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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】自己組織化銅球の調製方法
(51)【国際特許分類】
   B22F 9/24 20060101AFI20221220BHJP
   B22F 1/00 20220101ALI20221220BHJP
   B22F 1/065 20220101ALI20221220BHJP
   B22F 1/07 20220101ALI20221220BHJP
   B22F 1/10 20220101ALI20221220BHJP
【FI】
B22F9/24 B
B22F1/00 L
B22F1/065
B22F1/07
B22F1/10
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021510823
(86)(22)【出願日】2018-12-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-23
(86)【国際出願番号】 CN2018125634
(87)【国際公開番号】W WO2020077879
(87)【国際公開日】2020-04-23
【審査請求日】2021-02-26
(31)【優先権主張番号】201811210272.9
(32)【優先日】2018-10-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】516323792
【氏名又は名称】深▲セン▼先進技術研究院
【氏名又は名称原語表記】SHENZHEN INSTITUTES OF ADVANCED TECHNOLOGY
【住所又は居所原語表記】1068, Xueyuan Avenue Xili University Town, Nanshan Shenzhen, Guangdong 518055, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】李 剛
(72)【発明者】
【氏名】胡 新艶
(72)【発明者】
【氏名】朱 朋莉
(72)【発明者】
【氏名】趙 涛
(72)【発明者】
【氏名】孫 蓉
【審査官】松村 駿一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2009/014392(WO,A2)
【文献】特開2016-011448(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22F 9/24
B22F 1/00
B22F 1/065
B22F 1/07
B22F 1/10
CAplus/REGISTRY(STN)
Scopus
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自己組織化銅球の調製方法であって、銅前駆体、ポリマーおよび還元剤を溶剤に混合させ、反応させて前記自己組織化銅球を得ることを含み、
銅前駆体が、水酸化銅、アセチルアセトナート銅またはクエン酸銅のうちのいずれか1種または少なくとも2種の組合せであり、
前記自己組織化銅球は、銅粒子および銅粒子の表面に吸着された還元剤の酸化生成物を含む複合銅球と、複合銅球の表面に被覆されたポリマーと、を含み、
前記ポリマーがポリビニルピロリドンである、自己組織化銅球の調製方法。
【請求項2】
前記還元剤の酸化生成物がデヒドロアスコルビン酸および/またはメタホウ酸ナトリウムであり、
好ましくは、前記複合銅球は、銅粒子の表面に吸着された還元剤をさらに含み、
好ましくは、前記ポリビニルピロリドンは、ポリビニルピロリドンK13~K18、ポリビニルピロリドンK23~K27、ポリビニルピロリドンK29~K32またはポリビニルピロリドンK88~K96のうちのいずれか1種または少なくとも2種の組合せを含み、
好ましくは、前記ポリビニルピロリドンK13~K18の数平均分子量が0.8~1.2万であり、
好ましくは、前記ポリビニルピロリドンK23~K27の数平均分子量が2~2.8万であり、
好ましくは、前記ポリビニルピロリドンK29~K32の数平均分子量が5.5~6.5万であり、
好ましくは、前記ポリビニルピロリドンK88~K96の数平均分子量が120~140万であり、
好ましくは、前記還元剤は、アスコルビン酸および/またはホウ水素化ナトリウムであり、
好ましくは、前記自己組織化銅球の粒径が2~10μmである、請求項に記載の調製方法。
【請求項3】
前記銅前駆体とポリマーの質量比が1:(0.05~2)である、請求項1に記載の調製方法。
【請求項4】
前記銅前駆体と還元剤の質量比が1:(1~50)である、請求項1に記載の調製方法。
【請求項5】
前記溶剤が水および/またはアルコールであり、
好ましくは、前記アルコールは、エタノール、エチレングリコールまたはグリセロールのうちのいずれか1種または少なくとも2種の組合せである、請求項1に記載の調製方法。
【請求項6】
前記反応の温度が40~150℃であり、
好ましくは、前記反応の時間は、10~180minであり、
好ましくは、前記調製方法は、得た自己組織化銅球を後処理することをさらに含み、
好ましくは、前記後処理は、固液分離、洗浄および真空乾燥を含み、
