(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】車両並びにその制御装置及び制御方法
(51)【国際特許分類】
B60W 50/10 20120101AFI20221220BHJP
【FI】
B60W50/10
(21)【出願番号】P 2020218956
(22)【出願日】2020-12-28
(62)【分割の表示】P 2019018824の分割
【原出願日】2019-02-05
【審査請求日】2020-12-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【氏名又は名称】永川 行光
(74)【代理人】
【識別番号】100166648
【氏名又は名称】鎗田 伸宜
(74)【代理人】
【識別番号】100161399
【氏名又は名称】大戸 隆広
(72)【発明者】
【氏名】辻 完太
(72)【発明者】
【氏名】石岡 淳之
(72)【発明者】
【氏名】廣澤 望
(72)【発明者】
【氏名】西口 遼彦
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 峰史
【審査官】増子 真
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-094960(JP,A)
【文献】特開2018-185242(JP,A)
【文献】特開2017-133893(JP,A)
【文献】特開2015-175824(JP,A)
【文献】特開2009-008573(JP,A)
【文献】特開2008-039501(JP,A)
【文献】特開2018-177181(JP,A)
【文献】特開2018-103767(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00 - 10/30
B60W 30/00 - 60/00
G08G 1/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の制御装置であって、
運転者による操作子の操作に基づいて、車線変更動作の開始要求及び中止要求を検出する検出手段と、
前記開始要求及び前記中止要求に基づいて、前記車線変更動作を制御する走行制御手段と、を備え、
前記操作子が移動可能な位置は、
中立位置と、
前記中立位置に対して互いに異なる2つの方向のそれぞれにある第1位置と、を含み、
前記中立位置に対して互いに異なる2つの方向のそれぞれにある前記第1位置は、前記中立位置に対して対称の位置にあり、
前記検出手段は、
前記操作子が前記2つの方向の一方の前記第1位置に操作されたことに基づいて前記開始要求を検出し、
前記車線変更動作を実行中に前記操作子が前記2つの方向の他方の前記第1位置に操作されたことに基づいて前記中止要求を検出する
ことを特徴とする制御装置。
【請求項2】
前記検出手段は、前記車線変更動作を実行中に、前記操作子が前記他方の前記第1位置に維持された継続時間が第2閾値時間よりも長いことに基づいて前記中止要求を検出することを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記検出手段は、前記車線変更動作を実行中に前記操作子が前記一方の前記第1位置にある場合及び前記車線変更動作を実行中に前記操作子が前記中立位置に移動した場合に前記車線変更動作を継続することを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項4】
車両の制御装置であって、
運転者による操作子の操作に基づいて、車線変更動作の開始要求及び中止要求を検出する検出手段と、
前記開始要求及び前記中止要求に基づいて、前記車線変更動作を制御する走行制御手段と、を備え、
前記操作子が移動可能な位置は、
中立位置と、
前記中立位置に対して互いに異なる2つの方向のそれぞれにある第1位置と、
前記中立位置に対して前記2つの方向のそれぞれにあり、前記中立位置からの移動量が前記第1位置よりも大きい第2位置と、を含み、
前記検出手段は、
前記操作子が前記2つの方向の一方の前記第1位置に操作されたことに基づいて前記開始要求を検出し、
前記車線変更動作を実行中に、前記操作子が前記2つの方向の他方の前記第1位置に維持された継続時間が第2閾値時間よりも長いことに基づいて前記中止要求を検出し、又は、前記車線変更動作を実行中に、前記操作子が前記他方の前記第2位置に維持された継続時間が第4閾値時間よりも長いことに基づいて前記中止要求を更に検出し、
前記第4閾値時間が前記第2閾値時間よりも短いことを特徴とする制御装置。
【請求項5】
前記第2位置は、前記運転者による前記操作子への操作力がない場合に維持可能な位置であることを特徴とする請求項4に記載の制御装置。
【請求項6】
前記検出手段は、前記操作子が前記一方の前記第1位置に維持された継続時間が第1閾値時間よりも長いことに基づいて前記開始要求を検出し、
前記走行制御手段は、前記開始要求が検出されたこと及び前記操作子が前記一方の前記第1位置から前記中立位置に移動したことに基づいて前記車線変更動作を開始する
ことを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の制御装置。
【請求項7】
前記検出手段は、前記車線変更動作を実行中に、前記操作子が前記他方の前記第1位置に維持された継続時間が第2閾値時間よりも長いことに基づいて前記中止要求を検出し、
前記車線変更動作が開始されてから第3閾値時間が経過する前の前記中止要求の検出に用いられる前記第2閾値時間は、前記車線変更動作が開始されてから前記第3閾値時間が経過した後の前記中止要求の検出に用いられる前記第2閾値時間よりも長いことを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の制御装置。
