(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】障壁ベントアセンブリ
(51)【国際特許分類】
B01D 46/00 20220101AFI20221220BHJP
B01D 39/16 20060101ALI20221220BHJP
B01D 39/20 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
B01D46/00 E
B01D39/16 Z
B01D39/20 B
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020174797
(22)【出願日】2020-10-16
(62)【分割の表示】P 2017537458の分割
【原出願日】2016-01-28
【審査請求日】2020-10-29
(32)【優先日】2015-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591163214
【氏名又は名称】ドナルドソン カンパニー,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【氏名又は名称】木村 秀二
(72)【発明者】
【氏名】ローデン, ジョナサン
(72)【発明者】
【氏名】ヘバート, マイケル ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ドッツラー, ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】リトル, ダニエル
【審査官】河野 隆一朗
(56)【参考文献】
【文献】独国特許発明第102007043462(DE,B3)
【文献】米国特許出願公開第2003/0034016(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0154790(US,A1)
【文献】特表2003-502549(JP,A)
【文献】特表2009-533633(JP,A)
【文献】特表2008-518772(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 46/00 - 46/54
B01D 39/00 - 39/20
D04H 1/00 - 18/04
F16H 57/00 - 57/12
F16K 24/00
Japio-GPG/FX
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベントハウジングであって、取付構造と、前記取付構造から前記ベントハウジングの外部の環境に延在する通気経路とを画成するベントハウジングと、
前記ベントハウジングに結合され、且つ前記通気経路にわたって配設されるメンブレンと
を備え、
前記取付構造と前記メンブレンとの間の前記通気経路の内部で合体領域を画成し、
前記合体領域と前記メンブレンとの間に離間領域を画成し、前記合体領域から前記取付構造内の前記通気経路の部分を通る排出経路を画成し、
前記合体領域が合体濾過媒体を備え、前記合体濾過媒体が
オイル滴への
前記取付構造内の前記通気経路の部分を通り導入されるオイル粒子の合体を可能にするよう構成され、
前記排出経路が前記
オイル滴を排出するよう構成される、ベントアセンブリ。
【請求項2】
前記合体領域と前記メンブレンとの間に媒体スペーサを更に備え、前記媒体スペーサが前記合体領域と前記メンブレンとの間の接触を防ぐように構成され、且つ前記通気経路の一部を画成するように構成される、請求項1に記載のベントアセンブリ。
【請求項3】
前記ハウジングが、前記通気経路が前記メンブレンから前記外部の環境へ外周開口部を介して延在するように前記外周開口部を画成する、請求項1に記載のベントアセンブリ。
【請求項4】
ベントアセンブリを作成する方法であって、
取付構造と、前記取付構造からベントハウジングの外部の環境に延在する通気経路と、を画成する前記ベントハウジングを形成することと、
合体領域を画成するよう前記ハウジングの内部の前記通気経路内に合体濾過媒体を挿入することと、
前記ハウジング内に前記合体濾過媒体を収容するように媒体スペーサを挿入することと、
前記合体濾過媒体から離間した関係で前記ベントハウジングにメンブレンを結合することと、
を含み、
前記ベントアセンブリは前記合体領域から前記取付構造内の前記通気経路の部分を通る排出経路を画成し、
前記合体濾過媒体が
オイル滴への
前記取付構造内の前記通気経路の部分を通り導入されるオイル粒子の合体を可能にするよう構成され、
前記排出経路が前記
オイル滴を排出するよう構成される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、PCT国際特許出願として2016年1月28日に、米国籍企業のDonaldson Company,Inc.を全ての国を指定する出願人とし、米国民Jonathan Lauden、米国民Michael J. Hebert、米国民Daniel Dotzler、及び米国民Daniel Littleを全ての国を指定する発明者とする名義で出願され、2015年1月28日出願の米国仮特許出願第62/108,932号明細書に対する優先権を主張し、その内容の全てを参照により本明細書中に組み込む。
【0002】
本技術はベントアセンブリに関する。より詳細には、本技術は障壁ベントアセンブリに関する。
【背景技術】
【0003】
自動車用変速機、ディファレンシャルケース、及び出力伝達装置等の様々な種類のギヤボックスは、一般に、ギヤボックスと外部環境との間の圧力を等しくすることが可能なある種のブリーザベントを必要とする。幾つかのブリーザベントは、ギヤボックスへの埃及び流体等の汚染物質の侵入を防ぐように濾過媒体を内蔵している。例えば、細孔性メンブレンがギヤボックス内への水の浸入を防ぐために用いられてもよい。しかし、ギヤボックス内に存在するオイル粒子は、浮遊し、メンブレンに詰まる可能性がある。既存の幾つかの技術は、メンブレンに到達する前にオイル粒子を捕捉するように構成されるオイル収着体(例えば、オイルの吸収材及び/又は吸着材)濾過媒体を用いている。しかし、かかるベントは、オイル粒子が媒体内に蓄積するにつれて媒体が詰まり、これによりベントの寿命が低下するため、比較的短い寿命を有している。更に、収着濾過媒体がオイル粒子を吸い上げるため、オイルは比較的早くメンブレンを汚損させる可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【
図1】本明細書中に開示する技術と一致するベントアセンブリの斜視図である。
【
図2】実装例における、
図1に示す実施形態と一致するベントアセンブリの断面図である。
【
図3】本明細書中に開示する技術と一致するベントアセンブリハウジングの斜視図である。
【
図4】本明細書中に開示する技術と一致するベントアセンブリ構成部品の分解斜視図である。
【
図5】本明細書中に開示する技術と一致するベントアセンブリの断面斜視図を示す。
【
図6】本明細書中に開示する技術と一致する代替ベントアセンブリの断面斜視図を示す。
【
図7】本明細書中に開示する技術と一致する別のベントアセンブリの断面図を示す。
【
図9】ベントアセンブリの比較試験結果を示すグラフである。
【
図10】ベントアセンブリの比較試験結果を示すグラフである。
【
図11】本明細書中に開示する技術と一致する一種類の合体媒体の試験結果例を示すグラフである。
【
図12a】2つの濾過媒体に対する試験結果を表す概略図である。
【
図12b】2つの濾過媒体に対する試験結果を表す概略図である。
【
図13a】濾過媒体繊維例のための滴接触角の写真を表す概略図である。
【
図13b】濾過媒体繊維例のための滴接触角の写真を表す概略図である。
【
図13c】濾過媒体繊維例のための滴接触角の写真を表す概略図である。
【
図14】本明細書中に開示する技術と一致する1つの方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0005】
本技術は、添付図面に関連して、様々な実施形態の以下の詳細な説明を考慮してより詳細に理解され、正しく認識されるであろう。
【0006】
図1は、本明細書中に開示する技術と一致するベントアセンブリの斜視図である。ベントアセンブリ100は、一般に、取付構造120と、取付構造120からベントハウジング110の外部の環境(本明細書中で「外部環境」と称する)に延在する通気経路150とを画成するベントハウジング110を有する。ベントハウジング110は、通気経路150が外周開口部140を介して外部環境に延在するように外周開口部140を画成している。ベントアセンブリ100は、ハウジング110に結合されるベントキャップ130を有している。
