(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】自動車用の電気機械式駆動装置
(51)【国際特許分類】
B60K 1/00 20060101AFI20221220BHJP
B60K 17/12 20060101ALI20221220BHJP
B60K 17/28 20060101ALI20221220BHJP
B60L 15/00 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
B60K1/00
B60K17/12
B60K17/28 Z
B60L15/00 Z
(21)【出願番号】P 2021506938
(86)(22)【出願日】2019-08-07
(86)【国際出願番号】 DE2019100713
(87)【国際公開番号】W WO2020030228
(87)【国際公開日】2020-02-13
【審査請求日】2021-02-09
(31)【優先権主張番号】102018119486.2
(32)【優先日】2018-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】515009952
【氏名又は名称】シェフラー テクノロジーズ アー・ゲー ウント コー. カー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】Schaeffler Technologies AG & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Industriestr. 1-3, 91074 Herzogenaurach, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】アンドレア ライヒャート
(72)【発明者】
【氏名】マーティン ドレッセル
【審査官】中川 隆司
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-029369(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第03176019(EP,A1)
【文献】国際公開第2013/170848(WO,A1)
【文献】国際公開第2012/117623(WO,A1)
【文献】国際公開第2012/132094(WO,A1)
【文献】特開2010-178403(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 1/00
B60K 17/12
B60K 17/28
B60L 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車用の電気機械式駆動装置であって、
回転子(ER)および固定子(ES)を備える電気機械式主駆動モーター(E)と、
変速機入力(GE)、変速機出力(GA)、少なくとも1つの減速段(GR)、および前記減速段(GR)を収容する変速機ハウジング(GH)を備える減速変速機装置(G)と、
前記減速段(GR)を介して、第1の車輪駆動系部分(DL)および第2の車輪駆動系部分(DR)に、駆動力を分割するための軸方向差動変速機(AD)と、
前記減速段(GR)を用いる前記
電気機械式主駆動モーター(E)によって駆動可能な補助アセンブ
リと、を有し、
前記補助アセンブ
リが、少なくとも部分的に前記変速機ハウジング(GH)に組み込まれており、
スイッチング素子(SE1)が前記変速機ハウジング(GH)内に設けられており、
前記減速段(GR)から前記軸方向差動変速機(AD)への駆動接続が、前記スイッチング
素子(SE1)によって切り替え可能に接続及び切断可能であるように、前記スイッチング素子(SE1)が構成されて前記駆動装置に組み込まれている、駆動装置。
【請求項2】
前記軸方向差動変速機(AD)と前記減速段(GR)との間の前記駆動接続が取り消され且つ前記自動車がオーバーランモードにある場合、前記補助アセンブ
リが前記軸方向差動変速機(AD)によって駆動可能であるように、前記スイッチング素子(SE1)および前記補助アセンブ
リが、前記駆動装置に組み込まれていることを特徴とする、請求項1に記載の駆動装置。
【請求項3】
前記軸方向差動変速機(AD)と前記減速段(GR)との間の前記駆動接続が取り消され且つ前記自動車が静止している場合、前記補助アセンブ
リが前記減速段(GR)を用いる前記
電気機械式主駆動モーター(E)によって駆動可能であるように、前記スイッチング素子(SE1)および前記補助アセンブリが、前記駆動装置に一体化されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の駆動装置。
【請求項4】
前記減速段(GR)が中間シャフト(GW)を備えることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の駆動装置。
【請求項5】
前記減速段(GR)が、第1の歯車(G1)および該第1の歯車(G1)に係合する第2の歯車(G2)を有し、前記第2の歯車(G2)が、前記中間シャフト(GW)上に配置され、前記第1の歯車(G1)の歯数よりも多い歯数を有することを特徴とする、請求項4に記載の駆動装置。
【請求項6】
