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特許7197601熱源システムの管理装置、管理システム、および熱源システムの管理情報の表示方法
<図1>
  • 特許-熱源システムの管理装置、管理システム、および熱源システムの管理情報の表示方法 図1
  • 特許-熱源システムの管理装置、管理システム、および熱源システムの管理情報の表示方法 図2
  • 特許-熱源システムの管理装置、管理システム、および熱源システムの管理情報の表示方法 図3
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  • 特許-熱源システムの管理装置、管理システム、および熱源システムの管理情報の表示方法 図10
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】熱源システムの管理装置、管理システム、および熱源システムの管理情報の表示方法
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/52 20180101AFI20221220BHJP
   F24F 5/00 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
F24F11/52
F24F5/00 101Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020548573
(86)(22)【出願日】2019-09-19
(86)【国際出願番号】 JP2019036665
(87)【国際公開番号】W WO2020066809
(87)【国際公開日】2020-04-02
【審査請求日】2021-03-22
(31)【優先権主張番号】P 2018180166
(32)【優先日】2018-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】505461072
【氏名又は名称】東芝キヤリア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 徳臣
(72)【発明者】
【氏名】村田 想
【審査官】奈須 リサ
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-028407(JP,A)
【文献】特開2015-056091(JP,A)
【文献】特開2014-066454(JP,A)
【文献】特開2009-036494(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/00-13/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一の配水管により負荷機器に接続され、前記負荷機器で熱交換処理された水を取り込んで前記負荷機器に再度供給するための温冷水を生成するための複数の熱源機器と、前記複数の熱源機器が接続された中継器とを備えた熱源機器グループを一単位とした複数の熱源機器グループを備えた熱源システムの状態を表示するための管理装置であって、
各々の前記複数の熱源機器グループの前記中継器から、各々の前記熱源機器の稼働状態情報を取得するための機器情報取得部と、
前記機器情報取得部で取得された前記熱源機器の前記稼働状態情報を該当する前記中継器ごとに示した情報を、前記熱源システム内に構築された配水管の構成図の該当する位置に前記熱源機器グループごとに並べて、前記熱源システム内の熱源機器に関する管理画面の表示情報を生成するための表示情報生成部と、
前記表示情報生成部で生成された表示情報を表示させるための表示部とを備え
前記表示情報生成部が生成する管理画面の表示情報は、前記熱源機器グループごとに前記熱源機器の前記稼働状態情報を該当する前記中継器ごとに示した情報を縦方向に並べて表示し、前記中継器ごとの前記熱源機器の前記稼働状態情報は、各中継器に接続された熱源機器の中で稼動中の台数に対応する横方向の長さを有する情報と停止中の台数に対応する横方向の長さを有するかまたは、各中継器に接続された熱源機器の中で稼動中の台数の割合を示す横方向の長さを有する、管理装置。
【請求項2】
