(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】スレーブBMS点検システム及び方法
(51)【国際特許分類】
H01M 10/42 20060101AFI20221220BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20221220BHJP
H04L 12/28 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
H01M10/42 P
H01M10/48 P
H04L12/28 200
(21)【出願番号】P 2020571794
(86)(22)【出願日】2020-01-08
(86)【国際出願番号】 KR2020000317
(87)【国際公開番号】W WO2020166827
(87)【国際公開日】2020-08-20
【審査請求日】2020-12-28
(31)【優先権主張番号】10-2019-0015709
(32)【優先日】2019-02-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チョイ、ヤン シク
(72)【発明者】
【氏名】パク、 チャン ハ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、 セオン ヨル
【審査官】辻丸 詔
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-222913(JP,A)
【文献】特表2019-536215(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0161024(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/42
H01M 10/48
H02J 7/00
H04L 12/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のスレーブバッテリー管理システム(BMS)とマスターバッテリー管理システムとが通信するバッテリーシステムに用いられるマスターバッテリー管理システムであって、
複数のスレーブBMSがそれぞれ少なくとも一回ずつデータを伝送する一周期の間、前記複数のスレーブBMSの各スレーブBMSから、
当該スレーブBMSのデータ、及び複数のスレーブBMSのうち
当該スレーブBMSを除外した少なくとも一つの他のスレーブBMSのデータ伝送情報を受信する受信部;及び、
前記一周期の間、各スレーブBMSから受信された
当該スレーブBMSのデータ及び前記少なくとも一つの他のスレーブBMSのデータ伝送情報を用いて、通信異常または異常スレーブBMSを判断する判断部を含み、
前記少なくとも一つの他のスレーブBMSのデータ伝送情報は、前記他のスレーブBMSがデータを伝送した履歴に関する情報である、マスターバッテリー管理システム。
【請求項2】
前記判断部は、前記一周期の間、各スレーブBMSから受信されたデータのうち
当該スレーブBMSから直接受信されたデータがない場合は、
当該スレーブBMSに異常が発生したと判断する、請求項1に記載のマスターバッテリー管理システム。
【請求項3】
前記一周期の間、各スレーブBMSから受信されたデータのうち
当該スレーブBMSのデータ伝送情報はあるが、
当該スレーブBMSから直接受信されたデータがない場合は、
当該スレーブBMSとの通信異常が発生したと判断する、請求項1または2に記載のマスターバッテリー管理システム。
【請求項4】
前記複数のスレーブBMSと通信するとき、受信されたデータのノイズを測定するノイズ測定部をさらに含み、
前記判断部は、前記ノイズ測定部で測定されたノイズを更に用いて、前記複数のスレーブBMSとの通信可能状態を判断する、請求項1から3のいずれか一項に記載のマスターバッテリー管理システム。
【請求項5】
複数のスレーブバッテリー管理システム(BMS)とマスターバッテリー管理システム(BMS)とが通信するバッテリーシステムに用いられる
、前記複数のスレーブBMSのうちの1つのスレーブバッテリー管理システムであって、
前記バッテリーシステムにおける全てのスレーブBMSが、それぞれ前記マスターBMSと直接通信し、前記1つのスレーブバッテリー管理システムは、
前記複数のスレーブBMSのうちの前記1つのスレーブバッテリー管理システム以外の少なくとも一つの
他のスレーブBMSが前記マスターバッテリー管理システムに伝送するデータ信号を受信する受信部;
前記受信された少なくとも一つの
他のスレーブBMSのデータ信号に基づき、当該
他のスレーブBMSが前記マスターBMSにデータを伝送したということを示すデータ伝送情報を記憶する記憶部;及び、
前記少なくとも一つの
他のスレーブBMSのデータ伝送情報と、自身が管理するバッテリーモジュールのバッテリー情報とを含むデータを、前記マスターBMSに伝送する伝送部を含む、スレーブバッテリー管理システム。
【請求項6】
一周期の間、
前記1つのスレーブバッテリー管理システム以外の他のスレーブBMSそれぞれが少なくとも一回ずつ
当該スレーブBMSのデータを前記マスターBMSに伝送し、前記伝送部が前記マスターBMSに前記データ及びデータ伝送信号を一回伝送する、請求項5に記載のスレーブバッテリー管理システム。
【請求項7】
複数のスレーブバッテリー管理システム(BMS)とマスターバッテリー管理システム(BMS)とが通信するバッテリーシステムにおいて、
前記複数のスレーブBMSそれぞれは、
複数の他のスレーブBMSのうち少なくとも一つのスレーブBMSが前記マスターバッテリー管理システムに伝送するデータ信号を受信する受信部;
前記受信された少なくとも一つのスレーブBMSのデータ信号に基づき、当該スレーブBMSが前記マスターBMSにデータを伝送したということを示すデータ伝送情報を記憶する記憶部;及び、
前記少なくとも一つのスレーブBMSのデータ伝送情報と、自身が管理するバッテリーモジュールのバッテリー情報とを含むデータを、前記マスターBMSに伝送する伝送部を含み、
前記マスターBMSは、
前記複数のスレーブBMSがそれぞれ少なくとも一回ずつデータを伝送する一周期の間、前記複数のスレーブBMSの各スレーブBMSから、
当該スレーブBMSのデータ、及び複数のスレーブBMSのうち
当該スレーブBMSを除外した少なくとも一つの他のスレーブBMSのデータ伝送情報を受信する第2受信部;及び、前記一周期の間、各スレーブBMSから受信された