前記スイッチング素子(SE1)が、前記中間シャフト(GW)を前記第2の歯車(G2)と切り替え可能に結合させることを特徴とする、請求
項5に記載の駆動装置。
【請求項7】
前記スイッチング素子(SE1)が、前記中間シャフトを前記中間シャフトに着座する出力歯車(G3)と切り替え可能に結合させることを特徴とする、請求項4または5に記載の駆動装置。
【請求項8】
前記補助アセンブ
リが入力シャフト(E1)を有し、この入力シャフト(E1)が、前記中間シャフト(GW)に対して同軸に配置されているか、または前記補助アセンブ
リが入力シャフト(E1)を有し、この入力シャフト(E1)が、前記中間シャフト(GW)に並列にオフセットされるように配置されていることを特徴とする、請求項
4から7のいずれか一項に記載の駆動装置。
【請求項9】
前記補助アセンブリは第1の補助アセンブリ(AUX1)および第2の補助アセンブリ(AUX2)
によって構成され、前記第1の補助アセンブリ(AUX1)が、前記中間シャフト(GW)の軸と同軸であるように配置された入力シャフト(E1)を有し、前記第2の補助アセンブリ(AUX2)が、前記中間シャフト(GW)の軸に並列にオフセットされるように配置された第2の入力シャフト(E2)を有することを特徴とする、請求項
4から8のいずれか一項に記載の駆動装置。
【請求項10】
前記補助アセンブ
リが、その入力シャフト(E1)が前記減速段(GR)を向くように前記駆動装置に組み込まれていることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車を駆動するために設けられ、回転子および固定子を備える電気機械式主駆動モーターと、回転子に運動学的に結合された減速変速機装置と、減速変速機装置を介して、第1の車輪駆動系部分および第2の車輪駆動系部分との間に駆動力を分割するための軸方向差動変速機と、例えば、パワーステアリングポンプ、空調コンプレッサー、またはバッテリーアセンブリを用いて導かれる冷却液回路用のポンプの形態の少なくとも1つの補助アセンブリであって、主駆動モーターを介して駆動されることができる補助アセンブリと、を有する自動車用の電気機械式駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上述したタイプの電気機械式駆動装置は、独国特許出願公開第10 2012 010 171号明細書から知られている。この公知の駆動装置では、主駆動モーターは、2つの同軸に接合されたサブモーターから構成され、その出力は、遊星歯車の2つの別個の入力に導かれる。この駆動装置に設けられた補助アセンブリは、内部サブモーターの軸に対して同軸であるように配置され、その回転子に運動学的に結合されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、有利に実現可能な全体的な構造を特徴とし且つエネルギー観点から有利に動作することができる、純粋に電気的に動作される自動車用の電気機械式駆動装置を形成することを可能にすることによって解決策を開示することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明にかかる解決策
上記の目的は、本発明によれば、以下を有する自動車用の電気機械式駆動装置によって達成される:
-回転子および固定子を備える電気機械式主駆動モーターと、
-変速機入力、変速機出力、少なくとも1つの減速段、および減速段を収容する変速機ハウジングを備える減速変速機装置と、
-減速段を介して、第1の車輪駆動系部分および第2の車輪駆動系部分の間に、駆動力を分割するための軸方向差動変速機と、
-減速段を用いて主駆動モーターによって駆動可能な補助アセンブリと、を有し、
-補助アセンブリが、少なくとも部分的に変速機ハウジングに組み込まれており、
-スイッチング素子が変速機ハウジング内に設けられており、
-減速段から軸方向差動変速機への駆動接続が、スイッチング素子によって切り替え可能に接続および切断可能であるように、スイッチング素子が構成されて駆動装置に組み込まれている。
【0005】
これは、車両が静止しているときに補助アセンブリが減速変速機を介して駆動可能である、純粋に電気機械的に動作される自動車用の駆動装置を形成することを有利に可能にする。
【0006】
本発明の特定の態様によれば、軸方向差動変速機と減速段との間の駆動接続が取り消され且つ自動車がオーバーランモードにある場合、補助アセンブリが軸方向差動変速機によって駆動可能であるように、スイッチング素子および補助アセンブリが、駆動装置に組み込まれていることが好ましい。これは、有利に、エネルギー変換なしで補助アセンブリの直接の機械的駆動を実行することを可能にする。
【0007】
さらにまた、軸方向差動変速機と減速段との間の駆動接続が取り消され且つ自動車が静止している場合、補助アセンブリが減速段を用いる主駆動モーターによって駆動可能であるように、スイッチング素子および補助アセンブリがまた、駆動装置に一体化されている。
【0008】
