(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】心臓代用弁及び送達
(51)【国際特許分類】
A61F 2/24 20060101AFI20221220BHJP
【FI】
A61F2/24
(21)【出願番号】P 2020537146
(86)(22)【出願日】2019-01-04
(86)【国際出願番号】 US2019012406
(87)【国際公開番号】W WO2019136292
(87)【国際公開日】2019-07-11
【審査請求日】2020-08-07
(32)【優先日】2018-01-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520355389
【氏名又は名称】ジェイシー メディカル、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウォルシュ、ブランドン ジー.
(72)【発明者】
【氏名】チャン、チー
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、チェン ヨン
(72)【発明者】
【氏名】チュー、ジンファ
(72)【発明者】
【氏名】マクマホン、デニス マイケル
【審査官】土谷 秀人
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-521854(JP,A)
【文献】特表2016-516492(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0128203(US,A1)
【文献】特表2008-523922(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁アンカーであって、前記弁アンカーの長手方向軸を中心として延在する少なくとも1つのU字形部材を有し、前記U字形部材はピーク部分及びベース部分を有し、前記ピーク部分は係合領域を有し、前記弁アンカーは、自然弁構造に係合するために圧縮構成から拡張可能であり、隣接するU字形部材の前記ピーク部分がともに結合されて、それぞれの係合領域を形成する、弁アンカーと、
圧縮構成、拡張構成、並びに第1の端部分及び第2の端部分を有する拡張可能弁フレームであって、前記拡張可能弁フレームは前記自然弁構造において前記弁アンカー内で拡張するように構成されている、拡張可能弁フレームと、
前記弁アンカーを前記拡張可能弁フレームと相互接続する連結機構であって、前記連結機構は、前記拡張可能弁フレームに結合され、前記U字形部材にスライド可能に結合され、前記連結機構は、前記ピーク部分の前記係合領域内に捕捉されるように前記ベース部分から前記U字形部材に沿ってスライド可能であり、前記連結機構は、前記ピーク部分の前記係合領域内に捕捉されると、前記拡張可能弁フレームの前記弁アンカーに対する軸方向運動を制限する、連結機構と
を備える、代用弁。
【請求項2】
(i)送達位置において、前記弁アンカー及び前記拡張可能弁フレームは前記圧縮構成にあり、前記拡張可能弁フレームは前記弁アンカーに対して遠位に位置決めされ、前記連結機構は、前記弁アンカーの前記ベース部分から前記拡張可能弁フレームの前記第1の端部分にわたって前記拡張可能弁フレームの前記第2の端部分に向かって延伸し、(ii)中間拡張位置において、前記弁アンカーは拡張構成にあり、前記拡張可能弁フレームは前記圧縮構成にあり、前記拡張可能弁フレームは前記弁アンカーに対して近位に位置決めされ、前記連結機構は、前記弁アンカーの前記ピーク部分から前記拡張可能弁フレームの前記第1の端部分に向かって延伸し、(iii)重複位置において、前記弁アンカー及び前記拡張可能弁フレームは長手方向において互いに重なり合い、前記拡張可能弁フレームは前記弁アンカー内に位置決めされ、前記連結機構は、前記弁アンカーの前記ピーク部分から前記拡張可能弁フレームにわたって前記拡張可能弁フレームの前記第2の端部分に向かって延伸する、請求項1に記載の代用弁。
【請求項3】
前記連結機構が前記係合領域内に係合されると、前記弁アンカーは、前記拡張構成に向かって拡張することを可能にされる、請求項1に記載の代用弁。
【請求項4】
前記連結機構は縫合を含む、請求項1に記載の代用弁。
【請求項5】
前記弁アンカーは複数のU字形部材を備え、前記縫合は、前記縫合が(i)前記拡張可能弁フレームにある第1の周方向位置から、(ii)次いで、第1のU字形部材の第1の脚部へ、(iii)次いで、第2のU字形部材の第2の脚部へと延在し、ここで、前記第1のU字形部材は前記第2のU字形部材に相互接続されており、(iv)次いで、前記第1の周方向位置へと延在する織りパターンを有する、請求項4に記載の代用弁。
【請求項6】
前記ピーク部分の前記係合領域は、前記連結機構を内部に受け入れ、保持するために、間に配置されている、コーブ形状を有する二重ピークを備える、請求項1に記載の代用弁。
【請求項7】
弁アンカーであって、前記弁アンカーの長手方向軸を中心として延在する少なくとも1つのU字形部材を有し、前記U字形部材は、当該U字形部材間にピーク部分及びベース部分を有し、前記ピーク部分は、前記弁アンカーに結合された連結機構の軸方向運動を制限すると共に前記U字
形部材に沿った前記連結機構の運動を制限するために前記連結機構に沿って捕捉することができる係合領域を有し、前記弁アンカーは、自然弁構造に係合するために圧縮構成から拡張可能である、弁アンカーを備える、代用弁。
【請求項8】
前記ベース部分は、前記U字形部材の中間位置から延在する把持舌部を有し、前記把持舌部は、送達デバイスの捕捉機構に結合されるように構成されている、請求項7に記載の代用弁。
【請求項9】
圧縮構成、拡張構成、並びに第1の端部分及び第2の端部分を有する拡張可能弁フレームであって、前記拡張可能弁フレームは前記自然弁構造において前記弁アンカー内で拡張するように構成されている、拡張可能弁フレームをさらに備える、請求項7に記載の代用弁。
【請求項10】
前記弁アンカーを前記拡張可能弁フレームと相互接続する前記連結機構であって、前記連結機構は、前記拡張可能弁フレームに結合され、前記U字形部材にスライド可能に結合され、前記連結機構は、前記ピーク部分の前記係合領域内に捕捉されるように前記ベース部分から前記U字形部材に沿ってスライド可能であり、前記連結機構は、前記ピーク部分の前記係合領域内に捕捉されると、前記拡張可能弁フレームの前記弁アンカーに対する軸方向運動を制限する、連結機構をさらに備える、請求項9に記載の代用弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、各々参照によりその全体が本明細書に組み込まれている、2018年1月7日に出願した米国仮出願第62/614,489号、2018年11月6日に出願した米国仮出願第62/756,556号、及び、2018年12月18日に出願した米国仮出願第62/781,537号の利益及び優先権を主張する。
【0002】
本開示は、心臓代用弁の経皮送達及び埋め込みのためのデバイス及び方法に関する。代用弁は、シース内に圧縮された状態で欠陥のある自然弁に送達することができ、in situで解放することができる。
【背景技術】
【0003】
心臓代用弁は、損傷又は疾患のある心臓弁に置き換えるために使用される。脊椎動物において、心臓は、各々独自の一方向弁を与えられた4つの圧送腔、すなわち、左心房及び右心房並びに左心室及び右心室を有する筋肉性の器官である。自然心臓弁は、大動脈弁、僧帽弁(又は二尖弁)、三尖弁及び肺動脈弁とされている。心臓代用弁は、これらの天然の弁のうちのいずれかを置き換えるために使用することができるが、大動脈弁又は僧帽弁の修復又は置換がより一般的である。これは、大動脈弁又は僧帽弁が、圧力が最も大きい心臓の左側に存在するためである。
【0004】
従来の心臓弁置換手術は、胸部の縦切開を通じて患者の胸腔において心臓にアクセスすることを伴う。例えば、胸骨正中切開は、胸骨を通じて切断し、胸郭の2つの対向する半部を離して押し広げ、内部の胸腔及び心臓にアクセスすることを可能にすることを必要とする。患者はその後、内腔にアクセスすることを可能にするために心臓を停止させることを伴う、心肺バイパス法を受ける。そのような心臓切開手術は特に侵襲的であり、長く困難な回復期を伴う。
【0005】
関連技術の上記の実例及びそれに関連する制限は、排他的ではなく、例示であるように意図されている。本明細書を読み、図面を研究すれば、関連技術の他の制限が当業者には諒解されよう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許第8,366,768号
【文献】米国仮出願第62/756,556号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、大動脈弁のような、患者の欠陥のある自然弁構造へと心臓代用弁を送達するのを容易にすることができる、心臓代用弁、送達デバイス、及び作動ハンドルに関する。いくつかの実施例において、送達は、経カテーテル・アプローチを使用して実施することができる。
【0008】
送達デバイス及び作動ハンドルは、臨床医が、経大腿アプローチのような、経血管アプローチを使用して、心臓に至る血管を通じて、及び、そのような血管のねじれを通じて、送達装置をより容易に操作し、前進させることを可能にすることができる。事実、本明細書において開示されているいくつかの実施例は、心臓代用弁の構成要素が、依然として互いに可動に接続、可動に付着、柔軟に接続、変位可能に接続、連結、又は結合されたままで、その結果、送達デバイスの通過プロファイル又は断面積を最小限にしながら、(構成要素間で部分的又は完全な重なり合いがある又はない)軸方向変位ユニットとして縦一列になって前進されることを可能にする。任意選択的に、心臓代用弁の構成要素が逐次変位され得る距離は、様々な構成要素が隣接して又は場合によって数インチ若しくは数フィート離れるように、可変であってもよい。さらに、心臓代用弁の構成要素の相互接続は、複数の異なる度合いで運動することを可能にすることができ、運動範囲を制限することを可能にする係合又は保持位置に設定することができる。いくつかの実施例において、係合位置はまた、心臓代用弁の適切な配置及び解放を容易にするために、心臓代用弁の構成要素の事前設定された相対的な位置付けを可能にすることもできる。加えて、いくつかの実施例は、臨床医が、高度に制御することを可能にすることができ、標的位置において心臓代用弁を埋め込むときに、心臓代用弁の操作性を向上させることができる。
【0009】
いくつかの実施例によれば、経カテーテル大動脈弁留置術(TAVI)及び/又は経カテーテル大動脈弁置換術(TAVR)のための手技が提供される。例えば、TAVI手技において、臨床医は、代用弁葉構造の配置を案内するために、大動脈弁輪に対して心臓代用弁の固定構成要素を固定することができる。代用弁は、代用弁葉と、固定構成要素と、弁フレーム構成要素と、固定構成要素及びフレーム構成要素が、送達デバイスの全体的な通過プロファイルを低減するために、送達デバイス内で直列的に配置されることを可能にする、係留構成要素とを備えることができる。係留構成要素は、一定範囲の運動を可能にし、実施例によっては他の運動を制約するために、固定構成要素及びフレーム構成要素に結合することができる。係留構成要素は、解放位置と保持位置との間で、固定構成要素に対してスライド可能とすることができる。保持位置において、係留構成要素は、弁フレーム構成要素の相対運動、並びに、代用弁の配置及び解放を容易にすることができる、弁フレーム構成要素が固定構成要素に対して最適に配置される事前設定の又は所定の位置を可能にすることができる。
【0010】
例えば、いくつかの実施例において、相互接続は、固定構成要素の「U字形」部材の周りで係留構成要素に輪をかける新規の手法を使用して実施することができる。係留構成要素は、固定構成要素上の進行距離の終端に達するまで、固定構成要素に沿ってスライドすることができる。臨床医は、係留構成要素が係合領域内に載置されるまで、係留構成要素に張力をかけることができる。この作用は、係留構成要素をラチェットし、係留構成要素を固定構成要素の係合領域に係合することができる。その後、係留構成要素は、臨床医による、固定構成要素の大動脈洞領域への配置のみに基づいて(臨床医は配置を蛍光透視法で確認することができ、配置を「感じる」ことができる)、固定構成要素に対する弁フレーム構成要素の固定の長手方向進行範囲、及び、その後、解剖学的構造における弁フレーム構成要素の適切な位置を確立する。
【0011】
したがって、本明細書において開示されるいくつかの実施例は有利には、通過プロファイル又は断面積が低減しており、その結果、従来の手法よりも安全且つ低侵襲的に心臓代用弁を送達することを可能にする送達デバイスを提供する。そのため、大腿動脈のような血管内のアクセス・ポイントを介してカテーテルを使用して、心臓代用弁を心臓へと前進させることができるため、心臓切開手術を回避することができる。これは、いくつか例を挙げると、患者に対する外傷がより少ないこと、回復が大いに容易であること、及び、場合によっては手術の危険性がより少ないことを含む、多大な利益を患者に与える。
【0012】
さらに、固定構成要素及び弁フレーム構成要素を順次配置することによって、低プロファイル送達デバイスを作成するという課題が克服されるが、この相互接続の有利な構成は、代用弁を自然弁構造内に最適に位置決めし、代用弁を適所に確実に固定する方法という、また別の重要な課題を克服する。事実、本明細書において開示されるいくつかの実施例は、この課題に対処し、送達装置内で固定構成要素を弁フレーム構成要素に動作可能に結合するために係留構成要素を使用するための構造及び方法を教示する。
【0013】
送達デバイスは、固定構成要素の少なくとも一部分を収容することができる近位シースと、弁フレーム構成要素の少なくとも一部分を収容することができる遠位キャリア・アセンブリとを備えることができる。代用弁が送達デバイスに装填されるとき、係留構成要素は、固定構成要素と弁フレーム構成要素との間に延在することができる。代用弁は、臨床医が最初に固定構成要素を、続いて弁フレーム構成要素を操作及び位置決めすることを可能にする構成要素ごとの様式で、送達デバイスから解放することができる。
【0014】
いくつかの実施例において、固定構成要素は、臨床医が固定構成要素を押す又は引くことを可能にする、送達デバイスの係合部材又は捕捉手段に結合することができる。捕捉手段は、固定構成要素が自然弁輪に対して適切に載置されると、固定構成要素との係合から解放することができる。
【0015】
加えて、いくつかの実施例において、送達デバイスの遠位キャリア・アセンブリは、2つの構成要素を備えることができるか、又は、2部品ノーズ・コーン・アセンブリとして参照することができる。いくつかの実施例によれば、弁フレーム構成要素の大部分を覆うために単一の管状部材又はノーズ・コーンが使用される場合、標的弁構造への送達中に弁フレーム構成要素をその圧縮構成に維持するのに必要な拡張力及び対応する圧縮力に起因して、様々な問題が生じる可能性があることが認識される。送達デバイスは非常に長くなる可能性がある(例えば、実施例によっては最大約4~6フィート以上、ただし、長さは4、3、又は2フィート未満になり得る)ため、これらの力は、送達デバイスのはるかに堅固な遠位区画を作成し得る。さらに、これらの力は、弁埋め込みの半径方向力に起因する高い摩擦力に起因して、弁フレーム構成要素を解放するために高度の長手方向力を必要とする可能性がある。
【0016】
したがって、そのような構成の半径方向力及び摩擦力によって、ハンドル作動の適合の問題が生じ、送達デバイスの遠位端の精密な位置決めが非常に困難になる可能性がある。例えば、摩擦は、臨床医が代用弁の構成要素を互いに位置決めするのを困難にする可変摩擦になる傾向にあり、構成要素の位置決め又は展開を予測不可能及び/又は不正確にする可能性がある。したがって、本明細書におけるいくつかの実施例は、遠位キャリア又はノーズ・コーン・アセンブリを2つの構成要素(近位及び遠位筐体など)に分離することによって、構成要素がカバーする弁フレーム構成要素の表面積をより小さくすることができ、したがって、弁フレーム構成要素を作動又は解放するために克服する必要がある、単一の構成要素にかけられる半径方向力及び結果としての摩擦が低減するという認識を含む。そのため、単一の管状部材と関連付けられる問題がはるかに管理しやすくなる。
【0017】
加えて、いくつかの実施例において、2部品遠位キャリア・アセンブリはまた、臨床医が弁フレーム構成要素を有利な順序で解放することも可能にすることができる。例えば、本明細書において開示される代用弁、展開システム、及びハンドル・アクチュエータの試験及び展開中、いくつかの実施例は、弁フレーム構成要素の近位端部分が解放される前に、弁フレーム構成要素の遠位端部分が最初に開くことを可能にすることによって、有利な特性を実証する。いくつかの実施例において、弁フレーム構成要素は、外向きの拡張力(弁フレーム構成要素の自己拡張に起因する)及びその結果としての摩擦係合を補完することができる、1つ又は複数のアンカーを、その遠位端部分に有することができる。遠位端部分を最初に(遠位ノーズ・コーン又は筐体を作動させることによって)開くことによって、遠位端部分は「開花」し、自然弁構造と係合して、弁フレーム構成要素の長手方向位置を自然弁構造に対して固定することができる。その後、弁フレーム構成要素の半径方向外向きの自己拡張力によって、弁フレーム構成要素の近位端部分が、近位ノーズ・コーン又は筐体から係合解除及び解放され得る。
【0018】
いくつかの実施例はまた、送達アセンブリの構成要素が、解放状態(代用弁の構成要素が送達アセンブリとの係合から解放される状態)から、送達アセンブリの複数の部分の外側表面が継ぎ目において位置整合されるか又は当接位置にある入れ子状態又は収納状態に動かされることを可能にするための自己位置整合の特徴をも提供することができる。この位置整合、当接、又は位置決めは、送達アセンブリが患者の脈管構造から取り出されるときに、送達アセンブリが、解放された後の代用弁又は他の脈管構造ともつれ、又は、絡まるようになる可能性を低減することができる、より平滑な外側プロファイルを提供することができる。
【0019】
例えば、いくつかの実施例において、遠位キャリア又はノーズ・コーン・アセンブリは、内部プランジャ又はピストン機構を含むことができる。プランジャ機構は、弁フレーム構成要素が送達デバイス内に装填されるときに、圧縮することができる。弁フレーム構成要素が解放されると、プランジャ機構のばねが、プランジャ・ヘッドを、遠位キャリア・アセンブリに対する所定の位置に押すことができる。いくつかの実施例によれば、所定の位置において、プランジャ・ヘッドは、遠位筐体から部分的に露出することができ、近位筐体と遠位筐体とを互いに対して当接関係において位置整合させるために、近位筐体と係合するように構成することができる。それゆえ、プランジャ・ヘッドは、送達デバイスの取り出し中に、送達デバイスが代用弁又は他の脈管構造に引っかかるか又はもつれる可能性を低減するために、近位筐体と遠位筐体の両方と係合することができる。加えて、そのような特徴はまた、送達デバイスを導入シース内へと近位に後退させるのを補助することもできる。その上、プランジャ・ヘッドはまた、弁フレーム構成要素の遠位端部分と接触し、弁フレーム構成要素の入り組んだ網目に引っかからない又はもつれないようにすることができる近位面を提供することもでき、弁フレーム構成要素が送達装置に引っかかることなく開くことができることを保証する。したがって、いくつかの実施例は、代用弁及び/又は送達デバイスが互い同士又は周囲の解剖学的構造に引っかかるか又はもつれる問題に対処するこれらの有利な特徴のうちの1つ又は複数を含むことができる。
【0020】
さらに、送達デバイスの断面プロファイルが低減されることに起因して、周囲の脈管構造に対する外傷の危険性を低減して、血管(経大腿逆行性アプローチにおける大腿動脈など)を通じた代用弁の逆行送達を可能にすることができる。例えば、大腿動脈を通じた代用弁の逆行送達は、大動脈と大腿動脈との間の傷害及び/又は破裂と関連付けられており、送達が大動脈弓に交差することを伴うとき、潜在的な脳卒中の危険性を伴う。しかしながら、本明細書において開示されるいくつかの実施例を使用して達成される様々な特徴及び利点は、埋め込み手技の侵襲性をも最小限にしながら、デバイスの送達経路に沿った損傷を最小限にする代用弁及び送達デバイスを提供する。
【0021】
本発明のデバイス及び方法の追加の実施例などは、以下の説明、図面、実例、及び特許請求の範囲から諒解されよう。上記及び以下の説明から諒解され得るように、本明細書において説明されているあらゆる特徴、及び、そのような特徴の2つ以上のあらゆる組み合わせは、そのような組み合わせに含まれる特徴が相互に矛盾しないことを条件として、本開示の範囲内に含まれる。加えて、任意の特徴又は特徴の組み合わせは、本開示の任意の実施例から特異的に除外又は省略され得る。本開示の追加の態様及び利点は、特に添付の実例及び図面とともに考慮される場合、以下の説明及び特許請求の範囲に記載されている。
【0022】
本主題の技術のさらなる特徴及び利点は、下記の説明に記載され、一部はその説明から明らかになるか、又は、本主題の技術を実践することによって学習することができる。本主題の技術の利点は、本明細書及びこれに関する実施例並びに添付の図面に特に指摘されている構造によって実現及び達成される。
【0023】
代用弁、送達デバイス、作動ハンドル、他のデバイス、システムの特定の特徴、及び、代用弁、送達デバイス、作動ハンドル、他のデバイス、システムを用いて実施することができる方法、並びに、本開示において論じられている方法は、例えば、Ji Zhang、Brandon G. Walsh、Cheng Yong Yang、Jinhua Zhu、及びDennis Michael McMahonによって2019年1月4日付けで提出された「心臓代用弁(HEART VALVE PROSTHESIS)」と題する国際出願第____号(整理番号:122271-5044)、並びに、Ji Zhang、Brandon G. Walsh、及びCheng Yong Yangによって2019年1月4日付けで提出された「心臓代用弁送達システム(PROSTHETIC HEART VALVE DELIVERY SYSTEM)」と題する国際出願第____号(整理番号:122271-5048)に記載されている代用弁、送達デバイス、作動ハンドル、他のデバイス、システム、及び方法の特徴を実施することができ、及び/又は、それらの他の特徴と組み合わせて使用することができる。
【0024】
上記の一般的な説明と以下の詳細な説明は両方とも、例示且つ説明のためのものであり、本主題の技術のさらなる説明を提供するように意図されていることを理解されたい。
【0025】
本発明の例示的な実施例の様々な特徴が、図面を参照して下記に記載されている。例示されている実施例は、本発明を限定するのではなく、例示するように意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】いくつかの実施例による代用弁を示す図である。
【
図2A】いくつかの実施例による弁アンカーの図である。
【
図2B】いくつかの実施例による弁アンカーの図である。
【
図2C】いくつかの実施例による弁アンカーの図である。
【
図2D】いくつかの実施例による弁アンカーの図である。
【
図2E】いくつかの実施例による弁アンカーの図である。
【
図2F】いくつかの実施例による弁アンカーの図である。
【
図2G】いくつかの実施例による弁アンカーの図である。
【
図2H】いくつかの実施例による弁アンカーの図である。
【
図3A】いくつかの実施例による、連結機構が引張部材に結合されている位置から、連結機構が代用弁の係合領域内に保持されている位置まで動いている、代用弁の係合領域に沿った連結機構の漸進的な動きの拡大図である。
【
図3B】いくつかの実施例による、連結機構が引張部材に結合されている位置から、連結機構が代用弁の係合領域内に保持されている位置まで動いている、代用弁の係合領域に沿った連結機構の漸進的な動きの拡大図である。
【
図3C】いくつかの実施例による、連結機構が引張部材に結合されている位置から、連結機構が代用弁の係合領域内に保持されている位置まで動いている、代用弁の係合領域に沿った連結機構の漸進的な動きの拡大図である。
【
図4A】いくつかの実施例による、代用弁が弁送達デバイスに装填されている、
図1の代用弁の連結機構の種々の実施例を示す図である。
【
図4B】いくつかの実施例による、代用弁が弁送達デバイスに装填されている、
図1の代用弁の連結機構の種々の実施例を示す図である。
【
図4C】いくつかの実施例による、代用弁が弁送達デバイスに装填されている、
図1の代用弁の連結機構の種々の実施例を示す図である。
【
図4D】いくつかの実施例による、代用弁が弁送達デバイスに装填されている、
図1の代用弁の連結機構の種々の実施例を示す図である。
【
図4E】いくつかの実施例による、代用弁が弁送達デバイスに装填されている、
図1の代用弁の連結機構の種々の実施例を示す図である。
【
図4F】いくつかの実施例による、代用弁が弁送達デバイスに装填されている、
図1の代用弁の連結機構の種々の実施例を示す図である。
【
図4G】いくつかの実施例による、代用弁が弁送達デバイスに装填されている、
図1の代用弁の連結機構の種々の実施例を示す図である。
【
図5】いくつかの実施例による、
図4Aの切断線5-5に沿った、弁送達デバイスに装填されている代用弁の側面断面図である。
【
図6A】いくつかの実施例による、弁アンカーの上から後退されている近位シースを示す、
図4Aの代用弁及び送達デバイスの側面図である。
【
図6B】いくつかの実施例による、
図6Aの代用弁及び送達デバイスの拡大詳細図である。
【
図6C】いくつかの実施例による、弁アンカーの上から後退されている近位シースを示す、
図4Bの代用弁及び送達デバイスの拡大詳細図である。
【
図6D】いくつかの実施例による、連結器運動制限手段を有する弁アンカーを有する代用弁の拡大詳細図である。
【
図6E】いくつかの実施例による、別の連結器運動制限手段を有する弁アンカーを有する別の代用弁の拡大詳細図である。
【
図7A】いくつかの実施例による、弁アンカーに係合するための捕捉機構を有する弁送達デバイスの図である。
【
図7B】いくつかの実施例による、弁アンカーに係合するための捕捉機構を有する弁送達デバイスの図である。
【
図7C】いくつかの実施例による、弁アンカーに係合するための捕捉機構を有する弁送達デバイスの図である。
【
図7D】いくつかの実施例による、弁アンカーに係合するための捕捉機構を有する弁送達デバイスの図である。
【
図7E】いくつかの実施例による、捕捉機構の側面図である。
【
図7F】いくつかの実施例による、捕捉機構の上面図である。
【
図7G】いくつかの実施例による、捕捉手段位置整合ハブを有する捕捉機構を有する弁送達デバイスの図である。
【
図7H】いくつかの実施例による、捕捉手段位置整合ハブを有する捕捉機構を有する弁送達デバイスの図である。
【
図7I】いくつかの実施例による、
図7Hの捕捉手段位置整合ハブ・アセンブリの図である。
【
図7J】いくつかの実施例による、弁アンカーに係合するための捕捉機構を有する弁送達デバイスの図である。
【
図7K】いくつかの実施例による、弁アンカーに係合するための捕捉機構を有する弁送達デバイスの図である。
【
図8A】いくつかの実施例による、送達デバイスの遠位キャリア・アセンブリ及び近位筐体の態様及び動作を示す側面及び端面断面図である。
【
図8B】いくつかの実施例による、送達デバイスの遠位キャリア・アセンブリ及び近位筐体の態様及び動作を示す側面及び端面断面図である。
【
図8C】いくつかの実施例による、送達デバイスの遠位キャリア・アセンブリ及び近位筐体の態様及び動作を示す側面及び端面断面図である。
【
図8D】いくつかの実施例による、送達デバイスの遠位キャリア・アセンブリ及び近位筐体の態様及び動作を示す側面及び端面断面図である。
【
図8E】いくつかの実施例による、
図4Aの送達デバイスの遠位キャリア・アセンブリの近位筐体の構造を示す、
図8Dの切断線8E-8Eに沿った断面図である。
【
図9A】いくつかの実施例による、ノーズ・コーン・プロテクタの斜視図である。
【
図9B】いくつかの実施例による、
図9Aのノーズ・コーン・プロテクタを有する送達デバイスの遠位キャリア・アセンブリの動作を示す側面断面図である。
【
図9C】いくつかの実施例による、
図9Aのノーズ・コーン・プロテクタを有する送達デバイスの遠位キャリア・アセンブリの動作を示す側面断面図である。
【
図9D】いくつかの実施例による、
図9Aのノーズ・コーン・プロテクタを有する送達デバイスの遠位キャリア・アセンブリの動作を示す側面断面図である。
【
図9E】いくつかの実施例による、
図9Aのノーズ・コーン・プロテクタを有する送達デバイスの遠位キャリア・アセンブリの動作を示す側面断面図である。
【
図9F】いくつかの実施例による、
図9Aのノーズ・コーン・プロテクタを有する送達デバイスの遠位キャリア・アセンブリの動作を示す側面断面図である。
【
図10A】いくつかの実施例による、
図4Aの送達デバイスの近位筐体の構造を示す斜視図である。
【
図10B】いくつかの実施例による、
図4Aの送達デバイスの近位筐体の構造を示す斜視図である。
【
図11A】いくつかの実施例による、経大腿逆行性アプローチを使用した、
図4Aの送達装置を使用して
図1の代用弁を送達するための方法の送達段階を示す図である。
【
図11B】いくつかの実施例による、経大腿逆行性アプローチを使用した、
図4Aの送達装置を使用して
図1の代用弁を送達するための方法の送達段階を示す図である。
【
図11C】いくつかの実施例による、経大腿逆行性アプローチを使用した、
図4Aの送達装置を使用して
図1の代用弁を送達するための方法の送達段階を示す図である。
【
図11D】いくつかの実施例による、経大腿逆行性アプローチを使用した、
図4Aの送達装置を使用して
図1の代用弁を送達するための方法の送達段階を示す図である。
【
図11E】いくつかの実施例による、経大腿逆行性アプローチを使用した、
図4Aの送達装置を使用して
図1の代用弁を送達するための方法の送達段階を示す図である。
【
図11F】いくつかの実施例による、経大腿逆行性アプローチを使用した、
図4Aの送達装置を使用して
図1の代用弁を送達するための方法の送達段階を示す図である。
【
図12A】いくつかの実施例による、経心尖順行性アプローチを使用した、
図4Aの送達装置を使用して
図1の代用弁を送達するための方法の送達段階を示す図である。
【
図12B】いくつかの実施例による、経心尖順行性アプローチを使用した、
図4Aの送達装置を使用して
図1の代用弁を送達するための方法の送達段階を示す図である。
【
図12C】いくつかの実施例による、経心尖順行性アプローチを使用した、
図4Aの送達装置を使用して
図1の代用弁を送達するための方法の送達段階を示す図である。
【
図12D】いくつかの実施例による、経心尖順行性アプローチを使用した、
図4Aの送達装置を使用して
図1の代用弁を送達するための方法の送達段階を示す図である。
【
図12E】いくつかの実施例による、経心尖順行性アプローチを使用した、
図4Aの送達装置を使用して
図1の代用弁を送達するための方法の送達段階を示す図である。
【
図12F】いくつかの実施例による、経心尖順行性アプローチを使用した、
図4Aの送達装置を使用して
図1の代用弁を送達するための方法の送達段階を示す図である。
【
図13A】いくつかの実施例による、弁送達デバイスの態様を制御するためのハンドル・アクチュエータの動作を示す図である。
【
図13B】いくつかの実施例による、弁送達デバイスの態様を制御するためのハンドル・アクチュエータの動作を示す図である。
【
図13C】いくつかの実施例による、弁送達デバイスの態様を制御するためのハンドル・アクチュエータの動作を示す図である。
【
図13D】いくつかの実施例による、弁送達デバイスの態様を制御するためのハンドル・アクチュエータの動作を示す図である。
【
図13E】いくつかの実施例による、弁送達デバイスの態様を制御するためのハンドル・アクチュエータの動作を示す図である。
【
図13F】いくつかの実施例による、弁送達デバイスの態様を制御するためのハンドル・アクチュエータの動作を示す図である。
【
図13G】いくつかの実施例による、弁送達デバイスの態様を制御するためのハンドル・アクチュエータの動作を示す図である。
【
図13H】いくつかの実施例による、弁送達デバイスの態様を制御するためのハンドル・アクチュエータの動作を示す図である。
【
図14】いくつかの実施例による、代用弁のフレーム構成要素を示す図である。
【
図15A】従来技術の代用弁及びその典型的な冠状動脈口の閉塞を示す図である。
【
図15B】いくつかの実施例による、1つ又は複数の冠状動脈口を通じた血流を有利に可能にすることができる、自然弁構造に対して位置決めされている
図14の代用弁を示す図である。
【
図16】いくつかの実施例による、代用弁の膜を形成するための方法の態様を示す図である。
【
図18】いくつかの実施例による、
図14の代用弁の膜を示す図である。
【
図19】いくつかの実施例による、
図18の膜の一部分の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下の詳細な説明において、本主題の技術の完全な理解を提供するために、多数の具体的な詳細が記載される。本主題の技術はこれらの具体的な詳細の一部なしに実践されてもよいことを理解されたい。他の事例において、本主題の技術を不明瞭にしないように、既知の構造及び技法は詳細には説明されていない。
【0028】
さらに、本開示は様々な実施例の具体的な詳細を記載しているが、その説明は例示に過ぎず、決して限定するものとして解釈されるべきではないことが諒解されよう。加えて、本開示の特定の実施例は代用大動脈弁の文脈において開示され又は示され得るが、そのような実施例は、他の心臓代用弁用途において使用されてもよいことが企図されている。さらに、当業者に想起され得る、そのような実施例及びそれに対する修正の様々な応用形態もまた、本明細書において記載されている一般概念によって包含される。