【請求項8】
前記検出手段は、前記車線変更動作の進捗状況が進むにつれて、前記中止要求の検出条件を厳しくすることを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載の制御装置。
【請求項9】
前記走行制御手段は、前記中止要求が検出された場合に、前記車線変更動作の進捗状況に基づいて、前記車線変更動作を中止するかどうかを判定することを特徴とする請求項1乃至8の何れか1項に記載の制御装置。
【請求項10】
前記第1位置は、前記運転者による前記操作子への操作力がない場合に前記中立位置に戻る位置であることを特徴とする請求項1乃至9の何れか1項に記載の制御装置。
【請求項11】
前記操作子は、ウィンカーレバーであることを特徴とする請求項1乃至10の何れか1項に記載の制御装置。
【請求項12】
請求項1乃至11の何れか1項に記載の制御装置を備えることを特徴とする車両。
【請求項13】
コンピュータによって実行される、車両の制御方法であって、
運転者による操作子の操作に基づいて、車線変更動作の開始要求及び中止要求を検出する検出工程と、
前記開始要求及び前記中止要求に基づいて、前記車線変更動作を制御する走行制御工程と、を備え、
前記操作子が移動可能な位置は、
中立位置と、
前記中立位置に対して互いに異なる2つの方向のそれぞれにある第1位置と、を含み、
前記中立位置に対して互いに異なる2つの方向のそれぞれにある前記第1位置は、前記中立位置に対して対称の位置にあり、
前記検出工程は、
前記操作子が前記2つの方向の一方の前記第1位置に操作されたことに基づいて前記開始要求を検出することと、
前記車線変更動作を実行中に前記操作子が前記2つの方向の他方の前記第1位置に操作されたことに基づいて前記中止要求を検出することと、
を含むことを特徴とする制御方法。
【請求項14】
コンピュータによって実行される、車両の制御方法であって、
運転者による操作子の操作に基づいて、車線変更動作の開始要求及び中止要求を検出する検出工程と、
前記開始要求及び前記中止要求に基づいて、前記車線変更動作を制御する走行制御工程と、を備え、
前記操作子が移動可能な位置は、
中立位置と、
前記中立位置に対して互いに異なる2つの方向のそれぞれにある第1位置と、
前記中立位置に対して前記2つの方向のそれぞれにあり、前記中立位置からの移動量が前記第1位置よりも大きい第2位置と、を含み、
前記検出工程は、
前記操作子が前記2つの方向の一方の前記第1位置に操作されたことに基づいて前記開始要求を検出することと、
前記車線変更動作を実行中に、前記操作子が前記2つの方向の他方の前記第1位置に維持された継続時間が第2閾値時間よりも長いことに基づいて前記中止要求を検出すること、又は、前記車線変更動作を実行中に、前記操作子が前記他方の前記第2位置に維持された継続時間が第4閾値時間よりも長いことに基づいて前記中止要求を更に検出することと、
を含み、
前記第4閾値時間が前記第2閾値時間よりも短いことを特徴とする制御方法。
【請求項15】
コンピュータを請求項1乃至11の何れか1項に記載の制御装置の各手段として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両並びにその制御装置及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の自動運転及び運転支援の1つの機能として、運転者の操作によらず車両が車線変更を行う機能が提供されている。特許文献1には、運転者によるウィンカーレバーの操作に基づいて車線変更支援の開始要求を検出し、ウィンカーレバーの逆方向への操作に基づいて車線変更支援の中止要求を検出することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された技術では、ウィンカーレバーの浅押し操作によって車線変更支援の開始要求が検出され、ウィンカーレバーの反対方向への深押し操作によって車線変更支援の中止要求が検出される。このようにウィンカーレバーの操作量が非対称であると、運転者が車線変更支援の中止要求を行う際に戸惑う恐れがある。本発明は、車線変更動作の中止要求を直感的に行えるようにするための技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題に鑑みて、車両の制御装置であって、運転者による操作子の操作に基づいて、車線変更動作の開始要求及び中止要求を検出する検出手段と、前記開始要求及び前記中止要求に基づいて、前記車線変更動作を制御する走行制御手段と、を備え、前記操作子が移動可能な位置は、中立位置と、前記中立位置に対して互いに異なる2つの方向のそれぞれにある第1位置と、を含み、前記中立位置に対して互いに異なる2つの方向のそれぞれにある前記第1位置は、前記中立位置に対して対称の位置にあり、前記検出手段は、前記操作子が前記2つの方向の一方の前記第1位置に操作されたことに基づいて前記開始要求を検出し、前記車線変更動作を実行中に前記操作子が前記2つの方向の他方の前記第1位置に操作されたことに基づいて前記中止要求を検出することを特徴とする制御装置が提供される。
【発明の効果】
【0006】
上記手段により、車線変更動作の中止要求を直感的に行えるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施形態に係る車両の構成例を説明するブロック図。
【
図2】実施形態に係るウィンカーレバーの構成例を説明する模式図。
【
図3】実施形態に係る車線変更動作に関する制御方法を説明するフロー図。
【
図4】実施形態に係る車線変更動作が完了する例を説明する模式図。
【
図5】実施形態に係る車線変更動作を中止する例を説明する模式図。
【
図6】実施形態に係る車線変更動作を中止しない例を説明する模式図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
