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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-19
(45)【発行日】2022-12-27
(54)【発明の名称】緩衝装置、カプラ緩衝装置及び鉄道車両
(51)【国際特許分類】
   B61G 9/04 20060101AFI20221220BHJP
【FI】
B61G9/04
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022502213
(86)(22)【出願日】2020-02-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-19
(86)【国際出願番号】 CN2020077171
(87)【国際公開番号】W WO2020187002
(87)【国際公開日】2020-09-24
【審査請求日】2022-01-13
(31)【優先権主張番号】201910675827.5
(32)【優先日】2019-07-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】514222673
【氏名又は名称】中▲車▼青▲島▼四方▲車▼▲輛▼研究所有限公司
【氏名又は名称原語表記】CRRC QINGDAO SIFANG ROLLING STOCK RESEARCH INSTITUTE CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.231 Ruichang Road,Shibei District Qingdao,Shandong 266031 China
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲陽▼▲華▼平
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼▲輝▼
(72)【発明者】
【氏名】▲謝▼耿昌
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼世
【審査官】藤井 浩介
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第106379368(CN,A)
【文献】特表2015-516914(JP,A)
【文献】特表2015-522460(JP,A)
【文献】特開昭63-195062(JP,A)
【文献】中国実用新案第201573671(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第106494451(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第106364522(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第105083317(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第102343918(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第101985302(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第101879906(CN,A)
【文献】国際公開第2007/057072(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0272224(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0162555(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第19636225(DE,A1)
【文献】欧州特許第00608531(EP,B1)
【文献】特許第5650089(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61G 9/04
B61G 7/12
B61G 11/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
緩衝装置において、
緩衝アセンブリと、
連結アセンブリと、を含み、前記連結アセンブリは、
連結本体を含み、前記連結本体は、
