(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】脂肪形成抑制と抗酸化活性を有する組成物およびその用途
(51)【国際特許分類】
A61K 36/41 20060101AFI20221220BHJP
A61K 31/685 20060101ALI20221220BHJP
A61P 3/04 20060101ALI20221220BHJP
A61P 39/06 20060101ALI20221220BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20221220BHJP
A61K 36/77 20060101ALI20221220BHJP
A61K 31/05 20060101ALI20221220BHJP
A61K 9/48 20060101ALI20221220BHJP
A61K 9/14 20060101ALI20221220BHJP
A61K 9/16 20060101ALI20221220BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
A61K36/41
A61K31/685
A61P3/04
A61P39/06
A61P43/00 121
A61K36/77
A61K31/05
A61K9/48
A61K9/14
A61K9/16
A61K9/08
(21)【出願番号】P 2021531153
(86)(22)【出願日】2018-08-10
(86)【国際出願番号】 CN2018099822
(87)【国際公開番号】W WO2020029221
(87)【国際公開日】2020-02-13
【審査請求日】2021-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】521058612
【氏名又は名称】黄福星
【氏名又は名称原語表記】HUANG Fuhsing
【住所又は居所原語表記】Rm. 1, 22F., No.925, Sec. 4, Taiwan Blvd., Xitun Dist., Taichung City, 407 Taiwan
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100124707
【氏名又は名称】夫 世進
(72)【発明者】
【氏名】黄福星
【審査官】柴原 直司
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第101056656(CN,A)
【文献】Phytother. Res., (2011), 25, [1], p.106-115
【文献】レスベラトロールと若返り, [online], (2018.01.26), レディースクリニック北浜, [2022.01.18検索], インターネット, <https://www.lc-kitahama.jp/staffblog/1138.html>
【文献】Nutrrients, (2017), 9, [6], Article.635, <DOI:110.3390/nu9060635>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 36/00-36/9068
A61K 31/685
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イワベンケイ抽出物およびアルファGPCを有効成分とする組成物において、
前記組成物は、有効用量のイワベンケイ抽出物およびアルファGPCおよび薬学的に許容されるキャリア剤または薬学的に許容される塩を含む、前記イワベンケイ抽出物と前記アルファGPCとの間の重量比率は1:3であることを特徴とするイワベンケイ抽出物およびアルファGPCを有効成分とする
脂肪形成抑制用および抗酸化用組成物。
【請求項2】
前記組成物の有効用量は384mg/kg体重/日であることを特徴とする請求項1記載のイワベンケイ抽出物およびアルファGPCを有効成分とする
脂肪形成抑制用および抗酸化用組成物。
【請求項3】
前記組成物は、更にレスベラトロールを含むことを特徴とする請求項1記載のイワベンケイ抽出物およびアルファGPCを有効成分とする
