(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】無線周波数アレイの調整
(51)【国際特許分類】
A61B 5/055 20060101AFI20221220BHJP
G01N 24/00 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
A61B5/055 355
A61B5/055 390
A61B5/055 350
G01N24/00 580F
G01N24/00 580H
(21)【出願番号】P 2021531804
(86)(22)【出願日】2019-12-09
(86)【国際出願番号】 EP2019084112
(87)【国際公開番号】W WO2020120347
(87)【国際公開日】2020-06-18
【審査請求日】2021-06-03
(32)【優先日】2018-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2018-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】デューンシング ジョージ ランダル
(72)【発明者】
【氏名】クルーガー サシャ
(72)【発明者】
【氏名】フィンデクリー クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】リップス オリヴァー
【審査官】永田 浩司
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-137722(JP,A)
【文献】特開2015-73260(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0063482(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0195915(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/055
G01N 24/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線周波数システムであって、
アンテナ素子の無線周波数アレイと、
前記アンテナ素子のインピーダンスを同調させるための調整装置と、
前記無線周波数アレイの画像情報を取得するカメラシステムと、
分析モジュールであって、
前記画像情報から前記アンテナ素子のインピーダンスの動作設定を導出し、 前記分析モジュールは、前記画像情報から前記無線周波数アレイの実際の形状を計算するように構成され、
前記計算される無線周波数アレイの実際の幾何学的形状に依存して、前記アンテナ素子のインピーダンスの前記動作設定を導出する
分析モジュールと
を有
し、
前記分析モジュールは、前記画像情報から、又は前記計算される無線周波数アレイの実際の幾何学的形状から、前記動作設定を導出するように訓練される、訓練されるニューラルネットワークを含み、
前記分析モジュールは、アンテナ素子の間の相互電磁カップリング、及び前記アンテナ素子と負荷との間の電磁カップリングに関する情報を受信するように構成され、
前記訓練されるニューラルネットワークは、相互電磁カップリング及び/又は負荷への電磁カップリングを補償するために前記無線周波数アレイの更なるデカップリング設定を導出するように訓練される、
無線周波数システム。
【請求項2】
前記カメラシステムは、深度検出カメラアセンブリを含む、請求項1に記載の無線周波数システム。
【請求項3】
コントラスト強調パターンが前記無線周波数アレイ上に配置される、請求項1乃至2の何れか一項に記載の無線周波数システム。
【請求項4】
前記無線周波数アレイはフレキシブルアレイである、請求項1乃至3の何れか一項に記載の無線周波数システム。
【請求項5】
前記分析モジュールは、前記無線周波数アレイの実際の形状における鋭い形状遷移(リンクル、尖)を認識するためのパターン認識機能を備える、請求項1乃至4の何れか一項に記載の無線周波数システム。
【請求項6】
無線周波数アレイのアンテナ素子のインピーダンスの動作設定を、前記無線周波数アレイの画像情報又は計算される無線周波数アレイの実際の幾何学的形状に関連付けるようにニューラルネットワークを訓練する方法であって、
前記無線周波数アレイを複数のそれぞれの幾何学的形状に形成するステップと、
前記それぞれの設定される幾何学的形状の各々に対して、特にネットワークアナライザによって、前記アレイの散乱マトリックスを測定し、前記無線周波数アンテナ素子のインピーダンスを同調させて、最小の信号反射を達成するステップと
を含む方法。
