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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】表示パネル及びその製作方法
(51)【国際特許分類】
   H05B 33/26 20060101AFI20221220BHJP
   H05B 33/10 20060101ALI20221220BHJP
   H01L 27/32 20060101ALI20221220BHJP
   H05B 33/22 20060101ALI20221220BHJP
   H05B 33/12 20060101ALI20221220BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20221220BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20221220BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
H05B33/26
H05B33/10
H01L27/32
H05B33/22 Z
H05B33/12 B
G09F9/30 330
G09F9/00 338
H05B33/14 A
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021534680
(86)(22)【出願日】2019-11-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-14
(86)【国際出願番号】 CN2019119000
(87)【国際公開番号】W WO2020238071
(87)【国際公開日】2020-12-03
【審査請求日】2021-06-16
(31)【優先権主張番号】201910458204.2
(32)【優先日】2019-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】515179325
【氏名又は名称】昆山国顕光電有限公司
【氏名又は名称原語表記】KUNSHAN GO-VISIONOX OPTO-ELECTRONICS CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Building 4, No. 1, Longteng Road, Development Zone Kunshan, Jiangsu, People’s Republic of China
(74)【代理人】
【識別番号】100112656
【弁理士】
【氏名又は名称】宮田 英毅
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】金玉
(72)【発明者】
【氏名】鄭加新
(72)【発明者】
【氏名】任佳佩
(72)【発明者】
【氏名】劉偉
【審査官】越河 勉
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-078536(JP,A)
【文献】国際公開第2011/114576(WO,A1)
【文献】特開2008-166258(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0102306(US,A1)
【文献】国際公開第2018/173465(WO,A1)
【文献】特開2005-108736(JP,A)
【文献】特開2015-138612(JP,A)
【文献】特開2010-055919(JP,A)
【文献】特開2015-141775(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 33/00-33/28
H01L 27/32
G09F 9/30
G09F 9/00
H01L 51/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に設けられた画素規定層と、
前記基板と前記画素規定層との間に位置する電極層と、を含み、
前記画素規定層は、前記電極層に対応するように設けられたスルーホールを有し、前記スルーホールは前記画素規定層を貫通して前記電極層まで延在し、
前記電極層は、1の透明導電層と、前記第1の透明導電層上に設けられた遮光導電層と、前記遮光導電層上に設けられた第2の透明導電層と、を備え、
