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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】光学成形材料の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08F 20/12 20060101AFI20221220BHJP
   C07C 69/54 20060101ALI20221220BHJP
   C08F 120/14 20060101ALI20221220BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20221220BHJP
   C07C 67/00 20060101ALN20221220BHJP
【FI】
C08F20/12 ZAB
C07C69/54 Z
C08F120/14 ZAB
C07B61/00 300
C07C67/00
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020512554
(86)(22)【出願日】2018-08-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-11-05
(86)【国際出願番号】 EP2018072419
(87)【国際公開番号】W WO2019042807
(87)【国際公開日】2019-03-07
【審査請求日】2021-07-16
(31)【優先権主張番号】17188252.5
(32)【優先日】2017-08-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】319013746
【氏名又は名称】レーム・ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Roehm GmbH
【住所又は居所原語表記】Deutsche-Telekom-Allee 9, 64295 Darmstadt, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】シュテフェン クリル
(72)【発明者】
【氏名】ベライド アイト アイサ
(72)【発明者】
【氏名】フローリアン チュンケ
(72)【発明者】
【氏名】ゲアハート ケルブル
(72)【発明者】
【氏名】リューディガー カルロフ
【審査官】久保田 葵
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2003/053570(WO,A1)
【文献】特表2016-515645(JP,A)
【文献】特許第3532763(JP,B2)
【文献】中国特許出願公開第111233667(CN,A)
【文献】特許第6858314(JP,B1)
【文献】特開平11-035523(JP,A)
【文献】特開昭58-183641(JP,A)
【文献】特表2019-516742(JP,A)
【文献】特開2007-063214(JP,A)
【文献】特開2007-045795(JP,A)
【文献】特開2007-045803(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08C19/00-19/44
C08F2/00-2/60、6/00-246/00、301/00
C07C 69/54
C07C 67/00-67/62
C07B 61/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルキルメタクリレート樹脂の製造方法であって、次の方法工程
a.反応器Iにおいてメタクロレインを製造する工程、
b.少なくとも1つの反応器IIにおいて、アルコール、酸素および不均一系の貴金属含有触媒の存在下に、0.1~10質量%の含水率および5~8のpH値で、前記メタクロレインを酸化的エステル化する工程、
c.反応器IIからの反応器搬出物を反応器IIIにおいて後処理する工程、
d.反応器IIIからの粗製アルキルメタクリレートを単離し、かつ精製する工程、ならびに
e.方法工程dからの前記アルキルメタクリレートまたは方法工程dからのアルキルメタクリレートを含有する混合物を重合してアルキルメタクリレート樹脂を得る工程
を有する方法において、方法工程cにおける反応器IIIでは、含水率が反応器IIにおける含水率よりも少なくとも0.5質量%高く、アルコールの濃度が反応器IIにおけるアルコールの濃度よりも低く、かつpH値は0.5~6の間であり、反応器IIにおけるpH値よりも少なくとも0.5低くなるように調整し、かつ
反応器IIIが連続運転式撹拌反応器であるか、または反応器IIIが蒸留塔であることを特徴とする、方法。
【請求項2】
