(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】加熱調理器
(51)【国際特許分類】
F24C 7/02 20060101AFI20221220BHJP
F24C 15/00 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
F24C7/02 301S
F24C15/00 D
(21)【出願番号】P 2020513074
(86)(22)【出願日】2019-01-18
(86)【国際出願番号】 JP2019001561
(87)【国際公開番号】W WO2019198296
(87)【国際公開日】2019-10-17
【審査請求日】2021-09-22
(31)【優先権主張番号】P 2018077774
(32)【優先日】2018-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】大堀 進一
(72)【発明者】
【氏名】内山 昌也
(72)【発明者】
【氏名】田中 稔
(72)【発明者】
【氏名】岡本 祥裕
(72)【発明者】
【氏名】能澤 利佳
【審査官】竹中 辰利
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-242074(JP,A)
【文献】特開2006-064362(JP,A)
【文献】特開2016-134040(JP,A)
【文献】特開2000-079052(JP,A)
【文献】特開平08-202797(JP,A)
【文献】登録実用新案第3036671(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 7/02
F24C 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱庫と、前記加熱庫を開閉する前扉と、少なくとも食品の種類を示す情報コードを読み取る読取り装置とを備え、前記加熱庫の内部に配置された食品を加熱する加熱調理器において、
前記加熱調理器の正面に、前記読取り装置を用いた情報コードの読取り操作を案内するための案内表示を行
い、
前記読取り装置の読取り領域を特定するための可視光を照射する光源をさらに備え、
前記光源は、照射した可視光が前記加熱庫の底面で反射するように、前記可視光を照射させ、
当該加熱庫の底面に、前記読取り装置を用いた情報コードの読取り操作を案内するための別の案内表示があり、前記別の案内表示は、前記可視光の位置を示す情報を含むことを特徴とする加熱調理器。
【請求項2】
前記読取り装置は、前記加熱庫の外部、かつ前記加熱庫の前面開口部の上方位置を設置位置とし、前記設置位置よりも下方に読取り領域を有することを特徴とする請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項3】
前記前扉の上方に、操作パネルが設けられ、
前記操作パネルに、前記案内表示を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の加熱調理器。
【請求項4】
前記操作パネルに、前記案内表示を行う液晶パネルを設け、
前記前扉の開放動作に連動して前記液晶パネルのバックライトを点灯させることを特徴とする請求項3に記載の加熱調理器。
【請求項5】
前記前扉を閉じた状態で、当該前扉の上面の、前記読取り装置の読取り光の出射面に対向する位置に、当該出射面に接触する清掃部材が設けられていることを特徴とする請求項1~
4の何れか1項に記載の加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱庫内部に配置された食品を加熱する加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばコンビニエンスストアでは、販売した弁当等の食品を電子レンジ等の加熱調理器にて加熱し、客に手渡すサービスが行われている。
【0003】
食品を加熱する場合の好適な加熱温度や加熱時間は、食品の種類によって異なる。そこで、特許文献1および2に示す加熱調理器では、食品の容器に記された、食品の種類を示すバーコードを読取り装置にて読み取り、食品の種類に応じた加熱情報(加熱温度や加熱時間)に従って食品を加熱するようにしている。
【0004】
