなわち、複数の締結バンド85,230それぞれの両端をケース固定体231にボルト締結させることで、第1ケース75及び第2ケース229が平行となるようにケース固定体231上に並設させる。
【0039】
第1ケース75及び第2ケース229を上面に搭載したケース固定体231を支持台250に固定することで、走行機体1上で排気ガス浄化装置74を支持している。図4図7に示すように、支持台250は、穀物タンク7の前面左側(脱穀装置5側)に設けた浄化装置設置用凹部7a下方に配置しており、排気ガス浄化装置74をエンジンルーム97から浄化装置設置用凹部7aに亘って支持している。支持台250は、図5図7に示すように、左縁が脱穀装置5の機筐フレーム右側で固定され、前側がエンジンルームフレーム94で固定され、右縁が走行機体1より立設させた支柱フレーム251で固定されることにより、穀物タンク7の凹部7aにおける上方位置に支持されている。
【0040】
支持台250前側は、図4及び図6に示すように、一端を支持台250裏面で固定された架橋フレーム252の他端をエンジンルームフレーム91の横フレーム94と連結させることで、エンジンルームフレーム91により支持されている。また、支持台250左縁は、図5に示すように、脱穀装置5上面の右側部(脱穀機筐右側上部の脱穀上面フレーム)と組付調整フレーム253を介して連結することで、脱穀装置5の右側部で支持されている。更に、支持台250右縁は、図7に示すように、支柱フレーム251上端と横桟フレーム254を介して連結することで、支柱フレーム251上に支持されている。
【0041】
図4及び図5に示すように、架橋フレーム252は、エアクリーナ123と浄化入口管81の間となる位置で、支持台250から横フレーム94に向かって延設されている。これにより、横フレーム94下方に配置された蛇腹状排気導入管98と第1ケース75の浄化入口管91との連結のための空間を確保できるだけでなく、エアクリーナ123との緩衝をも防止できる。更には、エアクリーナ123を含む吸気経路と、第1ケース75と連結させる排気経路のあいだとなる位置に架橋フレーム252を配置することとなるため、エアクリーナ123に対する排気経路からの排熱の影響を低減できる。
【0042】
図4図7に示すように、穀物タンク7が、エンジンルーム97と対向する面に浄化装置設置用凹部7aを有しており、穀物タンク7の凹部7aに第1ケース75と第2ケース229による排気ガス浄化装置75を配置している。これにより、穀物タンク7とエンジンルーム97の間でエンジン14に近い位置に排気ガス浄化装置74を配置できるものでありながら、高温になる排気ガス浄化装置74に作業者が接触するのを防止できる。また、エンジンルーム97からの排熱を排気ガス浄化装置74に誘導させることができるため、排気ガスの浄化に必要な高温環境下に排気ガス浄化装置74を配置し、排気ガス浄化装置74において高い浄化効果を維持できる。
【0043】
このとき、図4図7に示すように、脱穀装置5から穀物タンク7の凹部7aに亘って第1ケース75と第2ケース229を水平に支持させて、第1ケース75及び第2ケース229を並列に配置させている。第1ケース75及び第2ケース229を水平に支持することで、排気ガス浄化装置74をエンジン14よりも高い位置でコンパクトに配置でき、エンジン14からの高温の排気ガスを排気ガス浄化装置74に誘導しやすい構造とできる。また、排気ガス浄化装置74を高い位置に配置することで、エンジン14停止時の温度低下による結露などで発生した水が排気ガス浄化装置74内に溜まることを防止できる。
【0044】
図4図7に示すように、排気ガス浄化装置74の第1ケース75と第2ケース229をケース固定体231にて並列状に連結するとともに、第1ケース75の排気出口に尿素混合管239を介して第2ケース229の排気入口を接続し、第1及び第2ケース75,229の間で第1及び第2ケース75,229それぞれと平行に尿素混合管239を配置させている。これにより、第1ケース及び第2ケースと尿素混合管と一体的ユニット構造に構成し、穀物タンク7前方の凹部7a内側で排気ガス浄化装置74をコンパクトに設置できる。したがって、排気ガス浄化装置74の設置スペースを容易に確保できるものでありながら、穀物タンク7の凹部7aを狭小に構成して、穀物タンク7の穀物収納容量を確保できる。