【請求項7】
前記複数のそれぞれの幾何学的形状は、臨床使用における妥当な変形に対応するように予め選択される、請求項6に記載のニューラルネットワークを訓練する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナ素子のRFアレイを備えた無線周波数(RF)システムに関する。
【背景技術】
【0002】
RFシステムは、無線周波数信号を送受信するように動作する。RFシステムは励起パルス、リフォーカシングパルス、又は反転パルスなどのRFパルスを送信し、送信されるRFパルスに応答し得る磁気共鳴信号を受信するために、磁気共鳴検査システムにおいて使用され得る。RFアレイはRF磁界を放出し、及び/又は磁気共鳴信号の磁束をピックアップする働きをする複数のアンテナ素子を含む。アンテナ素子は、RFフィールドの伝送又はRE信号受信のいずれかのために特別に設計されてもよい。また、アンテナ素子は、送信及び受信モードで代替的に動作されてもよい。MR共鳴(ラーモア)周波数帯でRF場を送信したり、磁気共鳴信号を受信したりするように効率的に機能させるためには、RFアレイを共鳴に同調させる必要がある。この同調は個々のアンテナ素子の局所インピーダンスを調整して行う。調整の1つの方法は、個々のアンテナ素子における容量又はインダクタンスを調整することであり得る。
【0003】
アンテナ素子のRFアレイを有する無線周波数(RF)システムは、磁気共鳴検査システムに使用するためのマルチチャネル無線周波数(RF)受信/送信システムを示す米国特許出願US2017/0371012から知られている。マルチチャネルRF送受信システムは、順方向電力と反射電力との比較に基づいて、RFコイル素子のチューニング及びインピーダンス整合設定を調整するためのチューニング/整合回路を備える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的はRFシステムに、動作電磁設定を調整するのがより簡単なアンテナ素子のRFアレイを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、無線周波数システムであって、
【0006】
アンテナ素子の無線周波数アレイと、
【0007】
前記アンテナ素子のインピーダンスを調整するための調整装置と、
【0008】
前記無線周波数アレイの画像情報を取得するカメラシステムと、
【0009】
画像情報から前記アンテナ素子のインピーダンスの動作設定を導出する分析モジュールと
を有する、本発明のRFシステムによって達成される。
【0010】
カメラシステムは、個々のアンテナ素子が互いに配置され、配向される方法を表すRFアレイの画像情報を取得する。個々のアンテナ素子の局所インピーダンスは予め決定されているので、画像情報は、RFアレイの実際のインピーダンス及び共振特性も表す。したがって、画像情報から、適切な動作電磁設定を導出することができる。これらの動作電磁設定は、アンテナ素子の共振同調、デカップリング又はインピーダンス整合設定を含み得る。RFアレイを(その送信モード又はその受信モードで)共鳴させるための同調パラメータであるインピーダンス設定を導出することができる。したがって、本発明は、たとえRFアレイが変形したとしても、RFアレイを共振に同調させることを達成する。この同調は、アンテナ素子の個々のインピーダンスを調整するためにユーザの相互作用を必要としないので、比較的単純である。本発明は、フレキシブルRFアレイの共振同調に特に有利である。このようなフレキシブルRFアレイは、検査される患者の身体の上又は周囲に快適に巻き付けることができる「ブランケット」として具現化することができる。共振同調は、フレキシブルRFアレイが検査されるべき患者の身体(の一部)の上又は周囲にどのように配置されるかに厳密に依存し得る。(広範な)ユーザ相互作用を必要とせずに、フレキシブルRFアレイが検査されるべき患者の身体の上又は周囲に配置されるときの共振同調の正確な調整は、磁気共鳴画像化における検査プロトコルのより効率的なワークフローを追加する。また、インピーダンス整合及び(デ)カップリングは、フレキシブルRFアレイの幾何学的変形を考慮して正確に行われてもよい。
【0011】
本発明は、受信器アンテナ素子のRFアレイ並びに送信アンテナ素子のRFアレイ内に実装することができる。送信アンテナ素子又は受信アンテナ素子のいずれかに対して、共振同調設定、インピーダンスマッチング、及び(デ)カップリングなどのそれぞれの動作設定が、画像情報から導出されてもよい。特に、RFアレイは、受信モード及び送信モードでそれぞれ駆動され得る1組の物理アンテナ素子を有することができる。受信モードと送信モードの両方について、画像情報から適切な動作設定を導出することができる。