減速段は、中間シャフトを備えるように構成されることが好ましい。この中間シャフトは、好ましくは、電気モーターの回転子軸から並列の方法でオフセットされるように配置される。減速段は、さらに好ましくは、第1の歯車およびその第1の歯車に係合する第2の歯車を有するように構成され、第2の歯車は、中間シャフト上に配置され、第1の歯車の歯数よりも多い歯数を有する。したがって、減速段は、「減速」歯車比、すなわち、速度の減速およびトルクの増加をもたらす。補助アセンブリは、特に車両が静止しているときに電気モーターによって駆動され且つ補助アセンブリが動力を必要とし且つスイッチング素子の対応するスイッチング状態を設定することによって減速段から車軸差動装置への駆動系が他の方法で切断されている場合、減速段の歯車比効果を使用する。
【0009】
スイッチング素子は、好ましくは、切り替え可能に中間シャフトを第2の歯車に結合するように、駆動装置に組み込まれる。代替として、またはこの手段と組み合わせて、スイッチング素子はまた、切り替え可能に中間シャフトを中間シャフトに着座する出力歯車と結合させるように設計されて駆動装置に組み込まれることができる。
【0010】
補助アセンブリは、入力シャフトを有し且つ好ましくはこの入力シャフトが中間シャフトに対して同軸に延在するように配置されるように設計されることができる。その代替として、補助アセンブリはまた、その入力シャフトが中間シャフトに対して並列の方法でオフセットされるように配置されるように、駆動装置に組み込まれることもできる。そして、補助アセンブリと減速段との変速機結合は、好ましくは、必要に応じて歯車比にさらに寄与する、牽引機構駆動装置を含むことによって行われる。
【0011】
駆動装置はまた、特に2つの補助アセンブリを備えることができ、第1の補助アセンブリは、好ましくは、中間シャフトの軸に対して同軸に配置された入力シャフトを有し、第2の補助アセンブリは、中間シャフトの軸に並列の方法でオフセットされるように配置された第2の入力シャフトを有する。補助アセンブリは、好ましくは、その入力シャフトが減速段に向かうように駆動装置に組み込まれる。そして、減速段は、好ましくは、主駆動電気モーターと補助アセンブリとの間に軸方向に配置される。
【0012】
スイッチング素子は、好ましくは、減速段と軸方向差動変速機との間の駆動接続が解除され且つ車両がオーバーランモードにあるときに補助アセンブリが軸方向差動変速機を介して駆動される状態にされることができるように構成されて駆動装置に組み込まれる。この目的のために、確実なまたは摩擦結合装置および/またはフリーホイール装置がスイッチング素子に設けられることができる。
【0013】
本発明のさらなる態様によれば、電子制御装置が設けられ、スイッチング素子のスイッチング状態は、この制御装置を介して設定され、制御装置は、車両の現在の動作状態を考慮し、全体的なエネルギー効率を考慮した制御コンセプトにしたがってスイッチング状態を設定する。制御装置は、バッテリーシステムの現在のまたはモデル化された熱状態、車内を加熱するための熱エネルギー要件、冷却電力要件、および補助アセンブリのエネルギー要件を考慮することができ、次に、この入力情報に基づいて、例えば、補助アセンブリのエネルギー要件をカバーするために、車両がオーバーランモードにあるときにそこからタップされたエネルギーが変換損失なしに可能な限り効率的に使用されるという効果を有するスイッチング状態をもたらすことができる。制御装置は、スイッチング素子が切り替えられた場合にユニットが駆動される速度を考慮することができ、例えば、発電機として一時的に動作する主駆動モーターを介して補助アセンブリの動作と並行して最初にエネルギー回生を実行した後、主に車両がより遅い惰行速度を呈する場合に補助アセンブリを駆動するためにタップされた動力のみを使用する。推力からの補助アセンブリの直接機械的駆動と電気モーターを介した回生の双方がオーバーランモードで実行される混合状態を一時的に調整することもできる。制御装置は、特に、補助アセンブリが動力を必要とするとき、車両がオーバーランモードにあるときに軸方向差動変速機からの動力タッピングによって主にカバーされるように設計および構成されることができる。
【0014】
補助アセンブリは、好ましくは、この補助アセンブリが入力シャフトを有し且つこの入力シャフトが減速段の中間シャフトに対して同軸に配置されるように設計される。補助アセンブリは、変速機ハウジングに完全に組み込まれることができ、それはまた、補助アセンブリの一部を取り囲み、そして変速機ハウジングの部分と併せて補助アセンブリのハウジングを形成するハウジング部分を有することができる。
【0015】
本発明にかかる駆動装置はまた、補助アセンブリの入力シャフトが、減速段の中間シャフトから並列の方法でオフセットされるように配置されるように設計されることができる。そして、動力伝達は、特にループ駆動装置の形態で、変速機ハウジング内に延びる駆動系部分によってもたらされることができる。駆動装置はまた、2つの補助アセンブリを備え、これらの補助アセンブリの1つが、その入力シャフトが減速段の中間シャフトに対して同軸に配置され、第2の補助アセンブリが、この回転軸に並列にオフセットされるように配置されるように設計されることができる。
【0016】
スイッチング素子は、好ましくは、軸方向差動変速機への駆動接続を確立および取り消すために使用されることができるように設計される。スイッチング素子は、好ましくは、中間シャフトと軸方向差動変速機との間に配置され、特に減速段の歯車に組み込まれる。
【0017】
減速段は、回転子軸に対して同軸に配置された平歯車を有する平歯車段として設計されることができ、中間シャフトへの動力伝達は、好ましくは第2の平歯車によってひいては達成される。
