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特許7197672ドライバ特性推定システム、ドライバ特性推定方法及びコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】ドライバ特性推定システム、ドライバ特性推定方法及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20221220BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20221220BHJP
   G16Y 10/40 20200101ALI20221220BHJP
   G16Y 20/40 20200101ALI20221220BHJP
   G16Y 40/20 20200101ALI20221220BHJP
【FI】
G08G1/00 D
G08G1/16 F
G16Y10/40
G16Y20/40
G16Y40/20
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021213180
(22)【出願日】2021-12-27
【審査請求日】2022-02-25
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 高彰
(72)【発明者】
【氏名】山田 和紀
(72)【発明者】
【氏名】石川 雄一
【審査官】武内 俊之
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-229098(JP,A)
【文献】特開2014-234113(JP,A)
【文献】Chittaranjan G, Blom J, Gatica-Perez D,Mining large-scale smartphone data for personality studies,Personal and Ubiquitous Computing,17(3),2013年,pp.433-450
【文献】Ishikawa Y, Kobayashi A, Minamikawa A, Ono C,Predicting a drivers personality from daily driving behavior,Proceedings of the Tenth International Driving Symposium on Human Factors in Driver Assessment, Training and Vehicle Design,2019年,pp.203-209
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
G01C 21/00-21/36
G01C 23/00-25/00
G16Y 10/40
G16Y 20/40
G16Y 40/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドライバが運転する車両に関する車両データを収集する収集部と、
前記ドライバが所持する携帯端末に基づく契約内容を示す契約データを取得する取得部と、
契約データとドライバの心理特性との関係を機械学習した第1学習モデルと、車両データとドライバの心理特性との関係を機械学習した第2学習モデルとを含む学習済モデルに基づいて、取得した前記契約データ又は車両データと関係する心理特性を導出する導出部と
を備え、
前記導出部は、心理特性に含まれる複数の導出項目の各々について、前記第1習モデルと契約データとから得られる導出項目の精度と、前記第2習モデルと車両データとから得られる導出項目の精度とに基づいて、前記契約データと前記車両データとのいずれかが、導出項目を導出する場合に使用されるかを表した情報に基づいて、取得した契約データ又は車両データを使用して、心理特性に含まれる複数の導出項目の各々を導出し、
前記契約データは、携帯電話事業者との契約内容及び携帯端末を介して行われた事業者との契約内容を示す契約データである、ドライバ特性推定システム。
【請求項2】
前記取得部が取得した前記契約データの特徴を定量的に表した第1特徴量を生成する第1特徴量生成部と、
前記収集部が収集した前記車両の前記車両データの特徴を定量的に表した第2特徴量を生成する第2特徴量生成部と
をさらに備え、
前記導出部は、第1特徴量とドライバの心理特性との関係を機械学習した第1学習モデルと、第2特徴量とドライバの心理特性との関係を機械学習した第2学習モデルとを含む学習済モデルに基づいて、前記第1特徴量又は前記第2特徴量と関係する心理特性を導出する、請求項1に記載のドライバ特性推定システム。
【請求項3】
前記第2特徴量生成部は、前記車両の前記車両データを、前記車両の前記ドライバの運転習慣と前記車両の前記ドライバの運転操作とに分け、前記車両の前記ドライバの運転習慣の特徴を定量的に表した運転習慣特徴量と前記車両の前記ドライバの運転操作の特徴を定量的に表した運転操作特徴量とを生成する、請求項2に記載のドライバ特性推定システム。
【請求項4】
前記第2特徴量生成部は、前記ドライバの前記運転操作を複数の運転場面に分け、複数の運転場面の各々に含まれる車両のドライバの運転操作に基づいて、第2特徴量を生成する、請求項3に記載のドライバ特性推定システム。
【請求項5】
前記導出部は、前記心理特性に含まれる複数の導出項目に応じて、第1特徴量とドライバの心理特性との関係を機械学習した第1学習モデルと、第2特徴量とドライバの心理特性との関係を機械学習した第2学習モデルとのいずれかに基づいて、前記第1特徴量と関係する心理特性又は前記第2特徴量と関係する心理特性を導出する、請求項2から請求項4のいずれか一項に記載のドライバ特性推定システム。
【請求項6】
前記心理特性に含まれる複数の導出項目の各々について、前記第1習モデルと第1特徴量とから得られる導出項目の精度と、前記第2習モデルと第2特徴量とから得られる導出項目の精度とに基づいて、前記第1特徴量と前記第2特徴量とのいずれかが、導出項目を導出する場合に使用される、請求項2から請求項5のいずれか一項に記載のドライバ特性推定システム。
【請求項7】
前記心理特性は、Big5と、運転態度と、負担感受性とのいずれかが含まれる、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のドライバ特性推定システム。
【請求項8】
携帯電話事業者との前記契約内容は、端末の色、端末のメーカ、機種名、OS、機種変更/購入の年月、通信プラン料金、データ容量、通信定額プラン契約有無、スマートバリュー(固定回線とのセット割)利用有無のいずれかを含み、携帯端末を介して行われた事業者との前記契約内容は、電子書籍系サービスの利用有無/月額利用料金、音楽系サービスの利用有無/月額利用料金、動画系サービスの利用有無/月額利用料金、ECサイト利用有無/月額利用料金、ネット銀行加入有無、新電力加入有無のいずれかを含む、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のドライバ特性推定システム。
【請求項9】
コンピュータが実行するドライバ特性推定方法であって、
ドライバが運転する車両に関する車両データを収集するステップと、
前記ドライバが所持する携帯端末に基づく契約内容を示す契約データを取得するステップと、
契約データとドライバの心理特性との関係を機械学習した第1学習モデルと、車両データとドライバの心理特性との関係を機械学習した第2学習モデルとを含む学習済モデルに基づいて、取得した前記契約データ又は前記車両データと関係する心理特性を導出するステップと
を有し、
前記導出するステップでは、心理特性に含まれる複数の導出項目の各々について、前記第1習モデルと契約データとから得られる導出項目の精度と、前記第2習モデルと車両データとから得られる導出項目の精度とに基づいて、前記契約データと前記車両データとのいずれかが、導出項目を導出する場合に使用されるかを表した情報に基づいて、取得した契約データ又は車両データを使用して、心理特性に含まれる複数の導出項目の各々を導出し、
前記契約データは、携帯電話事業者との契約内容及び携帯端末を介して行われた事業者との契約内容を示す契約データである、ドライバ特性推定方法。
【請求項10】
コンピュータに、
ドライバが運転する車両に関する車両データを収集するステップと、
前記ドライバが所持する携帯端末に基づく契約内容を示す契約データを取得するステップと、
契約データとドライバの心理特性との関係を機械学習した第1学習モデルと、車両データとドライバの心理特性との関係を機械学習した第2学習モデルとを含む学習済モデルに基づいて、取得した前記契約データ又は前記車両データと関係する心理特性を導出するステップと
を実行させ、
前記導出するステップでは、心理特性に含まれる複数の導出項目の各々について、前記第1習モデルと契約データとから得られる導出項目の精度と、前記第2習モデルと車両データとから得られる導出項目の精度とに基づいて、前記契約データと前記車両データとのいずれかが、導出項目を導出する場合に使用されるかを表した情報に基づいて、取得した契約データ又は車両データを使用して、心理特性に含まれる複数の導出項目の各々を導出させ、
前記契約データは、携帯電話事業者との契約内容及び携帯端末を介して行われた事業者との契約内容を示す契約データである、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドライバ特性推定システム、ドライバ特性推定方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ドライバの心理状態は、運転の状況に応じて変化する。例えば、ドライバの心理状態には、いらいらしている心理状態、焦っている心理状態、良好な心理状態などがある。
