(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】疎水化剤としての製剤
(51)【国際特許分類】
C08L 33/04 20060101AFI20221220BHJP
C08K 5/16 20060101ALI20221220BHJP
C09K 3/18 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
C08L33/04
C08K5/16
C09K3/18 101
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021116129
(22)【出願日】2021-07-14
(62)【分割の表示】P 2018567844の分割
【原出願日】2017-07-06
【審査請求日】2021-08-10
(31)【優先権主張番号】102016212443.9
(32)【優先日】2016-07-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】516085111
【氏名又は名称】ルドルフ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100113376
【氏名又は名称】南条 雅裕
(74)【代理人】
【識別番号】100179394
【氏名又は名称】瀬田 あや子
(74)【代理人】
【識別番号】100185384
【氏名又は名称】伊波 興一朗
(74)【代理人】
【識別番号】100137811
【氏名又は名称】原 秀貢人
(72)【発明者】
【氏名】グラス ヘルムト
(72)【発明者】
【氏名】アルベルト クリスティン
(72)【発明者】
【氏名】ドゥシェク ガンター
(72)【発明者】
【氏名】シールマン ダーク
【審査官】久保田 葵
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-222827(JP,A)
【文献】国際公開第2017/199726(WO,A1)
【文献】特表2017-504730(JP,A)
【文献】特表2017-521518(JP,A)
【文献】特表2017-521517(JP,A)
【文献】国際公開第2015/111668(WO,A1)
【文献】国際公開第2009/113589(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00-101/14
C08G18/00- 18/87
D06M13/00- 15/715
C09K 3/18
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
製剤(Z)であって、
(1)
式
および/または
の少なくとも1つの化合物(A)を、少なくとも1つのブロックされていないまたは少なくとも部分的にブロックされたジ-、トリ-またはポリイソシアネート(IC)と、反応させることによって得ることのできる少なくとも1つの変換産物(S)
ここで、R
1は、-X-Y-Zまたは-Zであり、
X=-(CH
2)
n’’-であり
Y=
であり、
Z=-(CH
2)
m-CH
3である、
R
2は、
である
R
3は、-X-Y-Z、-Zまたは-Y-Zであり、但し、-Y-Zの意味の場合には、残基R
2においてnはn''によって置き換えられ、
R
4は、-X-Y-Zまたは-(CH
2)
n’Hである、
B
1は、-V-W-Zまたは-Zであり、
V=
であり、
W=
である、
B
2は、
である、
B
3は、
である、
B
4は、
である、
Qは、-(CH
2)
n’’-であり、および
n、n’、n’’、n’’’およびmは、それぞれ独立に整数であり、
n=0~2であり
n’=0~4であり、
n’’=1~4、
n’’’=0~4であり、および
m=8~30であり、
ここで、前記ポリイソシアネート(IC)内のフリーのイソシアネート(NCO)基の割合は、モルあたり1.8~10である、
および、
(2)以下のビルディングブロックM(1)、M(2)およびM(3)を含む、少なくとも1つの共重合体(C)
式
ここで、
Lは、
である、
および
ここで
R
5は、-Hまたは-CH
3であり、
R
6は、C
12-C
40炭化水素残基であり、
R
7は、直鎖または分岐脂肪族C
1-C
8炭化水素残基であり、
Uは、-O-または-NH-であり、
R
8は、
であり、
および、kおよびpは、それぞれ独立に整数であり、
k=1~5であり、および
p=0~10である。
を含み、
(3)1つのブロックされていないまたは少なくとも部分的にブロックされたジ-、トリ-またはポリイソシアネート(IC)を含んでよく、
(4)水および/または少なくとも1つの有機溶媒を含んでよく、および
(5)少なくとも1つの表面活性物質を含んでよい、
製剤(Z)。
【請求項2】
請求項1に記載の製剤(Z)であって、
前記成分(1)は、製剤(Z)の合計に対して、10~90重量%を占める、
製剤(Z)。
【請求項3】
請求項1または2に記載の製剤(Z)であって、
前記成分(2)は、製剤(Z)の合計に対して、10~90重量%を占める、
製剤(Z)。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の製剤(Z)であって、
前記成分(3)は、製剤(Z)の合計に対して、0~50重量%を占める、
製剤(Z)。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の製剤(Z)であって、
前記成分(4)は、製剤(Z)の合計に対して、20~99.9重量%を占める、
製剤(Z)。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の製剤(Z)であって、
前記成分(5)は、成分(1)、(2)および任意選択で(3)および/または任意選択で(5)の合計量に対して、0~20重量%を占める、
製剤(Z)。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の製剤(Z)であって、
前記成分(2)は、30~90モル%のビルディングブロックM(1)を含む、
製剤(Z)。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の製剤(Z)であって、
前記成分(2)は、5~65モル%のビルディングブロックM(2)を含む、
製剤(Z)。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の製剤(Z)であって、
前記成分(2)は、0.1~8モル%のビルディングブロックM(3)を含む、
製剤(Z)。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の製剤(Z)であって、
前記変換産物(S)に関して、化合物(A)におけるイソシアネート反応基に対する前記ポリイソシアネート(IC)内のフリーのイソシアネート(NCO)基のモル比は、1:1~1:1.3に調節される、
製剤(Z)。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の製剤(Z)であって、
前記イソシアネート(IC)は、2,4-トルエンジイソシアネート、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ジフェニルメタンジイソシアネートのより高次の鎖ホモログ(ポリマーMDI)、4-メチル-シクロヘキサン-1,3-ジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート三量体、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート三量体、イソホロンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート三量体、2,2,4-または2,4,4-トリメチル-1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、二量体ジイソシアネート、
それらの混合物、および、それらの誘導体からなる群より選択される、
製剤(Z)。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載の製剤(Z)であって、
成分(4)による有機溶媒は、酢酸エチル、酢酸n‐プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n-ブチル、酢酸イソブチルまたは酢酸アミルのようなエステル類、アセトン、メチルエチルケトンのようなケトン類、および、n-ヘキサン、n-ヘプタンまたはn-オクタンのような飽和炭化水素類から選択される、
製剤(Z)。
【請求項13】
請求項1から12のいずれかに記載の製剤(Z)であって、
以下のステップ
a)少なくとも1つのジ-、トリ-またはポリイソシアネート(IC)を提供するステップ、
b)少なくとも1つのイソシアネート反応基を含む少なくとも1つの有機化合物(O)と、(IC)を反応させるステップ、ここで、イソシアネート反応基に対するイソシアネート基のモル比は、10:1~3:2に調節される、および
c)25~150℃の温度で、触媒を用いて、ステップb)の後に存在する産物をカルボジイミド化するステップ、
によって得ることのできる少なくとも1つの変換産物(CDI)をさらに含む、
製剤(Z)。
【請求項14】
請求項1から12のいずれか一項に記載の製剤(Z)であって、
以下のステップ
a)少なくとも1つのジ-、トリ-またはポリイソシアネート(IC)を提供するステップ、
b)25~150℃の温度で、触媒を用いて、(IC)をカルボジイミド化するステップ;および
c)少なくとも1つのイソシアネート反応基を含む少なくとも1つの有機化合物(O)と、ステップb)の後に存在する産物を反応させるステップ、ここで、イソシアネート反応基に対するイソシアネート基のモル比は、1:1の比に調節される、
によって得ることのできる少なくとも1つの変換産物(CDI)をさらに含む、
製剤(Z)。
【請求項15】
請求項13から14のいずれかに記載の製剤(Z)であって、
前記有機化合物(O)は、
モノアミン、モノアルコール、ジアミン、ジオール、ポリアミンおよびポリオールからなる群から選択される、
