(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】ジェムストーンのフィンガープリンティングおよび分析
(51)【国際特許分類】
G01N 29/12 20060101AFI20221220BHJP
G01N 29/46 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
G01N29/12
G01N29/46
(21)【出願番号】P 2019546838
(86)(22)【出願日】2018-02-27
(86)【国際出願番号】 US2018019956
(87)【国際公開番号】W WO2018160563
(87)【国際公開日】2018-09-07
【審査請求日】2021-02-05
(32)【優先日】2017-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517340921
【氏名又は名称】ジェモロジカル インスティテュート オブ アメリカ インコーポレイテッド(ジーアイエー)
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ローズ,ジョージ,ワイアット
(72)【発明者】
【氏名】マガナ,サリー,キャサリン
【審査官】越柴 洋哉
(56)【参考文献】
【文献】特表平05-504840(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0298911(US,A1)
【文献】国際公開第2012/058842(WO,A1)
【文献】特開平04-204250(JP,A)
【文献】特開2017-022310(JP,A)
【文献】米国特許第05922956(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0308983(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0259491(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 29/00 - G01N 29/52
G01H 1/00 - G01H 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号発生器および信号プロセッサによって、
評価中のジェムストーンに接触している第1入力トランスデューサに入力信号を送信する工程と、
評価中の前記ジェムストーンに接触している第2受信機トランスデューサから共振信号を受信する工程と、
前記入力信号を、前記ジェムストーンが大きさにおいて1カラットよりも小さい場合に1MHzから4MHzの範囲から、または、前記ジェムストーンが大きさにおいて1カラットよりも大きい場合に0.2MHzから0.3MHzの範囲から、100Hzの間隔で正弦波入力周波数の範囲を通して掃引する工程と、
受信信号の範囲を受信する工程と、
アルゴリズムを用いて、すべて正値のグラフを生成するために、前記受信信号の二乗の和の平方根を使用することによって前記受信信号の前記範囲を処理する工程と、
コンピュータによって、すべての正値の表示において最高ピークのスパイクを識別することにより、前記ジェムストーンの共振周波数を決定する工程と、
前記すべての正値の表示において前記識別された最高ピークのスパイクをカウントすることにより、前記ジェムストーン中にいくつの結晶が含まれるかを決定する工程と、
前記受信信号を用いてQ評価を決定する工程と、
検出された最低共振周波数スパイクについて、2で割り算された質量の平方根を使用して前記ジェムストーンの重量の概算を決定する工程と、
評価中の前記ジェムストーンの前記受信信号の処理範囲を、保存および前記すべての正値の表示のためにコンピュータの記憶装置に送信する工程と
を含む、方法。
【請求項2】
前記入力信号は、入力増幅器を介して前記信号発生器から前記第1入力トランスデューサに送信され、
前記受信信号は、受信機増幅器を介して前記第2受信機トランスデューサから前記信号プロセッサで受信される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記受信信号を処理する工程は、前記受信信号の同相成分および直交成分を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記信号プロセッサは、位相感応検出器およびデジタル信号プロセッサを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記信号発生器および前記信号プロセッサは、プロセッサおよびメモリを備えたチップ上に構成される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
方法のためのコンピュータ実行可能命令を有する非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記方法は、信号発生器および信号プロセッサによって、
評価中のジェムストーンに接触している第1入力トランスデューサに入力信号を送信する工程と、
評価中の前記ジェムストーンに接触している第2受信機トランスデューサから共振信号を受信する工程と、
前記入力信号を、前記ジェムストーンが大きさにおいて1カラットよりも小さい場合に1MHzよりも大きい範囲から、または、前記ジェムストーンが大きさにおいて1カラットよりも大きい場合に1MHzよりも小さい範囲から、200Hzの間隔で入力周波数の範囲を通して掃引する工程と、
受信信号の範囲を受信する工程と、
アルゴリズムを用いて、受信信号の前記範囲を処理する工程と、
コンピュータによって、すべての正値の表示において最高ピークのスパイクを識別することにより、前記ジェムストーンの共振周波数を決定する工程と、
前記すべての正値の表示において前記識別された最高ピークのスパイクをカウントすることにより、前記ジェムストーン中にいくつの結晶が含まれるかを決定する工程と、
前記受信信号を用いてQ評価を決定する工程と、
検出された最低共振周波数スパイクについて、2で割り算された質量の平方根を使用して前記ジェムストーンの重量の概算を決定する工程と、
評価中の前記ジェムストーンの
前記受信信号
の処理範囲を、表示および保存のためにコンピュータに送信する工程と
を含む、非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項7】
前記入力信号は、入力増幅器を介して前記信号発生器から前記第1入力トランスデューサに送信され、
前記受信信号は、受信機増幅器を介して前記第2受信機トランスデューサから前記信号プロセッサで受信される、請求項6に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項8】
前記受信信号を処理する工程は、前記受信信号の同相成分および直交成分を含む、請求項6に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項9】
前記信号プロセッサは、位相感応検出器およびデジタル信号プロセッサを含む、請求項6に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項10】
前記信号発生器および前記信号プロセッサは、プロセッサおよびメモリを備えたチップ上に構成される、請求項6に記載の非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項11】
プロセッサおよびメモリを有するチップを備えるシステムであって、
前記チップは、信号発生器および信号プロセッサとして、
入力信号を、増幅されてもよい第1入力トランスデューサに送信し、
前記第1入力トランスデューサは、評価中のジェムストーンに接触しており、
共振信号を第2受信機トランスデューサから受信し、
増幅されてもよい前記第2受信機トランスデューサは評価中の前記ジェムストーンに接触しており、