前記電極層の積層方向から見て、前記第1の透明導電層の前記基板における正投影の面積は前記遮光導電層の前記基板における正投影の面積より大きく、前記スルーホールの側壁は、少なくとも部分的に前記第1の透明導電層に達する
ことを特徴とする表示パネル。
【請求項2】
前記電極層の積層方向から見て、前記遮光導電層の前記基板における正投影は、前記第1の透明導電層の前記基板における正投影の内部に位置するか、又は、
前記電極層の積層方向から見て、前記遮光導電層の前記基板における正投影と、前記第1の透明導電層の前記基板における正投影とが、部分的に重なる
ことを特徴とする請求項1に記載の表示パネル。
【請求項3】
記第1の透明導電層は、前記基板と前記遮光導電層との間に挟まれるように配置される
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の表示パネル。
【請求項4】
前記第2の透明導電層の前記基板から離れる側の表面の、前記基板における正投影の面積は、前記遮光導電層の前記基板における正投影の面積より大きく、
且つ、前記遮光導電層の前記基板における正投影は、前記第2の透明導電層の前記基板から離れる側の表面の、前記基板における正投影の内部に位置する
ことを特徴とする請求項1に記載の表示パネル。
【請求項5】
前記第2の透明導電層は前記遮光導電層の上面及び側面を完全に覆うように配置される ことを特徴とする請求項1に記載の表示パネル。
【請求項6】
前記遮光導電層は、前記第1の透明導電層の前記第2の透明導電層に向いた表面に位置し、
前記遮光導電層は、前記第2の透明導電層の前記第1の透明導電層に向いた表面に位置する
ことを特徴とする請求項に記載の表示パネル。
【請求項7】
前記第1の透明導電層の厚さ及び前記第2の透明導電層の厚さはいずれも8nm以上且つ15nm以下であり、
前記遮光導電層の厚さは80nm以上且つ120nm以下である
ことを特徴とする請求項に記載の表示パネル。
【請求項8】
基板を提供するステップと、
前記基板上で電極層を形成するステップと、
前記電極層上で画素規定層を形成するステップと、を含み、
前記画素規定層は、前記電極層に対応するように設けられたスルーホールを有し、前記スルーホールは前記画素規定層を貫通して前記電極層に当たり、
前記基板上で電極層を形成するステップは、前記基板上で第1の透明導電層遮光導電層及び第2の透明導電層順次積み重ねて形成するステップを含み、
前記電極層の積層方向から見て、前記第1の透明導電層の前記基板における正投影の面積は前記遮光導電層の前記基板における正投影の面積より大きく、且つ前記第2の透明導電層の前記基板における正投影の面積より大きくて、前記スルーホールの側壁は少なくとも部分的に前記第1の透明導電層に達する
ことを特徴とする表示パネルの製作方法。
【請求項9】
前記基板上で第1の透明導電層、遮光導電層及び第2の透明導電層を順次積み重ねて形成する前記ステップは、
前記遮光導電層の前記第1の透明導電層から遠い側の表面において第2の透明導電層を形成するステップ、を更に含み、
前記基板上で電極層を形成するステップは、
S1:前記基板上で第1の透明導電層を形成し、前記第1の透明導電層上で遮光導電層を形成し、前記遮光導電層上で第2の透明導電層を形成し、前記第2の透明導電層上でフォトレジスト層を形成するステップと、
S2:前記フォトレジスト層をパターニングして、前記第2の透明導電層上で第1のフォトレジスト領域、第2のフォトレジスト領域及び無フォトレジスト領域を形成するステップであって、前記第2のフォトレジスト領域の表面にあるフォトレジスト層の厚さは前記第1のフォトレジスト領域の表面にあるフォトレジスト層の厚さより小さい、ステップと、
S3:前記無フォトレジスト領域における前記第1の透明導電層、前記遮光導電層及び前記第2の透明導電層を除去するステップと、
S4:前記第2のフォトレジスト領域の表面にあるフォトレジスト層を除去するステップと、
S5:前記第2のフォトレジスト領域における前記遮光導電層及び前記第2の透明導電層を除去するステップと、
S6:前記第1のフォトレジスト領域の表面にあるフォトレジスト層を除去するステップと、
を含む
ことを特徴とする請求項8に記載の表示パネルの製作方法。
【請求項10】
前記フォトレジスト層をパターニングして、前記第2の透明導電層上で第1のフォトレジスト領域、第2のフォトレジスト領域及び無フォトレジスト領域を形成するステップは、
