IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 千寿製薬株式会社の特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】ソフトコンタクトレンズ用医薬組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 47/18 20060101AFI20221220BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20221220BHJP
   A61K 31/185 20060101ALI20221220BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20221220BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20221220BHJP
   A61K 47/20 20060101ALI20221220BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20221220BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20221220BHJP
   A61P 27/04 20060101ALI20221220BHJP
【FI】
A61K47/18
A61K9/08
A61K31/185
A61K47/02
A61K47/10
A61K47/20
A61K47/26
A61P27/02
A61P27/04
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021561506
(86)(22)【出願日】2020-11-26
(86)【国際出願番号】 JP2020044069
(87)【国際公開番号】W WO2021107034
(87)【国際公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-10-13
(31)【優先権主張番号】P 2019217423
(32)【優先日】2019-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000199175
【氏名又は名称】千寿製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】弁理士法人アスフィ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松久 敬一
【審査官】阿川 寛樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-132227(JP,A)
【文献】国際公開第2016/190306(WO,A1)
【文献】特開2010-120968(JP,A)
【文献】特開2011-068683(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K31/33-33/44
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
0.001w/v%以上、0.0045w/v%以下のアルキルジアミノエチルグリシン塩酸塩、メントール、および、タウリンを含有するソフトコンタクトレンズ用医薬組成物。
【請求項2】
0.002w/v%以上、0.004w/v%以下のアルキルジアミノエチルグリシン塩酸塩を含有する請求項1に記載のソフトコンタクトレンズ用医薬組成物。
【請求項3】
0.0005w/v%以上、0.1w/v%以下のメントールを含有する請求項1または2に記載のソフトコンタクトレンズ用医薬組成物。
【請求項4】
0.01w/v%以上、1w/v%以下のタウリンを含有する請求項1~3のいずれかに記載のソフトコンタクトレンズ用医薬組成物。
【請求項5】
0.002w/v%以上、0.004w/v%以下のアルキルジアミノエチルグリシン塩酸塩、
0.001w/v%以上、0.035w/v%以下のメントール、および、
0.05w/v%以上、0.5w/v%以下のタウリンを含有する請求項1~4のいずれかに記載のソフトコンタクトレンズ用医薬組成物。
【請求項6】
更に非イオン界面活性剤を含有する請求項1~5のいずれかに記載のソフトコンタクトレンズ用医薬組成物。
【請求項7】
更にブドウ糖を含有する請求項1~6のいずれかに記載のソフトコンタクトレンズ用医薬組成物。
【請求項8】
更に無機塩を含有する請求項1~7のいずれかに記載のソフトコンタクトレンズ用医薬組成物。
【請求項9】
更に粘稠剤を含有する請求項1~8のいずれかに記載のソフトコンタクトレンズ用医薬組成物。
【請求項10】
更に緩衝剤を含有する請求項1~9のいずれかに記載のソフトコンタクトレンズ用医薬組成物。
【請求項11】
0.002w/v%以上、0.004w/v%以下のアルキルジアミノエチルグリシン塩酸塩、
0.001w/v%以上、0.035w/v%以下のメントール、
0.05w/v%以上、0.5w/v%以下のタウリン、
0.005w/v%以上、0.05w/v%以下の非イオン界面活性剤、
0.002w/v%以上、0.008w/v%以下のブドウ糖、
0.1w/v%以上、2w/v%以下の無機塩、
0.05w/v%以上、0.5w/v%以下の粘稠剤、および、 0.1w/v%以上、2w/v%以下の緩衝剤を含有する請求項1~10のいずれかに記載のソフトコンタクトレンズ用医薬組成物。
【請求項12】
pHが5.5以上、8.0以下である請求項1~11のいずれかに記載のソフトコンタクトレンズ用医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソフトコンタクトレンズに対するアルキルジアミノエチルグリシンの吸着が抑制されているソフトコンタクトレンズ用医薬組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ソフトコンタクトレンズまたはハードコンタクトレンズを装着しているときの不快感などを軽減するために、涙液類似の成分組成を有するソフトコンタクトレンズ用医薬組成物が種々検討されている。涙液は、主涙腺から分泌された涙腺分泌液に、4種以上の副涙腺から分泌された物質が混合されたものであり、無機成分としてNa、K、Ca、Cl等を含み、有機成分としてブドウ糖、アスコルビン酸、クエン酸、尿素、アンモニア、アミノ酸、タンパク質などを含む。個人差もあるが、涙液に含まれるブドウ糖の濃度は大凡0.001~0.01w/v%程度である。しかし、眼科用の水性液剤においてブドウ糖は、栄養成分として、涙液よりも高濃度で配合されることがある。例えば、特許文献1~4に開示の眼科用水性液剤におけるブドウ糖濃度は、0.1w/v%程度である。一方、細菌の中には、ブドウ糖を代謝してピルビン酸を生成し、エネルギーを得るものがあり、ブドウ糖はかかる細菌の増殖を促進してしまうことがある。よって、特に保存剤や防腐剤の含有量が低減された眼科用水性液剤では、涙液よりも低濃度のブドウ糖を配合するのが一般的である。
