(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】切断装置、制御装置、および切断方法
(51)【国際特許分類】
B23D 45/12 20060101AFI20221220BHJP
B23D 45/18 20060101ALI20221220BHJP
B23D 47/02 20060101ALI20221220BHJP
B23D 61/02 20060101ALI20221220BHJP
B23D 47/00 20060101ALI20221220BHJP
B23Q 11/00 20060101ALI20221220BHJP
B23D 21/04 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
B23D45/12 Z
B23D45/18
B23D47/02
B23D61/02 Z
B23D47/00 A
B23Q11/00 Q
B23D21/04
(21)【出願番号】P 2021115883
(22)【出願日】2021-07-13
(62)【分割の表示】P 2019219762の分割
【原出願日】2019-12-04
【審査請求日】2021-07-13
(73)【特許権者】
【識別番号】390014568
【氏名又は名称】東芝プラントシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100124372
【氏名又は名称】山ノ井 傑
(74)【代理人】
【識別番号】100217940
【氏名又は名称】三並 大悟
(72)【発明者】
【氏名】吉田 貴史
(72)【発明者】
【氏名】西崎 雅則
(72)【発明者】
【氏名】進藤 大和
(72)【発明者】
【氏名】富田 文夫
(72)【発明者】
【氏名】加茂 勇樹
【審査官】増山 慎也
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-061394(JP,A)
【文献】特開2007-139618(JP,A)
【文献】特開2004-061396(JP,A)
【文献】特開平03-290566(JP,A)
【文献】特開平11-077429(JP,A)
【文献】特開平06-339896(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23D 45/00 - 59/04
G21C 19/02
G21F 9/30
E04G 23/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状の切断対象物内に固定される支持機構と、
前記支持機構に支持される回転台と、
前記回転台とともに回転する送り機構と、
前記送り機構に沿って移動可能な固定台と、
前記固定台上に配置された切断刃と、
前記固定台が、前記切断刃を切断対象物の切断箇所へ押し出し、その後、前記切断刃を前記切断箇所から引き抜く送り動作を行わせる送り駆動機と、
前記回転台が、前記固定台を回転させることによって前記切断箇所から引き抜かれた前記切断刃を周方向に変位させる回転動作を行わせる回転駆動機と、
を備え、
前記送り駆動機および前記回転駆動機は交互に動作して、前記切断対象物の全周を前記送り駆動機による押し出し、引き抜き動作のみによって切断する、切断装置。
【請求項2】
前記切断刃を交換するための交換ユニットと、
前記固定台における前記交換ユニットの固定位置を決めるためのガイドプレートと、
前記固定位置で前記交換ユニットを前記固定台に固定するための固定ピンと、をさらに備える、請求項1に記載の切断装置。
【請求項3】
前記切断対象物の外側に前記切断刃と対向して設けられる切粉受け皿と、
前記切粉受け皿を前記交換ユニットに連結するアームと、をさらに備え、
前記回転駆動機が、前記切粉受け皿を前記切断刃と同期回転させる、請求項2に記載の切断装置。
【請求項4】
前記支持機構は、支持本体部と、前記支持本体部から前記切断対象物に向けてスライド移動する延長部材と、を有する、請求項1から3のいずれか1項に記載の切断装置。
【請求項5】
前記送り駆動機および前記回転駆動機は、遠隔操作可能である、請求項1から4のいずれか1項に記載の切断装置。
【請求項6】
前記切断刃の半径が、前記切断対象物の切断箇所の最大厚さの2倍以上かつ3倍以下である、請求項1から5のいずれか1項に記載の切断装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の切断装置を制御する制御装置であって、