フォトマスクを用いて前記フォトレジスト層をパターニングするステップを含み、
前記フォトマスクは、透光領域、半透光領域及び遮光領域を含み、
前記半透光領域の透明度は前記遮光領域の透明度より高く且つ前記透光領域の透明度より低く、
前記無フォトレジスト領域は前記透光領域の下方で形成され、前記第2のフォトレジスト領域は前記半透光領域の下方で形成され、前記第1のフォトレジスト領域は前記遮光領域の下方で形成される
ことを特徴とする請求項9に記載の表示パネルの製作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2019年05月29日に出願された、発明の名称が「表示パネル及びその製作方法、表示装置」であって出願番号が「201910458204.2」である中国特許出願を引用し、そのすべての内容を本願に組み込む。
【0002】
本発明は有機発光表示分野に関し、特には表示パネル及びその製作方法、表示装置に関する。
【背景技術】
【0003】
表示技術の向上につれて、表示パネルの応用範囲が益々広くなってきた。有機発光ダイオード(Organic Light Emitting Diode,OLED)デバイスは、応答速度が速く、色調が鮮やかで、薄くて軽くて使いやすいなどの長所を有するため、表示パネル業界の新鋭となっている。表示パネルにアンダースクリーン指紋認識などの機能が集積されるようになってきているため、表示パネルは十分高い透光率を有しなければならない。表示パネルの透光率を高めるためには、不透明な電極の面積を減らす必要がある。
【0004】
しかしながら、不透明な電極の面積を減らすと、表示パネルの発光に異常が発生しやすい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の実施例は、透光率を高めるとともに発光異常の発生可能性を下げることを目的として、表示パネル及びその製作方法、表示装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するために、本発明の実施例は表示パネルを提供する。当該表示パネルは、基板、前記基板上に設けられた画素規定層、及び、前記基板と前記画素規定層との間に位置する電極層を含む。前記画素規定層は前記電極層に対応して設けられたスルーホールを含み、前記スルーホールは前記画素規定層を貫通して前記電極層まで延在する。前記電極層は、1の透明導電層と、前記第1の透明導電層上に設けられた遮光導電層と、前記遮光導電層上に設けられた第2の透明導電層と、を含む。前記電極層の積層方向から見て、前記第1の透明導電層の前記基板における正投影の面積が、前記遮光導電層の前記基板における正投影の面積より大きく、前記スルーホールの側壁は、少なくとも部分的に前記第1の透明導電層に達する
【0007】
本発明の実施例は、以上の表示パネルを備える表示装置を更に提供する。
【0008】
本発明の実施例は、表示パネルの製作方法を更に提供する。当該方法は、基板を提供するステップと、前記基板上に電極層を形成するステップと、前記電極層上に画素規定層を形成するステップと、を含む。前記画素規定層は、前記電極層に対応するように設けられたスルーホールを含み、前記スルーホールは前記画素規定層を貫通して前記電極層に当たる。ここで、前記基板上に電極層を形成するステップは具体的に、前記基板上に第1の透明導電層遮光導電層及び第2の透明導電層順次積み重ねて形成することを含む。前記電極層の積層方向から見て、前記第1の透明導電層の前記基板における正投影の面積は、前記遮光導電層の前記基板における正投影の面積より大きく、且つ前記第2の透明導電層の前記基板における正投影の面積より大きくて、前記スルーホールの側壁は少なくとも部分的に前記第1の透明導電層に達する
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施例により提供される表示パネルの構造模式図である。
図2】本発明の実施例により提供される表示パネルの、電極層の積層方向から見た、基板における正投影の模式図である。
図3図2に係る表示パネルの遮光導電層の位置が変更されたときの、電極層の積層方向から見た、基板における正投影の模式図である。
図4図1に係る表示パネルに第2の透明導電層が追加されたときの構造模式図である。