【0012】
簡単に説明すると、無線周波数(RF)システムは、アンテナ素子のRFアレイと、アンテナ素子のインピーダンスを調整するための調整装置と、RFアレイの画像情報を取得するためのカメラシステムとを含む。分析モジュールが提供され、共振同調設定、アンテナ素子のインピーダンスのデカップリング及びインピーダンスマッチングのような動作設定を画像情報から導出する。画像情報は、RFアレイの実際のインピーダンスと共振特性を表す。画像情報から、RFアレイを共振状態にするための調整パラメータである適切なインピーダンス設定を導出することができる。
【0013】
本発明のこれら及び他の態様は、従属請求項に定義される実施形態を参照してさらに詳述される。
【0014】
本発明のRFシステムの例では、分析モジュールがRFアレイの実際の幾何学的形状を画像情報から計算し、計算されるRFアレイの実際の幾何学的形状の依存性におけるアンテナ素子のインピーダンスの共振同調設定を含む動作設定を導出するように構成される。RFアレイの実際の幾何学的形状は、その幾何学的形状に対するアンテナ素子のインピーダンスの共振同調設定に直接関係する。したがって、適切なインピーダンス設定は、実際の幾何学的形状から迅速かつ正確に導出され得る。さらに、実際の幾何学的形状は、多くの計算労力なしに画像情報から計算又は認識することができる。デカップリングやインピーダンス整合設定などの他の動作設定は、計算されるRFアレイの実際の幾何学的形状から導出することができる。デカップリング設定は個々のアンテナ素子間の(デ)カップリング、ならびに、アンテナ素子のそれぞれのグループへ、又はアンテナ素子のそれぞれのグループから電力又はデータを伝達する信号チャネル間のデカップリング(「プリアンプデカップリング」と呼ばれることが多い)に関係し得る。
【0015】
本発明のRFシステムの別の例では、分析モジュールが共振同調設定を画像情報から、又は計算されるRFアレイの実際の幾何学的形状から導出するように訓練される、訓練されるニューラルネットワークを含む。訓練されるネットワークは、計算されるRFアレイの実際の幾何学的形状からデカップリング及びインピーダンス整合設定を導出するように訓練されてもよい。ニューラルネットワークの動作は、多くの(又は何れの)ユーザ対話も必要としない。そのような訓練されるニューラルネットワーク、又は機械学習モジュールは、共振インピーダンス設定、減結合、及びインピーダンス整合設定などの正確な適切な動作設定を、わずかな待ち時間で返す。
【0016】
本発明のRFシステムの別の例では、分析モジュールがアンテナ素子間の相互電磁カップリング、及びアンテナ素子と負荷との間の電磁カップリングに関する情報を受信するように構成される。訓練されるニューラルネットワークは相互電磁カップリング及び/又は負荷への電磁カップリングを補償するために、RFアレイの更なるデカップリング設定を導出するように訓練される。一実施形態では、分析モジュールがアンテナ素子間の相互カップリング及びアンテナ素子の負荷、例えば、検査される患者へのカップリングを導き出し、画像情報を形成するように構成されてもよい。例えば、アンテナ素子間及びそれぞれのアンテナ素子と負荷との間の相互距離は、画像情報から導出されてもよい。これらの距離及び電磁気特性並びに負荷の電磁感受率及び誘電体態様から、アンテナ素子間及びアンテナ素子の負荷へのカップリングを計算することができる。更なるデカップリング設定は、相互(デ)カップリングを調整するために個々のアンテナ素子間に設けられる変圧器及び共有キャパシタの調整に関連することができる。RFアレイにおける個々のアンテナ素子のデカップリングを達成する方法は、ISMRM2007要約「インピーダンス反転を介したマルチチャネル送信/受信コイルアレイのデカップリング」(p1020)からそれ自体公知である。また、相互カップリング及び負荷へのカップリングに関する情報は、ローカルインピーダンスを感知するために設けられたセンサから取得することができる。相互カップリング及び負荷へのカップリングの補償は、主に素子を正確に共振に同調させるのではなく、結合される素子の結合共振が制御されるように制御される方法で素子を同調させることを意味する、いわゆる「アレイノイズマッチング」の手段によって行うことができる。
【0017】