【0029】
ここで、様々な実施例を以降により十分に説明する。しかしながら、そのような実施例は、多くの異なる形態において具現化されてもよく、本明細書に記載の実施例に限定されるものと解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施例は、本開示が徹底的且つ完全になり、当業者にその範囲を完全に伝達するように提供されている。したがって、本明細書における実施例において示し又は他の様態で開示されている1つ又は複数の特徴は、そのような特徴を明示的に示し又は開示していない場合がある別の実施例と交換可能に使用されてもよく、又は、当該別の実施例に組み込まれてもよい。さらに、本明細書における実施例について示し又は他の様態で開示されている1つ又は複数の特徴は、当該技術分野における技能を使用して、明示的に示されていない限り、そのような実施例から除外されてもよい。
【0030】
すべての心臓弁と同様に、健康な大動脈弁は、血流を許容するために開き、血液の逆流を防止するために閉じる。しかしながら、弁の疾患及び機能障害の結果として、血流が逆流又は低減する可能性がある(狭窄症)。そのような場合、健康な大動脈弁の機能を実施するために、置換代用大動脈弁を使用しなければならない。
【0031】
代用弁が、例えば大腿動脈又は直接的に心臓へのアクセスを可能にする小切開を介して導入されるカテーテルを使用して患者に導入され得る低侵襲外科技法が発展している。これらの埋め込み技法は、切開外科的治療の対象とならない患者に対する処置選択肢の提供に有望な結果を示している。それにもかかわらず、代用弁のそのようなカテーテルベースの送達には依然として課題が残っている。
【0032】
例えば、本明細書において開示されている少なくとも1つの実施例の一態様によれば、血管を通じて従来の管状送達デバイスを前進させることによって、血管壁に対して応力が掛かり、血管壁を損傷する危険性がもたらされることが認識されている。さらに、本明細書において開示されている少なくとも1つの実施例の一態様によれば、経カテーテル代用弁は、大動脈弁逆流を患う患者を処置することが可能でない場合があることが認識されている。加えて、本明細書において開示されている少なくとも1つの実施例の一態様によれば、従来の代用弁は、位置決めするのが困難である場合があり、迅速な心室ペーシングを必要とする場合があり、拡張が制限されている場合があることが認識されている。したがって、従来の代用弁を埋め込み、使用する結果として、血管損傷、中症から重症の弁周囲逆流、弁血栓症/移動、冠状動脈閉塞、及び過剰な半径方向力に起因する過剰な応力など、合併症がもたらされる場合がある。
【0033】
本開示は、患者の欠陥のある心臓弁に送達することができる心臓代用弁の様々な態様を説明する。代用弁は、半径方向に拡張可能な弁支持体又はフレームに可動に接続、可動に付着、柔軟に接続、変位可能に接続、連結、又は結合される、少なくとも1つの弁アンカー又は把握手段を備えることができる。弁フレームは、代用弁葉又は弁尖を備えることができ、自然心臓弁の機能を提供することができる。本開示において論じられている人工器官によって実施することができる代用弁の特定の特徴は、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第8,366,768号にもさらに記載されている。
【0034】
したがって、本開示は、本明細書において明示的に論じられ又は例示されている実施例のいずれかに任意選択的に組み込むか、又は、当該実施例のいずれかから除外することができる様々な特徴を提供する。特徴のこれらの修正及び組み合わせは、本開示において論じられている利点及び利益を達成するために、当業者によって実施することができる。さらに、特定の修正又は組み合わせが本明細書において指示又は示唆されているが、当業者であれば、これらの教示の適切な実施例又は実施態様の展開において本明細書において開示されている特定の態様又は特徴を実施又は除外することができることが企図されている。有利には、本明細書において説明されている様々な実施例は、大動脈弁逆流を患う患者を処置することを可能にし、代用弁の精密な軸方向、角度位置、及び半径方向の位置決めを可能にし、弁輪への損傷を回避しながら弁移動及び弁周囲漏出を最小限に抑え、ペースメーカの必要性を最小限に抑え、冠状動脈が閉塞する可能性を低減する。
【0035】
ここで
図1~
図3を参照すると、代用弁100及びその構成要素が、様々な構成において示されている。代用弁100は、本明細書において開示されている送達デバイスの実施例を含む、適切な送達デバイスを使用して患者に送達することができる。代用弁100は、支持フレーム102と、支持フレーム102が可動に接続、可動に付着、柔軟に接続、変位可能に接続、連結、又は結合される固定構成要素又は弁アンカー104とを備えることができる。
【0036】
代用弁100は、代用弁100の構成要素が、依然として互いに可動に接続、可動に付着、柔軟に接続、変位可能に接続、連結、又は結合されたままで、その結果、送達システムの通過プロファイル又は断面積を最小限にしながら、直列に前進されるように構成することができる。代用弁100の構成要素の相互接続は、複数の異なる度合いで運動することを可能にすることができ、運動範囲を制限することを可能にする係合又は保持位置に設定することができる。いくつかの実施例において、係合位置はまた、代用弁100の適切な配置及び解放を容易にするために、代用弁100の構成要素の事前設定された相対的な位置付けを可能にすることもできる。加えて、いくつかの実施例は、臨床医が、高度に制御することを可能にすることができ、標的位置において代用弁100を埋め込むときに、代用弁100の操作性を向上させることができる。
【0037】
いくつかの実施例において、弁アンカー104は、支持フレーム102が送達及び拡張の前のコンパクトな構成にあるとき、支持フレーム102に結合することができる。いくつかの実施例において、弁アンカー104は、支持フレーム102に固定されない。さらに、弁アンカー104は、支持フレーム102とは別個のものとすることができ、又は、別個に形成し、後に支持フレーム102に結合することができる。したがって、例えば固定脚部など、弁アンカー104の少なくとも一部分は、支持フレーム102と接触するか、又は、他の様態で支持フレームに可逆的に付着若しくは接続され得るが、弁アンカー104のいずれの部分も、例えば溶接又は他の様態での不可逆的な接着など、支持フレーム102に固定されない。言い換えると、支持フレーム102と接触するか又は他の様態で可逆的に付着され得る弁アンカー104は、支持フレーム102に不可逆的に固定されない。
【0038】
さらに、標的位置に達すると、弁アンカー104は、弁アンカー104が最初に拡張されるときに、弁アンカー104全体が支持フレーム102から半径方向に変位されるのを防止するように、支持フレーム102に可動に結合することができる。例えば、弁アンカー104の部分は、標的位置にある自然弁構造に対して弁アンカー104が最初に「着陸」している間に、支持フレームから半径方向に変位される可能性がある。いくつかの実施例において、支持フレーム102は、自然心臓弁構造内で展開又は拡張され得、弁アンカー104は、支持フレームと自然弁組織との間に挟まれ得、少なくとも部分的に、及び場合によっては完全に固定化される。弁アンカー104は、自然弁構造内で拡張した支持フレーム102を適所に保持するように機能することができる。
【0039】
任意選択的に、支持フレーム102は、弁フレーム又は弁支持フレームとして参照される場合がある。
図1は、人工器官100が自然弁構造内で解放及び拡張されるときに達成される構成にある、弁アンカー104と位置整合し、弁アンカー内で拡張された支持フレーム102を示す。自然弁構造は、弁輪又は葉を含む。この拡張構成は、自然弁構造に係合することによって自然弁輪内で代用弁100を固定する役割を果たす。いくつかの実施例において、代用弁100の拡張構成は、自然弁葉を代用弁100の支持フレーム102と弁アンカー104との間に挟み又は圧縮することを介した、支持フレーム102及び弁アンカー104によってかけられる半径方向力による代用弁100の固定に対する依拠を低減することができる。さらに、本明細書においてさらに論じられるように、代用弁100の埋め込み中、支持フレーム102及び弁アンカー104は、自然弁輪及び周囲の構造に対する人工器官100の適切な位置決めを容易にするために、拡張及び/又は圧縮状態において互いに対して可動であり得る。事実、本明細書において開示されている人工器官100及び送達デバイスによって可能にされる様々な利点は、臨床医が、人工器官100の配置においてより高い精度を達成するとともに、そのような増大した精度をより容易に達成することを可能にする。
【0040】
図1を参照すると、支持フレーム102は、外側表面又は外面を備えることができ、長手方向軸120を中心とした中心開口部を規定する。長手方向軸120は、人工器官100の流入-流出軸に対応する。いくつかの実施例において、代用弁100は、支持フレーム102に結合される複数の代用弁葉又は弁尖106をさらに備える。支持フレーム102は、弁葉106に対する構造的支持を提供することができる。弁葉106は、人工器官100を通じた液体の一方向流のための可逆的にシール可能な開口を規定する表面を有することができる。人工器官100は、三葉構成のための3つの弁葉106を含むことができる。諒解されるように、単葉、二葉、及び/又は多葉構成も可能である。例えば、弁葉は、人工器官100の管腔に及び、管腔を通じた流れを制御するために、支持フレーム102に結合することができる。代用弁葉106は、1つ若しくは複数の合成材料、培養生物組織、生体弁葉組織、心膜組織、架橋心膜組織、大動脈基部組織、化学的若しくは生物学に処理/処置された組織、又はそれらの組み合わせを含んでもよい。いくつかの実施例において、限定ではないが、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヒトの組織、又はそれらの組み合わせから成る群から、心膜組織が選択される。
【0041】
さらに、いくつかの実施例において、代用弁100は、支持フレーム102の内側及び外側表面に積層されることなどによって内部表面、外部表面に付着させることができ、及び/又は、支持フレーム102を囲むことができる、シール構成要素又は膜108を備えることができる。したがって、弁葉106は、支持フレーム102及び/又は膜108に結合することができる。いくつかの実施例において、膜108は、健康な自然心臓弁においてそうであるように、人工器官100の管腔を通じて弁葉106の間でのみ血流が起こるように、弁葉106の周囲の領域においては血流を制約することができる。
【0042】
支持フレーム102及び/又は弁アンカー104は、
図1に示すように、編組フレーム、ワイヤ・フレーム、又はレーザ切断フレーム(例えば、レーザ切断管状メッシュ)を含むことができる。いくつかの実施例において、支持フレーム102及び/又は弁アンカー104は、指定の温度若しくは温度範囲において又は応力を誘発することによって形状を変化させることができる、形状記憶金属を含むことができる。有利には、自己拡張フレームは、ばね付勢を有するものを含むことができる。支持フレーム102及び/又は弁アンカー104のいずれかが作製される材料は、支持フレーム102及び/又は弁アンカー104が、展開されるときにその機能サイズ及び形状に自動的に拡張することを可能にすることができるが、患者の脈管構造を通じて送達するために、支持フレーム102及び/又は弁アンカー104がより小さいプロファイルへと半径方向に圧縮されることも可能にする。本明細書において説明されている自己拡張構成要素(例えば、支持フレーム、弁アンカー、ロック部材)の適切な材料の例は、限定ではないが、医療グレードのニッケル-チタン合金、タンタル、白金合金、ニオブ合金、コバルト合金、アルギン酸塩、又はそれらの組み合わせを含む。Nitinolとして一般的に知られている、複数の比のニッケルとチタンとから一般的に作成される超弾性特性を有する形状記憶合金が、好ましい材料である。いくつかの実施例において、本明細書において説明されている自己拡張構成要素は、限定ではないが、形状記憶プラスチック、ポリマー、及び、体内で不活性である熱可塑性材料を含む材料を含むことができる。代替的な実施例において、支持フレーム102及び/又は弁アンカー104のいずれかは、自己拡張でなく、例えば、当該技術分野においてよく知られているようなバルーン・カテーテルを使用して拡張されてもよい。本明細書において説明されている構成要素の適切な材料の例は、限定ではないが、ステンレス鋼及びチタンを含む。任意選択的に、支持フレーム102及び/又は弁アンカー104のいずれかは、蛍光透視法又は他の撮像技法の下での視覚化を可能にするために放射線不透過性材料を含むことができる。
【0043】
任意選択的に、支持フレーム102は、支持フレーム102が自然弁輪内で拡張されるときに、自然弁輪、大動脈基部、又は、自然弁の任意の他の部分の組織と係合することができる1つ又は複数のフック109を備えることができる。フック109は、人工器官100を固定し、手術中の人工器官100の任意の下流又は順行性の移動を軽減するために、自然弁輪と係合することができる。
【0044】
支持フレーム102は、第1の端部分110及び第2の端部分112を備えることができる。第1の端部分110は、人工器官100が自然弁輪内で解放されるとき、第2の端部分112の上流に位置決めすることができる。
図1に示すように、支持フレーム102の第1の端部分110は、円筒形の概して平坦な端部として成形することができ、ここで、支持フレーム102の第1の先端114は概して、人工器官100の長手方向軸120に対して実質的に垂直に方向付けることができる共通の平面内にある。さらに、第2の端部分112は、一連のピーク130及び谷132を含むように成形することができ、ここで、支持フレーム102の第2の先端又は小さいピーク136が集合的に、ピーク130及び谷132の輪郭を形成する。第2の端部分112のピーク130及び谷132は、人工器官が自然弁輪内に載置されるとき、第1の端部分110の下流に位置決めすることができる。
【0045】
いくつかの実施例によれば、代用弁葉106は、
図1に示すように、第2の端部分112のピーク130と周方向に位置整合された位置において支持フレーム102に対して結合することができる。いくつかの実施例において、代用弁葉106は、超高分子量ポリエチレン縫合糸を使用して膜108に結合することができる。この固有の構成は、有利には、人工器官100が自然弁構造をより完全に近似することを可能にし、弁葉106の動きを制限又は他の様態で制約することなくより自然な血流を可能にし、心臓の周囲の構造物とよりシームレスに一体化することができる。いくつかの実施例において、代用弁葉106は、限定ではないが、平面的な特徴、平坦な特徴、三次元特徴、ベジェ曲線、又は他の適切な形状を含む特徴を含むことができる。任意選択的に、代用弁葉106は、葉形状マンドレル上に固定することを通じて成形することができる。
【0046】
弁アンカー104は、少なくとも1つのU字形部材、弁把握手段、洞位置特定手段、弁位置決め手段、又は、弁アンカー104の長手方向軸を中心として延在する弁ハンガー140を備えることができる。
図1に示すように、弁アンカー104は、3つのU字形部材140など、複数のローブ又はU字形部材140を備えることができるが、より少ない又はより多い部材を有してもよい。いくつかの実施例において、U字形部材140は、自然大動脈弁の後大動脈洞、左大動脈洞、及び右大動脈洞と係合し、又はその内部に適合するように構成することができる。U字形部材140は各々、ピーク部分142及びベース部分144を有することができる。U字形部材140は各々、第1の脚部146及び第2の脚部148を備えることができる。隣接するU字形部材140の第1の脚部146及び第2の脚部148は、そのピーク部分142において相互接続することができる。さらに、U字形部材140は、波形、V字形、W字形、又はジグザグなど、U字形以外の形状を含んでもよい。任意選択的に、複数の弁アンカー104が各々、1つ又は複数のU字形部材140を備えることができ、複数の弁アンカー104が協働して、本明細書において説明されているように代用弁を固定するために大動脈洞と係合する。
【0047】
代用弁100は、支持フレーム102を弁アンカー104に相互接続する連結機構を含むことができる。連結機構は、支持フレーム102を弁アンカー104に相互接続する、単一の連続的な材料ストランドを含んでもよく、又は、複数の独立した材料ストランドを含んでもよい。さらに、連結機構は、支持フレーム102及び/又は弁アンカー104上の1つ又は複数の位置に、スライドし、係合され、又は固定されるように、付着することができる。
【0048】
いくつかの実施例によれば、弁アンカー104は、任意選択的に、弁アンカー104の1つ又は複数の部分内に1つ又は複数の係合領域を規定することができ、連結機構は、支持フレーム102と弁アンカー104との間の相対運動を制約するために、1つ又は複数の係合領域と係合することができる。
【0049】
例えば、それぞれのピーク部分と相互接続するところに、弁アンカー104は、係合領域150を規定することができる。係合領域150はまた、ピーク部分の係合領域として参照される場合もある。
【0050】
図1に示すように、支持フレーム102は、1つ又は複数の係留構成要素又は連結機構160を介して弁アンカー104に柔軟に結合することができる。連結機構160は、支持フレーム102及び弁アンカー104に結合することができ、支持フレーム102と弁アンカー104との間の相対運動が可能になる。しかしながら、連結機構160は、支持フレーム102と弁アンカー104との間の相対運動を制限するように構成することができる。いくつかの実施例において、弁アンカー104の係合領域150は、本明細書において論じられているように、連結機構160が係合領域150内に係合されているときに、支持フレーム102の弁アンカー104に対する相対運動をさらに制約するために使用することができる。
【0051】
したがって、弁アンカー104は、弁アンカー104が、依然として支持フレーム102に結合されたままで、支持フレーム102に対して軸方向又は長手方向に動かされることを可能にするために、支持フレーム102に結合することができる。いくつかの実施例のこの有利な特徴は、臨床医が、弁アンカー104を支持フレーム102に対して独立して位置決めすることを可能にすることができる。例えば、経カテーテル大動脈弁置換において、臨床医は、弁アンカー104のベース部分144を大動脈洞内に適合させるために、弁アンカー104を独立して位置決めすることができる。大動脈洞の部分は、自然大動脈弁の後大動脈洞、左大動脈洞、及び/又は右大動脈洞を含み得る。いくつかの実施例において、弁アンカー104は、それぞれの大動脈洞内で位置整合されるように回転することができる。いくつかの実施例において、弁アンカー104の支持フレーム102への相互接続は、弁アンカー104が大動脈洞内で位置整合されるように自己回転することを可能にすることができる。その後、弁アンカー104がそれぞれの大動脈洞内に「着陸」すると、弁アンカー104の支持フレーム102への相互接続は、さらに、支持フレーム102が代用弁100の長手方向軸120に沿って並進されることを可能にする。いくつかの実施例において、送達手技中、弁アンカー104は、少なくとも軸方向に支持フレーム102に対する近位位置から、支持フレーム102に対する遠位位置へと、又は、そのような位置のいずれかから、支持フレーム102が弁アンカー104と少なくとも部分的に長手方向に重なるか又は弁アンカー内で同心である位置へと動かすことができる。様々な位置の範囲は、例えば、
図11A~
図11Fに示されている。
【0052】
例えば、
図1に示すように、支持フレーム102が弁アンカー104内に入れ子状にされると、弁アンカー104のベース部分144は、支持フレーム102の長さの約10%~約100%、約25%~約75%、約33%~約100%、約33%~約66%、約25%~約75%、約50%~約75%、又は約60%~約70%である距離をおいて、長手方向軸120に沿って支持フレーム102の第1の端部分110から長手方向に離間することができる。いくつかの実施例において、支持フレーム102は、弁アンカー104に収容するか、又は、他の様態で弁アンカーに完全に重なり合うことができる。いくつかの実施例において、支持フレーム102は、弁アンカー104との重なり合いを最小限にするか、又は、まったく重なり合わないことができる。支持フレーム102は、支持フレーム102の長さの約10%~約100%、約25%~約75%、約33%~約100%、約33%~約66%、約25%~約75%、又は約50%~約75%だけ、弁アンカー104と重なり合うように、長手方向軸120に沿って動くことができる。いくつかの実施例によれば、弁アンカー104のU字形部材140は、大動脈洞内で入れ子位置にあることができ、弁アンカー104のベース部分144は、支持フレーム102の第1の端部分110に長手方向においてほぼ隣接し、第1の端部分と同一平面上にあり、又は、第1の端部分から離間することができる。例えば、弁アンカー104は、弁アンカー104の少なくとも1つのベース部分144が自然大動脈弁葉の基部付着物と接触するか又は隣接するときに、入れ子位置にあることができる。さらに、支持フレーム102の第1の端部分110は、自然弁構造(若しくは自然大動脈弁葉の基部付着物によって形成される仮想リング)又は心室-大動脈結合部に長手方向に隣接し、それと同一平面上にあり、又は、それから離間することができる。
【0053】
連結機構160は、弁アンカー104の支持フレーム102に対する回転及び長手方向運動を可能にすることができる。したがって、連結機構160が存在するにもかかわらず、弁アンカー104は、支持フレーム102に対して回転して動くことができる。さらに、いくつかの実施例において、連結機構160は、支持フレーム102に固定的に付着又は結合することができ、弁アンカー104に固定的に又はスライド可能に付着させることができる。支持フレーム102が弁アンカー104に対して動かされるとき、連結機構160は、U字形部材140に沿ってスライドすることができる。いくつかの実施例において、U字形部材140は、U字形部材140の第1の脚部146及び第2の脚部148の幾何形状に沿った連結機構160の制約のない動きを可能にする、概して弓形又は凸状の形状(
図1のU字形部材によって示すような)を有する。連結機構160がU字形部材140の第1の脚部146及び第2の脚部148に沿ってスライドすることを可能にされるとき、代用弁100は、「スライド可能」状態として参照される位置にあることができる。スライド可能状態において、連結機構160はU字形部材140の第1の脚部146及び第2の脚部148に沿って動くことができるため、支持フレーム102の弁アンカー104に対する長手方向及び/又は回転運動の範囲は可変であり、その最大値をとることができる。
【0054】
いくつかの実施例において、連結機構160は、支持フレーム102に固定的に付着又は結合することができ、弁アンカー104に固定的に付着させることができる。支持フレーム102が弁アンカー104に対して動かされるとき、連結機構160は、弾性的及び/又は塑性的に伸張、屈曲、変形することができる。連結機構160が変形すると、支持フレーム102の弁アンカー104に対する長手方向及び/又は回転運動の範囲は、連結機構160の変形によって可能にされるものとして可変である。
【0055】
いくつかの実施例において、連結機構160は、複数の連結部材を有することができ、各連結部材は、支持フレーム102に結合され、支持フレームの周囲で断続的に離間される。各連結部材は、U字形部材140のそれぞれ1つにスライド可能に結合することができる。さらに、連結機構160は、ともにエンド・ツー・エンドに結合される複数の連結部材を有することができる。その上、連結機構160は、一端において支持フレーム102に、もう一端において弁アンカー104に個々に結合される複数の連結部材を有することができる。連結部材の各々は、本明細書において同様に開示されるように弁アンカー104に沿ってスライド可能とすることができ、ここでも、簡潔にするために説明しない。
【0056】
しかしながら、上記で言及したように、弁アンカー104はまた、支持フレーム102と弁アンカー104との間の相対運動を制約するために、連結機構160に係合することができる係合領域150をも備えることができる。係合領域150は、1つ又は複数の局所的凹面、又は、連結機構160が係合領域150に入ると連結機構160を係合又は捕捉することができる他の幾何学的形状を含むことができる。
図2A~
図2Gは、スライド可能連結機構160が係合領域150に入ることを可能にするが、連結機構160が係合領域150を出ることを制約するために使用することができる係合領域150の様々な実施例を示す。
【0057】
例えば、
図2Aは、第1のU字形部材140aと第2のU字形部材140bとの間に形成される係合領域150を有する弁アンカー104の一実施例を示す。第1のU字形部材140aは、第2の脚部148aを備え、第2のU字形部材140bは、第1の脚部146bを備える。係合領域150は、第1の脚部146bと第2の脚部148aとの間に形成又は配置することができる。
【0058】
係合領域150は、アイレット又はアンカー保持構成要素170を備えることができ、第1の脚部146b及び第2の脚部148aは、そのピーク部分142に向かう方向に延在することができる。第1の脚部146b及び第2の脚部148aはまた、各々、第1の脚部146b及び第2の脚部148aに、ピーク部分142から外方の方向において屈曲させ、アンカー保持構成要素170において収束させる屈曲部又は湾曲部をも備えることができる。この構成は、連結機構160がスライドし係合することができる局所的凹面又はコーブを作成する。さらに、下記にさらに論じるように、アンカー保持構成要素170は、送達中に弁アンカー104を動かし、その位置決めを制御するのを容易にするために、制御部材又は捕捉手段と係合するために使用することができる。
図2Aに示すように、いくつかの実施例において、アンカー保持構成要素170は、弁アンカー104の係合領域150を通じて延在するアイレット、開口部、又は穴の形状であってもよい。
【0059】
さらに、図示のように、アンカー保持構成要素170は、制御部材又は捕捉手段が、逆行性アプローチ(
図11A~
図11Fに示すような)又は順行性アプローチ(
図12A~
図12Fに示すような)のために弁アンカー104と係合することを可能にすることができる。例えば、アンカー保持構成要素170は、弁アンカー104が弁アンカー104の送達において逆行性(例えば、経大腿逆行性)アプローチに使用されることを可能にするために、ピーク部分142の近位において弁アンカー104に接近する制御部材又は捕捉手段を受け入れることができる。さらに、アンカー保持構成要素170は、弁アンカー104が弁アンカー104の送達において順行性、心尖、又は経心尖アプローチに使用されることを可能にするために、第1のU字形部材140a及び第2のU字形部材140bの近位において弁アンカー104に接近する制御部材又は捕捉手段を受け入れることができる。
【0060】
図2Aと同様に、
図2Bは、第1のU字形部材140aaと第2のU字形部材140baとの間に形成される係合領域150aを有する弁アンカー104aの一実施例を示す。第1のU字形部材140aaは、第2の脚部148aaを備え、第2のU字形部材140baは、第1の脚部146baを備える。係合領域150aは、第1の脚部146baと第2の脚部148aaとの間に形成又は配置される。第1の脚部146ba及び第2の脚部148aaは、そのピーク部分142aに向かう方向に延在することができる。第1の脚部146ba及び第2の脚部148aaはまた、各々、第1の脚部146ba及び第2の脚部148aaに、ピーク部分142aから外方の方向において屈曲させ収束させて、鍵穴形状の又は狭窄したコーブ170aを形成させる屈曲部又は湾曲部をも備えることができる。鍵穴形状の又は狭窄したコーブ170aは、制御部材又は捕捉手段と係合するためのアンカー保持構成要素として使用されてもよい。ここでも、この構成は、連結機構160がスライドし係合することができる局所的凹面又はコーブを作成する。
【0061】
さらに、
図2C及び
図2Dは、係合領域150b、150cを有する弁アンカー104b、104cの追加の実施例を示す。その詳細は簡潔にするために繰り返さないが(ただし、任意選択的に、
図2C及び
図2Dの実施例に組み込むこともできる)、
図2A及び
図2Bに示す実施例と同様に、第1のU字形部材140ab、140ac及び第2のU字形部材140bb、140bcは、それぞれの係合領域150b、150cを形成する屈曲部又は湾曲部を有することができる。これらの構成はまとめて、それぞれ第1の脚部146bb、146bc及び第2の脚部148ab、148acによって作成される「トリプル・スイッチバック」設計を提供するものとして参照することができる。係合領域150bは係合領域150cよりも深く、その深さは、内部に連結機構160を捕捉するのを容易にするために、変更することができる。
【0062】
図2Eは、係合領域150dを有する弁アンカー104dの追加の実施例を示す。その詳細は簡潔にするために繰り返さないが(ただし、任意選択的に、
図2Eの実施例に組み込むこともできる)、
図2A及び
図2Bに示す実施例と同様に、第1のU字形部材140ad及び第2のU字形部材140bdは、係合領域150dを形成する屈曲部又は湾曲部を有することができる。同様に、この構成もまた、第1の脚部146bd及び第2の脚部148adによって作成される「トリプル・スイッチバック」設計を提供するものとして参照することができる。
【0063】
加えて、
図2Eに示すように、いくつかの実施例において、係合領域150dは、連結機構160を内部に捕捉するのを容易にするために1つ又は複数の返し151dを含むことができる。いくつかの実施例において、返し151dは、連結機構160が返し151dを過ぎて戻るのを防止しながら、連結機構160が返し151dを通り過ぎることを可能にするために、下向きに偏向することができる。
【0064】
図2Fは、係合領域150eを有する弁アンカー104eの追加の実施例を示す。その詳細は簡潔にするために繰り返さないが(ただし、任意選択的に、
図2Fの実施例に組み込むこともできる)、
図2A及び
図2Bに示す実施例と同様に、第1のU字形部材140ae及び第2のU字形部材140beは、係合領域150eを形成する屈曲部又は湾曲部を有することができる。第1の脚部146be及び第2の脚部148aeはまた、各々、第1の脚部146be及び第2の脚部148aeに、ピーク部分142eから外方の方向において屈曲させ、把持舌部170eに向かって収束させて、連結機構160がスライド及び係合することができる局所的凹面又はコーブを作成させる屈曲部又は湾曲部をも備えることができる。
【0065】
加えて、
図2Fに示すように、いくつかの実施例において、係合領域150eはまた、係合領域150eから延在する中央捕捉部分又は把持舌部170eをも備えることができる。下記に論じるように、把持舌部170eは、送達中に弁アンカー104を動かし、その位置決めを制御するのを容易にするために、送達デバイスの制御部材又は捕捉手段と係合するためのアンカー保持構成要素として使用することができる。いくつかの実施例において、把持舌部170eは、係合構造、ソケット、開口部、又は突出部172を備えることができる。係合構造172は、把持舌部170eの長さ又は本体に沿って位置決めすることができる。図示のように、係合構造172は、把持舌部170eの遠位端部分において中央に位置決めすることができる。
【0066】
図2Gは、係合領域150fを有する弁アンカー104fの追加の実施例を示す。その詳細は簡潔にするために繰り返さないが(ただし、任意選択的に、
図2Gの実施例に組み込むこともできる)、
図2A及び
図2Bに示す実施例と同様に、第1のU字形部材140af及び第2のU字形部材140bfは、係合領域150fを形成する屈曲部又は湾曲部を有することができる。第1の脚部146bf及び第2の脚部148afはまた、各々、第1の脚部146bf及び第2の脚部148afに、ピーク部分142fから外方の方向において屈曲させ、把持舌部170fに向かって収束させて、連結機構160がスライド及び係合することができる局所的凹面又はコーブを作成させる屈曲部又は湾曲部をも備えることができる。
【0067】
加えて、
図2Gに示すように、いくつかの実施例において、係合領域150fはまた、アイレット又はアンカー保持構成要素171fと、係合領域150fから延在する中央捕捉部分又は把持舌部170fとをも備えることができる。
図2Aに示す実施例と同様に、アンカー保持構成要素171fは、弁アンカー104fの係合領域150fを通じて延在するアイレット、開口部、又は穴の形状であってもよい。さらに、
図3Fに示す実施例と同様に、把持舌部170fは、送達中に弁アンカー104fを動かし、その位置決めを制御するのを容易にするために、送達デバイスの制御部材又は捕捉手段と係合するための別のアンカー保持構成要素として使用することができる。
【0068】
図示のように、把持舌部170fは、制御部材又は捕捉手段が、経大腿逆行性アプローチ(
図11A~
図11Fに示すような)のために弁アンカー104fと係合することを可能にすることができ、アンカー保持構成要素171fは、制御部材又は捕捉手段が、順行性アプローチ(
図12A~
図12Fに示すような)のために弁アンカー104fと係合することを可能にすることができる。例えば、把持舌部170fは、弁アンカー104が弁アンカー104fの送達において逆行性(例えば、経大腿逆行性)アプローチに使用されることを可能にするために、ピーク部分142fの近位において弁アンカー104fに接近する制御部材又は捕捉手段を受け入れることができる。さらに、アンカー保持構成要素171fは、弁アンカー104fが弁アンカー104fの送達において順行性、心尖、又は経心尖アプローチに使用されることを可能にするために、第1のU字形部材140af及び第2のU字形部材140bfの近位において弁アンカー104fに接近する制御部材又は捕捉手段を受け入れることができる。