添付の図面を参照しつつ本発明の実施形態について以下に説明する。様々な実施形態を通じて同様の要素には同一の参照符号を付し、重複する説明を省略する。また、各実施形態は適宜変更、組み合わせが可能である。
【0009】
車両1は、車両1を制御する車両用制御装置2(以下、単に制御装置2と呼ぶ)を含む。制御装置2は車内ネットワークにより通信可能に接続された複数のECU20~29を含む。各ECUは、CPUに代表されるプロセッサ、半導体メモリ等のメモリ、外部デバイスとのインタフェース等を含む。メモリにはプロセッサが実行するプログラムやプロセッサが処理に使用するデータ等が格納される。各ECUはプロセッサ、メモリおよびインタフェース等を複数備えていてもよい。例えば、ECU20は、プロセッサ20aとメモリ20bとを備える。メモリ20bに格納されたプログラムが含む命令をプロセッサ20aが実行することによって、ECU20による処理が実行される。これに代えて、ECU20は、ECU20による処理を実行するためのASIC等の専用の集積回路を備えてもよい。他のECUについても同様である。
【0010】
以下、各ECU20~29が担当する機能等について説明する。なお、ECUの数や、担当する機能については適宜設計可能であり、本実施形態よりも細分化したり、統合したりすることが可能である。
【0011】
ECU20は、車両1の自動運転に関わる制御を実行する。自動運転においては、車両1の操舵と、加減速の少なくともいずれか一方を自動制御する。後述する制御例では、操舵と加減速の双方を自動制御する。
【0012】
ECU21は、電動パワーステアリング装置3を制御する。電動パワーステアリング装置3は、ステアリングホイール31に対する運転者の運転操作(操舵操作)に応じて前輪を操舵する機構を含む。また、電動パワーステアリング装置3は操舵操作をアシストしたり、前輪を自動操舵したりするための駆動力を発揮するモータや、操舵角を検知するセンサ等を含む。車両1の運転状態が自動運転の場合、ECU21は、ECU20からの指示に対応して電動パワーステアリング装置3を自動制御し、車両1の進行方向を制御する。
【0013】
ECU22および23は、車両の外界の状況を検知する検知ユニット41~43の制御および検知結果の情報処理を行う。検知ユニット41は、車両1の前方を撮影するカメラであり(以下、カメラ41と表記する場合がある。)、本実施形態の場合、車両1のルーフ前部でフロントウィンドウの車室内側に取り付けられる。カメラ41が撮影した画像の解析により、物標の輪郭抽出や、道路上の車線の区画線(白線等)を抽出可能である。
【0014】
検知ユニット42は、ライダ(Light Detection and Ranging)であり(以下、ライダ42と表記する場合がある)、車両1の周囲の物標を検知したり、物標との距離を測距したりする。本実施形態の場合、ライダ42は5つ設けられており、車両1の前部の各隅部に1つずつ、後部中央に1つ、後部各側方に1つずつ設けられている。検知ユニット43は、ミリ波レーダであり(以下、レーダ43と表記する場合がある)、車両1の周囲の物標を検知したり、物標との距離を測距したりする。本実施形態の場合、レーダ43は5つ設けられており、車両1の前部中央に1つ、前部各隅部に1つずつ、後部各隅部に一つずつ設けられている。
【0015】
ECU22は、一方のカメラ41と、各ライダ42の制御および検知結果の情報処理を行う。ECU23は、他方のカメラ41と、各レーダ43の制御および検知結果の情報処理を行う。車両の周囲状況を検知する装置を二組備えたことで、検知結果の信頼性を向上でき、また、カメラ、ライダ、レーダといった種類の異なる検知ユニットを備えたことで、車両の周辺環境の解析を多面的に行うことができる。
【0016】
ECU24は、ジャイロセンサ5、GPSセンサ24b、通信装置24cの制御および検知結果あるいは通信結果の情報処理を行う。ジャイロセンサ5は車両1の回転運動を検知する。ジャイロセンサ5の検知結果や、車輪速等により車両1の進路を判定することができる。GPSセンサ24bは、車両1の現在位置を検知する。通信装置24cは、地図情報や交通情報を提供するサーバと無線通信を行い、これらの情報を取得する。ECU24は、メモリに構築された地図情報のデータベース24aにアクセス可能であり、ECU24は現在地から目的地へのルート探索等を行う。ECU24、地図データベース24a、GPSセンサ24bは、いわゆるナビゲーション装置を構成している。
【0017】
ECU25は、車車間通信用の通信装置25aを備える。通信装置25aは、周辺の他車両と無線通信を行い、車両間での情報交換を行う。
【0018】
ECU26は、パワープラント6を制御する。パワープラント6は車両1の駆動輪を回転させる駆動力を出力する機構であり、例えば、エンジンと変速機とを含む。ECU26は、例えば、アクセルペダル7Aに設けた操作検知センサ7aにより検知した運転者の運転操作(アクセル操作あるいは加速操作)に対応してエンジンの出力を制御したり、車速センサ7cが検知した車速等の情報に基づいて変速機の変速段を切り替えたりする。車両1の運転状態が自動運転の場合、ECU26は、ECU20からの指示に対応してパワープラント6を自動制御し、車両1の加減速を制御する。
【0019】
ECU27は、方向指示器(ウィンカー)を含む照明装置8(ヘッドライト、テールライト等の灯火器)を制御する。
図1の例の場合、照明装置8は車両1の前部、ドアミラーおよび後部に設けられている。ECU27はさらに、クラクションのホーンを含む、車外に向けた音響装置11を制御する。照明装置8、音響装置11又はその組み合わせは、車両1の外界に対して情報を提供する機能を有する。
【0020】