前記入力信号を、前記ジェムストーンの大きさに基づいた範囲から、100Hzから300Hzの間の間隔で入力周波数の範囲を通して掃引し、
受信信号の範囲を受信し、
アルゴリズムを用いて、受信信号の前記範囲を処理し、
コンピュータによって、すべての正値の表示において最高ピークのスパイクを識別することにより、前記ジェムストーンの共振周波数を決定し、
前記すべての正値の表示において前記識別された最高ピークのスパイクをカウントすることにより、前記ジェムストーン中にいくつの結晶が含まれるかを決定し、
前記受信信号を用いてQ評価を決定し、
検出された最低共振周波数スパイクについて、2で割り算された質量の平方根を使用して前記ジェムストーンの重量の概算を決定し、
評価中の前記ジェムストーンの前記受信信号の処理範囲を、表示および保存のためにコンピュータに送信するように構成された、システム。
【請求項12】
前記入力信号が100Hzの間隔で前記入力周波数の範囲を通して掃引される、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記受信信号の前記処理は、前記受信信号の同相成分および直交成分を含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
前記信号プロセッサは、位相感応検出器およびデジタル信号プロセッサを含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項15】
前記Q評価は、ピーク周波数を半値全幅で割り算したものであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本国際特許出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2017年2月28日に出願された「METHOD FOR FINGERPRINTING AND SORTING DIAMONDS」という名称の米国実用特許出願第15/444,736号明細書に関し、これに対する優先権を主張する。
【0002】
本出願は、ジェムストーンの非破壊試験の分野に関し、例えば、石のデジタル識別を作成するための、切削された、研磨された、および/または粗い石を含むがこれらに限定されない、あらゆる状態のダイヤモンドなどのジェムストーンの分野に関する。いくつかの実施形態は、潜在的な価値について石を分類するために使用され得る物理的特性を識別するためのジェムストーンの分析を含む。
【背景技術】
【0003】
ダイヤモンドは粗石として採掘され、そこからジェムストーンとして、または工業用としての価値を判断するために検査を受ける。採掘されたダイヤモンドの25%未満が、宝飾品用のジェムストーンを得るために切削および研磨する価値がある。残りの母集団の約40%はまだ工作機械用の工業用ダイヤモンドとして価値があり、残りは研磨用途にコーティングを提供するために粉砕されて粉体になる。したがって、これらの決定を効率的かつ正確に行うことは有用である。
【0004】
粗石は、一般にコーティングされた状態とコーティングされていない状態の2つの状態で存在する。コーティングされた石は、主な結晶構造とは異なる多結晶ダイヤモンドの層を有し、これにより不透明になっている。これは、人間の検査では亀裂や内包物が見えないか、または見えにくいため、光学検査を妨げる可能性がある。信頼性の高い仕分けシステムは非常に役立つ。
【0005】
追加または代替として、高価なアイテムとして、ジェムストーンが盗まれる可能性がある。後で身元確認に使用するために、これらの石をその起源で識別する必要がある。追加または代替として、高価なアイテムとして、ジェムストーンはしばしば時間の経過とともに保管が替わる。石が切削されて研磨されると、物体を識別してその完全性および身元を確保することが望まれる。本明細書のシステムおよび方法は、これらのニーズなどを実現する。本明細書の多くの例は、ダイヤモンドの分析および識別を対象としているが、本発明はこれに限定されず、コランダム、トルマリン、ベリル、タンザナイトを含むがこれらに限定されない多種多様な他のジェムストーンにも適用可能であることを明確に理解する必要がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書のシステムおよび方法は、試験対象の石を試験スタンドに取り付けることと、少なくとも2つの圧電トランスデューサで石に接触することと、圧電トランスデューサの少なくとも1つを所定の関心範囲で振動させて、石に共振を生成することと、少なくとも1つの圧電トランスデューサの得られた共振を感知することと、信号対ノイズ要件を満たすためにトランスデューサ信号のボットを増幅することと、アルゴリズムを使用するプロセッサおよびメモリを含む超音波共振法によって、共振信号の同相および直交成分を制御することにより、共振データを生成し、これにより、制御コンピュータのユーザインタフェースに共振データを表示させることとを含んでもよい。
【0007】
一例では、本明細書のシステム、方法、および非一時的コンピュータ可読媒体は、プロセッサおよびメモリを備えたチップを、入力信号を第1入力トランスデューサに送信するための信号発生器および信号プロセッサとして使用し、使用中、第1入力トランスデューサは評価中の石に接触していることと、次に共振信号を第2受信機トランスデューサから受信し、使用中、第2受信機トランスデューサが評価中の石に接触していることと、次に入力信号を入力周波数の範囲でステップ(step)することと、次に受信信号の範囲を受信することを含む。いくつかの例示的な実施形態では、チップは、次にアルゴリズムを用いて、受信信号の範囲を処理し、評価中の石の受信信号の処理範囲を、表示のためにコンピュータに送信するために使用される。
【0008】
本明細書のシステムおよび方法の別の例は、試験対象の石を試験スタンドに取り付けることと、少なくとも2つの圧電トランスデューサで石に接触することと、1つの圧電トランスデューサを所定の関心範囲で振動させて、石に共振を生成することと、別の同じ圧電トランスデューサの得られた共振を同時に感知することと、信号対ノイズ要件を満たすために両方のトランスデューサ信号を増幅することと、アルゴリズムを使用するプロセッサおよびメモリを含む超音波共振法によって、共振信号の同相および直交成分を制御することにより、共振データを生成し、これにより、制御コンピュータのユーザインタフェースに共振データを表示させることとを含んでもよい。
【0009】
本明細書のシステムおよび方法は、入力信号を第1入力トランスデューサに送信するために、超音波共振法によって、第1入力トランスデューサおよび第2受信機トランスデューサと通信するプロセッサおよびメモリを備えたコンピュータを含む。いくつかの例示的な実施形態では、第1入力トランスデューサは、評価中の石に接触している。いくつかの例示的な実施形態では、コンピュータは、第2受信機トランスデューサからの共振信号を観察するためのグラフィカルインタフェースとして使用され得る。追加または代替として、いくつかの例示的な実施形態では、超音波共振法を使用して、励起信号および受信信号の両方を増幅し、受信信号をアルゴリズムを用いて処理することができる。さらに、追加または代替として、いくつかの例示的な実施形態では、処理された信号に基づいて、評価中の石の共振データを観察するためにコンピュータを使用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明を理解し、それが実際にどのように実行され得るかを理解するために、添付図面を参照して、非限定的な例としてのみ実施形態を説明する。
【0011】
【
図1A】本明細書で説明される方法を実装するために使用され得るハードウェアの例示的なハードウェアシステム図である。
【
図1B】本明細書で説明される方法を実装するために使用され得るハードウェアの例示的なハードウェアシステム図である。
【
図1C】本明細書で説明される方法を実装するために使用され得るハードウェアの例示的なハードウェアシステム図である。
【0012】
【
図2】本明細書に記載のシステムおよび方法を使用して確認することができる例示的チャートである。