当該スレーブBMSのデータ及び前記少なくとも一つの他のスレーブBMSのデータ伝送情報を用いて、通信異常または異常スレーブBMSを判断する判断部を含む、スレーブBMS点検システム。
【請求項8】
前記判断部は、前記一周期の間、各スレーブBMSから受信されたデータのうち
当該スレーブBMSから直接受信されたデータがない場合は、
当該スレーブBMSに異常が発生したと判断する、請求項7に記載のスレーブBMS点検システム。
【請求項9】
前記一周期の間、各スレーブBMSから受信されたデータのうち
当該スレーブBMSのデータ伝送情報はあるが、
当該スレーブBMSから直接受信されたデータがない場合は、
当該スレーブBMSとの通信異常が発生したと判断する、請求項7または8に記載のスレーブBMS点検システム。
【請求項10】
マスターバッテリー管理システムにより行われるスレーブBMS点検方法であって、
複数のスレーブBMSそれぞれから順次データを受信するステップ;
前記複数のスレーブBMSそれぞれから順次データを受信した後、受信されたデータに基づいて特定のスレーブBMSとの通信異常またはスレーブBMS異常を判断するステップを含み、
前記複数のスレーブBMSそれぞれからデータが受信されるとき、前記データを伝送したスレーブBMS以外の少なくとも一つの他のスレーブBMSのデータ伝送情報も共に受信され
、
前記少なくとも一つの他のスレーブBMSのデータ伝送情報は、前記他のスレーブBMSがデータを伝送した履歴に関する情報である、
スレーブBMS点検方法。
【請求項11】
前記判断するステップにおいて、
複数のスレーブBMSそれぞれから順次データを受信した後、特定のスレーブBMSから直接受信されたデータもなく、前記特定のスレーブBMSのデータ伝送情報もない場合は、前記特定のスレーブBMSに異常が発生したと判断する、請求項10に記載のスレーブBMS点検方法。
【請求項12】
前記判断するステップにおいて、
前記複数のスレーブBMSのうち少なくとも一つのスレーブBMSから受信された特定のスレーブBMSのデータ伝送情報はあるが、前記特定のスレーブBMSから直接受信されたデータはない場合は、前記特定のスレーブBMSと通信異常が発生したと判断する、請求項10または11に記載のスレーブBMS点検方法。
【請求項13】
前記複数のスレーブBMSと通信するとき、受信されたデータのノイズを測定するステップ;及び
測定されたノイズを更に用いて、前記複数のスレーブBMSとの通信可能状態を判断するステップをさらに含む、請求項10から12のいずれか一項に記載のスレーブBMS点検方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本発明は、2019年2月11日に出願された韓国特許出願第10-2019-0015709号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容を本明細書の一部として含む。
【0002】
本発明は、マスターバッテリー管理システム(Battery Management System、以下「BMS」と記す)が複数のスレーブBMSとの無線通信を介してそれぞれのスレーブBMSを点検するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
最近、二次電池に対する研究開発が活発に行われている。ここで、二次電池は、充放電が可能な電池であって、従来のNi/Cd電池、Ni/MH電池などと、最近のリチウムイオン電池を全て含む意味である。二次電池のうちリチウムイオン電池は、従来のNi/Cd電池、Ni/MH電池などに比べて、エネルギー密度が遥かに高いという長所がある。また、リチウムイオン電池は、小型・軽量で製作できることから、移動機器の電源として用いられる。また、リチウムイオン電池は、電気自動車の電源へまで使用範囲が拡張され、次世代のエネルギー貯蔵媒体として注目を浴びている。
【0004】
また、二次電池は、一般的に複数個のバッテリーセルが直列及び/又は並列に連結されたバッテリーモジュールを含むバッテリーパックとして用いられる。そして、バッテリーパックは、バッテリー管理システムによって状態及び動作が管理及び制御される。
【0005】
複数個のバッテリーパックからなるバッテリーシステムには、マスターバッテリー管理システムと複数個のスレーブバッテリー管理システムが含まれ得る。マスターバッテリー管理システムは、上位システムと通信して複数個のスレーブバッテリー管理システムの動作を制御する。このとき、マスターバッテリー管理システムは、無線通信を介してそれぞれ複数個のスレーブバッテリー管理システムに命令信号を伝送する。
【0006】
また、マスターバッテリー管理システムは、複数個のスレーブバッテリー管理システムからそれぞれデータを無線で受信する。受信するデータは、スレーブバッテリー管理システムそれぞれが管理するバッテリーと関連した情報を含む。このとき、マスターバッテリー管理システムは、スレーブバッテリー管理システムから受信されるデータに基づき、それぞれのスレーブバッテリー管理システムの状態を判断することができる。しかし、スレーブバッテリー管理システムの状態を判断するにおいて、マスターバッテリー管理システムが特定のスレーブバッテリー管理システムからデータを受信できなかった場合、当該異常が無線通信自体の問題なのか、スレーブバッテリー管理システムの問題なのかを区別することが難しい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、マスターバッテリー管理システムがスレーブバッテリー管理システムからデータを受信してスレーブバッテリー管理システムの健全性を判断するにおいて、健全性の判断をさらに明確に行うことができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態によるマスターバッテリー管理システムは、複数のスレーブバッテリー管理システム(BMS)とマスターバッテリー管理システムとが無線で通信するバッテリーシステムに用いられるマスターバッテリー管理システムであって、複数のスレーブBMSがそれぞれ少なくとも一回ずつデータを伝送する一周期の間、前記複数のスレーブBMSの各スレーブBMSから、該当するスレーブBMSのデータ、及び複数のスレーブBMSのうち前記該当するスレーブBMSを除外した少なくとも一つの他のスレーブBMSのデータ伝送情報を含んで受信する受信部;及び、前記一周期の間、各スレーブBMSから受信された該当するスレーブBMSのデータ及び前記少なくとも一つの他のスレーブBMSデータを用いて、通信異常または異常スレーブBMSを判断する判断部を含み、前記少なくとも一つの他のスレーブBMSのデータ伝送情報は、前記他のスレーブBMSがデータを伝送した履歴に関する情報である。