製剤(Z)。
【請求項16】
請求項1から15のいずれか一項に記載の製剤(Z)の使用であって、
疎水化剤としての、
使用。
【請求項17】
請求項16に記載の製剤(Z)の使用であって、
ペンキ、ニス、または、プラスターにおける添加剤としての、
使用。
【請求項18】
基材を疎水化する方法であって、
請求項1から15のいずれか一項に記載の製剤(Z)を、基材に適用するステップを含む、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリウレタンおよび/またはポリ尿素および共重合体を含む製剤ならびに疎水化剤としてのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
織物の疎水化または疎油化のために、通常は、シリコーンオイル、パラフィン、脂肪酸塩、脂肪酸改変メラミン樹脂、フルオロカーボンポリマーおよび他の添加剤を含む水性または溶媒含有製剤が用いられる。この方法で処理された織物は、雨、水はね、または湿気に対して保護される。
【0003】
パラフィン、脂肪酸塩、脂肪酸改変メラミン樹脂およびシリコーンに基づく製剤は、撥水性(疎水化)効果のみ有するが、フルオロカーボンポリマーに基づく製剤は、汚れ防止および撥油(疎油化)効果も有する。フルオロカーボン仕上げは、衣類および家庭用織物部門、および、技術的織物の分野の両方で用いられる。
【0004】
通常、疎油化のための製剤は、しばしば他の添加剤と組み合わせて異なる鎖長のペルフルオロアルキル基を含むポリアクリレート類またはポリウレタン類に基づく。適切な添加剤は、例えば、寸法安定性、洗濯堅牢度および剛性を生じさせるメチロール化合物に基づく熱硬化性樹脂であってよい。加えて、フルオロカーボン仕上げの撥水および撥油効果を改善するため、および、洗濯性能を増大させるために、増量剤を添加剤として用いてもよい。適切な増量剤は、例えば、脂肪酸改変メラミン樹脂、ワックスとジルコニウム塩の混合物、または、ブロックされたポリイソシアネートである。好ましい水性産物は、通常、噴霧、発泡またはパディングによる排出(exhaust)およびパディング処理によって適用される。
【0005】
しかしながら、フルオロカーボンポリマーに基づく製剤は、それらのエネルギー集約的な生産に起因して高価であり、生態毒性およびヒト毒性である疑いもあり、したがって、それらの使用は、特に衣類部門では次第に批判的に見られている。現在、パーフルオロ化C8化合物が、より有害でないC6系産物によって置換されている製剤の提供に全ての努力が向けられている。この調節は、欧州化学機関ECHAによるパーフルオロ化C8ビルディングブロックの想定される規制によっても加速される。
【0006】
WO2008/022985は、短鎖C6-パーフルオロアルキルエチルメタクリレート、C12-C22-アルキル(メタ)アクリレート、塩化ビニリ(デン)および他の架橋可能なモノマーを共重合することによって生産される、フルオロカーボンポリマーを記載する。
【0007】
しかしながら、公共の議論では、パーフルオロ化有機化合物は、一般に、それらの永続性に起因してネガティブにとらえられていて、したがって、匹敵する特性プロファイルを有する代替のフッ素フリー産物がその後ますます求められている。
【0008】
現在のところ、フッ素フリー製剤では、疎水性効果のみ達成され得るが疎油性効果は達成され得ない。パラフィン、金属石鹸および多価金属のケイ酸塩の水性エマルションは、織物表面を雨または水はね不浸透性にさせるために用いられる。そのような製剤は、紙を、その疎水性特性を改善するために処理するためにも用いられる。DE1001965によって、より高い分子量の脂肪酸または樹脂酸および低分子量ジ-またはポリイソシアネートの塩基性金属塩の反応産物が、織物を疎水化するために知られている。
【0009】
良好な初期の疎水性に加えて、多数の洗濯に対する仕上げの耐性もまた重要なポイントである。この理由のために、洗濯処理に対する不十分な耐性を改善するために、製剤が初期段階において開発された。DE1017133では、パラフィンと、ヘキサメチロールメラミンヘキサメチルエーテル、ステアリン酸、ステアリン酸ジグリセリドおよびトリエタノールアミンの凝縮産物を混合することによって生産される、疎水化剤が記載される。しかしながら、この物質によって処理された布地および繊維材料の場合は、相対的に高い適用量、製剤の化学特性、および、特に、基材の官能基およびそれ自体との脂肪酸改変メチロールトリアジン化合物の架橋は、取扱特性の明確な硬化をもたらしていて、不利であることが分かっている。加えて、この化学に基づく産物のホルムアルデヒド含有量は、しばしば重要であり、したがって、対応する産物はそれにより標識されなければならない。この方法で処理された織物は、しばしば、Okotex、Bluesignなどの織物標準の限度を超えるホルムアルデヒド濃度を依然として有する。
【0010】
架橋可能なオルガノポリシロキサン類を適用することによる、織物を含浸するための代替方法も知られる。架橋は、例えば、US4,098,701に記載されるように、触媒の助けによって、Si-HおよびSi-OH官能性オルガノポリシロキサン類を凝縮させることによって達成され得る。また、架橋は、SiC-結合オレフィン残基へのSi-H-官能性オルガノポリシロキサン類の付加によっても可能である(例えばUS4,154,714およびDE3332997A1を参照)。しかしながら、オルガノポリシロキサンの反応特性に起因して、保管安定性の製剤を生産することは難しい。成分はしばしば、使用前の直接の混合のみしてよく、それは実際には扱いにくくさせる。
【0011】
WO00/29663は、シリコーンフリーおよび/またはシリコーン含有の布地軟化剤によるポリイソシアネート官能性化合物の変換産物を含む、永久的な繊維仕上げのための製剤を記載する。全ての実施例は、親水性残基を示す。
【0012】
高度に分岐したポリウレタンおよびオルガノポリシロキサンに基づくフッ素フリーの疎水化剤は、WO2008/135208に記載される。
【0013】
DE102013209170では、シリコーンポリマーおよびワックスまたは脂肪酸エステルに基づく製剤を用いて織物材料上の撥水性効果が達成されている。
【0014】
しかしながら、自動車織物部門では、オルガノポリシロキサン含有疎水化剤の使用は望ましくない。これは、オルガノポリシロキサンが表面の塗装性を強く妨害して、望ましくない表面欠陥をもたらし得るという事実に起因する。
【0015】
DE10211549によって、合成または天然のワックス成分、高度に分岐したポリウレタン、および任意選択の、ブロックされたポリイソシアネートからなる製剤が知られている。ワックスは、例えば、ミツロウ、カルナウバロウ、ポリエチレンワックスまたはフィッシャートロプシュワックスであってよい。
【0016】
WO2010/115496は、アクリレート共重合体およびパラフィンからなり、織物を疎水化するために用いられる、フッ素フリー分散剤を記載する。長鎖C12-C22アルキル(メタ)アクリレート、スチレンまたはメチルスチレン、塩化ビニリ(デン)および任意選択で2-クロロ-3-ヒドロキシプロピル(メタクリレート)および/またはグリシジル(メタ)アクリレートは、共重合体を作るために用いられる。
【0017】
WO2016/000830は、ポリアクリレート、ワックス、および任意選択の、ブロックされたイソシアネートおよび/またはオルガノポリシロキサンおよび/またはメラミン樹脂からなるフッ素フリーの製剤を記載する。ポリアクリレート類は、長鎖C9-C40アルキル(メタ)アクリレート、C1-C8アルキル(メタクリレート)およびグリシジルまたはヒドロキシ官能性モノマーに基づく。
【0018】
EP1424433では、パラフィンワックスエマルションおよびポリマーエマルションの混合物が、不織布および織物を疎水化するために用いられる。ポリマーは、分岐したC8-C13カルボン酸、C2-C12アルキル(メタ)アクリレートおよび他の不飽和コモノマーのビニルエステルからなる。
【0019】
JP2000248140は、紙を疎水化するために用いられるポリアクリレート類およびパラフィンワックスに基づく製剤を記載する。
【0020】
しかしながら、DE10211549、WO2010/115496、WO2016/000830、EP1424433およびJP2000248140に記載される製剤におけるパラフィンは、それらは、より高い温度(170℃から)で、織物基材上で乾燥および凝縮する間に部分的に蒸発して、ドライヤー内に望ましくない沈着をもたらすので、ネガティブな効果を有する。さらに、非官能化ワックスを化学的に架橋することは非常に困難であるので、この成分の洗濯性能は不十分である。
【0021】
近年、水蒸気透過性の、通気性機能性織物が非常に重要性を得ている。織物は雨および風が外側から通り得ない方法でデザインされるが、同時に、水蒸気の形態での汗は内側から外側に逃げることができる。ほとんどの場合、機能性織物は、2または3層構造を有する。2層の積層は、主に、対応する外側の布地に接着することによって、組み立て式の膜によって生産される。ほとんどの場合、接着剤は、出来るだけ小さい表面積を覆うために点状の様式で適用される。あるいは、積層は、リバースコーティングによって生産されてもよい。この目的のために、剥離紙が溶媒含有ポリウレタンによってコーティングされる。それから織物は、まだ乾いていないポリマーフィルムと直ちに接触される。乾燥および凝縮後に、剥離紙が剥がされて、仕上げられた積層が得られる。しばしば、ポリマーフィルムは剥離紙上で最初に乾燥されて、それから、第二の接着剤コーティングを用いて織物上に接着される。溶媒含有ポリウレタンを用いた直接コーティングは、通気性機能性織物を生産するための別の可能性である。
【0022】
疎水化剤が、パラフィンのような低溶融粘度を有する低分子ワックス化合物を含む場合は、これらは、特に積層の通気性を著しく損ない得る。これは、多くのワックスが融解状態で膜の中に移行するという事実に起因する。積層の生産中、例えば接着、コーティングまたは仕上げ中、180℃までの温度が生じるので、移行が予期される。しかし、使用の後期でさえ、移行は>70℃の温度での乾燥および洗濯中に生じ得る。
【0023】
