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特許7197458車両制御装置、車両、車両制御装置の動作方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】車両制御装置、車両、車両制御装置の動作方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   E05F 15/73 20150101AFI20221220BHJP
   E05F 11/54 20060101ALI20221220BHJP
   B60J 5/04 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
E05F15/73
E05F11/54 A
B60J5/04 C
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019192881
(22)【出願日】2019-10-23
(65)【公開番号】P2021067086
(43)【公開日】2021-04-30
【審査請求日】2021-11-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【弁理士】
【氏名又は名称】永川 行光
(74)【代理人】
【識別番号】100166648
【弁理士】
【氏名又は名称】鎗田 伸宜
(72)【発明者】
【氏名】尾中 潤一郎
【審査官】野尻 悠平
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-144481(JP,A)
【文献】特開2016-079692(JP,A)
【文献】特開2005-315024(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0234053(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 15/00-15/79
B60J 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の周囲の乗員を撮影する撮影手段と、
前記撮影手段により撮影された画像に基づいて前記乗員の特性を推定する推定手段と、
前記乗員の特性に基づいて複数の開閉体の自動開閉動作を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、複数の乗員の特性に基づいて前記複数の開閉体の開閉順序を決定し、
前記特性は性別を含み、
前記制御手段は、
前記撮影手段により撮影された画像に基づいて開閉体への乗員の近接を検知し、
前記性別が男性の乗員が近接する開閉体の開閉順序よりも、前記性別が女性の乗員が近接する開閉体の開閉順序を優先することを特徴とする車両制御装置。
【請求項2】
車両の周囲の乗員を撮影する撮影手段と、
前記撮影手段により撮影された画像に基づいて前記乗員の特性を推定する推定手段と、
前記乗員の特性に基づいて複数の開閉体の自動開閉動作を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、複数の乗員の特性に基づいて前記複数の開閉体の開閉順序を決定し、
前記特性は年齢を含み、
前記制御手段は、前記年齢が第1の所定値以下である乗員が近接する開閉体の開閉順序を優先することを特徴とする車両制御装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記年齢が前記第1の所定値よりも大きい第2の所定値以上である乗員が近接する開閉体の開閉順序を、前記年齢が前記第1の所定値以下である乗員が近接する開閉体の開閉順序よりも優先することを特徴とする請求項に記載の車両制御装置。
【請求項4】
車両の周囲の乗員を撮影する撮影手段と、
前記撮影手段により撮影された画像に基づいて前記乗員の特性を推定する推定手段と、
前記乗員の特性に基づいて複数の開閉体の自動開閉動作を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、複数の乗員の特性に基づいて前記複数の開閉体の開閉順序を決定し、
前記特性は性別及び年齢を含み、
前記制御手段は、前記性別に関わらず、前記年齢が第1の所定値以下である乗員が近接する開閉体の開閉順序を優先することを特徴とする車両制御装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記性別に関わらず、前記年齢が前記第1の所定値よりも大きい第2の所定値以上である乗員が近接する開閉体の開閉順序を、前記年齢が前記第1の所定値以下である乗員が近接する開閉体の開閉順序よりもさらに優先することを特徴とする請求項に記載の車両制御装置。
【請求項6】