【0009】
本発明の一実施形態によるマスターバッテリー管理システムにおいて、前記判断部は、前記一周期の間、各スレーブBMSから受信されたデータのうち該当するスレーブBMSから直接受信されたデータがない場合は、前記該当するスレーブBMSに異常が発生したと判断する。
【0010】
本発明の一実施形態によるマスターバッテリー管理システムにおいて、前記一周期の間、各スレーブBMSから受信されたデータのうち該当するスレーブBMSのデータ伝送情報はあるが、前記該当するスレーブBMSから直接受信されたデータがない場合は、前記該当するスレーブBMSとの通信異常が発生したと判断する。
【0011】
本発明の一実施形態によるマスターバッテリー管理システムにおいて、前記複数のスレーブBMSと通信するとき、受信されたデータのノイズを測定するノイズ測定部をさらに含み、前記判断部は、前記ノイズ測定部で測定されたノイズに基づき、前記複数のスレーブBMSとの通信可能状態を判断する。
【0012】
本発明の一実施形態によるスレーブバッテリー管理システムは、複数のスレーブバッテリー管理システム(BMS)とマスターバッテリー管理システム(BMS)とが無線で通信するバッテリーシステムに用いられるスレーブバッテリー管理システムであって、複数の他のスレーブBMSのうち少なくとも一つのスレーブBMSのデータが、前記マスターバッテリー管理システムに伝送するデータ信号を受信する受信部;前記受信された少なくとも一つのスレーブBMSのデータ信号に基づき、当該スレーブBMSが前記マスターBMSにデータを伝送したということを示すデータ伝送情報を記憶する記憶部;及び、前記少なくとも一つのスレーブBMSのデータ伝送情報と、自身が管理するバッテリーモジュールのバッテリー情報とを含むデータを前記マスターBMSに伝送する伝送部を含む。
【0013】
本発明の一実施形態によるスレーブバッテリー管理システムにおいて、一周期の間、前記複数の他のスレーブBMSそれぞれが少なくとも一回ずつ該当するスレーブBMSデータを前記マスターBMSに伝送し、前記伝送部が前記マスターBMSに前記データ及びデータ伝送信号を一回伝送する。
【0014】
本発明の一実施形態による複数のスレーブバッテリー管理システム(BMS)とマスターバッテリー管理システム(BMS)とが無線で通信するバッテリーシステムにおいて、前記複数のスレーブBMSそれぞれは、複数の他のスレーブBMSのうち少なくとも一つのスレーブBMSのデータが前記マスターバッテリー管理システムに伝送するデータ信号を受信する受信部;前記受信された少なくとも一つのスレーブBMSのデータ信号に基づき、当該スレーブBMSが前記マスターBMSにデータを伝送したということを示すデータ伝送情報を記憶する記憶部;及び、前記少なくとも一つのスレーブBMSのデータ伝送情報と、自身が管理するバッテリーモジュールのバッテリー情報とを含むデータを前記マスターBMSに伝送する伝送部を含み、前記マスターBMSは、前記複数のスレーブBMSがそれぞれ少なくとも一回ずつデータを伝送する一周期の間、前記複数のスレーブBMSの各スレーブBMSから、該当するスレーブBMSのデータ、及び複数のスレーブBMSのうち前記該当するスレーブBMSを除外した少なくとも一つの他のスレーブBMSのデータ伝送情報を含んで受信する第2受信部;及び、前記一周期の間、各スレーブBMSから受信された該当するスレーブBMSのデータ及び前記少なくとも一つの他のスレーブBMSデータを用いて、通信異常または異常スレーブBMSを判断する判断部を含む。
【0015】
本発明の一実施形態による複数のスレーブバッテリー管理システムにおいて、前記判断部は、前記一周期の間、各スレーブBMSから受信されたデータのうち該当するスレーブBMSから直接受信されたデータがない場合は、前記該当するスレーブBMSに異常が発生したと判断する。
【0016】
本発明の一実施形態による複数のスレーブバッテリー管理システムにおいて、前記一周期の間、各スレーブBMSから受信されたデータのうち該当するスレーブBMSのデータ伝送情報はあるが、前記該当するスレーブBMSから直接受信されたデータがない場合は、前記該当するスレーブBMSとの通信異常が発生したと判断する。
【0017】
本発明の一実施形態によるマスターバッテリー管理システムにより行われるスレーブBMS点検方法として、複数のスレーブBMSそれぞれから順次データを受信するステップ;前記複数のスレーブBMSそれぞれから順次データを受信した後、受信されたデータに基づいて特定のスレーブBMSとの通信異常またはスレーブBMS異常を判断するステップを含み、前記複数のスレーブBMSそれぞれからデータが受信されるとき、前記データを伝送したスレーブBMS以外の少なくとも一つの他のスレーブBMSのデータ伝送情報も共に受信される。
【0018】
本発明の一実施形態によるマスターバッテリー管理システムにより行われるスレーブBMS点検方法で、前記判断するステップにおいて、複数のスレーブBMSそれぞれから順次データを受信した後、特定のスレーブBMSから直接受信されたデータもなく、前記特定のスレーブBMSのデータ伝送情報もない場合は、前記特定のスレーブBMSに異常が発生したと判断する。
【0019】
本発明の一実施形態によるマスターバッテリー管理システムにより行われるスレーブBMS点検方法で、前記判断するステップにおいて、前記複数のスレーブBMSのうち少なくとも一つのスレーブBMSから受信された特定のスレーブBMSのデータ伝送情報はあるが、前記特定のスレーブBMSから直接受信されたデータはない場合は、前記特定のスレーブBMSと通信異常が発生したと判断する。
【0020】
本発明の一実施形態によるマスターバッテリー管理システムにより行われるスレーブBMS点検方法で、前記複数のスレーブBMSと通信するとき、受信されたデータのノイズを測定するステップ;及び測定されたノイズに基づき、前記複数のスレーブBMSとの通信可能状態を判断するステップをさらに含む。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、スレーブバッテリー管理システムとマスターバッテリー管理システムとの間の無線通信を介して、スレーブバッテリー管理システムの異常の有無を明確に判断することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】バッテリー制御システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】従来の技術のスレーブBMS点検システムの簡略な構成を示す図である。
【
