(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】珪石煉瓦を製造するための焼結助剤、複合珪石煉瓦及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
C04B 35/14 20060101AFI20221220BHJP
C01B 33/12 20060101ALI20221220BHJP
C01B 33/14 20060101ALI20221220BHJP
F27D 1/00 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
C04B35/14
C01B33/12 A
C01B33/14
F27D1/00 N
(21)【出願番号】P 2021145743
(22)【出願日】2021-09-07
【審査請求日】2021-09-07
(31)【優先権主張番号】202110701772.8
(32)【優先日】2021-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】521238731
【氏名又は名称】シノスチール ルオナイ マテリアルズ テクノロジー コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リュウ ヨン
(72)【発明者】
【氏名】ドン ボー
(72)【発明者】
【氏名】チェン ヤン
【審査官】小川 武
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第03684538(US,A)
【文献】特開昭63-252961(JP,A)
【文献】特開平05-156257(JP,A)
【文献】特開2018-039691(JP,A)
【文献】特公昭47-023167(JP,B1)
【文献】MANIVASAKAN Pら,Effect of TiO2 Nanoparticles on properties of Silica Refractory,J.Am.Ceram.Soc.,2010年,Vol.93 No.8,p.2236-2243
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 35/00-35/84
C01B 33/12
C01B 33/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコン含有材料及
び焼結助剤を含
む混合材料の焼結体である珪石煉瓦であって、
前記混合材料は、カルボキシルメチルセルロースナトリウムをさらに含んでもよく、
前記焼結助剤は、シリカゾル、水酸化アルミニウム及びチタンホワイトを含み、
前記シリコン含有材料は、溶融石英骨材、溶融石英微粉及び珪岩微粉を含み、
前記混合材料において、前記溶融石英骨材が45~65部であり、前記溶融石英微粉が10~35部であり、前記珪岩微粉が10~30部であり、前記焼結助剤が3~6部であり、前記カルボキシルメチルセルロースナトリウムが0~0.5部であり、
前記焼結助剤における前記シリカゾルの含有量が40~80%であり、前記水酸化アルミニウムの含有量が15~50%であり、前記チタンホワイトの含有量が1~10%である、
ことを特徴とする珪石煉瓦。
【請求項2】
前記シリカゾルの固形分が20~30%である、
ことを特徴とする請求項1に記載の珪石煉瓦。
【請求項3】
前記溶融石英骨材は、シリカの含有量が96%以上で、シリカの非晶質の含有量が85%以上であり
、粒度が3~1mmである部分の含有量が40~55%であり、粒度が1~0.5mmである部分の含有量が21~38%であり、粒度が0.5~0mmである部分の含有量が21~38%であるものであり、
前記溶融石英微粉は、粒度が0.088mm以下であり、且つシリカの含有量が90%以上であるものであり、
前記珪岩微粉は、粒度が0.088mm以下であり、且つシリカの含有量が90%以上であるものであ
る、
ことを特徴とする請求項
1又は2に記載の珪石煉瓦。
【請求項4】
溶融石英骨材を撹拌し、そして、焼結助剤を入れて撹拌し、その後、溶融石英微粉及び珪岩微粉を入れて撹拌して、予備成形混合材料を作製するステップ1)と、
ステップ1)で作製された混合材料を所望形状の素体にプレス成形するステップ2)と、