ECU28は、入出力装置9の制御を行う。入出力装置9は運転者に対する情報の出力と、運転者からの情報の入力の受け付けを行う。音出力装置91は運転者に対して音声により情報を報知する。表示装置92は運転者に対して画像の表示により情報を報知する。表示装置92は例えば運転席表面に配置され、インストルメントパネル等を構成する。なお、ここでは、音声と表示を例示したが振動や光により情報を報知してもよい。また、音声、表示、振動または光のうちの複数を組み合わせて情報を報知してもよい。更に、報知すべき情報のレベル(例えば緊急度)に応じて、組み合わせを異ならせたり、報知態様を異ならせたりしてもよい。入力装置93は運転者が操作可能な位置に配置され、車両1に対する指示を行うスイッチ群であるが、音入力装置も含まれてもよい。ECU28は、ECU20の走行制御に関する案内を実施可能である。案内の詳細については後述する。入力装置93は、ECU20による走行制御の動作を制御するために用いられるスイッチを含んでもよい。入力装置93は、運転者の視線方向を検知するためのカメラを含んでもよい。
【0021】
ECU29は、ブレーキ装置10やパーキングブレーキ(不図示)を制御する。ブレーキ装置10は例えばディスクブレーキ装置であり、車両1の各車輪に設けられ、車輪の回転に抵抗を加えることで車両1を減速あるいは停止させる。ECU29は、例えば、ブレーキペダル7Bに設けた操作検知センサ7bにより検知した運転者の運転操作(ブレーキ操作)に対応してブレーキ装置10の作動を制御する。車両1の運転状態が自動運転の場合、ECU29は、ECU20からの指示に対応してブレーキ装置10を自動制御し、車両1の減速および停止を制御する。ブレーキ装置10やパーキングブレーキは車両1の停止状態を維持するために作動することもできる。また、パワープラント6の変速機がパーキングロック機構を備える場合、これを車両1の停止状態を維持するために作動することもできる。
【0022】
図2を参照して、車両1のウィンカーレバー200の構成例について説明する。ウィンカーレバー200は、ステアリングホイール31の付近(例えば、右側後方)に取り付けられており、運転者がウィンカーの点滅・消灯を車両1に指示するために用いられる。また、後述するように、ウィンカーレバー200は、運転者が車両1に対して車線変更動作の開始要求及び中止要求を行うためにも用いられる。運転者によるウィンカーレバー200の操作は、例えばECU27によって検出される。
【0023】
ウィンカーレバー200が移動可能な方向は、軸205を中心とした時計回り方向204R及び反時計回り方向204Lを含む。時計回り方向204R及び反時計回り方向204Lは、互いに異なる2つの方向の一例である。ウィンカーレバー200が移動可能な方向は、運転者に対して手前方向及び奥方向を含んでもよい。
【0024】
ウィンカーレバー200が移動可能な位置は、中立位置201と、中間位置202R、202Lと、終端位置203R、203Lとを含む。中立位置201は、運転者が車両1に対して指示を行わない場合にウィンカーレバー200が置かれる位置である。
【0025】
中間位置202Rは、中立位置201に対して時計回り方向204Rにある位置である。中間位置202Lは、中立位置201に対して反時計回り方向204Lにある位置である。中間位置202R及び202Lにあるウィンカーレバー200は、運転者による操作力がない場合に、物理的な付勢機構によって中立位置201に戻る。中間位置202R及び202Lは、ハーフ位置とも呼ばれうる。中間位置202R及び202Lは、
図2に示すように、所定の幅を有する位置であってもよい。
【0026】
終端位置203Rは、中立位置201に対して時計回り方向204Rにある位置である。終端位置203Lは、中立位置201に対して反時計回り方向204Lにある位置である。終端位置203R及び203Lにあるウィンカーレバー200は、運転者による操作力がない場合に、物理的なロック機構によって位置を維持可能である。終端位置203R及び203Lは、突き当て位置とも呼ばれうる。
【0027】
中立位置201から終端位置203Rまでの移動量は、中立位置201から中間位置202Rまでの移動量よりも大きい。言い換えると、中間位置202Rは、中立位置201と終端位置203Rとの間にある。中間位置202Rと中立位置201との間に遊びが存在してもよい。すなわち、ECU27は、ウィンカーレバー200が中立位置201から所定の移動量以内にある場合に、中間位置202Rにないとみなしてもよい。中間位置202Rと終端位置203Rとの間にも同様に遊びが存在してもよい。中立位置201、中間位置202L及び終端位置203Lの関係も、中立位置201、中間位置202R及び終端位置203Rの上述の関係と同様である。
【0028】
運転者は、車両1の右側のウィンカーを点滅したい場合に、ウィンカーレバー200を終端位置203Rまで操作する。この操作に応じて、ECU27は、車両1の右側のウィンカーを点滅させる。一方、運転者は、車両1の左側のウィンカーを点滅したい場合に、ウィンカーレバー200を終端位置203Lまで操作する。この操作に応じて、ECU27は、車両1の左側のウィンカーを点滅させる。
【0029】
図3を参照して、車線変更動作を行うための車両1の制御方法について説明する。この制御方法において、車両1(具体的には、ECU20)は、運転者によるウィンカーレバー200の操作に基づいて、車線変更動作の開始要求及び中止要求を検出し、この検出した開始要求及び中止要求に基づいて、車両1の車線変更動作を制御する。以下に具体的に説明するように、運転者は、右側の隣接車線に車線変更したい場合にウィンカーレバー200を中間位置202Rに操作し、左側の隣接車線に車線変更したい場合にウィンカーレバー200を中間位置202Lに操作する。さらに、運転者は、反対側の中間位置202L又は202Rへウィンカーレバー200を操作することによって、車線変更動作の中止を要求できる。