【0069】
さらに、後に
図7A~
図7Dにも示し、論じられるように、係合構造172fは、把持舌部170fを捕捉手段に結合するために捕捉部材の遠位端部分のそれぞれの突出部を受け入れることができる開口部を備えることができる。しかしながら、把持舌部170fの係合構造172が突出部を使用し、捕捉部材が対応する開口部を使用する、いくつかの実施例が提供されてもよい。
【0070】
図2Hは、係合領域150gを有する弁アンカー104gの追加の実施例を示す。その詳細は簡潔にするために繰り返さないが(ただし、任意選択的に、
図2Hの実施例に組み込むこともでき、又は、省くこともできる)、
図2C及び
図2Dに示す実施例と同様に、第1のU字形部材140ag及び第2のU字形部材140bgは、係合領域150gを形成する屈曲部又は湾曲部を有することができる。これらの構成はまとめて、それぞれ第1のU字形部材140ag及び第2のU字形部材140bgによって作成される「トリプル・スイッチバック」設計を提供するものとして参照することができる。
【0071】
加えて、
図2Hに示すように、いくつかの実施例において、U字形部材140ag、140bg、140cgは任意選択的に、U字形部材140ag、140bg、140cgのベース部分の中間位置から延在する中央捕捉部分又は把持舌部170gを備えることができる。任意選択的に、複数の弁アンカー104gが各々、1つ又は複数のU字形部材140ag、140bg、140cgを備えることができ、複数の弁アンカー104gが協働して、本明細書において説明されているように代用弁を固定するために大動脈洞と係合する。
【0072】
例えば、把持舌部170gは、U字形部材140ag、140bgのベース部分144gから、軸方向において弁アンカー104gの係合領域に向かって、又は、半径方向において弁アンカー104gのU字形部材140ag、140bg、140cgの屈曲部の内部に延在することができる。
【0073】
下記に論じるように、把持舌部170gは、アンカー保持構成要素として使用することができる。例えば、把持舌部170gは、送達中に弁アンカー104gを動かし、その位置決めを制御するのを容易にするために、送達デバイスの制御部材又は捕捉手段と係合することができる。この係合は、有利には、U字形部材の関節に対するより高度な制御を提供し、連結器運動制限手段として機能することを可能にすることができる。そのような特徴及び利点は、下記にさらに論じる。
【0074】
いくつかの実施例において、U字形部材140ag、140bg、140cgのベース部分に把持舌部170gを配置することによって、弁アンカー104gは、送達中に捕捉手段を付着させる点において曲げ剛性を増大させることができる。いくつかの用途において、弁アンカー104gは、有利には、曲げ剛性の増大に起因して送達中に反転する可能性を少なくすることができる。さらに、ベース部分144gの制御は、臨床医が、弁アンカー104gの送達及び配置中に自然弁の洞構造に対するU字形部材の関節及び配置を特異的に制御することを可能にすることができる。
【0075】
いくつかの実施例において、把持舌部170gは、係合構造、ソケット、開口部、又は突出部172gを備えることができる。係合構造172gは、把持舌部170gの長さ又は本体に沿って位置決めすることができる。図示のように、係合構造172gは、把持舌部170gの遠位端部分において中央に位置決めすることができる。
【0076】
本開示の他の態様(例えば、
図7A~
図7F参照)に関して示し、論じられるように、把持舌部170gは、制御部材又は捕捉手段が、逆行性アプローチ(
図11A~
図11Fに示すような)又は順行性アプローチ(
図12A~
図12Fに示すような)のために弁アンカー104gと係合することを可能にすることができる。
【0077】
例えば、把持舌部170gは、弁アンカー104gが弁アンカー104gの送達において逆行性アプローチ(例えば、経大腿逆行性アプローチ)に使用されることを可能にするために、ピーク部分142gの近位において弁アンカー104gに接近する制御部材又は捕捉手段を受け入れることができる。さらに、把持舌部170gは、弁アンカー104gが弁アンカー104fの送達において順行性アプローチ(例えば、心尖、又は経心尖アプローチ)に使用されることを可能にするために、第1のU字形部材140ag及び第2のU字形部材140bgの近位において弁アンカー104gに接近する制御部材又は捕捉手段を受け入れることができる。
【0078】
任意選択的に、上記で言及したように、把持舌部170g(
図7J及び
図7Kの実例に示すように、まとめて捕捉手段224bとともに)連結機構が弁アンカー104gのU字形部材140ag、140bg、140cgに沿ってスライドするときに、制約に関して拡大プロファイルを提供し、又は、連結機構の動きを妨げるために、
図5~
図6Eに関して本明細書において説明されているように、連結器運動制限手段としての役割を果たすこともできる。
【0079】
これらの様々な設計は、本明細書において開示されるいくつかの実施例に使用することができる係合領域の実例である。さらに、
図2A~
図2Dにおいて開示されている実施例のいずれかにおいて、係合領域は、連結機構160が通り過ぎることができる返し又はフックを備えることができる。返し又はフックは、連結機構160の一方向運動を可能にすることができ、連結機構160が返し又はフックを過ぎると、連結機構160が返し又はフックを過ぎて逆に動くことを妨げる。図示の実施例は、本明細書において論じられているように、人工器官送達の段階中に連結機構を捕捉する傾向にあることができる二重ピーク又はコーブを提供する。連結機構がそのように捕捉されると、代用弁100は、「保持」位置として参照される位置にあることができる。
【0080】
図3A~
図3Cは、いくつかの実施例による、U字形部材の脚部に沿った連結機構の動き、及び、係合領域内での連結機構の捕捉を示す。
図3Aは、第1のU字形部材140a及び第2のU字形部材140bと、スライド可能位置にある連結機構160とを有する弁アンカー104の一実施例を示す。
図3Cは、保持位置にある連結機構160を有する弁アンカー104の一実施例を示す。
【0081】
図3Aに示すように、連結機構160は、スライド可能位置にあり、それゆえ、矢印180、182に示すように、第1のU字形部材140aの第2の脚部148a及び第2のU字形部材140bの第1の脚部146bに沿って自由にスライドすることができる。連結機構160は、第1のU字形部材140aの第2の脚部148aの周りに輪をかけるループ162と、第2のU字形部材140bの第1の脚部146bの周りに輪をかけるループ164とを有する。ループ162、164は、図示のように、互いの鏡像に成形することができる(すなわち、連結機構160が第2の脚部148a及び第1の脚部146bを回る経路又は過程が互いの鏡像であり得る)。
【0082】
概して
図3Aにも示すように、連結機構160は、U字形部材140と、支持フレーム102にある又は支持フレーム上の対応する周方向付着点又は位置との間で織ることができる。例えば、連結機構160の第1のセグメント192は、第2の脚部148aの周りに輪をかけ、支持フレーム上の第1の付着点に向かって延在することができる。さらに、連結機構160の第2のセグメント194は、第1の脚部146bの周りに輪をかけ、第1の付着点とは異なる、支持フレーム上の第2の付着点に向かって延在することができる。この織りパターンは、概して
図4A及び
図6Aにも示す。
【0083】
さらに、第1のセグメント192及び第2のセグメント194が係合領域150から外方に延在することによって、支持フレームが弁アンカー104に対していくらか離れて位置決めされ、したがって、連結機構160が、緊張時に、係合領域150から外方の方向において支持フレームに向かって延在することも明らかである。さらに、連結機構160の中間セグメント196は、いくらかの緩みがあり、(下記に説明する、
図3Cに示すそのステータス及び長さと比較して)相対的に長い場合がある。
【0084】
いくつかの実施例において、連結機構160の中間セグメント196の緩み及び長さは、連結機構160がスライド可能位置にあるとき、中間区画196が引張部材198によって係合されることを可能にする。図示のように、引張部材198は、可撓性ループ199を備えることができ、可撓性ループは、中間区画196が可撓性ループ199を通過することを可能にするように、中間区画196と係合することができる。下記にさらに論じるように、引張部材198は、人工器官100に対して近位方向に延在することができ、中間区画196を係留された又はコンパクトな構成に維持するのを補助することができ、その結果、連結機構160は、人工器官100が手技中に標的弁輪に前進している間に引っかからず又は絡まらない。
【0085】
例えば、使用中、引張部材198は、概して、弁アンカー104が圧縮構成にあるときに、中間区画196が近位方向に引かれて、連結機構160の緩みを取り除くか又は低減することを可能にする位置に維持することができる。いくつかの実施例において、引張部材198は、捕捉手段224に対して固定位置に位置決めすることができ、可撓性ループ199は、捕捉手段224の遠位端、ピンチ、又はフック226に対して長手方向において遠位又は近位に位置決めすることができる。しかしながら、支持フレーム102及び弁アンカー104の相対運動中、支持フレーム102が弁アンカー104に対して遠位に前進されるとき(アンカー104が標的位置において拡張されるとき)、中間区画196の緩みが少なくなり、最終的に、引張部材198の可撓性ループ199が屈曲し、中間区画196を解放し、したがって、引張部材198を連結機構160から係合解除する。
図4A~
図6Bに示すような、送達デバイスに装填されているとき、並びに、
図11A及び
図11Bの送達段階を含む、人工器官100の一般的な構成。
【0086】
さらに、連結機構160の様々な実施例(例えば、160a、160b、160c、160d、160e、及び/又はそれらの組み合わせ)が、
図4A~
図4Gに示されている。いくつかの実施例によれば、任意のバージョンの連結機構を、人工器官又はその特徴とともに交換可能に使用することができることが企図されている。
【0087】
図3Bに示すように、送達デバイスのいくつかの実施例は、引張部材を有しない連結機構160aを使用することができる。したがって、連結機構160aは、支持フレーム102及び弁アンカー104に付着させることができ、送達状態(
図4Aに示すような)において連結機構160aが概して緊張されるように構成された長さを有することができる。図示のように、連結機構160aの中間セグメント196aは、
図3Aに示す連結機構160と比較して、ループ162と164との間の緩みが少なく、長さが短くなり得る。いくつかの実施例において、有利には、中間セグメント196aの長さ及びその緊張状態は、中間区画196aを係留された又はコンパクトな構成に依然として維持しながら引張部材を使用することを回避することができる。したがって、連結機構160aは、手技中に人工器官100が標的弁輪に前進している間に引っかからず又は絡まらない。
【0088】
図3Bに示すように、連結機構160aは、U字形部材140と、支持フレーム102にある又は支持フレーム上の対応する周方向付着点又は位置との間で織ることができる。例えば、連結機構160aの第1のセグメント192は、第2の脚部148aの周りに輪をかけ、支持フレーム上の第1の付着点に向かって延在することができる。さらに、連結機構160aの第2のセグメント194は、第1の脚部146bの周りに輪をかけ、支持フレーム上の第1の付着点(
図4B)、又は、第1の付着点とは異なる、支持フレーム上の第2の付着点(
図4C)に向かって延在することができる。いくつかの実施例において、連結機構160aは、支持フレームの付着点に結びつけ、輪をかけ、及び/又は巻くことができる。図示されているように、連結機構160aの中間セグメント196aは、第1の脚部146bの周りのループと第2の脚部148aの周りのループとを相互接続することができる。いくつかの実施例において、引張部材を有しない連結機構160aを使用することによって、弁アンカー104及び支持フレーム102が連続して「積み重なった」配置を容易にすることができる。
【0089】
支持フレームが弁アンカー104に対して近位に後退されるとき、連結機構160は、係合領域150に向かってU字形部材140に沿ってスライドすることができる。したがって、
図3Aの連結機構160の位置から(又は同様に、連結機構160a及び
図3Bの位置から)
図3Cの連結機構160の位置へと動くことによって、第1のセグメント192及び第2のセグメント194はここで、係合領域150の近位の方向に引かれる。このように連結機構160、160aを近位に向けて引くことによって、第1のループ162及び第2のループ164が係合領域150へと遠位に引き込まれている。さらに、引張部材198を利用する実施例において、この運動中(又は、支持フレーム102が弁アンカー104に対して遠位に動かされるとき)、引張部材198は、最終的に連結機構160から係合解除される。加えて、連結機構160はループ162、164を介して脚部146b、148aの周りでスライドすることができるため、連結機構160が近位に向けて引かれること(連結機構160が中間セグメント196における長さよりも長く第1のセグメント192及び第2のセグメント194に引き込まれるようにする)に起因して、
図3Cにおいて中間セグメント196の相対長さが低減し、はるかに小さくなる。したがって、臨床医は、連結機構160の第1のセグメント192及び第2のセグメント194が緊張するまで、支持フレームを弁アンカー104に対して近位に引くことによって、中間セグメント196の長さを低減することができる。この一般的な構成は、
図9Dの送達段階に示されている。
【0090】
その後、
図3Cに破線によって示すように、支持フレームは、後に弁アンカー104に対して遠位に前進することができ、長手方向において弁アンカー104と重なり合うことができ、したがって、連結機構160’の第1のセグメント192’及び第2のセグメント194’が係合領域150に対して遠位方向に引かれる。しかしながら、いくつかの実施例において、係合領域150の幅(第2の脚部148a及び第1の脚部146bの曲線のピーク間幅によって表すことができる)よりも小さくなり得る、中間セグメント196の長さの低減に起因して、ループ162、164のうちの一方又は両方は、支持フレームが弁アンカー104に対して遠位に前進するときに、係合領域150内に捕捉されたままになる傾向になる。このように、係合領域150内でのループ162、164の係合は、連結機構160’のループ162、164が、第1の脚部146b又は第2の脚部148aのいずれかに沿って遠位方向にスライドするのを制約し又は妨げることができる。したがって、連結機構160が係合領域150内に保持されるため、人工器官100は保持位置にあり、支持フレーム102の弁アンカー104に対する長手方向及び/又は回転運動の範囲は固定である。
【0091】
図3A~
図3Cはまた、係合領域150のアンカー保持構成要素170に係合するために使用することができる、(例えば、
図4において下記にさらに示すような)送達デバイスの制御部材又は捕捉手段の一実施例をも示す。
図2A及び
図3A~
図3Cに示す例示的な実施例は、アンカー保持構成要素170がピーク部分142に配置されることを示していることに留意されたい。しかしながら、他の実施例において、アンカー保持構成要素170は、U字形部材140の1つ又は複数の他の部分内に配置されてもよい。さらに、アンカー保持構成要素170は、第2のU字形部材140bの第1の脚部146bのループ端部及び第1のU字形部材140aの第2の脚部148aのループ端部によって形成される2つのピークの間の谷間に位置決めされるものとして示されているが、弁アンカー104は、アンカー保持構成要素170がそこにおいて第1の脚部146bと第2の脚部148aとの間に形成される、丸みを帯びた単一ピークの区画(すなわち、二重ピーク又は中間の谷間を有しない)を含むように構成することができる。例えば、
図4~
図6Bに関連して本明細書においてさらに論じられるような捕捉手段の機能及び構造。
【0092】
いくつかの実施例によれば、連結機構160は、固定の長さを有することができる。連結機構160の固定の長さは、人工器官100がスライド可能位置又は保持位置のいずれかにあるとき、弁アンカー104の支持フレーム102に対する長手方向、周方向(すなわち、回転)、及び/又は半径方向運動を制約することができる。したがって、連結機構160は、伸長可能でない材料を含むことができる。いくつかの実施例において、連結機構160は、当該技術分野において知られている材料から作成される縫合糸を含むことができる。連結機構160の固定の長さは、保持位置にあるときに、支持フレーム102が、弁アンカー104に対する支持フレーム102の最適な配置を提供する、弁アンカー104に対する最大遠位位置に前進されることを保証するように構成することができる。
【0093】
さらに、いくつかの実施例において、連結機構160は、
図1に示すように、複数の位置において支持フレーム102及び弁アンカー104を間に織り合わされる単一の連続的な材料ストランドを含むことができる。そのような実施例において、単一の連続的なストランドは、その端部において、支持フレーム102の結合点に結びつけることができ、(多くの又はすべての)他の位置において支持フレーム102及び弁アンカー104の他の結合点の周りに輪をかけ、又は、巻くことができる。支持フレーム102又は弁アンカー104の結合点の周りに輪をかけられ、又は、巻かれるとき、連続ストランド連結機構160は、支持フレーム102又は弁アンカー104に対してスライドし又は動くことができ、これによって、本明細書において論じられる様々な利点が与えられる。
【0094】
単一の連続的な連結機構160及び弁アンカーの単一のU字形部材を使用するいくつかの実施例において、連続的な連結機構160のループ長さは、(i)支持フレームの圧縮された外周及び(ii)支持フレームの長手方向の長さの2倍の合計よりも大きくすることができる。さらに、単一の連続的な連結機構160及び複数のU字形部材を使用するいくつかの実施例において、連続的な連結機構160のループ長さは、(i)支持フレームの圧縮された外周及び(ii)支持フレームの長手方向の長さの4倍の合計の約80%~約120%とすることができる。例えば、いくつかの実施例において、単一の連続的な連結機構160には、弁アンカーの3つのU字形部材を織り合わせることができ、連続的な連結機構160のループ長さは、(i)支持フレームの圧縮された外周及び(ii)支持フレームの長手方向の長さの6倍の合計の約80%~約120%とすることができる。
【0095】
いくつかの実施例において、連結機構160は、一端において支持フレーム102に、もう一端において弁アンカー104に結合される複数の個々の長さの材料を含むことができる。例えば、連結機構160は、上記で論じられているように、係合領域150内での連結機構160の運動及び捕捉を可能にするために、一端において弁アンカー104に固定的に(すなわち、動かない又はスライドしないように)付着させることができ、他端において支持フレーム102にスライド可能に付着させることができる。
【0096】
連結機構160が、単一の連続的な材料ストランドを含むか、又は、複数の個々の長さの材料を含むかにかかわらず、連結機構160の長手方向の長さ又は範囲は、弁アンカー及び支持フレームが圧縮構成にあるとき、弁アンカーの長手方向の長さの、170%、160%、150%、140%、130%、120%、又は110%未満など、約110%~約170%とすることができる。さらに、連結機構160の長手方向の長さ又は範囲は、弁アンカー及び支持フレームが拡張構成にあるとき、弁アンカーの長手方向の長さの、130%、120%、110%、100%、90%、80%、70%、60%、50%、又は40%未満など、約40%~約130%とすることができる。
【0097】
本開示はまた、例えば、代用弁の経大腿送達のための送達デバイスの様々な態様をも説明する。送達デバイスは、上記で論じられている人工器官100などの、代用弁を支持することができる。送達デバイスは、近位シース構成要素と、遠位キャリア・アセンブリと、制御ユニットとを備えることができ、遠位キャリア・アセンブリは、近位シース構成要素に対して遠位にあり、近位シース構成要素は、制御ユニットに対して遠位にある。いくつかの実施例において、遠位キャリア・アセンブリは、円錐形又はテーパ状の端部分を備えることができる。近位シース構成要素及び遠位キャリア・アセンブリは、代用弁の送達前及び送達中に、代用弁の支持フレーム及び弁アンカーを少なくとも部分的に囲むことができる。近位シース構成要素及び遠位キャリア・アセンブリ、支持フレーム、並びに弁アンカーに関する送達デバイスの構成は、弁アンカー及び支持フレームが、コンパクトな状態で、長手方向軸に沿って直列的に装填又は位置決めされることを可能にすることができ、したがって、送達デバイスが、最小限の通過プロファイルを達成して、送達デバイスの患者内での標的位置への前進における任意の問題を低減することが可能になる。弁アンカーが支持フレームから直列的に変位され得る距離は、高度に可変である。これによって、ユーザが、例えば、動脈及び静脈を通じて前進させなければならない送達デバイスの半径を最小限に抑えることが可能になり得る。さらに、弁アンカーは、下記により詳細に説明するように、支持フレームを位置決め及び解放する前に、支持フレームから独立して拡張及び位置決めすることができる。加えて、弁アンカーを支持フレームに相互接続する連結機構は、有利には、支持フレームの弁アンカーに対する確実な位置決めを容易にすることができる。
【0098】
ここで
図4A~
図8Dを参照すると、送達デバイス200に装填されている人工器官100が示されている。送達デバイス200を使用して、代用弁100を送達し、
図1に示す拡張構成を達成するために、構成要素ごとに拡張することができる。この構成要素ごとの拡張プロセス(
図11A~
図11Fの送達段階に示す)中、連結機構160が弁アンカー104のU字形部材に沿って動くことが可能であることによって、いくつかの顕著な利益が与えられる。例えば、これらの利益のうちの1つは、
図4A~
図6Eに示されており、代用弁100の送達中に、送達デバイスの最小限の外側プロファイルを達成するために弁アンカー104が支持フレーム102から直列的に位置決めされるようにすることが有利である。この直列的な位置決めによって、送達デバイス200が、最小外径を有することが可能になり、これによって、送達デバイス200が、血管を通じてより容易に前進されることを可能にすることができる。
【0099】
図4A~
図6Eに示すように、送達デバイスは、代用弁の支持フレーム、弁アンカー、及び連結機構を担持することができる。例えば、
図4Aは、送達デバイス200が、代用弁100の支持フレーム102、弁アンカー104、及び連結機構160を担持することができることを示している。送達デバイス200は、送達デバイス200の長手方向軸に沿って延在する1つ又は複数の細長い芯部材を備えることができる。
【0100】
送達デバイス200はまた、近位シース構成要素204(人工器官100及び送達デバイス200の下にある構成要素及び特徴を示すために、
図4Aにおいては破線で示す)と、遠位キャリア・アセンブリ206(同じく、人工器官100及び送達デバイス200の下にある構成要素及び特徴を示すために、
図4Aにおいては破線で示す)とを備えることもできる。近位シース構成要素204は、制御ユニット(
図13A~
図13に示す)に結合し、制御ユニット対して遠位に延在することができ、制御ユニットを通じて、臨床医は、送達デバイス200の様々な構成要素の動きを制御することができる。
【0101】
遠位キャリア・アセンブリ206は、弁アンカー又は支持フレームのうちの少なくとも一方を収容するように構成されている2部品構成要素とすることができる。遠位キャリア・アセンブリ206は、近位筐体210(破線で示す)と、遠位筐体212(破線で示す)とを備える。近位筐体210は、第1の芯部材220に結合することができ、遠位筐体212は、第2の芯部材222に結合することができる。いくつかの実施例において、遠位筐体212は、第2の芯部材222にねじ止め及び/又は接着によって結合又は接合することができる。例えば、第2の芯部材222は、中空シャフトを含んでもよい。第1の芯部材220及び第2の芯部材222は、臨床医が、近位筐体210及び遠位筐体212の相対位置を操作することを可能にすることができる。近位シース構成要素204及び遠位キャリア・アセンブリ206はともに、集合的に、代用弁100の身体内の標的位置(例えば、本明細書においては大動脈弁輪として論じられている)への送達中に、それぞれ弁アンカー104及び支持フレーム102を収容することができ、臨床医によって、代用弁100を位置決め及び解放するように作動され得る。さらに、遠位筐体212は、脈管構造を通じて動かすことを容易にするために、円錐形又はテーパ状の前方又は遠位部分を備えることができる。いくつかの実施例において、遠位キャリア・アセンブリ206は、2部品遠位筐体又は分割ノーズ・コーン・アセンブリとして参照することができる。任意選択的に、遠位筐体212は、白金などの放射線不透過性材料を含む特徴を備えてもよく、当該特徴から形成されてもよく、又は当該特徴を含んでもよい。
【0102】
図4A~
図6Eは、装填構成にある、人工器官100の送達前の送達デバイス200を示す。図示のように、第1の芯部材220及び第2の芯部材222は、送達デバイス200を通じて延在し、それらの遠位端において、それぞれ遠位キャリア・アセンブリ206の近位筐体210及び遠位筐体212に結合される。これらの図面に示すように、第2の芯部材222は、第1の芯部材220の管腔内に配置することができ、その中でスライド可能とすることができる。したがって、遠位キャリア・アセンブリ206の近位筐体210及び近位シース構成要素204は、第2の芯部材222及び遠位筐体212に対してスライド可能とすることができる。
【0103】
同じく図示のように、近位シース構成要素204は、弁アンカー104を近位シース構成要素204の管腔内に囲み、弁アンカー104を圧縮状態に維持するために、弁アンカー104の上で遠位に延在することができる。近位シース構成要素204の管腔はまた、近位シース管腔として参照される場合もある。近位シース構成要素204は、弁アンカー104のU字形部材のベース部分が、その後、拡張され、後に、大動脈洞内の位置へと操作されることを可能にするために、弁アンカー104に対して後退することができる。
【0104】
同じく
図4~
図6Eに示すように(
図3A~
図3Cも参照されたい)、送達デバイス200は、弁アンカー104と係合し、弁アンカーの位置決めを制御することができる少なくとも1つの捕捉手段224を備えることができる。捕捉手段224は、その遠位端に、弁アンカー104のU字形部材のピーク部分に結合することができる遠位端、ピンチ、又はフック226を備えることができる。例えば、捕捉手段224のピンチ226は、捕捉手段224が弁アンカー104と係合されるようにするために、弁アンカー104の係合領域においてアンカー保持構成要素170に結合することができる。捕捉手段224の数は、好ましくは、弁アンカー104の係合領域150又はU字形部材140の数に等しい。捕捉手段224の各々は、ピンチ又はフック226内で終端する一対のワイヤが通過する管状筐体228を備えることができる。ワイヤは管状筐体228に対して近位に引くことができ、管状筐体内で、ワイヤは、アンカー保持構成要素170の周りでピンチ226を締め付け、したがって、弁アンカー104に係合するために収容される。ピンチ226を解放するために、ワイヤは、管状筐体228に対して遠位にシフトすることができ、その結果、ピンチ226が半径方向に付勢されて開き、アンカー保持構成要素170を解放することが可能になる。各捕捉手段224の遠位端は、弁アンカー104のフックを囲み又はフックに結合することができる。
【0105】
捕捉手段224の遠位端、ピンチ、又はフック226と、弁アンカー104との間の相互接続によって、支持フレーム102の弁アンカー104が、近位シース構成要素204に対して又は近位シース構成要素内で静止及び/又は圧縮位置に保持されることを可能にすることができる。例えば、
図7G~
図7Iに関連して下記にさらに論じられるように、この係合は、送達デバイス200の長手方向軸に対して概して垂直に向けられた共通平面152内に係合領域150を維持することができる。加えて、近位シース構成要素204が捕捉手段224の遠位端に対して近位に後退されると、弁アンカー104は拡張し始めることができるが、捕捉手段224と係合領域150との間の係合は、臨床医が、弁アンカー104が送達デバイス200との係合から完全に解放される前に、弁アンカーを送達デバイス200に対して押す、引く、又は回転させることを可能にすることができる。例えば、これによって、臨床医が、上記で論じられているように、弁アンカー104のベース部分144を大動脈洞内の入れ子位置へと回転させる又は押すことを可能にすることができる。その後、入れ子位置にくると、弁アンカー104の係合領域150は、捕捉手段224のピンチ226から解放することができ、弁アンカー104は、完全に拡張し、自然弁輪と並置されるように解放することができる。
【0106】
いくつかの実施例において、
図4B及び
図4Cに示すように、送達デバイス200は、引張部材を用いずに支持フレーム102と弁アンカー104とを相互接続する連結機構160aを含むことができる。
図4Bに示すように、連結機構160aは、支持フレーム102と弁アンカー104との間に織り込むことができる。
図4Bの描写されている実例において、連結機構160aは、支持フレーム102上の付着点221aに結合することができ、弁アンカー104の第1の脚部に向かって延伸し、第1の脚部の周りに輪をかけることができ、その後、弁アンカー104の第2の脚部に向かって延伸することができ、その後、付着点221aに向かって延伸し戻る。連結機構160aは、付着点221aにおいて支持フレーム102に結びつけ、輪をかけ、又は巻くことができる。いくつかの実施例において、連結機構160aの結び目、ループ、又は巻き線のうちの1つ又は複数は、弁アンカー104の脚部に対して固定することができ、又は、脚部に沿ってスライドすることを可能にすることができる。
【0107】
いくつかの実施例において、
図4Cに示すように、連結機構160aは、2つの異なる付着点221b、221cにおいて支持フレーム102に付着することができる。例えば、
図4Cに示すように、連結機構160aは、支持フレーム102の第1の付着点221bにおいて支持フレーム102に結合することができ、弁アンカー104の第1の脚部に向かって延伸し、第1の脚部の周りに輪をかけることができ、その後、弁アンカー104の第2の脚部に向かって延伸し、第2の脚部の周りに輪をかけることができ、その後、支持フレーム102の第2の付着点221cに向かって延伸することができる。中間セグメント196aが、弁アンカー104の第1の脚部の周りのループと、第2の脚部の周りのループとを相互接続することができる。
【0108】
いくつかの実施例において、
図4D及び
図4Eに示すように、送達デバイス200は、弁アンカー104の脚部に対して固定又は結合されている間に支持フレーム102と弁アンカー104とを相互接続する連結機構160bを含むことができる。
図4Dに示すように、連結機構160bは、支持フレーム102上の付着点に結合することができ、弁アンカー104の係合領域150に向かって延伸することができる。連結機構160bは、付着点において支持フレーム102及び弁アンカー104に結びつけ、輪をかけ、巻き、又は他の様態で付着させることができる。
【0109】
描写されている実例において、連結機構160bは、シリコーン、ポリウレタン、又は任意の他の適切な弾性材料から形成される弾性相互接続部とすることができる。支持フレーム102が弁アンカー104に対して動かされるとき、連結機構160bは、伸張、屈曲、又は他の様態で弾性的に伸張することができる。連結機構160bが伸張すると、支持フレーム102は、弁アンカー104に対して長手方向に及び/又は回転して動くことができる。
【0110】
いくつかの実施例において、
図4Eに示すように、送達デバイス200は、支持フレーム102と弁アンカー104とを相互接続する連結機構160cを含むことができる。連結機構160cは、弾力性又はコイル状部分161cを含むことができる。例えば、
図4Eに示すように、コイル状部分161cは、係合領域150に対して近位にある。コイル状部分161cは、連結機構160cが、より長く伸張し、及び/又は、非伸張状態において連結機構160cの長さを最小限に抑えるようにすることを可能にすることができる。いくつかの実施例において、コイル状部分161cは、ばね機構とすることができ、レーザ切断パターンを含んでもよい。
【0111】
いくつかの実施例において、
図4F及び
図4Gに示すように、送達デバイス200は、支持フレーム102、弁アンカー104及び一方向相互接続部を相互接続して、連結機構160a上の張力を維持する連結機構160dを含むことができる。
【0112】
図4Fに示すように、連結機構160dは、支持フレーム102に、例えばその付着点において結合することができ、弁アンカー104の係合領域150に向かって延伸することができる。連結機構160dは、連結機構160dが相互接続部161aを通じて遠位に前進するか又は戻ることを抑制又は防止しながら、連結機構160dが相互接続部161aを通じて近位方向に動くことを可能にするために、一方向相互接続部161aによって受け入れることができる。いくつかの実施例において、連結機構160dは、連結機構160dに結合されるか又は連結機構へと延在する近位作動部分161bを備えることができる。例えば、連結機構160d及び近位作動部分161bは、一方向相互接続部161aを通過する連続的な線、ワイヤ、又は縫合糸の区画とすることができる。さらに、連結機構160d及び近位作動部分161bは、可撓性又は剛性であってもよい。