【0007】
図2は、実装例におけるベントアセンブリ100の断面図を示している。
図5は、ベントアセンブリ100の斜視図を示し、本明細書中の説明を理解するために、
図2と併せて考察されてもよい。取付構造120から、通気経路150は、ベントアセンブリ100によって画成される合体領域180、ベントアセンブリ100によって画成される離間領域170、及びベントハウジング110に結合されるメンブレン160を通って延在する。ベント合体領域180は、メンブレン160と取付構造130との間に位置決めされている。取付構造120は、エンクロージャ200に密閉的に結合される接続部202に係合するように構成されるコネクタ管190に取り付けられる。接続部202は、エンクロージャ200の内部に通じるベント口204を画成する。
【0008】
エンクロージャ200は、一般に、オイルを収容するように構成される。エンクロージャ200は、また、ギヤ等の可動部品を収容するように構成されてもよい。エンクロージャ200は、例えば、動力伝達システム、トランスファーケース、ギヤボックス、出力伝達装置、車軸構成部品等の様々な用途のために用いられてもよい。かかる用途は、特に、自動車、製造、エネルギー生産等の産業内で見られる。当業者は、様々な技術分野に対する本技術の幅広い適用性を正しく認識するであろう。
【0009】
様々な実施形態において、コネクタ管190は、ゴムから構成され、ベントアセンブリ100の取付構造120及びエンクロージャ200の接続部202の両方と摩擦係合する。本実施形態において、取付構造120は、コネクタ管190と係合する周方向隆起部122を画成している。接続部202及びコネクタ管190は、表面摩擦により、且つ/又は鉤、及び/若しくは隆起、及び/若しくは突出部を含む他の突起等の物理的要素により係合してもよい。他のアプローチが、正しく認識されるように、ベントアセンブリ100をエンクロージャ200に結合するために用いられてもよい。ベントアセンブリ100は、実施例のように、スナップ嵌合、ねじ、当接接続、並びに鍵及び錠等による他のアプローチを介してエンクロージャ200に密閉的に結合されてもよい。多くの実装において、Oリングがベントアセンブリをエンクロージャ200に密閉的に結合するために用いられている。幾つかの実施形態において、ベントアセンブリの取付構造は、エンクロージャに画成される開口部を直接受けるように構成されてもよい。
【0010】
ベントアセンブリ100は、一般に、それが取り付けられるエンクロージャ200を通気させる一方で、エンクロージャ200への埃、流体、及び他の汚染物質の侵入を防ぐように構成される。一実施形態において、ベントアセンブリ100は、IP69K侵入保護を達成するよう設計されており、これは、設置時にベントアセンブリ100が近距離、高圧、高温の下方向噴霧からエンクロージャ200を保護することを意味する。ベントアセンブリ100は、また、オイル滴の合体を可能にし、合体させたオイルをエンクロージャ200内に排出して戻すように構成される。
【0011】
メンブレン160は、一般に、エンクロージャ200のための外側の流体及び埃汚染物質に対する障壁として機能する一方で、エンクロージャ200とエンクロージャ200の外部の環境(大気等)との間の換気を可能にするように構成される。このため、メンブレン160は、一般に、通気経路150にわたって配設される。様々な実施形態において、メンブレン160は、ベントハウジング100によって画成されるメンブレン受容面112に結合され、ここで、メンブレン受容面112は、キャップ130(
図1参照)なしでベントハウジング100の斜視図を示す
図3で見ることができる。一実施形態において、メンブレンは気流を増加させるようにプリーツが付けられている。
【0012】
各種の材料がメンブレン160として用いるために適している。一般に、メンブレン160は細孔性材料であり、ここで、用語「細孔性」とは、材料が、約0.001~約5.0ミクロンの平均孔径を有する細孔を画成することを意味することを意図している。メンブレン160は、一般に、約50%未満の固体性及び約50%を超える多孔性を有している。様々な実施形態において、メンブレン160は、微小繊維によって相互に接続される複数のノードを有している。多くの実施形態において、メンブレン160は延伸ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)メンブレンである。メンブレン160は、また、他の実施例のように、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、アクリル、ポリエーテルスルホン、及び/又はポリエチレンで構成されてもよい。メンブレン160は、以下の物理的特性:少なくとも5psiの水侵入圧(WEP)と、0.5水柱インチ(0.01807psi)において0.275フィート/分を超えるFrazier通気性とを有していてもよい。
【0013】
幾つかの実施形態において、メンブレン160は積層板である。例えば、メンブレン160は、Cantonment,Floridaに位置するCerex Advances Fabrics,Inc.から市販されているような不織ナイロン支持層に積層される、Minneapolis,MNを本拠地とするDonaldson Company,Inc.からのTetratex(商標)等級であってもよい。かかる実施例において、メンブレンは、約9psiのWEPと、0.5水柱インチ(0.01807psi)において1.8フィート/分のFrazier通気性とを有する。
【0014】
多くの実施形態において、メンブレン160は撥油性である。メンブレン160は撥油処理されていてもよい。特定の一実施形態において、メンブレン160は、AATCC仕様118-1992及びISO14419に基づく6、7、又は8の撥油評価を有している。
【0015】
合体領域180は、一般に、オイル粒子がエンクロージャ200から通気経路150を介してベントアセンブリ100を通過する際にそれらを合体させ、それらを空気から排出させるように構成される。かかる構成は、結果としてメンブレン160内の細孔閉塞を生じ、結果としてベント寿命を低減させる可能性のある、エンクロージャ200からの高い割合の空気が入り込んだオイル粒子がメンブレン160上に堆積しないよう防止する。合体領域180は、ベントアセンブリ100内部での滴へのオイル粒子の合体を可能にし、オイルが合体領域から排出し、エンクロージャ200内に戻ることを可能にするように構成される。合体領域180はオイルの収着体ではない。多くの実施形態において、合体領域180は、本質的に撥油性であり、合体領域180の毛管現象を低減することにより、メンブレン160に向かう重力に逆らった上方へのオイルの這い上がりを防ぐことができる。合体領域180内部の合体媒体は、AATCC仕様118-2013及びISO14419に基づく少なくとも約6.5の撥油評価を有していてもよい。一実施形態において、合体領域は、少なくとも約7の撥油性を有し、より詳細には、約7.5の撥油性を有している。
【0016】
合体領域180は、様々な種類の材料及び材料の組み合わせであってもよい。例えば、合体領域180は複合繊維を有していてもよい。複合繊維は2つの異なるポリエステルから構成されてもよい。幾つかの実施形態において、合体領域180はガラス繊維を有していてもよい。少なくとも1つの実施形態において、ガラス繊維はマイクロファイバーであってもよい。一般に、合体領域180はバインダ材料を実質的に欠いており、ここで、用語「バインダ材料」は、複合繊維又は他の繊維等の合体領域における繊維を除外するように本明細書中で定義される。様々な実施形態において、ベントアセンブリ100の合体領域180は合体濾過媒体182を含んでいる。合体領域180、特に、合体濾過媒体182に対して用いられる材料に関する詳細を以下でより詳細に説明する。
【0017】
ベントアセンブリ100の合体領域180における合体濾過媒体182は、合成濾過媒体の複数の層の積層であってもよい。層のかなりの部分は、濾過媒体の各層の各流れ面が濾過媒体の隣接層の流れ面と直接接触するように積層されてもよい。用語「流れ面」は、通気経路150を通る気流の方向に面するように構成される濾過媒体の各表面を意味するように用いられる。濾過媒体の個々の層のそれぞれは、比較的低い粒子濾過効果及び小さい圧力降下を有していてもよい。一般に、合成濾過媒体の各層は、15%、10%、又は更に8%の最大粒子濾過効果を有し、ここで、「粒子濾過効果」とは、濾過媒体の単一層に関して本明細書中で用いられる場合、ASTM#1215-89に従って測定する20フィート/分の面速度において、0.78ミクロンの単分散ポリスチレン球形粒子に対処する濾過媒体の単一層の粒子濾過効果を指す。特定の一実施形態において、合成濾過媒体の各層は、約7%の粒子濾過効果を有している。幾つかの実施形態において、合体領域180における合成濾過媒体の各層は、略等しい粒子濾過効果を有する。それぞれの濾過層の比較的低い粒子濾過効果は、合体領域からエンクロージャ200の内部に向かって排出する場合に、合体したオイルに対する抵抗を少なくする比較的開口した経路を画成することにより、オイル除去を促進することができる。