具体的には、特許文献1に記載の構成では、電子レンジにバーコードスキャナが接続され、ユーザがバーコードスキャナを手動操作して食品の容器に記されたバーコードを読み取るようになっている。
【0005】
また、特許文献2に記載の構成では、加熱調理器の前面の一方の側部に設けられた第1のバーコード読取り装置に、食品の容器に記されたバーコードをかざしてバーコードを読み取るようになっている。あるいは加熱調理器の加熱庫内部に、容器に収容された食品を配置し、加熱庫の天壁に設けられた第2のバーコード読取り装置にて食品の容器に記されたバーコードを読み取るようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】日本国公開特許公報「特開2006-64362号公報」
【文献】日本国公開登録実用新案公報「実用新案登録第3076649号公報」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1、2において、何れもユーザがバーコードスキャナを使用して食品の容器に記されたバーコードを読み取る必要がある。このため、従来のバーコードスキャナを有する加熱調理器は、操作に不慣れなユーザにとって当該加熱調理器の操作の仕方を簡単に把握することができないという問題点を有している。
【0008】
したがって、本発明の一態様は、操作に不慣れなユーザであっても、操作の仕方を簡単に把握することのできる加熱調理器の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る加熱調理器は、加熱庫と、前記加熱庫を開閉する前扉と、少なくとも食品の種類を示す情報コードを読み取る読取り装置とを備え、前記加熱庫の内部に配置された食品を加熱する加熱調理器において、前記加熱調理器の正面に、前記読取り装置を用いた情報コードの読取り操作を案内するための案内表示を行い、前記読取り装置の読取り領域を特定するための可視光を照射する光源をさらに備え、前記光源は、照射した可視光が前記加熱庫の底面で反射するように、前記可視光を照射させ、当該加熱庫の底面に、前記読取り装置を用いた情報コードの読取り操作を案内するための別の案内表示があり、前記別の案内表示は、前記可視光の位置を示す情報を含むことを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一態様によれば、加熱調理器の操作に不慣れなユーザであっても、案内表示をみるだけで、当該加熱調理器の操作の仕方を簡単に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施形態の加熱調理器の前扉を閉じた状態を正面の斜め上方から見た場合の斜視図である。
【
図2】
図1に示した加熱調理器の前扉を開放した状態の正面図である。
【
図3】
図1に示した加熱調理器の前扉を開放した状態を右斜め下方から見た場合の斜視図である。
【
図4】
図1に示した加熱調理器が備える読取り装置の設置状態を示すコントロールフレームの縦断面図である。
【
図5】
図4に示した読取り装置の読取り領域を示す説明図である。
【
図6】
図6の(a)は、
図4に示した読取り装置が読み取る二次元コードからなる情報コードの例を示す説明図、
図6の(b)は、
図4に示した読取り装置が読み取る一次元バーコードからなる情報コードの例を示す説明図である。
【
図7】
図7の(a)は、
図4に示した読取り装置による情報コードの読み取りのための操作パネルでの案内表示例を示す説明図、
図7の(b)は、
図4に示した読取り装置による情報コードの読み取りのための操作パネルでの他の案内表示例を示す説明図である。
【
図8】
図1に示した加熱調理器が備える制御装置の構成を示すブロック図である。
【
図9】本発明の他の実施形態の加熱調理器の前扉を開放した状態を右斜め下方から見た場合の斜視図である。
【
図10】本発明の他の実施形態に係る加熱調理器の前扉を開放した状態を正面の斜め下方から見た場合の斜視図である。
【
図11】
図10に示す加熱調理器における読取り領域を認知させるための照明の照射方向の説明図である。
【
図12】本発明の他の実施形態に係る加熱調理器の前扉を開放した状態の正面図である。
【
図13】本実施形態に係る加熱調理器を正面から見た模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
〔実施形態1〕