【0003】
ブドウ糖の濃度を低減しても、保存などのため医薬組成物には防腐剤が配合される。しかし点眼剤は目に直接投与されるものであることから、防腐剤が副作用を示すことがある。例えば非特許文献1~5には、塩化ベンザルコニウム等の防腐剤が細胞を障害することや、皮膚に刺激を与えること等が記載され、ポビドンヨードが最も毒性が低く、アルキルジアミノエチルグリシンの毒性は中程度であることが示されている。特許文献1~4にも、アルキルジアミノエチルグリシン塩酸塩を含む眼科用組成物が開示されている。
【0004】
また、点眼剤には、清涼感を付与するためにl-メントール等のモノテルペンを含むものがある(特許文献1,3,5~9)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2001-302518号公報
【文献】特開2001-302545号公報
【文献】特開2009-46480号公報
【文献】特開2005-336153号公報
【文献】特開2011-93888号公報
【文献】特開2011-213729号公報
【文献】特開2007-99643号公報
【文献】特開2014-15417号公報
【文献】特開2015-78248号公報
【非特許文献】
【0006】
【文献】高橋信夫ら,日本の眼科,58:10号,pp.945~950(1987)
【文献】辻明良ら,日環感,Vol.11,No.3,pp.207~220(1996)
【文献】あじさい,Vol.12,No.4,pp.67~73(2003)
【文献】中島啓二ら,日病薬誌,Vol.40,No.12,pp.1559~1562(2004)
【文献】白石正,日本内科学会雑誌,Vol.99,No.8,pp.166~172(2010)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、ソフトコンタクトレンズに対するアルキルジアミノエチルグリシンの吸着が抑制されているソフトコンタクトレンズ用医薬組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた。その結果、ソフトコンタクトレンズ用医薬組成物に低濃度のアルキルジアミノエチルグリシン塩酸塩を配合すると、特にソフトコンタクトレンズにアルキルジアミノエチルグリシンが吸着する傾向があり、メントールの配合によりかかる傾向が更に強まる傾向があるが、タウリンを配合することによりかかる吸着が抑制されることを見出して、本発明を完成した。
以下、本発明の一態様を示す。
【0009】
[1] 0.001w/v%以上、0.0045w/v%以下のアルキルジアミノエチルグリシン塩酸塩、メントール、および、タウリンを含有するソフトコンタクトレンズ用医薬組成物。
[2] 0.002w/v%以上、0.004w/v%以下のアルキルジアミノエチルグリシン塩酸塩を含有する上記[1]に記載のソフトコンタクトレンズ用医薬組成物。
[3] メントールがl-メントールである上記[1]または[2]に記載のソフトコンタクトレンズ用医薬組成物。
[4] 0.0005w/v%以上、0.1w/v%以下のメントールを含有する上記[1]~[3]のいずれかに記載のソフトコンタクトレンズ用医薬組成物。
[5] 0.001w/v%以上、0.035w/v%以下のメントールを含有する上記[1]~[3]のいずれかに記載のソフトコンタクトレンズ用医薬組成物。
[6] 0.001w/v%以上、0.02w/v%以下のメントールを含有する上記[1]~[3]のいずれかに記載のソフトコンタクトレンズ用医薬組成物。
[7] 0.01w/v%以上、1w/v%以下のタウリンを含有する上記[1]~[6]のいずれかに記載のソフトコンタクトレンズ用医薬組成物。
[8] 0.05w/v%以上、0.5w/v%以下のタウリンを含有する上記[1]~[6]のいずれかに記載のソフトコンタクトレンズ用医薬組成物。
[9] 0.002w/v%以上、0.004w/v%以下のアルキルジアミノエチルグリシン塩酸塩、
0.001w/v%以上、0.035w/v%以下のメントール、および、
0.05w/v%以上、0.5w/v%以下のタウリンを含有する上記[1]~[8]のいずれかに記載のソフトコンタクトレンズ用医薬組成物。
[10] 更に非イオン界面活性剤を含有する上記[1]~[9]のいずれかに記載のソフトコンタクトレンズ用医薬組成物。
[11] 非イオン界面活性剤が、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタンモノ長鎖脂肪酸エステル、モノ長鎖脂肪酸、およびポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマーからなる群より選択される1以上の非イオン界面活性剤である上記[10]に記載のソフトコンタクトレンズ用医薬組成物。
[12] ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油がポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60である上記[11]に記載のソフトコンタクトレンズ用医薬組成物。
[13] 非イオン界面活性剤の濃度が0.001w/v%以上、0.5w/v%以下である上記[10]~[12]のいずれかに記載のソフトコンタクトレンズ用医薬組成物。
[14] 非イオン界面活性剤の濃度が0.001w/v%以上、0.1w/v%以下である上記[10]~[13]のいずれかに記載のソフトコンタクトレンズ用医薬組成物。
[15] 非イオン界面活性剤の濃度が0.005w/v%以上、0.05w/v%以下である上記[10]~[13]のいずれかに記載のソフトコンタクトレンズ用医薬組成物。
[16] 更にブドウ糖を含有する上記[1]~[15]のいずれかに記載のソフトコンタクトレンズ用医薬組成物。
[17] 0.001w/v%以上、0.01w/v%以下のブドウ糖を含有する上記[16]に記載のソフトコンタクトレンズ用医薬組成物。
[18] 0.002w/v%以上、0.008w/v%以下のブドウ糖を含有する上記[16]に記載のソフトコンタクトレンズ用医薬組成物。
[19] 更に無機塩を含有する上記[1]~[18]のいずれかに記載のソフトコンタクトレンズ用医薬組成物。
[20] 無機塩が塩化ナトリウムおよび/または塩化カリウムである上記[19]に記載のソフトコンタクトレンズ用医薬組成物。
[21] 0.05w/v%以上、5w/v%以下の無機塩を含有する上記[19]または[20]に記載のソフトコンタクトレンズ用医薬組成物。
[22] 0.1w/v%以上、2w/v%以下の無機塩を含有する上記[19]または[20]に記載のソフトコンタクトレンズ用医薬組成物。
[23] 更に粘稠剤を含有する上記[1]~[22]のいずれかに記載のソフトコンタクトレンズ用医薬組成物。
[24] 粘稠剤がヒドロキシプロピルメチルセルロースである上記[23]に記載のソフトコンタクトレンズ用医薬組成物。
[25] 0.01w/v%以上、1w/v%以下の粘稠剤を含有する上記[23]または[24]に記載のソフトコンタクトレンズ用医薬組成物。