反応器Iにおける方法工程aが、少なくとも1種の酸および任意でアミンの存在下でのプロパナールとホルムアルデヒドとの反応であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記アルコールがメタノールであり、前記アルキルメタクリレートがメチルメタクリレート(MMA)であることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
方法工程cにおいて、有機酸および/または鉱酸を反応器に添加してpHを調整し、この反応器でジメトキシイソブテンを水でメタクロレインとメタノールとに分解することを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
方法工程eにおいて、方法工程dからの前記アルキルメタクリレートまたは方法工程dによる少なくとも1種のアルキルメタクリレートを含有する混合物から、塊状重合、乳化重合、懸濁重合または溶液重合によってアルキルメタクリレート樹脂を製造し、続いて成形材料へと加工するか、または他の成分と混合して成形材料へと加工することを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
方法工程eにおいて、方法工程dからの前記アルキルメタクリレートまたは方法工程dによる少なくとも1種のアルキルメタクリレートを含有する混合物から、80%未満の固体含有率になるまでラジカル重合させることによってシロップを形成し、前記シロップを型に流し込み、かつ前記型の中で完全に重合させることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
方法工程eにおいて、方法工程dからの前記アルキルメタクリレートまたは方法工程dによる少なくとも1種のアルキルメタクリレートを含有する混合物から、ラジカル溶液重合または塊状重合によってシロップを形成し、前記シロップを任意で脱気し、任意で粒状化し、かつ成形体へと加工することを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
方法工程eにおいて、方法工程dからの前記アルキルメタクリレートまたは方法工程dによる少なくとも1種のアルキルメタクリレートを含有する混合物から、少なくとも80%のモノマー反応率でラジカル懸濁重合させることによってポリマー樹脂を形成し、前記ポリマー樹脂を任意で乾燥させ、任意で脱気し、任意で粒状化し、かつ得られた粒状物またはポリマー樹脂ビーズから成形体を製造することを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
脱気工程で得られたリサイクル材料を返送し、かつ方法工程eのモノマー混合物に供給することを特徴とする、請求項6から8までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
方法工程cにおいて、反応器IIIに硫酸を添加してpHを調整し、かつ反応器IIIの液相が0℃~140℃の温度を有することを特徴とする、請求項4から9までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
反応器IIIが蒸留塔であり、前記蒸留塔の塔底部に酸および任意で追加の水を導入し、前記蒸留塔において、50℃~100℃の温度で、粗製アルキルメタクリレートからメタクロレインおよび残留アルコールの一部を分離することを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
反応器IIIが連続運転式撹拌反応器であり、前記連続運転式撹拌反応器において、50℃~140℃の内部温度で、反応器IIからの反応器搬出物、酸および任意で追加の水を混合し、続いて得られた混合物を蒸留塔または相分離器に導くことを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記単離および精製する工程が、少なくとも1つの相分離器、少なくとも1つの高沸点物蒸留塔、少なくとも1つの低沸点物蒸留塔、および任意で少なくとも1つの結晶化チャンバーで行われ、かつこれらの装置は直列に接続されていることを特徴とする、請求項1から12までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
請求項1から13までのいずれか1項に記載の方法の方法工程a~dにより製造されたアルキルメタクリレートがジメトキシイソブテン(DMIB)およびイソ酪酸メチルを含み、300ppm未満のDMIB含有量および600ppm未満のイソ酪酸メチル含有量を有することを特徴とする、請求項1から13までのいずれか1項に記載の方法
【請求項15】
前記アルキルメタクリレートが100ppm未満のDMIB含有量および300ppm未満のイソ酪酸メチル含有量を有することを特徴とする、請求項14記載の方法
【請求項16】