前記緩衝アセンブリと互いに水平に回転連結され、前記緩衝アセンブリと共に第1回転中心を有する第1連結部と、
連結面を有し、前記連結面を介して車体と連結されており、前記第1回転中心が、前記車体を向いた前記連結面の第1の側に位置している第2連結部と、
前記緩衝アセンブリと互いに接触し、前記連結アセンブリと互いに水平に回転連結され、前記連結アセンブリと共に第2回転中心を有し、前記第2回転中心が、前記緩衝アセンブリを向いた前記連結面の第2の側に位置している支持アセンブリと、
前記支持アセンブリと前記緩衝アセンブリとを連結するアダプタアセンブリと、
を含緩衝装置。
【請求項2】
前記アダプタアセンブリが、
前記緩衝アセンブリと連結された第1係合部材と、
前記支持アセンブリと連結され、前記第1係合部材と係合する第2係合部材であって、前記第1係合部材と前記第2係合部材との間の係合面が円弧面である第2係合部材と、
を含むことを特徴とする請求項1に記載の緩衝装置。
【請求項3】
前記円弧面の円の中心が前記緩衝アセンブリの中心軸線上に位置していることを特徴とする、請求項2に記載の緩衝装置。
【請求項4】
過負荷保護アセンブリをさらに含み、前記緩衝アセンブリが、前記過負荷保護アセンブリを介して前記第1連結部と連結されていることを特徴とする、請求項1に記載の緩衝装置。
【請求項5】
前記過負荷保護アセンブリが、
前記緩衝アセンブリと連結された保護部材と、
引張破断ボルトであって、前記保護部材が前記引張破断ボルトを介して前記第1連結部と連結される引張破断ボルトと、
を含むことを特徴とする請求項4に記載の緩衝装置。
【請求項6】
前記支持アセンブリが、
支持本体と、
第2回転部材であって、前記支持本体が前記第2回転部材を介して前記連結アセンブリと相対的かつ水平に回転可能に連結される第2回転部材と、
前記支持本体と連結され、前記緩衝アセンブリの両側に位置し、前記緩衝アセンブリと接触している垂直支持部材と、
前記緩衝アセンブリの下方に位置し、前記緩衝アセンブリと当接し、前記垂直支持部材に相対移動可能に連結されている水平支持部材と、
を含むことを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の緩衝装置。
【請求項7】
前記支持アセンブリは弾性支持部材をさらに含み、前記弾性支持部材は前記水平支持部材の下方に連結され、前記支持本体と連結されていることを特徴とする、請求項6に記載の緩衝装置。
【請求項8】
さらにセンタリングアセンブリを含み、前記センタリングアセンブリは前記支持本体と連結され、前記第2回転部材上に作用することを特徴とする、請求項6に記載の緩衝装置。
【請求項9】
請求項1~8のいずれかに記載の緩衝装置を含むことを特徴とする、カプラ緩衝装置。
【請求項10】
請求項9に記載のカプラ緩衝装置を含むことを特徴とする、鉄道車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は鉄道車両のカプラ緩衝装置分野に属し、特に緩衝装置、カプラ緩衝装置及び鉄道車両に関する。
【背景技術】
【0002】
カプラ緩衝装置は鉄道車両間の牽引、掛着に用いられるものであり、車両の牽引、連結時の縦方向の衝撃を減少させるために、カプラ緩衝装置は緩衝装置及びカプラ装置を含み、カプラ装置は緩衝装置を介して鉄道車両の車体上に連結されている。
【0003】
図1を参照すると、既存の緩衝装置は、通常、前取付方式で車体4’と連結されており、つまり緩衝装置は車体の前端面41’上に取り付けられているのである。具体的に言うと、緩衝装置は緩衝アセンブリ1’、連結アセンブリ2’及び回転アセンブリ3’を含み、緩衝アセンブリ1’は回転アセンブリ3’を介して連結アセンブリ2’と相互に回転連結され、連結アセンブリ2’は連結部材5’を介して車体4’と連結され、回転アセンブリ3’の回転中心31’は車体前端面41’の前方に位置している。
【0004】
緩衝アセンブリ1’の車体4’から遠い方の端面から回転アセンブリ3’の回転中心までの距離を緩衝アセンブリ1’の長さLと定義し、回転中心から車体前端面41’までの距離をAとする。既存の緩衝装置では、車体底部空間を占める長さはL+Aである。鉄道車両機能が日増しに増加するにつれて、車両底部空間にはますます余裕がなくなり、カプラの長さが変わらない場合は、緩衝装置が占める車両底部空間を小さくする必要がある。
【発明の概要】
【0005】
本出願では、緩衝装置の取付空間を減らすことができる緩衝装置を提供している。上記の目的を達成するために、本出願では、以下の技術手法を採用している。