好ましくは、前記固液分離は、遠心分離であり、
好ましくは、前記洗浄に用いられる溶剤は、水および/またはエタノールであり、
好ましくは、前記洗浄は、遠心分離洗浄である、請求項1に記載の調製方法。
【請求項7】
前記調製方法は、銅前駆体、ポリビニルピロリドンおよび還元剤を、質量比1:(0.05~2):(1~50)で、水および/またはアルコールに混合させ、40~150℃で10~180min反応させた後に遠心分離し、得た固体を水および/またはアルコールで遠心分離して洗浄し、真空乾燥し、粒径が2~10μmの前記自己組織化銅球を得ることを含む、請求項1に記載の調製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、導電性インクの技術分野に属し、自己組織化銅球、導電性インクおよびその調製方法と使用に関し、特に、自己組織化銅球、その調製方法およびそれを用いる導電性インク、導電性インクの調製方法と導電性インクの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント電子は、プロセスがシンプルであり、収率が高く、コストが低いなどの利点を有し、従来のフォトエッチング方法に取って代わりつつある。導電性インクは、プリント電子の機能的材料として、ますます重要視されている。そのうち、ナノシルバーインクは、導電性および安定性が高いため、各商業分野に広く用いられているが、その価格が高く、電子が遷移しやすいなどの欠陥が存在するため、その広い使用が制限されている。銅導電性インクは、価格が低く、導電性に優れているので、金・銀導電性インクの最適な代替品であると認められているが、ナノ銅粒子が酸化されやすく焼結されにくいという主な欠陥が存在するので、導電率を低下し焼結温度を向上する可能性がある。プラスチック、ポリアミド(PI)、紙などのフレキシブル基板に対して、高温によりその基板が破壊される。銅インクの広い商業的使用を実現するために、耐酸化性が悪く、焼結性が悪いという問題を解決しなければならない。
【0003】
銅導電性インクの耐酸化性能を向上させるために、研究員は、不活性雰囲気、ポリマーコーティング、炭素/グラフェンコーティングおよび金属ハウジングをそれぞれ用いることにより、多くの研究を行ってきた。しかしながら、これらの方法には、幾つかの欠陥が存在し、コーティングプロセスが通常に煩雑で完全的ではない。また、酸化は、不可避的で、且つ周囲の環境に依存するものであるので、表面におけるポリマーは、その焼結に影響を及ぼす可能性がある。耐酸化性が良好な銅粒子を合成することは、あらゆる方法のうち最適的なものとなっている。また、焼結可能性が悪いことも銅インクの使用を制限することがある。表面における酸化層は、銅基インクの導電率を大幅に低下し、焼結温度を向上することがあり、且つ合成過程における有機物は、通常250℃超えの焼結温度でこそ分解し得る。より良好な焼結性能を取得するために、研究員は、たとえば、フォトニック焼結、レーザー焼結、フラッシュ焼結、プラズマプロセスなどの異なる焼結技術を試みているが、これらの技術に複雑な焼結機器が必要となっている。そのため、現在、銅インクの低温焼結を実現することが依然として難題である。
【0004】
現在、ナノ銅粒子が酸化されやすく、低温で焼結されにくいという問題を解決するために、主として個別のナノ銅粒子に対して表面機能化を行うことを試みているが、銅粒子の構造を設計することによりこれらの性能を調節・制御するという報道が非常に少ない。最近、イスラエル3Dプリント電子公司Nano Dimensionは、その子公司Nano Dimension Technologiesが耐酸化性を有するだけでなく、160℃未満の温度で焼結相互結合可能なナノ銅粒子の開発に成功したと発表している。耐酸化ナノ銅粒子は、コア/シェル構造と類似する性質を有する「独特な球形クラスター」として構造されている。現在、Nano Dimension Technologiesは、アメリカ特許商標庁へ、類似する銅粒子特許出願を提出したが、出願されている技術に関する詳細を漏らしていない。
【0005】
特許文献1では、導電性インクが開示されている。前記導電性インクの成分および処方は以下の通りである。グラフェンが5部~30部、カーボンブラックが5部~20部、銅粉が5部~20部、樹脂が5部~30部、溶剤が20部~40部、助剤が1部~20部である。当該発明により調製された導電性インクは、抵抗率が高く、導電性能が悪い。
【0006】
特許文献2では、多孔質銅球およびその調製方法が開示されている。当該調製方法は以下を含む。銅源および有機酸錯化剤や有機アミン錯化剤を溶剤に添加し、均一に撹拌した。その後、還元剤であるヒドラジン水和物を添加して反応させ、遠心分離した。沈殿物を取り出して洗浄した後、真空乾燥させて多孔質銅球を得た。当該発明により調製された多孔質銅球が導電性インクに使用可能なことが言及されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】中国特許出願公開第104292983号明細書
【文献】中国特許出願公開第105458295号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そのため、導電効果がよい新規な銅導電性インクを開発する必要がある。