本発明のRFシステムの別の例では、カメラシステムが深度検出カメラアセンブリを含む。この例では、カメラシステムの出力データがRFアレイのボリューメトリックな側面を表している。顕著には、互いに対するRFアレイ内のアンテナ素子の局所的な3次元相対的方向及び位置が相互インピーダンスに影響を及ぼす。ボリュメトリック画像情報には、このような3次元関係が含まれる。従って、このような体積画像情報から共振同調設定を含む動作電磁設定を導出することは、アンテナ素子間の三次元関係を考慮する。画像情報から、相互カップリングの調整も導出することができる。相互カップリングは、2つ以上のアンテナ素子の間で回路接続されるローカル変圧器、容量又はインダクタンスによって形成することができる。これらの変圧器、キャパシタンス及びインダクタンスを調整すると、これらの相互カップリングが調整される。さらに、デカップリング設定及びインピーダンス整合設定は、画像情報から導出されてもよい。
【0018】
さらに、画像情報から、RFアレイと負荷との間に、RFアレイと負荷との間の方向や距離などの幾何学的関係を導出することもできる。RFアレイと負荷との間のこれらの幾何学的関係から、RFアレイと負荷との間の相互電磁カップリングを計算することができる。この計算される電磁カップリングは、RFアレイの共振同調、インピーダンス整合及び(デ)カップリングのような動作設定を調整するときに考慮され得る。
【0019】
本発明のRFシステムの別の例では、コントラスト向上パターンがRFアレイ上に配置される。このコントラスト強調パターンのために、画像情報からRFアレイの全形状を抽出することがより容易である。幾何学的形状を導出するには、幾何学的形状が認識しやすくなるため、より信頼性が高くなる可能性がある。
【0020】
本発明をフレキシブルRFアレイを有するRFシステムに実装すると、非常に良好な結果が得られる。そのようなフレキシブルRFアレイは、検査される患者の身体の周りに巻き付けられるか、又はその上にぴったりと掛けられることができるブランケットのような形状であってもよい。一方ではフレキシブルアレイが患者の身体を曲げるために、そのアレイにわたって近接した距離を有するように正確に形成されてもよく、他方ではRFアレイが達成することができる広範囲の形状が存在する。本発明のRFシステムは、RFアレイのこれらの非常に多くの実際の形状を考慮して、共振同調設定などの動作電磁設定を設定することができる。フレキシブルアレイがフレキシブルアレイの領域にわたって患者の身体に近接して配置される場合、磁気共鳴信号は、良好な信号対雑音比で取得される。
【0021】
本発明のRFシステムの別の例では、分析モジュールがRFアレイの実際の形状における鋭い形状遷移(リンクル、尖)を認識するためのパターン認識機能を備える。アンテナ素子間のインピーダンスは、カスプ、リンクルなどの鋭い遷移で、その形状に依存して特異的になり得ることが分かった。このような状況では、導出される幾何学的形状が計算において本質的に滑らかであり、正確な鋭い遷移は適切に得られない。オペレータへの警告は、共鳴設定が信頼できないことをオペレータに知らせることができる。さらに、分析モジュールは、尖頭又はリンクルなどを検出すると、オペレータに(フレキシブル)RFアレイを患者の身体上に再配置するように促すことができる。
【0022】
本発明は、アンテナ素子の共振同調設定を含む、動作電磁設定を関連付けるようにニューラルネットワークを訓練する方法に関する。この訓練は、フレキシブルRFアレイを一つの幾何学的形状に形成することを含んでいる。この幾何学的形状に対して、RFアレイの散乱マトリックスが測定される。個々のアンテナ素子に対する共振同調設定は、RFアレイに印加されるRE信号反射が最小になるように共振同調設定を調整することによって得られる。このプロシージャは、RFアレイの複数の幾何学的形状に対して反復される。このようにして、ニューラルネットワークは、RFアレイの観察される実際の幾何学的形状から共振同調設定を認識するように訓練される。実習の効率は、臨床現場で起こる可能性があると思われる比較的少数の妥当な変形を定義することで改善される可能性がある。このようにして、ニューラルネットワークは、予め選択される妥当な変形の相対的に小さいトレーニングセットから共振同調設定を認識するようにトレーニングされ得る。また、インピーダンス整合及びデカップリング設定のような動作設定は実際の幾何学的形状から認識され得、このライブラリに基づいて、ニューラルネットワークはRFアレイの任意の実際の幾何学的形状について、共振同調設定、インピーダンス整合設定、及び/又は(デ)カップリングのような適切な動作設定を認識するように訓練される。
【0023】
本発明のこれらの態様及び他の態様は、以下に記載される実施形態を参照して、及び添付の図面を参照して説明される
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図2】本発明のRFシステムのカメラシステムによって作られた深度画像の一例を示す。
【