【0113】
いくつかの実施例によれば、一方向相互接続部161aは、ラチェット機構を含むことができる。例えば、
図4Fの挿入図に示すように、相互接続部161aは、連結機構160dが通過することができる開口部を有する本体を備えることができ、ラチェット機構は、連結機構160dが一方向において動くことを可能にするが、反対方向においては動きを制約するために連結機構160dに係合する、開口部へと延在する歯状構造を有することができる。
【0114】
使用時、例えば、臨床医は、支持フレーム102に対して弁アンカー104を遠位に前進させることができ(本明細書において開示されている実施例の動き及び特徴を使用して)、結果として、連結機構160dにいくらかの緩みがもたらされ得る。臨床医は、その後、近位作動部分161bを掴み、引くことができ、それによって、連結機構160dが、相互接続部161aを通じて近位に引き込まれ(例えば、相互接続部を通じてラチェットされ)、その結果、相互接続部161aと支持フレーム102上の付着点との間の連結機構160dの長さが低減する。したがって、臨床医は、弁アンカー104を静止したままに維持しながら近位作動部分161bに近位方向向きの力がかけられるのを受けて、支持フレーム102及び弁アンカー104をともに引き込むことができる。連結機構160dのこの動き及びラチェットは、弁アンカー104が支持フレーム102に対して動くことを制約することができる。このように、弁アンカー104が支持フレーム102に向かって引き込まれるため、埋め込み部位において人工器官を解放することを見越して、これらの構成要素の長手方向相対位置を望ましい相対位置に制約又は固定することができる。
【0115】
いくつかの実施例において、
図4Gに示すように、連結機構160eは、支持フレーム102に、例えばその付着点において結合することができ、弁アンカー104の係合領域150に向かって延伸することができる。連結機構160eは、支持フレーム102と弁アンカー104との間に織り込むことができる(例えば、連結機構160eは、弁アンカー104から延伸することができ、滑車タイプの構成と同様に又は当該構成などによって、支持フレーム102を通じて輪をかけることができる)。
【0116】
図4Gの描写されている実例において、連結機構160eは、一方向相互接続部161eに結合することができ、支持フレーム102に向かって延伸し、その周りに輪をかけ、その後、滑車機構において弁アンカー104の係合領域150の近位に配置される一方向相互接続部161eに向かって延伸することができる。同様に、連結機構160eは、連結機構160eが相互接続部161eを通じて近位に動くことを防止しながら、連結機構160eが相互接続部161eを通じて遠位方向に動くことを可能にするために、一方向相互接続部161eによって受け入れることができる。いくつかの実施例において、連結機構160eは、連結機構160eに結合されるか又は連結機構へと延在する近位作動部分161fを備えることができる。例えば、連結機構160e及び近位作動部分161fは、一方向相互接続部161eを通過する連続的な線、ワイヤ、又は縫合糸の区画とすることができる。さらに、連結機構160e及び近位作動部分161fは、可撓性又は剛性であってもよい。いくつかの実施例において、連結機構160eの端部161gは、相互接続部161eに結合して連結機構160eをこれに固定することができ、したがって、臨床医が、支持フレーム102及び弁アンカー104を静止したままに維持しながら、近位作動部分161fに近位方向向きの力がかけられるのを受けて、支持フレーム102及び弁アンカー104をともに引き込むことを可能にする。
【0117】
いくつかの実施例によれば、一方向相互接続部161eは、回転ラチェット機構を含むことができる。例えば、相互接続部161eの滑車機構を示す、
図4Gの挿入図に示すように、相互接続部161eは、連結機構160eが通過することができる開口部を有する本体を備えることができ、ラチェット機構は、連結機構160eが一方向において動くことを可能にするが、反対方向においては動きを制約するために連結機構160eに係合する、開口部へと延在する歯車構造を有することができる。
【0118】
使用時、例えば、臨床医は、支持フレーム102に対して弁アンカー104を遠位に前進させることができ(本明細書において開示されている実施例の動き及び特徴を使用して)、結果として、連結機構160eにいくらかの緩みがもたらされ得る。臨床医は、その後、近位作動部分161fを掴み、引くことができ、それによって、連結機構160eが、相互接続部161eを通じて近位に引き込まれ(例えば、相互接続部を通じてラチェットされ)、その結果、相互接続部161eと支持フレーム102上の付着点との間の連結機構160eの長さが低減する。代替的に、臨床医は、弁アンカー104を引き込むか、又は、弁アンカーを支持フレーム102に対して遠位に前進させるために、近位作動部分161fを単純に近位に引くことができ、それによって、相互接続部161eと支持フレーム102上の付着点との間の連結機構160eの長さを低減することができる。連結機構160eのこれらのタイプの動き及びラチェットのいずれかは、弁アンカー104が支持フレーム102に対して動くことを制約することができる。このように、弁アンカー104を支持フレーム102に向かって引き込むことができるため、埋め込み部位において人工器官を解放することを見越して、これらの構成要素の長手方向相対位置を望ましい位置に制約又は固定することができる。
【0119】
ここで
図5を参照すると、いくつかの実施例による、
図4Aの切断線5-5に沿った、送達デバイス200に装填されている代用弁100の側面断面図が与えられる。
図5に示す多くの特徴の中で、
図5は、近位筐体210が、弁アンカー104と支持フレーム102の両方の上に延在することを示す。したがって、いくつかの実施例によれば、
図5に示す圧縮又は送達構成において、連結機構は、弁アンカー104と支持フレーム102との間に延伸することができ、(連結機構の支持フレーム102との付着点、及び、近位筐体210の長手方向範囲に応じて)近位筐体210内に少なくとも部分的に囲むことができる。
【0120】
様々なタイプの連結機構のすべてが
図5に示されているわけではないが、
図4A~
図4Gに示すもののような、本明細書において開示されている連結機構のいずれかは、このように近位筐体210内に囲むことができる。これによって、有利には、送達デバイス200を標的領域へと前進させている間に、任意の損傷又は絡まりから連結機構を保護することができる。
【0121】
加えて、
図5は、弁アンカー104が連結器運動制限手段240を備えることができることを示す。連結器運動制限手段240は、連結機構が弁アンカー104のU字形部材に沿ってスライドするときに、連結機構の動きを制約又は防止するように、弁アンカー104のワイヤ・フレーム構造の拡大プロファイルを提供することができる。
【0122】
送達デバイス200の代替的な実施例において、弁アンカー104と支持フレーム102は両方とも、弁アンカー104を解放する前に、送達前及び送達中に近位シース構成要素204内に囲むことができる。例えば、いくつかの実施例において、弁アンカー104は、支持フレーム102の遠位にあることができ、弁アンカー104は、近位シース構成要素204の遠位端の近くにあり、支持フレーム102は、弁アンカー104に(直列構成において)ほぼ隣接することができ、弁アンカー104の近位にある。送達デバイス200のいくつかの実施例において、弁アンカー104と支持フレーム102は両方とも、近位シース構成要素204内に囲むことができ、支持フレーム102は近位シース構成要素204の遠位端及び弁アンカー104の近くで、支持フレーム102にほぼ隣接し、支持フレーム102の近位にある。
【0123】
さらに、送達デバイス200の代替的な実施例において、代用弁を送達する前及び代用弁を送達している間に、弁アンカー104は遠位キャリア・アセンブリ206内に囲むことができ、支持フレーム102は近位シース構成要素204内に囲むことができる。例えば、送達デバイス200のいくつかの実施例において、代用弁を送達する前及び代用弁を送達している間に、弁アンカー104と支持フレーム102は両方とも遠位キャリア・アセンブリ206内に囲むことができ、支持フレーム102は近位シース構成要素204内に囲むことができる。この構成において、弁アンカー104及び支持フレーム102は、互いにほぼ(直列構成において)隣接することができ、弁アンカー104は、支持フレーム102に対して近位に位置決めすることができる。
【0124】
いくつかの実施例は、有利には、弁アンカー104が送達デバイス200から解放された後に、近位シース構成要素204を位置合わせし直し、位置決めし直すことを容易にすることができる。
【0125】
例えば、弁アンカー104が自然弁洞内に位置決めされ、捕捉手段から解放された(その結果、弁アンカー104が送達デバイス200から解放された)後、近位シース構成要素204の遠位端部分208が押し込まれて近位筐体210の近位当接面214と接触するまで、近位シース構成要素204は、遠位キャリア・アセンブリ206に対して遠位に前進することができる。
【0126】
図6A~
図6Eは、代用弁の展開シーケンス中の連結機構の様々な位置及び作動を示す。連結機構付着パターンは、本明細書において開示されている他の実施例に関して論じられ、例示されているものから変化してもよいが、
図6A~
図6Eに示す実施例は、連結機構、及び、本明細書において開示されている1つ又は複数の実施例に組み込むことができる関連する特徴の動き及び位置決めを示す。
【0127】
例えば、
図6A及び
図6Bは、近位シース構成要素204が弁アンカー104に対して近位に後退され、それによって、弁アンカー104が圧縮装填構成から拡張し始めることが可能である構成にある、送達デバイス200を示す。
図6A及び
図6Bに示すように、弁アンカー104は、任意選択的に、U字形部材のベース部分144が、ベース部分144の中間位置から延在する連結器運動制限手段240a(240bも参照されたい)を備えるように構成することができる。連結器運動制限手段240a、240bは、ループが弁アンカー104のベース部分144に沿ってスライドするときに、連結機構160のループ(例えば、
図3Aにも示すループ162及び164参照)の動きを制約又は防止する、弁アンカー104のワイヤ・フレーム構造の拡大プロファイルを提供することができる。
【0128】
例えば、連結器運動制限手段240aは、連結機構160のループが、両方ともU字形部材140の単一の脚部へとスライドするのを防止する傾向にあることができる。これによって、連結機構160のループ(例えば、ループ162、164)が、弁アンカー104のそれぞれの係合領域のみに向かって動くことが可能になり、その結果、連結機構160がそれぞれの係合領域内で適切に位置決めされ、弁アンカー104の適切な動き及び展開が保証される。
【0129】
いくつかの実施例において、弁アンカー104の第1のU字形部材、第2のU字形部材及び第3のU字形部材の各々が、それぞれの連結器運動制限手段を備えることができる。さらに、連結機構160は、それぞれの連結器運動制限手段(例えば、
図6Bの連結器運動制限手段240a及びループ162、164参照)の対向する両側でそれぞれのU字形部材の各々に結合することができる。
【0130】
さらに、いくつかの実施例において、連結器運動制限手段240a、240bは、
図6A及び
図6Bに示すように、ベース部分144から近位方向において弁アンカー104のピーク部分に向かって延在することができる。しかしながら、連結器運動制限手段240a、240bはまた、ベース部分144から遠位方向において弁アンカー104のピーク部分から外方に延在することもできる。諒解され得るように、連結器運動制限手段240a、240bは、ベース部分144から延在するが、弁アンカー104のU字形部材は概してそのままであり、「u字形」と考えることができる。任意選択的に、連結器運動制限手段は、本明細書において説明されているように、捕捉構成要素のラッチ、把持舌部又は他の付着点としての機能を可能にするための特徴を含むことができる。
【0131】
図6A及び
図6Bはまた、連結機構160が、弁アンカー104を支持フレーム102と相互接続する織りパターンを規定することができることも示している。例えば、連結機構160は、(i)支持フレーム102上の第1の周方向付着位置242から、(ii)第1のU字形部材140aの第1の脚部146b(第1のU字形部材140aの連結器運動制限手段240aの第1の側にある)へと延伸し、(iii)その後、引張部材198の可撓性ループ199に掛かって、次いで、第1のU字形部材140aの第2の脚部148a(第1のU字形部材140aの連結器運動制限手段240aの第2の側にある)へと延伸し、(iv)その後、支持フレーム102上の第2の周方向付着位置244へ、(v)その後、連結器運動制限手段240bの第2の側にある第2のU字形部材140bの第1の脚部146cへと延伸する。連結機構は、このパターンを継続することができ、第3のU字形部材の第2の脚部へ、その後、支持フレーム102上の第3の周方向付着位置(図示せず)へと延伸することができる。
【0132】
同じく
図6Aに示すように、第1の周方向付着位置242及び第2の周方向付着位置244は、支持フレーム102の中間部分に隣接して、その中に、又はそれに沿って位置することができる。特に、第1の周方向付着位置242及び第2の周方向付着位置244は、人工器官100が圧縮又は送達構成にあるとき、近位筐体210と遠位筐体212との間の窓又は間隙248を通じて露出することができる。しかしながら、第1の周方向付着位置242及び第2の周方向付着位置244は、支持フレーム102の近位端部分又は遠位端部分に隣接して、その中に、又はそれに沿って位置することができ、その結果、第1の周方向付着位置242及び第2の周方向付着位置244は、標的位置への送達中に近位筐体210又は遠位筐体212のうちの一方によってカバーされる。
【0133】
図6Cは、
図4Bの代用弁及び送達デバイスの拡大詳細図である。
図6Cは、引張部材を有しない連結機構160a、160bを有する送達デバイス200を示す。各連結機構160aは、弁アンカー104を支持フレーム102と相互接続する織りパターンを規定することができる。例えば、連結機構160aは、(i)支持フレーム102上の第1の周方向付着位置(例えば、
図6Aにあるような242)から、(ii)第1のU字形部材140aの第1の脚部146b(第1のU字形部材140aの連結器運動制限手段240bの第1の側にある)へと延伸し、(iii)その後、直接的に、第2のU字形部材140cの第2の脚部148b(第2のU字形部材140cの連結器運動制限手段240cの第2の側にある)へと延伸し、(iv)その後、支持フレーム102上の第1の周方向付着位置(例えば、
図6Aにあるような242)へ(又は代替的に、支持フレーム102上の異なる周方向付着点へ)戻る。
【0134】
追加の連結機構160b、160cが、U字形部材と支持フレーム102上の周方向付着位置との間に同様のパターンを織り込むことができる。
【0135】
図6Dは、ベース部分144の中間位置から延在する菱形連結器運動制限手段240cを有する送達デバイス200を示す。描写されている実例において、連結器運動制限手段240cは、弁アンカー104のベース部分144に沿ってスライドする連結機構160dのループ162、164の動きを制約又は防止する、弁アンカー104のワイヤ・フレーム構造の細長い菱形のプロファイルを提供することができる。例えば、連結器運動制限手段240cは、連結機構160dのループ162、164が弁アンカー104のそれぞれの係合領域に向かって自由に動くことを可能にしながら、連結機構160dのループ162、164が、両方ともU字形部材140の単一の脚部へとスライドすることを防止する傾向にあることができ、その結果、連結機構160dがそれぞれの係合領域150内で適切に位置決めされ、弁アンカー104の適切な動き及び展開が保証される。
【0136】
図6Eは、連結機構のループ(例えば、162、164)をU字形部材の単一の脚部上に維持するためのバリア縫合糸240dを有する送達デバイス200を示す。バリア縫合糸240dは、弁アンカー104に付着されられる材料ストランドとすることができる。しかしながら、バリア縫合糸240dは、例えば、単一の連続的な材料片など、弁アンカー104の単一の連続的な部分として形成されてもよい。
【0137】
図6Eにおいて、弁アンカー104は、U字形部材140a、140b、140cの中間位置144aから、各U字形部材の係合領域に隣接するそのそれぞれの脚部に向かって延伸する、複数のバリア縫合糸240dを備える。各U字形部材について、例えば、バリア縫合糸240dは、ベース部分の中間位置144aに対して近位にある、第1の脚部146b上の第1の係合領域150bに隣接する、第1の位置から延伸することができ、単一の連続的なストランドであるか、又は、第2の別個のストランドであるかにかかわらず、バリア縫合糸240dは、中間位置144aから、第2の係合領域150aに対して近位にある、第2の脚部148a上の第2の位置へと延伸することができる。
【0138】
図6Eの描写されている実例において、バリア縫合糸240dは、連結機構160dのループ162、164の動きが、弁アンカー104の中間位置144aを過ぎて又は越えて、U字形部材140aの異なる脚部146b、148aへとスライドすることを制約又は防止する。例えば、バリア縫合糸240dは、ループ162、164が弁アンカー104のそれぞれの係合領域150a、150bに向かって自由に動くことを可能にしながら、ループ162、164が、両方ともU字形部材140aの同じ脚部146b、148aへとスライドすることを防止する傾向にあることができ、その結果、連結機構160がそれぞれの係合領域内で適切に位置決めされ、弁アンカー104の適切な動き及び展開が保証される。
【0139】
図7A~
図7Kは、少なくとも1つの実施例による、送達デバイスの任意選択の態様を示す。これらの図は、一実施例に組み込むことができる送達デバイスの構成要素のすべてを示しているわけではない。しかしながら、これらの図に示す特徴は、弁アンカーとの係合を容易にし、並びに/又は、標的位置における弁アンカーの埋め込み及び解放中に弁アンカーの送達及び制御を容易にするために、送達デバイスの実施例に組み込むことができる。
【0140】
例えば、
図7A~
図7Dは、捕捉機構を備える送達デバイス200aの一実施例を示す。捕捉機構を使用して、弁アンカーの一部分を送達デバイスと安全に結合して、臨床医が、弁アンカーの運動、動作、及び展開を制御することを可能にすることができる。捕捉機構は、機械的係合、吸収性構造、化学反応性分解可能構造、電解分解可能構造などを含む付着手段を使用することができる、様々な結合機構を使用して弁アンカーの1つ又は複数の部分又は構造に係合することができる。
【0141】
いくつかの実施例において、捕捉機構は、管状捕捉機構とすることができる。
図7Aに示す送達デバイス200aは、
図7Aに示すように、弁アンカー104aと係合することができ、その長手方向位置を制御することができる捕捉手段224aを備えることができる。
図7B及び
図7Cは、
図7Aにおいては捕捉手段224a及び弁アンカー104aが係合構成にあることに起因して、
図7Aでは隠れている、捕捉手段224aの構成要素の係合解除の状態及び特徴を示す。
【0142】
図7B及び
図7Cに示すように、送達デバイス200aの捕捉手段224aは、管状筐体228aの管腔内で可動である係合ワイヤ179を備えることができる。弁アンカー104aは、弁アンカー104aの係合領域150dから延在する把持舌部170aを備えるように構成することができる。係合ワイヤ179は、弁アンカー104aの係合領域において把持舌部170aの係合構造172aに結合することができる、ピン、隆起部、又は突出部226aを含む遠位端部分を備えることができる。
【0143】
ともに係合されると、係合ワイヤ179及び把持舌部170aは、管状筐体228aの管腔内に近位に引き込むことができ、これによって、係合ワイヤ179及び把持舌部170aが、半径方向と長手方向の両方において互いに対して固定される。しかしながら、
図7Dに示すように、係合ワイヤ179及び把持舌部170aが管状筐体228aの管腔の外部に動かされると、係合ワイヤ179及び把持舌部170aは、弁アンカー104a及び把持舌部170aが半径方向に拡張すると係合解除され得、その結果、把持舌部170aが係合ワイヤ179から係合解除される。
【0144】
図7Aを参照すると、各ワイヤ179は、ワイヤ179が収容されるその管状筐体228aの管腔内で又は管腔に対して近位に引くか又は位置決めすることができる。いくつかの実施例において、弁アンカー104aの係合領域は、管状筐体228a内に位置決めされ、隆起部又は突出部226aの把持舌部170aの開口に対する相対運動を制限することによって隆起部又は突出部226aが把持舌部170aの開口内に固定され、したがって、弁アンカー104aが係合される。
【0145】
いくつかの実施例において、把持舌部170aは、
図7Bに示すように、係合ワイヤ179の半径方向外側領域に沿って結合することができる。さらに、管状筐体228aの断面積は、係合ワイヤ179と把持舌部170aとの間の長手方向のロック又は係合を維持しながら、係合した弁アンカー104aの集合的な断面が管状筐体228a内で又はこれに対して動くことを可能にしながら、突出部226aが半径方向において把持舌部170aから係合解除されることを防止するのに十分に小さい。
【0146】
少なくとも1つの実施例によれば、捕捉手段224aは、臨床医が、弁アンカー104aが送達デバイス200aとの係合から完全に解放される前に、弁アンカー104aを送達デバイス200aに対して押し、引き、又は回転させることを可能にすることができる。
【0147】
再び
図7Bを参照すると、各ワイヤ179は、その管状筐体228aの管腔内で又は管腔に対して遠位に前進することができ、その結果、隆起部又は突出部226a及び把持舌部170aの開口は管状筐体228aの管腔の外部にある。突出部226a及び把持舌部170aが管状筐体228aの管腔の外部にあるように、各ワイヤ179をその管状筐体228aに対して前進させることによって、把持舌部170aは、自己拡張を開始することができ、突出部226aから半径方向に分離することができ、その結果、
図7Cに示すように、突出部226aから分離して、弁アンカー104aを解放する。弁アンカー104aが解放されると、ワイヤ179は、
図7Dに示すように、管状筐体228a内へと後退することができる。
【0148】
図7E及び
図7Fは、捕捉手段224’の態様を示す。図示のように、捕捉手段224’は、人工器官を送達デバイスへと装填するときに、弁アンカー104aとの接続を容易にするためのプロファイルを有する。いくつかの実施例において、捕捉手段224a’は、概して平滑なプロファイルを有する。
図7E及び
図7Fに示すように、捕捉手段224a’の舌部は、弁アンカー104aとの相互接続を容易にするために、角度付き遠位部分225a’及び丸みを帯びた近位部分227a’を有する突出部226a’を有する。
【0149】
例えば、いくつかの実施例において、捕捉手段224a’の舌部は、角度付き遠位部分229a’をさらに含むことができる。有利には、捕捉手段224a’のプロファイルの角度付き特徴及び丸みを帯びた特徴は、弁アンカー104aとの円滑な係合及び係合解除を促進することができる。いくつかの実施例において、捕捉手段224a’の係合面は、電解研磨することができる。
【0150】
本明細書において開示されている少なくとも1つの実施例によれば、送達デバイスが血管を通じて動かされるとき、送達デバイスは血管のねじれを通過する際に屈曲又は湾曲する場合があることが認識されている。これが起こるとき、捕捉手段は、近位シース構成要素内で半径方向に動く傾向にあり得、これによって、捕捉手段の遠位端又は係合端が、互いに対して長手方向に変位され又は不整合になる場合がある。これによって、送達中に弁アンカーが屈曲又は不整合になる場合があり、配置がより困難になる場合がある。
【0151】
より具体的には、少なくとも1つの実施例において、捕捉機構は、共通の平面(送達デバイスの長手方向軸に対して概して垂直に向けられ得る)からの、ハンドル・アクチュエータ(例えば、
図13A~
図13H)から延在し得、ほぼ等しい長手方向の長さを有し得る。加えて、捕捉機構の各々は、近位シース構成要素内の所与の半径方向若しくは周方向位置、扇形部分、又は四分円部分に由来し得る。送達デバイスが直線経路に沿って延在する場合、捕捉手段の遠位端又は係合端はまた、送達デバイスの長手方向軸に対して概して垂直に向けられた共通の平面内に位置整合され、その結果、
図5に示すように、弁アンカーの領域と係合する。
【0152】
しかしながら、使用時、近位シース構成要素が、例えば、血管のねじれに起因して(
図7Gに示すように)屈曲する場合、捕捉機構の各々は、近位シース構成要素内のその元の周方向若しくは半径方向位置、扇形部分、又は四分円部分から外方に動かされ得る。これは、各個々の捕捉機構が、近位シース構成要素内で真っすぐな直線経路において延在し、捕捉機構が近位シース構成要素の内壁に衝突する場合にのみ屈曲する傾向にあるために起こる。結果として、捕捉機構は、近位シース構成要素における屈曲部の外壁に対して収束し得、これによって、捕捉手段の遠位端又は係合端の相対的な位置付けが変化し得る。加えて、近位シース構成要素の長手方向軸に対して概して垂直に向けられる共通の平面内で位置整合又は位置決めされる代わりに、捕捉手段の遠位端又は係合端は、面外に位置決めされてもよく、又は、単純に、近位シース構成要素の長手方向軸に対して垂直に延在する共通の平面外に位置決めされてもよい。そのような不整合は、弁アンカーの応力、不整合、不慮の係合解除、又は屈曲を生じる可能性があり、その係合領域は、送達中に共通の平面(近位シース構成要素の長手方向軸に対して概して垂直に向けられる)内に維持されることが最も好ましい。
【0153】
それゆえ、少なくとも1つの実施例は、捕捉機構の遠位部分に沿った捕捉機構の少なくとも一部分の長手方向位置を維持又は固定することができる位置整合ハブを含むように構成することができる。このように、捕捉機構の中間部分は、近位シース構成要素内のそれらの元の半径方向若しくは周方向位置、扇形部分、又は四分円部分から半径方向に不整合に又は変位され得るが、位置整合ハブは、有利には、長手方向位置が、近位シース構成要素の長手方向軸に対して垂直に位置決めされる実質的に同じ又は共通の平面内に位置することができるように、捕捉機構の位置を再設定又は再位置整合する役割を果たすことができる。
【0154】
例えば、
図7G~
図7Iは、任意選択的に送達デバイスの少なくとも1つの実施例において使用されてもよい、遠位ハブ又は捕捉手段位置整合ハブ230を示す。図示のように、捕捉手段位置整合ハブ230は、捕捉手段226aの弁アンカー104との所望の及び/又は予測可能な係合及び係合解除を可能にするために、捕捉手段226aの遠位端を望ましい共通の平面内に固定又は維持するために利用することができる。特に、捕捉手段位置整合ハブ230は、捕捉手段226aの遠位端が、例えば屈曲部など、血管のねじれを通じて又は過ぎて操作されるときに、近位シース構成要素204、530の屈曲にかかわらず、共通の平面内に維持されることを可能にすることができる。
【0155】
図7G及び
図7Hに示すように、捕捉手段位置整合ハブ230は、送達デバイスの遠位区画付近で捕捉手段226aの管状筐体228aに対して又は直接的に接合又は固定することができる。いくつかの実施例において、捕捉手段位置整合ハブ230は、送達デバイスの遠位端から少なくとも約2.54cm(1インチ)、5.08cm(2インチ)、7.62cm(3インチ)、8.89cm(3.5インチ)、又は10.16cm(4インチ)のところで管状筐体228aに固定することができる。
【0156】
図7Hを参照すると、捕捉手段226a及び対応する管状筐体228aは、捕捉手段位置整合ハブ230を通じて形成される管状筐体通路232を通って、第1の端部又は近位端236と第2の端部又は遠位端238との間で捕捉手段位置整合ハブ230を通じて延在する。管状筐体228aは、管状筐体228aを捕捉手段位置整合ハブ230に対して係合又は固定するように、管状筐体通路232に接合又は機械的に結合することができる。たとえ管状筐体228aが、捕捉手段位置整合ハブ230に対して送達デバイスの遠位区画に沿って長手方向に動かないように制約され得るとしても、いくつかの実施例において、捕捉手段226aは依然として、弁アンカーとの係合及び/又は係合解除を容易にするために、管状筐体228a内で動くことを可能にすることができる。しかしながら、管状筐体228aはスライド運動しないように制約されるため、捕捉手段226aの遠位端もまた、近位シース構成要素204が湾曲部又はねじれを通じて動くか又はその中へと動かされるときに、互いに対して長手方向に変位されないように制約され得る。長手方向において互いに対して一実施例よりも小さく変位される傾向にある。
【0157】
図示のように、芯部材220は、捕捉手段位置整合ハブ230を通じて形成される芯部材通路234を通って、第1の端部又は近位端236を通じて第2の端部又は遠位端238へと通過することができる。芯部材220は、芯部材通路234を通じて可動とすることができる。例えば、いくつかの実施例において、捕捉手段位置整合ハブ230は、管状筐体228aが捕捉手段位置整合ハブ230に固定されている間に、芯部材220に対して動くことができる。
【0158】
図7Iを参照すると、捕捉手段位置整合ハブ230の外面239は、概して円筒の形状を有することができる。いくつかの実施例において、外面239の円筒形状は、捕捉手段位置整合ハブ230がカテーテル530内で自由に動くことを可能にすることができる。図示のように、管状筐体通路232及び芯部材通路234は、導入及び送達中にカテーテル530が操作されるときに、管状筐体228aと芯部材220との間の所望の位置整合を維持するように構成することができる。さらに、少なくとも1つの実施例において、捕捉手段位置整合ハブ230における管状筐体通路232及び芯部材220の断面構成は、ハンドル・アクチュエータにおけるそれらの断面構成と実質的に同様であり得る。
【0159】
加えて、少なくとも1つの実施例によれば、管状筐体通路232及び芯部材通路234並びに捕捉手段位置整合ハブ230の構成は、カテーテル530の管腔の長手方向軸に対する管状筐体228a及び芯部材220のよじれ又は不整合をさらに低減し又は回避することができる。
【0160】
図示のように、少なくとも1つの実施例において、管状筐体通路232は、互いに隣接して配置することができ、捕捉手段位置整合ハブ230の周縁を境界する弧に沿って、捕捉手段位置整合ハブ230の中心軸からオフセットされ得る。芯部材通路234は、管状筐体通路232のそれぞれの断面直径よりも大きい断面直径を有することができる。芯部材通路234は、捕捉手段位置整合ハブ230の中心軸からオフセットすることができ、管状筐体通路232から離間することができる。そのような構成は、管状筐体通路232及び芯部材通路234の各々がその中に囲まれることを可能にしながら、捕捉手段位置整合ハブ232が最小の断面直径を有することを可能にすることができる。
【0161】
しかしながら、少なくとも1つの実施例において、管状筐体通路232は、芯部材通路234の周りに周方向に配置することができる。任意選択的に、管状筐体通路232は、等距離に配置することができる。
【0162】
図7J及び
図7Kは、弁アンカー204bと係合することができる捕捉機構を備える送達デバイス200bの一実施例を示す。いくつかの実施例において、弁アンカー204bは、
図Hに関連して上述したように、U字形部材のベース部分に位置する把持舌部を備えることができる。任意選択的に、弁アンカー204bは、
図2Hに記載の弁アンカー104aと類似又は同一であり得、その特徴は簡潔にするためにここでは再び論じないが、そのような組み合わせにおいて認識され得る。
【0163】
図7Jを参照すると、弁アンカー204bと支持フレーム102の両方の上に延在する近位シースを有する送達デバイス200bが示されている。したがって、いくつかの実施例によれば、
図7Jに示す圧縮又は送達構成において、連結機構は、弁アンカー204bと支持フレーム102との間に延伸することができ、近位筐体210内に少なくとも部分的に囲むことができる。送達デバイス200bの代替的な実施例において、弁アンカー204bと支持フレーム102は両方とも、弁アンカー204bを解放する前に、送達前及び送達中に近位シース構成要素内に囲むことができる。
【0164】
例えば、
図7Jに示す送達デバイス200bは、弁アンカー204bのベース部分と係合し、これを制御するために、弁アンカー204bにわたって延在することができる捕捉手段224bを備えることができる。任意選択的に、近位筐体210は、それに付着する弁アンカー204b及び捕捉手段224bが、圧縮又は非展開構成においてより低いプロファイルを有することを可能にするために、陥凹されるか、又は、直径の低減した部分を有することができる。
【0165】
図7Kを参照すると、展開構成にある弁アンカー204bを有する送達デバイス200bが示されている。いくつかの実施例において、弁アンカー204bのベース部分に係合することによって、捕捉手段224bは精密に、弁アンカー104bと係合し、その長手方向位置を制御することができる。したがって、捕捉手段224bは、臨床医が所望するように、弁アンカー204bの関節を制御するために使用することができる。
【0166】