【0009】
以下は、当該明細書に詳しく記載されるテーマについて概説する。当該概説は、本発明の保護範囲を限定するためのものではない。
【0010】
本願は、自己組織化銅球、導電性インクおよびその調製方法と使用、特に自己組織化銅球、その調製方法、並びにそれを用いる導電性インクおよびその調製方法と使用を提供することを目的とする。当該方法により調製される自己組織化銅球は、よい耐酸化性を有し、調製プロセスがシンプルであり、環境に優しい。当該自己組織化銅球により調製される導電性インクは、低い抵抗率、高い導電性能を有し、焼結温度が低く、高いエネルギー損失を引き起こしない。
【課題を解決するための手段】
【0011】
その目的を達成するために、本願は、以下の技術方案を講じた。
【0012】
本願は、銅粒子および銅粒子の表面に吸着された還元剤の酸化生成物を含む複合銅球と、複合銅球の表面に被覆されたポリマーと、を含む自己組織化銅球を提供することを目的の一とする。
【発明の効果】
【0013】
本願により調製される自己組織化銅球は、よい耐酸化性を有し、長期にわたって空気中に保管された場合でも、酸化が明らかではない。
【0014】
本願により調製される自己組織化銅球は、外力による誘導下で、シート状の構造に形成され、低温相互結合を実現することができる。
【0015】
本願により調製される自己組織化銅球は、銅粒子の外面に還元剤の酸化生成物が吸着され、ポリマーが被覆されていることにより、良好な耐酸化性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本願の実施例1により調製される自己組織化銅球、およびそれが空気中に3ヶ月保管された後のXRD図である。
図2図2は、本願の実施例1により調製される自己組織化銅球、およびそれが空気中に3ヶ月保管された後のXPS図である。
図3図3は、本願の実施例1により調製される自己組織化銅球のSEM図であり、スケールが4μmである。
図4a図4(a)は、本願の実施例1により調製される導電性インクが25℃で焼結された後のSEM図であり、スケールが10μmである。
図4b図4(b)は、本願の実施例1により調製される導電性インクが150℃で焼結された後のSEM図であり、スケールが10μmである。
図4c図4(c)は、本願の実施例1により調製される導電性インクが200℃で焼結された後のSEM図であり、スケールが10μmである。
図4d図4(d)は、本願の実施例1により調製される導電性インクが250℃で焼結された後のSEM図であり、スケールが10μmである。
図4e図4(e)は、本願の実施例1により調製される導電性インクが300℃で焼結された後のSEM図であり、スケールが10μmである。
図4f図4(f)は、本願の実施例1により調製される導電性インクが350℃で焼結された後のSEM図であり、スケールが10μmである。
図5図5は、本願の実施例2により調製される自己組織化銅球のSEM図であり、スケールが4μmである。
図6図6は、本願の実施例3により調製される自己組織化銅球のSEM図であり、スケールが4μmである。
図7図7は、本願の実施例4により調製される自己組織化銅球のSEM図であり、スケールが4μmである。
図8図8は、本願の実施例5により調製される自己組織化銅球のSEM図であり、スケールが4μmである。
図9図9は、本願の実施例6により調製される自己組織化銅球のSEM図であり、スケールが4μmである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本願において、前記複合銅球は、銅粒子の表面に吸着された還元剤をさらに含む。
【0018】
本願において、前記ポリマーは、ポリゼニルピロリドンである。
【0019】
本願において、前記ポリゼニルピロリドンは、ポリゼニルピロリドンK13~K18、ポリゼニルピロリドンK23~K27、ポリゼニルピロリドンK29~K32またはポリゼニルピロリドンK88~K96のうちのいずれか1種または少なくとも2種の組合せを含む。
【0020】
本願において、前記ポリゼニルピロリドンK13~K18の数平均分子量が0.8~1.2万、たとえば0.8万、0.85万、0.9万、0.95万、1.0万、1.05万、1.1万、1.15万、1.2万などである。
【0021】
本願において、前記ポリゼニルピロリドンK23~K27の数平均分子量が2~2.8万、たとえば2万、2.1万、2.2万、2.3万、2.4万、2.5万、2.6万、2.7万、2.8万などである。
【0022】
本願において、前記ポリゼニルピロリドンK29~K32の数平均分子量が5.5~6.5万、たとえば5.5万、5.6万、5.7万、5.8万、5.9万、6.0万、6.1万、6.2万、6.3万、6.4万、6.5万などである。
【0023】
本願において、前記ポリゼニルピロリドンK88~K96の数平均分子量が120~140万、たとえば120万、122万、125万、127万、130万、132万、135万、138万、140万などである。
【0024】
本願において、前記還元剤は、アスコルビン酸および/またはメタホウ酸ナトリウムである。
【0025】
本願において、前記還元剤の酸化生成物は、デヒドロアスコルビン酸および/またはメタホウ酸ナトリウムである。
【0026】