ドライバの心理状態に応じて、より安全性の高い制御に切り替える技術が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-218491号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した技術では、ドライバの心理状態は、顔の表情、脳波、心拍数などを利用して判定される。このため、ドライバの心理状態は、一時的に得られた顔の表情、脳波、心拍数によって変化する。
ドライバの心理状態は、一時的に得られる要素に加えて、恒久的なデータでも判定可能である。車両において、より安全性の高い制御に切り替えるには、ドライバの心理状態の判定精度を向上させることが必要である。
本発明の目的は、ドライバの心理状態の判定精度を向上できるドライバ特性推定システム、ドライバ特性推定方法及びコンピュータプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)本発明の一態様は、ドライバが運転する車両に関する車両データを収集する収集部と、前記ドライバが所持する携帯端末に基づく契約内容を示す契約データを取得する取得部と、契約データとドライバの心理特性との関係を機械学習した第1学習モデルと、車両データとドライバの心理特性との関係を機械学習した第2学習モデルとを含む学習済モデルに基づいて、取得した前記契約データ又は前記車両データと関係する心理特性を導出する導出部とを備え、前記導出部は、心理特性に含まれる複数の導出項目の各々について、前記第1習モデルと契約データとから得られる導出項目の精度と、前記第2習モデルと車両データとから得られる導出項目の精度とに基づいて、前記契約データと前記車両データとのいずれかが、導出項目を導出する場合に使用されるかを表した情報に基づいて、取得した契約データ又は車両データを使用して、心理特性に含まれる複数の導出項目の各々を導出し、前記契約データは、携帯電話事業者との契約内容及び携帯端末を介して行われた事業者との契約内容を示す契約データである、ドライバ特性推定システムである。
(2)本発明の一態様は、上記(1)に記載のドライバ特性推定システムにおいて、前記取得部が取得した前記契約データの特徴を定量的に表した第1特徴量を生成する第1特徴量生成部と、前記収集部が収集した前記車両の前記車両データの特徴を定量的に表した第2特徴量を生成する第2特徴量生成部とをさらに備え、前記導出部は、第1特徴量とドライバの心理特性との関係を機械学習した第1学習モデルと、第2特徴量とドライバの心理特性との関係を機械学習した第2学習モデルとを含む学習済モデルに基づいて、前記第1特徴量又は前記第2特徴量と関係する心理特性を導出する。
(3)本発明の一態様は、上記(2)に記載のドライバ特性推定システムにおいて、前記第2特徴量生成部は、前記車両の前記車両データを、前記車両の前記ドライバの運転習慣と前記車両の前記ドライバの運転操作とに分け、前記車両の前記ドライバの運転習慣の特徴を定量的に表した運転習慣特徴量と前記車両の前記ドライバの運転操作の特徴を定量的に表した運転操作特徴量とを生成する。
(4)本発明の一態様は、上記(3)に記載のドライバ特性推定システムにおいて、前記第2特徴量生成部は、前記ドライバの前記運転操作を複数の運転場面に分け、複数の運転場面の各々に含まれる車両のドライバの運転操作に基づいて、第2特徴量を生成する。
(5)本発明の一態様は、上記(2)から上記(4)のいずれか一項に記載のドライバ特性推定システムにおいて、前記導出部は、前記心理特性に含まれる複数の導出項目に応じて、第1特徴量とドライバの心理特性との関係を機械学習した第1学習モデルと、第2特徴量とドライバの心理特性との関係を機械学習した第2学習モデルとのいずれかに基づいて、前記第1特徴量と関係する心理特性又は前記第2特徴量と関係する心理特性を導出する。
(6)本発明の一態様は、上記(2)から上記(5)のいずれか一項に記載のドライバ特性推定システムにおいて、前記心理特性に含まれる複数の導出項目の各々について、前記第1習モデルと第1特徴量とから得られる導出項目の精度と、前記第2習モデルと第2特徴量とから得られる導出項目の精度とに基づいて、前記第1特徴量と前記第2特徴量とのいずれかが、導出項目を導出する場合に使用される。
(7)本発明の一態様は、上記(1)から上記(6)のいずれか一項に記載のドライバ特性推定システムにおいて、前記心理特性は、Big5と、運転態度と、負担感受性とのいずれかが含まれる。
(8)本発明の一態様は、上記(1)から上記(7)のいずれか一項に記載のドライバ特性推定システムにおいて、携帯電話事業者との前記契約内容は、端末の色、端末のメーカ、機種名、OS、機種変更/購入の年月、通信プラン料金、データ容量、通信定額プラン契約有無、スマートバリュー(固定回線とのセット割)利用有無のいずれかを含み、携帯端末を介して行われた事業者との前記契約内容は、電子書籍系サービスの利用有無/月額利用料金、音楽系サービスの利用有無/月額利用料金、動画系サービスの利用有無/月額利用料金、ECサイト利用有無/月額利用料金、ネット銀行加入有無、新電力加入有無のいずれかを含む。
【0006】
(9)本発明の一態様は、コンピュータが実行するドライバ特性推定方法であって、ドライバが運転する車両に関する車両データを収集するステップと、前記ドライバが所持する携帯端末に基づく契約内容を示す契約データを取得するステップと、契約データとドライバの心理特性との関係を機械学習した第1学習モデルと、車両データとドライバの心理特性との関係を機械学習した第2学習モデルとを含む学習済モデルに基づいて、取得した前記契約データ又は前記車両データと関係する心理特性を導出するステップとを有し、前記導出するステップでは、心理特性に含まれる複数の導出項目の各々について、前記第1習モデルと契約データとから得られる導出項目の精度と、前記第2習モデルと車両データとから得られる導出項目の精度とに基づいて、前記契約データと前記車両データとのいずれかが、導出項目を導出する場合に使用されるかを表した情報に基づいて、取得した契約データ又は車両データを使用して、心理特性に含まれる複数の導出項目の各々を導出し、前記契約データは、携帯電話事業者との契約内容及び携帯端末を介して行われた事業者との契約内容を示す契約データである、ドライバ特性推定方法である。
【0007】
(10)本発明の一態様は、コンピュータに、ドライバが運転する車両に関する車両データを収集するステップと、前記ドライバが所持する携帯端末に基づく契約内容を示す契約データを取得するステップと、契約データとドライバの心理特性との関係を機械学習した第1学習モデルと、車両データとドライバの心理特性との関係を機械学習した第2学習モデルとを含む学習済モデルに基づいて、取得した前記契約データ又は前記車両データと関係する心理特性を導出するステップとを実行させ、前記導出するステップでは、心理特性に含まれる複数の導出項目の各々について、前記第1習モデルと契約データとから得られる導出項目の精度と、前記第2習モデルと車両データとから得られる導出項目の精度とに基づいて、前記契約データと前記車両データとのいずれかが、導出項目を導出する場合に使用されるかを表した情報に基づいて、取得した契約データ又は車両データを使用して、心理特性に含まれる複数の導出項目の各々を導出させ、前記契約データは、携帯電話事業者との契約内容及び携帯端末を介して行われた事業者との契約内容を示す契約データである、コンピュータプログラムである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ドライバの心理状態の判定精度を向上できるドライバ特性推定システム、ドライバ特性推定方法及びコンピュータプログラムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態のドライバ特性推定システムの構成例を示す図である。
図2】本実施形態のドライバ特性推定システムの処理の一例を示す図である。
図3】本実施形態のドライバ特性推定システムの詳細を示す図である。
図4】契約データに含まれる項目の一例を示す図である。
図5】車両データに含まれる項目の一例を示す図である。
図6】Big5の一例を示す図である。
図7】本実施形態のドライバ特性推定装置の処理の一例を示す図である。
図8】本実施形態のドライバ特性推定装置の処理の一例を示す図である。
図9】本実施形態の学習装置の一例を示す図である。
図10】本実施形態の学習装置の処理の一例を示す図である。
図11】実施形態の変形例のドライバ特性推定システムの処理の一例を示す図である。
図12】実施形態の変形例のドライバ特性推定システムに含まれるドライバ特性推定装置の詳細を示す図である。
図13】実施形態の変形例のドライバ特性推定装置の処理の一例を示す図である。
図14】実施形態の変形例のドライバ特性推定装置の処理の一例を示す図である。
図15】実施形態の変形例のドライバ特性推定装置の処理の一例を示す図である。
図16】実施形態の変形例のドライバ特性推定システムの処理の一例を示す図である。
図17】実施形態の変形例の学習装置の一例を示す図である。
図18】実施形態の変形例の学習装置の処理の一例を示す図である。
図19】実施形態の変形例の学習装置の処理の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本実施形態のドライバ特性推定装置、ドライバ特性推定方法及びコンピュータプログラムを、図面を参照しつつ説明する。以下で説明する実施形態は一例に過ぎず、本発明が適用される実施形態は、以下の実施形態に限られない。なお、実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有するものは同一符号を用い、繰り返しの説明は省略する。