前記特性は前記乗員が保持する荷物の有無を含み、
前記制御手段は、前記荷物を保持する乗員が近接する開閉体の開閉順序を最も優先することを特徴とする請求項1乃至の何れか1項に記載の車両制御装置。
【請求項7】
請求項1乃至の何れか1項に記載の車両制御装置を備えることを特徴とする車両。
【請求項8】
車両制御装置の動作方法であって、
車両の周囲の乗員を撮影する撮影工程と、
前記撮影工程により撮影された画像に基づいて前記乗員の特性を推定する推定工程と、
前記乗員の特性に基づいて複数の開閉体の自動開閉動作を制御する制御工程と、を有し、
前記制御工程では、複数の乗員の特性に基づいて前記複数の開閉体の開閉順序を決定し、
前記特性は性別を含み、
前記制御工程では、
前記撮影工程により撮影された画像に基づいて開閉体への乗員の近接を検知し、
前記性別が男性の乗員が近接する開閉体の開閉順序よりも、前記性別が女性の乗員が近接する開閉体の開閉順序を優先することを特徴とする車両制御装置の動作方法。
【請求項9】
車両制御装置の動作方法であって、
車両の周囲の乗員を撮影する撮影工程と、
前記撮影工程により撮影された画像に基づいて前記乗員の特性を推定する推定工程と、
前記乗員の特性に基づいて複数の開閉体の自動開閉動作を制御する制御工程と、を有し、
前記制御工程では、複数の乗員の特性に基づいて前記複数の開閉体の開閉順序を決定し、
前記特性は年齢を含み、
前記制御工程では、前記年齢が第1の所定値以下である乗員が近接する開閉体の開閉順序を優先することを特徴とする車両制御装置の動作方法。
【請求項10】
車両制御装置の動作方法であって、
車両の周囲の乗員を撮影する撮影工程と、
前記撮影工程により撮影された画像に基づいて前記乗員の特性を推定する推定工程と、
前記乗員の特性に基づいて複数の開閉体の自動開閉動作を制御する制御工程と、を有し、
前記制御工程では、複数の乗員の特性に基づいて前記複数の開閉体の開閉順序を決定し、
前記特性は性別及び年齢を含み、
前記制御工程では、前記性別に関わらず、前記年齢が第1の所定値以下である乗員が近接する開閉体の開閉順序を優先することを特徴とする車両制御装置の動作方法。
【請求項11】
コンピュータを、請求項1乃至の何れか1項に記載の車両制御装置として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両制御装置、車両、車両制御装置の動作方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、車両付近に利用者が接近したら自動で開くスイングドアを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-073870号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、複数の乗員が車両に乗り込む際に、適切な順序でドアなどの開閉体を開閉することが難しいという課題がある。
【0005】
本発明の目的は、複数の乗員が車両に乗り込む際に、適切な順序で開閉体を開閉するための技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、
車両の周囲の乗員を撮影する撮影手段と、
前記撮影手段により撮影された画像に基づいて前記乗員の特性を推定する推定手段と、
前記乗員の特性に基づいて複数の開閉体の自動開閉動作を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、複数の乗員の特性に基づいて前記複数の開閉体の開閉順序を決定し、
前記特性は性別を含み、
前記制御手段は、
前記撮影手段により撮影された画像に基づいて開閉体への乗員の近接を検知し、
前記性別が男性の乗員が近接する開閉体の開閉順序よりも、前記性別が女性の乗員が近接する開閉体の開閉順序を優先することを特徴とする車両制御装置が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、複数の乗員が車両に乗り込む際に、適切な順序で開閉体を開閉することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る車両制御装置の構成の一例を示す図。
図2】実施形態に係る開閉体の開閉順序の説明図。
図3】実施形態に係る開閉体の開閉順序の説明図。
図4】実施形態に係る開閉体の開閉順序の説明図。
図5】実施形態に係る開閉体の開閉順序の説明図。
図6】実施形態に係る開閉体の開閉順序の説明図。
図7】実施形態に係る性別及び年齢に応じた優先順位の決定例を示す図。
図8】実施形態に係る開閉体の開閉順序の説明図。
