(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】蓋ロック機構およびそれを用いた洗濯機
(51)【国際特許分類】
D06F 37/42 20060101AFI20221220BHJP
D06F 37/28 20060101ALI20221220BHJP
D06F 39/14 20060101ALI20221220BHJP
F16P 3/08 20060101ALN20221220BHJP
【FI】
D06F37/42 Z
D06F37/28
D06F39/14 Z
F16P3/08
(21)【出願番号】P 2020523509
(86)(22)【出願日】2019-02-19
(86)【国際出願番号】 JP2019006123
(87)【国際公開番号】W WO2019234985
(87)【国際公開日】2019-12-12
【審査請求日】2021-09-22
(31)【優先権主張番号】P 2018109526
(32)【優先日】2018-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】埜邨 浩之
(72)【発明者】
【氏名】林 敬彦
【審査官】渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第01826309(EP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0099019(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2009-0005486(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F37/00-37/42
D06F39/00-39/14
F16P 3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体に対して設けられた蓋部材のロック状態およびアンロック状態を切替可能な蓋ロック機構であって、
前記蓋部材に対して回動可能に設けられ、前記蓋部材を開放する場合にユーザによって開放方向に操作される取手部材と、
前記取手部材に対して回動可能に設けられ、前記筐体と係合して前記蓋部材の閉塞状態を保持可能なラッチ部材と、
係合状態にある前記ラッチ部材の移動を規制することで、該蓋ロック機構をロック状態とする規制部材と、
ユーザが前記取手部材を前記開放方向に操作した場合に、前記取手部材と前記ラッチ部材との間で直接的または間接的に付勢力を作用させ、前記ラッチ部材を前記取手部材に対して前記開放方向に付勢する第1弾性部材と、
前記蓋部材と前記取手部材との間で直接的または間接的に付勢力を作用させ、前記開放方向とは逆方向に前記取手部材を前記蓋部材に対して付勢する第2弾性部材とを有して
おり、
前記第1弾性部材のバネ定数が前記第2弾性部材のバネ定数よりも大きいことを特徴とする蓋ロック機構。
【請求項2】
請求項1に記載の蓋ロック機構であって、
前記取手部材と前記ラッチ部材との間に配置される中間部材を有しており、
前記第1弾性部材は、前記ラッチ部材と前記中間部材との間で付勢力を作用させるものであり、
前記第2弾性部材は、前記中間部材を介して間接的に前記取手部材に付勢力を作用させるものであることを特徴とする蓋ロック機構。
【請求項3】
請求項1または2に記載の蓋ロック機構であって、
前記第1弾性部材および前記第2弾性部材が、捩りバネであることを特徴とする蓋ロック機構。
【請求項4】
洗濯物を収容する洗濯槽への投入口に開閉可能に設けられた蓋部材と、前記蓋部材のロック状態およびアンロック状態を切替可能な蓋ロック機構とを備えた洗濯機であり、
前記蓋ロック機構が、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の蓋ロック機構であることを特徴とする洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯時に洗濯機の蓋やドアをロックする蓋ロック機構、およびそれを用いた洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
洗濯機の筐体には、洗濯槽内へ洗濯物を投入するための投入口が形成されると共に、洗濯中に投入口を閉塞するための蓋(またはドア)が開閉可能に設けられる。また洗濯機は、洗濯中に蓋が開閉されることがないよう、蓋をロックする蓋ロック機構を備える(例えば、特許文献1)。
【0003】