【0006】
緩衝装置であって、
緩衝アセンブリと、
連結アセンブリと、を含み、前記連結アセンブリは、
連結本体を含み、前記連結本体は、
前記緩衝アセンブリと互いに水平に回転連結され、前記緩衝アセンブリと共に第1回転中心を有する第1連結部と、
連結面を有し、前記連結面を介して車体と連結されており、前記第1回転中心が前記連結面の後ろ側に位置している第2連結部と、
前記緩衝アセンブリと互いに接触し、前記連結アセンブリと互いに水平に回転連結され、前記連結アセンブリと共に第2回転中心を有し、前記第2回転中心が前記連結面の前側に位置している支持アセンブリと、
前記支持アセンブリと前記緩衝アセンブリとを連結するアダプタアセンブリと、
を含む。
【0007】
さらに、前記アダプタアセンブリは、
前記緩衝アセンブリと連結された第1係合部材と、
前記支持アセンブリと連結され、前記第1係合部材と係合し、前記係合面が円弧面である第2係合部材と、
を含む。
【0008】
さらに、前記円弧面の円の中心は前記緩衝アセンブリの中心軸線上に位置している。
【0009】
さらに、過負荷保護アセンブリを含み、前記緩衝アセンブリが、前記過負荷保護アセンブリを介して前記第1連結部と連結されている。
【0010】
さらに、前記過負荷保護アセンブリは、
前記緩衝アセンブリと連結された保護部材と、
引張破断ボルトであって、前記保護部材が前記引張破断ボルトを介して前記第1連結部と連結される引張破断ボルトと、
を含む。
【0011】
さらに、前記支持アセンブリは、
支持本体と、
第2回転部材であって、前記支持本体が前記第2回転部材を介して前記連結アセンブリに相対的かつ水平に回転可能に連結されている第2回転部材と、
前記支持本体と連結され、前記緩衝アセンブリの両側に位置し、前記緩衝アセンブリと接触している垂直支持部材と、
前記緩衝アセンブリの下方に位置し、前記緩衝アセンブリと当接し、前記垂直支持部材に相対移動可能に連結されている水平支持部材と、
を含む。
【0012】
さらに、前記支持アセンブリは弾性支持部材を含み、前記弾性支持部材は、前記水平支持部材の下方に連結され、前記支持本体と連結されている。
【0013】
さらにセンタリングアセンブリを含み、前記センタリングアセンブリは前記支持本体と連結され、前記第2回転部材上に作用する。
【0014】
カプラ緩衝装置であって、前記いずれかの緩衝装置を含む。
【0015】
鉄道車両であって、前記カプラ緩衝装置を含む。
【0016】
従来の技術と比較して、本出願の有益な効果は以下の通りである。
【0017】
本出願で提供する緩衝装置は、取り付けて使用する際の、緩衝アセンブリの片端と連結面との距離が緩衝アセンブリの全長より短く、緩衝アセンブリの長さが不変である場合、緩衝装置を取り付ける際に占有する車体底部の空間が小さいので、緩衝装置の取付空間が小さくなり、取付のコンパクトさが高まっている。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】既存の技術で提供されている緩衝装置の構造概略図である。
【0019】
図2】実施形態により提供されている緩衝装置の第1の構造概略図である。
【0020】
図3図2で提供されている緩衝装置の側面構造概略図である。
【0021】
図4図2で提供されている緩衝装置の第2の構造概略図である。
【0022】
図5図2で提供されている緩衝装置の上面構造概略図である。
【0023】
図6図2で提供されている緩衝装置に水平回転が発生したときの上面構造概略図である。
【0024】
図7図4の緩衝装置の分解図である。
【0025】
図8】実施形態により提供されている緩衝装置の構造概略図である。
【0026】
図9図8の緩衝装置の分解図である。
【0027】
図10図7で提供されている緩衝装置の上面構造概略図である。
【符号の説明】
【0028】
1’ 緩衝アセンブリ
2’ 連結アセンブリ
3’ 回転アセンブリ
31’ 回転中心
4’ 車体
41’ 車体前端面
5’ 連結部材
1 緩衝アセンブリ
11 第1緩衝部材
12 第2緩衝部材
2 連結アセンブリ
21 連結本体
211 第1連結部
212 第2連結部
213 連結孔
214 連結面
22 第1回転部材
23 第1回転中心
3 支持アセンブリ
31 支持本体
32 垂直支持部材
33 水平支持部材
34 弾性支持部材
35 第2回転部材
36 第2回転中心
4 アダプタアセンブリ
41 第1係合部材
411 係合面