【0045】
排気ガス浄化装置74の第1及び第2ケース75,229それぞれの長手方向を前後方向として、第1及び第2ケース75,229を左右に並設させており、第1ケース75を脱穀装置5側に配置させている。第1ケース75を脱穀装置5側に配置する一方、第2ケース229を穀物タンク7の凹部7a奥側に配置することで、第2ケース229及び尿素混合管239を穀物タンク7で覆うように配置できると同時に、エンジン14の排気口に近い位置に第1ケース75を配置できる。したがって、エンジン14から第1ケース75までの排気経路を短経路で構成して、第1ケース75での再生処理を高性能に維持できる。また、第2ケース229及び尿素混合管239をエンジンルーム97後方の穀物タンク7で囲まれた高温環境下に配置でき、尿素水の凍結を防止すると同時に、第2ケース229における浄化能力を高度に維持できる。
【0046】
図7図12に示す如く、尿素水(選択触媒還元用尿素水溶液)を貯蔵する尿素水タンク174と、尿素混合管239の尿素水噴射部240に尿素水を供給する尿素水供給装置175を備えている。尿素水供給装置175が尿素水タンク174内の尿素水を尿素混合管239の尿素水噴射部240に供給することで、尿素水噴射部240の尿素水噴射弁178から尿素水を尿素混合管239内に噴霧させる。
【0047】
図9に示す如く、尿素水供給装置175は、尿素水タンク174内の尿素水溶液を圧送する尿素水ポンプ171と、尿素水ポンプ171を駆動する尿素水供給用電動モータ172を備える。尿素水供給装置175は、尿素水噴射管177を介して尿素噴射部240の尿素水噴射弁178と接続するとともに、尿素水タンク174との間に尿素水供給管179及び尿素水戻し管180を接続している。また、ディーゼルエンジン14の燃料噴射制御などを実行するエンジンコントローラ181と、尿素水供給装置175または尿素水噴射弁178を制御する尿素噴射コントローラ182を備えている。
【0048】
そして、尿素混合管239の尿素噴射部240に尿素水噴射弁178を取付け、尿素混合管239の内部に尿素水噴射弁178から尿素水溶液を噴霧する。尿素混合管239内に供給される尿素水が、第1ケース75から第2ケース229に至る排気ガス中にアンモニアとして混合されるように構成している。なお、尿素水タンク174の尿素水温度センサ183と、尿素水タンク174の尿素水量センサ184に、尿素噴射コントローラ182を接続すると共に、エンジンコントローラ181と尿素噴射コントローラ182を接続し、ディーゼルエンジン14の作動状況などに応じて、尿素混合管239内に尿素水が適正時期に供給されるように構成している。
【0049】
まず、尿素水供給装置175の取付け構造について説明する。図7及び図8に示す如く、尿素水供給装置175を、脱穀装置5と穀物タンク7との間であって、排気ガス浄化装置74よりも下側となる高さ位置に配置する。すなわち、尿素水供給装置175は、尿素水噴射弁178よりも低い位置に固定されている。従って、尿素水の噴射停止後において、尿素水供給装置175と尿素水噴射弁178との高低差により、尿素水噴射管177などに残留した尿素水を、尿素水供給装置175に還流させることもできる。
【0050】
図10及び図12に示す如く、排気ガス浄化装置74を、エンジンルーム97後方の脱穀装置5と穀物タンク7の間に設置するとともに、排気ガス浄化装置74に尿素水を供給する尿素水供給装置175を排気ガス浄化装置74よりも下側に設けている。従って、エンジンルーム97後方に排気ガス浄化装置74及び尿素水供給装置175を配置できるため、エンジン14からの排熱を利用して尿素水の凍結を防止でき、尿素水の品質劣化を抑制できる。
【0051】
