(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-12-20
(45)【発行日】2022-12-28
(54)【発明の名称】コンテンツ変換装置、コンテンツ変換方法およびコンテンツ変換プログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 21/854 20110101AFI20221221BHJP
H04N 21/262 20110101ALI20221221BHJP
【FI】
H04N21/854
H04N21/262
(21)【出願番号】P 2021148476
(22)【出願日】2021-09-13
【審査請求日】2021-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】500016198
【氏名又は名称】株式会社Jストリーム
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100187562
【氏名又は名称】沼田 義成
(72)【発明者】
【氏名】石亀 靖人
【審査官】川中 龍太
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-141520(JP,A)
【文献】特開2017-163426(JP,A)
【文献】特開2021-078101(JP,A)
【文献】特開2019-041293(JP,A)
【文献】IPサイマル/サーバーサイド動画広告挿入(SSAIライブ) 株式会社静岡新聞社・静岡放送株式会社 様,金融国際情報技術展 FIT2018 Financial Information Technology 2018
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 21/00 - 21/858
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本編区間と広告区間とからなり、サーバ側で広告が挿入されるライブ配信用の第1コンテンツについて、前記本編区間の断片ファイルを読み出すための本編情報及び前記広告区間の断片ファイルを読み出すためのライブ配信用の第1広告情報が順次定義された前記第1コンテンツの第1プレイリストファイルを取得し、
前記第1コンテンツと同じ前記本編区間を有していて、クライアント側で広告が挿入されるオンデマンド配信用の第2コンテンツを作成するために、前記第1プレイリストファイルから前記第1広告情報を検出し、検出した前記第1広告情報に代えて、広告挿入位置を示すと共に固定画像ファイルを読み出すためのオンデマンド配信用の第2広告情報を定義して、前記第1プレイリストファイルを前記第2コンテンツの第2プレイリストファイルに書き換えることを特徴とするコンテンツ変換装置。
【請求項2】
本編区間と広告区間とからなり、サーバ側で広告が挿入されるライブ配信用の第1コンテンツについて、前記本編区間の断片ファイルを読み出すための本編情報及び前記広告区間の断片ファイルを読み出すためのライブ配信用の第1広告情報が順次定義された前記第1コンテンツの第1プレイリストファイルを取得する工程と、
前記第1コンテンツと同じ前記本編区間を有していて、クライアント側で広告が挿入されるオンデマンド配信用の第2コンテンツを作成するために、前記第1プレイリストファイルから前記第1広告情報を検出し、検出した前記第1広告情報に代えて、広告挿入位置を示すと共に固定画像ファイルを読み出すためのオンデマンド配信用の第2広告情報を定義して、前記第1プレイリストファイルを前記第2コンテンツの第2プレイリストファイルに書き換える工程と、
を有することを特徴とするコンテンツ変換方法。
【請求項3】
本編区間と広告区間とからなり、サーバ側で広告が挿入されるライブ配信用の第1コンテンツについて、前記本編区間の断片ファイルを読み出すための本編情報及び前記広告区間の断片ファイルを読み出すためのライブ配信用の第1広告情報が順次定義された前記第1コンテンツの第1プレイリストファイルを取得するステップと、
前記第1コンテンツと同じ前記本編区間を有していて、クライアント側で広告が挿入されるオンデマンド配信用の第2コンテンツを作成するために、前記第1プレイリストファイルから前記第1広告情報を検出し、検出した前記第1広告情報に代えて、広告挿入位置を示すと共に固定画像ファイルを読み出すためのオンデマンド配信用の第2広告情報を定義して、前記第1プレイリストファイルを前記第2コンテンツの第2プレイリストファイルに書き換えるステップと、