前記表示情報生成部は、前記中継器ごとの各々の前記熱源機器の稼働状態情報を、前記管理装置から遠隔操作可能な状態で運転もしくは停止しているか、該当する熱源機器内で操作可能な状態で運転もしくは停止しているか、故障しているか、または、前記管理装置に未登録の状態であるかを区別した図形情報で示すことで、前記管理画面の表示情報を生成する
請求項1に記載の管理装置。
【請求項3】
前記表示情報生成部は、前記管理画面内に、前記熱源機器グループごとの詳細情報を表示させる操作を行うための表示情報、および、前記中継器ごとの詳細情報を表示させる操作を行うための表示情報を含めて、前記管理画面の表示情報を生成する
請求項1または2に記載の管理装置。
【請求項4】
前記表示情報生成部は、運転の優先度が高い熱源機器グループから順に並べて、前記熱源機器の稼働状態情報を表示させるように表示情報を生成する
請求項1~3いずれか1項に記載の管理装置。
【請求項5】
前記熱源システムは、
前記負荷機器に供給する往水の温度を計測するための往水温度センサと、
前記負荷機器で熱交換処理された還水の温度を計測するための還水温度センサと、
前記還水の流量を計測するための還水流量計と
を更に備え、
前記機器情報取得部は、前記往水温度センサで計測された前記往水の水温計測値と、前記還水温度センサで計測された前記還水の水温計測値と、前記還水流量計で計測された前記還水の流量計測値とを取得し、
前記表示情報生成部は、前記機器情報取得部で取得された前記往水の水温計測値、前記還水の水温計測値、および前記還水の流量計測値を含めた管理画面の表示情報を生成する
請求項1~4いずれか1項に記載の管理装置。
【請求項6】
各々の前記熱源機器は、
取り込んだ水の温度を計測するための入口温度センサと、
排出する水の温度を計測するための出口温度センサと、
取り込む水の流量を調整するための流量調整装置と
を備え、
前記機器情報取得部は、前記入口温度センサで計測された水温計測値と、前記出口温度センサで計測された水温計測値と、前記流量調整装置により調整された取り込む水の流量とを、前記中継器を介して取得し、
前記表示情報生成部は、前記機器情報取得部で取得された情報に基づいて、前記熱源機器グループごとの前記熱源機器に関する、前記入口温度センサで計測された水温計測値の平均値、前記出口温度センサで計測された水温計測値の平均値、前記取り込む水の流量の平均値または合計値の少なくともいずれかを含めた管理画面の表示情報を生成する
請求項1~5いずれか1項に記載の管理装置。
【請求項7】
前記管理装置は、対象の負荷機器ごとに構築された複数系統の熱源システムに接続され、
前記表示情報生成部は、前記複数系統のいずれかを指定するためのタブ情報を生成し、
前記表示部は、前記タブ情報で指定された系統の熱源システムに関する管理画面の表示情報を表示させる
請求項1~6いずれか1項に記載の管理装置。
【請求項8】
同一の配水管により負荷機器に接続され、前記負荷機器で熱交換処理された水を取り込んで前記負荷機器に再度供給するための温冷水を生成するための複数の熱源機器と、前記複数の熱源機器が接続された中継器と、前記複数の熱源機器と前記中継器とを備えた熱源機器グループを一単位とした複数の熱源機器グループの状態を表示するための管理装置とを備えた熱源システムの状態を管理するための管理システムであって、
前記管理装置は、
各々の前記複数の熱源機器グループの前記中継器から、各々の前記熱源機器の稼働状態情報を取得するための機器情報取得部と、
前記機器情報取得部で取得された前記熱源機器の稼働状態情報を該当する前記中継器ごとに示した情報を、前記熱源システム内に構築された配水管の構成図の該当する位置に前記熱源機器グループごとに並べて、前記熱源システム内の熱源機器に関する管理画面の表示情報を生成するための表示情報生成部と、
前記表示情報生成部で生成された表示情報を表示させるための表示部とを備え、
前記表示情報生成部が生成する管理画面の表示情報は、前記熱源機器グループごとに前記熱源機器の前記稼働状態情報を該当する前記中継器ごとに示した情報を縦方向に並べて表示し、前記中継器ごとの前記熱源機器の前記稼働状態情報は、各中継器に接続された熱源機器の中で稼動中の台数に対応する横方向の長さを有する情報と停止中の台数に対応する横方向の長さを有するかまたは、各中継器に接続された熱源機器の中で稼動中の台数の割合を示す横方向の長さを有する、管理システム。
【請求項9】
