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特許7197587面状発熱体、および、車両用ウインドシールド装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】面状発熱体、および、車両用ウインドシールド装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 3/20 20060101AFI20221220BHJP
【FI】
H05B3/20 339
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020532527
(86)(22)【出願日】2019-07-29
(86)【国際出願番号】 JP2019029648
(87)【国際公開番号】W WO2020022521
(87)【国際公開日】2020-01-30
【審査請求日】2021-01-26
(31)【優先権主張番号】P 2018141009
(32)【優先日】2018-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000135209
【氏名又は名称】株式会社ニフコ
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】綛谷 泰基
【審査官】竹下 和志
(56)【参考文献】
【文献】実開平04-061792(JP,U)
【文献】特開2003-257597(JP,A)
【文献】特開2017-185896(JP,A)
【文献】特開2017-199565(JP,A)
【文献】特表2019-512837(JP,A)
【文献】国際公開第2017/151348(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 3/20
B60S 1/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
面状に張り巡らされた発熱線を備えた通電部と、
前記通電部の全部を覆う絶縁フィルムと、
前記通電部と面状熱良導体とによって前記絶縁フィルムを挟んで前記通電部の少なくとも一部を覆う前記面状熱良導体と、を備え、
前記通電部は、前記発熱線と、前記発熱線に接続された配線部と、を備え、
前記発熱線は、相互に平行な直線上に位置する複数の直線状部と、相互に隣り合う前記直線状部の端部を接続して1つの方向に並ぶ複数の折り返し部と、を備え、
前記配線部は、前記1つの方向に並ぶ複数の前記折り返し部よりも前記発熱線の外側に位置すると共に、前記1つの方向に沿って延び、かつ前記発熱線よりも太い帯状を有し、
前記面状熱良導体は、前記1つの方向に並ぶ複数の前記折り返し部と、前記配線部と、を覆う
面状発熱体。
【請求項2】
前記絶縁フィルムは、前記通電部に貼り付けられており、
前記面状熱良導体は、前記絶縁フィルムに貼り付けられている
請求項に記載の面状発熱体。
【請求項3】
前記面状熱良導体は、金属製フィルムである
請求項1または2に記載の面状発熱体。
【請求項4】
前記面状熱良導体は、前記絶縁フィルムに貼り付けられた金属テープである
請求項1からのいずれか一項に記載の面状発熱体。
【請求項5】
カメラカバーと、
前記カメラカバー内に位置するカメラユニットと、
前記カメラカバー内に位置する遮光フードと、
前記遮光フードを加熱するための面状発熱体と、を備え
前記面状発熱体は、請求項1からのいずれか一項に記載の面状発熱体である
車両用ウインドシールド装置。
【請求項6】
カメラカバーと、
前記カメラカバー内に位置するカメラユニットと、
前記カメラカバー内に位置する遮光フードと、
前記遮光フードを加熱するための面状発熱体と、
を備えた車両用ウインドシールド装置であって、
前記面状発熱体は、
面状に張り巡らされた発熱線を備えた通電部と、
前記通電部の全部を覆う絶縁フィルムと、を備え、
前記車両用ウインドシールド装置は、
前記通電部と面状熱良導体とによって前記絶縁フィルムを挟んで前記通電部の少なくとも一部を覆う前記面状熱良導体をさらに備え、