をコンピュータに実行させることを特徴とするコンテンツ変換プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテンツを変換するコンテンツ変換装置、コンテンツ変換方法およびコンテンツ変換プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、地上波放送や衛星放送の電波によって放送局から放送された番組と同一の内容のコンテンツを、インターネットを介して同時配信(ライブ配信)する、いわゆるサイマル配信という技術が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載の配信用データ作成装置は、サイマル配信用のデータを作成するものであって、複数の本編データの間に広告データが挿入された放送用の番組データを取得する番組データ取得部と、広告データの少なくとも一部の第1広告データの音声データ部分に重畳して挿入された重畳データを抽出する抽出部と、抽出部が抽出した重畳データに基づいて、第1広告データの長さを特定する特定部と、重畳データが挿入されている第1広告データを、特定部が特定した第1広告データの長さに対応する別の第2広告データに差し替えるデータ差し替え部と、を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記したように、サイマル配信において、ライブ配信用のコンテンツは、番組で放送される本編と同一の内容及び同一の再生時間の本編を有し、番組で放送される広告と異なる内容及び同一の再生時間の広告を有する。また、ライブ配信用のコンテンツは、HLS(HTTP Live Streaming)によって配信され、このとき、SSAI(Server Side Ad Insertion)によってサーバ側で広告が挿入される。
【0006】
ところで、放送局が放送した番組を、ライブ配信だけでなく、ビデオオンデマンド(VOD)によって配信することが求められている。そのため、ライブ配信用のコンテンツを、オンデマンド配信用のコンテンツに変換する必要がある。また、オンデマンド配信用コンテンツは、ライブ配信と異なりリアルタイム性が厳密ではなく、番組の広告の再生時間に限定されずに様々な広告を取り入れるために、CSAI(Client Side Ad Insertion)によってクライアント側で広告を挿入する技術を適用することがある。
【0007】
ところで、SSAIで広告を取り入れるコンテンツは、コンテンツのインデックスファイル(プレイリストファイル)を作成する際に、広告の格納場所や再生時間に係る広告情報を予め把握しておく必要がある。一方、CSAIで広告を取り入れるコンテンツは、コンテンツのインデックスファイルを作成する際に、広告の格納場所や再生時間に係る広告情報を必要としない。そのため、ライブ配信用のSSAI方式のコンテンツを、オンデマンド配信用のCSAI方式のコンテンツへと変換する場合には、手作業によってインデックスファイルから広告情報を検出して削除し、また、広告位置をインデックスファイルに定義しておく必要がある。放送される番組は非常に多いため、上記のようなコンテンツの変換を手作業で行うことは、コンテンツの配信や編集を行う作業者にとって非常に負担が掛かる。
【0008】
そこで、本発明は上記事情を考慮し、作業者に負担を掛けることなく、ライブ配信用のコンテンツをオンデマンド配信用のコンテンツに変換することができるコンテンツ変換装置、コンテンツ変換方法およびコンテンツ変換プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明のコンテンツ変換装置は、本編区間と広告区間とからなり、サーバ側で広告が挿入されるライブ配信用の第1コンテンツについて、前記本編区間の断片ファイルを読み出すための本編情報及び前記広告区間の断片ファイルを読み出すためのライブ配信用の第1広告情報が順次定義された前記第1コンテンツの第1プレイリストファイルを取得し、前記第1コンテンツと同じ前記本編区間を有していて、クライアント側で広告が挿入されるオンデマンド配信用の第2コンテンツを作成するために、前記第1プレイリストファイルから前記第1広告情報を検出し、検出した前記第1広告情報に代えて、広告挿入位置を示すと共に固定画像ファイルを読み出すためのオンデマンド配信用の第2広告情報を定義して、前記第1プレイリストファイルを前記第2コンテンツの第2プレイリストファイルに書き換えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明のコンテンツ変換方法は、本編区間と広告区間とからなり、サーバ側で広告が挿入されるライブ配信用の第1コンテンツについて、前記本編区間の断片ファイルを読み出すための本編情報及び前記広告区間の断片ファイルを読み出すためのライブ配信用の第1広告情報が順次定義された前記第1コンテンツの第1プレイリストファイルを取得する工程と、前記第1コンテンツと同じ前記本編区間を有していて、クライアント側で広告が挿入されるオンデマンド配信用の第2コンテンツを作成するために、前記第1プレイリストファイルから前記第1広告情報を検出し、検出した前記第1広告情報に代えて、広告挿入位置を示すと共に固定画像ファイルを読み出すためのオンデマンド配信用の第2広告情報を定義して、前記第1プレイリストファイルを前記第2コンテンツの第2プレイリストファイルに書き換える工程とを有することを特徴とする。