【0030】
図3の制御方法は、ECU20のプロセッサ20aがメモリ20bに格納されたプログラムを実行することによって行われてもよい。これに代えて、方法の一部又は全部の工程が、ASIC(特定用途向け集積回路)のような専用回路で実行されてもよい。前者の場合に、プロセッサ20aが特定の動作のための構成要素となり、後者の場合に、専用回路が特定の動作のための構成要素となる。
【0031】
図3の制御方法は、車両1の周辺環境に基づいて、ECU20が車両1の車線変更動作を実行可能であると判定したことに応じて開始される。制御方法の開始時点で、ウィンカーレバー200は、中立位置201にあるとする。この制御方法の実行中に周囲環境が変化し、車線変更動作が実行不能になった場合に、ECU20はこの制御方法を終了し、周辺環境に応じた動作を行う。例えば、ECU20は、安全性を考慮して、走行中の車線に留まるか、隣接する車線に移動するかの何れかを行ってもよい。
【0032】
ステップS301で、ECU20は、車線変更動作を実行可能であることを運転者に通知する。この通知は、例えば表示装置92の表示内容を変更することによって行われる。通知後に、ECU20は、運転者からの開始要求を待機する車線変更スタンバイ状態となる。
【0033】
ステップS302で、ECU20は、ウィンカーレバー200が中間位置202R又は202Lに操作されたかどうかを判定する。ECU20は、ウィンカーレバー200が中間位置202R又は202Lに操作された場合(ステップS302でYES)に処理をステップS303に遷移し、それ以外の場合(ステップS302でNO)に処理をステップS302に遷移する。このように、ECU20は、中立位置201から時計回り方向204R及び反時計回り方向204Lの一方の方向にある中間位置202R又は202Lにウィンカーレバー200が操作されることを待機する。以下では、説明を簡単にするために、ステップS302でウィンカーレバー200が中間位置202Rに移動したとする。ステップS302でウィンカーレバー200が中間位置202Lに移動していた場合には、以下の説明において時計回り方向204Rと反時計回り方向204Lとが入れ替わる。ECU27は、ウィンカーレバー200が中間位置202R又は202Lに操作されたことに応じてウィンカーの点滅を開始してもよい。
【0034】
ステップS303で、ECU20は、ウィンカーレバー200が終端位置203Rに操作されたかどうかを判定する。ECU20は、ウィンカーレバー200が終端位置203Rに操作された場合(ステップS303でYES)に処理を終了し、それ以外の場合(ステップS303でNO)に処理をステップS304に遷移する。ウィンカーレバー200が終端位置203Rに移動した場合に、ECU20は、運転者が手動で隣接車線(この場合には右側の隣接車線)に車線変更を行うと判定する。そのため、ECU20は自動での車線変更動作を終了する。
【0035】
ステップS304で、ECU20は、ウィンカーレバー200が(運転者によって)中間位置202Rに維持された継続時間が閾値時間Th1(例えば、2秒)よりも長いかどうかを判定する。ECU20は、ウィンカーレバー200が中間位置202Rに維持された継続時間が閾値時間Th1よりも長い場合(ステップS304でYES)に処理をステップS305に遷移し、それ以外の場合(ステップS304でNO)に処理をステップS306に遷移する。
【0036】
ステップS305で、ECU20は、車線変更動作の開始要求を検出する。このように、ウィンカーレバー200が中間位置202Rに操作されたこと及びその操作からの継続時間が閾値時間Th1(例えば、2秒)よりも長いことに基づいて、車線変更動作の開始要求が検出される。この時点では開始要求が検出されるだけであり、車線変更動作はまだ開始されない。
【0037】
ステップS306で、ECU20は、ウィンカーレバー200が中立位置201に移動したかどうかを判定する。ECU20は、ウィンカーレバー200が中立位置201に移動した場合(ステップS306でYES)に処理をステップS307に遷移し、それ以外の場合(ステップS306でNO)に処理をステップS303に遷移する。
【0038】
ステップS307で、ECU20は、ステップS305で車線変更動作の開始要求が検出されたかどうかを判定する。ECU20は、ステップS305で車線変更動作の開始要求が検出された場合(ステップS307でYES)に処理をステップS308に遷移し、それ以外の場合(ステップS307でNO)に処理をステップS303に遷移する。
【0039】
ステップS308で、ECU20は、車線変更動作を開始する。このように、車線変更動作の開始要求が検出されたこと及び(運転者がウィンカーレバー200から手を放すことによって)ウィンカーレバー200が中間位置202Rから中立位置201に移動したことに基づいて、車線変更動作が開始される。これによって、ウィンカーレバー200が中立位置201に戻ったことを条件として車線変更動作が開始されるため、運転者が車線変更動作の開始タイミングを把握しやすくなる。また、運転者がウィンカーレバー200を操作していない状態で車線変更動作が開始されるため、運転者の周辺監視や必要な場合の介入が容易になる。
【0040】
一方、ウィンカーレバー200が中間位置202Rに維持された継続時間が閾値時間Th1よりも短い場合に、車線変更動作は開始されない。このような短時間のウィンカーレバー200の操作は単なる誤操作である可能性がある。そのため、ECU20は、ウィンカーレバー200が中間位置202Rに維持された継続時間を閾値時間Th1と比較することによって、運転者の意図を精度よく把握できる。
【0041】