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。
図1は、本実施形態の加熱調理器1の前扉12を閉じた状態を正面の斜め上方から見た場合の斜視図である。
図2は、
図1に示した加熱調理器1の前扉12を開放した状態を正面の斜め下方から見た場合の斜視図である。
図3は、
図1に示した加熱調理器1の前扉12を開放した状態を右斜め下方から見た場合の斜視図である。
【0013】
(加熱調理器1の概要)
図1から
図3に示すように、加熱調理器は、例えば電子レンジであり、前面の上部に操作パネル11を有し、操作パネル11の下に前扉12を有している。前扉12は、前扉12の奥に設けられている加熱庫13を開閉する扉であり、閉状態にて加熱庫13の前面開口部13bを覆う。前扉12は、本実施形態において、向って左側の端部を中心として回転する横開き形式であり、右端付近に取手14を有している。
【0014】
操作パネル11は、コントロールフレーム(基板収容部)15の前面に設けられており、加熱調理器1の前後方向において、操作パネル11の前面位置は前扉12の前面位置とほぼ一致している。
【0015】
コントロールフレーム15の内部には、操作パネル11の表示部の制御や、入力キー等に対するユーザ操作の受け付け等を行う制御基板(図示せず)が設けられている。
【0016】
(読取り装置16)
図4は、読取り装置16の設置状態を示すコントロールフレーム15の縦断面図である。
図5は、読取り装置16の読取り領域19を示す説明図である。
【0017】
図4に示すように、コントロールフレーム15は、加熱調理器1の前方へ突出状に設けられている。読取り装置16は、読取り装置基板(回路基板)17の下面に取り付けられ、コントロールフレーム15の内部の下部に設けられている。読取り装置基板17は、読取り装置16の駆動回路を備えている。すなわち、読取り装置16は、加熱庫13の外部、かつ加熱庫13の前面開口部13bの上方位置(天壁13a側の位置)を設置位置とし、設置位置よりも下方に読取り領域19を有するように設けられている。
【0018】
読取り装置16は、例えばバーコードリーダであり、加熱調理器1にて加熱する食品あるいは食品の容器に付与された情報コード(例えばバーコード)を読み取るようになっている。
【0019】
読取り装置16は、
図5に示すように、読取り装置16の下方領域を読取り領域19としており、コントロールフレーム15は、読取り装置16と対向する下壁部の部分に、透明の読取り窓18を有している。
【0020】
読取り装置16の読取り領域19は、ユーザが目視にて読取り領域19を理解できるように、例えば赤色の光にて示すようになっている。この赤色の光は、読取り領域照明部21(
図8参照)が照射する。読取り領域照明部21としては、例えば赤色LEDが用いられる。なお、読取り領域19を示す光は赤色に限定されず、ユーザが目視可能な他の光、例えばレーザ等であってもよい。また、赤色LEDの個数は1個でもよいし、複数個であってもよい。
【0021】
また、読取り装置16は、
図2および
図3に示すように、加熱庫13の前面開口部13bの幅方向(左右方向)の中央部に設けられている。
【0022】
(情報コード)
図6の(a)は、二次元コード(QRコード(登録商標))からなる情報コードの例を示す説明図、
図6の(b)は、一次元バーコードからなる情報コードの例を示す説明図である。
図7の(a)は、読取り装置16による情報コードの読み取りのための操作パネル11での案内表示例を示す説明図、
図7の(b)は、読取り装置16による情報コードの読み取りのための操作パネル11での他の案内表示例を示す説明図である。
【0023】
情報コードは、食品の種類を示す情報であり、食品あるいは食品の容器に、例えば印刷あるいはシールによって付与されている。情報コードは、食品の種類、例えば食品が弁当であること(あるいはさらには弁当の種類)や、おにぎりであること(あるいはさらにはおにぎりの種類)を示す情報である。
【0024】
情報コードは、例えば
図6の(a)に示すように、二次元コードであってもよいし、
図6の(b)に示すように、一次元バーコードであってもよい。なお、情報コードは、食品の種類を示すことができるものであればよく、特にバーコード等に限定されない。
【0025】
操作パネル11には、読取り装置16による情報コードの円滑な読み取りのために、ユーザに対する案内表示20が行われている。例えば