本願において、前記自己組織化銅球の粒径が2~10μm、たとえば2μm、3μm、4μm、5μm、6μm、7μm、8μm、9μm、10μmなどである。
【0027】
本願は、銅前駆体、結合物および還元剤を溶剤に混合させ、反応させて前記自己組織化銅球を得ることを含み、そのうち、銅前駆体は、水酸化銅、アセチルアセトナート銅またはクエン酸銅のうちのいずれか1種または少なくとも2種の組合せを含む自己組織化銅球の調製方法を提供することを目的の二とする。
【0028】
本願は、液相還元法で自己組織化銅球を調製し、調製プロセスがシンプルであり、不活性ガスの環境で行う必要がなく、原材料の取得が容易であり、環境にやさしく、量産可能となる。
【0029】
本願に記載される調製方法により調製される自己組織化のナノ銅球は、サイズが均一であり、粒径が制御可能であり、且つ表面における有機物の含有量が少ない。
【0030】
本願において、前記銅粒子および還元剤の酸化生成物は、銅前駆体と還元剤とを反応させて得るものである。
【0031】
本願に用いられる銅前駆体は、水酸化銅、アセチルアセトナート銅、クエン酸銅、硝酸銅三水和物または硫酸銅五水和物のうちのいずれか1種または少なくとも2種の組合せである。硝酸銅、硫酸銅または塩化銅などの強酸性金属銅塩を用いれば、低い温度でアスコルビン酸と反応して金属銅粒子を生成することができない。ギ酸銅、酢酸銅などの金属銅塩を用いれば、本願に記載される自己組織化銅のナノ粒子ではなく、銅粉を生成することができる。
【0032】
本願において、前記還元剤は、アスコルビン酸および/またはホウ水素化ナトリウムを含む。
【0033】
本願において、アスコルビン酸が銅前駆体における銅イオンと反応し、反応式がCu2++C=Cu+C+2Hである。反応により生成したデヒドロアスコルビン酸が銅粒子の表面に吸着することに起因して、銅粒子がマイナスに帯電し、ポリゼニルピロリドンのプラスに帯電する基の静電作用力下で、クラスターが徐々に成長することで、均一で、安定的で、表面が粗い自己組織化構造を形成する。
【0034】
本願において、ホウ水素化ナトリウムが銅前駆体における銅イオンと反応し、反応式が4Cu2++NaBH+8OH=4Cu+NaBO+6HOである。反応過程においてヒドロキシル基を生成する。ヒドロキシル基が銅粒子の表面に吸着して銅粒子をマイナスに帯電させ、ポリゼニルピロリドンのプラスに帯電する基の静電作用力下で、クラスターが徐々に成長することで、均一で、安定的で、表面が粗い自己組織化構造を形成する。
【0035】
本願において、前記溶剤は、水および/またはアルコールである。
【0036】
本願において、前記アルコールは、エタノール、エチレングリコールまたはグリセロールのうちの1種または少なくとも2種の組合せである。
【0037】
本願において、前記銅前駆体とポリマーの質量比は、1:(0.05~2)、たとえば1:0.05、1:0.1、1:0.2、1:0.3、1:0.4、1:0.5、1:0.6、1:0.7、1:0.8、1:0.9、1:1、1:1.1、1:1.2、1:1.3、1:1.4、1:1.5、1:1.6、1:1.7、1:1.8、1:1.9、1:2などである。
【0038】
本願に用いられる銅前駆体とポリマーの質量比は、1:(0.05~2)である。当該割合範囲以内にある場合、ポリマーが銅前駆体により形成された小粒子を完全に被覆することを確保することができるだけでなく、原材料の浪費を招かない。両者の質量比が1:0.05超えである場合、ポリマーの量が少なく過ぎ、銅前駆体により形成された小粒子を完全に被覆することができず、生成した自己組織化銅球が酸化されやすい。両者の質量比が1:2未満である場合、銅粒子の集まりを加速させることができるが、原材料の浪費を招く恐れがある。
【0039】
本願において、前記銅の前駆体と還元剤の質量比は、1:(1~50)、たとえば1:1、1:5、1:10、1:15、1:20、1:25、1:30、1:35、1:40、1:45、1:50などである。
【0040】
本願に用いられる銅の前駆体と還元剤の質量比は、1:(1~50)である。当該範囲以内にある場合、反応が順調に行われることを確保することができるだけでなく、原材料の浪費を招かない。銅の前駆体と還元剤の質量比が1:1超えである場合、一部の銅前駆体が反応できないか、または1価の銅イオンを生成することができる。銅の前駆体と還元剤の質量比が1:50未満である場合、反応を加速させるが、原材料の浪費を招く恐れがある。
【0041】
本願において、前記反応温度は、40~150℃、たとえば40℃、50℃、60℃、70℃、80℃、90℃、100℃、110℃、120℃、130℃、140℃、150℃などである。
【0042】
本願において、前記反応時間は、10~180min、たとえば10min、20min、30min、40min、50min、60min、70min、80min、90min、100min、110min、120min、130min、140min、150min、160min、170min、180minなどである。
【0043】
本願において、前記調製方法は、得た自己組織化銅球を後処理することをさらに含む。
【0044】
本願において、前記後処理は、固液分離、洗浄および真空乾燥を含む。
【0045】
本願において、前記固液分離は、遠心分離である。
【0046】