従来の洗濯機の蓋ロック機構には、例えば蓋に設けられたラッチが筐体に設けられた開口等へ挿入され、開口内にてラッチが係合することで蓋がロックされる構成のものがある。このような構成の蓋ロック機構では、ラッチは、筐体との係合位置および係合解除位置の間で揺動可能に蓋に設けられると共に、バネ等によって係合位置へ付勢されている。ラッチは、蓋に設けられた取手部をユーザが操作することによって筐体との係合位置および係合解除位置の間で揺動する。また、蓋ロック機構は、ラッチを筐体との係合位置で移動規制できるようになっており、ラッチを係合位置で移動規制することでユーザが蓋を開閉操作することができないロック状態となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の蓋ロック機構では、取手部とラッチとは一体的に揺動する構成となっており、ロック状態においてラッチの移動が規制されている時には、取手部も動かないようになっている。しかしながら、このようなロック状態にあることにユーザが気づかずに、ユーザが取手部を無理に動かそうとして過剰な力を加える場合がある。このような場合、許容値を越える過大な荷重のかかった部品に破損が生じる恐れがある。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、ロック状態において取手部が操作された場合に、部品が破損することを防止できる蓋ロック機構および洗濯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の第1の態様である蓋ロック機構は、筐体に対して設けられた蓋部材のロック状態およびアンロック状態を切替可能な蓋ロック機構であって、前記蓋部材に対して回動可能に設けられ、前記蓋部材を開放する場合にユーザによって開放方向に操作される取手部材と、前記取手部材に対して回動可能に設けられ、前記筐体と係合して前記蓋部材の閉塞状態を保持可能なラッチ部材と、係合状態にある前記ラッチ部材の移動を規制することで、該蓋ロック機構をロック状態とする規制部材と、ユーザが前記取手部材を前記開放方向に操作した場合に、前記取手部材と前記ラッチ部材との間で直接的または間接的に付勢力を作用させ、前記ラッチ部材を前記取手部材に対して前記開放方向に付勢する第1弾性部材と、前記蓋部材と前記取手部材との間で直接的または間接的に付勢力を作用させ、前記開放方向とは逆方向に前記取手部材を前記蓋部材に対して付勢する第2弾性部材とを有していることを特徴としている。
【0008】
上記の構成によれば、蓋ロック機構のロック時には、ラッチ部材の移動は不可能である一方、取手部材は第1弾性部材および第2弾性部材の付勢力に抗して開放方向に操作可能となる。すなわち、蓋ロック機構がロック状態にあることにユーザが気づかずに取手部材を無理に動かした場合であっても、ユーザによって加えられた力は第1弾性部材によって吸収される。したがって、本機構のロック時にユーザが取手部材を操作しても、蓋ロック機構の部品に過大な荷重がかかって破損が生じることを防止できる。
【0009】
また、上記蓋ロック機構は、前記取手部材と前記ラッチ部材との間に配置される中間部材を有しており、前記第1弾性部材は、前記ラッチ部材と前記中間部材との間で付勢力を作用させるものであり、前記第2弾性部材は、前記中間部材を介して間接的に前記取手部材に付勢力を作用させるものである構成とすることができる。
【0010】
上記の構成によれば、取手部材とラッチ部材との間に中間部材を介在させることにより、部材のそれぞれが簡単な形状となり、部品製造が容易となったり部品の組み立てが簡単になったりすることで製造コストを低減できる。
【0011】
また、上記蓋ロック機構は、前記第1弾性部材および前記第2弾性部材が、捩りバネである構成とすることができる。
【0012】
また、上記の課題を解決するために、本発明の第2の態様である洗濯機は、洗濯物を収容する洗濯槽への投入口に開閉可能に設けられた蓋部材と、前記蓋部材のロック状態およびアンロック状態を切替可能な蓋ロック機構とを備えた洗濯機であり、前記蓋ロック機構が上記記載の蓋ロック機構であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明の蓋ロック機構および洗濯機は、蓋ロック機構のロック時にユーザが取手部材を操作しても、蓋ロック機構の部品に過大な荷重がかかって破損が生じることを防止できるといった効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施の形態1に係る蓋ロック機構の断面図である。
【
図2】