図9】実施形態に係る車両制御装置が実施する処理の手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでするものでなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴うち二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0010】
(実施形態)
本実施形態では、車両の周辺で検知された複数の乗員の特性を推定し、推定された特性に基づいて各乗員が近接する開閉体の開閉順序を制御する例を説明する。
【0011】
<車両制御装置の構成>
図1は、実施形態に係る車両制御装置の構成の一例を示す図である。図1において、車両10は、車両制御装置100と、撮影部200と、開閉体300とを備えている。
【0012】
車両制御装置100は、撮影部200により撮影された画像を解析し、車両10の周囲にいる複数の乗員の特性を推定する。そして、推定されたそれぞれの特性に基づいて複数の乗員のそれぞれに近接する複数の開閉体(例えば、セダンタイプの四輪車の場合は4つドア、及びトランクのドア)の開閉順序を決定し、その順序に従って開閉動作を実行する。
【0013】
車両制御装置100は、制御部101と、記憶部102とを備えている。制御部101は、撮影部200により撮影された画像に基づいて開閉体300の自動開閉動作を制御する。具体的には、撮影部200により撮影された画像を解析して画像から乗員(人物)を検出し、その乗員の特性を推定する。ここでいう特性とは、乗員の性別、年齢、荷物の保持の有無などである。そして、推定した特性に基づいてどの開閉体から自動開閉動作を実行するのか、その開閉順序を決定する。その後、決定した順序に従って各開閉体の開閉動作(すなわち、まず開放し、乗車後に閉鎖する一連の動作)を実行する。
【0014】
制御部101は例えばCPUであり、記憶部102に格納されているコンピュータプログラムやデータを用いて車両制御装置100の動作を制御することで、車両制御装置100の各機能を実現する。なお、車両制御装置100がCPUとは異なる1以上の専用のハードウェアを有し、CPUによる処理の少なくとも一部を専用のハードウェアが実行してもよい。専用のハードウェアの例としては、ASIC(特定用途向け集積回路)、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)などがある。
【0015】
記憶部102は、ROM、RAM、及び/又はハードディスクドライブである。ROMには、変更を必要としないプログラムなどが格納される。RAMは、ハードディスクドライブから供給されるプログラムやデータなどを一時記憶する。ハードディスクドライブは種々のデータを記憶する。
【0016】
撮影部200は、車両10の周囲を撮影する1以上のカメラである。少なくとも車両に乗り込むためのドア付近、及び、車両後方のトランク付近を撮影可能な位置に設置されている。
【0017】
開閉体300は、第1の開閉体301、第2の開閉体302、第3の開閉体303、第4の開閉体304、及び第5の開閉体305を含む。第1の開閉体301は、例えば運転席のドアである。第2の開閉体302は、例えば助手席のドアである。第3の開閉体303は、例えば運転席後方の後部座席のドアである。第4の開閉体304は、例えば助手席後方の後部座席のドアである。第5の開閉体305は、例えば車両後方の荷物を積み込むためのトランクのドアである。
【0018】
<開閉順序の制御>
続いて、図2乃至図7を参照しながら、本実施形態に係る車両制御装置が実施する開閉体の開閉順序の制御例を説明する。
【0019】
図2は、男性と女性の2人がそれぞれ開閉体に近接している場合における開閉体の開閉順序の説明図である。制御部101は、撮影部200により撮影された画像を解析して画像に含まれる乗員を検知する。図示の例では乗員250、251の2名が検知されている。そして乗員の特性として性別を推定する。図示の例では、乗員250が男性、乗員251が女性と推定されたものとする。なお、性別の判定処理は公知の画像認識技術を適用可能であるため、詳細な説明は省略する。そして、性別を推定した後、男性が近づいた開閉体よりも女性が近づいた開閉体を先に開けるように開閉順序を決定する。これにより、男性よりも女性が先に車両10に乗車できるので、おもてなし感やレディースファーストを演出することができる。
【0020】
図3は、成人女性と女児の2人がそれぞれ開閉体に近接している場合における開閉体の開閉順序の説明図である。制御部101は、撮影部200により撮影された画像を解析して画像に含まれる乗員を検知する。図示の例では乗員350、351の2名が検知されている。そして乗員の特性として性別及び年齢を推定する。図示の例では、乗員350が成人女性(例えば30歳)、乗員351が女児(例えば10歳)と推定されたものとする。なお、性別及び年齢の判定処理は公知の画像認識技術を適用可能であるため、詳細な説明は省略する。そして、性別及び年齢を推定した後、成人女性が近づいた開閉体よりも女児が近づいた開閉体を先に開けるように開閉順序を決定する。このように、性別が同じである場合には、年齢が低いと推定された乗員を優先する。