ステップ2)で成形された素体に対して乾燥、焼結を行うステップ3)と
を含む、
ことを特徴とする
、請求項
1~3のいずれか1項に記載の珪石煉瓦の製造方法。
【請求項5】
前記ステップ1)において、前記撹拌が混練機で行われ、
前記ステップ1)において、溶融石英骨材を混練機に入れて1~3分間撹拌して、焼結助剤を入れて1~3分間撹拌して、溶融石英微粉及び珪岩微粉を入れて15~20分間撹拌し、
前記ステップ1)において、撹拌総時間が20分間以上であり、
前記ステップ1)において、前記混練機が、遊星型混練機又は強制ミキサであり、
前記ステップ2)において、プレス成形するときの成形圧力が300トン以上であり、
前記ステップ2)において、成形プレスにより成形を行い、
前記成形プレスが、トン数が300トン以上の摩擦プレス、プログラム制御式電動プレス又は液圧プレスであり、
前記ステップ3)において、前記ステップ2)で成形された素体を120℃以下の環境で20時間以上乾燥して、焼成窯内に入れて、35℃/h以下の昇温速度で焼結を行い、
前記ステップ3)の焼成窯が、電熱式又は燃焼式シャトルキルンであり、
前記ステップ3)の焼結温度が、800~1050℃である、
ことを特徴とする請求項
4に記載の珪石煉瓦の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、珪石煉瓦製造の分野に属し、より具体的に、珪石煉瓦を製造するための焼結助剤及びその製造方法、ならびに、上記焼結助剤を利用して製造された非晶質-結晶質複合珪石煉瓦及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の珪石煉瓦は、破粋された天然な珪岩を主原材料とし、生産される場合、石英の焼結過程に発生する体積膨張を緩和するために、酸化カルシウム、酸化第一鉄、酸化アルミニウム及び二酸化マンガンなどの成分が鉱化剤として加えられ、焼結するとき、シリカと共同作用してガラス相を形成し、石英粒子が包まれ、石英粒子が浸潤されるので、石英の焼結膨張が大幅に低下し、緻密な構造の製品が形成された。しかし、このような方法の欠点は、高温で使用される場合、上記の添加された鉱化剤の成分が極めて有害であることにある。
【0003】
したがって、珪石煉瓦の技術発展は、以下の2つの方向がある。その1、従来の珪岩を原材料とし、鉱化剤の添加量を減少させ、焼結時間を延びることにより、石英の焼結過程に発生する膨張を緩和する。しかし、該方法による効果が限られ、生産された珪石煉瓦のSiO2含有量が通常97%を超えず、そのミクロ構造において石英粒子が十分に浸潤されていないことによる裂け目が存在するため、使用効果に影響される。その2、珪岩に対してプリ処理を行い、即ち、酸洗、高温溶融を経て溶融石英(溶融石英がガラス質の非晶質構造のものであり、溶融石英におけるSiO2含有量が99.5%以上に達することができる)を製造して、それを利用して生産された製品であるSiO2の含有量が99%以上に達することができ、1000℃以下の場合、体積が安定し、膨張率がほぼゼロである。しかし、該方法の欠点は、高温(1000℃以上)下で使用される場合、非晶質から漸次にクリストバライトへ転化し、転化の過程において、0.9%の体積収縮が発生するため、窯炉の使用にとって非常に危険なことであり、窯炉の変形、「珪石煉瓦の突出」などのリスクを容易に招く。
【0004】
したがって、珪石煉瓦を製造するための焼結助剤、及びそれを利用して製造された珪石煉瓦の開発が急務である。該珪石煉瓦は、有害な成分を減少させることができ、低温での体積安定性を保証しながら、窯炉高温組積造の全体性を保証でき、さらに、窯炉の変形、「珪石煉瓦の突出」などの現象の発生リスクを低減させることができるとともに、高温寿命を増やすことができる。
これを鑑みて、本出願を提出する。
【発明の概要】
【0005】
本出願は、従来技術における珪石煉瓦の毒性が高く、結合強度が弱く、高温寿命が短いなどの技術問題を解決できる珪石煉瓦を製造するための新な焼結助剤を提供することを第1の目的とする。
【0006】
本出願は、操作が容易で、再現性が良い方法であって、それにより製造された珪石煉瓦の毒性が弱く、結合強度が高く、高温寿命が長い、上記焼結助剤の製造方法を提供することを第2の目的とする。