また、本願でいう「XXに基づいて」とは、「少なくともXXに基づく」ことを意味し、XXに加えて別の要素に基づく場合も含む。また、「XXに基づいて」とは、XXを直接に用いる場合に限定されず、XXに対して演算や加工が行われたものに基づく場合も含む。「XX」は、任意の要素(例えば、任意の情報)である。
【0011】
(第1の実施形態)
(ドライバ特性推定システム)
図1は、本発明の実施形態のドライバ特性推定システムの構成例を示す図である。図1において、ドライバ特性推定システム1は、ドライバ特性推定装置100を備える。図1には、ドライバ特性推定装置100に加え、携帯端末200と、車両VEに搭載される車載機300とが示されている。携帯端末200の保持者は、車両VEを運転している。以下、携帯端末200の保持者をドライバとも記載する。
ドライバ特性推定装置100と携帯端末200と車載機300とは、ネットワークNWに接続される基地局BSを介して通信する。ネットワークNWは、例えば、インターネット、WAN(Wide Area Network)、LAN(Local Area Network)、プロバイダ装置、無線基地局などを含む。
【0012】
ドライバ特性推定システム1の処理の概要について説明する。
図2は、本実施形態のドライバ特性推定システムの処理の一例を示す図である。
ドライバ特性推定装置100は、携帯端末200のユーザIDと車載機の識別情報(以下「車載機ID」という)とを紐づけて登録する。ここで、車載機IDの代わりに車両IDが登録されてもよい。以下、一例として、車載機IDが登録される場合について説明を続ける。ドライバ特性推定装置100は、ユーザIDの契約データを登録している。ここで、ユーザIDの契約データは、ドライバ特性推定装置100とは異なるサーバに登録されてもよい。以下、一例として、ユーザIDの契約データが、ドライバ特性推定装置100に登録されている場合について説明を続ける。
車載機300は、車両VEのドライバ(ユーザ)の操作情報と車両VEの状態情報とを検出する。車載機300は、検出したドライバの車両VEの操作情報と車両VEの状態情報とを含む車両VEの車両データと車載機IDとを含む車両データ通知を作成し、作成した車両データ通知を、ドライバ特性推定装置100へ送信する(1)。
【0013】
ドライバ特性推定装置100は、車載機300が送信した車両データ通知を受信し、受信した車両データ通知に含まれる車載機IDを取得する。ドライバ特性推定装置100は、取得した車載機IDに紐づけられるユーザIDを記憶部110から取得する。ドライバ特性推定装置100は、取得したユーザIDの契約データを記憶部110から取得する。
ドライバ特性推定装置100は、契約データとドライバの心理特性との関係を機械学習した結果と車両データとドライバの心理特性との関係を機械学習した結果とを含む学習済モデルに基づいて、取得した契約データ又は取得した車両データと関係する心理特性を導出する(2)。
ドライバ特性推定装置100は、心理特性の導出結果を含む心理特性通知を作成し、作成した心理特性通知を出力する(3)。心理特性の導出結果の一例は、BIG5と運転態度(DSQ)と負担感受性(WSQ)とのいずれかである。
【0014】
以下、ドライバ特性推定システム1に含まれるドライバ特性推定装置100と、携帯端末200と、車載機300との各々について、順次説明する。
図3は、本実施形態のドライバ特性推定システムの詳細を示す図である。
(ドライバ特性推定装置100)
ドライバ特性推定装置100は、パーソナルコンピュータ、サーバ、スマートフォン、タブレットコンピュータ又は産業用コンピュータ等の装置によって実現される。ドライバ特性推定装置100は、例えば通信部102と取得部103と作成部104と収集部105と導出部108と記憶部110とを備える。
通信部102は、通信モジュールによって実現される。通信部102は、ネットワークNWを介して、外部の通信装置と通信する。通信部102は、例えば無線LAN、ブルートゥース(登録商標)又はLTE(登録商標)などの無線通信方式で通信してもよい。また、通信部102は、例えば有線LANなどの通信方式で通信してもよい。
通信部102は、車載機300が送信した車両データ通知を受信する。通信部102は、作成部104が出力した心理特性通知を送信する。
【0015】
取得部103は、通信部102が受信した車両データ通知を取得し、取得した車両データ通知に含まれる車載機IDに紐づけられているユーザIDを記憶部110から取得し、取得したユーザIDの契約データを記憶部110から取得する。
記憶部110は、HDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)などにより実現される。
記憶部110は、携帯端末200のユーザIDと車載機IDとを紐づけて登録する。記憶部110は、ユーザIDの契約データと、通知先リストとを記憶する。通知先リストは、ユーザIDとそのユーザIDに該当するユーザへの通知先とを関連付けたユーザ通知先情報と、車載機IDとその車載機IDに該当する車載機への通知先とを関連付けた車載機通知先情報とを含む。通知先の一例は、電話番号などの加入者識別情報、メールアドレスである。
図4は、契約データに含まれる項目の一例を示す図である。図4に示すように、契約データには、端末の色、端末のメーカ、機種名、OS、機種変更/購入の年月、通信プラン料金、データ容量、通信定額プラン契約有無、スマートバリュー(固定回線とのセット割)利用有無が含まれる。さらに、契約データには、電子書籍系サービスの利用有無/月額利用料金、音楽系サービスの利用有無/月額利用料金、動画系サービスの利用有無/月額利用料金、ECサイト利用有無/月額利用料金、ネット銀行加入有無、新電力加入有無、その他が含まれる。
【0016】
収集部105は、通信部102が受信した車両データ通知を取得し、取得した車両データ通知に含まれる車両データと車載機IDとを収集し、記憶部110に取得時刻と関連付けて記憶させる。
図5は、車両データに含まれる項目の一例を示す図である。車両データは、車両VEのドライバの操作情報と、車両VEの状態情報とが含まれる。図5に示すように、車両VEの状態情報には、収集方法、収集周期、走行距離、車速、前後方向加速度、左右方向加速度、上下方向加速度、エンジン始動・終了、シフトポジションが含まれる。さらに、車両VEのドライバの操作情報には、アクセルペダル操作量、ブレーキペダル操作量、ステアリング操舵角が含まれる。車両VEのドライバの操作情報と車両VEの状態情報とに、前述した全項目のうち、一部の項目が含まれてもよい。
【0017】
導出部108は、学習済モデル109を含む。導出部108は、取得部103が取得したユーザIDの契約データを取得する。導出部108は、学習済モデル109に基づいて、取得した契約データと関係する心理特性又は車両データと関係する心理特性を導出する。
学習済モデル109について説明する。学習済モデル109は、契約データとドライバの心理特性との関係を機械学習した結果と、車両データとドライバの心理特性との関係を機械学習した結果とを含む。心理特性の一例は、Big5と運転態度(DSQ)と負担感受性(WSQ)とのいずれかである。Big5によってドライバの性格を推定でき、DSQによってドライバの運転心理を推定でき、WSQによってドライバの運転特性を推定できる。
【0018】
図6は、Big5の一例を示す図である。Big5は、人の性格を5つの軸で定量化したものである。Big5の指標(5つの軸)は、Openness(知的好奇心)、Conscientiousness(誠実性)、Extraversion(外向性)、Agreeableness(協調性)、Neuroticism(情緒不安定性)を含む。Big5は、広告、金融、人事など様々なサービスでの活用が進んでいる。
運転態度(DSQ)と負担感受性(WSQ)とは、運転に関する心理的特性である。DSQ(運転態度)は、運転に取り組む態度や志向、考え方である。DSQの指標は、せっかちな運転傾向、運転に対する消極性などが含まれる。WSQ(負担感受性)は、どのような種類の運転負担を強く感じるかである。WSQの指標は、運転への集中阻害、運転姿勢などが含まれる。
【0019】
学習済モデル109は、心理特性の指標の傾向ごとに契約データを使用して導出するのか車両データを使用して導出するのかが設定されている。
図7は、本実施形態のドライバ特性推定装置の処理の一例を示す図である。図7は、心理特性に含まれる指標(導出対象)と、その指標の傾向と、その指標(導出対象)の傾向を導出するときに使用する使用データとの関係を示す。ここでは、一例として、Big5に含まれる5つの指標と、5つの指標の各々の傾向と、5つの指標の各々を導出するときに使用する使用データとの関係を示す。
図7には、知的好奇心について、高い傾向(high)を導出するときには車両データを使用し、低い傾向(low)を導出するときには契約データを使用することが示されている。誠実性について、高い傾向を導出するときには契約データを使用し、低い傾向を導出するときには車両データを使用することが示されている。外向性について、高い傾向を導出するときには契約データを使用し、低い傾向を導出するときには車両データを使用することが示されている。協調性について、高い傾向を導出するときには車両データを使用し、低い傾向を導出するときには契約データを使用することが示されている。情緒不安定性について、高い傾向を導出するときには車両データを使用し、低い傾向を導出するときには車両データを使用することが示されている。図3に戻り説明を続ける。
【0020】