図7の(a)の例では、「ドアを開けて赤色の光に情報コードをかざしてください」という案内表示20が行われている。また、
図7の(b)の例では、「ドアを開けて情報コードに赤色の光を当ててください」という案内表示20が行われている。なお、これら案内表示20は、一例であり、特にこれらに限定されない。
【0026】
なお、案内表示20を行う位置は、
図7の(a)(b)に示すように、操作パネル11のほぼ中央の位置に限定されず、操作パネル11上であればどの位置でもよく、また、読取り装置16による情報コードの読取り操作をユーザに対して案内できる位置であれば操作パネル11以外の位置(加熱調理器1の正面)であってもよい。ユーザにとって使い勝手が向上する好ましい位置は、加熱調理器1を操作するうえで必ず目につく操作パネル11上の位置である。さらに、読取り窓18の近傍(上方)であれば、より好ましい。
【0027】
(案内表示)
案内表示20は、ユーザに操作の仕方を案内する内容を操作パネル11に印刷することで実現している。例えば、案内表示20を印刷したシールを、操作パネル11に貼り付ける。しかしながら、案内表示20の実現方法としては、操作パネル11への印刷に限定されるものではなく、操作パネル11に液晶パネルを設けて、当該液晶パネルに案内表示20を行うようにしてもよい。この場合、前扉12の開閉に連動して、液晶パネルのバックライトの点灯制御を行うようにする。例えば前扉開閉検知部25(
図8)によって前扉12の開放が検知されると、当該前扉12を開ける動作に連動して、案内表示20が表示された液晶パネルのバックライトを点灯させる。これにより、ユーザに対して案内表示20を視認しやすくさせることができる。あるいは、案内表示20を行うと共に、当該案内表示20の内容を音声にて通知するようにしてもよい。この場合、案内表示20に表示されている文字が見難いユーザであっても、音声で確認できるので、操作を円滑に行うことが可能となる。
【0028】
(制御装置)
図8は、加熱調理器1が備える制御装置の構成を示すブロック図である。制御装置は、加熱調理器1の動作を制御する制御部22を備えている。制御部22は、例えばマイクロコンピュータからなり、CPU、ROMおよびRAMを有する。
【0029】
図8に示すように、制御部22には、操作パネル11、加熱動作部23、読取り装置16、読取り領域照明部21、読取り結果報知部24および前扉開閉検知部25が接続されている。前扉開閉検知部25は、例えば前扉12が閉じられたときにオンするスイッチからなり、前扉12の開状態および閉状態を検知する。
【0030】
加熱動作部23は、加熱庫13に配置された食品を加熱する動作部であり、例えばマイクロ波出力装置やヒータである。読取り結果報知部24は、ブザーや音声発生部であり、制御部22に制御されて、読取り装置16による情報コードの読み取りの成功または失敗をユーザに報知する。
【0031】
制御部22は、例えばインターネット回線を使用してサーバ31と通信可能である。サーバ31には、各種食品の種類に応じた加熱情報が登録されている。制御部22は、読取り装置16が情報コードを読み取ることによって取得した食品の種類に応じた加熱情報をサーバ31から取得し、取得した加熱情報に従って食品が加熱されるように、加熱動作部23を制御する。なお、食品の種類に応じた加熱情報は、加熱調理器1自体が有していてもよい。この場合、加熱調理器1はサーバ31との通信が不要である。
【0032】
また、制御部22は、読取り結果報知部24の動作を制御し、読取り装置16による情報コードの読み取りの成功または失敗をユーザに報知させる。
【0033】
(加熱調理器1の動作)
上記の構成において、加熱調理器1の動作について以下に説明する。ここでは、容器の上面に情報コードが付与された弁当を加熱調理器1にて加熱する場合について説明する。
【0034】
まず、ユーザは、操作パネル11の案内表示20(例えば、「ドアを開けて赤色の光に情報コードをかざしてください」)を確認する。そして、ユーザは、この案内表示20に従って、前扉12を開ける。この前扉12の開放状態を前扉開閉検知部25が検知すると、制御部22は、読取り装置16および読取り領域照明部21を動作させる。
【0035】
次に、ユーザは、操作パネル11の案内表示20に従って、読取り装置16の読取り領域19に情報コードが入るように(情報コードに赤色の光が当たるように)、弁当を移動させる。