前記支持機構の動作を制御する支持制御部と、
前記送り動作および前記回転動作を交互に繰り返させる駆動制御部と、を備える制御装置。
【請求項8】
円筒状の切断対象物内で、切断刃を切断箇所へ押し出して切断対象物の一部を切断した後、前記切断刃を前記切断箇所から引き抜き、
前記切断箇所から引き抜かれた前記切断刃を周方向に変位させ、
変位させた前記切断刃を他の切断箇所へ押し出して切断対象物の一部を切断した後、前記切断刃を前記切断箇所から引き抜く動作を、前記切断刃を周方向に変位させる動作と交互に繰り返して、前記切断対象物の全周
を押し出し、引き抜き動作のみによって切断する切断方法。
【請求項9】
前記切断対象物の全周を切断する以前には、前記切断対象物が前記周方向に断続的に切断されるように、前記切断刃を前記周方向に変位させる、請求項8に記載の切断方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切断装置、制御装置および切断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
原子力発電所の廃止措置では、高い放射能を有する原子炉圧力容器(RPV:Reactor Pressure Vessel)を切断して解体する処理が行われる。原子炉圧力容器の切断には、例えば、ガス切断に代表される熱切断方式が用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
熱切断方式で原子炉圧力容器を切断する場合には、一般的に、火災予防のための安全装置が設置されるので、機器コストが増加する。
【0005】
本発明は、安全性および経済性に優れた切断装置、制御装置、および切断方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態に係る切断装置は、円筒状の切断対象物内に固定される支持機構と、支持機構に支持される回転台と、回転台とともに回転する送り機構と、送り機構に沿って移動可能な固定台と、固定台上に配置された切断刃と、固定台が、切断刃を切断対象物の切断箇所へ押し出し、その後、切断刃を切断箇所から引き抜く送り動作を行わせる送り駆動機と、回転台が、固定台を回転させることによって切断箇所から引き抜かれた切断刃を周方向に変位させる回転動作を行わせる回転駆動機と、を備える。送り駆動機および回転駆動機は交互に動作して、切断対象物の全周を送り駆動機による押し出し、引き抜き動作のみによって切断する。
【0007】
一実施形態に係る制御装置は、上記支持機構の動作を制御する支持制御部と、上記送り動作および上記回転動作を交互に繰り返させる駆動制御部と、を備える。
【0008】
一実施形態に係る切断方法は、円筒状の切断対象物内で、切断刃を切断箇所へ押し出して切断対象物の一部を切断した後、前記切断刃を前記切断箇所から引き抜き、前記切断箇所から引き抜かれた前記切断刃を周方向に変位させ、変位させた前記切断刃を他の切断箇所へ押し出して切断対象物の一部を切断した後、前記切断刃を前記切断箇所から引き抜く動作を、前記切断刃を周方向に変位させる動作と交互に繰り返して、前記切断対象物の全周を押し出し、引き抜き動作のみによって切断する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、安全性および経済性に優れた切断装置、制御装置、および切断方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1実施形態に係る切断装置の正面図である。
【
図4】切断装置による原子炉圧力容器の切断方法を模式的に示す図である。
【
図5】(a)~(d)は、切断刃の軌跡を示す上面図である。
【
図6】他の切断方法を説明するための上面図である。
【
図7】固定ピンを外す作業を説明するための側面図である。
【
図8】交換ユニットを吊り上げる作業を説明するための側面図である。
【
図9】交換ユニットを吊り下げる作業を説明するための側面図である。
【
図10】交換ユニットを固定する作業を説明するための側面図である。
【
図11】第2実施形態に係る切断装置の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。下記の実施形態は、本発明を限定するものではない。
【0012】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る切断装置の正面図である。
図2は、
図1に示す切断装置の上面図である。