【0011】
更に、本発明のコンテンツ変換プログラムは、本編区間と広告区間とからなり、サーバ側で広告が挿入されるライブ配信用の第1コンテンツについて、前記本編区間の断片ファイルを読み出すための本編情報及び前記広告区間の断片ファイルを読み出すためのライブ配信用の第1広告情報が順次定義された前記第1コンテンツの第1プレイリストファイルを取得するステップと、前記第1コンテンツと同じ前記本編区間を有していて、クライアント側で広告が挿入されるオンデマンド配信用の第2コンテンツを作成するために、前記第1プレイリストファイルから前記第1広告情報を検出し、検出した前記第1広告情報に代えて、広告挿入位置を示すと共に固定画像ファイルを読み出すためのオンデマンド配信用の第2広告情報を定義して、前記第1プレイリストファイルを前記第2コンテンツの第2プレイリストファイルに書き換えるステップと、をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、作業者に負担を掛けることなく、ライブ配信用のコンテンツをオンデマンド配信用のコンテンツに変換することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態に係るコンテンツ変換装置を備えたコンテンツ配信システムの概要を示すブロック図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るコンテンツ変換装置において、ライブ配信用の第1コンテンツとオンデマンド配信用の第2コンテンツの例を示す概要図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るコンテンツ変換装置において、ライブ配信用の第1プレイリストの例を示す概要図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係るコンテンツ変換装置において、オンデマンド配信用の第2プレイリストの例を示す概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態に係るコンテンツ変換装置1について図を参照して説明する。
図1は、コンテンツ変換装置1を備えるコンテンツ配信システム100の構成を示すブロック図である。
【0015】
コンテンツ配信システム100は、番組を放送する放送局2と、その番組と同じ内容の第1コンテンツをライブ配信する第1配信サーバ3と、ライブ配信された第1コンテンツと同じ内容の第2コンテンツをオンデマンド配信する第2配信サーバ4と、第1コンテンツや第2コンテンツに挿入される配信用の広告データを格納する広告サーバ5とを備える。コンテンツ変換装置1は、ライブ配信用の第1コンテンツをオンデマンド配信用の第2コンテンツへと変換するものである。放送局2は番組をテレビ受像機6に向けて放送し、第1配信サーバ3及び第2配信サーバ4は第1コンテンツ及び第2コンテンツをユーザー端末7に向けてインターネット等のIPネットワーク8を介して配信する。
【0016】
以下、事業者とは、第1配信サーバ3や第2配信サーバ4を用いて第1コンテンツや第2コンテンツを配信する者を示し、作業者とは、コンテンツ変換装置1によって第1コンテンツを第2コンテンツへと変換する者を示す。また、ユーザーとは、ユーザー端末7を用いて第1コンテンツや第2コンテンツが示す番組を視聴する者を示す。なお、
図1では、コンテンツ配信システム100において、1つの放送局2に対して1つのテレビ受像機6を例示すると共に、1つの第1配信サーバ3や1つの第2配信サーバ4に対して1つのユーザー端末7を例示しているが、複数のテレビ受像機6や複数のユーザー端末7が設けられていてよい。
【0017】
テレビ受像機6は、地上波放送や衛星放送の電波によって放送された番組の放送データをアンテナやケーブルを介して受信し、放送データが示す映像や音声を出力する端末装置である。
【0018】