脂肪形成抑制用および抗酸化用組成物。
【請求項4】
前記組成物は更にガラナを含むことを特徴とする請求項3記載のイワベンケイ抽出物およびアルファGPCを有効成分とする
脂肪形成抑制用および抗酸化用組成物。
【請求項5】
前記組成物は、カプセル形式であることを特徴とする請求項1記載のイワベンケイ抽出物およびアルファGPCを有効成分とする
脂肪形成抑制用および抗酸化用組成物。
【請求項6】
前記
脂肪形成抑制用および抗酸化用組成物は、粉末状、顆粒状または液体状であることを特徴とする請求項1記載のイワベンケイ抽出物およびアルファGPCを有効成分とする
脂肪形成抑制用および抗酸化用組成物。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載のイワベンケイ抽出物およびアルファGPCを有効成分とする
脂肪形成抑制用および抗酸化用組成物を含有することを特徴とする抗酸化用薬。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組成物に関し、特に種脂肪形成抑制と抗酸化活性を有する組成物およびその用途に係わる。
【背景技術】
【0002】
ヒト成長ホルモン(human growth hormone、hGH)は、脳下垂体から分泌されて生成されるペプチドホルモンである。身体内のヒト成長ホルモンは組織細胞の修復再生、各器官・臓器の活性化機能の維持、骨質密度の向上、および体脂肪とコレステロールを下げる効果を有する。しかしながら、身体内のヒト成長ホルモンの分泌量は25歳でのピークの後、徐々に減少し、加えて生活ストレスと環境悪化の影響によって体内機能は徐々に衰退し老化する。
【0003】
上述の、身体の肥満および機能老化の問題は、飲食および運動で改善できるが、仮に効果がない時、薬物による治療を開始する。更に、多くの学者は、脂肪形成の抑制およびアンチエージングの目的を達成するため、様々な実験を行っている。その中で、研究を通じて、イワベンケイという植物には抗低酸素、抗疲労、抗老化および内分泌システム調節の効果を有することが発見されたことから、多くのダイエットおよび抗老化の調薬には、たいていイワベンケイの成分が加えられる。
【0004】
例として、特許文献1は、脳機能を高める組成物およびその方法を開示する。この組成物は、フペルジンA、ビンポセチン、アセチル-L-カルニチン及びイワベンケイを含み、それは臨床試験により、決まった比率において、情緒的認知が増し、且つ体重をコントロールする目的を達成することが実証されている。しかしながら、上述の組成物の成分は体重の調整に有効であるとしても、主な目的は脳機能を高め、更に脳内記憶及び情緒認知を向上させる効果を目的としているのであり、同様に、老化を遅らせる目的を達成できることについて明確に実証されていない。
【0005】
また、例として特許文献2は、血中脂質を調整し心臓血管を保護する組成物を示している。その組成物は、イワベンケイ調薬粉、紅麹、フィトール、納豆およびビタミンB群を含み、動物実験の実証により、血中脂質の調整および心臓血管を保護する効果を達成し、更に特定の比率で投薬することにより、体重を下げる効果が明らかに達成される。但し、有効な抗酸化効果は、まだはっきりと実証されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国 発明特許公告No.US9737580B2
【文献】台湾 発明特許公告No.I441643
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
公知の組成物では身体の脂肪堆積および機能老化を同時に改善できないという問題を改善することを、本発明の主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を達成するため、本発明は、脂肪形成抑制及び抗酸化の活性を有する組成物を提供する。組成物は、有効な用量のイワベンケイ抽出物およびアルファGPC(L-alpha-Glycerylphosphorylcholine)、および、その薬学的に許容されるキャリア剤(担体)または薬学的に許容される塩を含む。
【0009】