【0018】
合体領域180は、一般に、粒子濾過を提供するように追加的に構成される。様々な実施形態において、合体領域180は、伸長構造を有しており、これは、合体領域180がその幅よりも長いことを意味する。かかる伸長構造は、合体濾過媒体182の個々の層に対して、合体領域180の総合的な粒子濾過効果を向上させることによって粒子濾過を向上させることができる。合体領域180は、少なくとも90%、少なくとも95%、及び/又は少なくとも99%の総合的粒子濾過効果を有していてもよく、ここで、「総合的粒子濾過効果」は、合体領域の粒子濾過効果を定義するために本明細書中で用いられる。総合的粒子濾過効果とは、
図8に示し、対応する説明において説明する試験セットアップを用いて、7.2リットル/分でオイルエアロゾルに対処する場合に合体領域を貫通する粒子のパーセンテージを指す。オイルエアロゾルの粒径は、0.4ミクロンの中央粒径及び0.3ミクロンの形態と共に0.19~2ミクロンの範囲内にある。合体領域180は、1.2psi、1.0psi、又は更に0.8psi未満の初期圧力降下を有していてもよく、ここで、初期圧力降下は、
図8に示し、本明細書中で説明する試験セットアップを用いて、3.94フィート/秒(1.2m/秒)の面速度でオイルエアロゾルに対処する場合に、任意の相当量の粒子が合体領域180によって捕捉される前の合体領域180間の圧力差として定義される。
【0019】
様々な実施形態において、合成濾過媒体182の複数の層の積層は、追加的に、合体濾過媒体の少なくとも1つの二次層を有していてもよい。合体濾過媒体の少なくとも1つの二次層は、合体濾過媒体の残りの層と異なる粒子濾過効果を有していてもよい。様々な実施形態において、合体濾過媒体の少なくとも1つの二次層は、合体濾過媒体の残りの層の粒子濾過効果よりも大きい粒子濾過効果を有していてもよい。例えば、合体濾過媒体の少なくとも1つの二次層は、少なくとも15%、30%、60%、又は更に70%である粒子濾過効果を有していてもよい。一実施例において、合体濾過媒体の少なくとも1つの二次層は、約99%の粒子濾過効果を有していてもよい。
【0020】
合体濾過媒体の少なくとも1つの二次層が比較的高い粒子濾過効果を有している実施形態において、エンクロージャ200からのオイルとの接触時における付着物の高い危険性により、濾過媒体の少なくとも1つの二次層をエンクロージャ200から離間して位置決めすることが望ましい可能性がある。少なくとも1つの実施形態において、合体濾過媒体の少なくとも1つの二次層は、細孔性メンブレンに向かう濾過媒体の層の積層内に位置決めされる。特定の一実施形態において、合体濾過媒体の少なくとも1つの二次層は、スペーサ領域170と直接隣接する。かかる実施形態において、合体濾過媒体の少なくとも1つの二次層は、濾過媒体182の層の積層の最上層である。
【0021】
合体濾過媒体の少なくとも1つの二次層は、合体領域180の総合的粒子濾過効果を向上させるか、及び/又は所望の総合的粒子濾過効果を達成するように合体領域180の全長を縮小し、それにより濾過パックの長さを縮小することができる。合体濾過媒体の少なくとも1つの二次層は、上で検討したように、撥油性に処理されてもよい。別の実施形態において、合体濾過媒体の少なくとも1つの二次層は撥油性ではない。一実施形態において、合体濾過媒体の少なくとも1つの二次層は、2008年1月1日に登録され、参照により本明細書中に組み込む米国特許第7,314,497号明細書において説明されている媒体層と一致する。
【0022】
様々な実施形態において、濾過媒体182の複数の層の積層は、合体領域180の目標の総合的粒子濾過効果を達成するために十分な濾過媒体の層数を有している。幾つかの実施形態において、合成濾過媒体182の複数の層の積層は、少なくとも2、25、50、60、又は更に70層の濾過媒体を有している。一実施形態において、合体領域180は約90層の合成濾過媒体を有する。通常、濾過媒体の層の合計深さは、約0.5インチ(12.7mm)以上であり、一実施形態において、所望の総合的粒子濾過効果に応じて、約1.8インチ(45.7mm)である。
【0023】
一般に、濾過媒体の複数の層のそれぞれは、幾つかの層が濾過媒体の他の層と整列されないように流体経路内部で積層される。換言すれば、合成濾過媒体の層のそれぞれは中心軸を有し、積層される場合、複数の中心軸は同一線上にない。幾つかの実施形態において、合成濾過媒体の層の少なくとも一部は、通気経路150の対応する断面積よりも大きい流れ面積を有している。かかる構成により、空気が合成濾過媒体の複数の層の少なくとも一部を通過せずに通気経路150を通って流れることを防ぐことができる。
【0024】
様々な実施形態において、合体領域180における合成濾過媒体182の積層された層の各層のかなりの部分は、積層合成濾過媒体の隣接層と実質的に非接合にされている。「積層合成濾過媒体の各層のかなりの部分」とは、積層内の合成濾過媒体の層の少なくとも50%、少なくとも60%、又は少なくとも80%を意味することを意図している。用語「実質的に非接合にされる」とは、濾過媒体の層の表面積のうちの少なくとも97%が非接合にされていることを意味するように用いられる。幾つかのかかる実施形態において、合体領域180における合成濾過媒体182の積層された層の各層は、合成濾過媒体の隣接層と実質的に非接合にされている。しかし、幾つかの他の実施形態において、積層合成濾過媒体182の層の少なくとも一部は、合成濾過媒体の隣接層に接合される。1つの例示の実施形態において、積層合成濾過媒体182の層の一部は、合成濾過媒体の隣接層に熱的に接合される。
【0025】
ここで、合体濾過媒体に対して考えられる材料を説明する。
【0026】
合体濾過媒体の説明
本明細書中に開示する技術と一致する合体濾過媒体は、一般に、湿式媒体である。湿式媒体は、例えば、2012年3月16日出願の米国特許出願公開第2012/0234748号明細書、又は別の例として2008年1月1日登録の米国特許第7,314,497号明細書と一致して構成されてもよく、そのそれぞれを参照により本明細書中に組み込む。湿式媒体は、湿式加工によってシート状に形成され、ディスク状に形成され、次いで、ベントアセンブリのベントハウジング内に挿入される。通常、上で説明したように、湿式媒体ディスクは、ベントハウジング内で複数の層に積層されて、合体されたオイルの重力補助排出を可能にする。
【0027】
ブリーザベントにおいて合体領域を形成するために用いられる湿式シートの媒体組成は、通常、以下のようなものである:
1.それは、少なくとも10ミクロン、通常、少なくとも12ミクロンの計算された細孔径(X-Y方向での、以下でより詳細に説明する)を有する形状で提供される。細孔径は、通常、80ミクロン以下であり、例えば、12~60ミクロン、通常、15~45ミクロンの範囲内である。
2.それは、3~18%、通常、5~15%の範囲内にある(0.78ミクロン粒子に対して20fpmでの)粒子濾過効果を有するよう調合される。
3.それは、本明細書中で提供する概要に従って、シート状複合繊維材料内部の材料の総重量に基づき、少なくとも30重量%であり、通常、少なくとも40重量%、多くの場合、少なくとも45重量%であり、幾つかの実施形態において、85~95重量%の範囲内である。
4.それは、シート内部の材料の総重量に基づいて、複合繊維間に配設される5重量%~70重量%の二次繊維材料を有する。この二次繊維材料は繊維の混合であってもよい。様々な実施形態において、セルロース繊維が用いられるが、幾つかの他の実施形態において、ガラスマイクロファイバーが用いられる。代替例が可能である。一実施形態において、合体媒体は、約5重量%~9重量%、又はより詳細には、約7.5重量%のセルロースを有し、残りの91~95%は複合繊維である。代替の実施形態において、合体媒体は、約47重量%~53重量%、又はより詳細には、約50重量%のガラスマイクロファイバーを有し、残りの47~53%は複合繊維である。
5.通常、繊維シート(及び結果として生じる濾過媒体)は、(繊維シートの繊維を画成する材料を除いて)添加バインダ材料を含んでいない。添加バインダ材料が存在する場合、一般的に、それは総繊維重量の約7重量%以下、好ましくは総繊維重量の約3重量%以下で存在している。