【0013】
【
図3A】本明細書に記載のシステムおよび方法を使用して確認することができる様々な主題の例示的チャートである。
【
図3B】本明細書に記載のシステムおよび方法を使用して確認することができる様々な主題の例示的チャートである。
【0014】
【
図4】本明細書に記載のシステムおよび方法を使用して確認することができる例示的チャートである。
【
図5】本明細書に記載のシステムおよび方法を使用して確認することができる例示的チャートである。
【
図6】本明細書に記載のシステムおよび方法を使用して確認することができる例示的チャートである。
【0015】
【
図7】本明細書で説明される方法を実装するために使用され得る例示的コンピュータシステムである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
ここで実施形態を詳細に参照するが、その例は添付の図面に示されている。以下の詳細な説明では、本明細書に提示される主題の十分な理解を提供するために、多くの特定の詳細が説明されている。しかし、主題がこれらの特定の詳細なしで実施され得ることは、当業者には明らかであろう。さらに、本明細書に記載の特定の実施形態は、例として提供されており、本発明の範囲をこれらの特定の実施形態に限定するために使用されるべきではない。他の例では、本発明の実施形態の態様を不必要に曖昧にしないために、周知のデータ構造、タイミングプロトコル、ソフトウェア操作、手順、および部品は詳細には説明されていない。
【0017】
概要
【0018】
ダイヤモンドは粗石として採掘され、そこからジェムストーンの品質、または2つの異なる工業的品質としての価値を判断するための検査が行われる。しかし、鉱山源に近い石を分析するという技術的なハードルのために、石は何度も処理されてから、適切に分析され、処理および切削のために分類される。さらに、そのような石の識別が役立つ場合がある。ジェムストーンは、多くの場合、非常に類似した測定値に切削および研磨されるため、類似の重量で、類似の比率に切削されたダイヤモンドの中で区別することは困難である。非常に透明度の高いダイヤモンドなどのジェムストーンには、類似のダイヤモンドを区別するのに役立つ内部特徴がほとんどなく、多くの場合、内部特徴の有無を定量的にうまく表すことができない。石は誤認され、互いに混同される可能性がある。
【0019】
本明細書に記載されているようなシステムおよび方法は、切削されたおよび/または研磨された石、ならびにいくつかの粗いダイヤモンドの両方の信頼できる分析を可能にする。追加または代替として、本明細書のシステムおよび方法を使用して、個々の石のデジタル識別子を作成し、後で個々の石を識別し、および/または後の回復および/または追跡時にそのような石を検証することができる。
【0020】
このような石の分析および識別は、超音波共振法(RUS)の使用を求める本明細書のシステムおよび方法を適用することで実現できる。RUS(Resonant Ultrasound Spectroscopy)は、特定の機械的力および周波数入力で励振器を使用して石に機械的振動などのエネルギーを印加し、石によって生成される共振を含むエネルギーを受け取ることを指す。いくつかの例では、グラフ化され、分析される可能性がある出力応答の範囲を受け取るために、入力周波数の範囲が与えられてもよい。他の例では、共振周波数または複数の共振周波数が受信信号の範囲内で検出される。これらの共振は、他の周波数で示されるノイズフロアよりもはるかに高い振動であり、石を識別または分析するために、本明細書で説明するように使用することができる。
【0021】
これらの受信されたRUS信号の例は、個々の石の物理的形状、密度、構造異常、および/または弾性特性を反映し、それにより石のこれらの特性を識別するのに役立つことができる。いくつかの例では、例えば、すべてのまたはほとんどのダイヤモンドが切削され、研磨されているか、粗いかに関係なく、密度がほぼ同じである場合、特定の共振は、石の幾何学および弾性特性の結果である可能性がある。したがって、同様に構成された石でさえ、他の特性によって区別される場合がある。
【0022】
分析された各石の受信信号グラフは、その石または石の一部を識別するための、後のグラフと比較するために使用できるように、保存および分類される。いくつかの例示的な実施形態では、識別に使用することができるそのような一意の信号は、石の識別子または「フィンガープリント」と見なされるか、または呼ばれ得る。
【0023】
ここで、「フィンガープリント」という用語は限定することを意図していないことに留意すべきである。フィンガープリントまたはフィンガープリンティングという用語は、後で同じ物体を識別したり、および/または石の特定の特性を決定したりするために保存および使用できる一意の識別子を指すために使用される場合がある。いくつかの例では、フィンガープリントは個々の石から受け取った共振エネルギーのグラフまたはチャートであり、その石を分析および/または識別するために使用される。人間の指の皮膚の隆起に基づいて異なるフィンガープリントを持っている各人のように、他の物体の一意の物理的特性を取得し、分析し、後で石を識別するために使用できる。本明細書の例では、そのようなフィンガープリント、または一意の識別子は、説明されている共振技術を使用して見つけることができる。
【0024】
本明細書の多くの例は、ダイヤモンドの分析および識別を対象としているが、本発明はこれに限定されず、コランダム、トルマリン、ベリル、タンザナイトを含むがこれらに限定されない多種多様な他のジェムストーンにも適用可能であることを明確に理解する必要がある。
【0025】
システム例
【0026】
追加的または代替的に、いくつかの例示的な実施形態では、本明細書に記載の方法を実行するために使用され得るシステムは、協働する特定のハードウェアおよびコンピュータリソースを含み得る。
図1Aは、本明細書の例示的実施形態で使用して石にエネルギーを印加し、それにより任意の共振エネルギーを含む応答戻りを受け取ることができるハードウェアの例示的構成を示す。これらの応答は処理され、その後ユーザインタフェースに表示されるか、および/または分析されてもよい。
【0027】
図1Aでは、検査中の石110に結合されるか、あるいは接触するシステム106内に少なくとも2つのトランスデューサ102、104が示されている。トランスデューサ102、104は、有線接続112または無線接続(図示されず)によってコンピュータ120に接続されるか、あるいは通信することができる。このコンピュータ120は、石110にエネルギーを与えるために入力トランスデューサ102にコマンドおよび/または信号を送ることができる。本明細書で説明するように、コンピュータ120はまた、石110からの共振パターンを分析するために、受信トランスデューサ104からデータを受信することができる。
【0028】
トランスデューサ102、104は、エネルギーを与え、および/またはエネルギーを受け取ることができる圧電部品を含むことができる。いくつかの例では、付与または印加されるエネルギーは、第1圧電トランスデューサ102によって石110に与えられる機械的振動の形態であってもよい。いくつかの例示的な実施形態では、入力エネルギーは、本明細書で説明されるように超音波周波数の特定のセットまたは範囲を含み得る。
【0029】
好ましい実施形態では、第2トランスデューサ104を使用して、共振応答を含む石110の機械的応答を感知、受信、または検出することができる。これらの受信トランスデューサ104からの信号は、増幅、処理、チャート作成、および/または分析のために、様々なコンピュータ120ハードウェアのいずれかに送信されてもよい。いくつかの例では、コンピュータ120は、入力を受信し、適合スペクトルを適切に記述する関連する共振を決定する接続された動的信号分析器として機能し得る。いくつかの例では、信号発生器、増幅器、および分光計は、本明細書で説明されるように別個の構成部品である。
【0030】