[26] 0.05w/v%以上、0.5w/v%以下の粘稠剤を含有する上記[23]または[24]に記載のソフトコンタクトレンズ用医薬組成物。
[27] 更に緩衝剤を含有する上記[1]~[26]のいずれかに記載のソフトコンタクトレンズ用医薬組成物。
[28] 緩衝剤が、ホウ酸緩衝剤、リン酸緩衝剤、炭酸緩衝剤、クエン酸緩衝剤、酢酸緩衝剤、HEPES緩衝剤、およびMOPS緩衝剤からなる群より選択される1以上の緩衝剤である上記[27]に記載のソフトコンタクトレンズ用医薬組成物。
[29] 緩衝剤がホウ酸および/またはホウ砂である上記[27]または[28]に記載のソフトコンタクトレンズ用医薬組成物。
[30] 0.05w/v%以上、5w/v%以下の緩衝剤を含有する上記[27]~[29]のいずれかに記載のソフトコンタクトレンズ用医薬組成物。
[31] 0.1w/v%以上、1w/v%以下の緩衝剤を含有する上記[27]~[29]のいずれかに記載のソフトコンタクトレンズ用医薬組成物。
[32] 更にpH調整剤を含有する上記[1]~[31]のいずれかに記載のソフトコンタクトレンズ用医薬組成物。
[33] pHが5.5以上、8.0以下である上記[1]~[32]のいずれかに記載のソフトコンタクトレンズ用医薬組成物。
[34] pHが6.5以上、7.5以下である上記[1]~[32]のいずれかに記載のソフトコンタクトレンズ用医薬組成物。
[35] 0.002w/v%以上、0.004w/v%以下のアルキルジアミノエチルグリシン塩酸塩、
0.001w/v%以上、0.035w/v%以下のメントール、
0.05w/v%以上、0.5w/v%以下のタウリン、
0.005w/v%以上、0.05w/v%以下の非イオン界面活性剤、
0.002w/v%以上、0.008w/v%以下のブドウ糖、
0.1w/v%以上、2w/v%以下の無機塩、
0.05w/v%以上、0.5w/v%以下の粘稠剤、および、
0.1w/v%以上、2w/v%以下の緩衝剤を含有する上記[1]~[34]のいずれかに記載のソフトコンタクトレンズ用医薬組成物。
[36] 0.002w/v%以上、0.004w/v%以下のアルキルジアミノエチルグリシン塩酸塩、
0.001w/v%以上、0.035w/v%以下のメントール、
0.05w/v%以上、0.5w/v%以下のタウリン、
0.005w/v%以上、0.05w/v%以下の非イオン界面活性剤、
0.002w/v%以上、0.008w/v%以下のブドウ糖、
0.1w/v%以上、2w/v%以下の無機塩、
0.05w/v%以上、0.5w/v%以下の粘稠剤、および、
0.1w/v%以上、2w/v%以下の緩衝剤を含有し、
pHが5.5以上、7.5以下である上記[1]~[35]のいずれかに記載のソフトコンタクトレンズ用医薬組成物。
[37] 更にアミノ酸を含有する上記[1]~[36]のいずれかに記載のソフトコンタクトレンズ用医薬組成物。
[38] アミノ酸がグルタミン酸、アスパラギン酸、グリシン、アラニン、アルギニン、リジン、およびこれらの塩からなる群より選択される1以上のアミノ酸である上記[37]に記載のソフトコンタクトレンズ用医薬組成物。
[39] 0.01w/v%以上、1w/v%以下のアミノ酸を含有する上記[37]または[38]に記載のソフトコンタクトレンズ用医薬組成物。
[40] 0.05w/v%以上、0.5w/v%以下のアミノ酸を含有する上記[37]または[38]に記載のソフトコンタクトレンズ用医薬組成物。
[41] 更にキレート剤を含有する上記[1]~[40]のいずれかに記載のソフトコンタクトレンズ用医薬組成物。
[42] キレート剤がエチレンジアミン四酢酸またはその塩である上記[41]に記載のソフトコンタクトレンズ用医薬組成物。
[43] 0.001w/v%以上、0.1w/v%以下のキレート剤を含有する上記[41]または[42]に記載のソフトコンタクトレンズ用医薬組成物。
[44] 0.005/v%以上、0.05w/v%以下のキレート剤を含有する上記[41]または[42]に記載のソフトコンタクトレンズ用医薬組成物。
[45] 0.002w/v%以上、0.004w/v%以下のアルキルジアミノエチルグリシン塩酸塩、
0.001w/v%以上、0.035w/v%以下のメントール、
0.05w/v%以上、0.5w/v%以下のタウリン、
0.005w/v%以上、0.05w/v%以下の非イオン界面活性剤、
0.002w/v%以上、0.008w/v%以下のブドウ糖、
0.1w/v%以上、2w/v%以下の無機塩、
0.05w/v%以上、0.5w/v%以下の粘稠剤、
0.1w/v%以上、2w/v%以下の緩衝剤、および、
0.005w/v%以上、0.1w/v%以下のキレート剤を含有する上記[1]~[44]のいずれかに記載のソフトコンタクトレンズ用医薬組成物。
[46] 0.002w/v%以上、0.004w/v%以下のアルキルジアミノエチルグリシン塩酸塩、
0.001w/v%以上、0.035w/v%以下のメントール、
0.05w/v%以上、0.5w/v%以下のタウリン、
0.005w/v%以上、0.05w/v%以下の非イオン界面活性剤、
0.002w/v%以上、0.008w/v%以下のブドウ糖、
0.1w/v%以上、2w/v%以下の無機塩、
0.05w/v%以上、0.5w/v%以下の粘稠剤、
0.1w/v%以上、2w/v%以下の緩衝剤、および、
0.005w/v%以上、0.1w/v%以下のキレート剤を含有し、
pHが6.5以上、7.5以下である上記[1]~[45]のいずれかに記載のソフトコンタクトレンズ用医薬組成物。
[47] 眼科用である上記[1]~[46]のいずれかに記載のソフトコンタクトレンズ用医薬組成物。
[48] 水性液剤である上記[1]~[47]のいずれかに記載のソフトコンタクトレンズ用医薬組成物。
[49] 点眼剤である上記[1]~[48]のいずれかに記載のソフトコンタクトレンズ用医薬組成物。
[50] 0.001w/v%以上、0.0045w/v%以下のアルキルジアミノエチルグリシン塩酸塩、およびメントールを含む医薬組成物においてアルキルジアミノエチルグリシンのソフトコンタクトレンズに対する吸着を抑制するためのタウリンの使用。
[51] 0.001w/v%以上、0.0045w/v%以下のアルキルジアミノエチルグリシン塩酸塩、およびメントールを含む医薬組成物においてアルキルジアミノエチルグリシンのソフトコンタクトレンズに対する吸着が抑制された医薬組成物を製造するためのタウリンの使用。
[52] ソフトコンタクトレンズに対するアルキルジアミノエチルグリシンの吸着を抑制する方法であって、
ソフトコンタクトレンズ用医薬組成物におけるアルキルジアミノエチルグリシン塩酸塩の含有量が0.001w/v%以上、0.0045w/v%以下であり、
ソフトコンタクトレンズ用医薬組成物にメントールおよびタウリンを配合する方法。
[53] ソフトコンタクトレンズ用医薬組成物におけるアルキルジアミノエチルグリシン塩酸塩の含有量が0.002w/v%以上、0.004w/v%以下である上記[52]に記載の方法。
