(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】高送りミーリングおよび穿孔用のテーパ状ウエストを有する両面割出し可能なインサート、高送りまたは穿孔工具
(51)【国際特許分類】
B23C 5/20 20060101AFI20221220BHJP
B23C 5/10 20060101ALI20221220BHJP
B23B 51/00 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
B23C5/20
B23C5/10 D
B23B51/00 T
(21)【出願番号】P 2020523417
(86)(22)【出願日】2018-10-28
(86)【国際出願番号】 IL2018051152
(87)【国際公開番号】W WO2019106649
(87)【国際公開日】2019-06-06
【審査請求日】2021-09-13
(32)【優先日】2017-11-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514105826
【氏名又は名称】イスカル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】メン ユリ
【審査官】山本 忠博
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-531318(JP,A)
【文献】特開2004-042157(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23C 5/10,5/20;
B23B 27/14-27/16,51/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高送りまたは穿孔作業のために構成された両面割出し可能なインサート(14、114、214)であって、前記インサート(14、114、214)は、三次元ユークリッド空間の長手方向の第一の軸(X)、横方向の第二の軸(Y)、および上下方向の第三の軸(Z)のそれぞれの周りに180°の回転対称性を有し、
前記インサート(14、114、214)は、
対向する第一および第二の主面(18、20)と、それらの間に延在する周面(22)であって、前記第一および第二の主面(18、20)のそれぞれが主当接面(33)および少なくとも2つのすくい面(58)を備える、周面(22)と、
前記第三の軸(Z)に沿って延在し、前記第一および第二の主面(18、20)に開口する貫通クランプ穴(28)と、
を備え、
前記周面(22)は、
それぞれが一対の外方当接面(44)を備える2つの対向する前面(36)と、
それぞれが前記2つの前面(36)の間に延在する2つの対向する側面(34)であって、各側面(34)が少なくとも部分的に平坦な一対の内方当接面(40)を備える、側面(34)と、
を備え、
各対の外方当接面(44)は、前記第三の軸(Z)から離れて外方に収束し、各対の内方当接面(40)は、前記第三の軸(Z)に向かって内方に収束する、両面割出し可能
であり、
前記インサート(14、114、214)は、4つの切削部分(30)をさらに備え、そのそれぞれが、
第一のコーナー切れ刃(48)と、
第二のコーナー切れ刃(54)と、
前記第一と第二のコーナー切れ刃(48、54)との間に延在する主切れ刃(50)と、を備える、インサート(14、114、214)。
【請求項2】
前記収束は、少なくとも前記第一および第二の軸(X、Y)によって画定される中央の第三の平面(XY)で取られた断面において生じる、請求項1に記載のインサート(14、114、214)。
【請求項3】
各側面(34)において、前記内方当接面(40)が最大表面である、請求項1または2に記載のインサート(14、114、214)。
【請求項4】
前記第一および第二の軸(X、Y)によって画定される中央の第三の平面(XY)に沿った断面において、各側面(34)上の前記内方当接面(40)は、前記各側面(34)上の任意の他の線よりも長い直線を形成する、請求項1~3のいずれか一項に記載のインサート(14、114、214)。
【請求項5】
各前面(36)において、前記外方当接面(44)が最大表面である、請求項1~4のいずれか一項に記載のインサート(14、114、214)。
【請求項6】
各前面(36)は、前記外方当接面(44)の間に延在し、前記第一および第三の軸(X、Z)によって画定される長手方向の第二の平面(XZ)と交差し、前記外方当接面(44)のそれぞれよりも小さい面積を有する前部中間面(46)をさらに備える、請求項1~5のいずれか一項に記載のインサート(14、114、214)。
【請求項7】
前記前部中間面(46)は、外向きに凸状に湾曲している、請求項6に記載のインサート(14、114、214)。
【請求項8】
各側面(34)は、前記内方当接面(40)の間に延在し、前記第二および第三の軸(Y、Z)によって画定される横方向の第一の平面(YZ)と交差し、前記内方当接面(44)のそれぞれよりも小さい面積を有する、側部中間面(42)をさらに備える、請求項1~7のいずれか一項に記載のインサート(14、114、214)。