DE3332997A1、WO2008/135208およびDE102013209170では、オルガノポリシロキサン類が疎水化成分として用いられる。オルガノポリシロキサン類は、しばしば強力な分離効果を有するので、上述の技術によって接着問題が生じ得る。これは、膜またはコーティングが外側の布地から分離するという事実によって著しい。この問題は頻繁な洗濯によって悪化される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
したがって、本発明の目的は、少量で基材に適用された場合に、最適な疎水化を生じさせるが、同時にその後の接着を可能にして、膜機能に影響を及ぼさない、フッ素フリーの製剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0025】
驚くべきことに、目的は、少なくとも1つの変換産物(S)(成分(1))、少なくとも1つの共重合体(C)(成分(2))、任意選択で少なくとも1つの(ブロックされた)ポリイソシアネート(成分(3))、任意選択で溶媒(成分(4))、および任意選択で少なくとも1つの表面活性物質(成分(5))を含む製剤を提供することによって達成され得た。
【0026】
製剤は、基材のその後の接着に負の影響を及ぼさずに、少ない使用量での優れた疎水化能力によって特徴付けられる。製剤は、熱処理後でさえも基材の膜透過性に負の影響を及ぼさないことも示された。さらに、本発明に係る製剤は、基材に対して非常に良好な洗濯性能を有する。
【発明を実施するための形態】
【0027】
したがって、本発明の第1の態様は、以下を含む製剤(Z)である。
(1)
式
および/または
の少なくとも1つの化合物(A)を、少なくとも1つのブロックされていないまたは少なくとも部分的にブロックされたジ-、トリ-またはポリイソシアネート(IC)と、反応させることによって得ることのできる少なくとも1つの変換産物(S)
ここで、R
1は、-X-Y-Zまたは-Z、好ましくは-X-Y-Zであり、
X=-(CH
2)
n’’-であり、
Y=
であり、
Z=-(CH
2)
m-CH
3である、
R
2は、
であり、
R
3は、-X-Y-Z、-Zまたは-Y-Zであり、但し、-Y-Zの意味の場合には、残基R
2においてnはn''によって置き換えられ、
R
4は、-X-Y-Zまたは-(CH
2)
n’Hである、
B
1は、-V-W-Zまたは-Z、好ましくは-V-W-Zであり、
V=
であり
W=
である、
B
2は、
である、
B
3は、
である、
B
4は、
である
Qは、-(CH
2)
n’’-であり、および
n、n’、n’’、n’’’およびmは、それぞれ独立に整数であり、
ここで
n=0~2であり、
n’=0~4であり、
n’’=1~4、
n’’’=0~4であり、および
m=8~30、好ましくは10~26、より好ましくは10~22であり、
ここで、ポリイソシアネート(IC)内のフリーのイソシアネート(NCO)基の割合は、モルあたり1.8~10である、
および、
(2)以下の少なくとも1つのビルディングブロックを含む、少なくとも1つの共重合体(C)
式
ここで、
Lは、
である、
および/または
ここで
R
5は、-Hまたは-CH
3であり、
R
6は、C
12-C
40炭化水素残基であり、
R
7は、直鎖または分岐脂肪族C
1-C
8炭化水素残基であり、
Uは、-O-または-NH-であり、
R
8は、
であり、
および、kおよびpは、それぞれ独立に整数であり、
k=1~5であり、および
p=0~10である、
を含み、
(3)少なくとも1つのブロックされていないまたは少なくとも部分的にブロックされたジ-、トリ-またはポリイソシアネート(IC)を含んでよく、
(4)水および/または少なくとも1つの有機溶媒を含んでよく、および
(5)少なくとも1つの表面活性物質を含んでよい。
【0028】
本発明に係る製剤の全てのパーセンテージは製剤の合計を言及し、別段の指示がない限り重量パーセンテージである。
【0029】
好ましくは、本発明に係る製剤(Z)は、フッ素化合物からフリーである。
【0030】
成分(1)は、好ましくは疎水性の変換産物(S)である。本発明の意味内の用語「疎水性」は、典型的に20℃で水に本質的に溶解しない化合物を定義する。本発明の意味内の「疎水性」化合物の飽和溶液は、好ましくは、水のリットル(20℃)あたり、1gまでの溶解された化合物、より好ましくはリットルあたり0.5gまで、より好ましくはリットルあたり0.2gまでを含む。
【0031】
変換産物(S)は、少なくとも1つのブロックされていないまたは少なくとも部分的にブロックされたジ-、トリ-またはポリイソシアネート(IC)と、少なくとも1つの化合物(A)を反応させることによって得られる。
【0032】
化合物(AI)は、好ましくは、多価アルコール類(a1)を、カルボン酸類(b1)と、またはアルキルイソシアネート類(b2)と、反応させることによって得られる。多価アルコール類(a1)の好ましい例は、グリセロール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,2,4-ブタントリオール、ペンタエリスリトールまたは糖、例えば、グルコース、好ましくはグリセロール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,2,4-ブタントリオールおよび/またはペンタエリスリトール、より好ましくはグリセロールである。
【0033】
化合物(AII)は、好ましくは、アルカノールアミン(a2)および/またはアルキルアミン(a3)を、カルボン酸(b1)および/またはアルキルイソシアネート(b2)と反応させることによって得られる。好ましいアルカノールアミン(a2)は、2-アミノ-2,3-プロパンジオール、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、ジエタノールアミン、ジプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、エタノールプロパノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、N,N,N’,N’テトラキス(2-ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、アミノエチルエタノールアミン、アミノプロピルエタノールアミン、アルキルトリス(ヒドロキシエチル)プロピレンジアミン、およびアルキルジヒドロキシエチルアミン、好ましくはアルキル残基内に12~24個の炭素原子を有する、ならびにそれらのエトキシ化産物である。特に好ましいのは、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、アミノエチルエタノールアミンおよびアミノプロピルエタノールアミン、より好ましくはトリエタノールアミンである。
【0034】
アルキルアミン(a3)の例は、ビス(アミノエチル)アミン、ビス(アミノプロピル)アミンおよびそれらの高分子ホモログ、アミノエチルミノプロピルアミン(aminoethylminopropylamine)、ビス(アミノプロピル)エチレンジアミン、トリス(アミノ-エチル)アミン、トリス(アミノプロピル)アミン、トリスアミノノナン、アミノプロピルステアリルアミンおよびアミノプロピルビスステアリルアミンである。ビス(アミノエチル)アミン、ビス(アミノプロピル)アミン、アミノエチルアミノプロピルアミン、ビス(アミノプロピル)エチレンジアミンおよびアミノプロピルステアリルアミン、特にビス(アミノエチル)アミンが好ましい。
【0035】
化合物(A)の調製に用いられるカルボン酸(b1)は、飽和、不飽和、非分岐または分岐であってよく、好ましくは10~32個の炭素原子、より好ましくは12~24個の炭素原子を有する。好ましくは10~32個の炭素原子、より好ましくは12~24個の炭素原子を有する、好ましくは非分岐、飽和カルボン酸、例えば、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸およびベヘン酸が用いられる。ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸およびベヘン酸が特に好ましい。
【0036】
式(AI)および(AII)の化合物(A)の調製に用いられるアルキルイソシアネート(b2)は、好ましくは9~31個、特に11~23個の炭素原子を有する、好ましくは、非分岐の、アルキル残基である。特に好ましいアルキルイソシアネートは、ステアリルイソシアネートである。
【0037】
多価アルコール(a1)またはアルカノールアミン(a2)またはアルキルアミン(a3)およびカルボン酸(b1)またはアルキルイソシアネート(b2)を用いて調製される化合物(A)の代わりに、活性水素原子および2つの疎水性残基を有する化合物、例えば、Guerbetアルコール、ビス(ドデシル)アミンおよび好ましくはビス(オクタデシル)アミンが用いられてもよい。
【0038】
少なくとも1つの化合物(A)は、少なくとも1つのブロックされていないまたは少なくとも部分的にブロックされたジ-、トリ-またはポリイソシアネート(IC)と反応して疎水性の変換産物(S)を与えて、ポリイソシアネート(IC)におけるフリーのイソシアネート(NCO)基の割合は、モルあたり1.8~10である。ブロックされていないまたは部分的にブロックされたイソシアネートの例は、DE10017651、段落[0032]~[0037]に記載される。
【0039】
特に好ましい、ブロックされていないジ-、トリ-またはポリイソシアネート(IC)は、例えば、2,4-トルイレンジイソシアネート、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ジフェニルメタンジイソシアネートのより高次の鎖ホモログ(ポリマーMDI)、4-メチルシクロヘキサン-1,3-ジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート三量体、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート三量体、イソホロンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート三量体、2,2,4-または2,4,4-トリメチル-1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、二量体ジイソシアネート、例えばMDIおよびポリマーMDIの混合物のような混合物、および、それらの誘導体である。二量体ジイソシアネートは、DDI 1410の名称でCognis Corp.,300 Brookside Avenue,Ambler,PA 19002,USAより利用可能である。