上記の「医薬組成物においてアルキルジアミノエチルグリシンのソフトコンタクトレンズに対する吸着が抑制された医薬組成物を製造するためのタウリンの使用」および「ソフトコンタクトレンズに対するアルキルジアミノエチルグリシンの吸着を抑制する方法」に、上記[1]~[49]の規定事項を適用することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るソフトコンタクトレンズ用医薬組成物は、アルキルジアミノエチルグリシン塩酸塩を含むが、ソフトコンタクトレンズに対するアルキルジアミノエチルグリシンの吸着が抑制されている。
【発明を実施するための形態】
【0011】
上述したように、医薬組成物は種々開発されており、その保存安定性のため、点眼剤には防腐剤が配合される。医薬組成物に用いられる防腐剤の内、アルキルジアミノエチルグリシン塩酸塩の細胞毒性などは、塩化ベンザルコニウム等より比較的低いといえる。
【0012】
しかし本発明者は、ソフトコンタクトレンズ用医薬組成物に比較的低濃度のアルキルジアミノエチルグリシン塩酸塩を配合すると、アルキルジアミノエチルグリシンがソフトコンタクトレンズに吸着する傾向があり、かかる傾向はメントールの配合により更に強くなることを見出した。そこでかかる吸着を抑制する成分を検討したところ、タウリンが有効であることを見出した。
【0013】
本発明に係るソフトコンタクトレンズ用医薬組成物は、0.001w/v%以上、0.0045w/v%以下のアルキルジアミノエチルグリシン塩酸塩、メントール、および、タウリンを含有する。
以下、アルキルジアミノエチルグリシンを「ADG」、ソフトコンタクトレンズを「SCL」と略記する場合がある。
【0014】
「アルキルジアミノエチルグリシン塩酸塩」は、以下の化学構造を有する化合物であり、従来、主に防腐剤成分として用いられている。
R-NH-(CH22-NH-(CH22-NH-CH2-CO2H・HCl
[式中、RはC817~C1633のアルキル基を示し、主にC1225およびC1429である。]
【0015】
本発明者は、細胞毒性などが低いソフトコンタクトレンズ用医薬組成物を提供するため、ソフトコンタクトレンズ用医薬組成物におけるアルキルジアミノエチルグリシン塩酸塩の配合量を、0.001w/v%以上、0.0045w/v%以下と比較的低く設定した。当該濃度が0.001w/v%以上であれば、防腐作用がより確実に発揮される。一方、当該濃度が0.0045w/v%以下であれば、細胞毒性などがより確実に抑制され、また、本発明者は、当該濃度が0.0045w/v%以下である場合に、ソフトコンタクトレンズに対するアルキルジアミノエチルグリシンの吸着抑制効果が高まることを実験的に見出している。当該濃度としては、0.002w/v%以上、0.004w/v%以下がより好ましい。
【0016】
本発明に係るソフトコンタクトレンズ用医薬組成物には、清涼感の観点からメントールを配合する。メントールの配合により、ADGのソフトコンタクトレンズへの吸着が促進されるが、本発明ではタウリンの配合によりかかる吸着を抑制している。メントールとしては、l-メントールとdl-メントールのいずれも用い得るが、l-メントールが好ましい。
【0017】
ソフトコンタクトレンズ用医薬組成物におけるメントールの濃度は適宜調整すればよいが、例えば0.0005w/v%以上、0.1w/v%以下とすることができる。濃度が当該範囲内であれば、適度な清涼感がより確実に得られる。当該濃度としては、0.001w/v%以上が好ましく、0.0015w/v%以上がより好ましく、0.002w/v%以上がより更に好ましく、また、0.035w/v%以下が好ましく、0.02w/v%以下がより好ましく、0.01w/v%以下または0.009w/v%以下がより更に好ましい。
【0018】
「タウリン」は2-アミノエタンスルホン酸[H2N-(CH22-SO3H]の別名であり、神経伝達物質の一つであり、上昇した血圧を低下させるなどの恒常性作用を有する。眼組織の栄養物として組織を活性化したり、目の疲れや眼病回復促進も期待される。本発明者は、医薬組成物中の低濃度のアルキルジアミノエチルグリシンがソフトコンタクトレンズに吸着する傾向があり、かかる傾向はメントールの配合によりより一層促進されるが、かかるアルキルジアミノエチルグリシンの吸着はタウリンの配合により抑制されることを実験的に見出している。
【0019】
ソフトコンタクトレンズ用医薬組成物におけるタウリンの濃度は適宜調整すればよいが、例えば0.01w/v%以上、1w/v%以下とすることができる。当該濃度としては、0.05w/v%以上が好ましく、0.08w/v%以上がより好ましく、また、0.5w/v%以下が好ましく、0.2w/v%以下がより好ましい。
【0020】
「非イオン界面活性剤」は、水に溶解されてもイオンに解離することのない界面活性剤であり、一般にはポリオキシエチレン鎖や水酸基が親水性基として働き、長鎖アルキル基が疎水性基となる。非イオン界面活性剤は、点眼剤の安定性に寄与する。非イオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタンモノ長鎖脂肪酸エステル、モノ長鎖脂肪酸ポリエチレングリコール、およびポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマーからなる群より選択される1以上の非イオン界面活性剤が挙げられる。
【0021】
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油とは、硬化ヒマシ油をポリオキシエチレン鎖でエーテル化した化合物である。ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油におけるポリオキシエチレン鎖のエチレンオキサイドの付加モル数は、例えば、5以上、100以下とすることができる。当該数としては、10以上または20以上が好ましく、30以上がより好ましく、40以上がより更に好ましく、また、90以下が好ましく、80以下がより好ましく、70以下がより更に好ましい。ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油としては、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油5、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油10、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60等を用いることができ、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60を好適に用いることができる。なお、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油の後の数字は、エチレンオキサイドの付加モル数を表す。
【0022】
