(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】センサモジュール装置を有する、圧縮された流体を蓄えるためのタンク装置
(51)【国際特許分類】
F17C 13/02 20060101AFI20221220BHJP
B60K 15/03 20060101ALI20221220BHJP
B60K 15/10 20060101ALI20221220BHJP
G01L 19/14 20060101ALI20221220BHJP
G01L 19/06 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
F17C13/02 301A
B60K15/03 E
B60K15/10
G01L19/14
G01L19/06 Z
(21)【出願番号】P 2021527939
(86)(22)【出願日】2019-11-13
(86)【国際出願番号】 EP2019081196
(87)【国際公開番号】W WO2020108999
(87)【国際公開日】2020-06-04
【審査請求日】2021-07-19
(31)【優先権主張番号】102018220542.6
(32)【優先日】2018-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【氏名又は名称】大場 玲児
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【氏名又は名称】高橋 始
(74)【代理人】
【識別番号】100182626
【氏名又は名称】八島 剛
(72)【発明者】
【氏名】ルクス,アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】クルーゼ,サンドラ
【審査官】金丸 治之
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102012018516(DE,A1)
【文献】特表2009-508074(JP,A)
【文献】特開2003-166700(JP,A)
【文献】特開2006-322345(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102748585(CN,A)
【文献】特表2004-518973(JP,A)
【文献】特開2013-198294(JP,A)
【文献】特許第5099285(JP,B2)
【文献】特開2009-231160(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102013204632(DE,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0143095(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F17C 13/02
B60K 15/03
B60K 15/10
G01L 19/14
G01L 19/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素を蓄えるためのタンク装置(24)であって、少なくとも1つのタンク容器(26)とセンサモジュール装置(100)とを有しており、前記センサモジュール装置(100)が高圧センサモジュール(28)を有している形式のものにおいて、
前記センサモジュール装置(100)が低圧センサモジュール(1)を含有していて、該低圧センサモジュール(1)が圧力調整弁(44)と協働
し、
前記センサモジュール装置(100)が、機械的な接続エレメント(12)および電気的な接続エレメント(10)を含有しており、前記機械的な接続エレメント(12)が前記低圧センサモジュール(1)または前記高圧センサモジュール(28)と堅固に接続されていて、前記電気的な接続エレメント(10)がコネクタエレメント(14)を有していて、該コネクタエレメント(14)が電気接点(16)を介して前記低圧センサモジュール(1)または前記高圧センサモジュール(28)に接続されており、
前記機械的な接続エレメント(12)が切欠(42)を有していて、該切欠(42)内に、前記低圧センサモジュール(1)または前記高圧センサモジュール(28)のためのガス透過性の保護エレメント(17)が配置されている、
ことを特徴とする、圧縮された流体を蓄えるためのタンク装置(24)。
【請求項2】
前記低圧センサモジュール(1)または前記高圧センサモジュール(28)がセンサハウジング(2)を有しており、該センサハウジング(2)内にセンサチップ(6)が配置されていて、該センサチップ(6)が電線接続(8)を介してリードフレーム(4)に接続可能である