さらに、いくつかの実施例において、捕捉手段224bが弁アンカー204bのベース部分に係合することを可能にすることによって、連結機構160の動きを弁アンカー204bの所望の部分に制限することができる。したがって、連結機構160は、U字形部材の望ましくない経路又は脚部に沿ってスライドせず、したがって、連結器が意図されるように動くことを保証する傾向にある。
【0167】
有利には、捕捉機構は、弁アンカーの部分を送達デバイスと安全に結合するために使用することができる。これによって、有益には、操作性を改善することができ、臨床医が、弁アンカー204bの反転を防止しながら、弁アンカーの動き、動作、及び展開を制御することを可能にすることができる。
【0168】
したがって、少なくとも1つの実施例において、臨床医は、捕捉手段の係合部分又は突出部を弁アンカーの把持舌部と係合又は結合することによって、弁アンカーを操作することができる。係合部分及び把持舌部は、係合部分及び把持舌部を管状筐体内に囲むことによって、半径方向において相対的に動かないように(その結果、互いに対して長手方向に係合及び固定されたままにするように)制約することができる。係合部分及び把持舌部を係合解除するために、臨床医は相対的に、係合部分を、管状筐体の端部を越えて遠位に前進させることができる。この位置に来ると、把持舌部は、弁アンカーが半径方向において拡張するときに、半径方向外向きに引かれる傾向にあることができ、その結果、把持舌部が係合部分から係合解除される。その後、係合部分は、管状筐体内へと後退又は引き込むことができる。いくつかの実施例において、係合部分は、把持舌部の窓又は突出部に係合する。いくつかの実施例において、係合部分は、ピン又はスロットである。いくつかの実施例において、各捕捉手段は、複数の係合部分又は突出部を含むことができる。
【0169】
使用中、弁アンカーが近位シース内から解放された後で、且つ、弁アンカー及び弁フレームが送達デバイスから解放された後、送達デバイスは、送達デバイスが前進した血管への任意の損傷を最小限に抑えるために、コンパクトに組み立て直され、導入シース内に引き込まれるように構成することができる。
【0170】
例えば、少なくとも1つの実施例において、
図8Aに示すように、近位筐体210は、近位シース構成要素204の遠位端部分208の、近位筐体210との再位置整合(例えば、半径方向の再位置整合)を容易にするための近位区画250を備えることができる。
【0171】
図8Aに示すように、近位区画250は、芯部材220に結合することができる。さらに、近位区画250は、任意選択的に、近位方向において円錐形若しくはテーパ状にすることができ、並びに/又は、近位シース構成要素204の、送達デバイス200の長手方向軸に沿った近位筐体210に対する再位置整合を容易にすることができる周方向ノード252及び/若しくは周方向キャビティ254を有することができる。近位区画250がテーパ状であることによって、近位シース構成要素204の遠位端部分208は、近位区画250の上で円滑に遠位に前進することが可能であり得、遠位端部分208が近位当接面214に接近するときに、周方向ノード252は、近位シース構成要素204の遠位端部分208の内面に接することができる。
【0172】
例えば、
図8Aに示すように、周方向ノード252は、近位方向において、近位当接面214から漸進的にテーパ状になることができる。そのような構成において、近位シース構成要素204が近位筐体210に向かって遠位にスライドすると、周方向ノード252は有利には、近位シース構成要素204の外面が近位筐体210の外面と位置整合されるように、近位シース構成要素204の遠位端部分208を、近位筐体210の近位当接面214に向かって遠位に案内することができる。したがって、近位筐体210及び近位シース構成要素204の外面は、送達デバイス200が体腔内で動かされるときに、送達デバイス200が体腔内の組織に引っかかるか又は他の様態で損傷する可能性を有利に低減することができる、送達デバイス200の平滑な外側プロファイルを与えることができる。
【0173】
任意選択的に、近位区画250は、3つの周方向ノード252及び3つの周方向キャビティ254を備えることができる。周方向ノード252は、近位当接面214から近位に延在することができる。3つの周方向キャビティ254は、近位シース構成要素204と近位筐体210の近位区画250との間で近位シース構成要素204内に収容される弁アンカーのU字形部材の数に対応することができる。
【0174】
いくつかの実施例のこの有利な特徴は、遠位筐体212が送達デバイス200の取り出し中にいかなる構造とももつれず又は引っかからないことを保証するために、遠位筐体212が、送達デバイス200に沿って適切に位置決めされることを可能にすることができる。
【0175】
図4~
図8Bにも示すように、近位筐体210及び遠位筐体212は集合的に、支持フレーム102を収容することができる。第1の芯部材220及び第2の芯部材222は、近位筐体210と遠位筐体212とを分離するために作動させることができ、その結果、支持フレーム102が、弁アンカー104内の位置にあるときに、自己拡張することが可能になる。
【0176】
例えば、第1の芯部材220、第2の芯部材222、及び/又は近位シース構成要素204を、送達デバイス200の長手方向軸に沿って互いに対して押す又は引くことによって、臨床医は、代用弁100の支持フレーム102及び弁アンカー104の解放を可能にするために、これらの構成要素の各々の長手方向の動きを制御することができる。
【0177】
さらに、いくつかの実施例において、送達デバイス200の標的位置への送達を容易にするために、
図8A~
図8Dに示すように、第2の芯部材222は、送達デバイス200がガイドワイヤに沿って動くことを可能にするための管腔218を含むことができ、ガイドワイヤは、第2の芯部材222の管腔218を通じて延伸することができる。
【0178】
図8A~
図8Dは、支持フレーム102の開放中の近位筐体210及び遠位筐体212の位置をさらに示す。近位筐体210と遠位筐体212とを、
図8Aに示す位置から
図8Bに示す位置へと分離した後、支持フレーム102の第1の端部分110は、圧縮構成から拡張構成へと拡張し始めることができる。いくつかの実施例において、支持フレーム102は、その第1の端部分110に1つ又は複数のアンカー109(
図1も参照されたい)を有することができ、アンカーは、自然弁構造と係合されると、(支持フレーム102の自己拡張に起因する)外向きの拡張力及びその結果としての摩擦係合を補完して、支持フレーム102が自然弁構造に対して下流に移動するのを軽減することができる。したがって、第1の端部分110を最初に(第2の端部分112の前に、且つ、近位筐体210及び遠位筐体212の相対運動を介して)開くことによって、第1の端部分110は、「開花」して、支持フレームの解放を容易にし、及び/又は、弁構造自体などの天然の解剖学的構造と係合して、自然弁構造に対する支持フレーム102の長手方向位置を固定することができる。その後、支持フレーム102の第2の端部分112は、近位筐体210から係合解除及び解放されるように、制御及び解放することができる。
【0179】
いくつかの実施例において、第1の端部分110及び第2の端部分112は、同じ又は異なる速度において同時に開くことができる。例えば、いくつかの実施例において、第1の端部分110及び第2の端部分112は同時に開くことができるが、第1の端部分110が第2の端部分112よりも速い速度で開く。
【0180】
有利には、近位筐体210及び遠位筐体212を使用することによって、支持フレーム102をより高度に制御し、動作を向上させることが可能になる。例えば、近位筐体210及び遠位筐体212の分離の位置及び速度を制御することによって、第1の端部分110と第2の端部分112の両方における支持フレーム102の開き方を制御することができる。さらに、遠位筐体212の動きを制御することによって、第1の端部分110を開くタイミング及び速度を、第2の端部分112を開くタイミング及び速度(近位筐体210の動きによって制御することができる)に対して制御することができる。
【0181】
加えて、また有利には、近位筐体210と遠位筐体212とを別個にすることによって、送達デバイス200は、受ける摩擦力を低減することができ、支持フレーム102に対する筐体210、212の移動を最小限に抑えることができる。
【0182】
特に、いくつかの実施例によれば、遠位キャリア・アセンブリ206は、支持フレーム102の拡張を容易にすることができるプランジャ機構260を備えることができる。プランジャ機構260は、圧縮状態(
図8Aに示す)から伸展状態(
図8Bに示す)へと拡張することができる。プランジャ機構260は、圧縮状態から伸展状態へと自動的に動くために、ばね又は他のデバイスによって付勢することができる。しかしながら、プランジャ機構260はまた、いくつかの実施例においては臨床医によって手動で作動されてもよい。
【0183】
図示されているように、プランジャ機構260は、プランジャ・ヘッド262と、付勢手段264とを備えることができる。さらに、プランジャ機構260は、遠位筐体212の管状部分272の遠位管腔270内に収容することができる。例えば、付勢手段264はばねであってもよい。付勢手段264は、遠位管腔270の内部構造又は壁274と、プランジャ・ヘッド262の遠位表面又は構造276との間に置くことができる。プランジャ・ヘッド262は、支持フレーム102が遠位管腔270を出るまで、支持フレーム102の第1の端部分110に近位方向向きの力をかけ続けるために、遠位管腔270内で近位に動くことができる。その後、いくつかの実施例によれば、支持フレーム102は、支持フレーム102が拡張し続けるときに第2の端部分112が近位筐体210の管状部分282の近位管腔280から引き抜かれるまで、自己拡張することができる。支持フレーム102の拡張状態は、
図8C及び
図8Dに示す。
【0184】
いくつかの実施例はまた、送達アセンブリの構成要素が、解放状態(代用弁の構成要素が送達アセンブリとの係合から解放される状態)から、送達アセンブリが、送達アセンブリが患者の脈管構造から取り出されるときに脈管構造ともつれる可能性を低減する傾向にあることができる継ぎ目外側プロファイルに当接する位置整合した外面又は外面を有する入れ子状態又は収納状態に動かされることを可能にするための自己位置整合の特徴をも提供することができる。例えば、任意選択的に、支持フレーム102が拡張され、遠位キャリア・アセンブリ206から解放された後、プランジャ・ヘッド262は有利には、患者から送達デバイス200を取り出すのに備えて、遠位キャリア・アセンブリ206の近位筐体210及び遠位筐体212の再位置決め及び再位置整合を容易にすることができる。
【0185】
例えば、プランジャ・ヘッド262は、円錐形又はテーパ状の近位部分286を備えることができる。円錐形近位部分286は、送達中に支持フレーム102の第1の端部分のみと接触しないように構成することができるが、近位筐体210の管状部分282の遠位端部分290を送達デバイス200の長手方向軸に対して中心合わせするのを助けることもでき、遠位端部分290を、遠位筐体212の管状部分272の近位端部分292と位置整合するのを助けることができる。
【0186】
さらに、いくつかの実施例において、プランジャ・ヘッド262は、少なくとも部分的に遠位筐体212の管状部分272の外方に又は管状部分から近位に延伸することができる。例えば、プランジャ・ヘッド262は、管状部分282がプランジャ・ヘッド262の円錐形近位部分286の上で遠位に前進されるときに、管状部分272の内面296に接することができるだけでなく、管状部分282の内面298に接することもできる外周面294を備えることができる。そのため、近位筐体210の遠位端部分290は、
図8Dに示すように、遠位筐体212の近位端部分292と当接する接触位置299内に位置決めすることができる。したがって、プランジャ機構260は、支持フレーム102の拡張を容易にすることができるだけでなく、近位筐体210及び遠位筐体212のいずれも送達デバイス200の取り出し中にいかなる構造にももつれず又は引っかからないことを保証するために、近位筐体210及び遠位筐体212の自己位置整合及び再位置決めを容易にすることもできる。
【0187】
本明細書において開示されている少なくとも1つの実施例によれば、送達デバイスは、任意選択的に、遠位筐体212の管状部分272の外径を越えて半径方向に拡張することができる特徴を有するプランジャ機構を備えることができる。さらに、プランジャ機構はまた、遠位筐体212の管状部分272の近位端に係合するように構成することもできる。したがって、
図8A~
図8Dに示す実施例に例示されているプランジャ機構260の代わりに、送達デバイスは任意選択的に、支持フレームの拡張を容易にし、有利には、送達カテーテル内へと近位に引き込まれているときに送達デバイス200の任意の引っかかり又は係合を回避又は低減するために、第1の直径からより大きい第2の直径へと遠位方向においてテーパ状になっている接触面又は斜面を提供することができるノーズ・コーン・プロテクタを備えることができる。さらに、ノーズ・コーン・プロテクタは、ノーズ・コーン又は遠位キャリア・アセンブリ206のコラム強度を増大させることができる。このように、ノーズ・コーン・プロテクタは、臨床医が送達デバイス200を送達カテーテル内へと後退させるために送達アセンブリ200に近位の後退させる力をかけているときに、ノーズ・コーン又は遠位キャリア・アセンブリ206の破断又は転位を回避するのを助けることができる。
【0188】
例えば、
図9A~
図9Fは、
図8A~
図8Dに示すプランジャ機構260と同様に、支持フレーム102の拡張を容易にすることができるノーズ・コーン・プロテクタ260aを示す。ノーズ・コーン・プロテクタ260aは、圧縮状態(
図9Bに示す)から伸展状態(
図9Cに示す)へと長手方向に動くことができる。ノーズ・コーン・プロテクタ260aは、圧縮状態から伸展状態へと自動的に動くために、ばね又は他のデバイスによって付勢することができる。しかしながら、ノーズ・コーン・プロテクタ260aはまた、いくつかの実施例においては臨床医によって手動で作動されてもよい。
【0189】
図9Aに示すように、ノーズ・コーン・プロテクタ260aは、各々がノーズ・コーン・プロテクタ260aから半径方向に延在し、傾斜面263aを含む花弁状部分263を有するプランジャ・ヘッド262aを備えることができる。傾斜面263aは、支持フレーム102の遠位端に係合し、上述したプランジャ機構260と同様に、支持フレーム102を遠位筐体212から外方に推進するように構成することができ、これによって、支持フレーム102の拡張を容易にすることができる。いくつかの実施例において、ノーズ・コーン・プロテクタ260aは、ポリエーテル・エーテル・ケトン(PEEK)又は他の熱可塑性物質を含むことができる。
【0190】
少なくとも1つの実施例において、花弁状部分263は、ノーズ・コーン・プロテクタ260aが遠位筐体212の管腔内に位置決めされている間は半径方向内向きに偏向するが、後述するように、花弁状部分263の少なくとも一部分が遠位筐体212を出ると、半径方向外向きに拡張するように構成することができる。したがって、花弁状部分263は、半径方向拡張位置に向かって弾性的に付勢することができる。
【0191】
加えて、ノーズ・コーン・プロテクタ260aは、送達デバイス200の芯部材220が延在することができる中央管腔261aを備えることができる。これに関連して、ノーズ・コーン・プロテクタ260aは、送達デバイスの芯部材に沿ってスライドすることを可能にされ得る。
【0192】
さらに、ノーズ・コーン・プロテクタ260aは、近位筐体210及び遠位筐体212のいずれも、送達デバイス200を取り出している間に送達カテーテル又は任意の解剖学的構造ともつれず、引っかからないことを保証するために、遠位キャリア・アセンブリ206とともに使用することができる。少なくとも1つの実施例において、ノーズ・コーン・プロテクタ260aの傾斜面263aはまた、プランジャ機構260によって与えられるものと同様に、近位筐体210及び遠位筐体212の自己位置整合及び再位置決めを容易にすることもできる。
【0193】
使用時、ノーズ・コーン・プロテクタ260aは、送達デバイス200が解剖学的構造又は送達カテーテルの任意の突出部に接触し得る平滑な傾斜面を与えるため、その結果、ノーズ・コーン・プロテクタ260aは、有利には、送達デバイス200を送達カテーテル内に後退させている間に臨床医によって必要とされる引張力又は後退力を最小限に抑えることができる。無論、ノーズ・コーン・プロテクタ260aのもう1つの有益な効果は、血管に対する任意の外傷を防止又は低減することである。
【0194】
図示のように、ノーズ・コーン・プロテクタ260aは、その伸展状態において遠位筐体212の近位端に対して係合するために、半径方向外向きに跳ねるために付勢することができる。伸展状態において、花弁状部分263は、分離267aにおいてばらばらに広がることができる。さらに、花弁状部分263は各々、そのそれぞれの花弁状部分263の外面から半径方向にオフセットされている外面を有する係合歯266aを備えることができ、その結果、花弁状部分263が、遠位筐体212の内径を越えて半径方向に拡張することが可能になる。歯266aは、花弁状部分263の外面から半径方向にオフセットされている接触面を有することができる。さらに、歯266が遠位筐体212の近位端に係合すると、花弁状部分263の外面は、遠位筐体212の外面を越えて半径方向に延在することができる。
【0195】
いくつかの実施例において、各花弁状部分263の遠位係合面265aは、遠位筐体212の近位端に当接することができる。図示のように、ノーズ・コーン・プロテクタ260aの傾斜面263aは、送達デバイス200を送達カテーテル530内へと近位に引き込むことを見越して、近位筐体210と遠位筐体212とを互いに対して位置整合し、その再位置決めを容易にすることができる。加えて、ノーズ・コーン・プロテクタ260aの傾斜面263aは、送達カテーテル530の遠位端531ともつれ又は係合する傾向にない角度付き表面を提供することができる。
【0196】
図9Bに示すように、ノーズ・コーン・プロテクタ260aは、遠位筐体212の管状部分272の遠位管腔270内に収容することができる。ノーズ・コーン・プロテクタ260aは、付勢手段264を介して遠位筐体212に結合することができ、遠位筐体から外方に近位に推進することができる。プランジャ機構260に関連して説明したように、付勢手段264はばねであってもよい。花弁状部分263は、遠位管腔270内に収容されるように半径方向に圧縮することができる。付勢手段264は、遠位管腔270の内部構造又は壁274と、プランジャ・ヘッド262aの遠位表面又は構造276との間に置くことができる。プランジャ・ヘッド262aは、支持フレーム102が遠位管腔270を出るまで、支持フレーム102の第1の端部分110に近位方向向きの力をかけ続けるために、遠位管腔270内で近位に動くことができる。その後、いくつかの実施例によれば、支持フレーム102は、支持フレーム102が拡張し続けるときに第2の端部分112が近位筐体210の管状部分282の近位管腔280から引き抜かれるまで、自己拡張することができる。支持フレーム102の拡張状態は、
図9C~
図9Fに示す。
【0197】
図9C及び
図9Dに示すように、ノーズ・コーン・プロテクタ260aが前進し(
図9Cは、半拡張状態にあるノーズ・コーン・プロテクタ260aを示す)、遠位係合面265aが遠位管腔270の近位端を過ぎて延伸する(
図9Dは、完全拡張状態にあるノーズ・コーン・プロテクタ260aを示す)と、花弁状部分263が半径方向に拡張して、遠位管腔270に対して係合することができる。任意選択的に、ノーズ・コーン・プロテクタ260aの近位端は、遠位係合面265aが遠位筐体212の近位端と軸方向に当接したままに維持するために、中央管腔261aに対して係合されるカラーによって軸方向に保持することができる。
【0198】
送達中に支持フレーム102の第1の端部分に接触するのに加えて、
図9Eに示すように、傾斜面263aはまた、近位筐体210の管状部分282の遠位端部分290を送達デバイス200の長手方向軸に対して中心合わせするのを助けることもでき、遠位端部分290を、遠位筐体212の管状部分272の近位端部分292と位置整合するのを助けることができる。
【0199】
さらに、
図9Fに示すように、いくつかの実施例において、傾斜面263aは、近位シース構成要素204が遠位筐体212と同心に位置整合されることを可能にし、近位筐体210及び遠位筐体212を近位シース構成要素内へと後退させるのに必要な後退力が最小限に抑えられる。いくつかの実施例において、傾斜面263aは、約45度の傾斜角を有することができ、又は、約10度~約80度、約20度~約70度、約30度~約60度、又は約40度~約50度に及んでもよい。
【0200】
図8E、
図10A、及び
図10Bを参照すると、近位筐体210の近位区画250は、近位区画250の弁アンカーとの係合及び位置整合を容易にする特徴を含むことができる。
図8E及び
図10Aに示すように、近位筐体210の近位区画250は、周方向ノード252及び周方向キャビティ254を有する。周方向キャビティ254の各々は、2つの周方向ノード252の間の空間によって画定することができる。
図10Bに示すように、弁アンカー104のそれぞれのU字形部材は、周方向ノード252の間で、周方向キャビティ254内に受け入れることができる。
【0201】
例えば、弁アンカー104が装填され、近位シース構成要素204が弁アンカー104を被覆すると、弁アンカー104の各U字形部材は、近位区画250と近位シース構成要素204との間で、対応する周方向キャビティ254内に位置決めされ得る。
図8E(
図8Dの線8E-8Eに沿った)に示す近位筐体210の近位区画250の断面はまた、弁アンカー104が周方向キャビティ254内に受け入れられ又は位置決めされ得るように、周方向キャビティ254の各々が、2つの周方向ノード252の間の空間によって画定され得ることも示している。
【0202】
周方向ノード252及び周方向キャビティ254は、近位シース構成要素204の、送達デバイス200の長手方向軸に沿った近位筐体210に対する再位置整合を容易にすることができる。近位区画250は、円錐形又は近位方向においてテーパ状にすることができ、その結果、近位シース構成要素204の、送達デバイス200の長手方向軸に沿った近位筐体210に対する位置整合が容易になる。
図8E、
図10A、及び
図10Bに示す実例において、近位区画250は、3つの周方向ノード252及び3つの周方向キャビティ254を有する。しかしながら、別の実例において、異なる数の周方向ノード252及び/又は異なる数の周方向キャビティ254が実装されてもよい。
【0203】
上述したように、送達デバイス200は、送達デバイス200が脈管構造を通じて容易に動くことを可能にするコンパクトな通過プロファイル、自然弁輪及び洞内にある間の弁アンカーの確実な制御及び位置決め、連結機構160を介した支持フレーム102及び弁アンカー104の予測可能な相対的位置付け、並びに、送達デバイス200のもつれることのない取り出しなど、いくつかの利益を与える。
【0204】
これらの特徴及び利益のいくつかは、
図11A~
図11Fに示す送達段階に関連して例示する。これらの図は、ヒト心臓300内の送達デバイス200の使用を示す。心臓300は、大動脈弓302及び大動脈弁304を有する大動脈301を含み得る。大動脈弁304は、複数の自然弁葉306を含み得、大動脈301を左心室310から分離することができる。いくつかの実施例によれば、送達デバイス200は、大動脈弁304の自然弁葉306に達して自然弁葉を通じて位置決めされるまで、大動脈301を通じて逆行的に前進することができる。
【0205】
図11Aを参照すると、代用弁100の自然弁部位への送達中、弁アンカー104及び支持フレーム102は、送達デバイス200の長手方向軸に沿った軸方向変位ユニット(アンカーとフレームとの間には部分的又は完全な重なり合いがある又はない)として、縦一列になって位置決めされ得る。この構成は、同心配置とは対照的に、代用弁100の構成要素の半径方向においてよりコンパクトな構成を可能にし、はるかに小さい断面を生成し、カテーテルベースの送達を容易にする。これによって、送達デバイス200の可撓性を改善することができ、送達デバイス200が、循環系、特に大動脈弓302の入り組んだ幾何学的形状を通じて、ガイドワイヤの上で前進されることが可能になる。事実、ガイドワイヤによって誘導される送達デバイスであっても、大動脈弓302は、それが突然に高度に湾曲することに起因して、困難な障害物を象徴する。多くの場合、これは、一部の手術又は送達デバイスにとっては制限を課す制約である。しかしながら、本明細書において開示されているいくつかの実施例の様々な利益及び利点によれば、
図11Aに示すように、送達デバイス200は、大動脈弓302にわたって大動脈弁304の領域内の標的位置へと前進することができる。
【0206】
さらに、
図11Bに示すように、近位シース構成要素204は、人工器官100に対して近位に後退することができ、その結果、弁アンカー104が拡張することが可能になる。有利には、弁アンカー104は、臨床医が血流を閉塞させることなく所望の着地部位を位置特定することを可能にするための送達デバイス200の最小プロファイルを維持し(高頻度刺激の必要を回避する)、患者の解剖学的構造ともつれる若しくは引っかかること又は石灰化を防止し、送達デバイス200の操作及び回転を可能にして、弁アンカー104が大動脈洞内に配置及び位置決めされることを可能にするために、大動脈弁304に隣接して拡張することができる。送達デバイス200の捕捉手段224は、弁アンカー104が最初に拡張した後、弁アンカー104の係合領域150と係合され続けることができる。これは、臨床医が、大動脈弁304及びその洞構造312に対する弁アンカー104の位置を操作することを可能にすることができる。上述したように、弁アンカー104のベース部分は、
図11Cに示すように、弁アンカー104を大動脈弁304内の適切な位置に載置するために、大動脈弁304の洞内に位置決めすることができる。適切な位置において、自然弁葉306は、支持フレーム102と弁アンカー104との間の空間内に位置決めされる。
【0207】
さらに、
図11B及び
図11Cに示すように、連結機構160は、連結機構160が弁アンカー104に沿って自由にスライドすることを可能にする解放位置において、弁アンカー104と支持フレーム102の両方に結合される。有利には、いくつかの実施例において、この可撓性接続は、弁アンカー104が回転することを可能にすることができ、弁アンカー104が、最適な位置特定及び着地のために心臓の自然弁尖と自己位置整合することが可能になる。ここで
図11Dを参照すると、連結機構160と引張部材198との間の接続は、弁アンカー104を大動脈弁304の洞構造312内に載置されたままにしながら、支持フレーム102を弁アンカー104に対して近位に後退させることによって解放することができる。支持フレーム102の弁アンカー104に対するこの近位運動は、連結機構160を緊張させることができ、その結果、引張部材198が伸張して、連結機構160を解放する。さらに、支持フレーム102の弁アンカー104に対する近位運動は、連結機構160に、弁アンカー104の係合領域150内に係合させる。
【0208】
連結機構160が引張部材198から解放され、連結機構160が弁アンカー104のそれぞれの係合領域150と係合した後、連結機構160は保持位置にある。
図11Eは、保持位置において、支持フレーム102が大動脈弁304内に位置決めされるまで、支持フレーム102を弁アンカー104に対して遠位に前進させることができることを示す。いくつかの実施例によれば、支持フレーム102が弁アンカー104に対して望ましい位置にあるとき、連結機構160は緊張する。
【0209】
例えば、連結機構160の長さは、本明細書において論じられているように、連結機構160が弁アンカー104の係合領域150と係合されるとき、弁アンカー104が支持フレーム102内で一定の所定の位置までのみ遠位に前進することができることを保証することができる。弁アンカー104が所望の位置にくると、支持フレーム102は、遠位キャリア・アセンブリから解放することができ、拡張して自然弁葉306及び弁アンカー104の内部態様と並置することができ、その結果、
図11Fに示すように、自然弁葉306が支持フレーム102と弁アンカー104との間に挟まれる。有利には、自然弁葉306を支持フレーム102と弁アンカー104との間に挟むことによって、代用弁100は、半径方向力保持に対する依拠を低減することができる。さらに、自然弁葉306を支持フレーム102と弁アンカー104との間に挟むことによって、自然弁葉306が冠状動脈の開口を閉塞させる可能性が低減し、これは、冠状動脈口距離が短い患者、及び、既存の代用弁の内部に新しい代用弁が必要であり得る、既存の代用弁を有する患者(弁内弁用途)にとって有益であり得る。したがって、支持フレーム102及び弁アンカー104は、拡張して大動脈弁304に接触することができ、自然弁葉306及び大動脈弁輪320に対して長期間持続する外向きの力をかける。
【0210】
加えて、本明細書において論じられているように、支持フレーム102の拡張及び解放後、捕捉手段224のフックを弁アンカー104から係合解除して、弁アンカー104を送達デバイス200から解放することができる。その後、本明細書において論じられているように、近位シース構成要素及び遠位キャリア・アセンブリの構成要素をともにパックして、送達デバイス200が大動脈301から引き込まれて、患者から取り出されることを可能にすることができる。
【0211】
その後、人工器官100の代用弁葉が、所望の様式で機能し、自然弁と同じ動作を提供し始めることができる。
【0212】
いくつかの実施例において、送達デバイス200’を使用して、順行性、心尖、又は経心尖アプローチを利用して支持フレーム102及び弁アンカー104を送達及び位置決めすることができる。経心尖アプローチは、
図12A~
図12Fに示す送達段階に関連して例示する。
図11A~
図11Fと同様に、これらの図は、ヒト心臓300、より具体的には大動脈301の大動脈弁304内での送達デバイス200’の使用を示す。いくつかの実施例によれば、送達デバイス200’は、大動脈弁304の自然弁葉306に達して自然弁葉を通じて位置決めされるまで、心尖311を通じて順行的に前進することができる。
図11A~
図11Fに示す経大腿逆行性アプローチと比較すると、弁アンカー104は、心尖アプローチから制御部材又は捕捉手段を受け入れ、心尖アプローチから大動脈弁304の洞構造内に載置されるように位置決めすることができる。
【0213】
図12Aを参照すると、代用弁100の自然弁部位への送達中、送達カテーテル530が配置された後、送達デバイス200’は、標的領域に向かって前進することができる。弁アンカー104及び支持フレーム102は、送達デバイス200’の長手方向軸に沿って直列に(縦一列になって)位置決めすることができる。これによって、送達デバイス200’の可撓性を改善することができ、送達デバイス200’が、循環系、特に心尖311の入り組んだ幾何学的形状を通じて、ガイドワイヤの上で前進されることが可能になる。本明細書において開示されているいくつかの実施例の様々な利益及び利点によれば、
図12Aに示すように、送達デバイス200’は、心尖311を通じて大動脈弁304の領域内の標的位置へと前進することができる。
【0214】
さらに、
図12Bに示すように、近位シース構成要素204は、人工器官100に対して近位に後退することができ、その結果、弁アンカー104が拡張することが可能になる。有利には、弁アンカー104は、臨床医が血流を閉塞させることなく所望の着地部位を位置特定することを可能にするための送達デバイス200’の最小プロファイルを維持し(高頻度刺激の必要を回避する)、患者の解剖学的構造ともつれる若しくは引っかかること又は石灰化を防止し、送達デバイス200’の操作及び回転を可能にして、弁アンカー104が大動脈洞内に配置及び位置決めされることを可能にするために、大動脈弁304に隣接して拡張することができる。送達デバイス200’の捕捉手段224は、弁アンカー104が最初に拡張した後、弁アンカー104の係合領域150と係合され続けることができる。図示のように、(経心尖アプローチに使用される)送達デバイス200’の捕捉手段224は、(
図11A~
図11Eに示す、経大腿アプローチに使用される)送達デバイス200の方向とは逆の方向から、弁アンカー104の係合領域150に結合され、経心尖アプローチにおいては、捕捉手段224は、弁アンカー104の内腔を通じて又は内腔内に延在することができ、一方、経大腿アプローチでは、そうではない。しかしながら、捕捉手段224と弁アンカー104との相互接続は、弁アンカー104を自然弁洞構造312内に適切に載置することができることを条件として、いずれのアプローチにおいても逆にすることができる。捕捉手段224は、臨床医が、大動脈弁304及びその洞構造312に対する弁アンカー104の位置を操作することを可能にすることができる。上述したように、弁アンカー104のベース部分は、
図12Cに示すように、弁アンカー104を大動脈弁304内の適切な位置に載置するために、大動脈弁304の洞内に位置決めすることができる。適切な位置において、自然弁葉306は、支持フレーム102と弁アンカー104との間の空間内に位置決めされる。
【0215】
さらに、
図12B及び
図12Cに示すように、連結機構160は、連結機構160が弁アンカー104に沿って自由にスライドすることを可能にする解放位置において、弁アンカー104と支持フレーム102の両方に結合される。ここで