また、図10及び図12に示す如く、エンジンルーム97と穀物タンク7とで前後に挟まれた位置に、排気ガス浄化装置74を配置し、穀物タンク7と脱穀装置5とで挟まれた位置に尿素水供給装置175を配置している。穀物タンク7周辺の空間を有効利用して、排気ガス浄化装置74及び尿素水供給装置175を配置することで、穀物タンク7の容量を確保できる。また、排気ガス浄化装置74と尿素水供給装置175とを短距離に配置できるため、排気ガス浄化装置74と尿素水供給装置175とを接続する尿素水配管(尿素水噴射管177)を短尺に構成できる。
【0052】
図7及び図8に示す如く、脱穀装置5右側(穀物タンク7側)側面であって、揚穀コンベヤ63と還元コンベヤ66とで挟まれた領域に、尿素水供給装置175を固定している。これにより、尿素水供給装置175を、脱穀装置5に隣接した穀物タンク7前面に位置する排気ガス浄化装置74近傍に配置できるため、尿素水タンク174から尿素水噴射部240までをつなぐ尿素水配管(尿素水噴射管177)を短尺に構成できる。また、エンジンルーム97後方の脱穀装置5及び穀物タンク7間に構成される排熱空気の流路に、排気ガス浄化装置74及び尿素水供給装置175を配置できる。そのため、尿素水の凍結を防止できるなど、SCRシステムを最適な温度環境下で動作させることができる。
【0053】
本実施形態では、図7及び図8に示す如く、尿素水供給装置175を、揚穀コンベヤ63より前側で還元コンベヤ66の下側となる位置に固定している。すなわち、尿素水供給装置175は、脱穀装置5の右側面に固定されており、還元コンベヤ66の下側であって唐箕ファン58と一番コンベヤ61との間となる位置に配置されている。すなわち、尿素水供給装置175は、互いに交差している揚穀コンベヤ63及び還元コンベヤ66と、唐箕ファン58の右側吸引口を覆うカバー体58aとに囲まれた位置に配置される。
【0054】
一方、穀物タンク7は、揚穀コンベヤ63及び還元コンベヤ66と緩衝なく設置されている。そのため、揚穀コンベヤ63と還元コンベヤ66の囲まれた領域に尿素水供給装置175を配置することで、尿素水供給装置175を穀物タンク7と緩衝なく脱穀装置5側面に固定でき、穀物タンク7の形状を変更する必要がなく、穀物タンク7の容量を確保できる。
【0055】
次いで、図8を参照して、揚穀コンベヤ63と還元コンベヤ66とで挟まれた領域に配置される尿素水供給装置175の設置位置の変形例を説明する。図8に示す如く、尿素水供給装置175を、揚穀コンベヤ63より前側で還元コンベヤ66の下側となる位置に設置してもよく、仮想線のように、揚穀コンベヤ63の排出口と同等の高さ位置に配置することで、排気ガス浄化装置74よりも下側となる高さ位置に配置する。
【0056】
また、図8における仮想線に示す如く、尿素水供給装置175を、揚穀コンベヤ63より後側であって、還元コンベヤ66の上下いずれかに設置するものとしてもよい。更には、脱穀装置5右側面において、揚穀コンベヤ63と還元コンベヤ66とを交差させずに並設させた場合おいて、揚穀コンベヤ63と還元コンベヤ66との間に尿素水供給装置175を設置するものとしてもよい。
【0057】
次いで、図10図12を参照して、尿素水タンク174の取付け構造について説明する。図10図12に示す如く、尿素水タンク174を、穀物タンク7後方に配置する一方、燃料タンク31を脱穀装置後方に配置している。燃料タンク31の給油口32を左側方に向けて突設させる一方、尿素水タンク174の給水口174aを右側方に向けて突設させる。具体的には、尿素水タンク174は、機外側方から後方(右斜め後方)に向けて給水口174aを設けており、縦取出しコンベヤ8aと後方カバー30との間で縦置き配置される。給水口174aは、後方カバー30の開口部(図示省略)から突出させており、機外から給水口に174aに対してアクセス可能に構成している。
【0058】
図10図12に示す如く、尿素水タンク174は、その長手方向を上下方向とした縦置きに配置されており、穀物タンク7の後端面の右縁(機外側縁)下側に固定される。そして、走行機体1の左側方に向けた給油口32と反対側の右側方に向けて給水口174aを突出させるため、燃料タンク31への給油作業又は尿素水タンク174への給水作業を行う際に、給油口32と給水口174aとの誤判断を防止できる。更に、給水口174aは斜め後方に突出させていることから、給油口32から給水口174aまでの給水ホースの回り込み量を減じることができ、給油作業と給水作業とを同時に実行できる。