ポリオキシエチレンソルビタンモノ長鎖脂肪酸エステルは、ポリソルベートともいわれ、ソルビトールと長鎖脂肪酸をアルカリ触媒下で加熱反応させることによって生成するソルビタン長鎖脂肪酸エステルに、エチレンオキシドを縮合反応させることによって得られるソルビタン脂肪酸エステルのポリオキシエチレンエーテルである。通常、1分子あたり合計で18分子以上、22分子以下程度のエチレンオキシドが結合している。長鎖脂肪酸の炭素数は、一般的に10以上、20以下程度であり、長鎖脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸などが挙げられる。ポリオキシエチレンソルビタンモノ長鎖脂肪酸エステルとしては、例えば、ポリソルベート20、ポリソルベート60、ポリソルベート65、ポリソルベート80を用いることができ、ポリソルベート80が好ましい。
【0023】
モノ長鎖脂肪酸ポリエチレングリコールは、長鎖脂肪酸とポリエチレングリコールとのエステルであり、長鎖脂肪酸としてはステアリン酸が挙げられ、ポリエチレングリコールの重合度は10以上、60以下程度である。モノ長鎖脂肪酸ポリエチレングリコールとしては、ステアリン酸ポリオキシル40が好ましい。
【0024】
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマーは、酸化プロピレンと酸化エチレンの共重合物である。ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマーとしては、例えば、ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール(ポロクサマー188)、ポリオキシエチレン(196)ポリオキシプロピレン(67)グリコール(ポロクサマー407)、ポロクサマー235等が挙げられる。
【0025】
医薬組成物における非イオン界面活性剤の濃度は適宜調整すればよいが、例えば0.001w/v%以上、0.5w/v%以下とすることができる。濃度が当該範囲内であれば、医薬組成物の安定化効果がより確実に発揮される。当該濃度としては、0.005w/v%以上が好ましく、0.008w/v%以上がより好ましく、また、0.1w/v%以下が好ましく、0.05w/v%以下がより好ましく、0.02w/v%以下がより更に好ましい。
【0026】
「ブドウ糖」は、式C6126で表されるアルドヘキソースの一つであり、グルコースともいい、天然にはD-グルコースが存在し、呼吸系を持つ動物では電子伝達系と共役して多量のATPを生成し、涙液中には1w/v%以上、5w/v%以下程度存在する。
【0027】
本発明に係るソフトコンタクトレンズ用医薬組成物には、0.001w/v%以上、0.01w/v%以下のブドウ糖を配合することが好ましい。当該割合が0.001w/v%以上であれば、涙液中のブドウ糖と同等の効果が発揮されると考えられ、当該割合が0.01w/v%以下であれば、組成物の安定性をより確実に確保できる。当該割合としては、0.002w/v%以上がより好ましく、0.004w/v%以上がより更に好ましく、また、0.008w/v%以下がより好ましく、0.006w/v%以下がより更に好ましい。
【0028】
「無機塩」とは、無機酸の水素原子を金属で置換した無機化合物をいい、主に等張化剤として配合される。無機塩としては、点眼剤の溶媒である水に対して可溶なものが好ましい。「水に可溶」とは、被検物を100号(目開き:150μm)ふるいを通過する細末とした後、1gを水中に入れ,20℃で5分ごとに強く30秒間振り混ぜるとき、30分以内に溶解するために要する水の量が10mL未満であることをいう。
【0029】
無機塩としては、例えば、塩化ナトリウムや塩化カリウム等のアルカリ金属塩化物;塩化カルシウムや塩化マグネシウム等の第2族金属塩化物;炭酸ナトリウム等のアルカリ金属炭酸塩;炭酸水素ナトリウム等のアルカリ金属炭酸水素塩;硫酸マグネシウム等の第2族金属硫酸塩;亜硫酸ナトリウム等のアルカリ金属亜硫酸塩;亜硫酸水素ナトリウム等のアルカリ金属亜硫酸水素塩;チオ硫酸ナトリウム等のアルカリ金属チオ硫酸塩;リン酸水素二ナトリウム等のアルカリ金属リン酸水素塩;リン酸二水素ナトリウムやリン酸二水素カリウム等のアルカリ金属リン酸二水素塩などが挙げられ、塩化ナトリウムおよび/または塩化カリウムが好適に用いられる。第2族金属としては、カルシウム等のアルカリ土類金属が好ましい。
【0030】
点眼剤における無機塩の濃度は適宜調整すればよいが、例えば0.05w/v%以上、5w/v%以下とすることができる。濃度が当該範囲内であれば、無機塩による等張化作用がより確実に発揮される。当該濃度としては、0.1w/v%以上が好ましく、0.5w/v%以上がより好ましく、また、2w/v%以下が好ましく、1w/v%以下がより好ましい。金属塩化物は、1種のみ用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。2種以上の金属塩化物を用いる場合、上記濃度は合計濃度とする。
【0031】
「粘稠剤」とは、ソフトコンタクトレンズ用医薬組成物の粘度を高め、ソフトコンタクトレンズ用医薬組成物の拙速な蒸発の抑制や、液切れ性の向上、滴下量のばらつき抑制、使用感の向上などに貢献する成分である。医薬組成物にはブドウ糖は等張化剤や粘稠化剤としても配合されるが、本発明においては、便宜上、粘稠剤の範疇からブドウ糖を除外するものとする。
【0032】
本発明に係るソフトコンタクトレンズ用医薬組成物の粘度は、適宜調整すればよいが、例えば、1.0mPa・s以上、200mPa・s以下とすることができる。当該粘度としては、50mPa・s以下が好ましく、3.0mPa・s以下がより好ましい。
【0033】
粘稠剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシビニルポリマー、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、アルギン酸、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等が挙げられ、ヒドロキシプロピルメチルセルロースが好ましい。
【0034】
ソフトコンタクトレンズ用医薬組成物における粘稠剤の濃度は適宜調整すればよいが、例えば0.01w/v%以上、1w/v%以下とすることができる。濃度が当該範囲内であれば、粘稠剤による上記作用がより確実に発揮される。当該濃度としては、0.05w/v%以上が好ましく、0.08w/v%以上がより好ましく、また、0.5w/v%以下が好ましく、0.2w/v%以下がより好ましい。
【0035】
「緩衝剤」とは、主に外部物質によるpHの変化を和らげるための化合物をいい、例えば、ホウ酸緩衝剤、リン酸緩衝剤、炭酸緩衝剤、クエン酸緩衝剤、酢酸緩衝剤、HEPES緩衝剤、およびMOPS緩衝剤からなる群より選択される1以上の緩衝剤が挙げられる。緩衝剤としては、ホウ酸緩衝剤またはリン酸緩衝剤が好ましく、ホウ酸緩衝剤がより好ましく、ホウ酸および/またはホウ砂がより更に好ましい。ホウ酸とホウ砂は、防腐剤としても用いられ、結膜嚢の消毒作用も示す。
【0036】
ソフトコンタクトレンズ用医薬組成物における緩衝剤の濃度は適宜調整すればよいが、例えば0.05w/v%以上、5w/v%以下とすることができる。濃度が当該範囲内であれば、緩衝剤による緩衝作用がより確実に発揮される。当該濃度としては、0.1w/v%以上が好ましく、0.5w/v%以上がより好ましく、また、2w/v%以下が好ましく、1w/v%以下がより好ましい。