同一の配水管により負荷機器に接続され、前記負荷機器で熱交換処理された水を取り込んで前記負荷機器に再度供給するための温冷水を生成するための複数の熱源機器と、前記複数の熱源機器が接続された中継器とを備えた熱源機器グループを一単位とした複数の熱源機器グループを備えた熱源システムの状態を表示するための管理装置による熱源システムの管理情報の表示方法であって、
各々の前記複数の熱源機器グループの前記中継器から、各々の前記熱源機器の稼働状態情報を取得し、
取得された前記熱源機器の稼働状態情報を該当する前記中継器ごとに示した情報を縦方向に並べて、前記熱源システム内に構築された配水管の構成図の該当する位置に前記熱源機器グループごとに並べて、前記熱源システム内の熱源機器に関する管理画面の表示情報を生成し、前記中継器ごとの前記熱源機器の前記稼働状態情報は、各中継器に接続された複数の熱源機器の中で稼動中の台数に対応する横方向の長さを有する情報と、停止中の台数に対応する横方向の長さを有するかまたは、各中継器に接続された熱源機器の中で稼動中の台数の割合を示す横方向の長さを有する、
生成された表示情報を表示させる表示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、熱源システムの管理装置、管理システム、および熱源システムの管理情報の表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、工場や倉庫などの規模の大きい産業用施設の熱源システムでは、電力や、ガス、ヒートポンプ等の複数の熱源が用いられ、これらの熱源ごとに多数の熱源機器が用いられている。これらの熱源機器の稼動状態情報は遠隔の管理装置で取得され、モニタに表示されることで、熱源システムの管理者に提供されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-101881号公報(JP 2017-101881 A)
【発明の概要】
【0004】
上述したような大規模な産業用施設で用いられる熱源機器は、数が膨大であるとともに複数の熱源が用いられているため、施設内のシステム構成が複雑である。例えば、産業用施設内の建屋ごとまたは設備ごとに複数系統の熱源システムが構築され、それぞれの系統の熱源システム内で複数の熱源が利用され、熱源ごとに複数台設置された中継器の配下に、該当する複数の熱源機器が接続されて、施設内のシステムが構成されている。
【0005】
このような膨大な数の熱源機器を有するシステムの稼働状態情報を遠隔の管理装置に表示させる場合、管理装置の表示スペースには制限があるため、すべての熱源機器の情報を一度に表示させることができない。
【0006】
そのため、所望の熱源機器の情報を表示させるには、まず施設内の全系統名が表示された画面上で所望の系統を指定し、指定された系統内の熱源の種類が表示された画面上で所望の熱源の種類を指定し、指定された熱源に関して設置された中継器が表示された画面上で所望の中継器を指定する等、階層的に構築されたシステム内の情報を複数回指定操作しなければならず、操作が煩雑になるという問題があった。また、このように各階層の情報を順次表示させる場合、システム内の全体構成を把握し難くなるという問題があった。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、複数の熱源に関する多数の熱源機器の稼動状態情報を、管理者が把握しやすい状態で表示するための、熱源システムの管理装置、管理システム、および熱源システムの管理情報の表示方法を提供することを目的とする。
【0008】
上記目的を達成するために、実施形態に係る空調機の熱源システムの管理装置は、複数の熱源機器と、複数の熱源機器が接続された中継器とを備えた熱源機器グループを一単位とした複数の熱源機器グループを備えた熱源システムの状態を表示する。この管理装置は、各々の熱源機器グループの中継器から各々の熱源機器の稼働状態情報を取得するための機器情報取得部と、機器情報取得部で取得された情報に基づいて、各々の熱源機器の稼働状態情報を該当する中継器ごとに示した情報を、熱源システム内に構築された配水管の構成図の該当する位置に熱源機器グループごとに並べて、熱源システム内の熱源機器に関する管理画面の表示情報を生成するための表示情報生成部と、表示情報生成部で生成された表示情報を表示させるための表示部とを備え、表示情報生成部が生成する管理画面の表示情報は、熱源機器グループごとに熱源機器の稼働状態情報を該当する中継器ごとに示した情報を縦方向に並べて表示し、中継器ごとの熱源機器の稼働状態情報は、各中継器に接続された複数の熱源機器の中で稼動中の台数に対応する横方向の長さを有する情報と、停止中の台数に対応する横方向の長さを有するかまたは、各中継器に接続された熱源機器の中で稼動中の台数の割合を示す横方向の長さを有する