入力周波数範囲を把握し、個々の石ごとに特定の範囲の信号応答を受信することにより、本明細書に記載のシステムおよび方法を使用して石を分析および/または識別するために、再現可能な方法を利用することができる。いくつかの例示的な実施形態では、得られた信号は、例えば
図2に示されるように、ユーザインタフェース上にグラフィカルに表示されてもよい。いくつかの例示的な実施形態では、得られた信号は、他の信号と後で比較するために、グラフ化、デジタルマッピング、または他の方法でサンプリングおよび格納することができる。いくつかの例示的な実施形態では、この得られた信号は、石の共振フィンガープリントと呼ばれる場合がある。
【0031】
図1Aの例では、統合RUSシステムがコンピュータ120内に含まれ、信号発生器、増幅器、および分光計を含むがこれらに限定されない。いくつかの例示的な実施形態では、別個のRUSシステムが、トランスデューサ102、104とコンピュータ120との間に配置され、それらと通信する。そのような例示的な実施形態では、RUSシステム(
図1Aには図示されていない)は、信号の増幅を含む入力トランスデューサ102へのコマンドの送信および/または信号の生成、ならびに受信トランスデューサ104からの信号の受信、ならびに処理するために分光計のために受信信号の増幅および処理を行う。そのような例のコンピュータ120は、処理された信号の得られたグラフを表示し、および/またはデータを格納するためにのみ使用されてもよい。本明細書で説明するように、様々なハウジングおよび周辺接続内のハードウェア部品の任意の組み合わせまたは順列を利用することができる。
【0032】
いくつかの例では、トランスデューサ102、104間の検査110中の石の向きがRUS分析の出力に影響する可能性があることに留意すべきである。方向の例には、石110のテーブルからキューレットまたはガードルからガードルの方向が含まれる。各方向は、同じダイヤモンドの後続の走査でのピーク検出の再現性、および名目上類似した特性を有するダイヤモンド間での区別の面で、長所と短所を提供する場合がある。したがって、特定のRUS分析のための各石110の向きは、注釈を付けるか、グラフまたはレポートに含める必要がある。
【0033】
図1Bは、
図1Aのコンピュータ構成の代替としてまたは追加して、例示的な概略図の実施形態を示す。
図1Bでは、コンピュータ120は、ディスプレイ、データ記憶装置、および/またはシステムの残りの部分へのコマンド送信機構成を含むことができる。
図1Bに示すいくつかの例では、システムは、コンピュータ120と通信する周波数シンセサイザ130を含むことができ、シンセサイザ130は、コンピュータ120によってコマンドが与えられると電気信号および/または信号範囲を生成するように構成される。シンセサイザ130は、圧電結晶102に接続されてもよく、圧電結晶102は、シンセサイザ130から受信した電気信号を機械的振動に変換する。そのような例示的な機械的入力トランスデューサ102は、石110に接触させて、石を振動させることができる。以下に説明するように、周波数の範囲は入力トランスデューサ102によって石110に与えることができる。
【0034】
与えられた周波数に応答して、石110が振動し、石110と接触する追加の受信トランスデューサ104は、結果として生じる振動を感知し、処理のために電気信号を増幅器140に送るように構成され得る。いくつかの例では、そのような結果として生じる振動は、特定の共振ピークを含む応答の範囲をもたらす可能性があり、これは本明細書で説明されるように感知およびグラフ化またはサンプリングされ得る。
【0035】
いくつかの例では、増幅された信号は次に位相感応検出器およびデジタル信号プロセッサ150によって処理され、同相および異相または直交信号の両方が処理および分析のためにコンピュータ120に送信され得る。いくつかの例示的な実施形態では、プロセスを使用して信号を追加する。いくつかの例では、信号の処理に二乗和の平方根が使用される。例えば、
【0036】
和=√(1信号2)+(2信号2)
【0037】
次いで、得られたエネルギーグラフは、例えば
図2に示されるように負および正の共振ピークの両方を分析する代わりに、すべて正のピークセットのチャートとしてユーザインタフェースコンピュータ120に表示されてもよい。
【0038】
シンセサイザ130、増幅器140、位相感応検出器、およびデジタル信号プロセッサ150などの
図1Bの部品もまた、コンピュータ120自体の一部であるか、またはコンピュータ120自体において動作してもよいことに留意されたい。言い換えれば、
図1Bのこれらの構成部品は、いくつかの実施形態ではコンピュータ120に含まれてもよい。
【0039】
図1Cは、
図1Aおよび
図1Bに追加または代替としての別のハードウェア構成例である。
図1Cの例は、特定用途向け集積回路160(ASIC)および/またはROM、RAM、EEPROM、フラッシュメモリ、およびマイクロプロセッサを含むプロセッサなどの集積メモリを備えたシステムオンチップを含む。いくつかの例には、Red Pitayaシステムのような構成が含まれる場合があるが、そのようなシステムオンチップに追加して、または代替として、他の構成およびハードウェアを使用できる。そのようなシステムオンチップ160は、5ボルト電源162などであるがこれに限定されない電力を受け取ることができる。いくつかの例示的な実施形態におけるチップ160はまた、イーサネット(登録商標)、他の有線、または無線通信構成を介してコンピュータ164に結合および/またはコンピュータ164と通信してもよい。これらの例示的な実施形態では、システムオンチップ160は、RUSシステム用の信号発生器および信号プロセッサとして機能し得る。
【0040】
図1Cに示されるようなそのような例示的な構成では、システムオンチップ160はまた、電荷増幅器166と通信および/または結合され得る。そのような電荷増幅器166は、評価中の石110への入力信号のための増幅器として機能し得る。このような電荷増幅器166は、本明細書に記載のように、電荷増幅器168から入力信号を受信すると振動してもよい第1トランスデューサ168と結合および/または通信し、評価中の石110に入力周波数を供給してもよい。システムオンチップ160はまた、別の増幅器であるRUS増幅器170と結合および/または通信することもでき、RUS増幅器170は、第2トランスデューサ172からの受信周波数の増幅器として機能することができる。使用中、この第2トランスデューサ、または受信トランスデューサ172は、評価中の石110と通信および/または接触し、その圧電構成を通じて、共振周波数を含む評価中の石110の周波数を受信することができる。次いで、この受信信号は、RUS増幅器170によって増幅され、処理のためにチップ160に送信され得る。
図1Cの例では、システムオンチップ160は信号発生器および信号プロセッサとして機能し、次いで評価中の石110から受信および処理されたデータをコンピュータ164に送信して、分析、グラフ化、および表示する。
【0041】
いくつかの例示的な実施形態では、チップ160および/またはコンピュータ164は、インターネットなどのネットワークと通信していてもよい。そのような接続を通じて、チップ160および/またはコンピュータ164は、ネットワークサーバ上でホストされるソフトウェアと相互作用することができる。いくつかの例示的な実施形態では、RUSシステムに使用されるソフトウェアは、ローカルコンピュータ164および/またはチップ160に格納される。いくつかの例示的な実施形態では、ソフトウェアは、ローカルコンピュータ164および/またはチップ160の両方に保存され、ネットワークを介してアクセス可能である。
【0042】
図1A、1B、および1Cの実施形態を組み合わせて、様々な組み合わせで利用できることに留意すべきである。実施形態は必ずしも互いに排他的ではなく、限定することを意図していない。本明細書で開示されるハードウェアは、本明細書で開示される方法を実行するために、代替的または追加的に、さまざまな形態および組み合わせで組み立てられてもよい。
【0043】