ことを特徴とする、請求項1記載のタンク装置(24)。
【請求項3】
前記センサハウジング(2)がプラスチックより製作されている
ことを特徴とする、請求項
2記載のタンク装置(24)。
【請求項4】
前記センサチップ(6)が感圧式のマイクロメカニカルモジュールを含有している
ことを特徴とする、請求項2または3記載のタンク装置(24)。
【請求項5】
前記ガス透過性の保護エレメント(17)が絞りエレメント(18)を含有している
ことを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載のタンク装置(24)。
【請求項6】
前記ガス透過性の保護エレメント(17)がストレーナエレメント(20)を含有している
ことを特徴とする、請求項
1から4までのいずれか1項記載のタンク装置(24)。
【請求項7】
前記ガス透過性の保護エレメント(17)がメンブレンエレメント(22)を含有している
ことを特徴とする、請求項
1から4までのいずれか1項記載のタンク装置(24)。
【請求項8】
請求項1から7までのいずれか1項記載のタンク装置(24)を有する、
燃料電池装置(38)。
【請求項9】
請求項1から7までのいずれか1項記載の、圧縮された流体を蓄えるためのタンク装置(24)を有する、
車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサモジュール装置を備えた、圧縮された流体を蓄えるためのタンク装置であって、例えば燃料電池駆動装置を備えた車両に使用するための、特に水素を蓄える燃料電池タンクのためのタンク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
事前公開されていない特許文献1は、圧縮された流体を蓄えるためのタンク装置について記載しており、この場合、タンク装置は、例えば燃料電池システムの全システムの正常で確実な機能形式を保証する多数の弁を備えたタンク容器を含有している。
【0003】
例えば水素によるタンク装置の充填レベルを監視するために、弁の他に圧力センサモジュール装置も使用されている。ここでは、一般的に高圧センサが使用され、この高圧センサは、満杯のタンクにおける、例えば350barまたは700barの圧力の圧力測定のために必ず必要とされている。
【0004】
タンク装置の放出中にタンク装置内の圧力低下に伴って、高圧センサは、圧力のデータに関して大きい不正確さを有しており、従って、タンクはすべての安全性ファクターを考慮して概ね20barまでしか放出可能ではない。これによって、このようなタンク装置を備えた車両の走行距離は低下される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】独国特許出願公開第102018209057号明細書
【発明の概要】
【0006】
これに対して、請求項1に記載された特徴を有する本発明による装置は、より高い精度を有する圧力センサモジュール装置を低い圧力の範囲内に使用したことによって、タンク装置の効率が高められる、という利点を有している。
【0007】
このために、圧縮された流体、特に水素を蓄えるための本発明によるタンク装置は、少なくとも1つのタンク容器とセンサモジュール装置とを有している。センサモジュール装置はさらに高圧センサモジュールを有している。さらにセンサモジュール装置は低圧センサモジュールを含有していて、この低圧センサモジュールは圧力調整弁と協働する。
【0008】
高圧センサモジュールおよび低圧センサモジュールを使用したことによって、高い範囲の圧力も、低い範囲の圧力も精確に算出することができるので、タンク容器の精確な充填レベル確認が可能である。これによって、車両の高い効率および長い走行距離が得られる。さらに、圧力調整弁を使用したことによって、低圧センサモジュールは、高すぎる圧力に対して保護されるので、低圧センサモジュールの損傷を引き起こす可能性がある機械的な過負荷が最小化され得る。
【0009】
第1の好適な実施態様では、低圧センサモジュールまたは高圧センサモジュールがセンサハウジングを有しており、このセンサハウジング内にセンサチップが配置されていて、このセンサチップが電線接続を介してリードフレームに接続可能であるようになっている。好適な形式で、センサハウジングはプラスチックより製作されていて、好適な形式でセンサチップは、感圧式のマイクロメカニカルモジュールを含有している。これによって、簡単かつ効果的な形式で、タンク容器内の圧力値を精確に算出することができる。
【0010】