【0021】
図4は、成人女性と男児の2人がそれぞれ開閉体に近接している場合における開閉体の開閉順序の説明図である。制御部101は、撮影部200により撮影された画像を解析して画像に含まれる乗員を検知する。図示の例では乗員450、451の2名が検知されている。そして乗員の特性として性別及び年齢を推定する。図示の例では、乗員450が成人女性(例えば30歳)、乗員451が男児(例えば5歳)と推定されたものとする。そして、性別及び年齢を推定した後、成人女性が近づいた開閉体よりも男児が近づいた開閉体を先に開けるように開閉順序を決定する。このように、図2のように性別が男性の乗員と女性の乗員がいる場合でも、男性の年齢が低い男児である場合には、性別よりも年齢を重視して男児を優先する。
【0022】
図5は、成人男性、成人女性、男児、女児の4人がそれぞれ開閉体に近接している場合における開閉体の開閉順序の説明図である。制御部101は、撮影部200により撮影された画像を解析して画像に含まれる乗員を検知する。図示の例では乗員550、551、552、553の4名が検知されている。そして乗員の特性として性別及び年齢を推定する。図示の例では、乗員550が成人男性(例えば35歳)、乗員551が男児(例えば5歳)、乗員552が成人女性(例えば30歳)、乗員553が女児(例えば10歳)と推定されたものとする。
【0023】
そして、性別及び年齢を推定した後、性別よりも年齢を重視して女児及び男児を優先し、子供のうちでは推定年齢が低い方を優先する。すなわち、男児(推定年齢5歳)である乗員551の優先順位を1位とし、女児(推定年齢10歳)である乗員553の優先順位を2位とする。そして、女児と成人女性とでは図3を参照して説明したように女児を優先し、成人女性と成人男性とでは図2を参照して説明したように成人女性を優先することから、成人女性である乗員552の優先順位を3位とし、成人男性である乗員550の優先順位を4位とする。このように、より年齢の低い子供を優先し、次に女性を優先するように開閉順序を決定する。
【0024】
図6は、乗員に高齢者が含まれる場合の開閉体の開閉順序の説明図である。制御部101は、撮影部200により撮影された画像を解析して画像に含まれる乗員を検知する。図示の例では乗員650、651、652、653の4名が検知されている。そして乗員の特性として性別及び年齢を推定する。図示の例では、乗員650が成人男性(例えば35歳)、乗員651が男児(例えば5歳)、乗員652が高齢女性(例えば80歳)、乗員653が女児(例えば10歳)と推定されたものとする。
【0025】
そして、性別及び年齢を推定した後、高齢の乗員が最優先になるように優先順位を決定する。例えば推定年齢が所定値(例えば75歳)以上の乗員がいる場合には、その乗員の優先順位を1位とする。図示の例では80歳と推定された乗員652の優先順位を1位とする。その他の乗員に関しては、図5を参照して説明したように、女児(推定年齢10歳)である乗員653よりも、より年齢の低い男児(推定年齢5歳)である乗員651を優先するので、乗員651の優先順位を2位とし、乗員653の優先順位を3位とする。そして、成人男性である乗員650の優先順位を4位とする。
【0026】
このように、成人であっても高齢の乗員がいる場合には、その人物の乗車を最優先にし、次に、年齢が低い子供を優先し、さらに成人女性、最後に成人男性という順序に決定する。これらの判定基準をまとめると、図7に示される表のようになる。図7に示されるように、推定年齢が所定値(例えば75歳)以上の女性が最も優先順位が高くなり、次に推定年齢が所定値(例えば75歳)以上の男性となる。そして、推定年齢が所定値(例えば19歳)以下の子供となる。なお、複数の子供がいる場合は性別に関わらず、推定年齢が低い方の子供を優先する。その次に推定年齢が所定値(例えば75歳)未満の成人女性となり、最後に推定年齢が所定値(例えば75歳)未満の成人男性となる。なお、各所定値は任意に変更可能であってもよい。例えば、所定値を19歳に代えて6歳とし、6歳以下の未就学児の子供を優先する対象としてもよい。
【0027】
これにより、まず高齢者を優先し、次に子供、最後に大人という開閉順序となるため、より安全性が確保された乗車が可能となる。
【0028】
図8は、荷物を保持した成人女性である乗員と、高齢者の女性である乗員との間の開閉体の開閉順序の説明図である。制御部101は、撮影部200により撮影された画像を解析して画像に含まれる乗員を検知する。図示の例では乗員850、851の2名が検知されている。そして、乗員の特性として性別、年齢及び荷物の有無を推定する。図示の例では、乗員850が高齢女性(例えば80歳)、乗員851が成人女性(例えば30歳)と推定されたものとする。また、図示の例では、乗員851が荷物852を保持していることが検知されたものとする。荷物の有無は画像解析により判定することができる。