信号の分析および生成の詳細については、以下で説明する。コンピュータの詳細な説明は
図7に見いだされる。
【0044】
受信した共振エネルギーの概要
【0045】
ダイヤモンドなどのジェムストーンは固体物体である。固体物体は、本明細書に記載のように、限定されるものではないが超音波周波数などの任意の数の周波数で機械的入力(トランスデューサ)を励起することにより励起されてもよい。いくつかの例では、そのような範囲の超音波周波数を使用してジェムストーンを励起することができる。適用された励起エネルギーへの応答は、特定の周波数での物体の共振であってもよい。共振とは、ある周波数で他の周波数よりも大きな振幅で振動する物体の傾向である。これらは物体の共振周波数として知られており、質量対する剛性の平方根、材料の密度、およびすべての寸法を含む形状の関数であってもよい。
【0046】
周波数=√剛性/質量
【0047】
励磁入力エネルギーのスペクトルまたは範囲を固体物体に適用すると、ジェムストーンなどの個々の物体のこれらの共振周波数を特定できる場合がある。いくつかの例では、範囲は掃引正弦波法であってもよく、これにより正弦波周波数が掃引(スイープ、sweep)またはステップされる。このような範囲の周波数を適用すると、振幅スパイクとして現れる固体物体に固有の識別可能な共振を含む受信スペクトルが得られる場合があり、振幅がない場合は、その周波数で石に共振がないことを示す。
【0048】
前述のように、固体物体の共振は、形状を含む物体の幾何学、および/または固体物体の弾性特性の影響、またはその結果に影響される可能性がある。いくつかの例では、石の切削の形状および寸法が特定の結果として生じる応答を生成するため、グラフ化できる共振ピークが生成される。これは、1つの単結晶のみで構成されるダイヤモンドの場合に特に当てはまる。そのような例では、密度および弾性特性は既知の値である可能性があり、したがって、共振は、前述の内包物および不均一性の微妙な寄与とともに絶対幾何学によって支配される可能性がある。
【0049】
これにより、RUSの適用は、小面寸法などを含む物理的形状、あるいは結晶、「羽毛」、またはその他の共振に影響を与え得る物理的側面などの内部包含物によって影響された物理的形状のみにより、切削/研磨されたサンプルに一意のフィンガープリントを生成できる。粗いジェムストーンでは、構造の剛性に影響を与える亀裂やその他の内包物がしばしば存在し、検出された共振の量と検出された共振のQ値(以下で説明するピーク幅)の両方を通してRUSで容易に観察できる。この特性評価は、構造特性のために粗いダイヤモンドを分類するのに役立つが、剛性構造を有するダイヤモンドのフィンガープリント識別子も提供する。したがって、いくつかの例では、石の弾性特性でさえ、多くの内包物および欠陥がある石について、同じ方法で測定されてもよい。そのような例では、多くの内包物または傷を含む石も同様に識別されてもよい。
【0050】
単結晶の切削、研磨されたダイヤモンドの共振グラフの例を
図2に示す。このチャートには、X軸202に沿って表示される0.8MHz~1.8MHzの励起周波数が適用されている。この例で得られた共振ピークは、振幅204のY軸上に示されている。この例では、約0.93MHz210、1.38MHz212、および1.75MHz214でピークが観察される。このシグネチャまたはパターンは、この個々の石に対して、本明細書に説明したように使用できる。
【0051】
ダイヤモンドは基本的にほぼ同じ密度、約3.5g/cm3であり、亀裂が存在する場合を除き、単結晶は同じ弾性定数を有するため、結晶の形状が異なり、異なる共振フィンガープリントが得られる場合がある。共振スペクトルの作成方法に関係なく、それを測定し、アーカイブされたフィンガープリントと比較して、変更されたか否かを確認できる。
【0052】
いくつかの例では、単一の石に複数の結晶が存在する場合がある。本明細書に説明するシステムおよび方法を使用して、識別目的で単一の石にいくつの結晶が現れるかを確認することができる。上記で説明したように、単結晶の特定の周波数範囲で約10個の共振を観測できる。
図3のフィンガープリントの例に示すように、その数の2倍または3倍が観察される場合、いくつかの例では、その単一の石の中に2つ以上の結晶が存在する場合がある。そのような分析は、検査者がダイヤモンドを評価し、かつ/またはダイヤモンドを特定するのに役立つ。
【0053】
いくつかの例では、最低共振周波数について2を超える質量の平方根を使用して、そのような方法から石の重量を概算することもできる。
【0054】
絶対周波数共振の例
【0055】
本明細書に記載の方法を使用すると、周波数の範囲またはスペクトルがサンプル石に与えられるときに、絶対周波数対相対振幅として、石からの結果として生じた受信振動のプロットを作成することができる。石に1つの衝撃周波数を与えるだけではなく、信号対ノイズ比が悪くなり、すべての共振が同時に発生するため、特定の周波数範囲のステップスルー(step through)を受信してプロットできる。
図3に示すように、得られた共振ピークを見つけるために石に与えられるこの周波数範囲は、X軸302上にグラフ化され、得られた共振はY軸304上にグラフ化され得る。異なる石で同じ周波数範囲を繰り返すことにより、識別可能なグラフ(周波数の表を含む)または「フィンガープリント」が生成され、共振ピークが分析および比較のためにチャート化される。
【0056】
図3は、完全なグレードが与えられた0.50カラットのダイヤモンドの得られた周波数のグラフの例を示している。グラフは、この特定の石が1.0MHzから3.0MHzに移動する際に、与えられたエネルギーに対する10個のピーク共振があることを示している。そのような得られたグラフ、特にピーク共振のパラメータは、本明細書で説明されているように、このダイヤモンドのフィンガープリントとして機能する可能性がある。
【0057】
いくつかの例では、石に与えられる周波数の範囲は、石の形状および/またはサイズに基づいて決定されてもよい。例えば、大きな石(例えば1カラットより大きい)の場合、小さな石(例えば1カラット以下)よりも低い周波数を入力周波数として使用すると、石を適切に識別するのに十分なピーク共振を伴うスペクトルが得られる場合がある。例えば、5カラットまたは10カラットの石の場合、0.5MHzの周波数掃引が有用な場合があるが、1カラットの石の場合、1~4MHzの範囲が好ましい場合がある。また、本明細書のシステムおよび方法を使用すると、より大きな石(1カラットより大きい)がより多くの共振ピークを生成する可能性があるため、0.2~0.3MHzなどの低い周波数で掃引を開始することは可能ではあるが、必要ではない。
【0058】
いくつかの例では、石のフィンガープリントをとるためにトランスデューサによって与えられるこの周波数の範囲は、石のサイズおよび/または寸法に応じて異なる場合がある。いくつかの例では、与えられる周波数の範囲は1MHz~5MHzである。いくつかの例では、0.8MHz~1.8MHzである。いくつかの例では、範囲は1MHz~4MHzである。大きな石は、比較に必要な量のピークを達成するために、小さな石よりも低い周波数を必要とする場合がある。
【0059】
0.8MHz~4MHzの検査範囲は、5~0.5カラットのダイヤモンドに適している場合がある(大きな石は、小さな石よりも低い値で最低の共振を有する)。はるかに大きな石の場合、検査範囲はより低い周波数に変わる場合がある。
【0060】
いくつかの例では、与えられた周波数は、グラフ化のために得られた共振ピークの範囲を達成するために、上記のように範囲内でステップされる。そのような例では、石上のトランスデューサによって与えられる周波数のステップは、最大数の共振ピークがチャート化され、時間およびリソースの効率的な使用が実世界の試験条件に利用されるように、設定できる。例えば、ステップが大きすぎると、石の共振周波数のピークがスキップされ、これらのピークがフィンガープリントから欠落する場合がある。しかし、小さすぎるステップはグラフ化に時間がかかりすぎる場合がある。したがって、本明細書のさまざまな例は、多くのピーク共振を見つける際の精度と、あまり時間やリソースを費やさない効率との良いバランスであることが示されている。いくつかの例では、ステップは100Hzである場合がある。いくつかの例では、ステップは200Hzである場合がある。いくつかの例では、20Hzのステップを使用できる。いくつかの例では、15~25Hzのステップを使用できる。いくつかの例では、2Hzのステップを使用できる。ただし、任意の範囲のステップを使用して周波数のスペクトルを横断し、それによって共振ピークのグラフを実現できることに注意する必要がある。