図5図4に係る表示パネルの、第2の透明導電層の形状が変更されたときの構造模式図である。
図6図4に係る表示パネルの、第2の透明導電層の形状が変更されたときの構造模式図である。
図7】本発明の実施例により提供される表示パネルの製作方法のフローチャートである。
図8図7に係る表示パネルの製作方法に第2の透明導電層が追加された場合のフローチャートである。
図9】本発明の実施例により提供される表示パネルの製造方法のステップに対応する構造模式図である。
図10】本発明の実施例により提供される表示パネルの製造方法のステップに対応する構造模式図である。
図11】本発明の実施例により提供される表示パネルの製造方法のステップに対応する構造模式図である。
図12】本発明の実施例により提供される表示パネルの製造方法のステップに対応する構造模式図である。
図13】本発明の実施例により提供される表示パネルの製造方法のステップに対応する構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の目的、技術案及び長所をより明確にするために、以下、本発明の実施例の図面を参照しながら、本発明の各実施例について明確且つ完全に説明する。明らかに、説明される実施例は本発明の一部の実施例に過ぎず、すべての実施例ではない。本発明の実施例に基づいて、当業者が創造的な労働をせずに得られる他の実施例は、すべて本発明の保護範囲に属するべきである。
【0011】
OLED表示デバイスには、不透明な電極の面積を減らしたら、表示パネルの発光が異常になりやすい問題がある。出願人の研究を通じて、このような問題が現れる原因が以下の通りであることが判明した。従来技術に係るOLED表示デバイスは、通常、画素規定層においてスルーホールが設けられている。正常の発光を保証するために、従来技術に係るスルーホールは不透明な電極に当たるように設けられる必要がある。したがって、不透明な電極が小さくなると、作業上の誤差によって、スルーホールがぴったり電極に当たらないことが発生する。このとき、表示異常の問題が現れてしまう。
【0012】
本発明の実施例は表示パネルを開示する。図1に示すよう、当該表示パネルは、基板10、基板10上に設けられる画素規定層20、及び基板10と画素規定層20との間に位置する電極層30を備える。ここで、画素規定層20は、電極層30に対応するように設けられるスルーホール21を含み、スルーホール21は画素規定層20を貫通して電極層30まで延在する。電極層30は積み重ねて設けられる第1の透明導電層31と遮光導電層32を含み、電極層30の積層方向から見て、第1の透明導電層31の基板10における正投影の面積は、遮光導電層32の基板10における正投影の面積より大きい。
【0013】
電極層30は、第1の透明導電層31と遮光導電層32とが積み重ねられることにより形成される。第1の導電層31の透光率は遮光層32の透光率より大きい。且つ、電極層30の積層方向から見て、第1の透明導電層31の基板10における正投影の面積は遮光導電層32の基板10における正投影の面積より大きい。よって、同じ透光率を有し、すなわち不透明な部分の面積が同一であることを前提とする場合、従来技術に比べると、本発明の実施例に係る電極層30は、電極層30の積層方向から見た全体の面積がより大きい。このようなより大きい面積を有する電極層30のおかげで、電極層30に対応するようにスルーホール21を設けられるとき、スルーホール21が電極層30以外の位置に当たってしまうことが発生しにくく、したがって表示パネルの発光異常の発生可能性が下がる。
【0014】
図2に示すよう、電極層30の積層方向から見て、遮光導電層32の基板10における正投影は、第1の透明導電層31の基板10における正投影の内部に位置する。つまり、遮光導電層32と第1の透明導電層31とが接触し合う面積は、遮光導電層32の基板10における正投影の面積以上である。このように、第1の透明導電層31と遮光導電層32との接触面積が大きく、したがって第1の透明導電層31は遮光導電層32に対してより優れた保護作用を果たすことができる。
【0015】