【0040】
イソシアネート(IC)の誘導体は、例えば、環化オリゴ-またはポリイソシアネートを含む。環化オリゴ-またはポリイソシアネートの調製は、W.Siefken(Liebigs Annalen der Chemie 562,1949,75~136頁)に従って、環化の公知の方法に従って行なうことができ、オリゴ-またはポリイソシアネートは、開鎖または環式形状であってよい。そのような誘導体は、ウレタン、アロファネート、尿素、ビウレット、ウレトジオン、アミド、イソシアヌレート、カルボジイミド、ウレトンイミン、オキサジアジントリオンまたはイミノキサジアジントリオン(iminoxadiazinetrione)構造との結合によって、上述のジ-、トリ-およびポリイソシアネートから調製され得る。
【0041】
水における成分(1)の乳化性を改善させるために、ウレタンに対する適切な触媒系の補助によって、ポリアルコキシモノアルキルエーテルを用いてイソシアネート基のサブセットを誘導体化することも可能である。好ましくは4~20個のエチレンオキシドユニット、任意選択でさらなる2~6個のプロピレンオキシドユニットを有する、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルが、この目的のために用いられ得る。第3級アミンおよび/または有機錫化合物に基づく当業者に公知の系、例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレートまたはジアセテートが触媒として用いられ得る。
【0042】
好ましい誘導体は、ヘキサメチレンジイソシアネート三量体、ジフェニルメタンジイソシアネート三量体、フリーのNCO基を有する2,4-トルイレンジイソシアネート由来のウレタン、および、ポリアルコキシモノアルキルエーテルによって改変されたジ-、トリ-またはポリイソシアネート(IC)、特に、ポリエチレンオキシドモノアルキルエーテルによって改変されたジ-、トリ-またはポリイソシアネートである。
【0043】
ポリアルコキシモノアルキルエーテルによって改変されたイソシアネートに対する代替として、第3級アルカノールアミンが、全体的な特性を損なわずに、変換産物(S)のカチオン性電荷、したがって自己乳化の特性を改善するための添加剤として用いられてよい。ジメチルアミノエタノールは、この目的のために特に適切である。
【0044】
さらに、イソシアネート(IC)は、部分的または完全にブロックされてよい(例えばDE10017651、段落[0042]を参照)。好ましいブロッキング剤は、カプロラクタム、重亜硫酸ナトリウム、メチルエチルケトオキシム、3,5-ジメチルピラゾールN-tert-ブチルベンジルアミン、特にカプロラクタムである。
【0045】
ブロッキングは、例えばEP0159117B1またはDE4441418A1に記載のように、好ましくは保護ガス雰囲気下および適切な触媒存在下で、溶解またはイソシアネートに対して不活性の有機溶媒(SO)において、ブロッキング剤とジ-、トリ-またはポリイソシアネート(IC)を反応させることによって引き起こされる。ブロッキング剤のイソシアネート反応基に対するイソシアネート(IC)におけるフリーのNCO基のモル比は、好ましくは化学量論的過剰、例えば>1:1~2:1、より好ましくは3:1までである。無水エステル、例えば、酢酸エチル、酢酸n‐プロピル、酢酸i-プロピル、酢酸n-ブチル、酢酸i-ブチルまたは酢酸アミルは、適切な不活性有機溶媒(SO)として好ましい。
【0046】
変換産物(S)を調製するために、化合物(A)において、イソシアネート-反応基、特にヒドロキシル基および/または一次アミノ基に対する、ポリイソシアネート(IC)におけるフリーのイソシアネート(NCO)基のモル比は、好ましくは1:1~1:1.3、好ましくは1~1.1(1 to 1.1)に調節される。
【0047】
成分(1)は、好ましくは、製剤(Z)の合計に基づき、10~90重量%、好ましくは20~80重量%、より好ましくは25~65重量%または1~30重量%を占める。
【0048】
成分(2)は、以下の少なくとも1つのビルディングブロックを含む、少なくとも1つの共重合体(C)である。
式
ここで、
Lは、
である、
および/または
ここで
R
5は、-Hまたは-CH
3であり、
R
6は、C
12-C
40炭化水素残基であり、
R
7は、直鎖または分岐脂肪族C
1-C
8炭化水素残基であり、
Uは、-O-または-NH-であり、
R
8は、
であり、
および、kおよびpは、それぞれ独立に整数であり、
k=1~5であり、および
p=0~10である。
【0049】
ビルディングブロックは、対応するモノマー
の、共重合によって得られて、
ここで、R
5、R
7、R
8、およびLは、M(1)、M(2)およびM(3)に関して定義される。
【0050】
モノマーM’(1)は、重合によってビルディングブロックM(1)をもたらし、好ましくは、アルキル(メタ)アクリレート、アルキル(メタ)アクリルアミドまたはアルキルカルバメート(メタ)アクリレートであり、ここで、アルキル残基は、C12~C40炭化水素基残基(R6)である。アルキル(メタ)アクリレートまたはアルキルカルバメート(メタ)アクリレートが特に好ましい。C12~C40炭化水素R6は、分岐または非分岐、飽和または不飽和であってよく、それぞれ、12~40個の炭素原子を含む。好ましい炭化水素残基R6は、非分岐または分岐ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、エイコシル、ヘンエイコシル(heneicosyl)、ドコシル、トリコシル、テトラコシル、ペンタコシル、ヘキサコシル、ヘプタコシル、オクタコシル、ノナコシルおよびトリアコシル残基から選択される。特に好ましくは、R6は、非分岐ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシルおよびドコシル残基である。特に好ましくは、ビルディングブロックM(1)は、アルキル残基としての非分岐ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、セチルまたはドコシル残基とアルキル(メタ)アクリレートの重合によって得られる。
【0051】
モノマーM’(1)は、アルキルイソシアネートとヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの反応によって得られるアルキルカルバメート(メタ)アクリレートであってもよく、アルキル残基は上記に定義されるとおりである。アルキルカルバメート(メタ)アクリレートは、対応する脂肪族アルコールまたは脂肪アミンと3-イソシアネートエチル(メタ)アクリレートの反応からも得ることができる。アルキルカルバメートモノマーの合成のための開始の原材料は、特に好ましくは、2-ヒドロキシエチルメタクリレートまたは2-ヒドロキシエチルアクリレートであり、アルキルイソシアネートによって変換される。合成は、40~90℃の温度で、溶媒ならびに物質において行なわれてよい。第3級アミンおよび/または有機錫化合物、例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレートまたはジアセテートに基づく当業者に公知の系は、触媒として用いられ得る。反応は、滴定またはIR分光法によって監視され得る。
【0052】
好ましい実施態様では、成分(2)は、30~90モル%、好ましくは40~85モル%、より好ましくは50~80モル%のビルディングブロックM(1)を含む。
【0053】
ビルディングブロックM(2)をもたらすモノマーは、好ましくはアルキル(メタ)アクリレートであり、アルキル残基は、C1~C8炭化水素残基(R7)である。特に好ましいM’(2)は、n-ブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチルメタクリレート、イソ-ブチルメタクリレート、および2-エチルヘキシルメタクリレートである。
【0054】
好ましい実施態様では、成分(2)は、5~65モル%、好ましくは10~55モル%、より好ましくは16~49モル%のビルディングブロックM(2)を含む。
【0055】
ビルディングブロックM(3)をもたらすモノマーは、好ましくは(メタ)アクリレートまたは(メタ)アクリルアミド、好ましくは(メタ)アクリレートであり、ヒドロキシまたはエポキシ基を有する。好ましいモノマーM(3)は、グリシジルメタクリレートおよび2-ヒドロキシエチルメタクリレートである。
【0056】
好ましい実施態様では、成分(2)は、0.1~8モル%、好ましくは0.5~5モル%、より好ましくは1~4モル%のビルディングブロックM(3)を含む。
【0057】
好ましい実施態様では、成分(2)は、ビルディングブロックM(1)、ビルディングブロックM(2)およびビルディングブロックM(3)を含む。
【0058】
好ましい実施態様では、成分(2)は、30~90モル%のビルディングブロックM(1)、5~65モル%のビルディングブロックM(2)、および、0.1~5モル%のビルディングブロックM(3)を含む。
【0059】
好ましい実施態様では、成分(2)は、スチレン、メチルスチレン、塩化ビニリデンおよび/または塩化ビニルの重合によって形成されたビルディングブロックを含まない。
【0060】
共重合体(C)(成分(2))は、ラジカル重合によって有機溶媒中で調製され得る。この目的のために、モノマーM’(1)、M’(2)、M’(3)は、溶媒中に溶解されて、重合は、50~90℃の温度でラジカルイニシエーターの助けによって不活性ガス下で開始される。溶媒として、例えば、脂肪族および芳香族炭化水素類、エステル類、ケトン類およびエーテル類が用いられ得る。好ましくは、脂肪族炭化水素類、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチルおよびテトラヒドロフランが用いられる。特に好ましいのは、脂肪族炭化水素類および酢酸イソプロピルである。