【0029】
そして、性別、年齢及び荷物の有無を推定した後、荷物を保持する成人女性である乗員851を、高齢女性である乗員850よりも優先する。高齢女性よりも成人女性を優先するのは、荷物を積み込んだ後に高齢女性の乗車の手助けを行うことが想定されるからである。
【0030】
なお、図8の例では、荷物を保持する成人女性と高齢女性とが含まれる場合を例に説明を行ったが、この場合に限定されない。性別に関わらず、荷物を保持している乗員が検知された場合、その乗員を最優先に制御してもよい。すなわち、図7に示した優先順位よりも、荷物を保持する乗員が存在する場合には、その乗員の優先順位を1位に決定してもよい。
【0031】
また、図8の例では、乗員851が第5の開閉体305(例えばトランク)に荷物852を積み込む場合を想定して説明を行ったが、必ずしも第5の開閉体305(例えばトランク)に積み込まなくてもよい。例えば、乗員850と近接している第3の開閉体303以外の開閉体(第1の開閉体301、第2の開閉体、第4の開閉体)から車両10の内部に荷物852を積み込む場合も考えれられるが、その場合にも適用可能である。
【0032】
なお、図2乃至図8の例は、乗車時における開閉体を開く順序について説明したが、降車時にも乗員の特性に基づいて開閉体を開く順序を決定してもよい。例えば、乗車時とは逆の優先順位で開閉体が開くようにしてもよい。すなわち、女性よりも男性を先に降車させ、女性をサポートできるようにしてもよい。また、子供よりも成人を先に降車させ、子供をサポートできるようにしてもよい。さらに、成人、子供(子供の中でも推定年齢が高いほうを優先)、高齢者の順に開閉体を制御して降車させてもよい。
【0033】
<処理>
次に、図9のフローチャートを参照しながら、本実施形態に係る車両制御装置が実施する処理の手順を説明する。
【0034】
S901において、制御部101は、撮影部200により撮影された画像に基づいて、車両10の周囲に車両10に近接する乗員(人間)が検知されたか否かを判定する。乗員が検知された場合、S902へ進む。一方、乗員が検知されていない場合、待機する。
【0035】
S902において、制御部101は、画像を解析することにより、乗員の特性(例えば性別、年齢、荷物の有無など)を推定する。
【0036】
S903において、制御部101は、推定された各乗員の特性に基づいて、各乗員が近接する各開閉体の開閉順序を決定する。開閉順序の決定手順は図2乃至図8を参照して説明した通りである。
【0037】
S904において、制御部101は、決定された開閉順序に従って各開閉体の開閉動作を実行する。以上で図9の処理が終了する。
【0038】
以上説明したように、本実施形態では、車両に近接する乗員の特性を推定し、その特性に基づいて、車両が損備える複数の開閉体の開閉順序を決定し、その順序に従って開閉動作を実行する。これにより、乗員の特性に応じた適切な順序で開閉動作を実行することができる。また、同じタイミングで全ての開閉体の開閉動作を実行しなくて済むので、作動電圧を低下させることが可能となり、負荷を低減することが可能となる。また、男性よりも女性を優先することで、おもてなし感を提供することが可能となる。
【0039】
[変形例]
上述の実施形態では、乗員の特性に基づいて開閉体の開閉順序を制御する例を説明したが、乗員の特性に応じて開閉動作をより詳細に制御してもよい。例えば、乗員の特性に応じて開閉速度、開閉角度などを変更してもよい。高齢者や子供が近接している開閉体の開閉速度を、成人が近接している開閉体の開閉速度よりも遅く制御することで衝突の可能性を低減でき、安全性を向上させることができる。また、高齢者や子供が近接している開閉体の開閉角度を、成人が近接している開閉体の開閉角度よりも小さくなるように(すなわち最大の開閉角度が小さくなるように)制御することで衝突の可能性を低減でき、安全性を向上させることができる。また、性別に関わらず、年齢だけを考慮して、推定年齢が低いほど優先順位を高くするように開閉順序を決定してもよい。
【0040】
<その他の実施形態>
また、各実施形態で説明された1以上の機能を実現するプログラムは、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給され、該システム又は装置のコンピュータにおける1以上のプロセッサは、このプログラムを読み出して実行することができる。このような態様によっても本発明は実現可能である。
【0041】
<実施形態のまとめ>
1.上記実施形態の車両制御装置(例えば100)は、
車両(例えば10)の周囲の乗員を撮影する撮影手段(例えば200)と、
前記撮影手段により撮影された画像に基づいて前記乗員の特性を推定する推定手段(例えば101)と、