前記通電部は、前記発熱線と、前記発熱線に接続された配線部と、を備え、
前記発熱線は、相互に平行な直線上に位置する複数の直線状部と、相互に隣り合う前記直線状部の端部を接続して1つの方向に並ぶ複数の折り返し部と、を備え、
前記配線部は、前記1つの方向に並ぶ複数の前記折り返し部よりも前記発熱線の外側に位置すると共に、前記1つの方向に沿って延び、かつ前記発熱線よりも太い帯状を有し、
前記面状熱良導体は、前記1つの方向に並ぶ複数の前記折り返し部と、前記配線部と、を覆う
車両用ウインドシールド装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、車両が備えたウインドシールドに取り付けられる車両用ウインドシールド装置に搭載される面状発熱体、および、車両用ウインドシールド装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両用ウインドシールド装置は、車両周囲に他の車両が存在することや、車両周囲に障害物が存在することの検知に用いられる。車両用ウインドシールド装置が備えるカメラやウインドシールドに付着した露、霜、氷などは、車両用ウインドシールド装置が行う検知に大きな誤差を生じさせる。車両用ウインドシールド装置は、露、霜、氷などが付着することを抑えるために、面状発熱体を備える(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-185896号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、露、霜、氷などが付着することを効果的に抑える観点では、車両用ウインドシールド装置が搭載される位置に応じて、加熱される対象領域の全体をより均一に加熱することが求められる場合もあれば、加熱される対象領域のなかの一部のみを他の部分よりも均一に加熱することが求められる場合もある。
【0005】
本発明は、温度分布の均一性を向上可能にした面状発熱体、および、車両用ウインドシールド装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための面状発熱体は、面状に張り巡らされた発熱線を備えた通電部と、前記通電部の全部を覆う絶縁フィルムと、前記絶縁フィルムを挟んで前記通電部の少なくとも一部を覆う面状熱良導体と、を備える。
【0007】
上記面状発熱体によれば、面状熱良導体が通電部を覆う範囲において、面状発熱体が有する温度分布の均一性が高められる。例えば、面状熱良導体が通電部の全てを覆う構成であれば、通電部の全てでの温度分布の均一性が高まる。また、通電部の一部を面状熱良導体が覆う構成であれば、通電部の一部での温度分布の均一性が高まる。
【0008】
上記面状発熱体において、前記面状熱良導体は、前記絶縁フィルムを挟んで前記発熱線の少なくとも一部を覆ってもよい。この構成によれば、発熱線が出力する熱が面状熱良導体に伝わりやすいため、発熱線が出力する熱の均一化に適している。
【0009】
上記面状発熱体において、前記絶縁フィルムは、前記通電部に貼り着けられており、前記面状熱良導体は、前記絶縁フィルムに貼り付けられてもよい。この構成によれば、通電部に対して面状発熱体が位置決めされるため、上述した効果が得られる位置の精度がさらに高められる。
【0010】
上記面状発熱体において、前記面状熱良導体は、金属製フィルムであってもよい。また、上記面状発熱体において、前記面状熱良導体は、前記絶縁フィルムに貼り付けられた金属テープであってもよい。これらの構成によれば、アルミニウムや銅などからなるフィルム状の金属によって面状熱良導体が構成されるため、金属が固有に有する展性を面状発熱体に付与することが可能ともなる。
【0011】
上記課題を解決するための車両用ウインドシールド装置は、カメラカバーと、前記カメラカバー内に位置するカメラユニットと、前記カメラカバー内に位置する遮光フードと、前記遮光フードを加熱するための面状発熱体と、を備え、前記面状発熱体は、上述した面状発熱体である。