【0007】
本出願は、従来技術における珪石煉瓦の毒性が高く、結合強度が弱く、低温体積安定性、窯炉高温組積造全体性を良く実現できなく、且つ高温寿命が短いなどの技術問題を解決できる珪石煉瓦を提供することを第3の目的とする。
【0008】
本出願は、操作が容易で、再現性が良い方法であって、それにより製造された珪石煉瓦の毒性が弱く、結合強度が高く、低温体積安定性も窯炉高温組積造全体性も実現することができ、高温寿命が長い上記珪石煉瓦の製造方法を提供することを第4の目的とする。
【0009】
本出願の上記目的を実現するため、以下の技術案を採用する。
【0010】
本出願の第1実施形態による焼結助剤は、シリカゾル、水酸化アルミニウム及びチタンホワイトを含む。任意選択で、上記シリカゾルは、ナノレベルのシリカのコロイド粒子を含む。前記焼結助剤は、珪石煉瓦を製造するために用いられる。
【0011】
本出願の第1実施形態による焼結助剤を利用して珪石煉瓦を製造する場合、成形されるとき、複合物が超微細構造を有するため、結合強度が向上する。使用される場合、1300℃以上になると、ムライトウィスカーを形成するので、製品の結合強度を向上させることができる。焼結助剤に含まれるチタンホワイトは、溶融石英の晶析速度を効果的に安定させる。具体的に、本出願に係るシリカゾル、特にシリカゾルにおけるナノレベルのシリカのコロイド粒子は、生産過程において、結合の役割を果たすことができ、焼結の過程において、水酸化アルミニウム微粉末とで局部でムライト相を形成することができるので、素体の強度を向上させることができる。また、チタンホワイトの添加により、非晶質シリカの転化を抑えることができ、製品の体積安定性を向上させる効果を達することができる。
【0012】
このため、本出願に係る焼結助剤を利用して珪石煉瓦を製造する場合、それを利用して製造された珪石煉瓦が、毒性が低くなり、製品の結合強度が高くなり、窯炉の変形するリスクを大幅に低下させることができ、高温寿命が長くなる。
【0013】
任意選択で、本出願の第1実施形態では、前記焼結助剤におけるシリカゾルの含有量が40~80%であり、水酸化アルミニウムの含有量が15~50%であり、チタンホワイトの含有量が1~10%であり、例えば、前記焼結助剤において、シリカゾルの含有量が40%、42%、44%、46%、48%、50%、52%、54%、56%、58%、60%、62%、64%、66%、68%、70%、72%、74%、76%、78%、80%などであってもよいが、これらに限定されない。前記焼結助剤において、水酸化アルミニウムの含有量が15%、17%、19%、21%、23%、25%、27%、29%、31%、33%、35%、37%、39%、41%、43%、45%、47%、49%、50%などであってもよいが、これらに限定されない。前記焼結助剤において、チタンホワイトの含有量が1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%などであってもよいが、これらに限定されない。
【0014】
任意選択で、前記シリカゾル、水酸化アルミニウム及びチタンホワイトの重量比が40~80:15~50:1~10であり、40:15:1、50:20:3、60:30:5、70:40:7、80:50:10、40:50:1、50:45:3、60:35:5、70:25:7、80:15:10などであってもよいが、最適な重量比が10:3:0.5であり、この場合、本出願の効果が最適である。
【0015】
任意選択で、本出願の第1実施形態では、前記シリカゾルの固形分が20~30%であり、例えば、20%、22%、24%、26%、28%、30%などであってもよいが、これらに限定されない。
【0016】
本出願の第2実施形態による焼結助剤の製造方法は、シリカゾル、水酸化アルミニウム、チタンホワイトを混合して共粉砕を行うステップを含む。前記焼結助剤は、珪石煉瓦を
製造するために用いられる。
【0017】
任意選択で、本出願の第2実施形態では、前記共粉砕時間は2時間以上であり、例えば、2時間、2.5時間、3時間、4時間、5時間以上であってもよいが、これらに限定されない。
【0018】