図3】本発明の一実施形態によるスレーブBMS点検システムの簡略な構成を示す図である。
【
図4】本発明の一実施形態によるマスターバッテリー管理システムの簡略な構成を示す図である。
【
図5】本発明の一実施形態によるスレーブバッテリー管理システムの簡略な構成を示す図である。
【
図6a】従来の技術による時間区間別の受信状態を示した図である。
【
図6b】本発明の一実施形態による時間区間別の受信状態を示した図である。
【
図7】本発明の一実施形態によるスレーブBMS点検方法を示すフローチャートである。
【
図8】本発明の一実施形態によるバッテリー管理システムのハードウェア構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の多様な実施形態が図を参照して記載される。しかし、これは、本発明を特定の実施形態に対して限定しようとするものではなく、本発明の実施形態の多様な変更(modification)、均等物(equivalent)、及び/又は代替物(alternative)を含むものとして理解されなければならない。図の説明と関連し、類似の構成要素に対しては、類似の参照符号が用いられ得る。
【0024】
本文書で用いられた用語は、単に特定の実施形態を説明するために使用されたものであり、他の実施形態の範囲を限定しようとする意図ではない。単数の表現は、文脈上、明らかに異なって意味しない限り、複数の表現を含む。技術的や科学的な用語を含め、ここで用いられる全ての用語は、本発明の技術分野で通常の知識を有する者によって一般的に理解されるものと同一の意味を有することができる。一般的に用いられる辞書に定義された用語は、関連技術の文脈上有する意味と同一または類似の意味を有するものと解釈されてよく、本文書で明らかに定義されない限り、理想的又は過度に形式的な意味に解釈されない。場合によって、本文書で定義された用語であっても、本発明の実施形態を排除するように解釈され得ない。
【0025】
また、本発明の実施形態の構成要素の説明において、第1、第2、A、B、(a)、(b)などの用語を用いてよい。このような用語は、その構成要素を他の構成要素と区別するためのものに過ぎず、その用語によって当該構成要素の本質や順番又は順序等は限定されない。ある構成要素が他の構成要素に「連結」、「結合」または「接続」されると記載された場合、その構成要素はその他の構成要素に直接的に連結されるか、接続されてもよいが、各構成要素の間にまた他の構成要素が「連結」、「結合」または「接続」されてもよいと理解されなければならない。
【0026】
図1は、本発明の一実施形態によるバッテリーパック1と上位システムに含まれている上位制御器2を含むバッテリー制御システムの概略的な構成を示す図である。
【0027】
図1に示すように、バッテリーパック1は一つ以上のバッテリーセルからなり、充放電可能なバッテリーモジュール10と、バッテリーモジュール10の+端子側または-端子側に直列に連結されてバッテリーモジュール10の充放電電流の流れを制御するためのスイッチング部14と、バッテリーパック1の電圧、電流、温度などをモニタリングし、過充電及び過放電などを防止するように制御管理するバッテリー管理システム32とを含む。
【0028】
ここで、スイッチング部14は、バッテリーモジュール10の充電または放電に対する電流の流れを制御するための半導体スイッチング素子であって、例えば、少なくとも一つのMOSFETが用いられてよい。
【0029】
また、BMS32は、バッテリーパック1の電圧、電流、温度などをモニタリングするため、半導体スイッチング素子のゲート、ソース及びドレーンなどの電圧及び電流を測定するか計算することができ、さらに、半導体スイッチング素子に隣接して設けられたセンサ12を用いてバッテリーパックの電流、電圧、温度などを測定することができる。BMS32は、前述した各種パラメータを測定した値の入力を受けるインターフェースであって、複数の端子と、これら端子と連結されて入力を受けた値の処理を行う回路などを含むことができる。
【0030】
また、BMS32は、MOSFETのON/OFFを制御することもでき、バッテリーモジュール10に連結されてバッテリーモジュール10の状態を監視することができる。
【0031】
このようなバッテリーパック1の構成及びBMS32の構成は公知の構成なので、より具体的な説明は省略する。
【0032】
一方、本発明の実施形態によるBMS32は、上位BMS(マスターバッテリー管理システム30)と連結され、上位BMSから印加された信号に基づいて動作が制御され得る。また、上位BMS30は、上位制御器2と連結され得る。上位BMS30もまた、上位制御器2から印加される信号に基づいて動作が制御され得るであろう。
【0033】
以下では、上位制御器2から直接制御信号を受信する上位BMS30に無線でデータを伝送するスレーブBMSの健全性評価に対する構成及び方法に対して説明する。
【0034】
図2は、従来の技術のスレーブBMS点検システムの簡略な構成を示す図である。
【0035】
スレーブBMS点検システムは、マスターバッテリー管理システム20、及び複数のスレーブバッテリー管理システム22~29を含む。マスターバッテリー管理システム20は、上位制御器2から直接それぞれのスレーブバッテリー管理システムに対する動作制御命令信号を受信し、それぞれのスレーブバッテリー管理システムを制御する。また、マスターバッテリー管理システム20は、複数のスレーブバッテリー管理システム22~29からそれぞれバッテリー関連データを無線で受信して上位制御器2に伝送する。
【0036】
また、マスターバッテリー管理システム20から無線で制御信号を受信したスレーブバッテリー管理システム22~29は、受信された制御信号による動作を行う。例えば、それぞれ管理しているバッテリーモジュールの充放電を制御するか、モニタリングしているバッテリーモジュールの状態に関するデータをマスターバッテリー管理システム20に伝送するなどの動作を行う。その後、それぞれのスレーブバッテリー管理システム22~29は、前記制御信号によってまたは周期的に、連結されているバッテリーモジュール10の状態を点検したデータを前記マスターバッテリー管理システム20に無線で伝送することができる。
【0037】
このようにマスターバッテリー管理システム20と複数のスレーブバッテリー管理システム22~29が無線通信を行うにおいて、マスターバッテリー管理システムとスレーブバッテリー管理システムとの間の無線リンクは、周囲環境によって不安定になり得る。また、スレーブバッテリー管理システム22~29が正常に動作する状態でも、リンクの不安定によりマスターバッテリー管理システム20は、スレーブバッテリー管理システム22~29の健全性を誤って判断し得る。