【0061】
一般的なラジカルイニシエーターは、アゾビスイソブチロニトリルおよびアゾビスバレロニトリルのようなアゾ化合物、クメンヒドロペルオキシドおよびtert-ブチルヒドロペルオキシドのようなヒドロペルオキシド類、ジ-tert-ブチルペルオキシドおよびジクモールペルオキシドのようなジアルキルペルオキシド類、および、tert-ブチルペルベンゾエートのようなペルオキシエステル類、および、ベンゾイルペルオキシドおよびラウロイルペルオキシドのようなジアシルペルオキシド類である。
【0062】
共重合体(C)は、好ましくはエマルション重合によって生産される。モノマー、水、表面活性物質(界面活性剤)および任意選択でさらなる溶媒、例えば、アルコール類(例えばエタノール、イソプロパノール、ブチルジグリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール)、エーテル類(例えばジプロピレンモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル)およびエステル類(例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)が混合されて、プレエマルションが形成される。必要ならば、これは、撹拌、Ultra-Turrax、溶解器ディスク、高圧ホモジナイザー、超音波ホモジナイザー、または当業者に公知の他の分散方法のような適切な機械的補助によって、さらに処理され得る。
【0063】
それから、重合は、アゾ化合物、例えばアゾビスイソブチロニトリル、アゾビスバレロニトリル、2、2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)ジヒドロ塩化物、および2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロリド、ヒドロペルオキシド類、例えばクメンヒドロペルオキシドおよびtert-ブチルヒドロペルオキシド、ジアルキルペルオキシド、例えば、ジ-tert-ブチルペルオキシドおよびジクメンペルオキシド、ペルオキシエステル類、例えば、tert-ブチルペルベンゾエート、ジアシルペルオキシド類、例えば、ベンゾイルペルオキシドおよびラウロイルペルオキシド、無機ペルオキシド類、例えば、過硫酸アンモニウムおよび過硫酸カリウム、またはそれらの組み合わせのようなラジカルイニシエーターとともに撹拌しながら、40~90℃の温度で不活性ガスを用いて通常は開始される。
【0064】
さらに、アルキルチオール類のような鎖レギュレーターを用いて共重合体の鎖長を制御することができる。完全な重合後のポリマー懸濁液の固形含有量は、総質量に対して15~40重量%である。
【0065】
非イオン性、アニオン性および/またはカチオン性界面活性剤またはそれらの混合物は、表面活性物質(界面活性剤)として用いられる。好ましい非イオン性界面活性剤は、例えば、脂肪酸のアルコキシル化産物、脂肪酸エステル類、脂肪酸アミド類、脂肪族アルコール類、糖誘導体である。6~22個の炭素原子を有する直鎖または分岐脂肪族アルコール類のエトキシ化産物(単独または混合して用いられる)が好ましい。コカミドプロピルベタインは、両性界面活性剤として用いられ得る。カチオン性界面活性剤の例は、第4級アンモニウム塩、例えば、ジ-(C10~C24)-アルキルジメチルアンモニウム塩化物、(C10~C24-アルキルジメチルエチルアンモニウム塩化物または臭化物、(C10~C24)-アルキルトリメチルアンモニウム塩化物または臭化物、(C10~C24)-アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩化物、アルキルメチルポリオキシエチレンアンモニウム塩化物、臭化物またはモノアルキル硫酸塩、有機酸または無機酸との8~24個の炭素原子を有する第1級、第2級および第3級脂肪アミンの塩類、有機酸または無機酸との8~24個の炭素原子を有するエトキシ化第1級および第2級脂肪アミンの塩類、イミダゾリニウム誘導体またはエステルクォートである。ジ-(C10~C24)-アルキルジメチルアンモニウム塩化物、(C10~C24)-アルキルトリメチルアンモニウム塩化物または臭化物、有機酸または無機酸との8~24個のC原子を有する第1級、第2級および第3級脂肪アミンの塩類、および、エステルクォートが、好ましくは用いられる。アニオン性界面活性剤の例は、ラウリル硫酸ナトリウムのような脂肪族アルコール硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムのようなスルホン酸アルキル、および、ステアリン酸ナトリウムのような脂肪酸塩である。
【0066】
好ましい実施態様では、成分(2)(すなわち、純粋な共重合体)は、製剤(Z)の合計に基づいて、10~90重量%、好ましくは20~80重量%、より好ましくは30~70重量%、または5~30重量%を構成する。
【0067】
成分(3)の追加は任意選択である。上述のブロックされていないまたは少なくとも部分的にブロックされたジ-、トリ-またはポリイソシアネート(IC)は、好ましくは成分(3)として用いられる。成分(3)の化合物は、ブースターとしても呼ばれて、撥水特性を有する。同時に、イソシアネート(IC)の多官能性に起因して、ほとんどの基材上に存在する官能基の間で架橋が生じて(例えば-OH、-COOHまたは-NH2基)、成分(1)の未反応の官能基(例えば-OH、-COOHまたは-NH2基)は、洗濯処理に対する耐性を有意に改善させて、摩擦に対する耐性を増大させることができる。
【0068】
成分(3)は、ブロックされていない形態および少なくとも部分的にブロックされた形態の両方で用いられ得る。成分(3)のブロックされていない形態または部分的にブロックされた形態を用いる場合は、適用媒体の反応性の活性水素原子とフリーのNCO基の早発性反応は、プロトン性溶媒または水において用いられる場合、最小化または回避されなければならない。これは、ブロックされていないまたは部分的にブロックされたポリイソシアネートが、これらの適用媒体において制限されたポットライフのみを有することを意味する。
【0069】
成分(3)が、適用媒体から活性水素原子を有する布地に適用される場合は、適切なブロッキング剤を用いてブロッキングすることによる、反応性NCO基の完全な保護がしばしば必要である。好ましいブロックされたイソシアネート(IC)は、既に上述されている。完全なブロッキングを達成するために、少し化学量論的に過剰のブロッキング剤が通常用いられる。製品が水性適用のために製造される場合は、ブロックされたジ-、トリ-またはポリイソシアネート(必要ならば有機溶媒中に溶解される)は、適切な表面活性物質(界面活性剤)を用いて乳化されなければならない。
【0070】
特定の実施態様では、水中での自己乳化能が改善されたジ-、トリ-またはポリイソシアネート(成分(3))の誘導体もまた、ブースターとして用いられ得る。好ましくは、ポリアルコキシモノアルキルエーテルによって改変されたジ-、トリ-またはポリイソシアネート(IC)、特に、ポリエチレンオキシドモノアルキルエーテルによって改変されたジ-、トリ-またはポリイソシアネート(IC)(上記参照)が、成分(3)として用いられる。これらの誘導体は、水に添加された場合に製剤の他の成分との良好な適合性および高い安定性を有する微細な粒子エマルションを自然発生的に形成する。
【0071】
製剤の合計に基づいて、好ましくは0~50重量%、好ましくは1~35重量%、より好ましくは5~35重量%、より好ましくは5~25重量%、さらにより好ましくは5~15重量%の成分(3)が用いられる。成分(3)は、いかなる処方の補助もなく、溶媒含有の無水媒体から直接用いられてもよい。
【0072】
本発明に係る製剤は、水および/または少なくとも1つの有機溶媒をさらに含んでよい。好ましくは、成分(4)は、水または水と少なくとも1つの有機溶媒との混合物である。好ましい有機溶媒は、酢酸エチル、酢酸n‐プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n-ブチル、酢酸イソブチルまたは酢酸アミルのようなエステル類、アセトンまたはメチルエチルケトンのようなケトン類、および、n-ヘキサン、n-ヘプタンまたはn-オクタンのような飽和炭化水素類からなる群より選択される。
【0073】
成分(4)は、別個に添加されてよく、または、成分(1)、(2)、(3)および/または(5)と一緒に製剤中に取り込まれてよい。個々の成分(1)、(2)および任意選択で(3)および(5)は、溶液または懸濁液、例えば分散またはエマルション、より好ましくはエマルション、より好ましくは水中油エマルションとして成分(4)を用いて、好ましくは別個に調製されて、それから、本発明に係る製剤へ処方される。
【0074】
好ましい実施態様では、成分(4)は、製剤(Z)の合計に対して、20~99.9重量%、好ましくは40~99.8重量%、より好ましくは50~99重量%を占める。
【0075】
本発明に係る製剤(Z)は、少なくとも1つの表面活性物質をさらに含んでよい。表面活性物質は、好ましくは界面活性剤である。成分(5)は、特に、製剤が懸濁液、特に分散またはエマルションの形態である場合に用いられる。界面活性剤は、相、特に水相中の油相の分配をできるだけ均一にするのを確実にする。特に、非イオン性、カチオン性またはアニオン性界面活性剤が、表面活性物質として用いられる。
【0076】
好ましい非イオン性、アニオン性またはカチオン性界面活性剤は、上述のとおりである。
【0077】
成分(5)は、別個に添加されてよく、または、成分(1)、(2)、(3)および/または(4)と一緒に製剤中に取り込まれてよい。個々の成分(1)、(2)および任意選択で(3)は、溶液または懸濁液、例えば分散またはエマルション、より好ましくはエマルション、より好ましくは水中油エマルションとして成分(5)を用いて、好ましくは別個に調製されて、それから、本発明に係る製剤へ処方される。
【0078】
成分(5)の通常の適用量は、成分(1)、(2)、任意選択で(3)および/または任意選択で(5)の合計量に基づいて、好ましくは0~20重量%、好ましくは1~20重量%、より好ましくは2~15重量%である。