【0018】
減速段はまた、遊星歯車として設計されることもでき、ひいては、これが切り替え可能に少なくとも2つの異なる歯車比を提供するように設計されることができる。
【0019】
既に上述したように、変速機ハウジング内に延在するループ駆動装置を介して、補助アセンブリと減速段との運動学的結合を行うことが可能であり、このループ駆動装置は、特に油濡れベルト駆動装置またはチェーン駆動装置として設計される。補助アセンブリと中間シャフトの軸の並列オフセットはまた、一連の横方向に噛合する平歯車によって影響を受けることができる。
【0020】
駆動装置はまた、フリーホイール装置を備え、且つこのフリーホイール装置が、車両がオーバーランモードにあるときに軸方向差動変速機からタップされることができるエネルギーによって補助アセンブリの入力シャフトが駆動されることを可能にし、減速段の第2の歯車よりも高速で回転するように設計されることもできる。
【0021】
スイッチング素子は、好ましくは、形状適合および/または摩擦嵌め結合スイッチング素子として設計される。スイッチング素子はまた、変速機装置として設計されることもでき、そのスイッチング状態は、例えばリングギアなどの伝達素子を固定/解放することによって調整されることができる。
【0022】
減速変速機装置はまた、多段切り替え可能変速機装置として設計されることもできる。本発明にかかる駆動装置は、主駆動力が電気モーターによって提供される純粋な電気駆動装置である。駆動装置は、内燃機関を含まない。電気モーターは、有利には、最初は独立したアセンブリとして製造され、次に、駆動装置のアセンブリの一部として変速機ハウジングに接続されることができる。エンジンハウジングの少なくとも一部を、特にバレルハウジング部分の形態で、変速機ハウジングを介して提供することも可能である。
【0023】
軸方向差動変速機は、その後に減速変速機装置のハウジングに直接接続される、それ自体の差動装置変速機ハウジングを備えるように構成されることができる。軸方向差動変速機を変速機ハウジングにさらに収容すること、または軸方向差動変速機ハウジングを減速変速機のハウジングと一体に製造することも可能である。エンジンハウジングはまた、変速機ハウジングの一体型構成要素を形成することもでき、すなわち、それと一部品で実現されることができる。
【0024】
本発明にかかる概念は、水ポンプ、空調コンプレッサー、およびパワーステアリングポンプなどの同じアセンブリが、車両が静止しているとき、および車両がオーバーランモードにあるときに、エネルギー的に有利に動作されることを可能にする。本発明は、補助アセンブリへの新たなタイプの接続を提案する。これは、「インテリジェント」スイッチング素子に関連する変速機内または変速機に対する補助アセンブリの接続にあり、これは、車両および/または駆動モーターの動作状態および/またはバッテリー充電状態および/または外部要因(例えば、温度)に応じて、補助アセンブリを最もエネルギー効率の高いモードで常に動作させることを可能にする。これは、車両が動いているときに補助アセンブリが変速機シャフトを介して駆動されるという事実によって保証される。特に、車両の運動エネルギーも使用されることができる。さらに、機械式駆動装置は、純粋に電動化されたアセンブリと比較して、効率チェーン全体で大きな利点を提供する。車両が静止しているとき、それは、電気モーターへの直接接続によって電気的に駆動される。アセンブリと変速機シャフトとの間の接続が解放され、摩擦損失を低減する。この動作モードは、車両が静止しているときの静止空調などの快適機能の提供、または車両が駐車した後の冷却のための水ポンプを介したバッテリー冷却回路の動作などの必要な機能の保護を可能にする。
【0025】
本発明にかかる概念は、純粋に電気的に駆動される車両の補助アセンブリによってエネルギー消費が削減されることを可能にし、車両範囲の拡大につながる。
【0026】
本発明は、本質的に、電気駆動機械、変速機、および少なくとも1つの補助アセンブリを備えた電気自動車の駆動系に関する。以下により詳細に説明される例示によれば、変速機は、最終駆動装置および差動装置のみを含むことができる。あるいは、しかしながら、駆動装置はまた、さらなる変速機段を備えることができる。少なくとも1つの補助アセンブリは、駆動ユニットまたは変速機のハウジングに一体化される。電気駆動機械および変速機は、中間シャフトを介して互いに接続される。中間シャフトは、1つまたは複数の補助アセンブリを駆動する。スイッチング素子は、電気機械、補助アセンブリ、および変速機の間の動力の流れの中に配置され、中間シャフトに割り当てられる。
【0027】
補助アセンブリは、減速段の中間シャフトに対して同軸または軸方向に並列になるように配置されることができる。軸方向に並列の配置の場合、中間シャフトと補助アセンブリとの間の歯車接続が形成され、好ましくは遊星変速機によって形成される。駆動装置は、好ましくは互いに軸方向に並列に配置され且つ歯車動作可能接続を介して結合される2つの補助アセンブリによる任意の駆動も可能にするように有利に構成されることができる。
【0028】