遮光導電層32の基板10における正投影が第1の透明導電層31の基板10における正投影の内部にあることは、本実施例に係る第1の透明導電層31と遮光導電層32の配置状態の1つの具体的な説明例に過ぎない。図3に示すように、電極層30の積層方向から見て、遮光導電層32の基板10における正投影は、第1の透明導電層31の基板10における正投影と部分的に重なってもよい。電極層30の積層方向から見て遮光導電層32の基板10における正投影と第1の透明導電層31の基板10における正投影とが部分的に重なるように配置することによって、電極層30の全体的な面積は第1の透明導電層31の面積より大きくなり、したがって電極層30の全体的な面積が更に大きくなって、発光異常の発生可能性がより一層低減される。
【0016】
第1の透明導電層31の材料はITO又はIZOであり、遮光導電層32の材料は金属又はグラファイトである。ここで、金属は銀、鉛などであってもよい。第1の透明導電層31の材料がITO又はIZOであることは、本実施例に係る第1の透明導電層31の材料の具体的な説明例に過ぎず、本発明に対する制限にはならない。本発明の他の実施例において、第1の透明導電層31は透明及び導電の2つの性質を兼備した他の材料(例えば、ZnO系TCOなど)であってもよく、ここでは詳しく列挙しない。また、遮光導電層32の材料が金属又はグラファイトであることも同じく、本実施例に係る遮光導電層32の材料の具体的な説明例に過ぎず、本発明に対する制限にはならない。本発明の他の実施例において、遮光導電層32は遮光及び導電の2つの性質を兼備した他の材料(例えば、不透明な導電プラスチックなど)であってもよく、ここでは詳しく列挙しない。具体的には、実際のニーズに応じて柔軟に選択して使用することができる。
【0017】
第1の透明導電層31は、基板10と遮光導電層32との間に挟まれるように配置される。遮光導電層32は、第1の透明導電層31の基板10から遠い側の表面に位置する。金属などの材料からなる遮光導電層32は基板10との結合性が悪いため、本実施例においては、ITO又はIZO材料からなる第1の透明導電層31を、基板10と遮光導電層32との間に挟むように配置することによって、表示パネルにおける各層の間の結合をより強くして、表示パネルの信頼性を向上させることができる。
【0018】
以上で説明した第1の透明導電層31が基板10と遮光導電層32との間に挟まれるように配置されることは、本実施例に係る第1の透明導電層31、基板10及び遮光導電層32の三者の位置関係の1つの説明例に過ぎず、本発明に対する制限にはならない。本発明の他の実施例においては、遮光導電層32が基板10と第1の透明導電層31との間に挟まれるように配置されてもよい。金属又はグラファイトなどの材料からなる遮光導電層32を基板10と第1の透明導電層31との間に挟むように配置することによって、第1の透明導電層31が遮光導電層32に対して保護作用を果たすことができ、遮光導電層32が酸化してしまうことを防ぐことができる。
【0019】
スルーホール21は電極層30に当たる。電極層30に当たるようにスルーホール21を設けることによって、表示パネルに発光異常が発生する可能性を徹底的になくすことができる。実際に製作されるスルーホール21が技術的誤差によって電極層30以外の領域に当たってしまうことを防ぐために、本実施例においては、スルーホール21と電極層30との位置関係を設計するとき、電極層30の縁部において誤差予備領域を予め設ける。つまり、電極層30の外縁付近の部分を誤差予備領域として定め、スルーホール21と電極層30との位置関係を設計するときに、スルーホール21の位置を誤差予備領域に配置しないようにする。
【0020】
誤差予備領域は、電極層30の外縁までの距離が2μmより小さい領域である。以上は本実施例に係る誤差予備領域の1つの具体的な説明例に過ぎず、本発明の他の実施例において、誤差予備領域は他の寸法であってもよく、実際のニーズに応じて柔軟に設定されることができる。
【0021】
スルーホール21の側壁は、少なくとも部分的に第1の透明導電層31に当たる。スルーホール21の側壁が少なくとも部分的に第1の透明導電層31に当たることは、本実施例における1つの具体的な位置の説明例に過ぎず、本発明に対する制限にはならない。本発明の他の実施例において、スルーホール21の側壁は、第1の透明導電層31に当たらずに電極層30の他の部分に当たってもよく、例えば、その全体が遮光導電層32に当たってもよい。ここでは詳しく列挙しない。本実施例において、電極層30はアノード層である。
【0022】