【0036】
この動作により、読取り装置16は弁当に付与された情報コードを読み取る。読取り装置16による情報コードの読み取りが成功すると、制御部22は、その読取り結果を読取り結果報知部24にてユーザに報知させる。この場合の読取り結果報知部24の動作は、例えば「ピー」という連続音を発する動作、「情報コードの読み取りが成功しました」という音声を発する動作、あるいはそれら両方である。
【0037】
ユーザは、読取り結果報知部24にて情報コードの読み取りの成功が知らされると、弁当を加熱庫13の内部へ配置した後、前扉12を閉じ、操作パネル11のスタートボタンを押す。
【0038】
制御部22は、情報コードの読み取りが成功すると、サーバ31と通信し、情報コードが示す食品の種類の応じた加熱情報をサーバ31から取得する。その後、制御部22は、ユーザが前扉12を閉じ、操作パネル11のスタートボタンを押と、取得した加熱情報に従って加熱庫13内の弁当を加熱する。
【0039】
一方、読取り装置16による情報コードの読み取りが失敗すると、制御部22は、その読取り結果を読取り結果報知部24にてユーザに報知させる。この場合の読取り結果報知部24の動作は、例えば「ピッ、ピッ、ピッ」という断続音を発する動作、「情報コードの読み取りが失敗しました」という音声を発する動作、あるいはそれら両方である。
【0040】
ユーザは、読取り結果報知部24にて情報コードの読み取りの失敗が知らされると、読取り装置16の読取り領域19に情報コードが入るように(情報コードに赤色の光が当たるように)、再度、弁当を移動させる。これにより、情報コードの読み取りが成功した場合の動作は、前述のとおりである。
【0041】
(加熱調理器1の利点)
加熱調理器1では、読取り装置16は、加熱庫13の外部、かつ加熱庫13の前面開口部13bの上方位置を設置位置とし、設置位置よりも下方に読取り領域19を有するように設けられている。
【0042】
したがって、ユーザが加熱される食品を加熱庫13に載置する一連の動作の途中にて、読取り装置16により情報コードを読み取ることができる。これにより、ユーザは、情報コードを読取り装置16にて読み取らせるための独立した操作が不要となり、情報コードの読み取り作業が容易となる。
【0043】
また、読取り装置16は、加熱庫13の前面開口部13bの上方位置に設置されているので、検出信号通過面(読取り窓18の下面)の汚れが生じ難く、かつ加熱庫13内の温度の影響を受け難くなっている。
【0044】
また、加熱庫13の前面開口部13bの上方位置には、操作パネル11の制御基板を収容するコントロールフレーム15が突出状に設けられている。読取り装置16は、コントロールフレーム15の下面から下方を臨むように設けられている。このように、読取り装置16は、操作パネル11の制御基板を収容するコントロールフレーム15を利用して設置されている。
【0045】
さらに、操作パネル11には、ユーザに対する案内表示20が行われている。これにより、読取り装置16による情報コードの円滑な読み取りを行うことが可能となる。つまり、加熱調理器1の操作に不慣れなユーザであっても、案内表示20をみるだけで、当該加熱調理器1の操作の仕方を簡単に把握することができる。
【0046】
〔変形例〕
図9は、前記実施形態1の変形例である加熱調理器2の前扉12を開放した状態を右斜め下方から見た場合の斜視図である。
【0047】
(読取り装置16)
加熱調理器2では、読取り装置16は、
図9に示すように、加熱庫13の前面開口部13bの幅方向(左右方向)の中央部よりも、横開きの前扉12の回転中心とは反対側寄りの位置に設けられている。加熱調理器2のその他の構成、ならびに加熱調理器2の動作は、前述した加熱調理器1と同様である。
【0048】
(加熱調理器2の利点)
加熱調理器2では、読取り装置16は、加熱庫13の前面開口部13bの幅方向の中央部よりも、横開きの前扉12の回転中心とは反対側寄りの位置に設けられている。したがって、前扉12を例えば半分程度開けて、おにぎり等の小型の食品を前扉12の回転中心とは反対側寄りの位置から加熱庫13の内部に入れるような場合であっても、読取り装置16による情報コードの読み取りの失敗が生じ難くなる。加熱調理器2のその他の利点は、前述した加熱調理器1と同様である。
【0049】