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態に係る管理装置を用いた産業用施設管理システムの構成を示す全体図である。
図2図2は、実施形態に係る管理装置を用いた産業用施設管理システム内の熱源機器の構成を示す概略図である。
図3図3は、実施形態に係る管理装置の構成を示すブロック図である。
図4図4は、実施形態に係る管理装置に表示される管理画面の一例を示す画面構成図である。
図5図5は、実施形態に係る管理装置に表示される管理画面内で、各熱源機器の稼働状態ごとの台数を示す部分の一例を示す画面構成図である。
図6図6は、実施形態に係る管理装置に表示される管理画面において、停止中の熱源機器グループを含む系統システムの管理画面の一例を示す画面構成図である。
図7図7は、実施形態に係る管理装置に表示される管理画面内で、各熱源機器の稼働状態を示す部分の一例を示す画面構成図である。
図8図8は、実施形態に係る管理装置に表示される管理画面内で、稼働している熱源機器の割合を示す部分の一例を示す画面構成図である。
図9図9は、実施形態に係る管理装置に表示される管理画面で、所望の中継器が指定されたときに表示される情報の一例を示す画面構成図である。
図10図10は、実施形態に係る管理装置に表示される管理画面の他の例を示す画面構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施形態に係る水(ブライン等を含む)を熱搬送媒体とする熱源システムを用いた産業用施設管理システム1の構成について、図1を参照して説明する。実施形態に係る産業用施設管理システム1は、大規模な産業用施設に構築され、建屋ごとまたは負荷設備ごとに設けられた、第1冷却専用系統システム10、第2冷却専用系統システム20、第1加熱専用系統システム30、および第2加熱専用系統システム40と、これらの系統システム10~40に接続された設備管理装置(グループコントローラ)50とを備える。
【0011】
第1冷却専用系統システム10は、電力を利用する複数の熱源機器で構成された第1熱源(電力)機器グループ11、およびガスを利用する複数の熱源機器で構成された第2熱源(ガス)機器グループ12を含む、複数の熱源種別ごとの4つの熱源機器グループ11~14を備える。第1熱源機器グループ11内には、複数台の中継器(モジュールコントローラ:MC)が設けられ、第1熱源機器グループ11に該当する熱源機器が、いずれかのMCを中継して設備管理装置50に接続されている。
【0012】
具体的には、第1熱源機器グループ11内には、8台のMC111A~118Aが設けられている。MC111Aには、6台の熱源機器111-1~111-6が接続されている。MC112Aには、6台の熱源機器112-1~112-6が接続されている。MC113Aには、6台の熱源機器113-1~113-6が接続されている。MC114Aには、6台の熱源機器114-1~114-6が接続されている。MC115Aには、6台の熱源機器115-1~115-6が接続されている。MC116Aには、6台の熱源機器116-1~116-6が接続されている。MC117Aには、4台の熱源機器117-1~117-4が接続されている。MC118Aには、4台の熱源機器118-1~118-4が接続されている。
【0013】
第2熱源機器グループ12内には、8台のMC121A~128Aが設けられている。MC121Aには、6台の熱源機器121-1~121-6が接続されている。MC122Aには、6台の熱源機器122-1~122-6が接続されている。MC123Aには、6台の熱源機器123-1~123-6が接続されている。MC124Aには、6台の熱源機器124-1~124-6が接続されている。MC125Aには、6台の熱源機器125-1~125-6が接続されている。MC126Aには、6台の熱源機器126-1~126-6が接続されている。MC127Aには、4台の熱源機器127-1~127-4が接続されている。MC128Aには、4台の熱源機器128-1~128-4が接続されている。