6.通常、湿式媒体は、3,000平方フィート当たり少なくとも20ポンド(9kg/278.7平方m)の基本重量に作成され、通常、3,000平方フィート当たり120ポンド(54.5kg/278.7平方m)以下に作成される。通常、それは3,000平方フィート当たり35~130ポンド(15.9kg~54.4kg/278.7平方m)の範囲内で選択される。特定の一実施形態において、媒体は3,000平方フィート当たり約36.5ポンド~約45.5ポンドの基本重量を有する。
7.通常、湿式媒体は、1分当たり15~500フィート(12~153メートル/分)、通常、1分当たり100フィート(30メートル/分)のFrazier通気性(1分当たりのフィート数)に作成される。約35ポンド/3,000平方フィート~130ポンド/3,000平方フィート(15.9~54.4kg/278.7平方メートル)程度の基本重量に対して、標準的なFrazier通気性は、約300~600フィート/分(60~120メートル/分)であり、幾つかの他の実施形態において、15~50フィート/分の範囲にある。
8.0.125psi(8.6ミリバール)においてベントアセンブリ内の説明した合体領域を形成するために用いられる湿式媒体シート(単数又は複数)の厚さは、通常、少なくとも0.01インチ(0.25mm)であり、多くの場合、0.018インチ~0.07インチ(0.45~1.78mm)程度であり、通常、0.018~0.03インチ(0.45~0.76mm)である。一実施形態において、媒体シートは、1.5psiにおいて約0.015インチ~約0.023インチの厚さを有している。
【0028】
A.細孔径
一般に、合体濾過媒体の細孔径が小さすぎる場合、合体濾過媒体を通る(及びそれからの)下方への重力による合体されたオイル粒子の排出は、困難であるか遅い可能性があり、それによりガス流へのオイルの再飛散の増加を招き、多孔性が高い場合、オイル粒子を捕集及び合体させる可能性が低い。
【0029】
本明細書中に開示する技術と一致する障壁ベントは、12~80ミクロンの範囲内の細孔径を有する合体濾過媒体を組み込んでいてもよい。通常、細孔径は15~45ミクロンの範囲内にある。少なくとも0.25インチ(6.4mm)の深さを介し、図を特徴とする設計に対して、同伴オイルを有するエンクロージャからのガス流を最初に受けるように構成される合体濾過媒体の少なくとも一部は、少なくとも20ミクロンの平均細孔径を有している。これは、この領域において、大きい第1のパーセンテージの合体/排出が行われるためである。少ない合体排出が行われる上層において、固形粒子のより効果的な濾過のためのより小さい細孔径が幾つかの例において望まれてもよい。様々な実施形態において、ベントアセンブリの合体領域における合体濾過媒体の少なくとも一部は、約30~50ミクロンの平均細孔径を有する。
【0030】
合体濾過媒体に関して本明細書中で用いる場合の用語細孔径及びその変形は、X-Y方向における濾過媒体内の繊維間の理論的距離に言及することを意味する。X-Yとは、媒体厚さであるZ方向に対する表面方向を指す。計算は、媒体内の全ての繊維が媒体の流れ面に平行に整列され、等間隔に空けられ、繊維の長さと垂直な断面で見た場合に正方形として並べられると想定する。細孔径は、正方形の対向する角部同士の繊維表面間の距離である。媒体が様々な直径の繊維から構成される場合、繊維のd2平均が直径として用いられる。d2平均は2乗した直径の平均の平方根である。媒体の細孔径は、媒体の電子写真を検討することによって推定されてもよい。媒体の平均細孔径は、また、Ithaca,NYのPorous Materials,Inc.から市販されているモデル番号APP1200AEXSCを有する毛細管流動ポロメータを用いて計算されてもよい。
【0031】
本明細書中に提供する一般的定義に従う合体濾過媒体は、複合繊維及び他の繊維の混合を有していてもよく、図に関連して本明細書中で概して説明するようなベントアセンブリに用いられてもよい。通常、十分な媒体シートが、少なくとも85%、通常90%以上の総合的粒子濾過効果を有するように合体領域において用いられる。幾つかの例において、95%以上及び更に99%以上の効果を有するのが好ましい。
【0032】
B.厚さ
本開示に従って合体領域を作成するために利用される媒体の厚さは、通常、1平方インチの円形押さえ部を装備したAmes#3W(BCA Melrose Mass.)等のダイヤルコンパレータを用いて測定される。合計2オンス(56.7g)の重量が円形押さえ部間に印加される。
【0033】
本開示に従う合体領域を形成するように積層されるために用いることができる一般的な湿式媒体シートは、0.125psi(8.6ミリバール)で少なくとも0.01インチ(0.25mm)、更にまた0.125psi(8.6ミリバール)で最大約0.06インチ(1.53mm)の厚さを有する。通常、厚さは、同様の条件下で0.018~0.03インチ(0.44~0.76mm)である。
【0034】
C.媒体組成
1.複合繊維成分
上で示したように、媒体の繊維組成は30重量%~95重量%の複合繊維材料を含むのが好ましい。媒体内に複合繊維を用いることの大きい利点は、比較的低い固体性を維持しながらの繊維サイズの効果的な利用である。複合繊維によりこれを実現する一方で、ベントアセンブリにおける設置に対処するための十分高い強度の媒体を更に達成することができる。
【0035】
複合繊維は、一般に、繊維として共に形成される2つのポリマー成分を備えている。複合繊維に対するポリマーの様々な組み合わせが有用であってもよいが、第1のポリマー成分は、第2のポリマー成分の溶融温度よりも低く、通常、205℃未満の温度で融解することが重要である。更に、複合繊維は、湿式媒体を形成することにおいて、他の繊維と完全に混合され、均一に分散される。複合繊維の第1のポリマー成分の融解は、複合繊維が冷却時に他の繊維及び他の複合繊維の多くを捕捉し、結合する粘着性骨組み構造を形成することを可能にするために必要である。
【0036】
代替例が可能であるが、通常、複合繊維は芯鞘形状で形成され、鞘は低融点ポリマーを備え、芯は高融点を形成する。
【0037】
芯鞘構造において、低融点(例えば、約80~205℃)の熱可塑性物質は、通常、高融点材料(例えば、約120~260℃)の繊維の周囲に押し出し成形される。使用中、複合繊維は、通常、約5~50マイクロメートル、多くの場合、約10~20マイクロメートルの平均最大断面寸法(円形の場合、平均繊維径)を有し、通常、繊維形状において、概して、少なくとも1mmで30mm以下、通常、20mm以下、通常では1~10mmの平均長を有する。これに関連して、「最大」による言及は、繊維の最も厚い断面寸法を意味する。
【0038】
かかる繊維は、ポリオレフィン類(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステル類(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、PCT等)、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン6,12等を含むナイロン類を含む様々な熱可塑性材料からできていてもよい。適切な融点を有していてもよい何らかの熱可塑性物質が複合繊維の低融解成分において用いられてもよい一方、高融解ポリマーが繊維の高融解「芯」部分において用いられてもよい。かかる繊維の断面構造は、「並列」若しくは「芯鞘」構造、又は同じ熱接合作用を提供する他の構造であってもよい。1つは、また、先端が低融点ポリマーを有するローブ形繊維を用いてもよい。複合繊維の価値は、比較的低い分子量の樹脂が、複合繊維と、機械的に安定したシート、媒体、又はフィルタへのシート、媒体、又はフィルタ作成材料内に存在する他の繊維とを結合するように作用するため、シート、媒体、又はフィルタ形成条件下で融解することができる点である。
【0039】