ここで、イワベンケイ抽出物とアルファGPCとの間の重量比率の範囲は1:1から1:6である。
【0010】
ここで、イワベンケイ抽出物とアルファGPCとの間の重量比率が1:1から1:6の時、組成物の有効用量は、187~680mg/kg体重/日である。
【0011】
ここで、イワベンケイ抽出物とアルファGPCとの間の重量比率の範囲は1:3である。
【0012】
ここで、イワベンケイ抽出物とアルファGPCとの間の重量比率が1:3の時、組成物の有効用量は384mg/kg体重/日である。
【0013】
ここで、組成物はレスベラトロールを含む。
【0014】
ここで、組成物は更にガラナを含む。
【0015】
ここで、組成物はカプセル形式である。
【0016】
ここで、組成物は粉末状、顆粒状または液体状である。
【0017】
更に、本発明の別の実施例は、上述の組成物は肥満治療の薬物製造の用途を提供する。
【発明の効果】
【0018】
本発明の脂肪形成抑制と抗酸化活性を有する組成物およびその用途は、肥満および老化の誘導実験により、イワベンケイ抽出物とアルファGPCは、動物の体重と体脂肪を有効に下げ、更に動物体内の抗酸化作用を高め、ダイエットおよびアンチエージングの目的を有効に達成する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の各組の被験者の皮膚組織における毛包と皮下脂肪を染色した画像図である。
【
図2】本発明の各組の被験者の皮膚組織についての免疫染色の画像図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施形態における技術的解決策は、本発明の実施形態における図面と併せて以下に明確かつ完全に説明される。以下の説明では、本発明を完全に理解するために多くの具体的な詳細を説明するが、本発明は、本発明とは異なる方法で実施することもでき、当業者は、含意から逸脱することなくそれを行うことができる。したがって、本発明は、以下に開示される特定の実施形態によって限定されない。
【0021】
本発明は、脂肪形成抑制と抗酸化活性を有する組成物を提供する。この組成物は、有効用量のイワベンケイ抽出物およびアルファGPC、および、その、薬学的に許容されるキャリア剤または薬学的に許容される塩を含む。
【0022】
イワベンケイは多年草木または灌木植物に属する。イワベンケイ抽出物は、抗菌消炎成分を有する多量のスコポラミン、ケンペロール等を含み、更に抗低酸素、抗疲労、抗老化および内分泌システム調節の効果を有する。
【0023】
アルファGPC(alpha-Glycerophosphocholine, alpha-GPC)は、低分子栄養素である。アルファGPCは、主にヒトの細胞と母乳の中に存在しており、または、非遺伝子組み換えの大豆から、ヒストン脱アセチル化技術と特殊なイオン交換技術によって抽出できる。研究実証によると、アルファGPCは、組織成長の再建、臓器の活性化、循環不足の大脳機能回復、大脳の注意力、集中力及び記憶力等の生理的機能の維持に役立つ。現在の臨床試験に基づく研究によると、アルファGPCは、経口服用で、血液中のコリンとアセチルコリンの濃度を上げ、更には、コルチゾン(cortison)濃度を下げ、体内ヒト成長ホルモン(hGH)濃度を更に高める目的を達成する。
【0024】
ここで、イワベンケイ抽出物とアルファGPCとの間の重量比率は1:1から1:6である。本発明の良好な実施例において、イワベンケイ抽出物とアルファGPCとの間の重量比率は1:3である。
【0025】
また、組成物は更にレスベラトロールおよびガラナを含む。レスベラトロールは、マルベリー、ピーナッツ、ブドウ等の多種の植物内に広く存在し、特にブドウは含有量が高い。研究に依ると、レスベラトロールは、極めて良好な抗酸化活性を有することから、人体がフリーラジカルに攻撃されるのを防ぐだけでなく、植物が環境ストレスを受けるか、真菌や細菌に感染した際、抗毒素を生成して外界からの襲撃に対抗する。
【0026】
ガラナは、興奮刺激物質であり、精神及び筋力の抵抗力及び持久力を増やし、且つ、運動の疲労及び物理的な疲労を減らす。ガラナの中に含まれるカフェインとカフェインに含まれるキサンチンは、最も速く最も安定した思考を提供する。