方法工程eにおいて、請求項14または15記載のアルキルメタクリレート30~100質量%およびアルキルメタクリレートと共重合可能な更なるモノマーおよび/または他の方法により製造されたアルキルメタクリレート0~70質量%、ならびに任意に更なる補助物質0~5質量%を含有するモノマー混合物からアルキルメタクリレート樹脂を製造することを特徴とする、請求項14または15記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メチルメタクリレート系光学成形材料の製造方法であって、最適化された方法によりMMAが製造され、成形材料は特に非常に低い黄色度指数を特徴とする方法に関する。本発明により使用されるMMAは、メタクロレインの直接酸化的エステル化により製造されたものである。
【0002】
本発明は特に、メタクロレインを酸化的エステル化した反応器搬出物の後処理を最適化することであり、特に着色副生成物が除去される後処理に関する。本発明による方法にはさらに、先行技術に記載されている方法よりもプラントの装置構成に対する要求が少ないという利点がある。
【背景技術】
【0003】
メチルメタクリレートは、その他の重合性化合物とのポリマーおよびコポリマーを製造するために大量に使用される。メチルメタクリレートはさらに、関連するアルコールとエステル交換することによって製造することができるメタクリル酸(MAS)ベースのさまざまな特殊エステルにとって重要な合成単位である。したがって、このような出発原料を製造するために可能な限り単純で、経済的であり、環境に優しい方法に大きな関心が寄せられている。たとえば成形材料へと加工するためのポリマー中で特に低い黄変をもたらすMMAまたは他のメタクリレートアルキルエステルを提供することが特に興味深い。
【0004】
メチルメタクリレート(MMA)は、今日、C、C、またはC合成単位から出発するさまざまな方法により製造されている。特に効率的であるとされている方法では、MMAは、不均一系触媒を用いて大気中酸素によりイソブチレンまたはtert-ブタノールを気相酸化してメタクロレインを生成し、続いてメタノールを使用したメタクロレインの酸化的エステル化反応によって得られる。旭化成によって開発されたこの方法は、とりわけ米国特許第5,969,178号明細書および米国特許第7,012,039号明細書に記載されている。これらの方法の欠点は特に、非常に高いエネルギー要件である。前記方法の開発にあたって、メタクロレインは、第1の段階でプロパナールとホルムアルデヒドとから取得される。そのような方法は、国際公開第2014/170223号に記載されている。
【0005】
米国特許第5,969,178号明細書には、イソブテンまたはtert-ブタノールをメタクロレインへと酸化的に変換し、かつその後にMMAへと酸化的エステル化する方法が記載されている。この第2の段階では、含水率が低減されたメタクロレインとメタノールとの液体混合物が分子状酸素およびパラジウム触媒と反応させられ、この触媒は通常、パラジウム-鉛触媒として担体上に存在する。次に、第1の蒸留段階で、メタクロレインとメタノールとの混合物が、塔頂部よりも下で酸化的エステル化の粗生成物から分離され、低沸点成分は塔頂部を介して除去される。次に、MMA含有塔底物は第2の蒸留段階に導かれ、メタノールと飽和炭化水素との共沸混合物は塔頂部を介して分離される。粗製MMAを含有する塔底物は更なる後処理に供給され、相分離器および第3の蒸留塔により塔頂部を介して取得された留分からメタノールが単離され、反応器に返送される。メタノールは、形成された共沸混合物に基づいて、比較的大量の水を含有する可能性があるため、脱水に供給しなければならないことに留意すべきである。
【0006】
この方法の代替法として、米国特許第5,969,178号明細書は、1つの塔のみでの後処理を開示しており、この塔では、供給流が塔底部よりも上に位置することが必須である。反応器搬出物からの低沸点成分が、この塔から塔頂部を介して除去される。塔底部には粗製MMAと水との混合物が留まり、これは更なる後処理に供給される。側方流(その正確な位置は最初に決定しなければならず、さまざまなシーブトレイを追加することによって調整することができる)を介して、反応器に返送する目的でメタクロレインとメタノールとの混合物が最終的に塔から取り出される。米国特許第5,969,178号明細書自体は、さまざまな共沸混合物に基づき、そのような方法は実施が困難であることを指摘している。さらに、常に副生成物として存在するメタクリル酸が特に大きく関与する。この問題について米国特許第5,969,178号明細書は言及していないものの、この方法によれば、メタクリル酸は分離された後、廃棄に供給される相に留まるため、その単離は条件付きで意味をなすにすぎない。しかし、これにより、この方法のメタクリル酸生成物の全体的な収率が低下する。
【0007】