412 円の中心
42 第2係合部材
5 センタリングアセンブリ
6 過負荷保護アセンブリ
61 保護部材
62 引張破断ボルト
7 車体
71 車体前端面
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下では、本出願の技術手法について具体的な実施形態と結び付けて詳細に説明するが、さらなる記述がない限り、1つの実施形態における素子、構造及び特徴は、他の実施形態に有益に結合させることができることを理解しておかなければならない。
【0030】
本出願の記述において、理解しておかなければならないのは、用語の「第1」、「第2」は目的を説明するためにのみ使用されるものであり、相対的な重要性を示したり、暗示したり、あるいは指している技術的特徴の数を暗に示したりするものと理解してはならないという点である。したがって、「第1」、「第2」と限定されている特徴は、明らかに、または暗に、1つまたはそれ以上のその特徴を含むことができる。
【0031】
本出願の記述において、理解しておかなければならないのは、「上」、「下」、「水平」などの用語が示す方位または位置関係は、図3に示す方位または位置関係に基づいており、本出願を記述しやすくし、記述を簡略化するためのものにすぎず、指している装置や素子が必ず特定の方位を有し、特定の方位により構成及び操作されることを示したり、暗示したりするものではないという点である。よって、本出願に対する限定と理解することはできない。
【0032】
本出願の記述において、説明しておかなければならないのは、別途明確な規定及び限定がない限り、用語の「接続」、「連結」は広義に理解しなければならないという点である。例えば、固定連結でもよいし、着脱可能な連結でもよいし、一体式の連結でもよい。また、直接的な接続でもよいし、中間媒体を介しての間接的な接続でもよいし、2つの素子内部の連通でもよい。当業者であれば、具体的な状況に応じて上記の用語の本出願における具体的な意味を理解することができる。
【0033】
実施形態は、本出願の好適な実施形態について述べているにすぎず、本出願の範囲を限定するものではなく、本出願の設計の主旨を逸脱しないことを前提に、当業者によって行われる本出願の技術手法に対する様々な変形及び改良は、すべて本出願の請求項によって画定される保護範囲内に含まれるものとする。
【0034】
特に説明しておかなければならないのは、本出願の技術手法についての記述は、実際の取付使用過程において、緩衝装置の車体に近い側を後ろ側(即ち図3及び図5の右側寄り)、緩衝装置のカプラに近い側を前側(即ち図3及び図5の左側寄り)とするという点である。
【0035】
本出願の第1の実施形態で提供している緩衝装置は、
緩衝アセンブリ1と、
連結アセンブリ2と、を含み、連結アセンブリ2は、
連結本体21を含み、連結本体21は、
緩衝アセンブリ1と互いに水平に回転連結され、緩衝アセンブリ1と共に第1回転中心23を有する第1連結部211と、
連結面214を有し、連結面214を介して車体7と連結されており、第1回転中心23が連結面214の後ろ側に位置している第2連結部212と、
緩衝アセンブリ1と互いに接触し、連結アセンブリ2と互いにかつ水平に回転連結され、連結アセンブリ2と共に第2回転中心36を有し、第2回転中心36が連結面214の前側に位置している支持アセンブリ3と、
支持アセンブリ3と緩衝アセンブリ1を連結するアダプタアセンブリ4と、を含む。
【0036】
図2~5を参照すると、第1の実施形態で提供される緩衝装置は、緩衝アセンブリ1と連結アセンブリ2の第1連結部211が水平に回転連結されており、緩衝アセンブリ1と第1連結部211は第1回転中心23の周りを水平面内で相対回転運動することができる。車体7は連結アセンブリ2の第2連結部212と連結されており、第2連結部212は連結面214を有し、車体7は連結面214上に連結されている。第1回転中心23は連結面214の後ろ側に位置している。図5を参照すると、緩衝アセンブリ1の車体7から遠い方の端面から第1回転中心23までの長さが緩衝アセンブリ1の長さLであり、実際の取付使用過程では、緩衝アセンブリ1の長さLは変化しない。第1回転中心23から連結面214までの距離をBとすると、第1の実施形態で提供する緩衝装置が実際に占有する車体底部空間の長さはL-Bである。図1を参照すると、これは従来の緩衝装置中の緩衝アセンブリ1’の取付位置を示しており、車体底部空間を占める長さはL+Aであり、従来の緩衝装置に比べて、第1の実施形態で提供する緩衝装置は、車体底部空間を占める長さがA+Bだけ減少している。本実施形態で提供する緩衝装置は、緩衝アセンブリ1の長さが変化しない場合、占有する外部空間が小さくなり、従来の緩衝装置に比べて、緩衝能力を低下させることなく、取付空間を効果的に小さくすることができ、取付のコンパクトさを高めている。