ステップS309で、ECU20は、車線変更動作が完了したかどうかを判定する。ECU20は、車線変更動作が完了した場合(ステップS309でYES)に処理を終了し、それ以外の場合(ステップS309でNO)に処理をステップS310に遷移する。例えば、ECU20は、車両1が隣接車線(変更先の車線)の車線中央付近まで移動が完了した場合に車線変更動作が完了したと判定してもよいし、隣接車線と走行車線との間の区画線を車両1が所定比率以上超えた場合に車線変更動作が完了したと判定してもよい。ECU27は、車線変更動作が完了したことに応じて、ウィンカーを消灯する。
【0042】
ステップS310で、ECU20は、ウィンカーレバー200が反対側の中間位置202Lに操作されたかどうかを判定する。ECU20は、ウィンカーレバー200が反対側の中間位置202Lに操作された場合(ステップS310でYES)に処理をステップS311に遷移し、それ以外の場合(ステップS310でNO)に処理をステップS309に遷移する。このように、ECU20は、ウィンカーレバー200が反対側の中間位置202Lに操作されるか、車線変更動作が完了することを待機する。
【0043】
ステップS311で、ECU20は、ウィンカーレバー200が(運転者によって)中間位置202Lに維持された継続時間が閾値時間Th2よりも長いかどうかを判定する。ECU20は、ウィンカーレバー200が中間位置202Lに維持された継続時間が閾値時間Th2よりも長い場合(ステップS311でYES)に処理をステップS316に遷移し、それ以外の場合(ステップS311でNO)に処理をステップS312に遷移する。ウィンカーレバー200が中間位置202Lに維持された継続時間とは、直近に中間位置202Lに切り替わってから判定時点までの継続時間のことである。閾値時間Th2は、閾値時間Th1よりも短く設定され、例えば1.5秒である。反対側の中間位置において閾値時間Th2以上継続して留まることを中止要求の検出の条件とすることによって、運転者がウィンカーレバー200を中立位置201に戻す際のオーバーストロークによりウィンカーレバー200が反対側まで移動したことによる過検知を抑制できる。
【0044】
ステップS312で、ECU20は、ウィンカーレバー200が中立位置201に移動したかどうかを判定する。ECU20は、ウィンカーレバー200が中立位置201に移動した場合(ステップS312でYES)に処理をステップS309に遷移し、それ以外の場合(ステップS312でNO)に処理をステップS313に遷移する。このように、ECU20は、ウィンカーレバー200が中間位置202Lに操作されてから閾値時間Th2が経過することなく中立位置201に戻された場合に、再びウィンカーレバー200が中間位置202Lに移動するか、車線変更動作が完了することを待機する。
【0045】
ステップS313で、ECU20は、ウィンカーレバー200が終端位置203Lに操作されたかどうかを判定する。ECU20は、ウィンカーレバー200が終端位置203Lに操作された場合(ステップS313でYES)に処理をステップS314に遷移し、それ以外の場合(ステップS313でNO)に処理をステップS311に遷移する。
【0046】
ステップS314で、ECU20は、ウィンカーレバー200が(ロック機構によって)終端位置203Lに維持された継続時間が閾値時間Th3(例えば、0.1秒)よりも長いかを判定する。ECU20は、ウィンカーレバー200が終端位置203Lに維持された継続時間が閾値時間Th3よりも長い場合(ステップS314でYES)に処理をステップS316に遷移し、それ以外の場合(ステップS314でNO)に処理をステップS315に遷移する。ウィンカーレバー200が終端位置203Lに維持された継続時間とは、直近に終端位置203Lに切り替わってから判定時点までの継続時間のことである。閾値時間Th3は、閾値時間Th2よりも短くてもよい。
【0047】
ステップS315で、ECU20は、ウィンカーレバー200が中間位置202Lに操作されたかどうかを判定する。ECU20は、ウィンカーレバー200が中間位置202Lに操作された場合(ステップS315でYES)に処理をステップS311に遷移し、それ以外の場合(ステップS315でNO)に処理をステップS314に遷移する。
【0048】
ステップS316で、ECU20は、車線変更動作の実行中に運転者が車線変更動作の中止要求を行ったことを検出する。このように、車線変更動作を実行中にウィンカーレバー200が中間位置202Lに操作されたこと及び中間位置202Lに維持された継続時間が閾値時間Th2よりも長いことに基づいて、中止要求が検出される。車線変更動作の開始要求のための操作と中止要求のための操作とが対称となるため、運転者は、車線変更動作の中止要求を直感的に行えるようになる。また、中間位置202Lで中止要求を行えるため、運転者の中止の意図をより早く検出できる。
【0049】
さらに、ECU20は、車線変更動作を実行中にウィンカーレバー200が終端位置203Lに操作されたこと及び終端位置203Lに維持された継続時間が閾値時間Th3よりも長いことに基づいて、中止要求が検出される。この構成により、開始要求の検出と同様のロジックで中止要求を検出できるようになり、開始・中止の操作の一貫性が生まれる。また、閾値時間Th3が閾値時間Th2よりも短いため、運転者はより短時間で中止要求を行える。閾値時間Th3は、ゼロであってもよい。この場合に、ウィンカーレバー200が終端位置203Lに操作されたことに応じて即座に中止要求が検出される。
【0050】
ステップS317で、ECU20は、車線変更動作を中止可能かどうかを判定する。ECU20は、車線変更動作を中止可能である場合(ステップS317でYES)に処理をステップS308に遷移し、それ以外の場合(ステップS317でNO)に処理をステップS309に遷移する。例えば、ECU20は、車線変更動作の進捗状況に基づいて、車線変更動作を中止可能かどうかを判定してもよい。具体的に、車両1が走行車線内にとどまっている場合に、ECU20は車線変更動作を中止可能と判定してもよい。一方、車両1が走行車線と隣接車線との間の白線にまたがっている場合に、ECU20は車線変更動作を中止可能でないと判定してもよい。このように、車線変更動作の進捗状況が進んでいる場合に、車両1の後続車両が車両1の車線変更を前提とした走行を行うことが予想される。そのため、元の走行車線に戻るよりも、車線変更動作を完了した方が安全性が高まる。