米国特許第7,012,039号明細書には、酸化的エステル化の反応器搬出物について若干異なる後処理が開示されている。この場合、メタクロレインは、第1の蒸留段階でシーブトレイを介して塔頂部を介して留去され、底部からの水性MMA含有混合物は相分離器に送られる。相分離器では、硫酸の添加によって混合物のpHは約2に調整される。次いで、遠心分離により有機相/油相から硫酸水溶液が分離される。この油相は、更なる蒸留で高沸点成分と、塔頂部を介して抜き出されるMMA含有相とに分離される。その後、MMA含有相は、第3の蒸留で低沸点成分から分離される。次に、最終精製のために第4の蒸留がさらに行われる。
【0008】
この方法の問題は、硫酸を大量に添加しなければならず、プラントの一部に腐食作用を及ぼし得ることである。それに応じて、特に相分離器あるいは第二の蒸留塔などのこれらの部分は、適切な材料から作製されていなければならない。さらに、米国特許第7,012,039号明細書も、同時に発生するメタクリル酸または生成物中に留まる残留メタノールの取扱いについては言及していない。しかし、前者は蒸留段階で一緒に分離され、メタノールはメタクロレインと共に部分的にのみ取得されて返送されている可能性があり、残りはおそらく第3の蒸留段階で失われると推測される。
【0009】
国際公開第2014/170223号は、米国特許第7,012,039号明細書と同様の方法を記載している。唯一の違いは、実際の反応で、水酸化ナトリウムのメタノール溶液の添加によってpHが循環路で調整されることである。これは、とりわけ触媒を保護することに役立つ。さらに、塩類の含分に基づき、相分離における水相の除去はより簡単である。しかし、形成されたメタクリル酸はナトリウム塩として存在し、後に水相と共に分離され、廃棄される。相分離で硫酸が添加される変法では、たしかに遊離酸が回収される。しかし、その代わりに、硫酸(水素)ナトリウムが発生し、これは廃棄時に他の問題を生じる可能性がある。
【0010】
最後に、国際公開第2017/046110号は、酸化的エステル化から得られた粗製MMAを最初に重質相から分離し、続いてこの重質相からアルコール含有軽質相を留去し、留去した軽質相を再びリサイクルすることができる、最適化された後処理を教示している。この方法の特別な点はさらに、この場合、メタクロレインがプロパナールとホルムアルデヒドとに基づいて得られたものであることであり、プロパナールはC合成単位に基づいて、たとえばエチレンと合成ガスとから得られる。
【0011】
しかし、使用されるメタクロレインのための原料ベースとは無関係に、総じて、これらの方法はすべて、MMAまたは一般的にアルキルメタクリレートを生じるため、たとえば成形材料などの二次製品の黄変につながる。つまり、この黄変の原因を特定し、重合前に可能な限り効率的に、関連するアルキルメタクリレート、特にMMAから除去するように方法を改善する必要がある。
【0012】
課題
したがって、先行技術を考慮すると、本発明の課題は、特に低い黄変を示すポリマー樹脂を製造するための技術的に改善された方法を提供することである。
【0013】
本発明の課題は特に、メタクロレインの酸化的エステル化に基づいて、これらのポリマー樹脂を製造するために使用されるアルキルメタクリレート、特にMMAを提供することであった。
【0014】
本発明の課題はさらに、メタクロレインの酸化的エステル化において形成され、二次製品の黄変をもたらす副生成物を同定し、アルキルメタクリレートから効率的に除去することであった。
【0015】
特に、可能な限り低い廃棄コストで、特に廃棄物流中の有機成分と酸の発生を減らすことによって運転することができる方法を提供するという課題もあった。
【0016】
この方法はさらに、先行技術と比較して、特にプラントの構築に使用される材料に関して安価であるものとする。
【0017】
解決手段
前記課題は、新規に開発された、アルキルメタクリレート樹脂の製造方法によって解決された。この方法は、次の方法工程を有する:
a.反応器Iでメタクロレインを製造する工程、
b.少なくとも1つの反応器IIで、アルコール、酸素および不均一系の貴金属含有触媒の存在下に、0.1~10質量%の含水率および5~8、好ましくは6~8のpH値でメタクロレインを酸化的エステル化する工程、
c.反応器IIからの反応器搬出物を反応器IIIで後処理する工程、
d.反応器IIIからの粗製アルキルメタクリレートを単離および精製する工程、ならびに
e.方法工程dからのアルキルメタクリレートまたは方法工程dからのアルキルメタクリレートを含有する混合物を重合してアルキルメタクリレート樹脂を得る工程。
【0018】
個々の方法工程は、連続して、直ちに相次いで実施する必要はないことに留意されたい。列挙された工程a~eの間に、たとえば中間精製などの更なる方法工程を実施することもできる。好ましくは、任意で中間工程が追加される方法工程a~dは、指定された順序および連続運転で相次いで実施される。これとは対照的に、方法工程eは、他の工程から空間的および時間的に明らかに区切られて、任意で追加の精製、輸送および/または貯蔵を行った後、工程a~dによるモノマー合成から数週間または数ヶ月たった後に実施してもよい。
【0019】