基板10は、基材11、基材11の上に位置する隔離層12、隔離層12の上に位置するバッファ層13、バッファ層13の上に位置するチャンネル14、チャンネル14を覆う第1のゲート絶縁層15、第1のゲート絶縁層15の上に配置されるゲート16、第1のゲート絶縁層15を貫通するソース17及びドレイン18、第1のゲート絶縁層15の上に位置し且つゲート16を覆う第2のゲート絶縁層19、第2のゲート絶縁層19を覆う中間絶縁層10a、中間絶縁層10aを覆う充填層10b、第1のゲート絶縁層15と第2のゲート絶縁層19との間に位置するコンデンサ下部電極10c、及び、中間絶縁層10aと第2のゲート絶縁層19との間に位置するコンデンサ上部電極10dを順次に備える。
【0023】
電極層30は充填層10bの上に設けられ、且つ、充填層10bを貫通してドレイン18と電気的に接続される。
【0024】
充填層10bの材料はポリ乳酸である。充填層10bの材料がポリ乳酸であることは、本実施例における1つの具体的な説明例に過ぎない。本発明の他の実施例において、充填層10bは他の材料(例えば、ポリエチレンなど)からなってもよく、ここでは詳しく列挙しない。実際のニーズに応じて柔軟に配置することができる。
【0025】
本発明の実施例は他の1種の表示パネルを更に開示する。当該表示パネルは、前述の実施例と類似しており、基板10、基板10上に配置される画素規定層20、及び、基板10と画素規定層20との間に位置する電極層30を含む。ここで、画素規定層20は電極層30に対応するように設けられたスルーホール21を含み、スルーホール21は画素規定層20を貫通して電極層30に当たる。前述の実施例との主な差異として、本実施例においては、図4に示すように、電極層30は、第1の透明電極層31と遮光導電層32以外に、第2の透明導電層33を更に備える。第2の透明導電層33の材料はITO又はIZOである。第2の透明導電層33の材料がITO又はIZOであることは、本実施例に係る第2の透明導電層33の材料の具体的な説明例に過ぎず、本発明に対する制限にはならない。本発明の他の実施例において、第2の透明導電層33は、透明及び導電の2つの性質を兼備した他の材料(例えば、ZnO系TCOなど)であってもよく、ここでは詳しく列挙しない。
【0026】
第1の透明導電層31は遮光導電層32と基板10との間に挟まれるように配置され、遮光導電層32は第1の透明導電層31と第2の透明導電層33との間に挟まれるように配置される。遮光導電層32は、第1の透明導電層31の第2の透明導電層33に向いた表面に位置し、遮光導電層32は、第2の透明導電層33の前記第1の透明導電層31に向いた表面に位置する。
【0027】
本発明の実施例に係る表示パネルは、前述の実施例に係る表示パネルのすべての技術的効果を有するとともに、第2の透明導電層33を備え且つ遮光導電層32が第1の透明導電層31と第2の透明導電層33との間に挟まれるように設けられる電極層30、を更に備える。よって、各部品の間の結合の強さを効果的に高めて表示パネルの信頼性を向上させるとともに、遮光導電層32を保護して遮光導電層32が酸化してしまうことを防ぐことができる。
【0028】
スルーホール21の側壁は、少なくとも一部が第1の透明導電層31に当たる。スルーホール21の少なくとも一部の側壁が第1の透明導電層31に当たることは、本実施例における1つの具体的な位置の説明例に過ぎず、本発明に対する制限にはならない。本発明の他の実施例において、スルーホール21の側壁は、第1の透明導電層31ではなく電極層30の他の部分に当たってもよく、例えば、その全体が第2の透明導電層33に当たるか、又はその全体が遮光導電層32に当たってもよい。又は、スルーホール21の側壁は少なくとも部分的に遮光導電層32に当たってもよく、又は、スルーホール21の側壁は少なくとも部分的に第2の透明導電層33に当たってもよい。ここでは詳しく列挙しない。
【0029】
電極層30の積層方向から見て、第2の透明導電層33の面積は遮光導電層32の面積に等しい。第2の透明導電層33の面積と遮光導電層32の面積とが等しいことは、本実施例に係る1つの具体的な応用例に過ぎず、本発明に対する制限にはならない。本発明の他の実施例においては、図5に示すように、第2の透明導電層33の面積が遮光導電層32の面積より大きく、すなわち第2の透明導電層33が遮光導電層32の上面及び側面を完全に覆ってもよく、又は、図6に示すように、第2の透明導電層33の面積が遮光導電層32の面積より小さく、すなわち遮光導電層32の上面の一部を露出してもよい。
【0030】