【0059】
図10及び図11に示す如く、穀粒タンク7後方の縦取出しコンベヤ(縦送りコンベヤ)8a周辺に尿素水タンク174を縦置き配置している。尿素水タンク174は、後方カバー30内側に配置されており、縦取出しコンベヤ8aに対して並設されている。図10及び図12に示す如く、尿素水タンク174は、脱穀装置5と穀粒タンク7との間で配管されている尿素水供給管179及び尿素水戻し管180を介して、穀粒タンク7の左側方に配置された尿素水供給装置175と接続する。即ち、穀粒タンク7周辺の空間を活用して、排気ガス浄化装置74、尿素水供給装置175及び尿素水タンクを配置できるため、穀粒タンク7の容量を確保できる。
【0060】
図10及び図12に示す如く、排気ガス浄化装置74を穀粒タンク7前方周辺に配置し、尿素水供給装置175を穀粒タンク7側方に配置し、尿素水タンク174を穀粒タンク7後方に配置している。即ち、排気ガス浄化装置74と尿素水タンク174の間に尿素水供給装置175を配置させるため、尿素水タンク174から排気ガス浄化装置74への尿素水配管177,179,180を短尺に構成できる。
【0061】
図12に示す如く、穀物タンク7は、縦取出しコンベヤ8a上に穀物タンク7後部を支持され、縦取出しコンベヤ8a軸心線回りに機外側に向けて横移動可能に構成されている。穀物タンク7を縦取出しコンベヤ8aの垂直回動軸を中心として垂直周りに機外側方に回動させることで、脱穀装置5右側面とエンジンルーム97後面を開放できる。尿素水タンク174は、縦取出しコンベヤ8a周辺に設置されていることから、尿素水供給管179及び尿素水戻し管180との接続部分を穀物タンク7の回動支点近傍に配置できる。そして、尿素水供給管179及び尿素水戻し管180を穀物タンク7の左側面から背面を迂回させて配管させている。従って、穀物タンク7収納時に比べて穀物タンク7開放時に、尿素水タンク174から尿素水供給装置175までの配管距離が短くなるとともに、穀物タンク7の開閉により配管距離の差を低減できる。
【0062】
また、穀物タンク7の横移動により開放させたときに、エンジンルーム97後方の、排気ガス浄化装置74及び尿素水供給装置175に容易にアクセスできる一方、穀物タンク7を収納した場合に、排気ガス浄化装置74及び尿素水供給装置175にアクセス不可能な状態となる。そのため、穀物タンク7収納時には、作動中に高温となる排気ガス浄化装置74等に対して接触不可能となるため、作業者の安全性を確保できるとともに、メンテナンスなどの各種作業において、穀物タンク7を開放して、排気ガス浄化装置74及び尿素水供給装置175へ容易にアクセスできる。
【0063】
<第2の実施形態>
次いで、本発明を具体化した第2の実施形態を図13図16に基づいて説明する。なお、本実施形態におけるコンバインは、第1の実施形態と異なり、穀物タンク7後方の尿素水タンク174を穀物タンク7の下側で横置き配置させている。その他の構成については、第1の実施形態におけるコンバインと同様の構成であるため、その詳細な説明は省略し、尿素水タンク174に係る構成について以下に説明する。
【0064】
本実施形態におけるコンバインは、図13に示す如く、排気ガス浄化装置74を穀粒タンク7前方周辺に配置し、尿素水供給装置175を穀粒タンク7側方に配置し、尿素水タンク174を穀粒タンク7後方に配置している。また、燃料タンク31と尿素水タンク174を走行機体2後方で左右に振り分け配置することで、燃料と尿素水それぞれの供給口32,174aを識別しやすい構造としている。
【0065】
図13図15に示す如く、尿素水タンク174は、穀物タンク7の底板に横置き配置で固定されており、その後端部分を穀物タンク7よりも後方に突出させている。即ち、尿素水タンク7の後端部分は、縦取出しコンベヤ8aと横送りコンベヤ87bとの連結部分近傍に配置される。尿素水タンク174の後端部分を、脱穀装置5と穀粒タンク7との間で配管されている尿素水供給管179及び尿素水戻し管180を介して、穀粒タンク7の左側方に配置された尿素水供給装置175と接続する。