本発明によれば、本発明は特に方法工程cにおいて、反応器IIIでは含水率が、反応器IIにおける含水率よりも少なくとも0.5質量%、好ましくは少なくとも0.75質量%、特に好ましくは少なくとも1質量%高いという特徴を有する。さらに、方法工程cの反応器IIIにおけるアルコール濃度は、方法工程bが実施される反応器IIにおけるアルコール濃度よりも低い。最後に、この新規の方法は、反応器IIIにおけるpHが0.5~7、特に0.5~6の間であり、反応器IIにおけるpHよりも少なくとも0.5低く調整されることを特徴とする。
【0020】
原則として、方法工程aのメタクロレインは反応器Iにおいて、CまたはC合成単位に基づいて製造することができる。方法工程aは好ましくは、少なくとも1種の酸および任意でアミンの存在下にプロパナールとホルムアルデヒドとを反応させる、つまり、C合成単位から出発する方法工程である。本発明による方法は特に、メタクロレインを製造するためのそのようなCベースの方法と、その後の方法工程bでアルキルメタクリレートを得るための酸化的エステル化との組合せに適用することができる。これは特に、たとえば独国特許出願公開第3213681号明細書、米国特許第4,408,079号明細書、中国特許出願公開第103846104号明細書または出願番号14185345.7を有する欧州特許出願に見られるような方法工程aおよびbの組合せの説明に関する。
【0021】
好ましくは、方法工程bのアルコールはメタノールであり、この方法工程から粗生成物として得られるアルキルメタクリレートは、相応してMMAである。
【0022】
好ましくは、方法工程cでは、pHを調整するために有機酸および/または鉱酸が反応器IIIに添加される。同時にまたは独立して、同様に好ましくは、この反応器IIIで水によりジメトキシイソブテンがメタクロレインとメタノールとに分解される。
【0023】
酸の添加は、酸が反応器IIIに直接送られるように行ってもよい。しかし、代替的に、たとえば反応器IIから反応器IIIに向かう供給路に酸を供給してもよい。さらに、反応器IIからの粗生成物を反応器IIIへ供給する前に、まず混合チャンバー内でこの混合物に酸を提供することが可能である。
【0024】
特に好ましくは、方法工程cに関して本発明による方法は、pH値を調整するために硫酸を反応器IIIに加えること、および反応器IIIの液相が0℃~140℃の温度を有することを特徴とする。液相中で測定されるこの内部温度は、特に使用される反応器の正確な構成に依存する。本発明によれば、反応器IIIの正確な構成に関して、特に好ましい実施形態が4つある。
【0025】
第1の実施形態では、反応器IIIは蒸留塔である。この場合、酸は、任意で追加の水と一緒に、好ましくはこの蒸留塔の塔底部に導入される。この塔底部には、50℃~100℃の温度で、粗製アルキルメタクリレートから分離された、とりわけ液状のメタクロレインと残留アルコールの一部とが存在する。
【0026】
方法工程cの第2の好ましい実施形態では、反応器IIIは、水相に酸および任意で追加の水が導入される相分離器である。この相分離器では、0℃~100℃の温度で、アルキルメタクリレートを含有する有機相から残留アルコールを含有する水相が分離される。
【0027】
方法工程cの第3の好ましい実施形態では、反応器IIIは、50℃~140℃の内部温度で、反応器IIからの反応器搬出物、酸および任意で追加の水が混合される管状反応器である。この混合物は、続いて蒸留塔または相分離器に送られてもよい。
【0028】
方法工程cの第4の好ましい実施形態では、反応器IIIは、連続運転式撹拌反応器である。この反応器でも、前述の管状反応器と同様に、反応器IIからの反応器搬出物は、50℃~140℃の内部温度で、酸および任意で追加の水と混合される。続いて、この混合物は、好ましくは蒸留塔または相分離器に送られる。
【0029】
方法工程dの正確な構成は、特に先行する方法工程の正確な構成を考慮して、当業者に容易に想到可能である。この場合、一連の異なる精製段階は、好ましくは直列に接続されて使用されてもよいが、必ずしも直列に接続されている必要はない。特に好ましくは、単離および精製段階は、少なくとも1つの任意の相分離器、少なくとも1つの高沸点物質蒸留塔、少なくとも1つの低沸点物質蒸留塔、および任意で少なくとも1つの結晶化チャンバーで行われる。特に好ましくは、これらの装置は直列に接続されている。
【0030】
更なる重要な方法工程は、方法工程dからの生成物の重合である方法工程eである。方法工程eに関して、当然のことながら多くの代替的な実施形態がある。したがって、方法工程eでは、方法工程dからのアルキルメタクリレートから、または方法工程dからの少なくとも1種のアルキルメタクリレートを含有する混合物から、ポリマーまたはポリマーを含有する混合物を製造することができる。たとえば、そのような混合物は、たとえばシロップまたはいわゆるMoPo(モノマー-ポリマー系)の形態の、部分的に重合されているのみモノマー混合物であってもよい。重合は、塊状重合、乳化重合、懸濁重合または溶液重合により行うことができる。重合は、一般にラジカル重合である。しかし、アニオン重合、またはたとえばグループトランスファー重合などの別の重合を使用することも可能である。本発明によれば、重合時にアルキルメタクリレート樹脂が製造され、これは、たとえば、続いて成形材料に加工されるか、または他の成分と混合して成形材料に加工される。