なお、読取り装置16は、1個に限定されず、2個設けてもよい。この場合、第1の読取り装置16は上記の位置に設け、第2の読取り装置16は、加熱庫13の前面開口部13bにおける前扉12の回転中心側の端部に対応する位置と第1の読取り装置16との間の位置に設けてもよい。
【0050】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0051】
(加熱調理器3の概要)
図10は、本実施形態に係る加熱調理器3の前扉12を開放した状態を正面の斜め下方から見た場合の斜視図である。
【0052】
加熱調理器3は、前記実施形態1の変形例の加熱調理器2と同様に、読取り装置16(読取り窓18)は、
図10に示すように、加熱庫13の前面開口部13bの幅方向(左右方向)の中央部よりも、横開きの前扉12の回転中心とは反対側寄りの位置に設けられている。加熱調理器2のその他の構成、ならびに加熱調理器2の動作は、前述した加熱調理器1と同様である。
【0053】
加熱調理器3に読取り装置16を設けた場合、前記実施形態1で説明した通り、当該読取り装置16の読取り領域19は、ユーザが目視にて読取り領域19を理解できるように、例えば赤色の光にて示すようになっている。この赤色の光は、読取り装置16の近傍に設けられた読取り領域照明部21から加熱庫13の前面開口部13b近傍に照射されることで、ユーザが目視にて読取り領域19を理解できるようになっている。
【0054】
(赤色光41)
図11は、加熱調理器3を載置台60に載せた場合の概略構成図を示す。
【0055】
図11に示す例では、加熱調理器3を載置台60に載置する際に、当該加熱調理器3の加熱庫13の前面が載置台60と面一となっている。このような場合、読取り領域照明部21は、載置台60の側端面から突出した位置に配置される。読取り領域照明部21から出射される赤色の光(以下、赤色光と称する)41はある程度の広がりを持って床面50に到達する。しかしながら、床面50に到達した赤色光41は、加熱調理器3から床面50までの距離が長いため、ユーザが目視し難くなる。
【0056】
そこで、本実施形態に係る加熱調理器3では、
図10および
図11に示すように、読取り領域照明部21からの赤色光41の少なくとも一部が加熱庫13の前面開口部13bに照射するようになっている。つまり、読取り装置16による読取り領域19をユーザに認識させるための赤色光41を加熱庫13内の一部(底面)に反射させている。ここで、赤色光41を加熱庫13内で反射させる割合は、50%が好ましい。なお、赤色光41が加熱庫13内に入り込む割合が多くなる(50%より多い)と、ユーザは認識し易くなるものの、読取り装置16の読取り領域19とのずれが大きくなるため、適切な読取り位置にユーザを導くことができないおそれがある。
【0057】
なお、本実施形態では、読取り装置16とは別に読取り領域照明部21を設けているが、読取り領域照明部21を設けず、読取り装置16から照射する光を赤色光のような可視光としてもよい。この場合、読取り装置16の読取り領域19とのずれが生じることがない。
【0058】
(加熱調理器3の利点)
加熱調理器3では、読取り装置16の読取り領域19をユーザに認識させるための赤色光41を加熱庫13内の一部に反射させていることで、加熱調理器3の載置場所を選ばずに、読取り領域19を確実にユーザに認識させることが可能となる。
【0059】
例えば、
図11に示すように、読取り装置16の読取り領域19の一部が床面50にかかるような場合であっても、読取り領域照明部21から照射される赤色の光が加熱調理器3の加熱庫13の内で反射されるように照射されるため、ユーザは容易に読取り領域19を認識することが可能となる。
【0060】
〔実施形態3〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0061】
(加熱調理器4の概要)
図12は、本実施形態に係る加熱調理器4の前扉12を開放した状態の正面図である。
【0062】
加熱調理器4は、前記実施形態1の加熱調理器1とほぼ同じ構成であるが、
図12に示すように、操作パネル11に案内表示20を行うのに加えて、加熱庫13の底面に備えられたセラミック製のプレート13cに案内表示30を行う点で異なる。この案内表示30は、前記実施形態1の加熱調理器1の操作パネル11に表示された案内表示20と同じように、読取り装置16による情報コードの円滑な読み取りのための表示である。
【0063】