図1の蓋ロック機構において蓋側で用いられる部品構成を示す斜視図である。
【
図3】(a)は
図1の蓋ロック機構における第1バネによる付勢作用を説明する概略断面図であり、(b)は
図1の蓋ロック機構における第2バネによる付勢作用を説明する概略断面図である。
【
図4】(a),(b)は、
図1の蓋ロック機構におけるアンロック状態の動作を示す概略断面図である。
【
図5】(a),(b)は、
図1の蓋ロック機構におけるロック状態の動作を示す概略断面図である。
【
図6】
図1の蓋ロック機構において蓋側で用いられる部品構成の他の例を示す斜視図である。
【
図7】(a),(b)は、実施の形態2に係る蓋ロック機構におけるロック状態の動作を示す概略断面図である。
【
図8】本発明の蓋ロック機構を適用可能な縦型洗濯機を示す斜視図である。
【
図9】本発明の蓋ロック機構を適用可能なドラム型洗濯機を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
〔実施の形態1〕
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本実施の形態1に係る蓋ロック機構の断面図である。
図2は、
図1の蓋ロック機構において蓋側で用いられる部品構成を示す斜視図である。尚、
図1における断面は、
図2の部品構成における長手方向中央部分の断面に対応している。
【0016】
本実施の形態1に係る蓋ロック機構(以下、単に本機構と称する)が適用される洗濯機は、
図1に示すように、洗濯機の筐体200に洗濯槽内へ洗濯物を投入するための投入口201が形成されており、投入口201を閉塞するための蓋(蓋部材)100が開閉可能に設けられている。本機構は、洗濯中に蓋100が開閉されることがないよう、蓋100をロックすることができる。
【0017】
本機構において、蓋100側には、取手部材110、ラッチ部材120、中間部材130、支軸140、第1バネ(第1弾性部材)151および第2バネ(第2弾性部材)152が設けられている。まずは、蓋ロック機構における蓋100側の部品構成を説明する。
【0018】
取手部材110、ラッチ部材120および中間部材130は、同一の支軸140の回りに回動可能に支持されている。第1バネ151は、ラッチ部材120と中間部材130との間で付勢力を作用させるものである。第2バネ152は、蓋100と中間部材130との間で付勢力を作用させるものである。
【0019】
取手部材110は、閉塞状態にある蓋100を開放する時にユーザが操作する部分である。本機構がアンロック状態にある場合、ユーザが取手部材110を開放方向(
図3におけるA1方向)に引き上げることで、ラッチ部材120も係合解除方向(
図3におけるA1方向)に移動する。
【0020】
ラッチ部材120は、ラッチ部材120の回転軸から外周方向に突出して設けられるラッチ部121を有している。ラッチ部121は、取手部材110に設けられた開口111から外方に突出するように配置されており、ラッチ部121の先端にはラッチ爪121Aが形成されている。蓋100が閉塞状態にある時は、ラッチ爪121Aが筐体200に設けられた係合穴202に挿入され、ラッチ爪121Aが係合穴202の縁等と係合することで蓋100の閉塞状態を保持するようになっている。また、ラッチ部121側に係合穴121B(
図2参照)を設け、筐体200側の係合穴202に内側に突出する突起部203(
図1参照)を設けて、蓋100の閉塞時には係合穴121Bに突起部203が嵌合するようにしてもよい。あるいは、係合穴121Bと突起部203(
図1参照)との嵌合(係合)のみによって蓋100の閉塞状態を保持するものであってもよい。
【0021】
また、ラッチ部材120は、ラッチ部121とは異なる位置で、ラッチ部材120の回転軸から外周方向に突出して設けられる第1当接板122を有している。第1当接板122は、中間部材130の第2当接板131と当接することで、これらの部材の位置関係を規定する。
【0022】
中間部材130は、取手部材110とラッチ部材120との間を介在するものであり、中間部材130の回転軸から外周方向に突出して設けられる第2当接板131を有している。第2当接板131は、取手部材110やラッチ部材120と当接することで、これらの部材の位置関係を規定することができる。
【0023】
続いて、第1バネ151および第2バネ152の配置および作用について
図3(a),(b)を参照して説明する。
図3(a)は、第1バネ151による付勢作用を説明する図であり、第1バネ151の配置箇所における断面図である。