ユーザー端末7は、IPネットワーク8を介して通信可能なパーソナルコンピュータ、スマートフォンやタブレット等の端末装置である。ユーザー端末7は、CPU(Central Processing Unit)等の制御装置と、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等のメモリやハードディスク等の記録媒体を有して、記録媒体に記憶されるプログラムを制御装置が実行することにより各種機能を実現するものである。ユーザー端末7は、IPネットワーク8を介して第1配信サーバ3や第2配信サーバ4と通信可能に接続し、第1配信サーバ3が配信する第1コンテンツや第2配信サーバ4が配信する第2コンテンツを、IPネットワーク8を介して受信し、第1コンテンツや第2コンテンツが示す映像や音声を出力する。
【0019】
例えば、ユーザー端末7は、HLS(HTTP Live Streaming)やMPEG-DASH(Dynamic Adaptive Streaming over HTTP)等の配信プロトコルを利用して作成された第1コンテンツや第2コンテンツのプレイリストファイルを第1配信サーバ3や第2配信サーバ4から受信する。そして、ユーザー端末7は、プレイリストファイルに定義された順に第1コンテンツや第2コンテンツの断片ファイルを第1配信サーバ3や第2配信サーバ4からストリーミングによって受信して再生することで、第1コンテンツや第2コンテンツを再生する。なお、第1配信サーバ3は、第1コンテンツのプレイリストファイルを配信するサーバと、第1コンテンツの断片ファイルを配信するサーバとを、同一のサーバで構成してもよいが、若しくは異なるサーバで構成してもよい。また、第2配信サーバ4は、第2コンテンツのプレイリストファイルを配信するサーバと、第2コンテンツの断片ファイルを配信するサーバとを、同一のサーバで構成してもよいが、若しくは異なるサーバで構成してもよい。
【0020】
放送局2は、番組の映像データ及び音声データからなる放送データを、アンテナや衛星を介して地上波放送や衛星放送の電波によって放送する。放送データは、番組の本編区間に対応する本編データと、本編区間の間に挿入されるCM等の広告区間に対応する放送用の広告データとを含む。放送局2は、番組の放送開始時刻及び放送終了時刻、各本編区間の本編開始時刻及び本編終了時刻、各広告区間の広告開始時刻及び広告終了時刻等の番組情報を、メタデータ等で放送データに付加する。
【0021】
また、放送局2は、番組の放送データを放送によって出力するだけでなく、この番組と同じ内容の配信データを、IPネットワーク8を介して配信させるために、IPネットワーク8やLAN等のプライベートネットワーク(図示せず)等を介した送信によって出力してもよい。このとき、放送局2は、放送データにおける広告区間の放送用の広告データを、別の定型データに差し替える、いわゆるフタ処理を行ってもよい。定型データは、広告データと同じ再生時間であるが、異なる映像データ及び音声データで構成される。
【0022】
更に、放送局2は、放送データをエンコードしてストリーム形式の配信データに変換し、例えば、H.264コーデックの映像データ及びAACコーデックの音声データからなる配信データを作成する。なお、放送局2は、放送データを様々なフレームレートでエンコードして、様々なビットレート、すなわち様々な画質の配信データを作成してよい。配信データは、放送データと同様に、番組の本編区間に対応する本編データと、広告区間に対応する広告データ又は定型データを含む。
【0023】
第1配信サーバ3は、CPU等の制御装置と、ROMやRAM等のメモリやハードディスク等の記録媒体を有して、記録媒体に記憶されるプログラムを制御装置が実行することにより各種機能を実現するものである。
【0024】
第1配信サーバ3は、放送局2が放送する番組と同じ内容の配信データを放送局2から即時に受信し、配信データに基づいて番組と同じ内容のライブ配信用の第1コンテンツを即時に作成し、第1コンテンツを番組と同じ時間帯でIPネットワーク8を介してライブ配信し、すなわち、番組のサイマル配信を行う。なお、第1配信サーバ3は、作成した第1コンテンツを記録媒体に格納してよい。また、第1配信サーバ3は、いわゆるSSAI(Server Side Ad Insertion)方式によってサーバ側(第1配信サーバ3側)でライブ配信用の広告を挿入して第1コンテンツを作成する。
【0025】
例えば、第1配信サーバ3は、放送局2から受信した配信データに基づいて、HLS(HTTP Live Streaming)やMPEG-DASH(Dynamic Adaptive Streaming over HTTP)等の配信プロトコルを利用して、複数の断片ファイル(セグメントファイル)と第1プレイリストファイル(インデックスファイル)とからなる第1コンテンツを作成する。第1配信サーバ3は、配信データを時系列順に所定の時間間隔(例えば、2~10秒)で分割(細分化)して、MPEG2-TS(Transport Stream)等のデータ形式で収容した複数のTSファイルを作成し、複数の断片ファイルとして格納する。