(案内表示30)
案内表示30は、プレート13cに直接印刷することで実現している。案内表示30は、案内表示20と同様に、情報コードをかざす場所を指示する内容となっている。案内表示30の内容として、例えば「矢印の先にある赤い光に情報コードをかざしてください。」がある。
【0064】
また、案内表示30は、プレート13cに直接印刷する。プレート13cの印刷の塗料として、紫外線を照射することで発光する塗料を用いることで、暗い加熱庫13内であっても案内表示30が視認しやすくなる。
【0065】
また、案内表示30は、情報コードが記載された被加熱物の動線上にあればよい。例えば
図12に示すように、読取り窓18(読取り装置16)の読取り位置と加熱庫13内の加熱対象物を載置する位置とを結ぶ直線上に案内表示30を行うのが好ましい。
【0066】
(加熱調理器4の利点)
加熱調理器4では、前扉12を開けると加熱庫13のプレート13cの案内表示30をユーザが見ることになるため、操作パネル11の案内表示20を見忘れた場合であっても、読取り装置16による情報コードの円滑な読み取りを行うことが可能となる。
【0067】
しかも、加熱対象物を載置する加熱庫13のプレート13cに案内表示30が行われているため、ユーザは当該案内表示30に記載された操作に応じて、情報コードを読み取った後の加熱対象物をそのまま加熱庫13に載置できる。つまり、ユーザは、前扉12を開放するという簡単な動作により、加熱庫13のプレート13cの案内表示30を確認できるため、非常に使い勝手がよい加熱調理器4となる。
【0068】
〔実施形態4〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0069】
(加熱調理器5の概要)
図13は、本実施形態に係る加熱調理器5を正面から見た模式図である。
図14は、
図13に示す加熱調理器5のAA線矢視断面図である。
【0070】
加熱調理器5は、前記実施形態1~3の加熱調理器1~4とほぼ同じ構成であるが、
図13および
図14に示すように、前扉12の上面12aに読取り窓18を清掃する清掃部材51が設けられている点で異なる。
【0071】
清掃部材51は、例えばフェルトからなり、前扉12が閉じた状態で操作パネル11の下面に形成された読取り窓18に接触するように設けられている。これにより、前扉12を開放させる方向に動かすと、この動きに連動して清掃部材51が前扉12の開放方向に移動する。この移動の際、清掃部材51は、読取り窓18に接触することで、読取り窓18に付着した湯気やゴミなどを拭き取る。
【0072】
清掃部材51は、読取り窓18を傷つけない素材であることが好ましい。読取り窓18が樹脂であれば、上述したフェルトや、各種繊維等の樹脂を傷つけない素材であることが好ましい。
【0073】
また、清掃部材51は、前扉12に対して着脱自在に設けられている。例えば、清掃部材51を、マジックテープ(登録商標)によって着脱自在にしてもよいし、マグネットによって着脱自在にしてもよい。あるいは、前扉12の清掃部材51を設置する部分に、額縁を設けて、この額縁に入り込むフェルト等を当該額縁から着脱自在にすることで、清掃部材51を前扉12に対して着脱自在にしてもよい。
【0074】
さらに、清掃部材51の幅、すなわち前扉12の上面12aの長手方向の長さは、読取り窓18の幅と等しいか、大きいことが好ましい。また、清掃部材51の奥行きについても、読取り窓18の奥行きと同じか大きいことが好ましい。なお、清掃部材51の奥行きについては、読取り窓18の奥行きよりも短くてもよい場合がある。このような場合とは、清掃部材51を奥行き方向の端部側(加熱庫13の開口部側)に近い位置にずらして配置する場合である。この場合、前扉12が開放する際に、清掃部材51が奥行き方向の端部側から手前側に移動することになるので、読取り窓18の全面を拭き取ることができる。
【0075】
(加熱調理器5の利点)
加熱調理器5では、前扉12を開ける動作を行うことにより、読取り窓18を清掃することができる。従って、ユーザは、意図せずに読取り窓18の清掃を行っていることになる。このように、読取り窓18を前扉12の開閉動作に連動して清掃することで、読取り窓18は常にキレイであり、読取り装置16による情報コードの読取りを常に精度よく行うことができる。