【0038】
具体的に、従来には、マスターバッテリー管理システム20がスレーブバッテリー管理システム22~29から、それぞれのスレーブバッテリー管理システム22~29がマスターバッテリー管理システム20に伝送しようとするデータを直接受信する。すなわち、それぞれのスレーブバッテリー管理システム22~29は、自身に係わるデータ、例えば、自身が管理するバッテリーモジュールに関するデータのみをマスターバッテリー管理システム20に伝送する。
【0039】
例えば、
図2に示すように、マスターバッテリー管理システム20は、第1、第2及び第4スレーブバッテリー管理システム22、24、28からはデータを受信する。しかし、マスターバッテリー管理システム20は、第3及び第5スレーブバッテリー管理システム26、29からはデータを受信しない。この場合は、第3スレーブバッテリー管理システム26は、BMS自体に異常があるため、マスターバッテリー管理システム20にデータを伝送できなかった場合である。その反面、第5スレーブバッテリー管理システム29は、BMS自体には異常がないが、マスター管理システム20との通信異常があるため、第5スレーブバッテリー管理システム29で伝送したデータがマスターバッテリー管理システム20に到達できなかった場合である。
【0040】
このように従来の通信方法では、マスターバッテリー管理システム20が、スレーブバッテリー管理システム自体に異常があるためデータを受信できなかった場合と、スレーブバッテリー管理システムには異常がないが、通信状態異常があるためデータを受信できなかった場合とを区分できない。したがって、従来の技術では、スレーブBMSの健全性点検を正確にすることができなかった。このような点を補うための本発明の構成を以下で詳しく説明する。
【0041】
図3は、本発明の一実施形態によるスレーブBMS点検システムの簡略な構成を示す図である。
【0042】
スレーブBMS点検システム3は、マスターバッテリー管理システム30、及び複数のスレーブバッテリー管理システム32~40を含む。
【0043】
複数のスレーブバッテリー管理システム32~40は、それぞれマスターバッテリー管理システム30にデータを伝送する。複数のスレーブバッテリー管理システム32~40のうち一つのスレーブバッテリー管理システムが、マスターバッテリー管理システム30にデータを伝送するとき、データを伝送しない少なくとも一つの他のスレーブバッテリー管理システムが、前記一つのスレーブバッテリー管理システムがマスターバッテリー管理システム30に伝送するデータ信号を共に受信する。データを伝送しない少なくとも一つの他のスレーブバッテリー管理システムは、受信されたデータ信号を前記少なくとも一つの他のスレーブバッテリー管理システム識別情報と関連させて、前記一つのスレーブバッテリー管理システムのデータ伝送情報として記憶する。次いで、データを伝送しない少なくとも一つの他のスレーブバッテリー管理システムが前記マスターバッテリー管理システムにデータを伝送するとき、前記一つのスレーブバッテリー管理システムのデータ伝送情報を共に伝送する。ここで、データ伝送情報は、特定のスレーブバッテリー管理システムがマスターバッテリー管理システムにデータを伝送するとき、その伝送信号を他のスレーブバッテリー管理システムが受信できるところ、他のスレーブバッテリー管理システムが受信した伝送信号を含む情報である。すなわち、データ伝送情報は、特定のスレーブバッテリー管理システムがマスターバッテリー管理システムにデータを伝送したという情報を含む。
【0044】
例えば、
図3に示すように、第1から第5スレーブバッテリー管理システム32~40が、それぞれマスターバッテリー管理システム30にデータを伝送した後、次の周期では、それぞれのスレーブバッテリー管理システムが少なくとも一つの他のスレーブバッテリー管理システムのデータ伝送情報を有している。但し、本説明では、スレーブバッテリー管理システムが5個であることを例示として説明したが、スレーブバッテリー管理システムの個数はそれより少なくてもよく、多くてもよい。
【0045】
第1スレーブバッテリー管理システム32は、前回のデータ伝送周期で、第2スレーブバッテリー管理システム34、第4スレーブバッテリー管理システム38、及び第5スレーブバッテリー管理システム40がそれぞれマスターバッテリー管理システム30にデータを伝送するとき、その信号を受信する。これによって、第1スレーブバッテリー管理システム32は、マスターバッテリー管理システム30にデータを伝送するとき、第2スレーブバッテリー管理システム34、第4バッテリー管理システム38、及び第5バッテリー管理システム40のデータ伝送情報を共に伝送する。
【0046】
また、第2スレーブバッテリー管理システム34は、前回のデータ伝送周期で、第1スレーブバッテリー管理システム32及び第4スレーブバッテリー管理システム38がそれぞれマスターバッテリー管理システム30にデータを伝送するとき、その信号を受信する。これによって、第2スレーブバッテリー管理システム34は、マスターバッテリー管理システム30にデータを伝送するとき、第1スレーブバッテリー管理システム32及び第4スレーブバッテリー管理システム38のデータ伝送情報を共に伝送する。
【0047】
また、第4スレーブバッテリー管理システム38は、前回のデータ伝送周期で、第1スレーブバッテリー管理システム32、第2スレーブバッテリー管理システム34及び第5スレーブバッテリー管理システム40がそれぞれマスターバッテリー管理システム30にデータを伝送するとき、その信号を受信する。これによって、第4スレーブバッテリー管理システム38は、マスターバッテリー管理システム30にデータを伝送するとき、第1スレーブバッテリー管理システム32、第2スレーブバッテリー管理システム34及び第5スレーブバッテリー管理システム40のデータ伝送情報を共に伝送する。
【0048】
また、第5スレーブバッテリー管理システム40は、前回のデータ伝送周期で、第2スレーブバッテリー管理システム34及び第4スレーブバッテリー管理システム38がそれぞれマスターバッテリー管理システム30にデータを伝送するとき、その信号を受信する。これによって、第5スレーブバッテリー管理システム40は、マスターバッテリー管理システム30にデータを伝送するとき、第2スレーブバッテリー管理システム34及び第4スレーブバッテリー管理システム38のデータ伝送情報を共に伝送する。
【0049】