【0051】
ステップS318で、ECU20は、車線変更動作を中止し、元の走行車線での走行を維持し、処理を終了する。ECU27は、車線変更動作を中止した時点でウィンカーを消灯してもよい。ステップS319で、ECU20は、車線変更動作を完了させ、処理を終了する。ECU27は、車線変更動作が完了した時点でウィンカーを消灯してもよい。
【0052】
上述の制御方法では、ウィンカーレバー200が中間位置202Rにある間に、ステップS304で、ウィンカーレバー200が中間位置202Rに維持された継続時間が閾値時間Th1よりも長いかどうかが判定された。これに代えて、ウィンカーレバー200が中間位置202Rから中立位置201に移動した後に、ウィンカーレバー200が中間位置202Rに維持された継続時間が閾値時間Th1よりも長いかどうかが判定されてもよい。例えば、ステップS304及びステップS305がステップS303とステップS306との間に行われるのではなく、ステップS306とステップS307との間に行われる。
【0053】
上述の制御方法において、ステップS308で車線変更動作が開始されてから閾値時間Th4が経過する前の中止要求の検出に用いられる閾値時間Th2は、ステップS308で車線変更動作が開始されてから閾値時間Th4が経過した後の中止要求の検出に用いられる閾値時間Th2よりも長くてもよい。具体的に、ステップS308で車線変更動作が開始されてから閾値時間Th4が経過する前の中止要求の検出に用いられる閾値時間Th2は例えば1秒であってもよい。ステップS308で車線変更動作が開始されてから閾値時間Th4が経過した後の中止要求の検出に用いられる閾値時間Th2は、0.5秒であってもよい。閾値時間Th4は、例えば0.5秒であってもよい。これにより、ウィンカーレバー200がオーバーシュートして反対側まで移動したことによる過検知を抑制できる。
【0054】
上述の制御方法において、ステップS317に加えて又はこれに代えて、ECU20は、車線変更動作の進捗状況が進むにつれて、中止要求の検出条件を厳しくしてもよい。例えば、ECU20は、車線変更動作の進捗状況が進むにつれて、閾値時間Th2を長くしてもよいし、中間位置202Lとなるための中立位置201からの移動量を大きくしてもよいし、より大きなウィンカーレバー200の走査速度を必要としてもよいし、ウィンカーレバー200の操作に必要な荷重を大きくしてもよい、これらの任意の組み合わせであってもよい。このように、車線変更動作の進捗状況が進むにつれて、中止要求を行いにくくすることによって、運転者の違和感を低減できる。
【0055】
図4~
図6を参照して、車線変更動作の複数のシナリオについて説明する。
図4~
図6において、「車両位置」は車両1の走行位置を示す。車両1は、車線401を走行中である。車線401の右側に車線402が隣接している。車線401と車線402との間に白線403が引かれている。「車両動作」は車両が行う動作を示す。「レバー位置」は、ウィンカーレバー200の位置を示す。
【0056】
図4では、運転者が車線変更動作の開始要求を行った後、中止要求を行わなかったシナリオについて説明する。時刻t0で、
図3の制御方法が開始される。時刻t1で、運転者がウィンカーレバー200を中間位置202Rに操作する(ステップS302でYES)。時刻t2で、運転者がウィンカーレバー200から手を放し、ウィンカーレバー200が中立位置201に移動する(ステップS306でYES)。時刻t1から時刻t2までの時間が閾値時間Th1よりも長いとする(ステップS304でYES)。そのため、ECU20は、車線変更動作を開始する(ステップS308)。時刻t3で、ECU20は、車線変更動作を完了する(ステップS309でYES)。これによって、
図3の制御方法が終了する。
【0057】
図5では、運転者が車線変更動作の開始要求を行った後、中止要求を行い、中止要求が受け入れられたシナリオについて説明する。時刻t2までは
図4のシナリオと同様なので説明を省略する。時刻t3で、運転者がウィンカーレバー200を中間位置202Lに操作する(ステップS310でYES)。時刻t4で、ウィンカーレバー200が中間位置202Lに維持された継続時間が閾値時間Th2を超える(ステップS311でYES)。この時点で、車両1は白線403をまたいでおらず、車両1は車線401にとどまっている。そのため、ECU20は、車線変更動作を中止可能であると判定し(ステップS317でYES)、車線変更動作を中止する(ステップS318)。時刻t5で、車両1は車線401の中心に戻る。
【0058】
図6では、運転者が車線変更動作の開始要求を行った後、中止要求を行い、中止要求が受け入れられなかったシナリオについて説明する。時刻t4までは
図5のシナリオと同様なので説明を省略する。時刻t4の時点で、車両1は白線403をまたいでいる。そのため、ECU20は、車線変更動作を中止可能でないと判定し(ステップS317でNO)、車線変更動作を継続する(ステップS319)。時刻t5で、車両1は車線変更動作を完了する。
【0059】
<実施形態のまとめ>
<構成1>
車両(1)の制御装置(20)であって、
運転者によるウィンカーレバー(200)の操作に基づいて、車線変更動作の開始要求及び中止要求を検出する検出手段と、
前記開始要求及び前記中止要求に基づいて、前記車線変更動作を制御する走行制御手段と、を備え、
前記ウィンカーレバーが移動可能な位置は、