図12Dを参照すると、連結機構160と引張部材198との間の接続は、弁アンカー104を大動脈弁304の洞構造312内に載置されたままにしながら、支持フレーム102を弁アンカー104に対して近位に後退させることによって解放することができる。支持フレーム102の弁アンカー104に対するこの近位運動は、連結機構160を緊張させることができ、その結果、引張部材198が伸張して、連結機構160を解放する。さらに、支持フレーム102の弁アンカー104に対する近位運動は、連結機構160に、弁アンカー104の係合領域150内に係合させる。
【0216】
連結機構160が引張部材198から解放され、連結機構160が弁アンカー104のそれぞれの係合領域150と係合した後、連結機構160は保持位置にある。
図12Eは、保持位置において、支持フレーム102が大動脈弁304内に位置決めされるまで、支持フレーム102を弁アンカー104に対して遠位に前進させることができることを示す。いくつかの実施例によれば、支持フレーム102が弁アンカー104に対して望ましい位置にあるとき、連結機構160は緊張する。弁アンカー104が所望の位置にくると、支持フレーム102は、遠位キャリア・アセンブリから解放することができ、拡張して自然弁葉306及び弁アンカー104の内部態様と並置することができ、その結果、
図12Fに示すように、自然弁葉306が支持フレーム102と弁アンカー104との間に挟まれる。有利には、自然弁葉306を支持フレーム102と弁アンカー104との間に挟むことによって、代用弁100は、半径方向力保持に対する依拠を低減することができる。さらに、自然弁葉306を支持フレーム102と弁アンカー104との間に挟むことによって、自然弁葉306が冠状動脈の開口を閉塞させる可能性が低減し、これは、冠状動脈口距離が短い患者、及び、既存の代用弁の内部に新しい代用弁が必要であり得る、既存の代用弁を有する患者(弁内弁用途)にとって有益であり得る。したがって、支持フレーム102及び弁アンカー104は、拡張して大動脈弁304に接触することができ、自然弁葉306及び大動脈弁輪320に対して長期間持続する外向きの力をかける。
【0217】
加えて、本明細書において論じられているように、支持フレーム102の拡張及び解放後、捕捉手段224のフックを弁アンカー104から係合解除して、弁アンカー104を送達デバイス200’から解放することができる。その後、本明細書において論じられているように、近位シース構成要素及び遠位キャリア・アセンブリの構成要素をともにパックして、送達デバイス200’が心尖311から引き込まれて、患者から取り出されることを可能にすることができる。次いで、当該技術分野において既知の技法を使用して、心尖311を通じた切開部を閉じることができる。
【0218】
その後、人工器官100の代用弁葉が、所望の様式で機能し、自然弁と同じ動作を提供し始めることができる。
【0219】
いくつかの実施例によれば、本開示は又、本開示の送達デバイスの動作を制御するために使用することができ、臨床医が、代用弁の送達を確実且つ正確に制御することを可能とすることができるハンドル・アクチュエータをも提供する。
図13A~
図13Hは、ハンドル・アクチュエータ500を使用して代用弁を送達するための、いくつかの実施例による、ハンドル・アクチュエータの特徴及び動作を示す。上記で言及したように、送達は、経カテーテル・アプローチを使用して実施することができる。
【0220】
図13Aは、ハンドル・アクチュエータ500を示す。ハンドル・アクチュエータ500は、代用弁(例えば、本明細書において論じられている心臓代用弁100)の送達のための送達デバイス(例えば、本明細書において論じられている送達デバイス200)の1つ又は複数の機能を制御することができる。
図13Aに示すように、ハンドル・アクチュエータ500は、ノブ又はボタンなどの、複数のアクチュエータ又は可動要素を備えることができる。可動要素は、臨床医が、送達デバイス200の1つ又は複数の動作を制御することを可能にすることができる。ハンドル・アクチュエータ500は、長手方向軸512を有する制御ハンドル510を備えることができる。ハンドル・アクチュエータ500はまた、制御ユニットとして参照される場合もある。いくつかの実施例において、ハンドル・アクチュエータ500は、第2の芯部材222(例えば、
図8A~
図8Dに示す)に結合することができる。制御ハンドル510は、アクチュエータを支持することができ、手技中に臨床医が保持することができる。
【0221】
図13Aは、ハンドル・アクチュエータ500が、ステアリング・ノブ又は第1の可動要素520と、アンカー解放ノブ又は第2の可動要素522と、ノーズ・コーン/弁解放ノブ又は第3の可動要素524と、ノーズ・コーン・トグル・ロック又は第4の可動要素526とを備えることができることを示す。第1の可動要素520、第2の可動要素522、第3の可動要素524、及び第4の可動要素526はまた、第1の制御要素520、第2の制御要素522、第3の制御要素524、及び第4の制御要素526として参照される場合もある。
【0222】
任意選択的に、いくつかの実施例において、第2の可動要素522及び/又は第3の可動要素524などの、1つ又は複数の可動要素は、可動要素が不意に回転することを防止するボタン又はスライダ安全スイッチ529を含むことができる。安全スイッチ529は、それぞれの可動要素の回転又は並進運動に対する抵抗を与えるロックを解放するために作動することができる弾性ボタン又はスライダ機構として構成することができる。いくつかの実施例において、可動要素は、回転を視覚的に指示することを可能にし、臨床医が触覚によって係合及び作動することを容易にする隆起した特徴を有することができる。
【0223】
いくつかの実施例において、ハンドル・アクチュエータ500は、脱気ライン514をさらに含むことができる。脱気ライン514は、近位シース構成要素204内のボリュームと流体連通することができる。任意選択的に、脱気ライン514を使用して、空気又は他の気体を近位シース構成要素204から除去又は排出して、任意の気泡又は気体泡を除去することができる。
【0224】
ハンドル・アクチュエータ500は、送達デバイス200に結合することができる。送達デバイスのカテーテル部分又は遠位先端部分501などの、送達デバイス200の少なくとも一部分は、脈管構造及び生来の解剖学的構造内での送達デバイス200の遠位前進及び/又は同軸位置整合を容易にするためにステアリング可能であり得る。このように、送達デバイス200を、自然弁構造内の標的位置へとステアリング及びナビゲートすることができる。その後、ハンドル・アクチュエータ500を使用して実施されるプロセス・ステップは、概して、送達デバイス200を使用した代用弁100の送達に関連して上述した手技を反映することができる。
【0225】
第1のステップにおいて、第1の可動要素520を(例えば、第1の可動要素520を回転させることによって)制御して、脈管構造を通じて送達デバイス200を操作するために、送達デバイス200の遠位先端部分501をステアリングすることができる。例えば、第1の可動要素520は、送達デバイス200を操作するために遠位先端部分501を屈曲させるために、長手方向軸512を中心として回転することができるノブを含むことができる。
【0226】
いくつかの実施例において、遠位先端部分501は、第1の可動要素520を制御することによって動かすことができる近位シース構成要素204を含むことができる。したがって、いくつかの実施例において、第1の可動要素520は、近位シース構成要素204を動かすことによって遠位先端部分501を屈曲させるように制御することができる。いくつかの実施例において、近位シース構成要素204を動かすことによって、第1の可動要素520は、第2の芯部材222を屈曲させることができる。
【0227】
そのような実施例において、いくつかの実例では、第1の可動要素520は、近位シース構成要素204を動かすように制御することができ、その結果、遠位キャリア・アセンブリ206及び第2の芯部材222が軸方向に偏向する。送達デバイス200は、
図13Bに示すように、大動脈弁304内の標的位置に達するまで、第1の可動要素520を使用してステアリングすることができる。いくつかの実施例において、送達デバイス200は、ガイドワイヤに沿って標的位置に向かって前進させることができる。さらに、ガイドワイヤが使用されるか否かにかかわらず、遠位先端部分501を、送達デバイス200を標的位置へとナビゲートするようにステアリングすることができる。遠位先端部分501は、第1の可動要素520をいずれかの方向に回転させることによって屈曲することができる。第1の可動要素520は、ステアリング制御ケーブルを介して送達デバイス200に動作可能に結合することができる。
【0228】
任意選択的に、送達は、経カテーテル・アプローチを使用して実施することができる。例えば、送達デバイス200は、導入シース(図示せず)を通じて標的領域に向かって操作することができる。さらに、任意選択的に、少なくとも1つの実施例において、送達デバイス200は、ガイドワイヤを介して標的領域に向かって前進させることができる。
【0229】
同じく
図13Bに示すように、第2の可動要素522及び第3の可動要素524をともに(例えば、第2の可動要素522及び第3の可動要素524をスライド又は並進させることによって)動かして、送達デバイス200の遠位キャリア・アセンブリ206に、近位シース構成要素204に対して遠位に前進させることができる。例えば、第2の可動要素522及び第3の可動要素524は、送達デバイス200に近位シース構成要素204に対して遠位に前進させるために第1の方向に(例えば、遠位に)並進することができるノブを含むことができる。近位シース構成要素204は、代用弁100が近位シース構成要素204に対して前進させられている(すなわち、近位シース構成要素204が代用弁100に対して近位に後退させられている)間に、概して一定の位置にあるままとすることができる。近位シース構成要素204のこの近位相対運動は、代用弁100の弁アンカー104が露出するまで継続することができる。
【0230】
第2の可動要素522及び第3の可動要素524は、近位シース構成要素204を遠位キャリア・アセンブリに対して後退させるために、第1の制御ケーブルに動作可能に結合することができる。いくつかの実施例において、近位シース構成要素204は、制御ワイヤを介して第2の可動要素522及び第3の可動要素524に動作可能に結合することができる。
【0231】
図13Cは、第2の可動要素522及び第3の可動要素524を互いから外方に線形的に動かすことによって、弁アンカー104のU字形部材が大動脈弁304内で拡張することを可能にするほど十分に近位シース構成要素204を後退させることができる。この位置において、上述したように、捕捉手段224は、弁アンカー104のピーク部分と係合して、臨床医が、弁アンカー104の、自然弁葉306及び大動脈洞312に対する位置を操作することを可能にすることができる。臨床医は、弁アンカー104の所望の位置付けを達成するまで、弁アンカー104の位置調整を続けることができる。
【0232】
いくつかの実施例において、第3の可動要素524を遠位方向に引き続き前進させることによって、弁アンカー104は、支持フレーム102に対して遠位に動き続けることができ、その結果、連結機構160が、弁アンカー104のU字形部材に沿ってスライドする。いくつかの実施例において、この動きは捕捉手段224を介して駆動することができる。図示のように、支持フレーム102、連結機構160、及び弁アンカー104は、連結機構160が自由にスライドすることを可能にする解放位置にある。最終的に、連結機構160は、弁アンカー104の係合領域内に係合されるまでスライドすることができる。その後、連結機構は保持位置にくる。いくつかの実施例において、捕捉手段224は、制御ワイヤを介して第3の可動要素524に動作可能に結合することができる。
【0233】
いくつかの実施例において、弁アンカー104が支持フレーム102に対して遠位に前進させられるようにするために、支持フレーム102を所望の位置に維持しながら、第3の可動要素524を近位方向に並進させることができる。本明細書において論じられているように、弁アンカー104は、支持フレーム102が弁アンカー104内の所定の位置にくるまで、遠位に前進させるか又は他の様態で支持フレーム102に対して動かすことができる。いくつかの実施例において、所望の位置は、予め決定することができ、連結機構160(弁アンカー104の係合領域内に捕捉される)が緊張すると達成することができる。その後、支持フレーム102は、弁アンカー104内に適切に位置決めされ、拡張することができる。
【0234】
図13Dを参照すると、拡張し、大動脈弁304内で回転して位置整合された位置にある弁アンカー104が示されている。弁アンカー104の位置決め中、弁アンカー104は、支持フレーム102に対して長手方向軸に沿って遠位に前進することができ、支持フレーム102と同心になることができる。弁アンカーのこの遠位前進は、第3の可動要素524を軸方向において制御ハンドル510に沿ってスライドさせることによって達成することができる。この運動は、部分的に、支持フレーム102を弁アンカー104と相互接続する連結機構160の可動接続に起因して可能にされる。
図13Dに示す位置に達するとき、弁アンカーは、弁アンカー104のU字形部材が、葉306と血管壁532の間で、欠陥のある自然弁葉306の大動脈洞と接触するまで、遠位方向に前進されている。
【0235】
いくつかの実施例において、第4の可動要素526は、第2の可動要素522及び/又は第3の可動要素524の軸方向位置をハンドル・アクチュエータ500に対してロックするために係合する安全スイッチを含むことができる。
【0236】
支持フレーム102が弁アンカー104内に適切に位置決めされた後、第3の可動要素524は、遠位キャリア・アセンブリ206の近位筐体及び遠位筐体を分離するために(例えば、第3の可動要素524を回転させることによって)制御することができる。例えば、
図13Eは、第3の可動要素524が、遠位キャリア・アセンブリ206の近位筐体及び遠位筐体を分離し、その結果、支持フレーム102が弁アンカー104内で拡張することを可能にするために、第1の方向(例えば、時計回り)に回転することができるノブを有することができることを示している。いくつかの実施例において、遠位キャリア・アセンブリ206の近位筐体は、制御ワイヤを介して第3の可動要素524に動作可能に結合することができる。
【0237】
次に、
図13Fに示すように、支持フレーム102が弁アンカー104内で拡張して、支持フレーム102と弁アンカー104との間に葉306が挟まれた後、遠位キャリア・アセンブリ206の近位筐体210及び遠位筐体212を(例えば、
図8Dに示すようにそれらが接触するまで)ともに動かすことができる。近位筐体210に対する遠位筐体212の近位運動は、近位筐体210及び遠位筐体212を互いに向かって収束させるために、第3の可動要素524を第2の方向(例えば、反時計回り)に回転させることによって、達成することができる。
【0238】
ここで
図13Gを参照すると、支持フレーム102が大動脈弁304内に位置決め、拡張、及び着地された後、弁アンカー104は、ハンドル・アクチュエータ500から分離することができる。捕捉手段224は、第2の可動要素522を(例えば、第2の可動要素522を第1の方向に回転させることによって)制御することによって解放することができる。例えば、第2の可動要素522は、回転して捕捉手段224を解放することができるノブを含むことができる。いくつかの実施例において、捕捉手段224は、第2の可動要素522及び第3の可動要素524をハンドル・アクチュエータ500に沿って線形的に動かすことによって、近位シース構成要素204内へと近位に引き込むことができる。その後、
図13Hに示すように、カテーテル530及び送達デバイス200を患者から除去することができる。
【0239】
いくつかの実施例において、支持フレーム102及び弁アンカー104を制御するためにハンドル・アクチュエータ500によって実施される動作は、別の機能又は特徴によって変更、修正、置換、又は交換されてもよい。例えば、回転の代わりに、可動要素は、(例えば,ボタンとして)押下、解放、又は他の様態で作動されてもよい。任意選択的に、第3の可動要素は、捕捉機構を弁アンカーから遠位に係合するために回転可能である。いくつかの実施例において、ハンドル・アクチュエータは、第4の可動要素などの、追加の可動要素を含むことができる。任意選択的に、第4の可動要素は、弁フレームを露出させるために遠位キャリア・アセンブリの近位筐体を芯部材に対して軸方向に並進させるために回転可能である。いくつかの実施例において、第4の可動要素を第1の方向に回転させることによって、遠位筐体が近位方向において軸方向に並進し、一方、第4の可動要素を第2の方向に回転させることによって、遠位筐体が遠位方向において軸方向に並進する。いくつかの実施例において、第4の可動要素を回転させることによって、近位筐体が遠位筐体から軸方向に分離し、且つ/又は、近位筐体が遠位筐体に向かって引き込まれる。本開示において論じられているハンドルによって実施することができるハンドルの特定の特徴は、例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国仮出願第62/756,556号にもさらに記載されている。
【0240】
さらに、触覚、聴覚、及び視覚フィードバックなどの、臨床医に与えられるフィードバックは、別の機能又は特徴によって変更、修正、置換、又は交換されてもよい。いくつかの実施例において、ハンドル・アクチュエータ500は、手動で動作させることができる。しかしながら、ハンドル・アクチュエータ500は、電動で動作させることができてもよい。いくつかの実施例において、ハンドル・アクチュエータ500は、支持フレーム102及び弁アンカー104に隣接して配置されるアクチュエータの電子制御を可能にすることができる。
【0241】
いくつかの実施例によれば、本開示は、任意選択的に、圧縮構成における支持フレームの直径を低減するために、本開示の代用弁とともに使用することができる膜を提供する。
図14~
図19は、本明細書において説明されている膜608の態様を示す。
【0242】
いくつかの実施例において、
図14は、膜608が結合されている代用弁600の支持フレーム102を示す。
図14に示す実施例において、膜608は拡張した支持フレーム102の管腔内に又はその内面に対して位置決め又は配置される。前述のように、いくつかの実施例において、膜608は、シール構成要素としての役割を果たすことができ、内部表面、外部表面に付着し、及び/又は、支持フレーム102を囲むことができる。
【0243】
いくつかの実施例において、膜608は、複数の縫合604を介して支持フレーム102に固定又は他の様態で付着することができる。縫合604は、膜608に通し、支持フレーム102の部分の周りに巻き付けることによって、膜608を支持フレーム102のワイヤ構造に付着させることができる。
図14の例示の実施例において、縫合604は、膜608と支持フレーム102との間に密なシールを形成するために、近密に離間させることができる(例えば、支持フレーム102の平行四辺形セル又は菱形セルの辺あたり2つ~4つの縫合604)。
【0244】
いくつかの実施例において、膜608の側端同士が、継ぎ目602において付着して、概して円筒の形状を形成することができる。
図14に示すように、膜608の軸方向端部は、第1の端部分110及び/又は第2の端部分112において支持フレーム102の端部の周りに巻くことができる。いくつかの実施例において、膜608の軸方向端部は、支持フレーム102の内部表面と外部表面の両方を少なくとも部分的に被覆するために、第1の端部分110及び/又は第2の端部分112の周りに巻くことができる。例えば、膜608のピーク606を、支持フレーム102の第2の端部112のピーク130の上に巻くことができる。有利には、膜608の軸方向端部を第1の端部110及び/又は第2の端部112の周りに巻くことによって、代用弁600は、自然心臓弁に対してより良好にシールすることができる。さらに、縫合604は、膜608の軸方向端部に沿って、膜608が膜608の軸方向端部の中間において支持フレーム102に結合するところよりも密に離間され得る。
【0245】
前述のように、弁葉を膜608に結合することができる。いくつかの実施例において、膜608は、健康な自然心臓弁においてそうであるように、人工器官600の管腔を通じて弁葉の間でのみ血流が起こるように、弁葉の周囲の領域においては血流を制約することができる。
【0246】
いくつかの実施例において、第2の端部分112において、膜608の軸方向端部は、第2の端部112の大きいピーク130及び谷132を被覆するように成形することができる。いくつかの実施例において、膜608は、大きいピーク130の間の谷132の中の第2の先端又は小さいピーク136を被覆するように成形することができる。有利には、大きいピーク130の間の小さいピーク136の構成は、従来技術の代用弁と比較して、冠状動脈口へのアクセスの改善を可能にし、その閉塞を防止することができる。
【0247】
例えば、
図15Aを参照すると、従来技術の代用弁600’が、大動脈696’内に示されている。支持フレーム602’は大動脈弁輪692’内に配置される。図示のように、支持フレーム602’及び膜608’は、支持フレーム602’及び膜608’の幾何学的形状に起因して、弁輪692’から距離693’だけ離れて配置された冠状動脈口694’を閉鎖又は閉塞させる場合がある。
【0248】
対照的に、
図15Bは、隣接する冠状動脈口694への血流を有利に許容する代用弁600の一実施例を示す。上述したように、また
図15Bに示すように、代用弁600の大きいピーク130と小さいピーク136との間の高さの差は、代用弁600の所望の動作を可能にしながら、冠状動脈口694へのアクセスを容易にする。
【0249】
いくつかの実施例において、代用弁600の小さいピーク136は、患者の自然弁輪692に対する冠状動脈口694の様々なサイズ及び位置を許容するのに十分に低くすることができる。有利には、いくつかの実施例において、代用弁600の小さいピーク136は、従来の入手可能な人工器官では一般的に除外される、冠状動脈口高さが10mm未満、8mm未満、又は6mm未満である冠状動脈口694へのアクセスを可能にする。いくつかの実施例において、小さいピーク136は、任意選択的に、本明細書において説明されている1つ又は複数の他の特徴とともに、弁輪692に対してより短い軸方向距離693に配置されている冠状動脈口694へのアクセスを可能にする。例えば、小さいピーク136は、冠状動脈口694の下縁と大動脈弁輪面との間の、6mm未満の冠状動脈口高さ又はより短い軸方向距離693に配置される冠状動脈口694へのアクセスを可能にすることができる。さらに、いくつかの実施例において、代用弁600は、冠状動脈口694によりアクセスしやすくするために、弁輪692内でより低く配置されるように構成することができる。代用弁600の大きいピーク130の間に、任意選択的に本明細書において論じられている1つ又は複数の他の特徴とともに使用される小さいピーク136を提供することによって、冠状動脈口694へのアクセスが維持され、冠状動脈ステント挿入など、冠状動脈口694へのアクセスを必要とし得る将来の手技が可能になる。
【0250】
図16は、代用弁を形成する方法の一部分であってもよい、代用弁とともに使用するための膜を形成又は製造する方法を示す。いくつかの実施例において、1つ又は複数の膜608は、膜布地601から切り出すことができる。膜布地601は、ポリエステル織物などの繊維織物から形成される布地とすることができる。
図17に示すように、膜布地601は、互いに対して交差し、場合によっては垂直に向けられる縦方向608a及び横方向608bにおいて、繊維とともに織られる。いくつかの実施例において、布地は、縦方向608a及び横方向608bに対して斜め又はそれらの方向から偏倚した方向における伸張及び適合を可能にしながら、縦方向608a及び横方向608bにおける伸張に抵抗することができる。
【0251】
図16に戻って参照すると、概して膜608の形状である型を使用して、1つ又は複数の膜608を膜布地601から切り出すことができる。1つ又は複数の型は、膜608を切り出すために膜布地601上に配置することができる。膜608は、
図16においては平坦な向きにおいて示されているが、支持フレーム102及びその投影長手方向軸120は参照のために示されている。
【0252】
型は、膜布地601に対して一定の角度に向けられ得る。膜布地601の縁と投影長手方向軸120との間に偏倚角608cを規定することができる。参照のために、偏倚角608cは、膜布地601の縁と、長手方向軸120に平行であるオフセット軸120’との間に示されている。下記にさらに論じるように、偏倚角608cは、約35度、約40度、約45度、約50度、又は約55度など、約30度~約60度とすることができる。
【0253】
型を膜布地601に対して偏倚角608cに向けることによって、結果としてもたらされる膜608は、膜布地601の縦方向608a及び横方向608bに対して偏倚角608cだけ偏向して切り出される。いくつかの実施例において、膜608は、膜布地を支持フレームにらせん状に巻いて、膜布地601を切断することによって、偏倚角608cにおいて切り出すことができる。
【0254】
図18は、
図16及び
図17に示すプロセスを使用して製造される結果としての膜608を示す。描写されている実施例において、膜608の布地の縦糸及び横糸は、人工器官の長手方向軸の方向に対して偏向して又は斜めに向けられている。いくつかの実施例において、膜608の偏倚角は、概して、材料の縦糸又は横糸が支持フレーム102の拡張可能要素(例えば、セル、平行四辺形セル又は菱形セル)と位置整合されるように向けることができる。有利には、いくつかの実施例において、膜608は、増大した適合性を有し得、支持フレーム102の動き又は拡張に抵抗し得ず、その結果、膜608及び人工器官が圧縮構成にあるとき、膜608の応力及びまとまりが低減される。いくつかの実施例において、膜608と支持フレーム102の両方における応力の低減によって、代用弁の組み立てと装填の両方を容易にすることができる。
【0255】
事実、人工器官のいくつかの実施例の展開は、本明細書において説明されている膜608の固有の向き及び構成が、膜608がより容易に、半径方向に圧縮し、支持フレーム102と縦一列になって軸方向に伸張することを可能にすることができ、したがって、膜608及び支持フレーム102が、いくつかの実施例において、単一のユニットとして動作することが可能になることを示している。同様に、いくつかの実施例において、膜608を偏倚角に沿って向けることによって、膜608は、長手方向軸120に沿ってより容易に伸張することができ、それによって、広がり、まとまり、又はひだを防止することができ、その結果、圧縮構成における代用弁の断面プロファイルが最小になる。
【0256】
図19は、支持フレーム102の長手方向軸120に対する膜608の縦糸608a及び横糸608bの平面図である。いくつかの実施例において、膜織物608の縦糸608a及び横糸608bは、長手方向軸120に対して0~90度の偏倚角608cに向けることができる。いくつかの実施例において、膜織物608は、長手方向軸120に対して15~75度の偏倚角608cに向けることができる。いくつかの実施例において、膜織物608は、長手方向軸120に対して30~60度の偏倚角608cに向けることができる。いくつかの実施例において、膜織物608は、長手方向軸120に対して約45度の偏倚角608cに向けることができる。
【0257】
いくつかの実施例において、膜織物108の縦糸及び横糸は、長手方向軸に対して0~90度の偏倚角に向けることができる。いくつかの実施例において、膜織物108は、長手方向軸に対して約15~約75度の偏倚角に向けることができる。いくつかの実施例において、膜織物108は、長手方向軸に対して約30度~約60度の偏倚角に向けることができる。いくつかの実施例において、膜織物108は、長手方向軸に対して約45度の偏倚角に向けることができる。
【0258】
本主題の技術の項としての例示
本開示の態様の様々な実例が、便宜上、番号付きの項(1、2、3など)を有する項セットとして説明される。これらは実例として与えられ、本主題の技術を限定するものではない。図及び参照符号の識別が下記において与えられるが、これは実例として、例示を目的としたものに過ぎず、項はそれらの識別によって限定されない。
【0259】
項セット1:代用弁
項1.弁アンカーであって、弁アンカーの長手方向軸を中心として延在する少なくとも1つのU字形部材を有し、U字形部材はピーク部分及びベース部分を有し、ピーク部分は係合領域を有し、弁アンカーは、自然弁構造に係合するために圧縮構成から拡張可能である、弁アンカーと、圧縮構成、拡張構成、並びに第1の端部分及び第2の端部分を有する拡張可能弁フレームであって、弁フレームは自然弁構造において弁アンカー内で拡張するように構成されている、拡張可能弁フレームと、弁アンカーを弁フレームと相互接続する連結機構であって、連結機構は、弁フレームに結合され、U字形部材にスライド可能に結合され、連結機構は、ピーク部分の係合領域内に捕捉されるようにベース部分からU字形部材に沿ってスライド可能であり、連結機構は、ピーク部分の係合領域内に捕捉されると、弁フレームの弁アンカーに対する軸方向運動を制限する、連結機構とを備える、代用弁。
【0260】
項2.(i)送達位置において、弁アンカー及び弁フレームは圧縮構成にあり、弁フレームは弁アンカーに対して遠位に位置決めされ、連結機構は、弁アンカーのベース部分から弁フレームの第1の端部分にわたって弁フレームの第2の端部分に向かって延伸し、(ii)中間拡張位置において、弁アンカーは拡張構成にあり、弁フレームは圧縮構成にあり、弁フレームは弁アンカーに対して近位に位置決めされ、連結機構は、弁アンカーのピーク部分から弁フレームの第1の端部分に向かって延伸し、(iii)重複位置において、弁アンカー及び弁フレームは長手方向において互いに重なり合い、弁フレームは弁アンカー内に位置決めされ、連結機構は、弁アンカーのピーク部分から弁フレームにわたって弁フレームの第2の端部分に向かって延伸する、項1に記載の代用弁。
【0261】
項3.連結機構が係合領域内に係合されると、弁アンカーは、拡張構成に向かって拡張することを可能にされる、項1又は2に記載の代用弁。
【0262】
項4.弁アンカー及び弁フレームが圧縮構成にあるとき、連結機構は、弁アンカーの長手方向の長さの約110%~約170%の長手方向範囲を有する、項1から3までのいずれか一項に記載の代用弁。
【0263】
項5.弁アンカー及び弁フレームが拡張構成にあるとき、連結機構は、弁アンカーの長手方向の長さの約70%~約130%の長手方向範囲を有する、項1から4までのいずれか一項に記載の代用弁。
【0264】
項6.連結機構は縫合を含む、項1から5までのいずれか一項に記載の代用弁。
【0265】
項7.弁アンカーは複数のU字形部材を備え、縫合は、縫合が(i)弁フレームにある第1の周方向位置から、(ii)次いで、第1のU字形部材の第1の脚部へ、(iii)次いで、第2のU字形部材の第2の脚部へと延在し、ここで、第1のU字形部材は第2のU字形部材に相互接続されており、(iv)次いで、第1の周方向位置へと延在する織りパターンを有する、項6に記載の代用弁。
【0266】
項8.第2のU字形部材は、第2のU字形部材のベース部分の中間位置から延在する連結器運動制限手段を備える、項7に記載の代用弁。
【0267】
項9.連結機構は、複数の縫合を含む、項8に記載の代用弁。
【0268】
項10.複数の縫合のうちの第2の縫合の織りパターンは、(i)第2のU字形部材の第1の脚部から、(ii)第3のU字形部材の第2の脚部へ、(iii)次いで、弁フレームにある第2の周方向位置へと延在する、項9に記載の代用弁。
【0269】
項11.弁アンカーは複数のU字形部材を備え、縫合は、縫合が(i)弁フレームにある第1の周方向位置から、(ii)次いで、第1のU字形部材の第1の脚部へ、(iii)次いで、第2のU字形部材の第2の脚部へと延在し、ここで、第1のU字形部材は第2のU字形部材に相互接続されており、(iv)次いで、第1の周方向位置とは異なる、弁フレームにある第2の周方向位置へと延在する織りパターンを有する、項6に記載の代用弁。
【0270】
項12.縫合は、弁フレーム及び弁アンカーと織り合わされている連続的な縫合ループを備える、項11に記載の代用弁。
【0271】
項13.連続的な縫合ループの織りパターンはさらに、(i)第1のU字形部材の第1の脚部から、第2のU字形部材の連結器運動制限手段の第1の側にある第2のU字形部材の第2の脚部へと延在し、ここで、連結器運動制限手段は、第2のU字形部材のベース部分の中間位置から延在し、(ii)次いで、弁フレームにある第2の周方向位置へ、(iii)次いで、連結器運動制限手段の第2の側にある第2のU字形部材の第1の脚部へ、(iv)次いで、第3のU字形部材の第2の脚部へ、(v)次いで、弁フレームにある第3の周方向位置へと延在する、項12に記載の代用弁。
【0272】
項14.第1のU字形部材、第2のU字形部材、及び第3のU字形部材は各々、それぞれの連結器運動制限手段を備え、連続的な縫合ループの織りパターンにおいて、連結機構は、連結器運動制限手段の両側において所与のU字形部材に結合される、項13に記載の代用弁。
【0273】
項15.弁アンカーは、複数のU字形部材を備え、連結機構は、弁アンカーの3つのU字形部材と織り合わされ、連続的な縫合ループのループ長さは、(i)弁フレームの圧縮された外周及び(ii)弁フレームの長手方向の長さの六倍の合計の約80%~約120%である、項12に記載の代用弁。
【0274】
項16.弁アンカーは、第1のU字形部材、第2のU字形部材、及び第3のU字形部材を備え、第1のU字形部材、第2のU字形部材、及び第3のU字形部材の各々は、U字形部材のベース部分の中間位置から延在する連結器運動制限手段を有し、連結機構は、(i)連結器運動制限手段の第1の側にある所与のU字形部材から、(ii)次いで、弁フレームにある所与の周方向位置へ、(iii)次いで、連結器運動制限手段の第2の側にある所与のU字形部材へと延在する連続的な縫合ループを備える、項6に記載の代用弁。