【0027】
本発明の組成物は粉末状、顆粒状または液体状に製造でき、更に加工処理を加えることで、本発明の組成物をカプセル形式で製造することもできる。特に必要な説明として、カプセル形式は動物性カプセルまたは植物性カプセルでもよい。動物性カプセルはゼラチン(gelatin)から製造することができ、植物性カプセルはカルボキシメチルセルロースナトリウム(sodium carboxymethyl cellulose)から製造することができ、使用者が経口服用できるように提供される。
【0028】
本発明で用いる専門用語「薬学的に許容される塩」は、組成物の生物学的効果および性質を保てる水溶性および水不溶性の塩を包含しうる。本発明で用いる専門用語「薬学的に許容されるキャリア剤」は、薬剤を身体の器官・臓器または一部から、身体の別の器官・臓器または別の一部へと運ぶ物質、組成物または媒介剤を意味し、それは調味劑、旨味調味料、防腐剤、抗酸化剤、キレート剤、浸透剤、潤滑剤、錠剤補助剤、着色剤、保湿剤、結合剤、および同効果のキャリア剤を含む。
【0029】
本発明の実施例が動物実験で検証されることにより、本発明の組成物が脂肪形成の抑制および抗酸化活性の効果を有することについて実証された。
【0030】
動物実験
【0031】
(1)動物の飼育
【0032】
実験の被験体(被験動物)は、国家衛生研究院国家実験動物センターからのものであって、オスで6~8週齢のC57BL/6(B6)のマウス60匹を採用する。開始体重が約20gであり、10匹を一組とする。組ごとに被験体を、22±2℃の飼育ケースの中で別々に飼育し、タイマーで明るい時間および暗い時間をコントロールする。ここで、明るい時間と暗い時間は各12時間とする。被験体は通常、暗い時間に摂餌するのであり、飼料を取り除くのに最良の時間は明るくなり始めた時であり、絶食時間は12±2時間に設定する。
【0033】
(2)飼料の摂餌
【0034】
被験体には、経口で高脂飼料を与え、注射式でD-ガラクトースを与える。なお、高脂飼料は被験体の体重を肥満にするためである。
注射に依る過剰量のD-ガラクトースは、被験者の体内に大量の活性酸素類を発生させ、ひいては体内の活性酸素類濃度の平衡状態を崩れさせ、このことから被験体の体内で過酸化反応が誘発される。
【0035】
(3)投薬の設定
【0036】
6~8週齢の被験体は、体重に応じてランダムに六つの組(グループ)に分ける。各組は10匹とし、各被験体に先ず、飼育ケースで、高脂飼料および注射D-ガラクトースを与え、この後、各被験体に更に経口で本発明のイワベンケイ抽出物およびアルファGPCを含む組成物を与える。その実験を12週行い、実験期間中、毎週体重を計測し記録する。本発明で用いる専門用語「与える」は、個体に対し直接、組成物、または組成物の薬学的に許容される塩を投与することを指すのであり、それは個体の体内で同効果量の活性組成物を形成することができる。
【0037】
実験の各組は、主に以下のとおり分かれる。
(1)正常組:正常な飼料を自由摂餌させ、滅菌逆浸透水10ml/kgを投与する。
(2)比較組(対照グループ):高脂飼料を自由に摂餌させ、首の背部への皮下注射の方式で0.3-1.2g/kg体重のD-ガラクトースを注射する。また滅菌逆浸透水10ml/kgを投与する。
(3)実験組1:高脂飼料を自由に摂餌させ、首の背部の皮下に0.3-1.2g/kg体重のD-ガラクトースを注射する。そして、1倍の投薬量のイワベンケイ抽出物を投与する。ここで、イワベンケイ抽出物の含有量は88.4mg/kg体重/日である。
(4)実験組2:高脂飼料を自由に摂餌させ、首の背部の皮下に0.3-1.2g/kg体重のD-ガラクトースを注射する。そして低投薬量の本発明の組成物(イワベンケイ抽出物:アルファGPC=1:1)を投与する。ここで、本発明の組成物におけるイワベンケイ抽出物とアルファGPCとの組合せの有効用量は、187mg/kg体重/日(イワベンケイ抽出物:アルファGPC=1:1)である。体表面積比にもとづくならば、経口投与量は人体に対して0.91g/日である。