【請求項9】
前記側部中間面(42)は、外向きに凹状に湾曲している、請求項8に記載のインサート(14、114、214)。
【請求項10】
前記側部中間面(42)は、切削工具(10)のポケット(16、116、216)に当接するように構成されていない、請求項8に記載のインサート(14、114、214)。
【請求項11】
切削工具(10)のポケット(16、116、216)に当接するように構成された前記周面(22)上にある表面は、前記内方当接面(40)および前記外方当接面(44)のみである、請求項1~10のいずれか一項に記載のインサート(14、114、214)。
【請求項12】
前記インサート(14、114、214)は、ネガティブインサートであり、前記周面(22)は、前記上下方向の第三の軸(Z)に平行である、請求項1~11のいずれか一項に記載のインサート(14、114、214)。
【請求項13】
前記インサート(14、114、214)は、ネガティブインサートであり、前記内方および外方当接面(40、44)は、前記上下方向の第三の軸(Z)に平行である、請求項1~12のいずれか一項に記載のインサート(14、114、214)。
【請求項14】
前記第一および第二の軸(X、Y)によって規定される中央の第三の平面(XY)に沿った断面において、前記内方当接面(40)が、前記外方当接面(44)の収束方向に垂直な方向に収束する、請求項1~13のいずれか一項に記載のインサート(14、114、214)。
【請求項15】
前面(36)上の各対の外方当接面(44)は、前記第二の軸(Y)に沿って外方に収束する、請求項1~14のいずれか一項に記載のインサート(14、114、214)。
【請求項16】
側面(34)上の各対の内方当接面(40)は、前記第一の軸(X)に沿って内方に収束する、請求項1~15のいずれか一項に記載のインサート(14、114、214)。
【請求項17】
各切削部分(30)が、前記第二のコーナー切れ刃(54)から延在する傾斜切れ刃(52)をさらに備える、請求項
1~16のいずれか一項に記載のインサート(14、114、214)。
【請求項18】
前記第一および第二の主面(18、20)のいずれかの前記上下方向の第三の軸(Z)に沿った図において、前記主切れ刃(50)に接する直線が、前記横方向の第二の軸(Y)と、9°~23°の範囲の鋭角のリード角(β)を形成する、請求項
1~17のいずれか1項に記載のインサート(14、114、214)。
【請求項19】
少なくとも前記第一および第二の軸(X、Y)によって画定される中央の第三の平面(XY)に沿った断面において、各外方当接面(44)は、真っ直ぐであり、前記断面の対角線上に対向する象限に位置する内方当接面(40)と内部当接角(α)を形成し、
前記当接角(α)は80°~95°の範囲である、請求項1~1
8のいずれか一項に記載のインサート(14、114、214)。
【請求項20】
前記横方向の第二の軸(Y)に平行な方向において、前記インサートは、その最も内側の部分で最小幅W1を有し、その最も外側の部分で最大幅W2を有し、
幅比R1=W1/W2が1.15~1.4の範囲である、請求項1~
19のいずれか一項に記載のインサート(14、114、214)。
【請求項21】
前記第一および第二の軸(X、Y)によって画定される中央の第三の平面(XY)に沿った断面において、前記インサートは、前記長手方向の第一の軸(X)に平行な方向に測定される最大インサート長さLを有し、
前記中央の第三の平面(XY)に沿った前記断面において、各内方当接面(40)は、内方当接長さIを有し、
長さ比R2=I/Lは、0.13~0.4の範囲である、請求項1~
20のいずれか一項に記載のインサート(14、114、214)。
【請求項22】
前記長手方向の第三の軸(Z)に沿った図で、前記インサートは、前記長手方向の第一の軸(X)に平行な方向において、前記インサートの端部間に画定される最大インサート長さLを有し、
前記第一および第二の軸(X、Y)によって画定される中央の第三の平面(XY)に沿った断面において、各内方当接面(40)は、内方当接長さIを有し、
長さ比R2=I/Lは、0.13~0.4の範囲である、請求項1~
21のいずれか一項に記載のインサート(14、114、214)。
【請求項23】
長手方向回転軸(A)を有し、
工具本体(12、112、212)と、
前記工具本体(12、112、212)に固定された請求項1~
22のいずれか一項に記載の切削インサート(14、114、214)と、を備える、高送りまたは穿孔工具(10、210)。
【請求項24】
前記工具本体(12、112、212)が、
ベース当接面(72)と、
前記ベース当接面(72)から横断方向に離れて延在する第一および第二の当接壁(74、76)と、
前記ベース当接面(72)に開口するポケットクランプ穴(78)と、
を備える半径方向ポケット(16、116、216)を有し、
前記ベース当接面(72)に平行に取られた前記半径方向ポケット(16、116、216)の断面において、前記第一および第二の当接壁(74、76)にそれぞれ接する2つの直線が、それらの間に当接角(α)を形成し、前記当接角(α)が80°~95°の範囲である、請求項
23に記載の高送りまたは穿孔工具(10、210)。