本願において、前記洗浄に用いられる溶剤は、水および/またはエタノールである。
【0047】
本願により調製される銅粒子は、遠心分離および洗浄を経て、表面における有機物の残留が少なくなり、後続の使用に便利である。
【0048】
本願において、前記調製方法は、銅前駆体、保護剤であるポリゼニルピロリドンおよび還元剤を質量比1:(0.05~2):(1~50)で水および/またはアルコールに混合させ、40~150℃で10~180min反応させた後、遠心分離し、水および/またはアルコールで洗浄し、真空乾燥して、前記粒径が2~10μmの自己組織化銅球を得ることを含む。
【0049】
本願は、目的の一に記載される自己組織化銅球を含む導電性インクを提供することを目的の三とする。
【0050】
本願は、自己組織化銅球を有機溶剤に分散させて前記導電性インクを得ることを含む、目的の三に記載される導電性インクの調製方法を提供することを目的の四とする。
【0051】
本願において、前記有機溶剤は、エタノール、エチレングリコール、グリセロール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、テルピネオールまたはエチレングリコールブチルエーテルのうちのいずれか1種または少なくとも2種の組合せである。
【0052】
本願において、前記混合は、ボールミリングである。
【0053】
本願は、目的の三に記載される導電性インクの、プリント電子の機能的材料としての使用を提供することを目的の五とする。
【0054】
関連技術に対して、本願は、以下の有益な効果を有する。
【0055】
本願に係る自己組織化銅球は、良好な耐酸化能力を有し、長期にわたって空気中に保管された場合でも酸化されることがない。調製される自己組織化銅球は、外力により柱状の小粒子に破砕されやすく、粒子同士が相互結合をより実現やすく、良好な焼結性能を示し、焼結温度が180℃までに低くなる。液相還元法で調製することにより、調製プロセスがシンプルであり、不活性ガスの環境で行う必要がなく、原材料の取得が容易であり、環境にやさしく、自己組織化銅球を産業的に製造し量産するために用いることができる。自己組織化銅球により調製される導電性インクは、5×10-6Ω・mまでに低くなる抵抗率を有し、より良好な導電性能を示す。
【0056】
詳細な記載および図面を閲読し、理解した後、他の態様を理解することができる。
【実施例
【0057】
以下は、具体的な実施形態を結び付けて本願に係る技術方案についてさらに説明する。当業者であれば、前記実施例は本願を理解するためのものに過ぎず、本願を具体的に限定すると見なすべきではないと理解すべきである。
【0058】
実施例1
本実施例において、銅粒子および銅粒子の表面に吸着された還元剤の酸化生成物を含む複合銅球と、複合銅球の表面に被覆されたポリマーとを含む自己組織化銅球が提供される。そのうち、ポリマーは、ポリゼニルピロリドンK29~K32であり、その数平均分子量が5.8万である。前記還元剤の酸化生成物は、デヒドロアスコルビン酸である。
【0059】
前記自己組織化銅球の調製方法は以下の通りである。
【0060】
水酸化銅、ポリゼニルピロリドンK29~K32およびL-アスコルビン酸を、質量比1:0.26:12で水に混合させた。そのうち、水酸化銅の質量が3.92g、ポリゼニルピロリドンK29~K32の質量が1g、L-アスコルビン酸の質量が12gである。40℃で90min反応させた後、遠心分離した。得た固体をエタノールで遠心分離して洗浄し、真空乾燥し、前記粒径が3~10μmの自己組織化銅球を得た。
【0061】
前記導電性インクの調製方法は以下の通りである。
【0062】
1.6gの調製された自己組織化銅球を0.4gのテルピネオールに溶解させ、ボールミリングして前記導電性インクを得た。
【0063】
図1は、本実施例により調製された自己組織化銅球と、調製された自己組織化銅球が空気中に3ヶ月保管された後のXRD図である。図1から分かるように、調製された自己組織化銅球が空気中に3ヶ月保管された後、明らかな酸化が発生していない。
【0064】
図2は、本実施例により調製された自己組織化銅球と、調製された自己組織化銅球が空気中に3ヶ月保管された後のXPS図である。図2から分かるように、調製された自己組織化銅球が空気中に3ヶ月保管された後、明らかな酸化が発生していない。
【0065】
図3は、本実施例により調製された自己組織化銅球のSEM図であり、スケールが4μmであり、当該調製方法により、均一で、安定的で、表面が粗い自己組織化構造を得ることができることを示す。
【0066】
図4(a)は、本実施例により調製された導電性インクが25℃で焼結された後のSEM図であり、スケールが10μmであり、導電性インクが25℃で焼結できないことを示す。
【0067】
図4(b)は、本実施例により調製された導電性インクが150℃で焼結された後のSEM図であり、スケールが10μmであり、導電性インクが150℃で焼結できないことを示す。
【0068】
図4(c)は、本実施例により調製された導電性インクが200℃で焼結された後のSEM図であり、スケールが10μmであり、導電性インクが200℃で焼結できることを示す。
【0069】
図4(d)は、本実施例により調製された導電性インクが250℃で焼結された後のSEM図であり、スケールが10μmであり、導電性インクが250℃で焼結できることを示す。