【0012】
上記課題を解決するための車両用ウインドシールド装置は、カメラカバーと、前記カメラカバー内に位置するカメラユニットと、前記カメラカバー内に位置する遮光フードと、前記遮光フードを加熱するための面状発熱体と、を備えた車両用ウインドシールド装置であって、前記面状発熱体は、面状に張り巡らされた発熱線を備えた通電部と、前記通電部の全部を覆う絶縁フィルムと、を備え、前記車両用ウインドシールド装置は、前記絶縁フィルムを挟んで前記通電部の少なくとも一部を覆う面状熱良導体をさらに備える。
【0013】
上記各車両用ウインドシールド装置によれば、面状熱良導体が通電部を覆う範囲において、面状発熱体が有する温度分布の均一性、ひいては、カメラカバーが有する温度分布の均一性が高められる。
【0014】
上記車両用ウインドシールド装置において、前記遮光フードは、前記面状熱良導体を備えてもよい。この車両用ウインドシールド装置によれば、温度分布の均一化を図る範囲が、遮光フードに対して位置決めされる。そのため、遮光フードのなかで温度分布の均一化が求められる領域を、面状発熱体の位置の精度に関わらず固定することが可能ともなる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】車両用ウインドシールド装置の一実施形態における構成を示す斜視図。
図2図1のA-A線断面図であり、面状発熱体の位置を示す図。
図3】面状発熱体の一実施形態における層構成を示す分解斜視図。
図4】通電部と温度ヒューズとの接続を示す回路図。
図5】通電部が有する構造の一例を示す平面図。
図6】通電部が有する構造の他の例を示す平面図。
図7】面状熱良導体が配置される範囲の一例を示す平面図。
図8】面状熱良導体が配置される範囲の他の例を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、面状発熱体、および、車両用ウインドシールド装置の一実施形態を説明する。まず、図1、および、図2を参照して、車両用ウインドシールド装置を説明する。次に、図3から図8を参照して、面状発熱体を説明する。
【0017】
[車両用ウインドシールド装置]
図1が示すように、車両用ウインドシールド装置は、カメラカバー11、カメラブラケット12、遮光フード13、および、カメラユニット14を備える。
【0018】
カメラカバー11は、椀状を有した樹脂部材である。カメラカバー11は、カメラブラケット12、遮光フード13、および、カメラユニット14を収容する。カメラカバー11は、ウインドシールドWG(図2を参照)が有する車室側の側面と、カメラカバー11の周縁11Eとを対向させて、車両のウインドシールドWGに取り付けられる。
【0019】
カメラブラケット12は、板状を有した樹脂部材である。カメラブラケット12は、ウインドシールドに沿って広がる形状を有する。カメラブラケット12は、カメラユニット14を支持した状態で、カメラカバー11に嵌着される。カメラユニット14は、カメラブラケット12とカメラカバー11との間に収容される。カメラブラケット12は、カメラユニット14の受光部をウインドシールドに向けて露出させる。
【0020】
遮光フード13は、ウインドシールドから見て、台形状を有した板状の黒色樹脂部材である。なお、遮光フード13は、円形状、楕円形状、多角形状などの各種面形状に変更可能である。遮光フード13は、受光部が受光する光の範囲を定める。遮光フード13は、ウインドシールドWGと対向する表面に、遮光シート13Sを備える。遮光シート13Sは、台形状を有した黒色シートであり、例えば、遮光フード13の表面に貼り付いている不織布である。遮光シート13Sは、太陽光や街灯などの外光を散乱させて、カメラユニット14の受光部に外光が入射することを抑える。
【0021】
ここで、車室の湿度が高い場合や、車外の温度が低い場合には、露、霜、氷などがウインドシールドWGに付着する。車両周囲の他車両による反射光や、車両周囲の障害物による反射光は、ウインドシールドに付着した露、霜、氷などによって散乱されてしまう。車両用ウインドシールド装置は、車両周囲の他車両や車両周囲の障害物を高い精度で検知するため、面状発熱体20を備える。