複合(芯/外殻又は鞘及び並列)繊維のポリマーは、例えば、ポリオレフィン/ポリエステル(鞘/芯)複合繊維等の異なる熱可塑性材料からできており、それによりポリオレフィン、例えば、ポリエチレンの鞘は、芯、例えば、ポリエステルよりも低い温度で融解する。一般的な熱可塑性ポリマーは、ポリオレフィン類、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、及びそれらの共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエステル類、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル酢酸ビニル、ポリビニルブチラール、アクリル樹脂類、例えば、ポリアクリラート、及びポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル、ポリアミド類、すなわちナイロン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリウレタン類、セルロース樹脂類、すなわちニトロセルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、エチルセルロース等、上記材料のいずれかの共重合体、例えば、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレンアクリル酸共重合体、スチレン-ブタジエンブロック共重合体、Kratonゴム等を含む。考えられる複合繊維の一種は、Wilmington,DEを本拠地とするDuPontから市販されている271Pである。他の繊維は、FIT201、クラレN720、及びニチメン4080、並びに同様の材料を含む。これらの全ては、第1の溶融の完了時に鞘ポリマーを架橋結合することの特性を明示している。これは、適用温度が、通常、鞘溶融温度よりも高いオイル用途に対して有効であってもよい。鞘が完全に結晶化しなければ、鞘ポリマーは、用途において再度融解し、下流機器及び構成部品を被覆又は損傷する。
【0040】
ブリーザベントの合体領域において用いるための湿式媒体シートを形成するために使用可能な複合繊維の一例は、Dupontポリエステル複合271Pであり、約6mmの長さに切断されてもよい。
【0041】
2.二次繊維材料
複合繊維は、合体濾過領域のためのマトリックスを提供する。二次繊維は、十分にマトリックスを充填して、向上した効率が望ましい場合に効率のための所望の性質を提供する。幾つかの実施形態において、二次繊維は複合繊維マトリックスの強度を向上させるために用いられる。
【0042】
二次繊維は、ポリマー繊維、ガラス繊維及び/又はマイクロファイバー、セルロース繊維、金属繊維、セラミック繊維、又はこれらのいずれかの混合であってもよい。少なくとも一実施形態において、セルロース繊維は、複合繊維と共に用いられる二次繊維の唯一の種類である。幾つかの他の実施形態において、ガラス繊維、ポリマー繊維、又は混合物は二次繊維材料として用いられる。
【0043】
幾つかの実施形態において、合体濾過媒体はガラスマイクロファイバーを有する。幾つかの他の実施形態において、合体濾過媒体は、実質的にガラスマイクロファイバーを欠いている。ガラスマイクロファイバーは、比較的高い粒子濾過効果が望ましく、比較的大きい圧力降下が許容できる実施形態に用いられてもよい。本技術の濾過媒体に使用できるガラス繊維は、A、C、D、E、ゼロホウ素E、ECR、AR、R、S、S-2、N等の名称で公知のガラスの種類、及び強化繊維を作成するために用いられる延伸プロセス、又は断熱繊維を作成するために用いられる紡糸プロセスのいずれか一方によって繊維に作成できる一般的ないずれかのガラスを含む。
【0044】
ここで説明した技術の不織媒体は、多くの両親水性、疎水性、親油性、撥油性繊維からできている二次繊維を含んでいてもよい。これらの繊維は、ガラス繊維(用いられている場合)及び複合繊維と協働して、流動性物質の通過の機械的応力に耐えることができ、使用中の粒子の荷重を維持できる、機械的に安定しているが、比較的強い透過性濾過媒体を形成する。二次繊維は、通常、約0.1ミクロン以上、通常、1ミクロン以上、多くの場合、15~55ミクロン、場合によっては8~15ミクロンの範囲にあってもよい平均最大断面寸法(円形の場合、直径)を有する単一成分繊維であり、天然素材の綿、リネン、羊毛、様々なセルロース及びタンパク性天然繊維、レーヨン、アクリル、アラミド、ナイロン、ポリオレフィン、ポリエステル繊維を含む合成繊維を含む様々な材料からできていてもよい。二次繊維の一種は、他の成分と協働して材料をシートに結合させるバインダ繊維である。別の種類の二次繊維は、乾燥及び湿潤状態で他の成分と協働して材料の引張及び破裂強度を向上させる構造繊維である。加えて、バインダ繊維は、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール等のポリマーからできている繊維を含んでいてもよい。二次繊維は、また、カーボン/グラファイト繊維、金属繊維、セラミック繊維、及びそれらの組み合わせ等の無機繊維を含んでいてもよい。
【0045】
熱可塑性繊維が、同様に、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリプロピレン繊維、コポリエーテルエステル繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリブチレンテレフタレート繊維、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)繊維、ポリエーテルセトン(PEEK)繊維、液晶性ポリマー(LCP)繊維、及びそれらの混合に限定されない二次繊維として用いられてもよい。ポリアミド繊維は、セルロース繊維、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール繊維(88%加水分解、95%加水分解、98%加水分解、及び99.5%加水分解ポリマー等のポリビニルアルコールの様々な加水分解を含む)、綿、ビスコースレーヨン、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性物質、ポリ酢酸ビニル、ポリ乳酸、及び他の一般的な繊維種類を含むナイロン6、66、11、12、612、及び高温「ナイロン」(ナイロン46等)を含むが、これらに限定されない。
【0046】
繊維の混合物は、特定の所望の効率及び他のパラメータを得るために、合体濾過媒体に組み込まれてもよい。
【0047】
本開示の合体濾過媒体は、通常、製紙プロセスを用いて作成される。かかる湿式プロセスは特に有用であり、多くの繊維成分が水分散加工のために意図されている。しかし、ここで説明する技術の媒体は、エアレイド加工に適応する同様の成分を用いるエアレイドプロセスにより作成されてもよい。湿式シート製造に用いられる機械は、ハンドレイドシート機器、長網抄紙機、丸網抄紙機、傾斜抄紙機、複合抄紙機、及び適切に混合された紙を取り、完成紙料成分の層又は複数層を形成し、流体水性成分を除去して湿潤シートを形成することができる他の機械を含む。材料を含む繊維スラリーは、通常、比較的均一な繊維スラリーを形成するように混合される。繊維スラリーは、次いで、湿式製紙プロセスを受ける。スラリーが湿式シート状に形成されると、湿式シートは、次いで、乾燥透過性であるが、実際のシート、媒体、又はフィルタを形成するよう乾燥、硬化、又は他に処理される。
【0048】
工業規模のプロセスに対して、本技術の複合マトリックスは、一般に、市販の長網、丸網、Stevens成形機、Roto成形機、Inver成形機、Venti成形機、及び傾斜Delta成形機等の製紙タイプ機械の使用により処理される。傾斜Delta成形機が利用されることが好ましい。本開示の複合マットは、複合繊維スラリー及びセルロース又はガラス繊維スラリーを形成し、例えば、混合タンク内でスラリーを混合することによって用意されてもよい。プロセスにおいて用いられる水の量は、使用する機器の大きさに応じて変化させてもよい。完成紙料は、それが脱水され、可動ワイヤスクリーン上に堆積させる従来のヘッドボックスを通過させてもよく、ここで、それは、吸引又は真空によって脱水されて不織複合織物を形成する。
【0049】
複合繊維内のバインダは、織物を加熱ステップに通過させることによって活性化される。結果として生じる材料は、次いで、必要に応じて大型ロールに捕集されてもよい。
【0050】
3.繊維の表面処理
撥油処理等により、繊維とオイルとの間の接触角を増加させるため等の繊維の表面特性の改良は、合体領域の排出能力を強化し、合体領域内の繊維によるオイルの収着を防止することができる。繊維の表面を改良する方法は、通常、媒体の最大5重量%にフルオロケミカル又はシリコン含有材料等の表面処理を施すことにある。かかる処理は、濾過媒体の撥油性を強化できる。
【0051】
合体濾過媒体の繊維は、概して、撥油性を特徴としてもよい。撥油性は、通常、媒体繊維上に撥油性フルオロケミカルの層を堆積させることにより、及び/又は他の手段の中でも、フルオロケミカルの溶液内に合体濾過媒体を浸漬すること(浸漬被覆)により合体濾過媒体に与えられる。リック圧延、グラビアコーティング、及び/又はカーテンコーティングは、合体濾過媒体が撥油性のために処理されてもよい幾つかの他の方法例である。