【0031】
ポリマー樹脂は、適切な温度を選択することで熱可塑的に成形可能なポリマーである。ポリマーのポリマー鎖分子量、ポリマー樹脂のポリマー割合、およびポリマー鎖の任意に存在する部分架橋に応じて、アルキルメタクリレートポリマーの成形温度は320℃を超える場合がある。架橋性のモノマーまたは物質の存在下でアルキルメタクリレートの重合が行われると、一般に、互いに架橋されたポリマー鎖の割合が増加する。それによって、ポリマー樹脂の熱可塑性成形に必要な温度が上昇する。架橋剤モノマーまたは架橋をもたらす物質の含有量が非常に高い場合、必要とされる成形温度がポリマー樹脂の熱劣化の範囲まで上昇する。
【0032】
本発明によれば、「ポリマー樹脂」とは、前述のように、部分的に重合されたのみの系も意味する。
【0033】
本発明によれば、重合される組成物は、本発明に従って方法工程a~dにより製造された上記アルキルメタクリレートに加えて、メチルメタクリレートおよび上述の(メタ)アクリレートと共重合可能な更なる不飽和モノマーを含んでいてもよい。これらには、とりわけアルキル(メタ)アクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、スチレン、置換スチレン、ビニルシクロヘキサン、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸、無水グルタル酸、無水マレイン酸、n-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミドおよびアクリロニトリルが含まれる。
【0034】
ポリマー樹脂は、任意で、方法工程eの前または後に、好ましくは方法工程eの前に添加されうる添加物質または添加剤を含有している。これらには、特にUV安定剤、UV吸収剤、潤滑剤、帯電防止剤、難燃剤、耐引掻性向上のための添加剤、酸化防止剤、光安定剤、有機リン化合物、耐候安定剤および/または可塑剤が含まれる。
【0035】
特に本発明によれば、方法工程eに関して特に好ましい実施形態が3つある。
【0036】
懸濁重合方法である第1の実施形態では、熱可塑的に変形可能な成形材料が得られ、この場合、たとえば80%以上の高いモノマー反応率を有するポリマー樹脂を任意で乾燥して、未反応のアルキルメタクリレート、その他のモノマーまたは水が除去される。次いで、得られたビーズ状のポリマーは、任意で、たとえばニーダーまたは脱気押出機などの脱気装置でさらに脱気され、続いて粒状化されてもよい。粒状物またはポリマー樹脂ビーズは、後続の工程で、適切な処理装置によりさらに処理して、所望の成形体を得ることができる。
【0037】
第2の実施形態である溶液または塊状重合方法では、方法工程dからのアルキルメタクリレートまたは方法工程dによる少なくとも1種のアルキルメタクリレートを含有する混合物から、ラジカル重合によってポリマーシロップが形成される。その後、このシロップを任意で適切な脱気装置により脱気して、未反応のアルキルメタクリレート、その他のモノマーまたは水を除去する。次いで、脱気されたポリマーシロップは、必要に応じて粒状化される。粒状物は、後続の工程で適切な処理装置によりさらに処理することで、所望の成形体を得ることができる。
【0038】
第3の実施形態であるブロック重合方法では、任意で溶媒を含有する混合物を、80質量%の固形分になるまで重合させる。好ましくは、この実施形態では、無溶媒系が80%未満の反応率まで重合される。好ましくは、重合は80%未満の反応率まで無溶媒系で実施される。続いてポリマーシロップが型に流し込まれる。ここで補助物質を添加してもよい。ポリマーシロップの重合は、型内でより高い反応率が達成されるまで継続される。ポリマーシロップが架橋剤モノマーを含まない場合、または架橋剤モノマーの含有量が低い場合、続いて型を熱により変形することができる。架橋剤モノマーの含有量がより高い場合、熱による変形が著しく困難になる。
【0039】
最適には、3つの実施形態すべてにおいて少なくとも任意で得られる、脱気により取得されるリサイクル材料が返送され、更なる重合工程eで使用される。この場合、プロセス中に副生成物、特に蒸気圧が比較的低い副生成物が濃縮される可能性がある。特にC法で形成されるジメトキシイソブテン(DMIB)およびイソ酪酸メチルのこのような濃縮により、後のバッチで成形体の黄変がさらに増加する。したがって、これらの副生成物に関してリサイクル材料の循環を減らすために、数回のリサイクル後、リサイクル材料の一部を廃棄しなければならない。これによりポリマー全体の収率が低下する。本発明による方法は、驚くべきことに、リサイクル材料の循環および再利用のもとで著しく多くのバッチを実施し、ひいてはポリマー全体の収率を適切に増加させることが可能である。