【0066】
図14及び図15に示す如く、穀物タンク7の機外側底板7a外側面にタンク支持体173を設け、タンク支持体173を介して穀物タンク7の機外側底板7a外側面に尿素水タンク174を支持させる。穀物タンク7の機外側底板7a外側面に底部カバー体165を着脱可能に設け、底部カバー体165の機内側方に尿素水タンク174を配置している。尿素水タンク174の右側面に、給水口174aを右側方(機外側方)に向けて配置している。このとき、後方カバー30に開口部を設けており、尿素水タンク174の給水口174aを機外側方に突設させることで、機外より容易に給水作業を行える。
【0067】
図15に示す如く、尿素水供給管179及び尿素水戻し管180と連結する尿素水タンク174の後端部分を、穀物タンク7の回動支点近傍に配置している。尿素水タンク174の後端部分は、脱穀装置5と穀粒タンク7との間で配管されている尿素水供給管179及び尿素水戻し管180を介して、穀粒タンク7の左側方に配置された尿素水供給装置175と接続する。従って、穀物タンク7収納時に比べて穀物タンク7開放時に、尿素水タンク174から尿素水供給装置175までの配管距離が短くなるとともに、穀物タンク7の開閉により配管距離の差を低減できる。
【0068】
図16に示す如く、尿素水供給装置175を、脱穀装置5と穀物タンク7との間であって、排気ガス浄化装置74よりも下側となる高さ位置に配置する。また、尿素水供給装置175を、尿素水タンク174よりも高い位置で前後方向(又は左右方向)にオフセットさせて配置している。すなわち、尿素水供給装置175は、尿素水タンク174よりも高い位置で且つ尿素水噴射弁178よりも低い位置に固定されている。
【0069】
尿素水噴射弁178を尿素水供給装置175より高位置に配置することで、尿素水の噴射停止後において、尿素水供給装置175と尿素水噴射弁178との高低差により、残留した尿素水を、尿素水供給装置175に還流できる。同様に、尿素水供給装置175を尿素水ポンプ174より高位置に配置することで、尿素水の噴射停止後において、尿素水タンク174と尿素水供給装置175との高低差により、残留した尿素水を、尿素水タンク174に還流できる。従って、図16に示す如く、排気ガス浄化装置74と尿素水タンク174との間となる高さ位置に、尿素水供給装置175を配置することで、エンジン停止後に、尿素水供給装置175により循環させることなく、尿素水を尿素水タンク174に還流でき、尿素水戻し管180を省略できる。
【0070】
<第3の実施形態>
次いで、本発明を具体化した第3の実施形態を図17及び図18に基づいて説明する。なお、本実施形態におけるコンバインは、第1及び第2の実施形態と異なり、脱穀装置5の下側スペースに尿素水タンク174を配置させている。その他の構成については、第1及び第2の実施形態におけるコンバインと同様の構成であるため、その詳細な説明は省略し、尿素水タンク174に係る構成について以下に説明する。
【0071】
図17及び図18に示す如く、脱穀装置5の枠体を構成する機枠36下部に、尿素水タンク174を配置している。脱穀機枠36下部のスペースを活用して尿素水タンク174をコンパクトに設置できるとともに、尿素水タンク174を大容量に形成して、穀粒タンク7周りまたはエンジン14周りなどのメンテナンス作業のときに、尿素水タンク174に尿素水を補給可能に構成できる。
【0072】
図17及び図18に示す如く、尿素水供給装置175を脱穀装置5の右側面(穀粒タンク7側)に配置しており、尿素水タンク174と尿素水供給装置175とをつなぐ配管経路(尿素水供給管179及び尿素水戻し管180)を短尺に構成できる。従って、排気ガス浄化装置74から尿素水タンク174までの配管経路を短くでき、各配管177,179,180での尿素水の圧送を円滑化できるとともに、再結晶化や凍結などに基づく尿素水の品質劣化を抑制できる。排気ガス浄化装置74を脱穀装置5と穀粒タンク7との間に配置しているため、脱穀装置5周辺のスペースを活用して、排気ガス浄化装置74、尿素水供給装置175、及び尿素水タンク174をコンパクトに配置でき、SCRシステムのメンテナンス性及び組立性を向上できる。