第1の透明導電層31及び第2の透明導電層33の厚さはいずれも、8nm以上且つ15nm以下である。第1の透明導電層31及び第2の透明導電層33は厚さが同一であってもよく、異なってもよい。
【0031】
第1の透明導電層31及び第2の透明導電層33はいずれも厚さが10nmである。遮光導電層32の厚さは80nm以上且つ120nm以下である。遮光導電層32の厚さは100nmである。
【0032】
本発明の実施例は表示デバイスを開示し、当該表示デバイスは本発明の他の実施例に係る表示パネルを備える。
【0033】
本発明の実施例に係る表示デバイスは本発明の他の実施例に係る表示パネルを備えるため、本実施例に係る表示デバイスは本発明の他の実施例に係る表示パネルのすべての技術的効果を実現することができ、ここでは詳しい説明を省略する。
【0034】
本発明の実施例は、表示パネルの製作方法を開示する。図7に示すよう、当該方法は以下のステップを含む。
【0035】
ステップS701:基板を提供する。
【0036】
ステップS702:基板上で電極層を形成し、電極層は、積み重ねる第1の透明導電層と遮光導電層を備える。
【0037】
電極層として、基板上で第1の透明導電層と遮光導電層を積み重ねて形成する。電極層の積層方向から見て、第1の透明導電層の投影面積は遮光導電層の投影面積より大きい。
【0038】
ステップS703:電極層上で画素規定層を形成する。
【0039】
画素規定層は、電極層に対応するように設けられるスルーホールを有する。スルーホールは画素規定層を貫通して電極層に当たる。スルーホールが電極層に当たることは、すなわち、スルーホールの側壁が全体的に電極層に当たることである。
【0040】
技術的誤差により実際に製作されるスルーホールの縁部が電極層以外の領域に当たってしまうことを防ぐために、本実施例においては、スルーホールの位置を設計するときに、スルーホールの位置を電極層の縁部から予め設定された距離だけ離れる領域にする。
予め設定された距離は3μmより小さい。予め設定された距離は2μmである。予め設定された距離が2μmであることは、本実施例に係る1つの具体的な説明例に過ぎず、本発明に対する制限にはならない。本発明の他の実施例において、予め設定された距離は他の値を取ってもよく、ここでは詳しく列挙しない。実際のニーズに応じて柔軟に設定することができる。
【0041】
本実施例は、前述の実施例に対応する表示パネルの製作方法の実施例であり、本実施例は前述の実施例と共同で実現されることができる。前述の実施例で言及された関連の技術的細部は、本実施例においても有効であり、重複を避けるためにここでは説明を省略する。同じく、本実施例で言及された関連の技術的細部も、前述の実施例で応用されることができる。
【0042】
本発明の実施例に係る表示パネルの製作方法によって製作される表示パネルは、アノードの面積が増加され且つアノードの面積の増加部分は透明のITO又はIZOフィルムであってパネルの透光率に対してほぼ影響を与えなく、画素規定層がアノードを完全にカバーすることができない問題を根本的に防止し、したがって画素規定層でアノードをカバーすることにあたるプロセス許容量を大幅に増やすことができ、画素規定層とアノードとの位置合わせに対する精度要求を効果的に低めて、プロセスステップを簡単化させることができる。
【0043】
本発明の実施例は表示パネルの製作方法を開示する。図8に示すよう、当該方法は以下のステップを含む。
【0044】
ステップS801:基板を提供する。
【0045】
ステップS802:基板上で電極層を形成し、電極層は、積み重ねて形成される第1の透明導電層、遮光導電層及び第2の透明導電層を備える。
【0046】
基板上で電極層を形成することは、具体的に以下のステップを含む。
【0047】
図9に示すよう、基板上で第1の透明導電層31を形成し、第1の透明導電層31上で第1の透明導電層31を覆う遮光導電層32を形成し、遮光導電層32上で遮光導電層32を覆う第2の透明導電層33を形成し、第2の透明導電層33上で第2の透明導電層33を覆うフォトレジスト層40を形成する。
【0048】
図10に示すよう、フォトレジスト層をパターニングして、第2の透明導電層33上で互いに並列配置される第1のフォトレジスト領域331、第2のフォトレジスト領域332及び無フォトレジスト領域333を形成する。
【0049】