【0079】
本発明に係る製剤(Z)は、少なくとも1つの変換産物(CDI)をさらに含んでよい。変換産物(CDI)は、好ましくは、以下のステップ
a)少なくとも1つのジ-、トリ-またはポリイソシアネート(IC)を提供するステップ、
b)少なくとも1つのイソシアネート反応基を含む少なくとも1つの有機化合物(O)と(IC)を反応させるステップ(ここでイソシアネート反応基に対するイソシアネート基のモル比は、10:1~3:2、好ましくは4:1~2:1に調節される)、および
c)25~150℃、好ましくは40~100℃の温度で、触媒を用いて、ステップb)の後に存在する産物をカルボジイミド化するステップによって得られる。
【0080】
あるいは、変換産物(CDI)は、以下のステップ
a)少なくとも1つのジ-、トリ-またはポリイソシアネート(IC)を提供するステップ、
b)25~150℃、好ましくは40~100℃の温度で、触媒を用いて、(IC)のカルボジイミド化するステップ;および
c)少なくとも1つのイソシアネート反応基を含む少なくとも1つの有機化合物(O)と、ステップb)の後に存在する産物を反応させるステップ(ここでイソシアネート反応基に対するイソシアネート基のモル比は、1:1の比に調節される)
によって得ることができる。
【0081】
好ましくは、有機化合物(O)は、モノアミン、モノアルコール、ジアミン、ジオール、ポリアミンおよびポリオール、好ましくはモノアミン、モノアルコール、ジアミンおよびジオールからなる群より選択される。特に好ましいのは、以下からなる群より選択される有機化合物(O)である。
R9-OH、
R9-NH2、
HO-R10-OHおよび
H2N-R10-NH2、ここで
R9は、-CO-O-、-CO-、-CO-NH-および-O-から選択される少なくとも1つの基を任意選択で含んでもよく、少なくとも1つのポリアルキレンオキシド、カチオン性、アニオン性および/または両性基によって置換されてもよい、12~40個の炭素原子を有する飽和または不飽和炭化水素残基であり、および
R10は、-CO-O-、-CO-、-CO-NH-および-O-から選択される少なくとも1つの基を任意選択で含んでもよく、少なくとも1つのポリアルキレンオキシド、カチオン性、アニオン性および/または両性基によって置換されてもよい、12~40個の炭素原子を有する飽和または不飽和炭化水素残基である。
【0082】
カチオン性基は、アンモニウム(amonium)基から選択されてよい。アニオン性基は、カルボキシレート、スルホネートおよび/またはホスフェート基から選択されてよい。両性基は、好ましくは、ベタインおよび/またはスルホベタインから選択される。好ましい実施態様では、モノアルコールは、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、グリセロールジステアレート、グリセロールジベヘネート、ペンタエリスリトールトリステアレート、ソルビタントリステアレート、トリエタノールアミンジステアレートおよびそれらの混合物から選択される。好ましいモノアミンは、ステアリルアミン、ジステアリルアミン、脂肪酸とジエタノールアミンの変換産物およびそれらの混合物である。適切なジアミンは、例えば二量体脂肪酸ジアミンである。適切なジオールは、例えば、二量体脂肪酸ジオールである。
【0083】
好ましくは、カルボジイミド化は、触媒方法で生じる。触媒は当業者に公知であり、ホスホレンオキシド類、特に3-メチル-1-フェニル-2-ホスホレンオキシド、1-メチル-3-ホスホレンオキシド、1-メチル-2-ホスホレンオキシド、1,3-ジメチル-2-ホスホレンオキシドおよび1,3-ジメチル-3-ホスホレンオキシド、および水銀化合物から選択されてよい。
【0084】
カルボジイミド化は通常、25~150℃、好ましくは40~100℃、より好ましくは50~80℃の温度で行なわれる。触媒は、好ましくは、カルボジイミド化の間に存在するイソシアネート基に基づき0.1~1モル%で用いられる。
【0085】
好ましい実施態様では、変換産物(CDI)の含有量は、製剤の合計に対して、好ましくは0~50重量%、好ましくは1~50重量%、より好ましくは5~35重量%、さらにより好ましくは5~15重量%である。変換産物(CDI)は、上述のように、水および/または少なくとも1つの有機溶媒中に、溶解または分散されていてもよい。この場合、本明細書に記載の表面活性物質(界面活性剤)が用いられてもよい。変換産物(CDI)は、別個に添加されてよく、または、成分(1)、(2)および/または任意選択で(3)および/または任意選択で(4)および/または任意選択で(5)と一緒に製剤中に組み込まれてよい。
【0086】
変換産物(CDI)は、いかなる処方の補助もなく、溶媒含有の無水媒体から直接用いられてもよい。
【0087】
好ましくは、本発明に係る製剤は、ワックス成分を含まない。
【0088】
本発明に係る製剤(Z)は、好ましくは懸濁液、好ましくは分散またはエマルションの形態、または溶液の形態である。製剤は、好ましくはエマルション(20℃)または分散(20℃)である。これらの場合、製剤(Z)の固形含有量(成分(1)+(2)+任意選択で(3)+任意選択で(5))は、製剤の合計に対して、好ましくは20~99重量%、好ましくは15~35重量%である。
【0089】
任意選択で、さらなる可溶化剤、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、モノ-またはジエチレングリコールモノブチルエーテルまたはN-メチルピロリドンが用いられ得る。乳化は、高圧均質機の助けによって行われてよい。
【0090】
懸濁液の調製のために、二次エマルションの形成に関する公知の方法が用いられる。通常、乳化温度は、用いられる成分(1)、(2)および任意選択で(3)の活性物質の溶融範囲よりも上、好ましくは50~80℃である。可能な限り最も微細な、特に、安定したエマルションを生産するために、粗大なプレエマルションがしばしば最初に生産されて、その粒子がそれから、高圧ホモジナイザーの助けによって、0.1~10マイクロメートルの必要な平均粒子サイズに縮小される。
【0091】
成分(4)、特に有機溶媒は、懸濁液または溶液の調製後に、例えば蒸留によって、少なくとも部分的に除去されてもよい。
【0092】
通常、成分(1)、(2)および任意選択で(3)は、別個に調製されて、適切な場合は成分(4)および/または(5)を懸濁液または溶液として用いて、その後に、製剤(Z)へ製剤化される。
【0093】
本発明は、さらに、疎水化剤としての、特に、布地または繊維、例えば、織物基材、紙、革、および、ミネラル布地(mineral fabrics)、または、紡績糸、より糸またはロープのような線状の織物の上の疎水化剤としての、本発明に係る製剤の使用に関する。製剤は、好ましくは、処理される布地の重量に基づいて、0.5~5重量%、好ましくは0.5~3重量%の固形物質のコーティングによって、疎水化のために布地に適用される。
【0094】
本発明の文脈における「繊維」は、天然繊維および合成繊維である。天然繊維は、好ましくは、綿、ウールまたはシルクである。合成繊維または人工繊維は、天然または合成ポリマーから合成的に生産されて、好ましくは、ポリエステル、ポリオレフィン、好ましくはポリエチレンまたはポリプロピレン、より好ましくはポリプロピレン、ポリアミド、ポリアラミド、例えば、Kevlar(登録商標)およびNomex(登録商標)、ポリアクリロニトリル、エラスタンまたはビスコースで作られる。
【0095】
本発明の文脈における織物は、いくつかの繊維で作られる。織物は、好ましくは線状または平坦である。「線状の織物」は、例えば、紡績糸、より糸またはロープを意味する。「平坦な織物」は、好ましくは、不織布、フエルト、織布、メリヤス生地および編物である。本発明によれば、織物は、天然繊維および合成繊維のブレンドを含んでもよい。
【0096】
特に好ましいものは、織物基材で作られた布地、例えば、織布、メリヤス生地、事前に強化された繊維フリース(不織布)である。織物基材は、ウールまたは綿のような天然のままの繊維、または、PES-PAのような合成繊維、および再生繊維およびそれらの組み合わせで作られてよい。
【0097】
織物の布地の上に用いられる場合、本発明に係る製剤は、織物産業で一般に用いられる織物用助剤と組み合わされてもよい。しわ解消(wrinkle release)特性を改善する薬剤、例えば、様々な度合のメチロール化のメチロールメラミンエーテルまたはジヒドロキシエチレン尿素のメチロール化合物が特記されるべきである。さらに、耐炎性を改善する、または織物の布地に好ましい手触りを与える織物用助剤も考慮され得る。しかしながら、所望の物品の手触りは、本発明に係る成分(1)~(3)の組み合わせによってのみ達成され得て、そのことは、これらの場合においてさらなる織物用助剤が不要であり得る理由である。
【0098】
また、布地は、公知の製紙方法に従って、この適用分野において通例の全ての基本材料から生産され得る紙で作られてもよい。本発明に係る製剤は、製紙原料への添加剤として、または、ローラー、スキージまたはエアブラシのコーティング処理を用いたコーティングシステム、およびその後の赤外線、熱気またはシリンダー乾燥を用いて、機械で滑らかにされた紙の表面への適用によって、適用され得る。
【0099】
革の布地もまた、本発明に係る製剤による仕上げに十分適する。適用が、なめし革工場の下流で仕上げ処理において行なわれる場合、これは、公知の適用方法で、または、噴霧または含浸によって行なわれ得る。
【0100】
他の織物の布地の処理も可能である。例えば、染色されていないタイル、セラミックパーツまたは壁表面のようなミネラル布地は、本発明に係る仕上げ液に浸漬することによって、優れた撥水性が与えられ得る。
【0101】
別の実施態様では、本発明に係る製剤(Z)は、ペンキ、ニス、または、プラスターにおいて疎水化するための添加剤として用いられ得る。この場合、本発明に係る製剤の割合は、通常、組成物全体に対して、1~10重量%の本発明に係る製剤の固形物質である。
【0102】