【0073】
また、尿素水供給装置175は、尿素水タンク174よりも高い位置で且つ排気ガス浄化装置74よりも低い位置に固定されている。そのため、尿素水の噴射停止後において、尿素水タンク174と尿素水供給装置175との高低差により、残留した尿素水を、尿素水タンク174に還流できる。従って、エンジン停止後に、尿素水供給装置175により循環させることなく、尿素水を尿素水タンク174に還流でき、尿素水戻し管180が省略可能となる。
【0074】
図17及び図18に示す如く、本実施形態においては、脱穀機枠36下部のうち唐箕樋37の下面側に尿素水タンク174を配置している。すなわち、尿素水タンク174を、唐箕ファン58と1番コンベヤ61の間となる位置に設置することで、尿素水供給装置175の下側で且つ左右方向にオフセットさせた位置に尿素水タンク174を配置できる。
【0075】
図17及び図18に示す如く、尿素水タンク174と接続させる尿素水供給管179及び尿素水戻し管180は、脱穀装置5の右側面を上下に沿うとともに脱穀機枠36下側を左右に沿うようにして、短尺に配管できる。また、エンジン14からの排熱を誘導する唐箕ファン56近傍に尿素水タンク174を配置でき、エンジン14からの排熱を利用することで、尿素水の凍結や再結晶化を防止できる。
【0076】
次いで、図18を参照して、脱穀機枠36下側に配置される尿素水タンク174の設置位置の変形例を説明する。図18の仮想線に示す如く、尿素水タンク174を一番樋38又は二番樋39の下面側に設置しても構わない。すなわち、尿素水タンク174を一番コンベヤ61と選別ファン71との間となる位置に配置しても構わないし、尿素水タンク174を二番コンベヤ62後方となる位置に配置しても構わない。これにより、脱穀機枠36下部のスペースを活用して尿素水タンク174をコンパクトに設置できる。
【0077】
<第4の実施形態>
次いで、本発明を具体化した第4の実施形態を図19図21に基づいて説明する。なお、本実施形態におけるコンバインは、第3の実施形態と異なり、脱穀装置5の側方スペースに尿素水タンク174を配置させている。その他の構成については、第3の実施形態におけるコンバインと同様の構成であるため、その詳細な説明は省略し、尿素水タンク174に係る構成について以下に説明する。
【0078】
図19及び図20に示す如く、脱穀装置5の左側方を覆うサイドカバー41内側に、尿素水を貯留する尿素水タンク174を配置している。サイドカバー51内側方のスペースを活用して尿素水タンク174をコンパクトに設置できるとともに、脱穀装置5の右側面(穀粒タンク7側)に配置した尿素水供給装置175とをつなぐ配管経路(尿素水供給管179及び尿素水戻し管180)を短尺に構成できる。
【0079】
図19及び図20に示す如く、サイドカバー41内側方のうち燃料タンク31の左側方に尿素水タンク174を配置している。尿素水タンク174は、燃料タンク31左側面の下側から後側を覆うL字形状に構成されている。尿素水タンク174は、燃料タンク31の左側面上方より機外側方(左側方)に向けて突設させた給油口32の下側及び後側を囲むように構成されている。
【0080】
尿素水タンク174は、燃料タンク31の左側方で前後方向に設けられており、その後方部分を上方に突設させた形状を有する。そして、尿素水タンク174は、後方における上方への突出部分に、機外側方(左側方)に向けて給水口174aを突設させている。このように尿素水タンク174を構成することで、燃料タンク31の設置スペースを活用して尿素水タンク174をコンパクトに設置できるとともに、給油口(燃料供給部)32と給水口(尿素水供給部)174aを近接させて配置でき、補給作業性を向上できる。
【0081】