【0040】
本発明によれば、「C法」とは、アルキルメタクリレートの合成時にC合成単位から出発する方法を表す。特に好ましくは、本発明の範囲ではさらに、方法工程a)のプロパナールは、エチレンと合成ガスとに基づいて取得される。
【0041】
本発明により製造されたアルキルメタクリレート樹脂は、非常に広い範囲で使用することができる。アルキルメタクリレート樹脂から製造される成形体について、一方では透明と非透明とを、他方では有色と無色とを区別すべきである。
【0042】
したがって、透明な成形体、好ましくは無色透明なアルキルメタクリレート樹脂は特に、導光板として、ヘッドライトレンズとして、ヘッドライトカバーにおいて、光源用カバーにおいて、ディスプレイカバーにおいて、ノイズバリアにおいて、または温室の建設において、使用することができる。当然のことながら、特に無色の製品、なかでも透明無色の製品の場合、成形体を製造する原料となるポリマーの黄色度指数は特に非常に重要であるため、本発明による方法では、驚くべきことに、C原料をベースに製造されたアルキルメタクリレートも使用することができる。
【0043】
着色アルキルメタクリレート樹脂、特に充填され、従って不透明である樹脂は、好ましくは、乗用車の内装および/または外装用のカバー、ピラートリムまたは装飾ストリップにおいて使用するための成形体に使用することができる。しかし、不透明な状態で使用される着色アルキルメタクリレート樹脂の場合でも、黄色度指数は、他の方法からのアルキルメタクリレートにおける色配合物の色堅牢度、色安定性および汎用性に関して重要な役割を果たす。
【0044】
記載した方法に加えて、たとえば、本発明による方法工程a~dからの生成物として取得することができる新規のアルキルメタクリレートも、本発明の主題の一部である。したがって、これらの新規のアルキルメタクリレートは、アルキルメタクリレートが必然的に成分としてDMIBを含むという特徴を有する。アルキルメタクリレートは、一般にイソ酪酸メチルも含む。
【0045】
これらのアルキルメタクリレートは、特に、メタクリレート合成の基本合成単位として、CまたはCベースの代わりにCベースから出発する非常に有利な方法によって製造することができるものである。CまたはCベースのアルキルメタクリレートは一般にこの副生成物をまったく含まない。特に、このアルキルメタクリレートについて新規であるのは、先行技術に記載された材料と比較して、このアルキルメタクリレートはDMIBを含むが、その含有率が、300ppm未満、好ましくは150ppm未満、非常に好ましくは100ppm未満、最適には80ppm未満、極めて最適な形態では20ppm未満であることである。特に、100ppm未満の含有量は、視認できる黄変のないメタクリレート樹脂の製造に特に適している。
【0046】
さらに好ましくは、本発明によるアルキルメタクリレートは、600ppm未満、特に好ましくは300ppm未満、特に好ましくは100ppm未満のイソ酪酸メチル含有量をさらに含む。
【0047】
さらに、これらのアルキルメタクリレートに加えて、30質量%~100質量%の本発明によるアルキルメタクリレートを含むモノマー混合物から製造されるアルキルメタクリレート樹脂も本発明の主題の一部である。さらに、これらのアルキルメタクリレート樹脂は、アルキルメタクリレートと共重合可能な更なるモノマーおよび/または他の方法で製造されたアルキルメタクリレート0質量%~70質量%、ならびに任意で補助物質0質量%~5質量%を含有する混合物から製造することができる。
【0048】
好ましくは、これらのアルキルメタクリレート樹脂は、このアルキルメタクリレート樹脂が、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定された重量平均分子量50000g/mol~2000000g/molを有することを特徴とする。特に好ましくは、アルキルメタクリレート樹脂に使用される、本発明により製造可能なアルキルメタクリレートはメチルメタクリレートである。
【0049】
驚くべきことに、アルキルメタクリレート樹脂および該樹脂から製造された二次製品中のDMIBにより引き起こされるマイナスの効果が同定された。それは、DMIBが黄変に加えて、生成物の熱安定性を低下させることである。これは、熱処理の際にポリマー鎖が著しく分解されることに起因するものであり、特に成形体への加工中およびポリマーシロップの後処理中に発生する。驚くべきことに、本発明によるメタクリレート樹脂、本発明によるメタクリレートもしくは本発明により製造されたメタクリレート樹脂はいずれの欠点も示さないことが判明した。
【0050】