【0022】
図2が示すように、遮光フード13の裏面は、例えば、ウインドシールドWGに向けて突き出る屈曲面状や緩やかに突き出る曲面状を有する。遮光フード13の裏面は、面状発熱体20によって加熱される対象である。面状発熱体20は、遮光フード13の裏面に位置する。面状発熱体20が加熱する対象領域は、遮光シート13Sとほぼ等しい形状を有する。なお、面状発熱体20が加熱する対象領域は、遮光シート13Sよりも大きくてもよいし、遮光シート13Sよりも小さくてもよく、車両用ウインドシールド装置に求められる要請に応じて適宜変更可能である。面状発熱体20が加熱する対象領域の面積は、例えば、15cmである。
【0023】
カメラユニット14は、カメラユニット14の受光部14Sを遮光シート13SよりもウインドシールドWGの側に向ける。カメラユニット14は、カメラユニット14の前方に位置する物体による反射光を、ウインドシールドWGを通して受光する。受光部が受光する光の範囲は、受光部が備えるレンズの画角、および、上述した遮光フード13の形状によって定められる。
【0024】
[面状発熱体20]
図3が示すように、面状発熱体20は、面状熱良導体21、表側絶縁フィルム22、通電部23、裏側絶縁フィルム24、保護回路25、固定テープ26、第1弾性シート27、および、第2弾性シート28を備える。なお、以下では、面状発熱体20における層構成を説明する便宜上、面状発熱体20において、面状発熱体20に対する遮光フード13の側を表側、表側とは反対側を裏側と称する。
【0025】
面状熱良導体21は、金属製フィルムや金属テープ、高熱伝導性樹脂製フィルムや高熱伝導性樹脂製テープである。面状熱良導体21は、例えば、厚さが0.5mmのアルミニウムフィルム、あるいは、アルミニウムテープである。面状熱良導体21が有する熱伝導率は、表側絶縁フィルム22、裏側絶縁フィルム24、固定テープ26、第1弾性シート27、および、第2弾性シート28よりも高い。面状熱良導体21は、面状発熱体20の表面において、面状熱良導体21が位置する範囲での温度分布の均一性を高める。
【0026】
表側絶縁フィルム22は、面状発熱体20の使用温度において、絶縁性、および、耐熱性を有したフィルムである。表側絶縁フィルム22は、例えば、厚さが0.1mmのポリイミドフィルムである。表側絶縁フィルム22の裏面(図3における紙面手前側の面)は、粘着剤を備える。表側絶縁フィルム22は、通電部23と他の導体との電気的な接続を絶縁して、通電部23の電気的な特性を保護する。また、表側絶縁フィルム22は、面状発熱体20の表側から発熱部231に伝わる衝撃を軽減して、通電部23の機械的な特性を保護する。
【0027】
通電部23は、1本の発熱線から構成される発熱部231と、2本の導線から構成される配線部232A,232Bとを備える。発熱部231を構成する発熱線は、表側絶縁フィルム22の裏面に追従した形状を有する。
【0028】
配線部232Aは、熱収縮チューブを通して、一方のリード線25Cに接続されている。配線部232Bは、熱収縮チューブに収容されて、保護回路25に接続されている。発熱部231は、リード線25C、および、配線部232A,232Bを通じて電流を供給されて、定格量の熱を発熱する。発熱部231が発熱する定格量の熱は、例えば、0.5W/cmである。
【0029】
裏側絶縁フィルム24は、面状発熱体20の使用温度において、絶縁性、および、耐熱性を有したフィルムである。裏側絶縁フィルム24は、通電部23と他の導体との電気的な接続を絶縁して、通電部23の電気的な特性を保護する。裏側絶縁フィルム24は、表側絶縁フィルム22よりも薄く、例えば、厚さが0.03mmのポリイミドフィルムである。
【0030】
保護回路25は、面状発熱体20の温度を所定の範囲内に抑制する。保護回路25は、温度ヒューズから構成される。温度ヒューズの一端部は、熱収縮チューブに収容されて、配線部232Bに接続されている。温度ヒューズの他端部は、他方のリード線25Cに接続されている。