本発明によれば、駆動ユニットまたは変速機のいずれかに一体化された少なくとも1つの補助アセンブリは、スイッチング素子を介して電気駆動機械に結合される。このスイッチング素子を使用して、少なくとも2つ、好ましくは3つの「経路」が切り替えられることができる。車軸差動装置のみに第1の経路を介して動力供給される。電気モーターからの動力は、減速段を用いて第2の経路を介して補助アセンブリに流れる(車両が静止している場合)。動力は、第3の経路を介して差動装置から補助アセンブリに流れる(車両がオーバーランモードにあるときは変速機シャフトを介して駆動する)。
【0029】
本発明にかかる概念は、異なる実施形態で実装されることができる。中間シャフトおよび補助アセンブリの軸は、互いに同軸にまたは軸方向に並列に配置されることができる。軸方向に並列の配置の場合、減速段と補助アセンブリの回転子軸との間に歯車接続が存在する。第2のまたはさらなる補助アセンブリは、必要に応じて、互いに同軸にまたは軸方向に並列に配置され、さらなる歯車段を介して互いに接続される。互いに軸方向に並列に配置された補助アセンブリは、例えば、牽引機構駆動装置によって互いに接続されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
本発明のさらなる詳細および特徴は、図面と併せて以下の説明から明らかになるであろう。
【
図1】変速機ハウジングに組み込まれ且つしたがって減速変速機の中間シャフトに対して同軸に配置された補助アセンブリ、および減速段と、好ましくは車軸差動装置につながる駆動系部分と補助アセンブリの選択的結合のために変速機に一体化されたスイッチング素子を有する、本発明にかかる電気機械式駆動装置の構造を説明するための第1の概略図を示している。
【
図2】変速機ハウジングに組み込まれた補助アセンブリ、および減速変速機の中間シャフトと車軸差動装置につながり且つ変速機に一体化された駆動系部分との選択的結合のために意図されるスイッチング素子も有するが、ここでの補助アセンブリが中間シャフトに対して軸方向に並列の方法でオフセットされるように配置されている、本発明にかかる電気機械式駆動装置の構造を説明するための第2の概略図を示している。
【
図3】ここでは、変速機ハウジングに組み込まれた2つの補助アセンブリ、ならびに減速段および車軸差動装置につながる駆動系部分とのそれらの選択的結合のために設けられた変速機内部スイッチング素子を有し、ここでの補助アセンブリの1つが中間シャフトの軸に対して同軸であり且つさらなる補助アセンブリが軸方向に並列の方法でそこからオフセットされるように配置されている、本発明にかかる電気機械式駆動装置の構造を説明するための第3の概略図を示している。
【
図4】異なる車両動作状態における本発明にかかる駆動装置の動作モードおよびスイッチング状態を説明するための第4の概略図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1にかかる図は、回転子ERおよび固定子ESを備える電気機械式主駆動モーターEと、変速機入力GE、変速機出力GA、少なくとも1つの減速段GR、および減速段GRを収容する変速機ハウジングGHを備える減速変速機装置Gと、減速変速機装置GRの出力に存在する駆動力を第1の車輪駆動系部分DLおよび第2の車輪駆動系部分DRに分岐するための軸方向差動変速機ADと、主駆動モーターEによって駆動可能な補助アセンブリAUX1と、を有する、電気機械式駆動装置を示している。補助アセンブリAUX1は、特に、空調コンプレッサー、パワーステアリングポンプ、ブレーキシステムの送達モジュール、またはバッテリーアセンブリを冷却して対応する自動車の車内を加熱する流体を循環させるための冷却水ポンプとすることができる。
【0032】
補助アセンブリAUX1は、減速段GRを用いて主駆動モーターEによって駆動可能に駆動装置に組み込まれている。補助アセンブリAUX1は、完全に変速機ハウジングGHに組み込まれている。スイッチング素子SE1が変速機ハウジングGH内に設けられている。減速段GRから軸方向差動変速機ADへの駆動接続が、前記スイッチング素子SE1によって切り替え可能に接続および切断可能であるように、スイッチング素子SE1が構成されて駆動装置に組み込まれている。(
図4の結合機能S1)。
【0033】
軸方向差動変速機ADと減速段GRとの間の駆動接続が取り消され且つ自動車がオーバーランモードにある場合、補助アセンブリが軸方向差動変速機によって駆動可能であるように、スイッチング素子SE1および補助アセンブリAUX1は、駆動装置に組み込まれている。(
図4の結合機能S3)
【0034】
さらに、軸方向差動変速機ADと減速段GRとの間の駆動接続が取り消され且つ自動車が静止している場合、補助アセンブリAUX1が減速段GRを用いて主駆動モーターEによって駆動可能であるように、スイッチング素子(SE1)および補助アセンブリAUX1がまた、駆動装置に一体化されている。(
図4の結合機能S2)
【0035】
減速段GRは、中間シャフトGWと、それに係合する第1の歯車G1および第2の歯車G2とを備える。第2の歯車G2は、中間シャフトGWに配置され、減速段GRが減速をもたらすように第1の歯車G1の歯数よりも多い歯数を有する。
【0036】
スイッチング素子SE1は、ここでは切り替え可能に中間シャフトGWを第2の歯車G2と結合するように設計されている。あるいは、中間シャフトGWをその上に着座する出力歯車G3と切り替え可能に結合させるようにスイッチング素子SE1を設計することも可能である。中間シャフトGWのこの出力歯車G3は、外側から半径方向に大歯車G4に係合し、これは、ここでは、ねじり剛性の方法で軸方向差動変速機ADの遊星ハウジングUHに直接的に結合されている。