本出願の第2実施形態における他の具体的な内容は、第1実施形態に具体的に記載された内容を参照できる。本出願の第2実施形態による焼結助剤の製造方法は、製造の操作が容易で、再現性が良く、それを利用して製造された珪石煉瓦が、毒性が低くなり、製品の結合強度が高くなり、高温寿命が長くなり、且つ窯炉の変形するリスクを大幅に低下させることができる。
【0019】
本出願の第3実施形態による珪石煉瓦は、シリコン含有材料及び本出願の第1実施形態による焼結助剤を含む。
【0020】
本出願の第3実施形態では、前記シリコン含有材料は、溶融石英及び珪岩微粉を含み、任意選択で、溶融石英骨材、溶融石英微粉及び珪岩微粉を含む。このため、本出願によれば、非晶質-結晶質複合珪石煉瓦を製造できる。該珪石煉瓦の利点として、SiO2の含
有量が従来の珪石煉瓦より高く、高温で長時間使用されても収縮しなく、微小構造が安定である。そして、従来の単一の珪岩原材料又は単一の溶融石英原材料を添加することと異なり、本出願は、低温領域の体積安定性を保証することができるとともに、使用温度での窯炉組積造全体性を保証することができる。本出願の第3実施形態による珪石煉瓦は、SiO2の含有量が高く、毒性が弱く、結合強度が高く、低温体積安定性も窯炉高温組積造全体性も実現することができ、窯炉の変形するリスクを大幅に低下させることができ、高温寿命が長い。
【0021】
任意選択で、本出願において、溶融石英骨材は、シリカの含有量が96%以上で、シリカの非晶質の含有量が85%以上であり、その臨界粒度が3mmであり、具体的な特徴として、粒度が3~1mmである部分の含有量が40~55%であり、粒度が1~0.5mmである部分の含有量が21~38%であり、粒度が0.5~0mmである部分の含有量が21~38%であり、前記溶融石英微粉は、粒度が0.088mm以下であり、且つシリカの含有量が90%以上であり、前記珪岩微粉は、粒度が0.088mm以下であり、且つシリカの含有量が90%以上である。
【0022】
溶融石英骨材において、シリカの含有量は、例えば、96%、96.5%、97%、97.5%、98%、98.5%、99%、99.5%などであってもよいが、これらに限定されない。
【0023】
溶融石英骨材において、シリカの非晶質の含有量は、例えば、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%などであってもよいが、これらに限定されない。
【0024】
溶融石英骨材において、粒度が3~1mmである部分の含有量は、例えば、40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%などであってもよいが、これらに限定されない。粒度が1~0.5mmである部分の含有量は、例えば、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、35%、36%、37%、38%などであってもよいが、これらに限定されない。粒度が0.5~0mmである部分の含有量は、例えば、21%、22%、23%、24%、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、3
5%、36%、37%、38%などであってもよいが、これらに限定されない。
【0025】
前記溶融石英微粉は、粒度が0.088mm以下であり、シリカの含有量が90%以上である。粒度は、例えば、0.088mm、0.086mm、0.084mm、0.082mm、0.08mm、0.07mm、0.06mm、0.05mmなどであってもよいが、これらに限定されない。シリカの含有量は、例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%などであってもよいが、これらに限定されない。
【0026】
前記珪岩微粉は、粒度が0.088mm以下であり、シリカの含有量が90%以上である。粒度は、例えば、0.088mm、0.086mm、0.084mm、0.082mm、0.08mm、0.07mm、0.06mm、0.05mmなどであってもよいが、これらに限定されない。シリカの含有量は、例えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%などであってもよいが、これらに限定されない。
【0027】
任意選択で、本出願の第3実施形態では、カルボキシルメチルセルロースナトリウムをさらに含む。