【0037】
第1の実施形態で提供する緩衝装置は、支持アセンブリ3と緩衝アセンブリ1が互いに接触し、支持アセンブリ3と連結アセンブリ2が互いに水平に回転連結され、支持アセンブリ3と連結アセンブリ2は第2回転中心36を有し、第2回転中心36は連結面214の前側に位置している。第1回転中心23は連結面214の後ろ側に設置されているため、車体7の内部に緩衝装置を収納する空間を開設(形成)する必要があり、第2回転中心23も連結面214の後ろ側に設置されている場合は、車体7の内部に開設する収納空間を大きくする必要があるが、収納空間を大きく取り過ぎると、鉄道車両の床板の取付に影響し、既存の車体構造に適用できず、また車体7の強度も低下させる。そのため、第1実施形態で提供する緩衝装置は、好適には、支持アセンブリ3の第2回転中心36を連結面214の前側に設置して上記の問題を解決することで、車体内部に開設する必要のある収納空間をさらに小さくしている。
【0038】
図6に示すように、鉄道車両に方向転換や上下動などの状況が発生すると、前側に位置するカプラが緩衝アセンブリ1を動かし、緩衝アセンブリ1と連結アセンブリ2が第1回転中心23の周りで水平面内において相対回転運動を発生させ、緩衝アセンブリ1が支持アセンブリ3を動かすと、支持アセンブリ3と連結アセンブリ2が第2回転中心36の周りで水平面内において相対回転運動を発生させる。支持アセンブリ3と緩衝アセンブリ1は互いに接触しており、第1回転中心23と第2回転中心36は重なっておらず、かつ同一垂線上にもないため、緩衝アセンブリ1の中心軸線と車体7の垂直二等分面との夾角が、支持アセンブリ3の垂直二等分面と車体7の垂直二等分面の夾角と一致しないことになり、緩衝アセンブリ1と支持アセンブリ3の回転運動の過程で干渉を生じさせ、緩衝装置の正常なセンタリングに影響を与える。しかし、緩衝装置の正常なセンタリングに影響を与えないためには、緩衝アセンブリ1と支持アセンブリ3との間の隙間を大きくしなければならないが、隙間を大きくすると、カプラ連結の安定性及び確実性に影響することもある。この問題を解決するために、第1の実施形態で提供する緩衝装置は、支持アセンブリ3と緩衝アセンブリ1を連結するアダプタアセンブリ4をさらに含む。具体的には、アダプタアセンブリ4は緩衝アセンブリ1と支持アセンブリ3の間に位置し、緩衝アセンブリ1と支持アセンブリ3との間の隙間を安定させるために用いられる。アダプタアセンブリ4は、緩衝アセンブリ1と支持アセンブリ3との間の隙間を常に一定に維持し、緩衝アセンブリ1と支持アセンブリ3に回転運動の過程で干渉が生じることを防止することにより、緩衝装置の正常なセンタリングを保証するとともに、カプラ連結の安定性及び確実性も保証して、鉄道車両の安全性をさらに保証している。
【0039】
具体的には、図2を参照すると、本実施形態で提供する緩衝装置は、緩衝アセンブリ1と、連結アセンブリ2と、支持アセンブリ3と、アダプタアセンブリ4と、センタリングアセンブリ5と、を含む。緩衝アセンブリ1は、連結アセンブリ2を介して車体7と相対回転可能に連結され、支持アセンブリ3は連結アセンブリ2と相対回転可能に連結され、支持アセンブリ3はアダプタアセンブリ4を介して緩衝アセンブリ1と連結され、センタリングアセンブリ5は支持アセンブリ3と連結されている。鉄道車両が直線的に安定して走行している場合、緩衝装置はセンタリング位置、即ち緩衝アセンブリ1の中心軸線と車体7の垂直二等分面の夾角がゼロ、支持アセンブリ3の垂直二等分面と車体7の垂直二等分面の夾角がゼロの位置にあり、鉄道車両に方向転換や上下動などの状況が発生した場合は、緩衝装置が側面から力を受けるので、緩衝アセンブリ1が支持アセンブリ3を片側に向かって回転させてセンタリング位置から離し、センタリングアセンブリ5も支持アセンブリ3の回転に伴ってセンタリング位置から離れる。センタリングアセンブリ5がセンタリング位置から逸れると、偏向力が生じ、緩衝装置が受ける側面からの力が消失すると、偏向力がセンタリングアセンブリ5をセンタリング位置まで戻し、それによって支持アセンブリ3をセンタリング位置まで戻すと、緩衝アセンブリ1も支持アセンブリ3とともにセンタリング位置まで戻る。
【0040】