(5)実験組3:高脂飼料を自由に摂餌させ、首の背部の皮下に0.3-1.2g/kg体重のD-ガラクトースを注射する。そして中投薬量の本発明の組成物(イワベンケイ抽出物:アルファGPC=1:3)を投与する。ここで、本発明の組成物におけるイワベンケイ抽出物とアルファGPCとの組み合わせの有効用量は、384.4mg/kg体重/日(イワベンケイ抽出物:アルファGPC=1:3)とする。体表面積比にもとづき、経口投薬量は人体に対して1.87g/日である。
(6)実験組4:高脂飼料を自由に摂餌させ、首の背部の皮下に0.3-1.2 g/kg体重のD-ガラクトースを注射する。そして高投薬量の本発明の組成物(イワベンケイ抽出物:アルファGPC=1:6)を投与する。ここで、本発明の組成物におけるイワベンケイ抽出物とアルファGPCとの組み合わせの有効用量は、680.4mg/kg体重/日(イワベンケイ抽出物:アルファGPC=1:6)であり、体表面積比にもとづき、経口投薬量は人体に対して3.31g/日である。
【0038】
【0039】
動物実験と人体との間の試験投薬量の換算:当評価方法における人体と動物実験との間の投薬量の換算は、原則的に、2005年に米国食品医薬品管理局公告の実験初期推計方法(Estimating the maximum safe starting dose initial clinical trials for therapeutics in adult healthy volunteers)にもとづき、60kgの成人を基準とする。実験動物を用いて試験を行ったとき、有効用量の換算は、原則的に、体重1kg当たりの人体の毎日の推奨摂取量(/kg体重/day)を、同効果の投薬量に換算する。
【0040】
動物は体重の増加に従って摂取量も増えるため、上述二項の換算的方式は、動物が毎日摂取する試験サンプルの摂取量は相互に差が大きくないため、どちらを採用しても良い。試験組と比較組の飼料は、等量に近い、カロリー、タンパク質、脂肪、カルシウム等のミネラルやビタミンを含む必要がある。
【0041】
動物試験結果を人体の推奨投薬量に換算する。動物試験の統計結果にもとづき最も適する有効量を計算する。仮に単位を飼料の%とした場合、同じ%を人の一日の飲食摂取量(500gの乾燥重量)の%とし、それを一倍の投薬量とする。例えば、飼料にテストを受ける製品が1%含まれるグループから最も良好な結果を得たとき、ヒトも同じく1%(5g)、つまり一倍の投薬量を摂取するのが最良の投薬量とみなす。仮に実験に、体重1kgごと(/kg b.w.)を単位として採用した場合、一律に60kgを掛けて成人の1倍の有効用量とする。
【0042】
(4)サンプル採取分析
【0043】
(A)体重の変化
【0044】
実験期間、毎週少なくとも1回、体重を計測し(毎日、飼育ケースの明かりが暗くなり、飼料を投与する前に決まって計測するのが望ましい)、各組の被験体の体重変化を観察する。体重変化の換算方法は、体重変化量(weight change)=終了体重-開始体重とする。
【0045】
【0046】
表1に示すのは、本実施例の各組被験者の体重変化表である。表1の結果に示すとおり、実験週数の増加に従い、実験の被験者すべての平均体重は安定して上昇した。ここで、比較組の平均体重の増加が最も明らかである。
しかしながら、実験組2~4については、被験体が本発明の組成物を与えられた後、その平均体重は比較組と比べて明らかに下がっている。そのうち、更に実験組3については、その被験体の平均体重は比較組と比べて約7g減少するという明らかな効果を得た。
ここからわかることは、本発明はイワベンケイ抽出物とアルファGPCの混合摂餌によって、被験体の体重を有効に下げることができる。更にイワベンケイ抽出物とアルファGPCが1:3の実験組3は、ダイエット効果が最も高い。
【0047】
(B)臓器と体脂肪の重量変化
【0048】
動物を犠牲にした時、腹膜腔内の副睾丸脂肪、腎臓周囲脂肪および腸間膜脂肪を細心の注意を払って取り出し、重量を計測し、体脂肪率を計算する。体脂肪率計算公式は以下のとおりである。
【0049】
体脂肪率=[体脂肪量(g)/体重(g)]×100%。実際に計算する時、体脂肪量(g)=副睾丸脂肪(g)+腎臓周囲脂肪(g)+腸間膜脂肪(g)である。体脂肪量の測定は、できるだけ同一の者が同一の方法ですべての動物を処理することで、動物個体間の誤差を下げる。
【0050】
【0051】