【0014】
同様にして、第3熱源機器グループ13および第4熱源機器グループ14にも、それぞれ対応するエネルギーを利用した複数の熱源機器がMCを介して接続されている。各々のMCは、設備管理装置50に接続されている。第1熱源機器グループ11~第4熱源機器グループ14により、第1冷却専用系統システム10に用いる熱源システムが構築されている。つまり、各々の熱源機器グループは、複数の熱源機器と、複数の熱源機器が接続されたMCとにより、一単位として構成されている。
【0015】
第1熱源機器グループ11から第4熱源機器グループ14の各々の熱源機器は、同一の第1配水管15により、第1冷却専用系統システム10の管理対象の負荷機器である冷却機器16に接続されている。
【0016】
第1冷却専用系統システム10内の各々の熱源機器は、電力を用いた冷凍サイクルによる熱交換により予め設定された温度(例えば7℃程度)の冷水を生成し、第1配水管15から冷却機器16に供給する。冷却機器16に供給された冷水は熱交換に用いられ、12℃程度に温度が上がった水が冷却機器16から排出されて、第2配水管17から再び第1冷却専用系統システム10内の熱源機器に取り込まれる。このように、第1冷却専用系統システム10では、取り込んだ水から、再度冷却機器16に供給するための冷水が生成される。
【0017】
第1配水管15には、熱源機器から冷却機器16に供給する往水の温度を計測する往水温度センサ151が設置されている。第2配水管17には、冷却機器16から熱源機器に戻る還水の温度を計測する還水温度センサ171と、還水の流量を計測する還水流量計172とが設置されている。往水温度センサ151で計測された往水の水温計測値と、還水温度センサ171で計測された還水の水温計測値と、還水流量計172で計測された還水の流量計測値とは、設備管理装置50に送信される。
【0018】
第1冷却専用系統システム10内の各々の熱源機器には、図2に示すように、第2配水管17から取り込んだ還水の温度を計測するための入口温度センサ61と、第1配水管15に排出する冷水の温度を計測するための出口温度センサ62が設置されている。各々の熱源機器には、流入する還水の流量を調整するための流量調整装置としてのポンプが内蔵されるか、または、外付けされている。各々の熱源機器の稼働/停止状況情報、入口温度センサ61により計測された熱源機器の入口の水温計測値、出口温度センサ62により計測された熱源機器の出口の水温計測値、各々の熱源機器に設けられたポンプにより調整された各々の熱源機器に流入する還水の流量、および各々の熱源機器で消費される熱量等の稼働状態情報は、それぞれの熱源機器が接続されたMCを介して、設備管理装置50に送信される。なお、各々の熱源機器は、それぞれが流量調整装置としてポンプを備えているものの他にも、還水の流量を調整可能なバルブ等を備えたものでもよく、この場合はバルブ開度と圧力等の数値から熱源機器に流入する還水の流量を算出することができる。
【0019】
第2冷却専用系統システム20、第1加熱専用系統システム30、および第2加熱専用系統システム40も同様に、複数の熱源機器およびMCで構成された複数の熱源機器グループを有し、これらの熱源機器で冷温水を生成してそれぞれの設備内の負荷機器に冷温水を供給する。
【0020】
各々の設備系統システム内の熱源機器グループの数、各々の熱源機器グループ内のMCの数、および各々のMCに接続される熱源機器の数は、処理対象の負荷機器で必要とする冷温水の温度や水量に応じて、適宜変更可能である。
【0021】
設備管理装置50は、当該産業用施設管理システム1内の設備機器を管理するためのグループコントローラであり、図3に示すように、通信部51と、機器情報取得部52と、入力部53と、表示情報生成部54と、表示部55と、制御情報生成部56とを備える。
【0022】
通信部51は、第1冷却専用系統システム10、第2冷却専用系統システム20、第1加熱専用系統システム30、および第2加熱専用系統システム40との通信を行う。機器情報取得部52は、通信部51を介して系統システム10~40の各々のMCから送信された各々の熱源機器の稼働状態情報、および、往水温度センサ151、還水温度センサ171、および還水流量計172から送信された情報を取得する。