【請求項25】
前記インサートの主当接面(33)の一方は、前記ポケットのベース当接面(72)に当接し、
前記側面(34)の一方上の第一の内方当接面(40)は、前記ポケットの第一の当接壁(74)に当接し、
前記前面(36)の一方上の第一の外方当接面(44)は、前記ポケットの第二の当接壁(76)に当接し、
前記側面(34)の前記一方上の第二の内方当接面(40)と、前記前面(36)の前記一方上の第二の外方当接面(44)とが、前記ポケットの第一の当接壁(74)と前記ポケットの第二の当接壁(76)との間で、前記ポケット内に配置され、
前記インサートは、前記インサートの貫通クランプ穴(28)を通ってポケットクランプ穴(78)の中に入るインサートファスナ(80)によって、前記ポケットのベース当接面(72)に固定される、請求項
24に記載の高送りまたは穿孔工具(10、210)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願の主題は、ミーリング工具または穿孔工具に関する。具体的には、固定部材を介してインサートを固定するために、貫通クランプ穴を含み、半径方向で両面割出し可能な高送りまたは穿孔インサートに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、4つの切削部分を含む両面割出し可能な高速インサートまたは高送りインサートを開示している。インサートは、対向する主面と、その間に延在する周面とを有する。周面は、クランプ穴の両側に位置する正確に2つの大きな平行な側部当接面を含む。また、インサートは、2対の前部当接面を有し、各対は、クランプ穴から離れて外方に収束する。各切削部分は、側部当接面によって規定されるインサートの最大幅に近く延在する。このいわゆるスリムに設計されたインサートを、本明細書では「無翼高送りインサート」と呼ぶ。
【0003】
特許文献2は、同様の両面割出し可能な高送りインサートを開示しているが、本発明の文脈において、上述の無翼インサートよりも改良された設計を有する。具体的には、特許文献2のインサートは、切削部分において、インサートの側面から外側に突出する延長部/翼部、または拡大切れ刃部分を有し、同じリード角を維持しながら切れ刃の長さを長くしている。これにより、少なくとも切削深さが深くなり、傾斜角が大きくなる。このインサートは、本明細書では「有翼高送りインサート」と呼ばれる。それにもかかわらず、この設計は、2つの平行な直線状側部当接面を維持し、したがって、切削部分の間で、インサートは、狭い部分を有し、この狭い部分が、インサートの長手方向全長の主要部分にわたって延在またはスパンしている。さらに、前記利点を、有翼延長部で望まれない破損とバランスさせるために、それらの長さは最適化されなければならず、比較的最小限でなければならない。
【0004】
図1A~
図1Cに注目すると、これらの図面は、同じスケールで描かれた、当分野のインサートの一種の「形状の進化」を示す。
図1Aは、従来技術の「無翼」インサート形状を示し、これは、特許文献1によって開示されたインサート形状に類似している。
図1Bは、従来技術の「有翼」インサート形状を示し、これは、特許文献2によって開示されたインサート形状に類似している。
図1Cは、本出願の主題によって、本明細書で「テーパ状ウエスト」を有するインサート形状と呼ばれるものを示す。
【0005】
本発明のいわゆる「テーパ状ウエスト」を有して成形されたインサート形状は、前述の欠点を克服し、工具/インサート余命、同じリード角での切削深さ、プランジ深さ、工具傾斜角、およびポケット内での当接安定性に関して、従来技術の有翼および無翼インサート形状よりも優れ、より堅牢なインサートを提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許公開第8696263号
【文献】米国特許公開第8950984号
【発明の概要】
【0007】
本出願の主題の第一の態様によれば、高送りまたは穿孔作業のために構成された両面割出し可能なインサートが提供され、このインサートは、三次元ユークリッド空間の第一、第二、および第三の軸のそれぞれの周りに180°の回転対称性を有し、このインサートは、
対向する第一および第二の主面と、それらの間に延在する周面であって、第一および第二の主面のそれぞれが主当接面および少なくとも2つのすくい面を備える、周面と、
第三の軸に沿って延在し、第一および第二の主面に開口する貫通クランプ穴と、
を備え、周面は、
それぞれが一対の外方当接面を備える2つの対向する前面と、
それぞれが2つの前面の間に延在する2つの対向する側面であって、各側面が少なくとも部分的に平坦な一対の内方当接面を備える、側面と、
を備え、
各対の外方当接面は、第三の軸から離れて外方に収束し、各対の内方当接面は、第三の軸に向かって内方に収束する。
【0008】
本出願の主題の第二の態様によれば、切削インサートを固定するように構成された半径方向ポケットを備える高送りまたは穿孔工具本体が提供され、半径方向ポケットは、
ベース当接面と、
ベース当接面から横断方向に離れて延在する第一および第二の当接壁と、
ベース当接面に開口するポケットクランプ穴と、
インサートファスナと、