中立位置(201)と、
前記中立位置に対して互いに異なる2つの方向のそれぞれにあり、前記運転者による前記ウィンカーレバーへの操作力がない場合に前記中立位置に戻る第1位置(202R、202L)と、
前記中立位置に対して前記2つの方向のそれぞれにあり、前記中立位置からの移動量が前記第1位置よりも大きく、前記運転者による前記ウィンカーレバーへの操作力がない場合に位置を維持可能な第2位置(203R、203L)と、を含み、
前記検出手段は、
前記ウィンカーレバーが前記2つの方向の一方の前記第1位置に操作されたことに基づいて前記開始要求を検出し、
前記車線変更動作を実行中に前記ウィンカーレバーが前記2つの方向の他方の前記第1位置に操作されたことに基づいて前記中止要求を検出する
ことを特徴とする制御装置。
この構成により、車線変更動作の開始要求のための操作と中止要求のための操作とが対称となるため、車線変更動作の中止要求を直感的に行えるようになる。また、中間位置で中止要求を行えるため、運転者の中止の意図をより早く検出できる。
<構成2>
前記検出手段は、前記ウィンカーレバーが前記一方の前記第1位置に維持された継続時間が第1閾値時間(Th1)よりも長いことに基づいて前記開始要求を検出し、
前記走行制御手段は、前記開始要求が検出されたこと及び前記ウィンカーレバーが前記一方の前記第1位置から前記中立位置に移動したことに基づいて前記車線変更動作を開始する
ことを特徴とする構成1に記載の制御装置。
この構成により、ウィンカーレバーが中立位置に戻ったことを条件として車線変更動作が開始されるため、運転者が車線変更動作の開始タイミングを把握しやすくなる。また、運転者がウィンカーレバーを操作していない状態で車線変更動作が開始されるため、運転者の周辺監視や必要な場合の介入が容易になる。
<構成3>
前記検出手段は、前記車線変更動作を実行中に、前記ウィンカーレバーが前記他方の前記第1位置に維持された継続時間が第2閾値時間(Th2)よりも長いことに基づいて前記中止要求を検出し、
前記車線変更動作が開始されてから第3閾値時間(Th4)が経過する前の前記中止要求の検出に用いられる前記第2閾値時間は、前記車線変更動作が開始されてから前記第3閾値時間が経過した後の前記中止要求の検出に用いられる前記第2閾値時間よりも長いことを特徴とする構成1又は2に記載の制御装置。
この構成によれば、ウィンカーレバーがオーバーシュートして反対側まで移動したことによる過検知を抑制できる。
<構成4>
前記検出手段は、前記車線変更動作の進捗状況が進むにつれて、前記中止要求の検出条件を厳しくすることを特徴とする構成1乃至3の何れか1項に記載の制御装置。
この構成によれば、車線変更動作の進捗状況が進むにつれて、中止要求を行いにくくすることによって、運転者の違和感を低減できる。
<構成5>
前記走行制御手段は、前記中止要求が検出された場合に、前記車線変更動作の進捗状況に基づいて、前記車線変更動作を中止するかどうかを判定することを特徴とする構成1乃至4の何れか1項に記載の制御装置。
この構成により、車線変更動作の進捗状況が進んでいる場合に、車線変更動作を完了することによって、安全性が高まる。
<構成6>
前記検出手段は、前記車線変更動作を実行中に、前記ウィンカーレバーが前記他方の前記第1位置に維持された継続時間が第2閾値時間よりも長いことに基づいて前記中止要求を検出し、
前記検出手段は、前記車線変更動作を実行中に、前記ウィンカーレバーが前記他方の前記第2位置に維持された継続時間が第4閾値時間(Th3)よりも長いことに基づいて前記中止要求を更に検出し、
前記第4閾値時間が前記第2閾値時間よりも短いことを特徴とする構成1乃至5の何れか1項に記載の制御装置。
この構成により、開始要求の検出と同様のロジックで中止要求を検出できるようになり、開始・中止の操作の一貫性が生まれる。
<構成7>
構成1乃至6の何れか1項に記載の制御装置を備えることを特徴とする車両。
この構成によれば、車両の形態で発明が提供される。
<構成8>
車両(1)の制御方法であって、
運転者によるウィンカーレバー(200)の操作に基づいて、車線変更動作の開始要求及び中止要求を検出する検出工程(S305)と、
前記開始要求及び前記中止要求に基づいて、前記車線変更動作を制御する走行制御工程(S308、S318、S319)と、を備え、
前記ウィンカーレバーが移動可能な位置は、
中立位置(201)と、
前記中立位置に対して互いに異なる2つの方向のそれぞれにあり、前記運転者による前記ウィンカーレバーへの操作力がない場合に前記中立位置に戻る第1位置(202R、202L)と、
前記中立位置に対して前記2つの方向のそれぞれにあり、前記中立位置からの移動量が前記第1位置よりも大きく、前記運転者による前記ウィンカーレバーへの操作力がない場合に位置を維持可能な第2位置(203R、203L)と、を含み、
前記検出工程は、
前記ウィンカーレバーが前記2つの方向の一方の前記第1位置に操作されたことに基づいて前記開始要求を検出すること(S302)と、
前記車線変更動作を実行中に前記ウィンカーレバーが前記2つの方向の他方の前記第1位置に操作されたことに基づいて前記中止要求を検出すること(S310)と、
を含むことを特徴とする制御方法。
この構成により、車線変更動作の開始要求のための操作と中止要求のための操作とが対称となるため、車線変更動作の中止要求を直感的に行えるようになる。また、中間位置で中止要求を行えるため、運転者の中止の意図をより早く検出できる。
<構成9>
コンピュータを構成1乃至6の何れか1項に記載の制御装置の各手段として機能させるためのプログラム。
この構成によれば、プログラムの形態で発明が提供される。
【符号の説明】
【0060】
1 車両、2 制御装置、20~29 ECU、200 ウィンカーレバー、201 中立位置、202R・202L 中間位置、203R・203L 終端位置