【0026】
また、第1配信サーバ3は、複数の断片ファイルを再生順に読み出し可能に定義すると共に各断片ファイルの再生開始時間や再生時間等を定義してm3u8ファイルを作成し、第1プレイリストファイルとする。第1プレイリストファイルには、第1コンテンツのフレームレートやビットレートが定義される。
【0027】
第1配信サーバ3は、放送局2から受信した配信データを利用するところ、この配信データは、番組の放送データと同様に、本編区間に対応する本編データと、広告区間に対応する放送用の広告データ又は定型データとを含む。第1配信サーバ3が提供する第1コンテンツも、
図2に示すように、本編区間に対応する本編データと、広告区間に対応するライブ配信用の広告データとを含む。
【0028】
第1配信サーバ3は、配信データと同じ本編区間において、本編データに基づいて断片ファイルを作成して格納する。また、第1配信サーバ3は、広告サーバ5からライブ配信用の広告データを受信する。第1配信サーバ3は、配信データと同じ広告区間において、放送用の広告データ又は定型データに代えて、ライブ配信用の広告の広告データを挿入し、挿入されたライブ配信用の広告の広告データに基づいて断片ファイルを作成する。
【0029】
第1配信サーバ3は、
図3に示すように、第1プレイリストファイルにおいて、本編区間に対応する位置では本編データの断片ファイルを再生順に読み出し可能な本編情報を定義し、広告区間に対応する位置ではSCTE-35等の広告マーカーによって広告位置を示すと共にライブ配信用の広告データの断片ファイルを再生順に読み出し可能なライブ配信用の第1広告情報を定義する。第1プレイリストファイルには、少なくとも1つ以上の本編情報が定義され、少なくとも1つ以上の第1広告情報が定義されるものとする。なお、第1配信サーバ3は、第1コンテンツの先頭にも広告(プレロール)を挿入してよい。
【0030】
第1配信サーバ3は、IPネットワーク8を介して第1配信サーバ3に接続されている全てのユーザー端末7へ第1コンテンツを配信してもよく、あるいは、特定のユーザー端末7、例えば、第1配信サーバ3にログインしているユーザー端末7だけに第1コンテンツを配信してもよい。また、第1配信サーバ3は、1つの番組に対して、帯域幅(通信速度)、ビットレート、画質及び画面サイズの異なる複数種類の第1コンテンツを送信可能であり、1つのユーザー端末7に対して何れかの種類の第1コンテンツを配信する。
【0031】
第2配信サーバ4は、CPU等の制御装置と、ROMやRAM等のメモリやハードディスク等の記録媒体を有して、記録媒体に記憶されるプログラムを制御装置が実行することにより各種機能を実現するものである。
【0032】
第2配信サーバ4は、ライブ配信用の第1コンテンツを配信する第1配信サーバ3と同様に、放送局2が放送する番組と同じ内容のオンデマンド配信用の第2コンテンツを記録媒体に格納していて、番組放送後に第2コンテンツをユーザーからの要求に応じてIPネットワーク8を介してオンデマンド配信する。また、第2配信サーバ4は、番組放送中であっても、放送済みの部分に対応する第2コンテンツの断片ファイルを順次格納してよく、更に、格納された部分の第2コンテンツをオンデマンド配信してもよい。
【0033】
なお、第2配信サーバ4は、第1配信サーバ3が配信するライブ配信用の第1コンテンツに基づいて、コンテンツ変換装置1が作成したオンデマンド配信用の第2コンテンツをコンテンツ変換装置1から受信して格納する。第2配信サーバ4が提供する第2コンテンツは、
図2に示すように、第1コンテンツと同様に本編区間に対応する本編データを含む一方、広告区間に対応するオンデマンド配信用の固定画像ファイルとを含む。
【0034】
第2配信サーバ4は、IPネットワーク8を介して第2配信サーバ4に接続されている全てのユーザー端末7へ第2コンテンツを配信してもよく、あるいは、特定のユーザー端末7、例えば、第2配信サーバ4にログインしているユーザー端末7だけに第2コンテンツを配信してもよい。また、第2配信サーバ4は、1つの番組に対して、帯域幅(通信速度)、ビットレート、画質及び画面サイズの異なる複数種類の第2コンテンツを送信可能であり、1つのユーザー端末7に対して何れかの種類の第2コンテンツを配信する。
【0035】
コンテンツ変換装置1は、CPU等の制御装置と、ROMやRAM等のメモリやハードディスク等の記録媒体を有して、記録媒体に記憶されるプログラムを制御装置が実行することにより各種機能を実現するものである。