を備え、
ベース当接面に平行に取られたポケットの断面において、第一および第二の当接壁にそれぞれ接する2つの直線が、それらの間に当接角を形成し、当接角が80°~95°の範囲である。
【0009】
本出願の主題の第三の態様によれば、ミーリングおよび穿孔作業の両方のために設計された両面割出し可能なインサートが提供され、このインサートは、
長手方向の第一の軸と、長手方向の第一の軸に垂直な横方向の第二の軸と、長手方向の第一の軸および横方向の第二の軸の両方に垂直な上下方向の第三の軸と、インサートが3つの軸のそれぞれの周りに180°の回転対称性を有する、第一、第二および第三の軸と、
横方向の第二の軸および上下方向の第三の軸によって画定される横方向の第一の平面と、長手方向の第一の軸および上下方向の第三の軸によって画定される長手方向の第二の平面と、長手方向の第一の軸および横方向の第二の軸によって画定される中央の第三の平面と、
中央の第三の平面の両側に位置する第一および第二の主面であって、第一および第二の主面のそれぞれが主当接面および少なくとも2つのすくい面を備える、第一および第二の主面と、
第一の主面と第二の主面との間に延在する周面と、
上下方向の第三の軸に沿って延在し、第一および第二の主面に開口する貫通クランプ穴と、
を備え、
周面は、
横方向の第一の平面の両側に形成された2つの前面であって、各前面が、インサートの外向き方向において、長手方向の第二の平面に向かって収束する一対の外方当接面を備える、2つの前面と、
長手方向の第二の平面の両側に形成された2つの側面であって、各側面が、インサートの内向き方向において、横方向の第一の平面に向かって収束する一対の少なくとも部分的に平坦な内方当接面を備え、それによって、上下方向の第三の軸に沿ったインサートの図において、テーパ状ウエストをインサートに提供する、2つの側面と、
を備える。
【0010】
以下の特徴のいずれも、単独で、または組み合わせて、本出願の主題の上記態様のいずれかに適用可能であり得る。
【0011】
前記収束は、少なくとも、第一および第二の軸によって画定される中央の第三の平面に沿った断面において生じ得る。
【0012】
各側面において、内方当接面は、最大の面とすることができる。
【0013】
第三の平面に沿って取られた断面で、各側面において、内方当接面は、前記各側面上の他の線よりも長い直線を形成する。
【0014】
各前面において、外方当接面は、最大表面とすることができる。
【0015】
各前面は、外方当接面の間に延在し、第二の平面によって交差され、外方当接面のそれぞれよりも小さい面積を有することのできる前部中間面をさらに含む。
【0016】
前部中間面は、外向きに凸状に湾曲させることができる。
【0017】
各側面は、内方当接面の間に延在し、外方当接面のそれぞれよりも小さい面積を有することのできる側部中間面をさらに含む。
【0018】
側部中間面は、外向きに凹状に湾曲させることができる。
【0019】
周面において、内方当接面および外方当接面のみが、切削工具のポケット内の対応する面と当接して、係合するように構成される。
【0020】
側部中間面は、切削工具のポケットに当接するようには構成されていない。
【0021】
切削工具のポケットに当接するように構成された周面上の表面は、内方当接面および外方当接面のみである。
【0022】
インサートは、ネガティブインサートとすることができ、周面は、第三の軸に平行にすることができる。
【0023】
インサートは、ネガティブインサートとすることができ、内方当接面および外方当接面は、第三の軸に平行にすることができる。
【0024】
第三の平面に沿って取られた断面では、内方当接面は、外方当接面の収束方向に垂直な方向に収束する。
【0025】
各対の外方当接面は、第二の軸に沿って外方に収束する。
【0026】
各対の内方当接面は、第一の軸に沿って内方に収束する。
【0027】
インサートは、4つの切削部分をさらに含むことができ、そのそれぞれは、
第一のコーナー切れ刃と、
第二のコーナー切れ刃と、
第一および第二のコーナー切れ刃の間に延在する主切れ刃と、
を含むことができる。
【0028】
各切削部分は、第二のコーナー切れ刃から延在する傾斜切れ刃をさらに備える。
【0029】
第一および第二の主面のいずれかの第三の軸に沿った図において、主切れ刃に接する直線は、第二の軸とともに、9°~23°の範囲の鋭角のリード角を形成する。
【0030】
少なくとも中央の第三の平面に沿った断面において、直線は、外方当接面に接し、第三の平面の対角線上に対向する象限に位置する内方当接面と内部当接角を形成し、当接角は、80°~95°の範囲である。
【0031】
第二の軸に平行な方向で、最小幅W1と最大幅W2が、それぞれインサートの最も内側部分の間と、最も外側部分との間に定義され、幅比R1=W1/W2は、1.15~1.4の範囲である。
【0032】
最大インサート長さLは、第一の軸に平行な方向でインサートの端部間で測定され、内方当接面の内方当接長さIは、第三の平面に沿って画定され、長さ比R2は、内方当接長さIと最大インサート長さLとの間で画定され、長さ比R2=I/Lは、0.13~0.4の範囲である。
【0033】