また、本実施形態において、図21に示す変形例のように、尿素水タンク174を、サイドカバーと一体に構成されるものとしても構わない。図21に示す変形例においては、尿素水タンク174は、燃料タンク31左側面全体を覆うサイドカバー部174b裏側(燃料タンク31側)に、尿素水を貯留するタンク部174cを設ける一方、サイドカバー部174b表側にタンク部174cと連通させた給水口174aを設ける。また、サイドカバー部174bのタンク部174cの非設置領域には開口部174dが設けられており、当該開口部174dに燃料タンク31の給油口32を挿通させる。
【0082】
このとき、タンク部174cと尿素水供給管179及び尿素水戻し管180との接続部分をクイックカプラなどで着脱可能な構造とすることで、サイドカバー一体型の尿素水タンク174を取り外し可能とできる。これにより、尿素水タンク174を取り外すことで、燃料タンク31周辺のメンテナンスや掃除などの作業が容易になるとともに、尿素水タンク174を取り外して保管することで、尿素水を最適な温度環境下で管理できる。
【0083】
<第5の実施形態>
次いで、本発明を具体化した第5の実施形態を図22図29に基づいて説明する。なお、本実施形態におけるコンバインは、第3の実施形態と異なり、穀物タンク7後方の尿素水タンク174を燃料タンク31に重ねて配置させている。その他の構成については、第3の実施形態におけるコンバインと同様の構成であるため、その詳細な説明は省略し、尿素水タンク174に係る構成について以下に説明する。
【0084】
図22及び図23に示す如く、尿素水タンク174を燃料タンク31と重ねて脱穀装置5下側に配置し、尿素水タンク174の給水口174aと燃料タンク31の給油口32を脱穀装置5の機外側方に向けて突設させている。これにより、燃料タンク31と尿素水タンク174それぞれの供給口(給油口32及び給水口174a)を互いに近い位置に配置できるため、給油及び給水作業にかかる負担を軽減できる。
【0085】
図22及び図23に示す如く、脱穀装置5の後方であって脱穀装置5の枠体を構成する機枠36(二番樋39)及び揺動選別盤57の後方下部に、尿素水を貯留する尿素水タンク174を燃料タンク31と重ねて配置している。また、脱穀装置5の左側方を覆うサイドカバー41内側に、尿素水タンク174と燃料タンク31を上下に重ねて配置し、サイドカバー41の開口部より給油口32及び給水口174aを機外側方に突出させている。これにより、脱穀装置5後方のスペースを活用して尿素水タンク174をコンパクトに設置できるとともに、脱穀装置5の右側面(穀粒タンク7側)に配置した尿素水供給装置175とをつなぐ配管経路(尿素水供給管179及び尿素水戻し管180)を短尺に構成できる。
【0086】
図22及び図23に示す如く、燃料タンク31上方をテーパ形状(上方に向かって前後幅が狭くなる形状)とするとともに、尿素水タンク174を略逆U字形状に構成する。尿素水タンク174を燃料タンク31上面に合わせた形状とすることで、燃料タンク31上面を尿素水タンク174下面で覆うようにして、尿素水タンク174を燃料タンク31上に設置する。また、尿素水タンク174は、燃料タンク31を前後に狭持するようにして燃料タンク31上に搭載されて、尿素水タンク174は燃料タンク31上に固定される。
【0087】
尿素水タンク174は、燃料タンク31に対して脱着可能に構成されている。このとき、燃料タンク31に対して左右方向に尿素水タンク174を摺動させることによって脱着可能に構成されるものであってもよいし、燃料タンク31に対して上下方向に尿素水タンク174を嵌脱させるものであってもよい。このとき、尿素水タンク174と尿素水供給管179及び尿素水戻し管180との接続部分をクイックカプラなどで着脱可能な構造とする。このように、尿素水タンク174を燃料タンク31から分離可能に構成することで、尿素水タンク174の付け替えで簡単に給水できるだけでなく、作業完了後に尿素水タンク174を外して保管でき、尿素水の品質劣化を防げる。
【0088】