【0036】
コンテンツ変換装置1は、放送局2が放送する番組と同じ内容の第1コンテンツを第1配信サーバ3から受信し、第1コンテンツに基づいて番組と同じ内容のオンデマンド配信用の第2コンテンツを作成する。なお、コンテンツ変換装置1は、作成した第2コンテンツを記録媒体に格納していて、第2配信サーバ4からの要求に応じて、第2コンテンツを第2配信サーバ4へ送信する。また、コンテンツ変換装置1は、いわゆるCSAI(Client Side Ad Insertion)方式若しくは他の方式によってクライアント側(ユーザー端末7側)でオンデマンド配信用の広告を挿入するように第2コンテンツを作成する。
【0037】
例えば、コンテンツ変換装置1は、第1配信サーバ3から受信した第1コンテンツに基づいて、HLS(HTTP Live Streaming)やMPEG-DASH(Dynamic Adaptive Streaming over HTTP)等の配信プロトコルを利用して、複数の断片ファイル(セグメントファイル)と第2プレイリストファイル(インデックスファイル)とからなる第2コンテンツを作成する。第1コンテンツが複数の断片ファイルと第1プレイリストファイルとからなるところ、コンテンツ変換装置1は、第1配信サーバ3が提供する第1コンテンツの複数の断片ファイルをそのまま利用し、第1プレイリストファイルをオンデマンド配信用の第2プレイリストファイルに書き換える。
【0038】
例えば、コンテンツ変換装置1は、第1コンテンツの複数の断片ファイルを再生順に読み出し可能に定義すると共に各断片ファイルの再生開始時間や再生時間等を定義した第1コンテンツのm3u8ファイルを、オンデマンド配信用の第2プレイリストファイルに書き換え、具体的には、CSAI方式で広告を挿入できるような形式に書き換える。第2プレイリストファイルには、第2コンテンツのフレームレートやビットレートが定義される。
【0039】
コンテンツ変換装置1は、第1配信サーバ3が提供する第1コンテンツの複数の断片ファイルを利用するところ、これらの複数の断片ファイルは、番組の本編区間に対応する本編データを分割したものと、広告区間に対応するライブ配信用の広告データを分割したものとを含む。コンテンツ変換装置1は、第1コンテンツの第1プレイリストファイルを参照して、本編データの断片ファイルを定義した本編情報と、ライブ配信用の広告データの断片ファイルを定義したライブ配信用の第1広告情報とを検出する。
【0040】
そして、コンテンツ変換装置1は、
図3に示す第1プレイリストファイルを利用して、
図4に示すように、第1プレイリストファイルの本編情報をそのまま残すと共に、ライブ配信用の第1広告情報をオンデマンド配信用の第2広告情報に差し替えることで第2プレイリストファイルに書き換える。例えば、オンデマンド配信用の第2広告情報は、SCTE-35等の広告マーカーによって広告挿入位置を示すと共に黒画像等の固定画像ファイルを読み出し可能に定義される。
【0041】
ところで、ライブ配信用の第1広告情報では、各断片ファイルの再生開始時間や再生時間が定義され、第1広告情報に含まれる断片ファイルの総再生時間は、番組の広告区間と同じ長さを有する。これに対して、第1広告情報に含まれる断片ファイルの総数や総再生時間に拘わらず、コンテンツ変換装置1は、オンデマンド配信用の第2広告情報に対して、固定画像ファイルの読み出しを1回だけ定義し、固定画像ファイルの再生時間を、各断片ファイルに比べてより短く設定し、数秒(例えば、2秒)程度の必要最小限の長さに設定するとよい。なお、コンテンツ変換装置1は、固定画像ファイルの再生時間を作業者が任意に設定可能にしてもよい。
【0042】
これにより、差し替え前の第1広告情報に含まれる断片ファイルの総再生時間と、固定画像ファイルの再生時間との差分だけ、第1コンテンツの全再生時間と第2コンテンツの全再生時間とに差が生じる。そこで、コンテンツ変換装置1は、差し替えた第2広告情報よりも後に定義される本編情報や第2広告情報において、各断片ファイルや固定画像ファイルの再生開始時間を、この差分だけ早めるように書き換えるとよい。
【0043】
ユーザー端末7は、第1配信サーバ3から第1コンテンツを受信する場合、第1コンテンツの第1プレイリストファイルに従って本編情報を検出した場合には、本編情報に定義された本編データの断片ファイルを第1配信サーバ3から読み出して再生する。更に、ユーザー端末7は、第1プレイリストファイルに従って第1広告情報を検出した場合には、第1広告情報に定義された広告データの断片ファイルを広告サーバ5から読み出して再生する。
【0044】