【0023】
入力部53は、当該産業用施設管理システム1の管理者による操作情報を入力する。表示情報生成部54は、入力部53から入力された指示に従って、機器情報取得部52で取得された情報を用いて当該産業用施設管理システム1内の熱源機器やMCに関する管理画面の表示情報を生成する。表示部55は、表示情報生成部54で生成された表示情報を表示する。
【0024】
制御情報生成部56は、入力部53から入力された指示や負荷機器の稼働状態等に従って、どの熱源機器グループを優先的に稼働させるかを制御するための制御情報や、各々のMCおよび各々の熱源機器の運転と停止を切り替えるための制御情報を生成し、通信部51から該当する設備に送信させる。
【0025】
このように構成された産業用施設管理システム1において、管理者が設備管理装置50において、産業用施設管理システム1内の熱源機器に関する管理画面を表示させるための操作を行うと、当該操作情報が入力部53から入力される。管理画面を表示させるための操作情報が入力されると、表示情報生成部54において、機器情報取得部52で取得された情報を用いた管理画面の表示情報が生成され、表示部55に表示される。
【0026】
表示部55に表示された管理画面100の一例を、図4に示す。管理画面100内には、表示対象として第1冷却専用系統システム10を指定するための第1タブ101と、第2冷却専用系統システム20を指定するための第2タブ102と、第1加熱専用系統システム30を指定するための第3タブ103と、第2加熱専用系統システム40を指定するための第4タブ104が設けられている。各々のタブ101~104には、該当する系統システム10~40が稼働中であることを示すマーク「稼働」または停止中であることを示すマーク「停止」が表示されている。また、システム内に故障が発生している箇所がある場合には、該当するタブ、例えば第1タブ101にマーク「故障」が表示される。また、故障表示の他にも、システム内のいずれかの熱源機器で異常状態が検知された場合には、該当するタブに異常警報を示すアイコン等が表示される。図4においては、第1タブ101が操作され、稼働中の第1冷却専用系統システム10が表示対象として指定された状態を示す。
【0027】
第1タブ101の下部の機器状態表示エリア105には、当該第1冷却専用系統システム10内に構築された第1配水管15と第2排水管17の構成の概略図が表示されて水の流れる方向が矢印で示されるとともに、第1配水管15と第2排水管17に接続された熱源機器グループ11~14ごとの情報が、概略図の該当する位置に表示される。このとき、熱源機器グループ11~14ごとの情報は、運転の優先度が高い順に左から並べて表示され、例えば、第1熱源機器グループ11の情報→第2熱源機器グループ12の情報→第3熱源機器グループ13の情報→第4熱源機器グループ14の順に情報が表示されている。
【0028】
機器状態表示エリア105の下方には、簡易的な運転スケジュールを示す簡易スケジュール表示エリア160が設けられている。簡易スケジュール表示エリア160の上方には、登録された熱源機器群の構成パターンを表示するシステム構成表示エリア161が表示されている。簡易スケジュール表示エリア160の下方には、通常運転モードや省エネ運転モード等の運転パターンを表示する運転パターン表示エリア162が表示されている。
【0029】
簡易スケジュール表示エリア160を機器状態表示エリア105の下方に表示することで、現在の運転状態、機器構成と運転スケジュールを同一画面で視認でき、機器管理を容易に行うことができる。
【0030】
簡易スケジュール表示エリア160の右方には、詳細スケジュール表示画面を開くためのスケジュールボタン180、過去のトレンドを表示する画面を開くためのトレンドボタン181、過去の消費電力量表示画面を開くための電力量ボタン182等のその他画面を開くためのアイコンが表示されている。これにより、管理画面100の状態で不足している情報を表示するためのその他の画面へのアクセスを容易にしている。
【0031】