【0028】
任意選択で、本出願の第3実施形態では、前記珪石煉瓦は、溶融石英骨材45~65部、溶融石英微粉10~35部、珪岩微粉10~30部、焼結助剤3~6部及びカルボキシルメチルセルロースナトリウム0~0.5部を含む。例えば、溶融石英骨材は、45部、47部、49部、51部、53部、55部、57部、59部、61部、63部、65部などであってもよいが、これらに限定されない。溶融石英微粉は、10部、12部、14部、16部、18部、20部、22部、24部、26部、28部、30部、32部、34部、35部などであってもよいが、これらに限定されない。珪岩微粉は、10部、12部、14部、16部、18部、20部、22部、24部、26部、28部、30部などであってもよいが、これらに限定されない。焼結助剤は、3部、3.5部、4部、4.5部、5部、5.5部、6部などであってもよいが、これらに限定されない。カルボキシルメチルセルロースナトリウムは、0.1部、0.2部、0.3部、0.4部、0.5部などであってもよいが、これらに限定されない。
【0029】
本出願の第4実施形態による珪石煉瓦の製造方法は、溶融石英骨材を撹拌し、そして、焼結助剤を入れて撹拌し、その後、溶融石英微粉及珪岩微粉を入れて撹拌して、予備成形混合材料を作製するステップ1)と、ステップ1)で作製された混合材料を所望形状の素体にプレス成形するステップ2)と、ステップ2)で成形された素体に対して乾燥、焼結を行うステップ3)とを含む。
【0030】
任意選択で、本出願の第4実施形態では、ステップ1)において、前記撹拌が混練機で行われ、前記混練機が、例えば、遊星型混練機又は強制ミキサなどであってもよいが、これらに限定されない。
【0031】
任意選択で、本出願の第4実施形態では、ステップ1)において、溶融石英骨材を混練機に入れて1分間撹拌して、焼結助剤を入れて1~3分間撹拌して(例えば、1分間、1.5分間、2分間、2.5分間、3分間などであってもよいが、これらに限定されない)、溶融石英微粉及び珪岩微粉を入れて15~20分間撹拌する(例えば、15分間、16分間、17分間、18分間、19分間、20分間などであってもよいが、これらに限定されない)。
【0032】
任意選択で、ステップ1)において、撹拌総時間は20分間以上であり、例えば、25
分間、30分間、35分間、40分間、45分間、50分間以上などであってもよいが、これらに限定されない。
【0033】
任意選択で、ステップ1)において、溶融石英骨材45~65部、溶融石英微粉10~35部、珪岩微粉10~30部、焼結助剤3~6部及びカルボキシルメチルセルロースナトリウム0~0.5部を混合する。
【0034】
任意選択で、前記ステップ2)において、プレス成形するときの成形圧力が300トン以上であり、例えば、300トン、320トン、340トン、360トン、380トン、400トン、500トン、600トン、700トン、800トン、900トン、1000トンなどであってもよいが、これらに限定されない。任意選択で、前記ステップ2)において、成形プレスにより成形を行い、任意選択で、前記成形プレスが、トン数が300トン以上の摩擦プレス、プログラム制御式電動プレス又は液圧プレスである。
【0035】
任意選択で、前記ステップ3)において、前記ステップ2)で成形された素体を120℃以下の環境で20時間以上乾燥して、焼成窯内に入れて、35℃/h以下の昇温速度で焼結を行い、任意選択で、前記ステップ3)の焼成窯は、電熱式又は燃焼式シャトルキルンであり、任意選択で、前記ステップ3)の焼結温度は、800~1050℃であり、例えば、800℃、850℃、900℃、950℃、1000℃、1050℃などであってもよいが、これらに限定されない。
【0036】
本出願の第4実施形態による珪石煉瓦の製造方法によれば、製造の操作が容易で、再現性が良いとともに、製造した珪石煉瓦のSiO2の含有量が高くなり、毒性が弱くなり、結合強度が高くなり、低温体積安定性も窯炉高温組積造全体性も実現することができ、高温寿命が長い。
【0037】
従来技術に比べて、本出願の有益効果は、以下の通りである。
【0038】
本出願に係る珪石煉瓦を製造するための新たな焼結助剤によれば、製造の操作が容易で、再現性が良いとともに、それを利用して製造された珪石煉瓦の毒性が低くなり、製品の結合強度が高くなり、高温寿命が長くなる。