表2に示すのは、本実施例の各組被験者の臓器と体脂肪重量変化表である。表2の結果に示すとおり、実験から12週が経過した後、実験の被験体すべての体脂肪率および脂肪総量は上昇している。そのうち、比較組の上昇が最も明らかである(P<0.05)。
しかしながら、実験組2~4を比較すると、被験体が本発明の組成物を投与された後には、その体脂肪率および脂肪総量は比較組と比べて明らかに低い(P<0.05)。
本発明の組成物は、肥満と脂肪累積を有効に抑制する効果を有する。
【0052】
(C)血液中の生化学数値各種の変化
【0053】
血液生化学を用い、体内で体脂肪を形成しにくい機能についての各種生化学数値を分析する。その生化学分析項目は以下のとおりである。
【0054】
(a)血中脂質は、各組の被験者が12時間絶食後、イソフルラン(isoflurane)で麻酔を行い、腹腔動脈の血液を採取し、遠心で血清を取り出す。続いて血清生化学機器で血清中のトリグリセリド、コレステロール、LDLコレステロール、HDLコレステロールの濃度を検出して分析する。
【0055】
(b)肝臓脂質は、腹腔動脈から採血した後、生理食塩水で腹腔を洗浄し、次にクロロホルム-メタノール抽出法で、体内脂質を抽出し、肝臓トリグリセリドとコレステロールの濃度を計測する。
【0056】
(c)血糖は、腹腔動脈から採血した後、酵素法および比色法で血清中の血糖濃度を計測する。
【0057】
(d)腎機能は、腹腔動脈から採血した後、酵素法および比色法で血清中のクレアチニンの濃度を計測する。
【0058】
【0059】
表3に示すのは、本実施例の各組被験者の血液生化学値の変化表である。上述の表3に示すとおり、実験から12週が経過した後、血糖の結果について、比較組の血糖濃度は正常組と比べて明らかに増えた(P<0.05)。
しかしながら、実験組1~4の血糖濃度は、比較組と比べてやや下がる。コレステロールの結果として、実験組1~4の血清中のコレステロール濃度は、比較組と比べて有意に下がる(P<0.05)。クレアチニン(Creatinine)の結果として、実験組1~3の血清中のクレアチニン濃度は比較組と比べてやや下がり、これらのうち、実験組4のクレアチニン濃度は比較組より明らかに低い(P<0.05)。LDLコレステロール(LDL)の結果として、実験組1~4中のLDLコレステロール濃度は比較組と比べて明らかに下がる(P<0.05)。HDLコレステロール(HDL)の結果として、実験組1~4中のHDLコレステロール濃度は、比較組と比べて明らかに高い(P<0.05)。これらによって、表3の実験を経た結果として、本発明の組成物は体脂肪を形成する多種の生化学活性を有効に抑制し、体脂肪率を下げる効果を有効に達成する。
【0060】
(D)血液の抗酸化指標の変化
【0061】
酵素法および比色法で血清中の活性酸素除去酵素(SOD)、グルタチオンペルオキシダーゼ(GSH Px)濃度含有量およびG6PD(Glucose-6-phosphate dehydrogenase)の活性濃度を計測する。
【0062】
【0063】
表4に示すのは、本実施例の各組の被験体の血液抗酸化指標変化表である。上述の表4に示すとおり、実験から12週が経過した後、活性酸素除去酵素(SOD)、グルタチオンペルオキシダーゼ(GSH Px)およびG6PDの結果について、実験組2~4は比較組と比べて(P<0.05)増加が顕著である。これらのうち、また実験組3の、イワベンケイ抽出物:アルファGPC=1:3の実施例において、活性酸素除去酵素(SOD)、グルタチオンペルオキシダーゼ(GSH Px)およびG6PDの測定濃度含有量は最高である。ここからわかることは、本発明はイワベンケイ抽出物とアルファGPCを投与することで、抗酸化力が有効に向上する効果を有し、更に体内の過酸化分子とフリーラジカル(自由基)を取り除く目的を達成し、実験から実証されるとおり、実験組3の抗酸化効果は最も良く、更にアンチエージングを助ける効果を有する。
【0064】
(E)血液中の成長ホルモンの変化
【0065】
ヒト成長ホルモン(human growth hormone、hGH)の分析は、human growth hormone ELISA kitで血清中のhGH濃度を分析する。
【0066】