緩衝アセンブリ1は緩衝装置の重要な部品であり、鉄道車両のカプラ緩衝装置に緩衝作用を提供する。図3図5を参照すると、緩衝アセンブリ1は、第1緩衝部材11及び第2緩衝部材12を含み、第1緩衝部材11と第2緩衝部材12は相対移動可能に連結され、第1緩衝部材11はカプラと連結され、第2緩衝部材12は連結アセンブリ2と連結されている。
【0041】
連結アセンブリ2は緩衝アセンブリ1に連結及び支持作用を提供する。図3図5を参照すると、連結アセンブリ2は、連結本体21及び第1回転部材22を含む。連結本体21は第1回転部材22によって緩衝アセンブリ1に相対回転可能に連結されている。連結本体21は第1連結部211と第2連結部212を有する。第1連結部211は、緩衝アセンブリ1に相対回転可能に連結するために用いられ、第2連結部212は車体7と連結するために用いられる。具体的に言うと、第1連結部211には連結孔213が設けられており、第1回転部材22が連結孔213を貫通して緩衝アセンブリ1と水平に回転連結されている。第1回転部材22は第1回転中心23を有しており、緩衝アセンブリ1と連結本体21が、第1回転中心23の周りで水平面内において相対回転運動を行うことができる。第2連結部212は連結面214を有し、車体7は車体前端面71を有しており、第2連結部212と車体7がボルトによって連結されることにより、連結面214が車体前端面71と係合する。第1回転中心23は連結面214の後ろ側に位置している。
【0042】
支持アセンブリ3は緩衝アセンブリ1に支持作用を提供しており、緩衝アセンブリ1が連結アセンブリ2に相対水平回転運動を行うと、支持アセンブリ3及び連結アセンブリ2も同時に相対水平回転運動を行う。具体的には、図3及び図4を参照すると、支持アセンブリ3は、支持本体31と、垂直支持部材32と、水平支持部材33と、弾性支持部材34と、第2回転部材35と、を含む。支持本体31は第2回転部材35を介して連結アセンブリ2に相対的かつ水平に回転可能に連結され、第2回転部材35は第2回転中心36を有し、支持本体31及び連結アセンブリ2は、第2回転中心36の周りを水平面内において相対回転運動することができる。垂直支持部材32は、緩衝アセンブリ1に垂直方向の支持を提供しており、垂直支持部材32は支持本体31と連結され、緩衝アセンブリ1の両側に位置しており、各垂直支持部材32はいずれも緩衝アセンブリ1と接触している。垂直支持部材32は、それぞれが緩衝アセンブリ1の両側に配置されており、各垂直支持部材32は、いずれも支持本体31と連結され、かつ緩衝アセンブリ1と接触している。水平支持部材33は水平方向の支持面を形成し、該支持面は緩衝アセンブリ1に水平な支持を提供しており、水平支持部材33は緩衝アセンブリ1の下方に位置し、緩衝アセンブリ1と当接しており、水平支持部材33と垂直支持部材32は相対移動可能に連結されており、緩衝アセンブリ1に垂直方向の位置変化が発生すると、水平支持部材33が垂直支持部材32に対して移動し、引き続き緩衝アセンブリ1と接触して緩衝アセンブリ1に水平支持力を提供することができる。水平支持部材33が提供する水平支持力の安定性をさらに高めるために、第1の実施形態で提供する緩衝装置において、支持アセンブリ3は弾性支持部材34をさらに含み、弾性支持部材34は水平支持部材33の下方に連結されており、弾性支持部材34は支持本体31と連結され、水平支持部材33に上向きの力を印加することで、水平支持部材33が常に緩衝アセンブリ1と接触するようにして、水平支持力の安定性を高め、それにより緩衝アセンブリ1の取付安定性を向上させている。
【0043】
第1回転中心23と第2回転中心36は重なっておらず、かつ同一垂線上にもないため、回転運動の過程では、緩衝アセンブリ1の中心軸線と車体7の垂直二等分面との夾角が、支持アセンブリ3の垂直二等分面と車体7の垂直二等分面との夾角と一致しないことが生じ、緩衝アセンブリ1と支持アセンブリ3に回転運動の過程で干渉を発生させて、緩衝装置の正常なセンタリングに影響を与える。しかし、緩衝装置の正常なセンタリングに影響を与えないためには、緩衝アセンブリ1と支持アセンブリ3との間の隙間を大きくしなければならないが、隙間を大きくすると、カプラ連結の安定性及び確実性に影響することもある。第1の実施形態で提供する緩衝装置はアダプタアセンブリ4をさらに含み、アダプタアセンブリ4は、緩衝アセンブリ1と支持アセンブリ3との間の隙間を調整し、緩衝アセンブリ1と支持アセンブリ3との間の隙間を常に一定に維持し、緩衝アセンブリ1と支持アセンブリ3の回転運動過程における干渉を防止することにより、緩衝装置の正常なセンタリングを保証するとともに、カプラ連結の安定性及び確実性も保証して、鉄道車両の安全性をさらに保証している。