この例示で、第3スレーブバッテリー管理システム36は、スレーブ異常によりデータ伝送自体を行うことができない構成であり、第5スレーブバッテリー管理システム40は、データを伝送するが、マスターバッテリー管理システム30との通信異常である。したがって、マスターバッテリー管理システム30は、第3スレーブバッテリー管理システム36及び第5スレーブバッテリー管理システム40から直接的にはデータを受信できない。
【0050】
但し、第5スレーブバッテリー管理システム40は、マスターバッテリー管理システム30にデータの伝送を試みたので、マスターバッテリー管理システム30は、当該データを通信異常で受信できなかったが、他のスレーブバッテリー管理システムにより第5スレーブバッテリー管理システム40のデータ伝送情報が記録される。
【0051】
マスターバッテリー管理システム30は、第1スレーブバッテリー管理システム32から第1スレーブバッテリー管理システム32のデータと、第2スレーブバッテリー管理システム、第4スレーブバッテリー管理システム及び第5スレーブバッテリー管理システムのデータ伝送情報とを共に受信する。
【0052】
また、マスターバッテリー管理システム30は、第2スレーブバッテリー管理システム34から第2スレーブバッテリー管理システム34のデータと、第1スレーブバッテリー管理システム及び第4スレーブバッテリー管理システムのデータ伝送情報とを共に受信する。
【0053】
また、マスターバッテリー管理システム30は、第4スレーブバッテリー管理システム38から第1スレーブバッテリー管理システム、第2スレーブバッテリー管理システム及び第5スレーブバッテリー管理システムのデータ伝送情報を共に受信する。
【0054】
マスターバッテリー管理システム30は、第3スレーブバッテリー管理システム36及び第5スレーブバッテリー管理システム40から直接データを受信できなかった。これに対して、従来の技術では、マスターバッテリー管理システム30は、第3スレーブバッテリー管理システム36及び第5スレーブバッテリー管理システム40のいずれもスレーブ異常と判断したはずであるが、本発明に係る一実施形態では、マスターバッテリー管理システム30は、それぞれのスレーブバッテリー管理システムから受信したデータ伝送情報を検討する。
【0055】
マスターバッテリー管理システム30は、第1スレーブバッテリー管理システム32、第2スレーブバッテリー管理システム34及び第4スレーブバッテリー管理システム38から受信した第1スレーブバッテリー管理システム32、第2スレーブバッテリー管理システム34、第4スレーブバッテリー管理システム38及び第5スレーブバッテリー管理システム40のデータ伝送情報を介し、第5スレーブバッテリー管理システム40がデータを伝送した履歴を確認し、第5スレーブバッテリー管理システム40の健全性を確認する。
【0056】
これによって、マスターバッテリー管理システム30は、第3スレーブバッテリーシステム36の場合、スレーブBMSに異常があるものと判断し、第5スレーブバッテリー管理システム40は、通信異常があるものと判断する。
【0057】
一方、全てのスレーブバッテリー管理システムは、マスターバッテリー管理システムと通信する時間以外は、受信モードで動作して他のスレーブバッテリー管理システムの通信状態を受信する。
【0058】
図4は、本発明の一実施形態によるマスターバッテリー管理システムの簡略な構成を示す図である。
【0059】
マスターバッテリー管理システム30は、受信部400、ノイズ測定部402、判断部404、記憶部406及び制御部408を含む。理解のため、各構成の動作を
図3の例示を介して説明する。
【0060】
受信部400は、第1スレーブバッテリー管理システム32からデータ、及び第2スレーブバッテリー管理システム34、第4バッテリー管理システム38及び第5バッテリー管理システム40のデータ伝送情報を受信する。
【0061】
また、受信部400は、第2スレーブバッテリー管理システム34からデータ、及び第1スレーブバッテリー管理システム32及び第4スレーブバッテリー管理システム38のデータ伝送情報を受信する。
【0062】
また、受信部400は、第4スレーブバッテリー管理システム38からデータ、及び第1スレーブバッテリー管理システム32、第2スレーブバッテリー管理システム34及び第5スレーブバッテリー管理システム40のデータ伝送情報を受信する。
【0063】
ノイズ測定部402は、受信部400が各スレーブバッテリー管理システムからデータ及びデータ伝送情報を受信するとき、信号のノイズを測定する。
【0064】
判断部404は、受信部で受信されたデータ及び情報を用いて、複数のスレーブバッテリー管理システムそれぞれの健全性を判断する。例えば、判断部404は、1次的に直接データを伝送していないスレーブバッテリーシステムを優先的に判断し、2次的には受信されたデータ伝送情報を用いてスレーブバッテリーシステムの状態を判断する。
【0065】
判断部404は、第3スレーブバッテリー管理システム36及び第5スレーブバッテリー管理システム40からは直接データが受信されないことを確認する。その後、判断部404は、受信部400で受信されたデータ伝送情報を検討する。受信部400で受信されたデータ伝送情報には、第1スレーブバッテリー管理システム、第2スレーブバッテリー管理システム、第4スレーブバッテリー管理システム及び第5スレーブバッテリー管理システムのデータ伝送情報がある。これを介し、判断部404は、第5スレーブバッテリー管理システムのデータ伝送履歴を確認し、第5スレーブバッテリー管理システムには異常がないことを判断する。
【0066】
したがって、判断部404は、直接データが受信されることもなくデータ伝送情報もない第3スレーブバッテリー管理システム36に対しては、スレーブ異常と判断する。そして、判断部404は、直接データが受信されていないが、他のスレーブバッテリー管理システムから受信されたデータ伝送情報により確認された第5スレーブバッテリー管理システム40の伝送履歴から、第5スレーブバッテリー管理システムには異常がなく、通信リンクに異常が存在すると判断する。
【0067】
また、判断部404が通信異常であることを判断するとき、ノイズ測定部402で測定されたノイズを更に参照してよい。例えば、基本的にノイズ測定部402で測定されたノイズが予め設定された基準を超過すると、判断部404は、通信異常による通信障害が発生した状況であるとさらに容易に判断することができる。
【0068】
記憶部406は、複数のスレーブバッテリー管理システムそれぞれのID情報を記憶し、ID情報は、それぞれのスレーブバッテリー管理システムを識別するために用いられ得る。
【0069】