また、ユーザー端末7は、第2配信サーバ4から第2コンテンツを受信する場合、第2コンテンツの第2プレイリストファイルに従って本編情報を検出した場合には、本編情報に定義された本編データの断片ファイルを第1配信サーバ3から読み出して再生する。更に、ユーザー端末7は、第2プレイリストファイルに従って、第2広告情報を検出した場合には、ユーザー端末7が広告サーバ5と通信を行い、オンデマンド配信用の広告データを広告サーバ5から読み出して再生する。
【0045】
本実施形態では、上述のように、コンテンツ変換装置1は、本編区間と広告区間とからなり、サーバ側で広告が挿入されるライブ配信用の第1コンテンツについて、本編区間の断片ファイルを読み出すための本編情報及び広告区間の断片ファイルを読み出すためのライブ配信用の第1広告情報が順次定義された第1コンテンツの第1プレイリストファイルを第1配信サーバ3から取得する。また、コンテンツ変換装置1は、第1コンテンツと同じ本編区間を有していて、クライアント側で広告が挿入されるオンデマンド配信用の第2コンテンツを作成するために、第1プレイリストファイルから第1広告情報を検出し、検出した第1広告情報に代えて、広告挿入位置を示すと共に固定画像ファイルを読み出すためのオンデマンド配信用の第2広告情報を定義して、第1プレイリストファイルを第2コンテンツの第2プレイリストファイルに書き換える。
【0046】
上記したような構成により、本実施形態によれば、コンテンツ変換装置1は、作業者に負担を掛けることなく、ライブ配信用の第1コンテンツをオンデマンド配信用の第2コンテンツへと自動的に変換することができる。第1コンテンツの第1プレイリストファイルを参照してライブ配信用の第1広告情報を検出する作業をコンテンツ変換装置1によって自動化するため、作業者が手作業で広告位置を探す場合に比べて、より速く、より正確に第1広告情報を検出することができる。ライブ配信用の第1広告情報に代えて、オンデマンド配信用の第2広告情報に書き換える作業をコンテンツ変換装置1によって自動化するため、作業者が手作業でオンデマンド配信用の第2広告情報に書き換える場合に比べて、より速く、より正確に第2広告情報に書き換えることができる。
【0047】
なお、本発明のコンテンツ変換方法は、上記したコンテンツ変換装置1と同様の機能を工程として含むように構成される。また、本発明のコンテンツ変換プログラムは、上記したコンテンツ変換装置1と同様の機能をステップとしてコンピュータ(制御装置)に実行させるように構成される。
【0048】
本実施形態では、放送局2が番組の放送データをストリーム形式の配信データに変換する例を説明したが、本発明はこの例に限定されない。例えば、他の例では、第1配信サーバ3が番組の放送データを放送局2から受信してストリーム形式の配信データに変換してもよく、あるいは他の外部機器が番組の放送データを放送局2から受信してストリーム形式の配信データに変換してもよい。
【0049】
本実施形態では、ライブ配信用の第1コンテンツをオンデマンド配信用の第2コンテンツへと変換するコンテンツ変換装置1が、第1配信サーバ3や第2配信サーバ4と別体で設けられる例を説明したが、本発明はこの例に限定されない。例えば、他の例では、コンテンツ変換装置1は、第1配信サーバ3と一体に設けられてもよく、あるいは第2配信サーバ4と一体に設けられてもよい。
【0050】
本発明は、請求の範囲および明細書全体から読み取ることのできる発明の要旨または思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴うコンテンツ変換装置、コンテンツ変換方法およびコンテンツ変換プログラムもまた本発明の技術思想に含まれる。
【符号の説明】
【0051】
1 コンテンツ変換装置
2 放送局
3 第1配信サーバ
4 第2配信サーバ
5 格納サーバ
6 テレビ受像機
7 ユーザー端末
8 IPネットワーク
【要約】
【課題】作業者に負担を掛けることなく、ライブ配信用のコンテンツをオンデマンド配信用のコンテンツに変換する。
【解決手段】コンテンツ変換装置1は、サーバ側で広告が挿入されるライブ配信用の第1コンテンツについて、本編区間の断片ファイルを読み出すための本編情報及び広告区間の断片ファイルを読み出すためのライブ配信用の第1広告情報が順次定義された第1コンテンツの第1プレイリストファイルを第1配信サーバ3から取得する。コンテンツ変換装置1は、クライアント側で広告が挿入されるオンデマンド配信用の第2コンテンツを作成するために、第1プレイリストファイルから第1広告情報を検出し、検出した第1広告情報に代えて、広告挿入位置を示すと共に固定画像ファイルを読み出すためのオンデマンド配信用の第2広告情報を定義して、第1プレイリストファイルを第2コンテンツの第2プレイリストファイルに書き換える。
【選択図】
図1