本発明の別の実施態様によれば、好適には、センサモジュール装置が、機械的な接続エレメントおよび電気的な接続エレメントを含有しており、この場合、機械的な接続エレメントが低圧センサモジュールまたは高圧センサモジュールと堅固に接続されていて、電気的な接続エレメントがコネクタエレメントを有していて、このコネクタエレメントが電気接点を介して低圧センサモジュールまたは高圧センサモジュールに接続されている。好適な形式で、機械的な接続エレメントは切欠を有しており、この切欠内に低圧センサモジュールまたは高圧センサモジュールのためのガス透過性の保護エレメントが配置されている。
【0011】
タンク装置の運転中に、固形粒子がタンク容器から巻き上げられ、それによって低圧センサモジュールまたは高圧センサモジュールの近傍に達し得る。このような固形粒子が例えばセンサチップ、センサチップとリードフレームとの間の電線接続、または電気接点に達すると、低圧センサモジュールまたは高圧センサモジュールの機能障害を引き起こし得る機械的な損傷が生ぜしめられる。
【0012】
好適な実施態様では、ガス透過性の保護エレメントが絞りエレメンを含有している。
【0013】
好適な実施態様では、ガス透過性の保護エレメントがストレーナエレメントを含有している。
【0014】
従って、水素は、ギャップ開口を使用したことによって簡単な形式で、低圧センサモジュールまたは高圧センサモジュールの方向に向かって流れ、これに対して固形粒子は取り残される。
【0015】
好適な実施態様では、ガス透過性の保護エレメントがメンブレンエレメントを含有している。メンブレンエレメントは、水素を流過させることができ、これに対して固形粒子はメンブレンエレメントによって取り除かれる。
【0016】
以上記載したタンク装置は好適な形式で、燃料電池の運転のために水素を蓄える燃料電池装置に適している。
【0017】
好適な使用法では、このタンク装置は、気体状の燃料による駆動装置を備えた車両で、圧縮された流体を蓄えるために使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明による低圧センサモジュール/高圧センサモジュールの1実施例の縦断面図である。
【
図2a】
図1に示した実施例の本発明による低圧センサモジュール/高圧センサモジュールを有するセンサモジュール装置の縦断面図である。
【
図2b】
図2aに示したセンサモジュール装置の側面図である。
【
図3a】低圧センサモジュール/高圧センサモジュールおよびガス透過性の保護部材を有する本発明によるセンサモジュール装置の別の実施例の縦断面図である。
【
図3b】低圧センサモジュール/高圧センサモジュールおよびガス透過性の保護部材を有する本発明によるセンサモジュール装置の別の実施例の縦断面図である。
【
図3c】低圧センサモジュール/高圧センサモジュールおよびガス透過性の保護部材を有する本発明によるセンサモジュール装置の別の実施例の縦断面図である。
【
図4】センサモジュール装置を備えた本発明によるタンク装置を有する車両の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図面には、センサモジュール装置を有する、圧縮された流体を蓄えるためのタンク装置の実施例が示されている。
【0020】
図1は、本発明の1実施例による低圧センサモジュール1または高圧センサモジュール28の縦断面図を示す。低圧センサモジュール1または高圧センサモジュール28は、センサハウジング2を有しており、このセンサハウジング2内にリードフレーム4が堅固に組み込まれている。
【0021】
リードフレーム4は、一般的にフレーム状または櫛状の金属製の電路支持体である。リードと呼ばれている個別の接点は互いに接続されており、この場合、枠、いわゆるフレームは、別のフレームが設けられている場合には、この別のフレームと接続可能である。
【0022】
センサハウジング2はさらに切欠19を有しており、この切欠19内に、センサチップ6が配置されている。この場合、センサチップ6は、センサハウジング2およびリードフレーム4に配置されているので、センサチップ6は電線接続8、例えばボンドワイヤを介してリードフレーム4と接続可能である。さらに、センサチップ6は、感圧式のマイクロメカニカルモジュールより製作されている。
【0023】
図2aは、センサモジュール装置100内における
図1に示された実施例を示す。この場合、センサモジュール装置100は、低圧センサモジュール1または高圧センサモジュール28、電気的な接続エレメント10および機械的な接続エレメント12を含有している。低圧センサモジュール1または高圧センサモジュール28は、機械的な接続エレメント12に配置され、部分的に機械的な接続エレメント12の切欠42内に配置されている。この場合、低圧センサモジュール1または高圧センサモジュール28は、機械的な接続エレメント12に堅固に結合されている。