導出部108は、知的好奇心について高い傾向を導出するときには車両データを学習済モデル109に入力し、学習済モデル109が出力する知的好奇心の高い傾向を示す情報を取得する。導出部108は、知的好奇心について低い傾向を導出するときには契約データを学習済モデル109に入力し、学習済モデル109が出力する知的好奇心の低い傾向を示す情報を取得する。導出部108は、誠実性について高い傾向を導出するときには契約データを学習済モデル109に入力し、学習済モデル109が出力する誠実性の高い傾向を示す情報を取得する。導出部108は、誠実性について低い傾向を導出するときには車両データを学習済モデル109に入力し、学習済モデル109が出力する誠実性の低い傾向を示す情報を取得する。
導出部108は、外向性について高い傾向を導出するときには契約データを学習済モデル109に入力し、学習済モデル109が出力する外向性の高い傾向を示す情報を取得する。導出部108は、外向性について低い傾向を導出するときには車両データを学習済モデル109に入力し、学習済モデル109が出力する外向性の低い傾向を示す情報を取得する。導出部108は、協調性について高い傾向を導出するときには車両データを学習済モデル109に入力し、学習済モデル109が出力する協調性の高い傾向を示す情報を取得する。導出部108は、協調性について低い傾向を導出するときには契約データを学習済モデル109に入力し、学習済モデル109が出力する協調性の低い傾向を示す情報を取得する。
導出部108は、情緒不安定性について高い傾向を導出するときには車両データを学習済モデル109に入力し、学習済モデル109が出力する情緒不安定性の高い傾向を示す情報を取得する。導出部108は、情緒不安定性について低い傾向を導出するときには車両データを学習済モデル109に入力し、学習済モデル109が出力する情緒不安定性の低い傾向を示す情報を取得する。
【0021】
作成部104は、導出部108が取得した心理特性を示す情報とユーザIDと車載機IDとを取得する。具体的には、作成部104は、知的好奇心を示す情報と誠実性を示す情報と外向性を示す情報と誠実性を示す情報と情緒不安定性を示す情報とを取得する。
作成部104は、記憶部110に記憶されている通知先リストからユーザIDに該当するユーザの携帯端末200への通知先と、車載機IDに該当する車載機300への通知先とを取得する。作成部104は、取得した知的好奇心を示す情報と誠実性を示す情報と外向性を示す情報と誠実性を示す情報と情緒不安定性を示す情報とを含む、ユーザの携帯端末200を宛先とする心理特性通知を作成する。作成部104は、作成した心理特性通知を通信部102へ出力する。
また、作成部104は、取得した知的好奇心を示す情報と誠実性を示す情報と外向性を示す情報と誠実性を示す情報と情緒不安定性を示す情報とを含む、車載機300を宛先とする心理特性通知を作成する。作成部104は、作成した心理特性通知を通信部102へ出力する。
【0022】
取得部103、作成部104、収集部105、及び導出部108は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのハードウェアプロセッサが記憶部110に格納されたコンピュータプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。
また、これらの機能部のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアとの協働によって実現されてもよい。
【0023】
(携帯端末200)
携帯端末200は、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレットコンピュータ又は産業用コンピュータ等の装置によって実現される。携帯端末200は、例えば通信部202と出力部209と記憶部210とを備える。
通信部202は、通信モジュールによって実現される。通信部202は、ネットワークNWを介して、外部の通信装置と通信する。通信部202は、例えば無線LAN、ブルートゥース(登録商標)又はLTE(登録商標)などの無線通信方式で通信してもよい。
通信部202は、ドライバ特性推定装置100が送信した心理特性通知を受信する。
【0024】
記憶部210は、HDDやフラッシュメモリ、RAM、ROMなどにより実現される。
出力部209は、通信部202から心理特性通知を取得し、取得した心理特性通知を出力する。出力部209は音声で心理特性通知を出力してもよいし、表示部(図示なし)に表示することで出力してもよい。
出力部209は、例えば、CPUなどのハードウェアプロセッサが記憶部210に格納されたコンピュータプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。また、これらの機能部のうち一部または全部は、LSIやASIC、FPGA、GPUなどのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアとの協働によって実現されてもよい。
【0025】
(車載機300)
車載機300は、カーナビゲーション装置、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレットコンピュータ又は産業用コンピュータ等の装置によって実現される。車載機300は、例えば通信部302と作成部304と検出部306と出力部309と記憶部310とを備える。
通信部302は、通信モジュールによって実現される。通信部302は、ネットワークNWを介して、外部の通信装置と通信する。通信部302は、例えば無線LAN、ブルートゥース(登録商標)又はLTE(登録商標)などの無線通信方式で通信してもよい。
通信部302は、作成部304が出力した車両データ通知を、ドライバ特性推定装置100へ送信する。通信部302は、ドライバ特性推定装置100が送信した心理特性通知を受信する。
【0026】
検出部306は、速度センサ、加速度センサ、ジャイロセンサなどの車両VEの操作と車両VEの状態とを計測できるセンサを含んで構成される。検出部306は、センサがセンシングすることによって得られるセンサ情報を、車両VEの操作情報と車両VEの状態情報として取得する。
作成部304は、検出部306から車両VEの操作情報と車両VEの状態情報とを取得する。作成部304は、車両VEの操作情報と車両VEの状態情報とを含む車両データを作成し、作成した車両データと車載機IDとを含む、ドライバ特性推定装置100を宛先とする車両データ通知を作成する。作成部304は、作成した車両データ通知を、通信部302へ出力する。
【0027】
出力部309は、通信部302から心理特性通知を取得し、取得した心理特性通知を出力する。出力部309は音声で心理特性通知を出力してもよいし、表示部(図示なし)に表示することで出力してもよい。
作成部304、及び出力部309は、例えば、CPUなどのハードウェアプロセッサが記憶部310に格納されたコンピュータプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。また、これらの機能部のうち一部または全部は、LSIやASIC、FPGA、GPUなどのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアとの協働によって実現されてもよい。
【0028】
(ドライバ特性推定システム1の動作)
図8は、本実施形態のドライバ特性推定システムの処理の一例を示す図である。
(ステップS1-1)
車載機300において、検出部306は、センサがセンシングすることによって得られる車両VEの操作情報と車両VEの状態情報とを取得する。
(ステップS2-1)
車載機300において、作成部304は、検出部306から車両VEの操作情報と車両VEの状態情報とを取得する。作成部304は、取得した車両VEの操作情報と車両VEの状態情報とを含む車両データを作成し、作成した車両データと車載機IDとを含む、ドライバ特性推定装置100を宛先とする車両データ通知を作成する。
(ステップS3-1)
車載機300において、作成部304は、作成した車両データ通知を、通信部302へ出力する。通信部302は、作成部304が出力した車両データ通知をドライバ特性推定装置100へ送信する。
ドライバ特性推定装置100において、通信部102は、車載機300が送信した車両データ通知を受信する。
【0029】
(ステップS4-1)
ドライバ特性推定装置100において、収集部105は、通信部102が受信した車両データ通知を収集し、収集した車両データ通知に含まれる車両データと車載機IDとを取得し、記憶部110に取得時刻と関連付けて記憶させる。取得部103は、通信部102が受信した車両データ通知に含まれる車載機IDを取得し、取得した車載機IDに紐づけられるユーザIDを記憶部110から取得する。取得部103は、取得したユーザIDの契約データを記憶部110から取得する。
(ステップS5-1)
ドライバ特性推定装置100において、導出部108は、収集部105から車両データを取得し、取得部103から契約データを取得する。導出部108は、学習済モデル109に基づいて、取得した契約データと関係する心理特性又は車両データと関係する心理特性を導出する。
【0030】
(ステップS6-1)
ドライバ特性推定装置100において、作成部104は、導出部108が取得した心理特性を示す情報を取得する。作成部104は、取得した心理特性を示す情報を含む、携帯端末200を宛先とする心理特性通知を作成する。
また、作成部104は、取得した心理特性を示す情報を含む、車載機300を宛先とする心理特性通知を作成する。
(ステップS7-1)
ドライバ特性推定装置100において、作成部104は、作成した心理特性通知を通信部102へ出力する。通信部102は、作成部104が出力した心理特性通知を、携帯端末200へ送信する。
携帯端末200において、通信部202は、ドライバ特性推定装置100が送信した心理特性通知を受信する。
(ステップS8-1)
ドライバ特性推定装置100において、作成部104が出力した心理特性通知を、車載機300へ送信する。