【0044】
具体的に言うと、図3図7を参照すると、アダプタアセンブリ4は第1係合部材41及び第2係合部材42を含み、第1係合部材41は緩衝アセンブリ1と連結され、第2係合部材42は支持アセンブリ3と連結されており、第2係合部材42は第1係合部材41と係合しており、係合面411は円弧面である。緩衝アセンブリ1及び支持アセンブリ3が連結アセンブリ2と水平面内で相対回転運動を行う場合、緩衝アセンブリ1と支持アセンブリ3は係合面411を介して互いに接触し、かつ係合面411に沿って相対運動を生じる。第1係合部材41は緩衝アセンブリ1と連結されているので、第1係合部材41は緩衝アセンブリ1の両側に位置する2つの第1係合部材41を含み、各第1係合部材41はいずれも緩衝アセンブリ1と連結されている。第2係合部材42は、緩衝アセンブリ1の両側に位置する2つの第2係合部材42を含み、各第2係合部材42はいずれも第1係合部材41と係合し、かつそれぞれが2つの垂直支持部材32と連結されている。係合面411は円弧面であり、緩衝アセンブリ1と支持アセンブリ3との間の隙間を常に一定に維持している。つまり、緩衝アセンブリ1と水平支持部材33との間の隙間と、緩衝アセンブリ1と垂直支持部材32との間の隙間をいずれも安定に保つことで、緩衝アセンブリ1と支持アセンブリ3とに干渉が生じることを防止し、かつカプラ連結の安定性及び確実性を保証しているのである。好適には、円弧面の円の中心412が緩衝アセンブリ1の中心軸線上に位置すると、緩衝アセンブリ1と支持アセンブリ3との間の隙間をさらに減少させ、カプラ連結の安定性及び確実性を向上させることができる。
【0045】
鉄道車両に方向転換や上下動などの状況が発生すると、カプラが緩衝アセンブリ1と連結アセンブリ2を動かして、相対回転運動を起こさせる。緩衝アセンブリ1を自動的に開始位置まで復帰させることができるよう、第1の実施形態で提供する緩衝装置はセンタリングアセンブリ5をさらに含み、センタリングアセンブリ5は支持本体31と連結され、第2回転部材35上に作用する。緩衝アセンブリ1と連結アセンブリ2に相対回転運動を起こさせる外力が消失すると、センタリングアセンブリ5が第2回転部材35上に作用して、第2回転部材35を動かすことにより、緩衝アセンブリ1を開始位置まで復帰させる。
【0046】
図8図10を参照すると、第1の実施形態で提供する緩衝装置は過負荷保護アセンブリ6をさらに含み、緩衝アセンブリ1は過負荷保護アセンブリ6を介して第1連結部211と連結されている。具体的に言うと、過負荷保護アセンブリ6は、保護部材61と引張破断ボルト62を含み、保護部材61は緩衝アセンブリ1と連結され、引張破断ボルト62を介して第1連結部211と連結されており、即ち、保護部材61は第1回転部材22を介して緩衝アセンブリ1に相対回転可能に連結され、保護部材61は引張破断ボルト62によって連結本体の第1連結部211と連結されているのである。連結本体21は、第1回転部材22と連結された保護部材61を介して緩衝アセンブリ1に相対回転可能に連結されており、第1連結部の連結面214は車体前端面71と連結されている。鉄道車両のカプラが受ける衝撃力がかなり大きい場合、カプラが緩衝装置を押して後ろ側へ移動させるが、移動距離が緩衝装置の緩衝ストロークを超えると、緩衝アセンブリ1が引き続き後ろ側に向かって移動する。緩衝アセンブリ1と連結アセンブリ2は引張破断ボルト62を介して連結されているので、衝撃力が大きすぎると、緩衝アセンブリ1と連結アセンブリ2の間の離れ合う力が引張破断ボルト62の受けることのできる力を上回った時に引張破断ボルト62に断裂が生じ、連結面214が車体前端面71から外れ、さらに第1連結部211と車体7が外れることで、緩衝アセンブリ1が車体7をさらに損傷することを防止し、鉄道車両の安全性を向上させている。
【0047】
第2の実施形態ではさらに、上記の緩衝装置を含むカプラ緩衝装置を提供している。
【0048】
第3の実施形態ではさらに、上記のカプラ緩衝装置を含む鉄道車両を提供している。
図1
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図5
図6
図7
図8
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図10