【0037】
「アミノ酸」とは、1分子内にカルボキシ基とアミノ基とを有する化合物であって、主に20種のいわゆるタンパク質構成アミノ酸をいう。アミノ酸は、主に目への栄養分となり、疲れ目の軽減に寄与する。アミノ酸としては、例えば、グルタミン酸、アスパラギン酸、グリシン、アラニン、アルギニン、リジン、およびこれらの塩からなる群より選択される1以上のアミノ酸が挙げられる。アミノ酸塩としては、ナトリウム塩やカリウム塩などのアルカリ金属塩が挙げられる。
【0038】
ソフトコンタクトレンズ用医薬組成物におけるアミノ酸の濃度は適宜調整すればよいが、例えば0.01w/v%以上、1w/v%以下とすることができる。濃度が当該範囲内であれば、個々のアミノ酸による作用がより確実に発揮される。当該濃度としては、0.05w/v%以上が好ましく、0.08w/v%以上がより好ましく、また、0.5w/v%以下が好ましく、0.2w/v%以下がより好ましい。
【0039】
本発明に係るソフトコンタクトレンズ用医薬組成物のpHは、生体、特に目に適用可能な範囲に調整される。当該pHとしては、例えば5.0以上、8.5以下とすることができ、5.5以上が好ましく、6.0以上がより好ましく、6.5以上がより更に好ましく、また、8.0以下が好ましく、7.5以下がより好ましい。ソフトコンタクトレンズ用医薬組成物のpHは、前述した緩衝剤により調整してもよいし、pH調整剤により調整してもよい。
【0040】
pH調整剤は、生体、特に目に適用可能なものであれば特に制限されないが、例えば、塩酸、ホウ酸などの無機酸;酢酸、グルタミン酸、アスパラギン酸などの有機酸;水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等の無機塩基;トリエタノールアミン、モノエタノールアミン等の有機塩基が挙げられる。pH調整剤の種類や配合量は、ソフトコンタクトレンズ用医薬組成物の調整すべきpHに応じて決定すればよい。
【0041】
「キレート剤」は、カルシウムイオン等の金属イオンを封鎖し、その不溶金属塩の生成を抑制すること等により、点眼剤の安定性を改善するものである。キレート剤としては、生体、特に目に適用可能であり、且つかかる作用を有するものであれば特に制限されないが、例えば、エチレンジアミン四酢酸(エデト酸)、アスコルビン酸、クエン酸、およびその塩が挙げられる。エチレンジアミン四酢酸塩の塩としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸四ナトリウムやエチレンジアミン四酢酸二ナトリウムが挙げられる。
【0042】
ソフトコンタクトレンズ用医薬組成物におけるキレート剤の濃度は適宜調整すればよいが、例えば0.001w/v%以上、0.2w/v%以下とすることができる。濃度が当該範囲内であれば、キレート剤による安定化効果がより確実に得られる。当該濃度としては、0.002w/v%以上が好ましく、0.005w/v%以上がより好ましく、また、0.1w/v%以下が好ましく、0.05w/v%以下がより好ましく、0.02w/v%以下がより更に好ましい。
【0043】
本発明に係るソフトコンタクトレンズ用医薬組成物には、本発明の効果を損なわない範囲において特に限定されないが、アルキルジアミノエチルグリシン塩酸塩以外の保存剤または防腐剤を添加してもよい。保存剤または防腐剤としては、例えば、塩化ベンザルコニウム、臭化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、クロルヘキシジン塩酸塩、クロルヘキシジングルコン酸塩、クロルヘキシジン酢酸塩、クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、ソルビン酸またはその塩、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、デヒドロ酢酸またはその塩、塩化亜鉛、塩化ポリドロニウム、チメロサール、ジブチルヒドロキシトルエン、亜塩素酸ナトリウム、ホウ酸、ホウ砂などが挙げられる。これらの保存剤または防腐剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0044】
なお、上記各成分は、それぞれ1種のみを用いてもよいし、2種以上を適宜併用してもよい。
【0045】
ソフトコンタクトレンズは、FDA(米国食品医薬品局)により4種に分類されている。即ち、グループI:含水率が50%未満で非イオン性であるもの、グループII:含水率が50%以上で非イオン性であるもの、グループIII:含水率が50%未満でイオン性であるもの、グループIV:含水率が50%以上でイオン性であるものに分類され、原材料ポリマーの構成モノマーのうち陰イオンを有するモノマーのモル%が1%以上であるものをイオン性、1%未満であるものを非イオン性とされる。本開示におけるソフトコンタクトレンズは、上記ソフトコンタクトレンズのいずれの種類であってもよく、イオン性または非イオン性、含水性または非含水性の別を問わない。
【0046】
また、本開示において「ソフトコンタクトレンズ」は、例えば、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、EGDMA、SiMAA2、mPDMS1000、CE-PDMS、TRIS、EMA、メタクリロイルオキシエチルホスフォリルコリン、TrisVC、MMA、MA、ポリエチレングリコールモノメタクリレート(PEGMA)、グリセロールメタクリレート(GMA)、N,N-ジメチルアクリルアミド(DMA)、ビニルアルコール(VA)、N-ビニルピロリドン(NVPまたはVP)、メタクリル酸(MAA)、フッ素系含有メタクリレート系化合物、ケイ素含有メタクリレート系化合物、シリコーンハイドロゲル、シクロアルキルメタクリレート等を主成分とするソフトコンタクトレンズ等が挙げられる。
【0047】
本開示におけるソフトコンタクトレンズは、上記のいずれの材質であってもよいが、好ましくは、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)を主成分とするソフトコンタクトレンズが挙げられ、より好ましくは2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)およびEGDMAを主成分とするソフトコンタクトレンズ、又は、HEMAおよびメタクリロイルオキシエチルホスフォリルコリンを主成分とするソフトコンタクトレンズが挙げられる。
【0048】
ソフトコンタクトレンズの種類は特に限定されず、使い捨てソフトコンタクトレンズ、定期交換ソフトコンタクトレンズ、従来型のソフトコンタクトレンズ、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ、カラーコンタクトレンズのいずれにも使用できる。
【0049】
シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズは、シリコーンハイドロゲル素材のコンタクトレンズである。
【0050】