アルキルメタクリレート樹脂の品質を調べるために、本発明による方法からの方法工程a~dによるメチルメタクリレートを重合させてPMMAを製造した。続いて、得られたポリマーから長さ145mmの試験片を製造し、光学特性の測定に使用した。
【0051】
ポリマーの製造では、次の原料を使用した:
Evonik Industries社の、かつ方法a~dからの、ハイドロキノンモノメチルエーテル3ppmで安定化されたメチルメタクリレート。
【0052】
Chevron Phillips社からn-ドデシルメルカプタンを入手し、United Initiator GmbH社からtert-ブチルペリイソノナノエートを入手した。
【0053】
原料を重合させるために、内容積2.4Lの連続運転式撹拌槽に連続的に供給し、重合温度が常に120℃~150℃の範囲にあるように留意した。重合は、モノマー反応率が55%になるまで行った。流出するポリマーシロップの残留モノマーを250℃にて押出機で連続的に脱気した。このようにして得られた、脱気されたポリマー溶融物のポリマーストランドを空気中で冷却し、続いて粒状化した。
【0054】
重合用反応器供給物
3500g/hのメチルメタクリレート
7.0g/hのn-ドデシルメルカプタン
2.0g/hのtert-ブチルペルイソノナノエート
【0055】
ポリマーの光学品質を評価するために、ポリマー粒状物を220℃および50barの圧力でプレスして成形体を得て、次いでこの成形体から10mm×10mm×145mmの寸法のロッドを切り出し、表面をダイヤモンドポリッシャーで研磨した。
【0056】
この成形体の黄色度指数Y.I.および透過係数D65/10°は、Varian Cary 5000で145mmの長さにわたって測定した。
【0057】
特定の例については、方法工程dからのモノマー中のDMIBとイソ酪酸メチルのそれぞれの副生成物の割合も報告している。例3および4で使用したMMAバッチは参照として用いる。このそれぞれのMMAはC法によって生成したものであったため、DMIBもイソ酪酸メチルも含有していない。
【0058】
例1
方法a~dからのメチルメタクリレート
<6ppmのDMIB;イソ酪酸メチル230ppm
(方法工程dの後)
【0059】
特に方法工程cに関連して、次のプロセスを用いた。
【0060】
方法工程b、反応器IIからの搬出物は、後処理のために、方法工程c、反応器IIIに送った。反応器IIIは、連続運転式撹拌槽として構成されており、下流にはデカンターが接続されている。
【0061】
撹拌槽内のpH値:2
撹拌槽内での滞留時間:60分
撹拌槽内の温度:25℃
デカンター内での滞留時間:60分
デカンター内の温度:25℃
【0062】
反応III、方法工程cへの供給物
1.酸性の水相:
硫酸100%HSO=1.05g/h
水=106.05g/h
【0063】
2.方法工程bからの供給物:
MMA=56.11質量%
メタノール=13.67質量%
DMIB=1659ppm
イソ酪酸メチル=305ppm
有機残留物=18.57質量%
O=11.44質量%
総流量:150g/h
【0064】
方法工程cの後の粗製アルキルメタクリレートの組成:
DMIB<6ppm(有機相中で1ppm)
有機相イソ酪酸メチル=449ppm
水相イソ酪酸メチル=14ppm
【0065】
例2(比較例)
方法a、bおよびdからのメチルメタクリレート、方法工程cなし
1550ppmのDMIB;475ppmのイソ酪酸メチル
【0066】
例3(参照例)
Evonik Industries社のメチルメタクリレート
1000ppmのDMIB;50ppmのイソ酪酸メチルを混合したもの
【0067】
例4(参照例)
参照としてEvonik Industries社のメチルメタクリレート
<5ppmのDMIB;50ppmのイソ酪酸メチルを有する
【0068】
例1では、方法工程1a~dによるMMAを使用し、低い黄色度指数および高い透過率が達成された。DMIBの含有量は6ppm未満と低かった。例2(比較例)では、方法工程a、b、dによるが、後処理工程cは含まない方法によるMMAを使用する。DMIBの含有量は1550ppmと、例1よりも高く、そのため黄色度指数はより高くなり、ポリメタクリレート樹脂の透過率はより低くなった。
【0069】
例3および4(参照例)では、DMIBが形成されないACH方法からのEvonik MMAをそれぞれ使用した。一方にはDMIBを人為的に1000ppm添加し、例4ではDMIBを添加しなかった。例3は、例4よりも黄色度指数が高く、透過率が低いことを示している。
【0070】
脱気した残留モノマーの凝縮物は、使用したMMA中のDMIB含有量が高い場合、非常に黄色かった(例2および例3)。
【0071】
【表1】
【0072】
脱気したポリマーシロップの凝縮物におけるそれぞれの黄色度指数は、使用したアルキルメタクリレート中のDMIB濃度の影響を受ける。したがって、例1および4からの真空凝縮物の黄色度指数は非常に低く、他方、例2および3の真空凝縮物は著しく高い。