【0031】
各リード線25Cは、通電部23、および、保護回路25を外部の回路に接続する。各熱収縮チューブ25A,25Bは、各熱収縮チューブ25A,25Bに通される通電部23やリード線25Cの接続を、熱収縮チューブ25A,25Bの収縮によって締結する。固定テープ26は、裏側絶縁フィルム24に保護回路25を固定する。固定テープ26は、絶縁性、および、耐熱性を有した、例えばポリイミドテープである。
【0032】
第1弾性シート27は、面状発熱体20の使用温度において、断熱性、断水性、グリップ性などを有する。第1弾性シート27は、例えば、発泡樹脂フィルム、あるいは、ゴムフィルムである。第1弾性シート27は、第2弾性シート28よりも高い衝撃吸収性を備え、例えば、難燃性を備えた、厚さが2mmのウレタンフィルムである。第1弾性シート27は、裏側絶縁フィルム24と第2弾性シート28とに密着し、また、固定テープ26と、第2弾性シート28とに密着する。
【0033】
第2弾性シート28は、面状発熱体20の使用温度において、断熱性、耐衝撃性などを有する。第2弾性シート28は、例えば、発泡樹脂フィルム、あるいは、ゴムフィルムである。第2弾性シート28は、第1弾性シート27よりも高い非透湿性を備え、例えば、防塵性を兼ね備えた、厚さが1mmのポリオレフィン発泡フィルムである。
【0034】
図4が示すように、通電部23と、保護回路25とは、1つの直列回路を構成する。直列回路の入力端子と、出力端子とは、別々のリード線25Cを介して、外部コネクター29に接続されている。外部コネクター29における一方の端子は、接地電位に接続され、外部コネクター29における他方の端子は、イグニッション電源に接続されている。
【0035】
[通電部23]
図5は、通電部23が有する構造の一例を示し、図6は、通電部23が有する構造の他の例を示す。
【0036】
図5、および、図6に示すように、通電部23は、1本の発熱線が面状に張り巡らされた発熱部231と、発熱部231に電力を供給する配線部232A,232Bとを備える。発熱部231は、直線状部231Lと折り返し部231Eとを備える。直線状部231Lは、相互に平行な複数の直線上に位置する。折り返し部231Eは、発熱部231の周縁上に位置し、相互に隣り合う直線状部231Lの端部を接続する。
【0037】
発熱部231を構成する発熱線は、例えば、帯状を有し、厚さが0.03mmのSUS304から構成される。発熱部231の形状、および、大きさは、遮光シート13Sの形状、および、大きさとほぼ等しい。なお、発熱部231の形状は、遮光シート13Sと異なる形状に変更可能である。また、発熱部231の大きさは、遮光シート13Sよりも大きくてもよいし、遮光シート13Sよりも小さくてもよい。
【0038】
発熱部231において、発熱線の幅WLは、相互に隣り合う直線状部231Lの間の幅WPよりも広い。相互に隣り合う直線状部231Lの間の幅WPは、例えば、0.4mm以上0.6mm以下である。発熱線の幅WLは、例えば、相互に隣り合う直線状部231Lの間の幅WPの1.4倍以上1.6倍以下である。なお、発熱線の幅WLは、発熱線の延在方向と直交する方向での発熱線の長さである。相互に隣り合う直線状部231Lの間の幅WPは、直線状部231Lの延在方向と直交する方向での間隙の長さである。
【0039】
配線部232A,232Bは、2本の導線から構成される。各導線の一方の端部は、発熱部231における別々の端部と接続されている。各導線は、発熱部231の外側で、相互に異なる箇所に引き回されている。各導線の他方の端部は、発熱部231の外側で、隙間を空けて並ぶよう位置する。
【0040】
配線部232A,232Bを構成する導線は、例えば、帯状を有し、厚さが0.03mmのSUS304から構成される。導線の幅WCは、発熱線の幅WLよりも広く、例えば、2mm以上4mm以下である。配線部232A,232Bが有する電気抵抗率は、発熱部231が有する電気抵抗率と比べて十分に低い。配線部232A,232Bが有する電気抵抗率は、発熱部231が発熱するときに、通電部23が有する温度分布に影響を及ぼさない程度である。