【0067】
表5に示すのは、本実施例の各組の被験者の成長ホルモン変化表である。上述の表5に示すとおり、実験から12週が経過した後、血液中の成長ホルモンの結果において、比較組の血清中の成長ホルモン濃度は正常組と比較して明らかに低い(P<0.05)。しかし実験組1~4は比較組と比べて増加が明らかである(P<0.05)。更に、被験者は老化と肥満の誘導において、イワベンケイ抽出物とアルファGPCを投与することで、体内の成長ホルモンの作用が相対して上昇し、被験者のダイエットを助ける効果を達成する。
【0068】
(F)組織切片染色観察
【0069】
(1)各組の被験者がD-ガラクトースで誘導老化の後、毛色の変化の様子を観察する。仮に老化し、毛髮が白色に変化した時、写真を取り記録する。
図1に示すのは、本実施例の各組の被験者の皮膚組織の毛包と皮下脂肪に染色した画像図である。
図1に示すとおり、比較組の毛包組織は正常組と比較すると、明らかに弛緩した状況が発生しており、且つ比較組の皮下脂肪の厚みは正常組よりも明らかに厚い。
しかし、試験後の実験組1~4から分かるとおり、実験組1~4の毛包組織は比較組と比べて、徐々にきめ細かい状態に回復しており、更にその皮下脂肪の厚み率もはっきりと薄くなっている。
【0070】
【0071】
図1および上述の表6の結果から以下のことがわかる。実験組2~4のイワベンケイ抽出物とアルファGPCを投与した被験者は、単一のイワベンケイ抽出物を投与した実験組1の被験者と比べて、実験組2~4の組織切片から計測した皮下脂肪の厚みは皮下脂肪減少の効果が明らかである。これらのうち、実験組3の計測された皮下脂肪の厚みの減少効果が最も良い。説明のとおり、被験者はイワベンケイ抽出物とアルファGPCの組合せ投与により、皮膚の毛包組織を有効に増加させ、毛髮含有量を向上させる効果の他に、更に体内皮下脂肪の厚みを減少させる目的を達成できる。
【0072】
(2)各組被験者の皮膚を採取し、10%のホルマリン溶液に漬けた後、4-HNE(4-hydroxynonenal)染色実験を行う。
特に、被験者はD-ガラクトースを注射することによって体内に脂質過酸化現象を誘導発生させ、脂質過酸化過程において、マロンアルデヒド(Malon aldehyde, MDA)と4-ヒドロキシノネナール(4-hydroxynonenal,HNE)を生成し、更に細胞膜の流動性および通透性並びに細胞構造および機能の変更を起こす。
本発明は、4-HNE染色実験で、各組被験者の体内の過酸化状態を観察することができる。ここで、4-HNEの染色測定の沈積量の色が深くなった時、それは被験者体内の過酸化物含有量が高くなったことを表す。
言い換えると、4-HNEの染色測定の沈積量の色が浅くなった時、それは被験者体内の過酸化物含有量が低くなったことを表す。
図2に示すのは、本実施例の各組の被験者の皮膚組織で免疫染色を行った画像図である。
【0073】
図2に示すとおり、比較組の4-HNE染色実験は正常組と比べて、その沈積量の色は明らかに深い。つまりそれは比較組の被験者の体内組織は重度の過酸化現象を起こしたことになる。
しかしながら、試験後の実験組2-4において、4-HNE染色の沈積量の色は比較組と比べて、沈積量の色は明らかに薄くなり、また実験組3の4-HNE染色を計測した沈積量の色もまた更に薄くなった。更に沈積量の染色面積も小さくなり、更に実験組3の抗過酸化の効果は最も良い。
よって、本発明のイワベンケイ抽出物とアルファGPCとの組合せは、更に抗過酸化作用を高める効果および目的を達成できる。
【0074】
上述のとおり、本発明の実験で実証するとおり、イワベンケイ抽出物とアルファGPCの組合せは、被験者の体重と体脂肪を有効に下げる他、更に体内の抗過酸化作用効果を高める。そのうち、イワベンケイ抽出物とアルファGPCの組合せ比率が1:3の時、体脂肪を抑制し、体重を下げ、抗酸化作用の効果が最も良好である。
本発明の組成物は、肥満を治療する薬物とすることができ、更に体内組織の抗過酸化作用を高め、アンチエージング効果を達成する。
【0075】
以上に挙げた実施例は本発明を説明するためのものに過ぎず、本発明を制限するものではない。本発明の精神にもとづく種々の修飾または変化はすべて本発明の請求範囲に属するものとする。