【0052】
表面処理剤は、繊維の製造中、媒体の製造中、又は媒体の製造後に塗布されてもよい。繊維と対象の特定種類のオイルとの間の接触角を増加させるフルオロケミカル又はシリコン含有化学製品等の多数の処理材が利用可能である。考えられる特定の表面処理は、上記の米国特許出願公開第2012/0234748号明細書において検討されている。
【0053】
より一般的な用語において、合体領域は、オイル粒子の合体/排出の両方及び粒子の濾過も管理する。捕集オイルにとって、急速に排出することが望ましくてもよいが、そうでなければ濾過媒体の機能寿命は不経済に短くなる。媒体は、オイルが媒体から急速に排出されることが可能であるように位置決めされる。ベントアセンブリの幾つかの重要な性能特性は、初期及び平衡の分別効率、圧力降下、及び排出能力である。媒体の幾つかの重要な物理的特性は、厚さ、固体性、及び強度である。
【0054】
一般に、合体/排出用の媒体は、排出させる濾過能力を強化させる方法で整列される。様々な構成において、これは、垂直伸長配向において構成される媒体である。この配向において、いかなる媒体組成も、細孔径、繊維配向、及び接触角として測定される繊維表面とのオイルの相互作用の関数である平衡負荷高さを呈する。媒体におけるオイルの捕集は、媒体からのオイルの排出速度と平衡を保つ点まで高さが増加する。当然のことながら、排出オイルで詰まっている媒体のいずれかの部分は、概して、粒子濾過に使用できない。従って、媒体のかかる詰まり部分は、圧力降下の増大及びフィルタの粒子濾過効果の減少の原因となる。結果として、オイルが詰まる可能性が最も高い合体領域の部分を制御することが有利であってもよい。代替として、特に、エンクロージャに最も近い合体領域の一部分において、排出速度を向上させることが有利であると言える。
【0055】
排出速度をもたらす媒体特性は、細孔径、繊維配向、及び繊維表面との排出されるオイルの相互作用である。かかる特性は、所望のオイル流れを達成するために洗練されてもよい。細孔径を増大させることにより、上で説明したように排出が容易になる。しかし、細孔径を増大させることにより、濾過用の繊維の数を減少させ、従って、合体領域の全体的効率を低下させる。目標の効率を達成するため、比較的厚い合体領域が、所望の細孔径を有する材料の多数の層を用いることによって形成されてもよい。
【0056】
様々な実施形態において、合体濾過媒体の層のかなりの部分は、上記の米国特許出願公開第2012/0234748号明細書の開示と一致する。
【0057】
図2を参照すると、ベントアセンブリ100は、合体領域180からエンクロージャ200へ排出された合体オイルを向けるように構成されている。重力は、合体領域180から出る合体オイルの排出を促進してもよい。ベントハウジング110によって画成される1つ以上の流出表面118は、排出する合体オイルをエンクロージャ200に向けてもよい。流出表面118は、概して、合体領域180から排出される合体オイルを受けるように位置決めされる。流出表面118は、重力がエンクロージャ200への合体オイルの排出を支援できるように、エンクロージャ200のベント口204に向かって下方に傾斜されている。本実施形態において、ベントハウジング110は複数の離散流出表面118を画成するが、幾つかの実施形態において、ベントハウジング100は単一の流出表面を画成してもよい。本実施形態において、複数の離散流出表面118は、合体濾過媒体182が位置するベントハウジング110の実質的に平面のプラットフォーム表面119の間に画成される。
【0058】
図7は、本明細書中に開示する技術と一致する代替流出表面719を明示する例示の実施形態を示す。ベントアセンブリ700は、本明細書中で既に説明し、これから説明するそれらの実施形態と類似しているが、この実施形態において、ベントアセンブリ700のベントハウジング710は、合体濾過媒体782が積層されるプラットフォーム表面でもある単一の流体排出経路を画成する流出表面718を有することを除く。従って、合体濾過媒体782は、流出表面718の角度と一致する角度で積層される。通気経路750を画成する取付構造720は、ベントハウジング710に対して非対称に位置決めされる。流出表面718は、合体領域780から排出されるオイルが通気経路750に向けられてエンクロージャ内に排出されるように、通気経路750に向かって下方に傾斜されている。流出表面718に隣接するレッジ領域719は、積層782の基部の周囲部分に沿って合体濾過媒体782の積層を支持する。
【0059】
図2に再度戻ると、ベントアセンブリ100の離間領域170は、概して、エンクロージャ200からのオイルとメンブレン160との間の接触を防ぐように構成されている。特に、離間領域170は、メンブレン160に向かうオイルの這い上がりを妨げるように構成されてもよい。離間領域170は、また、合体濾過媒体182とメンブレン160との間の接触を防ぐように構成されてもよい。離間領域170は、合体領域180とメンブレン160との間の物理的な障壁であってもよい。少なくとも一実施形態において、離間領域170は、合体領域内に合体濾過媒体を含むように構成される物理的障壁であってもよい。
【0060】
図2に示すものを含む様々な実施形態において、離間領域170は、媒体スペーサ172によって少なくとも部分的に画成される。媒体スペーサ172は、伸長合体領域180、特に、合体濾過媒体182と、メンブレン160との間でベントハウジング110内部に配設される。離間領域170は、また、媒体スペーサ172とメンブレン160との間の物理的な間隙によって画成される。代替の実施形態において、離間領域は、媒体スペーサを欠いており、合体領域とメンブレンとの間の単なる物理的間隙である。
【0061】
本実施形態において、媒体スペーサ172は、概して、合体濾過媒体182とメンブレン160との間の接触を防ぐように構成される。媒体スペーサ172は、また、メンブレン160に向かって合体領域180を通って流れる空気が媒体スペーサ172を通過するように、通気経路150の一部を画成するように構成される。ここで説明する実施形態において、媒体スペーサ172は、通気経路150にわたって延在し、通気経路150を画成する複数の開口部174を画成している。複数の開口部174は、ベントハウジング100のないベントアセンブリ構成部品例の分解図を示す
図4において見て取ることができる。
【0062】
媒体スペーサ172は、様々な種類の材料から構成されてもよい。例えば、幾つかの実施形態において、媒体スペーサ172は、プラスチック等の成形用材料である。幾つかの実施形態において、媒体スペーサ172は機械加工できる。幾つかの実施形態において、媒体スペーサ172は織物である。媒体スペーサに対する他の構成が可能である。代替の例示の一実施形態において、媒体スペーサはリング構成を有していてもよい。別の例示の実施形態において、媒体スペーサは、ベントハウジングから少なくとも部分的に通気経路内に延在する1つ以上の突出部であってもよい。更に別の例示の実施形態において、媒体スペーサは、比較的厚い繊維直径を有することによる等、オイルの這い上がりを防ぐように構成される織布材料であってもよい。
【0063】
媒体スペーサ172はベントハウジング110に結合される。媒体スペーサ172は、正しく認識されるような様々な方法でベントハウジング110に結合されてもよい。
図2に示すものを含む様々な実施形態において、媒体スペーサ172及びベントハウジング110は、相互に係合するように構成される。特に、媒体スペーサ172及びベントハウジング110は、ベントアセンブリ100に対する媒体スペーサ172の位置を実質的に保持する締まりばめ116を相互に画成する。かかる実施形態において、媒体スペーサ172は、ベントハウジング110の嵌合構造116b(
図3参照)によって受けられるように構成される結合構造116a(
図4参照)を画成する。代替実施形態において、媒体スペーサ及びベントハウジングは、相互に係合するように構成されるネジを画成する。幾つかの実施形態において、媒体スペーサ172は、合体濾過媒体182の層の積層を圧縮してもよい。幾つかの他の実施形態において、媒体スペーサは、合体濾過媒体182の層の積層を圧縮しない。
【0064】
図6と一致する代替実施形態において、ベントアセンブリ500は、
図2に関して本明細書中で説明し、これから説明するようなベントアセンブリと類似しているが、ベントアセンブリ500の媒体スペーサ572は、媒体スペーサ572がベントハウジング510に結合される外周領域576を画成することを除く。媒体スペーサ572は、溶接、接着により、又は当該技術分野において一般的に公知の他の手段により、ベントハウジング510に結合されてもよい。媒体スペーサは、ベントハウジング510を画成するリム領域514においてベントハウジング510に結合される。