カラーコンタクトレンズとは、目の装飾や美観などの美容を目的とした着色が施されたコンタクトレンズである。例えば、カラーコンタクトレンズの装着により、虹彩の色を変えることができ、更に、虹彩の外周より大きな領域が着色されているコンタクトレンズによれば、瞳を大きく見せることができる。このようなコンタクトレンズをサークルレンズと呼ぶこともある。
【0051】
カラーコンタクトレンズの着色に用いられる色素としては、無機系色素、有機系色素など、公知の色素が用いられる。このような色素としては、例えば、アゾ系色素、フタロシアニン系色素、ジケトピロロピロール系色素、アントラキノン系色素、トリフェノジオキサン系色素、ビオラントロン系色素、イソインドリン系色素、カルバゾール系色素、キノリン系色素、金属酸化物系色素、カーボンブラック等が挙げられ、カラーコンタクトレンズの色彩やデザイン等に応じて、1種または2種以上を組合せて用いることができる。本開示においては、顔料や染料と呼ばれる物質であっても、公知の手段により用いることが可能である。なお、カラーソフトコンタクトレンズでないソフトコンタクトレンズであっても、クリアコンタクトレンズであっても、洗浄液などの溶液に浸漬されている場合に容易に目視判別できる程度に、薄い色を着色されていることがある。
【0052】
本発明に係るソフトコンタクトレンズ用医薬組成物は、常法により製造することができる。例えば、溶媒としての水に、各成分を溶解すればよい。溶媒としての水は、例えば蒸留水、精製水、滅菌水など、不純物、細菌、ウィルス、真菌などが検出限界未満であるか或いは十分に少ない清明なものを用いる。
【0053】
本発明のソフトコンタクトレンズ用医薬組成物を収容する容器は、特に制限されず、従来点眼容器として使用されているものであればよく、ガラス製であってもよく、またプラスチック製であってもよい。本発明のソフトコンタクトレンズ用医薬組成物を収容する容器として、プラスチック製を使用する場合、該プラスチック容器の構成材質は特に制限されないが、例えば、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリイミドのいずれか1種、または2種以上の混合体が挙げられる。ソフトコンタクトレンズ用医薬組成物の安定性をより確実に確保する観点から、容器本体、即ちソフトコンタクトレンズ用医薬組成物を収容する収容部を形成している部材の材質としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、またはポリエチレンが好ましく、ポリエチレンテレフタレートがより好ましい。
【0054】
本発明に係るソフトコンタクトレンズ用医薬組成物におけるソフトコンタクトレンズに対するアルキルジアミノエチルグリシンの吸着の抑制は、ソフトコンタクトレンズを浸漬した後のソフトコンタクトレンズ用医薬組成物に含まれるアルキルジアミノエチルグリシンの量が、タウリンを含まない以外は同組成の液のソフトコンタクトレンズ浸漬後におけるアルキルジアミノエチルグリシンの量よりも多いことで評価される。ソフトコンタクトレンズの浸漬は、例えば、25℃において、液を24時間振盪することにより行うことができる。アルキルジアミノエチルグリシンの量は、アルキルジアミノエチルグリシンに特有の545nmの波長光の吸光度や、高速液体クロマトグラフィー等により測定することができる。
【0055】
本発明に係るソフトコンタクトレンズ用医薬組成物は、涙液を補助するものであり、ソフトコンタクトレンズを装着しているときの不快感、目の乾き、目の疲れ、目のかすみ等の軽減に有効である。
【0056】
本発明の医薬組成物は、目的に応じて内服あるいは外用のいずれの形態でも使用することができる。内服の形態としては、内科用など、外用の形態としては、眼科用、歯科用、耳鼻科用、皮膚科用など、様々な用途の局所投与液剤として提供することができる。特に好ましくは眼科用である。
【0057】
「眼科用の医薬組成物」とは、眼科用途の医薬組成物を意味する。医薬組成物としては、特に溶媒として水を含有する水性液剤を挙げることができる。「水性液剤」とは、溶媒として水を含む液状の医薬組成物を意味する。水性液剤は、溶媒である水に各成分を溶解または分散させるなど、常法に従って調製でき、溶液であってもよいし、懸濁液や乳液であってもよいが、溶液である水性液剤が好ましい。
【0058】
眼科用の医薬組成物としては、例えば、点眼剤(ソフトコンタクトレンズを装用したまま使用可能な点眼剤を含む、また、点眼液、点眼薬ともいう。)、洗眼剤(ソフトコンタクトレンズを装用中にも使用することができる洗眼剤を含む、また、洗眼液、洗眼薬ともいう。)、眼軟膏剤、ソフトコンタクトレンズ装着液、ソフトコンタクトレンズケア用剤(洗浄液、保存液、殺菌液、消毒液{マルチパーパスソリューションを含む}等)などが挙げられ、好ましくは、点眼剤、コンタクトレンズ装着液、洗眼剤またはソフトコンタクトレンズケア用剤であり、特に好ましくは、ソフトコンタクトレンズケア用点眼剤である。
【0059】
本発明の医薬組成物には、ソフトコンタクトレンズを装用したまま使用可能な点眼剤が含まれる。即ち、本発明の医薬組成物は、ソフトコンタクトレンズを装用したままの眼に適用することができる。ソフトコンタクトレンズの種類は特に限定されず、使い捨てソフトコンタクトレンズ、定期交換ソフトコンタクトレンズ、従来型のソフトコンタクトレンズ、シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズ、カラーコンタクトレンズのいずれにも使用できる。シリコーンハイドロゲルコンタクトレンズは、シリコーンハイドロゲル素材のコンタクトレンズである。
【0060】
本発明の点眼剤の用法・用量は、患者の症状、年齢などにより変動するが、通常、1日あたり1回以上、6回以下、1回あたり1滴以上、3滴以下を点眼すればよい。
本発明の医薬組成物に使用される容器は、常法に従って滅菌処理される。滅菌方法は、一般的に用いられる方法であれば特に限定されず、乾熱滅菌、電子線滅菌、ガンマ線滅菌、エチレンガス滅菌などが挙げられる。1つの実施形態において、滅菌処理は電子線滅菌である。
【0061】
本発明は、ソフトコンタクトレンズに対するアルキルジアミノエチルグリシンの吸着を抑制する方法であって、ソフトコンタクトレンズ用医薬組成物におけるアルキルジアミノエチルグリシン塩酸塩の含有量が0.001w/v%以上、0.0045w/v%以下であり、ソフトコンタクトレンズ用医薬組成物にメントールおよびタウリンを配合する方法にも関する。当該方法において、ソフトコンタクトレンズに対するアルキルジアミノエチルグリシンの吸着は、ソフトコンタクトレンズ用医薬組成物におけるアルキルジアミノエチルグリシン塩酸塩の含有量が0.002w/v%以上、0.004w/v%以下である場合に、更に有効に抑制される。
【0062】
上記の吸着抑制方法において、ソフトコンタクトレンズ用医薬組成物におけるアルキルジアミノエチルグリシン塩酸塩の含有量を0.001w/v%以上、0.0045w/v%以下に限定したのは、かかる低濃度範囲でソフトコンタクトレンズに対するアルキルジアミノエチルグリシンの吸着率が高まることによる。
【0063】