制御部408は、受信部400で受信したスレーブバッテリー管理システムのデータ及びデータ伝送情報、ノイズ測定部402で測定したノイズを用いて、判断部404をしてスレーブバッテリー管理システムの異常または通信異常を判断させる。
【0070】
図5は、本発明の一実施形態によるスレーブバッテリー管理システムの簡略な構成を示す図である。
【0071】
スレーブバッテリー管理システム32は、伝送部500、受信部502、記憶部504及び制御部506を含む。
【0072】
伝送部500は、バッテリー関連データなどをマスターバッテリー管理システム30に伝送する。また、伝送部500は、他のスレーブバッテリー管理システムのデータ伝送情報をマスターバッテリー管理システム30に伝送する。
【0073】
受信部502は、スレーブバッテリー管理システム32がマスターバッテリー管理システム30にデータを伝送しないうちに引き続き活性化され、他のスレーブバッテリー管理システムのデータ伝送信号を受信する。
【0074】
記憶部504は、受信部502で受信された他のスレーブバッテリー管理システムのデータ伝送信号に基づく他のスレーブバッテリー管理システムのデータ伝送情報を記憶する。
【0075】
制御部506は、伝送部500がマスターバッテリー管理システムにデータ及びデータ伝送情報を伝送しないときには、受信部502を活性化して他のスレーブバッテリー管理システムのデータ伝送信号を受信させる。
【0076】
図6aは、従来の技術による時間区間別の受信状態を示した図である。
【0077】
例えば、5つのスレーブバッテリー管理システムが、マスターバッテリー管理システムにそれぞれデータを順次伝送する場合を検討する。それぞれのスレーブバッテリー管理システムは、予め設定された時間の間予め設定された順序でマスターバッテリー管理システムにデータを伝送する。
【0078】
このとき、それぞれのスレーブバッテリー管理システムがそれぞれマスターバッテリー管理システムにデータを伝送するうちに、特定のスレーブバッテリー管理システムがマスターバッテリー管理システムに何らのデータも伝送しない回数(fail count)が2回である場合、当該スレーブバッテリー管理システムに異常があると判断するように設定することができる。
【0079】
具体的に、第1スレーブバッテリー管理システムは、タイムスロットT_1でマスターバッテリー管理システムにデータを伝送する。また、第2スレーブバッテリー管理システムは、タイムスロットT_2でマスターバッテリー管理システムにデータを伝送する。また、第3スレーブバッテリー管理システムは、タイムスロットT_3でマスターバッテリー管理システムにデータを伝送する。また、第4スレーブバッテリー管理システムは、タイムスロットT_4でマスターバッテリー管理システムにデータを伝送する。ここで、第5スレーブバッテリー管理システムは、BMS異常により何らのデータも伝送しない。ここで、マスターバッテリー管理システムは、タイムスロットT_5で第5スレーブバッテリー管理システムから何らのデータを受信できなかったことを確認し、フェイルカウント1をカウンティングする。このように、5つのスレーブバッテリー管理システムとマスターバッテリー管理システムとの間の一つの通信周期が完了する。
【0080】
次いで、再び第1スレーブバッテリー管理システムは、タイムスロットT_1でマスターバッテリー管理システムにデータを伝送する。また、第2スレーブバッテリー管理システムは、タイムスロットT_2でマスターバッテリー管理システムにデータを伝送する。また、第3スレーブバッテリー管理システムは、タイムスロットT_3でマスターバッテリー管理システムにデータを伝送する。また、第4スレーブバッテリー管理システムは、タイムスロットT_4でマスターバッテリー管理システムにデータを伝送する。このとき、それぞれのスレーブバッテリー管理システムは、マスターバッテリー管理システムに当該スレーブバッテリー管理システムのデータのみを伝送するので、マスターバッテリー管理システムは、第5スレーブバッテリー管理システムのフェイルカウントがまだ1である状態である。
【0081】
次いで、二番目の周期の第5スレーブバッテリー管理システムの伝送順序が戻ってこそ初めて、マスターバッテリー管理システムは、第5スレーブバッテリー管理システムのデータ伝送がなされていないことを確認し、フェイルカウントを2にカウンティングし、第5スレーブバッテリー管理システムの異常を感知する。すなわち、従来の技術では、当該スレーブバッテリー管理システムの二番目の周期の伝送順序に到達してこそ、当該スレーブバッテリー管理システムの異常の有無を判断することができた。これと比較し、本発明の一実施形態に係る方法によるスレーブバッテリー管理システムの点検システムを検討する。
【0082】
図6bは、本発明の一実施形態による時間区間別の受信状態を示した図である。
【0083】
例えば、5つのスレーブバッテリー管理システムがマスターバッテリー管理システムにそれぞれデータを順次伝送する場合を検討する。それぞれのスレーブバッテリー管理システムは、予め設定された時間の間予め設定された順序でマスターバッテリー管理システムにデータを伝送する。
【0084】
このとき、それぞれのスレーブバッテリー管理システムが、それぞれマスターバッテリー管理システムにデータを伝送するうちに、特定のスレーブバッテリー管理システムがマスターバッテリー管理システムに何らのデータも伝送しない回数が2回である場合、当該スレーブバッテリー管理システムに異常があると判断するように設定することができる。
【0085】
また、本発明の一実施形態は、他のスレーブバッテリー管理システムがマスターバッテリー管理システムにデータを伝送するとき、このデータ伝送信号を受信することができる。本例示では、データを伝送するスレーブバッテリー管理システム以外の管理システムが、当該スレーブバッテリー管理システムがデータを伝送する信号を全て受信した場合を仮定して説明する。
【0086】
具体的に、第1スレーブバッテリー管理システムは、タイムスロットT_1でマスターバッテリー管理システムにデータを伝送する。このとき、第2スレーブバッテリー管理システム内の第4スレーブバッテリー管理システムは、第1スレーブバッテリー管理システムのデータ伝送信号を受信する。
【0087】
また、第2スレーブバッテリー管理システムは、タイムスロットT_2でマスターバッテリー管理システムにデータを伝送する。このとき、第1スレーブバッテリー管理システム、第3スレーブバッテリー管理システム及び第4スレーブバッテリー管理システムは、第2スレーブバッテリー管理システムのデータ伝送信号を受信する。
【0088】