【0039】
本出願に係る新たな珪石煉瓦によれば、その製造の操作が容易で、再現性が良いとともに、製造できた珪石煉瓦のSiO2の含有量が高くなり、毒性が弱くなり、結合強度が高くなり、低温体積安定性も窯炉高温組積造全体性も実現することができ、高温寿命が長い。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、具体的な実施形態を用いて本出願の技術案を明瞭且つ完全に説明し、以下で説明される実施例が本出願を説明するための一部の実施例にすぎず、すべての実施例ではなく、本出願の範囲を限定するものとみなすべきではない。本出願の実施例をもとに、当業者が発明能力を用いることなく得たすべての他の実施例も、本出願の保護範囲に属する。実施例において、具体的な条件を明記しないことについて、従来の条件又はメーカーの勧めの条件の下で行うことが可能である。使用する試剤又は器械の、製造メーカーが明記されないものが、市販の従来品を使用することが可能である。
【0041】
実施例1
溶融石英骨材48部、溶融石英微粉18部、珪岩微粉28.4部、焼結助剤5.5部及びカルボキシルメチルセルロースナトリウム0.1部を用意した。ここで、焼結助剤シリカゾル、水酸化アルミニウム及びチタンホワイトの重量配合比が10:3:0.5であっ
た。溶融石英骨材を混練機に入れて2分間撹拌して、焼結助剤を入れて3分間撹拌して、溶融石英微粉及び珪岩微粉を入れて17分間撹拌した。さらに、成形プレスにより400トンの成形圧力で成形を行い、110℃の環境で24時間乾燥し、シャトルキルン内で850℃で焼成した。
【0042】
実施例2
溶融石英骨材52部、溶融石英微粉19部、珪岩微粉23.8部、焼結助剤5.0部及びカルボキシルメチルセルロースナトリウム0.2部を用意した。ここで、焼結助剤シリカゾル、水酸化アルミニウム及びチタンホワイトの重量配合比が10:3:0.5であった。溶融石英骨材を混練機に入れて2分間撹拌して、焼結助剤を入れて3分間撹拌して、溶融石英微粉及び珪岩微粉を入れて17分間撹拌した。さらに、成形プレスにより400トンの成形圧力で成形を行い、110℃の環境で24時間乾燥し、シャトルキルン内で880℃で焼成した。
【0043】
実施例3
溶融石英骨材58部、溶融石英微粉25部、珪岩微粉12.1部、焼結助剤4.5部及びカルボキシルメチルセルロースナトリウム0.4部を用意した。ここで、焼結助剤シリカゾル、水酸化アルミニウム及びチタンホワイトの重量配合比が10:3:0.5であった。溶融石英骨材を混練機に入れて2分間撹拌して、焼結助剤を入れて3分間撹拌して、溶融石英微粉及び珪岩微粉を入れて17分間撹拌した。さらに、成形プレスにより400トンの成形圧力で成形を行い、110℃の環境で24時間乾燥し、シャトルキルン内で900℃で焼成した。
【0044】
実施例4
溶融石英骨材45部、溶融石英微粉21部、珪岩微粉29.7部、焼結助剤4.0部及びカルボキシルメチルセルロースナトリウム0.3部を用意した。ここで、焼結助剤シリカゾル、水酸化アルミニウム及びチタンホワイトの重量配合比が10:3:0.5であった。溶融石英骨材を混練機に入れて2分間撹拌して、焼結助剤を入れて3分間撹拌して、溶融石英微粉及び珪岩微粉を入れて17分間撹拌した。さらに、成形プレスにより400トンの成形圧力で成形を行い、110℃の環境で24時間乾燥し、シャトルキルン内で950℃で焼成した。
【0045】
実施例5
溶融石英骨材65部、溶融石英微粉10部、珪岩微粉21.9部、焼結助剤3.0部及びカルボキシルメチルセルロースナトリウム0.1部を用意した。ここで、焼結助剤シリカゾル、水酸化アルミニウム及びチタンホワイトの重量配合比が10:3:0.5であった。溶融石英骨材を混練機に入れて2分間撹拌して、焼結助剤を入れて3分間撹拌して、溶融石英微粉及び珪岩微粉を入れて17分間撹拌した。さらに、成形プレスにより400トンの成形圧力で成形を行い、110℃の環境で24時間乾燥し、シャトルキルン内で1000℃で焼成した。
【0046】
実施例6