上下方向の第三の軸に沿った図では、最大インサート長さLは、長手方向の第一の軸に平行な方向のインサートの端部間で画定され、内方当接長さIは、第一および第二の軸によって画定される中央の第三の平面に沿った断面で測定される内方当接面長さとして画定され、長さ比R2は、内方当接長さIと最大インサート長さLとの間で画定され、長さ比R2=I/Lは、0.13~0.4の範囲である。
【0034】
インサートの主当接面の1つは、ポケットのベース当接面に当接し、
側面の一方上の第一の内方当接面は、ポケットの第一の当接壁に当接し、
前面の一方上の第一の外方当接面は、ポケットの第二の当接壁に当接し、
側面の前記一方上の第二の内方当接面と、前面の前記一方上の第二の外方当接面とが、ポケットの第一の当接壁とポケットの第二の当接壁との間で、ポケット内に配置され、
インサートは、インサートの貫通クランプ穴を通ってポケットクランプ穴の中に入るインサートファスナによって、ポケットのベース当接面に固定される。
【0035】
本出願の主題をより良く理解し、それが実際にどのように実行され得るかを示すために、ここで、添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1A】従来技術の「無翼」高送りインサートの平面図である。
【
図1B】従来技術の「有翼で真っ直ぐなウエスト」を有する高送りインサートの平面図である。
【
図1C】本発明の一実施形態による「テーパ状ウエスト」を有する高送りインサートの平面図である。
【
図2】両面割出し可能な切削インサートの第一の実施形態の等角図である。
【
図3】三次元ユークリッド軸系の第二の軸に沿った
図1のインサートの正面図である。
【
図4】
図3のIV-IV線に沿ったインサートの断面図である。
【
図5】三次元ユークリッド軸系の第一の軸に沿った
図1のインサートの側面図である。
【
図6】三次元ユークリッド軸系の第三の軸に沿った
図1のインサートの主面の平面図である。
【
図7】
図1のインサートを内部のポケットに固定した高送りミーリング工具の等角図である。
【
図8】インサートを取り外した
図6のミーリング工具の等角図である。
【
図9】
図6のミーリング工具の回転軸に沿った底面図である。
【
図10】
図9のX-X線に沿ったミーリング工具の断面図である。
【
図11】
図6のミーリング工具の回転軸に垂直な側面図である。
【
図12】第二の実施形態によるインサートを有する穿孔工具の側面図であり、内部穿孔ポケット内に固定されたインサートを示す。
【
図13】
図11の穿孔工具の別の側面図であり、外部穿孔ポケット内に固定されたインサートを示す。
【
図15】
図13のXV-XV線に沿った穿孔工具の断面図である。
【
図16】同じ直径およびポケット数を有し、それぞれが異なるインサート形状を有する3つの高送りミーリング工具の加工試験結果を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
さらに適切であると考えられる場合、参照番号は対応または類似する要素を示すために図面の間で繰り返され得る。
【0038】
以下の説明では、本出願の主題の様々な態様を説明する。説明の目的のために、特定の構成および詳細は、本出願の主題の完全な理解を提供するために十分に詳細に記載される。しかしながら、本出願の主題は、本明細書内の特定の構成および詳細なしに実施できることも当業者には明らかであろう。
【0039】
図2および
図7に注目する。高送りまたは穿孔切削工具10は、工具本体12と、工具本体12のポケット16内に固定された少なくとも1つの半径方向に両面割出し可能でテーパ状ウエストを有する切削インサート14とを含む。ポケット16は、半径方向を向いたポケット、すなわち半径方向ポケット16として、当分野で知られているものである。切削工具10は、中央の長手方向回転軸Aを有し、それを中心として、機械加工作業中に回転する。
【0040】
切削インサート14は、典型的には、超硬合金のような極めて硬質で耐摩耗性の材料から、バインダー内で炭化物粉末を成形プレスし、焼結することによって作られる。また、超硬合金は、例えば、炭化タングステンであってもよい。切削インサート14は、コーティングされていても、コーティングされていなくてもよい。
【0041】
図2~
図6に注目する。インサート14は、三次元ユークリッド空間の第一、第二、および第三の軸X、Y、Zのそれぞれの周りで180°の回転対称性を有する。
図2に見られるように、X軸は、インサートの長さ寸法に沿って延在し、それによって、長手方向の第一の軸Xとして機能する。一方、Y軸は、インサートの幅(または「ウエスト」)寸法に沿って延在し、それによって、横方向の第二の軸Yとして機能する。最後に、Z軸は、インサートの高さ寸法に沿って延在し、それによって、上下方向の第三の軸Zとして機能する。インサート14は、第二および第三の軸Y、Zによって画定される横方向の第一の平面YZと、第一および第三の軸X、Zによって画定される長手方向の第二の平面XZと、第一および第二の軸X、Yによって画定される中央の第三の平面XYとを有する。インサート14は、各軸の周りに180°の回転対称性を有する。さらに、本実施形態によれば、インサートは、第一、第二、および第三の平面の3つすべてについて、鏡面対称性がない。