【0061】
共振グラフの例
【0062】
本明細書のさまざまな図は、本明細書で説明したシステムおよび方法を使用して受け取りおよび処理されたフィンガープリントの例を示している。これらの例は、確認できるさまざまなフィンガープリントの例によって限定されることを意図したものではない。
【0063】
図3Aは、粗い非被覆ダイヤモンドの例示的なフィンガープリントを示し、単純な線形状であり、高いQが明らかである(本明細書に記載されるように)。グラフはジェムストーンの品質を表しており、おそらく石に複数の結晶が含まれている。さらなる検査が必要な場合がある。ここでは、共振の同相成分320と直交成分322の両方に対応する2つのトレースが示されている。
【0064】
図3Bは、ダイヤモンド以外のジェムストーンの例示的なRUSフィンガープリントを示している。本明細書のシステムおよび方法を使用すると、ここで説明したダイヤモンドの確認方法と同様に、さまざまな非ダイヤモンド石から識別可能なフィンガープリントを確認することができる。ダイヤモンドとサファイアの例は限定することを意図したものではなく、任意のジェムストーンも同様にフィンガープリンティングすることができる。
【0065】
ダイヤモンドの弾性定数は、最も硬い材料を表すことに注意すべきである。他のすべての石はより柔らかいため、同じサイズの石の共振周波数はダイヤモンドよりもはるかに低い周波数になる。したがって、例えば、サファイアの最低20個の共振を観測するには、観測可能な範囲は約0.3MHz~1.5MHzになる。この重量のダイヤモンドの最低観測モードは約1.2MHzである。形状はまた、どれだけ低いモードが存在するかを決定する。薄い形状は、例えば円形よりも低い共振を有する。
【0066】
図3Bは、1.22カラットのブルーサファイアの同相および異相信号(和=√(1信号
2)+(2信号
2)の式を使用)を含むフィンガープリントスペクトルの例を示している。このチャートは、Y軸の振幅をボルト360で、x軸350の周波数をHzで示している。フィンガープリントチャートの例では、最高ピーク370などの複数のピークが検出された。この例では、180個の異なるピークが示されている。
【0067】
したがって、
図3Bは、ダイヤモンド以外のさまざまな石もまた、識別、分析、評価などのために石の一意のフィンガープリントを確認するために、本明細書のRUSシステムおよび方法に従う方法を示している。
【0068】
図4は、亀裂を示す粗いコーティングされたダイヤモンドのフィンガープリントの例を示しているが、いくつかの識別可能な共振がある。見てわかるように、ピーク430、432は、
図2のものよりも粗く、ギザギザで、幅が広い。これは、石の物理的な構成と、その中に含まれる内包物などの欠陥によるものである。本明細書で説明するように、
図4のより広いピークはQ評価に影響を与える可能性がある。
【0069】
含まれている結晶が十分に大きく、初期の亀裂が少ない場合、粗い石は共振を示すことがある。石に亀裂が多すぎる場合、共振スペクトルはそれを特定するために使用される十分な詳細を欠く場合がある。そのような分析はまた、石のあらゆる操作、または以前のフィンガープリントのセットが取られてから受けた変化を確認することができる。
【0070】
図5Aは、識別可能な共振のない典型的な粗いダイヤモンドのフィンガープリントの例を示している。位相550と直交552の両方の信号がグラフ化されるが、範囲全体で識別可能なピークは確認されない。多数の亀裂のために著しい共振が存在しないため、約25%の粗石は大きな結晶構造を示さない。これらの石はダイヤモンド粉体に粉砕される可能性が高いため、これらの石にフィンガープリンティングする必要はない。
【0071】
図5Bは、同相560および直交562の両方における工業品質のコーティングされた石の例示的なフィンガープリントを示す。このグラフはいくつかの明確な共振564、566を示しているが、各ピークは、
図2のような亀裂が含まれていないことが分かっている切削/研磨された石の場合よりもかなり広くなっている。これらの石はフィンガープリンティングし、追跡できる。
【0072】
共振品質の例
【0073】
いくつかの例では、RUS中に検出されたピーク位置に変動がある場合がある。追加しておよび/または代替として、得られた共振スペクトルグラフは、ピーク共振の識別によって分析されるだけでなく、ピーク共振自体の特性も分析され得る。ピーク位置の標準偏差とピーク幅を調べることにより、別の分析を実行できる。このような分析または「Qの決定」は、試験および環境条件中のダイヤモンドの配置にわずかな違いがあるにもかかわらず、共振周波数の測定の一貫性を保つのに役立つ。これは、評価中の石の特定の品質または特性を示している場合がある。
【0074】
いくつかの例では、Qは、ピークの中心周波数を最大値の半分のピークの全幅で割ったものとして定義できる。
【0075】
Q=ピーク周波数/半値全幅
【0076】
言い換えると、ピークの中間のピーク幅を分析してQを決定することができる。高Q共振は、値が高いために狭く、低いQは広く、これにより品質と中心周波数が、正確に測定できる。
【0077】
例えば、共振周波数グラフに明確な中心が示されている場合、共振中心周波数が広く、確認が難しい場合よりも、フィンガープリントの品質またはQは高いと言える。したがって、より広い共振グラフのピークは、石の低い透明度グレードを示す低いQ評価を有する。
【0078】
このようなQは、測定の精度を定義するのに役立つ場合があるという点で、一意のフィンガープリントを確立する際に使用できる。例えば、切削された研磨されたダイヤモンドは10,000~50,000程度のQ値を示すが、切削された研磨されたダイヤモンドのサイズが小さいか、または透明度が低く、多くの内包物がある場合、Q値は500~1000程度である。
【0079】
再び
図3を参照すると、完全なグレードが与えられた0.50カラットのダイヤモンドの得られた周波数のグラフの例が示されている。グラフは、1.0 MHzと3.0 MHzの間に10個のピーク共振があることを示し、Qが10
4であることを示している。
【0080】
さらに、粗い石にはしばしば亀裂が含まれる。切削すると、専門家はこれらの欠陥を検出し、原石から単結晶を切削できる場合がある。共振スペクトルへの影響は、Qを10倍以上大幅に低下させることである(
図4のフィンガープリントグラフの例に示すように)。狭い帯域幅には多くの共振が存在するため(例えば、0.5カラットのサンプルでは1 MHz~3 MHzの間の10個)、ここで説明する入力エネルギーとしてこのような周波数選択を行うことができるいくつかの周波数があってもよい。
【0081】
フィンガープリントの比較例
【0082】
いくつかの例示的な実施形態では、絶対周波数フィンガープリントとQフィンガープリントの両方を受信し、識別目的で分析することができる。例えば、上記の方法でスペクトルグラフを作成し、比較のために表示できる。比較例では、2つの異なる1カラットの石で同じピーク共振の数は106分の1程度である。したがって、統計的には、この方法は一致が正確であるという高い確実性で使用できる。
【0083】
いくつかの例では、グラフ自体をライブラリに保存し、石の比較として使用するためにカタログ化できる。いくつかの例では、追加または代替として、そのようなライブラリに保存されたグラフ全体の代わりに、振幅と入力周波数で示される特定の共振ピークを使用してマトリックスを構築できる。このようなマトリックスでは、後で比較するために保存する必要があるデータポイントはわずかである場合がある。