溶融石英骨材52部、溶融石英微粉19部、珪岩微粉23.8部、焼結助剤5.0部及びカルボキシルメチルセルロースナトリウム0.2部を用意した。ここで、焼結助剤シリカゾル、水酸化アルミニウム及びチタンホワイトの重量配合比が8.5:4:1であった。溶融石英骨材を混練機に入れて2分間撹拌して、焼結助剤を入れて3分間撹拌して、溶融石英微粉及び珪岩微粉を入れて17分間撹拌した。さらに、成形プレスにより630トンの成形圧力で成形を行い、110℃の環境で24時間乾燥し、シャトルキルン内で1050℃で焼成した。
【0047】
実施例7
溶融石英骨材52部、溶融石英微粉19部、珪岩微粉23.8部、焼結助剤5.0部及びカルボキシルメチルセルロースナトリウム0.2部を用意した。ここで、焼結助剤シリカゾル、水酸化アルミニウム及びチタンホワイトの重量配合比が7:5.5:1である。溶融石英骨材を混練機に入れて2分間撹拌して、焼結助剤を入れて3分間撹拌して、溶融石英微粉及び珪岩微粉を入れて17分間撹拌した。さらに、成形プレスにより630トンの成形圧力で成形を行い、110℃の環境で24時間乾燥し、シャトルキルン内で850℃で焼成した。
【0048】
実施例8
溶融石英骨材52部、溶融石英微粉19部、珪岩微粉23.8部、焼結助剤5.0部及びカルボキシルメチルセルロースナトリウム0.2部を用意した。ここで、焼結助剤シリカゾル、水酸化アルミニウム及びチタンホワイトの重量配合比が6:6.5:0.5であった。溶融石英骨材を混練機に入れて2分間撹拌して、焼結助剤を入れて3分間撹拌して、溶融石英微粉及び珪岩微粉を入れて17分間撹拌した。さらに、成形プレスにより630トンの成形圧力で成形を行い、110℃の環境で24時間乾燥し、シャトルキルン内で850℃で焼成した。
【0049】
比較例1
溶融石英骨材52部、溶融石英微粉19部、珪岩微粉23.8部、焼結助剤5.0部及びカルボキシルメチルセルロースナトリウム0.2部を用意した。ここで、焼結助剤シリカゾル、水酸化アルミニウム及びチタンホワイトの重量配合比が5:7:1であった。溶融石英骨材を混練機に入れて2分間撹拌して、焼結助剤を入れて3分間撹拌して、溶融石英微粉及び珪岩微粉を入れて10分間撹拌した。さらに、成形プレスにより400トンの成形圧力で成形を行い、110℃の環境で24時間乾燥し、シャトルキルン内で850℃で焼成した。
【0050】
比較例2
溶融石英骨材48部、溶融石英微粉38部、珪岩微粉8.8部、焼結助剤5.0部及びカルボキシルメチルセルロースナトリウム0.2部を用意した。ここで、焼結助剤シリカゾル、水酸化アルミニウム及びチタンホワイトの重量配合比が5:7:1であった。溶融石英骨材を混練機に入れて2分間撹拌して、焼結助剤を入れて3分間撹拌して、溶融石英微粉及び珪岩微粉を入れて10分間撹拌した。さらに、成形プレスにより400トンの成形圧力で成形を行い、110℃の環境で24時間乾燥し、シャトルキルン内で850℃で焼成した。
【0051】
比較例3
溶融石英骨材48部、溶融石英微粉38部、珪岩微粉8.8部、焼結助剤5.5部及びカルボキシルメチルセルロースナトリウム0.1部を用意した。ここで、焼結助剤シリカゾル、水酸化アルミニウム及びチタンホワイトの重量配合比が10:3:0.5であった。溶融石英骨材を混練機に入れて2分間撹拌して、焼結助剤を入れて3分間撹拌して、溶融石英微粉及び珪岩微粉を入れて10分間撹拌した。さらに、成形プレスにより400トンの成形圧力で成形を行い、110℃の環境で24時間乾燥し、シャトルキルン内で850℃で焼成した。
【0052】
比較例4
溶融石英骨材45部、溶融石英微粉21部、珪岩微粉29.7部、焼結助剤4.0部及びカルボキシルメチルセルロースナトリウム0.3部を用意した。ここで、焼結助剤シリカゾル、水酸化アルミニウム及びチタンホワイトの重量配合比が10:3:0.5であった。溶融石英骨材を混練機に入れて2分間撹拌して、焼結助剤を入れて3分間撹拌して、
溶融石英微粉及び珪岩微粉を入れて17分間撹拌した。さらに、成形プレスにより400トンの成形圧力で成形を行い、110℃の環境で24時間乾燥し、シャトルキルン内で750℃で焼成した。
【0053】
比較例5
溶融石英骨材52部、溶融石英微粉19部、珪岩微粉23.8部、焼結助剤5.0部及びカルボキシルメチルセルロースナトリウム0.2部を用意した。ここで、焼結助剤シリカゾル、水酸化アルミニウム及びチタンホワイトの重量配合比が7:5.5:1であった。溶融石英骨材を混練機に入れて2分間撹拌して、焼結助剤を入れて3分間撹拌して、溶融石英微粉及び珪岩微粉を入れて17分間撹拌した。さらに、成形プレスにより400トンの成形圧力で成形を行い、110℃の環境で24時間乾燥し、シャトルキルン内で1150℃で焼成した。