前記乗員の特性に基づいて複数の開閉体(例えば301~305)の自動開閉動作を制御する制御手段(例えば101)と、を備え、
前記制御手段は、複数の乗員の特性に基づいて前記複数の開閉体の開閉順序を決定する。
【0042】
この実施形態によれば、複数の乗員が車両に乗り込む際に、適切な順序で開閉体を開閉することが可能となる。
【0043】
2.上記実施形態の車両制御装置では、
前記特性は性別を含む。
【0044】
この実施形態によれば、性別に応じた適切な順序で開閉体を開閉することが可能となる。
【0045】
3.上記実施形態の車両制御装置では、
前記制御手段は、
前記撮影手段により撮影された画像に基づいて開閉体への乗員の近接を検知し、
前記性別が男性の乗員が近接する開閉体の開閉順序よりも、前記性別が女性の乗員が近接する開閉体の開閉順序を優先する。
【0046】
この実施形態によれば、おもてなし感、レディーファースト感を演出することができる
4.上記実施形態の車両制御装置では、
前記特性は年齢を含む。
【0047】
この実施形態によれば、年齢に応じた適切な順序で開閉体を開閉することが可能となる。
【0048】
5.上記実施形態の車両制御装置では、
前記制御手段は、前記年齢が第1の所定値(例えば19歳)以下である乗員が近接する開閉体の開閉順序を優先する。
【0049】
この実施形態によれば、例えば子供など低年齢の乗員を優先するので、安全性の面で適切な順序で開閉体を開閉することが可能となる。

6.上記実施形態の車両制御装置では、
前記制御手段は、前記年齢が前記第1の所定値よりも大きい第2の所定値(例えば75歳)以上である乗員が近接する開閉体の開閉順序を、前記年齢が前記第1の所定値以下である乗員が近接する開閉体の開閉順序よりも優先する。
【0050】
この実施形態によれば、例えば子供など低年齢の乗員よりも、高齢者の乗員を優先するので、安全性の面で適切な順序で開閉体を開閉することが可能となる。
【0051】
7.上記実施形態の車両制御装置では、
前記特性は性別及び年齢を含み、
前記制御手段は、前記性別に関わらず、前記年齢が第1の所定値以下である乗員が近接する開閉体の開閉順序を優先する。
【0052】
この実施形態によれば、性別よりも年齢を重視するので、例えば女性よりも子供など低年齢の乗員を優先することができ、安全性の面で適切な順序で開閉体を開閉することが可能となる。
【0053】
8.上記実施形態の車両制御装置では、
前記制御手段は、前記性別に関わらず、前記年齢が前記第1の所定値よりも大きい第2の所定値以上である乗員が近接する開閉体の開閉順序を、前記年齢が前記第1の所定値以下である乗員が近接する開閉体の開閉順序よりもさらに優先する。
【0054】
この実施形態によれば、性別よりも年齢を重視するので、性別に関わらず子供など低年齢の乗員よりも高齢者の乗員を優先することができ、安全性の面で適切な順序で開閉体を開閉する
9.上記実施形態の車両制御装置では、
前記特性は前記乗員が保持する荷物の有無を含み、
前記制御手段は、前記荷物を保持する乗員が近接する開閉体の開閉順序を最も優先する。
【0055】
この実施形態によれば、荷物を保持している乗員を最優先にすることで、荷物の積み込み後に他の乗員(例えば高齢者や子供)の乗車をサポートすることが可能となる。
【0056】
10.上記実施形態の車両は、
上記実施形態の車両制御装置(例えば100)を備える車両(例えば10)である。
【0057】
この実施形態によれば、車両制御装置が実施する処理を車両で実現できる。
【0058】
11.上記実施形態の車両制御装置の動作方法は、
車両制御装置(例えば100)の動作方法であって、
車両(例えば10)の周囲の乗員を撮影する撮影工程と、
前記撮影工程により撮影された画像に基づいて前記乗員の特性を推定する推定工程と、
前記乗員の特性に基づいて複数の開閉体(例えば301~305)の自動開閉動作を制御する制御工程と、を有し、
前記制御工程では、複数の乗員の特性に基づいて前記複数の開閉体の開閉順序を決定する。
【0059】
この実施形態によれば、複数の乗員が車両に乗り込む際に、適切な順序で開閉体を開閉することが可能となる。
【0060】
12.上記実施形態のプログラムは、
コンピュータを、上記実施形態の車両制御装置(例えば100)として機能させるためのプログラムである。
【0061】
この実施形態によれば、本発明の内容をコンピュータにより実現することが可能となる。
【0062】
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0063】
10:車両、100:車両制御装置、101:制御部、102:記憶部、200:撮影部、300:開閉体
図1
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