【0275】
項17.隣接するU字形部材のピーク部分がともに結合されて、それぞれの係合領域を形成する、項1から項16までのいずれか一項に記載の代用弁。
【0276】
項18.ピーク部分の係合領域は、連結機構を内部に受け入れ、保持するために、間に配置されている、コーブ形状を有する二重ピークを備える、項1から項17までのいずれか一項に記載の代用弁。
【0277】
項19.心臓代用弁補綴を患者の自然弁構造に送達するための方法であって、埋め込み部位において代用弁を患者に導入することであり、代用弁は、ピーク部分及びベース部分を有するU字形部材を有する弁アンカーと、拡張可能弁フレームと、弁アンカー及び弁フレームを相互接続する連結機構とを含み、弁アンカーは、圧縮構成において近位シース内に拘束され、弁フレームは、圧縮構成において遠位キャリア・アセンブリ内に拘束される、導入することと、弁アンカーのベース部分の拡張を可能にすることと、弁アンカーのベース部分を、自然弁構造と係合するように遠位に推進することと、連結機構をピーク部分の係合領域内へと推進するために、連結機構を係合領域に向かって近位にスライドさせるために、弁フレームを弁アンカーに対して近位に後退させることであり、その結果、連結機構が内部に捕捉され、弁フレームの弁アンカーに対する動きの範囲が制約される、後退させることと、弁アンカーが自然弁構造に対して拡張することを可能にするために、弁アンカーのピーク部分を解放することと、弁フレームが弁アンカーの管腔内で拡張することを可能にすることとを含む、方法。
【0278】
項20.弁フレームの拡張を可能にする前に、弁フレームを弁アンカーへと遠位に前進させることをさらに含む、項19に記載の方法。
【0279】
項21.弁フレームを弁アンカーへと遠位に前進させることは、弁フレームの弁アンカーに対するさらなる遠位運動が連結機構によって制約されるまで、弁フレームを遠位に前進させることを含む、項20に記載の方法。
【0280】
項22.弁フレームを近位に後退させた後、連結機構が緊張するまで弁フレームを遠位に前進させることであって、連結機構は、弁アンカーのピーク部分の係合領域において係合される、遠位に前進させることと、弁アンカーを自然弁構造に対して遠位に引くために、弁フレームをさらに遠位に前進させることとをさらに含む、項19から21までに記載の方法。
【0281】
項23.弁フレームを近位に後退させた後、弁アンカーの自然弁構造に対する位置を回転して調整するために、弁フレームを回転させることであって、連結機構は、弁アンカーのピーク部分の係合領域において係合される、回転させることをさらに含む、項19から22までに記載の方法。
【0282】
項24.弁アンカーであって、弁アンカーの長手方向軸を中心として延在する少なくとも1つのU字形部材を有し、U字形部材はピーク部分及びベース部分を有し、弁アンカーは、自然弁構造に係合するために圧縮構成から拡張可能である、弁アンカーと、圧縮構成、及び拡張構成を有する拡張可能弁フレームであって、弁フレームは自然弁構造において弁アンカー内で拡張するように構成されている、拡張可能弁フレームと、弁アンカーを弁フレームと相互接続する連結機構であって、連結機構は、弁フレームに結合され、U字形部材に結合され、連結機構は、弁フレームの弁アンカーに対する軸方向運動を制限する、連結機構とを備える、代用弁。
【0283】
項25.弁アンカーであって、弁アンカーの長手方向軸を中心として延在する少なくとも1つのU字形部材を有し、U字形部材はピーク部分及びベース部分を有し、ピーク部分は係合領域を有し、ベース部分は、U字形部材の中間位置から延在する把持舌部を有し、弁アンカーは、自然弁構造に係合するために圧縮構成から拡張可能である、弁アンカーを備える、代用弁。
【0284】
項26.把持舌部は、送達デバイスの捕捉機構に結合されるように構成されている、項25に記載の代用弁。
【0285】
項27.圧縮構成、拡張構成、並びに第1の端部分及び第2の端部分を有する拡張可能弁フレームであって、弁フレームは自然弁構造において弁アンカー内で拡張するように構成されている、拡張可能弁フレームをさらに備える、項25又は26に記載の代用弁。
【0286】
項28.弁アンカーを弁フレームと相互接続する連結機構であって、連結機構は、弁フレームに結合され、U字形部材にスライド可能に結合され、連結機構は、ピーク部分の係合領域内に捕捉されるようにベース部分からU字形部材に沿ってスライド可能であり、連結機構は、ピーク部分の係合領域内に捕捉されると、弁フレームの弁アンカーに対する軸方向運動を制限する、連結機構をさらに備える、項27に記載の代用弁。
【0287】
項29.連結機構は縫合を含む、項28に記載の代用弁。
【0288】
項30.弁アンカーは複数のU字形部材を備え、縫合は、縫合が(i)弁フレームにある第1の周方向位置から、(ii)次いで、第1のU字形部材の第1の脚部へ、(iii)次いで、第2のU字形部材の第2の脚部へと延在し、ここで、第1のU字形部材は第2のU字形部材に相互接続されており、(iv)次いで、第1の周方向位置へと延在する織りパターンを有する、項29に記載の代用弁。
【0289】
項31.把持舌部は縫合の動きを制限するように構成されている、項30に記載の代用弁。
【0290】
項32.複数のU字形部材は各々、それぞれの把持舌部を備え、縫合の織りパターンにおいて、連結機構は、把持舌部の両側において所与のU字形部材に結合される、項30に記載の代用弁。
【0291】
項33.弁アンカーであって、弁アンカーの長手方向軸を中心として延在する少なくとも1つのU字形部材を有し、弁アンカーは、自然弁構造に係合するために圧縮構成から拡張可能である、弁アンカーと、圧縮構成、拡張構成、並びに第1の端部分及び第2の端部分を有する拡張可能弁フレームであって、弁フレームは自然弁構造において弁アンカー内で拡張するように構成されている、拡張可能弁フレームと、弁アンカーを弁フレームと相互接続する連結機構であって、連結機構は、弁フレームに及びU字形部材に固定的に結合され、連結機構は、弁フレームの弁アンカーに対する軸方向運動を制限する、連結機構とを備える、代用弁。
【0292】
項34.弁アンカー及び弁フレームが圧縮構成にあるとき、連結機構は、弁アンカーの長手方向の長さの約110%~約170%の長手方向範囲を有する、項33に記載の代用弁。
【0293】
項35.連結機構は、長手方向範囲まで延伸する、項34に記載の代用弁。
【0294】
項36.連結機構は、長手方向範囲まで伸張する、項34に記載の代用弁。
【0295】
項37.連結機構は、長手方向範囲まで変形する、項34に記載の代用弁。
【0296】
項38.連結機構はシリコーン又はポリウレタンを含む、項33から37までに記載の代用弁。
【0297】
項39.弁アンカー及び弁フレームが拡張構成にあるとき、連結機構は、弁アンカーの長手方向の長さの約70%~約130%の長手方向範囲を有する、項33から38までに記載の代用弁。
【0298】
項40.連結機構は縫合を含む、項33から39までに記載の代用弁。
【0299】
項41.弁アンカーは複数のU字形部材を備え、縫合は、縫合が(i)弁フレームにある第1の周方向位置から、(ii)次いで、第1のU字形部材の第1の脚部へ、(iii)次いで、第2のU字形部材の第2の脚部へと延在し、ここで、第1のU字形部材は第2のU字形部材に相互接続されており、(iv)次いで、第1の周方向位置へと延在する織りパターンを有する、項40に記載の代用弁。
【0300】
項42.連結機構は弁アンカーの脚部に固定的に結合される、項33から41までに記載の代用弁。
【0301】
項43.連結機構はコイル状部分を含む、項33から42までに記載の代用弁。
【0302】
項44.連結機構はレーザ切断部分を含む、項33から43までに記載の代用弁。
【0303】
項45.一方向相互接続機構をさらに備え、一方向相互接続機構は、連結機構が近位に動くことを可能にする、項33から44までに記載の代用弁。
【0304】
項46.一方向相互接続機構は、連結機構が一方向相互接続機構に対して遠位に前進することを防止する、項45に記載の代用弁。
【0305】
項47.一方向相互接続機構は、開口部を有する機構本体を備え、開口部は、連結機構が通過することを可能にする、項45に記載の代用弁。
【0306】
項48.連結機構は、一方向相互接続機構を通じてラチェットする、項47に記載の代用弁。
【0307】
項49.心臓代用弁補綴を患者の自然弁構造に送達するための方法であって、埋め込み部位において代用弁を患者に導入することであり、代用弁は、U字形部材を有する弁アンカーと、拡張可能弁フレームと、弁アンカー及び弁フレームに固定的に結合される連結機構とを含み、弁アンカーは、圧縮構成において近位シース内に拘束され、弁フレームは、圧縮構成において遠位キャリア・アセンブリ内に拘束される、導入することと、弁アンカーの拡張を可能にすることと、弁アンカーのベース部分を、自然弁構造と係合するように遠位に推進することと、連結機構を介して弁フレームの弁アンカーに対する動きの範囲を制約することと、弁アンカーが自然弁構造に対して拡張することを可能にするために、弁アンカーのピーク部分を解放することと、弁フレームが弁アンカーの管腔内で拡張することを可能にすることとを含む、方法。
【0308】
項50.弁フレームの拡張を可能にする前に、弁フレームを弁アンカーへと遠位に前進させることをさらに含む、項49に記載の方法。
【0309】
項51.弁フレームを弁アンカーへと遠位に前進させることは、弁フレームの弁アンカーに対するさらなる遠位運動が連結機構によって制約されるまで、弁フレームを遠位に前進させることを含む、項50に記載の方法。
【0310】
項52.弁フレームを近位に後退させた後、弁フレームを遠位に前進させることと、連結機構が緊張するまで連結機構に張力を加えることと、弁アンカーを自然弁構造に対して遠位に引くために、弁フレームをさらに遠位に前進させることとをさらに含む、項49から51までに記載の方法。
【0311】
項53.弁フレームを近位に後退させた後、弁フレームを回転させることと、弁アンカーの自然弁構造に対する位置を回転して調整するために、連結機構に張力を加えることとをさらに含む、項49から52までに記載の方法。
【0312】
項54.連結機構の長手方向範囲を低減することをさらに含む、項49から53までに記載の方法。
【0313】
項55.連結機構の長手方向範囲を低減するために、連結機構をコイル状にすることをさらに含む、項54に記載の方法。
【0314】
項56.連結機構の長手方向範囲を低減するために、一方向相互接続を通じて連結機構を近位に動かすことをさらに含む、項54に記載の方法。
【0315】
項57.一方向相互接続を通じて連結機構が遠位に前進することを防止することをさらに含む、項56に記載の方法。
【0316】
項セット2:代用弁の追加の特徴
項1.支持フレームであって、支持フレームの下縁を規定するように構成される複数のセル、下縁に対向する複数の大きいピーク部分、及び長手方向において下縁及び複数の大きいピーク部分の中間に配置される少なくとも1つの小さいピーク部分を備える、支持フレームと、支持フレームに付着される膜とを備える、代用弁。
【0317】
項2.膜は、支持フレームの下縁に対応する第1の端部分と、支持フレームの複数の大きいピーク部分に対応する複数の大きい膜ピーク部分と、支持フレームの少なくとも1つの小さいピーク部分に対応する少なくとも1つの小さい膜ピーク部分とを備える、項1に記載の代用弁。
【0318】
項3.支持フレームの複数の大きいピーク部分のうちの対応する1つ又は複数の大きいピーク部分において支持フレームの内面の一部及び外面の一部を被覆するために、複数の大きい膜ピーク部分の1つ又は複数の大きい膜ピーク部分が、支持フレームの対応する1つ又は複数の大きいピーク部分の周りに巻かれる、項2に記載の代用弁。
【0319】
項4.支持フレームの少なくとも1つの小さいピーク部分のうちの対応する1つ又は複数の小さいピーク部分において支持フレームの内面の一部及び外面の一部を被覆するために、少なくとも1つの小さい膜ピーク部分の1つ又は複数の小さい膜ピーク部分が、支持フレームの対応する1つ又は複数の小さいピーク部分の周りに巻かれる、項3に記載の代用弁。
【0320】
項5.少なくとも1つの小さいピーク部分は、複数の大きいピーク部分と比較して、下縁からより短い軸方向距離に配置される、項1から4までのいずれか一項に記載の代用弁。
【0321】
項6.膜は、支持フレームの長手方向軸に沿って1つ又は複数の開口によって支持フレームを囲む、項1から5までのいずれか一項に記載の代用弁。
【0322】
項7.膜は、支持フレームの内面に付着されるように、支持フレームの管腔内に配置される、項1から6までのいずれか一項に記載の代用弁。
【0323】
項8.膜は、支持フレームの内面及び外面に積層される、項1から7までのいずれか一項に記載の代用弁。
【0324】
項9.膜は、複数の縫合を介して支持フレームに付着される、項1から8までのいずれか一項に記載の代用弁。
【0325】
項10.複数の縫合は、膜に通され、支持フレームの複数の部分の周りに巻かれる、項9に記載の代用弁。
【0326】
項11.支持フレームの複数の大きいピーク部分及び少なくとも1つの小さいピーク部分に対応する複数の上部に沿った複数の縫合のうちの第1のセットが、複数の上部と複数のベース部分との中間において支持フレームの部分に結合されている複数の縫合のうちの第2のセットよりも密に離間されている、項9に記載の代用弁。
【0327】
項12.膜の膜布地が繊維織物から形成される、項1から11までのいずれか一項に記載の代用弁。
【0328】
項13.膜布地は、互いに対して交差して向けられる縦方向及び横方向において、繊維を織ることによって形成される、項12に記載の代用弁。
【0329】
項14.膜布地は、繊維の縦方向及び横方向における伸張に抵抗する、項13に記載の代用弁。
【0330】
項15.膜布地は、繊維の縦方向又は横方向に対して斜めの1つ又は複数の方向において伸張する、項13に記載の代用弁。
【0331】
項16.膜に結合される複数の弁葉をさらに備える、項1から15までのいずれか一項に記載の代用弁。
【0332】
項17.複数の弁葉の周りで流体流を制約し、複数の弁葉の間の領域へと流体流を方向付けるために、膜が複数の弁葉に結合される、項16に記載の代用弁。
【0333】
項18.代用弁の支持フレームの膜を製造する方法であって、膜布地の型を、代用弁の支持フレームに付着されるような1つ又は複数の膜の形状に作成することと、膜布地に対する偏倚角において型を方向付けることと、型を使用して膜布地から1つ又は複数の膜を生成することとを含む、方法。
【0334】
項19.膜布地は繊維織物から形成される、項18に記載の方法。
【0335】
項20.膜布地は、互いに対して交差して向けられる縦方向及び横方向において、繊維を織ることによって形成される、項19に記載の方法。
【0336】
項21.膜布地は、繊維の縦方向及び横方向における伸張に抵抗する、項20に記載の方法。
【0337】
項22.膜布地は、繊維の縦方向又は横方向に対して斜めの1つ又は複数の方向において伸張する、項20に記載の方法。
【0338】
項23.偏倚角は約30度~約60度である、項18から22までに記載の方法。
【0339】
項24.代用弁であって、長手方向軸を有する支持フレームと、支持フレームに結合されている膜とを備え、膜は、縦方向に構成されている複数の第1の繊維と、縦方向に対して交差方向にある横方向に構成されている複数の第2の繊維とを含み、複数の第1の繊維及び複数の第2の繊維はともに織り合わされ、縦方向及び横方向は、支持フレームの長手方向軸に対して斜めである、代用弁。
【0340】
項25.縦方向及び横方向は、支持フレームの拡張可能要素と位置整合され、拡張可能要素は、支持フレームの圧縮構成と拡張構成との間の遷移中に拡張可能である、項24に記載の代用弁。
【0341】
項26.代用弁を製造する方法であって、長手方向軸を有する支持フレームに沿って膜を位置整合させることであり、膜は、縦方向に構成されている複数の第1の繊維と、縦方向に対して交差方向にある横方向に構成されている複数の第2の繊維とを含み、複数の第1の繊維及び複数の第2の繊維はともに織り合わされ、縦方向及び横方向は、支持フレームの長手方向軸に対して斜めである、膜を位置整合させることと、膜を支持フレームに付着させることとを含む、方法。
【0342】
項27.膜は、複数の縫合を介して支持フレームに付着され、膜が支持フレームに付着されると、複数の縫合は、膜が支持フレームに対して動くことを可能にする、項26に記載の方法。
【0343】
項28.支持フレームはワイヤ構造から作成され、膜は、複数の縫合を膜に通し、支持フレームのワイヤ構造の複数の部分の周りに巻くことによって、支持フレームに付着される、項27に記載の方法。
【0344】
項29.支持フレームは、1つ又は複数のピーク部分及び1つ又は複数のベース部分を含み、膜は、支持フレームの1つ又は複数のピーク部分に対応する1つ又は複数の膜ピーク部分、及び、支持フレームの1つ又は複数のベース部分に対応する1つ又は複数の膜ベース部分を含む、項26から28までに記載の方法。
【0345】
項30.1つ又は複数の膜ピーク部分をそれぞれ支持フレームの1つ又は複数のピーク部分の上に巻くことをさらに含む、項29に記載の方法。
【0346】
項31.膜の一方の側端を膜のもう一方の側端に付着させることによって、膜によって円筒形状を形成することであって、円筒形状は支持フレームの形状に対応する、円筒形状を形成することをさらに含む、項26に記載の方法。
【0347】
項32.縦方向及び横方向は、支持フレームの拡張可能要素と位置整合され、拡張可能要素は、支持フレームの圧縮構成と拡張構成との間の遷移中に拡張可能である、項26に記載の方法。
【0348】
項33.埋め込み部位において心臓代用弁補綴を患者の自然弁構造に送達するための方法であって、埋め込み部位において代用弁を患者に導入することであり、代用弁は、弁アンカーと、下縁、複数の大きいピーク部分、及び長手方向において下縁及び複数の大きいピーク部分の中間に配置される少なくとも1つの小さいピーク部分を備える拡張可能弁フレームとを含む、代用弁を導入することと、弁アンカーの拡張を可能にすることと、弁アンカーの一部分を、自然弁構造と係合するように遠位に推進することと、弁アンカーが自然弁構造に対して拡張することを可能にすることと、小さいピーク部分を埋め込み部位において開口部と回転して位置整合させるために、弁フレームを回転させることと、弁フレームが弁アンカーの管腔内で拡張することを可能にすることとを含む、方法。
【0349】
項34.小さいピーク部分は、開口部に対してより短い軸方向距離に配置される、項33に記載の方法。
【0350】
項35.弁フレームを弁アンカーへと遠位に前進させることは、弁フレームの弁アンカーに対するさらなる遠位運動が連結機構によって制約されるまで、弁フレームを遠位に前進させることを含む、項34に記載の方法。
【0351】
項36.弁フレームの拡張を可能にする前に、弁フレームを弁アンカーへと遠位に前進させることをさらに含む、項33から35までに記載の方法。
【0352】
項セット3:送達デバイス
代用弁を送達するための代用弁送達デバイスであって、代用弁は、弁フレーム及び弁アンカーを備え、送達デバイスは、システムの長手方向軸に沿って延在する細長い芯部材と、芯部材にスライド可能に結合され、近位シース管腔を備える近位シース構成要素であり、近位シース構成要素は、弁アンカーの少なくとも一部分を近位シース管腔内に受け入れるように構成されており、近位シースは、弁アンカーの拡張を可能にするために、芯部材に対して近位に後退可能である、近位シース構成要素と、遠位筐体及び近位筐体を備える遠位キャリア・アセンブリであり、遠位筐体は芯部材に結合され、遠位管腔を備え、遠位筐体は、圧縮構成において弁フレームの遠位部分を遠位管腔内に受け入れるように構成されており、近位筐体は、遠位筐体の近位において芯部材に結合され、近位管腔を備え、近位筐体は、圧縮構成において弁フレームの近位部分を近位管腔内に受け入れるように構成されている、遠位キャリア・アセンブリとを備える、代用弁送達デバイス。
【0353】
項2.遠位キャリア・アセンブリの遠位管腔内に配置されているプランジャ機構及び付勢手段をさらに備え、プランジャ機構は、遠位管腔内で遠位位置と近位位置との間で可動であり、プランジャ機構は、弁フレームを遠位管腔から外方に推進するために、付勢手段によって近位位置に向かって付勢される、項1に記載の送達デバイス。
【0354】
項3.プランジャ機構は、遠位管腔内で遠位位置と近位位置との間で可動であるプランジャ・ヘッドを備え、プランジャ・ヘッドは付勢手段によって近位位置に向かって付勢される、項2に記載の送達デバイス。
【0355】
項4.近位位置において、プランジャ・ヘッドは少なくとも部分的に、遠位管腔から外方に近位に延在する、項3に記載の送達デバイス。
【0356】
項5.近位筐体がプランジャ・ヘッドの上で遠位に前進されるとき、近位位置において、プランジャ・ヘッドの外面は、遠位管腔の内面と近位管腔の内面の両方と接触する、項3に記載の送達デバイス。
【0357】
項6.代用弁をさらに備え、弁フレームが遠位管腔内に位置決めされるとき、プランジャ・ヘッドは遠位位置へと推進される、項3に記載の送達デバイス。
【0358】
項7.付勢手段はばねを含む、項3に記載の送達デバイス。
【0359】
項8.付勢手段はばねを含み、ばねは、遠位筐体の近位面とプランジャ・ヘッドの遠位面との間に置かれる、項7に記載の送達デバイス。
【0360】
項9.プランジャ機構は、近位方向においてテーパ状である近位部分を備える、項2に記載の送達デバイス。
【0361】
項10.近位部分は円錐形状を含む、項9に記載の送達デバイス。
【0362】
項11.近位位置において、プランジャ機構は少なくとも部分的に遠位管腔から外方に近位に延在し、近位筐体は、送達デバイスを患者から除去することを容易にするために、遠位筐体の外面を近位筐体の外面と位置整合させるために、プランジャ機構のテーパ状の近位部分の上で遠位に前進可能である、項9に記載の送達デバイス。
【0363】
項12.遠位筐体は、遠位方向においてテーパ状である遠位ノーズ・コーンを含む、項1から11までのいずれか一項に記載の送達デバイス。
【0364】
項13.代用弁をさらに備え、弁フレームの長手方向区画が装填構成において露出したままにするために、装填構成において、遠位筐体の近位端は、近位筐体の遠位端から長手方向に離間される、項1から12までのいずれか一項に記載の送達デバイス。
【0365】
項14.代用弁をさらに備える、項1から13までのいずれか一項に記載の送達デバイス。
【0366】
項15.近位筐体は、近位管腔の内径よりも小さい外径を有する近位区画を備え、弁アンカーが送達デバイスに装填されると、弁アンカーは装填構成において近位区画と近位シースとの間に延在する、項1から14までのいずれか一項に記載の送達デバイス。
【0367】
項16.近位区画は近位方向においてテーパ状である、項15に記載の送達デバイス。
【0368】
項17.近位区画は、複数の周方向ノードを有し、複数の周方向ノードは、近位筐体の近位当接面から近位に延在する、項15に記載の送達デバイス。
【0369】
項18.複数の周方向ノードは、互いから周方向に均等に離間されている3つの周方向ノードを含む、項17に記載の送達デバイス。
【0370】
項19.弁アンカーは、複数のU字形部材を備え、近位区画は、弁アンカーが圧縮構成において送達デバイスに装填されるときに、弁アンカーのそれぞれのU字形部材を受け入れるように各々が構成されている複数の周方向キャビティを有する、項17に記載の送達デバイス。
【0371】
項20.弁アンカーが送達デバイスに装填されると、U字形部材の各々は、近位区画と近位シース構成要素との間で複数の周方向キャビティのそれぞれ1つに隣接して位置決めされる、項19に記載の送達デバイス。
【0372】
項21.送達構成において、近位筐体は、間隙によって遠位筐体から離間されて、弁フレームの一部分が間隙を通じて露出されることが可能になる、項20に記載の送達デバイス。
【0373】
項22.代用弁は、弁アンカー及び弁フレームを相互接続する連結機構を含み、連結機構は間隙を通じて延在し、近位シース構成要素から弁アンカーが解放された後、連結機構は、弁フレームに対して可動である、項21に記載の送達デバイス。
【0374】
項23.代用弁を送達するための代用弁送達デバイスであって、代用弁は、弁フレーム及び弁アンカーを備え、送達デバイスは、システムの長手方向軸に沿って延在する細長い芯部材と、芯部材にスライド可能に結合され、シース管腔を備えるシース構成要素であり、シース構成要素は、弁アンカーの少なくとも一部分をシース管腔内に受け入れるように構成されており、シースは、弁アンカーの拡張を可能にするために、芯部材に対して可動である、シース構成要素と、遠位筐体及び近位筐体を備えるキャリア・アセンブリであり、筐体は芯部材に結合され、遠位管腔を備え、筐体は、圧縮構成において弁フレームの遠位部分を遠位管腔内に受け入れるように構成されており、近位筐体は、筐体の近位において芯部材に結合され、近位管腔を備え、近位筐体は、圧縮構成において弁フレームの近位部分を近位管腔内に受け入れるように構成されている、キャリア・アセンブリとを備える、代用弁送達デバイス。
【0375】
項24.シース構成要素は、キャリア・アセンブリに対して近位に位置決めされる、項23に記載の送達デバイス。
【0376】
項25.項1から21までのいずれか一項に記載の特徴のいずれかを備える、項23に記載の送達デバイス。
【0377】
項26.心臓代用弁補綴を患者の自然弁構造に送達するための方法であって、代用弁は、弁フレーム及び弁アンカーを備え、代用弁送達デバイスを介して埋め込み部位において代用弁を患者に導入することであり、システムは、近位シース構成要素及び遠位キャリア・アセンブリを備え、近位シース構成要素は、弁アンカーの少なくとも一部分を近位シース管腔内に受け入れ、遠位キャリア・アセンブリは、遠位筐体及び近位筐体を備え、遠位筐体は、弁フレームの少なくとも遠位部分を受け入れるように構成されている、導入することと、弁アンカーが拡張することを可能にするために、近位方向において近位シースを近位に後退させることと、弁フレームが拡張することを可能にするために、遠位キャリア・アセンブリを拡張させることとを含む、方法。
【0378】
項27.弁アンカーのベース部分を、自然弁構造と係合するように遠位に推進することをさらに含む、項26に記載の方法。
【0379】
項28.連結機構を間に係合するために、弁フレームを弁アンカーに対して近位に後退させることと、弁フレームの弁アンカーに対する動きの範囲を制約することとをさらに含む、項26又は27に記載の方法。
【0380】
項29.弁フレームを遠位に前進させることをさらに含む、項28に記載の方法。
【0381】
項30.拡張させることによって、近位筐体から遠位筐体が長手方向に分離されて、弁フレームの遠位部分が拡張することが可能になる、項26に記載の方法。
【0382】
項31.拡張させることは、弁フレームの遠位部分が拡張することを可能にするために、遠位筐体を近位筐体に対して遠位に前進させることを含む、項26から30までに記載の方法。
【0383】
項32.拡張させることは、弁フレームの近位部分が拡張することを可能にするために、近位筐体を遠位筐体に対して近位に後退させることを含む、項26から31までに記載の方法。
【0384】
項33.拡張させることは、患者から代用弁送達デバイスを後退させるための取り出し構成へと遠位キャリア・アセンブリを動かすために、遠位筐体を近位筐体に対して近位に後退させることと、近位筐体を遠位筐体に対して遠位に前進させることを含む、項26から32までに記載の方法。
【0385】
項34.プランジャ機構を少なくとも部分的に、遠位筐体から外方に近位に近位筐体に向かって延伸させることと、遠位筐体の外面を近位筐体の外面と位置整合させることとをさらに含む、項26から33までに記載の方法。
【0386】
項35.近位筐体は、近位筐体よりも小さい外径を有する近位区画を備え、弁アンカーが送達デバイスに装填されると、弁アンカーは装填構成において近位区画と近位シースとの間に延在する、項26から34までに記載の方法。
【0387】
項36.近位区画は近位方向においてテーパ状である、項35に記載の方法。
【0388】
項37.心臓代用弁補綴を患者の自然弁構造に送達するための方法であって、代用弁送達デバイスを介して埋め込み部位において代用弁を患者に導入することであり、代用弁は、連結機構を介して弁アンカーに結合される弁フレームを備え、代用弁は送達デバイスによって搬送される、導入することと、弁アンカーが拡張することを可能にすることと、弁アンカーが拡張されるとともに、弁フレームの弁アンカーに対する動きの範囲を制約するために連結機構を係合領域内に捕捉するために、連結機構を、弁アンカーに沿って弁アンカーの係合領域に向かって近位にスライドさせるために、弁フレームを弁アンカー内で弁アンカーに対して近位に後退させることとを含む、方法。
【0389】
項38.送達デバイスは、近位シース構成要素及び遠位キャリア・アセンブリを備え、近位シース構成要素は、弁アンカーの少なくとも一部分を近位シース管腔内に受け入れ、弁アンカーが拡張することを可能にすることは、弁アンカーが拡張することを可能にするために、近位シースを弁アンカーに対して近位方向において近位に後退させることを含む、項37に記載の方法。
【0390】
項39.遠位キャリア・アセンブリは、遠位筐体及び近位筐体を備える、項38に記載の方法。
【0391】
項40.弁フレームを弁アンカーへと遠位に前進させることをさらに含む、項38に記載の方法。
【0392】
項41.弁フレームが拡張することを可能にするために、遠位キャリア・アセンブリを拡張させることをさらに含む、項38に記載の方法。
【0393】
項42.弁フレームを弁アンカーへと遠位に前進させることは、弁フレームの弁アンカーに対するさらなる遠位運動が連結機構によって制約されるまで、弁フレームを遠位に前進させることを含む、項38に記載の方法。
【0394】
項43.弁アンカーを自然弁構造に対して遠位に引くために、弁フレームを遠位に前進させることをさらに含む、項37から42までに記載の方法。
【0395】
項44.弁アンカーの自然弁構造に対する位置を回転して調整するために、弁フレームを回転させることをさらに含む、項37から43までに記載の方法。
【0396】
項45.弁フレームが拡張することを可能にすることは、弁アンカーのベース部分が拡張することを可能にするために、送達デバイスの近位シースを近位に後退させることを含む、項37から44までに記載の方法。
【0397】
項46.弁アンカーのピーク部分が送達デバイスの捕捉機構に結合され、弁アンカーのベース部分を遠位に推進することは、遠位力を弁アンカーに伝達するために、捕捉機構を遠位に前進させることを含む、項45に記載の方法。
【0398】
項47.弁アンカーのベース部分が送達デバイスの捕捉機構に結合され、弁アンカーのベース部分を遠位に推進することは、遠位力を弁アンカーに伝達するために、捕捉機構を遠位に前進させることを含む、項45に記載の方法。
【0399】
項48.弁フレームが拡張することを可能にすることは、弁フレームの近位部分を露出させるために、遠位キャリア・アセンブリの近位筐体を近位に後退させることを含む、項38に記載の方法。
【0400】
項49.弁フレームが拡張することを可能にすることは、弁フレームを遠位キャリア・アセンブリから解放することを容易にするために、プランジャ機構が、弁フレームの遠位部分を遠位キャリア・アセンブリの遠位筐体から外方に近位に推進することを可能にすることをさらに含む、項48に記載の方法。
【0401】
項50.遠位キャリア・アセンブリは遠位管腔を備え、プランジャ機構は、遠位管腔内に配置されているプランジャ・ヘッド及び付勢手段を有し、プランジャ・ヘッドは、付勢手段によって近位方向に付勢され、弁フレームが拡張することを可能にすることは、プランジャ・ヘッドが、遠位管腔内で近位に動き、弁フレームに近位方向向きの力をかけて、弁フレームを遠位管腔から解放することを可能にすることを含む、項49に記載の方法。
【0402】
項51.弁フレームが解放された後、遠位キャリア・アセンブリの近位筐体の外面を遠位筐体の外面と位置整合させるために、プランジャ機構の近位円錐部分の上で近位筐体を遠位に前進させることをさらに含む、項49に記載の方法。
【0403】
項52.近位円錐部分の上で近位筐体を遠位に前進させることは、近位筐体の遠位端を遠位筐体の近位端に当接させることを含む、項51に記載の方法。
【0404】
項セット4:送達デバイスの追加の特徴
項1.代用弁を送達するための代用弁送達デバイスであって、代用弁は、弁フレーム及び弁アンカーを備え、送達デバイスは、
【0405】
システムの長手方向軸に沿って延在する細長い芯部材と、芯部材にスライド可能に結合され、近位シース管腔を備える近位シース構成要素であり、近位シース構成要素は、弁アンカーの少なくとも一部分を近位シース管腔内に受け入れるように構成されており、近位シースは、弁アンカーの拡張を可能にするために、芯部材に対して近位に後退可能である、近位シース構成要素と、遠位筐体及び近位筐体を備える遠位キャリア・アセンブリであり、遠位筐体は芯部材に結合され、遠位管腔を備え、遠位筐体は、圧縮構成において弁フレームの遠位部分を遠位管腔内に受け入れるように構成されており、近位筐体は、遠位筐体の近位において芯部材に結合され、近位管腔を備え、近位筐体は、圧縮構成において弁フレームの近位部分を近位管腔内に受け入れるように構成されている、遠位キャリア・アセンブリと、遠位キャリア・アセンブリの遠位管腔内に配置されているプランジャ機構及び付勢手段であり、プランジャ機構は遠位管腔内で、遠位位置と近位位置との間で可動であり、プランジャ機構は、弁フレームを遠位管腔から外方に推進するために、付勢手段によって近位位置に向かって付勢される、プランジャ機構及び付勢手段とを備える、代用弁送達デバイス。
【0406】
項2.プランジャ機構は、遠位管腔内で遠位位置と近位位置との間で可動であるプランジャ・ヘッドを備え、プランジャ・ヘッドは付勢手段によって近位位置に向かって付勢される、項1に記載の送達デバイス。