図3(b)は、第2バネ152による付勢作用を説明する図であり、第2バネ152の配置箇所における断面図である。
【0024】
図3(a)に示すように、第1バネ151には捩りバネが使用されており、第1バネ151の一端はラッチ部材120の第1当接板122をA1方向に付勢し、第1バネ151の他端は中間部材130の第2当接板131をA2方向に付勢する。この時、ラッチ部材120の第1当接板122は、中間部材130の第2当接板131から見てA2方向側に当接しているため、第1バネ151の付勢力によって第1当接板122と第2当接板131との当接状態が保持されるようになっている。
【0025】
図3(b)に示すように、第2バネ152には捩りバネが使用されており、第2バネ152の一端は蓋100の裏面に当接し、第2バネ152の他端は中間部材130の第2当接板131をA2方向に付勢する。また、中間部材130の第2当接板131は、取手部材110に設けられた突起部112に当接しており、第2バネ152の付勢力は中間部材130を介して取手部材110に作用する。すなわち、第2バネ152は、取手部材110をA2方向に間接的に付勢する。
【0026】
続いて、本機構のアンロック状態およびロック状態の動作について、
図4および
図5を参照して説明する。
図4(a),(b)は本機構のアンロック状態の動作を示す概略断面図であり、
図5(a),(b)は本機構のロック状態の動作を示す概略断面図である。尚、
図4および
図5では、第1バネ151は図示しているが、第2バネ152の図示は省略している。
【0027】
先ず、本機構のアンロック状態およびロック状態を切り替えるために、本機構における、筐体200側には、スライド部材(規制部材)210が設けられている。スライド部材210は、
図4および
図5に示すB1およびB2方向にスライド移動が可能であり、蓋100を閉じるときには、係合穴202に挿入されるラッチ爪121Aとの当接によって後方(B1方向)に摺動する。また、スライド部材210は、B1方向に移動させた状態で、図示しないソレノイド等によってその位置を固定できるようなっている。また、ソレノイドをオフとしている状態では、スライド部材210は圧縮バネ220によってB2方向に付勢され、所定の位置(例えば、
図4(b)におけるスライド部材210の位置)に位置決めされるようになっている。
【0028】
図4(a)に示すように、本機構のアンロック状態で蓋100が閉塞されて保持されている場合、
図4(a)に示すように、中間部材130(
図4では第2当接板131のみ図示)および取手部材110は、第2バネ152(
図4では図示省略)によってA2方向に付勢され、所定の位置に位置決めされている。この時、ラッチ部材120は、第1バネ151の付勢力によって中間部材130と当接して位置決めされた状態で保持されている。この状態で、ラッチ部材120が筐体200の係合穴202に挿入されて係合している。
【0029】
本機構のアンロック状態で蓋100を開放する場合、
図4(b)に示すように、ユーザによって取手部材110が開放方向(A1方向)に引き上げられる。この時、取手部材110の回動に伴って、中間部材130もA1方向に回動する。すなわち、取手部材110および中間部材130が、第2バネ152の付勢力に抗して回動する。
【0030】
また、取手部材110および中間部材130がA1方向に回動した場合、第1バネ151の付勢力によって中間部材130と一体化されているラッチ部材120もA1方向に回動する。すなわち、中間部材130は、取手部材110がA2方向に回動したときに、この回動力をラッチ部材120に間接的に伝える。ラッチ部材120がA1方向に回動すると、ラッチ部材120の係合が解除されて蓋100の開放が可能となる。本機構のアンロック状態では、スライド部材210はソレノイド等によってその位置を固定されてはおらず、スライド部材210がラッチ部材120の係合解除を阻害することはない。
【0031】
一方、本機構のロック状態では、
図5(a)に示すように、スライド部材210がB1方向に移動した状態でソレノイド等によってその位置を固定される。これにより、ラッチ部材120は、係合解除からA1方向に回動することが不可能となる。尚、
図5(a)に示す状態(ユーザが取手部材110を操作していない状態)において、取手部材110、ラッチ部材120および中間部材130の位置は、基本的に
図4(a)に示す状態と同じである。
【0032】
本機構のロック状態において、ユーザが取手部材110を開放方向(A1方向)に引き上げると