【0054】
実験例1
シリカの測定は、GB/T 6901シリカ質耐火材料化学分析方法の規定により行われた。
【0055】
実験例2
耐圧強度の測定は、GB/T 5072耐火材料の常温耐圧強度試験方法の規定により行われた。
【0056】
実験例3
気孔率及び体積密度の測定は、GB/T 2997緻密定形耐火製品の体積密度、見掛け気孔率及び真気孔率試験方法の規定により行われた。
【0057】
実験例4
熱線膨張率の測定は、GB/T 7320耐火材料の熱膨張試験方法の規定により行われた。
【0058】
実験例5
荷重軟化温度の測定は、YB/T 370耐火製品荷重軟化温度試験方法(非示差-昇
温法)の規定により行われた。
上記実験例に基づいて、実施例1~8及び比較例1~5を測定し、その結果が下記の表1~3に示される。
【0059】
【0060】
【0061】
【0062】
上記の実施例1~8及び比較例1~5の内容から分かるように、本出願の実施例により製造された珪石煉瓦は、比較例の方法により製造された珪石煉瓦に比べて、そのシリカの含有量、耐圧強度、体積密度及び荷重軟化温度が高く、且つ気孔率及び熱線膨張率が低い。特に、本出願の実施例による珪石煉瓦は、比較例により製造された珪石煉瓦に比べて、その耐圧強度、熱線膨張率及びシリカの含有量の増加が顕著である。
これから分かるように、本発明に係る珪石煉瓦によれば、別途、鉱化剤として酸化カルシウム、酸化第一鉄、酸化アルミニウム及び二酸化マンガンなどを用いる必要がないため、これによる危害を防止することができ、即ち、毒性を低下させることができる。そして、これに基づいて、本発明に係る珪石煉瓦のシリカの含有量が98%より高く、ひいては99%以上に達することができ、耐圧強度、体積密度及び荷重軟化温度が高く、気孔率及び熱線膨張率が低いため、非常に優れた耐摩耗性、耐収縮性、硬度などの物理化学特性を有し、且つ結合強度が高く、高温寿命が長い。つまり、本発明によれば、製造された珪石煉瓦のSiO2含有量が高くなり、毒性が弱くなり、結合強度が高くなり、低温体積安定性も窯炉高温組積造全体性も実現することができ、高温寿命が長くなる。
【0063】
さらに、実施例2、6~8及び比較例1から分かるように、特定の重量比のシリカゾル、水酸化アルミニウム及びチタンホワイトを焼結助剤として用いる場合、その範囲を超える比較例1に比べて、珪石煉瓦のシリカの含有量、耐圧強度、体積密度及び荷重軟化温度が高くなり、且つ気孔率及び熱線膨張率が低くなる。
【0064】
また、実施例1及び比較例3から分かるように、焼結助剤として添加された組成の比が同じである場合、溶融石英粉及び珪岩微粉の含有量は、その範囲を超える比較例3に比べて、珪石煉瓦のシリカの含有量、耐圧強度、体積密度及び荷重軟化温度を低くすることができ、且つ気孔率及び熱線膨張率を高くすることができる。
【0065】
最後に、実施例2、7及び比較例5などから分かるように、焼成温度が高すぎる場合、本発明の技術効果を実現できない恐れがあり、即ち、測定する各項のパラメータの急激な低下を招く恐れがある。
【0066】
最後に要注意なのは、上記各実施例は、本出願の技術案を説明するためのものにすぎず、それを限定するものではない。上記各実施例を用いて本出願を詳細に説明したが、当業者にとって、上記各実施例に記載された技術案を変更したり、その内の一部或いは全部の技術的特徴に対して均等置換を行ったりすることもできる。これらの変更又は置換は、該当技術案の本質を本出願の各実施例による技術案の範囲から逸脱させない。
【要約】
【課題】本出願は、珪石煉瓦製造の分野に属し、具体的に、珪石煉瓦を製造するための焼結助剤、複合珪石煉瓦及びその製造方法、ならびに、上記焼結助剤を利用して製造された非晶質-結晶質複合珪石煉瓦及びその製造方法に関する。
【解決手段】本出願に係る焼結助剤は、シリカゾル、水酸化アルミニウム及びチタンホワイトを含む。それを利用して製造された珪石煉瓦は、SiO2の含有量が高く、毒性が弱く、結合強度が高く、低温体積安定性も窯炉高温組積造全体性も実現することができ、高温寿命が長い。
【選択図】なし