【0042】
本文脈では、「回転対称性」は、以下でさらに開示されるように、少なくともインサート14の切れ刃および/または表面などの作動的/機能的機械加工形状に関連することに留意されたい。例えば、切れ刃表示/マーキング番号のようないくつかの機能的特徴は、前記回転対称性に含まれない。さらに、対称性には、例えば、インサート14の着色などの非機能的特徴を含まないし、あるいは関連しない。
【0043】
インサート14は、同一の第一および第二の主面18、20と、それらの間に延在する周面22とを有する。中央の第三の平面XYは、第一の主面18と第二の主面20との間の中間にあり、それにほぼ平行である。第一および第二の主面18、20のそれぞれは、第一および第二の端部24、26で、それぞれ周面22に合致する。インサート14は、第三の軸Zを中心とする貫通クランプ穴28を含む。クランプ穴28は、第一および第二の主面18,20に開口し、中央の第三の平面XYに対して垂直とすることができる。
【0044】
インサート14の構造(具体的には、周面22上の当接面の形状)は、後述するように、穿孔および高送りミーリングの両方の機械加工作業に適している。
【0045】
第一および第二の主面18、20のそれぞれは、2つの作動/切削部分30を含むことができる。所与の主面18,20上の2つの切削部分30は、横方向の第一の平面YZの両側に位置し、各切削部分30は長手方向の第二の平面XZの両側に延在する。第一および第二の主面18、20のそれぞれは、長手方向の第二の平面XZの対向する側面に位置する2つの非切削部分または非作動部分32をさらに含む。各主面18、20は、2つの切削部分30の間にも、2つの非作動部分32の間にも位置する少なくとも部分的に平坦な主当接面33をさらに含む。クランプ穴28は、好ましくは、両方の主当接面33に開口する。
【0046】
周面22は、2つの同一で対向する側面34と、2つの同一で対向する前面36とを含み、それらのそれぞれは、2つの側面34の間に延在する。2つの前面36は、横方向の第一の平面YZの両側に形成され、各前面36は、インサートの外向き方向において、長手方向の第二の平面XZに向かって収束する一対の外方当接面44を備える。2つの側面34は、長手方向の第二の平面XZの両側に形成され、各側面34は、インサートの内向き方向において、横方向の第一の平面YZに向かって収束する一対の少なくとも部分的に平坦な内方当接面40を備え、それによって、上下方向の第三の軸Zに沿ったインサートの図において、テーパ状ウエストをインサートに提供する。
【0047】
各側面34は、コーナー中間面38を介して前面36に接続されている。コーナー中間面38は、前面36または側面34のいずれよりも小さいことが好ましい。2つの側面34は、長手方向の第二の平面XZの両側に位置している。2つの前面36は、横方向の第一の平面YZの両側に位置している。
【0048】
図2~
図6に注目する。各側面34は、2つの同一の内方当接面40を含む。本実施形態によれば、少なくとも中央の第三の平面XYに沿った断面において、また、
図4に見られるように、各対の隣接する内方当接面40は、第三の軸Zに向かって、インサートの内向き方向に収束する。言い換えれば、各対の隣接する内方当接面40は、横方向の第一の平面YZに向かって収束し、それによって、テーパ状ウエストとなる。本実施形態によれば、インサート14は、いわゆるネガティブインサートであり、したがって、この収束は、第一および第二の主面18、20のいずれの平面図からも見ることができる。(少なくとも
図1C、
図4および
図6に見られるように)このようなテーパ状ウエストを有するインサートにおける内向きの収束によって、当分野で以前に知られていたインサートと比較して、より堅牢で優れた設計が可能になる。しかしながら、当分野の無翼インサート、または小さな有翼インサートと比較して、この形状は、質量、体積が増加し、おそらく製造コストが高くなるという欠点がある。さらに、この収束によって、以下でさらに説明するように、好ましい当接角の範囲が可能になる。内方当接面40は、少なくとも部分的に平坦である。本実施形態によれば、
図4に示すように、内方当接面40は、少なくとも中央の第三の平面XYにおいて平坦であり、これにより、中央の第三の平面XYに沿った断面において直線を形成する。
【0049】
各側面34は、内方当接面40の間に延在する側部中間面42を含む。側部中間面42は、
図4の中央の第三の平面XYに沿った断面に見られるように、凹状に湾曲した形状を有することができる。側部中間面42は、当接するのに適しておらず、また、当接するように構成されていない。本実施例によれば、側面34における適切な当接および当接用空間を提供するために、側部中間面42は、中央の第三の平面XYに沿った断面において、面積サイズまたは長さのいずれかに関して、内方当接面40よりも小さいことが好ましい。また、本実施例によれば、少なくとも中央の第三の平面XYに沿った断面において、内方当接面40は、各側面34における最大面であることが好ましい。
【0050】