【0070】
図4(e)は、本実施例により調製された導電性インクが300℃で焼結された後のSEM図であり、スケールが10μmであり、導電性インクが300℃で焼結できることを示す。
【0071】
図4(f)は、本実施例により調製された導電性インクが350℃で焼結された後のSEM図であり、スケールが10μmであり、導電性インクが350℃で焼結できることを示す。
【0072】
本実施例により調製された導電性インクを焼結温度250℃で1h焼結し、導電通路の抵抗率が5×10-6Ω・mであった。
【0073】
本実施例により調製された導電性インクは、焼結温度が低く、抵抗率が低く、導電性能がよい。
【0074】
実施例2
本実施例において、銅粒子および銅粒子の表面に吸着された還元剤の酸化生成物を含む複合銅球と、複合銅球の表面に被覆されたポリマーとを含む自己組織化銅球が提供される。そのうち、ポリマーは、ポリゼニルピロリドンK29~K32であり、その数平均分子量が5.8万である。前記還元剤の酸化生成物は、デヒドロアスコルビン酸である。
【0075】
前記自己組織化銅球の調製方法は以下の通りである。
【0076】
水酸化銅、ポリゼニルピロリドンK29~K32およびL-アスコルビン酸を、質量比1:0.26:12で200mLの水と200mlのエタノールの混合溶液に混合させた。そのうち、水酸化銅の質量が3.92g、ポリゼニルピロリドンK29~K32の質量が1g、L-アスコルビン酸の質量が12gである。80℃で30min反応させた後、遠心分離した。得た固体をエタノールで遠心分離して洗浄し、真空乾燥し、前記粒径が4μmの自己組織化銅球を得た。
【0077】
前記導電性インクの調製方法は以下の通りである。
【0078】
1.6gの調製された自己組織化銅球を0.4gのトリエチレングリコールモノメチルエーテルに溶解させ、ボールミリングし、前記導電性インクを得た。
【0079】
図5は、本実施例により調製された自己組織化銅球のSEM図であり、スケールが4μmであり、当該調製方法により、均一で、安定的で、表面が粗い自己組織化構造を得ることができることを示す。
【0080】
調製された自己組織化銅球が空気中に3ヶ月保管された後、明らかな酸化が発生していない。
【0081】
本実施例により調製された導電性インクを焼結温度250℃で1h焼結し、導電通路の抵抗率が5.5×10-6Ω・mであった。
【0082】
本実施例により調製された導電性インクは、焼結温度が低く、抵抗率が低く、導電性能がよい。
【0083】
実施例3
本実施例において、銅粒子および銅粒子の表面に吸着された還元剤の酸化生成物を含む複合銅球と、複合銅球の表面に被覆されたポリマーとを含む自己組織化銅球が提供される。そのうち、ポリマーは、ポリゼニルピロリドンK88~K96であり、その数平均分子量が13万である。前記還元剤の酸化生成物は、デヒドロアスコルビン酸である。
【0084】
前記自己組織化銅球の調製方法は以下の通りである。
【0085】
水酸化銅、ポリゼニルピロリドンK88~K96およびL-アスコルビン酸を、質量比1:0.26:12で200mLの水と200mlのエタノールの混合溶液に混合させた。そのうち、水酸化銅の質量が3.92g、ポリゼニルピロリドンK88~K96の質量が1g、L-アスコルビン酸の質量が12gである。60℃で60min反応させた後、遠心分離した。得た固体をエタノールで遠心分離して洗浄し、真空乾燥し、前記粒径が3μmの自己組織化銅球を得た。
【0086】
前記導電性インクの調製方法は以下の通りである。
【0087】
1.6gの調製された自己組織化銅球を0.4gのエチレングリコールに溶解させ、ボールミリングし、前記導電性インクを得た。
【0088】
図6は、本実施例により調製された自己組織化銅球のSEM図であり、スケールが4μmであり、当該調製方法により、均一で、安定的で、表面が粗い自己組織化構造を得ることができることを示す。
【0089】
調製された自己組織化銅球が空気中に3ヶ月保管された後、明らかな酸化が発生していない。
【0090】
本実施例により調製された導電性インクを焼結温度250℃で1h焼結し、導電通路の抵抗率が6×10-6Ω・mであった。
【0091】
本実施例により調製された導電性インクは、焼結温度が低く、抵抗率が低く、導電性能がよい。
【0092】
実施例4
本実施例において、銅粒子および銅粒子の表面に吸着された還元剤の酸化生成物を含む複合銅球と、複合銅球の表面に被覆されたポリマーとを含む自己組織化銅球が提供される。そのうち、ポリマーは、ポリゼニルピロリドンK29~K32(数平均分子量が5.8万である)、およびポリゼニルピロリドンK88~K96(数平均分子量が13万)の混合物である。前記還元剤の酸化生成物はデヒドロアスコルビン酸である。
【0093】
前記自己組織化銅球の調製方法は以下の通りである。
【0094】
水酸化銅、ポリゼニルピロリドンおよびL-アスコルビン酸を、質量比1:0.52:6で400mLの水に混合させた。そのうち、水酸化銅の質量が3.92gであり、ポリゼニルピロリドンが1gのポリゼニルピロリドンK29~K32および1gのポリゼニルピロリドンK88~K96の混合物であり、L-アスコルビン酸の質量が12gである。80℃で30min反応させた後、遠心分離した。得た固体をエタノールで遠心分離して洗浄し、真空乾燥し、前記粒径が6μmの自己組織化銅球を得た。