図5(b)に示す状態となる。この時、取手部材110および中間部材130が、第2バネ152の付勢力に抗してA1方向に回動するのはアンロック時と同じである。
【0033】
但し、ロック時には、取手部材110および中間部材130がA1方向に回動しても、ラッチ部材120はスライド部材210によってA1方向への回動は阻害される。その結果、中間部材130が第1バネ151の付勢力に抗してA1方向に回動することとなり、中間部材130とラッチ部材120の相対的な位置関係は変化する。
【0034】
このように、本機構がロック状態にあることにユーザが気づかずに取手部材110を無理に動かした場合であっても、ユーザによって加えられた力は第1バネ151によって吸収される。したがって、本機構の部品に許容値を越える過大な荷重がかかり、部品に破損が生じることを防止できる。
【0035】
尚、第1バネ151のバネ力は、第2バネ152のバネ力よりも大きくされていることが好ましい。この場合、ロック時に取手部材110を操作するのに必要となる力が、アンロック時に取手部材110を操作するのに必要となる力よりも大きくなるため、ユーザは本機構がロック状態であることを認識しやすくなる。
【0036】
図6は、本実施の形態1に係る蓋ロック機構の変形例を示すものであり、蓋側で用いられる部品構成を示す斜視図である。
図2に示す蓋ロック機構では、中間部材130がラッチ部材120に比べて軸方向に幅広に形成されており、ラッチ部材120が中間部材130に対して軸方向の内側に配置されている。これに対し、
図6に示す蓋ロック機構では、ラッチ部材120が中間部材130に比べて軸方向に幅広に形成されており、中間部材130がラッチ部材120に対して軸方向の内側に配置されている。
図6のような構成であっても、第1バネ151や第2バネ152による付勢作用は
図2の構成と変わらないため、
図6に係る蓋ロック機構は、
図2に係る蓋ロック機構と同様の作用・効果を得ることができる。
【0037】
また、上記説明では、本機構における蓋側の構成は、バネおよび軸を除くと取手部材110、ラッチ部材120および中間部材130の3パーツ構成とされている。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、取手部材110と中間部材130とを一体的に形成することで2パーツ構成とされていてもよい。
図4および
図5で説明した動作の中で、取手部材110と中間部材130との相対的な位置関係が変化することはなく、このことは、取手部材110と中間部材130とを一体的に形成可能であることを示している。
【0038】
取手部材110と中間部材130とが別部材である場合、第2バネ152は中間部材130を介して取手部材110に間接的に付勢力を与える。これに対し、取手部材110と中間部材130とを一体とした場合には、第2バネ152は取手部材110に直接的に付勢力を与えるものとなる。
【0039】
また、取手部材110と中間部材130とが別部材である場合、取手部材110がA2方向に回動したときに、この回動力は中間部材130を介して第1バネ151に間接的に伝えられる。これに対し、取手部材110と中間部材130とを一体とした場合には、取手部材110がA2方向に回動したときに、この回動力は第1バネ151に直接的に伝えられる。言い換えれば、第1バネ151は、ユーザが取手部材110をA1方向に操作した場合に、取手部材110とラッチ部材120との間で直接的または間接的に付勢力を作用させ、ラッチ部材120を取手部材110に対してA1方向に付勢する。
【0040】
また、取手部材110と中間部材130とが別部材である場合、ユーザが取手部材110をA1方向に操作した場合は、取手部材110の回動力は中間部材130および第1バネ151を介してラッチ部材120へ伝達するが、ラッチ部材120がA1方向に回動させられた場合は、ラッチ部材120の回動力は中間部材130までしか伝達せず取手部材110へは伝達しない。
【0041】
但し、取手部材110と中間部材130とを一体とした場合には、開いている蓋100を閉じるときに、ラッチ部材120と共に取手部材110も動いてしまう。これに対し、取手部材110と中間部材130とを別部材とした場合(取手部材110とラッチ部材120との間に中間部材130を介在させた場合)には、取手部材110を動かさずに蓋100を閉じることができる。
【0042】
〔実施の形態2〕
実施の形態1では、捩りバネである第1バネ151および第2バネ152を用いた蓋ロック機構を例示したが、本実施の形態2では、捩りバネ以外の弾性部材を用いた蓋ロック機構について説明する。