図3は、
図1に示す切断装置の側面図である。本実施形態に係る切断装置1は、原子炉圧力容器100を切断対象物とする。ただし、切断対象物は、原子炉圧力容器100に限定されず、例えばシュラウド等の円筒状の炉内構造物であってもよい。
【0013】
まず、本実施形態に係る切断装置1の構成について説明する。
図1~
図3に示すように、切断装置1は、支持機構11と、フレーム12と、回転台13と、送り機構14と、固定台15と、交換ユニット16と、切断刃17と、送り駆動機18と、回転駆動機19と、ガイドプレート20と、ガイドピン21、22と、ケース23と、を備える。
【0014】
支持機構11は、支持本体部11aおよび延長部材11bを有する。支持本体部11aは、フレーム12の底部に固定されている。延長部材11bは、支持本体部11aから原子炉圧力容器100の内周面に向けて径方向にスライド移動する。延長部材11bの先端が原子炉圧力容器100の内周面に接触することによって、支持機構11は固定される。このとき、支持機構11は、延長部材11bによって伸縮することができるため、原子炉圧力容器100の内径に関わらず固定することができる。なお、本実施形態では、4つの支持機構11が、原子炉圧力容器100の周方向に90°の間隔で配置されているが、支持機構11の数および間隔は特に制限されない。
【0015】
支持機構11によってフレーム12等の切断装置1の各要素が、原子炉圧力容器100内で支持される。フレーム12の上部には、回転台13が設置されている。回転台13は、例えば円環レールで構成され、回転駆動機19によって、周方向に回転する。回転台13上には、送り機構14が設置されている。送り機構14は、例えば、互いに並行する一対の直線レールで構成されている。送り機構14上には、固定台15が設置されている。固定台15は、送り駆動機18によって、送り機構14に沿って径方向に移動することができる。送り駆動機18および回転駆動機19の各々は、例えばモータ、およびそのモータの駆動回路等で構成されている。
【0016】
固定台15上には、切断刃17を交換するための交換ユニット16が設置されている。交換ユニット16は、ガイドプレート20、ガイドピン21、およびケース23によって、固定台15上に固定される。
【0017】
図2に示すように、ガイドプレート20は、交換ユニット16を挟み込む位置に設置される。ガイドプレート20によって、固定台15上における交換ユニット16の固定位置が規定される。
【0018】
ガイドピン21は、
図1および
図3に示すように、固定台15上から鉛直方向(回転台13の回転軸方向)に突出している。ガイドピン21は、下端部から先端部にかけて先細になるテーパ形状を有する。ガイドピン21が交換ユニット16に設けられた穴部を貫通すると、交換ユニット16は、ガイドプレート20で導かれ、ガイドピン21で規定された設定位置に定着する。
【0019】
ケース23も、ガイドプレート20と同様に交換ユニット16を挟み込む位置に設置される。ケース23内には、固定ピン22が収容されている。固定ピン22は、例えば、遠隔操作でケース23内から水平方向に突出または引っ込むことができるシリンダーピンである。固定ピン22が、交換ユニット16のケース23に対向する部分に設けられた穴部に挿入されると、交換ユニット16が固定台15に固定される。
【0020】
次に、上述した切断装置1を用いて原子炉圧力容器100を切断する方法を説明する。
【0021】
図4は、切断装置1による原子炉圧力容器100の切断方法を模式的に示す図である。
図4に示すように、切断装置1は、プール200内で原子炉圧力容器100を切断する。このとき、切断装置1は、クレーン30に吊り下げられている。また、原子炉圧力容器100の切断は、遠隔操作盤50および制御装置40を用いて遠隔操作される。作業者が遠隔操作盤50を操作すると、制御装置40が、操作内容に基づいて切断装置1の動作を制御する。
【0022】
制御装置40は、
図4に示すように、支持制御部41と、駆動制御部42と、交換制御部43と、を備える。各制御部は、例えば、種々の電子部品が搭載された制御盤で構成されている。
【0023】
支持制御部41は、切断装置1の支持機構11の動作を制御する。駆動制御部42は、回転駆動機19および送り駆動機18の動作を制御する。交換制御部43は、交換ユニット16を用いた切断刃17の交換作業を制御する。
【0024】