【0024】
電気的な接続エレメント10は同様に、機械的な接続エレメント12に堅固に結合されており、この場合、低圧センサモジュール1または高圧センサモジュール28は、電気的な接続エレメント10と機械的な接続エレメント12との間に配置されている。
【0025】
電気的な接続エレメント10はコネクタエレメント14を有しており、このコネクタエレメント14は電気接点16を介して低圧センサモジュール1または高圧センサモジュール28のリードフレーム4に接続されている。従って、例えばコントロールユニットとの電気的接続が形成され得る。
【0026】
図2bはさらに、
図2aに示したセンサモジュール装置100の側面図を示し、この場合、センサハウジング2はここではプラスチックより製作されている。
【0027】
図3a,
図3b,
図3cは、
図2aに示したセンサモジュール装置100の、機械的な接続エレメント12の領域内の縦断面図を示す。ここでは、機械的な接続エレメント12の切欠42内に、センサモジュール装置100の運転中に固形粒子から低圧センサモジュール1または高圧センサモジュール28を保護するための、ガス透過性の保護エレメント17が配置されている。
【0028】
図3aは、ギャップ開口45を備えた絞りエレメント18の形のガス透過性の保護エレメント17を示す。
【0029】
図3bは、複数のギャップ開口45を備えたストレーナエレメント20の形のガス透過性の保護エレメント17を示す。
【0030】
図3cは、メンブレンエレメント22の形のガス透過性の保護エレメント17を示す。
【0031】
圧縮された流体、例えば水素のためのタンク装置24内でセンサモジュール装置100を使用する際に、このようなガス透過性の保護エレメント17を用いることによって、センサモジュール装置100の正常な機能形式が保証される。何故ならば、タンク充填によって水素に達し得る固形粒子は、センサチップ6まで到達することはなく、低圧センサモジュール1または高圧センサモジュール28の機械的な損傷を生ぜしめることはないからである。
【0032】
図4は、一例として、圧縮された流体を蓄えるためのタンク装置24を有する、燃料電池駆動装置を備えた車両30の概略図を示す。この場合、車両30のシャーシ内に、本発明によるタンク装置24を備えた燃料電池装置38およびセンサモジュール装置100が組み込まれている。この場合、タンク装置24は、供給管路36を介して燃料電池装置38に水素を供給し、ここでは車両後部に配置されている。選択的に、タンク装置24は車両30の別の位置に配置されていてもよい。
【0033】
タンク装置24はここでは2つのタンク容器26を有しており、これら2つのタンク容器26内に水素を蓄えることができる。ここでは、各タンク容器26のネック領域48内に、高圧センサモジュール28を含有するセンサモジュール装置100と、低圧センサモジュール1を含有するセンサモジュール装置100を備えた圧力調整弁44とが配置されている。この場合、タンク装置24内のタンク容器26の数は変えることができ、各タンク容器26は、それぞれ高圧センサモジュール28を含有するセンサモジュール装置100と、低圧センサモジュール1を含有するセンサモジュール装置100を備えた圧力調整弁44とを有している。選択的な構成では、全タンク装置24は、それぞれ高圧センサモジュール28を含有するセンサモジュール装置100と、低圧センサモジュール1を含有するセンサモジュール装置100を備えた圧力調整弁44とを有している。
【0034】
従って、各タンク容器26内の圧力を決定することができ、充填レベルを精確に算出することができる。さらに、センサチップ6および電気的環境のための保護ジェルの使用は省くことができる。何故ならば、センサモジュール装置100は、ここでは液体フリーの媒体、つまり高純度の気体状の水素内で使用され、使用温度における凝縮のためには水分が少なすぎるからである。従って、短絡の形成または水による腐食が最小化される。
【符号の説明】
【0035】
1 低圧センサモジュール
2 センサハウジング
4 リードフレーム
6 センサチップ
8 電線接続
10 電気的な接続エレメント
12 機械的な接続エレメント
14 コネクタエレメント
16 電気接点
17 保護エレメント
18 絞りエレメント
19 切欠
20 ストレーナエレメント
22 メンブレンエレメント
24 タンク装置
26 タンク容器
28 高圧センサモジュール
36 供給管路
38 燃料電池装置
42 切欠
44 圧力調整弁
100 センサモジュール装置