図7(a),(b)は、圧縮バネを用いた構造の蓋ロック機構を示すものであり、本機構のロック状態の動作を示す概略断面図である。
【0043】
図7(a),(b)に示す本機構では、実施の形態1にて説明した捩りバネである第1バネ151に代えて、圧縮バネである第3バネ(第1弾性部材)153を用いている。また、中間部材130は、第2当接板131に加えて、バネ当接板132を有している。バネ当接板132は、第2当接板131と同様に中間部材130の回転軸から外周方向に突出して設けられており、第2当接板131から見てA2方向側に設けられている。また、第2当接板131とバネ当接板132との間に、ラッチ部材120の第1当接板122が配置されている。第3バネ153は、第1当接板122とバネ当接板132との間に配置され、これらの板間を押し拡げるように付勢力を与える。
【0044】
本機構のロック状態では、
図7(a)に示すように、スライド部材210がB1方向に移動した状態でソレノイド等によってその位置を固定される。これにより、ラッチ部材120は、実施の形態1と同様に、係合解除からA1方向に回動することが不可能となる。この状態で、ラッチ部材120の第1当接板122が、中間部材130の第2当接板131に当接した状態で第3バネ153によって付勢されている。
【0045】
本機構のロック状態において、ユーザが取手部材110を開放方向(A1方向)に引き上げると
図7(b)に示す状態となる。この時、取手部材110および中間部材130が、第2バネ152の付勢力に抗してA1方向に回動する。一方、ラッチ部材120はスライド部材210によってA1方向への回動は阻害される。その結果、中間部材130が第3バネ153の付勢力に抗してA1方向に回動することとなり、中間部材130とラッチ部材120の相対的な位置関係は変化する。すなわち、第1当接板122と第2当接板131の当接状態が解除され、バネ当接板132が第1当接板122に近接するように、中間部材130がA1方向に回動する。
【0046】
このように、本機構がロック状態にあることにユーザが気づかずに取手部材110を無理に動かした場合であっても、ユーザによって加えられた力は第3バネ153によって吸収される。したがって、本機構の部品に許容値を越える過大な荷重がかかり、部品に破損が生じることを防止できる。
【0047】
尚、本実施の形態2において、第1当接板122とバネ当接板132との間に配置されるのは圧縮バネに限定されるものではなく、板バネや発泡ゴム等の他の弾性部材であっても同様の効果を得ることができる。また、詳細な説明は省略するが、実施の形態1における第2バネ152を捩りバネ以外の弾性部材(圧縮バネ、板バネ、発泡ゴム等)に置き換えた構成とすることも可能である。
【0048】
〔実施の形態3〕
本発明に係る蓋ロック機構を適用可能な洗濯機を、
図8および
図9にて説明する。
【0049】
図8は、いわゆる縦型洗濯機であり、洗濯機の筐体200に対して蓋100が筐体200の上面を開閉するように設けられている。この場合は、当然ながら蓋ロック機構を蓋100に対して設けることができる。すなわち、
図8の縦型洗濯機に本発明を適用する場合は、蓋100が特許請求の範囲に記載の蓋部材に相当する。
【0050】
図9は、いわゆるドラム型洗濯機であり、洗濯機の筐体200に対してドア100’が筐体200の前面を開閉するように設けられている。このようなドラム型洗濯機においても、蓋ロック機構をドア100’に対して設けることができる。すなわち、
図9のドラム型洗濯機に本発明を適用する場合は、ドア100’が特許請求の範囲に記載の蓋部材に相当する。
【0051】
今回開示した実施形態はすべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0052】
本国際出願は、2018年6月7日に日本特許庁に出願された日本国特許出願第2018-109526号に基づく優先権を主張するものであり、日本国特許出願第2018-109526号の全内容を参照により本国際出願に援用する。
【符号の説明】
【0053】
100 蓋(蓋部材)
100’ ドア(蓋部材)
110 取手部材
120 ラッチ部材
121 ラッチ部
121A ラッチ爪
121B 係合穴
122 第1当接板
130 中間部材
131 第2当接板
132 バネ当接板
140 支軸
151 第1バネ(第1弾性部材)
152 第2バネ(第2弾性部材)
153 第3バネ(第1弾性部材)
200 筐体
201 投入口
202 係合穴
203 突起部
210 スライド部材(規制部材)
220 圧縮バネ