【0076】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る加熱調理器は、加熱庫13と、前記加熱庫13を開閉する前扉12と、少なくとも食品の種類を示す情報コードを読み取る読取り装置16とを備え、前記加熱庫13の内部に配置された食品を加熱する加熱調理器において、前記加熱調理器の正面に、前記読取り装置16を用いた情報コードの読取り操作を案内するための案内表示20を行うことを特徴としている。
【0077】
上記の構成によれば、前扉の近傍に、前記読取り装置を用いた情報コードの読取り操作を案内するための案内表示を行うことで、加熱調理器の操作に不慣れなユーザであっても、案内表示をみるだけで、当該加熱調理器の操作の仕方を簡単に把握することができる。
【0078】
本発明の態様2に係る加熱調理器は、上記態様1において、前記読取り装置16は、前記加熱庫13の外部、かつ前記加熱庫13の前面開口部13bの上方位置を設置位置とし、前記設置位置よりも下方に読取り領域19を有してもよい。
【0079】
本発明の態様3に係る加熱調理器は、上記態様1または2において、前記前扉12の上方に、操作パネル11が設けられ、前記操作パネル11に、前記案内表示20を行ってもよい。
【0080】
上記構成によれば、案内表示が行われるのが、加熱調理器1を操作するうえで必ず目につく操作パネルであるので、ユーザにとって使い勝手が向上する。
【0081】
本発明の態様4に係る加熱調理器は、上記態様3において、前記操作パネル11に、前記案内表示20を行う液晶パネルを設け、前記前扉12の開放動作に連動して前記液晶パネルのバックライトを点灯させてもよい。
【0082】
上記構成によれば、前扉の開放動作に連動して液晶パネルのバックライトが点灯するので、案内表示を目立たせることができる。これにより、ユーザは、前扉を開ける動作を行うことで、案内表示を確実に目にすることができる。
【0083】
本発明の態様5に係る加熱調理器は、上記態様1~4の何れか1態様において、前記読取り装置16の読取り領域19を特定するための可視光(赤色光41)を照射する光源(読取り領域照明部21)をさらに備え、前記光源(読取り領域照明部21)は、照射した可視光の一部が前記加熱庫13の一部で反射するように、前記可視光を照射させてもよい。
【0084】
上記構成によれば、前記読取り領域を特定するための可視光が、加熱庫の一部に反射するようになっているので、ユーザは読取り領域を確実に認識することが可能となる。例えば加熱調理器を載置台の際に載置した場合、読取り装置が載置台から突出した状態となり、当該読取り装置読取り領域が載置台の下の床面を含む領域となるため、可視光も床面に照射される。このような場合、可視光が床面で反射することになるため、可視光自体が認識し難くなるので、ユーザは情報コードを適切に読み取らせることが難しくなる。しかしながら、上述のように、読取り領域を特定するための可視光が、加熱庫の一部に反射するようになっていれば、ユーザは容易に読取り領域を認識できるので、情報コードを適切に、且つ迅速に読み取らせることができる。
【0085】
本発明の態様6に係る加熱調理器は、上記態様1~5の何れか1態様において、前記加熱庫13の底面(レプレート13c)に、前記読取り装置16を用いた情報コードの読取り操作を案内するための別の案内表示30を行ってもよい。
【0086】
上記構成によれば、加熱庫を開放するという簡単な操作により、案内表示を確認できるので、ユーザにとって非常に使い勝手がよい。
【0087】
本発明の態様7に係る加熱調理器は、上記態様1~6の何れか1態様において、前記前扉12を閉じた状態で、当該前扉12の上面12aの、前記読取り装置16の読取り光の出射面(読取り窓18)に対向する位置に、当該出射面(読取り窓18)に接触する清掃部材51が設けられていてもよい。
【0088】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【符号の説明】
【0089】
1~5 加熱調理器
11 操作パネル
12 前扉
12a 上面
13 加熱庫
13a天壁
13b 前面開口部
13c プレート
14 取手
15 コントロールフレーム
16 読取り装置
17 読取り装置基板
18 読取り窓
19 読取り領域
20 案内表示
21 読取り領域照明部
22 制御部
23 加熱動作部
25 前扉開閉検知部
30 案内表示
41 赤色光
50 床面
51 清掃部材
60 載置台