【0084】
いくつかの例では、そのような比較はコンピュータアルゴリズムによって実現される。そのような例では、絶対周波数を識別する方法が使用されてもよい。そのような例では、グラフのピーク共振の比較を行うことができる。標準偏差を使用した比較を使用して、グラフを一致させることができる。いくつかの例では、標準偏差誤差は+/-200 Hzである。いくつかの例では、誤差は、石の重量に基づいて異なる場合がある。例えば、より大きな石(1カラットより大きい)はより多くの共振ピークを生成し、より小さい誤差を必要とする場合がある。より小さい石(1カラットより小さい)は、より少ない共振ピークを生成し、より大きな標準偏差誤差を必要とする場合がある。
【0085】
図6は、3つのほぼ同一の0.50カラットのサンプルのフィンガープリントの例を示しており、これは、石の幾何学の違いにより異なる共振グラフパターンを生成する。完全は技術用語であるが、成長過程での異物の混入や完全な結晶格子からの逸脱により、多くの場合そのようなジェムストーンは完全に均質ではなく、研磨されたジェムストーンでは、これらの内包物および不均質は、粗いジェムストーンと比較して低い。しかし、RUSグラフを比較すると、これらのジェムストーンを区別できる。
図6では、赤670、青672および緑674トレースは、3つの異なるダイヤモンドを表す。したがって、石が人間の検査者には似ている場合でも、RUSのシステムおよび方法によって区別することができる。
【0086】
さらに、
図6に示す例のように、単一のユーザインタフェースグラフに複数のスペクトルを表示すると有益である場合がある。
図6では、3つのほぼ同一の0.50カラットの切削された丸いダイヤモンドがフィンガープリンティングされ、表示されている。コンピュータは、スペクトルの差に基づいてサンプルを受け入れるか拒否するように構成できる。
【0087】
コンピューティング装置の例
【0088】
図7は、
図1Aおよび
図1Bなどの本明細書で説明される例示的な実施形態を実施する際に使用され得る例示的なコンピュータ700を示す。そのようなコンピュータ700は、任意の種類の携帯型、デスクトップ、分散型、またはネットワークベースのコンピューティング装置であり得る。そのようなシステム700は、本明細書で説明されるように信号データを受信および分析し、得られたフィンガープリントグラフを生成し、それらをGUIで表示するように構成され得る。そのようなコンピュータ700は、信号を生成し、信号を受信し、データを送受信し、データを格納し、データを分析し、データを表すGUIの表示をもたらすために使用されるモバイル装置であり得る。
【0089】
図7では、コンピューティング装置は、スマートフォン、ラップトップ、タブレットコンピュータ、サーバコンピュータ、または任意の他の種類のコンピューティング装置などの任意の種類であり得るが、これらに限定されない。この例は、バス712または他の通信を介してユーザインタフェース714と通信する任意の数のプロセッサであり得るプロセッサCPU710を示す。ユーザインタフェース714は、遠隔またはローカルに位置することができるスクリーンなどの任意の数のディスプレイ装置718を含むことができる。ユーザインタフェース714はまた、タッチスクリーン、キーボード、マウス、ポインタ、ボタンまたは他の入力装置などの入力を含むことができる。
【0090】
図7およびコンピュータシステム700はまた、データを送受信するために任意の無線または有線ネットワークと接続するために使用され得るネットワークインタフェース720を含む。そのようなインタフェースは、スマートフォンが、例えば、セルラネットワークおよび/またはWiFiネットワーク、そしてそれによりインターネットと接続することを可能にし得る。例示的なコンピューティング装置700はまた、セルラ、WiFi、NFC、Bluetooth(登録商標)、赤外線、あるいはこれらまたは他の無線通信の任意の組み合わせなどを介して、無線で通信するためのアンテナなどであるが、これに限定されない任意の数の追加機能を含むことができる周辺機器724も示す。いくつかの例では、周辺機器は、本明細書で説明されるように信号を送受信するための任意の数のRUSチップ730、増幅器728、トランスデューサ726を含むことができる。いくつかの例示的な実施形態では、
図1Aに示すように、RUSチップ730はコンピュータ700と通信し、RUSチップは増幅器728と通信し、増幅器728はそれぞれトランスデューサ726と通信する。
図7の周辺機器724の例は、限定することを意図したものではなく、
図1A~
図1Cの構成の代替的または追加的な例にすぎない。
【0091】
コンピューティング装置700はまた、プロセッサ710によって実行可能な任意の数の動作を含むメモリ722を含む。
図7のメモリは、例示的なオペレーティングシステム732、ネットワーク通信モジュール734、他のタスクのための命令738、ならびに信号発生器740および/または信号分析器742などのアプリケーション738を示している。この例には、データ記憶装置758も含まれている。そのようなデータ記憶装置は、本明細書に記載の方法で使用するためのデータテーブル760、信号ログ762、サンプルデータ764および/または格納されたアルゴリズム770を含み得る。
【0092】
結論
【0093】
上記の記述は、説明の目的で、特定の実施形態を参照して記述してきた。しかしながら、上記の例示的な議論は、網羅的であること、または開示された厳密な形態に本発明を限定することを意図していない。上記の教示を考慮して、多くの修正および変形が可能である。実施形態は、本発明の原理およびその実際の用途を最もよく説明するために選択および説明され、それにより、当業者が、意図される特定の用途に適するような様々な修正を伴い、本発明および様々な実施形態を最大限に利用できるようにする。
【0094】
本明細書の新技術は、1つまたは複数の部品、システム、サーバ、器具、他の補助部品を介して実装されるか、またはそのような要素間に分散され得る。システムとして実装される場合、そのようなシステムは、とりわけ、汎用コンピュータに見られるソフトウェアモジュール、汎用CPU、RAMなどの部品を含む、および/または関与する場合がある。新技術がサーバ上に存在する実装では、そのようなサーバは、汎用コンピュータに見られるような、CPU、RAMなどの部品を含むか、または関与する場合がある。
【0095】
さらに、本明細書の新技術は、上記のものを超えて、異種または完全に異なるソフトウェア、ハードウェア、および/またはファームウェア部品を使用した実装によって達成することができる。そのような他の部品(例えば、ソフトウェア、処理部品など)および/または本発明に関連するまたは本発明を具現化するコンピュータ可読媒体に関して、例えば、本明細書の新技術の態様は、多数の汎用または特殊目的コンピューティングシステムまたは構成と一致して実装され得る。本明細書の新技術で使用するのに適した様々な例示的なコンピューティングシステム、環境、および/または構成には、パーソナルコンピュータ内にある、またはパーソナルコンピュータ上で具現化されるソフトウェアまたは他の部品、ルーティング/接続部品などのサーバまたはサーバコンピューティング装置、携帯型またはラップトップ装置、マルチプロセッサシステム、マイクロプロセッサベースのシステム、セットトップボックス、民生用電子装置、ネットワークPC、その他の既存のコンピュータプラットフォーム、1つまたは複数の上記のシステムまたは装置を含む分散コンピューティング環境などが含まれるが、これらに限定されない。
【0096】
場合によっては、本明細書の新技術の態様は、例えば、そのような部品または回路に関連して実行されるプログラムモジュールを含む論理および/または論理命令を介して達成されるか、または論理および/または論理命令によって実行され得る。一般に、プログラムモジュールには、本明細書の特定のタスクを実行したり、特定の命令を実装したりするルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造などが含まれ得る。本発明はまた、回路が通信バス、回路またはリンクを介して接続される分散ソフトウェア、コンピュータ、または回路設定の文脈で実施することもできる。分散設定では、制御/命令は、メモリ記憶装置を含むローカルおよび遠隔のコンピュータ記憶媒体の両方から発生する場合がある。