【0037】
補助アセンブリAUX1は、入力シャフトE1を有し、この入力シャフトE1は、中間シャフトGWの軸に対して同軸に配置されている。本発明にかかる駆動装置は、補助アセンブリAUX1が少なくとも部分的に変速機ハウジングGHに組み込まれ、スイッチング素子SE1が変速機ハウジングGH内に設けられ、回転子ERと軸方向差動変速機ADとの間に減速段GRを用いて延在する駆動接続が、前記スイッチング素子によって切り替え可能に接続及び切断可能であり、したがって、回転子ERと軸方向差動変速機ADとの間の駆動接続が取り消された場合、補助アセンブリAUX1が回転子ERを介して選択的に駆動可能であるように、スイッチング素子SE1が構成されて駆動装置に組み込まれていることを特徴とする。
【0038】
本発明にかかる駆動装置では、補助アセンブリAUX1は、入力シャフトE1を有し、この入力シャフトE1は、中間シャフトの軸に対して同軸に配置されている。スイッチング素子SE1はまた、中間シャフトの回転軸に対して同軸に配置され、その出力トルクをスイッチング素子の出力に切り替えるか、または切り離しを引き起こす。
【0039】
スイッチング素子SE1は、軸方向差動変速機ADへの駆動接続を確立するために使用されることができるように設計される。この例示的な実施形態では、スイッチング素子SE1は、減速段GRに直接組み込まれている。減速段GRは、ここでは、平歯車段として設計されており、スイッチング素子SE1は、その直径の観点で大きい第2の平歯車G2が中間シャフトGWに結合されることを可能にする。この目的のために、スイッチング素子SE1は、形状適合および/または摩擦嵌め結合スイッチング素子SEとして設計されている。それぞれのスイッチング状態を調整するために設けられるアクチュエータは、ここには図示されておらず、それらは、スイッチング素子に一体化されることができ、特に電磁または流体機械的アクチュエータとして設計されることができる。
【0040】
電気モーターE、減速変速機Gおよび補助アセンブリAUXは、共通のハウジング装置GHに組み込まれ、軸方向差動変速機ADは、このハウジング装置GHに接続されるか、または同様にその中に一体化される。軸方向差動変速機は、差動装置ハウジングADHに収容されている。これは、変速機ハウジングGHと一体的に形成されるか、またはそれに取り付けられることができる。
【0041】
本発明にかかる駆動装置では、変速機Gは、入力側で少なくとも1つの電気駆動モーターEに接続され、出力側で少なくとも1つの車軸DL、DRに接続される。変速機Gは、遊星歯車セットが一体化されることができるか、または平歯車段または遊星歯車セットによって互いに接続される1つ以上のシャフトを備える。減速段である中間シャフトには、空調コンプレッサー、水ポンプなどの補助アセンブリAUX1がそれと同軸であるように固定されている。
【0042】
図2にかかる図は、ひいては、回転子ERおよび固定子ESを備える電気機械式主駆動モーターEと、変速機入力GE、変速機出力GA、少なくとも1つの減速段GR、および減速段GRを収容する変速機ハウジングGHを備える減速変速機装置Gと、減速変速機装置の出力に存在する駆動力を第1の車輪駆動系部分DLおよび第2の車輪駆動系部分DRに分岐するための軸方向差動変速機ADと、主駆動モーターEによって減速段GRを用いて駆動可能な補助アセンブリAUX1と、を有する、電気機械式駆動装置を示している。
【0043】
本発明にかかるこの駆動装置はまた、補助アセンブリAUX1が完全にまたは少なくとも部分的に変速機ハウジングGHに組み込まれ、スイッチング素子SE1が変速機ハウジングGH内に設けられ、減速段GRと軸方向差動変速機ADとの間の駆動接続が、前記スイッチング素子によって切り替え可能に接続および切断可能であり、したがって、減速段GRと軸方向差動変速機ADとの間の駆動接続が取り消された場合、補助アセンブリAUX1がまた減速段GRを用いて駆動可能であるように、スイッチング素子SE1が構成されて駆動装置に組み込まれていることを特徴とする。
【0044】
この変形例では、補助アセンブリAUX1の入力シャフトE1が減速段GRの中間シャフトGWの軸から並列の方法でオフセットされるように、補助アセンブリAUX1が駆動装置に組み込まれる。これは、ここでは牽引機構駆動装置TMによって達成される。これは、第1の牽引機構ホイールTM1および第2の牽引機構ホイールTM2、ならびにベルトまたはチェーンとして設計された牽引機構TM3を備える。第1の牽引機構ホイールTM1は、中間シャフトの軸に対して同軸に配置され、スイッチング素子SE1を介して中間シャフトまたは減速段の第2の平歯車G2に切り替え可能に結合されることができる。
【0045】
スイッチング素子SE1は、減速段GR、特にその第2の平歯車G2に組み込まれている。減速段GRは、2つの平歯車G1、G2を備える。第1の平歯車G1は、電気モーターの回転子シャフトRSによって駆動され、外側から半径方向に減速段RGの第2の平歯車G2に係合する。減速段GRからのさらなる動力の伝達は、中間シャフト上に着座する第3の平歯車G3を介して行われる。この第3の平歯車G3は、第4の平歯車G4に係合し、これは、軸方向差動変速機ADの大きなホイールまたはクラウンホイールを形成し、この目的のために、遊星ハウジングUHまたは軸方向差動変速機ADのウェブにねじれ防止方法で接続される。スイッチング素子SE1は、補助アセンブリAUX1に動力を渡す。この通路は、スイッチング素子SE1を介して切り替えられることができ、すなわち、接続および切断されることができる。