【0041】
[面状熱良導体21]
図7は、面状熱良導体21が有する構造の一例を示し、図8は、面状熱良導体21が有する構造の他の例を示す。
【0042】
図7が示すように、面状熱良導体21の一例は、表側絶縁フィルム22とほぼ等しい形状、および、大きさを有する。面状熱良導体21は、発熱部231の全てを覆い、配線部232A,232Bのなかで発熱部231に接続された一部を覆う。面状熱良導体21は、金属製フィルムや高熱伝導性樹脂製フィルムであって、遮光フード13と表側絶縁フィルム22とに挟まれている。あるいは、面状熱良導体21は、金属テープや高熱伝導性樹脂製テープであって、表側絶縁フィルム22に貼り付けられて、表側絶縁フィルム22に対し位置決めされている。
【0043】
そして、発熱部231が発熱するとき、発熱部231が出力する熱は、まず、面状熱良導体21に伝わる。面状熱良導体21に伝わる熱は、面状熱良導体21の全体で均一化が図られながら放熱される。結果として、通電部23が有する温度分布は、発熱線が張り巡らされたルート上のみを高温とすることなく、面状熱良導体21が位置する範囲、すなわち、通電部23の全体で均一化が図られる。
【0044】
図8が示すように、面状熱良導体21の他の例は、表側絶縁フィルム22と相似形であって、表側絶縁フィルム22よりも小さい。面状熱良導体21は、発熱部231のなかで中央部を含む一部を覆う。面状熱良導体21は、配線部232A,232Bとは重ならない位置に配置されている。面状熱良導体21は、金属テープや高熱伝導性樹脂製テープであって、表側絶縁フィルム22に貼り付けられて、表側絶縁フィルム22に対し位置決めされている。
【0045】
そして、発熱部231が発熱するとき、発熱部231が出力する熱は、発熱部231の一部から面状熱良導体21に伝わり、発熱部231の他部からは表側絶縁フィルム22を通して放熱される。面状熱良導体21に伝わる熱は、面状熱良導体21の全体で均一化が図られながら放熱される。結果として、通電部23が有する温度分布は、面状熱良導体21が位置する範囲、すなわち、発熱部231の中央部を含む一部のみで、発熱線が張り巡らされたルート上のみを高温とすることなく、均一化が図られる。
【0046】
上記実施形態によれば、以下の列挙する効果が得られる。
(1)面状発熱体20による加熱に際して、面状熱良導体21が発熱部231の全てを覆う構成であれば、加熱される対象領域の全てで温度分布の均一化が図られる。
【0047】
(2)面状発熱体20による加熱に際して、面状熱良導体21が発熱部231の一部のみを覆う構成であれば、加熱される対象領域内において所望の範囲のみで温度分布の均一化が図られる。
【0048】
(3)表側絶縁フィルム22と遮光フード13とが面状熱良導体21を挟む、あるいは、表側絶縁フィルム22に面状熱良導体21を貼り付けることによって、上記(1)、(2)に準じた効果が得られる。したがって、面状発熱体20の主たる製造工程を変更することなく、温度分布の均一化を図ることが可能ともなる。
【0049】
(4)面状発熱体20による加熱の開始に際しては、発熱線が張り巡らされていない発熱線間などにおいて、面状熱良導体21が配置された範囲の全てで、昇温の応答性を高めることが可能となる。結果として、車両用ウインドシールド装置による検知などの機能を車両の運転開始時から発揮することが可能となる。
【0050】
(5)金属が固有に有する展性を面状熱良導体21が面状発熱体20に付与するため、面状発熱体20において面形状を変えることが許容可能ともなる。結果として、遮光フード13の形状に面状発熱体20を追従させることが容易ともなる。
【0051】
(6)面状熱良導体21が表側絶縁フィルム22に貼り付けられる構成であれば、面状熱良導体21が通電部23に対して位置決めされる。そのため、面状熱良導体21によって温度分布の均一化が図られる部位が、面状発熱体20において安定する。
【0052】