切断装置1を用いて原子炉圧力容器100を切断する際、まず、支持機構11の延長部材11bが、支持制御部41の制御に基づいて、支持本体部11aから原子炉圧力容器100の内周面に接触する位置までスライド移動する。これにより、切断装置1が、原子炉圧力容器100内で固定される。
【0025】
続いて、送り駆動機18が、駆動制御部42の制御に基づいて、固定台15および交換ユニット16を送り機構14に沿って、原子炉圧力容器100の内周面に向けて移動させる。これにより、交換ユニット16に取り付けられた切断刃17が、回転しながら径方向の外側へ押し出されるので、原子炉圧力容器100の一部が切断される。
【0026】
図5(a)~
図5(d)は、切断刃17の軌跡を示す上面図である。切断刃17が、
図5(a)に示す位置で原子炉圧力容器100の一部を切断すると、続いて、送り駆動機18が、駆動制御部42の制御に基づいて、固定台15および交換ユニット16を送り機構14に沿って引き戻す。これにより、切断刃17が、
図5(b)に示すように、原子炉圧力容器100の切断箇所から径方向内側に引き抜かれる。
【0027】
続いて、回転駆動機19が、駆動制御部42の制御に基づいて、送り機構14、固定台15、および交換ユニット16を回転させる。これにより、
図5(c)に示すように、切断刃17は、周方向に変位する。
【0028】
続いて、送り駆動機18が、再び、固定台15および交換ユニット16を送り機構14に沿って、原子炉圧力容器100の内周面に向けて移動させる。これにより、
図5(d)に示すように、切断刃17も、再び、回転しながら径方向の外側へ押し出されるので、原子炉圧力容器100の他の一部が切断される。
【0029】
その後は、駆動制御部42は、原子炉圧力容器100の全周を切断するまで、切断刃17の押し出しおよび引き抜きを含む送り動作と、切断刃を周方向に変位させる回転動作とを、交互に繰り返させる。
【0030】
図5(a)~
図5(d)に示すように、切断刃17で原子炉圧力容器100の全周を周方向に連続的に切断していくと、切断が進むにつれて原子炉圧力容器100の自重による部材のたわみ、あるいは、溶接ひずみの開放等により発生する切断部隙間の減少による切断刃17の挟み込みあるいは破損が懸念される。そこで、原子炉圧力容器100の切断箇所に、遠隔操作で部分的にくさびを打ち込んでもよい。これにより、切断刃17の挟み込みあるいは破損を防止することができる。
【0031】
また、くさびを打ち込む代わりに、
図6に示すように、切断刃17の周方向の変位角度θ2を、連続的に切断する変位角度θ1(
図5(c)参照)よりも大きくすることによって、原子炉圧力容器100の全周を周方向に断続的に切断してもよい。この場合、切断刃17に加えられる原子炉圧力容器100の自重を低減できるため、切断刃17を保護することができる。さらに、くさびを打ち込む作業等を削減できるため、原子炉圧力容器100の切断に要する時間を短縮することが可能となる。
【0032】
次に、
図7~
図10を参照して、切断刃17の交換動作について説明する。
【0033】
まず、
図7に示すように、制御装置40の交換制御部43が、遠隔操作盤50の操作に従って、固定ピン22を交換ユニット16から引き抜かせてケース23内に収容させる。これにより、交換ユニット16の固定台15への固定状態が開放される。
【0034】
続いて、
図8に示すように、クレーン30が、遠隔操作盤50の操作に従って、交換ユニット16を吊り上げる。クレーン30は、吊り上げた交換ユニット16を、プール200の周辺の交換作業エリア300まで搬送する。交換作業エリア300では、遠隔操作盤50を用いた遠隔操作によって、切断刃17の交換作業が行われる。なお、この交換作業では、原子炉圧力容器100を周方向に切断する切断刃17の代わりに、原子炉圧力容器100を鉛直方向(軸方向)に切断する切断刃が取り付けられてもよい。
【0035】
切断刃17の交換作業が終了すると、
図9に示すように、クレーン30は、交換ユニット16を吊り下げて、ガイドプレート20で規定される固定位置まで降ろす。このとき、ガイドピン21が、交換ユニット16の穴部を貫通すると、交換ユニット16が設定位置に定着する。
【0036】
最後に、
図10に示すように、交換制御部43が、ケース23内から固定ピン22を突出させて交換ユニット16内に挿入、固定させる。これにより、交換ガイドが固定台15に固定され、交換作業が完了する。
【0037】
以上説明した本実施形態によれば、ガスの代わりに切断刃17を用いて原子炉圧力容器100を切断するため、火災予防のための安全装置が不要になる。そのため、本実施形態に係る切断装置1は、熱切断方式の切断装置に比べて、安全性および経済性の点で優れたものとなる。