【0065】
図2に戻ると、上で述べたように、ベントハウジング110は、概して、取付構造120からベントハウジング110に対する外部環境(雰囲気等)に延在する通気経路150を画成する。通気経路150は、
図2に示す3つの通気経路の組み合わせであることを特徴としてもよい。第1の通気経路152は、エンクロージャ200の内部との流体連通のために構成される。第2の通気経路154は、外部環境との流体連通のために構成され、及び第3の通気経路156は、第1の通気経路152と第2の通気経路154との間に延在する。第2の通気経路154は、メンブレン160から外部環境へ、ベントハウジング110によって画成される外周開口部140を介して延在する。メンブレン160は、第2の通気経路154及び第3の通気経路156がメンブレン160の少なくとも一部を介して連通するようにベントハウジング110に結合される。合体濾過媒体182の層の積層は、第3の通気経路156及び第1の通気経路152が合体濾過媒体182の少なくとも一部を介して連通するようにベントハウジング110内部に配設される。媒体スペーサ172は、第3の通気経路156の一部を画成するように構成されてもよい。
【0066】
ベントキャップ130は、ベントハウジング110に結合され、概して、環境からメンブレン160の流れ面162(
図4参照)を保護するように構成される。ベントハウジング110によって画成される外周開口部140は、概して、環境からメンブレン160の流れ面162を同様に保護するように画成される。メンブレンの流れ面を保護することは、ベントアセンブリの関連する特徴が、環境汚染物質がメンブレンの流れ面に直接影響を及ぼすことを防ぐように構成されることを意味することを意図している。
【0067】
ベントアセンブリ試験
試験が、かかるベントが直面するであろう実地条件をシミュレートするように行われた取り組みにより、ブリーザベントの性能を比較し、評価するように計画され、組み立てられた。ブリーザベント例は、
図1~5に示す実施形態と一致し、ベントハウジングに結合された不織ナイロン支持層に積層された細孔性PTFEメンブレン、複合ポリエステル繊維及び約7.5重量%のセルロース繊維を有する撥油性合体領域、及び細孔性メンブレンと合体領域との間の離間領域を有していた。ブリーザベント比較例も試験され、それは、Newark,Delawareを本拠地とするGore Enterprisesによって提供されたVE2048ブリーザベントであった。ブリーザベント比較例は、ベントハウジングに連結された細孔性メンブレン、及び取付領域と細孔性メンブレンとの間でハウジング内に配設された収着繊維を有していた。
【0068】
試験セットアップの概略図を
図8に示す。加熱したオイルエアロゾルの定常流が、加熱したエンクロージャ300を通って、試験されるサンプルベント312~318まで向けられた一方で、ベント312~318の両端の圧力降下が記録された。試験セットアップに関する特定の詳細をここで説明する。
【0069】
1barで加圧された圧縮空気を、温度90℃で維持されたMopar SAE75W-140合成潤滑油で満たされたPalas PLG-2110エアロゾル発生器320に供給した。1時間当たりオイル0.43グラムの割合でエアロゾル発生器320によって生成されたオイル粒子の流れは、4つの鋼管332が挿入された円筒形チャンバ330に向けられた。各管332の開口部は、幾つかのオイルエアロゾルが各管332に向けられ、残りの流れがシステム排気380としてシリンダ330を通過できるように流れに面して位置決めされた。各鋼管332は、試験されるベント310の入口に接続された。円筒形チャンバ330、ベント310、及び管は、全て90℃の維持された温度で加熱されたエンクロージャ300内部に載置された。20~200mL/分の範囲のCole Parmer流量計340が、各ベント310を通る流量を測定するようにブリーザベント310の下流に接続された。各流量計340は、次いで、真空ポンプ360に接続されたニードル弁350に接続された。
【0070】
栓が各ベント310の上流及び下流に追加され、各ベント310の両端の圧力差を測定するようSetra圧力変換器370に接続された。2つの変換器は0~50水柱インチの範囲を有し、2つは0~100水柱インチの範囲を有し、4つ全ては単一の24V/4.17A直流電源により電力を供給された。データは、National Instruments USB-6001データ収集システムにより収集され、National Instruments LabVIEWソフトウェアに記録された。圧力変換器370は、変換器からの電圧測定値を較正されたMeriam M100デジタルマノメータによって測定された圧力差と比較することによって較正された。
【0071】
図9は、上で検討したベントアセンブリの比較試験結果を示すグラフであり、各ベントが0.18psiの差圧に到達するまでに必要な時間を明示している。明示するように、ブリーザベント例は、時間に対して低い差圧を有している。差圧の増加は、オイル粒子の蓄積に伴うエアロゾル内のオイル粒子による濾過媒体内の細孔の閉塞の指標である。
図9のデータは、ブリーザベント例がブリーザベント比較例よりも長い耐用年数を有することを示唆している。ブリーザベント例の圧力降下における性能向上の多くは、ブリーザベント比較例に用いられるオイル収着濾過媒体の代わりに、(1)撥油性合体濾過媒体、及び(2)ブリーザベント例の開放型細孔構造を有する媒体の使用に起因すると考えられる。ブリーザベント例の合体領域はオイルを吸収/吸着しないため、オイルは排出される可能性が高く、従って、濾過媒体内の細孔を閉塞する可能性が低い。以下で説明する
図10~13に示す試験データは、この結論を更に支持している。
【0072】
図10に反映される試験データに関し、合体濾過媒体の0.5インチ垂直積層の下部0.08インチ(
図1~5を参照して上で検討した合体領域180と一致する)及びオイル収着濾過媒体の同じ大きさの垂直積層は、7時間を超えて液体オイルのコンテナ内に浸漬された。オイルはMopar SAE75W-140合成潤滑油であった。オイル収着濾過媒体は撥油性ではなく、積層内に配設された未処理ポリプロピレン繊維と共に未処理セルロース繊維を有していた。合体領域は、複合ポリエステル繊維及び約7.5重量%のセルロース繊維を有する合体濾過媒体を有していた。合体濾過媒体は撥油性となるように処理された。濾過媒体の各積層の質量は、各フィルタによって吸収/吸着されたオイルの全質量の推移を見るために増分的に記録された。
【0073】
図10に明示するように、収着媒体はオイル2グラムを超えて蓄積された一方で、測定できる量のオイルは、合体濾過媒体において蓄積されなかった。媒体積層の目視検査により、オイルは、液体オイルの上方に延在する収着濾過媒体の積層の全長(0.42インチ)まで垂直に這い上がったのに対して、オイルは、液体オイルの上方に延在する合体濾過媒体の積層まで垂直に這い上がらなかったことが明らかになった。
図10のデータは、本明細書中に開示する技術と一致する幾つかの合体領域が、それらが這い上がり試験において測定できる量のオイルを蓄積しないため、液体オイルの収着体ではないという
図9からの結論を支持しており、ここで、液体オイルは、濾過媒体が用いられる環境において用いられるオイルの種類と一致している。同様に、本明細書中に開示する技術と一致する幾つかの合体領域は、それらが重力に抗して合体領域を介して液体オイルを吸い上げないため、液体オイルの収着体ではない。液体オイルを吸収/吸着する媒体の能力の向上は、媒体によって捕捉された同伴オイルが、最終的に、媒体によって保持されるオイルのプールされた質量に蓄積し、細孔を閉塞するため、障壁ベントの寿命を低減させる可能性があると予想される。用語「液体オイル」とは、本開示の目的において、ガス内に同伴しないオイルのプールされた質量を指すことに留意されたい。
【0074】
図11は、
図8を参照して説明したものと類似の試験セットアップに関連して収集された試験データを示すが、この試験において、14リットル/分の比較的高い気流が、それらがオイルに加えられるにつれて、障壁ベントの合体領域にわたる圧力降下を観測するために用いられたことを除く。高い気流が用いられるため、エアロゾル含浸空気流は、合体領域から合体オイルを排出させることに関して、重力の影響を無効にしないように合体領域を通って下方に向けられた。その理由のため、及び合体領域単独の特性を監視するため、メンブレン、キャップ、及びスペーサが、試験したベントアセンブリから省略された。