【0095】
前記導電性インクの調製方法は以下の通りである。
【0096】
1.6gの調製された自己組織化銅球を0.4gのグリセロールに溶解させ、ボールミリングし、前記導電性インクを得た。
【0097】
図7は、本実施例により調製された自己組織化銅球のSEM図であり、スケールが4μmであり、当該調製方法により、均一で、安定的で、表面が粗い自己組織化構造を得ることができることを示す。調製された自己組織化銅球が空気中に3ヶ月保管された後、明らかな酸化が発生していない。
【0098】
本実施例により調製された導電性インクを焼結温度250℃で1h焼結し、導電通路の抵抗率が6×10-6Ω・mであった。
【0099】
実施例5
本実施例において、銅粒子および銅粒子の表面に吸着された還元剤の酸化生成物を含む複合銅球と、複合銅球の表面に被覆されたポリマーとを含む自己組織化銅球が提供される。そのうち、ポリマーは、ポリゼニルピロリドンK13~K18(数平均分子量が1万である)およびポリゼニルピロリドンK88~K96(数平均分子量が13万である)の混合物である。前記還元剤の酸化生成物は、デヒドロアスコルビン酸である。
【0100】
前記自己組織化銅球の調製方法は以下の通りである。
【0101】
水酸化銅、ポリゼニルピロリドンおよびL-アスコルビン酸を質量比1:0.52:6で400mLの水に混合させた。そのうち、水酸化銅の質量が3.92gであり、ポリゼニルピロリドンが1gのポリゼニルピロリドンK88~K96および1gのポリゼニルピロリドンK13~K18の混合物であり、L-アスコルビン酸の質量が12gである。80℃で30min反応させた後、遠心分離した。得た固体をエタノールで遠心分離して洗浄し、真空乾燥し、前記粒径が5μmの自己組織化銅球を得た。
【0102】
前記導電性インクの調製方法は以下の通りである。
【0103】
1.6gの調製された自己組織化銅球を0.4gのエチレングリコールブチルエーテルに溶解させ、ボールミリングし、前記導電性インクを得た。
【0104】
図8は、本実施例により調製された自己組織化銅球のSEM図であり、スケールが4μmであり、当該調製方法により、均一で、安定的で、表面が粗い自己組織化構造を得ることができることを示す。
【0105】
調製された自己組織化銅球が空気中に3ヶ月保管された後、明らかな酸化が発生していない。
【0106】
本実施例により調製された導電性インクを焼結温度250℃で1h焼結し、導電通路の抵抗率が5.5×10-6Ω・mであった。
【0107】
実施例6
本実施例において、銅粒子および銅粒子の表面に吸着された還元剤の酸化生成物を含む複合銅球と、複合銅球の表面に被覆されたポリマーとを含む自己組織化銅球が提供される。そのうち、ポリマーは、ポリゼニルピロリドンK29~K32であり、その数平均分子量が5.8万である。前記還元剤の酸化生成物は、デヒドロアスコルビン酸である。
【0108】
前記自己組織化銅球の調製方法は以下の通りである。水酸化銅、ポリゼニルピロリドンK29~K32およびL-アスコルビン酸を質量比1:0.72:4で400mLの水に混合させた。そのうち、水酸化銅の質量が3.92g、ポリゼニルピロリドンK29~K32の質量が3g、L-アスコルビン酸の質量が12gである。80℃で30min反応させた後、遠心分離した。得た固体をエタノールで遠心分離して洗浄し、真空乾燥し、前記粒径が2μmの自己組織化銅球を得た。
【0109】
前記導電性インクの調製方法は以下の通りである。
【0110】
1.6gの調製された自己組織化銅球を0.2gのトリエチレングリコールモノメチルエーテルに溶解させ、ボールミリングし、前記導電性インクを得た。
【0111】
図9は、本実施例により調製された自己組織化銅球のSEM図であり、スケールが4μmであり、当該調製方法により、均一で、安定的で、表面が粗い自己組織化構造を得ることができることを示す。
【0112】
調製された自己組織化銅球が空気中に3ヶ月保管された後、明らかな酸化が発生していない。
【0113】
本実施例により調製された導電性インクを焼結温度250℃で1h焼結し、導電通路の抵抗率が6.5×10-6Ω・mであった。
【0114】
実施例7
本実施例において、銅粒子および銅粒子の表面に吸着された還元剤の酸化生成物を含む複合銅球と、複合銅球の表面に被覆されたポリマーとを含む自己組織化銅球が提供される。そのうち、ポリマーは、ポリゼニルピロリドンK29~K32であり、その数平均分子量が5.8万である。前記還元剤の酸化生成物はメタホウ酸ナトリウムである。
【0115】
前記自己組織化銅球の調製方法は以下の通りである。
【0116】
水酸化銅、ポリゼニルピロリドンK29~K32およびホウ水素化ナトリウムを質量比1:0.05:1で水に混合させた。そのうち、水酸化銅の質量が4g、ポリゼニルピロリドンK29~K32の質量が0.8g、ホウ水素化ナトリウムの質量が4gである。150℃で10min反応させた後、遠心分離した。得た固体をエタノールで遠心分離して洗浄し、真空乾燥し、前記粒径が3μmの自己組織化銅球を得た。
【0117】
本実施例では、導電性インクの調製方法が提供される。前記調製方法は、以下を含む。
【0118】