【0038】
また、本実施形態では、切断刃17を周方向に連続的に回転させながら原子炉圧力容器100を切断するのではなく、切断刃17を切断箇所から一旦引き抜いて周方向に変位させている。そのため、上記のような切断刃17の駆動は、送り駆動機18および回転駆動機19の駆動力を最小限に抑え、切断装置の小型化および低コスト化に寄与することができる。また、従来の切断方法に比べて切断刃17への負荷が低減するので、切断刃17の長寿命化および偶発的な破損を防ぐことが可能となる。
【0039】
なお、本実施形態のように切断刃17を駆動する場合、切断刃17の半径(中心から刃先までの距離)が小さすぎても大きすぎても、原子炉圧力容器100の切断に支障をきたす。そのため、切断刃17の半径は、原子炉圧力容器100の切断箇所の最大厚さの2倍以上、かつ3倍以下であることが望ましい。
【0040】
(第2実施形態)
図11は、第2実施形態に係る切断装置の正面図である。上述した第1実施形態に係る切断装置1と同様の構成要素には同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0041】
本実施形態に係る切断装置2は、上述した切断装置1の構成要素に加えて、切粉受け皿24およびアーム25を備える。切粉受け皿24は、原子炉圧力容器100の外部に設置され、原子炉圧力容器100を挟んで切断刃17と対向する。切粉受け皿24の上部は、切断刃17で原子炉圧力容器100を切断する際に生成された切粉を回収するために開口している。
【0042】
アーム25は、原子炉圧力容器100の内部から上端開口部を通じて外部に渡って屈曲している。アーム25の一端は、切粉受け皿24に取り付けられ、他端は交換ユニット16に取り付けられている。アーム25によって、切粉受け皿24は、交換ユニット16に連結される。
【0043】
上述した切断装置2を用いて原子炉圧力容器100を切断する際、第1実施形態と同様に、切断刃17は、送り駆動機18によって、原子炉圧力容器100へ押し出され、その後、切断箇所から引き抜かれる。続いて、切断刃17は、回転駆動機19によって、周方向に変位する。このとき、交換ユニット16には、アーム25が取り付けられている。そのため、回転駆動機19の駆動力が、アーム25を介して切粉受け皿24にも伝達される。そのため、切粉受け皿24は、切断刃17と同じタイミングで同じ方向に回転する。すなわち、切粉受け皿24は、切断刃17と同期回転する。
【0044】
また、切断刃17を交換する際には、第1実施形態と同様に、クレーン30で交換ユニット16を吊り上げる。本実施形態では、このとき、遠隔操作盤50を用いた遠隔操作によって、交換ユニット16とアーム25の連結が解除される。
【0045】
以上説明した本実施形態によれば、第1実施形態と同様に、切断刃17を用いて原子炉圧力容器100を切断する。そのため、火災予防のための安全装置が不要になり、熱切断方式の切断装置に比べて、安全性および経済性が向上する。
【0046】
また、本実施形態では、切断により生成した切粉は、切粉受け皿24に回収される。そのため、放射性物質を含んだ切粉がプール200へ落下するのを防ぐことが可能となる。
【0047】
以上、いくつかの実施形態および変形例を説明したが、これらの実施形態は、例としてのみ提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図したものではない。本明細書で説明した新規なシステムは、その他の様々な形態で実施することができる。また、本明細書で説明したシステムの形態に対し、発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の省略、置換、変更を行うことができる。添付の特許請求の範囲およびこれに均等な範囲は、発明の範囲や要ことに含まれるこのような形態や変形例を含むように意図されている。罫線
【符号の説明】
【0048】
1,2:切断装置、11:支持機構、11a:支持本体部、11b:延長部材、12:フレーム、13:回転台、14:送り機構、15:固定台、16:交換ユニット、17:切断刃、18:送り駆動機、19:回転駆動機、20:ガイドプレート、21:ガイドピン、22:固定ピン、23:ケース、24:切粉受け皿、25:アーム、30:クレーン、40:制御装置、41:支持制御部、42:駆動制御部、43:交換制御部、50:遠隔操作盤、100:原子炉圧力容器、200:プール、300:交換作業エリア