車載機300において、通信部302は、ドライバ特性推定装置100が送信した心理特性通知を受信する。
その後、ステップS1-1に戻り、所定の周期で、前述と同様の処理が行われる。
【0031】
前述した実施形態では、一例として、ドライバ特性推定装置100において、契約データが記憶部110に記憶される場合について説明したがこの例に限られない。例えば、契約データがクラウドに記憶されてもよい。この場合、ドライバ特性推定装置100は、クラウドからユーザIDの契約データを取得する。
前述した実施形態では、一例として、ドライバ特性推定装置100は、車両データ通知と取得時刻とを関連付けて記憶部110に記憶させる場合について説明したがこの例に限られない。例えば、車両データ通知と取得時刻とを関連付けてクラウドに記憶されてもよい。この場合、ドライバ特性推定装置100は、クラウドから車両データ通知と取得時刻とを関連付けた情報を取得する。
前述した実施形態では、一例として、ドライバ特性推定システム1に一台の携帯端末200が含まれ、一台の車載機300が含まれ、一台のドライバ特性推定装置100が含まれる場合について説明したが、この例に限られない。例えば、ドライバ特性推定システム1に、複数の携帯端末200が含まれてもよいし、複数の車載機が含まれてもよいし、複数のドライバ特性推定装置100が含まれてもよい。
前述した実施形態では、ドライバ特性推定装置100が、心理特性の一例として、Big5と運転態度(DSQ)と負担感受性(WSQ)とのいずれかを推定する場合について説明したがこの例に限られない。例えば、ドライバ特性推定装置100が、ドライバの年代を推定してもよいし、ドライバを識別することによって対象のドライバが運転しているかを推定してもよい。
【0032】
ここで、学習済モデル109の作成方法について説明する。
図9は、本実施形態の学習装置の一例を示す図である。
(学習装置400)
学習装置400は、パーソナルコンピュータ、サーバ、スマートフォン、タブレットコンピュータ又は産業用コンピュータ等の装置によって実現される。学習装置400は、例えば入力部402と取得部403と収集部405と学習部408と検証部409と記憶部410と選択部411とを備える。
【0033】
入力部402は、車両VEのドライバが保持する携帯端末200の契約データとドライバの心理状態を特定する情報とを関連付けた契約データ関連情報が入力される。入力部402は、携帯端末200のドライバが運転する車両VEの状態を計測できるセンサが計測したセンサ情報(車両VEの操作情報と車両VEの状態情報)を含む車両データとその車両データが得られたときのドライバの心理状態を特定する情報とを関連付けた車両データ関連情報が入力される。
取得部403は、入力部402に入力された契約データ関連情報を取得し、取得した契約データ関連情報を、記憶部410に取得時刻と関連付けて記憶させる。
収集部405は、入力部402に入力された車両データ関連情報を収集し、収集した車両データ関連情報を、記憶部410に取得時刻と関連付けて記憶させる。
記憶部410は、HDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)などにより実現される。記憶部410は、契約データ関連情報と取得時刻とを関連付けて記憶する。記憶部410は、車両データ関連情報と取得時刻とを関連付けて記憶する。
【0034】
学習部408は、第1学習モデル408-1と第2学習モデル408-2とを備える。学習部408は、取得部403が取得した契約データ関連情報を取得し、取得した契約データ関連情報に含まれる契約データとドライバの心理状態を特定する情報とを関連付けた情報に基づいて、入力すべき契約データと、この契約データに対応するドライバの心理状態を特定する情報とを1セットとする教師データを用いて機械学習することによって第1学習モデル408-1を作成する。
学習部408は、収集部405が収集した車両データ関連情報を取得し、取得した車両データ関連情報に含まれる車両データとドライバの心理状態を特定する情報とを関連付けた情報に基づいて、入力すべき車両データと、この車両データに対応するドライバの心理状態を特定する情報とを1セットとする教師データを用いて機械学習することによって第2学習モデル408-2を作成する。
例えば、学習部408は、XGBoost(eXtreme Gradient Boosting)などの推定アルゴリズムで機械学習させることによって、第1学習モデル408-1と第2学習モデル408-2とを作成する。XGBoostは、決定木ベースのアルゴリズム、勾配ブースティングとも呼ばれる。XGBoostは、弱学習器を逐次的に構築する。XGBoostは、様々なタスクに対して非常に優れた汎化性能を持つ。学習部408は、ランダムフォレスト、ディープラーニング、SVM(Support Vector Machine)等の他のアルゴリズムを用いて、第1学習モデル408-1と第2学習モデル408-2とを作成してもよい。
【0035】
検証部409は、第1学習モデル408-1と第2学習モデル408-2とが作成された後に、ドライバの心理状態に含まれる指標ごとに、契約データを第1学習モデル408-1に入力することで得られる出力(スコア(以下「第1スコア」という))と、車両データを第2学習モデル408-2に入力することで得られる出力(スコア(以下「第2スコア」という))とを取得する。
検証部409は、取得した第1スコアと第2スコアとに基づいて、スコアが高いか否か、スコアが低いか否かを判定する。具体的には、検証部409は、第1スコアと第2スコアとの各々について、平均値と標準偏差とを導出する。検証部409は、第1スコアと第2スコアとの各々について、平均値に標準偏差を加えた結果以上である場合にはスコアが高いと判定し、平均値から標準偏差を減算した結果以下である場合にはスコアが低いと判定する。検証部409は、スコアが高いと判定した場合には「1」に変換し、スコアが高いと判定した場合以外の場合には「0」に変換することで、2値に変換する。
検証部409は、第1スコアの精度と第2スコアの精度とを導出する。
【0036】
図10は、本実施形態の学習装置の処理の一例を示す図である。図10には、検証部409による検証結果の一例を、Big5を使用した場合について示す。図10によれば、知的好奇心と誠実性と外向性と協調性と情緒不安定性との各々について、スコアが高い(high)場合と低い(low)場合とについて、契約データを第1学習モデル408-1に入力した場合の出力の精度と、車両データを第2学習モデル408-2に入力した場合の出力の精度とが示される。
選択部411は、知的好奇心と誠実性と外向性と協調性と情緒不安定性との各々のスコアが高い(high)場合と低い(low)場合とについて、契約データを第1学習モデル408-1に入力した場合の出力の精度と、車両データを第2学習モデル408-2に入力した場合の出力の精度とのうち、最も精度が高いものを選択する。例えば、知的好奇心が高い(high)の場合には、契約データを第1学習モデル408-1に入力した場合の出力の精度より、車両データを第1学習モデル408-1に入力した場合の出力の精度の方が高いため、車両データを選択する。
知的好奇心が低い(low)の場合には、契約データを第1学習モデル408-1に入力した場合の出力の精度の方が、車両データを第1学習モデル408-1に入力した場合の出力の精度より高いため、契約データを選択する。他の性格指標についても同様の方法で、使用データを選択する。
その結果、図7に示した心理特性に含まれる指標について、その傾向ごとにその指標を導出するときに使用する使用データとの関係が作成される。スコアが高いことは傾向が高いことに相当し、スコアが低いことは傾向が低いことに相当する。
【0037】
学習部408が作成した第1学習モデル408-1と第2学習モデル408-2とは、ドライバ特性推定装置100の導出部108に入力される。導出部108は、入力された第1学習モデル408-1と第2学習モデル408-2とを、学習済モデル109として使用する。選択部411が選択した導出対象と導出対象の傾向とその導出対象の傾向を導出する場合に使用する使用データとを関連付けた情報は、ドライバ特性推定装置100の導出部108に入力される。導出部108は、導出対象と導出対象の傾向とその導出対象の傾向を導出する場合に使用する使用データとを関連付けた情報を取得し、取得したその情報を、心理特性を導出するときに使用する。
学習装置400によって作成された第1学習モデル408-1と第2学習モデル408-2とをドライバ特性推定装置100の導出部108に入力することによって、導出部108の学習済モデル109を更新してもよい。
【0038】
本実施形態のドライバ特性推定システム1によれば、ドライバ特性推定装置100は、ドライバが運転する車両VEに関する車両データを収集する収集部105と、ドライバが所持する携帯端末に基づく契約内容を示す契約データを取得する取得部103と、契約データとドライバの心理特性との関係を機械学習した結果と、車両データとドライバの心理特性との関係を機械学習した結果とを含む学習済モデル109に基づいて、取得した契約データ又は車両データと関係する心理特性を導出する導出部108とを備える。
このように構成することによって、ドライバ特性推定装置100は、契約データとドライバの心理特性との関係を機械学習した結果と、車両データとドライバの心理特性との関係を機械学習した結果とを含む学習済モデル109に基づいて、契約データ又は車両データと関係する心理特性を導出できる。このため、車両VEの車両データなどの一時的に得られる要素に加えて、契約データなどの恒久的なデータでドライバの心理状態を導出できるため、ドライバの心理状態の判定精度を向上させることができる。
ドライバ特性推定装置100において、心理特性は、Big5と、運転態度と、負担感受性とのいずれかが含まれる。