本発明の別態様は、本発明に係る製剤(Z)を基材に適用することによる、基材、特に上述の布地の疎水化のための方法である。適用は、当業者に公知の方法によって、例えば、噴霧、浸漬、含浸、塗装またはスポンジ適用によって行われる。織物基材の場合は、製剤は、強制適用(forced application)によって、または排出方法(exhaust method)によって、適用され得る。通常、所望の濃度の液が強制適用において提供されて、40~100%の溶液吸収を有する水性媒体の強制適用を用いてパッダーに適用される。
【0103】
本発明に係る方法は、さらに、好ましくは、処理後ステップを、特に乾燥のために含む。好ましくは、製剤(Z)によって仕上げられた基材は、最初に、約80~110℃、より好ましくは90~100℃で事前乾燥されて、それから、約30~170℃、好ましくは140~160℃で、好ましくは1~5分間、より好ましくは1~4分間処理される。加熱処理の持続時間は、それぞれの場合において、適用される温度に依存する。
【0104】
多くの既製品が、家庭において家庭用洗濯機で、または業務用洗濯機で洗濯されていて、またはドライクリーニングに供されている。撥油、撥水および汚れ防止の処理がされている衣服は、洗濯またはクリーニングの結果として、これらの特性が喪失される。これらの特性は、上述の方法に従って本発明に係る製剤を用いて洗濯された織物基材の後処理をすることによって、回復されて再活性化され得る。したがって、好ましくは、この方法は、既に(数回)洗濯された織物基材に関しても用いられる。
【0105】
洗濯された織物基材は、本発明に係る製剤の溶液を遠心性の湿った洗濯物の上に注いで、それからタンブラー内でそれらを乾燥させることによって、洗濯または遠心ドラム内で処理される。
【実施例】
【0106】
布地の仕上げ、撥水性
以下の実施例は、本発明を説明する。仕上げは、タイプLFV 350/2「RFA」(Benz,Switzerland)実験用パッダー上で織物の布地に適用されて、その後に、タイプTKF 15/M 350(Benz,Switzerland)実験用張力フレーム上で乾燥および加熱処理した。溶液吸収は、適用の前後に、仕上げられた試験サンプルを量り分けることによって決定された。
【0107】
改変された基材を、標準的な気候(20℃、65%相対的湿度)において、調和の24時間後に試験した。コーティング量および加熱処理の条件を表3aおよび3bに挙げる。
【0108】
撥水性を、AATCC Standard Test Method 22による噴霧試験およびDIN 53 888によるさらにより区別された「Bundesmann試験」の両方によって、織物の布地上で試験した。AATCC Standard Test Method 22による試験は、試験される織物基材上に、制御された条件下で蒸留水を噴霧して、それから、試験方法に挙げられた評価標準の画像に対して、濡れた模様を視覚的に比較することによって行なわれる。規定の数値は、水噴霧後の表面の見た目を指し、以下の意味を有する:
100=水滴の付着なし、または上面の濡れ
90=孤立した水滴の付着、または上面の濡れ
80=水インパクト点における上面の濡れ
70=上面全体の部分的な濡れ
50=上面全体の完全な濡れ
0=全体的な上面および下面の完全な濡れ(ずぶ濡れ)。
【0109】
DIN 53 888による「Bundesmann試験」では、試験される織物基材は、規定された人工的な雨の作用に曝されて、特定の期間後に吸収された水の量がパーセンテージとして決定される(表3aおよび3bにおいて「水吸収」と記される)。さらに、表3aおよび3bにおいて「ビーディング効果」と指定される水ビーディング効果が評価に用いられる。これは、以下のように指定される5グレードに従って、DIN標準において挙げられる画像と、湿らされた試験サンプルの視覚的な比較によって評価される:
グレード5=小さな液滴が活発に転がり落ちる
グレード4=より大きな液滴の形成
グレード3=試験サンプルの所々に液滴がこびりつく
グレード2=部分的に濡れた試験サンプル
グレード1=試験サンプルは、表面全体にわたって湿潤または灌流される。
【0110】
仕上げられた織物の布地の洗濯処理に対する耐性を試験するために、試験サンプルを60℃で洗濯して、EN ISO6330:2000に従って乾燥させた。
【0111】
通気性、移行試験の決定
処理されていないポリエステル外布および通気性Sympatex膜からなる積層を、本発明に係る製剤によって仕上げる。製剤は、ポリエステル外布上に、ポンプスプレーを用いて、引き伸ばされた積層の片側に適用される。適用およびコーティング量は、表3cに見ることができる。
【0112】
水蒸気透過性は、JIS L 1099 Method B2によって測定される。疎水化剤によって仕上げられた積層は、酢酸カリウムで満たされたカップの上に引き伸ばされる。これを、引き伸ばされた側を濡れたフリース上にして逆さまに置いて、膜を通して吸湿性の塩によって吸収された水の量を測定する。したがって、通気性の値は、g/24h/m2で得られる。
【0113】
蓄熱試験-移行試験
処理された積層(表3c)を60℃で1週間、オーブン内で保管する。それから、通気性を決定して、元の値と比較した通気性の損失をパーセンテージ(%)として計算する。目的は、損失を出来る限り最小にすることである。
【0114】
層間剥離-接着
パディング処理によって仕上げられたPES布地サンプル(表4)を、対応する接着性不織布と一緒にサンドイッチのような様式で積層する。この目的のために、接着性不織布を、2つの仕上げられた布地サンプル間に置いて、Wagner社由来のサーマルプリントプレス(モデル:Motifprint Printstar)を用いて2.5バールの圧力で135℃にて30秒間、構造を圧縮させる。接着を試験するために、それから、30×5cmの測定試験検体を打ち抜く。接着は、Zwick試験機によるDIN 54310と同様に測定される。値は、分離力として与えられる。分離力が高ければ高いほど、接着が高くなる。
【0115】
以下の市販製品を用いた:
Ruco-Guard WEB:固形含有量:25%、ブタノンオキシムによってブロックされた芳香族ポリイソシアネートの水性エマルション;Rudolf GmbH
Ruco-Guard AFB6 conc.:固形含有量:27%、2-ペルフルオロヘキシペチル(perfluorohexypethyl)メタクリレートを含むフルオロカーボンポリマーに基づく疎油化および疎水化剤の水性エマルション、Rudolf GmbH
Freepell 1225:固形含有量:25%、パラフィンワックスおよび脂肪酸改変メラミン樹脂の水性エマルション、Emerald Performance Materials
Phobotex APK:固形含有量:25%、パラフィンワックスおよび脂肪酸アルミニウム塩の水性エマルション、Huntsman
Xiameter MEM-0075:固形含有量:60%、反応性メチル水素ポリシロキサンの水性エマルション、Xiameter
Lutensol ON 110:イソデカノール11 EO;BASF
Arquad 2C75:ジココスジメチルアンモニウム(Dicocosdimethylammonium)塩化物、Akzo Nobel
Ethoquat HT25:ステアリル-N,N-ポリオキシエチレンメチルアンモニウム塩化物、Akzo Nobel
【0116】
成分(1)の生産に関する実施例
化合物(A)
式(AI)および/または(AII)の化合物(A)に関する一般的な製造指示
表1に挙げた出発原料(a1、a2またはa3)および(b1)を、蒸留冷却器、制御可能な撹拌器および内部温度計を備える適切な寸法の三つ口フラスコ内で、表1に挙げたグラム量で、不活性ガス下で溶解および撹拌する。それから、表1に規定される最終温度(T)まで混合物を加熱して、それ以上変換水が留去されず表1に規定される酸価(AN)に到達するまで撹拌する。必要に応じて、エステル化反応において触媒として0.1%硫酸が添加されてよい。アミド化反応は、触媒の添加を必要としない。生じる凝縮産物を注ぎ出して、冷却後にフラスコ中へ処理する。
【0117】
化合物(A)
アルキルイソシアネート(b2)を用いた式(AI)および/または(AII)の化合物(A)に関する特別な製造指示および変換産物(S)へのさらなる処理
表1にグラムで挙げられる化合物(a1)および(b2)を、還流冷却器、調節可能な撹拌器、内部温度計および滴下漏斗を備える適切な寸法の三つ口フラスコ内で、酢酸イソプロピル(溶媒(SO))内に提供する。それから、成分の合計量に基づいて、触媒として0.05%の1,4-ジアザビシクロ(2,2,2)オクタンを添加して、IRスペクトルにおいてNCOバンドがそれ以上見えなくなるまで、混合物を80℃で撹拌する。それから、表1に規定される成分(IC)のグラム量を混合物に添加して変換産物(S)を調製して、IRスペクトルにおいてNCOバンドがそれ以上見えなくなるまで、80℃で撹拌を続ける。
【0118】
変換産物(S)(=成分(1)):
化合物(A)およびブロックされていないまたは部分的にブロックされたジ-、トリ-またはポリイソシアネート(IC)からの変換産物(S)に関する一般的な製造指示
化合物(A)および表1に挙げた成分(IC)を、還流凝縮器、調節可能な撹拌器、内部温度計および滴下漏斗を備える適切な寸法の三つ口フラスコ内で、表1に挙げたグラム量で、酢酸イソプロピル(SO)内に提供する。それから、成分の合計量に基づいて、触媒として0.05%の1,4-ジアザビシクロ(2,2,2)オクタンを添加して、IRスペクトルにおいてNCOバンドがそれ以上見えなくなるまで、混合物を65℃で撹拌する。
【0119】
エマルション(E)3および8において用いられる変換産物(S)(=成分1)に関する特別な製造指示
変換産物(S)を用いて、表1に従ってエマルション(E)3を調製して、その調製中に(イソシアネート(IC)による成分(A)の変換)、表1に示されるグラム量のジメチルアミノエタノールを添加する。変換産物(S)を用いて、表1に従ってエマルション(E)8を調製して、その調製中に(イソシアネート(IC)による成分(A)の変換)、表1に示されるグラム量のビスオクタデシルアミンを添加する。
【0120】
エマルション(E):
変換産物(S)(=成分(1))からのエマルション(E)に関する一般的な製造指示
油相:適切なサイズのビーカー内で、上記の酢酸イソプロピル内に存在する表1に提供される変換産物(S)のグラム量を提供して、透明な均質溶液が得られるまで撹拌しながら65~70℃に加熱する。用いられる変換産物(S)は、均質な産物を得るために使用前に65~70℃で溶解されるべきであり得る。