【0097】
本明細書の革新的なソフトウェア、回路、および部品はまた、1つまたは複数のタイプのコンピュータ可読媒体を含むおよび/または利用することができる。コンピュータ可読媒体は、そのような回路および/またはコンピューティング部品上に常駐するか、関連付けられるか、またはアクセスできる任意の利用可能な媒体であり得る。例として、限定ではなく、コンピュータ可読媒体は、コンピュータ記憶媒体および通信媒体を含むことができる。コンピュータ記憶媒体には、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュールまたは他のデータなどの情報を保存するための任意の方法または技術で実装された揮発性および不揮発性、取り外し可能および取り外し不可能な媒体が含まれる。コンピュータ記憶媒体には、RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリまたはその他のメモリ技術、CD-ROM、digital versatile disks(DVD)またはその他の光学記憶素子、磁気テープ、磁気ディスク記憶装置またはその他の磁気記憶装置、あるいは所望の情報を保存するために使用でき、かつコンピューティング部品からアクセスできる任意の他の媒体が含まれるが、これらに限定されない。通信媒体は、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、および/または他の部品を備えてもよい。さらに、通信媒体は、有線ネットワークまたは直接有線接続などの有線媒体を含むことができるが、本明細書のそのようなタイプの媒体は一時的媒体を含まない。上記のいずれかの組み合わせもコンピュータ可読媒体の範囲内に含まれる。
【0098】
本説明では、部品、モジュール、装置などの用語は、さまざまな方法で実装できる任意のタイプの論理または機能ソフトウェア要素、回路、ブロック、および/またはプロセスを指す場合がある。例えば、さまざまな回路および/またはブロックの機能を互いに組み合わせて、他の任意の数のモジュールにすることができる。各モジュールは、本明細書の新技術の機能を実装するために中央処理装置によって読み取られる有形のメモリ(例えばランダムアクセスメモリ、読み取り専用メモリ、CD-ROMメモリ、ハードディスクドライブなど)に格納されたソフトウェアプログラムとして実装することもできる。または、モジュールは、送信搬送波を介して汎用コンピュータまたは処理/グラフィックハードウェアに送信されるプログラミング命令を含むことができる。また、モジュールは、本明細書の新技術に含まれる機能を実装するハードウェア論理回路として実装することができる。最後に、モジュールは特殊目的命令(SIMD命令)、フィールドプログラマブル論理アレイ、または所望のレベルのパフォーマンスおよびコストを提供するそれらの任意の組み合わせを使用して実装できる。
【0099】
本明細書で開示されるように、本発明と一致する特徴は、コンピュータハードウェア、ソフトウェア、および/またはファームウェアを介して実装され得る。例えば、本明細書で開示されるネットワークシステムおよび方法は、例えば、データベース、デジタル電子回路、ファームウェア、ソフトウェア、またはそれらの組み合わせも含むコンピュータなどのデータプロセッサを含む様々な形態で具現化され得る。さらに、開示された実装のいくつかは特定のハードウェア部品を説明しているが、本明細書の新技術と一致するシステムおよび方法は、ハードウェア、ソフトウェアおよび/またはファームウェアの任意の組み合わせで実装され得る。さらに、本明細書の新技術の上記の特徴および他の態様および原理は、さまざまな環境で実装され得る。そのような環境および関連するアプリケーションは、本発明によるさまざまなルーチン、プロセス、および/または動作を実行するために特別に構築するか、またはコードによって選択的に活性化または再構成された汎用コンピュータまたはコンピューティングプラットフォームを含み、必要な機能を提供することができる。本明細書で開示されるプロセスは、特定のコンピュータ、ネットワーク、アーキテクチャ、環境、または他の装置に元来関連するものではなく、ハードウェア、ソフトウェア、および/またはファームウェアの適切な組み合わせによって実装され得る。例えば、様々な汎用マシンは本発明の教示に従って書かれたプログラムと共に使用することができるか、または必要な方法および技術を実行するための専用の装置またはシステムを構築することがより便利な場合がある。
【0100】
論理など、本明細書で説明する方法およびシステムの態様はまた、フィールドプログラマブルゲートアレイ(「FPGA」)などのプログラマブル論理装置(「PLD」)、プログラマブルアレイ論理(「PAL」)装置、電気的にプログラム可能な論理およびメモリ装置、標準セルベースの装置、ならびに特定用途向け集積回路を含むさまざまな回路のいずれかにプログラムされる機能として実装することができる。態様を実装するための他の可能性には、メモリ装置、メモリを備えたマイクロコントローラ(EEPROMなど)、エンベデッドマイクロプロセッサ、ファームウェア、ソフトウェアなどが含まれる。さらに、態様は、ソフトウェアベースの回路エミュレーション、離散論理(シーケンシャルおよびコンビナトリアル)、カスタム装置、ファジー(ニューラル)論理、量子装置、および上記装置タイプのいずれかのハイブリッドを有するマイクロプロセッサで具現化される。基礎となる装置技術は、例えば、相補型金属酸化膜半導体(「CMOS」)のような金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(「MOSFET」)技術、エミッタ結合ロジック( 「ECL」)のようなバイポーラ技術、ポリマー技術(例えば、シリコン共役ポリマーおよび金属共役ポリマー金属構造)、アナログとデジタルの混合などの様々な部品タイプで提供されてもよい。
【0101】
また、本明細書で開示される様々な論理および/または機能は、ハードウェア、ファームウェアの任意の数の組み合わせを使用して、および/または様々な機械可読媒体またはコンピュータ可読媒体で具現化されるデータおよび/または命令として、動作、レジスタ転送、論理部品、および/またはその他の特性の点で、有効にできることに留意すべきである。そのようなフォーマットされたデータおよび/または命令が具現化され得るコンピュータ可読媒体は、一時的媒体を再び含まないが、様々な形態の不揮発性記憶媒体(例えば、光学、磁気または半導体記憶媒体)を含むが、これらに限定されない。文脈がそうでないことを明確に要求しない限り、説明全体を通して、「含む」、「備える」などの言葉は、排他的または網羅的な意味ではなく、包括的な意味、つまり、「含むが、それに限定されない」という意味で解釈されるべきである。単数または複数を使用する単語はまた、それぞれ複数または単数を含む。さらに、「本明細書に」、「ここに」、「上記で」、「以下に」という単語、および類似の意味の単語は、本出願全体を指すものであり、本出願の特定の部分を指すものではない。単語「または」が2つ以上の項目のリストに関連して使用される場合、その単語は、その単語の、リスト内の任意の項目、リスト内の項目すべて、およびリスト内の項目の任意の組み合わせ、のすべての解釈を網羅する。
【0102】
本発明の特定の現在好ましい実装を本明細書で具体的に説明したが、本明細書に示され説明された様々な実装の変形および修正は、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなくなされ得ることは、本発明に関係する当業者には明らかであろう。したがって、本発明は、適用可能な法の規則によって要求される範囲にのみ限定されることが意図されている。