(7)面状熱良導体21がフィルムである場合には、あるいは、面状熱良導体21がテープである場合には、面状熱良導体21が有する熱容量が過大になることが抑えられるため、温度分布の均一化が可能であって、かつ、昇温時、および、降温時の出力の応答性が向上可能ともなる。
【0053】
(8)相互に隣り合う直線状部231Lの間の幅WPは、0.4mm以上0.6mm以下であり、発熱線の幅WLは、相互に隣り合う発熱線の間の幅WPの1.4倍以上1.6倍以下である場合には、発熱線の配置が均一かつ緻密になるため、面状発熱体20における単位面積ごとの発熱量の均一性を高めることが可能ともなる。
【0054】
上述した実施形態は、以下のように適宜変更して実施できる。
[発熱部231]
・発熱部231は、2本以上の発熱線から構成されてもよい。例えば、発熱部231は、発熱部231の外周部と、外周部よりも内側に位置する内周部とに、別々の発熱線で構成可能である。また例えば、発熱部231は、発熱部231と対向する方向から見て、右側半分と、左側半分とに、別々の発熱線で構成可能でもある。
【0055】
これらの構成によれば、各発熱線で区切られた領域で、相互に異なる発熱量を出力することも可能となる。そして、各発熱線で区切られた領域の境界に面状熱良導体21が位置する場合には、領域間での急激な温度変化を抑えることが可能ともなる。
【0056】
・発熱部231は、直線状部231Lを曲線状や波線状に変更することも可能である。
[配線部232A,232B]
・配線部232A,232Bの端部は、発熱部231の外縁上において相互に異なる部位に位置していてもよい。また、発熱線の端部に接続された各導線は、当該接続された点から発熱部231の外側に延び、そして、各リード線25Cに接続されてもよい。
【0057】
[面状熱良導体21]
・面状熱良導体21を構成する材料は、アルミニウム、銅、銀などの金属の他、炭素、無機酸化物のセラミックス、あるいは、これらの複合材料を用いることも可能である。また、面状熱良導体21を構成する材料は、圧延されたフィルムの他、多数の繊維から構成されるシートを用いることも可能である。
【0058】
・面状熱良導体21の大きさは、通電部23、または、遮光フード13と比べて十分大きくてもよい。また、面状熱良導体21の形状は遮光フード13の有する台形状に限らず、円形状、楕円形状、多角形状などの各種面形状に変更してもよい。
【0059】
・面状熱良導体21は、通電部23のなかで発熱部231以外の部分のみを覆うことも可能である。この構成によれば、発熱部231以外の部位、例えば、加熱の対象領域を囲い一定の低温が求められる領域のように、発熱部231の周囲において温度分布の均一化を図ることが可能ともなる。要は、面状熱良導体21は、通電部23の少なくとも一部を覆っていればよい。
【0060】
・面状熱良導体21は、遮光フード13と別体であって、カメラカバーに対し遮光フードが組みつけられることによって、カメラカバーと遮光フード13とに挟まれて、それによって、カメラカバーに保持されてもよい。
【0061】
・遮光フード13が面状熱良導体21を備える場合に、面状熱良導体21を遮光フード13の裏面に貼り付ける構成の他、遮光フード13の表側であって、かつ、遮光シート13Sの裏側に面状熱良導体21を保持する構成、または、遮光フード13と一体に面状熱良導体21をインサート形成する構成が採用可能である。
【符号の説明】
【0062】
WG…ウインドシールド、WL,WP…幅、11…カメラカバー、12…カメラブラケット、13…遮光フード、13S…遮光シート、14…カメラユニット、20…面状発熱体、21…面状熱良導体、22…表側絶縁フィルム、23…通電部、231…発熱部、231L…直線状部、231E…折り返し部、232A,232B…配線部、24…裏側絶縁フィルム、25…保護回路、25A,25B…熱収縮チューブ、25C…リード線、26…固定テープ、27…第1弾性シート、28…第2弾性シート、29…外部コネクター。
図1
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図8