このように構成することによって、ドライバ特性推定装置100は、契約データとドライバの心理特性との関係を機械学習した結果と、車両データとドライバの心理特性との関係を機械学習した結果とを含む学習済モデル109に基づいて、契約データ又は車両データと関係する心理特性として、Big5と、運転態度と、負担感受性とのいずれかを導出できる。このため、車両VEの車両データなどの一時的に得られる要素に加えて、契約データなどの恒久的なデータでドライバのBig5と、運転態度と、負担感受性とのいずれかを導出できるため、ドライバの心理状態の判定精度を向上させることができる。
【0039】
(実施形態の変形例)
実施形態の変形例のドライバ特性推定システム1aの構成例は、図1を適用できる。ただし、ドライバ特性推定装置100の代わりにドライバ特性推定装置100aを備える点で異なる。
図11は、実施形態の変形例のドライバ特性推定システムの処理の一例を示す図である。
ドライバ特性推定装置100aは、携帯端末200のユーザIDと車載機IDとを紐づけて登録する。ここで、車載機IDの代わりに車両IDが登録されてもよい。以下、一例として、車載機IDが登録される場合について説明を続ける。ドライバ特性推定装置100aは、ユーザIDの契約データを登録している。ここで、ユーザIDの契約データは、ドライバ特性推定装置100aとは異なるサーバに登録されてもよい。以下、一例として、ユーザIDの契約データが、ドライバ特性推定装置100aに登録されている場合について説明を続ける。
車載機300aは、車両VEのドライバ(ユーザ)の操作情報と車両VEの状態情報とを検出する。車載機300aは、検出したドライバの車両VEの操作情報と車両VEの状態情報とを含む車両VEの車両データと車載機IDとを含む車両データ通知を作成し、作成した車両データ通知を、ドライバ特性推定装置100aへ送信する(1)。
【0040】
ドライバ特性推定装置100aは、車載機300aが送信した車両データ通知を受信し、受信した車両データ通知に含まれる車両データを取得する。ドライバ特性推定装置100aは、取得した車両データに基づいて車載機IDに紐づけられたユーザIDを取得し、取得したユーザIDの契約データを取得する。ドライバ特性推定装置100aは、取得した契約データの特徴を定量的に表した第1特徴量を生成する。
ドライバ特性推定装置100aは、取得した車両データに基づいて、車両データの特徴を定量的に表した第2特徴量を生成する(2)。
ドライバ特性推定装置100aは、第1特徴量とドライバの心理特性との関係を機械学習した結果と第2特徴量とドライバの心理特性との関係を機械学習した結果とを含む学習済モデルに基づいて、生成した第1特徴量又は算出した第2特徴量と関係する心理特性を導出する(3)。
ドライバ特性推定装置100aは、心理特性の導出結果を含む心理特性通知を作成し、作成した心理特性通知を出力する(4)。心理特性の導出結果の一例は、BIG5と運転態度(DSQ)と負担感受性(WSQ)とのいずれかである。
以下、ドライバ特性推定システム1に含まれるドライバ特性推定装置100aと、携帯端末200と、車載機300aとのうち、実施形態と異なるドライバ特性推定装置100aについて説明する。
図12は、実施形態の変形例のドライバ特性推定システムに含まれるドライバ特性推定装置の詳細を示す図である。
【0041】
(ドライバ特性推定装置100a)
ドライバ特性推定装置100aは、パーソナルコンピュータ、サーバ、スマートフォン、タブレットコンピュータ又は産業用コンピュータ等の装置によって実現される。ドライバ特性推定装置100aは、例えば通信部102と取得部103と作成部104と収集部105と第1特徴量生成部106-1と第2特徴量生成部106-2と導出部108aと記憶部110とを備える。
第1特徴量生成部106-1は、取得部103が取得した契約データとユーザIDとを取得し、取得した契約データに基づいて契約データの特徴を定量的に表した第1特徴量を生成する。
第2特徴量生成部106-2は、収集部105が収集した車両データと車載機IDとを取得し、収集した車両データに基づいて車両データの特徴を定量的に表した第2特徴量を生成する。
【0042】
図13は、実施形態の変形例のドライバ特性推定装置の処理の一例を示す図である。
第2特徴量生成部106-2は、車両データを運転習慣と運転操作とに分ける。第2特徴量生成部106-2は、運転習慣の特徴を定量的に表した運転習慣特徴量と、運転操作の特徴を定量的に表した運転操作特徴量とを生成する。
運転習慣特徴量を生成する場合について具体的に説明する。第2特徴量生成部106-2は、車両データのうち運転習慣に該当するものから1回の運転ごとの時間の特徴量、曜日の特徴量、運転距離の特徴量などを生成する。第2特徴量生成部106-2は、車両データのうち運転習慣に該当するものから全日の特徴量、平日の特徴量、週末の特徴量、祝日の特徴量を生成してもよいし、車両データのうち運転習慣に該当するものから全時間の特徴量、5時-11時の間の特徴量、11時-17時の間の特徴量、17時-23時の間の特徴量、23時-5時の間の特徴量を生成してもよい。
【0043】
第2特徴量生成部106-2は、車両データのうち運転習慣に該当するものから1日または1トリップ毎の運転回数の特徴量、走行距離の特徴量、走行時間の特徴量を生成してもよい。
第2特徴量生成部106-2は、生成した特徴量について、統計値を算出してもよいし、自己相関を算出してもよいし、走行時間比率を算出してもよいし、走行距離比率を算出してもよい。
例えば、第2特徴量生成部106-2は、自己相関を算出する場合に、1日、1週間などの所定の期間の自己相関を算出してもよい。第2特徴量生成部106-2は、走行時間比率を算出する場合に、10min~15min、15min~30minなどの所定の時間の走行時間比率を算出してもよい。第2特徴量生成部106-2は、走行距離比率を算出する場合に、0km~5km、5km~10kmなどの所定の距離の走行距離比率を算出してもよい。
図14は、実施形態の変形例のドライバ特性推定装置の処理の一例を示す図である。図14は、車両データから運転習慣特徴量を生成する処理の一例を示す。車両データの一例は、取得時刻と関連付けて記憶されている。この例では、車両データから運転習慣に該当するものが一秒毎に収集されている。第2特徴量生成部106-2は、所定の時間ウインドウ毎に、特徴量を生成する。図14に示される例では、第2特徴量生成部106-2は、トリップ毎に運転時間の特徴量と運転距離の特徴量と平日か休日かを示す特徴量を生成する。
【0044】
運転操作特徴量を生成する場合について具体的に説明する。第2特徴量生成部106-2は、車両データのうち運転操作に該当するものを、一又は複数の運転場面に分ける。運転場面の一例は、右折場面、左折場面、駐車場面、車速が5km/h~20km/hの場面、車速が20km/h~40km/hの場面、車速が40kmから60km/hの場面、車速が60km/h以上の場面である。
第2特徴量生成部106-2は、例えばハンドル操舵角が120度を上回った個所から前後100mの区間を、右折場面として抽出する。第2特徴量生成部106-2は、例えばハンドル操舵角が-120度を下回った個所から前後100mの区間を、左折場面として抽出する。第2特徴量生成部106-2は、例えばシフトポジションがリバースになった個所から、移動距離100m以内かつトリップの終端を含む区間を、駐車場面として抽出する。
【0045】
第2特徴量生成部106-2は、例えば車速が5km/h~20km/hで30秒以上継続した区間を、車速が5km/h~20km/hの運転場面として抽出する。第2特徴量生成部106-2は、例えば車速が20km/h~40km/hで60秒以上継続した区間を。車速が20km/h~40km/hの運転場面として抽出する。
第2特徴量生成部106-2は、例えば車速が40km/h~60km/hで30秒以上継続した区間を、車速が40km/h~60km/hの運転場面として抽出する。第2特徴量生成部106-2は、例えば車速が60km/h以上で30秒以上継続した区間を、車速が60km/h以上の区間の運転場面として抽出する。
第2特徴量生成部106-2は、抽出した一又は複数の運転場面の各々に含まれる運転操作に該当する車両データから、運転操作の特徴を定量的に表した運転操作特徴量を生成する。第2特徴量生成部106-2は、一又は複数の運転場面の各々に含まれる運転操作に該当する車両データから、右折場面、左折場面、駐車場面、車速が5km/h~20km/hの場面、車速が20km/h~40km/hの場面、車速が40km/h~60km/hの場面、車速が60km/h以上の場面などの運転場面ごとに、3秒などの一定時間間隔での特徴量を生成する。
第2特徴量生成部106-2は、一又は複数の運転場面の各々に含まれる運転操作に該当する車両データからCAN(Controller Area Network)通信で得られる各項目の統計量を使用して特徴量を生成してもよい。統計量の一例は、最大値、最小値、平均値、分散値、中央値、標準偏差、第1四分位値、第3四分位値、歪度、尖度などである。例えば、第2特徴量生成部106-2は、運転場面が右折場面と左折場面との各々の場合について、車速の統計量、アクセル踏度の統計量、加速度の統計量を使用して特徴量を生成する。
【0046】
第2特徴量生成部106-2は、一又は複数の運転場面の各々に含まれる運転操作に該当する車両データからCAN通信で得られる各項目のFFT(Fast Fourier Transformation)を使用して特徴量を生成してもよい。FFTの一例は、0Hz、1Hz、2Hz、・・・、10Hz、10Hz-20Hz、20Hz-70Hz、70Hz以上などの周波数成分に分解し、それらの大きさをスペクトルとして表したものである。