また、第3スレーブバッテリー管理システムは、タイムスロットT_3でマスターバッテリー管理システムにデータを伝送する。このとき、第1スレーブバッテリー管理システム、第2スレーブバッテリー管理システム及び第4スレーブバッテリー管理システムは、第3スレーブバッテリー管理システムのデータ伝送信号を受信する。
【0089】
また、第4スレーブバッテリー管理システムは、タイムスロットT_4でマスターバッテリー管理システムにデータを伝送する。このとき、第1から第3スレーブバッテリー管理システムは、第4スレーブバッテリー管理システムのデータ伝送信号を受信する。
【0090】
ここで、マスターバッテリー管理システムは、タイムスロットT_5で第5スレーブバッテリー管理システムから何らのデータを受信できなかったことを確認し、フェイルカウント1をカウンティングする。このように、5つのスレーブバッテリー管理システムとマスターバッテリー管理システムとの間の一つの通信周期が完了する。
【0091】
次いで、再び第1スレーブバッテリー管理システムは、タイムスロットT_1でマスターバッテリー管理システムにデータを伝送する。このとき、第1スレーブバッテリー管理システムはデータを伝送するとき、前回の周期で受信された第2から第4スレーブバッテリー管理システムのデータ伝送信号を含むデータ伝送情報も共に伝送する。このとき、マスタースレーブバッテリー管理システムは、第5スレーブバッテリー管理システムのデータ伝送情報がないことを確認し、フェイルカウントを2とカウンティングし、第5スレーブバッテリー管理システムの異常を感知する。すなわち、本発明は、従来の技術とは異なり、それぞれのスレーブバッテリー管理システムが他のスレーブバッテリー管理システムのデータ伝送信号を受信するため、特定のスレーブバッテリー管理システムの異常時にも、特定のスレーブバッテリー管理システムの二番目の周期の伝送順序に到達しなくとも、マスターバッテリー管理システムは、従来の技術より速やかに特定のスレーブバッテリー管理システムの異常の有無を判断することができる。
【0092】
図7は、本発明の一実施形態によるスレーブBMS点検方法を示すフローチャートである。
【0093】
マスターバッテリー管理システム30は、予め設定された時間の間予め設定された順序で複数のスレーブBMSからそれぞれデータを受信する。また、マスターバッテリー管理システム30は、スレーブBMSから当該スレーブBMSのデータとともに、当該スレーブBMS以外のスレーブBMSのデータ伝送情報を共に受信する。下記に具体的に説明する。
【0094】
マスターバッテリー管理システム30は、第1スレーブBMSからデータ及び少なくとも一つの他のスレーブBMSのデータ伝送情報を受信する(S700)。
【0095】
他のスレーブBMSのデータ伝送情報は、第1スレーブBMSがデータを伝送しないうちに、マスターバッテリー管理システムにデータを伝送する他のスレーブBMSのデータ伝送信号に基づく。
【0096】
次いで、マスターバッテリー管理システム30は、第2スレーブBMSからデータ及び少なくとも一つの他のスレーブBMSのデータ伝送情報を受信する(S702)。
【0097】
また、マスターバッテリー管理システム30は、第3スレーブBMSからデータ及び少なくとも一つの他のスレーブBMSのデータ伝送情報を受信する(S704)。
【0098】
また、マスターバッテリー管理システム30は、第4スレーブBMSからデータ及び少なくとも一つの他のスレーブBMSのデータ伝送情報を受信する(S706)。
【0099】
次いで、マスターバッテリー管理システム30は、受信されたデータ及びデータ伝送情報を用いて、それぞれのスレーブBMSの状態及び通信状態を点検する(S710)。
【0100】
具体的に、マスターバッテリー管理システム30は、受信されたデータ及びデータ伝送情報を用いて、複数のスレーブバッテリー管理システムそれぞれの健全性を判断する。
【0101】
例えば、マスターバッテリー管理システム30は、1次的に直接データを伝送していないスレーブバッテリーシステムを優先的に判断し、2次的に受信されたデータ伝送情報を用いてスレーブバッテリーシステムの状態を判断する。
【0102】
特定のスレーブBMSから直接データを受信していない場合は、他のスレーブBMSから前記特定のスレーブBMSのデータ伝送情報が受信されているのか否かを判断する(S712)。
【0103】
前記特定のスレーブBMSのデータ伝送情報を受信した場合は、特定のスレーブBMSとの通信異常と判断する(S716)。
【0104】
前記特定のスレーブBMSのデータ伝送情報を受信していない場合は、特定のスレーブBMSの異常と判断する(S714)。
【0105】
図8は、本発明の一実施形態によるバッテリー管理システムのハードウェアの構成を示すブロック図である。
【0106】
バッテリー管理システム800は、各種の処理及び各構成を制御するマイクロコントローラ(MCU)810と、運営体制プログラム及び各種のプログラム(例えば、バッテリーパックの異常有無診断プログラム或いはバッテリーパックの温度推定プログラム)などが記録されるメモリ840と、バッテリーセルモジュール及び/又は半導体スイッチング素子との間で入力インターフェース及び出力インターフェースを提供する入出力インターフェース830と、有無線通信網を介して外部と通信可能な通信インターフェース820とを備えることができる。このように、本発明に係るコンピュータプログラムはメモリ840に記録され、マイクロコントローラ810によって処理されることにより、例えば、
図4及び
図5に示した各機能ブロックを行うモジュールとして具現され得る。
【0107】
本明細書で、本発明の原理の「一実施形態」とこのような表現の多様な変形の指称は、本実施形態に係わり特定の特徴、構造、特性などが本発明の原理の少なくとも一つの実施形態に含まれるということを意味する。したがって、表現「一実施形態において」と、本明細書全体にかけて開示された任意の他の変形例示は、必ずしも全て同一の実施形態を指すものではない。
【0108】
本明細書を介して開示された全ての実施形態と条件付き例示は、本発明の技術分野で通常の知識を有する当業者が、本発明の原理と概念を理解するように一助とするための意図から記述されたものであり、当業者は、本発明が、本発明の本質的な特性から外れない範囲で変形された形態に具現され得るということを理解することができるであろう。よって、開示された実施形態は、限定的な観点ではなく、説明的な観点から考慮されなければならない。本発明の範囲は、前述の説明ではなく特許請求の範囲に示されており、それと同等な範囲内にある全ての相違点は、本発明に含まれているものと解釈すべきである。