本実施形態によれば、インサートはネガティブインサートであり、したがって、中央の第三の平面XYにおいて、内方当接長さIは、各側部中間面42とコーナー中間面38との間で容易に測定することができる。同様に、中央の第三の平面XYにおいても、最大インサート長さLは、第一の軸Xに平行な方向におけるインサートの端部間で測定することができる。ほとんどの部分で、最大インサート長さLは、
図1~
図1Cに示すように、類似するサイズの高送りインサート、および/または同じクランプ穴径(および同じファスナサイズ)を有する高送りインサートの間で類似している。当接長さ比R2=I/Lは、内方当接長さIと最大インサート長さLとの間で定義される。当接長さ比R2=I/Lは、0.4未満である。当接長さ比R2=I/Lは、好ましくは、0.13~0.4の範囲である。当接長さ比R2は、インサートの比率に直接関係し、したがって、収束する内方当接面40から得られる利点に直接関係する。
【0051】
図6に注目する。上下方向の第三の軸Zに沿った図で、最小インサート幅W1は、横方向の第二の軸Yに平行な方向において、インサート14、114、214の最も内向きの部分の間で規定される。さらに、最大インサート幅W2は、横方向の第二の軸Yに平行な方向において、インサート14、114、214の最も外向きの部分で規定される。本発明の有利な設計によれば、幅比R1=W2/W1は、1.15~1.4の間の範囲である。この範囲の幅比Rlは、より堅牢で、より広い/より大きな切削部分を促進するのに役立ち、ポケット内でより安定した固定を行う一方で、依然としてコンパクトなままで留まる(最小インサート幅W1は、同等でないにしても、類似のクランプ穴径および/またはサイズを有する従来技術のインサートと同様である)。
【0052】
各前面36は、2つの同一の外方当接面44を含む。外方当接面44は、好ましくは、平坦である。少なくとも中央の第三の平面XYに沿った断面において、隣接する各対の外方当接面44は、外方に、かつ長手方向の第二の平面XZに向かって収束する。言い換えれば、隣接する各対の外方当接面44は、上下方向の第三の軸Zから離れる方向に外方に収束する。本実施形態によれば、インサート14は、ネガティブインサートであり、したがって、収束は、第一および第二の主面18、20のいずれかの平面図(上下方向の第三の軸Zに沿った)から見ることができる。
【0053】
図4および
図6に注目する。少なくとも中央の第三の平面XYに沿った断面において、各外方当接面44は、(
図4に見られるように)中央の第三の平面XYの対角線上に対向する象限に位置する内方当接面40と内部当接角αを形成する。当接角αは、80°~95°の範囲にある。本発明の好ましい実施形態によれば、当接角αは90°に等しい。本設計に基づくインサート付き切削工具で行った機械加工試験によれば、上記の当接角の範囲は非常に安定であり、これは、
図16の表に示すように工具寿命の伸びに直接結びつけることができることが分かった。
【0054】
各前面36は、2つの外方当接面44の間に延在する前部中間面46を含むことができる。前部中間面46は、外向きに凸状に湾曲した形状を有することができる。前部中間面46は、当接に適していない。前面36における適切な当接用空間をより大きくするために、前部中間面46は、好ましくは、面積サイズ、および/または第三の平面XYに沿った断面で測定された長さのいずれかに関して、外方当接面44よりも小さい。さらに、本実施形態によれば、中央の第三の平面XYに沿った断面において、外方当接面44は、各前面36における最大面である。周面22に沿って進むと、各外方当接面44は、隣接する外方当接面44と内方当接面40との間に位置する。
【0055】
図2~
図6に注目する。第一の実施形態によれば、インサート114は、ミーリングインサート114であり、具体的には、高速送りまたは高送りミーリングインサート114である。
【0056】
第一の実施形態によれば、各切削部分30は、主切れ刃50に接続された第一のコーナー切れ刃48と、傾斜切れ刃52と、主切れ刃50と傾斜切れ刃52との間に延在する第二のコーナー切れ刃54とを含む。横方向の第二の軸Yに沿ったインサートの側面図である
図3に見られるように、各第一のコーナー切れ刃48は、上下方向の第三の軸Zに沿った方向で、隣接する主当接面33の上方/向こうで外向きに位置している。さらに、上下方向の第三の軸Z方向において、各第一のコーナー切れ刃48は、他の切れ刃と比較して、隣接する主当接面33から最も外向きに位置している。
【0057】
図4の断面に見られるように、第一および第二の主面18、20のいずれかの上下方向の第三の軸Zに沿った図において、主切れ刃50に接する直線(本実施例では、直線は、主切れ刃50と同一線上にある)は、横方向の第二の軸Yと9~23°の範囲にある鋭角のリード角βをなす。好ましくは、リード角βは、16~18°の範囲である。さらに好ましくは、リード角βは、17°である。本リード角βは、インサート形状によってのみ定義されるが、(
図11に示されるように、ワークピースに対して測定された)「真の」リード角は、切削工具10内のインサート14の向きに応じて、約1~3°だけシフトすることができる(この分野で知られているように、反対側の切削部分に逃げを提供する)。
【0058】