第2特徴量生成部106-2は、一又は複数の運転場面の各々に含まれる運転操作に該当する車両データからCAN通信で得られる各項目の自己相関を使用して特徴量を生成してもよい。自己相関の一例は、0.2秒、1秒、5秒、10秒、20秒、30秒、60秒などである。
図15は、実施形態の変形例のドライバ特性推定装置の処理の一例を示す図である。図15は、車両データから運転操作特徴量を生成する処理の一例を示す。車両データの一例は、取得時刻と関連付けて記憶されている。この例では、運転場面ごとの車両データが一秒毎に収集されている。第2特徴量生成部106-2は、所定の時間ウインドウ毎に、特徴量を生成する。図15に示される例では、第2特徴量生成部106-2は、ウインドウ毎に車速平均の特徴量と車速標準偏差の特徴量と車速の最大(値)の特徴量を生成する。図12に戻り説明を続ける。
【0047】
導出部108aは、学習済モデル109aを含む。導出部108aは、第1特徴量生成部106-1から第1特徴量とユーザIDとを取得し、第2特徴量生成部106-2から第2特徴量と車載機IDとを取得する。導出部108aは、学習済モデル109aに基づいて、取得した第1特徴量と関係する心理特性又は第2特徴量と関係する心理特性を導出する。
学習済モデル109aについて説明する。学習済モデル109aは、第1特徴量とドライバの心理特性との関係を機械学習した結果と、第2特徴量とドライバの心理特性との関係を機械学習した結果とを含む。心理特性の一例は、Big5と運転態度(DSQ)と負担感受性(WSQ)とのいずれかである。Big5によってドライバの性格を推定でき、DSQによってドライバの運転心理を推定でき、WSQによってドライバの運転特性を推定できる。
【0048】
学習済モデル109aは、心理特性の指標の傾向ごとに第1特徴量を使用して導出するのか第2特徴量を使用して導出するのかが設定されている。例えば、学習済モデル109aは、心理特性に含まれる指標(導出対象)と、その指標の傾向と、その指標(導出対象)の傾向を導出するときに使用する使用データとの関係を記憶する。ここでは、一例として、Big5に含まれる5つの指標と、5つの指標の各々の傾向と、5つの指標の各々を導出するときに使用する使用データとの関係について説明する。
具体的には、知的好奇心について、高い傾向(high)を導出するときには車両データの特徴量(第2特徴量)を使用し、低い傾向(low)を導出するときには契約データの特徴量(第1特徴量)を使用することが示される。誠実性について、高い傾向を導出するときには契約データの特徴量を使用し、低い傾向を導出するときには車両データの特徴量を使用することが示される。外向性について、高い傾向を導出するときには契約データの特徴量を使用し、低い傾向(low)を導出するときには車両データの特徴量を使用することが示される。協調性について、高い傾向を導出するときには車両データの特徴量を使用し、低い傾向(low)を導出するときには契約データの特徴量を使用することが示される。情緒不安定性について、高い傾向を導出するときには車両データの特徴量を使用し、低い傾向(low)を導出するときには車両データの特徴量を使用することが示される。図12に戻り説明を続ける。
【0049】
導出部108aは、知的好奇心について高い傾向を導出するときには第2特徴量を学習済モデル109aに入力し、学習済モデル109aが出力する知的好奇心の高い傾向を示す情報を取得する。導出部108aは、知的好奇心について低い傾向を導出するときには第1特徴量を学習済モデル109aに入力し、学習済モデル109aが出力する知的好奇心の低い傾向を示す情報を取得する。導出部108aは、誠実性について高い傾向を導出するときには第1特徴量を学習済モデル109aに入力し、学習済モデル109aが出力する誠実性の高い傾向を示す情報を取得する。導出部108aは、誠実性について低い傾向を導出するときには第2特徴量を学習済モデル109aに入力し、学習済モデル109aが出力する誠実性の低い傾向を示す情報を取得する。
導出部108aは、外向性について高い傾向を導出するときには第1特徴量を学習済モデル109aに入力し、学習済モデル109aが出力する外向性の高い傾向を示す情報を取得する。導出部108aは、外向性について低い傾向を導出するときには第2特徴量を学習済モデル109aに入力し、学習済モデル109aが出力する外向性の低い傾向を示す情報を取得する。導出部108aは、協調性について高い傾向を導出するときには第2特徴量を学習済モデル109aに入力し、学習済モデル109aが出力する協調性の高い傾向を示す情報を取得する。導出部108aは、協調性について低い傾向を導出するときには第1特徴量を学習済モデル109aに入力し、学習済モデル109aが出力する協調性の低い傾向を示す情報を取得する。
導出部108aは、情緒不安定性について高い傾向を導出するときには第2特徴量を学習済モデル109aに入力し、学習済モデル109aが出力する情緒不安定性の高い傾向を示す情報を取得する。導出部108aは、情緒不安定性について低い傾向を導出するときには第2特徴量を学習済モデル109aに入力し、学習済モデル109aが出力する情緒不安定性の低い傾向を示す情報を取得する。
【0050】
第1特徴量生成部106-1、第2特徴量生成部106-2、及び導出部108aは、例えば、CPUなどのハードウェアプロセッサが記憶部110に格納されたコンピュータプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。
また、これらの機能部のうち一部または全部は、LSIやASIC、FPGA、GPUなどのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアとの協働によって実現されてもよい。図12に戻り説明を続ける。
【0051】
(ドライバ特性推定システム1aの動作)
図16は、実施形態の変形例のドライバ特性推定システムの処理の一例を示す図である。
ステップS1-2からステップS4-2と、ステップ8-2からS10-2は、図8のステップS1-1からS4-1と、ステップS6-1からS8-1を適用できるため、ここでの説明は省略する。
(ステップS5-2)
ドライバ特性推定装置100aにおいて、第1特徴量生成部106-1は、取得部103が取得した契約データとユーザIDとを取得し、取得した契約データに基づいて契約データの特徴を定量的に表した第1特徴量を生成する。
【0052】
(ステップS6-2)
ドライバ特性推定装置100aにおいて、収集部105は、通信部102が受信した車両データ通知を収集し、収集した車両データ通知に含まれる車両データと車載機IDとを取得し、記憶部110に取得時刻と関連付けて記憶させる。第2特徴量生成部106-2は、収集部105が収集した車両データと車載機IDとを取得し、取得した車両データに基づいて車両データの特徴を定量的に表した第2特徴量を生成する。
(ステップS7-2)
ドライバ特性推定装置100aにおいて、導出部108aは、第1特徴量生成部106-1から第1特徴量を取得し、第2特徴量生成部106-2から第2特徴量を取得する。導出部108aは、学習済モデル109aに基づいて、取得した第1特徴量と関係する心理特性又は第2特徴量と関係する心理特性を導出する。
【0053】
ここで、学習済モデル109aの作成方法について説明する。
図17は、実施形態の変形例の学習装置の一例を示す図である。
(学習装置400a)
学習装置400aは、パーソナルコンピュータ、サーバ、スマートフォン、タブレットコンピュータ又は産業用コンピュータ等の装置によって実現される。学習装置400aは、例えば入力部402と取得部403と収集部405と第1特徴量生成部406-1と第2特徴量生成部406-2と学習部408aと検証部409aと記憶部410と選択部411とを備える。
第1特徴量生成部406-1は、前述した第1特徴量生成部106-1を適用できる。第1特徴量生成部406-1は、取得部403が取得した契約データ関連情報を取得し、取得した契約データ関連情報に含まれる契約データに基づいて契約データの特徴を定量的に表した第1特徴量を生成する。
第2特徴量生成部406-2は、前述した第2特徴量生成部106-2を適用できる。第2特徴量生成部406-2は、収集部405が収集した車両データ関連情報を取得し、取得した車両データ関連情報に含まれる車両データに基づいて車両データの特徴を定量的に表した第2特徴量を生成する。
第1特徴量生成部406-1は、生成した第1特徴量とドライバの心理状態を特定する情報とを関連付ける。第2特徴量生成部406-2は、生成した第2特徴量とドライバの心理状態を特定する情報とを関連付ける。
図18は、実施形態の変形例の学習装置の処理の一例を示す図である。第1特徴量生成部406-1は、元データとして契約データを取得し、取得した契約データに基づいて第1特徴量を生成する。第2特徴量生成部406-2は、元データとして車両データを取得し、取得した車両データに基づいて第2特徴量を生成する。第2特徴量には、右折場面、左折場面、0~20km/h場面などの運転操作の特徴を定量的に表した運転操作特徴量と、運転習慣の特徴を定量的に表した運転習慣特徴量とが含まれる。図17に戻り説明を続ける。
【0054】
学習部408aは、第1学習モデル408a-1と第2学習モデル408a-2とを備える。学習部408aは、第1特徴量とドライバの心理状態を特定する情報とを関連付けた情報に基づいて、入力すべき第1特徴量と、この第1特徴量に対応するドライバの心理状態を特定する情報とを1セットとする教師データを用いて機械学習することによって第1学習モデル408a-1を作成する。
学習部408aは、第2特徴量とドライバの心理状態を特定する情報とを関連付けた情報に基づいて、入力すべき第2特徴量と、この第2特徴量に対応するドライバの心理状態を特定する情報とを1セットとする教師データを用いて機械学習することによって第2学習モデル408a-2を作成する。