【0121】
水相:適切な寸法のビーカー内で、表1に提供される成分(5)のグラム量を、指示された量の水に65℃で溶解させる。両方の相を高速撹拌器の下で撹拌して粗いプレ-エマルションを形成して、それから、0.1~10マイクロメートルの平均粒子サイズが得られるまで300~500バールで高圧均質機において65℃にて均質化する。それから、真空内のロータリーエバポレーター上で共沸蒸留によって溶媒(SO)を除去する。必要に応じて、得られたエマルションのpH値を60%酢酸によって5~7に調節して、得られた白いエマルションを、20マイクロメートルのフィルターを通して濾過して、水によって25%の固形含有量に調節する。
【0122】
成分(2)の生産に関する実施例
アクリル酸2-[[(オクタデシルアミン)カルボニル]オキシ]エチルエステルは、EP0448399B1の実施例2と同様に生産される。
【0123】
共重合体エマルション(CE(1))
62.7g(0.150モル)アクリル酸2-[[(オクタデシルアミン)カルボニル]オキシ]エチルエステル、11.1g(0.078モル)イソブチルメタクリレートおよび1.5g(0.015モル)グリシジルメタクリレートを、20gのジプロピレングリコールと一緒に混合して、80℃に加熱する。並行して、0.25gのEthoquad HT 25、1.0gのArquad 2C75および7.7gのLutensol ON 110(145gの水中)の溶液を、別個の容器において80℃で調製する。それから、水相および有機相を、強い撹拌下でUltra-Turraxを用いて混合して、それから、細かく分割されたエマルションが形成されるまで3分間、超音波ホモジナイザーを用いて均質化する。プレ-エマルションを三つ口フラスコに移す。窒素による繰り返しの不活化後に、0.18gのラウリルメルカプタンをプレ-エマルションに添加する。約80℃で1.05gの2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン)ジヒドロクロリドを添加することにより重合を開始する。80℃でさらに4時間撹拌して、約32%の固形含有量を有する白いエマルションを得る。
モル比(モル[%]):モノマーM’(1):モノマーM’(2):モノマーM’(3)=例えば63:32:5
【0124】
共重合体エマルション(CE(2))
265.2g(0.75モル)ステアリルメタクリレート、29.5g(0.21モル)tert-ブチルメタクリレートおよび2.63g(0.012モル)グリシジルメタクリレートおよび2.63g(0.02モル)2-ヒドロキシエチルメタクリレートを、79.5gのジプロピレングリコールと混合して、60℃に加熱する。並行して、1.0gのEthoquad HT 25、4.0gのArquad 2C75および30.8gのLutensol ON 110(600gの水中)の溶液を、別個の容器において60℃で調製する。それから、水相および有機相を、強い撹拌下でUltra-Turraxを用いて混合して、それから、細かく分割されたエマルションが形成されるまで3分間、超音波ホモジナイザーを用いて均質化する。プレ-エマルションを三つ口フラスコに移す。窒素による繰り返しの不活化後に、0.72gのラウリルメルカプタンをプレ-エマルションに添加する。約60℃で4.2gの2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)ジヒドロクロリドを添加することによって重合を開始する。60℃でさらに4時間撹拌して、約32%の固形含有量を有する白いエマルションを得る。
モル比(モル[%]):モノマーM’(1):モノマーM’(2):モノマーM’(3)=例えば76:21:3
【0125】
共重合体エマルション(CE(3))
275.0g(0.67モル)ベヘニルメタクリレート、19.0g(0.096モル)2-エチルヘキシルメタクリレートおよび2.63g(0.012モル)グリシジルメタクリレートを、79.5gのジプロピレングリコールと一緒に混合して、60℃に加熱する。並行して、5.0gのEthoquad HT 25および30.8gのLutensol ON 110(600gの水中)の溶液を、別個の容器において60℃で調製する。それから、水相および有機相を、強い撹拌下でUltra-Turraxを用いて混合して、それから、細かく分割されたエマルションが形成されるまで3分間、超音波ホモジナイザーを用いて均質化する。プレ-エマルションを三つ口フラスコに移す。窒素による繰り返しの不活化後に、0.72gのラウリルメルカプタンをプレ-エマルションに添加する。約60℃で4.2gの2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)ジヒドロクロリドを添加することによって重合を開始する。60℃でさらに4時間撹拌して、約32%の固形含有量を有する白いエマルションを得る。
モル比(モル[%]):モノマーM’(1):モノマーM’(2):モノマーM’(3)=例えば86:12:2
【0126】
共重合体エマルション(CE(4))
265.0g(0.67モル)ベヘニルアクリレート、25.0g(0.18モル)tert-ブチルメタクリレート、2.63g(0.02モル)2-ヒドロキシエチルメタクリレートおよび2.63g(0.012モル)グリシジルメタクリレートを、79.5gのジプロピレングリコールと混合して、60℃に加熱する。並行して、5.0gのEthoquad HT 25および30.8gのLutensol ON 110(600gの水中)の溶液を、別個の容器において60℃で調製する。それから、水相および有機相を、強い撹拌下でUltra-Turraxを用いて混合して、それから、細かく分割されたエマルションが形成されるまで3分間、超音波ホモジナイザーを用いて均質化する。プレ-エマルションを三つ口フラスコに移す。窒素による繰り返しの不活化後に、0.72gのラウリルメルカプタンをプレ-エマルションに添加する。約60℃で4.2gの2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)ジヒドロクロリドを添加することによって重合を開始する。60℃でさらに4時間撹拌して、約32%の固形含有量を有する白いエマルションを得る。
モル比(モル[%]):モノマーM’(1):モノマーM’(2):モノマーM’(3)=例えば76:20:4
【0127】
変換産物((CDI)1)の調製
還流冷却器、調節可能な撹拌器および内部温度計を備える適切な寸法の三つ口フラスコ内で、174g(1モル)トルエンジイソシアネート(2,4-異性体:2,6-異性体 80:20の混合物)を、309gのメチルエチルケトン中に溶解させる。それから、混合物を約80℃にゆっくり加熱しながら135g(0.5モル)ステアリルアルコールを一部で添加する。1時間撹拌後、フリーのNCO含有量を決定する。ステアリルアルコールが完全に変換されている場合は、0.7gのLUBIO Polykat 2(ホスホレンオキシド誘導体)を添加してカルボジイミド化反応が開始される。IRスペクトルにおいてNCOバンドがそれ以上見えなくなるまで、反応混合物を80℃で9時間加熱する。
【0128】
1.73gのEthoquad HT 25、0.65gのArquad 2C75および1.29gのLutensol ON 110を、適切な寸法のビーカー内で65℃にて346gの水中に溶解させる。
【0129】
それから、水相および200gの反応混合物を高速撹拌器によって撹拌して粗いプレ-エマルションを形成して、続いて、0.1~10マイクロメートルの平均粒子サイズが得られるまで、300~500バールで高圧均質機において65℃にて均質化する。それから、真空内のロータリーエバポレーター上で蒸留によって溶媒を除去する。必要に応じて、得られたエマルションのpH値を60%酢酸によって5~7に調節して、得られた白いエマルションを、20マイクロメートルのフィルターを通して濾過して、水によって20%の固形含有量に調節する。
【0130】
変換産物((CDI)2)の調製
還流冷却器、調節可能な撹拌器および内部温度計を備える適切な寸法の三つ口フラスコ内で、174g(1モル)トルエンジイソシアネート(2,4-異性体:2,6-異性体 80:20の混合物)を、328gのメチルエチルケトン中に溶解させる。それから、混合物を約80℃にゆっくり加熱しながら82g(0.25モル)ベヘニルアルコールおよび71g(0.13モル)Pripol 23(二量体脂肪酸ジオール)を一部で添加する。1時間の撹拌後、フリーのNCO含有量を決定する。2つのアルコールが完全に変換されている場合は、0.7gのLUBIO Polykat 2(ホスホレンオキシド誘導体)を添加してカルボジイミド化反応が開始される。IRスペクトルにおいてNCOバンドがそれ以上見えなくなるまで、反応混合物を80℃で9時間加熱する。
【0131】
0.73gのEthoquad HT 25、1.65gのArquad 2C75および1.29gのLutensol ON 110を、適切な寸法のビーカーにおいて65℃で346gの水中に溶解させる。
【0132】
それから、水相および200gの反応混合物を高速撹拌器によって撹拌して粗いプレ-エマルションを形成して、続いて、0.1~10マイクロメートルの平均粒子サイズが得られるまで、300~500バールで高圧均質機において65℃にて均質化する。それから、真空内のロータリーエバポレーター上で蒸留によって溶媒を除去する。必要に応じて、得られたエマルションのpH値を60%酢酸によって5~7に調節して、得られた白いエマルションを、20マイクロメートルのフィルターを通して濾過して、水によって20%の固形含有量に調節する。
【0133】
本発明に係る製剤(Z)の調製
成分(1)および(5)を含む表1に挙げたエマルション(E)を、成分(2)と混合する。適切な場合は、成分(3)および(4)(水)を、適切な場合は、(CDI)を、提示された重量比で混合して、表2aおよび5に提示された製剤(Z)をもたらす。表2bは、本出願の実施例において変更されずに(unchanged)用いられる非発明の疎水化剤を挙げる。
【0134】
仕上げの実施例
織物の布地への水ベースの製剤(Z)の適用:
仕上げ条件および試験結果を、表3a、3b、3c、4、6、7、8および9に提供する。