次いで、図24図26を参照して、本実施形態における第1変形例について、以下に説明する。本変形例では、図24図26に示す如く、尿素水タンク174を燃料タンク31下側に配置させており、尿素水タンク174を燃料タンクで囲まれるように配置している。燃料タンク31が尿素水タンク174を囲うことで、燃料タンク31が断熱層として機能することとなり、尿素水タンク174内の保温効果を向上でき、尿素水タンク174内に貯留させた尿素水の劣化を抑制できる。
【0089】
第1変形例では、図25及び図26に示す如く、燃料タンク31の左側面(給油口32を設けた側面)下側に切欠部31aを設け、当該切欠部31aに尿素水タンク174を嵌め合わせる。尿素水タンク174は、燃料タンク31の切欠部31aに即した形状を有することで、燃料タンク31の左側方下側に配置され、燃料タンク31の切欠部31aにより、尿素水タンク174の上面及び右側面が覆われる。
【0090】
また、図25に示す如く、燃料タンク31は、走行機体1に対してタンク支持体(支持ベルト)33で固定されている。このとき、燃料タンク31が、尿素水タンク174の収納位置(切欠部31a形成位置)と重なる位置でタンク支持体33により固定されることで、尿素水タンク174をもタンク支持体33で走行機体1に支持固定できる。また、尿素水タンク174の左側端部にタンク支持体33が掛かるようにして、タンク支持体33を設置しているため、タンク支持体33を取り外すことなく、尿素水タンク174を燃料タンク31から分離できる。
【0091】
次いで、図27図29を参照して、本実施形態における第2変形例について、以下に説明する。本変形例では、図27図29に示す如く、尿素水タンク174を燃料タンク31下側に配置させており、尿素水タンク174を燃料タンクで囲まれるように配置した上で、尿素水タンク174を、給水口174aよりも上側に突設させた凸部174xを有した形状とする。給水口174より上方まで延設させた凸部174xを設けることで、凸部174x内の一部に、尿素水が充満されない空間を確保できる。従って、尿素水タンク174内の尿素水が凍結した場合であっても、尿素水タンク174内の尿素水の容積が尿素水タンク174容積を超えることを防止し、尿素水タンク174の破損を防止できる。
【0092】
第2変形例では、図27図29に示す如く、尿素水タンク174の左端部を、燃料タンク31の左端部よりも機外側方(左側方)に突出させた形状としている。すなわち、尿素水タンク174を燃料タンク31の切欠部31aに嵌合させたとき、尿素水タンク174の左側面が燃料タンク31の左側面よりも左側に位置する。そして、尿素水タンク174の左端部において、燃料タンク31の給油口32に対してオフセットさせた位置に、給水口174aよりも上方まで突設させた凸部174xを設け、当該凸部174x上面にはブリーザ174yを設け、外気取り入れ可能に構成している。
【0093】
図28及び図29に示す如く、給水口174aよりも高い位置にブリーザ174yを有する構成とすることで、尿素水タンク174に尿素水を給水したとしても、凸部174xが満水とならずに、凸部174xの上方部分がブリーザ174yを通じて空気で常に充満された状態となる。従って、尿素水タンク174内の尿素水が凍結するような場合であっても、凍結した尿素水の容積増加を、凸部174xの上方空間に収容でき、尿素水タンク174の容積を超えることがないため、尿素水タンク174の破損などを防止できる。
【符号の説明】
【0094】
5 脱穀装置
7 穀物タンク
10 運転キャビン
31 燃料タンク
14 ディーゼルエンジン
74 排気ガス浄化装置
75 第1ケース
81 浄化入口管(排気ガス取入れ口)
82 浄化出口管(排気ガス出口)
83 テールパイプ
97 エンジンルーム
91 エンジンルームフレーム
92 左支柱体(背面側フレーム)
94 横フレーム(背面側フレーム)
97 エンジンルーム
174 尿素水タンク
175 尿素水供給装置
229 第2ケース
236 SCR入口管(排気ガス取入れ口)
237 SCR出口管(排気ガス排出口)
239 尿素混合管
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