半透光フォトマスク50を用いて、露光プロセス及び現像プロセスによってフォトレジスト層をパターニングする。半透光フォトマスク50は透光領域51、半透光領域52及び遮光領域53を含み、半透光領域52の透明度は遮光領域53の透明度より高く且つ透光領域51の透明度より低い。第1のフォトレジスト領域331は遮光領域53の下方で形成され、第2のフォトレジスト領域332は半透光領域52の下方で形成され、無フォトレジスト領域333は透光領域51の下方で形成される。
【0050】
ここで、第2のフォトレジスト領域332の表面にあるフォトレジスト層の厚さは第1のフォトレジスト領域331の表面にあるフォトレジスト層の厚さより小さい。
【0051】
図11に示すよう、前記無フォトレジスト領域における第1の透明導電層31、遮光導電層32及び第2の透明導電層33を除去する。
【0052】
第1の透明導電層31及び第2の透明導電層33に対して、シュウ酸類のエッチング液を用いてエッチングを行う。遮光導電層32に対して、HNO3、CH3COOH、H3PO4の混酸のエッチング液を用いてエッチングを行う。
【0053】
図12に示すよう、前記第2のフォトレジスト領域332の表面にあるフォトレジスト層を除去する。
【0054】
ドライアッシング(Ashing)プロセスにより、SF6+O2気体を用いて反応させて、第2のフォトレジスト領域332の表面にあるフォトレジスト層を除去する。また、第1のフォトレジスト領域331の表面にあるフォトレジスト層40も反応して減少するため、第1のフォトレジスト領域331の表面にあるフォトレジスト層40の厚さが小さくなる。
【0055】
図13に示すよう、第2のフォトレジスト領域における遮光導電層32及び第2の透明導電層33を除去し、第1のフォトレジスト領域331の表面にあるフォトレジスト層を除去する。
【0056】
本ステップにおいては、2ステップウェットエッチングプロセスによってフォトレジスト層により遮蔽されていない第2の透明導電層及び遮光導電層を除去する。
【0057】
第2の透明導電層33に対してシュウ酸類エッチング液を用いてエッチングを行う。遮光導電層32に対してHNO3、CH3COOH、H3PO4の混酸のエッチング液を用いてエッチングを行う。
【0058】
ドライアッシング(Ashing)プロセスによって前記第1のフォトレジスト領域331の表面にあるフォトレジスト層を除去する。
【0059】
ステップS803:電極層上で画素規定層を形成する。
【0060】
本実施例におけるステップS801及びステップS803は前述の実施例におけるステップS701及びステップS703とほぼ同一であるため、詳しくは前述の実施例の具体的内容を参照すればよく、ここでは説明を省略する。
【0061】
明らかに、本実施例は前述の実施例に対応する表示パネルの製作方法の実施例であり、本実施例は前述の実施例と共同で実現されることができる。前述の実施例で言及された関連の技術的細部は、本実施例においても有効であり、重複を避けるためにここでは説明を省略する。同じく、本実施例で言及された関連の技術的細部も、前述の実施例で応用されることができる。
【0062】
従来技術と比べると、本発明の実施例に係る表示パネルの製作方法によって製作される表示パネルは、全く新しいアノードフォトマスクの手段又は方案を提供することによって、アノードの面積を増加させることができる。且つ、アノードの面積の増加部分が透明のITO又はIZOフィルムであって、パネルの透光率に対してほぼ影響を与えなく、画素規定層がアノードを完全にカバーすることができない問題を根本的に防止することができる。したがって、フォトマスクを増やすことなく、アンダースクリーン指紋認識技術が表示パネル製品において普及するための技術上の限界要件を満たすことができる。
【0063】
なお、以上で説明された各実施例は本発明を実現する具体的な実施例に過ぎず、実際の応用シーンにおいては、本発明の思想及び保護範囲を逸脱せずにこれらの実施例を形式的に又は細部に対して様々な変更を行うことができることを、当業者が理解できるべきである。
図1
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図7
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図10
図11
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図13