【0046】
図3にかかる例示的な実施形態は、回転子ERおよび固定子ESを備える電気機械式主駆動モーターEと、変速機入力GE、変速機出力GA、少なくとも1つの減速段GR、および減速段GRを収容する変速機ハウジングGHを備える減速変速機装置Gと、減速変速機装置の出力に存在する駆動力を第1の車輪駆動系部分DLおよび第2の車輪駆動系部分DRに分岐するための軸方向差動変速機(AD)と、減速段GRを用いて主駆動モーターEによって駆動可能な第1の補助アセンブリAUX1および第2の補助アセンブリAUX2と、を有する、本発明にかかる電気機械式駆動装置の第3の変形を示している。
【0047】
本発明にかかるこの駆動装置は、2つの補助アセンブリAUX1、AUX2が完全にまたは少なくとも部分的に変速機ハウジングGHに組み込まれ、スイッチング素子SE1が変速機ハウジングGH内に設けられ、減速段の第2の歯車G2と軸方向差動変速機ADとの間の駆動接続が、前記スイッチング素子によって切り替え可能に接続および切断可能であり、回転子ERと軸方向差動変速機ADとの間の駆動接続が取り消された場合、必要に応じて、補助アセンブリAUX1、AUX2がまた減速段GRを用いて駆動可能であるように、スイッチング素子SE1が構成されて駆動装置に組み込まれていることを特徴とする。
【0048】
この変形では、補助アセンブリAUX1は、入力シャフトE1を有し、この入力シャフトE1は、中間シャフトGWの回転軸に対して同軸に配置されている。補助アセンブリAUX2の入力シャフトE2が中間シャフトGWの軸から並列の方法でオフセットされるように、補助アセンブリAUX2が駆動装置に組み込まれる。これは、ひいては、ここでは牽引機構駆動装置TMによって達成される。これは、第1の牽引機構ホイールTM1および第2の牽引機構ホイールTM2、ならびにベルトまたはチェーンとして設計された牽引機構TM3を備える。第1の牽引機構ホイールTM1は、回転子軸Xに対して同軸に配置され、スイッチング素子SEを介して回転子シャフトまたは減速段の第1の平歯車G1に切り替え可能に結合されることができる。
【0049】
スイッチング素子SE1は、能動的に、例えば、磁気クラッチとして、マルチディスククラッチとして、または受動的に、例えば、フリーホイールとして、結合可能または解放可能とすることができる。同時に、この1つのスイッチング素子SE1は、電気モーターおよび補助アセンブリが、互いに独立して、または同時に、変速機から、したがって車両の駆動系から切り離されることを可能にする。この機能一体化は、構成要素の数を最小限に抑える。
【0050】
スイッチング素子SE1は、遊星変速機セットなどの一定または可変の歯車比/減速比を含むことができる。スイッチング素子SE1は、例えば、デュアルマスフライホイールと同様のばねダンパー素子によって、駆動系および/またはアセンブリに対して減衰または切り離し効果を同時に有することができる。スイッチング素子SE1はまた、例えば、変速機段GRの歯車の内部に組み込まれることができる。
【0051】
図4にかかる表現は、選択された車両動作状態に関連した本発明にかかる駆動装置の動作モードを示している。ここでは、スイッチング素子SE1は、3つの結合機能S1、S2、S3を提供することができるように設計されている。第1の結合機能S1は、電気モーターEから車軸差動装置ADへの動力伝達を可能にする。第2の結合機能は、電気モーターEから補助アセンブリAUX1への動力伝達を可能にする。第3の結合機能は、車軸差動装置ADから補助アセンブリAUX1への動力伝達を可能にする。自動車の異なる運転状態に応じたスイッチング素子SEの結合機能S1、S2、S3の設定を表T1およびT2に示し、「接続」は、結合を意味し、「開放」は、切断を意味する。
【0052】
表T1に指定された運転状態1では、電気モーターEは、アクティブであり、スイッチング素子SE1は、結合機能S1を提供し、それにしたがって、回転子シャフトのトルクが減速変速機段GRを介して車軸差動装置に供給される。補助アセンブリAUX1がこの状態でアクティブになる場合、結合機能S2および/またはS3も提供される。
【0053】
車両が表T1の運転状態2にしたがってオーバーランモードにあり、過剰な推力がある場合、結合機能S1および結合機能S3がスイッチング素子SEによって調整される。動力変換は、ここで、回生運転モードにおいて電気モーターEを介して行われ、さらに、補助アセンブリAUX1の機械的駆動は、車軸差動装置ADからの動力タッピングによって直接行われる。
【0054】
航行運転と呼ばれるもの、すなわち、表T1の運転状態3にしたがって車両が所望の有意な制動効果なしでスムーズに走行し続ける場合、結合機能S1、S2が取り消され、結合機能S3のみが作動する。補助アセンブリAUX1は、ここで、電力を消費することなく、車軸差動装置ADによって直接駆動される。
【0055】
表T1の運転状態4にしたがって車両が静止しているとき、結合機能S1およびS3は、非アクティブ化され、補助アセンブリは、結合機能S2を介して電気モーターEによって直接駆動される。