図3】本発明の方法によってニューラルネットワークを訓練した一例を示すフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は本発明のRFシステムの概略図である。RFシステムは多数の(例えば、32x64の)アンテナ素子を含むフレキシブルアレイ10として示されるRFアレイ10を含む。フレキシブルアレイ10は例えば、検査される患者などの負荷50に対して、又はその周りに巻きつくように、多くの異なる様式で湾曲又は形成されてもよい。調整装置20は例えば、個々のアンテナ素子のキャパシタンス及び/又はインダクタンスを設定することによって、アンテナ素子を調整/整合/デカップリングするように、動作設定を調整するための電子回路を含む。そのために、調整装置は、制御バス21を介してRFアレイに結合される。調整装置は例えば、キャパシタンスを調整することによって、例えば、アンテナ素子のピンダイオード又はインダクタンスによって前者のように、アンテナ素子の局所インピーダンスを調整するように機能する。さらに、調整装置はアンテナ素子間の相互インピーダンスを調整し、また、アンテナ素子と負荷50とのカップリングを調整してもよい。
【0026】
カメラシステム30は、RFアレイ10を撮像するために、及びオプションとして、負荷50と共に提供される。カメラシステムは3Dカメラ、2つ以上の2Dカメラを含むことができ、又は異なる位置及び/又は方向からRFアレイ10を撮像するために単一の2Dカメラを提供することができる。したがって、カメラシステムはRFアレイ10の深度画像を表し、好ましくは負荷50の深度も表す画像情報を伝達する画像信号を生成する。分析モジュール50には、画像処理ユニット42が設けられている。画像処理ユニットは、カメラシステムからの画像信号からRFアレイ10の幾何学的形状を導出する。また、画像処理ユニットは、アンテナ素子と負荷との間の局所距離を導出することができる。幾何学的形状は、分析モジュール40に含まれるニューラルネットワーク41に供給される。幾何学的形状を形成し、ニューラルネットワークは例えば、RFアレイ10に対する共振同調設定を導出するか、又は認識する。これらの共振同調はアンテナ素子のインピーダンスの調整を制御するために、同調構成20に適用される。そのために、調整装置20は、制御バス21からRFアレイに結合されている。
【0027】
RFシステムはRFアレイ10の負荷50までの局所距離を測定するために、1つ又は複数のセンサ11をさらに含む。また、センサ11は、個々のアンテナ素子の(いくつかの)局所相互インピーダンス、RFアレイ内の局所電気電流、局所インピーダンス又は局所信号伝送強度を測定するために提供することができる。センサ11からの測定データは分析モジュール40の演算部43に適用され、分析モジュールは測定データからRFアレイのインピーダンス分布を計算する。ニューラルネットワークにインピーダンス分布を適用して、共振同調設定のような動作設定を導出する。これらの共振同調設定はRFアレイの動作設定を制御するために、同調配置に適用される。
【0028】
図2は、本発明のRFシステムのカメラシステムによって作られた深度画像の一例を示す図である。
【0029】
深度画像は、負荷50が仰臥位で検査される患者であることを示す。また、変形されるRFアレイ12は、患者の胸郭上に巻き付けられた前方フレキシブルRFアレイとして示されている。
【0030】
図3は、本発明の方法によってニューラルネットワークを訓練する例を表すフローチャートを示す。訓練は、臨床的にもっともらしい変形の所定の集合からもっともらしい変形を選択する(Sel def)ことから開始する。次に、RFアレイは、選択される妥当な形状に実際に形成される(ShRFa)。もっともらしい形状ではあるが、RE信号アレイに供給され、その散乱マトリックスは(マルチチャネル)ネットワークアナライザによって測定される。それから、RFアレイの幾何学的形状を維持しつつ、反射RF信号が最小(Min ref)になるように、RFアレイの個々のアンテナ素子の共振同調設定を特に変化させる。これは、選択されるもっともらしい形状に対するRFアレイの共振同調をもたらす。このプロシージャは、多数の所定の妥当な形状について繰り返される。この反復は、設定される妥当な幾何学的形状に関連する共振同調設定などの動作設定を表すライブラリをもたらす。また、インピーダンス整合及びデカップリング設定のような動作設定は、実際の幾何学的形状から認識され、ライブラリ内に含まれ得る。このライブラリに基づいて、ニューラルネットワークは、RFアレイの任意の実際の幾何学的形状に対する共振同調設定、インピーダンス整合設定及び/又は(デ)カップリングのような適切な動作設定を認識するように訓練される。