図11に示す結果は、合体濾過媒体にわたる圧力差が、時間が経過するにつれて実質的に横這いとなるように見えることを明示している。この結果は、同伴オイルの閾質量が合体濾過領域に加えられた後、合体濾過領域が実質的に定常状態に達し、ここで、合体濾過領域から排出されるオイルの質量は、オイルの質量が合体濾過領域に投入されることと同様の割合で行われるという結論と一致するように見える。
【0075】
本明細書中に開示する技術と一致する様々な実施形態において、合体領域内部の濾過媒体の層のかなりの部分は液体オイルの滴を吸収又は吸着せず、ここで、「かなりの部分」とは、濾過媒体の層の少なくとも95%、99%、又は100%を指し、液体オイルは、濾過媒体が用いられる環境において用いられるオイルの種類と一致している。試験は、本明細書中に開示する技術の合体領域からの濾過媒体の合体シートを、Gore EnterprisesによるVE2048ブリーザベントからの濾過媒体のオイル収着シートと比較して行われた。濾過媒体の合体シートは7.5重量%のセルロース繊維を有し、残りの内容は複合ポリエステル繊維であった。濾過媒体の合体シートは、撥油処理された。濾過媒体のオイル収着シートは、撥油性となるように処理されなかったセルロース繊維であった。液体ギヤオイルの滴(Mopar SAE75W-140)が、濾過媒体のそれぞれの種類の表面上に置かれた。
図12a及び12bは、それぞれ、オイルをそれらの表面上に滴下した後の濾過媒体の合体シート及び濾過媒体のオイル収着シートを示す概略図である。明示するように、濾過媒体の合体シート上の滴は、濾過媒体のシートの表面上に実質的に完全な状態のままで残る一方で、濾過媒体のオイル収着シート上の滴は濾過媒体のシートによって完全に吸収される。
【0076】
本明細書中に開示する技術と一致する様々な実施形態において、合体領域内部の濾過媒体内の繊維のかなりの部分は撥油性であり、オイルの収着体ではなく、ここで、「かなりの部分」とは、合体領域内の繊維の少なくとも95%、99%を指し、その100%であってもよく、オイルは、濾過媒体が用いられる環境において用いられるオイルの種類と一致している。試験は、
図12a~12bに関してそれぞれ上で説明した濾過媒体の合体シート内の繊維を、VE2048ブリーザベントからの濾過媒体のオイル収着シート内の繊維と比較して行われた。液体ギヤオイル(Mopar SAE75W-140)の滴と繊維のそれぞれの種類との間の相互作用の記録を取るために写真が撮られ、繊維とオイル滴との間の接触角が記録され、平均化された。接触角は、滴と繊維との間の外側接触点(L、R、
図13a~13c参照)によって画成される線及び繊維と交差する滴と接する複数の線の測定値である。
【0077】
図13aは、オイル滴例と合体濾過媒体の複合繊維との間の接触角を示す概略図である。接触角は、多数のサンプルと比較して約124.5°±2.6°の平均を有していた。
図13bは、オイル滴例と合体濾過媒体のセルロース繊維との間の接触角を示す概略図である。試験されたサンプルは、約98.5°±2.8°の接触角平均を有していた。
図13cは、オイル滴例とオイル収着媒体からのセルロース繊維との間の接触角を示す概略図である。測定された接触角は、約87.4°±1.5°の平均を有していた。一般に、オイル収着繊維はオイル滴と90°未満の接触角を有し、滴からのオイルの少なくとも幾つかが繊維の表面に沿って膜を形成していることを示している。撥油性合体繊維は、その一方で、オイル滴と90°を超える接触角を有する。
【0078】
方法
図14は、本明細書中に開示する技術と一致する1つの方法を示すフローチャートである。方法400は、概して、ベントアセンブリを作成することと一致している。
【0079】
ベントハウジングが形成される410。合体濾過媒体の層がハウジング内に積層される420。媒体スペーサがハウジングに挿入される430。メンブレンがハウジングに結合される440。キャップがハウジングに結合される450。
【0080】
ベントハウジングが、第1の端部及び第2の端部を有するように、且つ第1の端部から第2の端部に延在する通気経路を画成するように概して形成される410。ベントハウジングは、当該技術分野において一般的に理解されるアプローチにより一貫して形成されてもよい410。一実施形態において、ベントハウジングは、射出成形プロセスにより形成される410。別の実施形態において、ベントハウジングは、ブロー成形により形成される410。ベントハウジングは、様々な材料及び材料の組み合わせから形成されてもよい410。一実施形態において、ベントハウジングは、ナイロン、ポリアミド、ガラス充填ポリアミド、ポリブチレンテレフタレート、ガラス充填ポリブチレンテレフタレート、高密度ポリエチレン、及び/又はポリプロピレンのうちの1つ以上から形成される410。
【0081】
合体濾過媒体の複数の層をハウジング内で積層する420の場合、合体濾過媒体の複数の層は、概して、通気経路内部に積層される。複数の層をハウジングの通気経路に積層することは、合体濾過媒体の幾つかの層が合体濾過媒体のその他の層と整列されないように行われてもよい。合体濾過媒体の複数の層のうちの少なくとも一部の非整列は、ブリーザベント内部の空気が合体濾過媒体をバイパスすることを防ぐ利点を有する可能性がある。
【0082】
上で説明した実施形態と類似して、合体濾過媒体の複数の層の大部分は、それぞれ7%の効果等の10%の最大粒子濾過効果を有する。幾つかの実施形態において、合体濾過媒体の少なくとも50層がベントハウジング内部に積層される。特定の一実施形態において、合体濾過媒体の約90層がベントハウジング内部に積層される。幾つかの実施形態において、積層された合体濾過媒体の各層は、積層された合体濾過媒体の隣接層に実質的に非接合にされている。合体濾過媒体は、上で説明したように様々な材料及び材料の組み合わせであってもよい。
【0083】
幾つかの実施形態において、合体濾過媒体の二次層は、ベントハウジング内に積層されてもよく、ここで、合体濾過媒体の二次層は、少なくとも48%の粒子濾過効果を有している。特定の一実施形態において、合体濾過媒体の二次層は、少なくとも60%の効果を有している。合体濾過媒体の二次層は、合体濾過媒体の複数の層の積層の上部に向かって位置決めされてもよい。一実施形態において、合体濾過媒体の二次層は、合体濾過媒体の残りの層とメンブレンとの間に位置決めされてもよい。合体領域は、本明細書中に説明したように、少なくとも95%の総合的粒子濾過効果、及び1秒当たり1.2メートルで1.2psi未満の圧力降下を有していてもよい。
【0084】
媒体スペーサをハウジングに挿入すること430は、合体濾過媒体の複数の層をハウジング内に収容することを促進してもよい。好ましい一実施形態において、媒体スペーサ及びベントハウジングは、媒体スペーサをハウジングに挿入すること430により、媒体スペーサによって画成される結合構造がベントハウジングによって画成される嵌合構造と係合するように締まりばめを相互に画成する。代替実施形態において、媒体スペーサは、熱溶接等によってベントハウジングに接合されてもよい。
【0085】
メンブレンは、概して、合体濾過媒体から離間した関係でベントハウジングに結合される440。様々な実施形態において、メンブレンは、ベントハウジングによって画成されるメンブレン受容面に結合される440。一実施形態において、メンブレンは、接着剤によりベントハウジングに結合される440。別の実施形態において、メンブレンは、熱溶接又は超音波溶接等の溶接によってベントハウジングに結合される440。
【0086】
様々な実施形態において、ベントアセンブリを作成する方法は、環境からメンブレンの流れ面を保護するようにキャップをハウジングに結合する450追加ステップを有していてもよい。キャップは、幾つかの実施形態において、メンブレンの流れ面と実質的に平行に位置決めされてもよい。
【0087】
また、本明細書及び添付特許請求の範囲において用いるように、語句「構成される」とは、特定の作業を実行するか、特定の構成を採用するように構築又は構成されるシステム、装置、又は他の構造を説明することに留意されたい。語句「構成される」は、「編成される」、「編成及び構成される」、「構築及び編成される」、「構築される」、「製造及び編成される」等の他の同様の語句と交換可能に用いられてもよい。
【0088】
本明細書内の全ての刊行物及び特許出願は、本技術に関係する当業者の水準を示している。全ての刊行物及び特許出願は、あたかもそれぞれ個々の刊行物又は特許出願が参照により詳細に且つ個々に示されるのと同じ程度で、参照により本明細書中に組み込まれる。
【0089】
本出願は、本主題の適応形態又は変形形態も含むことを意図している。上記の説明は、例示的であることを意図しており、限定するものではないことが理解されるであろう。