第1熱源機器グループ11の情報としては、MC111A~MC118Aごとに、MCの識別情報を示すテキスト情報および、接続されている熱源機器の中で稼動中の台数に対応する長さの実線の矩形情報と、停止中の台数に対応する長さの点線の矩形情報とが表示されている。例えば、MC111Aに関しては、接続された6台の熱源機器111-1~111-6はすべて稼働中であるため、6台分の長さを有する矩形情報が表示されている。また、MC112Aに関しては、接続された6台の熱源機器112-1~112-6のうち4台が稼動中であり2台が停止中であるため、4台分の長さを有する実線の矩形情報と、2台分の長さを有する点線の矩形情報とが表示されている。
【0032】
ここで、停止中のMC、例えばMC118Aに関しては、MCの識別情報が低輝度のテキスト情報で示され、接続されている4台の熱源機器がすべて停止中であることを示す点線の矩形情報が表示される。図4では、MC118Aの識別情報を示す低輝度のテキスト情報を、斜体のテキスト情報で示す。
【0033】
なお、1つの中継器MCに接続される熱源機器群を横長の1連の矩形情報として示したが、複数の矩形情報に分けて表示してもよい。例えば1つの中継器MC111Aに対して12台の熱源機器が接続される場合には、上下2段の矩形情報として表示してもよい。
【0034】
同様にして、第2熱源機器グループ12、第3熱源機器グループ13、および第4熱源機器グループ14に関しても、MCごとに、接続されている熱源機器の台数を示す情報が、稼働中と停止中とで区別されて表示される。
【0035】
ここでは、稼働中の台数を実線の矩形情報で示し、停止中の台数を点線の矩形情報で示す場合について説明したが、稼働中の台数と停止中の台数とが視覚的に区別できれば別の表示方法でもよく、例えばそれぞれの矩形情報を異なる色調や輝度で表示させるようにしてもよい。また、故障中のMC(例えばMC148A)がある場合には、当該MCの表示部分に故障を示すアイコン110が表示される。
【0036】
図4では、各機器グループのMCごとの情報として、熱源機器の台数を、稼働中と停止中との2種類で区別して示したが、図5に示すように、3つ以上の稼働状態を区別して示してもよい。この場合、それぞれの稼働状態に対応する矩形情報を異なる色調や輝度、模様等で区別して表示させる。ここで、各矩形情報の大きさは、該当する稼働状態の熱源機器の台数に対応しており、該当する熱源機器の台数が多い程、横方向に長い矩形情報で表示される。稼働状態としては例えば、設備管理装置50から遠隔で運転/停止操作が可能な「遠隔」設定状態で運転している(図5の太線枠の矩形情報P)か、「遠隔」設定状態で停止している(図5の点線枠の矩形情報Q)か、該当する熱源機器内のスイッチで運転/停止操作が可能な「手元」設定状態で運転している(図5の太線斜線が付された実線枠の矩形情報R)か、「手元」設定状態で停止している(図5の細線斜線が付された実線枠の矩形情報S)か、故障している(図5の故障アイコンを重畳させた実線枠の矩形情報T)か、または、設備管理装置50に未登録の状態である(図5の縦線が付された点線枠の矩形情報U)か等のように示される。
【0037】
このとき、「手元」設定状態で運転しているMCに接続されている熱源機器は全て「手元」設定状態で運転するため、該当する矩形情報は「手元」設定状態を示す表示状態で表示される。また、「遠隔」設定状態で運転しているMCに接続されている熱源機器は、それぞれ指定された設定状態で運転するため、該当する矩形情報は指定された設定状態(「手元」設定状態、または「遠隔」設定状態)を示す表示状態で表示される。
【0038】
運転状態の場合は、第1表示状態である高輝度の表示状態で表示される。いずれかの機器や機器グループ全体が停止状態になったときには、該当する表示が第2表示状態である低輝度の表示状態で表示される。例えば、第2熱源機器グループ12全体が停止状態になったときには、図6に示すように、該当するMCの識別情報を示すテキスト情報、接続されている熱源機器の稼働状態ごとの台数を示す矩形情報、および第2熱源機器グループ12への水の流入方向を矢印で示した配水管部分が低輝度で表示される。
【0039】
また、他の表示形態として、図7に示すように、熱源機器ごとの同一の大きさの矩形情報を、それぞれ該当する稼働状態に対応する表示状態で表示させて並べるようにしてもよい。
【0040】
また、各機器グループの情報として、図8に示すように、MCごとに、接続されている全熱源機器のうち、稼働している熱源機器の台数の割合を示すグラフ情報を表示させるようにしてもよい。稼働している熱源機器の台数の割合を示すグラフ情報を表示することにより、MCに接続される熱源機器台数が10台以上となる場合であっても、視認性よく表示することができる。