例えば、学習部408aは、XGBoostなどの推定アルゴリズムで機械学習させることによって、第1学習モデル408a-1と第2学習モデル408a-2とを作成する。学習部408aは、ランダムフォレスト、ディープラーニング、SVM等の他のアルゴリズムを用いて、第1学習モデル408a-1と第2学習モデル408a-2とを作成してもよい。
【0055】
検証部409aは、第1学習モデル408a-1と第2学習モデル408a-2とが作成された後に、ドライバの心理状態に含まれる指標ごとに、第1特徴量を第1学習モデル408a-1に入力することで得られる第1スコアと、第2特徴量を第2学習モデル408a-2に入力することで得られる第2スコアとを取得する。
検証部409aは、取得した第1スコアと第2スコアとに基づいて、スコアが高いか否か、スコアが低いか否かを判定する。具体的には、検証部409aは、第1スコアと第2スコアとの各々について、平均値と標準偏差とを導出する。検証部409aは、第1スコアと第2スコアとの各々について、平均値に標準偏差を加えた結果以上である場合にはスコアが高いと判定し、平均値から標準偏差を減算した結果以下である場合にはスコアが低いと判定する。検証部409aは、スコアが高いと判定した場合には「1」に変換し、スコアが高いと判定した場合以外の場合には「0」に変換することで、2値に変換する。
検証部409aは、第1スコアの精度と第2スコアの精度とを導出する。
【0056】
図19は、実施形態の変形例の学習装置の処理の一例を示す図である。図19には、検証部409aによる検証結果の一例を、Big5を使用した場合について示す。図19によれば、知的好奇心と誠実性と外向性と協調性と情緒不安定性との各々について、傾向が高い(high)場合と低い(low)場合とについて、第1特徴量(サービス利用データ)を第1学習モデル408a-1に入力した場合の出力の精度と、第2特徴量(運転習慣、左折、右折、時速5-20km、時速20-40km、時速40-60km、時速60km-、駐車)を第2学習モデル408a-2に入力した場合の出力の精度とが示される。
【0057】
学習部408aが作成した第1学習モデル408a-1と第2学習モデル408a-2とは、ドライバ特性推定装置100aの導出部108aに入力される。導出部108aは入力された第1学習モデル408a-1と第2学習モデル408a-2とを、学習済モデル109aとして使用する。選択部411が選択した導出対象と検出対象の傾向とその導出対象の傾向を導出する場合に使用する使用データの特徴量とを関連付けた情報は、ドライバ特性推定装置100aの導出部108aに入力される。導出部108aは、導出対象と導出対象の傾向とその導出対象の傾向を導出する場合に使用する使用データの特徴量とを関連付けた情報を取得し、取得したその情報を、心理特性を導出するときに使用する。
学習装置400aによって作成された第1学習モデル408a-1と第2学習モデル408a-2とを、ドライバ特性推定装置100aの導出部108aに入力することによって、導出部108aの学習済モデル109aを更新してもよい。
【0058】
実施形態の変形例のドライバ特性推定システム1aによれば、ドライバ特性推定装置100aは、ドライバが運転する車両VEに関する車両データを収集する収集部105と、ドライバが所持する携帯端末に基づく契約内容を示す契約データを取得する取得部103と、取得部103が取得した契約データの特徴を定量的に表した第1特徴量を生成する第1特徴量生成部106-1と、収集部105が収集した車両VEの車両データの特徴を定量的に表した第2特徴量を生成する第2特徴量生成部106-2と、第1特徴量とドライバの心理特性との関係を機械学習した結果と、第2特徴量とドライバの心理特性との関係を機械学習した結果とを含む学習済モデル109aに基づいて、第1特徴量又は第2特徴量と関係する心理特性を導出する導出部108aとを備える。
このように構成することによって、ドライバ特性推定装置100aは、契約データの特徴を定量的に表した第1特徴量を生成し、車両VEの車両データの特徴を定量的に表した第2特徴量を生成し、第1特徴量とドライバの心理特性との関係を機械学習した結果と、第2特徴量とドライバの心理特性との関係を機械学習した結果とを含む学習済モデル109aに基づいて、第1特徴量又は第2特徴量と関係する心理特性を導出できる。このため、車両VEの車両データなどの一時的に得られる要素に加えて、契約データなどの恒久的なデータでドライバの心理状態を導出できるため、ドライバの心理状態の判定精度を向上させることができる。
【0059】
ドライバ特性推定装置100aにおいて、第2特徴量生成部106-2は、車両VEの車両データを、車両VEのドライバの運転習慣と車両のドライバの運転操作とに分け、車両VEのドライバの運転習慣の特徴を定量的に表した運転習慣特徴量と車両VEのドライバの運転操作の特徴を定量的に表した運転操作特徴量とを生成する。
このように構成することによって、車両VEのドライバの運転習慣特徴量と関係する心理特性と車両VEのドライバの運転操作特徴量と関係する心理特性とを導出できるため、ドライバの心理状態の判定精度を向上させることができる。
ドライバ特性推定装置100aにおいて、第2特徴量生成部106-2は、ドライバの運転操作を複数の運転場面に分け、複数の運転場面の各々に含まれる車両のドライバの運転操作に基づいて、第2特徴量を生成する。
このように構成することによって、複数の運転場面の各々にドライバの運転操作に基づいて生成される第2特徴量と関係する心理特性とを導出できるため、ドライバの心理状態の判定精度を向上させることができる。
【0060】
ドライバ特性推定装置100aにおいて、導出部108aは、心理特性に含まれる複数の導出項目に応じて、第1特徴量とドライバの心理特性との関係を機械学習した結果と、第2特徴量とドライバの心理特性との関係を機械学習した結果とのいずれかに基づいて、第1特徴量と関係する心理特性又は第2特徴量と関係する心理特性を導出する。
このように構成することによって、心理特性に含まれる複数の導出項目に応じて、第1特徴量とドライバの心理特性との関係を機械学習した結果と、第2特徴量とドライバの心理特性との関係を機械学習した結果とを含む学習済モデル109aとを使い分けることができるため、ドライバの心理状態の判定精度を向上させることができる。
【0061】
ドライバ特性推定装置100aにおいて、心理特性に含まれる複数の導出項目の各々について、学習済モデルと第1特徴量とから得られる導出項目の精度と、学習済モデルと第2特徴量とから得られる導出項目の精度とに基づいて、第1特徴量と第2特徴量とのいずれかが、導出項目を導出する場合に使用される。
このように構成することによって、心理特性に含まれる複数の導出項目の各々について、学習済モデルと第1特徴量とから得られる導出項目の精度と、学習済モデルと第2特徴量とから得られる導出項目の精度とに基づいて、第1特徴量と第2特徴量とを使い分けることができるため、ドライバの心理状態の判定精度を向上させることができる。
【0062】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。例えば、上述した各装置の機能を実現するためのコンピュータプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたコンピュータプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行するようにしてもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、DVD(Digital Versatile Disc)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してコンピュータプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。
さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【符号の説明】
【0063】
1、1a…ドライバ特性推定システム、100、100a…ドライバ特性推定装置、102…通信部、103…取得部、104…作成部、105…収集部、106-1…第1特徴量生成部、106-2…第2特徴量生成部、108、108a…導出部、109、109a…学習済モデル、110…記憶部、200…携帯端末、202…通信部、209…出力部、210…記憶部、300…車載機、302…通信部、304、304a…作成部、306…検出部、307…測位部、309…出力部、310…記憶部、400…学習装置、402…入力部、403…取得部、405…収集部、406-1…第1特徴量生成部、406-2…第2特徴量生成部、408、408a…学習部、408-1、408a-1…第1学習モデル、408-2、408a-2…第2学習モデル、409、409a…検証部、410…記憶部、411…選択部
【要約】
【課題】ドライバの心理状態の判定精度を向上できるドライバ特性推定システム、ドライバ特性推定方法及びコンピュータプログラムを提供すること。
【解決手段】ドライバ特性推定システムは、ドライバが運転する車両に関する車両データを収集する収集部と、ドライバが所持する携帯端末に基づく契約内容を示す契約データを取得する取得部と、契約データとドライバの心理特性との関係を機械学習した結果と、車両データとドライバの心理特性との関係を機械学習した結果とを含む学習済モデルに基づいて、契約データ又は車両データと関係する心理特性を導出する導出部とを備える。
【選択図】図3
図1
図2
図3
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図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19