【0056】
例えば駐車時など、補助アセンブリAUX1が作動を必要とせずに車両が静止している場合、電気モーターEはオフになる。この状態では、特定の結合機能が必要とされないため、スイッチング素子SE1は、任意の状態をとることができる。しかしながら、ここでは、僅かに増加した保持トルク、意図しないローリングの場合の制動効果、および必要に応じて電気モーターEを制御することによるアクティブな制動効果をもたらすために、結合機能S1およびS3をアクティブにすることも可能である。
【0057】
結合機能S1、S2は、形状適合結合スイッチング素子または適切に作動可能なクラッチを介して実装されることができる。結合機能S3はまた、フリーホイールによっても達成されることができるため、車両がオーバーランモードにあるときに自動的に生じる。
【0058】
本発明にかかる駆動装置は、補助アセンブリの新たなタイプの接続を目的としている。補助アセンブリの接続は、「インテリジェント」スイッチング素子に関連する変速機内または変速機上でこのようにして生じ、これは、車両および/または駆動モーターの動作状態および/またはバッテリー充電状態および/または外部要因(例えば、温度)に応じて、補助アセンブリを最もエネルギー効率の高いモードで常に動作させることを可能にする。
【0059】
これは、車両が動いているときに補助アセンブリが変速機シャフトを介して駆動されるという事実によって保証される。特に、車両の運動エネルギーも使用されることができる。さらに、機械式駆動装置は、一般に、純粋に電動化されたユニットと比較して、効率チェーン全体で大きな利点を有する。車両が静止しているとき、それは、電気モーターへの直接接続によって電気的に駆動される。アセンブリと変速機シャフトとの間の接続が解放され、摩擦損失を低減する。この動作モードは、車両が静止しているときの静止空調などの快適機能の提供、または車両が駐車した後の冷却のための水ポンプを介したバッテリー冷却回路の動作などの必要な機能の保護を可能にする。
【0060】
本発明にかかる駆動装置は、入力側で少なくとも1つの電気駆動モーターに接続され、出力側で少なくとも1つの車軸に接続される変速機を備える。変速機は、駆動シャフト、少なくとも1つの中間シャフト、および1つ以上の出力シャフトから構成される。変速機は、1つ以上の遊星変速機セットおよび/または平歯車段を含むことができる。空調コンプレッサー、水ポンプなどの補助アセンブリが中間シャフトに対して同軸に且つ並列に接続されている(
図1)。しかしながら、例えば、ベルトまたはチェーン駆動による接続も可能であり、駆動輪の1つまたは駆動プーリーの1つが同軸に接続され、牽引機構駆動装置が中間シャフトに軸方向に並列になるように配置される(
図2)。必要に応じて、チェーンまたはベルト駆動装置には、従来のガイドおよび/またはテンションレールまたはたわみおよび/またはテンションローラーを装備することができる。
【0061】
アセンブリの中間シャフトへの接続、およびここで記載されるシフト要素との組み合わせは、中間シャフトが完全で独立したモジュールとして設計されることができ、変速機の残りの部分の設計/構造がアセンブリの接続によって影響を受けないという利点を有する。例えば、後付けまたはオプションのみの装備が可能である。さらに、中間シャフトの速度は、アセンブリが変速機入力シャフトに接続されたときよりも摩擦が少なく動作可能であるように、電気モーターまたは変速機入力シャフトよりも低速である。電気機械および1つの補助アセンブリ/複数の補助アセンブリは、変速機ハウジングに一体化されているため、省スペース設計を可能にし、シャフトに対する追加シールを回避する。
【0062】
中間シャフトにはまた、スイッチング素子が装備され、これは、電気モーターおよび補助アセンブリの双方が、互いに独立してまたは同時に、変速機から、したがって車両の駆動系から切り離されることを可能にする。駆動系からの完全な切り離しにより、電気モーターと補助アセンブリとの間にはなおも接続が存在する。
【0063】
スイッチング素子は、能動的、例えば磁気結合、および受動的、例えばフリーホイールの結合または取り外しの双方とすることができる。スイッチング素子は、遊星変速機セットなどの一定または可変の歯車比/減速比を含むことができる。スイッチング素子は、例えば、DMFと同様のばねダンパー素子によって、駆動系および/またはアセンブリに対して減衰または切り離し効果を同時に有することができる。スイッチング素子はまた、例えば、中間シャフトの歯車に一体化されることもできる。異なる動作状態に対応する素子のスイッチング状態は、例えば
図4においてより詳細に説明される。
【0064】
同軸に接続された補助アセンブリはまた、例えばチェーンまたは歯付きベルト駆動装置を用いて、さらなる補助アセンブリに接続されることもできる(
図3)。この場合、接続されている全ての補助アセンブリは、さらに、それらの駆動シャフトに、さらなる結合および/または減衰および/または切断離素子を有することができる。これは、車両の動作状態や他の要素に応じて、個々のアセンブリのそれぞれの個別動作を可能にする。同時に、アセンブリは、駆動系のねじり振動から切り離されることができるため、より均一で効率的な動作を保証し、および/または駆動系への、したがって間接的に車両への接続プロセスの可能な悪影響を回避する。