上記の吸着抑制方法において、使用するアルキルジアミノエチルグリシン塩酸塩、メントール、タウリン、およびその他の任意成分の種類や濃度などについては、前記ソフトコンタクトレンズ用医薬組成物に関する種類や濃度を単独で又は組み合わせて採用してもよい。また、ソフトコンタクトレンズ用医薬組成物のpHや容器などについても、同様である。
【0064】
本願は、2019年11月29日に出願された日本国特許出願第2019-217423号に基づく優先権の利益を主張するものである。2019年11月29日に出願された日本国特許出願第2019-217423号の明細書の全内容が、本願に参考のため援用される。
【実施例
【0065】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
【0066】
試験例1: ソフトコンタクトレンズへの吸着性試験
表1に示す組成の実施例1の水溶液を調製した。具体的には、水(80mL)に、最終的に表1に記載の濃度となるように塩化ナトリウム(ナカライテスク社製)、リン酸二水素ナトリウム二水和物(ナカライテスク社製)、およびリン酸水素ナトリウム・12水和物(ナカライテスク社製)を溶解させた。得られた水溶液を約70℃に加温し、l-メントール(鈴木薄荷社製)、およびタウリン(笠野興産社製)を加え溶解させた後、常温まで冷却した。更に40%アルキルジアミノエチルグリシン塩酸塩水溶液(「レボンLAG-40」三洋化成工業社製)を加えて混和し、pH調整剤として1mol/L塩酸または1mol/L水酸化ナトリウム水溶液を使ってpHを調整し、精製水を加えて総容量を100mLに調整した。或いは、この等比倍で水溶液を調製した。
また、これに準じた方法により、表1に示す組成の比較例1と比較例2の水溶液も調製した。表1中の数値は、pHとADG吸着率を除いてw/v%を表す。
次いで、ソフトコンタクトレンズに対するアルキルジアミノエチルグリシンの吸着性を試験した。各試験液3mLずつを3本のバイアル瓶に量り取り、1バイアルあたりソフトコンタクトレンズ(「ワンデーアキュビューモイスト」ジョンソン・エンド・ジョンソン社製)1枚ずつを浸漬し、25℃で24時間以上振盪し、SCL浸漬液とした。ソフトコンタクトレンズを浸漬しない液も同様に3例処理し、対照試験液とした。次いで、以下の条件の高速クロマトグラフィー(HPLC)法により、アルキルジアミノエチルグリシンに由来するピークの面積の和から、SCL浸漬液と対照試験液中のそれぞれのアルキルジアミノエチルグリシンの含量(C)を求めた。
カラム: 内径4.6mm×長さ15cm シアノプロピルシリル化シリカゲル(「CN12S05-1546WT」ワイエムシィ社製)
検出器: 紫外吸光光度計
測定波長: 210nm
移動相: 水/メタノール/リン酸混液=750/250/1
測定により得られたアルキルジアミノエチルグリシンの含量値(C)から、それぞれの平均値を算出し、下記式に従って、ソフトコンタクトレンズへのアルキルジアミノエチルグリシン吸着率(%)を算出した。結果を表1に示す。表中、各成分量の「%」はw/v%を意味する。
吸着率(%)=100-{[(CC-CT)/CC]×100}
[式中、CTはSCL浸漬液中のアルキルジアミノエチルグリシンの含量の平均値(μg/mL)を示し、CCは対照試験液中のアルキルジアミノエチルグリシンの含量の平均値(μg/mL)を示す。]
【0067】
【表1】
【0068】
表1に示される結果の通り、製剤にメントールを配合すると、ソフトコンタクトレンズへのアルキルジアミノエチルグリシンの吸着量が増えた。
それに対して、メントールに加えてタウリンを配合すると、ソフトコンタクトレンズへのアルキルジアミノエチルグリシンの吸着が抑制されることが明らかになった。
【0069】
試験例2: アルキルジアミノエチルグリシン塩酸塩の配合量の検討
試験例1と同様の条件で、アルキルジアミノエチルグリシン塩酸塩の配合量を違えた表2に示す組成の製剤を用い、ソフトコンタクトレンズに対するアルキルジアミノエチルグリシンの吸着率を求めた。結果を表2に示す。
また、タウリンを配合しない以外は同一組成の製剤との間で、下記式に従って、ソフトコンタクトレンズへのアルキルジアミノエチルグリシンの吸着抑制率(%)を算出した。結果を表2に示す。表2中の数値は、pH、ADG吸着率および吸着抑制率を除いてw/v%を表す。
吸着抑制率(%)={[(タウリン無し製剤の吸着率)-(タウリン含有製剤の吸着率)]/(タウリン無し製剤の吸着率)}×100
【0070】
【表2】
【0071】
表2に示す結果の通り、アルキルジアミノエチルグリシン塩酸塩の濃度が0.001~0.004w/v%の範囲にある製剤においては、メントールの配合によりソフトコンタクトレンズへのアルキルジアミノエチルグリシンの吸着量が増えるのに対して、メントールに加えてタウリンを配合することにより、ソフトコンタクトレンズへのアルキルジアミノエチルグリシンの吸着が抑制される傾向が認められた。
しかしアルキルジアミノエチルグリシン塩酸塩の濃度が0.005w/v%の場合には、かかる効果は認められなかった。
【0072】
試験例3: 両性界面活性剤の検討
アルキルジアミノエチルグリシンが両性界面活性剤であることから、別の両性界面活性剤であるラウリルジメチルアミノ酢酸についても検討した。具体的には、試験例1と同様の条件で、アルキルジアミノエチルグリシン塩酸塩の代わりにラウリルジメチルアミノ酢酸(富士フィルム和光純薬社製)を用いた表3に示す組成の製剤を用い、ソフトコンタクトレンズに対するアルキルジアミノエチルグリシンの吸着率を求め、また、実施例2と同様の条件で吸着抑制率(%)を算出した。結果を表3に示す。表3中の数値は、pH、ADG吸着率および吸着抑制率を除いてw/v%を表す。
【0073】
【表3】
【0074】
表3に示される結果の通り、同じ両性界面活性剤であっても、アルキルジアミノエチルグリシンとは異なり、ラウリルジメチルアミノ酢酸はソフトコンタクトレンズへの吸着量自体が少なく、メントールの配合によっても吸着量が大幅に増加することもなく、またタウリンの配合によって吸着量が低減されることもなかった。
よって、ソフトコンタクトレンズへの吸着、メントールによる吸着量の増加、およびタウリンの配合による吸着の抑制は、両性界面活性剤の中でもアルキルジアミノエチルグリシンに特有の現象であることが明らかにされた。
【0075】
試験例4: 緩衝剤の検討
表4に示す組成の製剤を用い、試験例2と同様の条件で、ソフトコンタクトレンズに対するアルキルジアミノエチルグリシンの吸着率と吸着抑制率を求めた。結果を表4に示す。表4中の数値は、pH、ADG吸着率および吸着抑制率を除いてw/v%を表す。
【0076】
【表4】
【0077】
表4に示す結果の通り、緩衝剤としてリン酸緩衝剤の代わりにホウ酸緩衝剤を用いた場合であっても、メントールの配合により増加したソフトコンタクトレンズへのアルキルジアミノエチルグリシンの吸着量は、メントールに加えてタウリンを配合することにより低減される傾向が認められた。
【0078】
実施例10~15
表5に示す組成のソフトコンタクトレンズ用医薬組成物を、試験例1に準じて調製した。表5中の数値は、pHを除いてw/v%を表す。
【0079】
【表5】