1.6gの調製された自己組織化銅球を0.2gのトリエチレングリコールモノメチルエーテルに溶解させ、ボールミリングし、前記導電性インクを得た。
【0119】
調製された自己組織化銅球が空気中に3ヶ月保管された後、明らかな酸化が発生していない。
【0120】
本実施例により調製された導電性インクを焼結温度180℃で1h焼結し、導電通路の抵抗率が5×10-6Ω・mであった。
【0121】
実施例8
本実施例において、銅粒子および銅粒子の表面に吸着された還元剤の酸化生成物を含む複合銅球と、複合銅球の表面に被覆されたポリマーとを含む自己組織化銅球が提供される。そのうち、ポリマーは、ポリゼニルピロリドンK29~K32であり、その数平均分子量が5.8万である。前記還元剤の酸化生成物はメタホウ酸ナトリウムである。
【0122】
前記自己組織化銅球の調製方法は以下の通りである。水酸化銅、ポリゼニルピロリドンK29~K32およびホウ水素化ナトリウムを質量比1:2:50で水に混合させた。そのうち、水酸化銅の質量が1g、ポリゼニルピロリドンK29~K32の質量が2g、ホウ水素化ナトリウムの質量が50gである。40℃で180min反応させた後、遠心分離した。得た固体をエタノールで遠心分離して洗浄し、真空乾燥し、前記粒径が6μmの自己組織化銅球を得た。
【0123】
本実施例では、導電性インクの調製方法が提供される。前記調製方法は、以下を含む。
【0124】
1.6gの調製された自己組織化銅球を0.2gのトリエチレングリコールモノメチルエーテルに溶解させ、ボールミリングし、前記導電性インクを得た。
【0125】
調製された自己組織化銅球が空気中に3ヶ月保管された後、明らかな酸化が発生していない。
【0126】
本実施例により調製された導電性インクを焼結温度200℃で1h焼結し、導電通路の抵抗率が5×10-6Ω・mであった。
【0127】
実施例9
本実施例は、水酸化銅とポリゼニルピロリドンの質量比が1:0.01であるという点だけで実施例1と異なり、他の成分、成分の配合割合及び調製方法がいずれも実施例1と同様である。
【0128】
本実施例により調製された自己組織化銅球が空気中に3ヶ月保管された後、自己組織化銅球が一部酸化されることが発見されている。
【0129】
本実施例により調製された導電性インクを焼結温度250℃で1h焼結し、導電通路の抵抗率が8×10-6Ω・mであった。
【0130】
実施例10
本実施例は、水酸化銅とLアスコルビン酸の質量比が1:0.5であるという点だけで実施例1と異なり、他の成分、成分の配合割合及び調製方法がいずれも実施例1と同様である。
【0131】
本実施例により調製された自己組織化銅球は、2価の銅イオンが銅に還元され、一部が1価の銅イオンに還元された。空気中に3ヶ月保管された後、自己組織化銅球が一部酸化されることが発見されている。
【0132】
本実施例により調製された導電性インクを焼結温度250℃で1h焼結し、導電通路の抵抗率が8.5×10-6Ω・mである。
【0133】
比較例1
当該比較例は、ポリゼニルピロリドンを添加しないという点だけで実施例と異なり、他の成分、成分の配合割合及び調製方法がいずれも実施例1と同様である。
【0134】
当該比較例により、自己組織化銅球を調製することができず、空気中に保管した場合に酸化されやすい。
【0135】
当該比較例により調製された導電性インクを焼結温度200℃で1h焼結し、導電通路の抵抗率が10×10-6Ω・mであった。
【0136】
比較例2
当該比較例は、還元剤を添加しないという点だけで実施例と異なり、他の成分、成分の配合割合及び調製方法がいずれも実施例1と同様である。
【0137】
当該比較例により、自己組織化銅球を調製することができない。
【0138】
当該比較例により調製された導電性インクを焼結温度200℃で1h焼結し、導電通路の抵抗率が3.5×10-4Ω・mであった。
【0139】
比較例3
当該比較例は、銅前駆体が硝酸銅であるという点だけで実施例1と異なり、他の成分、成分の配合割合及び調製方法がいずれも実施例1と同様である。
【0140】
当該比較例により、自己組織化銅球を調製することができない。
【0141】
当該比較例により調製された導電性インクを焼結温度200℃で1h焼結し、導電通路の抵抗率が12×10-6Ω・mであった。
【0142】
比較例4
当該比較例は、銅前駆体が硫酸銅であるという点だけで実施例1と異なり、他の成分、成分の配合割合及び調製方法がいずれも実施例1と同様である。
【0143】
当該比較例により、自己組織化銅球を調製することができない。
【0144】
当該比較例により調製された導電性インクを焼結温度200℃で1h焼結し、導電通路の抵抗率が20×10-6Ω・mであった。
【0145】
比較例5
当該比較例は、銅前駆体が酢酸銅であるという点だけで実施例1と異なり、他の成分、成分の配合割合及び調製方法がいずれも実施例1と同様である。
【0146】
当該比較例により、自己組織化銅球を調製することができない。
【0147】
当該比較例により調製された導電性インクを焼結温度200℃で1h焼結し、導電通路の抵抗率が15×10-6Ω・mであった。
【0148】
上記内容は、本願の具体的な実施形態だけに過ぎないが、本願の保護範囲は、それに限定されないことを出願人より声明する。
図1
図2
図3
図4a
図4b
図4c
図4d
図4e
図4f
図5
図6
図7
図8
図9