【0041】
このように表示された管理画面100上で、画面上部に表示された全系統情報ボタン106がクリック操作されると、当該産業用施設管理システム1内に構築された系統システムの詳細情報として、第1冷却専用系統システム10、第2冷却専用系統システム20、第1加熱専用系統システム30、および第2加熱専用系統システム40を示す系統一覧画面が表示される。この系統一覧画面内には、それぞれの系統システムの制御状態、例えば稼働/停止状態やデマンド制御のON/OFF状態等が表示される。
【0042】
また、表示された管理画面100上で、機器状態表示エリア105右側に表示された全機器グループ情報ボタン107がクリック操作されると、当該第1冷却専用系統システム10に所属する機器グループの詳細情報として、第1熱源機器グループ11、第2熱源機器グループ12、第3熱源機器グループ13、および第4熱源機器グループ14を示す熱源機器グループ一覧画面が表示される。この熱源機器グループ一覧画面内には、それぞれの熱源機器グループの制御状態、例えば、稼働/停止状態やデマンド制御のON/OFF状態等が表示される。
【0043】
また、表示された管理画面100上で、いずれかの機器グループの名称の表示部分がクリック操作されると、当該機器グループの詳細情報として、所属するMCを示すMC一覧画面が表示される。例えば、第1熱源機器グループ11の名称の表示部分をクリック操作すると、MC111A~MC118Aを示すMC一覧画面が表示される。このMC一覧画面内には、それぞれのMCの制御状態、例えば、稼働/停止状態やデマンド制御のON/OFF状態等が表示される。
【0044】
また、表示された管理画面100上で、いずれかのMCの名称の表示部分がクリック操作されると、当該MCの詳細情報として、所属する熱源機器を示す熱源機器一覧画面が表示される。例えば、MC112Aの名称の表示部分をクリック操作すると、図9に示すように、熱源機器112-1~112-6を示す熱源機器一覧画面200が表示される。この熱源機器一覧画面200内には、それぞれの熱源機器112-1~112-6の運転/停止を切り替えるための操作ボタン201~206が表示される。各々の操作ボタン201~206には、該当する熱源機器の現在の稼働状態を示す「稼働」または「停止」のテキスト情報が表示される。これらの操作ボタン201~206がクリック操作されると、該当する熱源機器の運転/停止状態が切り替えられるとともに、操作ボタン上のテキスト情報が変更される。
【0045】
図4に戻り、管理画面100の機器状態表示エリア105内には、熱源機器グループごとに、所属する熱源機器の入口温度センサ61で計測された熱源機器の入口の水温計測値の平均値、出口温度センサ62で計測された熱源機器の出口の水温計測値の平均値、熱源機器への還水の流量、排出された熱量が合わせて表示される。
【0046】
また、管理画面100の機器状態表示エリア105の右側の系統状態表示エリア108には、現在表示中の系統システム全体に関する水の流量、外気温度、ヘッダ間差圧、排出された熱量が合わせて表示される。
【0047】
このように構成された管理画面が表示されることで、管理者は施設内の熱源システムの構成を把握しつつ、どの熱源機器グループのどのMCに接続された熱源機器がどのような稼動状態にあるかを、一画面上で視覚的に容易に認識することができる。
【0048】
他の形態として、2つの熱源機器グループを備えた系統システムの管理画面を表示させる操作を行った場合には、図10に示すように、当該する2つの熱源機器グループそれぞれに関し、MCごとの熱源機器の稼働状態等が表示されるとともに、これら2つの熱源機器グループに水を流入させる配水管の構成が表示される。
【0049】
なお、上述した中継器であるMCは独立した筐体を持つ制御器や、代表となる熱源機器の制御器などの形態の制御器としてよい。
【0050】
また、上述した実施形態では、複数の熱源機器が接続された中継器を複数備えた熱源機器群を熱源機器グループとしたが、単一の中継器に接続された複数の熱源機器を熱源機器グループとしてもよい。
【0051】
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10