【0407】
項3.近位位置において、プランジャ・ヘッドは少なくとも部分的に、遠位管腔から外方に近位に延在する、項2に記載の送達デバイス。
【0408】
項4.近位筐体がプランジャ・ヘッドの上で遠位に前進されるとき、近位位置において、プランジャ・ヘッドの外面は、遠位管腔の内面と近位管腔の内面の両方と接触する、項2に記載の送達デバイス。
【0409】
項5.代用弁をさらに備え、弁フレームが遠位管腔内に位置決めされるとき、プランジャ・ヘッドは遠位位置へと推進される、項2に記載の送達デバイス。
【0410】
項6.付勢手段はばねを含む、項2に記載の送達デバイス。
【0411】
項7.付勢手段はばねを含み、ばねは、遠位筐体の近位面とプランジャ・ヘッドの遠位面との間に置かれる、項6に記載の送達デバイス。
【0412】
項8.プランジャ機構は、近位方向においてテーパ状である近位部分を備える、項1から7までのいずれか一項に記載の送達デバイス。
【0413】
項9.プランジャ機構は、プランジャ・ヘッドを備え、プランジャ・ヘッドは、プランジャ・ヘッドから延在する複数の花弁状部分を有し、複数の花弁状部分は各々、傾斜面を形成する、項8に記載の送達デバイス。
【0414】
項10.複数の花弁状部分は、遠位管腔内で半径方向内向きに偏向するように構成されている、項9に記載の送達デバイス。
【0415】
項11.複数の花弁状部分の一部分が遠位筐体を出るとき、複数の花弁状部分は、半径方向外向きに偏向するように構成されている、項9に記載の送達デバイス。
【0416】
項12.近位位置において、プランジャ機構は少なくとも部分的に遠位管腔から外方に近位に延在し、近位筐体は、送達デバイスを患者から除去することを容易にするために、遠位筐体の外面を近位筐体の外面と位置整合させるために、複数の花弁状部分の傾斜面の上で遠位に前進可能である、項11に記載の送達デバイス。
【0417】
項13.代用弁を送達するための代用弁送達デバイスであって、代用弁は、弁フレーム及び弁アンカーを備え、送達デバイスは、システムの長手方向軸に沿って延在する細長い芯部材と、芯部材にスライド可能に結合され、シース管腔を備えるシース構成要素であり、シース構成要素は、弁アンカーの少なくとも一部分をシース管腔内に受け入れるように構成されており、シースは、弁アンカーの拡張を可能にするために、芯部材に対して可動である、シース構成要素と、シース構成要素内に配置され、細長い芯部材に沿って延在する複数の捕捉構成要素であり、複数の捕捉構成要素の遠位端は各々、弁アンカーが拡張することを可能にするために弁アンカーと係合する、複数の捕捉構成要素と、細長い芯部材の遠位端の付近に配置される遠位ハブであり、遠位ハブは、複数の捕捉構成要素の遠位端の各々を、シース構成要素が屈曲されるものと共通の平面内で位置整合させるために、複数の捕捉構成要素に結合される、遠位ハブとを備える、代用弁送達デバイス。
【0418】
項14.遠位ハブは、複数の捕捉構成要素の各々の管状筐体に接合される、項13に記載の代用弁送達デバイス。
【0419】
項15.遠位ハブは、複数の捕捉構成要素が通過することを可能にする複数の通路を備える、項13又は14に記載の代用弁送達デバイス。
【0420】
項16.遠位ハブは、細長い芯部材が通過することを可能にする芯部材通路を備える、項13から15までに記載の代用弁送達デバイス。
【0421】
項17.芯部材通路は、遠位ハブの中心軸からオフセットされている、項16に記載の代用弁送達デバイス。
【0422】
項18.遠位ハブは、複数の捕捉構成要素のうちの少なくとも1つの遠位端から約2.54~10.16cm(1~4インチ)に配置される、項13から17までに記載の代用弁送達デバイス。
【0423】
項19.遠位ハブは、細長い芯部材に対して可動である、項13から18までに記載の代用弁送達デバイス。
【0424】
項20.遠位ハブは、概して円筒の形状を備える、項13から19までに記載の代用弁送達デバイス。
【0425】
項セット5:送達デバイスのハンドル
遠位アセンブリであって、アセンブリの長手方向軸に沿って延在する芯部材を備える、遠位アセンブリと、遠位筐体及び近位筐体を備える遠位キャリア・アセンブリであって、遠位筐体は芯部材に結合され、代用弁の弁フレームの遠位部分を被覆するように構成されており、近位筐体は、芯部材にスライド可能に結合され、弁フレームの近位部分を被覆するように構成されている、遠位キャリア・アセンブリと、遠位キャリア・アセンブリに対して近位にあり、芯部材に沿って延在し、代用弁の弁アンカーの少なくとも一部分を被覆するように構成されている近位シースと、制御ハンドルを備え、芯部材に結合され、遠位アセンブリの動作を制御するように構成されている制御ユニットであって、制御ユニットは、制御ハンドルに結合されており、体腔内への前進中に送達デバイスをステアリングするために遠位キャリア・アセンブリを偏向させるように構成されている第1の制御要素と、制御ハンドルに結合されており、弁アンカーを露出させるために、近位シースを遠位キャリア・アセンブリ及び弁アンカーに対して近位に後退させるために近位シースを作動させるように構成されている、第2の制御要素と、制御ハンドルに結合されており、弁アンカーを芯部材に対して長手方向に動かし、弁フレームが拡張することを可能にするために、弁アンカー及び遠位キャリア・アセンブリとの係合を制御するために、捕捉機構を作動させるように構成されている第3の制御要素とをさらに備える、制御ユニットとを備える、弁送達デバイス。
【0426】
項2.芯部材は中空シャフトを含む、項1に記載の送達デバイス。
【0427】
項3.シャフトはシャフト管腔を備える、項2に記載の送達デバイス。
【0428】
項4.第1の制御要素の作動は、遠位キャリア・アセンブリを芯部材に対して軸方向に偏向させる、項1から3までのいずれか一項に記載の送達デバイス。
【0429】
項5.第1の制御要素は、制御ユニットの長手方向軸を中心とした回転を介して作動可能である、項1から4までのいずれか一項に記載の送達デバイス。
【0430】
項6.第1の制御要素は、制御ユニットの長手方向軸を中心として回転可能であるノブを含む、項1から5までのいずれか一項に記載の送達デバイス。
【0431】
項7.第2の制御要素は、制御ユニットの長手方向軸を中心とした回転を介して作動可能である、項1から6までのいずれか一項に記載の送達デバイス。
【0432】
項8.第2の制御要素の回転は、捕捉機構を弁アンカーから遠位に係合解除する、項7に記載の送達デバイス。
【0433】
項9.第2の制御要素は、制御ユニットの長手方向軸を中心として回転可能であり、制御ハンドルに沿って並進可能であるノブを含む、項1から8までのいずれか一項に記載の送達デバイス。
【0434】
項10.第3の制御要素は、制御ハンドルに沿った並進を介して作動可能である、項1から9までのいずれか一項に記載の送達デバイス。
【0435】
項11.第3の制御要素の遠位並進は、弁アンカーの操作を容易にするために、捕捉機構を近位シースに対して遠位に前進させる、項10に記載の送達デバイス。
【0436】
項12.第3の制御要素は、捕捉機構を制御するために、制御ユニットの長手方向軸を中心として回転可能であり、制御ユニットの長手方向軸に沿って並進可能であるノブを含む、項1から11までのいずれか一項に記載の送達デバイス。
【0437】
項13.捕捉機構は、弁アンカーのそれぞれの係合領域に結合される複数の捕捉アームを備える、項1から12までのいずれか一項に記載の送達デバイス。
【0438】
項14.弁アンカー及び弁フレームは可動に付着され、係合解除位置と係合位置との間で可動であり、係合解除位置は、弁フレームと弁アンカーとの間の可変範囲の動きを可能にし、係合位置は、弁フレームと弁アンカーとの間の固定範囲の動きを可能にする、項1から13までのいずれか一項に記載の送達デバイス。
【0439】
項15.第3の制御要素の回転は、弁フレームを露出させるために、遠位キャリア・アセンブリの近位筐体を芯部材に対して軸方向に並進させる、項1から14までのいずれか一項に記載の送達デバイス。
【0440】
項16.遠位筐体は、近位筐体に対して遠位に配置され、第3の制御要素の回転は、近位筐体を軸方向において、遠位筐体に対して近位方向に並進させる、項15に記載の送達デバイス。
【0441】
項17.遠位キャリア・アセンブリはプランジャ機構を備え、遠位キャリア・アセンブリの遠位筐体は遠位管腔を有し、プランジャ機構は、近位筐体が遠位筐体に対して近位に動かされた後、弁フレームの遠位部分を遠位管腔から外方に近位に推進するために、遠位筐体の遠位管腔内でスライド可能である、項15に記載の送達デバイス。
【0442】
項18.第1の方向における第3の制御要素の回転は、遠位筐体を軸方向において、芯部材に対して第1の方向に並進させる、項15に記載の送達デバイス。
【0443】
項19.第1の方向は芯部材に対して近位である、項18に記載の送達デバイス。
【0444】
項20.第2の方向における第3の制御要素の回転は、遠位筐体を軸方向において、芯部材に対して第2の方向に並進させる、項18に記載の送達デバイス。
【0445】
項21.第2の方向は芯部材に対して遠位である、項20に記載の送達デバイス。
【0446】
項22.第1の方向における第3の制御要素の回転は軸方向において、近位筐体を遠位筐体から分離し、第2の方向における第3の制御要素の回転は軸方向において、近位筐体を遠位筐体に向かって引き込む、項20に記載の送達デバイス。
【0447】
項23.第1の制御要素、第2の制御要素、及び第3の制御要素は、制御ハンドルの外面に沿って位置決めされる、項1から22までのいずれか一項に記載の送達デバイス。
【0448】
項24.第1の制御要素、第2の制御要素、又は第3の制御要素のうちの少なくとも1つは、ノブを含む、項1から23までのいずれか一項に記載の送達デバイス。
【0449】
項25.第1の制御要素は、制御ハンドルに沿って第2の制御要素に対して遠位に位置決めされる、項1から24までのいずれか一項に記載の送達デバイス。
【0450】
項26.弁フレーム及び弁アンカーを有する代用弁をさらに備える、項1から25までのいずれか一項に記載の送達デバイス。
【0451】
項27.装填構成において、遠位筐体の近位端は、近位筐体の遠位端から長手方向に離間される、項1から26までのいずれか一項に記載の送達デバイス。
【0452】
項28.制御ユニットを使用して代用弁を送達するための弁送達デバイスを制御する方法であって、送達デバイスの芯部材の一部分を屈曲させるために、制御ユニットに結合されている第1の制御要素を制御することであり、弁送達デバイスの近位シースが、芯部材に沿って延在し、代用弁の弁アンカーの少なくとも一部分を被覆するように構成されている、第1の制御要素を制御することと、弁アンカーを露出させ、弁アンカーとの係合を制御するために、近位シースを弁アンカーに対して近位に後退させるために、制御ユニットに結合されている第2の制御要素を制御することと、弁アンカーを芯部材に対して動かし、代用弁の弁フレームを拡張することを可能にするために弁送達デバイスの遠位キャリア・アセンブリを作動させるために、制御ユニットに結合されている第3の制御要素を制御することであり、遠位キャリア・アセンブリは、弁フレームを圧縮構成に維持するために弁フレームの少なくとも一部分を被覆する、第3の制御要素を制御することとを含む、方法。
【0453】
項29.送達デバイスの芯部材の部分を屈曲させるために第1の制御要素を制御することは、送達デバイスの芯部材の部分を屈曲させるために、遠位キャリア・アセンブリを芯部材に対して軸方向に偏向させるために第1の制御要素を制御することを含む、項28に記載の方法。
【0454】
項30.第1の制御要素は、制御ユニットの長手方向軸を中心とした回転を介して制御可能である、項28又は29に記載の方法。
【0455】
項31.第1の制御要素は、制御ユニットの長手方向軸を中心として回転可能であるノブを含む、項28から30までに記載の方法。
【0456】
項32.第2の制御要素は、制御ユニットの長手方向軸を中心とした回転を介して制御可能である、項28から31までに記載の方法。
【0457】
項33.第2の制御要素は、制御ユニットの長手方向軸を中心として回転可能であるノブを含む、項28から32までに記載の方法。
【0458】
項34.第2の制御要素の回転は、捕捉機構を弁アンカーから遠位に係合解除し、捕捉機構は、弁アンカーを芯部材に対して長手方向に動かし、弁アンカーとの係合を制御するために使用される、項33に記載の方法。
【0459】
項35.第2の制御要素は、捕捉機構を制御するために、制御ユニットの長手方向軸を中心として回転可能であり、制御ユニットの長手方向軸に沿って並進可能であるノブを含む、項34に記載の方法。
【0460】
項36.捕捉機構は、弁アンカーのそれぞれの係合領域に結合される複数の捕捉アームを備える、項34に記載の方法。
【0461】
項37.弁アンカー及び弁フレームは可動に付着され、係合解除位置と係合位置との間で可動であり、係合解除位置は、弁フレームと弁アンカーとの間の可変範囲の動きを可能にし、係合位置は、弁フレームと弁アンカーとの間の固定範囲の動きを可能にする、項28から36までに記載の方法。
【0462】
項38.第3の制御要素は、第3の制御要素に結合されている制御ハンドルに沿った第3の制御要素の並進を介して制御可能である、項28から37までに記載の方法。
【0463】
項39.第3の制御要素の遠位並進は、弁アンカーの操作を容易にするために、捕捉機構を近位シースに対して遠位に前進させ、捕捉機構は、弁アンカーを芯部材に対して長手方向に動かし、弁アンカーとの係合を制御するために使用される、項38に記載の方法。
【0464】
項40.第3の制御要素は、回転を介して制御可能である、項28から39までに記載の方法。
【0465】
項41.第3の制御要素の回転は、弁フレームを露出させるために、遠位キャリア・アセンブリの近位筐体を芯部材に対して軸方向に並進させ、近位筐体は、芯部材にスライド可能に結合され、弁フレームの近位部分を被覆するように構成されている、項40に記載の方法。
【0466】
項42.遠位キャリア・アセンブリは、近位筐体に対して遠位に配置されている遠位筐体を備え、遠位筐体は、芯部材に結合されており、代用弁の弁フレームの遠位部分を被覆するように構成されており、第3の制御要素の回転は軸方向において、近位筐体を遠位筐体に対して近位方向に並進させる、項41に記載の方法。
【0467】
項43.遠位キャリア・アセンブリはプランジャ機構と、遠位管腔を有する遠位筐体とを備え、プランジャ機構は、近位筐体が遠位筐体に対して近位に動かされた後、弁フレームの遠位部分を遠位管腔から外方に近位に推進するために、遠位筐体の遠位管腔内でスライド可能である、項42に記載の方法。
【0468】
項44.第1の方向における第3の制御要素の回転は、遠位筐体を軸方向において、芯部材に対して第1の方向に並進させる、項41に記載の方法。
【0469】
項45.第1の方向は芯部材に対して近位である、項44に記載の方法。
【0470】
項46.第2の方向における第3の制御要素の回転は、遠位筐体を軸方向において、芯部材に対して第2の方向に並進させる、項44に記載の方法。
【0471】
項47.第2の方向は芯部材に対して遠位である、項46に記載の方法。
【0472】
項48.第1の方向における第3の制御要素の回転は軸方向において、近位筐体を遠位筐体から分離し、第2の方向における第3の制御要素の回転は軸方向において、近位筐体を遠位筐体に向かって引き込む、項46に記載の方法。
【0473】
項49.第1の制御要素、第2の制御要素、及び第3の制御要素は、制御ハンドルの外面に沿って位置決めされる、項28から48までに記載の方法。
【0474】
項50.第1の制御要素、第2の制御要素、又は第3の制御要素のうちの少なくとも1つは、ノブを含む、項49に記載の方法。
【0475】
項51.第1の制御要素は、制御ハンドルに沿って第2の制御要素に対して遠位に位置決めされる、項49に記載の方法。
【0476】
項52.弁フレーム及び弁アンカーを有する代用弁をさらに備える、項28から51までに記載の方法。
【0477】
項53.遠位キャリア・アセンブリは遠位筐体及び近位筐体を備え、装填構成において、遠位筐体の近位端は、近位筐体の遠位端から長手方向に離間される、項28から52までに記載の方法。
【0478】
項54.代用弁を送達するための弁送達デバイスを制御するための制御ユニットであって、弁送達デバイスの芯部材に結合されており、弁送達デバイスの動作を制御するように構成されている制御ハンドルと、送達デバイスの芯部材の一部分を屈曲させるように構成されている第1の制御要素であり、弁送達デバイスの近位シースが、芯部材に沿って延在し、代用弁の弁アンカーの少なくとも一部分を被覆するように構成されている、第1の制御要素と、弁アンカーを露出させ、弁アンカーとの係合を制御するために、近位シースを弁アンカーに対して近位に後退させるように構成されている第2の制御要素と、弁アンカーを芯部材に対して動かし、弁フレームを圧縮構成に維持するために弁フレームの少なくとも一部分を被覆する遠位キャリア・アセンブリを作動させることによって、代用弁の弁フレームを拡張することを可能にするために弁送達デバイスの遠位キャリア・アセンブリを作動させるように構成されている第3の制御要素とを備える、制御ユニット。
【0479】
項55.芯部材は中空シャフトを含む、項54に記載の制御ユニット。
【0480】
項56.シャフトはシャフト管腔を備える、項55に記載の制御ユニット。
【0481】
項57.送達デバイスの芯部材の部分を屈曲させるために第1の制御要素を制御することは、送達デバイスの芯部材の部分を屈曲させるために、遠位キャリア・アセンブリを芯部材に対して軸方向に偏向させるために第1の制御要素を制御することを含む、項54から56までに記載の制御ユニット。
【0482】
項58.第1の制御要素は、制御ユニットの長手方向軸を中心とした回転を介して制御可能である、項54から57までに記載の制御ユニット。
【0483】
項59.第1の制御要素は、制御ユニットの長手方向軸を中心として回転可能であるノブを含む、項54から58までに記載の制御ユニット。
【0484】
項60.第2の制御要素は、制御ユニットの長手方向軸を中心とした回転を介して制御可能である、項54から59までに記載の制御ユニット。
【0485】
項61.第2の制御要素は、制御ユニットの長手方向軸を中心として回転可能であるノブを含む、項54から60までに記載の制御ユニット。
【0486】
項62.第2の制御要素の回転は、捕捉機構を弁アンカーから遠位に係合解除し、捕捉機構は、弁アンカーを芯部材に対して長手方向に動かし、弁アンカーとの係合を制御するために使用される、項61に記載の制御ユニット。
【0487】
項63.第2の制御要素は、捕捉機構を制御するために、制御ユニットの長手方向軸を中心として回転可能であり、制御ユニットの長手方向軸に沿って並進可能であるノブを含む、項62に記載の制御ユニット。
【0488】
項64.捕捉機構は、弁アンカーのそれぞれの係合領域に結合される複数の捕捉アームを備える、項62に記載の制御ユニット。
【0489】
項65.弁アンカー及び弁フレームは可動に付着され、係合解除位置と係合位置との間で可動であり、係合解除位置は、弁フレームと弁アンカーとの間の可変範囲の動きを可能にし、係合位置は、弁フレームと弁アンカーとの間の固定範囲の動きを可能にする、項54から64までに記載の制御ユニット。
【0490】
項66.第3の制御要素は、制御ハンドルに沿った第3の制御要素の並進を介して制御可能である、項54から65までに記載の制御ユニット。
【0491】
項67.第3の制御要素の遠位並進は、弁アンカーの操作を容易にするために、捕捉機構を近位シースに対して遠位に前進させ、捕捉機構は、弁アンカーを芯部材に対して長手方向に動かし、弁アンカーとの係合を制御するために使用される、項66に記載の制御ユニット。
【0492】
項68.第3の制御要素は、制御ユニットの長手方向軸を中心とした回転を介して制御可能である、項54から67までに記載の制御ユニット。
【0493】
項69.第3の制御要素の回転は、弁フレームを露出させるために、遠位キャリア・アセンブリの近位筐体を芯部材に対して軸方向に並進させ、近位筐体は、芯部材にスライド可能に結合され、弁フレームの近位部分を被覆するように構成されている、項68に記載の制御ユニット。
【0494】
項70.遠位キャリア・アセンブリは、近位筐体に対して遠位に配置されている遠位筐体を備え、遠位筐体は、芯部材に結合されており、代用弁の弁フレームの遠位部分を被覆するように構成されており、第3の制御要素の回転は軸方向において、近位筐体を遠位筐体に対して近位方向に並進させる、項69に記載の制御ユニット。
【0495】
項71.遠位キャリア・アセンブリはプランジャ機構と、遠位管腔を有する遠位筐体とを備え、プランジャ機構は、近位筐体が遠位筐体に対して近位に動かされた後、弁フレームの遠位部分を遠位管腔から外方に近位に推進するために、遠位筐体の遠位管腔内でスライド可能である、項70に記載の制御ユニット。
【0496】
項72.第1の方向における第3の制御要素の回転は、遠位筐体を軸方向において、芯部材に対して第1の方向に並進させる、項69に記載の制御ユニット。
【0497】
項73.第1の方向は芯部材に対して近位である、項72に記載の制御ユニット。
【0498】
項74.第2の方向における第3の制御要素の回転は、遠位筐体を軸方向において、芯部材に対して第2の方向に並進させる、項72に記載の制御ユニット。
【0499】
項75.第2の方向は芯部材に対して遠位である、項74に記載の制御ユニット。
【0500】
項76.第1の方向における第3の制御要素の回転は軸方向において、近位筐体を遠位筐体から分離し、第2の方向における第3の制御要素の回転は軸方向において、近位筐体を遠位筐体に向かって引き込む、項74に記載の制御ユニット。
【0501】
項77.第1の制御要素、第2の制御要素、及び第3の制御要素は、制御ハンドルの外面に沿って位置決めされる、項54から76までに記載の制御ユニット。
【0502】
項78.第1の制御要素、第2の制御要素、又は第3の制御要素のうちの少なくとも1つは、ノブを含む、項54から77までに記載の制御ユニット。
【0503】
項79.第1の制御要素は、制御ハンドルに沿って第2の制御要素に対して遠位に位置決めされる、項54から78までに記載の制御ユニット。
【0504】
項80.弁フレーム及び弁アンカーを有する代用弁をさらに備える、項54から79までに記載の制御ユニット。
【0505】
項81.遠位キャリア・アセンブリは遠位筐体及び近位筐体を備え、装填構成において、遠位筐体の近位端は、近位筐体の遠位端から長手方向に離間される、項54から80までに記載の制御ユニット。
【0506】
項セット6:送達するための方法
項1.心臓代用弁補綴を患者の自然弁構造に送達するための方法であって、代用弁は、弁フレーム及び弁アンカーを備え、代用弁送達デバイスを介して埋め込み部位において代用弁を患者に導入することであり、デバイスは、近位シース構成要素及び遠位キャリア・アセンブリを備え、近位シース構成要素は、弁アンカーの少なくとも一部分を近位シース管腔内に受け入れ、遠位キャリア・アセンブリは、遠位筐体及び近位筐体を備え、遠位筐体は、弁フレームの少なくとも遠位部分を受け入れるように構成されている、導入することと、代用弁を、大動脈を介して埋め込み部位へと前進させることと、弁アンカーが拡張することを可能にするために、近位方向において近位シースを近位に後退させることと、弁フレームが拡張することを可能にするために、遠位キャリア・アセンブリを拡張させることと、弁アンカーのベース部分を、自然弁構造と係合するように遠位に推進することとを含む、方法。
【0507】
項2.代用弁を逆行方向において前進させることをさらに含む、項1に記載の方法。
【0508】
項3.連結機構を間に係合するために、弁フレームを弁アンカーに対して近位に後退させることと、弁フレームの弁アンカーに対する動きの範囲を制約することとをさらに含む、項1又は2に記載の方法。
【0509】
項4.弁フレームを遠位に前進させることをさらに含む、項3に記載の方法。
【0510】
項5.拡張させることによって、近位筐体から遠位筐体が長手方向に分離されて、弁フレームの遠位部分が拡張することが可能になる、項1から4までのいずれか一項に記載の方法。
【0511】
項6.拡張させることは、弁フレームの遠位部分が拡張することを可能にするために、遠位筐体を近位筐体に対して遠位に前進させることを含む、項1から5までのいずれか一項に記載の方法。
【0512】
項7.拡張させることは、弁フレームの近位部分が拡張することを可能にするために、近位筐体を遠位筐体に対して近位に後退させることを含む、項1から6までのいずれか一項に記載の方法。
【0513】
項8.拡張させることは、患者から代用弁送達デバイスを後退させるための取り出し構成へと遠位キャリア・アセンブリを動かすために、遠位筐体を近位筐体に対して近位に後退させることと、近位筐体を遠位筐体に対して遠位に前進させることを含む、項1から7までのいずれか一項に記載の方法。
【0514】
項9.心臓代用弁補綴を患者の自然弁構造に送達するための方法であって、代用弁は、弁フレーム及び弁アンカーを備え、代用弁送達デバイスを介して埋め込み部位において代用弁を患者に導入することであり、デバイスは、近位シース構成要素及び遠位キャリア・アセンブリを備え、近位シース構成要素は、弁アンカーの少なくとも一部分を近位シース管腔内に受け入れ、遠位キャリア・アセンブリは、遠位筐体及び近位筐体を備え、遠位筐体は、弁フレームの少なくとも遠位部分を受け入れるように構成されている、導入することと、代用弁を、患者の心尖を介して埋め込み部位へと前進させることと、弁アンカーが拡張することを可能にするために、近位方向において近位シースを近位に後退させることと、弁フレームが拡張することを可能にするために、遠位キャリア・アセンブリを拡張させることと、弁アンカーのベース部分を、自然弁構造と係合するように近位に推進することとを含む、方法。
【0515】
項10.代用弁を順行方向において前進させることをさらに含む、項9に記載の方法。
【0516】
項11.連結機構を間に係合するために、弁フレームを弁アンカーに対して近位に後退させることと、弁フレームの弁アンカーに対する動きの範囲を制約することとをさらに含む、項9又は10に記載の方法。
【0517】
項12.弁フレームを遠位に前進させることをさらに含む、項11に記載の方法。
【0518】
項13.拡張させることによって、近位筐体から遠位筐体が長手方向に分離されて、弁フレームの遠位部分が拡張することが可能になる、項9から12までに記載の方法。
【0519】
項14.拡張させることは、弁フレームの遠位部分が拡張することを可能にするために、遠位筐体を近位筐体に対して遠位に前進させることを含む、項9から13までに記載の方法。
【0520】
項15.拡張させることは、弁フレームの近位部分が拡張することを可能にするために、近位筐体を遠位筐体に対して近位に後退させることを含む、項9から14までに記載の方法。
【0521】
項16.拡張させることは、患者から代用弁送達デバイスを後退させるための取り出し構成へと遠位キャリア・アセンブリを動かすために、遠位筐体を近位筐体に対して近位に後退させることと、近位筐体を遠位筐体に対して遠位に前進させることを含む、項9から15までに記載の方法。
【0522】
さらなる考慮事項
いくつかの実施例では、本明細書における項のいずれかは、独立項のいずれか1つ又は従属項のいずれか1つに依存し得る。いくつかの実施例において、項のいずれか(例えば、従属項又は独立項)は、任意の他の1つ又は複数の項(例えば、従属項又は独立項)と組み合わせられ得る。いくつかの実施例において、請求項は、節、文、句、又は段落内に引用される語(例えば、ステップ、動作、手段又は構成要素)のいくつか又はすべてを含み得る。いくつかの実施例において、請求項は、1つ又は複数の節、文、句、又は段落内に引用される語のいくつか又はすべてを含み得る。いくつかの実施例において、節、文、句、又は段落の各々の中の語のうちのいくつかは除去されてもよい。いくつかの実施例において、追加の語又は要素を節、文、句、又は段落に追加することができる。いくつかの実施例において、本明細書において説明されている構成要素、要素、機能、又は動作のいくつかを利用することなく、本主題の技術を実施することができる。いくつかの実施例において、追加の構成要素、要素、機能、又は動作を利用して、本主題の技術を実施することができる。
【0523】
上記の説明は、当業者が本明細書に記載されている様々な構成を実践することを可能にするように提供されている。本主体の技術は特に、様々な図及び構成を参照して説明されているが、これらは例示を目的としたものに過ぎず、本主題の技術の範囲を制限するものとして解釈されるべきではない。
【0524】
本主題の技術を実施するための多くの他の様式があり得る。本明細書において説明されている様々な機能及び要素は、本主題の技術の範囲から逸脱することなく、示されているものとは別様に分割することができる。これらの構成に対する様々な修正が、当業者には容易に明らかになり、本明細書において規定されている一般的な原理は、他の構成に適用することができる。したがって、本主題の技術の範囲から逸脱することなく、当業者によって、多くの変更及び修正を本主題の技術に行うことができる。
【0525】
開示されているプロセスにおけるステップの特定の順序又は階層は例示的な手法の一例であることが理解される。設計志向に基づいて、プロセスにおけるステップの特定の順序又は階層は配列し直されてもよいことが理解される。ステップの一部は同時に実施されてもよい。添付の方法請求項は、様々なステップの要素を見本としての順序において提示しており、提示される特定の順序又は階層への限定を意図するものではない。
【0526】
本明細書において使用される場合、「遠位」という用語は、代用弁を自然弁輪に送達するために使用される送達システムの制御ユニット又は領域など、関心点から外方にある位置又は方向を示すことができる。加えて、「近位」という用語は、代用弁を送達するために使用される送達システムの制御ユニット又は領域など、関心点により近い位置又は方向を示すことができる。
【0527】
本明細書において使用される場合、項目のいずれかを分離する用語「及び」又は「又は」を伴う一連の項目の前につく「~のうちの少なくとも1つ」という句は、そのリストの各部材(すなわち、各項目)ではなく、リストを全体として修飾する。「~のうちの少なくとも1つ」という句は、リストされている各項目のうちの少なくとも1つの項目を選択することを必要とせず、むしろ、句は、項目のうちのいずれか1つ及び/若しくは項目の任意の組み合わせのうちの少なくとも1つ並びに/又は項目の各々のうちの少なくとも1つのうちの、少なくとも1つを含む意味を許容する。例として、「A、B及びCのうちの少なくとも1つ」又は「A、B又はCのうちの少なくとも1つ」という句は各々、Aのみ、Bのみ若しくはCのみ;A、B及びCの任意の組み合わせ;並びに/又はA、B及びCの各々のうちの少なくとも1つを指す。
【0528】
「上部」、「下部」、「前方」、「後方」などの用語は、本開示においては、通常の重力による基準系ではなく、任意の基準系を参照するものとして理解されるべきである。したがって、上面、底面、前面、及び後面は、重力による基準系において上向き、下向き、対角方向、又は水平方向に延在してもよい。
【0529】
さらに、「含む」、「有する」などの用語が本明細書又は特許請求の範囲内で使用されている範囲において、そのような用語は、特許請求の範囲において移行語として利用される場合に「備える」という用語が解釈されるときの「備える」という用語と同様に、包含的であるように意図される。
【0530】
「例示的な」という語は本明細書においては、「実例、事例、又は例示としての役割を果たす」ことを意味するように使用される。「例示的」であるとして本明細書において記載されている任意の実施例は、必ずしも他の実施例よりも好ましいか又は有利であるものとして解釈されるべきではない。
【0531】
要素が単数形で参照されている場合、これは、特にそのように述べられている場合を除き、「唯一のもの」であることを意味するようには意図されておらず、「1つ又は複数」を意味する。男性代名詞(例えば、彼の)は女性及び中性(例えば、彼女の及びその)を含み、逆も真である。「いくつかの」という用語は、1つ又は複数を指す。下線付き及び/又は斜体の見出し及び小見出しは、便宜上でのみ使用されており、本主題の技術を限定せず、本主題の技術の説明の解釈に関連して参照されるものではない。当業者に既知であるか又は後に知られることになる、本開示全体を通じて説明されている様々な構成の要素に対するすべての構造的及び機能的均等物は、参照により本明細書に明示的に組み込まれ、本主題の技術によって包含されるように意図されている。その上、本明細書において開示されている一切の内容は、当該開示が上記の説明内に例示的に記載されているか否かにかかわらず、公衆に提供するようには意図されていない。
【0532】
詳細な説明は多くの細目を含むが、これらは、本主題の技術の範囲を限定するものとして解釈されるべきではなく、本主題の技術の種々の実例及び態様を例示しているものとしてのみ解釈されるべきである。本主題の技術の範囲は、上記で詳細に論じられていない他の実施例を含むことを諒解されたい。本開示の範囲から逸脱することなく、本明細書において開示されている本主題の技術の方法及び装置の構成、動作及び詳細に様々な他の修正、変更及び変形を行うことができる。別様に表現されていない限り、要素が単数形で参照されている場合、これは、明示的に述べられている場合を除き、「唯一」のものであることを意味するようには意図されておらず、「1つ又は複数」を意味するように意図されている。加えて、デバイス又は方法が、本開示の範囲内に包含されるために、本開示の種々の実施例によって解決可能であるすべての問題に対処する(又は達成可能であるすべての利点を保持する)必要はない。本明細書において「~することができる(can)」及びその派生語が使用されている場合、これは、肯定的な可能性とは対照的に、「場合によっては(possively)」又は「任意選択的に(optionally)」の意味において理解されるべきである。