第一の実施形態によれば、各切削部分30は、第一のコーナーすくい面56、主すくい面58、第二のコーナーすくい面60および傾斜すくい面62をさらに含む。第一のコーナーすくい面56は、第一のコーナー切れ刃48から延在し、主すくい面58に接続される。主すくい面58は、主切れ刃50から延在する。傾斜すくい面62は、傾斜切れ刃52から延在する。第二のコーナーすくい面60は、第二のコーナー切れ刃54から延在し、主すくい面58と傾斜すくい面62との間に延在する。
【0059】
各切削部分30に隣接し、かつ「後方」にある周面22は、各切れ刃のそれぞれの逃げ面、または各切れ刃に関連する逃げ面を含む。第一のコーナー逃げ面64は、第一のコーナー切れ刃48から延在し、主逃げ面66と接続する。主逃げ面66は、主切れ刃50から延在する。傾斜逃げ面68は、傾斜切れ刃52から延在する。第二のコーナー逃げ面70は、第二のコーナー切れ刃54から、主逃げ面66と傾斜逃げ面68との間に延在する。
【0060】
図12~
図15に注目する。第二の実施形態によれば、インサート14は穿孔インサート214である。送りインサート114の傾斜切れ刃52、傾斜すくい面62、および傾斜逃げ面68の名称は、それぞれ、穿孔インサート214を参照して、二次切れ刃52、二次すくい面62、および二次逃げ面68と称される。
【0061】
図7~
図11に注目する。第一の実施形態によれば、高送りインサート114は、高送りまたはミーリング工具本体112の送りポケット116内に固定される。ミーリング工具本体112は、3つの同一の送りポケット116を含むことができる。送りポケット116は、回転軸Aに対して対称に配置されてもよい(すなわち、互いに120°だけ回転離間されてもよい)。全ての送りポケット116は、回転軸Aから同じ半径方向距離に配置されてもよい。
【0062】
各送りポケット116は、ベース当接面72と、第一および第二の当接壁74、76とを含む。送りポケットは、ベース当接面72に開口するポケットクランプ穴78と、好ましくはポケットクランプ穴78にねじ込まれたねじであるインサートファスナ80とをさらに含む。ベース当接面72は、回転軸Aを中心とした回転方向Rに面している(
図9)。当接壁74、76は、ベース当接面72に対して横方向に延在する。本実施例では、インサート114、214は、ネガティブインサートであり、したがって、当接壁74、76は、少なくとも部分的に平坦であり、ベース当接面72に対して垂直である。
【0063】
第一の当接壁74は、回転軸Aから離れて外側に面している。第二の当接壁76は、第一の当接壁74に対して横方向に面している。少なくともベース当接面72に平行な断面において、第一および第二の当接壁74、76は、当接角αと同様の角度を形成する。
【0064】
再び、
図12~
図15に注目する。第二の実施形態によれば、穿孔インサート214は、穿孔工具210の穿孔工具本体212の穿孔ポケット216内に固定される。穿孔工具本体212は、回転軸Aの両側に位置する2つの穿孔ポケット216を含むことができる。穿孔ポケット216のうちの一方は、回転軸により近い位置に位置し、本明細書では、内部穿孔ポケット216Aと呼ばれる。他方の穿孔ポケット216は、本明細書では、外部穿孔ポケット216Bと呼ばれる。
【0065】
各穿孔ポケット216は、ベース当接面72と、第一および第二の当接壁74、76とを含む。穿孔ポケット216は、ベース当接面72の外側に開口するポケットクランプ穴78と、好ましくはポケットクランプ穴78にねじ込まれたねじであるインサートファスナ80とをさらに含む。ベース当接面72は、回転軸Aを中心とした回転方向Rに面している(
図14)。当接壁74、76は、ベース当接面72に対して横方向に延在する。本実施例では、穿孔インサート214は、ネガティブインサートであり、したがって、当接壁74、76は、少なくとも部分的に平坦であり、ベース当接面72に対して垂直である。
【0066】
外部穿孔ポケット216Bでは、第一の当接壁74は、回転軸Aから外側に面している。内部穿孔ポケット216Aでは、第一の当接壁74は、回転軸Aに向かって内側に面している。内部および外部穿孔ポケット216A、216Bの両方で、第二の当接壁76は、第一の当接壁74に対して横方向に面している。少なくともベース当接面72に平行な断面(
図15)では、第一および第二の当接壁74、76は、製造公差内にあり、当接角αに等しく、同じ範囲を有する角度を形成する。本発明の好ましい実施形態によれば、当接角αは90°に等しい。
【0067】
インサートが上記ポケットのいずれかに配置されると、インサートの主当接面33の1つがポケットのベース当接面72に当接し、側面34の一方上の第一の内方当接面40がポケットの第一の当接壁74に当接し、前面36の一方上の第一の外方当接面44がポケットの第二の当接壁76に当接する。また、側面34の前記一方上の第二の内方当接面40と、前面36の前記一方上の第二の外方当接面44とが、ポケット内に位置し、ポケットの第一の当接壁74とポケットの第二の当接壁76との間にある。最終的に、インサートがクランプ穴28を通過してポケットクランプ穴78に入るインサートファスナ80によってポケットのベース当接面72に固定される。